説明

ICT資源連携運用管理システムおよびその方法

【課題】イーサネットネットワーク、サーバ、ストレージを含めたネットワーク環境において、障害時に障害発生箇所を特定し、さらに、その障害が与えるサービスへの影響範囲を特定する。
【解決手段】ICT資源連携運用管理システムは、ICT資源を有するデータセンタおよびイーサネットOAM管理システムから、障害および回復状態の情報を収集する障害・回復通知手段と、セッション管理認証機能またはネットワーク資源ブローカから、バインディング情報、ユーザプロファイル情報およびトランザクション情報の参照を行う通信手段と、サービスとICT資源の対応情報を保存する資源管理データベースと、前記情報に基づいて、障害時または障害からの回復時に、影響サービスを解析する影響サービス解析手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク、サーバ、ストレージ等の資源を連携して運用管理するシステムおよびその方法に関する。より詳細には、ネットワーク、サーバ、ストレージ等のICT資源を含めたネットワーク環境において、障害時に障害発生箇所を特定し、さらに、その障害が与えるサービスへの影響範囲を特定するICT資源連携運用管理システムおよびICT資源を連携して運用管理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現状、ネットワーク及びサービスの監視において、1つの障害が複数のサービスや回線に影響を及ぼすだけでなく、この障害により数多くの警報情報が監視装置側に転送され、ネットワークやサービスを監視している運用者はこれらの膨大な警報情報から障害原因の特定や影響するサービスの特定を行わなければならない。
【0003】
しかしながら、前述のような多くの警報情報から、障害の原因となる警報を特定したり、影響するサービス情報を特定するのは非常に困難である。現状、特定手法としては、ネットワークごと、装置ごと、およびサービスごとに存在する管理装置(NMS(Network Management System)やEMS(Element Management System))内で特定する方法が提案されている(特許文献1から3)。また、それらの管理装置、または直接装置の警報を上位警報装置(統合監視装置)へ転送し、この警報情報をもとに統合監視装置が特定する手法がある(図1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−114899号公報
【特許文献2】特開2007−189615号公報
【特許文献3】特開2007−235897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前者の手法では、運用管理者が複数台の管理装置の表示画面を見て、経験を元に解析しているのが現状であり、非常に効率が悪い。複数台の管理装置の表示画面を統合する装置があるが、単に警報を閲覧するだけの機能しかない。後者の手法では、統合監視装置が全てのネットワークノードおよびサービスのインベントリ情報を保持する必要があり、構築するためには膨大な装置となってしまう。
【0006】
したがって、本発明はイーサネット(登録商標)ネットワーク、サーバ、ストレージを含めたネットワーク環境において、障害時に障害発生箇所を特定し、さらに、その障害が与えるサービスへの影響範囲を特定することが可能なICT資源連携運用管理システムおよびその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するため本発明によるICT資源連携運用管理システムは、ICT資源を有するデータセンタおよびイーサネットOAM管理システムから、障害および回復状態の情報を収集する障害・回復通知手段と、セッション管理認証機能またはネットワーク資源ブローカから、バインディング情報、ユーザプロファイル情報およびトランザクション情報の参照を行う通信手段と、サービスとICT資源の対応情報を保存する資源管理データベースと、前記情報に基づいて、障害時または障害からの回復時に、影響サービスを解析する影響サービス解析手段とを備えている。
【0008】
また、前記通信手段は、セッション管理認証機能からバインディング情報およびユーザプロファイル情報の参照を行い、ネットワーク資源ブローカからトランザクション情報の参照を行う通信手段であることも好ましい。
【0009】
また、前記影響サービス解析手段は、前記トランザクション情報に基づいて、影響サービス候補を抽出する抽出手段と、前記影響サービス候補とサービス種別との対応付けを行うサービス種別の判別手段と、前記バインディング情報に基づいて、前記影響サービス候補のIPアドレスとユーザIDとの対応付けを行う第1の対応付け手段と、前記ユーザプロファイル情報に基づいて、前記ユーザIDと最大サービスクラス、最小サービスクラスとの対応付けを行う第2の対応付け手段とにより影響サービスの解析を行う手段であることも好ましい。
【0010】
また、前記資源管理データベースは、前記バインディング情報および前記ユーザプロファイル情報をさらに保存し、前記第1の対応付け手段は、前記資源管理データベース内のバインディング情報に基づき対応付けを行い、該対応付けが不可能の際、前記セッション管理認証機能からのバインディング情報に基づき対応付けを行う手段であり、前記第2の対応付け手段は、前記資源管理データベース内のユーザプロファイル情報に基づき対応付けを行い、該対応付けが不可能の際、前記セッション管理認証機能からのユーザプロファイル情報に基づき対応付けを行う手段であることも好ましい。
【0011】
また、前記抽出手段は、前記障害および回復状態の情報から障害発生IPアドレスを取り出し、前記トランザクション情報の全てのシングル予約に対して、前記障害発生IPアドレスが前記シングル予約の端点のIPアドレスのいずれかと等しいか比較し、等しい場合前記シングル予約の端点情報およびQoSを影響サービス候補として抽出することを行う手段であることも好ましい。
【0012】
また、前記判別手段は、前記サービスとICT資源の対応情報を、前記影響サービス候補のIPアドレス、ポート番号およびQoSで絞り込むことで、前記影響サービス候補とサービス種別との対応付けを行う手段であることも好ましい。
【0013】
上記目的を実現するため本発明によるICT資源を連携して運用管理する方法は、サービスとICT資源の対応情報を保存する資源管理データベースを備えている装置において、ICT資源を有するデータセンタおよびイーサネットOAM管理システムから、障害および回復状態の情報を収集する障害・回復通知ステップと、セッション管理認証機能またはネットワーク資源ブローカから、バインディング情報、ユーザプロファイル情報およびトランザクション情報の参照を行う通信ステップと、前記情報に基づいて、障害時または障害からの回復時に、影響サービスを解析する影響サービス解析ステップとを含んでいる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、これまで障害切り分けや影響解析が困難であったイーサネット網やアプリケーション層まで連携したOAM技術を実現することが可能となり、障害発生時の迅速な対応、および障害の影響範囲をサービス単位に抽出することが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】現状のネットワーク環境と障害管理を示す。
【図2】本発明によるICT資源連携運用管理システムと本システムが監視するネットワークの第1の構成概略図を示す。
【図3】本発明によるICT資源連携運用管理システムの機能概略図を示す。
【図4】影響サービス解析機能における影響サービス解析のシーケンス図を示す。
【図5】影響を受けるサービスを抽出するフローチャートを示す。
【図6】サービス種別を判別するフローチャートを示す。
【図7】IPアドレス、ポート番号、QoSとサービス種別対応関係の一例を示す。
【図8】サービス種別判定対象およびサービス種別判別結果の一例を示す。
【図9】本発明によるICT資源連携運用管理システムと本システムが監視するネットワークの第2の構成概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の実施形態について、以下では図面を用いて詳細に説明する。図2は、本発明によるICT資源連携運用管理システムと本システムが監視するネットワークの第1の構成概略図を示す。ICT資源連携運用管理システム1は、イーサネットOAM管理システム(ESOS)2、およびデータセンタ(ICT資源)5が検出した障害・回復情報を監視すると共に、セッション管理認証機能3、およびネットワーク資源ブローカ(NRB)4が提供する情報を利用することで、障害発生箇所、および障害の影響範囲をサービス単位に抽出する。
【0017】
イーサネットOAM(Operation, Administration and Maintenance)は、イーサネット網の保守・管理機能であり、ITU−T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)が国際勧告「Y.1731」として標準化した。また、IEEE802委員会でも「IEEE802.1ag」として標準化されている(参考文献:ITU-T勧告 Y.1731 “OAM functions and Mechanisms for Ethernet based Networks”およびIEEE802.1 ag “Connectivity Fault Management”)。イーサネットOAM管理システム2は、イーサネットOAM機器を管理するサーバモジュール、ユーザ操作用のクライアントモジュールおよびMACアドレス−名前変換サーバから構成されている。ICT資源連携運用管理システム1は、イーサネットOAM管理システム2から、イーサネット網内の機器で発生した障害、発生した障害の回復通知を受けとる。イーサネット網内の機器は、アクセス網とメトロ・コア網内の通信機器、アクセス網とメトロ・コア網を接続する網間接続装置(BGF、Border Gateway Function)、およびアクセス網に接続するアクセス機器を含む。
【0018】
ICT(Information and Communication Technology)資源は、データセンタ5内にあるサーバやストレージ等の資源である。ICT資源連携運用管理システム1は、ICT資源を監視することにより、障害発生または発生した障害が回復した場合、障害・回復通知を受けとる。
【0019】
ネットワーク資源ブローカ(NRB、Network Resource Broker)4は、クライアントからの要求に応じて、コア網、メトロ網、アクセス網の各NRM(NRM:Network Resource Manager)へネットワークリソースの予約要求等を行うシステムであり、NRMは要求されたネットワークリソースの予約に基づき、ネットワークリソースの割り当てを実行するシステムのことである。ICT資源連携運用管理システム1は、ネットワーク資源ブローカ4と通信し、トランザクション情報等の必要な情報を収集する。なお、トランザクション情報は、関連する複数の情報をひとつにまとめた情報であり、例えば、予約されているネットワークリソースの端点のIPアドレス、ポート番号、およびQoS値が含まれる。
【0020】
セッション管理認証機能3は、バインディング情報およびユーザプロファイル情報をICT資源連携運用管理システム1に提供する機能である。バインディング情報は、セッション管理認証機能3で管理される実IPアドレスと関連するユーザID(NRB上のノード登録アドレス)情報を表し、ユーザプロファイル情報は、セッション管理認証機能3で管理されるユーザプロファイル情報(ユーザID、IPアドレス、最大サービスクラス、最小サービスクラス、最大帯域幅、最小帯域幅)を表す。
【0021】
図3は、本発明によるICT資源連携運用管理システムの機能概略図を示す。ICT資源連携運用管理システム1は、障害・回復通知機能11、通信機能12、影響サービス解析機能13および資源管理データベース14を備えている。
【0022】
障害・回復通知機能11は、イーサネットOAM管理システム2およびデータセンタ5からの障害通知、障害からの回復通知を受信する機能を有する。また、通知された情報を資源管理データベース14に格納する。通知を受けた場合、影響サービス解析機能13に、影響サービス解析の開始を要求する。
【0023】
イーサネットOAM管理システム2から通知される情報には、障害を検出したMEP(Maintenance group End Point)に対応するユーザID、状態(正常状態および障害状態)が含まれる。MEP(Maintenance group End Point)は、OAMの端点であり、OAMの中継点であるMIP(Maintenance group Intermediate Point)の障害をMEPが検知することでMEPが障害を通知する。障害状態として、対向側の装置に障害が発生したことを示すRDI(Remote Defect Indicator)を受信したこと、規定時間以内に接続性確認メッセージ(CCM、Continuity Check Message)を受信できないこと、および下位レイヤに関する障害を上位レイヤへ通知するAIS(Alarm Indication Signal)を受けたこと等がある。
【0024】
データセンタ5から通知される情報には、監視対象(サーバ、ストレージ)、監視対象IPアドレス、監視種類が含まれる。監視種類には、CPU負荷、ディスク容量、TCP接続数、メモリ、およびトラフィックがある。CPU負荷の場合、一定の負荷を超えた場合に障害が通知される。ディスク容量の場合、残容量が一定値を下回った場合に障害が通視される。TCP接続数の場合、一定数の接続数を上回った場合に障害が通知される。メモリの場合、一定の空き容量を下回った場合に障害が通知される。トラフィックの場合、一定のトラフィック量を超えた場合に障害が通知される。
【0025】
通信機能12は、セッション管理認証機能3に対して、バインディング情報とユーザプロファイル情報の参照・更新を行う。また、ネットワーク資源ブローカ4に対して、トランザクション情報の参照を行う。
【0026】
影響サービス解析機能13は、資源管理データベース14に保存された情報を基に、障害・回復情報が通知された際、影響サービスを解析する。
【0027】
資源管理データベース14は、影響サービスを解析するために必要な情報として、サービスとICT資源の対応情報を保存する。例えば、IPアドレスとサービス種別の対応関係、ポート番号とサービス種別の対応関係、およびQoSとサービス種別の対応関係を表す情報を保存する。これらの情報はICT資源連携運用管理システム1が監視するネットワークに、サービスが追加・更新された場合に追加・更新される。また、障害・回復通知機能11に通知された障害および回復状態の情報を保存し、そのほか、通信機能12が収集したバインディング情報およびユーザプロファイル情報を保存することもできる。
【0028】
図4は、影響サービス解析機能における影響サービス解析のシーケンス図を示す。本シーケンス図に基づいて、影響サービス解析機能13による影響サービス解析を説明する。
【0029】
1.影響サービス解析の要求:影響サービス解析機能13が、障害・回復通知機能12から影響サービス解析要求を受信する。
【0030】
2.トランザクション情報の取得要求:影響サービス解析機能13は、通信機能12を介して、NRB4からトランザクション情報を取得する。ここで、NRB4が複数存在する場合には、各NRB4からトランザクション情報を取得する。
【0031】
3.影響サービス候補の抽出:取得したトランザクション情報を基に、影響サービス候補を抽出する。なお、この抽出手順については、後で詳細に説明する。
【0032】
4.サービス種別の判別:抽出した影響サービス候補とサービス種別の対応付けを行う。なお、この判別手順については、後で詳細に説明する。
【0033】
5.バインディング情報の取得:資源管理データベース14に、影響サービス候補のIPアドレスが存在するか確認を行い、存在する場合、該IPアドレスとユーザIDを対応付ける。
【0034】
6.バインディング情報取得の要求:5でユーザIDと対応付けが行えなかったIPアドレスに対して、通信機能12を介してセッション管理認証機能3からバインディング情報の取得を行い、このバインディング情報に基づいてIPアドレスとユーザIDを対応付ける。
【0035】
7.ユーザプロファイル情報の取得:資源管理データベース14に対して、対応付けを行ったユーザIDが存在するか確認を行い、存在する場合、ユーザIDと最大サービスクラス、最小サービスクラスとの対応付けを行う。
【0036】
8.ユーザプロファイル情報取得の要求:7において、最大サービスクラス、最小サービスクラスとの対応付けができなかったユーザIDに対して、通信機能12を介してセッション管理認証機能3からユーザプロファイル情報の取得を行い、ユーザIDと最大サービスクラス、最小サービスクラスとの対応付けを行う。
【0037】
9.影響サービス解析を終了:結果は、影響サービス解析成功、トランザクション情報なし、または影響サービス解析失敗である。影響サービス解析成功は、障害により影響されるサービス種別が抽出され、そのサービスのIPアドレスにユーザIDが対応付けられ、このユーザIDに、最大サービスクラス、最小サービスクラスが対応付けられた場合である。トランザクション情報なしは、3において影響サービス候補が検出されなかった場合である。影響サービス解析失敗は、そのサービスのIPアドレスにユーザIDが対応付けられない場合、またはこのユーザIDに、最大サービスクラス、最小サービスクラスが対応付けられない場合である。
【0038】
図5は、影響を受けるサービスを抽出するフローチャートを示す。上記3の影響サービス候補抽出手順について、ここでは障害発生IPアドレスを基に、NRB4から得られるトランザクション情報を用いて、影響を受けるサービスを抽出する手順を以下に示す。
【0039】
S51:障害発生IPアドレスを検出する。このIPアドレスはイーサネットOAM管理システム2またはデータセンタ(ICT資源)5からの障害通知に含まれ、障害・回復通知機能11から通知される。
【0040】
S52.トランザクション情報に含まれているシングル予約をひとつ抽出する。トランザクション情報は、上記3でNRB4が取得されたものである。なお、シングル予約は、A点、Z点を結ぶネットワークリソースの予約情報を示し、A点、Z点は、リソース予約で指定される2つの端点を示す。
【0041】
S53.抽出されたシングル予約の両端点(A点、Z点)のどちらかのIPアドレスが障害発生IPアドレスと一致するか確認する。どちらかの端点のIPアドレスが障害発生IPアドレスと一致する場合、S54に進み、それ以外は、S57に進む。
【0042】
S54.上記のシングル予約を障害発生箇所の候補として選択し、障害発生IPアドレスを含んでいない方の端点情報(ポート番号等)およびQoSを取得する。
【0043】
S55.上記で取得したシングル予約の端点情報およびQoSがすでに抽出済みかどうか確認する。すでに抽出済みの場合はS57に進む。
【0044】
S56.上記で取得したシングル予約の端点情報およびQoSを影響サービス一覧に追加する。
【0045】
S57.トランザクション情報に含まれている全てのシングル予約に対して、S52からS56までの処理を繰り返し、影響を受けるサービスのシングル予約の端点情報およびQoSを抽出し影響サービス抽出を終了する。
【0046】
図6は、サービス種別を判別するフローチャートを示す。上記4のサービス種別の判別について、3の影響サービス候補抽出手順により抽出した影響サービスから、サービス種別を判別する手順を示す。なお、サービス種別は、IPアドレス、ポート番号、QoS値により判別する。サービス種別の判別を行うには、資源管理データベース14に保存されているIPアドレスとサービス種別の対応関係、ポート番号とサービス種別の対応関係、およびQoSとサービス種別の対応関係に基づいて行う。図7は、IPアドレス、ポート番号、QoSとサービス種別対応関係の一例を示す。
【0047】
S61.影響サービスから端点情報およびQoSを取り出す。
【0048】
S62.端点情報から判定対象のIPアドレスを取り出し、判定対象のIPアドレスが、「IPアドレスとサービス種別の対応関係」データに存在するかを判定する。IPアドレスが存在する場合は、S63に進む。存在しない場合は、S64に進む。
【0049】
S63.IPアドレスに対応するサービス種別を候補として選択する。図7aは、IPアドレスとサービス種別の対応関係の一例であり、IPアドレスxxx. xxx. xxx. xxxがサービス種別ビデオまたはTV会議に対応していることが分かる。
【0050】
S64.端点情報から判定対象のポート番号を取り出し、判定対象のポート番号が、「ポート番号とサービス種別の対応関係」データに存在するかを判定する。ポート番号が存在する場合は、S65に進む。存在しない場合は、S66に進む。
【0051】
S65.ポート番号に対応するサービス種別を候補として選択する。図7bは、ポート番号とサービス種別の対応関係の一例であり、ポート番号aaaからbbbがビデオに対応していることが分かる。IPアドレスがxx. xxx. xxx. xxxであり、ポート番号がaaaである場合、図7a,bの対応関係では、サービス種別がビデオに絞り込まれる。なお、上記のような絞り込みにならない場合は、そのサービス種別を無視する。
【0052】
S66.QoSを判定対象のQoSとして取り出し、判定対象のQoSが、「QoSとサービス種別の対応関係」データに存在するかを判定する。QoSが存在する場合は、S67に進む。存在しない場合は、S68に進む。
【0053】
S67.QoSに対応するサービス種別を候補として選択する。図7cは、QoSとサービス種別の対応関係の一例であり、QoS値0がビデオに対応していることが分かる。なお、この絞り込みで絞り込みにならない場合は、そのサービス種別を無視する。最終的に絞り込んだサービス種別をそのシングル予約のサービス種別とする。図8は、サービス種別判定対象およびサービス種別判別結果の一例を示す。図8aの判定対象1に対して、図7aからcで絞り込みを行うと、図8bのように判定対象1のサービス種別は「ビデオ」であることが判明する。同様に、図8aの判定対象2に対して、図7aからcで絞り込みを行うと、図8bのように判定対象2のサービス種別は「音声」であることが判明する。
【0054】
S68.各シングル予約の両端点およびポート番号についてS62からS67を全て実施し、処理を終了する。
【0055】
以上のように、図4のシーケンスにより、障害により影響されるサービス種別が抽出され、このサービス種別に対応するユーザID、このユーザIDの最大サービスクラス、最小サービスクラスが判明し、障害の影響範囲をサービス単位に抽出できる。
【0056】
本発明を実施するための他の実施形態について、概略を説明する。図9は、本発明によるICT資源連携運用管理システムと本システムが監視するネットワークの第2の構成概略図を示す。本形態では、セッション管理認証機能3とネットワーク資源ブローカ4は互いに通信可能となっており、どちらか一方にアクセスすることで他の機器の情報を参照することができる。このようなネットワークの構成の場合、ICT資源連携運用管理システム1の通信機能12は、トランザクション情報、バインディング情報およびユーザプロファイル情報を、セッション管理認証機能3またはネットワーク資源ブローカ4から収集することができる。
【0057】
このため、図4の2において、影響サービス解析機能13は、通信機能12を介して、セッション管理認証機能3からトランザクション情報を取得することもできる。この場合、セッション管理認証機能3は、ネットワーク資源ブローカ4と通信することにより、トランザクション情報を取得して、通信機能12に送信する。また、図4の6において、通信機能12を介してネットワーク資源ブローカ4からバインディング情報の取得することもできる。図4の8においても同様に通信機能12を介してネットワーク資源ブローカ4からユーザプロファイル情報の取得することもできる。この場合も、ネットワーク資源ブローカ4は、セッション管理認証機能3と通信することにより、バインディング情報またはユーザプロファイル情報を取得し、通信機能12に送信する。
【0058】
また、以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様および変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲およびその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【符号の説明】
【0059】
1 ICT資源連携運用管理システム
2 イーサネットOAM管理システム(ESOS)
3 セッション管理認証機能
4 ネットワーク資源ブローカ(NRB)
5 データセンタ(ICT資源)
11 障害・回復通知機能
12 通信機能
13 影響サービス解析機能
14 資源管理データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICT資源を有するデータセンタおよびイーサネットOAM管理システムから、障害および回復状態の情報を収集する障害・回復通知手段と、
セッション管理認証機能またはネットワーク資源ブローカから、バインディング情報、ユーザプロファイル情報およびトランザクション情報の参照を行う通信手段と、
サービスとICT資源の対応情報を保存する資源管理データベースと、
前記情報に基づいて、障害時または障害からの回復時に、影響サービスを解析する影響サービス解析手段と、
を備えていることを特徴とするICT資源連携運用管理システム。
【請求項2】
前記通信手段は、
セッション管理認証機能からバインディング情報およびユーザプロファイル情報の参照を行い、ネットワーク資源ブローカからトランザクション情報の参照を行う通信手段であることを特徴とする請求項1に記載のICT資源連携運用管理システム。
【請求項3】
前記影響サービス解析手段は、
前記トランザクション情報に基づいて、影響サービス候補を抽出する抽出手段と、
前記影響サービス候補とサービス種別との対応付けを行うサービス種別の判別手段と、
前記バインディング情報に基づいて、前記影響サービス候補のIPアドレスとユーザIDとの対応付けを行う第1の対応付け手段と、
前記ユーザプロファイル情報に基づいて、前記ユーザIDと最大サービスクラス、最小サービスクラスとの対応付けを行う第2の対応付け手段と、
により影響サービスの解析を行う手段であることを特徴とする請求項1または2に記載のICT資源連携運用管理システム。
【請求項4】
前記資源管理データベースは、前記バインディング情報および前記ユーザプロファイル情報をさらに保存し、
前記第1の対応付け手段は、前記資源管理データベース内のバインディング情報に基づき対応付けを行い、該対応付けが不可能の際、前記セッション管理認証機能からのバインディング情報に基づき対応付けを行う手段であり、
前記第2の対応付け手段は、前記資源管理データベース内のユーザプロファイル情報に基づき対応付けを行い、該対応付けが不可能の際、前記セッション管理認証機能からのユーザプロファイル情報に基づき対応付けを行う手段であることを特徴とする請求項3に記載のICT資源連携運用管理システム。
【請求項5】
前記抽出手段は、
前記障害および回復状態の情報から障害発生IPアドレスを取り出し、
前記トランザクション情報の全てのシングル予約に対して、
前記障害発生IPアドレスが前記シングル予約の端点のIPアドレスのいずれかと等しいか比較し、等しい場合前記シングル予約の端点情報およびQoSを影響サービス候補として抽出することを行う手段であることを特徴とする請求項3または4に記載のICT資源連携運用管理システム。
【請求項6】
前記判別手段は、
前記サービスとICT資源の対応情報を、前記影響サービス候補のIPアドレス、ポート番号およびQoSで絞り込むことで、前記影響サービス候補とサービス種別との対応付けを行う手段であることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載のICT資源連携運用管理システム。
【請求項7】
サービスとICT資源の対応情報を保存する資源管理データベースを備えている装置において、ICT資源を連携して運用管理する方法であって、
ICT資源を有するデータセンタおよびイーサネットOAM管理システムから、障害および回復状態の情報を収集する障害・回復通知ステップと、
セッション管理認証機能またはネットワーク資源ブローカから、バインディング情報、ユーザプロファイル情報およびトランザクション情報の参照を行う通信ステップと、
前記情報に基づいて、障害時または障害からの回復時に、影響サービスを解析する影響サービス解析ステップと、
を含んでいることを特徴とするICT資源を連携して運用管理する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−161458(P2010−161458A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−696(P2009−696)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】