説明

ICタグ及び生産ラインシステム及び検査ラインシステム

【課題】無線通信時にタグの通信距離を縮めないように低電力を維持しつつ、有線通信時にはタグの大容量メモリに高速にアクセスすることを目的とする。
【解決手段】タグ101は、アンテナ111、無線ポート112を介して、リーダと無線通信が可能であり、有線給電ポート113及び有線通信ポート114をPCと有線で接続することで、PCと有線通信が可能である。無線通信時には、タグ101の無線給電部121が、タグ101内部で有線通信を可能にするために付加した回路には給電しないようにし、低電力を維持する。一方、タグ101は、有線通信時には、転送レートの高速化を図るために、一度のメモリアクセスで読み出せるビット数を増やし、バースト転送を可能にする。動作に必要な電力は増加するが、タグ101の有線給電部131が、有線給電ポート113を介して外部から電源供給することで解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IC(集積回路)タグ及び生産ラインシステム及び検査ラインシステムに関するものである。本発明は、特に、高速有線通信機能付RFID(Radio・Frequency・IDentification)タグと応用システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
RFIDは、無線通信を利用した非接触による自動認識方式であり、バーコードに比べて、“書き込み可能である”、“汚れに強い”などの特長を持っている。RFIDは、ID(識別子)を記憶するRFIDタグ(以下、「タグ」という)と、タグからIDを読み出したり、タグにIDを書き込んだりするRFIDリーダライタ装置(以下、「リーダ」という)で構成される。RFIDは、以下のように動作する。
(1)リーダは、タグに対してコマンドを送信する。
(2)タグは、コマンドを受信する。
(3)タグは、応答条件が整っている場合、リーダからの搬送波をASK(Amplitude・Shift・Keying)変調して反射することでプリアンブル及びIDなどの応答情報を送信する。
(4)リーダは、プリアンブルを受信すると、タグからの応答があったと判定し、プリアンブルに続くIDなどの応答情報を読み取る。
【0003】
タグは、電池などの電源を持たず、リーダからの電波を受信することで電力を生成し、その電力を電源として動作する。タグ動作に必要な電力が大きいとリーダ・タグ間の通信距離が縮まるため、低電力で動作するようにタグは設計される。
【0004】
従来、タグがもつメモリに記憶している情報(ID、管理情報など)を電子機器の制御に利用したいという要望があり、タグが通常備える無線ポートだけでなく、有線通信ポート、有線給電ポートなどをタグに追加したものがあった(例えば、特許文献1〜4参照)。このタグに有線接続した電子機器は、リーダがなくても、タグのメモリから情報を読み出したり、タグのメモリに情報を書き込んだりできる。
【特許文献1】特開2006−5633号公報
【特許文献2】特開2002−246947号公報
【特許文献3】特開2005−148632号公報
【特許文献4】特開2007−6251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、UHF(Ultra・High・Frequency)帯RFIDでは数十キロビットのメモリをもつタグが登場してきている。タグに多くの情報(作業指示、履歴など)を持たせたいという要望もあり、今後、大容量メモリのタグが普及していくとともに更なる大容量化が予想される。しかしながら、タグ・リーダ間の通信は無線通信であり、動作電力を抑えるために転送レートは低くなる。大容量メモリをもつタグとの通信の場合、容量の大きいデータの転送時間は長くなる。
【0006】
例えば、転送レートが毎秒40キロビットの場合、1メガビットのデータを転送するには25秒かかることになる。1台のリーダが25秒間データを送信し続けてチャンネルを占有するため、他のリーダはその間データを送受信できなくなる。そこで、上記のような有線通信ポートのあるタグを使い、容量の大きいデータに対するアクセスを有線通信で行い、無線のチャンネルの占有を避けることが考えられるが、従来のタグは動作に必要な電力を低く抑えるように設計されており、メモリも必要以上に高速で動作できない。したがって、有線通信を行っても無線と同等の低い転送レートでしか動作できない。つまり、前述の通り、有線通信にしても1メガビットのアクセスをするのに25秒もかかる。
【0007】
このように、従来技術では、タグが大容量メモリをもっていても、そのメモリに高速にアクセスすることができない、という課題があった。
【0008】
本発明は、例えば、無線通信時にタグの通信距離を縮めないように低電力を維持しつつ、有線通信時にはタグの大容量メモリに高速にアクセスすることを目的とする。また、それにより、タグを用いた作業の効率化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の態様に係るICタグは、
外部から電波を受信するためのアンテナと、外部の電源をケーブル接続するための有線給電ポートとを有し、
データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されたデータにアクセスする第1アクセス部と、
前記記憶部に記憶されたデータに前記第1アクセス部より高速でアクセスする第2アクセス部と、
前記アンテナで外部から受信された電波のエネルギーを利用して、前記第1アクセス部と前記第2アクセス部とのうち、前記第1アクセス部のみに電力を供給する無線給電部と、
前記有線給電ポートにケーブル接続された外部の電源から、前記第1アクセス部と前記第2アクセス部とのうち、少なくとも前記第2アクセス部に電力を供給する有線給電部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一の態様によれば、ICタグにおいて、無線給電部が、アンテナで外部から受信された電波のエネルギーを利用して、第1アクセス部と第2アクセス部とのうち、第1アクセス部のみに電力を供給し、有線給電部が、有線給電ポートにケーブル接続された外部の電源から、第1アクセス部と第2アクセス部とのうち、少なくとも第2アクセス部に電力を供給することにより、例えば、無線通信時にタグの通信距離を縮めないように低電力を維持しつつ、有線通信時にはタグの大容量メモリに高速にアクセスすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各実施の形態の説明において用いるブロック図の線や矢印の部分は主としてデータや信号の経路や入出力を示し、データや信号は、バスや信号線やケーブルその他の伝送媒体により伝送される。また、各実施の形態の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」であってもよい。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係るタグ101(ICタグの一例)の利用例を示すブロック図である。図2は、タグ101の構成を示すブロック図である。図3は、タグ101が備える記憶部143の構成を示すブロック図である。
【0013】
以下、タグ101の構成について説明する。
【0014】
図2において、タグ101は、無線通信用にアンテナ111、無線ポート112を有するほか、無線通信時に動作させる無線給電部121、無線通信送受信部122、無線通信制御部123、無線給電フラグ生成部124、無線通信要求保持部125、無線通信用データ保持部126、低電力アクセス用制御信号生成部127(無線通信用データ保持部126及び低電力アクセス用制御信号生成部127は第1アクセス部の一例)を備える(図2破線部)。また、タグ101は、有線通信用に有線給電ポート113、有線通信ポート114を有するほか、有線通信時に動作させる有線給電部131、有線通信送受信部132、有線通信制御部133、有線給電フラグ生成部134、有線通信要求保持部135、有線通信用データ保持部136、高速アクセス用制御信号生成部137(有線通信用データ保持部136及び高速アクセス用制御信号生成部137は第2アクセス部の一例)を備える(図2実線部)。また、タグ101は、無線通信時及び有線通信時の両方において動作させる通信要求判定部141、制御信号選択部142、記憶部143、共通部給電部144を備える(図2太線部)。
【0015】
図1及び図2に示すタグ101は無線通信時においては記憶部143に低電力でアクセスし、有線通信時においては記憶部143に高速でアクセスを行うことを可能にしたものである。記憶部143は、EEPROM(Electrically・Erasable・Programmable・Read・Only・Memory)、FeRAM(Ferroelectric・Ramdom・Access・Memory)、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリであり、データを記憶する。
【0016】
前述したように、タグ101は、外部から電波を受信するためのアンテナ111を有している。タグ101は、アンテナ111、無線ポート112を介して、リーダ102(リーダ装置及びライタ装置の一例)と無線通信が可能である。また、前述したように、タグ101は、外部の電源をケーブル接続するための有線給電ポート113、外部の装置をケーブル接続するための有線通信ポート114を有する。タグ101は、有線給電ポート113及び有線通信ポート114をPC103(パーソナルコンピュータ)(電子機器の一例)とUSB(Universal・Serial・Bus)ケーブルなどの有線104で接続することで、PC103と有線通信が可能である。
【0017】
タグ101は、無線通信時には、低電力を維持したまま動作を可能にするために電源制御をする。具体的には、タグ101の無線給電部121が、タグ101内部で有線通信を可能にするために付加した回路には給電しないようにし、低電力を維持する。例えば、無線給電部121は、アンテナ111で外部(リーダ102)から受信された電波のエネルギーを利用して、無線通信用データ保持部126及び低電力アクセス用制御信号生成部127に電力を供給するが、有線通信用データ保持部136及び高速アクセス用制御信号生成部137には電力を供給しない。なお、後述するように、有線通信用データ保持部136及び高速アクセス用制御信号生成部137は、記憶部143に記憶されたデータに無線通信用データ保持部126及び低電力アクセス用制御信号生成部127より高速でアクセスすることができる。
【0018】
一方、タグ101は、有線通信時には、転送レートの高速化を図るために、一度のメモリアクセスで読み出せるビット数を増やし、バースト転送を可能にする。動作に必要な電力は増加するが、タグ101の有線給電部131が、有線給電ポート113を介して外部から電源供給することで解決する。例えば、有線給電部131は、有線給電ポート113にケーブル接続された外部の電源(PC103)から、有線通信用データ保持部136及び高速アクセス用制御信号生成部137に電力を供給する。本実施の形態では、有線給電部131は、無線通信用データ保持部126及び低電力アクセス用制御信号生成部127には電力を供給しないが、外部の電源に余裕がある場合や有線通信と無線通信を同時に行いたい場合などは、無線通信用データ保持部126及び低電力アクセス用制御信号生成部127にも電力を供給するようにしてもよい。
【0019】
以下、タグ101の動作の詳細について記憶部143のリードを例に説明する。無線通信時、有線通信時のそれぞれのケースについて分けて説明する。
【0020】
<無線通信時>
以下では、リーダ102を使い、タグ101の記憶部143からデータを読み出す場合のタグ101の動作について説明する。
【0021】
(リーダからの要求)
リーダ102から記憶部143のリードを要求するコマンドが無線で送信される。
【0022】
(電源の制御)
有線給電部131に有線給電ポート113から給電されないため、有線通信関連の回路(図2実線部)には電源が投入されない。無線給電部121は、リーダ102が送信した電波を受信すると電力を生成し、無線通信関連の回路(図2破線部)に電源を供給する。また、無線給電部121は、共通部給電部144にも給電し、共通部(図2太線部)である通信要求判定部141、制御信号選択部142、記憶部143に電源を供給する。無線給電フラグ生成部124は、無線給電部121からの給電の有無を示す信号である無線給電フラグを有効にして記憶部143に通知する。したがって、記憶部143の低電力アクセス用の回路(図3破線部)に電源が投入される。一方、有線給電フラグ生成部134は、有線給電部131からの給電がないため、有線給電部131からの給電の有無を示す信号である有線給電フラグを無効にして記憶部143に通知する。したがって、記憶部143の高速アクセス用の回路(図3実線部)には電源が投入されない。
【0023】
(アクセスポートの選択)
無線通信制御部123は、アンテナ111、無線ポート112、無線通信送受信部122を介して、リーダ102が送信した電波を受信する。無線通信制御部123は、その電波に重畳されたコマンドを解析し、記憶部143にアクセス要求をするために無線通信要求保持部125をセットする。通信要求判定部141は、アクセスポート選択信号ポート201を使い、記憶部143に“低電力アクセス用データ信号ポートに対する要求”があることを通知する。記憶部143は、データの入出力に、低電力アクセス用データ信号ポート204を使うようになる。
【0024】
(記憶部のリード)
低電力アクセス用制御信号生成部127は、制御信号選択部142を介して記憶部143に制御信号を入力し、記憶部143にアクセスする。このとき、低電力アクセス用制御信号生成部127は、アドレス信号ポート202を使ってアドレス信号を、制御信号ポート203を使って制御信号を、記憶部143に入力する。記憶部143は、低電力アクセス用データ信号ポート204を使って、無線通信用データ保持部126にアクセスが要求されたデータを出力する。
【0025】
(リーダへの応答)
無線通信制御部123は、無線通信用データ保持部126に保持したデータを、無線通信送受信部122、無線ポート112、アンテナ111を介して、リーダ102に返信する。
【0026】
<有線通信時>
以下では、PC103を使い、タグ101の記憶部143からデータを読み出す場合のタグ101の動作について説明する。
【0027】
(PCとの接続)
PC103とタグ101をUSBケーブルなどの有線104で接続する。
【0028】
(電源の制御)
リーダ102が電波を送信していない場合、タグ101は電波を受信しない。この場合、無線給電部121が電力を生成しないため、無線通信関連の回路(図2破線部)には電源が投入されない。有線給電部131は、有線給電ポート113を介して、有線104からの給電を受けると、電力を生成し、有線通信関連の回路(図2実線部)に電源を供給する。また、有線給電部131は、共通部給電部144にも給電し、共通部(図2太線部)に電源を供給する。有線給電フラグ生成部134は、有線給電フラグを有効にして記憶部143に通知する。したがって、記憶部143の高速アクセス用の回路(図3実線部)に電源が投入される。一方、無線給電フラグ生成部124は、無線給電部121からの給電がないため、無線給電フラグを無効にして記憶部143に通知する。したがって、記憶部143の低電力アクセス用の回路(図3破線部)には電源が投入されない。
【0029】
(アクセスポートの選択)
有線通信制御部133は、有線通信ポート114、有線通信送受信部132を介して、PC103が送信したコマンドを受信する。有線通信制御部133は、そのコマンドを解析し、記憶部143にアクセス要求をするために有線通信要求保持部135をセットする。通信要求判定部141は、アクセスポート選択信号ポート201を使い、記憶部143に“高速アクセス用データ信号ポートに対する要求”があることを通知する。記憶部143は、データの入出力に、高速アクセス用データ信号ポート205を使うようになる。
【0030】
(記憶部のリード)
高速アクセス用制御信号生成部137は、制御信号選択部142を介して記憶部143に制御信号を入力し、記憶部143にアクセスする。このとき、高速アクセス用制御信号生成部137は、アドレス信号ポート202を使ってアドレス信号を、制御信号ポート203を使って制御信号を、記憶部143に入力する。記憶部143は、高速アクセス用データ信号ポート205を使って、有線通信用データ保持部136にアクセスが要求されたデータを出力する。
【0031】
(PCへの応答)
有線通信制御部133は、有線通信用データ保持部136に保持したデータを、有線通信送受信部132、有線通信ポート114を介して、PC103に返信する。
【0032】
以上、タグ101の動作の詳細について記憶部143のリードを例に説明したが、記憶部143のライトでも、データの流れが逆になる以外は同様である。
【0033】
以下、記憶部143の内部の構成について説明する。
【0034】
図3において、記憶部143は、アクセスポート選択信号ポート201、アドレス信号ポート202、制御信号ポート203、低電力アクセス用データ信号ポート204、高速アクセス用データ信号ポート205、給電フラグポート206,207を有するほか、行デコード部211、メモリセル212Aa,・・・,212Ax,・・・,212AFa,・・・,212AFx(記憶領域の一例)、列デコード有効フラグ生成部221、列デコード部222、列デコード部223、列デコード有効フラグ生成部224、列選択部231A,・・・,231AF、列選択部241A,・・・,241AF、増幅部251(第1の増幅部の一例)、増幅部252A,・・・,252AF(第2の増幅部の一例)、データ一時保存部253、データ選択部254、給電制御部261,262を備える。
【0035】
図3では一部を省略しているが、記憶部143は、データを記憶するメモリセルを24行(行a,b,・・・,x)×32列(列A,B,・・・,Z,AA,AB,・・・,AF)の合計768個(メモリセル212Aa,212Ab,・・・,212Ax,212Ba,・・・,212Zx,212AAa,・・・,212ABa,・・・,212AFx)有している。また、記憶部143は、768個のメモリセルの中から選択された1個のメモリセルから出力されたデータの信号及び当該1個のメモリセルに入力されるデータの信号を増幅する増幅部251を備えている。また、記憶部143は、1個のメモリセルから出力されたデータの信号及び当該1個のメモリセルに入力されるデータの信号を増幅する増幅部をメモリセルの列ごとに1個ずつ、即ち、32個(増幅部252A,252B,・・・,252Z,252AA,252AB,・・・,252AF)備えている。無線通信用データ保持部126は、増幅部251で増幅された信号を受信することにより、メモリセル212Aa,・・・,212Ax,・・・,212AFa,・・・,212AFxのいずれかからデータを読み出す。また、無線通信用データ保持部126は、増幅部251にデータの信号を送信することにより、メモリセル212Aa,・・・,212Ax,・・・,212AFa,・・・,212AFxのいずれかにデータを書き込む。一方、有線通信用データ保持部136は、増幅部252A,・・・,252AFで増幅された信号を受信することにより、メモリセル212Aa,・・・,212Ax,・・・,212AFa,・・・,212AFxからデータを読み出す。また、有線通信用データ保持部136は、増幅部252A,・・・,252AFにデータの信号を送信することにより、メモリセル212Aa,・・・,212Ax,・・・,212AFa,・・・,212AFxにデータを書き込む。
【0036】
本実施の形態では、無線給電部121は、アンテナ111でリーダ102から受信された電波のエネルギーを利用して、増幅部251と増幅部252A,・・・,252AFとのうち、増幅部251のみに電力を供給するものとする。一方、有線給電部131は、有線給電ポート113にケーブル接続されたPC103から、増幅部251と増幅部252A,・・・,252AFとのうち、増幅部252A,・・・,252AFのみに電力を供給するものとする。
【0037】
なお、メモリセルの個数は、2個以上であれば、768個でなくてもよい。即ち、記憶部143は、メモリセルをn個(nはn>1となる整数)有することができる。また、記憶部143は、増幅部251を2個以上備えていてもよい。即ち、記憶部143は、増幅部251をm個(mは0<m<nとなる整数)備えることができる。このとき、それぞれの増幅部251は、n個のメモリセルのうち、互いに異なるメモリセルから出力されたデータの信号及び当該メモリセルに入力されるデータの信号を増幅することが望ましい。これにより、無線通信用データ保持部126は、n個のメモリセルのうち、m個のメモリセルからデータを読み出すことができる。また、無線通信用データ保持部126は、n個のメモリセルのうち、m個のメモリセルにデータを書き込むことができる。ただし、無線通信時の低電力化のためには、mを小さく抑えることが重要である。記憶部143が、増幅部251を2個以上備えている場合には、全ての増幅部251でn個のメモリセルの入出力に対応できればよいため、全ての増幅部251が全てのメモリセルと信号の入出力が可能でなくてもよい。例えば、記憶部143が、増幅部251を2個備えている場合には、1個の増幅部251がn/2個のメモリセルの中から選択された1個のメモリセルから出力されたデータの信号及び当該1個のメモリセルに入力されるデータの信号を増幅するものとし、もう1個の増幅部251が残りのn/2個のメモリセルの中から選択された1個のメモリセルから出力されたデータの信号及び当該1個のメモリセルに入力されるデータの信号を増幅するものとしてもよい。また、増幅部252の個数は、m個より多ければ、32個でなくてもよい。即ち、記憶部143は、増幅部252をp個(pはm<p≦nとなる整数)備えることができる。
【0038】
以下、前述したタグ101の動作における記憶部143の内部の動作について記憶部143のリードを例に説明する。上記と同様に、無線通信時、有線通信時のそれぞれのケースについて分けて説明する。
【0039】
<無線通信時>
以下では、タグ101の無線通信時における記憶部143の内部の動作について説明する。
【0040】
(電源の制御)
記憶部143は、無線給電フラグ生成部124及び有線給電フラグ生成部134から給電フラグポート206,207を通じて給電フラグを受け取る。給電制御部261は、無線給電フラグにより無線による給電の有無を判定する。一方、給電制御部262は、有線給電フラグにより有線104による給電の有無を判定する。ここでは、無線通信をしているため、無線給電フラグが有効である。したがって、給電制御部261は、共通部分(図3太線部)、低電力アクセス関連の回路(図3破線部)に給電する。一方、有線給電フラグは無効であるため、給電制御部262から高速アクセス関連の回路(図3実線部)には給電されない。
【0041】
(アクセスポートの選択)
記憶部143は、通信要求判定部141からアクセスポート選択信号ポート201を介して低電力アクセス用データ信号ポート204が選択されたことの通知を受ける。
【0042】
(列デコード部の選択)
低電力アクセス用データ信号ポート204が選択されたことが通知されると、列デコード有効フラグ生成部221は、列デコード部222が有効であることを示すフラグを生成し、列デコード部222に通知する。
【0043】
(メモリセルの選択)
記憶部143は、制御信号選択部142からアドレス信号と制御信号をアドレス信号ポート202及び制御信号ポート203で受信する。記憶部143は、制御信号によりリード要求を受けると、入力されたアドレス信号の上位を行デコード部211、下位を列デコード部222に入力する。行デコード部211は、行選択信号を生成し、メモリセル212Aa,・・・,212Ax,・・・,212AFa,・・・,212AFxのうち、該当する行のメモリセルを選択する。列デコード部222は、列選択信号を生成し、列選択部231A,・・・,231AFのうち、該当する列選択部へ出力する。これにより1つのメモリセルが選択される。例えば、列デコード結果が列AFになると、1組の列選択部231AFのそれぞれに列選択信号が出力される。このとき、行デコード結果を行xとすると、メモリセル212AFxが選択されることになる。
【0044】
(データの増幅及びデータ信号出力)
選択されたメモリセル(上記例では、メモリセル212AFx)から、そのメモリセルと接続する2つの列選択部(上記例では、1組の列選択部231AF)を介して、増幅部251に2つの信号が入力される。増幅部251は、2つの信号を増幅し、制御信号に応じて低電力アクセス用データ信号ポート204に出力する。
【0045】
<有線通信時>
以下では、タグ101の有線通信時における記憶部143の内部の動作について説明する。
【0046】
(電源の制御)
記憶部143は、無線給電フラグ生成部124及び有線給電フラグ生成部134から給電フラグポート206,207を通じて給電フラグを受け取る。給電制御部261は、無線給電フラグにより無線による給電の有無を判定する。一方、給電制御部262は、有線給電フラグにより有線104による給電の有無を判定する。ここでは、有線通信をしているため、有線給電フラグが有効である。したがって、給電制御部262は、共通部分(図3太線部)、高速アクセス関連の回路(図3実線部)に給電する。一方、無線給電フラグは無効であるため、給電制御部261から低電力アクセス関連の回路(図3破線部)には給電されない。
【0047】
(アクセスポートの選択)
記憶部143は、通信要求判定部141からアクセスポート選択信号ポート201を介して高速アクセス用データ信号ポート205が選択されたことの通知を受ける。
【0048】
(列デコード部の選択)
高速アクセス用データ信号ポート205が選択されたことが通知されると、列デコード有効フラグ生成部224は、列デコード部223が有効であることを示すフラグを生成し、列デコード部223に通知する。
【0049】
(メモリセルの選択)
記憶部143は、制御信号選択部142からアドレス信号と制御信号をアドレス信号ポート202及び制御信号ポート203で受信する。記憶部143は、制御信号によりリード要求を受けると、出力されたアドレス信号の上位を行デコード部211、下位を列デコード部223に出力する。行デコード部211は、行選択信号を生成し、メモリセル212Aa,・・・,212Ax,・・・,212AFa,・・・,212AFxのうち、該当する行のメモリセルを選択する。列デコード部223は、列選択信号を生成し、列選択部241A,・・・,241AFのうち、該当する列選択部へ出力する。低電力アクセス時、即ち、無線通信時とは異なり、列デコード部223は、列選択信号を連続する複数の列選択部へ出力する。例えば、列デコード結果が列Aになると、1組の列選択部241Aに列選択信号が出力される。図3では一部を省略しているが、これに連続する31組の列選択部にも列選択信号が出力される。このとき、行デコード結果を行aとすると、メモリセル212Aaを先頭にして同じ行に並ぶ合計32個のメモリセル212Aa,・・・,212AFaが選択されることになる。
【0050】
(データの増幅及びデータ信号出力)
選択されたメモリセル(上記例では、メモリセル212Aa,・・・,212AFa)から、それらのメモリセルと接続する各2つの列選択部(上記例では、32組の列選択部241A,・・・,241AF)を介して、対応する増幅部252A,・・・,252AFのそれぞれに2つの信号が入力される。増幅部252A,・・・,252AFは、それぞれ2つの信号を増幅し、増幅したデータ信号をデータ一時保存部253に出力する。データ選択部254は、制御信号に応じて、データ一時保存部253が出力するデータを選択して高速アクセス用データ信号ポート205に出力する。
【0051】
上記の例では、有線通信時における記憶部143へのアクセスが、無線通信時と比べて、32倍高速化されたことになる。
【0052】
以上、記憶部143の内部の動作について記憶部143のリードを例に説明したが、記憶部143のライトでも、データの流れが逆になる以外は同様である。
【0053】
以上のように、本実施の形態によれば、給電制御と記憶部143における並列動作により無線通信時の通信距離を維持しつつ、大容量メモリへの高速アクセスが可能になる。
【0054】
実施の形態2.
図4は、本実施の形態に係る生産ラインシステム300の構成を示すブロック図である。
【0055】
本実施の形態では、実施の形態1で示したタグ101を使った工場における生産ラインシステム300について示す。
【0056】
生産ラインシステム300は、実施の形態1で示したタグ101のほか、生産工程301Aで使用するPC302、生産工程301B,301C,・・・,301Zで使用するリーダ311B,311C,・・・,311Z、生産指示データを管理するDB304(データベース)、DB304を有するサーバ303を備える。サーバ303とPC302はネットワークに接続されている。タグ101とPC302はケーブル305で接続することができる。
【0057】
タグ101とリーダ311B,311C,・・・,311Z間の無線通信の転送レートは低い。無線により容量の大きなデータ転送を行うと、チャンネルを1台のリーダが占有してしまう。例えば、転送するデータの容量が1メガビット、転送レートが毎秒40キロビットの場合、25秒間は同じチャンネルを共用する他のリーダが送受信できなくなる。ここで示す生産ラインシステム300は、このような問題を解決するシステムである。
【0058】
生産ラインシステム300では、部材306(物の一例)を生産する工程が複数の生産工程301B,301C,・・・,301Zに分けられている。部材306は、工業的生産物に限らず、動植物などでも構わない。また、部材306を「生産する」というとき、これは、部材306を製造することに限らず、部材306の組み立て、構築、成形なども含むものとする。生産ラインシステム300において、PC302は、タグ101にケーブル305で接続されると、自身が電源となってタグ101に電力を供給し、有線通信用データ保持部136及び高速アクセス用制御信号生成部137など、タグ101の高速アクセス用の回路(図2及び図3実線部)を動作させる。これにより、PC302は、タグ101の記憶部143に生産工程301B,301C,・・・,301Zで各々利用されるデータを書き込む。リーダ311B,311C,・・・,311Zの各々は、タグ101に電波を送信して電力を供給し、無線通信用データ保持部126及び低電力アクセス用制御信号生成部127など、タグ101の低電力アクセス用の回路(図2及び図3破線部)を動作させる。これにより、リーダ311B,311C,・・・,311Zの各々は、PC302からタグ101の記憶部143に書き込まれたデータのうち、自身が使用される生産工程で利用されるデータを読み出す。
【0059】
例えば、生産ラインシステム300は、同一モデルにおいてオプションの有無など、仕様が一様でないものを生産するラインにおける生産指示データを行うシステムである。生産ラインシステム300では、生産する部材306と一緒に生産指示データの書き込まれたタグ101がラインに流される。タグ101への書き込みはタグ101が部材306に取り付けられる前に、PC302を使った有線通信で行われる。複数ある生産工程301B,301C,・・・,301Zのそれぞれにおいて、生産指示データ全てではなく、その生産工程で必要な生産指示データだけがリーダにより読み出される。各生産工程では、読み出された生産指示データに従って生産が実施される。
【0060】
以下、生産ラインシステム300の動作の詳細について説明する。
【0061】
(生産指示データのダウンロード)
生産ラインにて製造される部材306が流される生産工程301A,・・・,301Zのうち、生産工程301Bから生産工程301Zにおいて使用される全ての生産指示データが、サーバ303上のDB304に格納されている。生産工程301Aに設置されているPC302はネットワークを介してDB304にアクセス可能である。そのため、生産工程301Aにおいて、PC302は、生産を開始する部材306に対する生産指示データをDB304からダウンロードする。
【0062】
(生産指示データの書き込み)
PC302とタグ101がUSBケーブルなどのケーブル305で接続される。PC302は、タグ101へケーブル305を介して給電する。PC302は、ダウンロードしておいた生産工程301Bから生産工程301Zにおいて使用する全ての生産指示データを、タグ101の有線通信ポート114からタグ101の記憶部143に書き込む。タグ101の記憶部143のメモリマップを図5に示す。メモリマップは大きくシステム領域とユーザ領域に分かれる。システム領域は、RFIDシステムの規格で定義された領域であり、タグIDやパスワードなどを格納する。ユーザ領域は、ユーザがアプリケーションに応じて自由に使える領域である。PC302は、アドレスXに生産工程301B用生産指示データ、アドレスYに生産工程301C用生産指示データ、・・・といったように、各生産工程に使用する生産指示データを予め決められたアドレスに書き込むものとする。生産工程301Aにおいて生産指示データが書き込まれたタグ101は、生産する部材306とあわせて、次の生産工程である生産工程301Bに送られる。
【0063】
(生産工程301Bにおける動作)
生産工程301Bにおいて、リーダ311Bは、タグ101に書き込まれた生産指示データを無線通信で読み出す。リーダ311Bは、予めタグ101の記憶部143のアドレスXを読み出すように設定されている。このように、リーダ311Bは、タグ101に書き込まれた全てのデータを読み出すわけではなく、生産工程301Bに割り当てられたメモリ領域に格納されたデータのみを読み出す。リーダ311Bは、アドレスXから読み出すことにより、生産工程301B用の生産指示データを得ることができる。生産工程301Bでは、この生産指示データに従って作業が実施される。その後、タグ101は、部材306とあわせて、次の生産工程である生産工程301Cに送られる。
【0064】
(生産工程301C以降における動作)
生産工程301Cにおいても、生産工程301Bと同様に、リーダ311Cが、タグ101に書き込まれた生産指示データを無線通信で読み出す。リーダ311Cは、予めタグ101の記憶部143のアドレスYを読み出すように設定されている。リーダ311Cは、アドレスYから読み出すことにより、生産工程301C用の生産指示データを得ることができる。生産工程301Cでは、この生産指示データに従って作業が実施される。その後、タグ101は、部材306とあわせて、次の生産工程に送られる。そして、次の生産工程以降も同様に、各生産工程のリーダが予め設定された領域から読み出すことでその生産工程で必要な生産指示データのみを得る。生産工程301Zの作業が終了すると生産は完了となる。
【0065】
以上のように、本実施の形態によれば、生産工程301Aにおいて全ての生産指示データをタグ101に書き込むが、この書き込み処理は無線通信ではなく有線通信で行っているため、高速なデータ通信が可能であり、生産工程301Aの作業効率が向上する。また、生産工程301B以降では、無線による容量の大きいデータ通信を行わないため、1台のリーダによるチャンネルの占有を防ぐことができる。
【0066】
実施の形態3.
図6は、本実施の形態に係る検査ラインシステム400の構成を示すブロック図である。
【0067】
本実施の形態では、実施の形態1で示したタグ101を使った工場における検査ラインシステム400について示す。
【0068】
検査ラインシステム400は、実施の形態1で示したタグ101のほか、検査工程401Aで使用するPC402、検査工程401B,401C,・・・,401Zで使用するリーダ411B,411C,・・・,411Z、検査結果データを管理するDB404、DB404を有するサーバ403を備える。サーバ403とPC402はネットワークに接続されている。タグ101とPC402はケーブル405で接続することができる。
【0069】
ここで示す検査ラインシステム400は、実施の形態2で示した生産ラインシステム300と同様に、無線により容量の大きなデータ転送を行ったときに生じる問題を解決するシステムである。
【0070】
検査ラインシステム400では、検査対象406(物の一例)を検査する工程が複数の検査工程401B,401C,・・・,401Zに分けられている。検査対象406は、実施の形態2で示した部材306と同様のもので構わない。検査ラインシステム400において、リーダ411B,411C,・・・,411Zの各々は、タグ101に電波を送信して電力を供給し、無線通信用データ保持部126及び低電力アクセス用制御信号生成部127など、タグ101の低電力アクセス用の回路(図2及び図3破線部)を動作させる。これにより、リーダ411B,411C,・・・,411Zの各々は、タグ101の記憶部143に、自身が使用される検査工程で作成されるデータを書き込む。PC402は、タグ101にケーブル405で接続されると、自身が電源となってタグ101に電力を供給し、有線通信用データ保持部136及び高速アクセス用制御信号生成部137など、タグ101の高速アクセス用の回路(図2及び図3実線部)を動作させる。これにより、PC402は、リーダ411B,411C,・・・,411Zの各々からタグ101の記憶部143に書き込まれたデータを読み出す。
【0071】
例えば、検査ラインシステム400は、複数の検査工程401B,401C,・・・,401Zに分けて生産品の検査をする検査ラインにおける検査結果データを全てデータベースに登録するシステムである。検査ラインシステム400では、検査対象406と一緒にタグ101がラインに流される。各検査工程では、検査が行われ、その検査の結果データが、リーダを使ってタグ101に書き込まれる。検査が全て終わった後、PC402とタグ101が有線で接続され、有線通信により全ての検査結果データが読み出される。
【0072】
以下、検査ラインシステム400の動作の詳細について説明する。
【0073】
(検査工程401Bにおける動作)
タグ101は、検査対象406とあわせて検査ラインに流される。検査工程401Bにおいて検査が実施される。検査工程401Bにおいて、リーダ411Bは、検査結果データ(例えば、試験項目コード、結果、担当、日時などの情報を含む)をタグ101の記憶部143に無線通信で書き込む。タグ101の記憶部143のメモリマップを図7に示す。メモリマップは大きくシステム領域とユーザ領域に分かれる。システム領域は、RFIDシステムの規格で定義された領域であり、タグIDやパスワードなどを格納する。ユーザ領域は、ユーザがアプリケーションに応じて自由に使える領域である。リーダ411Bは、予めタグ101の記憶部143のアドレスXXから書き込むように設定されている。リーダ411Bは、アドレスXXに検査工程401B用検査結果データ、後述するように、リーダ411Cは、アドレスYYに検査工程401C用検査結果データ、・・・といったように、各リーダが各検査工程で検査結果データを予め決められたアドレスに書き込むものとする。検査工程401Bにおいて検査結果データが書き込まれたタグ101は、検査対象406とあわせて、次の検査工程である検査工程401Bに送られる。
【0074】
(検査工程401C以降における動作)
検査工程401Cにおいても、検査工程401Bと同様に、検査が実施され、リーダ411Cが、検査結果データ(例えば、試験項目コード、結果、担当、日時などの情報を含む)をタグ101の記憶部143に無線通信で書き込む。リーダ411Cは、予めタグ101の記憶部143のアドレスYYから書き込むように設定されている。このように、リーダ411Cは、タグ101のメモリ領域のうち、検査工程401Cに割り当てられたメモリ領域にのみ書き込むことができる。検査工程401Cにおいて検査結果データが書き込まれたタグ101は、検査対象406とあわせて、次の検査工程に送られる。そして、次の検査工程以降も同様に、各検査工程のリーダが予め設定された領域に書き込むことでその検査工程の検査結果データのみをタグ101に追加する。検査工程401Zの作業が終了すると検査は完了となる。タグ101の記憶部143において、予め検査結果データを書き込むエリアを定義しているため、ある検査工程の検査結果データが別の検査工程の検査結果データを上書きしてしまうことはない。
【0075】
(検査結果データの読み出し)
検査工程401Aにおいて、PC402とタグ101がUSBケーブルなどのケーブル405で接続される。PC402は、タグ101へケーブル405を介して給電する。PC402は、検査工程401Bから検査工程401Zにおいてタグ101の記憶部143に書き込まれた全ての検査結果データを、タグ101の有線通信ポート114から読み出す。
【0076】
(データベースへの登録)
検査工程401Aに設置されているPC402は、ネットワークを介してDB404にアクセス可能である。そのため、検査工程401Aににおいて、PC402は、タグ101から読み出した検査結果データをサーバ403上のDB404に格納する。つまり、PC402は、ネットワークを介してサーバ403上のDB404に、タグ101から読み出した検査結果データをアップロードする。
【0077】
以上のように、本実施の形態によれば、検査工程401Aにおいて全ての検査結果データをタグ101から読み出すが、この読み出し処理は無線通信ではなく有線通信で行っているため、高速なデータ通信が可能であり、検査工程401Aの作業効率が向上する。また、検査工程401B以降では、無線による容量の大きいデータ通信を行わないため、1台のリーダによるチャンネルの占有を防ぐことができる。
【0078】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これらのうち、2つ以上の実施の形態を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらのうち、1つの実施の形態を部分的に実施しても構わない。あるいは、これらのうち、2つ以上の実施の形態を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】実施の形態1に係るICタグの利用例を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1に係るICタグの構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1に係るICタグが備える記憶部の構成を示すブロック図である。
【図4】実施の形態2に係る生産ラインシステムの構成を示すブロック図である。
【図5】実施の形態2に係るICタグが備える記憶部のメモリマップを示す図である。
【図6】実施の形態3に係る検査ラインシステムの構成を示すブロック図である。
【図7】実施の形態3に係るICタグが備える記憶部のメモリマップを示す図である。
【符号の説明】
【0080】
101 タグ、102 リーダ、103 PC、104 有線、111 アンテナ、112 無線ポート、113 有線給電ポート、114 有線通信ポート、121 無線給電部、122 無線通信送受信部、123 無線通信制御部、124 無線給電フラグ生成部、125 無線通信要求保持部、126 無線通信用データ保持部、127 低電力アクセス用制御信号生成部、131 有線給電部、132 有線通信送受信部、133 有線通信制御部、134 有線給電フラグ生成部、135 有線通信要求保持部、136 有線通信用データ保持部、137 高速アクセス用制御信号生成部、141 通信要求判定部、142 制御信号選択部、143 記憶部、144 共通部給電部、201 アクセスポート選択信号ポート、202 アドレス信号ポート、203 制御信号ポート、204 低電力アクセス用データ信号ポート、205 高速アクセス用データ信号ポート、206,207 給電フラグポート、211 行デコード部、212Aa,212Ax,212AFa,212AFx メモリセル、221 列デコード有効フラグ生成部、222 列デコード部、223 列デコード部、224 列デコード有効フラグ生成部、231A,231AF 列選択部、241A,241AF 列選択部、251 増幅部、252A,252AF 増幅部、253 データ一時保存部、254 データ選択部、261,262 給電制御部、300 生産ラインシステム、301A,301B,301C,301Z 生産工程、302 PC、303 サーバ、304 DB、305 ケーブル、306 部材、311B,311C,・・・,311Z リーダ、400 検査ラインシステム、401A,401B,401C,401Z 検査工程、402 PC、403 サーバ、404 DB、405 ケーブル、406 検査対象、411B,411C,411Z リーダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から電波を受信するためのアンテナと、外部の電源をケーブル接続するための有線給電ポートとを有するIC(集積回路)タグにおいて、
データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されたデータにアクセスする第1アクセス部と、
前記記憶部に記憶されたデータに前記第1アクセス部より高速でアクセスする第2アクセス部と、
前記アンテナで外部から受信された電波のエネルギーを利用して、前記第1アクセス部と前記第2アクセス部とのうち、前記第1アクセス部のみに電力を供給する無線給電部と、
前記有線給電ポートにケーブル接続された外部の電源から、前記第1アクセス部と前記第2アクセス部とのうち、少なくとも前記第2アクセス部に電力を供給する有線給電部とを備えることを特徴とするICタグ。
【請求項2】
前記記憶部は、データを記憶する記憶領域をn個(nはn>1となる整数)有し、さらに、n個の記憶領域のうちいずれか1個の記憶領域から出力されたデータの信号を増幅する第1の増幅部をm個(mは0<m<nとなる整数)備えるとともに、n個の記憶領域のうちいずれか1個の記憶領域から出力されたデータの信号を増幅する第2の増幅部をp個(pはm<p≦nとなる整数)備え、
前記第1アクセス部は、m個の第1の増幅部で増幅された信号を受信することにより、m個の記憶領域からデータを読み出し、
前記第2アクセス部は、p個の第2の増幅部で増幅された信号を受信することにより、p個の記憶領域からデータを読み出すことを特徴とする請求項1に記載のICタグ。
【請求項3】
前記記憶部は、データを記憶する記憶領域をn個(nはn>1となる整数)有し、さらに、n個の記憶領域のうちいずれか1個の記憶領域に入力されるデータの信号を増幅する第1の増幅部をm個(mは0<m<nとなる整数)備えるとともに、n個の記憶領域のうちいずれか1個の記憶領域に入力されるデータの信号を増幅する第2の増幅部をp個(pはm<p≦nとなる整数)備え、
前記第1アクセス部は、m個の第1の増幅部にデータの信号を送信することにより、m個の記憶領域にデータを書き込み、
前記第2アクセス部は、p個の第2の増幅部にデータの信号を送信することにより、p個の記憶領域にデータを書き込むことを特徴とする請求項1に記載のICタグ。
【請求項4】
前記無線給電部は、前記アンテナで外部から受信された電波のエネルギーを利用して、m個の第1の増幅部とp個の第2の増幅部とのうち、m個の第1の増幅部のみに電力を供給し、
前記有線給電部は、前記有線給電ポートにケーブル接続された外部の電源から、m個の第1の増幅部とp個の第2の増幅部とのうち、少なくともp個の第2の増幅部に電力を供給することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のICタグ。
【請求項5】
物を生産する工程を複数の生産工程に分けた生産ラインシステムにおいて、
請求項1〜4のいずれかに記載のICタグに電源をケーブル接続して電力を供給し、前記ICタグの第2アクセス部を動作させることで、前記ICタグの記憶部に前記複数の生産工程で各々利用されるデータを書き込む電子機器を備えるとともに、
前記ICタグに電波を送信して電力を供給し、前記ICタグの第1アクセス部を動作させることで、前記電子機器から前記ICタグの記憶部に書き込まれたデータのうち、1つの生産工程で利用されるデータを読み出すリーダ装置を生産工程ごとに備えることを特徴とする生産ラインシステム。
【請求項6】
物を検査する工程を複数の検査工程に分けた検査ラインシステムにおいて、
請求項1〜4のいずれかに記載のICタグに電波を送信して電力を供給し、前記ICタグの第1アクセス部を動作させることで、前記ICタグの記憶部に1つの検査工程で作成されるデータを書き込むライタ装置を検査工程ごとに備えるとともに、
前記ICタグに電源をケーブル接続して電力を供給し、前記ICタグの第2アクセス部を動作させることで、各ライタ装置から前記ICタグの記憶部に書き込まれたデータを読み出す電子機器を備えることを特徴とする検査ラインシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−205603(P2009−205603A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−49578(P2008−49578)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】