説明

ICタグを内包した粉体用包装袋

【課題】ICタグを設け、そのICタグの破損を回避することができる粉体用包装袋を提供することである。
【解決手段】平坦に折り潰された筒形状に形成され、前記筒形状の開口部に斜め折れ線部を設けて三角形状の折込み部を形成し、前記筒形状の開口端と平行して設けられた第1及び第2の折れ線部を有した袋基材と、平坦に折り潰された筒形状に形成され、前記筒形状の内面に設けられ、その内面を接着可能な接着層と、前記第1の折れ線部と前記第2の折れ線部との間の前記折込み部に接着される帯状接着層を有するバルブ基材と、前記袋基材の開口部の外側に設けられ、前記袋基材を前記第2の折れ線部及び前記第1の折れ線部で折り曲げられることにより閉じられる前記袋基材の開口部に貼り合わされる化粧紙基材とを備える粉体包装用両底貼り袋において、上底または下底の化粧紙基材の内面のほぼ中央部にICタグを貼り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体を包装するときに使用される粉体用包装袋に関し、特にICタグを内包した粉体用包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
小麦粉のような粉体を搬送する方法のひとつとして、その粉体を包装袋に充填し、その粉体用包装袋ごと搬送する方法が知られている。
【0003】
ところで最近では、流通管理、トレーサビリティなどの観点から、このような粉体用包装袋においても、その充填時の状況や流通の過程などの様々な履歴情報を後から知り得るようにすることが望まれている。従来、粉体用包装袋のそれぞれに対して履歴情報を付加する方法としては、粉体用包装袋にその履歴情報を直接印刷したり、刻印を刻んだりするような方法が知られていた。
【0004】
しかしながら、最近の高度情報化に対応して、粉体用包装袋のそれぞれに付加しておきたい履歴情報の量も増大してきて、袋に直接印刷するような方法では、印刷スペースが不足してしまうし、見栄えもよくないという問題があった。
【0005】
これに対して特許文献1や特許文献2に記載の発明では、包装体の腹部分の表面に非接触ICタグを設け、このICタグに履歴情報を記録することによって、記録したい情報量の増加に対応しようとしている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−155062号公報
【特許文献2】特開2003−158414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、粉体用包装袋の一例である小麦粉を充填する袋の場合、たとえば一袋に25kg程の小麦粉を詰め、その袋を10段ほど積み重ねて搬送するのが普通であり、特許文献1や特許文献2に記載のように包装体の腹部分の表面に非接触ICタグを貼り付けたのでは、積載した袋の荷重がICタグにかかり、ICタグを破損してしまうおそれがあった。
【0008】
また、たとえばAMOスクリュー式パッカー(株式会社中島製作所製)を用いて、袋に小麦粉を充填する際、袋がAMOスクリュー式パッカーの振動装置付袋受台に接しているので、その底部分にICタグが貼り付けてある場合はICタグが破損するおそれがあった。
【0009】
本発明は上記の点にかんがみてなされたもので、ICタグを設け、そのICタグの破損を回避することができる粉体用包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために、平坦に折り潰された筒形状に形成され、前記筒形状の開口部に斜め折れ線部を設けて三角形状の折込み部を形成し、前記筒形状の開口端と平行して設けられた第1及び第2の折れ線部を有した袋基材と、平坦に折り潰された筒形状に形成され、前記筒形状の内面に設けられ、その内面を接着可能な接着層と、前記第1の折れ線部と前記第2の折れ線部との間の前記折込み部に接着される帯状接着層を有するバルブ基材と、前記袋基材の開口部の外側に設けられ、前記袋基材を前記第2の折れ線部及び前記第1の折れ線部で折り曲げられることにより閉じられる前記袋基材の開口部に貼り合わされる化粧紙基材とを備える粉体包装用両底貼り袋において、上底または下底の化粧紙基材の内面のほぼ中央部にICタグを貼り付けたことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、平坦に折り潰された筒形状に形成され、前記筒形状の開口部に斜め折れ線部を設けて三角形状の折込み部を形成し、前記筒形状の開口端と平行して設けられた第1及び第2の折れ線部を有した袋基材と、平坦に折り潰された筒形状に形成され、前記筒形状の内面に設けられ、その内面を接着可能な接着層と、前記第1の折れ線部と前記第2の折れ線部との間の前記折込み部に接着される帯状接着層を有するバルブ基材と、前記袋基材の開口部の外側に設けられ、前記袋基材を前記第2の折れ線部及び前記第1の折れ線部で折り曲げられることにより閉じられる前記袋基材の開口部に貼り合わされる化粧紙基材とを備える粉体包装用両底貼り袋において、粉体吹込み口側と反対側にカットテープ部を設け、粉体吹込み口側の化粧紙基材内面のほぼ中央部にICタグを貼り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ICタグを設け、搬送時にそのICタグの破損を回避することができる粉体用包装袋を提供することができる。
【0013】
すなわち本発明によれば、搬送時に側面となる粉体用包装袋の上底または下底にICタグを貼り付けるようにしたので、搬送時に上積みされた他の袋の荷重がICタグに直接かかることがなく、ICタグの破損のおそれをなくすることができる。
【0014】
また本発明は、粉体充填時に充填物の重量がかからない部分にICタグを設けるようにしたので、充填物の重量がICタグに直接かかることがなく、ICタグの破損のおそれをなくすることができる。
【0015】
また本発明は、内容物に直接触れない化粧紙基材にICタグを設けるようにしたので、ICタグが粉体用包装袋の内容物に混入してしまうおそれをなくすることができる。
【0016】
また本発明は、開封時に破断するカットテープ部とは反対側にICタグを設けるようにしたので、ICタグが粉体用包装袋の内容物に混入してしまうおそれをなくすることができる。
【0017】
また本発明は、ICタグを設けて情報記録しておくことにより、粉体用包装袋および充填物のトレーサビリティが可能となる。
【0018】
また本発明は、ICタグを設けて情報記録しておくことにより、製袋会社での在庫管理、誤出荷の防止を行うことができる。
【0019】
また本発明は、ICタグを設けて情報記録しておくことにより、粉体の銘柄ごとにたとえば印刷絵柄が異なる粉体用包装袋を製袋会社から受け入れる際の確認を容易に行うことができる。
【0020】
また本発明は、ICタグを設けて情報記録しておくことにより、粉体を粉体用包装袋に充填する際に間違った種類の粉体を充填してしまうなどの誤充填を防止することができる。
【0021】
また本発明は、ICタグを設けて情報記録しておくことにより、粉体用包装袋に充填した粉体の在庫管理を行うことができる。
【0022】
また本発明は、ICタグを設けて情報記録しておくことにより、粉体用包装袋に充填した粉体を出荷する際の誤出荷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
本実施の形態では、粉体用包装袋の例として、上底および下底を有する粉体包装用両底貼り袋について説明する。
【0025】
図1は、本発明による粉体用包装袋を構成する袋基材を展開した平面図である。
【0026】
本実施の形態の粉体用包装袋を構成する袋基材1としては、たとえばクラフト紙などの用紙が用いられる。袋基材1の強度を得るためには、同じ大きさの用紙を2枚以上重ねて用いるのが望ましい。本実施の形態では2枚のクラフト紙を重ねて、この2枚を接着剤で貼り付けて袋基材1として用いるものとする。
【0027】
2枚重ねの用紙は、図1に示す所定個所で折られるとともに、重ね合わせた所定個所を接着して袋状にされる。図1において、破線は谷折りする線を示し、一点鎖線は山折りする線を示す。
【0028】
袋基材1の面14の両脇の面13と面12とは向こう側に折り込まれ、面13の端部に予め塗られた接着層19の上に面12の端部が重ねられて接着される。これによって袋基材1は上下に開口部を有する筒形状に形成される。
【0029】
なお、接着層19の接着剤としては、たとえば酢ビ系、ポリビニルアルコール系やでんぷん系の糊を用いることができる。以下の説明において特に説明がない場合には接着剤としては、これらの接着剤を用いることができる。
【0030】
図2は、図1に示した袋基材1を筒形状に形成した後に、両開口部を折った状態を示す斜視図であり、図3は平面図である。この図2および図3では、図1に示した粉体用包装袋1の面14が手前に来る状態で示している。
【0031】
筒形状に形成された袋基材1は平坦に折り潰され、両開口部を折ることによって、図2、図3に示すような形状となる。
【0032】
図1、図3に示すように、袋基材1の一方の開口部には三角形状の折込み部24および25が形成され、また、袋基材1は一方の開口端と平行して設けられた第1の折れ線部20および第2の折れ線部21を有する。さらに袋基材1の他方の開口部には三角形状の折込み部26および27が形成され、また、袋基材1は他方の開口端と平行して設けられた第1の折れ線部22および第2の折れ線部23を有する。
【0033】
また、図2および図3では、袋基材1のほかに、粉体用包装袋を構成するバルブ基材5を示している。
【0034】
バルブ基材5は、クラフト紙などの用紙を筒形状に形成し、このバルブ基材5の左端は外部に通じ、右端は袋基材1の内部に通じるように、たとえば折込み部24の上に接着される。バルブ基材5は粉体吹き込み口として作用し、粉体用包装袋が完成した後の粉体の充填は、充填用のノズルをこのバルブ基材5の左端から挿入して行う。バルブ基材5の筒の内面にはホットメルト系接着剤が塗布してあり、粉体充填時には粘着性はなく、充填完了後に加熱するとこの筒内面の接着剤が熔融して接着し、筒内の貫通を遮蔽し、粉体用包装袋内の粉体が外部に漏れるのを防ぐ。
【0035】
続いて、第1の折れ線部22を折って接着層30によって接着し、その上に、第2の折れ線部23を折って接着層31によって接着して上底を形成する。
【0036】
また、折込み部24の上に筒形状のバルブ基材5を接着した上に、第1の折れ線部20を折って接着層28によって接着し、その上に、第2の折れ線部21を折って接着層29によって接着して下底を形成する。
【0037】
図4は、図3の状態から、第1の折れ線部20および第2の折れ線部21を折って下底を形成し、第1の折れ線部22および第2の折れ線部23を折って上底を形成した状態を示す平面図である。
【0038】
図4に示す状態において、袋基材1の内部は、バルブ基材5の筒内面でのみ外部と通じており、他の部分はほぼ密閉されている。
【0039】
図5は、図4に示した袋基材1の上底および下底に貼り付ける化粧紙基材を示す平面図である。
【0040】
化粧紙基材2は、バルブ基材5を有する面16および面15から成る下底を覆い、化粧紙基材3は面18および面17から成る上底を覆う。
【0041】
化粧紙基材2の、面15に貼り付けられる側の面(図5では裏面)のほぼ中央には、無線にて外部とのデータ送受信が可能で、外部から受信したデータを記憶したり、記憶してあるデータを外部に送信することができるICタグ4が貼り付けられている。
【0042】
一方、化粧紙基材3にはカットテープ部6が設けられている。このカットテープ部6には、化粧紙基材3を横断してたとえばビニールテープが貼り付けてあり、このビニールテープを端から引き上げて化粧紙基材3を破ることによって容易に化粧紙基材3を破断することができる。このカットテープ部6によって化粧紙基材3を破断させ、面17、面18の接着を剥がすことによって、粉体充填済みの粉体用包装袋を容易に開封することができる。
【0043】
図6は、図4に示した袋基材1に、図5に示した化粧紙基材2および3を貼り付けた状態を示す平面図である。
【0044】
図6に示すように、面16および面15から成る下底の上には化粧紙基材2が貼り付けられ、面18および面17から成る上底の上には化粧紙基材3が貼り付けられて、粉体用包装袋10が完成する。
【0045】
ICタグ4に対しては、たとえば袋の製袋時に袋の銘柄、製袋工場を識別する名称等、また粉体充填完了時に、充填日時、充填した粉体の種類(品種、銘柄)、充填した工場を識別する名称、充填した装置を識別する名称等の履歴情報を非接触で書き込む。また、そのほかにも、任意のタイミングで、搬送状況などの様々な情報を書き込み、また書き込まれている情報の読み取りを行う。
【0046】
図7は、粉体充填済みの粉体用包装袋10を積載した状態を示す斜視図である。
【0047】
粉体充填済みの粉体用包装袋10を搬送する際には、図7に示すように、たとえばパレット(図示せず)の上に各袋を積載し、粉体用包装袋10を50袋ずつまとめてパレットごと搬送する。
【0048】
本実施の形態の粉体用包装袋10では、図7に示すように、搬送時には粉体用包装袋10の上底および下底が側面になるように積載され、下底の化粧紙基材2の裏面に貼り付けられたICタグ4には、上積みされた他の袋の荷重が直接かかることがない。
【0049】
また、たとえば水のように容易に形状を変えてしまう物質を入れた袋に上から荷重をかけると側面にも張り出す力がかかってしまうが、粉体である小麦粉の場合、袋詰めされて荷重がかかると変形しない程度に固まり、側面にほとんど力がかからず、ICタグ4を破損してしまうおそれがない。
【0050】
なお、上述の実施の形態では、粉体用包装袋の下底にICタグを貼り付けるようにしたが、本発明はこれに限られるものではなく、粉体用包装袋の上底にICタグを貼り付けるようにしてもよい。
【0051】
しかしながら、カットテープ部によって粉体用包装袋を開封する際に、粉体用包装袋の内容物にICタグが剥れて混入してしまうのを防ぐため、ICタグを設けるのは、カットテープ部が設けられていない側であることが望ましい。
【0052】
また、粉体吹き込み口として作用するバルブ基材5から粉体を充填している最中には、バルブ基材と反対側の底(上述の実施の形態では上底)は、充填装置の振動装置付袋受台と接しており、充填物の重量が掛かってしまうため、ICタグを設けるのは、そのバルブ基材と反対側の底ではないことが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明による粉体用包装袋を構成する袋基材を展開した平面図である。
【図2】図1に示した袋基材1を筒形状に形成した後に、両開口部を折った状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示した袋基材1を筒形状に形成した後に、両開口部を折った状態を示す平面図である。
【図4】図3の状態から、第1の折れ線部20および第2の折れ線部21を折って下底を形成し、第1の折れ線部22および第2の折れ線部23を折って上底を形成した状態を示す平面図である。
【図5】図4に示した袋基材1の上底および下底に貼り付ける化粧紙基材を示す平面図である。
【図6】図4に示した袋基材1に、図5に示した化粧紙基材2および3を貼り付けた状態を示す平面図である。
【図7】粉体充填済みの粉体用包装袋10を積載した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0054】
1 袋基材
2、3 化粧紙基材
4 ICタグ
5 バルブ基材
6 カットテープ部
10 粉体用包装袋
12、13、14、15、16、17、18 面
19、28、29、30、31 接着層
20、22 第1の折れ線部
21、23 第2の折れ線部
24、25、26、27 折り込み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦に折り潰された筒形状に形成され、前記筒形状の開口部に斜め折れ線部を設けて三角形状の折込み部を形成し、前記筒形状の開口端と平行して設けられた第1及び第2の折れ線部を有した袋基材と、
平坦に折り潰された筒形状に形成され、前記筒形状の内面に設けられ、その内面を接着可能な接着層と、前記第1の折れ線部と前記第2の折れ線部との間の前記折込み部に接着される帯状接着層を有するバルブ基材と、
前記袋基材の開口部の外側に設けられ、前記袋基材を前記第2の折れ線部及び前記第1の折れ線部で折り曲げられることにより閉じられる前記袋基材の開口部に貼り合わされる化粧紙基材とを備える粉体包装用両底貼り袋において、
上底または下底の化粧紙基材の内面のほぼ中央部にICタグを貼り付けたことを特徴とする、ICタグを内包した粉体用包装袋。
【請求項2】
平坦に折り潰された筒形状に形成され、前記筒形状の開口部に斜め折れ線部を設けて三角形状の折込み部を形成し、前記筒形状の開口端と平行して設けられた第1及び第2の折れ線部を有した袋基材と、
平坦に折り潰された筒形状に形成され、前記筒形状の内面に設けられ、その内面を接着可能な接着層と、前記第1の折れ線部と前記第2の折れ線部との間の前記折込み部に接着される帯状接着層を有するバルブ基材と、
前記袋基材の開口部の外側に設けられ、前記袋基材を前記第2の折れ線部及び前記第1の折れ線部で折り曲げられることにより閉じられる前記袋基材の開口部に貼り合わされる化粧紙基材とを備える粉体包装用両底貼り袋において、
粉体吹込み口側と反対側にカットテープ部を設け、粉体吹込み口側の化粧紙基材内面のほぼ中央部にICタグを貼り付けたことを特徴とする、ICタグを内包した粉体用包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−68899(P2008−68899A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−249028(P2006−249028)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(301049777)日清製粉株式会社 (128)
【Fターム(参考)】