説明

ICタグ・アダプタ、および電源タップ装置

【課題】既存の機器プラグにわざわざICタグを内蔵させる必要が無く、ICタグを用いたシステムをより効率的に実施可能とする。
【解決手段】本ICタグ・アダプタは、機器プラグのプラグ刃の差込が可能なプラグ刃差込口と、情報の書き込みが可能なICタグと、機器プラグのプラグ刃に対応した形状を備えて電源タップのプラグ刃差込口に差し込み可能なアダプタ刃と、を有する。電源タップ装置は、このICタグ・アダプタと電源タップとを含み、電源タップは、ICタグ・アダプタのプラグ刃差込口と、ICタグ・リーダーと、を含み、ICタグ・アダプタのプラグ刃差込口に機器プラグのプラグ刃が装着された状態で、当該電源タップのプラグ刃差込口にICタグ・アダプタのアダプタ刃が差し込まれているとき、ICタグ・リーダーにより、ICタグ・アダプタのICタグに書き込まれている情報を読み取ることができるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグ・アダプタ、および電源タップ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、宅外より例えば携帯通信端末を使ってあるいは宅内設置のパーソナル・コンピュータを使って、ファン、ヒーター、エアコン、冷蔵庫、電子レンジ、テレビ等の家電機器の状態を遠隔制御することができるようにしたシステムが知られている(例えば、特許文献1、2)。このようなシステムでは、配線等の工事が必要であったり、プログラム等の設定等が必要となり、大変煩わしい手間がかかる、等の理由から一般に普及されていないのが現状である。そこで本願出願人は、配線や制御のためのソフトウエアの設定等の煩雑な作業や手間を要せず、電源タップに接続された機器の状態を遠隔制御するシステムを検討している。この検討の過程で、電源コンセント側に送出される識別情報を記憶させたICタグ(IDタグ)を内蔵させた電源プラグを開示した特許文献3を発見した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−215131
【特許文献2】特開2004−214937
【特許文献3】特開2008−270075
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献3に開示したプラグではICタグを個別に内蔵させる必要があり、現実では既存のプラグに内蔵させることは困難である。
【0005】
したがって、本発明により解決すべき課題は、既存の機器プラグにわざわざICタグを内蔵させる必要性を無くし、上記のようなシステムをより効率的に実施できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるICタグ・アダプタは、機器プラグのプラグ刃差込口と、上記プラグ刃差込口と電気的に導通しかつ電源タップのプラグ刃差込口に差し込み可能なアダプタ刃と、情報の書き込みが可能なICタグと、を有したことを特徴とするものである。
【0007】
上記ICタグはICタグライタにより情報の書き換えが可能になっていることが好ましい。
【0008】
本発明による電源タップ装置は、ICタグ・アダプタと、電源タップとを含み、ICタグ・アダプタは、機器プラグのプラグ刃差込口と、上記プラグ刃差込口と電気的に導通しかつ電源タップのプラグ刃差込口に差し込み可能なアダプタ刃と、情報の書き込みが可能なICタグと、を有し、また、電源タップは、プラグ刃差込口と、ICタグ・リーダーと、を含み、電源タップのプラグ刃差込口にICタグ・アダプタのアダプタ刃が差し込まれると、上記ICタグ・リーダーにより、ICタグ・アダプタのICタグに書き込まれている情報が読み取り可能となっている、ことを特徴とするものである。
【0009】
以上から本発明では、ICタグ・アダプタのプラグ刃差込口に機器プラグのプラグ刃が装着された状態で、当該電源タップのプラグ刃差込口にICタグ・アダプタのアダプタ刃が差し込まれると、ICタグ・リーダーにより、ICタグ・アダプタのICタグに書き込まれている情報を読み取ることができる。
【0010】
そのため、機器プラグと電源タップと、これらの間でICタグとICタグリーダーとを備えたシステムにおいては、既存の機器プラグにわざわざICタグを内蔵させる必要が無くなり、当該システムをより効率的に実施することができるようになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、既存の機器プラグにわざわざICタグを内蔵させる必要が無く、ICタグを用いたシステムをより効率的に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の実施の形態にかかる電源タップ装置の概略構成を示す図である。
【図2】図2は図1の要部を拡大して示す図である。
【図3】図3はICタグ・アダプタの構成を拡大して示す図である。
【図4】図4は他の電源タップ装置の構成を示す図である。
【図5】図5はICタグ・システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係るICタグ・アダプタ、および電源タップ装置を説明する。図1は電源タップ装置の概略構成を示し、図2は図1の要部を拡大して示し、図3はICタグ・アダプタの構成を拡大して示す。これらの図を参照して、1は機器であり、3は機器プラグ、5は、ICタグ・アダプタ、7は、電源タップ、9はプログラマブル・コントローラ、11は壁コンセントである。ICタグ・アダプタ5と電源タップ7とにより電源タップ装置13を構成する。
【0014】
上記各機器1は例えばエアコン、ファンヒータ、テレビ、パソコン、等の機器である。これら機器1はいずれも機器プラグ3を一体に具備している。機器プラグ3の形態は種々あるが、いずれの形態も含むことができる。機器プラグ3は、先端に2つ一対のプラグ刃3aを具備する。
【0015】
ICタグ・アダプタ5は、いずれも、機器プラグ3のプラグ刃3aの差込が可能な2つ一対のプラグ刃差込口5aと、機器プラグ3のプラグ刃3aに対応した形状を備えて電源タップ7のプラグ刃差込口7aに差し込み可能な2つ一対のアダプタ刃5bとを具備すると共に、内部には情報の書き込みが可能なICタグ5cを備えた構成になっている。
【0016】
ICタグ・アダプタ5において、さらに、プラグ刃差込口5aの内壁は導電材で構成され、このプラグ刃差込口5aに差し込まれた機器プラグ3のプラグ刃3aはこのプラグ刃差込口5a内壁の導電材に導電接触することができる。また、プラグ刃差込口5a内壁とアダプタ刃5bとは例えば電気配線5dで接続されている。プラグ刃差込口5a内壁とアダプタ刃5bとの電気的接続の形態は特に限定しない。こうしてプラグ刃差込口5aに差し込まれた機器プラグ3のプラグ刃3aはアダプタ刃5bに導通接続されることとなる。
【0017】
ICタグ・アダプタ5に内蔵されたICタグ5cは、電子タグ、無線タグ、無線ICタグ、RFタグ、電子荷札、電子値札等の名称で呼称されるが、名称に限定されない。このICタグ5cは、電池内蔵型のアクティブタグであってもよいが、ICタグ・リーダーから電波を受信し、その受信した電波から起電力を生成するパッシブタグが好ましい。このパッシブタグでは通信距離が短くなり、隣接するICタグとICタグ・リーダーとの間の電波の影響を受けなくて済むうえに安価で長期使用には好ましい。
【0018】
電源タップ7は、2つ一対のプラグ刃差込口7aを複数対有する。これら各プラグ刃差込口4aには、ICタグ・アダプタ5のアダプタ刃5bあるいは機器プラグ3のプラグ刃3aが差し込みが可能である。したがって機器プラグ3は、そのプラグ刃3aをICタグ・アダプタ5のプラグ刃差込口5aに差し込んで電源タップ7に間接に接続することができ、また、電源タップ7のプラグ刃差込口7aに差し込んで電源タップ7に直接に接続することができる。その接続はユーザにより任意に選択されることができる。なお、電源タップ7は、周知のように、プラグ7eを有し、このプラグ7eが壁コンセント11に差し込まれることで、電源の供給を受けるようになっている。
【0019】
電源タップ7は、内部に、各プラグ刃差込口7aそれぞれに個別対応してICタグ・リーダー7bが設けられている。電源タップ7はさらに、内部に、各ICタグ・リーダー7b出力を無線通信データの形態に処理する無線通信部7cを有すると共に、外部に、無線通信部7c出力を送信する無線アンテナ7dが配備されている。
【0020】
電源タップ7の各プラグ刃差込口7aにICタグ・アダプタ5のプラグ刃5bが差し込まれている状態では、ICタグ・アダプタ5内のICタグ5cは、電源タップ7内のICタグ・リーダー7bから電力を得て、内部記憶情報をICタグ・リーダー7bに無線電波で送信する。この場合、図3の仮想線矢印14で示すようにICタグ5cとICタグ・リーダー7bとは各プラグ差込口7aごとに1対1の関係で対向する同士で対応し、隣接するICタグ5c、ICタグ・リーダー7bとは対応しない。
【0021】
こうして各プラグ差込口7a近傍それぞれに配置のICタグ・リーダー7bは、各ICタグ・アダプタ5のICタグ5cからの送信電波から当該ICタグ5cに書き込まれている情報を読み取って、無線通信部7cに出力する。無線通信部7cは、各ICタグ・リーダー7bが読み取った情報を無線通信できる形態に処理したうえで、無線アンテナ7dに出力する。無線アンテナ7dはこの情報をプログラマブル・コントローラ9の無線アンテナ9aに送信する。このようにICタグ・アダプタ5内のICタグ5cと、電源タップ7内のICタグ・リーダー7bとはICタグ・システムを構成する。
【0022】
プログラマブル・コントローラ9は、無線アンテナ9aにより上記情報を受信すると共に、この受信した情報に従い、各機器1を制御することができるようになっている。この制御の形態として、プログラマブル・コントローラ9は、ICタグ情報から電源タップ7に接続してある機器を特定し、当該機器を制御することができる。
【0023】
図4は壁コンセント15にICタグ・リーダー15aを設け、この壁コンセント15にICタグ・アダプタ5を差し込むことでもよい。この場合、壁コンセント15に無線アンテナ15bを設け、ICタグ・アダプタ5のICタグ5cと壁コンセント15のICタグ・リーダー15aとの通信データをプログラマブル・コントローラ9に送信できるようにしてもよい。
【0024】
図5はICタグ・システムの概略構成を示す。実施の形態でのICタグ・システムは、ICタグ・アダプタ5内のICタグ5cと、電源タップ7内のICタグ・リーダー7bとで構成した。この場合、ICタグ5cは、詳細図示は略するが、基板上にアンテナコイルと、半導体チップとを具備し、この半導体チップに、書き込み情報の記憶部や、無線通信のコントローラ、等を含む。そして図5で示すように、電源タップ7にはICタグ・リーダー/ライター7cを配置する。このICタグ・リーダー/ライター7cは、電波送受信部7c1とコントローラ7c2とを含む。ICタグ・アダプタ5内のICタグ5cに対して、パーソナル・コンピュータ17からICタグ・リーダー/ライター7cに書き込み情報を入力すると、ICタグ・リーダー/ライター7cはICタグ5cに対して情報を書き込む。もちろん、電源タップ7ではなく、ICタグ・ライターでICタグ5cに情報を書き込んでもよい。
【0025】
以上説明したように本実施の形態による電源タップ装置13は、ICタグ・アダプタ5と電源タップ7とを含み、ICタグ・アダプタ5のプラグ刃差込口5aに機器プラグ3のプラグ刃3aが装着された状態で、当該電源タップ7のプラグ刃差込口7aにICタグ・アダプタ5のアダプタ刃5bが差し込まれているとき、ICタグ・リーダー7bにより、ICタグ・アダプタ5のICタグ5cに書き込まれている情報を読み取ることができるようにしたので、既存の機器プラグ3にわざわざICタグを内蔵させる必要が無くなり、ICタグを用いたシステムをより効率的に実施できるようにすることができる。
【符号の説明】
【0026】
1 機器
3 機器プラグ
5 ICタグ・アダプタ
5a プラグ刃差込口
5b アダプタ刃
5c ICタグ
7 電源タップ
7a プラグ刃差込口
7b ICタグ・リーダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器プラグのプラグ刃差込口と、
上記プラグ刃差込口と電気的に導通しかつ電源タップのプラグ刃差込口に差し込み可能なアダプタ刃と、
情報の書き込みが可能なICタグと、
を有したことを特徴とするICタグ・アダプタ。
【請求項2】
上記ICタグはICタグライタにより情報の書き換えが可能になっている、ことを特徴とする請求項1に記載のICタグ・アダプタ。
【請求項3】
ICタグ・アダプタと、
電源タップと、を含み、
ICタグ・アダプタは、請求項1または2に記載のICタグ・アダプタであり、
電源タップは、プラグ刃差込口と、ICタグ・リーダーと、を含み、当該電源タップのプラグ刃差込口にICタグ・アダプタのアダプタ刃が差し込まれると、そのICタグ・リーダーは、ICタグ・アダプタのICタグに書き込まれている情報を読み取ることが可能となっている、ことを特徴とする電源タップ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−8498(P2011−8498A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150851(P2009−150851)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000167288)光洋電子工業株式会社 (354)
【Fターム(参考)】