説明

IKK−βセリン−、スレオニン−プロテインキナーゼ阻害剤としての置換されたチオフェンカルボキシアミド類

式(IA)または(IB)の化合物は、自己免疫疾患および炎症性疾患の治療において有用なIKK阻害剤である:


[式中、R7は水素または任意に置換されていてもよい(C1〜C6)アルキルであり;Aは、環原子5〜13の任意に置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;Zは式R1C(R2)(R3)NH-Y-L1-X1-(CH2)z-(ここで、R1はカルボン酸基(-COOH)、または1以上の細胞内エステラーゼ酵素によりカルボン酸基に加水分解されるエステル基であり;そしてR2およびR3は、独立して天然または非天然のαアミノ酸の側鎖を意味するが、R2およびR3のどちらも水素でないか、またはR2およびR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になってC3〜C7シクロアルキル環を形成し、z、Y、L1およびX1は特許請求の範囲で定義したとおりである)の基である]。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、α,α−2置換グリシンエステルモチーフの分子中の存在により特徴づけられるチオフェンカルボキシアミド類;それらを含む組成物類;および慢性閉塞性肺疾患、喘息、リウマチ性関節炎、乾癬、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、糖尿病、アトピー性皮膚炎、移植片対宿主拒絶反応、全身性エリトマトーデスを含む自己免疫疾患および炎症性疾患の治療のためのIKK阻害剤類としての医薬におけるそれらの使用に関する。この化合物類は、癌を含む増殖性疾患状態の治療にも使用される。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
多くの前炎症性遺伝子類(pro-inflammatory genes)の発現は、転写活性化因子核因子-κB (NF-κB)により調節されている。これらの転写因子類は、それらの発見以来、慢性および急性炎症性疾患のおいて重要な役割を果たすのではないかと推測されてきた。現在、NF-κBの異常調節は、自己免疫疾患および癌の異なるタイプの根底にもあり得ると思われる。
【0003】
NF-κBの活性化に依存する遺伝子の例は:サイトカイン 腫瘍壊死因子TNF-α、インターロイキン (IL)-6、IL-8およびIL-1β;接着因子E-セレクチン、細胞間接着分子 (ICAM)-1および血管細胞接着分子 (VCAM)-1;ならびに一酸化窒素合成酵素 (NOS)およびシクロオキシゲナーゼ (COX)-2を含む。NF-κBは、普段、IκB 阻害タンパク質群の1つとの不活性な複合体として、刺激されていない細胞の細胞質中に存在する。しかしながら、 細胞活性化が起こると、IκBは、IκBキナーゼ (IKK)によりリン酸化され、その次に分解される。次いで、遊離のNF-κBは、前炎症性遺伝子発現を媒介する核に位置を変える。
【0004】
3つの典型的なIκB類:IκBα、IκBβおよびIκBεがあり、それらの全てが、それらが分解され得る前に2つの重要なセリン残基のリン酸化を必要とする。2つの主要な酵素類、IKK-αおよびIKK-βは、IκB リン酸化に対して関与しているように見える。(ATP結合が重要なキナーゼ領域の残基の変異により無能化されている)これらの酵素類のいずれか1つのドミナント−ネガティブ (DN)型は、TNF-α, IL-1βおよびLPS によるNF-κBの活性化を抑制するために見出された。重要なIKK-βDNは、IKK-αDNよりはるかに効き目が強い阻害剤であることが見出されていた(Zandi, E Cell, 1997, 91, 243)。さらに、IKK-αおよびIKK-β欠損マウスの発生は、炎症性刺激および生化学的データにより示唆されたIKK-βの強化された主要な役割によるNF-κBの活性化に対するIKK-βの必要性を確立した。事実、これらの刺激によるNF-κB活性化に対してIKK-αは重要でないことが証明された (Tanaka, M.;Immunity 1999, 10, 421)。したがって、IKK-βの阻害は、免疫機能の調節のための潜在的に魅力のあるターゲットを意味し、それ故、自己免疫疾患の治療のための薬剤の開発を意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の簡単な説明
この発明は、IKKアイソフォーム類、とりわけIKK-βの強力、かつ選択的な阻害剤であるチオフェンカルボキシアミド類のクラスを利用できるようにする。したがって、その化合物類は、医薬、例えばいろいろな増殖性疾患状態、例えばIKKの機能亢進に関する状態、ならびにNF-κBカスケードにより変調された疾患のようないろいろな増殖性疾患状態の治療における医薬において使用される。加えて、本発明の化合物類は、発作、骨粗鬆症、リウマチ性関節炎および他の炎症性障害の治療のために有用である。その化合物類は、細胞内カルボキシエステラーゼにより加水分解され得るα,α−2置換グリシンエステルモチーフの分子内の存在による特徴付けられる。脂肪親和性α,α−2置換グリシンエステルモチーフを有する本発明の化合物類は、細胞膜を通過し、細胞内カルボキシエステラーゼ類により酸に加水分解される。極性の加水分解生成物は、細胞膜をたやすく通過しないので細胞内に蓄積する。よって、その化合物類のIKK阻害活性は、細胞内で長期に亘り、かつ強化される。本発明の化合物類は、国際特許出願WO 2004063186号における記載による含まれるIKK阻害剤に関連するが、本化合物類は、上記に関するα,α−2置換グリシンエステルモチーフを有する点で、それらから異なる。
【0006】
本発明の化合物は、我々の同時係属国際特許出願第PCT/GB2007/004114号に開示されるものにも関連する。後者の化合物類は、該化合物が細胞膜を通過し、そしてそこで細胞内カルボキシルエステラーゼによって対応する酸に加水分解され、細胞に入ることを可能にもするα−1置換グリシンエステルモチーフを有する。しかしながら、該公報は、α,α−2置換グリシンエステル複合物が、細胞内カルボキシルエステラーゼによって加水分解され得ることを示唆していない。事実、細胞内カルボキシルエステラーゼ、主にhCE-1、hCE-2およびhCE-3のα,α−2置換グリシンエステルを加水分解する能力は以前に研究されていなかったように思われる。
【0007】
カルボン酸加水分解生成物の細胞内蓄積の利点を得るために、α−1置換グリシンエステルモチーフを細胞内酵素またはレセプターの調節剤に複合させる一般的概念は、我々の国際特許出願WO 2006/117567に開示されている。しかしながら、この公報は、α,α−2置換グリシンエステル複合物が、細胞内カルボキシルエステラーゼによって加水分解され得ることを示唆していない。上記のように、細胞内カルボキシルエステラーゼ、主にhCE-1、hCE-2およびhCE-3のα,α−2置換グリシンエステルを加水分解する能力は以前に研究されていなかったように思われる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の詳細な説明
本発明によれば、式(IA)または(IB):
【化1】

【0009】
[式中、
R7は、水素または任意に置換されていてもよい(C1〜C6)アルキルであり;
Aは、原子5〜13の任意に置換されていてもよいアリールもしくはヘテロアリール環または環系であり;
Zは、式R1C(R2)(R3)NH-Y-L1-X1-(CH2)z- (ここで、zは0または1であり;
Yは、結合手、-C(=O-)-、-S(=O)2--、-C(=O)NR7--、-C(=S)-NR7、-C(=NH)NR7または-S(=O)2NR7- (ここで、R7は、水素または任意に置換されていてもよいC1〜C6アルキルである)であり;
L1は、式 -(Alk1)m(Q)n(Alk2)p- (ここで、
m、nおよびpは、独立して0または1である) の二価の基であり、
【0010】
Qは、(i) 任意に置換されていてもよい二価の単環もしくは二環式で5〜13員環の炭素環式または複素環式の基であるか、または(ii) mおよびpがともに0である場合は、式 -X2-Q1-または-Q1-X2- (ここで、X2は、-O-、S-またはNRA- (式中、RAは、水素または任意に置換されていてもよいC1〜C3アルキルである)であり、Q1は、任意に置換されていてもよい二価の単環もしくは二環式で5〜13員環の炭素環式または複素環式の基である)の二価の基であり;
【0011】
Alk1およびAlk2は、独立して、任意に置換されていてもよい二価のC3〜C7シクロアルキル基、または任意に置換されていてもよい直鎖状または分岐鎖状のC1〜C6アルキレン、C2〜C6アルケニレンもしくはC2〜C6アルキニレン基を表し、これらの基は、エーテル(-O-)、チオエーテル(-S-)またはアミノ (-NRA-)(ここで、RAは、水素または任意に置換されていてもよいC1〜C3アルキルである)結合を任意に含むかまたは該結合が末端をなしていてもよい)の二価の基であり;そして
【0012】
X1は、結合手;-C(=O);または-S(=O)2-;-NR4C(=O)-、-C(=O)NR4-、-NR4C(=O)NR5-、-NR4S(=O)2-、または-S(=O)2NR4- (式中、R4およびR5は、独立して、水素または任意に置換されていてもよいC1〜C6アルキルである)であり;
R1は、カルボン酸基 (-COOH)、または1もしくは複数の細胞内エステラーゼ酵素によりカルボン酸基に加水分解され得るエステル基であり;
;そして
【0013】
R2およびR3は、独立して天然または非天然のアルファアミノ酸の側鎖を表すが、R2およびR3のいずれも水素ではないか、またはR2およびR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になってC3〜C7 シクロアルキル環を形成する)の基である]
の化合物またはその塩が提供される。
【0014】
上記の本発明の化合物類は、それらの塩類、特に医薬的に許容な塩類、N-オキシド類、水和物および溶媒和物の形態で製造され得る。本明細書における化合物についてのいずれの請求項、または本明細書で用いる場合「本発明の化合物類」、「本発明に係る化合物類」、「式(I)の化合物類」などの記載は、そのような化合物の塩類、N-オキシド類、水和物類および溶媒和物類を含む。
【0015】
他の広義の態様において、本発明は、上記で定義したとおりの式(IA)または(IB)の化合物、そのN−オキシド、塩、水和物または溶媒和物の、IKK、とりわけIKK-βの活性を阻害するため、ならびにNF-κBカスケードにより変調された疾患のための組成物の製造における使用を提供する。
【0016】
本発明に係る化合物は、インビトロまたはインビボでのIKK、とりわけIKK-βの活性を阻害するために用い得ることに関する。
1以上の医薬的に許容な担持体および賦形剤と一緒の本発明の化合物を含む医薬組成物はまた、本発明の一部を形成する。
【0017】
本発明の1つの観点において、本発明の化合物類は、腫瘍性/増殖性、自己免疫性または炎症性疾患、特にIKK、とりわけIKK-β活性が役割を果たす上記のものの治療のための組成物の製造において使用され得る。
【0018】
もう1つの観点において、本発明は、上記で定義したとおりの式(IA)または(IB)の化合物の有効量を上記の疾患に罹患した患者へ投与することを含む上記の疾患の種類の治療のための方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
専門用語
本明細書で用いられているように、用語「(Ca〜Cb)アルキル」(ここで、aおよびbは整数である)は、a〜b個の炭素原子を有する直鎖状または分岐鎖状のアルキル基のことである。よって、例えばaが1でありbが6である場合、この用語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチルおよびn-ヘキシルを含む。
【0020】
本明細書で用いられているように、用語「二価の(Ca〜Cb)アルキレン基」(ここで、aおよびbは整数である)は、a〜b個の炭素原子と2つの不飽和原子価(unsatisfied valences)を有する飽和炭化水素鎖のことをいう。
【0021】
本明細書で用いられているように、用語「(Ca〜Cb)アルケニル」(ここで、aおよびbは整数である)は、a〜b個の炭素原子を有し、適用可能である場合にEまたはZの立体化学の少なくとも1つの二重結合をする直鎖または分岐鎖状のアルケニル部分のことである。この用語は、例えばビニル、アリル、1-および2-ブテニルおよび2-メチル-2-プロペニルを含む。
【0022】
本明細書で用いられているように、用語「二価の(Ca〜Cb)アルケニレン基」は、a〜b個の炭素原子、少なくとも1つの二重結合および2つの不飽和原子価を有する炭化水素鎖のことである。
【0023】
本明細書で用いられているように、用語「Ca〜Cbアルキニル」(ここで、aおよびbは整数である)は、a〜b個の炭素原子を有し、さらに1つの三重結合を有する直鎖または分岐鎖状の炭化水素基のことである。この用語は、例えばエチニル、1-プロピニル、1-および2-ブチニル、2-メチル-2-プロピニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニルおよび5-ヘキシニルを含む。
【0024】
本明細書で用いられているように、用語「二価の(Ca〜Cb)アルキニレン基」(ここで、aおよびbは整数である)は、a〜b個の炭素原子および少なくとも1つの三重結合を有する二価の炭化水素鎖である。
【0025】
本明細書で用いられているように、用語「炭素環式」は、全て炭素の16個までの環原子を有する単環式、二環式または三環式の基のことであり、アリールおよびシクロアルキルを含む。
【0026】
本明細書で用いられているように、用語「シクロアルキル」は、3〜8個の炭素原子を有する単環式の飽和炭素環式基のことであり、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを含む。
【0027】
本明細書で用いる場合、限定されていない用語「アリール」は、単環式、二環式または三環式の炭素環式芳香族基のことであり、共有結合により直接連結された2つの単環式の炭素環式芳香族環を有する基を含む。このような基の例は、フェニル、ビフェニルおよびナフチルである。
【0028】
本明細書で用いる場合、限定されていない用語「ヘテロアリール」は、S、NおよびOから選択される1または複数のヘテロ原子を含む単環式、二環式または三環式の芳香族基のことであり、そのような単環式環を2つ有する基、またはそのような単環式環1つと1つの単環式アリール環とが共有結合により直接連結された基を含む。そのような基の例は、チエニル、ベンズチエニル、フリル、ベンズフリル、ピロリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンズチアゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、ベンズオキサゾリル、イソキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ベンズトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリルおよびインダゾリルである。
【0029】
本明細書で用いられているように、限定されていない用語「ヘテロシクリル」または「複素環式」は、上記で定義される「ヘテロアリール」を含み、その非芳香族の意味は、S、NおよびOから選択される1または複数のヘテロ原子を含む単環式、二環式または三環式の非芳香族基、およびこのような1または複数のへテロ原子を含む単環式の非芳香族基からなり、該非芳香族基が別のそのような基または単環式の炭素環式基に共有結合した基に関する。そのような基の例は、ピロリル、フラニル、チエニル、ピペリジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピロリジニル、ピリミジニル、ピペラジニル、インドリル、モルホリニル、ベンズフラニル、ピラニル、イソキサゾリル、ベンズイミダゾリル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル、マレイミドおよびスクシンイミド基である。
【0030】
「二価のフェニレン、ピリジニレン、ピリミジニレンまたはピラジニレン基」は、2つの不飽和原子価を有するベンゼン、ピリジン、ピリミジンまたはピラジン環であり、1,3-フェニレン、1,4-フェニレンおよび以下のものを含む。
【化2】

【0031】
その用語を用いるときの関係において特に言及しない限りは、いずれの分子に適用される用語「置換」は、4つまでの適合性の置換基で置換されることを意味する。該置換基はそれぞれ独立して、例えば(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1〜C6)アルキル、メルカプト、メルカプト(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルキルチオ、フェニル、ハロ (フルオロ、ブロモおよびクロロを含む)、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ニトロ、ニトリル(-CN)、オキソ、-COOH、-COORA、-CORA、-SO2RA、-CONH2、-SO2NH2、-CONHRA、-SO2NHRA、-CONRARB、-SO2NRARB、-NH2、-NHRA、-NRARB、-OCONH2、-OCONHRA、-OCONRARB、-NHCORA、-NHCOORA、-NRBCOORA、-NHSO2ORA、-NRBSO2OH、-NRBSO2ORA、-NHCONH2、-NRACONH2、-NHCONHRB、-NRACONHRB、-NHCONRARB、または-NRACONRARB(ここで、RAおよびRBは独立して(C1〜C6)アルキル、(C3〜C6)シクロアルキル、フェニルまたは5もしくは6個の環原子を有する単環式ヘテロアリールである)であるか、またはRAおよびRBが同一の窒素原子に結合している場合には、環式アミノ基(例えば、モルホリノ、ピペリジニル、ピペラジニルまたはテトラヒドロピロリル)を形成する。「任意の置換基」は、上記の置換基の1つであり得る。
【0032】
用語「天然または非天然のアルファアミノ酸の側鎖」は、式NH2-CH(RY)-COOHの天然または非天然アミノ酸中の基RYのことをいう。
【0033】
天然のアルファアミノ酸の側鎖の例は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、グルタミン酸、ヒスチジン、5-ヒドロキシリジン、4-ヒドロキシプロリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、α-アミノアジピン酸、α-アミノ-n-酪酸、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、ホモセリン、α-メチルセリン、オルニチン、ピペコリン酸およびチロキシンのものを含む。
【0034】
その特徴的な側鎖に官能性置換基、例えばアミノ、カルボキシル、ヒドロキシ、メルカプト、グアニジル、イミダゾリルまたはインドリル基を含む天然のアルファ-アミノ酸は、アルギニン、リジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、トリプトファン、ヒスチジン、セリン、スレオニン、チロシンおよびシステインを含む。本発明の化合物においてR2またはR3がこれらの側鎖の1つである場合、官能性置換基は、任意に保護され得る。
【0035】
天然のアルファ-アミノ酸の側鎖における官能性置換基の関係において用いる場合、用語「保護された(る)」は、実質的に非官能性であるこのような置換基の誘導体を意味する。例えば、カルボキシ基はエステル化でき(例えばC1〜C6アルキルエステルとして)、アミノ基はアミド(例えば、NHCOC1〜C6アルキルアミドとして)またはカルバメート(例えばNHC(=O)OC1〜C6アルキルまたはNHC(=O)OCH2Phカルバメートとして)に変換でき、ヒドロキシ基は、エーテル(例えばOC1〜C6アルキルまたはO(C1〜C6アルキル)フェニルエーテル)またはエステル(例えばOC(=O)C1〜C6アルキルエステル)に変換でき、チオール基は、チオエーテル(例えばtert-ブチルまたはベンジルチオエーテル)またはチオエステル(例えばSC(=O)C1〜C6アルキルチオエステル)に変換できる。
【0036】
非天然アルファアミノ酸の側鎖の例は、本発明の化合物で用いるための適切なR2およびR3基の説明において以下に述べるものを含む。
【0037】
本明細書で用いる場合、用語「塩」は、塩基付加塩、酸付加塩および第4級塩を含む。酸性である本発明の化合物は、医薬的に許容される塩を含む塩を、例えばアルカリ金属水酸化物、例えば水酸化ナトリウムおよびカリウム;アルカリ土類金属水酸化物、例えば水酸化カルシウム、バリウムおよびマグネシウムのような塩基と;例えばN-メチル-D-グルカミン、コリントリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、L-アルギニン、L-リジン、N-エチルピペリジン、ジベンジルアミンのような有機塩基と形成できる。塩基性であるこれらの化合物(IA)または(IB)は、医薬的に許容される塩を含む塩を、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩化水素酸または臭化水素酸、硫酸、硝酸またはリン酸などの無機酸と、酢酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、グルタミン酸、乳酸およびマンデル酸などの有機酸とともに形成できる。適切な塩の総説のために、StahlおよびWermuthによるHandbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use (Wiley-VCH, Weinheim, Germany, 2002)を参照されたい。
【0038】
本発明の化合物類は、水和物または溶媒和物の形態、またはある構造の場合N-オキシドの形態で回収でき、かつそのような形態は、非水和物、非溶媒和物または非N-オキシドの形態の活性を有することが期待される。
【0039】
用語「溶媒和物」は、本明細書で用いられる場合、本発明の化合物と、1または複数の医薬的に許容される溶媒分子、例えばエタノールの化学量論量とを含む分子複合体のことである。用語「水和物」は、該溶媒が水のときに用いられる。
【0040】
不斉炭素原子の存在のために1または複数の実際のまたは潜在的なキラル中心を含む本発明の化合物は、鏡像異性体または各キラル中心にてRもしくはSの立体化学を有するいくつかのジアステレオ異性体として存在し得る。本発明は、全てのこのような鏡像異性体およびジアステレオマー、並びにその混合物を含む。
【0041】
上記のように、本発明のエステルは、細胞内エステラーゼにより、カルボン酸に変換される。エステルおよびカルボン酸はともに、それ自体でIKK-βキナーゼ阻害活性を有し得る。よって、本発明の化合物は、エステルだけでなく、対応するカルボン酸加水分解生成物も含む。
【0042】
本発明の化合物類において、可変の置換基および基は、これから詳細に論じられる。
【0043】
置換基R7
R7は、水素または任意に置換されていてもよい(C1〜C6)アルキル、例えばメチル、エチルまたはn-もしくはイソ-プロピルである。目下のところ、R7が水素である場合が好ましい。
【0044】
環Aまたは環系A
環Aは、原子5〜13の二価の任意に置換されていてもよい二価のアリールまたはヘテロアリール、例えば二価のフェニレン、ピリジニレン、ピリミジニレンまたはピラジニレン基である。目下のところ、1,3-フェニレンが好ましい。
【0045】
基 -Y−L1−X1−[CH2]z
この基(または結合手)は、アミノ酸エステルモチーフR1R2R3CNH-を、環系Aに連結する際に選択される具体的な化学的方策から生じる。この結合のための化学的方策は、明らかに、広く変動可能であり、可変部Y、L1、X1およびzの多くの組み合わせが可能である。アミノ酸エステルモチーフと環系Aとの間の連結化学を構成する可変部の厳密な組み合わせは、全体としての化合物の最初の結合形態とはしばしば無関係である。一方、連結化学は、酵素とのさらなる結合相互作用を獲得する場合がある。
【0046】
アミノ酸エステルモチーフの利点(細胞内への侵入、細胞内でのエステラーゼ加水分解、および活性なカルボン酸加水分解産物の細胞内での蓄積が容易)は、アミノ酸エステルモチーフと環系Aとの間の連結が、細胞内のペプチダーゼ活性(分子からのアミノ酸の切断をもたらし得る)の基質でない場合に、最もよく成就されることにも注目すべきである。もちろん、細胞内ペプチダーゼへの耐性は、化合物を、破砕細胞内容物とインキュベートし、いずれかのこのような切断を分析することにより容易に試験される。
【0047】
上記の一般的な考察を念頭において、基-Y-L1-X1-[CH2]z-を構成する可変部を順番に挙げる:
zは、0または1であり得、よって、環系Aに連結するメチレン基は任意である;
マクロファージ選択性が要求されない場合のYの好ましい具体例は、-(C=O)-、-(C=O)NH-、および-(C=O)O-である。マクロファージ選択性が要求される場合は、Yが結合手である場合を含む、Yについてのいずれのその他の選択肢が適切である。
【0048】
基L1において、存在する場合、Alk1およびAlk2基の例は:
-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH=CH-、-CH=CHCH2-、-CH2CH=CH-、CH2CH=CHCH2-C≡C-、-C≡CCH2-、CH2C≡C-、およびCH2C≡CCH2を含む。Alk1およびAlk2のさらなる例は、-CH2W-、-CH2CH2W-、-CH2CH2WCH2-、-CH2CH2WCH(CH3)-、-CH2WCH2CH2-、-CH2WCH2CH2WCH2-、および-WCH2CH2- (式中、Wは、-O-、-S-、-NH-、-N(CH3)-、または-CH2CH2N(CH2CH2OH)CH2-である)を含む。Alk1およびAlk2のさらなる例は、二価のシクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル基を含む。
【0049】
L1において、nが0である場合、この基は炭化水素鎖である(任意に置換されていてもよく、おそらくエーテル、チオエーテルまたはアミノ結合を有する)。現在のところ、L1には任意の置換基は存在しないのが好ましい。mおよびpがともに0である場合、L1は、二価の単環もしくは二環式の5〜13環原子を有する炭素環式または複素環式の基である(任意に置換されていてもよい)。nが1でありかつmおよびpの少なくとも一方が1である場合、L1は、炭化水素鎖、および単環もしくは二環式の5〜13環原子を有する炭素環式または複素環式の基(任意に置換されていてもよい)を含む二価の基である。存在する場合、Qは、例えば、二価のフェニル、ナフチル、シクロプロピル、シクロペンチルもしくはシクロヘキシル基、または単環もしくは二環式の5〜13員環の複素環式基、例えばピペリジニル、ピペラジニル、インドリル、ピリジル、チエニルもしくはピロリル基であり得るが、現在のところ、1,4-フェニレンが好ましい。
【0050】
具体的に、本発明、L1のいくつかの実施形態において、mおよびpは0、かつnは1であり得る。別の実施形態において、nおよびpは0、かつmは1であり得る。さらなる実施形態において、m、nおよびpは全て0であり得る。さらなる実施形態において、mは0であり得、nは1、かつQは単環式の複素環式の基であり得、かつpは0または1であり得る。Alk1およびAlk2は、存在する場合、-CH2-、-CH2CH2-、および-CH2CH2CH2-から選択され、Qは1,4-フェニレンであり得る。
【0051】
基-Y-L1-X1-[CH2]z- の具体例は、-C(=O)-および-C(=O)NH-、ならびに-(CH2)v-、-(CH2)vO-、-C(=O)-(CH2)v-、-C(=O)-(CH2)vO-、-C(=O)-NH-(CH2)w-、-C(=O)-NH-(CH2)wO-、
【化3】

(式中、vは1、2、3または4であり、wは1、2または3である)
を含み、そのような-Y-L1-X1-[CH2]z-は、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2O-、-CH2CH2O-、-CH2CH2CH2O-、-CH2CH2CH2CH2O-、-C(=O)-CH2-、-C(=O)-CH2O-、-C(=O)-NH-CH2-、または-C(=O)-NH-CH2O-である。
【0052】
基R1
本発明の化合物のあるクラスにおいて、R1は、カルボン酸基である。このクラスの化合物は、カルボン酸またはその塩として投与され得るが、これらが、細胞内で、R1がエステル基である対応する化合物に対する細胞内エステラーゼの作用により生じることが好ましい。
【0053】
エステル基R1は、本発明の化合物において、1または複数の細胞内カルボキシルエステラーゼ酵素によりカルボン酸基に加水分解され得るものでなければならない。本発明の化合物のエステル基を対応する酸に加水分解可能な細胞内カルボキシルエステラーゼ酵素は、3つの既知のヒト酵素アイソタイプhCE-1、hCE-2およびhCE-3を含む。これらが主要な酵素であると考えられるが、ビフェニルヒドロラーゼ(BPH)のような他の酵素も、エステルの加水分解において役割を有し得る。通常、カルボキシルエステラーゼが遊離のアミノ酸エステルを親の酸に加水分解するならば、阻害剤に共有的にコンジュゲートされているエステルモチーフも加水分解するであろう。よって、本明細書に記載される破砕細胞アッセイおよび/または単離されたカルボキシルエステラーゼアッセイは、要求される加水分解プロフィールを有するエステルの直接的で、迅速かつ単純な最初のスクリーニングを提供する。この方法で選択されたエステルモチーフは、次いで、選択されたコンジュゲーション化学により阻害剤にコンジュゲートされた場合に、同じカルボキシルエステラーゼアッセイにおいて再アッセイされ、それがそのバックグラウンドにおいてもまだカルボキシルエステラーゼの基質であることが確認される。
【0054】
それらが細胞内カルボキシルエステラーゼ酵素により加水分解可能であるという要件に従って、具体的なエステル基R1の例は、式-(C=O)OR14 (式中、R14は、R8R9R10C- (式中、
(i) R8は、水素、フッ素または任意に置換されていてもよい(C1〜C3)アルキル-(Z1)a-[(C1〜C3)アルキル]b-、または(C2〜C3)アルケニル-(Z1)a-[(C1〜C3)アルキル]b- (式中、aおよびbは、独立して0または1であり、Z1は、-O-、-S-または-NR11- (式中、R11は、水素または(C1〜C3)アルキルである)であり;R9およびR10は、独立して、水素または(C1〜C3)アルキル-であるか;
【0055】
(ii) R8は、水素、または任意に置換されていてもよいR12R13N-(C1〜C3)アルキル- (式中、R12は、水素または(C1〜C3)アルキルであり、R13は、水素または(C1〜C3)アルキルであるか;またはR12およびR13は、それらが結合している窒素と一緒に、任意に置換されていてもよい単環式の5〜6環原子の複素環式環、または二環式の8〜10環原子の複素環式環系を形成する)であり、R9およびR10は、独立して水素または(C1〜C3)アルキル-であるか;あるいは
(iii) R8およびR9は、それらが結合する炭素と一緒に、任意に置換されていてもよい単環式の3〜7環原子の炭素環式環、または二環式の8〜10環原子の炭素環式環系を形成し、R10は水素である)である)
のものを含む。
【0056】
上記の(i)、 (ii)および(iii)の場合において、「アルキル」はフルオロアルキルを含む。
【0057】
これらのクラス内で、R10は、しばしば水素である。R14の具体的な例は、メチル、トリフルオロメチル、エチル、n-もしくはイソ-プロピル、n-、sec-もしくはtert-ブチル、シクロヘキシル、アリル、フェニル、ベンジル、2-、3-もしくは4-ピリジルメチル、N-メチルピペリジン-4-イル、テトラヒドロフラン-3-イルまたはメトキシエチル、インダニル、ノルボルニル、ジメチルアミノメチルまたはモルホリノエチルを含む。目下のところ、好ましいものは、R14がシクロペンチルであるものである。
【0058】
マクロファージは、サイトカイン、特にTNFαおよびIL-1の放出により炎症性障害において重要な役割を演じていることが知られている(van Roonら、Arthritis and Rheumatism、2003、1229〜1238)。リウマチ性関節炎において、これらは、関節の炎症および関節の破壊の維持に主に寄与する。マクロファージは、腫瘍の成長および発達にも関与する(NaldiniおよびCarraro, Curr Drug Targets Inflamm Allergy, 2005, 3〜8)。よって、マクロファージ細胞増殖を選択的に標的にする薬剤は、癌および自己免疫疾患の治療において価値があるだろう。特定の細胞のタイプを標的することは、副作用の低減を導くことが期待される。
【0059】
本発明者らは、IKK阻害剤を、マクロファージおよび骨髄単核細胞系、例えば単核細胞、破骨細胞および樹状細胞に由来する他の細胞を標的にさせる方法を見いだした。これは、エステラーゼモチーフがIKKキナーゼ阻害剤に結合する様式が、それが加水分解されるかを決定し、よって、それが異なる細胞のタイプにおいて蓄積するか否かを決定するという観察に基づく。具体的には、マクロファージと骨髄単核細胞関連の他のタイプの細胞が、ヒトカルボキシルエステラーゼhCE-1を含有するが、それを他のタイプの細胞は含有しないことが見出されている。一般式(IA)または(IB)において、エステラーゼモチーフR1C(R2)(R3)NH-の窒素がカルボニル(-C(=O)-)に直接連結していない場合、すなわちYが-C(=O)、-C(=O)O-または-C(=O)NR3-基でない場合、このエステルは、hCE-1のみによって加水分解され、よって、阻害剤は、マクロファージ関連細胞内のみに選択的に蓄積する。本明細書中、「単核細胞」と特定しない限り、用語マクロファージまたはマクロファージ類は、マクロファージ類(腫瘍関連マクロファージ類を含む)および/または単核細胞類のことをいうために用いられる。
【0060】
置換基R2およびR3
置換基R2およびR3は、α,α-2置換グリシンまたはα,α-2置換グリシンエステルのα-置換基として見なされ得る。それゆえ、これらの置換基は、グリシン以外の天然または非天然アルファ-アミノ酸の側鎖であり得、そのような側鎖においてあらゆる官能基は保護され得る。
【0061】
例えば、R2およびR3の例は、フェニルおよび式-CRaRbRcの基
(式中:
Ra、RbおよびRcのそれぞれは独立して、水素、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、フェニル(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキルであるか;
Rcは水素であり、RaおよびRbは独立して、フェニルまたはピリジルのようなヘテロアリールであるか;
Rcは、水素、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、フェニル(C1〜C6)アルキルまたは(C3〜C8)シクロアルキルであり、RaおよびRbは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3〜8員のシクロアルキルまたは5〜6員の複素環を形成するか;Ra、RbおよびRcは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3環式の環(例えばアダマンチル)を形成するか;
【0062】
RaおよびRbはそれぞれ独立して、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、フェニル(C1〜C6)アルキル、またはRcについて以下で定義される水素以外の基であるか、またはRaおよびRbはそれらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルキルまたは複素環を形成し、Rcは水素、-OH、-SH、ハロゲン、-CN、-CO2H、(C1〜C4)ペルフルオロアルキル、-CH2OH、-O(C1〜C6)アルキル、-O(C2〜C6)アルケニル、-S(C1〜C6)アルキル、-SO(C1〜C6)アルキル、-SO2(C1〜C6)アルキル、-S(C2〜C6)アルケニル、-SO(C2〜C6)アルケニル、-SO2(C2〜C6)アルケニルまたは基-Q-W (式中、Qは結合手または-O-、-S-、-SO-またはSO2-を表し、Wはフェニル、フェニルアルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、(C3〜C8)シクロアルキルアルキル、(C4〜C8)シクロアルケニル、(C4〜C8)シクロアルケニルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル基を表し、基Wは、ヒドロキシ、ハロゲン、-CN、-CONH2、-CONH(C1〜C6)アルキル、-CONH(C1〜C6アルキル)2、-CHO、-CH2OH、(C1〜C4)ペルフルオロアルキル、-O(C1〜C6)アルキル、-S(C1〜C6)アルキル、-SO(C1〜C6)アルキル、-SO2(C1〜C6)アルキル、-NO2、-NH2、-NH(C1〜C6)アルキル、-N((C1〜C6)アルキル)2、-NHCO(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、(C3〜C8)シクロアルキル、(C4〜C8)シクロアルケニル、フェニルもしくはベンジルから独立して選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい)を含む。
【0063】
あるいは、置換基R2およびR3は、それらが結合している炭素と一緒になって、シクロプロピル、シクロペンチルもしくはシクロヘキシル環のような3〜6員の飽和スピロシクロ環、又はピペリジン-4-イル環のようなスピロヘテロシクリル環を形成
し得る。
【0064】
ある場合に、置換基R2およびR3の少なくとも一つはC1〜C6アルキル置換基、例えばメチル、エチル又はn-もしくはイソ-プロピルである。
【0065】
いくつかの実施形態において、置換基R2およびR3の一方はC1〜C6アルキル置換基、例えばメチル、エチル又はn-もしくはイソ-プロピルであり、他方はメチル、エチル、n-およびイソ-プロピル、n-、sec-およびtert-ブチル、フェニル、ベンジル、チエニル、シクロヘキシルならびにシクロヘキシルメチルからなる群から選択される。
【0066】
特定の事例において、置換基R2およびR3はそれぞれメチルである。
【0067】
全身投与される本発明の化合物について、カルボキシルエステラーゼ切断の速度が遅いエステルが好ましい。なぜなら、それらは、前全身性(pre-systemic)代謝に、より影響を受けにくいからである。よって、それらの標的組織に無傷で到達するそれらの能力は増加し、エステルは標的組織の細胞の内部で酸生成物に変換され得る。しかし、エステルが標的組織に直接用いられるかまたは指向される局所投与に対しては、全身への曝露、よって望ましくない副作用を最小限にするために、エステルのエステラーゼ切断速度が迅速であることがしばしば望ましい。本発明の化合物において、アルファアミノ酸エステルのアルファ炭素に隣接する炭素が1置換されている場合、すなわちR2がCH2Rz (Rzは1置換基である)である場合、このエステルは、R2およびR3が例えばフェニルまたはシクロヘキシルまたは一緒になって環を形成している場合のように炭素が2または3置換されている場合よりも、より迅速に切断される傾向にある。
【0068】
上記のように、本発明に関する化合物は、IKK、特にIKK-βキナーゼ活性の阻害剤であり、したがってIKK活性およびNF-κBカスケードにより調節される疾患の治療において有用である。そのような疾患は、腫瘍性/増殖性、免疫性および炎症性疾患を含む。特に、本発明の化合物の使用は、肝細胞癌またはメラノーマのような癌だけでなく、腸癌、 卵巣癌、頭頸部癌および子宮頸部の扁平上皮癌、胃もしくは肺の癌、未分化希突起グリオーマ、多形性膠芽腫もしくは髄芽腫のような癌の治療;ならびにリウマチ性関節炎、乾癬、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息、多発性硬化症、糖尿病、アトピー性皮膚炎、移植対宿主病もしくは全身性狼瘡紅斑、代謝性疾患、例えばII型糖尿病または神経系疾患、例えばアルツハイマー病をも含む。
【0069】
本発明に係る化合物は、それらの薬物動態学的特性に矛盾しないいずれの経路による投与のために製造できる。経口投与可能な組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、ロゼンジ、液剤またはゲル製剤の形であり得、例えば経口、局所もしくは滅菌非経口の溶液または懸濁液の形であり得る。
【0070】
経口投与のための錠剤およびカプセル剤は、単位用量提示形態(unit dose presentation form)であり得、通常の賦形剤、例えば結合剤、例えばシロップ、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントまたはポリビニルピロリドン;充填剤、例えばラクトース、ショ糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシン;打錠滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、またはシリカ;崩壊剤、例えばバレイショデンプン、あるいは許容される湿潤剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムを含有し得る。錠剤は、通常の製薬のプラクティスにおいて公知の方法に従って被覆できる。
【0071】
経口の液体製剤は、例えば水性もしくは油性の懸濁剤、液剤、乳剤、シロップまたはエリキシル剤の形であり得るか、あるいは使用前に水またはその他の適切なビヒクルを用いる再構成のための乾燥物質であり得る。このような液体製剤は、通常の添加剤、例えば懸濁剤、例えばソルビトール、シロップ、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン硬化食用油;乳化剤、例えばレクチン、ソルビタンモノオレエート、またはアカシア;非水性ビヒクル(食用油を含み得る)、例えばアーモンド油、ヤシ油、油状エステル、例えばグリセリン、プロピレングリコールまたはエチルアルコール;防腐剤、例えばメチルもしくはプロピルp-ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸、並びに所望により通常の矯味矯臭剤または着色剤を含み得る。
【0072】
皮膚への局所的な塗布のために、薬剤は、クリーム、ローションまたは軟膏剤として製造できる。薬剤に使用し得るクリームまたは軟膏の製剤は、例えば英国薬局方のような製薬の標準的な参考書に記載されるような当該技術における通常の製剤である。
【0073】
本発明の化合物は、吸入剤の形態で投与され得る。エアロゾルの生成は、例えば加圧式噴霧器または超音波噴霧器を用いて行うことができ、噴射剤式定量エアロゾル、または噴射剤なしで例えば吸入カプセルもしくはその他の「乾燥粉末」送達システムからの微細化された活性化合物を投与するのが好ましい。
【0074】
活性化合物は、用いられる吸入システムに記載されているような量で投与される。活性化合物に加えて、投与形態は、例えば噴射剤(定量エアロゾルの場合、例えばフリゲン(Frigen))、界面活性物質、乳化剤、安定化剤、保存剤、香料、充填剤(粉末吸入の場合、例えばラクトース)のような賦形剤、あるいは適当ならば他の活性化合物をさらに含んでいてもよい。
【0075】
吸入目的のために、患者に適した吸入技術を用いて、最適粒径のエアロゾルが生成され、投与され得る多くのシステムが入手可能である。定量エアロゾル用には、アダプター(スペーサー、エクスパンダー)および洋梨型の容器(pear-shaped containers)(例えば、Nebulator(登録商標)、Volumatic(登録商標))ならびに噴射スプレーを噴出する自動器具(Autohaler(登録商標))の使用に加えて、特に粉末吸入の場合には、多くの技術的な解決方法 (例えば、Diskhaler(登録商標)、Rotadisk(登録商標)、Turbohaler(登録商標)またはEP-A-0505321に記載のインヘイラー) が利用可能である。
【0076】
眼への局所適用のために、適当な無菌の水性もしくは非水性の媒体中の溶液または懸濁液に製剤化され得る。添加剤、例えばメタビサルファイトナトリウムまたはエデト酸2ナトリウムのような緩衝剤;フェニル酢酸水銀もしくはナイトレート、塩化ベンザルコニウムまたはクロルヘキシジンのような殺菌剤を含む保存剤、およびヒプロメロースのような濃稠化剤も含まれ得る。
【0077】
活性成分は、無菌媒体中で非経口的にも投与され得る。用いられる媒体および濃度により、医薬は媒体中に懸濁または溶解され得る。有利には、局所麻酔剤、保存剤および緩衝剤のようなアジュバントが媒体中に溶解され得る。
【0078】
本発明の化合物は、多くの医薬的に活性な公知の物質と組み合わせて用いられ得る。例えば、本発明の化合物は、細胞障害物質、HDAC阻害剤、キナーゼ阻害剤、アミノペプチダーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、bcl-2 アンタゴニスト、mTorの阻害剤およびモノクロナル抗体(例えば成長因子レセプタに向けられたもの)とともに用いられ得る。好ましい細胞障害物質は、例えばタキサン類、プラチン類、5-フルオラシルのような抗代謝剤、トポイソメラーゼ阻害剤などを含む。式(IA)または(IB)のアミノ酸誘導体、その互変異性体またはそれらの医薬的に許容される塩、N-オキサイド、水和物もしくは溶媒和物を含む本発明の医薬は、したがって典型的には細胞障害物質、HDAC阻害剤、キナーゼ阻害剤、アミノペプチダーゼ阻害剤および/またはモノクローナル抗体をさらに含む。
【0079】
さらに、本発明は、次の:
(a) 式 (IA)または(IB)のアミノ酸誘導体またはその医薬的に許容な塩、N−オキシド、水和物もしくは溶媒和物;
(b) 細胞障害剤、HDAC阻害剤、キナーゼ阻害剤、アミノペプチダーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、bcl-2 アンタゴニスト、mTorの阻害剤および/またはモノクロナル抗体;ならびに
(c) 医薬的に許容される担体または希釈剤
を含む医薬組成物を提供する。
【0080】
また、次の:
(a) 式 (IA)または(IB)のアミノ酸誘導体またはその医薬的に許容な塩、N−オキシド、水和物もしくは溶媒和物;ならびに
(b) 細胞障害剤、HDAC阻害剤、キナーゼ阻害剤、アミノペプチダーゼ阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、bcl-2 アンタゴニスト、mTorの阻害剤および/またはモノクロナル抗体;
を含む、ヒトまたは動物の治療において、別々に、同時にもしくは連続して用いられるための製品も提供される。
合成
本発明に係る化合物(I)の合成のために多数の合成方策があるが、それらは全て、合成有機化学者に知られる既知の化学に基づく。よって、式(I)の化合物は、標準的な文献に記載され、かつ当業者に公知の手順に従って合成できる。典型的な文献の出典は、"Advanced organic chemistry", 第4版(Wiley), J March、"Comprehensive Organic Transformation", 第2版(Wiley), R.C. Larock、"Handbook of Heterocyclic Chemistry", 第2版(Pergamon), A.R. Katritzky)、"Synthesis"、"Acc. Chem. Res."、"Chem. Rev"に見出される総説文献、またはオンラインの標準的な文献検索もしくは"Chemical Abstracts"もしくは"Beilstein"のような二次的な出典により同定される一次的な文献の出典である。
【0081】
本発明の化合物は、以下に一般的に、そして以下の実施例により具体的に記載されるいくつかの方法により調製され得る。以下に記載される反応において、反応性官能基、例えばヒドロキシ、アミノおよびカルボキシ基を、最終生成物においてそれらが所望される場合に保護して、それらの望ましくない反応への参加を避ける必要があろう[例えばGreene,T.W., "Protecting Groups in Organic Synthesis", John Wiley and Sons, 1999を参照されたい]。通常の保護基は、標準的なプラクティスに従って用いられ得る。一般式(I)の化合物の合成における最終工程が脱保護である場合があり、以下の本明細書に記載される本発明による方法は、保護基のそのような除去に拡張されると理解される。
【0082】
上記のとおり、本発明が関する化合物類は、IκB 群、すなわちIKK-αおよびIKK-βの阻害剤であり、それ故、ヒトおよび他の哺乳類における細胞増殖性疾患、例えば癌の治療および炎症の治療において用いられる。
略語
MeOH=メタノール
EtOH=エタノール
EtOAc=酢酸エチル
DCM=ジクロロメタン
DIBAL=水素化ジイソブチルアルミニウム
DMF=ジメチルホルムアミド
【0083】
DME=1,2-ジメトキシエタン
DMSO=ジメチルスルホキサイド
DMAP=4-ジメチルアミノピリジン
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
Na2CO3=炭酸ナトリウム
HCl=塩酸
DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン
LiHMDS=リチウムビス(トリメチルシリル)アミド
【0084】
MP-CNBH3=マクロ細孔性トリエチルアンモニウムメチルポリスチレンシアノボロヒドリド
NaH=水素化ナトリウム
NaOH=水酸化ナトリウム
NaHCO3=炭酸水素ナトリウム
Pd/C=パラジウム炭素
PdCl2(dppf)=[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)
EDCI=1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
KOAc=酢酸カリウム
【0085】
TBAI=ヨウ化テトラブチルアンモニウム
ml=ミリリットル
g=グラム
mg=ミリグラム
mol=モル
mmol=ミリモル
Sat=飽和
LCMS=高速液体クロマトグラフィー/質量分析法
NMR=核磁気共鳴
RT=室温
【0086】
市販の試薬および溶媒(HPLCグレード)は、さらに精製せずに用いた。Buchiロータリーエバポレーターを用いて溶媒を除去した。マイクロ波照射は、300WにセットしたCEM Discoveryモデルを用いて行った。フラッシュクロマトグラフィカラムによる化合物類の精製は、Fluorochemから入手した粒径40〜63μm(230〜400メッシュ)のシリカゲルを用いて行った。
【0087】
分取HPLCによる化合物の精製は、逆相Agilent prep-C18カラム(5μm, 50×21.2 mm)を用い、10分間に亘る、勾配0〜100% B (A=水/ 0.1% アンモニアまたは0.1%ギ酸およびB=アセトニトリル/ 0.1%アンモニアまたは0.1%ギ酸)、流量=28 ml/分、254 nmでのUV検出を用いるAgilent prep システムにより行った。
【0088】
1H NMR スペクトルは重水素化溶媒中、Bruker 400または300 MHz AV スペクトロメーターで記録した。ケミカルシフト(δ)は、百万分率(ppm)である。薄層クロマトグラフィー(TLC)分析は、Kieselgel 60 F254 (Merck)プレートで、UV光を用い可視化して行った。
【0089】
分析HPLC/MSは次のようにして得られた:Agilent Prep-C18 Scalarカラム、5μm (4.6×50 mm、流速2.5 ml/分)、7分に亘り、0.1% v/vギ酸含有H2O-MeCN勾配で溶出し、254 nmにおけるUV検出を用いた。
【0090】
勾配情報:0.0〜0.5 分:95% H2O-5% MeCN;0.5〜5.0分:95% H2O-5% MeCN〜5% H2O-95% MeCNの勾配;5.0〜5.5分: 5% H2O-95% MeCNで保持;5.5〜5.6 分: 5% H2O-95% MeCNで保持、3.5 ml/分まで流速を上げる;5.6〜6.6分: 5% H2O-95% MeCNで保持、流速3.5 ml/分;6.6〜6.75分:95% H2O-5% MeCNに戻す、流速 3.5 ml/分;6.75〜6.9 分:95% H2O-5% MeCNで保持、流速3.5 ml/分;6.9〜7.0分:95% H2O-5% MeCNで保持、2.5 ml/分まで流速を下げる。
【0091】
マススペクトルは、ポジティブ(APCI + ESI+)モードまたはネガティブ(APCI + ESI-)モードのいずれでも、Agilent multimode sourceを用いて得た。
【0092】
一般式(IA)および(IB)の化合物の合成に採用され得る方法の実施例が以下に記載されるが、以下のスキーム1〜5に示される反応に限定されるものではない。
【0093】
スキーム1は、関連するボロネートエステル(または酸)を、中央のチオフェン中心部(中間体1)とカップリングさせ、対応する中間体2を生じさせる典型的なスズキ化学を用い、以下に記載の実施例の製造のための一般的な合成経路を示す。
【0094】
【化4】

【0095】
スキーム2は、中間体6を、中央のチオフェン中心部(中間体1)とカップリングさせるスズキ化学を用い、実施例3の製造のための合成経路を示す。
【化5】

【0096】
スキーム3は、実施例4の製造に至る合成経路を記載している。
【化6】

【0097】
スキーム4は、実施例6および10の製造に至る合成経路を記載している。
【化7】

【0098】
スキーム5は、実施例7および11の製造に至る合成経路を記載している。
【化8】

【0099】
中間体類
中間体 1:5-ブロモ-2-(カルバモイルアミノ)チオフェン-3-カルボキシアミド
【化9】

スキーム1の工程1〜4により記載されている中間体1の合成は、国際特許出願公報第WO03104218号に詳述されている。
【0100】
中間体 2:2-(カルバモイルアミノ)-5-(3-ホルミルフェニル)チオフェン-3-カルボキシアミド
【化10】

DME (50 ml)中のブロモ-2-(カルバモイルアミノ)チオフェン-3-カルボキシアミド (1.0 g、3.79 mmol)、3-ホルミルフェニルボロン酸(0.625 g、4.17 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.438 g、0.379 mmol)の混合物に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10 ml)を加えた。この反応容器を、窒素でどっと流し、90℃に終夜加熱した。ロータリーエバポレーターを用い、反応混合物を減圧下に濃縮した。合成された暗褐色の残さをDCM (17 ml)に溶解し、2M 水酸化ナトリウム 水溶液(8.5 ml)を用いて20 分間撹拌した。ジエチルエーテル(20 ml)を加え、その混合物をさらに30 分間撹拌した。合成された懸濁液を2分間超音波で処理した。ろ過で得た析出物を、熱ジエチルエーテルで摩砕し、着色固体(440 mg)を得た。
LCMS:m/z 288 [M-H]+, m/z 290 [M+H]+.
【0101】
中間体 3:シクロペンチル 2-メチルアラニエート塩酸塩
【化11】

以下のスキーム6に示した経路を用いて中間体3を合成した。
【化12】

【0102】
工程 1-シクロペンチル N-(tert-ブトキシカルボニル)-2-メチルアラニエート
【化13】

N-(tert-ブトキシカルボニル)-2-メチルアラニン(1.00 g、4.92 mmol)のDCM (10 ml)溶液に、0℃でシクロペンタノール(0.83 ml、9.84 mmol)、EDCI (1.06 g、5.42 mmol)そして最後にDMAP (60 mg、0.49 mmol)を加えた。反応混合物をRTまで温め、18 時間撹拌した。DCMを真空中で除去し、透明な油を得た。この粗製の残渣を、EtOAc (100 ml)に溶解し、水洗し、1M NaHCO3および塩水で洗浄した。有機相を乾燥 (MgSO4) し、真空中で濃縮した。粗製の抽出物をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の10% EtOAc)により精製し、透明な油として所望の生成物(0.254 g、20 %)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ:5.25-5.17 (1H, m), 5.04 (1H, br s), 1.93-1.54 (8H, m), 1.49 (6H, s), 1.45 (9H, s).
【0103】
工程 2-シクロペンチル 2-メチルアラニエート塩酸塩 (中間体 3)
【化14】

シクロペンチル N-(tert-ブトキシカルボニル)-2-メチルアラニエート(0.254 g、0.93 mmol)をTHF (5 ml)に溶解し、4M HCl/ジオキサン(2 ml)で処理し、反応混合物をRTで24時間撹拌した。粗製の混合物を減圧下に濃縮し、Et2Oを用いて摩砕して白色の析出物を得た。これをさらにEt2Oで洗浄し、白色粉末として所望の生成物(0.16 g、82 %)を得た。
1H NMR (300MHz, DMSO-d6)δ:8.58 (3H, br s), 5.21-5.14 (1H, m), 1.93-1.78 (2H, m), 1.74-1.53 (6H, m), 1.45 (6H, s).
【0104】
中間体 4:tert-ブチル 2-メチルアラニエート
【化15】

中間体 4を、以下のスキーム7に示した経路を用いて合成した。
【化16】

【0105】
工程 1-tert-ブチル N-[(べンジルオキシ)カルボニル]-2-メチルアラニエート
【化17】

N-[(べンジルオキシ)カルボニル]-2-メチルアラニン(1 g、4.21 mmol)のDCM (10 ml、無水)溶液に、窒素下に0℃でシクロヘキサン(10 ml)および三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(7μl、触媒)を加えた。次いで、シクロヘキサン(10 ml)中のtert-ブチル 2,2,2-トリクロロアセトイミデート(1.51 ml、8.43 mmol)を、室温に戻させる前に30分間に亘りゆっくり加えた。反応混合物をRTで16 時間撹拌させた。この粗製の反応混合物に、NaHCO3 190 mgを加え、反応混合物をろ過した。母液を真空中で濃縮した。粗製の抽出物をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中10% EtOAc)により精製し、所望の生成物(0.863 g、70%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ:7.39-7.31 (5H, m), 5.46 (1H, br s), 5.10 (2H, s), 1.54 (6H, s), 1.45 (9H, s).
【0106】
工程 2-tert-ブチル 2-メチルアラニエート (中間体 4)
【化18】

tert-ブチル N-[(べンジルオキシ)カルボニル]-2-メチルアラニエート(0.86 mg、2.90 mmol)のEtOAc (20 ml)溶液に、10%パラジウム炭素触媒100 mgを加えた。この混合物を真空にし、水素雰囲気下で18 時間撹拌した、セライト(登録商標)ろ過し、EtOAcで洗浄して真空中で濃縮した。黄色油としてEtOAcの痕跡を含んだ生成物(0.45 mg、96%)を単離した。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ:1.48 (9H, s), 1.32 (6H , s).
【0107】
中間体 5:シクロペンチル 2-アミノ-2-エチルブタノエート塩酸塩
【化19】

スキーム6の合成経路を用い、中間体3と類似の方法で中間体5を製造した。
LCMS:m/z 200 [M+H]+.
【0108】
中間体 6:シクロペンチル N-[3-(ジヒドロキシボリル)ベンゾイル]-2-メチルアラニエート
【化20】

3-カルボキシベンゼンボロン酸(200 mg、1.2 mmol)の無水DCM (15 ml)溶液に、0℃でHOBt (162 mg、1.2mmol)およびEDCI (230 mg、1.2mmol)を加え、この混合物を0℃で20 分間撹拌した。中間体 3 (310 mg、1.81mmol)のDCM (5 ml)溶液を加え、この混合物をRTで4 時間撹拌した。この反応混合物をDCM (10 ml)で希釈し、1M HCl水溶液、1M Na2CO3水溶液および塩水で洗浄した。有機相を乾燥(MgSO4)し、減圧下に濃縮し、白色固体として所望の生成物(198 mg、90%)を得た。
LCMS:m/z 320 [M+H]+.
【0109】
中間体 7:シクロペンチル 2-[(3-ブロモべンジル)アミノ]-2-エチルブタノエート
【化21】

3-ブロモベンズアルデヒド (0.49 g、2.64 mmol)の無水DCM (10 ml)溶液に、窒素下、中間体 5 (0.75 g、3.17 mmol)を加え、この混合物を、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(1.68 g、7.93 mmol)の添加前に20 分間撹拌撹拌した。この反応混合物を室温で終夜撹拌し、次いで水(40 ml)で停止させた。層を分離し、水層をDCMで抽出、合わせた有機層を乾燥(MgSO4)し、ろ過し粗製の生成物を生じさせるために乾燥まで蒸発させた。カラムクロマトグラフィー(50% EtOAc in ヘプタン)による精製が、無色の油として標記化合物(0.5 g、収率52%)を与えた。
LCMS:m/z 369 [M+H]+.
【0110】
中間体 8: シクロペンチル 2-エチル-2-{[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)べンジル]アミノ}ブタノエート
【化22】

シクロペンチル 2-[(3-ブロモべンジル)アミノ]-2-エチルブタノエート (中間体 7) (0.5 g、1.37 mmol)を、DMSO (10 ml)に溶解し、ビス(ピナコラート)ジボロン(0.52 g、2.06 mmol)を加え、続いてPdCl2(dppf) (0.056 g、0.07 mmol)および酢酸カリウム(0.2 g、2.06 mmol)を加えた。この混合物を65℃で3 時間加熱した。反応混合物をRTに冷却し、EtOAc (20 ml)および水(20 ml)の間で分配した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、真空中で濃縮して褐色油が残った。カラムクロマトグラフィー(ヘプタン中の50% EtOAc)による精製は、黄色油として標記化合物(0.32 g、収率58%)を与えた。
LCMS:m/z 416 [M+H]+.
【0111】
中間体 9:シクロペンチル N-(4-ブロモべンジル)-2-メチルアラニエート
【化23】

4-ブロモベンズアルデヒドおよび中間体 3を用いて、中間体 7と類似の手法で中間体 9を製造した。
LCMS:m/z 341 [M+H]+.
【0112】
中間体 10:シクロペンチル 2-メチル-N-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)べンジル]アラニエート
【化24】

中間体 9を用い、中間体 8と類似の方法に従って中間体 10を製造した。
LCMS:m/z 388 [M+H]+.
【0113】
中間体 11:(3-ブロモフェニル)アセトアルデヒド
【化25】

2-(3-ブロモフェニル)エタノール(4.9 g、24.4 mmol)のDCM (20 ml)溶液に、0 ℃でDess Martinペルヨージナン(10.8 g、25 mmol)を加え、この混合物をRTまで温めて終夜撹拌した。その反応混合物をDCM (100 ml)で希釈し、飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(100 ml)および飽和NaHCO3水溶液(100 ml)とともに撹拌した。層を分離し、有機層を乾燥(MgSO4)し、ろ過して減圧下に蒸発させ、橙色の油として粗製の生成物(4.07 g、84%)が残った。この生成物をさらに精製せずに用いた。
LCMS:m/z 200 [M+H]+.
【0114】
中間体 12:シクロペンチル N-[2-(3-ブロモフェニル)エチル]-2-メチルアラニエート
【化26】

中間体 7のための類似の方法に従って中間体3 および 11から中間体 12を製造した。
LCMS:m/z 355 [M+H]+.
【0115】
中間体 13:シクロペンチル 2-メチル-N-{2-[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]エチル}アラニエート
【化27】

中間体 8のための類似の方法に従って中間体 12から中間体 13を製造した。
LCMS:m/z 424 [M+Na].
【0116】
中間体 14:(6-ブロモ-2-ナフチル)メタノール
【化28】

6-ブロモ-2-ナフトエ酸(1g、3.98mmol)のTHF (20ml)溶液に、0℃で、2M ボラン硫化ジメチルのTHF溶液(0.53 ml、5.97 mmol)を少しずつ加えた。この混合物をRTまで温め、終夜撹拌した。この反応混合物を0℃に冷却し、MeOHを加えた。この溶液を減圧化に濃縮した。粗製の生成物をカラムクロマトグラフィー(ヘプタン中のEtOAc)により精製して標記化合物(0.4 g、89%)をえた。
LCMS:m/z 238 [M+H]+.
【0117】
中間体 15:6-ブロモ-2-ナフトアルデヒド
【化29】

(6-ブロモ-2-ナフチル)メタノール(中間体 14) (0.84 g、3.56mmol)の溶液に、酸化マンガン(2.29 g、26.45 mmol)を加え、この懸濁液をRTで48 時間撹拌した。反応混合物をセライトのパッドを通してろ過し、減圧下に濃縮した。生成物(0.8 g、95%)を精製せずに用いた。
LCMS:m/z 236 [M+H]+.
【0118】
中間体 16:シクロペンチル N-[(6-ブロモ-2-ナフチル)メチル]-2-メチルアラニエート
【化30】

中間体 7のための類似の方法に従って中間体 3から中間体 16を製造した。
LCMS:m/z 391 [M+H]+.
【0119】
中間体 17:シクロペンチル 2-メチル-N-{[6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2-ナフチル]メチル}アラニエート
【化31】

中間体 8のための類似の方法に従って中間体 16から中間体 17を製造した。
LCMS:m/z 438 [M+H]+.
【実施例】
【0120】
実施例
以下の実施例は、本発明の具体的な製造およびそのIKK阻害特性を説明する。
【0121】
実施例 1:シクロペンチル N-{3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]べンジル}-2-メチルアラニエート
【化32】

2-(カルバモイルアミノ)-5-(3-ホルミルフェニル)チオフェン-3-カルボキシアミド(中間体 2) (0.24 g、0.83 mmol)の無水テトラヒドロフラン (8 ml)溶液に、窒素下、中間体 3 (0.197 g、1.24 mmol)を加え、この混合物を、トリアセトキン水素化ホウ素ナトリウム(0.528 g、2.49 mmol)の添加前に20 分間撹拌放置した。この反応混合物を室温で終夜撹拌した。この反応を水で停止させた。テトラヒドロフランを減圧下に除去し、生成物をジクロロメタン(2×20 ml)で抽出した。有機層を合わせ、乾燥(MgSO4)し、ろ過し、蒸発乾固させたて粗製の生成物を得た。分取HPLCによる精製で標記化合物 (50 mg)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ:7.74 - 7.67 (2H, m), 7.61 (1H, s), 7.53-7.44 (1H, m), 7.42-7.36 (1H, m), 5.40-5.32 (1H, m), 4.23 (2H, s), 2.02-1.69 (8H, m), 1.67 (6H, s). LCMS:m/z 445 [M+H]+.
【0122】
以下の実施例は、実施例1に類似の手法で製造した。
実施例 2:tert-ブチル N-{3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]べンジル}-2-メチルアラニエート
【化33】

中間体 2 および中間体 4から
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ:7.75-7.68 (2H, m), 7.62 (1H, s), 7.50 (1H, t, J=7.6 Hz), 7.42-7.38 (1H, m), 4.22 (2H, s), 1.66 (6H, s), 1.59 (9H, s).
LCMS:m/z 433 [M+H]+.
【0123】
実施例 3:シクロペンチル N-{3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]ベンゾイル}-2-メチルアラニエート
【化34】

中間体 6 (198 mg、0.62 mmol)のDME (4 ml)溶液に、中間体 1 (136 mg、0.51 mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム (0.06 g)を加えた。次いで飽和NaHCO3水溶液 2 mlを加えた。この懸濁液を窒素で脱気し、16 時間加熱還流した。反応混合物をRTに冷却し、水(5 ml)に注ぎ込みEtOAcで抽出(2×20 ml)した。合わせた有機層を塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下に濃縮して粗製の生成物を得た。カラムクロマトグラフィー(DCM中4% MeOH)による精製で、薄橙色個体として標記化合物(195 mg、25%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ:7.97 (3H, t, J=1.5 Hz), 7.74-7.69 (1H, m), 7.67-7.60 (2 H, m), 7.44 (1H, t, J=7.8 Hz), 5.21-5.14 (1H, m), 1.89-1.58 (8H, m), 1.55 (6H, s). LCMS:m/z 459 [M+H]+.
【0124】
実施例 4:シクロペンチル 2-({3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]べンジル}アミノ)-2-エチルブタノエート
【化35】

中間体 1 (0.19 g、0.73 mmol)のDME (10 ml)溶液に、窒素下にシクロペンチル 2-エチル-2-{[3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)べンジル]アミノ}ブタノエート (中間体 8) (0.33 g、0.8 mmol)を加え、引き続きPd(PPh3)4 (0.083 g、0.07 mmol)および飽和NaHCO3水溶液(1 ml)を加えた。この反応混合物を80℃で終夜撹拌し、次いでRTに冷却し、EtOAc (40 ml)および水(40 ml)の間で分配した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機抽出物を塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、真空中で濃縮した。分取HPLCによる精製で、黄色油として標記化合物(0.015 g、収率4%)を得た。
1H NMR (300MHz, DMSO-d6) δ:11.04 (1H, s), 9.28 (2H, br s) 7.81-7.68 (3H, m), (7.49-7.38 (3H, m), 6.99 (1H, br s), 5.26 (1H, m), 4.12 (2H, m), 2.01-1.91 (6H, m), 1.71-1.66 (6H, m), 0.94 (6H, t, J=7.3 Hz). LCMS:m/z 473 [M+H]+.
【0125】
実施例5〜7は、実施例4に類似の手法で製造した。
実施例 5:シクロペンチル N-{4-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]べンジル}-2-メチルアラニエート
【化36】

中間体 10および中間体 1から
1H NMR (300MHz, DMSO-d6)δ:11.00 (1H, s), 7.84 (2H, br s), 7.47 (2H, d, J=8.1 Hz), 7.34 (3H, d, J=8.1 Hz), 6.99 (2H, br s), 5.13-5.06 (1H, m), 3.59 (2H, br s), 1.91-1.77 (2H, m), 1.73-1.53 (6H, m),1.26 (6H, s). LCMS:m/z 445 [M+H]+.
【0126】
実施例 6:シクロペンチル N-(2-{3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]フェニル}エチル)-2-メチルアラニエート
【化37】

中間体 1 および中間体 13から
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ:11.00 (1H, s), 7.72 (1H, s), 7.4 (1H, br s), 7.27 - 7.38 (3H, m), 7.07 (1H, d, J=7.3 Hz), 6.95 (2H, br s), 5.01 (1H, s), 2.68 (4H, d, J=5.3 Hz), 1.75 (2H, br. s.), 1.54 (6H, m), 1.16 (6H, s). LCMS:m/z 459 [M+H]+.
【0127】
実施例 7:シクロペンチル N-({6-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]-2-ナフチル}メチル)-2-メチルアラニエート
【化38】

【0128】
中間体 1および中間体 17から
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6)δ:11.04 (1H, br s), 7.98-7.94 (1H, m), 7.92-7.85 (3H, m), 7.80-7.68 (3H, m), 7.51-7.45 (1H, m), 7.35 (1H, br s), 7.02 (2H, br s), 5.14-5.07 (1H, m), 3.75 (2H, m), 1.93-1.77 (2H, m), 1.74-1.52 (6H, m), 1.28 (6H, s). LCMS:m/z 495 [M+H]+.
【0129】
実施例 8:N-{3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]べンジル}-2-メチルアラニン
【化39】

【0130】
実施例 2から
tert-ブチル N-{3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]べンジル}-2-メチルアラニエート (実施例 2) (30 mg、0.07 mmol)のジクロロメタン (1 ml)溶液にトリフルオロ酢酸 (1 ml)を加えた。この反応混合物を室温で終夜撹拌した。溶媒を減圧下に除去し、残渣をジエチルエーテル中で摩砕した。結果として生じた固体をろ取し、減圧下に乾燥した。分取HPLCによる精製で、標記化合物 (17 mg、75%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ:7.74 -7.68 (2H, m), 7.63-7.60 (1H, m), 7.52-7.44 (1H, m), 7.42-7.37 (1H, m), 4.24 (2H, s), 1.70 (6H, s). LCMS:m/z 377 [M+H]+.
【0131】
実施例 9:N-{3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]ベンゾイル}-2-メチルアラニン
【化40】

【0132】
実施例 3から
シクロペンチル N-{3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]ベンゾイル}-2-メチルアラニエート (実施例 3) (194 mg、0.42 mmol)のテトラヒドロフラン (5 ml)溶液に、水酸化リチウム(50 mg、2.11 mmol)の水(5 ml)溶液を加えた。この反応混合物を40℃で終夜撹拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣に水(2 ml)に加えた。pHを1M HCl を用いてpH 5に調整した。析出物をろ取し、減圧化で乾燥する前に、水およびジエチルエーテルで連続的に洗浄した。粗製の生成物を分取HPLCにより精製し標記化合物(33 mg、20%)を得た。
1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ:8.02-7.99 (2H, m), 7.79 -7.64 (2H, m), 7.63 (1H, s), 7.45 (1H, t, J=7.8 Hz), 1.60 (6H, s). LCMS:m/z 781 [2M+H]+.
【0133】
実施例 8に関する同一方法に従って実施例 10および11を製造した。
実施例 10:N-(2-{3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]フェニル}エチル)-2-メチルアラニン
【化41】

【0134】
実施例 6から
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ:11.0 (1H, s), 9.0 (1H, br s), 7.75 (1H, s), 7.65 (1H, s), 7.45 (6H, m), 7.15 (1H, m), 6.96 (2H, m), 3.41 (4H, m),1.50 (6H, s). LCMS:m/z 391 [M+H]+.
【0135】
実施例 11:N-({6-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]-2-ナフチル}メチル)-2-メチルアラニン
【化42】

【0136】
実施例 7から
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ:11.06 (1H, br s), 8.02-7.87 (5H, m), 7.80-7.71 (2H, m), 7.63-7.56 (1H, m), 7.37 (1H, br s), 7.03 (2H, br s), 4.07 (2H, s), 1.39 (6H, s).
【0137】
生物学的活性の測定
IKKβ酵素アッセイ
化合物のIKKβ キナーゼ活性阻害作用を、Invitrogen (Paisley, UK)により行われたッセイにおいて測定した。Z´-LYTE(商標)生化学的アッセイは、蛍光ベースの共役酵素フォーマットを用い、蛋白質分解開裂に対する、リン酸化および非リン酸化ペプチドのディファレンシャル感受性に基づいている。ペプチドの基質は、FRETペアを作る2つの発蛍光団−各末端におけるもの−でラベルされている。
【0138】
最初の反応において、キナーゼはATPのガンマ−ホスフェートを、合成FRET-ペプチドにおける単一のセリンまたはスレオニン残基へ移す。第2の反応において、部位−特異的プロテアーゼは、非リン酸化FRET-ペプチドを認識し、開裂する。FRET-ペプチドのリン酸化は、Development Reagentによる開裂を抑制する。開裂は、FRET-ペプチドのドナー(すなわち、クマリン)発蛍光団とアクセプター(すなわち、フルオレセイン) 発蛍光団との間でFRETを分裂させる。一方、開裂しないリン酸化されたFRET-ペプチドはFRETを維持する。ドナー発蛍光団の400nmにおける励起後のアクセプター発光に対するドナー発光の割合(エミッション比)を計算する放射分析法は、反応の進展を定量化するのに用いられる。
【0139】
最終の10μL キナーゼ反応は、0.9-8.0ng IKBKB (IKKβ)、50mM HEPES pH 7.5中の2μMSer/Thr 05 ペプチドおよびATP、0.01% BRIJ-35、10mM MgCl2、1mM EGTAからなっている。アッセイは、Km またはKmに近いATP濃度で行われる。室温での60 分間のキナーゼ反応インキュベーションの後、5μL の 1:128 希釈のDevelopment Reagentを加える。アッセイプレートを室温でさらに60分間インキュベートし、蛍光プレートリーダーで読み取る。
【0140】
2つのデータポイントを、DMSO中の試験化合物のストック溶液の1/3 log 希釈シリーズから描く。10μMの最高濃度から9段階の希釈を行い、無化合物のブランクを含む。データを集め、IDBS からのXLfit ソフトウェアを用いて、分析した。用量-応答曲線は、モデル番号205 (sigmoidal 用量-応答モデル)に合致する曲線である。描かれた曲線から、50%阻害を与える濃度を決定し、報告する。
【0141】
THP-1 細胞のLPS-刺激
THP-1 細胞を、V-ボトムの 96 ウェル組織培養処理プレートに4×104 細胞/ウェルの密度で100μl置き、5% CO2 中、37℃で16時間インキュベートした。組織培養媒体100μl中に阻害化合物を添加して2時間後、細胞を最終濃度1μg/mlで、 LPS (E coli 005:B5 株, Sigma)で刺激し、5% CO2 中、37℃で6時間インキュベートした。サンドウィッチELISA (R&D Systems #QTA00B)により、TNF-α レベルを細胞非含有上澄液から測定した。
【0142】
ヒト全血のLPS-刺激
ヘパリン処理された吸引器(Becton Dickinson)を用いて、静脈穿刺により採血し、等量のRPMI1640 組織培養媒体(Sigma)中に希釈した。100μlをV-ボトムの96 ウェル組織培養処理プレートに入れた。100μlの RPMI1640媒体中の阻害剤を添加して2時間後、最終濃度100ng/mlで、血液をLPS (E coli 005:B5 株, Sigma)で刺激し、5% CO2 中、37℃で6時間インキュベートした。サンドウィッチELISA (R&D Systems #QTA00B)により、TNF-α レベルを細胞非含有上澄液から測定した。
【0143】
次のようにして、IC50 値を3つの範囲の1つに配分した。
範囲 A: IC50<500nM
範囲 B: 500nM<IC50<1000nM
範囲 C: IC50>1000nM
結果の表
【表1】

【0144】
「NR」は「関連性がない」ことを示す。実施例8〜11は、細胞内で開裂されたアミノ酸エステル類の結果として生じたカルボン酸類似化合物である。これらのカルボン酸が細胞と接触するとき、それらは細胞内へ侵入できず、それ故、このアッセイでTNF-αを阻害しない。
【0145】
破砕細胞カルボキシルエステラーゼアッセイ
R1がエステル基である本発明のいずれの所定の化合物は、細胞内エステラーゼにより加水分解されるという要件を満たすかについて、以下のアッセイにおいて試験することにより試験して決定できる。
【0146】
細胞抽出物の調製
U937またはHCT 116腫瘍細胞(約109)を、4容量のダルベッコのPBS (約1リットル)中で洗浄し、4℃、525 gにて10分間、ペレットにした。これを2回繰り返し、最終の細胞ペレットを、35 mlの冷ホモジナイズバッファー(Trizma 10 mM, NaCl 130 mM, CaCl2 0.5 mM 25℃にてpH 7.0)に再懸濁した。ホモジネートを、窒素キャビテーション(700 psi、4℃にて50分間)により調製した。ホモジネートを氷上に維持し、最終濃度:
ロイペプチン 1 μM
アプロチニン 0.1μM
E64 8 μM
ペプスタチン 1.5μM
ベスタチン 162 μM
キモスタチン 33 μM
の阻害剤のカクテルを補った。
【0147】
細胞ホモジネートを、525 gで10分間の遠心分離により清澄にした後に、得られた上清
を、エステラーゼ活性の供給源として用い、必要になるまで-80℃にて貯蔵した。
【0148】
エステル開裂の測定
対応するカルボン酸へのエステルの加水分解は、上記のようにして調製した細胞抽出物を用いて測定できる。このために、細胞抽出物(約30μg / 0.5 mlの全アッセイ容量)を、37℃にて、Tris- HCl 25 mM、125 mM NaClバッファー、25℃にてpH 7.5中でインキュベートした。ゼロ時間に、エステル(基質)を、2.5μMの最終濃度で加え、試料を37℃にて適切な時間(通常、0または80分)インキュベートした。反応を、3×容量のアセトニトリルの添加により停止した。ゼロ時間の試料のために、アセトニトリルをエステル化合物の前に加えた。12000 gで5分間の遠心分離の後に、試料をエステルおよびその対応するカルボン酸について、室温にてLCMS (Sciex API 3000, HP1100バイナリポンプ, CTC PAL)により分析した。クロマトグラフィーは、MeCN (75×2.1mm)カラム、および水/0.1%ギ酸中の5〜95%アセトニトリルの移動相に基づいた。
【0149】
ヒト全血アッセイ
ヒトヘパリン添加血液(17-IU/ml)を同量のRPMI-1640で希釈し、次いで96ウェル(well)マイクロタイターウェル(microtitre wslls)(100μl/well)に分け入れた。RPMI-1640に連続的に希釈したIKKβの阻害剤を、最終濃度( 5〜10000nM)の範囲となるようにそのウェルに加えた(100μl/well)。37℃における2時間のインキュベーション後に、最終濃度100ng/mlとなるようにLPS ( EColi 055:B5) 10μlを添加することにより、37℃において6時間TNFα産生を刺激した。次いで、プレートを800gで3分間遠心分離し、次いで、QuantiGlo Chemiluminescent ELISA (R&D Systems)を用いて上清中に存在するTNFαを測定した。
【0150】
【表2】

ヒト全血アッセイは、生理的に適切なセッティングでのIKKβにより媒介されるヒト血球のTNFαの産生を刺激したLPSを阻害するための化合物類の能力を測定する。
【0151】
したがって、表2は、細胞内カルボキシエステラーゼにより加水分解するα,α−2置換グリシンエステルモチーフに対する親IKK阻害化合物(実施例1)の結合が、親化合物(化合物 1:WO 2004063186)に比べて、細胞内の有効性および酵素の間の比率の顕著な減少をもたらし、エステラーゼモチーフの付加が細胞の有効性のレベルの増強を示す化合物につながることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IA)または(IB):
【化1】

[式中、
R7は、水素または任意に置換されていてもよい(C1〜C6)アルキルであり;
Aは、原子5〜13の任意に置換されていてもよいアリールもしくはヘテロアリール環または環系であり;
Zは、式R1C(R2)(R3)NH-Y-L1-X1-(CH2)z- (ここで、zは0または1であり;
Yは、結合手、-C(=O-)-、-S(=O)2--、-C(=O)NR7--、-C(=S)-NR7、-C(=NH)NR7または-S(=O)2NR7- (ここで、R7は、水素または任意に置換されていてもよいC1〜C6アルキルである)であり;
L1は、式 -(Alk1)m(Q)n(Alk2)p- (ここで、
m、nおよびpは、独立して0または1である) の二価の基であり、
Qは、(i) 任意に置換されていてもよい二価の単環もしくは二環式で5〜13員環の炭素環式または複素環式の基であるか、または(ii) mおよびpがともに0である場合は、式 -X2-Q1-または-Q1-X2- (ここで、X2は、-O-、S-またはNRA- (式中、RAは、水素または任意に置換されていてもよいC1〜C3アルキルである)であり、Q1は、任意に置換されていてもよい二価の単環もしくは二環式で5〜13員環の炭素環式または複素環式の基である)の二価の基であり;
Alk1およびAlk2は、独立して、任意に置換されていてもよい二価のC3〜C7シクロアルキル基、または任意に置換されていてもよい直鎖状または分岐鎖状のC1〜C6アルキレン、C2〜C6アルケニレンもしくはC2〜C6アルキニレン基を表し、これらの基は、エーテル(-O-)、チオエーテル(-S-)またはアミノ (-NRA-)(ここで、RAは、水素または任意に置換されていてもよいC1〜C3アルキルである)結合を任意に含むかまたは該結合が末端をなしていてもよい)の二価の基であり;そして
X1は、結合手;-C(=O);または-S(=O)2-;-NR4C(=O)-、-C(=O)NR4-、-NR4C(=O)NR5-、-NR4S(=O)2-、または-S(=O)2NR4- (式中、R4およびR5は、独立して、水素または任意に置換されていてもよいC1〜C6アルキルである)であり;
R1は、カルボン酸基 (-COOH)、または1もしくは複数の細胞内エステラーゼ酵素によりカルボン酸基に加水分解され得るエステル基であり;
;そして
R2およびR3は、独立して天然または非天然のアルファアミノ酸の側鎖を表すが、R2およびR3のいずれも水素ではないか、またはR2およびR3は、それらが結合している炭素原子と一緒になってC3〜C7 シクロアルキル環を形成する)の基である]
の化合物またはその塩。
【請求項2】
R7が水素である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが、任意に置換されていてもよい1,4-フェニレンまたは1,3-フェニレンである請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Aにおける任意の置換基が、フッ素、塩素、メチルおよびトリフルオロメチルから選択される請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項5】
R1が、式-(C=O)OR14 (式中、R14は、R8R9R10C- (式中、
(i) R8は、水素、フッ素または任意に置換されていてもよい(C1〜C3)アルキル-(Z1)a-[(C1〜C3)アルキル]b-、または(C2〜C3)アルケニル-(Z1)a-[(C1〜C3)アルキル]b- (式中、aおよびbは、独立して0または1であり、Z1は、-O-、-S-または-NR11- (式中、R11は、水素または(C1〜C3)アルキルである)であり;R9およびR10は、独立して、水素または(C1〜C3)アルキル-であるか;
(ii) R8は、水素、または任意に置換されていてもよいR12R13N-(C1〜C3)アルキル- (式中、R12は、水素または(C1〜C3)アルキルであり、R13は、水素または(C1〜C3)アルキルであるか;またはR12およびR13は、それらが結合している窒素と一緒に、任意に置換されていてもよい単環式の5〜6環原子の複素環式環、または二環式の8〜10環原子の複素環式環系を形成する)であり、R9およびR10は、独立して水素または(C1〜C3)アルキル-であるか;あるいは
(iii) R8およびR9は、それらが結合する炭素と一緒に、任意に置換されていてもよい単環式の3〜7環原子の炭素環式環、または二環式の8〜10環原子の炭素環式環系を形成し、R10は水素である)である)
のエステルである請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項6】
R1が、メチル、エチル、n-もしくはイソ-プロピル、n-、sec-もしくはtert-ブチル、シクロへキシル、アリル、フェニル、べンジル、2-、3-もしくは4-ピリジルメチル、N-メチルピペリジン-4-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、メトキシエチル、インダニル、ノルボルニル、ジメチルアミノエチルまたはモルホリノエチルエステル基である請求項1〜5のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項7】
R2およびR3は、独立してフェニル、ヘテロアリールまたは式-CRaRbRcの基
(式中:
Ra、RbおよびRcのそれぞれは独立して、水素、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、フェニル(C1〜C6)アルキル、(C3〜C8)シクロアルキルであるか;
Rcは水素であり、RaおよびRbは独立して、フェニルまたはピリジルのようなヘテロアリールであるか;
Rcは、水素、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、フェニル(C1〜C6)アルキルまたは(C3〜C8)シクロアルキルであり、RaおよびRbは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3〜8員のシクロアルキルまたは5〜6員の複素環を形成するか;Ra、RbおよびRcは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、3環式の環(例えばアダマンチル)を形成するか;
RaおよびRbはそれぞれ独立して、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、フェニル(C1〜C6)アルキル、またはRcについて以下で定義される水素以外の基であるか、またはRaおよびRbはそれらが結合している炭素原子と一緒になって、シクロアルキルまたは複素環を形成し、Rcは水素、-OH、-SH、ハロゲン、-CN、-CO2H、(C1〜C4)ペルフルオロアルキル、-CH2OH、-O(C1〜C6)アルキル、-O(C2〜C6)アルケニル、-S(C1〜C6)アルキル、-SO(C1〜C6)アルキル、-SO2(C1〜C6)アルキル、-S(C2〜C6)アルケニル、-SO(C2〜C6)アルケニル、-SO2(C2〜C6)アルケニルまたは基-Q-W (式中、Qは結合手または-O-、-S-、-SO-またはSO2-を表し、Wはフェニル、フェニルアルキル、(C3〜C8)シクロアルキル、(C3〜C8)シクロアルキルアルキル、(C4〜C8)シクロアルケニル、(C4〜C8)シクロアルケニルアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリールアルキル基を表し、基Wは、ヒドロキシ、ハロゲン、-CN、-CONH2、-CONH(C1〜C6)アルキル、-CONH(C1〜C6アルキル)2、-CHO、-CH2OH、(C1〜C4)ペルフルオロアルキル、-O(C1〜C6)アルキル、-S(C1〜C6)アルキル、-SO(C1〜C6)アルキル、-SO2(C1〜C6)アルキル、-NO2、-NH2、-NH(C1〜C6)アルキル、-N((C1〜C6)アルキル)2、-NHCO(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルキル、(C2〜C6)アルケニル、(C2〜C6)アルキニル、(C3〜C8)シクロアルキル、(C4〜C8)シクロアルケニル、フェニルもしくはベンジルから独立して選択される1以上の置換基で任意に置換されていてもよい)
である、請求項1〜6のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項8】
R2およびR3が、独立してH-Alk4-、フェニル、単環式ヘテロシクリル、C3〜C7シクロアルキル、フェニル(Alk4)-、ヘテロシクリル(Alk4)-もしくはC3〜C7 シクロアルキル(Alk4)-(ここで、該ヘテロシクリル部分は、環原子3〜7を有する単環式ヘテロシクリルであり、ここで、-Alk4-は、任意にエーテル(-O-), チオエーテル(-S-)またはアミノ(-NRA-)(ここで、RAは水素または任意に置換されていてもよい(C1〜C3)アルキルであり、ここで、Alk4-または環状部分は任意に置換されていてもよい)結合で、中断されててもよい、または終結していてもよい直鎖または分岐鎖状の、二価の(C1〜C6)アルキレン、(C2〜C6)アルケニレンまたは(C2〜C6)アルキニレン基である)
である請求項1〜6のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項9】
R2およびR3が、独立してメチル、エチル、またはn-もしくはイソ-プロピル、またはn、sec-もしくはtert-ブチルである請求項1〜6のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項10】
R2およびR3の少なくとも1つがメチルである請求項1〜9のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項11】
R2およびR3が、それらが結合している炭素原子と一緒になってC3〜C7 シクロアルキル環、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロへキシル環を形成している請求項1〜6のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項12】
基R1C(R2)(R3)NH-Y-L1X1-(CH2)z-が、R1C(R2)(R3)NH-C(=O)-、R1C(R2)(R3)NH-(CH2)a-、R1C(R2)(R3)NH-(CH2)aO-およびR1C(R2)(R3)NH-CH2CH=CHCH2-(ここで、aは1、2、3、4または5である)から選択される請求項1〜11のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項13】
シクロペンチル N-{3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]べンジル}-2-メチルアラニエートまたは
シクロペンチル N-(2-{3-[4-カルバモイル-5-(カルバモイルアミノ)-2-チエニル]フェニル}エチル)-2-メチルアラニエート
である請求項1に記載の化合物またはその塩、N−オキシド、水和物もしくは溶媒和物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1つに記載の化合物を、1つ以上の医薬的に許容される担体および/または賦形剤とともに含む医薬組成物。
【請求項15】
IKK酵素の活性を阻害する組成物の製造における、請求項1〜13のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項16】
エクスビボまたはインビボでIKKβ活性を阻害するための、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
腫瘍性/増殖性、免疫性または炎症性疾患の治療用組成物の製造における、請求項1〜13のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項18】
IKK酵素を、該酵素の活性を阻害するのに有効な量の請求項1〜13のいずれか1つに記載の化合物と接触させることを含む、IKK酵素の活性を阻害する方法。
【請求項19】
エクスビボまたはインビボでIKKβの活性を阻害するための、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
腫瘍性/増殖性、免疫性または炎症性疾患の患者に、請求項1〜13のいずれか1つに記載の化合物の有効量を投与することを含む、腫瘍性/増殖性、免疫性または炎症性疾患の治療方法。
【請求項21】
癌細胞の増殖を治療するための、請求項15に記載の使用、または請求項20に記載の方法。
【請求項22】
肝細胞の癌またはメラノーマを治療するための、請求項15に記載の使用、または請求項20に記載の方法。
【請求項23】
腸癌、 卵巣癌、頭頸部癌および子宮頸部の扁平上皮癌、胃もしくは肺の癌、未分化希突起グリオーマ、多形性膠芽腫もしくは髄芽腫を治療するための、請求項15に記載の使用、または請求項20に記載の方法。
【請求項24】
リウマチ性関節炎、乾癬、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、慢性閉塞性肺疾患、喘息、多発性硬化症、糖尿病、アトピー性皮膚炎、移植対宿主疾患、全身性狼瘡紅斑、II型糖尿病またはアルツハイマー病を治療するための、請求項15に記載の使用、または請求項20に記載の方法。

【公表番号】特表2011−518817(P2011−518817A)
【公表日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505589(P2011−505589)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001051
【国際公開番号】WO2009/130475
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(507288718)クロマ セラピューティクス リミテッド (18)
【氏名又は名称原語表記】CHROMA THERAPEUTICS LTD
【住所又は居所原語表記】93 Milton Park,Abingdon,Oxfordshire OX14 4RY,UNITED KINGDOM
【Fターム(参考)】