説明

IDキーの点検支援装置および点検方法

【課題】IDキーに対応付けられた情報であってIDキーに電子データとして記憶されていない付属情報を1人で点検することを可能にするIDキーの点検支援装置の提供。
【解決手段】電気錠を制御するコントローラ100に接続されるものであり、コントローラ100に予め記憶されたキーIDと、このキーIDに対応付けられてIDキー1に電子データとして記憶されていない付属情報とを取り込む携帯可能な取込装置20と、この取込装置20に接続されるものであり、IDキー1からキーIDを読み取る携帯可能な読取装置30とを備え、取込装置20は、読取装置30により読み取られたキーIDに対応付けられた付属情報を、コントローラ100から取り込んだ付属情報の中から検索する情報処理装置22と、この情報処理装置22による検索の結果である付属情報を、読み取られたキーIDととともに表示する表示装置23とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IDキーに対応付けられた情報の正誤を点検する際に用いられるIDキーの点検支援装置、および、この点検支援装置を用いたIDキーの点検方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のIDキーの点検方法について図5,図6を用いて説明する。図5は、IDキーの点検作業に採用されているシステムを示すブロック線図である。図6は、図5に示したシステムを用いて行われるIDキーの点検作業の流れを示すフローチャートである。
【0003】
マンション等の複数の区画や居室を有する建物では、それら区画や居室に対しては電気錠が設けられ、その電気錠の解錠にはIDキーが用いられる。IDキーには、図5に示すIDキー1のように、シリンダー錠を解錠するための金属製の子鍵2と、この子鍵2の一端に設けられたキーヘッド3とを備えたものがある。キーヘッド3には、そのIDキーを特定するシリアル番号(以下「キーID」と呼称する)が電子データの形で記憶された記憶装置(ICチップ)が内蔵されている。また、キーヘッド3には、色付きの小片から成る部材、すなわちカラーチップ4がその色を外部に露呈した状態で取り付けられている。このカラーチップ4の色は、所定の複数種類の色、例えば青、赤、緑、黄、白、桃、紫、灰の計8色の中から選択されるものである。ある居室に対し3個のIDキーを割り当てる場合には、それらのIDキーのそれぞれに対し青、赤、緑の異なる3色のカラーチップ4のそれぞれを取り付け、4個のIDキーを割り当てる場合には、それらのIDキーのそれぞれに対し青、赤、緑、黄の異なる4色のカラーチップ4のそれぞれを取り付ける、というように、1つの居室に対し複数のIDキーを割り当てる場合に、それらのIDキーのそれぞれに対し異なる色のカラーチップ4を取り付けることが行われる。
【0004】
建物には、複数個所の電気錠を制御するコントローラ100と、キーIDを読み取ってコントローラ100に伝送する読取装置101とが設置されている。コントローラ100は、その建物で使用されるIDキー1のそれぞれに係る情報として、そのIDキーのキーIDと、このキーIDに対応付けられた付属情報であるカラーチップ4の色および居室No.とを予め記憶している。このコントローラ100は、読取装置101からキーIDが伝送されてくると、このキーIDと対応付けられた電気錠を解錠するようになっている。
【0005】
ところで、カラーチップ4は人によってキーヘッド3に装着されるものである。また、納品にあたってIDキー1には、居室No.が記載されたタグ5が人によって付けられる。したがって、IDキー1に対し、間違った色のカラーチップ4、間違った居室No.が記載されたタグ5が取り付けられてしまう場合がある。したがって、建物に設置されたコントローラ100にキーIDに対応付けられて記憶されたカラーチップ4の色および居室No.と、そのキーIDのIDキー1に実際に取り付けられたカラーチップ4の色およびタグ5に記載された居室No.とが一致しているかどうかを、すなわち実際のカラーチップ4の色と居室No.とが正しいかどうかを点検する必要がある。その点検は図6に示す流れで行われる。その流れについて次に説明する。
【0006】
はじめに2人の作業員(以下「第1,第2作業員」と呼称する)のうち第1作業員が、マンションで使用される全てのIDキー1のキーIDと、そのキーIDに対応付けられたカラーチップ4の色に相当するデータ、および居室No.に相当するデータをコントローラ100にダウンロードし、コントローラ100を稼働させる(ステップB1)。次に、第1作業員は、図5に示すようにノートパソコン102を、コントローラ100にLANケーブルを介して接続する(ステップB2)。つまり、コントローラ100にダウンロードした各IDキー1のキーIDをノートパソコン102に表示させることができるようにする。
【0007】
次に、第2作業員は、建物に据え付けられた読取装置にIDキー1のキーヘッド3をかざしてキーIDを読み取らせ(ステップB3)、このキーIDをノートパソコン102に表示させる(ステップB4)。次に、第2作業員は、ノートパソコン102に表示させたキーIDを、チェックシート(キーID、カラーチップ4の色、居室No.の正しい組合せが記載されたもの)中から目視で探し出し(ステップB5)、その組合せと、第1作業員から報告された実際のカラーチップ4の色とタグ5に記載された居室No.とを照合して、両者が一致しているかどうかを確認する(ステップB6)。一致していなかった場合、すなわち実際のカラーチップ4の色およびタグ5に記載の居室No.の少なくとも一方が間違っていた場合(ステップB6でNO)、チェックシート中のチェック欄に「NG」を記入し(ステップB9)、間違っていたカラーチップ4およびタグ5の少なくとも一方を、正しいものに取り替え(ステップB10)、再び、ステップB3からのルーチンに戻る。
【0008】
ステップB6でノートパソコン102に表示させた組合せが正しかった場合(ステップB6でYES)、チェックシートのチェック欄に「OK」と記入し(ステップB7)、引き続き、全てのIDキー1について、カラーチップ4の色とタグ5に記載の居室No.とが正しいと確認できるまで、点検作業を続ける(ステップB8でNO→ステップB3→ステップB4→ステップB5→ステップB8でNO・・・)。そして、全てのIDキー1について正しいと確認できたら(ステップB8でYES)、チェックシートを作業報告書として提出し(ステップB11)、点検は終了する。
【0009】
なお、IDキーの種類にはカード型のものもある。特許文献1にはカード検査装置が開示されている。このカード検査装置は、カードを特定するカードキーID情報と、カードに記憶される発行データとを対応付けて記憶する発行データ記憶部と、カードから発行データとカードキーID情報とを読み出す読み出し部と、この読み出し部が読み出したカードキーID情報に対応する発行データを発行データ記憶部から読み出し、この発行データと読み出し部によって読み出された発行データとを比較する比較部と、比較部の比較結果を出力する出力部とを有する。
【0010】
この種のカード検査装置によれば、IDキーに記憶された電子データをチェックすることはできる。しかし、IDキーに対し電子データではない形で対応付けられた付属情報(カラーチップの色、タグ5に記載された居室No.)をチェックすることはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−287586号公報(段落0008,0019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
マンション等の建物において、電気錠を制御するコントローラは、建物の入口等に据え付けられたキーIDの読取装置と離れて設置されているため、IDキーのキーIDをその読取装置に読み込ませる第1作業員と、コントローラ付近でノートパソコンにキーIDを表示させる第2作業員との少なくとも2人の作業者が必要であった。
【0013】
本発明は前述の事情を考慮してなされたものであり、その目的は、IDキーに対応付けられた情報であってIDキーに電子データとして記憶されていない付属情報を1人で点検することを可能にするIDキーの点検支援装置、および、この点検支援装置を用いた点検方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前述の目的を達成するために本発明に係るIDキーの点検支援装置および点検方法は次のように構成されている。
【0015】
〔1〕 本発明に係るIDキーの点検支援装置は、電気錠を制御するコントローラに解錠を要求するためのキーIDが電子データとして記憶されたIDキーに対して用いられるIDキーの点検支援装置であって、前記コントローラに予め記憶されたキーIDと、このキーIDに対応付けられて前記IDキーに電子データとして記憶されていない付属情報とを、前記コントローラに接続されて取り込む携帯可能な取込装置と、この取込装置に接続されるものであって、前記IDキーからキーIDを読み取る携帯可能な読取装置とを備え、前記取込装置は、前記読取装置により読み取られたキーIDに対応付けられた付属情報を、前記コントローラから取り込んだ付属情報の中から検索する情報処理装置と、この情報処理装置による検索の結果である付属情報を表示する表示装置とを備えたことを特徴とする。
【0016】
この「〔1〕」に記載のIDキーの点検支援装置において、取込装置と読取装置はいずれも携帯可能なものだから、これらをコントローラ付近で、または、コントローラから離れた場所(例えばIDキーを使用する建物の敷地内の建築事務所、建物の管理人室など)で、点検作業、すなわち、読取装置にIDキーのキーIDを読み取らせ、取込装置の情報処理装置にそのキーIDに対応付けられた付属情報を検索させ、その検索結果である付属情報を取込装置の表示装置に表示させ、その表示させた付属情報と、実際のIDキーに対応付けられた付属情報とが一致しているかどうかを確認する、という点検作業を行うことができる。つまり、建物に据付けの読取装置を使用することなく、作業員が1人だけでコントローラの付近、または、コントローラから離れた場所で、IDキーの付属情報の点検を行うことができる。
【0017】
〔2〕 本発明に係るIDキーの点検支援装置は、「〔1〕」に記載のIDキーの点検支援装置において、前記付属情報は、前記IDキーに取り付けられる部材の色であることを特徴とする。
【0018】
〔3〕 本発明に係るIDキーの点検支援装置は、「〔1〕」に記載のIDキーの点検支援装置において、前記IDキーにより操作される錠が設けられた居室No.であることを特徴とする。
【0019】
〔4〕 本発明に係るIDキーの点検方法は、「〔1〕」〜「〔3〕」のいずれかひとつに記載のIDキーの点検支援装置を用いたIDキーの点検方法において、取込装置を用いて前記コントローラから前記予め記憶されたキーIDと付属情報とを取り込む第1工程と、読取装置にIDキーのキーIDを読み取らせ、取込装置の情報処理装置に、前記読取装置により読み取られたキーIDに対応付けられた付属情報を検索させる第2工程と、前記情報処理装置による検索の結果である付属情報を、前記取込装置の表示装置に表示させる第3工程と、前記表示装置により表示された付属情報と、IDキーに実際に対応付けられている付属情報とが一致するかどうかを確認する第4工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、IDキーに対応付けられた付属情報を1人で点検することを可能にするIDキーの点検支援装置、および、この点検支援装置を用いた点検方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るIDキーの点検支援装置の構成を示すブロック線図である。
【図2】図1に示した読取装置および取込装置の構成の詳細を示すブロック線図である。
【図3】図1に示したIDキーの点検支援装置に備えられた表示装置により表示される画面の一例を示す図である。
【図4】図1に示したIDキーの点検支援装置を用いて行われるIDキーの点検作業の流れを示すフローチャートである。
【図5】IDキーの従来の点検作業に用いられるシステム構成を示すブロック線図である。
【図6】図5に示したシステム構成を用いて行われるIDキーの点検作業の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係るIDキーの点検支援装置および点検方法について図1〜図4を用いて説明する。なお、以下では「背景技術」の欄で述べたことと重複する内容も改めて説明してある。
【0023】
図1に示すように、マンション等の複数の区画や居室を有する建物では、それら区画や居室に対しては電気錠が設けられ、その電気錠の解錠にはIDキー1がいられる。IDキー1は、シリンダー錠を解錠するための金属製の子鍵2と、この子鍵2の一端に設けられたキーヘッド3とを備えたものがある。キーヘッド3には、そのIDキー1を特定するシリアル番号、すなわちキーIDが電子データの形で記憶された記憶装置(ICチップ)が内蔵されている。また、キーヘッド3には、色付きの小片から成る部材、すなわちカラーチップ4がその色を外部に露呈した状態で取り付けられている。このカラーチップ4の色は、所定の複数種類の色、例えば青、赤、緑、黄、白、桃、紫、灰の計8色の中から選択されるものである。ある居室に対し3個のIDキーを割り当てる場合には、それらのIDキーのそれぞれに対し青、赤、緑の異なる3色のカラーチップ4のそれぞれを取り付け、4個のIDキーを割り当てる場合には、それらのIDキーのそれぞれに対し青、赤、緑、黄の異なる4色のカラーチップ4のそれぞれを取り付ける、というように、1つの居室に対し複数のIDキーを割り当てる場合に、それらのIDキーのそれぞれに対し異なる色のカラーチップ4を取り付けることが行われる。
【0024】
建物には、複数個所の電気錠を制御するコントローラ100が設置され、キーIDを読み取ってコントローラ100に伝送する読取装置101が据え付けられている。コントローラ100は、その建物で使用されるIDキー1のそれぞれに係る情報として、そのIDキーのキーIDと、このキーIDに対応付けられた付属情報であるカラーチップ4の色および居室No.とを予め記憶している。このコントローラ100は、据え付けられた読取装置101からキーIDが伝送されてくると、このキーIDと対応付けられた電気錠を解錠するようになっている。
【0025】
本実施形態に係るIDキーの点検支援装置は、コントローラ100にLANケーブルを介して電子データの送受信が可能に接続される携帯可能な取込装置20と、この取込装置20に電子データの送受信が可能に接続されるものであってIDキー1からキーIDを読み取る携帯可能な読取装置30とを備えている。
【0026】
取込装置20は、USBインターフェース21と、このUSBインターフェース21から入力されたデータに基づき所定の情報処理を行う、CPU、RAM、ROMおよび補助記憶装置を含む情報処理装置22と、この情報処理装置22による処理結果に基づき所定の画面を表示する表示装置23(液晶表示装置)とを備えたものである。本実施形態において、取込装置20はIDキー1の点検支援のためのソフトウェアがインストールされたノートパソコンであり、そのソフトウェアの設定によって、情報処理装置22は記憶手段22a、検索手段22bを備えたものとなっている。記憶手段22aは、コントローラ100に予め記憶されたキーIDと、このキーIDに対応付けられた付属情報とがUSBインターフェース21から入力されたときに、これらキーIDと付属情報を、補助記憶装置を用いて記憶するものである。検索手段22bは、読取装置30により読み取られたキーIDに対応付けられた付属情報を、コントローラ100から取り込んだ付属情報の中から検索するものである。付属情報は、IDキー1に電子データとして記憶されていないものであり、本実施形態においてはIDキー1に取り付けられた色付きの部材、カラーチップ4の色と、そのIDキー1により操作される錠が設けられた居室No.である。IDキー1の納品時、そのIDキー1には、居室No.が記載されたタグ5が取り付けられている。
【0027】
読取装置30は、読取部31、RS−485インターフェース32を備えている。読取部31は、キーIDの読取りのためにキーヘッド3が近づけられる個所であり、電磁誘導によりキーヘッド3に内蔵されたICチップを接触させることなく駆動してキーIDに相当する信号を出力させ、この信号をアンテナにより受信するものである。読取部31は読み取ったキーIDをRS−485インターフェース32から出力するようになっている。このRS−485インターフェース32は、信号変換器33を介して取込装置20のUSBインターフェース21に接続される。なお、読取装置30は、商用電源(図示省略)またはバッテリ(図示省略)の電力により動作するようになっている。
【0028】
表示装置23は、例えば図3に示す画面40を表示する。画面40の略中央には、居室No.表示欄41a、登録色表示欄41b、キーID表示欄41cが縦方向に並んで構成されたID情報表示欄41が設けられている。キーID表示欄41cには、読取装置30により読み取られたキーIDが表示される。登録色表示欄41bには、読取装置30により読み取られたキーIDに対応付けられたカラーチップ4の色(登録色)が、コントローラ100から取り込まれて記憶手段22aにより記憶された付属情報の中から検索されて表示される。居室No.表示欄41aには、読取装置30により読み取られたキーIDに対応付けられた居室No.が、コントローラ100から取り込まれて記憶手段22aにより記憶された付属情報の中から検索されて表示される。
【0029】
ID情報表示欄41の左上方には、OKチェック欄42とNGチェック欄43とが設けられている。これらOKチェック欄42とNGチェック欄43に対しては、選択的にチェックマークが表示される。登録色表示欄41bに表示された登録色、居室No.表示欄41aに表示された居室No.が、実際のIDキー1のものと一致している場合に、作業員はOKチェック欄42をクリックして、ここにチェックマークを表示させることになる。登録色表示欄41bに表示された登録色、居室No.表示欄41aに表示された居室No.のどちらかいっぽうでも、実際のIDキー1のものと一致していない場合には、作業員はNGチェック欄43をクリックして、ここにチェックマークを表示させることになる。
【0030】
ID情報表示欄41の右上方には、キー総数表示欄44、キー確認数表示欄45が設けられている。キー総数表示欄44には、コントローラ100から取り込んだキーIDの総数が表示される。キー確認数表示欄45には、チェック済みのIDキー1の総数が表示される。
【0031】
画面40の下部には、作業中断ボタン46および作業完了ボタン47が設けられている。作業中断ボタン46は、情報処理装置22および画面40の一時停止とその解除を取込装置20に指令するためのアイコンであり、作業完了ボタン47は、チェックログの表示を指令するためのアイコンである。それらのチェックログに基づき、IDキー1の納品のための作業報告書が作成されることになる。
【0032】
このように構成されたIDキーの点検支援装置10を用いて行われるIDキー1の点検作業の流れについて、図4を用いて説明する。
【0033】
図4に示すように、はじめに作業員は、建物で使用される全てのIDキー1のキーIDと、そのキーIDに対応付けられたカラーチップ4の色(登録色)に相当するデータ、および居室No.に相当するデータをコントローラ100にダウンロードする(ステップA1)。次に、図4に2点鎖線で示すように取込装置20を、コントローラ100にLANケーブルを介して接続し、コントローラ100に記憶されているキーID、登録色、居室No.のそれぞれに相当するデータ、およびそれらの対応関係に相当するデータを取込装置20にダウンロードする(ステップA2)。
【0034】
次に、取込装置20をコントローラ100から取り外し、コントローラ100付近で、または、コントローラ100から離れた場所(例えばIDキーを使用する建物の敷地内の建築事務所、建物の管理人室など)で、読取装置30のRS−485インターフェース32を、信号変換器33を介して取込装置20のUSBインターフェース21に接続する(ステップA3)。
【0035】
次に、読取装置30の読取部31にIDキー1のキーヘッド3をかざして、キーIDを読み取らせ(ステップA4)、取込装置20の検索手段22bに、そのキーIDに対応付けられた付属情報(登録色、居室No.)を、コントローラ100からダウンロードされて記憶手段22aにより記憶されている付属情報の中から検索させ、表示装置23に表示させる(ステップA5)。これらステップA4,A5において、例えば4個のIDキー1のキーIDを読み込ませた場合、図3に示すように、取込装置20の表示装置23により表示される画面40中のキー総数表示欄44には「4」が表示される。また、点検の済んでいないIDキーのキーIDのうち最も早く読み込まれたもの、例えば4個のうち最初に読み込まれた16桁のキーID、例えば「F3F8A56000000000」が、キーID表示欄41cに表示される。さらに、コントローラ100からダウンロードされて記憶手段22aにより記憶されている付属情報の中から検索された、その16桁のキーIDに対応付けられた付属情報、すなわち「201号室」、「青」がそれぞれ居室No.表示欄41a、登録色表示欄41bに表示される。
【0036】
次に、取込装置20の表示装置23に表示させた201号室および青と、実際のIDキー1のタグ5に記載された居室No.およびカラーチップ4の色とが一致しているかどうか、すなわち実際のタグ5に記載された居室No.とカラーチップ4の色とが正しいかどうかを目視によりチェックする(ステップA6)。一致していなかった場合、すなわち実際の付属情報の組合せが間違っていた場合(ステップA6でNO)、画面40中のNGチェック欄43をクリックして、ここにチェックマークを表示させる(ステップA9)、一致していなかった実際のカラーチップ4およびタグ5の少なくとも一方を一致するように取り替え(ステップA10)、再び、ステップA4からのルーチンに戻る。
【0037】
ステップA6で一致していた場合(ステップA6でYES)、OKチェック欄42をクリックして、ここにチェックマークを表示させる(ステップA7)、その後、引き続き、全てのIDキー1について、実際のIDキー1のタグ5に記載された居室No.およびカラーチップ4の色が、取込装置20の表示装置23に表示された居室No.および登録色と一致することが確認できるまで、点検作業を続ける(ステップA8でNO→ステップA4→ステップA5→ステップA6→ステップA7→ステップA8でNO・・・)。そして、全てのIDキー1について表示された居室No.および登録色とタグ5の居室No.およびカラーチップ4の色とが一致すると確認できたら(ステップA8でYES)、作業完了ボタン47をクリックしてチェックログを表示装置23に表示させ、そのチェックログに基づきIDキー1の納品のための作業報告書を作成して提出し(ステップA11)、点検は終了する。
【0038】
本実施形態によれば次の効果を得られる。
【0039】
本実施形態によれば、取込装置20と読取装置30はいずれも携帯可能なものだから、これらをコントローラ100付近で、または、コントローラ100から離れた場所(例えばIDキーを使用する建物の敷地内の建築事務所、建物の管理人室など)で、点検作業、すなわち、読取装置30にIDキー1のキーIDを読み取らせ、取込装置20の情報処理装置22にそのキーIDに対応付けられた付属情報を検索させ、その検索結果である付属情報とを、取込装置20の表示装置23に表示させ、その表示させた付属情報と、実際のIDキー1に対応付けられた付属情報とが一致しているかどうかを確認する、という点検作業を行うことができる。つまり、建物に据付けの読取装置101を使用することなく、作業員1人がコントローラ100の付近で、または、コントローラ100から離れた別の場所で、IDキー1の付属情報の点検を行うことができる。
【符号の説明】
【0040】
1 IDキー
2 子鍵
3 キーヘッド
4 カラーチップ
5 タグ
10 点検支援装置
20 取込装置
22 情報処理装置
22a 記憶手段
22b 検索手段
23 表示装置
30 読取装置
31 読取部
40 画面
41 ID情報表示欄
41a 居室No.表示欄
41b 登録色表示欄
41c キーID表示欄
42 OKチェック欄
43 NGチェック欄
44 キー総数表示欄
45 キー確認数表示欄
46 作業中断ボタン
47 作業完了ボタン
100 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気錠を制御するコントローラに解錠を要求するためのキーIDが電子データとして記憶されたIDキーに対して用いられるIDキーの点検支援装置であって、
前記コントローラに予め記憶されたキーIDと、このキーIDに対応付けられて前記IDキーに電子データとして記憶されていない付属情報とを、前記コントローラに接続されて取り込む携帯可能な取込装置と、
この取込装置に接続されるものであって、前記IDキーからキーIDを読み取る携帯可能な読取装置とを備え、
前記取込装置は、前記読取装置により読み取られたキーIDに対応付けられた付属情報を、前記コントローラから取り込んだ付属情報の中から検索する情報処理装置と、この情報処理装置による検索の結果である付属情報を表示する表示装置とを備えた
ことを特徴とするIDキーの点検支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載のIDキーの点検支援装置において、
前記付属情報は、前記IDキーに取り付けられる部材の色である
ことを特徴とするIDキーの点検支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載のIDキーの点検支援装置において、
前記付属情報は、前記IDキーにより操作される錠が設けられた居室No.である
ことを特徴とするIDキーの点検支援装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のIDキーの点検支援装置を用いたIDキーの点検方法において、
取込装置を用いて前記コントローラから前記予め記憶されたキーIDと付属情報とを取り込む第1工程と、
読取装置にIDキーのキーIDを読み取らせ、取込装置の情報処理装置に、前記読取装置により読み取られたキーIDに対応付けられた付属情報を検索させる第2工程と、
前記情報処理装置による検索の結果である付属情報を、前記取込装置の表示装置に表示させる第3工程と、
前記表示装置により表示された付属情報と、IDキーに実際に対応付けられている付属情報とが一致するかどうかを確認する第4工程と
を含むことを特徴とするIDキーの点検方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−232939(P2011−232939A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102289(P2010−102289)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000232955)株式会社日立ビルシステム (895)
【Fターム(参考)】