説明

IL−17ファミリーサイトカイン組成物及び使用

IL−17Rに結合する天然に存在しない、且つ組換え的に修飾されたタンパク質を含み、変異したIL−17サイトカイン配列を有するタンパク質を含む結合タンパク質、そのような分子を作製する方法、及び治療剤、予防剤及び診断剤としてそのような分子を使用する方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本出願は、その内容が全体で組み入れられる2009年10月10日に出願された米国仮特許出願第61/278,779号に対して優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明の分野はタンパク質の生化学及び免疫学である。さらに詳しくは、分野は修飾された免疫調節ポリペプチドに関する。
【0003】
政府の資金提供
本発明は国立衛生研究所によって裁定された(AI51321)のもとで政府の支援を受けた。政府は本発明にある種の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
免疫系は、癌や悪性腫瘍と同様に感染性因子(たとえば、ウイルス、細菌、及び多細胞生物)から個体を保護する。免疫系には、たとえば、好中球、単球、マクロファージ、樹状細胞(DC)、好酸球、T細胞及びB細胞のような多数のリンパ系及び骨髄系の細胞種が含まれる。これらの細胞は、サイトカインとして知られるシグナル伝達タンパク質を産生することが可能である。サイトカインは、多数の細胞種の増殖と分化の調節と同様に免疫細胞の増殖、発生、分化及び/又は移動の誘導を含む様々な生物作用に介在する可溶性の小型タンパク質である(たとえば、Arai et al., Annu. Rev. Biochem. 5P:783 (1990); Mosmann, Curr. Opin. Immunol 5:311 (1991); Paul and Seder, Cell 76:241 (1994)を参照)。サイトカインが誘導する免疫機能には、免疫細胞の全身性又は局所の蓄積を特徴とする炎症反応も含まれる。それらは宿主の保護効果を有するにもかかわらず、反応が、たとえば、自己免疫疾患(たとえば、多発性硬化症)及び癌/悪性腫瘍の疾患のような過剰な及び/又は慢性の炎症に関与する場合、これらの免疫応答は、病理学的結末を生じ得る(Oppenheim and Feldmann (eds.) Cytokine Reference, Academic Press, San Diego, CA (2001); von Andrian and Mackay New Engl. J. Med. 343: 1020 (2000); Davidson and Diamond, New Engl. J. Med. 345:340 (2001); Lu et al, Mol. Cancer Res. 4:221(2006); Dagleish and O‘Byrne, Cancer Treat Res. 130:1 (2006))。
【0005】
サイトカイン群を構成するタンパク質には、インターロイキン、インターフェロン、コロニー刺激因子、腫瘍壊死因子、及びそのほかの調節性分子が挙げられる。たとえば、ヒトのインターロイキン−17は、炎症誘発性の応答を誘導すること及びそれに介在することに関与する。IL−17は一般にアレルギー反応に関係する。IL−17は、多数の細胞種(線維芽細胞、内皮細胞、上皮細胞、角化細胞及びマクロファージ)からの多数のそのほかのサイトカイン(たとえば、IL−6、G−CSF、GM−CSF、IL−1β、TGF−β、TNF−α)、ケモカイン(IL−8、GRO−α及びMCP−1を含む)及びプロスタグランジン(たとえば、PGE2)の産生を誘導する。近年の豊富な証拠は、多数の自己免疫及び炎症性の状態の病態形成における中心的役者としてのTh17細胞を意味づけている。
【0006】
従って、サイトカインの実証された生体内の活性及びそれらの受容体は、他のサイトカイン、サイトカイン受容体、サイトカイン作動物質及びサイトカイン拮抗物質の臨床的な可能性及びそれに対する必要性を説明している。たとえば、炎症誘発性サイトカインファミリーの実証された生体内の活性は、たとえば、IL−17及びIL−23のような炎症誘発性分子の拮抗物質の甚大な臨床的な可能性及びその必要性を説明している。
【0007】
哺乳類における疾患及び障害の予防及び治療に有用な新規の組成物への進行中のニーズが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
提供されるのは、サイトカインの再設計を指向する組成物及び方法である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一態様では、本開示は、図4Dにおける番号付けに従って、たとえば、IL−17Fの略アミノ酸21〜41、42〜78、82〜103若しくは104〜133について、IL−17Aの略アミノ酸1〜39、40〜76、80〜101若しくは102〜131について、IL−17Cの略アミノ酸44〜65、78〜117、121〜143若しくは153〜179について、IL−17Dの略アミノ酸32〜53、66〜105、110〜131若しくは134〜163について、IL−17Eの略アミノ酸27〜49、50〜87、93〜114及び/又は120〜148について、又はIL−17Bの略アミノ酸32〜53、66〜105、110〜131若しくは135〜158についての1以上に結合することによってIL−17サイトカインポリペプチドに特異的に結合する単離された抗体(完全長の抗体、抗体の断片及びドメインを含む)を特徴とする。
【0010】
一実施形態では、抗体はIL−17サイトカインの領域1におけるエピトープに結合するが、領域1は、図4Dにおける番号付けに従って、IL−17Fの略アミノ酸21〜41、IL−17Aの略アミノ酸21〜39、IL−17Cの略アミノ酸44〜65、IL−17Dの略アミノ酸32〜53、IL−17Eの略アミノ酸27〜49又はIL−17Bの略アミノ酸32〜53に相当する。
【0011】
一実施形態では、抗体はIL−17サイトカインの領域2におけるエピトープに結合するが、領域2は、図4Dにおける番号付けに従って、IL−17Fの略アミノ酸42〜78、IL−17Aの略アミノ酸40〜76、IL−17Cの略アミノ酸78〜117、IL−17Dの略アミノ酸66〜105、IL−17Eの略アミノ酸50〜87又はIL−17Bの略アミノ酸32〜53に相当する。
【0012】
一実施形態では、抗体はIL−17サイトカインの領域3におけるエピトープに結合するが、領域3は、図4Dにおける番号付けに従って、IL−17Fの略アミノ酸82〜103、IL−17Aの略アミノ酸80〜101、IL−17Cの略アミノ酸121〜143、IL−17Dの略アミノ酸110〜131、IL−17Eの略アミノ酸93〜114又はIL−17Bの略アミノ酸110〜131に相当する。
【0013】
一実施形態では、抗体はIL−17サイトカインの領域4におけるエピトープに結合するが、領域4は、図4Dにおける番号付けに従って、IL−17Fの略アミノ酸104〜133、IL−17Aの略アミノ酸102〜131、IL−17Cの略アミノ酸153〜179、IL−17Dの略アミノ酸134〜163、IL−17Eの略アミノ酸120〜148又はIL−17Bの略アミノ酸135〜158に相当する。
【0014】
一態様では、本開示は、IL−17RA(配列番号14)のアミノ酸22〜36、アミノ酸83〜96、アミノ酸118〜147、アミノ酸152〜179、又はアミノ酸256〜271に特異的に結合する単離された抗体(完全長の抗体、抗体の断片及びドメインを含む)を特徴とする。
【0015】
別の態様では、本開示は、IL−17RB(配列番号15)のアミノ酸25〜39、アミノ酸86〜100、アミノ酸126〜135、アミノ酸160〜187又はアミノ酸254〜269及び/又は配列番号15のアミノ酸32〜44(たとえば、38〜44)、82〜98(たとえば、88〜98)及び252〜269(たとえば、256〜263)に特異的に結合する単離された抗体(完全長の抗体、抗体の断片及びドメインを含む)を特徴とする。
【0016】
別の態様では、本開示は、IL−17RC(配列番号16)のアミノ酸13〜30、アミノ酸70〜84、アミノ酸96〜124、アミノ酸129〜156又はアミノ酸227〜237及び/又は配列番号16のアミノ酸24〜35、78〜91及び248〜257に特異的に結合する単離された抗体(完全長の抗体、抗体の断片及びドメインを含む)を特徴とする。
【0017】
本開示はまた以下を特徴とする
・配列番号12の略21〜41、42〜78、82〜103及び104〜133から成る群から選択される1以上のアミノ酸が任意のほかのアミノ酸に変異し、又は欠失し、たとえば、ポリペプチドが配列番号12に少なくとも90、92、94、95、96、97又は98%同一であるが100%同一ではない配列を含む単離されたインターロイキン−17F(IL−17F)ポリペプチド;
・配列番号2の略21〜39、40〜76、80〜101、及び102〜131から成る群から選択される1以上のアミノ酸が任意のほかのアミノ酸に変異し、又は欠失し、たとえば、ポリペプチドが配列番号2に少なくとも90、92、94、95、96、97又は98%同一であるが100%同一ではない配列を含む単離されたインターロイキン−17A(IL−17A)ポリペプチド;
・配列番号4の略32〜53、66〜105、110〜131及び135〜158から成る群から選択される1以上のアミノ酸が任意のほかのアミノ酸に変異し、又は欠失し、たとえば、ポリペプチドが配列番号4に少なくとも90、92、94、95、96、97又は98%同一であるが100%同一ではない配列を含む単離されたインターロイキン−17B(IL−17B)ポリペプチド;
・配列番号6の略44〜65、78〜117、121〜143及び153〜179から成る群から選択される1以上のアミノ酸が任意のほかのアミノ酸に変異し、又は欠失し、たとえば、ポリペプチドが配列番号6に少なくとも90、92、94、95、96、97又は98%同一であるが100%同一ではない配列を含む単離されたインターロイキン−17C(IL−17C)ポリペプチド;
・配列番号8の略32〜53、66〜105、110〜131及び134〜163から成る群から選択される1以上のアミノ酸が任意のほかのアミノ酸に変異し、又は欠失し、たとえば、ポリペプチドが配列番号8に少なくとも90、92、94、95、96、97又は98%同一であるが100%同一ではない配列を含む単離されたインターロイキン−17D(IL−17D)ポリペプチド;
・配列番号10の略27〜49、50〜87、93〜114及び120〜148から成る群から選択される1以上のアミノ酸が任意のほかのアミノ酸に変異し、又は欠失し、たとえば、ポリペプチドが配列番号10に少なくとも90、92、94、95、96、97又は98%同一であるが100%同一ではない配列を含む単離されたインターロイキン−17E(IL−17E)ポリペプチド。
【0018】
ポリペプチドは、たとえば、タグ及び免疫グロブリン定常ドメインのようなN末端配列及びC末端配列を含む追加の特徴を含むことができる。
【0019】
別の態様では、本開示は、第1及び第2のIL−17ポリペプチドを含む組成物を特徴とし、その際、第1及び第2のポリペプチドの少なくとも一方は修飾されたIL−17ポリペプチド(たとえば、変異したIL−17ポリペプチド)である。たとえば、組成物は、第2のIL−17ポリペプチドに操作可能に連結された第1の修飾されたIL−17ポリペプチド(たとえば、変異した)を含む。一実施形態では、第2のIL−17ポリペプチドも修飾された(たとえば、変異した)IL−17ポリペプチドである。別の実施形態では、第2のIL−17ポリペプチドは、天然に存在するIL−17ポリペプチド(たとえば、成熟した、ヒトのIL−17、たとえば、IL−17A、IL−17B、IL−17C、IL−17D、IL−17E及びIL−17F)と同一である。
【0020】
第1及び第2のポリペプチドは、相互作用してIL−17二量体(たとえば、単鎖二量体)に相当する構造を形成することができる。第1のポリペプチドは第2のポリペプチドに対してN末端に位置することができ、逆もまた同様である。ポリペプチド鎖はまた他の要素を含むことができ;たとえば、それは融合タンパク質であり得る。ポリペプチドの一方又は双方を修飾することができ、たとえば、参照IL−17ポリペプチド(たとえば、ヒトのIL−17、たとえば、IL−17A、IL−17B、IL−17C、IL−17D、IL−17E及びIL−17F)に対して変異させることができる。一実施形態では、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドは同一ポリペプチド鎖の構成成分である。一実施形態では、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドはコイル化コイルドメイン又はロイシンジッパーによって操作可能に連結される。
【0021】
一実施形態では、第1のポリペプチドは、修飾されたIL−17Aポリペプチド(たとえば、配列番号2又は20と少なくとも85、90、95又は98%同一である変異したヒトIL−17A)を含み、第2のポリペプチドは、IL−17A、IL−17B、IL−17C、IL−17D、IL−17E及びIL−17Fから成る群から選択される修飾されたIL−17ポリペプチド(たとえば、本明細書で開示されるようなそのようなサイトカインの天然の成熟形態と少なくとも85、90、95又は98%同一である変異したヒトIL−17A)又は天然の成熟形態と100%同一であるポリペプチド(たとえば、配列番号2、4、6、8、10、12又は20)を含む。従って、例となる組成物はA/Aホモ二量体又はA/Fへテロ二量体に相当するポリペプチドを含む。
【0022】
一実施形態では、第1のポリペプチドは、修飾されたIL−17Fポリペプチド(たとえば、配列番号12と少なくとも85、90、95又は98%同一である変異したヒトIL−17F)を含み、第2のポリペプチドは、IL−17A、IL−17B、IL−17C、IL−17D、IL−17E及びIL−17Fから成る群から選択される修飾されたIL−17ポリペプチド(たとえば、本明細書で開示されるようなそのようなサイトカインの天然の成熟形態と少なくとも85、90、95又は98%同一である変異したヒトIL−17サイトカイン)又は天然の成熟形態と100%同一であるポリペプチド(たとえば、配列番号2、4、6、8、10、12又は20)を含む。従って、例となる組成物はF/Fホモ二量体又はA/Fへテロ二量体に相当するポリペプチドを含む。
【0023】
一実施形態では、第1のポリペプチドは、修飾されたIL−17サイトカインポリペプチド(たとえば、配列番号4、6、8、又は10と少なくとも85、90、95又は98%同一である変異したヒトIL−17B、IL−17C、IL−17D又はIL−17E)を含み、第2のポリペプチドは、IL−17A、IL−17B、IL−17C、IL−17D、IL−17E及びIL−17Fから成る群から選択される修飾されたIL−17ポリペプチド(たとえば、本明細書で開示されるようなそのようなサイトカインの天然の成熟形態と少なくとも85、90、95又は98%同一である変異したヒトIL−17サイトカイン)を含む。従って、例となる組成物はB/B、C/C、D/D、E/Eホモ二量体及び種々のへテロ二量体に相当するポリペプチドを含む。
【0024】
別の態様では、本開示は、IL−17RAのIL−17結合決定基を含む単離されたポリペプチドを含む組成物を特徴とし、その際、ポリペプチドはIL−17RAの細胞外ドメインと同一ではない。たとえば、IL−17結合決定基は、IL−17RA(配列番号17)のアミノ酸22〜36、83〜96、118〜147、152〜179及び256〜271から成る群から選択される。結合決定気は、ペプチド、たとえば、IL−17RA)のアミノ酸22〜36、83〜96、118〜147、152〜179及び256〜271を含む又はそれから成るペプチドであることができる。結合決定基は、たとえば、IL−17F、IL−17A又はIL−17Cの結合決定基であり得る。一実施形態では、ポリペプチドはIL−17F及び/又はIL−17Aを結合することが可能である。ポリペプチドのIL−17Aとの結合は、IL−17Aの略21〜39、40〜76、80〜101及び102〜131から成る群から選択される1以上のアミノ酸との接触を含むことができる。ポリペプチドのIL−17Cとの結合は、IL−17Cの略44〜65、78〜117、121〜143及び153〜179から成る群から選択される1以上のアミノ酸との接触を含むことができる。
【0025】
一部の実施形態では、ポリペプチドはシステインノットモチーフ又は4−ヘリックスバンドルモチーフを形成することが可能である。一実施形態では、ポリペプチドをIL−17RAポリペプチド、たとえば、IL−17RAポリペプチドの細胞外領域及びIL−17RCポリペプチド、たとえば、IL−17RCポリペプチドの細胞外領域に操作可能に結合させる。
【0026】
別の態様では、本開示は、IL−17RCのIL−17結合決定基を含む単離されたポリペプチドを含む組成物を特徴とし、その際、ポリペプチドはIL−17RCの細胞外ドメインと同一ではない。ポリペプチドはIL−17RAポリペプチド、たとえば、IL−17RAポリペプチドの細胞外領域及びIL−17RCポリペプチド、たとえば、IL−17RCポリペプチドの細胞外領域に操作可能に結合することができる。ポリペプチドを、IL−17サイトカイン、たとえば、IL−17Aに結合させることができ、IL−17Aの略21〜39、40〜76、80〜101及び102〜131から成る群から選択される1以上のアミノ酸、又はIL−17Cに接触させることができ、IL−17Cの略44〜65、78〜117、121〜143、及び153〜179から成る群から選択される1以上のアミノ酸に接触させることができる。
【0027】
別の態様では、第1及び第2のIL−17サブユニットを含むIL−17R結合タンパク質を特徴とし、サブユニットは、第1のIL−17受容体サブユニットと相互作用することができる第1の面と、相当する天然のIL−17タンパク質に比べて第2のIL−17受容体サブユニットと相互作用する能力が低い又はない第2の面を含む二量体を形成する。たとえば、第1のサブユニットと第2のサブユニットは互いに異なる。各サブユニットは、成熟IL−17サイトカイン、たとえば、ヒトIL−17サイトカイン(配列番号2、4、6、8、10、12、又は20)又はマウスのIL−17サイトカイン、たとえば、双方のサブユニットについて同一の参照サイトカイン又は異なった参照サイトカイン(たとえば、IL−17A及びIL−17F)に対して少なくとも85、87、90、92、94、95、96、97、又は98%同一であり得る。
【0028】
特定の実施形態では、各サブユニットは、配列番号12の1〜127又は配列番号20の1〜126に相当する領域にて成熟IL−17サイトカインと少なくとも85、87、90、92、94、95、96、97、又は98%同一である。
【0029】
一実施形態では、各サブユニットは、成熟したヒトIL−17サイトカイン(配列番号2、4、6、8、10、12又は20)に対して1、2、3、4、5、6、7以上、好ましくは20、10、9、8、7、6、又は5未満の置換又は欠失を有する。一実施形態では、一方のサブユニットは、成熟したヒトIL−17サイトカイン(配列番号2、4、6、8、10、12又は20)に対して1〜5、7又は8の間の変異を有し、他方のサブユニットは、少なくとも1、2、3、4又は5のアミノ酸のC末端欠失を有し、任意で、成熟したヒトIL−17サイトカイン(配列番号2、4、6、8、10、12又は20)に対して1〜5の間の置換を有する。
【0030】
一実施形態では、二量体の第2の面は、少なくとも1、2又は3の変異、たとえば、1、2又は3の置換を含む。たとえば、二量体の第2の面は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12の変異(たとえば、置換)を有する。変異は1以上の部位に位置することができる。第1の面は、成熟IL−17サイトカイン、たとえば、成熟したヒトIL−17サイトカイン(配列番号2、4、6、8、10、12又は20)に対してどんな変異も含有しなくてもよい。
【0031】
一実施形態では、二量体の第2の面は、部位1にて少なくとも1、2又は3の変異、たとえば、少なくとも1、2又は3の置換を含む。たとえば、二量体の第2の面は、部位1において1〜3、4、5又は6の間の変異(たとえば、置換)を有する。
【0032】
一実施形態では、二量体の第2の面は、部位2にて少なくとも1、2又は3の変異、たとえば、少なくとも1、2又は3の置換を含む。たとえば、二量体の第2の面は、部位2において1〜3、4、5又は6の間の変異(たとえば、置換)を有する。
【0033】
一実施形態では、二量体の第2の面は、部位3にて少なくとも1、2又は3の変異、たとえば、少なくとも1、2又は3の置換を含む。たとえば、二量体の第2の面は、部位3において1〜3、4、5又は6の間の変異(たとえば、置換)を有する。
【0034】
第1のサブユニットと第2のサブユニットは共有結合することが可能であり、たとえば、それらは同一ポリペプチド鎖の構成成分であることができる。たとえば、それらは可動性リンカーによって連結され得る。
【0035】
一実施形態では、結合タンパク質は、IL−17A/Aのサイトカイン活性の1%未満を有する。たとえば、それは、たとえば、本明細書に記載されるアッセイに基づいてIL−17受容体を実質的に刺激しない。
【0036】
一実施形態では、結合タンパク質はIL−17A/A、IL−17F/F又はIL−17A/Fよりも100倍、50倍、20倍、10倍以下弱いIL−17RA又はIL−17RCに対する親和性を有する。一般に、結合タンパク質は、IL−17RAとIL−17RCの双方に結合して、結合タンパク質とIL−17RA及びIL−17RCの双方を含有する複合体を形成することはできない。結合タンパク質は本明細書に記載されるそのほかの特徴及び特性を有することができる。
【0037】
本明細書に記載される結合タンパク質は、2つのIL−17サブユニットを含むことができ、その際、各サブユニットは、成熟IL−17サイトカイン、たとえば、ヒトIL−17サイトカイン(配列番号2、4、6、8、10、12、又は20)と少なくとも85、87、90、92、94、95、96、97、又は98%同一であり、まとめてサブユニットは、そのような成熟IL−17ポリペプチドに対して少なくとも2、3、4、5以上の以下の置換又は欠失を含む:
・第1のサブユニットにてR47(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置での置換(たとえば、R47E、R47A又はR47D);
・第1のサブユニットにてS65(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置での置換(たとえば、S65K、S65R又はS65W);
・第1のサブユニットにてW68(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置での置換(たとえば、W68A、W68V、W68S、W68Q又はW68N):
・第1のサブユニットにてR102(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置での置換(たとえば、R102A、R102V,R102S又はR102T);
・第2のサブユニットにてN89(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置での置換(たとえば、N89A又はN89V);
・第2のサブユニットにてQ95(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置での置換(たとえば、Q95A又はQ95W);及び
・第2のサブユニットにて127〜132(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置での1以上の置換又は欠失(たとえば、128〜132に相当する少なくとも位置の欠失)。
【0038】
たとえば、結合タンパク質は、上記で示した位置に関して少なくとも1以上の変異の以下の組み合わせ(たとえば、対):(R47、S65)、(R47,W68)、(R47,R102)、(S65,W68)、(S65,R102)、(R47,N89)、(R47,Q95)、(N89,R102)、(N89、128−132の欠失)、(R47,N89,R102)、(N89,Q95)、(W68,R102)、(N89,W68)、(R47,S65,N89)、(R47,W68,N89)、(R47,N89,R102)、(R47,W68,N89,128〜132の欠失)、(R47,S65,N89,128〜132の欠失)、(S65,N89,128〜132の欠失)、(R47,S65,128〜132の欠失)及び(N89,Q95,128〜132の欠失)を有することができる。結合タンパク質は、本明細書に記載されるそのほかの特徴及び特性を有することができる。
【0039】
また特徴付けられるのは、本明細書に記載されるような1以上のサイトカインサブユニットをコードする配列を含む、本明細書に記載されるポリペプチドをコードする配列を含む核酸である。核酸はさらにベクターの配列及び転写と翻訳を制御する配列を含むことができる。また特徴付けられるのは、そのような核酸を含有する宿主細胞、及び細胞にてそのような核酸を発現させることを含む方法である。方法はさらにたとえば、細胞又は細胞培地から精製することによってタンパク質を回収することを含むことができる。
【0040】
さらなる特徴及び利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲においてさらに詳しく記載される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】IL−17RA/IL−17F複合体の構造を示す模式図である。IL−F(A鎖及びB鎖)、N結合グリカンに結合したIL−17RAのリボンダイヤグラムを球棒表示で示す。IL−17RAは、短い螺旋リンカーによって連結される2つのフィブロネクチンIII型ドメイン(D1及びD2)で構成される。右側の図は、y軸の周りで60°回転させた複合体を示す。
【図2】IL−17FのIL−17RAへの結合には3つの異なった接触面が介在することを示す模式図である。(A)部位2:IL−17RAのD1C−C’ループがIL−17FのB鎖のN末端コイル領域と鎖1及び2の間に挿入する。N末端コイルは未結合構造と結合構造の間で構造変化を受ける。(B)部位2:ノブ・イン・ホールIL−17F結合ポケットの相補性の面表示である。(C)部位1:IL−17RAのD1のN末端結合部位。(D)部位3:IL−17RAのD2結合部位。接触残基は棒モデルとして示す。点線は水素結合と塩橋を示す。
【図3】へテロ二量体IL−17シグナル伝達複合体の組立とモデルを示す図である。(A)表面プラスモン共鳴(SPR)によってIL−17受容体/サイトカインの親和性を測定した。IL−17RA、IL−17RB及びIL−17RCをSPRチップ表面に不動化し、IL−17A、IL−17F又はIL−17Eの結合親和性を測定した。示されている場合、次いでチップ上で事前に組み立てられた受容体サイトカイン複合体への第2の受容体の結合の親和性を測定した。動態実験については(上の3つの列)、代表的なSPRセンサーグラムを着色の線で示し、曲線適合を黒色の線で示す。応答(RU、共鳴単位)に対して秒(s)での時間をプロットする。注入濃度はセンサーグラムの右にある。平衡実験(4番目の列)については、代表的な実験での最大応答(RU)に対して注入濃度をプロットし;曲線適合を黒色の線として示し、解離定数(Kd)を縦線として印す。挿入図は結合事象の代表的な模式図を示す。Kdは、少なくとも2つの独立した実験の平均値±平均値の標準誤差として報告する。(B)へテロ二量体シグナル伝達複合体の形成のモデル。第2の受容体(マゼンタ)は、双方の受容体が同一方向でIL−17に結合することを想定してモデル化された。受容体のC末端ドメイン(D2)は四角で強調したように近位に近づく。
【図4】結合接触面と保存されたIL−17残基を示す模式図である。リボン形式で黄色に着色したIL−17RAを伴った白色のIL−17Fの表面表現。(A)シアンで強調したIL−17RA/IL−17Fの接触残基。(B)IL−17AとIL−17Fの間で保存された残基をIL−17F構造の中で地図状に示す;同一の残基を点描し、保存的置換を淡ピンクで示す。(C)4、5、又は6のIL−17サイトカインファミリーメンバーの間で同一の残基を示し、6種のサイトカインすべてにわたって保存的な置換も特定する。(D)ヒトIL−17サイトカインの配列構造。IL−17RA/IL−17F構造で接触を形成する残基をIL−17F配列上及び配列構造の下で黒枠によって強調する。4、5、又は6のサイトカインで同一である残基を点描し、6種のサイトカインすべてで同一である残基も「*」で印し、保存された基を「:」で印す。配列はそれぞれ、配列番号12、2、6、8、10及び4に相当する。
【図5】ヘテロ二量体システイン/ノット成長因子受容体複合体と比較したIL−17RA/IL−17F受容体複合体の比較。(A)IL−17RA/IL−17F、(B)P75NTR/NGF及び(C)TrkA/NGFをリボンモデルで示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明をさらに容易に理解するために、本明細書全体を通してと同様に以下に特定の用語及び語句を定義する。
定義
【0043】
用語「有効量」は本明細書で使用されるとき、所望の生物学的応答を引き出すのに必要な量を指す。薬剤の有効量は、所望の評価項目のような因子、送達される薬剤、追加の有効成分又は不活性成分の組成、等によって変化し得る。
【0044】
用語「発現」は、ポリペプチドがDNAから生成される過程を意味するように本明細書で使用される。過程には、遺伝子のmRNAへの転写、このmRNAのポリペプチドへの翻訳が関与する。それが使用される文脈によって「発現」はRNA、タンパク質又はその双方の生成を指してもよい。
【0045】
用語「遺伝子産物」は本明細書で使用されるとき、遺伝子によってコードされるRNA(たとえば、メッセンジャーRNA(mRNA)又はマイクロRNA(miRNA))又はタンパク質を意味する。
【0046】
本明細書で使用されるとき、用語「単離された」は、実質的に純粋である分子を指す。単離されたタンパク質は、実質的に純粋であり、たとえば、他の異なったタンパク質分子を60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は99%含まない。
【0047】
本明細書で使用されるとき、用語「調節する」及び「調節」は一般に、特に標的とする遺伝子(そのRNA及び/又はタンパク質産物を含む)、シグナル伝達経路、細胞及び/又は標的とする表現型の下方調節(すなわち、阻害又は抑制)、又は標的とする遺伝子の上方調節(すなわち、誘導又は増大)を指す。たとえば、「調節する」及び「調節」は、IL−17受容体のシグナル伝達の下方調節を指すことができる。
【0048】
「患者」又は「対象」は、炎症性疾患のような疾患又は状態を発症するリスクを有する若しくはその中にある、炎症性疾患に罹っていると診断された若しくは診断される、又はさもなければ、本明細書に記載される組成物及び方法から利益を得る哺乳類、たとえば、ヒトを意味する。
【0049】
用語「軽減する」は本明細書で使用されるとき、発現又は遺伝子産物の活性における阻害、軽減、低下、抑制、下方調節又は防止を指す。たとえば、発現又は活性のレベルは、阻害されない発現又は活性の、たとえば、100%又は100%未満、たとえば、95%未満、90%未満、85%未満、80%未満、75%未満、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、又は5%未満であり得る。
【0050】
用語「治療すること」又は「治療」又は「緩和」又は「改善」は、治療法及び予防上又は予防的な対策の双方を指し、その際、目的は、標的とする病理学的な状態又は障害を防ぐ又は遅らせる(軽くする)ことである。
【0051】
用語「IL−17受容体」は、たとえば、IL−17RA、IL−17RB、IL−17RC、IL−17RD及びIL−17RE受容体のようなIL−17サイトカインに結合するタンパク質を指し、特にこれら受容体のヒトアイソフォーム及びこれら受容体の細胞外ドメインを指す。
【0052】
2つの配列の間での「相同性」又は「配列同一性」(用語は本明細書では相互交換可能に使用される)の計算は以下のように行われる。最適な比較目的のために配列を並べる(たとえば、最適な配置のために第1と第2のアミノ酸又は核酸の配列の一方又は双方にギャップを導入することができる)。最適な配置は、ギャップペナルティ10及びギャップ拡張ペナルティ1と共にBlossum62スコア化マトリクスを用いたEMBOSSパッケージのNeedleアルゴリズムで実施されたようなNeedlemanとWunsch のアルゴリズムを用いて最良スコアとして決定される。Needleman,S.B.及びWunsch,C.D.(1970)J.Mol.Biol.48,443−453;Kruskal,J.B.(1983)、D.Sankoff及びJ.B.Kruskal編、Time warps,string edits and macromoleculesにおける配列比較の概説:the theory and practice of sequence comparison,pp.1−44、Addison Wesley,及びthe European Bioinformatics Institute(Cambridge UK)EMBOSSから入手可能なツール:The European Molecular Biology Open Software Suite (2000),Rice,Pら、A.,Trends in Genetics 16,(6)pp.276−277、並びにhypertext transfer protocol://www.ebi.ac.uk/Tools/emboss/ align/index.html及びhypertext transfer protocol://emboss.open−bio.org/wiki/Appdoc:Needleにて利用可能なオンラインを参照のこと。次いで相当するアミノ酸の位置又はヌクレオチドの位置でアミノ酸残基又はヌクレオチドを比較し、2つの配列間のパーセント同一性は、配列が共有する同一位置の数の関数である。
免疫調節性ポリペプチド
【0053】
主として分泌されたサイトカインの作用を介して無処理のT細胞を刺激して特殊化したエフェクター細胞に分化させる。Tヘルパー(T)細胞は通常、2つのエフェクター細胞系列:そのサイトカインの発現特性に基づいてそれぞれ細胞性及び液性のT細胞免疫を調節するT1細胞とT2細胞の一方に入るとみなされている(1)。さらに最近の研究によって、識別可能で、実際Th1及びTh2の系列の産物によって拮抗されるエフェクターT細胞の第3の系列、Th17細胞が記載された(2,3)。その記号サイトカインインターロイキン17(IL−17)にちなんで名付けられ、Th細胞のこのサブセットは、細胞外の細菌及び一部の真菌に対して、これらの微生物がTh1又はTh2の応答によって有効に制御されない可能性があるので、高い宿主保護について特殊化された適応免疫系の一翼として進化してきたと思われる(4,5)。Th17細胞の分化を誘導し、恒常性を調節するサイトカイン、すなわち、IL−23、IL−6及び形質転換増殖因子−β(TGF−β)の種々の組織起源は、造血系及び非造血系の細胞双方におけるIL−17受容体の存在と一緒に獲得免疫の細胞と自然免疫の細胞の間に存在する複雑な関係を強調している。Th17細胞のエフェクター機能の完全な範囲が未だ明らかになってくる一方で、Th17細胞が促進する強力な炎症反応は、関節リウマチ、多発性硬化症及び乾癬を始めとする以前からTh1細胞又はTh2細胞に起因するとされた多数の自己免疫疾患及び炎症性疾患の病態形成に関連している(4)。
【0054】
IL−17Aに加えて、IL−17ファミリーのメンバーにはIL−17B、IL−17C、IL−17D、IL−17E(IL−25とも呼ぶ)及びIL−17Fが挙げられる。IL−17ファミリーのメンバーはすべて高度に保存されたシステイン残基を含む類似したタンパク質構造を有する。IL−17AとIL−17Fはほとんど密接に関係し、IL−17B(29%)、IL−17D(25%)、IL−17C(23%)がそれに続き、IL−17EがIL−17Aとは最も関係が遠い(17%)。これらのサイトカインはすべて哺乳類で上手く保存されており、ヒトとマウスのホモログ間で62〜88%ものアミノ酸が保存されている。他のサイトカインとの配列類似性はない。IL−17Fの結晶構造に基づいて、6種の構造的に関連するIL−17サイトカイン(IL−17A〜IL−17F)は、神経成長因子(NGF)のようなシステイン/ノット成長因子に相同なヘテロ二量体の折り畳み(又はIL−17A〜Fの場合におけるヘテロ二量体の折り畳み)を形成すると予測される(7,8)。Th17細胞に由来するIL−17A及びIL−17Fは、ファミリーの範囲内で最大の相同性を共有し、シグナル伝達にIL−17RAとIL−17RCの双方を必要とする(9,10)。線維芽細胞、上皮細胞及び内皮細胞がIL−17RAとIL−17RCの双方を同時発現することが示されている一方で、T細胞はIL−17RCを優勢には発現せず、IL−17RAのみを発現する(11)。リンパ球はIL−17に応答性ではないと考えられたが、Flavellと共同研究者らは、T細胞が実際IL−17に直接応答することを報告した(12)。
【0055】
サイトカインのIL−17ファミリーが、Th17系列のエフェクターサイトカインとしてのその作用を部分的に介して、免疫応答や炎症反応の操作に画期的なアプローチを提供する。従って、IL−17A、IL−17B、IL−17C、IL−17D、IL−17E、IL−17F、及びそれらの受容体の拮抗物質は、本明細書に記載される拮抗物質のように単独で又は一緒に、たとえば、多発性硬化症、炎症性腸疾患(IBD)、関節リウマチ、乾癬及び癌のような炎症性疾患の治療法で有用である。さらに、IL−17ファミリーメンバーの活性の拮抗物質は、本明細書に記載される拮抗物質のようにそのほかの炎症性疾患の治療法で有用である。
【0056】
ヒトIL−17サイトカインの一部の例となる配列は以下のとおりである。
【0057】
IL−17A:例となるヒトIL−17Aサイトカインの配列は以下のとおりであり、UniProt identifier Q16552によって記載されている(uniprot.orgでのウェブ情報源及びThe UniProt Consortium, Nucleic Acids Res.D142−D148(2010)を参照):LLLLLSLEAI VKAGITIPRN PGCPNSEDKN FPRTVMVNLNIHNRNTNTNP KRSSDYYNRS TSPWNLHRNE DPERYPSVIW EAKCRHLGCINADGNVDYHM NSVPIQQEIL VLRREPPHCP NSFRLEKILV SVGCTCVTPIVHHVA(配列番号1)。
【0058】
別の例となる配列は、上記配列のアミノ酸24〜155を含み、IL−17Aのシグナル配列を欠く形態、又は図4Dに示す配列を含む:ITIPRNPGCPNSEDKNFPRTVMVNLNIHNRNTNTNPKRSSDYYNRSTSPWNLHRNEDPERYPSVIWEAKCRHLGCINADGNVDYHMNSVPIQQEILVLRREPPHCPNSFRLEKILVSVGCTCVTPIVHHVA(配列番号2)。
【0059】
配列はまた、配列番号2の第1残基に先行するグリシンも含むことができる。配列番号2を参照して本明細書に記載されるIL−17Aの各配列はまた、配列番号2において最初に記載されるアミノ酸であるイソロイシンに先行するこのグリシンも含むことができる。他の残基を使用することもできる。他の例となるIL−17Aの配列にはマウス(Q62386)、ラット(Q61453)及びウシ(Q687Y7)の配列が挙げられる。本明細書に記載される変異及び修飾は、たとえば、本明細書に記載されるような任意の種からIL−17A配列にて作製することができる。
【0060】
IL−17B:例となるヒトIL−17Bサイトカインの配列は以下のとおりであり、Uniprot identifier Q9UHF5によって記載されている:MDWPHNLLFLLTISIFLGLGQPRSPKSKRKGQGRPGPLAPGPHQVPLDLVSRMKPYARMEEYERNIEEMVAQLRNSSELAQRKCEVNLQLWMSNKRSLSPWGYSINHDPSRIPVDLPEARCLCLGCVNPFTMQEDRSMVSVPVFSQVPVRRRLCPPPPRTGPCRQRAVMETIAVGCTCIF(配列番号3)。別の例となる配列は、上記配列のアミノ酸21〜180を含み、IL−17Bのシグナル配列を欠く形態、又は図4Dに示す配列を含む:RSPKSKRKGQGRPGPLAPGPHQVPLDLVSRMKPYARMEEYERNIEEMVAQLRNSSELAQRKCEVNLQLWMSNKRSLSPWGYSINHDPSRIPVDLPEARCLCLGCVNPFTMQEDRSMVSVPVFSQVPVRRRLCPPPPRTGPCRQRAVMETIAVGCTCIF(配列番号4)。
【0061】
IL−17C:例となるヒトIL−17Cサイトカインの配列は以下のとおりであり、Uniprot identifier Q9P0M4によって記載されている:MTLLPGLLFLTWLHTCLAHHDPSLRGHPHSHGTPHCYSAEELPLGQAPPHLLARGAKWGQALPVALVSSLEAASHRGRHERPSATTQCPVLRPEEVLEADTHQRSISPWRYRVDTDEDRYPQKLAFAECLCRGCIDARTGRETAALNSVRLLQSLLVLRRRPCSRDGSGLPTPGAFAFHTEFIHVPVGCTCVLPRSV(配列番号5)。別の例となる配列は、上記配列のアミノ酸19〜197を含み、IL−17Cのシグナル配列を欠く形態、又は図4Dに示す配列を含む:HHDPSLRGHPHSHGTPHCYSAEELPLGQAPPHLLARGAKWGQALPVALVSSLEAASHRGRHERPSATTQCPVLRPEEVLEADTHQRSISPWRYRVDTDEDRYPQKLAFAECLCRGCIDARTGRETAALNSVRLLQSLLVLRRRPCSRDGSGLPTPGAFAFHTEFIHVPVGCTCVLPRSV(配列番号6)。
【0062】
IL−17D:例となるヒトIL−17Dサイトカインの配列は以下のとおりであり、Uniprot Identifier Q8TAD2によって記載されている:MLVAGFLLALPPSWAAGAPRAGRRPARPRGCADRPEELLEQLYGRLAAGVLSAFHHTLQLGPREQARNASCPAGGRPADRRFRPPTNLRSVSPWAYRISYDPARYPRYLPEAYCLCRGCLTGLFGEEDVRFRSAPVYMPTVVLRRTPACAGGRSVYTEAYVTIPVGCTCVPEPEKDADSINSSIDKQGAKLLLGPNDAPAGP(配列番号7)。別の例となる配列は、上記配列のアミノ酸16〜202を含み、IL−17Dのシグナル配列を欠く形態、又は図4Dに示す配列を含む:AGAPRAGRRPARPRGCADRPEELLEQLYGRLAAGVLSAFHHTLQLGPREQARNASCPAGGRPADRRFRPPTNLRSVSPWAYRISYDPARYPRYLPEAYCLCRGCLTGLFGEEDVRFRSAPVYMPTVVLRRTPACAGGRSVYTEAYVTIPVGCTCVPEPEKDADSINSSIDKQGAKLLLGPNDAPAGP(配列番号8)。
【0063】
IL−17E:例となるヒトIL−17Eサイトカインの配列は以下のとおりであり、Uniprot Identifier Q9H293によって記載されている:MRERPRLGEDSSLISLFLQVVAFLAMVMGTHTYSHWPSCCPSKGQDTSEELLRWSTVPVPPLEPARPNRHPESCRASEDGPLNSRAISPWRYELDRDLNRLPQDLYHARCLCPHCVSLQTGSHMDPRGNSELLYHNQTVFYRRPCHGEKGTHKGYCLERRLYRVSLACVCVRPRVMG(配列番号9)。
【0064】
別の例となる配列は、上記配列のアミノ酸33〜177を含み、IL−17Eのシグナル配列を欠く形態、又は図4Dに示す配列を含む:THTYSHWPSCCPSKGQDTSEELLRWSTVPVPPLEPARPNRHPESCRASEDGPLNSRAISPWRYELDRDLNRLPQDLYHARCLCPHCVSLQTGSHMDPRGNSELLYHNQTVFYRRPCHGEKGTHKGYCLERRLYRVSLACVCVRPRVMG(配列番号10)。
【0065】
IL−17F:例となるヒトIL−17Dサイトカインの配列は以下のとおりであり、Uniprot Identifier Q96PD4によって記載されている:MTVKTLHGPAMVKYLLLSILGLAFLSEAAARKIPKVGHTFFQKPESCPPVPGGSMKLDIGIINENQRVSMSRNIESRSTSPWNYTVTWDPNRYPSEVVQAQCRNLGCINAQGKEDISMNSVPIQQETLVVRRKHQGCSVSFQLEKVLVTVGCTCVTPVIHHVQ(配列番号11)。サイトカインの翻訳は、前述の配列のMET1又はMET11で開始され得る。
【0066】
別の例となる配列は、上記配列のアミノ酸31〜163を含み、IL−17Fのシグナル配列を欠く形態、又は図4Dに示す配列を含む:RKIPKVGHTFFQKPESCPPVPGGSMKLDIGIINENQRVSMSRNIESRSTSPWNYTVTWDPNRYPSEVVQAQCRNLGCINAQGKEDISMNSVPIQQETLVVRRKHQGCSVSFQLEKVLVTVGCTCVTPVIHHVQ(配列番号12)。配列は、図4Dと併せてIL−17のファミリーメンバーにて残基の位置を特定するために有用なデフォルトの参照先を提供する。他の例となるIL−17Fの配列には、マウス(Q7TNI7)、ラット(Q5BJ95)及びブタ(Q5BJ95)の配列が挙げられる。
【0067】
幾つかの他の哺乳類のIL−17サイトカインの配列も既知である。たとえば、Uniprotエントリ:Q62386(マウスIL−17A)、Q61453(ラットIL−17A)、Q687Y7(ウシIL−17A)、Q7TNI7(マウスIL−17F)、Q5BJ95(ラットIL−17F)、Q9QXT6(マウスIL−17B)、Q9EQI6(ハムスターIL−17B)、Q8K4C5(マウスIL−17C)、Q8K4C4(マウスIL−17D)及びQ9VHH8(マウスIL−17E)を参照のこと。
【0068】
IL−17RA:例となるヒトIL−17RA受容体の配列は以下のとおりであり、UniProt identifier Q96F46によって記載されている:MGAARSPPSAVPGPLLGLLLLLLGVLAPGGASLRLLDHRALVCSQPGLNCTVKNSTCLDDSWIHPRNLTPSSPKDLQIQLHFAHTQQGDLFPVAHIEWTLQTDASILYLEGAELSVLQLNTNERLCVRFEFLSKLRHHHRRWRFTFSHFVVDPDQEYEVTVHHLPKPIPDGDPNHQSKNFLVPDCEHARMKVTTPCMSSGSLWDPNITVETLEAHQLRVSFTLWNESTHYQILLTSFPHMENHSCFEHMHHIPAPRPEEFHQRSNVTLTLRNLKGCCRHQVQIQPFFSSCLNDCLRHSATVSCPEMPDTPEPIPDYMPLWVYWFITGISILLVGSVILLIVCMTWRLAGPGSEKYSDDTKYTDGLPAADLIPPPLKPRKVWIIYSADHPLYVDVVLKFAQFLLTACGTEVALDLLEEQAISEAGVMTWVGRQKQEMVESNSKIIVLCSRGTRAKWQALLGRGAPVRLRCDHGKPVGDLFTAAMNMILPDFKRPACFGTYVVCYFSEVSCDGDVPDLFGAAPRYPLMDRFEEVYFRIQDLEMFQPGRMHRVGELSGDNYLRSPGGRQLRAALDRFRDWQVRCPDWFECENLYSADDQDAPSLDEEVFEEPLLPPGTGIVKRAPLVREPGSQACLAIDPLVGEEGGAAVAKLEPHLQPRGQPAPQPLHTLVLAAEEGALVAAVEPGPLADGAAVRLALAGEGEACPLLGSPGAGRNSVLFLPVDPEDSPLGSSTPMASPDLLPEDVREHLEGLMLSLFEQSLSCQAQGGCSRPAMVLTDPHTPYEEEQRQSVQSDQGYISRSSPQPPEGLTEMEEEEEEEQDPGKPALPLSPEDLESLRSLQRQLLFRQLQKNSGWDTMGSESEGPSA(配列番号13)。
【0069】
また提供されるのは、シグナル配列が取り除かれる(たとえば、処理される)又はアミノ酸1〜31若しくは1〜32が欠失するIL−17RAポリペプチド、任意でそのほかの欠失、挿入及び置換である。例となるIL−17RAポリペプチドは以下のとおりであり:SLRLLDHRALVCSQPGLNCTVKNSTCLDDSWIHPRNLTPSSPKDLQIQLHFAHTQQGDLFPVAHIEWTLQTDASILYLEGAELSVLQLNTNERLCVRFEFLSKLRHHHRRWRFTFSHFVVDPDQEYEVTVHHLPKPIPDGDPNHQSKNFLVPDCEHARMKVTTPCMSSGSLWDPNITVETLEAHQLRVSFTLWNESTHYQILLTSFPHMENHSCFEHMHHIPAPRPEEFHQRSNVTLTLRNLKGCCRHQVQIQPFFSSCLNDCLRHSATVSCPEMPDTPEPIPDYMPLWVYWFITGISILLVGSVILLIVCMTWRLAGPGSEKYSDDTKYTDGLPAADLIPPPLKPRKVWIIYSADHPLYVDVVLKFAQFLLTACGTEVALDLLEEQAISEAGVMTWVGRQKQEMVESNSKIIVLCSRGTRAKWQALLGRGAPVRLRCDHGKPVGDLFTAAMNMILPDFKRPACFGTYVVCYFSEVSCDGDVPDLFGAAPRYPLMDRFEEVYFRIQDLEMFQPGRMHRVGELSGDNYLRSPGGRQLRAALDRFRDWQVRCPDWFECENLYSADDQDAPSLDEEVFEEPLLPPGTGIVKRAPLVREPGSQACLAIDPLVGEEGGAAVAKLEPHLQPRGQPAPQPLHTLVLAAEEGALVAAVEPGPLADGAAVRLALAGEGEACPLLGSPGAGRNSVLFLPVDPEDSPLGSSTPMASPDLLPEDVREHLEGLMLSLFEQSLSCQAQGGCSRPAMVLTDPHTPYEEEQRQSVQSDQGYISRSSPQPPEGLTEMEEEEEEEQDPGKPALPLSPEDLESLRSLQRQLLFRQLQKNSGWDTMGSESEGPSA(配列番号14)、以下の実施例1〜3で使用される番号付けを表す。
【0070】
別の例となるIL−17RAポリペプチドには、IL−17RAの細胞外ドメイン、たとえば、配列番号13の略アミノ酸33〜320が含まれる。他の例となるIL−17RA配列には、マウス(Q60943)、ラット(NP_001101353.2、GenBank)及びウシの配列(XP_603383.5、GenBank)が挙げられる。
【0071】
IL−17RB:例となるヒトIL−17RB受容体の配列は以下のとおりであり、Q9NRM6のUniProt identifierを有する:MSLVLLSLAALCRSAVPREPTVQCGSETGPSPEWMLQHDLIPGDLRDLRVEPVTTSVATGDYSILMNVSWVLRADASIRLLKATKICVTGKSNFQSYSCVRCNYTEAFQTQTRPSGGKWTFSYIGFPVELNTVYFIGAHNIPNANMNEDGPSMSVNFTSPGCLDHIMKYKKKCVKAGSLWDPNITACKKNEETVEVNFTTTPLGNRYMALIQHSTIIGFSQVFEPHQKKQTRASVVIPVTGDSEGATVQLTPYFPTCGSDCIRHKGTVVLCPQTGVPFPLDNNKSKPGGWLPLLLLSLLVATWVLVAGIYLMWRHERIKKTSFSTTTLLPPIKVLVVYPSEICFHHTICYFTEFLQNHCRSEVILEKWQKKKIAEMGPVQWLATQKKAADKVVFLLSNDVNSVCDGTCGKSEGSPSENSQDLFPLAFNLFCSDLRSQIHLHKYVVVYFREIDTKDDYNALSVCPKYHLMKDATAFCAELLHVKQQVSAGKRSQACHDGCCSL(配列番号15)。
【0072】
Tianら、Oncogene、19:2098−2109(2000)及びShiら、J.Biol.Chem.275:19167−19176(2000)も参照のこと。また提供されるのは、シグナル配列が取り除かれる(たとえば、処理される)又はアミノ酸1〜17が欠失するIL−17RBポリペプチド、任意でそのほかの欠失、挿入及び置換である。別の例となるIL−17RBポリペプチドには、IL−17RBの細胞外ドメイン、たとえば、Q9NRM6の略アミノ酸18〜292が含まれる。
【0073】
IL−17RC:例となるヒトIL−17RC受容体の配列は以下のとおりであり、Q8NAC3のUniProt identifierを有する:MPVPWFLLSLALGRSPVVLSLERLVGPQDATHCSPVSLEPWGDEERLRVQFLAQQSLSLAPVTAATARTALSGLSGADGRREERGRGKSWVCLSLGGSGNTEPQKKGLSCRLWDSDILCLPGDIVPAPGPVLAPTHLQTELVLRCQKETDCDLCLRVAVHLAVHGHWEEPEDEEKFGGAADSGVEEPRNASLQAQVVLSFQAYPTARCVLLEVQVPAALVQFGQSVGSVVYDCFEAALGSEVRIWSYTQPRYEKELNHTQQLPDCRGLEVWNSIPSCWALPWLNVSADGDNVHLVLNVSEEQHFGLSLYWNQVQGPPKPRWHKNLTGPQIITLNHTDLVPCLCIQVWPLEPDSVRTNICPFREDPRAHQNLWQAARLQLLTLQSWLLDAPCSLPAEAALCWRAPGGDPCQPLVPPLSWENVTVDKVLEFPLLKGHPNLCVQVNSSEKLQLQECLWADSLGPLKDDVLLLETRGPQDNRSLCALEPSGCTSLPSKASTRAARLGEYLLQDLQSGQCLQLWDDDLGALWACPMDKYIHKRWALVWLACLLFAAALSLILLLKKDHAKGWLRLLKQDVRSGAAARGRAALLLYSADDSGFERLVGALASALCQLPLRVAVDLWSRRELSAQGPVAWFHAQRRQTLQEGGVVVLLFSPGAVALCSEWLQDGVSGPGAHGPHDAFRASLSCVLPDFLQGRAPGSYVGACFDRLLHPDAVPALFRTVPVFTLPSQLPDFLGALQQPRAPRSGRLQERAEQVSRALQPALDSYFHPPGTPAPGRGVGPGAGPGAGDGT(配列番号16)。
【0074】
また提供されるのは、シグナル配列が取り除かれる(たとえば、処理される)又はアミノ酸1〜20が欠失するIL−17RCポリペプチド、任意でそのほかの欠失、挿入及び置換である。別の例となるIL−17RCポリペプチドには、IL−17RCの細胞外ドメイン、たとえば、配列番号14の略アミノ酸21〜538が含まれる。他の例となるIL−17RC配列には、マウス(Q8K4C2)、ラット(XP_216240.5、GenBank)及びウシの配列(NP_001068646.1、GenBank)が挙げられる。
【0075】
IL−17RD:例となるヒトIL−17RD受容体の配列はUniprot identifier Q8NFM7によって記載されている。Xiongら、J.Biol.Chem.278:50273−50282(2003)も参照のこと。また提供されるのは、シグナル配列が取り除かれる(たとえば、処理される)又はアミノ酸1〜16が欠失するIL−17RDポリペプチド、任意でそのほかの欠失、挿入及び置換である。別の例となるIL−17RDポリペプチドには、IL−17RDの細胞外ドメイン、たとえば、Q8NFM7の略アミノ酸17〜299が含まれる。
【0076】
IL−17RE:例となるヒトIL−17RE受容体の配列はUniprot identifier Q8NFR9によって記載されている。また提供されるのは、シグナル配列が取り除かれる(たとえば、処理される)又はアミノ酸1〜23が欠失するIL−17REポリペプチド、任意でそのほかの欠失、挿入及び置換である。別の例となるIL−17REポリペプチドには、IL−17REの細胞外ドメイン、たとえば、Q8NFR9の略アミノ酸24〜454が含まれる。
【0077】
本発明は、IL−17受容体のシグナル伝達の新規拮抗物質、たとえば、1以上のIL−17RA、IL−17RB、IL−17RC、IL−17RD及びIL−17REのシグナル伝達の拮抗物質、並びに炎症性疾患及び自己免疫疾患の治療におけるそのような拮抗物質の使用を提供する。本発明はさらに、IL−17サイトカインのシグナル伝達、たとえば、IL−17A、IL−17B、IL−17C、IL−17D、IL−17E及びIL−17Fのシグナル伝達の新規拮抗物質、並びに炎症性疾患及び自己免疫疾患の治療におけるその使用を提供する。
【0078】
その例となるメンバーがIL−17RAに対する拮抗物質であり、本発明の抗IL−17RAデザイナーサイトカイン拮抗物質を中和することを含む本発明の拮抗物質は、たとえば、多発性硬化症、癌(特にIL−17及び/又はIL−23の発現を特徴とする)、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、自己免疫性眼疾患、内毒素血症、IBS、及び炎症性腸疾患(IBD)、大腸炎、喘息、COPD、嚢胞性線維症、同種移植拒絶、免疫介在性腎疾患、肝胆道疾患、アテローム性硬化症、腫瘍増殖の促進、又は変性関節疾患、アテローム性硬化症及び本明細書で開示されるそのほかの炎症性状態のような炎症及び炎症性疾患の治療においてIL−17A、IL−17F、又はIL−17A/F又はそれらの組み合わせの活性を遮断する、阻害する、低減する、拮抗する、又は中和するのに使用することができる。
【0079】
本発明は、IL−17リガンド及び/又は受容体の接触面に結合し、それによって生産的相互作用を妨げる単離されたポリペプチドを提供する。さらに具体的には、本発明は、IL−17リガンド及び/又は受容体に結合し、IL−17受容体を発現している細胞において炎症性メディエータの産生を阻害するポリペプチドを提供する。
【0080】
5種のIL−17受容体(IL−17RA〜IL−17RF)は既知の受容体のいずれとも相同ではなく、かなりの配列多様性を示す。すべて、フィブロネクチンIII型(FnIII)ドメインで構成される細胞外ドメインと、Toll/IL−1R(TLR)ドメインと緩やかな相同性を示す細胞質SEF/IL−17R(SEFIR)ドメインを含有すると思われる(13,14)。IL−17受容体は、1型の4ヘリックスサイトカインでさらに広く知られる受容体によって誘発されるものとは識別可能であるシグナル伝達事象に介在する(15,16)。TLR刺激と同様に、IL−17受容体の刺激はNF−κBとマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)の活性化を生じる。しかしながら、IL−17受容体のシグナル伝達は、TLRシグナル伝達と同様の膜近位アダプター分子のセットを利用するのではなく;IL−17RはSEFIRドメインも含有するアダプターAct1を必要とする(17〜19)。IL−17受容体のこれらの独特のシグナル伝達特性によってT−17細胞が自然免疫細胞と獲得免疫細胞の間の橋渡しとして作用するのが可能になる。
【0081】
機構的に、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)試験によって、IL−17RAは、IL−17が結合してIL−17RCとのヘテロ二量体シグナル伝達複合体を形成する際に構造変化を受ける細胞表面上で事前に形成された二量体として存在し得ることが示唆されている。しかしながら、ヘテロ二量体のIL−17サイトカインがどのように2つの異なった受容体と対になるのかという分子的基礎は未知のままである(14,20)。本明細書で提供される構造的な及び生化学的な分析によって初めてIL−17系の特異的な拮抗物質の理に適った設計が可能になる。この分析に基づいて我々は、IL−17のシグナル伝達を妨害し、種々の疾患の哺乳類を治療するのに有用である一連の拮抗物質を提供する。
【0082】
本発明の好ましい実施形態には、相互交換可能に、「IL−17R拮抗物質」、「IL−17拮抗物質」、「IL−17R中和物質」、「IL−17Rデザイナーサイトカイン拮抗物質」、及び「IL−17デザイナーサイトカイン拮抗物質」と呼ばれるIL−17R又はIL−17に結合する結合ペプチド、タンパク質及びその断片又は置換物が挙げられる。具体的には、一部の実施形態では、そのような結合ペプチド又はタンパク質は、ヒトIL−17Rに特異的に結合することができ、「IL−17R結合タンパク質」と呼ばれる。さらに、これらの結合ペプチド又はタンパク質は、IL−17に関連した生物活性を調節することができ、たとえば、IL−17受容体のIL−17による活性化を拮抗することができるので、たとえば、炎症や免疫関連疾患のような種々の疾患及び病態を治療するのに有用である。例となる拮抗物質は、200、50、20又は10nM未満のIC50を有する。
【0083】
さらに別の実施形態では、本発明は、本発明のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドに関するものであり、前記ポリペプチドはIL−17R、たとえば、IL−17RA、IL−17RB、IL−17RC、IL−17RD及びIL−17REに結合することが可能であり、そのシグナル伝達能を低減することが可能である。
【0084】
本発明はまた、本発明の拮抗物質と免疫グロブリン部分、たとえば、免疫グロブリンのドメイン又は領域を含む融合タンパク質も提供する。そのような融合タンパク質では、免疫グロブリン部分は、たとえば、ヒトFc断片のような免疫グロブリン重鎖定常領域であってもよい。本発明はさらにそのような融合タンパク質をコードする単離された核酸を含む。
【0085】
本発明はまた、ポリエチレングリコールのポリマーに抱合された本発明の拮抗物質を含むタンパク質抱合体も提供する。
【0086】
本発明はさらに、薬学上許容可能なキャリアと本明細書に記載されるIL−17R拮抗物質を含む医薬組成物を包含する。
【0087】
別の態様では、本発明は、有効量のIL−17シグナル伝達の拮抗物質を対象に投与することを含む、哺乳類対象におけるIL−17及び/又はIL−23及び/又はIFN−γの高い発現を特徴とする炎症性疾患の治療方法に関する。
【0088】
さらに別の実施形態では、本発明は、細胞又はその培地をIL−17Rの拮抗物質で処理することによって哺乳類細胞にて炎症性メディエータの産生を阻害する方法に関する。
【0089】
別の態様では、本発明は、有効量のIL−17シグナル伝達の拮抗物質を対象に投与することを含む、哺乳類対象におけるIL−17及び/又はIL−23及び/又はIFN−γの高い発現を特徴とする炎症性疾患の治療方法に関する。
【0090】
本発明の典型的な方法には、増大した又は増強されたIL−17及び/又はIL−23及び/又はIFN−γの発現及び/又は活性に関連する又はその結果生じる哺乳類における病態又は疾患を治療する方法が含まれる。治療方法では、好ましくは各受容体活性を低減させる本発明の拮抗物質が投与されてもよい。方法は、IL−17R複合体の形成を阻止することによってシグナル伝達を低減するIL−17Rの拮抗物質の使用を企図する。
【0091】
本発明の拮抗物質(たとえば、IL−17Rの拮抗物質)は、たとえば、全身性エリテマトーデス、関節炎、関節リウマチ、変形性関節炎、乾癬、中枢神経系及び末梢神経系の脱髄疾患、たとえば、多発性硬化症、特発性脱髄多発性神経障害又はギラン・バレー症候群、炎症性腸疾患、大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、グルテン感受性腸疾患、自己免疫性眼疾患、癌、悪性腫瘍疾患、アテローム性硬化症及び血管新生を含む免疫関連疾患及び炎症性疾患の治療のための薬剤及び薬物を調製するのにも有用である。
【0092】
特定の態様では、そのような薬剤及び薬物は、薬学上許容可能なキャリアと共に治療上有効な量のIL−17R拮抗物質を含む。好ましくは、混合物は無菌である。
【0093】
さらに別の実施形態では、本発明はT細胞をIL−17R拮抗物質で処理することによってIL−17の産生及び/又は維持を阻害する方法に関する。
【0094】
その上さらなる実施形態では、本発明は、たとえば、IL−17サイトカイン配列と相同の配列を含むIL−17R結合タンパク質のようなIL−17R拮抗物質を前記哺乳類に投与することを含む、哺乳類においてTリンパ球の活性を下げる方法を提供し、哺乳類におけるTリンパ球の活性は低下する。
【0095】
その上さらなる実施形態では、本発明は、たとえば、IL−17サイトカイン配列と相同の配列を含むIL−17R結合タンパク質のようなIL−17R拮抗物質を前記哺乳類に投与することを含む、哺乳類においてTリンパ球の増殖を低下させる方法を提供し、哺乳類におけるTリンパ球の増殖は低下する。
【0096】
それらを製造する方法も本明細書に記載され、それらの方法は、前記抗体の発現に好適な条件下で適当なコーディング核酸分子を含有するベクターを含む宿主を培養することと、細胞培養物から前記抗体を回収することを含む。
IL−17R結合タンパク質
【0097】
IL−17サイトカインはその受容体結合面の1つにてIL−17Rに接触する少なくとも3つの部位を含むことができる。IL−17は一般に、2つのサブユニット(ここではA鎖及びB鎖とする)を含み、それぞれアミノ酸を特定の結合面に寄与させる。用語「A鎖」及び「B鎖」の使用は単に参照のためである。たとえば、単鎖の形式を使用する実施形態では、「A鎖」をC末端で「B鎖」に置いてもよく、代わりにそれをN末端で「B鎖」に置いてもよい。
【0098】
IL−17RAに結合するIL−17接触面は、表1に示すような以下の接触残基を含む3つの部位(部位1、部位2及び部位3)を含む(IL−17F及び配列番号12の番号付けに従って)。
【表1】

【0099】
特定の残基は2つの隣接する部位の接合部にあるので、双方の部位について列記する。接触面残基の幾つかは、以下の実施例20における表に示すようにIL−17RAに結合する際、埋め込まれる。
【0100】
一態様では、本開示は、2つのサブユニットを含むIL−17サイトカインを含むIL−17R結合タンパク質を特徴とし、2つのサブユニットによって形成される二量体の受容体結合面の1つは、1以上の置換、たとえば、少なくとも2又は3の置換、たとえば、非保存的置換又は本明細書に記載される置換を含む。たとえば、サイトカインは、上記表1で特定された位置にて少なくとも1、2、3、4、5、6又は7の置換(又は欠失)、たとえば、2〜10、2〜7、又は3〜10又は3〜6の間の置換(又は欠失)を有する。場合によっては、サイトカインのサブユニットの一方は、少なくとも1、2、3、4、5、6又は7の置換(又は欠失)にて他方のサブユニットと異なる。たとえば、IL−17R結合タンパク質では、2つの受容体結合面は、たとえば、表1におけるものに相当する位置にて異なったアミノ酸、たとえば、少なくとも1、2、3、4、5、6又は7の差異を含むことができる。
【0101】
サブユニットの一方又は双方は、1以上の保存的な及び/又は非保存的な置換を有することができる。通常、少なくとも一方のサブユニット又は双方のサブユニットは、成熟ヒトIL−17、たとえば、配列番号2、4、6、8、10、12又は20と少なくとも90、92、94、95、96、97又は98%同一であるが、100%同一ではない。一実施形態では、サブユニットのいずれもが成熟ヒトIL−17と100%同一ではなく、それらは、それらが由来するヒトIL−17とは少なくとも1、2、又は3のアミノ酸で異なる。一実施形態では、一方のサブユニットは成熟ヒトIL−17と異なるが、他方のサブユニットは成熟ヒトIL−17と同一である。特定の実施形態では、サブユニットにおける置換は相当するマウスのタンパク質における残基ではない。
部位1
【0102】
一実施形態では、IL−17R結合タンパク質は、受容体結合面の1つの部位1が1以上の変異、たとえば、少なくとも2又は3の変異、たとえば、非保存的な変異又は本明細書に記載される変異を含む、2つのサブユニットを含むIL−17サイトカインを含む。たとえば、以下の部位1の残基(IL−17F及び配列番号12の番号付けに基づいて特定される)の1以上は変異させられる:A鎖:MET25及びLYS115;及びB鎖:ILE29、ILE31、TRP58、ASN61、TYR63、PRO64、SER65、GLU66、VAL100、ARG102、HIS104、VAL109及びPHE111、及び図4Dに示すようなIL−17A、IL−17B、IL−17C、IL−17D及びIL−17Eにおける相当する残基。一実施形態では、結合タンパク質は、部位1の前述のA鎖残基の1つにて少なくとも1つの変異、及び前述のB鎖残基の1つにて少なくとも1つの変異を含む。部位1にて為され得る一部の例となる変異には以下が挙げられる。
【0103】
A鎖におけるMET25は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、MET25を、中性の親水性残基、小型の脂肪族残基、荷電した残基又は芳香族残基に変異させる。たとえば、MET25をTrp又はTyrに変異させる。たとえば、荷電した残基又は全体として芳香族に変異させることによってMET25を変異させて表面近くで疎水性のパッキングを崩壊することができる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のVAL23、配列番号4のARG36、配列番号6のLEU48、配列番号8のLeu36及び配列番号10のLeu33に対して行うことができる。
【0104】
B鎖におけるILE29は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、ILE29を、中性の親水性残基、小型の脂肪族残基、荷電した残基又は芳香族残基に変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のILE27に対して行うことができる。
【0105】
B鎖におけるILE31は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、ILE31を、小型の脂肪族残基、荷電した残基又は芳香族残基に変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のASN29に対して行うことができる。
【0106】
B鎖におけるTRP58は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、TRP58を、小型の脂肪族残基に変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のGLU56、配列番号4のHIS85、配列番号6のTHR97、配列番号8のTYR85及び配列番号10のARG67に対して行うことができる。
【0107】
B鎖におけるASN61は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、ASN61を、脂肪族残基、荷電した残基又は芳香族残基に変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のGLU59、配列番号4のSER88、配列番号6のASP100、配列番号8のALA88及び配列番号10のASN70に対して行うことができる。
【0108】
B鎖におけるTYR63は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、TYR63を、脂肪族残基、中性の親水性残基、又は荷電した残基に変異させる。たとえば、TYR63をAla又はLysに変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のTYR61、配列番号4のILE90、配列番号6のTYR102、配列番号8のTYR90及び配列番号10のLEU72に対して行うことができる。
【0109】
B鎖におけるPRO64は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、PRO64を、グリシン、脂肪族残基、中性の親水性残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のPRO62、配列番号4のPRO91、配列番号6のPRO103、配列番号8のPRO91及び配列番号10のPRO73に対して行うことができる。
【0110】
B鎖におけるSER65は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、SER65を、脂肪族残基、特に大きな脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。たとえば、SER65をLys又はTrpに変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のSER63、配列番号4のVAL92、配列番号6のGLN104、配列番号8のARG92及び配列番号10のGLN74に対して行うことができる。
【0111】
B鎖におけるVAL100は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、VAL100を、中性の親水性残基、大きな脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のLEU98、配列番号4のARG128、配列番号6のLEU140、配列番号8のLEU128、及び配列番号10のPHE111に対して行うことができる。
【0112】
B鎖におけるARG102は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、ARG102を、脂肪族残基、中性の親水性残基、酸性残基、又は芳香族残基に変異させる。たとえば、ARG102をAla、Ser、Gln又はAsnに変異させる。相当する変異は、配列番号2のARG100、配列番号4のARG130、配列番号6のARG142、配列番号8のARG130及び配列番号10のARG113に対して行うことができる。
【0113】
B鎖におけるHIS104は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、HIS104を、脂肪族残基又は酸性残基に変異させる。たとえば、HIS104をGlu又はAspに変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のPRO102、配列番号4のPRO136、配列番号6のPRO153、配列番号8のCYS134及び配列番号10のGLY121に対して行うことができる。
【0114】
B鎖におけるVAL109は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、VAL109を、中性の親水性残基、大きな脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。
【0115】
B鎖におけるPHE111は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、PHE111を、小さな脂肪族残基、中性の親水性残基、又は荷電した残基に変異させる。たとえば、PHE111をAlaに変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のPHE109、配列番号4のGLN143、配列番号6のPHE160、配列番号8のTYR141及び配列番号10のLEU128に対して行うことができる。
【0116】
B鎖におけるGLU66は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、GLU66を、脂肪族残基、中性の親水性残基、塩基性残基、又は芳香族残基に変異させる。たとえば、変異を行ってGLU66による水素結合を壊す。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のVAL64、配列番号4のASP93、配列番号6のLYS105、配列番号8のTYR93及び配列番号10のASP75に対して行うことができる。
【0117】
A鎖におけるLYS115は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、LYS115を、脂肪族残基、中性の親水性残基、酸性残基、又は芳香族残基に変異させる。たとえば、LYS115をAlaに変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のLYS113、配列番号4のMET147、配列番号6のPHE164、配列番号8のTYR145及び配列番号10のLEU132に対して行うことができる。
部位2
【0118】
一実施形態では、IL−17R結合タンパク質は、受容体結合面の1つの部位2が1以上の変異、たとえば、少なくとも2又は3の変異、たとえば、非保存的な変異又は本明細書に記載される変異を含む2つのサブユニットを含むIL−17サイトカインを含む。たとえば、以下の部位2の残基(IL−17F及び配列番号12についての番号付けに基づいて特定される)の1以上を変異させる:A鎖:GLN94、GLN95、GLU96、LYS115及びLEU117;及びB鎖:GLN36、ARG37、MET40、SER41、ASN43、GLU45、TYR54、VAL56、GLU66、VAL68及びVAL118、及び図4Dに示されるようなIL−17A、IL−17B、IL−17C、IL−17D及びIL−17Eにおける相当する残基。一実施形態では、結合タンパク質は、部位2の前述のA鎖残基の1つにおける少なくとも1つの変異と、前述のB鎖残基の1つにおける少なくとも1つの変異を含む。部位2で行われ得る一部の例となる変異には以下が挙げられる。
【0119】
B鎖におけるGLN36は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、GLN36を、脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。たとえば、GLN36を変異させてこの残基による水素結合を壊す。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のTHR34、配列番号4のMET47、配列番号6のGLY59、配列番号8のPRO47及び配列番号10のSER44に対して行うことができる。
【0120】
B鎖におけるARG37は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、ARG37を、脂肪族残基、中性の親水性残基、酸性残基、又は芳香族残基に変異させる。たとえば、ARG37をAla又はGluに変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のASN35、配列番号4のVAL48、配列番号6のARG60、配列番号8のARG48及び配列番号10のCYS45に対して行うことができる。
【0121】
B鎖におけるMET40は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、MET40を、中性の親水性残基、小さな脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のARG38、配列番号4のLEU51、配列番号6のARG63、配列番号8のALA51及び配列番号10のSER48に対して行うことができる。たとえば、配列番号2のARG38及び配列番号6のARG63をGlu、Asp、Gln、Asn、Thr、又はSerに変異させることができ、又は水素結合若しくは塩橋を形成する能力を壊す別の残基に変異させることができる。
【0122】
B鎖におけるSER41は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、SER41を、脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。たとえば、SER41をAla、Trp、Tyr、Arg、又はLysに変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のSER39に対して行うことができる。
【0123】
B鎖におけるASN43は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、ASN43を、脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。たとえば、ASN43をGlu又はAspに変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のASP41、配列番号4のMET70、配列番号6のASP82、配列番号8のPRO70及び配列番号10のPRO52に対して行うことができる。たとえば、配列番号2のASP41をIle、Leu、Tyr,Arg、又はLysに変異させることができる。
【0124】
B鎖におけるGLU45は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、GLU45を、脂肪族残基、又は芳香族残基に変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のTYR43、配列番号4のASN72、配列番号6のHIS84、配列番号8のASN72及び配列番号10のASN54に対して行うことができる。
【0125】
B鎖におけるTYR54は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、TYR54を、脂肪族残基、中性の親水性残基、又は荷電した残基に変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のLEU52、配列番号4のTYR81、配列番号6のTYR93、配列番号8のTYR81及び配列番号10のTYR63に対して行うことができる。
【0126】
B鎖におけるVAL56は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、VAL56を、中性の親水性残基、大きな脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のARG54、配列番号4のILE83、配列番号6のVAL95、配列番号8のILE83及び配列番号10のLeu65に対して行うことができる。
【0127】
B鎖におけるVAL68は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、VAL68を、中性の親水性残基、大きな脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。たとえば、VAL68をGln、Asn、Ser又はThrに変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のTRP66、配列番号4のPRO95、配列番号6のALA107、配列番号8のPRO95及び配列番号10のTYR77に対して行うことができる。
【0128】
A鎖におけるGLN94は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、GLN94を、脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のGLN92、配列番号4のPHE122、配列番号6のLEU134、配列番号8のTYR122及び配列番号10のTYR105に対して行うことができる。
【0129】
A鎖におけるGLN95は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、GLN95を、脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。たとえば、GLN95をAsp、Glu、Ala又はTrpに変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のGLN93、配列番号4のSER123、配列番号6のGLN135、配列番号8のMET123、及び配列番号10のHIS106に対して行うことができる。
【0130】
A鎖におけるGLU96は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、GLU96を、脂肪族残基、塩基性残基、又は芳香族残基に変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のGLU94、配列番号4のGLN124、配列番号6のSER136、配列番号8のPRO124及び配列番号10のASN107に対して行うことができる。
【0131】
A鎖におけるLEU117は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、LEU117を、中性の親水性残基、小さな脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のLEU115、配列番号4のTHR149、配列番号6のHIS166、配列番号8のTHR147及び配列番号10のARG134に対して行うことができる。
【0132】
B鎖におけるVAL118は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、VAL118を、中性の親水性残基、大きな脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のVAL116、配列番号4のILE150、配列番号6のVAL167、配列番号8のILE148及び配列番号10のVAL135に対して行うことができる。
【0133】
加えて、配列番号2のLYS37を別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、それをGlu、Asp、GLn、Asn、Thr、又はSerに変異させることができ、又は水素結合若しくは塩橋を形成する能力を壊す別の残基に変異させることができる。
【0134】
配列番号2のARG30及び配列番号10のARG40を別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、それをGlu、Asp、GLn、Asn、Thr、又はSerに変異させることができ、又は水素結合若しくは塩橋を形成する能力を壊す別の残基に変異させることができる。
部位3
【0135】
一実施形態では、IL−17R結合タンパク質は、受容体結合面の1つの部位3が1以上の変異、たとえば、少なくとも2又は3の変異、たとえば、非保存的な変異又は本明細書に記載される変異を含む2つのサブユニットを含むIL−17サイトカインを含む。たとえば、以下の部位3の残基(IL−17F及び配列番号12についての番号付けに基づいて特定される)の1以上を変異させる:A鎖:LEU75、ILE86、SER87、ASN89、VAL91、VAL125、PRO127、VAL128、ILE129、HIS130、HIS131及びVAL132、及び/又はVAL125、THR126、PRO127、VAL128、ILE129、HIS130、HIS131又はVAL132に先行する残基でA鎖を切り捨てることができる;及びB鎖:MET40、ARG42、ILE44及びARG47、及び図4Dに示されるようなIL−17A、IL−17B、IL−17C、IL−17D及びIL−17Eにおける相当する残基。一実施形態では、結合タンパク質は、部位3の前述のA鎖残基の1つにおける少なくとも1つの変異と、前述のB鎖残基の1つにおける少なくとも1つの変異を含む。
【0136】
部位3にて行われ得る一部の例となる変異には以下が挙げられる。
【0137】
B鎖におけるARG42は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、ARG42を、脂肪族残基、中性の親水性残基、酸性残基、又は芳香族残基に変異させる。たとえば、ARG42をGlu、Asp、Trp又はAlaに変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のSER40、配列番号4のTRP69、配列番号6のALA81、配列番号8のPRO69及び配列番号10のGLY51に対して行うことができる。
【0138】
B鎖におけるILE44は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、ILE44を、中性の親水性残基、小さな脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のTYR42、配列番号4のSER71、配列番号6のTHR83、配列番号8のTHR71及び配列番号10のLEU53に対して行うことができる。
【0139】
B鎖におけるARG47は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、ARG47を、脂肪族残基、中性の親水性残基、酸性残基、又は芳香族残基に変異させる。たとえば、ARG47をGlu、Asp、Gln、又はAsnに変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のARG45、配列番号4のARG74、配列番号6のARG86、配列番号8のARG74及び配列番号10のARG56に対して行うことができる。
【0140】
A鎖におけるLEU75は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、LEU75を、中性の親水性残基、小さな脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のLEU73、配列番号4のLEU102、配列番号6のARG114、配列番号8のARG102及び配列番号10のPRO84に対して行うことができる。
【0141】
A鎖におけるILE86は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、ILE86を、中性の親水性残基、小さな脂肪族残基、又は荷電した残基に変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のTYR84、配列番号4のARG114、配列番号6のALA126、配列番号8のVAL及び配列番号10のPRO97に対して行うことができる。
【0142】
A鎖におけるSER87は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、SER87を、脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のHIS85、配列番号4のSER115、配列番号6のALA127、配列番号8のARG115及び配列番号10のARG98に対して行うことができる。
【0143】
A鎖におけるASN89は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、ASN89を、脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。たとえば、ASN89をAlaに変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のASN87、配列番号4のVAL117、配列番号6のASN129、配列番号8のARG117及び配列番号10のASN100に対して行うことができる。
【0144】
A鎖におけるVAL91は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、VAL91を、中性の親水性残基、大きな脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。たとえば、VAL91をAsp又はGluに変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のVAL89、配列番号4のVAL119、配列番号6のVAL131、配列番号8のALA119及び配列番号10のGLU102に対して行うことができる。
【0145】
A鎖におけるVAL125は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、VAL125を、中性の親水性残基、大きな脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のVAL123、配列番号4のILE157、配列番号6のVAL174、配列番号8のVAL155及び配列番号10のVAL142に対して行うことができる。
【0146】
A鎖におけるPRO127は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、PRO127を、脂肪族残基、中性の親水性残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。一実施形態では、PRO127を欠失させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のPRO127、配列番号6のPRO176、配列番号8のGLU157及び配列番号10のPRO144に対して行うことができる。
【0147】
A鎖におけるVAL128は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、VAL128を、中性の親水性残基、大きな脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。一実施形態では、VAL128を欠失させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のILE126、配列番号6のARG177、配列番号8のPRO158及び配列番号10のARG145に対して行うことができる。
【0148】
A鎖におけるILE129は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、ILE129を、中性の親水性残基、小さな脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。一実施形態では、ILE129を欠失させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のVAL127、配列番号6のSER178、配列番号8のGLU159及び配列番号10のVAL146に対して行うことができる。
【0149】
A鎖におけるHIS130は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、HIS130を、脂肪族残基、又は酸性残基に変異させる。一実施形態では、HIS130を欠失させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のHIS128、配列番号6のVAL179、配列番号8のLYS160及び配列番号10のMET147に対して行うことができる。
【0150】
A鎖におけるHIS131は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、HIS131を、脂肪族残基、又は酸性残基に変異させる。一実施形態では、HIS131を欠失させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のHIS129、配列番号8のASP161及び配列番号10のGLY148に対して行うことができる。
【0151】
A鎖におけるVAL132は別のアミノ酸、たとえば、アラニン又はアラニン以外のアミノ酸に変異させることができる。たとえば、VAL132を、中性の親水性残基、大きな脂肪族残基、荷電した残基、又は芳香族残基に変異させる。一実施形態では、VAL132を欠失させる。相当する変異又は非保存的変異は、配列番号2のVAL130、及び配列番号8のALA162に対して行うことができる。
【0152】
サイトカインのサブユニットは、以下の残基とサブユニットの天然のC末端との間に1以上の、たとえば、少なくとも2、3、4又は5の欠失を含有することができる:配列番号12におけるPTO127、配列番号2のPRO125、配列番号6のPRO176、配列番号8のGLU157、及び配列番号10のPTO144。一部の実施形態では、サイトカインのサブユニットは、前述の位置の1つの直後又はそのような位置から1、2又は3残基離れて切り捨てられる。サイトカインのサブユニットを含有するポリペプチドはそのような切捨てで終了することができ、又は代わりに切り捨てられたサイトカインのサブユニットの末端に融合する他の外因性配列(たとえば、ポリペプチドのタグ)を含めることができる。
【0153】
例となるIL−17R結合タンパク質は、たとえば、以下のような複数の変異を含む:
・部位1における少なくとも1、2又は3の置換及び部位2における少なくとも1、2又は3の置換;
・部位1における少なくとも1、2又は3の置換及び部位3における少なくとも1、2又は3の置換;
・部位2における少なくとも1、2又は3の置換及び部位3における少なくとも1、2又は3の置換;
・部位1における少なくとも1、2又は3の置換と、部位2における少なくとも1、2又は3の置換と、部位3における少なくとも1、2又は3の置換。
【0154】
例となるIL−17R結合タンパク質は、IL−17サイトカインにて複数の置換及び/又は欠失を含む。たとえば、IL−17結合タンパク質は、以下の特徴(配列番号12の番号付けに従って)の少なくとも2、3又は4を含むことができる:(i)R47でのA鎖における置換、(ii)S65でのA鎖における置換、(iii)W68でのA鎖における置換、(iv)R102でのA鎖における置換、(v)N89でのB鎖における置換、及び(vi)配列番号12の少なくとも2つのC末端残基又は配列番号12の127〜132に相当する少なくとも2、3、4若しくは5の残基の欠失。タンパク質はさらに、本明細書に記載されるそのほかの特徴を有することができる。
【0155】
一部の例となる変異のあるIL−17サイトカインの配列を実施例24〜27にて列記する。そのような配列と少なくとも85、90,92、94、96、98又は99%同一であり、そのような配列と同一の位置で置換を含む配列も使用してもよい。
【0156】
相当する変異は、図4Dで示す対応によって示されるように他のIL−17サイトカインで行うことができる。加えて、以下の残基は特定の実施形態ではIL−17サイトカインのコアに埋め込まれる可能性があり、これら残基の少なくとも50、60、70、80、90又は100%に変異はない。
【表2】

【0157】
一実施形態では、IL−17R結合タンパク質を用いて、試料にて又は患者にて、たとえば、細胞の表面上でIL−17Rを検出する。たとえば、IL−17R結合タンパク質は、受容体を刺激することなくIL−17Rに結合し、検出することができる。IL−17R結合タンパク質を標識することができる。
【0158】
一実施形態では、IL−17R結合タンパク質を受容体の拮抗物質として用いて、たとえば、IL−17受容体に結合させ、受容体の二量体化を妨げる。
アミノ酸の修飾
【0159】
本明細書に記載されるポリペプチドは、置換、欠失又は付加を含む種々の方法で修飾することができる。置換は、1つのアミノ酸の別のアミノ酸への置き換えを生じる。そのような置き換えは、遺伝子コードによって直接コードされる20種のアミノ酸:アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンを用いて行うことができる。加えて、ポリペプチドのアミノ酸は、遺伝子コードによって直接コードされていないアミノ酸:たとえば、セレノシステイン、ピロリジン、p−ニトロフェニルアラニン、p−スルホチロシン、p−カルボキシフェニルアラニン、o−ニトロフェニルアラニン、5−ニトロHis、3−ニトロTyr、2−ニトロTyr、ニトロ置換Leu、ニトロ置換His、ニトロ置換Ile、ニトロ置換Trp、2−ニトロTrp、4−ニトロTrp、5−ニトロTrp、6−ニトロTrp、7−ニトロTrp、アミノチロシン及びカルボキシフェニルアラニンを用いて置き換えることができる。
【0160】
保存的なアミノ酸の置換は、タンパク質の構造又は機能のいずれかを変えることなくタンパク質にて行われることが多い。置換は、(a)置換の近傍の主鎖構造、たとえば、シート構造又は螺旋構造、(b)標的部位での分子の電荷若しくは疎水性、又は(c)側鎖の容積及び分枝に対する影響の可能性に基づいて選択することができる。
【0161】
アミノ酸残基は側鎖の特性に基づいて分類することができる:(1)脂肪族:Ala、Val],Leu、Ile;(2)小型脂肪族:Ala、Val;(3)大型脂肪族:Met、Leu、Ile;(4)中性親水性:Ser、Thr、Asn、Gln;(5)酸性:Asp、Glu;(6)塩基性:His、Lys,Arg;(7)荷電性:Arg、Asp、Glu、His、Lys;(8)主鎖の構造に影響を及ぼす残基:Gly,Pro;及び芳香族:Trp、Tyr、Phe。非保存的は置換には、異なった部類のメンバーに対するこれら部類の1つのメンバーを置換すること又は以下の表で特定されない置換を行うことが含まれ得る。保存的な置換には、同一部類の別のメンバーに対するこれら部類の1つのメンバーを置換することが含まれ得る。一般に変異はCysに対して行われない。
【0162】
例となる保存的置換を以下の表に記載する(保存的な置換として特定されない残基への置換である例となる非保存的な置換と共に)。
【表3】

【表4】

ヘテロ二量体の形成
【0163】
任意の適当なやり方を用いて本明細書に記載される2つのサイトカインサブユニットのヘテロ二量体を形成することができる。例となるヘテロ二量体には、たとえば、IL−17Aの配列変異型とIL−17Fの野生型又は変異型;IL−17Fの配列変異型とIL−17Aの野生型又は変異型などのような2つの異なったサイトカインファミリーメンバーを組み合わせるヘテロ二量体と同様にIL−17A、IL−17F、IL−17B、IL−17C、IL−17D、及びIL−17Eの2つの異なった配列変異型のヘテロ二量体が挙げられる。
【0164】
ヘテロ二量体を形成するやり方の1つは、ヘテロ二量体の一方の配列に2つのサブユニットの一方を接続し、対の他方の配列に他方のサブユニットを接続することである。ヘテロ二量体対に由来する外因性のヘテロ二量体化配列はサイトカインのN末端又はC末端に位置することができる。たとえば、ヘテロ二量体化の対は、非サイトカインタンパク質、たとえば、転写因子(たとえば、fos/jun)、受容体又は人工的な配列のヘテロ二量体化ドメインであり得る。例となる人工的な配列は操作された酸性/塩基性ジッパーである。別の例となる二量体化のやり方は、たとえば、Fcドメインの範囲内で又は独立してヘテロ二量体、たとえば、ノブ・イン・ホールで修飾したCH3ドメインを形成するように操作したFcドメインを使用することである。たとえば、Ridgway Protein Eng.1996、Jul;9(7):617−2を参照のこと。さらに別のやり方には、免疫グロブリン軽鎖の定常領域にサイトカインサブユニットの一方を連結し、免疫グロブリンの重鎖のCH1定常領域にサイトカインサブユニットの他方を連結することが挙げられる。
【0165】
ヘテロ二量体を形成する別のやり方は、単鎖タンパク質を形成するリンカーを用いて2つのサブユニットを接続することである。リンカーは、たとえば、少なくとも24、25、27、29、30又は32の残基、たとえば、25〜34の間又は27〜37の残基の間のような適当な長さであり得る。リンカーは、たとえば、(Gly−Gly−Ser)又は(Gly−Gly−Gly−Ser)又は(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)のような反復配列を含むことができ、nはたとえば、2、3、4、5、6、7以上である。さらに長い及びさらに短いリンカーも使用することができる。最大の安定性を伴ったリンカーの長さと最大のヘテロ二量体形成を選択し、使用することができる。
【0166】
IL−17R結合タンパク質及び本明細書に記載されるそのほかのタンパク質は、組換え宿主細胞における発現だけでなく、たとえば、試験管内の転写及び翻訳及び化学合成のようなそのほかの方法によっても製造することができる。細胞での発現については、結合タンパク質をコードする1以上の核酸(たとえば、cDNA又はゲノムDNA)をクローニング又は発現のための複製可能なベクターに挿入してもよい。種々のベクターが公的に利用可能である。ベクターは、たとえば、プラスミド、コスミド、ウイルスゲノム、ファージミド、ファージゲノム、又はそのほかの自発的に複製する配列であってもよい。種々の手順によって適当なコーディング核酸配列をベクターに挿入してもよい。たとえば、適当な制限エンドヌクレアーゼ部位を操作することができる(たとえば、PCRを用いて)。次いで制限消化と連結を用いて適当な位置でコーディング核酸配列を挿入することができる。ベクターの構成成分には一般に1以上の複製開始点、1以上のマーカー遺伝子、エンハンサ要素、プロモータ及び転写終了配列が含まれる。
【0167】
細菌での発現については、シグナル配列を伴って又はシグナル配列なしで結合タンパク質を産生することができる。たとえば、それが封入体に蓄積するように細胞内でそれを産生することができる。たとえば、原核細胞シグナル配列、たとえば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ又は熱安定性腸毒素IIのような適当なリーダー配列の添加によってそれを分泌させることもできる。発現のための例となる細菌の宿主細胞には、形質転換可能な大腸菌K−12株(たとえば、大腸菌C600,ATCC 23724;大腸菌HB101 NRRLB−11371,ATCC−33694;大腸菌MM294 ATCC−33625;大腸菌W3110 ATCC−27325)、枯草菌、緑膿菌及びそのほかの桿菌の株が挙げられる。細菌系で産生されるタンパク質は通常グリコシル化を欠く。
【0168】
結合タンパク質は、酵母宿主細胞、たとえば、Saccharomyces cerevisiae、Schizosaccharomyces pombe、Hanseula又はPichia pastorisにおいて発現させることができる。酵母での発現については、結合タンパク質は細胞内で産生することができ、又はたとえば、酵母インベルターゼリーダー又はアルファ因子リーダーを用いた分泌によって産生することもできる。哺乳類細胞での発現では、ウイルスの分泌リーダーと同様に、同一種又は関連種の分泌ポリペプチドに由来するシグナル配列のような哺乳類のシグナル配列をタンパク質の直接分泌に使用してもよい。真核宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト又はそのほかの多細胞生物に由来する有核細胞)で使用される発現ベクターは転写の終了のために及びmRNAを安定化されるのに必要な配列も含有することができる。そのような配列は一般に真核細胞又はウイルスのDNA又はcDNAの5’及び時には3’の非翻訳領域から入手可能である。これらの領域は、結合タンパク質をコードするmRNAの非翻訳部分におけるポリアデニル化断片として転写されたヌクレオチド断片を含有する。発現ベクターは1以上のイントロン配列も含んでもよい。
【0169】
結合タンパク質は、たとえば、pFAST−BAC(商標)系を用いたSf9細胞又はSF21細胞のような昆虫細胞でも発現させることができる。結合タンパク質は哺乳類細胞でも発現させることができる。たとえば、哺乳類起源の細胞株も採用されてもよい。哺乳類宿主細胞株の例には、サル腎臓細胞のCOS−7株(ATCC CRL 1651)(Gluzmanら、Cell、23:175,1981)、L細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)細胞、HeLa細胞、及びBHK(ATCC CRL 10)細胞株、及びMcMahanら(EMBO J.10:2821,1991)によって記載されたようなアフリカミドリザル腎臓細胞株CV1(ATCC CCL 70)に由来するCV1/EBNA細胞株が挙げられる。哺乳類細胞にDNAを導入する確立された方法は記載されている(Kaufman, R. J., Large Scale Mammalian Cell Culture, 1990, pp. 1569)。
【0170】
組換え細胞にて結合タンパク質を合成するのに適合させるのに好適なさらにそのほかの方法、ベクター及び宿主細胞は、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第3版、Sambrookら(eds.),Cold Spring Harbor Press,(2001)(ISBN:0879695773)に記載されている。IL−17サイトカインタンパク質は、たとえば、哺乳類、真菌又は細菌の細胞にて適当な方法によって発現させ、精製することができる。タンパク質はグリコシル化することができ、又はグリコシル化することができない。
【0171】
細胞にていったん発現されると、IL−17R結合タンパク質及び本明細書に記載されるタンパク質は、細胞培地、封入体又は細胞溶解物から回収することができる。たとえば、凍結融解の繰り返し、超音波処理、機械的崩壊又は細胞溶解剤(たとえば、界面活性剤)のような種々の物理的又は化学的な手段によって細胞を壊すことができる。細胞溶解物又は細胞培地に見い出すことができる細胞のそのほかのタンパク質又はポリペプチドからIL−17R結合タンパク質及び本明細書に記載されるタンパク質を精製することができる。例となる精製手順の1つには、陽イオン交換クロマトグラフィ及びゲル濾過が挙げられる。たとえば、Murphyら、Protein Expr Purif.1998、Mar;12(2):208−14を参照のこと。タンパク質精製の種々の方法が採用されてもよく、そのような方法は当該技術で既知であり、Deutscher,Methods in Enzymology,182(1990);及びScopes,Protein Purification:Principles and Practice,Springer−Verlag,New York(2010)(ISBN:1441928332)に記載されている。タンパク質分解による切断によって精製部分(たとえば、エピトープタグ、及び親和性ハンドル)を任意で取り出すことができる。
使用方法
【0172】
本明細書に記載される組成物は、脊椎動物対象における疾患又は障害を治療する又は予防する方法に有用である。そのような方法の1つでは、1以上のポリペプチドを含有する組成物を対象に投与する工程が提供される。本明細書に記載されるように、組成物は、小胞内に、局所に、経口で、直腸に、眼に、光学的に、鼻内に、又は吸入を介して投与される。
【0173】
本明細書に記載される結合タンパク質(たとえば、IL−17R結合タンパク質、IL−17サイトカインメンバーに対する抗体、及びIL−17Rに対する抗体)を用いて脊椎動物の免疫系を調節する方法も提供される。たとえば、治療上有効な量の修飾されたIL−17を含む組成物を対象に投与することによって哺乳類対象に修飾されたポリペプチドを投与する際、炎症性サイトカインのレベルを下げることができる。例となる炎症性サイトカインは、IL−1、IL−6、TNF−α、IL−17、IL−21及びIL−23である。哺乳類の血液及び/又はそのほかの組織に存在する炎症性サイトカインのレベルを一般に低下させる。免疫系の調節には、哺乳類対象にて抗炎症性サイトカインのレベルを高める方法も含まれる。たとえば、抗炎症性サイトカインはIL−10、IL−4、IL−11、IL−13又はTGF−βである。任意で、哺乳類の血液における抗炎症性サイトカインのレベルを高める。
【0174】
一部の態様では、IL−17R結合タンパク質又は本明細書に記載される操作されたそのほかのタンパク質を対象に投与してTh17が介在する障害又はIL−17サイトカインファミリーメンバーが介在する障害を治療する。たとえば、タンパク質を対象に投与してアトピー性皮膚炎及び接触性皮膚炎、大腸炎、内毒素血症、関節炎、関節リウマチ、乾癬性関節炎、自己免疫性眼疾患(ブドウ膜炎、強膜炎)、成人呼吸器疾患(ARD)、脱髄疾患、敗血症ショック、多臓器不全、たとえば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気道過敏症、慢性気管支炎、アレルギー性喘息のような炎症性肺傷害、乾癬、湿疹、IBS、及びたとえば、潰瘍性大腸炎及びクローン病のような炎症性腸疾患(IBD)、糖尿病、ヘリコバクターピロリ感染症、腹腔炎症(たとえば、感染、傷害等)の結果としての腹内癒着及び/又は膿瘍、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症、全身性硬化症、腎炎症候群、臓器移植の拒絶、移植片対宿主病(GVHD)、腎臓、肺、心臓等の移植の拒絶、連鎖球菌細胞壁誘導の関節炎、変形性関節症、歯肉炎/歯周病、ヘルペス性間質角膜炎、再狭窄、川崎病、及びIL−17及び/又はIL−23の発現を特徴とする、前立腺癌、直腸癌、結腸癌、卵巣癌及び子宮頚癌、及び白血病を含むが、これらに限定されない癌/悪性腫瘍を治療することができる(Tartour et al, Cancer Res. 5P:3698 (1999); Kato et al, Biochem. Biophys. Res. Commun. 282:735 (2001); Steiner et al, Prostate. 56:171 (2003); Langowksi et al, Nature 442: 461, 2006)。たとえば、結合タンパク質は、IL−17のファミリーメンバーを結合し、遮断し、阻害し、低減し、拮抗し、又は中和することが可能である(個々に又は一緒に、のいずれかで)。
【0175】
本明細書に記載される組成物は治療上又は予防上使用され得る。種々の異なったポリペプチドのカクテルを一緒に使用して1又は複数の標的、たとえば、複数の細胞種に同時に結合し、作用することができる。上手く行った治療は内科医に精通する日常の手順によって評価することができる。
【0176】
一実施形態では、IL−17R結合タンパク質又は本明細書に記載される操作されたそのほかのタンパク質(たとえば、抗体)を投与して、眼の表面を冒す眼疾患、少なくとも部分的に自己免疫反応が介在する眼疾患、全身性の自己免疫疾患(たとえば、シェーグレン症候群及び関節リウマチ)に関連する又はIL−17サイトカインのファミリーメンバーが関与する疾患に関連する眼疾患を含む眼の疾患を治療する。患者はさらなる全身性の自己免疫疾患の他の兆候を有してもよく又は有さなくてもよい。
【0177】
眼疾患は、眼の表面を冒すドライアイ疾患であり得る。疾患には、乾性角結膜炎、乾燥角膜炎、乾燥症候群、眼球乾燥症、涙液膜疾患、涙液産生の低下、水性涙液欠乏症、及びマイボーム腺機能不全とも呼ばれる状態が含まれる。加えて、本明細書に記載される結合タンパク質を用いて春季カタル及び緑内障関連の炎症を治療することができる。
【0178】
ドライアイには、シェーグレン症候群(SS)に関連する、たとえば、シェーグレン症候群関連の乾性角結膜炎の形態だけではなく、シェーグレン症候群に関連しない、たとえば、非シェーグレン症候群関連の乾性角結膜炎の形態も含まれ得る。患者は、全身性自己免疫疾患の他の兆候を有してもよく又は有さなくてもよい。
【0179】
ドライアイを有する患者は、眼の乾燥の炎症を示してもよく、チクチクする、とげとげしい、ムズムズする、ほてった又は圧迫された感覚、刺激、疼痛及び発赤を経験し得る。ドライアイは、過剰な眼の水分及び逆に不十分な涙液産生の双方に関連する。IL−17R結合タンパク質又は本明細書に記載される操作されたそのほかのタンパク質(たとえば、抗体)をそのような対象に投与して、1以上のそのような症状の発症又は悪化を改善する又は防ぐことができる。
【0180】
IL−17R結合タンパク質又は本明細書に記載される操作されたそのほかのタンパク質(たとえば、抗体)を使用して眼の表面、たとえば、角膜を冒すそのほかの疾患を治療することができる。そのような疾患には、角膜眼表面炎症状態、角膜血管新生、末梢の潰瘍性角膜炎及び微生物性角膜炎を含む角膜炎が挙げられる。IL−17R結合タンパク質又は本明細書に記載される操作されたそのほかのタンパク質(たとえば、抗体)を使用して結膜瘢痕化疾患及び結膜炎を含む結膜を冒す疾患を治療することができる。IL−17R結合タンパク質又は本明細書に記載される操作されたそのほかのタンパク質(たとえば、抗体)を使用して類天疱瘡症候群及びスティーブンス・ジョンソン症候群のようなさらにそのほかの疾患を治療することができる。
【0181】
角膜移植/角膜形成、人工角膜移植手術、薄層移植、選択的内皮移植を受けようとしている、経験している又は受けている対象にIL−17R結合タンパク質又は本明細書に記載される操作されたそのほかのタンパク質(たとえば、抗体)を投与することができる。IL−17R結合タンパク質又は本明細書に記載される操作されたそのほかのタンパク質(たとえば、抗体)を対象に投与して眼の中の又は眼の周りの血管新生を調節することができる。
【0182】
眼を冒すアレルギー反応を有する対象、たとえば、重篤なアレルギー性(アトピー性)眼疾患を経験している対象にIL−17R結合タンパク質又は本明細書に記載される操作されたそのほかのタンパク質(たとえば、抗体)を投与することができる。
【0183】
眼を冒す自己免疫疾患を有する対象にL−17R結合タンパク質又は本明細書に記載される操作されたそのほかのタンパク質(たとえば、抗体)を投与することができる。例となる自己免疫性の眼疾患には、交感性眼炎、フォークト・小柳・原田(VKH)症候群、バーショット網脈絡膜疾患、眼の瘢痕性類天疱瘡、ファッチの異色性虹彩毛様体炎、及びブドウ膜炎の種々の形態が挙げられる。IL−17R結合タンパク質又は本明細書に記載される操作されたそのほかのタンパク質(たとえば、抗体)を対象に投与して前述の疾患を治療することができる。
【0184】
ブドウ膜炎には、急性と慢性の形態が挙げられ、虹彩、毛様体、及び脈絡膜の1以上の炎症が含まれ、前部形態、中部形態及び後部形態が含まれる。慢性の形態は、全身性の自己免疫疾患、たとえば、ベーチェット症候群、強直性脊椎炎、若年性関節リウマチ、ライター症候群、及び炎症性腸疾患と関連し得る。IL−17R結合タンパク質又は本明細書に記載される操作されたそのほかのタンパク質(たとえば、抗体)を対象に投与してブドウ膜炎の前述の形態のいずれかを治療することができる。
【0185】
任意の方式によってIL−17R結合タンパク質又は本明細書に記載される操作されたそのほかのタンパク質(たとえば、抗体)を投与して眼の疾患を治療することができる。非経口の方式によって剤を送達することができる。代わりに又は加えて、剤を直接眼に又は眼の近傍に送達することができる。たとえば、タンパク質をたとえば、以下に記載するように局所的に又は眼内に投与することができる。
【0186】
局所投与のために、たとえば、液体点眼剤若しくは軟膏としての投与のために、又は眼の前房若しくは結膜嚢への注入のために眼科用製剤を送達することができる。点眼器を用いて液体点眼剤を送達することができる。眼の送達用に製剤化される場合、IL−17R結合タンパク質は0.001〜5%、たとえば、0.01〜5%、0.1〜2%又は1〜5%の濃度で存在し得る。
製剤
【0187】
1以上の治療剤を単独で又は1以上の化学療法剤と併用して、対象への投与のために薬学上許容可能なキャリアと共に製剤化することができる。一部の実施形態では、治療剤は可動化因子、及び任意で化学療法剤と併用して製剤化される。有効成分は、逐次投与のために単独で(個々に)製剤化することができ、同時投与のために一緒に製剤化されてもよい。
【0188】
用語「薬学上許容可能なキャリア」は本明細書で使用されるとき、対象への投与に好適である1以上の相溶性の固体又は液体の充填剤、希釈剤又は被包物質を意味する。医薬組成物の構成成分はまた、所望の医薬効率を損なう相互作用がないような方法で互いに混ぜ合うことも可能である。そのような調製物は、薬学上許容可能な濃度の塩、緩衝剤、保存剤、相溶性キャリア、補助剤及び任意でそのほかの治療用成分を日常的に含有してもよい。
【0189】
本明細書に記載される組成物は遊離の塩基として又は薬学上許容可能な塩として投与され得る。そのような薬理学的に及び薬学上許容可能な塩には、以下の酸:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸、ナフタレンスルホン酸、及びベンゼンスルホン酸から調製されるものが挙げられるが、これらに限定されない。また、薬学上許容可能な塩は、たとえば、カルボン酸基のナトリウム塩、カリウム塩又はカルシウム塩のようなアルカリ金属塩又はアルカリ土類塩として調製することができる。
【0190】
医薬組成物はまた好適な固相又はゲル相のキャリア又は賦形剤を含んでもよい。そのようなキャリア又は賦形剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、及びポリエチレングリコールのようなポリマー類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0191】
好適な緩衝剤には、酢酸及び塩(1〜2%w/v)、クエン酸及び塩(1〜3%w/v)、ホウ酸及び塩(0.5〜2.5%w/v)、及びリン酸及び塩(0.8〜2%w/v)が挙げられる。好適な保存剤には、塩化ベンザルコニウム(0.003〜0.03%w/v)、クロロブタノール(0.3〜0.9%w/v)、パラベン類(0.01〜0.25%w/v)及びチメロサール(0.004〜0.02%w/v)が挙げられる。
【0192】
好適な液体又は固体の医薬調製物の形態は、たとえば、吸入用の水溶液又は生理食塩水であり、微細被包されたもの、渦巻き型のもの、微細金粒子上に被覆されたもの、脂質様のもの、噴霧されたエアゾール、皮膚への埋め込み用のペレット、皮膚で引掻き傷をつける鋭い物体上で乾燥させたものである。医薬組成物はまた、顆粒、粉末、錠剤、被覆錠剤、(マイクロ)カプセル剤、座薬、シロップ、エマルション、懸濁液、クリーム、組成物の長期放出を伴う点滴剤又は調製物も含み、その調製物中には、賦形剤及び添加剤及び/又はたとえば、崩壊剤、結合剤、被覆剤、膨潤剤、潤滑剤、香味剤、甘味剤、又は可溶化剤のような補助剤が通例、上述のように使用される。医薬組成物は種々の薬剤送達系での使用に好適である。薬剤送達のための方法の手短な概説については、Langer,Science、249:1527−1533,1990及びLangerとTirrell,Nature,2004、Apr.1;428(6982):487−92を参照のこと。
【0193】
組成物は単位投与形態で好都合に提示されてもよく、製薬学の技術で周知の方法のいずれかによって調製されてもよい。特定の実施形態では、投与される組成物は、溶液としてではなく、粉末又は粒子状の形態である。本発明の一部として企図される粒子状の形態の例は、米国特許第2002/0128225号に提供されている。一部の実施形態では、組成物はエアゾールの形態で投与される。他の実施形態では、組成物は、使用前に好適な賦形薬、たとえば、無菌の発熱物質を含まない水で構築されるための粉末形態であってもよい。
【0194】
加えて、本明細書に記載される組成物は、デポー製剤、持続放出型、遅延放出型又は徐放性の送達方式として製剤化され得る。そのような方式は本明細書に記載される組成物の反復投与を回避することができ、対象及び内科医の利便性を高める。そのような長時間作用型の製剤は、好適なポリマー材料若しくは疎水性材料(たとえば、許容可能な油中のエマルションとして)、又はイオン交換樹脂と共に、又は難溶性の誘導体、たとえば、難溶性の塩として製剤化されてもよい。多くの種類の放出送達方式が利用可能であり、当業者に既知である。それらには、たとえば、ポリ乳酸及びポリグリコール酸、β−グルカン粒子、ポリ無水物及びポリカプロラクトンのようなポリマーに基づく方式;コレステロール、コレステロールエステル及び脂肪酸のようなステロール類、モノ−、ジ−及びトリ−グリセリドのような中性脂肪、又は脂質様物質を含む脂質である非ポリマー方式;ヒドロゲル放出方式;シラスティック方式;ペプチドに基づく方式;ワックスのコーティング、従来の結合剤と賦形剤を用いた圧縮錠剤、部分的に融合したインプラントなどが挙げられる。加えて、ポンプに基づくハードウエア方式を使用することができ、その一部は埋め込みに適合する。
【0195】
制御放出は、生体適合性で且つ生分解性である適切な賦形剤物質によっても達成することができる。徐放性を達成するこれらのポリマー物質は、非生侵食性/非生分解性及び生侵食性/生分解性のポリマーを含むが、これらに限定されない粒子を生成するために好適なポリマー物質であり得る。そのようなポリマーは従来技術で極めて詳細に記載されており、β−グルカン粒子、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハロゲン化合物、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタン、及びこれらのコポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリル酸エステルとメタクリルさんエステルのポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシエチルセルロース、セルローストリアセテート、セルロース硫酸ナトリウム塩、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(メタクリル酸ブチル)、ポリ(メタクリル酸イソブチル)、ポリ(メタクリル酸ヘキシル)、ポリ(メタクリル酸イソデシル)、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(メタクリル酸フェニル)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(アクリル酸イソプロピル)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(アクリル酸オクタデシル)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ塩化ビニルポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸及びコンドロイチン硫酸が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、徐放性ポリマーは、たとえば、ポリ(エチレングリコール)(PEG)/ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)ブロックコポリマーのようなブロックコポリマーである。
【0196】
非生分解性ポリマーの例には、エチレンビニルアセテート、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアミド、これらのコポリマー及び混合物が挙げられる。
【0197】
生分解性ポリマーの例には、合成ポリマー、たとえば、β−グルカン粒子、乳酸とグリコール酸のポリマー、ポリ無水物、ポリ(オルソ)エステル、ポリウレタン、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、及びポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、並びに天然ポリマー、たとえば、アルギン酸、及びデキストラン及びセルロース、コラーゲン、その化学的誘導体(化学基、たとえば、アルキル、アルキレン、の置換、付加、水和、酸化及び当業者によって日常的に為されるそのほかの修飾)を含むそのほかの多糖類、アルブミン及びそのほかの親水性タンパク質、ゼイン及びそのほかのプロラミン及び疎水性タンパク質、これらのコポリマー及び混合物が挙げられる。一般に、これらの物質は、生体内での酵素的加水分解又は水分への暴露によって、表面又は全体の侵食によって分解する。前述の物質は単独で使用してもよく、物理的混合物(ブレンド)として又はコポリマーとして使用してもよい。好ましいポリマーは、ポリエステル、ポリ無水物、ポリスチレン及びこれらの混合物である。
【0198】
有効量の本明細書に記載される組成物が、そのような治療を必要とする対象に投与される。有効量は、状態、疾患又は障害、又は状態、疾患又は障害の兆候に所望の改善を生じる量である。
【0199】
有効な用量は、投与方式によって、1ng/kg〜100mg/体重kg、100ng/kg〜50mg/体重kg、又は1μg/kg〜10mg/体重kgに及ぶ。或いは、有効な用量は、細胞の4平方センチメートルの面積当たり3マイクログラム〜14ミリグラムに及ぶことができる。絶対的な量は、種々の因子(投与がほかの治療法と併用かどうか、投与回数、年齢、身体状態、大きさ及び体重を含む個々の患者のパラメータ)に左右され、日常の実験によって決定することができる。あり得る有用な用量の1つは、健全な医療判断に従った最高に安全な用量である。
【0200】
種々の活性剤の送達間の時間は、動態、送達、放出、剤の薬物力学、剤の薬物動態の第1原理、又はそれらの組み合わせによって合理的に定義され得る。或いは、種々の活性剤の送達間の時間は、何時最大の効果が達成され得るかを規定する実験によって経験的に定義され得る。
投与の方式
【0201】
投与の方式は、経口投与、舌下投与、鼻内投与、クモ膜下投与、吸入、眼投与、局所投与、経皮投与、皮内投与、直腸投与、膣投与、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、腹腔内投与、胸骨内投与、又は経粘膜投与を含む医学的に許容可能な方式であり得る。加えて、投与の方式は、体外の装置及び/又は組織を貫通する電磁装置を介してもよい。
【0202】
選択される特定の方式は、選択される特定の活性剤、所望の結果、治療される特定の状態及び治療の有効性に必要とされる投与量によって決まる。本明細書に記載される方法は、一般的に言えば、医学的に許容可能である投与の方式、たとえば、臨床的に許容できない有害効果を起こさないで有効なレベルの炎症反応の変化を生じる方式を用いて実践され得る。
【0203】
組成物は、障害及び投与方式によって異なった容器、賦形薬又は製剤で提供することができる。たとえば、経口適用については、組成物は、舌下錠剤、ガム、洗口液、歯磨き粉、キャンディ、ゲル、フィルム等として、眼への適用については、点眼器における点眼剤、眼軟膏、眼ゲル、コンタクトレンズ保存液又は洗浄液におけるコンタクトレンズ又は眼内レンズのコーティングとしての眼パック等として、局所投与については、ローション、軟膏、ゲル、クリーム、スプレー、ティッシュ、綿球、拭き取り等として、膣又は直腸への適用については、軟膏、タンポン、座薬、粘膜粘着製剤等として投与することができる。
【0204】
組成物は、注射によって、たとえば、ボーラス注射又は持続点滴によって、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、胸骨内の経路を介して投与され得る。注射のための製剤は、単位投与形態で、たとえば、添加した保存剤と共にアンプル又は複数回用量の容器にて提示され得る。組成物は、懸濁液、溶液、又は油性若しくは水性の賦形薬におけるエマルションのような形態を取り得るし、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤のような製剤化剤を含有し得る。経口投与については、組成物は、当該技術で周知の薬学上許容可能なキャリアと組成物を組み合わせることによって、たとえば、舌下錠剤、液体製剤又は経口ゲルとして容易に製剤化することができる。
【0205】
吸入による投与については、組成物は、好適な高圧ガス、たとえば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素又はそのほかの好適な気体の使用によって、加圧包装又は噴霧器からのエアゾールスプレー提示の形態で好都合に送達され得る。加圧エアゾールの場合、投与量単位は、測定された量を送達する弁を提供することによって決定され得る。吸入具又は吸入器で使用するためのたとえば、ゼラチンのカプセル及びカートリッジは、組成物とたとえば、ラクトース又はデンプンのような好適な粉末基剤を含有して製剤化され得る。治療法の吸入のための医療器具は当該技術で既知である。一部の実施形態では、医療器具は吸入具である。ほかの実施形態では、医療器具は、測定した用量の吸入具、ディスクヘラー、タービュヘイラー、ディスカス又はスペーサーである。これらの実施形態の特定のものでは、吸入具はスピンヘラーである(Rhone-Poulenc Rorer, West Malling, Kent)。そのほかの医療器具は当該技術で既知であり、Inhale/Pfizer,Mannkind/Glaxo及びAdvanced Inhalation Research/Alkermesが挙げられる。
【0206】
組成物はまた、たとえば、カカオバター又はそのほかのグリセリドのような従来の座薬基剤を含有する座薬又は停留浣腸のような直腸又は膣の組成物で製剤化され得る。
抗体の産生
【0207】
例となるIL−17サイトカイン拮抗物質は、抗体、たとえば、IL−17RA、IL−17RB、IL−17RC、IL−17RD若しくはIL−17REのようなIL−17サイトカイン受容体に結合する抗体、又はIL−17A、IL−17B,IL−17C、IL−17D、IL−17E又はIL−17FのようなIL−17サイトカインに結合する抗体である。本明細書で使用されるとき、用語「抗体」は、少なくとも1つの免疫グロブリン可変領域を含むタンパク質を指す。たとえば、抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含むことができる。別の例では、抗体は、2つのVH領域及び2つのVL領域を含む。用語「抗体」は、完全な抗体、たとえば、IgA、IgG、IgE、IgD、IgMの型の未処理の免疫グロブリン(それらの亜型及び修飾型と同様に)と同様に抗体の抗原結合断片(たとえば、単鎖抗体、Fab断片、F(ab’)断片、Fd断片、Fv断片及びdAb断片)を包含する。さらにそのほかの抗体は、単一の免疫グロブリン可変ドメインのみを含む。たとえば、Janssensら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103(41):15130−5(2006)を参照のこと。
【0208】
各VH及びVLは通常、アミノ末端からカルボキシル末端に以下の順:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4で配置される3つの「相補性決定領域(「CDR」)と4つの「フレームワーク領域」(FR)によって構成される。FRとCDRの程度は正確に定義されている(Kabat, E.A., et al. (1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition, U.S. Department of Health and Human Services, NIH Publication No. 91−3242; and Chothia, C. et al. (1987) J. Mol. Biol. 196:901−917を参照)。カバットの定義を本明細書で使用する。Chothiaら(1992)J.Mol.Biol.227:799−817;Tomlinsonら(1992)J.Mol.Biol.227:776−798);及びTomlinsonら(1995)EMBO J.14(18):4628−38に記載されたように、免疫グロブリン可変部の超可変ループの標準的構造をその配列から推測することができる。
【0209】
例となる抗体は、10M以上の、好ましくは10M以上の、さらに好ましくは10M以上の最も好ましくは10M以上の結合親和性でIL−17サイトカイン又はIL−17サイトカイン受容体に特異的に結合する。抗体の結合親和性は、たとえば、Scatchard解析によって当業者により容易に決定することができる。例となる抗体はまた100nM、20nM又は5nM未満のEC50も有し得る。さらに、例となる抗体は、IL−17サイトカイン及びIL−17サイトカイン受容体の結合、たとえば、IL−17AのIL−17RA若しくはIL−17RCへの結合、又はIL−17FのIL−17RA若しくはIL−17RCへの結合を妨害することができる。
【0210】
特異的な抗体は、たとえば、標準のウエスタンブロット解析を用いて所望のポリペプチドを検出するが、そのほかの細胞性ポリペプチドを検出しなければ、無関係のポリペプチド分子と有意には交差反応しない。一部の実施形態では、抗体は、そのほかに比べて1つのIL−17サイトカイン又はIL−17受容体に特異的であり、たとえば、抗体は、少なくとも10倍、100倍又は1000倍でIL−17サイトカイン又は受容体の特定の1つに優先的に結合する。
【0211】
一実施形態では、抗体は、IL−17RA、たとえば、IL−17RAのD1又はD2ドメインに結合する。たとえば、抗体は、IL−17RA(配列番号14)のアミノ酸22〜36、アミノ酸83〜96、アミノ酸118〜147、アミノ酸152〜179又はアミノ酸256〜271の範囲内の1以上のアミノ酸、たとえば、配列番号14のThr25〜Trp31、Leu86〜Arg93又はCys259〜Arg265の範囲内での少なくとも2又は3のアミノ酸を含むエピトープに結合する。たとえば、抗体は、IL−17RAとIL−17サイトカイン、たとえば、IL−17A又はIL−17Fの間の結合を少なくとも100、200、500、1000又は5000倍低下させる。
【0212】
別の実施形態では、抗体は、IL−17RBに、たとえば、IL−17RB(配列番号15)のアミノ酸86〜100、アミノ酸126〜155、アミノ酸160〜187又はアミノ酸254〜269の範囲内の1以上のアミノ酸、及び/又は配列番号15のアミノ酸32〜44(たとえば、38〜44)、82〜98(たとえば、88〜98)及び252〜269(たとえば、256〜263)を含むエピトープに結合する。別の実施形態では、抗体はIL−17RCに、たとえば、IL−17RC(配列番号16)のアミノ酸15〜30、アミノ酸70〜84、アミノ酸96〜124、アミノ酸129〜156又はアミノ酸227〜237及び/又は配列番号16のアミノ酸24〜35、78〜91及び248〜257を含むエピトープに結合する。
【0213】
既知の方法を用いてポリペプチドに対するポリクローナル抗体を調製することができる。たとえば、Immunochemical Protocols (Manson編)(Humana Press 1992)中のGreenらの「Production of Polyclonal Antisera」を参照のこと。モノクローナル抗体を生成することができる。当業者に既知の方法によって特定の抗原に対するげっ歯類のモノクローナル抗体を入手してもよい(たとえば、Kohler et al., Nature 256:495 (1975); Coligan et al. (eds.), Current Protocols in Immunology (John Wiley & Sons 1991); Picksley et al., “Production of monoclonal antibodies against proteins expressed in E. coli,” in DNA Cloning 2: Expression Systems, 2nd Edition, Glover et al. (eds.) (Oxford University Press 1995を参照)。
【0214】
たとえば、モノクローナル抗体は、ポリペプチドを含む組成物をマウスに注射し、血清試料を取り出すことによって抗体産生の存在を検証し、Bリンパ球を得るために脾臓を取り出し、Bリンパ球を骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマを産生し、ハイブリドーマをクローニングし、抗原に対する抗体を産生する陽性クローンを選抜し、抗原に対する抗体を産生するクローンを培養し、ハイブリドーマ培養物から抗体を単離することによって得ることができる。
【0215】
ポリペプチドに対するヒト抗体も導き出すことができる。ヒトのモノクローナル抗体は、抗原の感作に応答して特異的なヒト抗体を産生するように操作されたトランスジェニックマウスから得られる。この技法では、ヒトの重鎖及び軽鎖の遺伝子座の要素を、内因性の重鎖及び軽鎖の遺伝子座を標的として破壊した胚性幹細胞株由来のマウスの株に導入する。トランスジェニックマウスはヒト抗原に特異的なヒト抗体を合成することができ、マウスを用いてヒト抗体を分泌するハイブリドーマを作製することができる。トランスジェニックマウスからヒト抗体を得る方法は、たとえば、Greenら、Nature Genet.7:13(1994),Lonbergら、Nature、368:856(1994),及びTaylorら、Int.Immun.6:579(1994)に記載されている。
【0216】
種々の定評のある技法によってモノクローナル抗体をハイブリドーマの培養物から単離し、精製することができる。そのような単離法には、プロテインAセファロースによるアフィニティクロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、及びイオン交換クロマトグラフィが挙げられる(たとえば、Coligan; Baines et al., “Purification of Immunoglobulin G (IgG),” in Methods in Molecular Biology, (The Humana Press, Inc. 1992)を参照)。
【0217】
抗体は、「ヒト化された」モノクローナル抗体であることができる。ヒト化されたモノクローナル抗体は、マウス免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の可変鎖由来のマウス相補性決定領域をヒトの可変ドメインに移すことによって作製される。次いでヒト抗体の典型的な残基がマウス相方のフレームワーク領域で置換される。ヒト化モノクローナル抗体に由来する抗体構成成分の使用は、マウス定常領域の免疫原性に関連する問題の可能性を未然に防ぐ。マウスの免疫グロブリン可変ドメインをクローニングする一般的な技法は、たとえば、Orlandiら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA、86:3833(1989)によって記載されている。ヒト化モノクローナル抗体を作製する技法は、たとえば、Jonesら、Nature、321:522(1986);Carterら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA、89:4285(1992);Sandhu,Crit.Rev.Biotech.12:437(1992);Singerら、J.Immun.150:2844(1993);Sudhir(編),Antibody Engineering Protocols(Humana Press,Inc.1995);Kelley,”Engineering Therapeutic Antibodies,”in Protein Engineering:Principles and Practice,Clelandら(編)(John Wiley & Sons,Inc.1996);及びQueenら、米国特許第5,693,762号によって記載されている。
【0218】
当業者に既知である種々のアッセイを利用してポリペプチドに特異的に結合する抗体を検出することができる。例となるアッセイはAntibodies:A Laboratory Manual,Harlow and Lane(編),Cold Spring Harbor Laboratory Press,1988に詳細に記載されている。そのようなアッセイの代表的な例には、放射性免疫アッセイ、放射性免疫沈降、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ドットブロット又はウエスタンブロットアッセイ、阻害又は競合アッセイ、サンドイッチアッセイ及び表面プラスモン共鳴が挙げられる。
Fc及びそのほかの融合タンパク質
【0219】
本明細書に開示されるタンパク質、たとえば、IL−17R結合タンパク質は、たとえば、免疫グロブリンの定常ドメイン、免疫グロブリンのFc領域、血清アルブミン、又は血清アルブミン結合ドメインのような非相同ドメインと会合することができる。たとえば、少なくとも1つのIL−17ポリペプチド配列とFc領域の1以上の定常ドメインは同一ポリペプチド鎖の構成成分であることができ、たとえば、リンカーによって連結され得る。例となるFc領域は、ヒトのIgG、たとえば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4に由来する。非相同のポリペプチドには、免疫グロブリンのCH2ドメイン、CH3ドメイン及び/又はヒンジ領域のすべて又は一部を挙げることができる。非相同ポリペプチドをリンカー、たとえば、可動性リンカーによって接続することができる。
【0220】
Fc領域の断片もFc突然変異タンパク質であり得るように使用することができる。たとえば、Fc領域のヒンジ領域内の特定の残基は、FcγRIに対する高い親和性結合に決定的に重要である。Canfield及びMorrison(1991)J.Exp.Med.173:1483)は、U937細胞上に存在するFcγRIへのIgG3の高い親和性結合にLeu234及びLeu235が決定的に重要であることを報告した。同様の結果は、Lundら(1991)J.Immunol.147:2657によって得られた。IgGFc領域にてそのような変異を単独で又は組み合わせで行ってIgG1のFcRへの親和性を低下させる。Fc結合、抗体依存性細胞介在性の細胞傷害性(ADCC)、及び補体依存性の細胞傷害性(CDC)を達成するそのほかのFc突然変異タンパク質はShieldsら(2001)J.Biol.Chem.276(9):6591及び米国特許第2004/0132101号に記載されている。
追加の使用
【0221】
本明細書に記載される結合タンパク質(たとえば、IL−17R結合タンパク質又は本明細書に記載される抗体)は、標識である又はシグナルを生成する部分、たとえば、酵素、放射性標識、エピトープ、又は蛍光タンパク質(たとえば、緑色蛍光タンパク質)で直接又は間接的に標識することができる。結合タンパク質を試料又は細胞に接触させ、たとえば、標準の免疫ブロッティング、免疫蛍光、酵素免疫アッセイ(EIA)、放射性免疫アッセイ(RIA)、蛍光エネルギー転移、ウエスタンブロット及びそのほかの診断法及び検出法を用いて、試料に又は細胞上に受容体が存在するかどうかを判定することができる。
【0222】
結合タンパク質を生体内での検出のために標識し、対象に投与することもできる。たとえば、NMR又はそのほかの断層撮影手段によって対象を画像化することができる。たとえば、131I、111In、123I、99mTc、32P、125I、H、14C及び188Rhのような放射性標識、フルオレセイン及びローダミンのような蛍光標識、核磁気共鳴活性化標識、ポジトロン放出断層撮影(「PET」)スキャナーによって検出可能なポジトロン放出アイソトープ、ルシフェリンのような化学発光剤、ペルオキシダーゼ及びホスファターゼのような酵素によって結合タンパク質を標識することができる。常磁性剤及び強磁性剤又は超常磁性剤(主としてT2応答を変化させる)のような造影剤によって結合タンパク質を標識することができる。
【0223】
結合タンパク質を用いてそれが結合する受容体を発現している細胞を精製することもできる。たとえば、結合タンパク質を不動化した支持体(たとえば、磁気ビーズ又はカラムマトリクス)に結合させ、受容体を発現し得る細胞に接触させる。支持体を、たとえば、生理的緩衝液で洗浄し、細胞を支持体から回収することができる。
【0224】
結合タンパク質を用いてそれが結合する受容体の可溶性形態を精製することができる。たとえば、可溶性の受容体を不動化した結合タンパク質に接触させ、次いでたとえば、洗浄した後、不動化した結合タンパク質から回収することができる。
【0225】
IL−17受容体に結合する結合タンパク質を用いて、IL−17受容体を発現する細胞に毒素又は細胞傷害効果を送達することができる。たとえば、結合タンパク質は、毒素と会合することができ(共有結合で)、又は細胞毒素、治療剤又は放射性金属イオンのような治療用部分に抱合され得る。細胞毒素又は細胞傷害剤には、別のタンパク質、たとえば、アブリン、リシンA、シュードモナス内毒素若しくはジフテリア毒素のような毒素、又はADCC若しくは補体介在性の細胞傷害性反応を動員するのに適任のFcドメインを含む細胞に有害である剤が挙げられる。結合タンパク質に会合することができるそのほかの毒素には、タキソール、サイトカラシンB、グラミシジンD、臭化エチジウム、エメチン、マイトマイシン、エトポシド、テノポシド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、コルヒチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、ジヒドロキシアントラシンジオン、ミトキサントロン、ミトラマイシン、アクチノマイシンD、1−デヒドロテストステロン、グルココルチコイド、プロカイン、テトラカイン、リドカイン、プロプラノロール、及びプロマイシン及びこれらの類似体又はホモログが挙げられる。治療剤には、代謝拮抗剤(たとえば、メソトレキセート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン、5−フルオロウラシルデカルバジン)、アルキル化剤(たとえば、メクロレタミン、チオエパクロラムブシル、メルファラン、カルムスチン及びロムスチン、シクロトスファミド、ブスルファン、ジブロモマンニトール、ストレプトゾトシン、マイトマイシンC、及びシス−ジクロロジアミンプラチナ(II)(DDP)シスプラチン)、アントラサイクリン類(たとえば、ダウノルビシン(以前のダウノマイシン)及びドキソルビシン)、抗生物質(たとえば、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ミトラマイシン、及びアントラマイシン)、及び細胞分裂抑制剤(たとえば、ビンクリスチン及びビンブラスチン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0226】
たとえば、α−、β−又はγ−放射体のような放射性アイソトープに結合タンパク質を結合させることができる。放射性アイソトープの例には、ヨウ素(131I又は125I)、イットリウム(90Y)、ルテニウム(177Lu)、アクチニウム(225AC)、プラセオジム、又はビスマス(212Bi又は213Bi)が挙げられる。結合タンパク質は、タキサン(たとえば、タキソール又はタキソテレ)又はカリケアミシンと同様に生体タンパク質、植物又は細菌に由来する分子(又はその誘導体)、たとえば、マイタンシノイド(たとえば、マイタンシノール、その類似体又はDMI)に結合させることができる。マイタンシノール類似体の例には、修飾された芳香族環(たとえば、C−19−デクロロ、C−20−デメトキシ、C−20−アシルオキシ)を有するもの及び他の位置での修飾を有するもの(たとえば、C−9−CH、C−14−アルコキシメチル、C−14−ヒドロキシメチル又はアセロキシメチル、C−15−ヒドロキシ/アシルオキシ、C−15−メトキシ、C−18−N−デメチル、4,5−デオキシ)が挙げられる。マイタンシノール及びマイタンシノール類似体は、たとえば、米国特許第6,333,410号に記載されている。たとえば、N−スクシンイミジル3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(N−スクシンイミジル4−(2−ピリジルジチオ)ペンタノエート又はSPPとしても知られる)、4−スクシンイミジル−オキシカルボニル−a−(2−ピリジルジチオ)−トルエン(SMPT)、N−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)ブチレート(SDPB)、2−イミノチオラン、又は無水S−アセチルコハク酸を用いてマイタンシノールを結合することができる。
【0227】
本明細書で指される特許文献及び科学論文、並びにそれによって引用される特許文献及び科学論文のそれぞれの開示全体が、あらゆる目的で参照によって本明細書に明白に組み入れられる。
実施例
実施例1.IL−17RA/IL−17F複合体の発現及び結晶化
【0228】
我々は、単一重原子同形置換法(SIRAS)の位相整合(表1)を用いて3.3Åの解像でIL−17Fに結合するIL−17RAの結晶構造を決定した。我々は、バキュロウイルスからIL−17Fを発現させ、293SGnTI細胞を用いてIL−17RAの細胞外ドメイン(ECD)を発現させた。結晶化を円滑にするために、結晶化に先立って、複合体をメチル化し、激しくグリコシル化された受容体のECDをエンドグリコシダーゼによって「そぎ落とし」、均質性を改善し、Asn結合のグリコシル化部位のそれぞれにてGlcNAc残基を1つ残した(図1)。そぎ落とした複合体とそぎ落とさなかった複合体は生化学的に同一に挙動した。ゲル濾過によって、IL−17RAのECDとのIL−17F又はIL−17Aの混合物は、2:2(2受容体+1IL−17二量体)及び1:2(1受容体+1IL−17二量体)の化学量論での複合体の同時溶出を生じ、主要な種は1:2であった。2:2は高タンパク質濃度でのみ検出されたが、低濃度では過剰なIL−17RAの存在下でさえ1:2が優勢だった。結晶は、IL−17Fホモ二量体1つに結合したIL−17RA1つを含有した(図1)。以下で議論するように、この「部分的な」シグナル伝達複合体は、実際、IL−17RA/IL−17F及びIL−17RA/IL−17Aの複合体の生物学的に意味のある形態であり得る。
実施例2.IL−17RA/IL−17F複合体の全体的な構造
【0229】
IL−17RAの細胞外ドメインは、18アミノ酸のリンカーによって連結された独特のFnIIIドメインで構成される(図1)。配列からは明らかではないが、IL−17RAの構造は、直列b−サンドイッチドメインを含有するという点で造血系サイトカインの受容体を彷彿させるが、ドメイン自体は標準的なFnIII折り畳みからの若干の実質的な逸脱を含有し、リガンド相互作用の方式はそのほかのサイトカイン受容体とは全体として異なる。予測された286の細胞外ドメイン残基のうち残基2〜272(配列番号14に示すように残基1は成熟ペプチドの最初のアミノ酸である)は、受容体鎖に対して連続電子密度にモデル化され、7つのN結合グリカンと思われるもののうち5つは明瞭に見える。第1のFnIIIドメイン(D1)は追加の40アミノ酸のN末端伸長を有し、独特の折り畳みを形成する。鎖は、ジスルフィド結合(Cys12−Cys19)によって架橋されたヘアピン様の旋回を有し、旋回の第2の鎖は、FnIIIβシートを伸長し、次いでドメインを通り過ぎてFnIIIドメインのA鎖を開始する前にD1ドメイン、C’鎖のCys95とのジスルフィド結合の周りを包み込むβ鎖(A’)を形成する。ドメイン間のリンカー領域は短い螺旋を含有し、内部ジスルフィド結合(Cys−154−Cys165)によって安定化される。第2のFnIIIドメイン(D2)は、2つの異型のジスルフィド結合を有し、一方はC−C’ループをD−Fループ(Cys245)に連結し、第2はF−Gループの中(Cys259−Cys263)にある。我々は、クラスIIサイトカイン受容体で認められたのに類似して第3のジスルフィド結合がF−Gループ(Cys246)とG鎖のN末端(Cys272)の間に存在すると予測するが、この結合は現在の電子密度地図では上手く定められない。
【0230】
IL−17RAに結合したIL−17F分子のコア構造は、IL−17Fのリガンド結合していないもの(7)と比べて本質的に変化しなかったが、周辺の鎖及びループは構造的な順応を経験してIL−17RAへの結合を促進した。リガンド結合していないIL−17Fの構造で認められる立体構造は、受容体のN末端コイル領域との立体的な衝突を生じるのでIL−17RAに結合した状態では維持できなかった。IL−17Fの各モノマーは、システイン・ノットファミリーのタンパク質に相同なように2つのジスルフィド結合によって連結される第2及び第4の鎖と共に2対の逆平行βシート(鎖1〜4)から構成される。そのうちの残基29〜42が第2のIL−17Fプロモータの鎖3及び4と平行に走る50アミノ酸のN末端伸長がある。このコイル領域は、隣接する鎖との幾つかの水素結合を含む多数の相互作用によって安定化される。IL−17RAに結合したIL−17Fの立体構造では、この領域(残基33〜42)が動き出して結合ポケットを広げ、受容体(図2A)と相互作用する。各IL−17F鎖の最初の24アミノ酸、及びIL−17Fプロモータの1つの上の3〜4ループに由来する残基105〜109はモデル化できなかった。リガンド結合していないIL−17Fの構造では、Cys17は隣接するIL−17F鎖上の3〜4ループの先端でCys107とジスルフィド結合を形成する。これらの鎖間ジスルフィド結合はモデル化しなかったが、SDS−PAGE上ではジスルフィド結合した二量体として挙動するタンパク質として存在した。
実施例3.IL−17RA/IL−17Fの結合接触面
【0231】
双方の受容体FnIIIドメインが「側面」方向で結合し、リガンドの二量体接触面で形成された割れ目に端の鎖を用いて挿入する、IL−17RAへのIL−17Fの全体的な結合方式は、他のサイトカイン又は増殖因子の受容体複合体とは異なる。IL−17RAはIL−17Fとの広い結合接触面を形成し、表面積の約2200Åを埋め込み、この埋め込まれた面の約70%にIL−17RAのD1ドメインが介在する。結合接触面には3つの主な相互作用部位が存在する。部位1は、IL−17RAのN末端伸長(配列番号14のThr25〜Trp31)とIL−17FのB鎖の1〜2ループ(Pro60〜Tyr63)プラス鎖のC末端領域(Val100,Arg102)との間で形成され;この相互作用は約330Åを埋め込む(図2C)。受容体のTrp31はこの結合部位の中心で埋め込まれ;主鎖OはArg102と水素結合を形成し、側鎖はPro60と水素結合を形成する。2つの追加の水素結合は、IL−17RAのThr25及びCys26とIL−17FのTyr63との間で形成される。部位2は、複合体の最も重要な接触面の特徴であり、N末端伸長が隣接する深い結合ポケットに入り込むIL−17RAのD1のC’〜Cループ(配列番号14のLeu86〜Arg93)とIL−17FのB鎖の鎖2とIL−17のA鎖の鎖3とで構成され;この相互作用はほぼ550Åを埋め込む(図2A、B)。この8アミノ酸のIL−17RAのループは、IL−17RAのGlu92とIL−17FのB鎖のArg37との間の塩橋と思われるもの、及びIL−17RAのAsn89の主鎖OとIL−17FのA鎖のAsn95との間の水素結合を含むIL−17Fの双方の鎖との広い疎水性で極性の相互作用を形成する。約410Åの埋め込まれた表面積(BSA)を包含する部位3は、IL−17RAのD2のF〜Gループ(Cys259〜Arg265)とIL−17FのA鎖の鎖3と4のC末端領域及びIL−17FのB鎖のN末端伸長との間で形成される(図2D)。部位3は、9つの水素結合であると思われるもの及びIL−17RAのAsp262とIL−17FのB鎖のArg47との間の塩橋との荷電された相互作用が豊富である。全体として接触面は広く、多数の特異的な接触から構成される。接触残基の配列保存を考えると、そのほかのUK−受容体/サイトカインの対によって類似する結合方式が使用されることが考えられる(以下で議論される)。しかしながら、さらに高い親和性の複合体では、さらに大きな結合/ネットワーク及び/又は形状の相補性が採用され得る。
実施例4.ヘテロ二量体受容体複合体の形成
【0232】
受容体複合体の化学量論は未だ完全に解明されてはいないが(6)、非対称のIL−17RA/IL−17F複合体は第2の異なった受容体とのヘテロ二量体化について優先傾向を示唆している。従って我々は、ヘテロ二量体のサイトカインが2つの異なった受容体をおそらく協調させるメカニズムを検討した。IL−17RB及びIL−17RCの双方は、IL−17A及びIL−17Fに独立して結合することができるが、シグナル伝達には双方の受容体が必要である(9,10,22)。シグナル伝達複合体がどのように形成されるのかをさらに理解するために、我々は、試験管内でサイトカインのヘテロ二量体受容体複合体と異種受容体複合体の双方の親和性を測定するために可溶性タンパク質を用いた表面プラスモン共鳴(SPR)戦略を工夫した。ほかの人は、IL−17AとIL−17Fに対するIL−17RAとIL−17RCの結合親和性を報告しているが(7,22)、我々は、第2の受容体結合部位の結合親和性を評価することが妥当であるとみなした。戦略は、チップ上での受容体のホモ二量体化(たとえば、架橋)の可能性をできるだけ抑えるために低い結合密度でSPRチップ上の一方の受容体を不動化することだった。次いで各受容体が二量体のIL−17リガンドの一方に結合して、第2の受容体結合部位を暴露し、接近可能なままにするようにこの受容体によって二量体IL−17サイトカインを捕捉した。その後、第2の受容体は事前に形成された受容体/サイトカインの複合体を通り過ぎ、第2の受容体結合事象の親和性を測定する。この方法では、複合体は段階的に組み立てられ、結合親和性のそれぞれが測定された(図3)。IL−17Aは高親和性でIL−17RA(2.8±0.9nM)及びIL−17RC(1.2±0.1nM)の双方に結合した。IL−17AはIL−17RA分子によっていったん結合されると、第2のIL−17RAに対する結合親和性は3.1±0.5μMに低下したが、この第2の結合部位についてのIL−17RCの親和性は174±3nMだった。IL−17Aが元々IL−17RCに捕捉されたのであれば、162±29nMの親和性で第2のIL−17RAは存在するIL−17RC/IL−17A複合体に結合し;存在するIL−17RC/IL−17A複合体への第2のIL−17RCの親和性はたった8.0±0.5μMだった。
【0233】
IL−17Fについても同様のパターンが認められ、IL−17RA(292±19nM)に比べてIL−17RC(4.4±0.2nM)について高い親和性を有した。多様な親和性を考えると、IL−17Fは当初IL−17RCに捕捉されるのはありそうなことであり;いったん結合すると、IL−17RC/IL−17F複合体に対するIL−17RAの親和性は23.8±3μMだった。それに対して、事前に形成されたIL−17RA/IL−17F複合体及びIL−17RC/IL−17F複合体に対するIL−17RA及びIL−17RCの結合親和性はそれぞれ非常に弱いのでこれらの実験で使用された濃度範囲では正確に算出できなかった。従って、これらの知見は、IL−17A又はIL−17FによるIL−17RA又はIL−17RCの会合が第2の受容体結合部位についての優先傾向を促し、異なった受容体に会合し、それによってヘテロ二量体受容体複合体を形成することを明瞭に示している。
【0234】
IL−17RAは、IL−17RBと一緒にIL−17E(IL−25としても知られる)のシグナル伝達に関係するとみなされている(23)。IL−25は、Th2の炎症反応を促進し、IL−17A及びIL−17Fと約20%の同一性を共有する。結合実験は、IL−25は高親和性でIL−17RBに結合する一方でIL−17RAに対して明らかな親和性を有さないことを示した(23〜25)。我々は、IL−25がいったんIL−17RBに捕捉されるとIL−17RAはIL−25のみを結合し得るという仮説を立てた。この仮説を調べるために、我々は、IL−17RBをSPRチップ上に不動化し、IL−25を捕捉させ、IL−17RB/IL−25複合体に対するIL−17RAの親和性を測定した。我々の仮説を支持して、14.4±2.4μMの親和性でIL−17RAはIL−17RB/IL−25複合体に結合した(図3)。50μMまでの濃度では、IL−17RAとIL−25との間、又はIL−17RB/IL−25複合体と第2のIL−17RB分子との間で相互作用は認められなかった。IL−17A及びIL−17Fの結合データと総合して、これらの結果は、ヘテロ二量体複合体の形成には受容体間のアロステリック効果及び/又は相互作用が介在し得ることを示している。
【0235】
この概念にさらに対処するために、我々は、第2のIL−17RA分子をモデル化して仮説上の2:2受容体/サイトカイン複合体(図3B)を形成した。同一の方式で第2の受容体が第1に結合すると想定して、IL−17RAのD2の基部を第2のIL−17RAのD2の極めて近傍に入れる(図3B、斜線の四角)。IL−17Fに結合した2つのIL−17RA分子の場合、一方のIL−17RAのC−C’ループ上のHis212は、第2のIL−17RAのHis212と衝突する。この相互作用すると思われる部位によって受容体がその対合を調節するのを可能にし得る。立体衝突は第2の同一受容体についての親和性を低下し得るか、又は好ましい受容体/受容体の相互作用は異種受容体複合体を安定化させ得る。我々は、特定の条件下でホモ二量体の受容体複合体が細胞上に形成する可能性を除外しないが、我々のデータは、受容体のヘテロ二量体が優勢なシグナル伝達の種であると思われることを論じている。
実施例5.一般的な受容体としてのIL−17RAの機能
【0236】
IL−17RAは、IL−17Fよりも約100倍高い親和性でIL−17Aに結合する。IL−17A及びIL−17Fは約50%の同一性を共有し、IL−17Fの構造上での保存された残基のマッピングは受容体結合ポケットの周りでの可変残基の蹄鉄形状の環を示す(図4)。IL−17RAのC’−Cループの相互作用の大半はIL−17AとIL−17Fの分子間で異なる残基によって形成されるが、N末端領域とIL−17RAのD2のF−Gループの相互作用には大部分、保存された残基が関与する。我々はここで、IL−17RAの細胞外領域もIL−17RB/IL−25複合体に結合することを報告したが、IL−17RDはIL−17RAと相互作用し、IL−17Aのシグナル伝達に介在し得ることが最近示された(26)。IL−17RAと多様なIL−17ファミリーメンバーとのこの関連を考えると、我々は、IL−17RAがクラスIサイトカイン受容体複合体で利用されるものに類似する共用受容体として作用し得ると推測している(27)。この可能性を検討するために、我々は、IL−17F表面上で、IL−17ファミリーメンバー間で保存された残基をマッピングした。IL−17RA/IL−17F複合体におけるこれら残基の位置を分析して、IL−17RAがD1ドメインのN末端領域及びD2ドメインのF−Gループと共にこれら保存された残基に接触することはもっともらしいと思われる(図4C)。それに対して、IL−17RAは、C−C’ループと共に非保存のサイトカイン残基に接触することによって各サイトカインに対する特異性を調節し得る(図4C)。次いでまとめて、IL−17RAは、幾つかの異なったIL−17サイトカインと共に異なった接触の背景の間で保存された接触のサブセットに基づいた交差反応性の戦略を使用すると思われる。このことは、異なった神経栄養因子のリガンドの認識のために共用p75受容体によって利用される戦略に類似し、たとえば、異なった4螺旋サイトカインとの大きく異なった分子相互作用を形成するgp130及びgc鎖による交差反応性に使用されるメカニズムとは対照的である(27)。
実施例6.システイン・ノット成長因子の受容体結合方式
【0237】
たとえば、神経成長因子(NGF)(28〜30)、血管内皮増殖因子(VEGF)(31)、2グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)ファミリーメンバー(32)などのような受容体/システイン・ノット成長因子リガンドについての幾つかの結晶構造;これらの構造は、IL−17RAが介在するリガンド会合の方式との教訓的な比較として役立ち得る(図5)。p75神経栄養因子に結合したNGFの複合体(p75NTR、死の受容体メンバー)(28,30)では、受容体はIL−17RAとの構造的類似性を持たないが、IL−17RAと同様にp75NTRは、リガンドの二量体接触面にてくぼんだ溝の中でNGFに会合する(図5B)。NGFとのTrkAの複合体の場合(29,33)、IL−17RAのFnIIIドメインに構造的に関連するTrkAにおける免疫グロブリン(Ig)−ドメインがリガンドの結合に使用される。しかしながら、TrkAのIg−ドメインは、NGFのβシートによって形成されるNGFの「サドル」における平面に横向きに結合するので結合の方式ははっきりと異なる(図5C)。興味深いことに、NGF−p75NTRの複合体は、それぞれへテロ二量体p75シグナル伝達複合体の部分形態及び完全形態を表し得る1:2及び2:2の複合体双方として報告されている(28,30)。しかしながら、その場合、ホモ二量体のNGFリガンドは2つの同一のp75分子に会合するので、2つの異なった受容体をヘテロ二量体化する対称二量体リガンドのための構造的メカニズムを必要としない。
実施例7.ヒトIL−17RC又はヒトIL−17RAの結合
【0238】
形質移入細胞へのビオチン化サイトカインの結合
ビオチン化したヒトIL−17A、ヒトIL−17F及び本明細書に記載される拮抗物質を含むそれらの変異体を結合する能力について、ヒトIL−17RA、ヒトIL−17RC又はこれら受容体の双方をコードする発現ベクターで形質移入した幼若ハムスターの腎臓(BHK)細胞を評価する。ヴェルセンと共に細胞を回収し、計数し、HBSSに1mg/mlのウシ血清アルブミン(BSA)と10mMのHEPESと0.1%のアジ化ナトリウム(w/v)を加えた染色培地(SM)にて10個の細胞/mlに希釈する。ビオチン化したヒトIL−17A、ヒトIL−17F及びそのほかの当該タンパク質を種々の濃度で氷上にて30分間、細胞と共にインキュベートする。30分後、過剰なタンパク質をSMで洗い流し、フィコエリスリンに結合したストレプトアビジン(SA−PE)の1:100希釈と共に氷上で30分間、細胞をインキュベートする。過剰なSA−PEを洗い流し、細胞をフローサイトメトリーで解析する。染色の平均蛍光強度から結合の量を定量する。
【0239】
ヒト末梢血単核細胞(PBMC)へのビオチン化サイトカインの結合
Ficoll密度勾配遠心によって全血からPBMCを調製する。1μg/mlのビオチン化したIL−17A又はIL−17F又は当該タンパク質と、種々の白血球細胞系列を区別するように設計する特異的な細胞表面タンパク質に対する、蛍光色素を結合した抗体と共に10個/mlの細胞を同時にインキュベートする。これらのマーカーには、CD4、CD8、CD19、CD11b、CD56及びCD16が挙げられる。過剰な抗体とサイトカインを洗い流し、上述のSA−PEと共にインキュベートすることによって特異的なサイトカインの結合を検出する。試料をフローサイトメトリーで解析する。
【0240】
特異的結合の阻害
上記で議論したように結合試験を実施するが、過剰な非標識のIL−17A及びIL−17F又は過剰な非標識の、本明細書に記載されるタンパク質のような当該タンパク質を結合反応に含める。BHK細胞による試験では、非標識のタンパク質の量は濃度の範囲を超えて変化し、IL−17A及びIL−17F双方のIL−17RC及びIL−17RA双方への結合に競合する能力について非標識のIL−17A及び当該タンパク質を評価する。
実施例8.マウスのNIH3T3細胞はヒトのIL−17A及びIL−17Fに反応する
【0241】
ヒト免疫不全ウイルス−1の長い末端反復配列のコンセンサスNF−κB結合部位と直列NF−κB結合部位と、2コピーのコラゲナーゼAP−1要素と、ルシフェラーゼのレポーターカセットに連結した1コピーのc−JunTREを含有し、Blumbergら(2001)Cell、104:9−19に記載されたようにそれをpACCMV.pLpAアデノウイルスシャトルベクターに入れたKz142アデノウイルス粒子によってマウスNIH3T3細胞に形質移入する。
【0242】
アデノウイルス粒子のレポーターとの一晩のインキュベートに続いて、0.28%BSAを含有する無血清培地にて(たとえば、IL−17A、IL−17F又はそのほかの当該タンパク質による)処理を調製する。アデノウイルス粒子及び培地を取り除き、適当な用量を与える。37℃及び5%COでのインキュベートを4時間継続し、その後、培地を取り除き、細胞を15分間溶解し、ルシフェラーゼアッセイ系と試薬(Cat.#e1531 Promega, Madison, WI))と微量プレート照度計を用いて平均蛍光強度(MFI)を測定した。安定した細胞株を作製することもできる。安定的な細胞株及び/又は一過性の細胞株を用いて活性について本明細書に記載されるタンパク質を評価する。
実施例9.ヒト末梢血単核細胞にてIL−17Aは高いレベルのIFNγ及びTNFαを遊走する
【0243】
Ficoll密度勾配遠心によってヒト末梢血単核細胞(PBMC)を精製し、次いで培地のみ、50ng/mlの抗ヒトCD3抗体、又は50ng/mlの抗ヒトCD3抗体と1μg/mlの抗ヒトCD28抗体の組み合わせと共に37℃にて一晩インキュベートする。これらの条件のそれぞれについて同型培養を設定し、サイトカインを与えない、又は25ng/mlのIL−17A、25ng/mlのIL−17F、又は種々の濃度の当該タンパク質(たとえば、サイトカインの存在下で)を与える。24時間のインキュベートの後、各培養物からの上清を回収し、B−DBioscienceのヒトTh1/Th2サイトメトリックビーズアレイ(CBA)を用いてサイトカイン含量についてアッセイする。我々は、抗CD3又は抗CD3プラス抗CD28のいずれかで刺激し、IL−17Aを補完した培養物が、サイトカインを加えない又はIL−17Fを受け取った培養物を超えて有意に高いレベルのIFNγ及びTNFαを含有することを期待する。当該タンパク質は、IL−17AによるIFNγ及びTNFαの誘導を阻害する能力について評価され得る。
実施例10.マウスのコラーゲン誘導の関節炎(CIA)モデル
【0244】
マウスのコラーゲン誘導の関節炎(CIA)モデルを用いてヒトの関節炎を治療するための薬剤(たとえば、本明細書に記載されるタンパク質)の治療可能性を評価することができる。8〜10週齢のオスDBA/IJマウス(Jackson Labs,それぞれ25〜30g)をこれらの試験に使用する。−21日目に、完全フロインドアジュバントにて調製した100μg/mlのヒヨコII型コラーゲンを尾の皮内に注射して動物に与え、3週間後、0日目に、不完全フロインドアジュバントで調製したことを除いて同様の注射をマウスに施す。2回目のコラーゲンの注射に続いて動物は関節炎の症状を示し始め、ほとんどの動物が1〜2週間以内に炎症を発症する。キャリパを用いて足の厚さを測定し、各足についての臨床スコア(0〜3):0=正常、0.5=足指の発赤腫脹、1=軽い足の炎症、2=中程度の足の炎症、3=重篤な足の炎症を指定することによって疾患の程度を評価する。
【0245】
このモデルでは疾患の発症率は通常95〜100%であり、40匹の動物を用いた試験では0〜2の非応答動物(観察の6週後に判定される)が通常認められる。炎症が始まるにつれて、種々の低次元の足又は足指の炎症の一般的な一時的な発生が生じ得ることに留意すること。この理由のために、顕著で持続的な足の腫脹が発生するまで動物は確立した疾患を有するとはみなされない。
【0246】
動物すべてを毎日観察し、足における疾患の状態を評価するが、それは、各足に定量的臨床スコアを割り当てることによって実施される。毎日、各動物は、臨床疾患の状態に従ってスコア化された4つの足を有する。臨床スコアを判定するには、足が、3つのゾーン、足指、足そのもの(手首又は足首から先)及び手首又は足首の関節を有すると考えられる。これらのゾーンに対する炎症の程度と重症度は、腫脹についての各足指の観察、裂けた爪又は足指の発赤、足のいずれかにおける浮腫又は発赤の証拠の記録、腱又は骨の細かな解剖学的区分の喪失の記録、浮腫又は発赤についての手首又は足首の評価、並びに炎症が近位で脚まで広がっているかどうかの記録を含めて言及される。1、2又は3の足スコアは、第1に重症度の全体的な印象に基づき、第2にどれだけ多くのゾーンが関与するかに基づく。
【0247】
治療:確立した疾患は、1以上にランク分けされた足炎症の定量的スコアとして定義される。確立した疾患がいったん存在すると、日付が記録され、「確立した疾患」を得た動物の最初の日として指定され、治療が開始される。PBSによって、又は5回の総用量:150μg、75μg、25μg及び10μgにて1日おきに種々の用量の当該タンパク質でipによってマウスを治療する。
【0248】
実験期間全体を通して採血し、血清の免疫グロブリンとサイトカインのレベルと同様に抗コラーゲン抗体の血清レベルをモニターする。最後(5回目)の治療の48時間後、疾患の発症後およそ10日の動物を安楽死させる。血清用に血液を回収し、足すべてを組織学検査用に10%NBFに回収する。免疫グロブリンとサイトカインのアッセイのために血清を回収し、−80℃で凍結する。治療したマウスにおける臨床スコアの重症度の用量依存性の有意な低下は、この試験系におけるタンパク質についての生物学的効果を示す。
実施例11.追加の疾患モデル
【0249】
炎症性腸疾患(IBD)のモデルは、IBD患者からの培養した腸組織が健常対照からの組織に比べて高レベルの炎症性メディエータを生じることを示すように設計される。炎症性メディエータ(L−1β、IL−4、IL−5、IL−6、IL−8、IL−12、IL−13、IL−15、IL−17A及びF、IL−18、IL−23、TNF−α、IFN−γ、MIPファミリーメンバー、MCP−1、G−及びGM−CSFなどを含むが、これらに限定されない)のこの高い産生は、炎症性経路を活性化することに対する及びエフェクター細胞の下流へのそれらの効果を介して、たとえば、クローン病(CD)及び潰瘍性大腸炎(UC)のようなIBDに関連する症状及び病理に寄与する。次いでこれらの経路及び構成成分は、生体内で認められるような組織及び細胞の損傷/破壊をもたらす。従って、このモデルはIBDのこの高い炎症性メディエータの態様を刺激することができる。さらに、健常な対照又はヒト腸管上皮細胞(IEC)株に由来する腸管組織をこれら炎症性成分の存在下で培養すると、組織及び細胞の損傷の証拠と共に、炎症性経路のシグナル伝達を観察することができる。
【0250】
生体内でヒトIBDに有効であろう治療法は、炎症性メディエータの産生及び/又は存在を阻害する及び/又は中和することによって上記生体外モデル又はIECモデルで機能する。
【0251】
このモデルでは、ヒトの腸管組織は、IBD患者、又は腸管生検、再切片法を受けている健常対照、又は死後の組織採取から集められ、Alexakisら(Gut、53:85−90;2004)の改変を用いて処理する。無菌条件下で、多量のPBSによって試料を穏やかに清浄し、その後、完全な組織培養培地(抗生物質を加えて細菌の過剰増殖を防ぐ)の存在下で細片した組織を培養する。細片組織の同一プールを以下の1つ:媒体(PBS)、組換えヒト(rh)IL−17A、rhIL−17F又はrhIL−17A+rhIL−17Fで処理する。加えて、これらの試料を単独又は組み合わせでのIL−17A、IL−17F、IL−17B、IL−17C、IL−17D及びIL−17Eのいずれかの拮抗物質と共に、又はそれを伴わずに処理する。細胞を既存のストックから継代することを除いてヒトのIEC株による試験についてこの実験プロトコールを続ける。培養の時間を変化させた後(1時間〜数日)、上清を回収し、上記のものを含む炎症性メディエータのレベルについて解析する。IBD患者からの試料又はrhIL−17A及び/又はrhIL−17Fで処理した試料では、無処理の健常対照の組織試料に比べて炎症性サイトカイン及びケモカインのレベルが上昇する。炎症性メディエータの産生を低下させるのでヒトIBDにて有効である能力について当該タンパク質を評価することができる。
【0252】
ドライアイ疾患についてのマウスのモデルで当該タンパク質を評価することができる。スコポラミンの皮下注射、次いで制御した環境のチャンバーにマウスを入れることによってマウスにてドライアイを誘導することができる。制御した環境のチャンバーは、相対湿度、温度及び空気の流れについて制御することができる。たとえば、Barabinoら、Invest.Ophth.Vis.Sci.,46:2766−71,2005を参照のこと。種々のマウス系統を使用することができる。これらには、たとえば、C57BL/6、BALB/c、NZB/W及びMLR/lpr、MLR/+が挙げられる。他の動物、たとえば、ウサギ、ラット、サル、イヌ、及びネコもドライアイ疾患のモデルとして使用することができる。たとえば、Nguyen及びPeck、Ocul.Surf.,7(1):11−27,2009(表1を含む)、並びにBarabino及びDana,Invest.Ophth.Vis.Sci.,45(6):1641−46,2004を参照のこと。
【0253】
例証として、30%未満の湿度(一般に約19%)、速い空気の流れ(一般に約15リットル/分を超える)及び一定の温度(約22℃)で制御された環境チャンバーにて乾燥環境に連続してさらすことによって正常で健常な6〜10週齢のメスC57BL/6マウスにてドライアイを誘導することができる。チャンバーに入れたマウスをスコポラミンで処理して涙液分泌も阻害する。徐放性経皮スコポラミン貼付剤(Novartis, Summit NJ)の1/4を脱毛したマウスの尾の中間に48時間ごとに塗布し、又はたとえば、750μgのスコポラミンを1日2回皮下に注射することができる。制御した環境チャンバーとスコポラミンの組み合わせは、相対的に短い時間枠(約2〜4日)で重篤なドライアイを生じる。これらの条件下で疾患の発症後、当該タンパク質によって7〜14日間マウスを治療することができ、偽薬又は賦形薬で治療した対照と比較することができる。たとえば、(a)涙液産生の評価、(b)角膜表面の損傷のマーカーである角膜フルオレセイン染色、(c)上下の結膜における杯細胞の密度の評価、(d)一般的な眼科検査、たとえば、結膜上皮の形態、(e)角膜表面の走査電子顕微鏡検査、及び(f)免疫組織化学検査を行うことによってドライアイについてマウスをモニターし、評価することができる。
実施例12.関節リウマチ(RA)及び変形性関節症(OA)のモデル
【0254】
このモデルは、ヒトの滑膜培養物(滑膜マクロファージ、滑膜線維芽細胞及び関節軟骨細胞を含む)及びRA患者やOA患者に由来する外植片が健常対照由来の培養物/外植片に比べて高いレベルの炎症性メディエータを産生することを示すように設計される。炎症性メディエータ(オンコスタチンM、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−12、IL−15、IL−17A及びF、IL−18、IL−23、TNF−α、IFN−γ、IP−10、RANTES、RANKL、MIPファミリーメンバー、MCP−1、G−及びGM−CSF、一酸化窒素などを含むが、これらに限定されない)のこの高い産生は、炎症性経路を活性化することに対する及びエフェクター細胞の下流へのそれらの効果を介して、RA及びOAに関連する症状及び病理に寄与する。次いでこれらの経路及び構成成分は、炎症性浸潤、軟骨及びマトリクスの喪失/破壊、骨喪失、及びプロスタグランジンやサイクロオキシゲナーゼの上方調節をもたらす。従って、このモデルは、試験管内及び体外での実験にてRA及びOAの破壊的な炎症性の側面を刺激することができる。さらに、健常対照に由来する外植片や滑膜培養物をこれらの炎症性成分(たとえば、オンコスタチンM、IL−1β、IL−6、IL−17A及びF、IL−15等)の幾つかの存在下で培養すると、炎症性経路のシグナル伝達を観察することができる。生体内でヒトのRAに有効である治療法は、炎症性メディエータの産生及び/又は存在を阻害する及び/又は中和することによって上記の試験管内及び生体外のモデルにて効果を有し得る。
【0255】
このモデルでは、ヒトの滑膜外植片は、RA、OAの患者から、又は関節置換を受けている健常対照から、又は死後の組織採取から集められ、WooleyとTetlow (Arthritis Res 2: 65-70, 2000)及びvan’t Hofら(Rheumatology 39:1004-1008, 2000)の改変を用いて処理される。滑膜線維芽細胞、滑膜マクロファージ、及び関節軟骨細胞の培養も検討される。同型試料を以下の1つ:媒体(PBS)、組換えヒト(rh)IL−17A、rhIL−17F又はrhIL−17A+rhIL−17Fで処理し、一部の試料はオンコスタチンM、TNF-α、IL−1、IL−6、IL−17A、IL−17F及びIL−15の組み合わせを含有する。加えて、当該タンパク質の存在下又は非存在下でこれらを評価することができる。培養時間を変化させた後(1時間〜数日)、上清を回収し、上記で列記されたものを始めとして炎症性メディエータについて解析する。RA又はOAの患者に由来する試料又はrhIL−17A及び/又はF(単独又は他の炎症性サイトカインとの組み合わせでのいずれか)で処理した試料では、無処理の健常対照の外植片又は無処理の細胞培養物に比べて炎症性サイトカイン及びケモカインのレベルは上昇する。炎症性メディエータの産生を低下させるのでヒトのRA及びOAで有効である能力について当該タンパク質を評価することができる。
実施例13.G−CSF、IL−6及びIL−8の誘導
【0256】
ヒトIL−17A又は人IL−17Fで処理したヒトの小気道上皮細胞(SAEC)は、たとえば、処理後48時間の細胞上清の評価によってG−CSF、IL−6及びIL−8の用量依存性の誘導を示すことができる。この誘導を阻害する能力について当該タンパク質を評価することができる。
実施例14.ヒトの関節リウマチ(「RA」)と変形性関節症(「OA」)の試料
【0257】
これらのモデルは、ヒトの滑膜培養物(滑膜線維芽細胞、滑膜マクロファージ、及び関節軟骨細胞を含む)及びRAやOAの患者由来の外植片が、健常対照の培養物/外植片に比べて高いレベルの炎症性メディエータを産生することを示すように設計されるが、それは言い換えれば、細胞外マトリクス成分(たとえば、骨、軟骨等)の劣化に寄与し、そのことはこれら疾患の顕著な特徴となっている。加えて、以下に記載される共培養モデルは、RA/OAの滑液に存在する炎症性メディエータ及び/又は活性化されたT細胞もまたさらに大きな炎症やマトリクスの劣化を生じることを示すように設計される。
【0258】
炎症性メディエータ(オンコスタチンM、IL−1β、IL−6、IL−8、IL−12、IL−15、IL−17A及びF、IL−18、IL−23、TNF−α、IFN−γ、IP−10、RANTES、RANKL、MIPファミリーメンバー、MCP−1、MMP−9、G−及びGM−CSF,一酸化窒素等を含むが、これらに限定されない)の高い産生は、炎症性経路を活性化することに対する及びエフェクター細胞の下流へのそれらの効果を介して、RA及びOAに関連する症状及び病理に寄与する。次いでこれらの経路及び構成成分は、炎症性浸潤、軟骨及びマトリクスの喪失/破壊、骨喪失、及びマトリクスメタロプロテアーゼ、プロスタグランジンやサイクロオキシゲナーゼの上方調節をもたらす。従って、このモデルは、試験管内及び体外での実験にてRA及びOAの破壊的な炎症性の側面を刺激することができる。さらに、健常対照に由来する外植片や滑膜培養物を外因性に添加した炎症性成分(たとえば、オンコスタチンM、TNF−α、IL−1β、IL−6、IL−17A及びF、IL−15等)の幾つかの存在下で、或いは、RA患者由来に滑液(内因性の炎症性成分を含有する)の存在下で培養すると、炎症性で分解性の経路のシグナル伝達を観察することができる。生体内でヒトのRAに有効である治療法は、炎症性メディエータの産生及び/又は存在を阻害する及び/又は中和することによって上記の試験管内及び生体外のモデルにて機能する。
【0259】
これのモデルでは、ヒトの滑膜外植片は、RA、OAの患者から、又は関節置換を受けている健常対照から、又は死後の組織採取から集められ、WooleyとTetlow (Arthritis Res 2: 65-70, 2000)及びvan’t Hofら(Rheumatology 39:1004−1008, 2000)の改変を用いて処理される。滑膜線維芽細胞、滑膜マクロファージ、及び関節軟骨細胞の培養も検討される。同型試料を以下の1つ:媒体(PBS)、組換えヒト(rh)IL−17A、rhIL−17F又はrhIL−17A+rhIL−17Fで処理し、一部の試料はオンコスタチンM、TNF-α、IL−1、IL−6、IL−17A、IL−17F及びIL−15の組み合わせを含有する。試料の別々のセットを、活性化ヒトT細胞又は健常対照又はRA若しくはOAの患者からの滑液によって処理する。培養時間を変化させた後(1時間〜数日)、上清及び細胞を回収し、上記で列記したものを含めて炎症性メディエータ及び軟骨/骨/マトリクスの生体マーカーのレベルについて解析する。試料を当該タンパク質で処理し、炎症性で軟骨/骨/マトリクス分解性のメディエータの産生を低下させるのでヒトのRA及びOAで有効である能力について評価することができる。
実施例15.単鎖ヒトIL−17A:IL−17Fのヘテロ二量体
【0260】
組換えヒトIL−17A:IL−17Fのヘテロ二量体又は組換えIL−17A:IL−17F変異体をCHODXB11細胞における適当な単鎖構築物の発現とWAVE装置における細胞培養から産生させる。構築物の1つは、(GS)リンカーで連結されたC末端でのIL−17Fを伴ったN末端でのヒトIL−17Aの配列で構成され;別の例となる構築物は、(GS)リンカーで連結されたC末端でのIL−17F変異体を伴ったN末端でのヒトIL−17Aの配列で構成される。産物の捕捉のためにHisタグをC末端に含めることができる。例となる精製方法は、米国特許第20080241138号に記載されている。手短には、それは酸性沈殿工程、濾過、それに続くクロマトグラフィを含むことができる。たとえば、およそ10Lの調整培地を回収し、0.2μmのフィルターで無菌濾過する。撹拌しながら酢酸の添加によって培地をpH5.0に合わせる。沈殿の後、0.8〜0.2ミクロンのフィルターの2段階を介して、pH調整した培地を再び濾過する。次いでSPFastFlow樹脂上の陽イオン交換クロマトグラフィに培地を供し、塩勾配によって溶出することができる。次いで、たとえば、5mlのHISTRAP(登録商標)IMACカラム(GE Healthcare)を用いたIMACクロマトグラフィにピーク分画を供することができる。イミダゾールで溶出した後、たとえば、SUPERDEX(登録商標)200上でのサイズ排除クロマトグラフィにピーク分画を供することができる。次いでピーク分画をプールして使用することができる。ウエスタン解析(たとえば、抗Hisタグ抗体)及び/又はクマシーゲル染色を伴ったSDS−PAGEによって分画を評価することができる。
実施例16.IL−17A及びIL−17Fの発現及び精製
【0261】
ヒトIL−17RAの天然のシグナルペプチドと細胞外領域(残基1〜286)をBACMAM(登録商標)発現ベクターpVLAD637にクローニングした。1%のウシ胎児血清(FBS)及び10mMの酪酸ナトリウムを補完したPRO029(商標)培地(Lonza)における37℃での293GnTI細胞の浮遊培養にて組換えタンパク質は一過性に発現した。C末端のヘキサ−Hisタグを伴った完全長のIL−17FをpAcGP67−A発現ベクター(BD Biosciences)にクローニングし、INSECTXPRESS(商標)培地(Lonza)における27℃でのHighFive昆虫細胞培養によってタンパク質を分泌させた。IL−17RAとIL−17Fのタンパク質を含有する上清を混合し、Niアフィニティ精製の前に濃縮した。エンドグリコシダーゼH処理によってIL−17RAタンパク質を脱グリコシル化し、3C−プロテアーゼとカルボキシペプチダーゼA(Sigma−Aldrich)を用いてIL−17RAとIL−17Fの精製タグを切断した。Walterら(38)によって記載されたようにジメチルアミン/ホウ酸の錯体とホルムアルデヒドを用いた還元的リジンメチル化にタンパク質複合体を供した。10mMのHEPES、pH7.4と150mMのNaClで平衡化したSUPERDEX(登録商標)200上でのサイズ排除カラム(GE Healthcare)を用いてIL−17RA/IL−17F複合体をさらに精製した。結晶化試行のためにIL−17RA/IL−17F複合体を含有する分画を約15mg/mlに濃縮した。
【0262】
セレノ−メチオニン(SeMet)で標識したIL−17RAタンパク質を以下の改変と共に記載されたように調製した(39)。FBSを補完したDMEM培地(Invirtogen)にて形質移入していない付着性の293GnTI細胞を培養した。リン酸緩衝化生理食塩水で1回洗浄した後、40mg/mlのL−Cys、45mg/mlのセレノン−L−Met、2%のFBS、L−グルタミン酸塩、ピルビン酸ナトリウム、IL−17RABacMamウイルス及び10mMの酪酸ナトリウムを補完したMetとCysを含まないDMEM(Invitrogen)に培地を交換した。発現を72時間進めた。IL−17RA/SeMetタンパク質の上清をIL−17Fと混合し、上述のように精製した。
【0263】
結合実験については、タンパク質を発現させ、基本的に上述のように精製した。C末端のBirAリガーゼタグの有無にて293sGnTI細胞によってIL−17RA、IL−17RB及びIL−17RCの細胞外ドメインを発現させた。サイズ排除クロマトグラフィに先立って3C−プロテアーゼで切断する追加のC末端Fcタグと共にIL−17RCを発現させた。C末端ヘキサーHisタグと共にIL−17A、IL−17F及びIL−25サイトカインを発現させた。BirAリガーゼを用いてタンパク質を酵素的にビオチン化し、サイズ排除クロマトグラフィを介して精製した。
実施例17.結晶化及びX線データの収集
【0264】
10%PEG6000及び0.1MのビシンpH9.0における懸滴蒸気拡散を介してIL−17RA/IL−17F複合体を先ず成長させた。タンパク質/沈殿の液滴に直接加えた20mMのCaCl又は10mMのCaCl及び1.5%w/vのトリメチルアミンN−オキシド二水和物を伴ったPEG6000(4〜14%)と0.1MのCAPSO緩衝液(pH9.1〜9.3)にて、最適化した天然の及びSeMetのタンパク質複合体の結晶を成長させた。0.5mMのKPtClと2%のエチレングリコールを補完した井戸水に結晶を6時間浸すことによって重金属誘導体を調製した。データを収集する前に20〜25%のエチレングリコールを加えた井戸水にて結晶を冷凍保護し、100Kに冷却した。結晶は、空間群P41212に属し、約171、171、83Åの単位格子の寸法を有する。Stanford Synchrotron Radiation Lightsource(SSRL)ビームライン9−2(Stanford,CA)にて当初の天然のデータセットを回収した。Pt誘導体及びSeMetのデータセットはSSRLのビームライン11−1にて回収した。Advanced Photon Source(APS)ビームラインID−23D(Argonne,IL)ではさらに高い解像の天然のデータセットを回収した。プログラムMosflm40を用いてデータはすべて索引を付け、統合し、CCP4スイートからSCALAによって縮小した(41)。回折は異方性であり、データセットを3.4、3.4及び3.9Åに縮小する回折異方性サーバー(42)を用いて当初の天然のデータセットを楕円的切断及び異方的スケーリングに供した。
実施例18.構造決定及び精製
【0265】
モデルとして以前決定した2.85ÅのIL−17Fの構造(PDBID1JPY)と共にプログラムPhaser43を用いて単一のIL−17Fホモ二量体の分子置換法を決定した(7)。当初の地図は、IL−17RAについての結合部位を説明するIL−17F二量体の片側に追加的な密度を示した。プログラムSharpにて異常分散効果を利用した単一重原子同形置換法を介してKPtClを用いて位相を計算した(44)。71%の溶媒を想定し、20回のうち10回についてのIL−17Fの分子置換からの部分モデルを含めて密度を修正した地図を計算した。プログラムCootを用いてIL−17RA主鎖の部分モデルを手動でこの地図に組み込んだ(45)。
【0266】
ファストFourierトランスフォーム(FFT)を介してIL−17RAのMet残基の位置を計算し、CCP4スイートにおけるプログラムFFTを用いて異常な差異の地図を生成した。SeMetデータセットは、天然のデータセットと同形ではなく、単一異常差異(SAD)位相整合法を介して部位を位置づけるにはシグナルが弱すぎるので、部分的に組み立てたモデルをSeMetデータセットの分子置換モデルとして用い、計算した位相を用いてセレノニウムのピークを見つけた。IL−17RAのMet159、Met166及びMet218に相当する、6つのSeMet残基と思われるもののうち3つを位置づけた。予測されたAsn結合のグリコシル化部位とジスルフィド結合に加えてこれらMetの位置を用いて、密度におけるポリペプチドと当初のIL−17RAモデルの完全な構築を登録した。Cootにおける手動のモデル構築と交差するプログラムPhenix46を用いて複数回の組み合わせとB因子の精製を行った。初回のモデル構築は、プログラムCNSによって計算したB因子が際立たせるσA−加重の段階的な組み合わせ地図を利用した(47)。最終モデルは、それぞれ22.7%及び25.3%のR因子及びRフリーによって3.3Åに純化した。非対称単位でIL−17RA/IL−17F複合体が1つある。モデルには、IL−17RA鎖の43位にてジメチルリジン、IL−17RA鎖上での5つの単一N−アセチルグルコサミン(GlcNAc)部位、IL−17FのB鎖上での2つのGlcNAc残基との部位1つ、及びカルシウムイオンが含まれる。プログラムPROCHECK48及びWHAT_CHECK(49)を用いて最終モデルの構造を評価した。CCP4スイートプログラムContact及びAreaimolを用いてそれぞれ接触面の接触及び埋め込まれた表面積を決定した。構造図はすべてプログラムPymol(50)を用いて生成した。
実施例19.親和性測定
【0267】
BIACORE(登録商標)T100(GE Healthcare)での表面プラスモン共鳴(SPR)を介して結合親和性を計算した。SAセンサーチップ又はCM4センサーチップの(GE Healthcare)いずれかの上で不動化したストレプトアビジンに、C末端をビオチン化したIL−17受容体を結合させた。無関係なビオチン化タンパク質を同等の不動化密度で捕捉してフローセルを制御した。第2の受容体の結合相互作用を測定するために、サイトカインを先ず不動化受容体に捕捉させて、次いで第2の受容体を注入した。低い結合密度(200〜400RU)と過剰なサイトカイン濃度を用いて単一受容体に結合するサイトカインのホモ二量体の数を最適化した。各サイクルの間で3MのMgClを用いて表面を再生した。動態実験については、50μl/分の流速を用いた。BIACORE(登録商標)T100の評価ソフトウエア、バージョン2.0(GE Healthcare)を用いてデータを解析した。少なくとも2回の独立した実験の平均値±平均値の標準誤差(s.e.m.)として親和性を報告する。
実施例20
【0268】
IL−17RAに結合したIL−17Fの構造を解析した。
【0269】
Asn89はIL−17AとIL−17Fの間で保存されており、A鎖では、部位3のポケットにてIL−17RA主鎖との水素結合を形成する。たとえば、アラニンによる置換は相互作用を取り去ってしまう。
【0270】
A鎖におけるGln95は、部位2のポケットにて若干の疎水性相互作用を行う。たとえばアラニンのような小さな残基による置換を用いて相互作用を破壊することができ、たとえば、トリプトファンのような大きな基による置換を用いてIL−17RAループの挿入を阻止することができる。
【0271】
IL−17F(配列番号12)のB鎖におけるArg37:Arg37は、IL−17RAと水素結合及び塩橋と思われるものを形成し、側鎖は自信を持ってモデル化され得ないが、41位はセリンである。Arg37におけるアラニンは水素結合及び塩橋を破壊する。IL−17Aは、Arg37に相当する位置で荷電残基を有さないが、配列番号2の37位(配列番号12の39位に相当する)でリジンを有する。IL−17F(配列番号12)における37位で荷電残基を置換すること又はIL−17A(配列番号2)におけるLys37若しくはArg38を置換することを用いて受容体への親和性を低下させることができる。反対の電荷を持つ残基、たとえば、グルタミン酸又はアスパラギン酸によるこれらの位置の置換も使用することができる。
【0272】
B鎖におけるArg42、Arg47及びArg102は保存されたアルギニン残基である。IL−17RA/IL−17F複合体では、これらのアルギニン残基は、部位3(Arg42及びArg47)及び部位1(Arg102)にて水素結合及び塩橋を形成し得る。Arg42とArg47は類似環境にあるので、双方共一緒に標的化され得る。たとえば、同一分子にて、たとえば、非荷電残基又は酸性残基によっていずれか1つ、2つ又は3つすべてが置換され得る。加えて、IL−17Aの文脈では、配列番号2のArg38は、たとえば、Arg47及びArg102に相当する位置との組み合わせで置換され得る。
【0273】
B鎖におけるTyr63は6種のIL−17サイトカインのうち4種で保存されており、はかの2種では疎水性である。Tyr63は、部位1の中央に埋め込まれるTrp31を含めて広い疎水性相互作用を行う。Tyr63はまた他の部位1の残基と水素結合と思われる結合を形成する。アラニン置換を用いて相互作用を破壊することができ、荷電残基(たとえば、リジン)を用いてポケットを遮断することができる。
【0274】
B鎖におけるVal68(IL−17AにおけるTrp)は部位2において受容体との疎水性相互作用を形成する。たとえば、長い、極性の側鎖(たとえば、グルタミン)によってVal68を置換することを用いてループの挿入を壊すことができる。
【0275】
B鎖におけるPhe111は部位1のポケットの一番上にて疎水性相互作用を形成する。アラニンによる置換及び/又はArg102置換との組み合わせでの置換を用いて結合接触面でのこれらの相互作用を破壊することができる。
【0276】
加えて、表3における観察を行った(IL−17F及び配列番号12を参照して特定される残基)
【表5】


【表6】

【0277】
欄3は、折り畳まれない状態で標準化した、IL−17RAへの結合によって埋め込まれた側鎖の溶媒アクセス可能表面領域(SASA)の割合を提供する。欄4は、残基中の任意の側鎖原子からIL−17RAにおける任意の原子への最小距離を提供する(オングストロームで)。
実施例21.酸/塩基ジッパーで形成されたIL−17へテロ二量体
【0278】
幾つかの変異のあるIL−17サイトカイン二量体タンパク質を2つの異なったサブユニット配列のヘテロ二量体として設計した。そのようなヘテロ二量体を調製するやり方の1つは、2つのヘテロ二量体ジッパー配列の1つ、たとえば、1対の酸/塩基ジッパーの1つに各サブユニットを融合することによる。たとえば、O’Sheaら、Curr.Biol.(1993),3(10):658−67を参照のこと。この例では、IL−17Aのサブユニットの1つは、酸性配列とヘキサヒスチジンタグを含有するC末端タグと共に発現させた。IL−17Aの別のサブユニットは、塩基性配列とヘキサヒスチジンタグを含有するC末端タグと共に発現させた。これらサブユニットの配列は以下のとおりである。
【0279】
IL−17A酸性ジッパー:GITIPRNPGCPNSEDKNFPRTVMVNLNIHNRNTNTNPKRSSDYYNRSTSPWNLHRNEDPERYPSVIWEAKCRHLGCINADGNVDYHMNSVPIQQEILVLRREPPHCPNSFRLEKILVSVGCTCVTPIVHHVASGGGGSRGGLEVLFQGPEFGGSTTAPSAQLEKELQALEKENAQLEWELQALEKELAQHHHHHH(配列番号17)
【0280】
IL−17A塩基性ジッパー:GITIPRNPGCPNSEDKNFPRTVMVNLNIHNRNTNTNPKRSSDYYNRSTSPWNLHRNEDPERYPSVIWEAKCRHLGCINADGNVDYHMNSVPIQQEILVLRREPPHCPNSFRLEKILVSVGCTCVTPIVHHVASGGGGSRGGLEVLFQGPEFGGSTTAPSAQLKKKLQALKKKNAQLKWKLQALKKKLAQHHHHHH(配列番号18)
【0281】
構築物を293細胞に同時形質移入し、タンパク質を回収した。
実施例22.単鎖融合によって形成されたIL−17へテロ二量体
【0282】
ヘテロ二量体を調製する別のやり方は、可動性ペプチドリンカーを用いて2つのサブユニットを共有結合させ、単一のポリペプチド鎖として発現させることによる。単鎖IL−17Aの例は以下のとおりである:
GITIPRNPGCPNSEDKNFPRTVMVNLNIHNRNTNTNPKRSSDYYNRSTSPWNLHRNEDPERYPSVIWEAKCRHLGCINADGNVDYHMNSVPIQQEILVLRREPPHCPNSFRLEKILVSVGCTCVTPIVHHVASGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGITIPRNPGCPNSEDKNFPRTVMVNLNIHNRNTNTNPKRSSDYYNRSTSPWNLHRNEDPERYPSVIWEAKCRHLGCINADGNVDYHMNSVPIQQEILVLRREPPHCPNSFRLEKILVSVGCTCVTPIVHHVASHHHHHH(配列番号19)。
【0283】
タンパク質は293細胞で発現させた。細胞からの上清を非還元ゲル上で移動させ、抗ヘキサヒスチジン抗体を用いたウエスタンブロット解析を行った。Hisタグを付けたタンパク質の相当な部分が、単鎖タンパク質の単量体形態に相当する分子量(約35kDa)で移動した。
実施例23.IL−17活性についてのアッセイ
【0284】
Fossiezら、J.Exp.Med.183(6):2593−603(1996)の方法に従って細胞に基づいた機能的アッセイにて対照のIL−17AとIL−17Fタンパク質及び変異体のIL−17AとIL−17Fタンパク質を評価した。手短には、10%FBSを伴ったDMEMにて1×10個/ウェルの濃度で96穴プレートにおいてMRC−5ヒト胚性線維芽細胞を継代培養した。最終濃度0.1〜10,000ng/mlにてPBS、pH7.4中の対照タンパク質及び当該タンパク質を各ウェルに加えた。細胞をさらに48時間培養した。次いで、Thermo Scientific Human IL−6 Screening Set(cat#ENESS0005)によって上清中のIL−6濃度を測定した。このアッセイを用いて、IL−17A及びIL−17Fの対照タンパク質は、IL−17Aについて1〜10ng/ml及びIL−17Fについて20〜100ng/mlの公表された範囲内でEC50を有することが認められた。
実施例24.IL−17A及びIL−17Fの単一突然変異
【0285】
IL−17A/IL−17A二量体及びIL−17F/IL−17F二量体の双方にて単一の突然変異を行った−すなわち、それぞれ単一の突然変異を含有する2つの同一サブユニットを有するタンパク質を作製した。表4及び表5は、実施例23に記載されたアッセイを用いてこの形式での各変異について観察された活性の低下を示す。
【表7】

【表8】

変異F110Q及びY63Aは乏しい分泌を生じた。
実施例25.IL−17Aにおける複合変異
【0286】
サブユニット1がIL−17Aの背景で表7の第1欄にて特定される変異を含有し、サブユニット2がIL−17Aの背景で第2欄にて特定される変異を含有する二量体タンパク質において突然変異を行った。実施例21に記載された酸/塩基ジッパー法を用いてサブユニット1とサブユニット2を含有する二量体を作製した。タンパク質を293細胞で発現させ、上清を回収して解析した。実施例23に記載されたアッセイにて刺激するタンパク質の能力を評価し、野生型IL−17A/IL−17A二量体と比較した。
【0287】
IL−17Aについて別の有用な参照配列は以下のとおりであり、N末端のグリシンを含めて配列番号2に相当する:
GITIPRNPGCPNSEDKNFPRTVMVNLNIHNRNTNTNPKRSSDYYNRSTSPWNLHRNEDPERYPSVIWEAKCRHLGCINADGNVDYHMNSVPIQQEILVLRREPPHCPNSFRLEKILVSVGCTCVTPIVHHVA(配列番号20)。
【0288】
以下に列記した配列を有するサブユニットを用いてタンパク質を調製したが、IL−17Aにおける変異は、上記(欄2)参照配列の番号付けに従って、及びIL−17Fの番号付け(欄3)に従って特定された。
【表9】

【0289】
配列番号12の128位(配列番号2の126位又は配列番号20の127位)直前でのC末端の切断は、配列番号12の127位(配列番号2の125位又は配列番号20の126位)でプロリンを残している。
【表10】

加えて、変異の以下の組み合わせ(wt/N89A)、(R47E/N89A)、(R47E,S65K/N89A)、(R47E,W68Q/N89A)、(R47E,R102A/N89A)を伴ったタンパク質は、プレート結合アッセイにてIL−17RAに結合することが認められた。
実施例26
【0290】
そのほかのヒトIL−17サイトカインについてのさらにそのほかの例となる変異の配列には以下が挙げられる:
【表11】


【表12】


【表13】


実施例27
【0291】
細胞に基づいた拮抗アッセイにて変異体単鎖IL−17Aタンパク質を評価した。具体的には、変異タンパク質は、一方のサブユニットがR47EとS65K(配列番号22にて上記示された)の変異を含み、第2のサブユニットがN89A変異とC末端切断(配列番号27にて上記示された)を含む単鎖IL−17Aだった。2つのサブユニットを(GS)設計のリンカーで連結した。タンパク質はC末端のヒスチジンタグも含んだ。タンパク質の配列は以下のとおりだった:
GITIPRNPGCPNSEDKNFPRTVMVNLNIHNRNTNTNPKRSSDYYNESTSPWNLHRNEDPERYPKVIWEAKCRHLGCINADGNVDYHMNSVPIQQEILVLRREPPHCPNSFRLEKILVSVGCTCVTPIVHHVASGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGGGGSGITIPRNPGCPNSEDKNFPRTVMVNLNIHNRNTNTNPKRSSDYYNRSTSPWNLHRNEDPERYPSVIWEAKCRHLGCINADGNVDYHMASVPIQQEILVLRREPPHCPNSFRLEKILVSVGCTCVTPASHHHHHH(配列番号46)。
【0292】
IL−17RAの可溶性細胞外ドメインへのプレート結合アッセイでは、変異タンパク質は、野生型IL−17Aに匹敵する親和性で結合することが認められた(およそ4倍以内で)。
【0293】
活性のアッセイについては、DMEM+10%FBSにて1×10個/ウェルの濃度で96穴プレートのウェルにおいてMRC−5ヒト胚性線維芽細胞を培養した。4〜2400nMの最終濃度で変異体単鎖IL−17Aタンパク質をウェルに加えた。野生型IL−17A及びTNF−αをそれぞれ5ng/ml及び2ng/mlの最終濃度でウェルに加えた。37℃、5%COにて48時間細胞をインキュベートした。次いでThermo Scientific Human IL−6 Screening Set(cat#ENESS0005)を用いたELISAによって上清中のIL−6濃度を測定した。結果を以下の表9に示すが、このタンパク質は約10〜15nMのIC50でIL−17Aに拮抗できることを示している。
【表10】

【0294】
参考文献
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【0295】
等価
本発明は、その精神及び本質的な特徴から逸脱することなく他の具体的な形態で具体化されてもよい。従って、前述の実施形態はあらゆる点で、本明細書に記載された本発明における限定ではなく実例とみなされるべきである。
【図4B】

【図4C】

【図4D】

【図5A】



【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体を含む単離されたタンパク質であって、前記抗体が、
a)IL−17F(配列番号12)の略アミノ酸21〜41
b)IL−17A(配列番号2)の略アミノ酸21〜39
c)IL−17C(配列番号6)の略アミノ酸44〜65
d)IL−17D(配列番号8)の略アミノ酸32〜53
e)IL−17E(配列番号10)の略アミノ酸27〜49又は
f)IL−17B(配列番号4)の略アミノ酸32〜53の範囲内の領域でのエピトープにてIL−17サイトカインに結合する単離されたタンパク質。
【請求項2】
抗体を含む単離されたタンパク質であって、前記抗体が、
・IL−17RA(配列番号14)の略アミノ酸22〜36、83〜96、118〜147、152〜179;
・IL−17RB(配列番号15)の略アミノ酸25〜39、86〜100、126〜155、160〜187;又は
・IL−17RC(配列番号16)の略アミノ酸15〜30、70〜84、96〜124、129〜156の範囲内の領域でのエピトープにてIL−17Rに結合する単離されたタンパク質。
【請求項3】
単離されたタンパク質であって、
・IL−17A(配列番号2)と少なくとも90%同一であるが、100%同一ではなく、約21〜39、10〜76、80〜101及び102〜131から成る群から選択される1以上のアミノ酸が他のアミノ酸に変異する又は欠失する配列;
・IL−17B(配列番号4)と少なくとも90%同一であるが、100%同一ではなく、約32〜53、66〜105、110〜131及び135〜158から成る群から選択される1以上のアミノ酸が他のアミノ酸に変異する又は欠失する配列;
・IL−17C(配列番号6)と少なくとも90%同一であるが、100%同一ではなく、約44〜65、78〜117、121〜143及び153〜179から成る群から選択される1以上のアミノ酸が他のアミノ酸に変異する又は欠失する配列;
・IL−17D(配列番号8)と少なくとも90%同一であるが、100%同一ではなく、約32〜53、66〜105、110〜131及び134〜163から成る群から選択される1以上のアミノ酸が他のアミノ酸に変異する又は欠失する配列;
・IL−17E(配列番号10)と少なくとも90%同一であるが、100%同一ではなく、約27〜49、50〜87、93〜114及び120〜148から成る群から選択される1以上のアミノ酸が他のアミノ酸に変異する又は欠失する配列;及び
・IL−17F(配列番号12)と少なくとも90%同一であるが、100%同一ではなく、約21〜41、42〜78、82〜103及び104〜133から成る群から選択される1以上のアミノ酸が他のアミノ酸に変異する又は欠失する配列を含む単離されたインターロイキン17(IL−17)ポリペプチドを含む単離されたタンパク質。
【請求項4】
第1と第2のIL−17サブユニットを含む単離されたタンパク質であって、サブユニットはアミノ酸配列が互いに異なり、サブユニットが第1のIL−17受容体サブユニットと相互作用することができる第1の面と、相当する天然のIL−17タンパク質に比べて、第2のIL−17受容体と相互作用する低下した能力を有する第2の面とを含む二量体を形成する単離されたタンパク質。
【請求項5】
各サブユニットが、配列番号12の1〜127及び配列番号2の1〜125に相当する領域にて成熟したヒトIL−17サイトカイン(配列番号2、4、6、8、10及び12)と少なくとも90%同一である請求項4のタンパク質。
【請求項6】
少なくとも一方のサブユニットが、配列番号12の1〜127及び配列番号2の1〜125に相当する領域にて成熟したヒトIL−17サイトカイン(配列番号2、4、6、8、10及び12)に対して1〜7の間の置換又は欠失を有する請求項5のタンパク質。
【請求項7】
少なくとも一方のサブユニットが、配列番号12の1〜127及び配列番号2の1〜125に相当する領域にて成熟したヒトIL−17サイトカイン(配列番号2、4、6、8、10及び12)に対して1〜7の間の変異と、配列番号12の128〜133又は配列番号2の126〜131に相当する残基のC末端切断を有する請求項5のタンパク質。
【請求項8】
少なくとも一方のサブユニットが、成熟したヒトIL−17サイトカイン(配列番号2、4、6、8、10及び12)と同一である請求項5のタンパク質。
【請求項9】
少なくとも一方のサブユニットが、成熟したヒトIL−17サイトカイン(配列番号2、4、6、8、10及び12)に対して1〜5の間の変異を有し、他方のサブユニットが成熟したヒトIL−17サイトカイン(配列番号2、4、6、8、10及び12)に対して少なくとも4つのアミノ酸のC末端欠失と、任意で1〜5の間の変異を有する請求項5のタンパク質。
【請求項10】
各サブユニットが、他方のサブユニットと同一のヒトIL−17サイトカインと少なくとも90%同一である請求項5のタンパク質。
【請求項11】
一方のサブユニットが成熟ヒトIL−17Aと少なくとも90%同一であり、他方のサブユニットが成熟IL−17Fと少なくとも90%同一である請求項5のタンパク質。
【請求項12】
二量体の第2の面が部位1における少なくとも1つの変異を含む請求項4のタンパク質。
【請求項13】
二量体の第2の面が部位1における1〜4の間の変異を有する請求項4のタンパク質。
【請求項14】
二量体の第2の面が部位2における少なくとも1つの変異を含む請求項4のタンパク質。
【請求項15】
二量体の第2の面が部位2における1〜4の間の変異を有する請求項4のタンパク質。
【請求項16】
二量体の第2の面が部位3における少なくとも1つの置換又は欠失を含む請求項4のタンパク質。
【請求項17】
二量体の第2の面が部位3における1〜4の間の変異及び/又は少なくとも1つのアミノ酸のC末端欠失を有する請求項4のタンパク質。
【請求項18】
二量体の第2の面が、以下の部位:部位1、部位2及び部位3の少なくとも2つにて少なくとも1つの置換又は欠失を有する請求項4のタンパク質。
【請求項19】
二量体の第2の面が、以下の部位:部位1、部位2及び部位3のそれぞれにて少なくとも1つの置換又は欠失を有する請求項4のタンパク質。
【請求項20】
第1のサブユニットが、R47(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置にて置換を含む請求項4のタンパク質。
【請求項21】
R47に相当する位置での置換が非塩基性残基である請求項20のタンパク質。
【請求項22】
R47に相当する位置での置換が酸性残基又は疎水性残基である請求項21のタンパク質。
【請求項23】
第1のサブユニットがさらに、S65、V68若しくはT102(配列番号12の番号付けに従って)又はS64、W67若しくはR101(配列番号20の番号付けに従って)に相当する1以上の位置にて少なくとも第2の置換を含む請求項20のタンパク質。
【請求項24】
第2のサブユニットが、N89(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置にて置換を含む請求項4又は20のタンパク質。
【請求項25】
第2のサブユニットが、128〜133(配列番号12の番号付けに従って)に相当する1以上のC末端残基の欠失又は変異を含む請求項4又は20のタンパク質。
【請求項26】
第2のサブユニットが、128〜133(配列番号12の番号付けに従って)に相当するC末端残基について欠失する請求項4又は20のタンパク質。
【請求項27】
第1と第2のサブユニットが共有結合する請求項4のタンパク質。
【請求項28】
第1と第2のサブユニットが同一ポリペプチド鎖の構成成分である請求項27のタンパク質。
【請求項29】
IL−17A/A、IL−17F/F又はIL−17A/Fよりも100倍以下弱いIL−17RAに対する親和性を有する請求項4のタンパク質。
【請求項30】
IL−17A/A、IL−17F/F又はIL−17A/Fよりも100倍以下弱いIL−17RCに対する親和性を有する請求項4のタンパク質。
【請求項31】
第1の面が、成熟したヒトIL−17サイトカイン(配列番号2、4、6、8、10及び12)に対する変異を含有しない請求項4のタンパク質。
【請求項32】
第1のサブユニットが、MET115及びLYS115(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置にて1以上の変異を含み、及び/又は第2のサブユニットが、ILE29、ILE31、TRP58、ASN61、TYR63、PRO64、SER65、GLU66、VAL100、ARG102、HIS104、VAL109及びPHE111(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置にて1以上の変異を含む請求項4のタンパク質。
【請求項33】
第1のサブユニットが、GLN94、GLN95、GLU96、LYS115及びLEU117(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置にて1以上の変異を含み、及び/又は第2のサブユニットが、GLN36、ARG37、MET40、SER41、ASN43、GLU45、TYR54、VAL56、GLU66、VAL68及びVAL118(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置にて1以上の変異を含む請求項4のタンパク質。
【請求項34】
第1のサブユニットが、LEU75、ILE86、SER87、ASN89、VAL91、VAL125、PRO127、VAL128、ILE129、HIS130、HIS131及びVAL132(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置にて1以上の変異を含み、及び/又は第2のサブユニットが、MET40、ARG42、ILE44及びARG47(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置にて1以上の変異を含む請求項4のタンパク質。
【請求項35】
第1と第2のIL−17サブユニットを含む単離されたタンパク質であって、各サブユニットはヒトIL−17ポリペプチドと少なくとも90%同一であり、サブユニットはまとめて、そのようなヒトIL−17ポリペプチドに対して、以下の置換又は欠失:
・第1のサブユニットにおけるR47(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置における置換;
・第1のサブユニットにおけるS65(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置における置換;
・第1のサブユニットにおけるW68(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置における置換;
・第1のサブユニットにおけるR102(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置における置換;
・第2のサブユニットにおけるN89(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置における置換;
・第2のサブユニットにおけるQ95(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置における置換;及び
・第2のサブユニットにおける127〜132(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置における1以上の置換
の少なくとも2つを含む単離されたタンパク質。
【請求項36】
サブユニットがまとめて、そのようなヒトIL−17ポリペプチドに対して、以下の置換又は欠失:
・第1のサブユニットにおけるR47(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置におけるR47E、R47A又はR47Dの置換;
・第1のサブユニットにおけるS65(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置におけるS65K、S65R又はS65Wの置換;
・第1のサブユニットにおけるW68(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置におけるW68A、W68V、W68S、W68Q又はW68Nの置換;
・第1のサブユニットにおけるR102(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置におけるR102A、R102V、R102S又はR102Tの置換;
・第2のサブユニットにおけるN89(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置におけるN89A又はN89Vの置換;
・第2のサブユニットにおけるQ95(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置におけるQ95A又はQ95Wの置換;及び
・第2のサブユニットにおける128〜132(配列番号12の番号付けに従って)に相当する位置における欠失
の少なくとも2つを含む請求項35のタンパク質。
【請求項37】
(1)第1のインターロイキン−17ポリペプチドと(2)第2のインターロイキン−17ポリペプチドを含むタンパク質を含む単離されたタンパク質であって、IL−17ポリペプチドの一方又は双方がヒトIL−17サイトカインの変異形態であり、第1と第2のIL−17ポリペプチドが会合して二量体を形成する単離されたタンパク質。
【請求項38】
第1と第2のIL−17ポリペプチドがそれぞれヒトIL−17サイトカインと少なくとも95%同一である請求項37の単離されたタンパク質。
【請求項39】
第1と第2のIL−17ポリペプチドが単一ポリペプチド鎖の構成成分である請求項37の単離されたタンパク質。
【請求項40】
タンパク質がさらにFcドメイン又はアルブミン結合ドメインを含む請求項37の単離されたタンパク質。
【請求項41】
第1と第2のポリペプチドがコイル化コイルドメイン又はロイシンジッパーによって操作可能に連結される請求項37の単離されたタンパク質。
【請求項42】
第1と第2のポリペプチドがヒトIL−17サイトカインと同一の配列を含む請求項37の単離されたタンパク質。
【請求項43】
配列番号21〜46から成る群から選択される1以上の以下のポリペプチド配列、又は配列番号21〜46と少なくとも95%同一であるが、天然の成熟IL−17サイトカインとは異なる配列を含む単離されたタンパク質。
【請求項44】
請求項1〜43のいずれかに記載のタンパク質を含む医薬組成物。
【請求項45】
対象において免疫応答又は炎症性反応を調節する方法であって、対象において免疫応答又は炎症性反応を調節するのに有効な量で請求項44に記載の組成物を対象に投与することを含む方法。
【請求項46】
対象においてIL−17が介在する障害を治療する方法であって、対象において免疫応答又は炎症性反応を調節するのに有効な量で請求項44に記載の組成物を対象に投与することを含む方法。
【請求項47】
請求項1〜44のいずれかのタンパク質又はそのポリペプチド鎖をコードする1以上の配列を含む単離された核酸。
【請求項48】
請求項1〜44のいずれかのタンパク質又はそのポリペプチド鎖をコードする1以上の配列を含有する組換え核酸を含む組換え宿主細胞。
【請求項49】
組換えタンパク質を調製する方法であって、組換えタンパク質の発現を可能にする条件下で請求項48の宿主細胞を培養することと、組換えタンパク質を回収することとを含む方法。
【請求項50】
組換えタンパク質が細胞溶解物又は細胞培地から精製され、及び/又は方法が、1以上の賦形剤、安定剤及び緩衝液と共に組換えタンパク質を製剤化することを含む請求項49の方法。

【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図3G】
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【図3H】
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【図3I】
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【図3J】
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【図3K】
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【図3L】
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【図3M】
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【図4A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公表番号】特表2013−507132(P2013−507132A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533384(P2012−533384)
【出願日】平成22年10月11日(2010.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/052194
【国際公開番号】WO2011/044563
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(500429147)ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ リーランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティ (13)
【出願人】(512093963)イレブン バイオセラピューティクス,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】