説明

L−オルニチンまたはL−アルギニン生産変移株及びこれの製造方法

本発明は、コリネバクテリウムグルタミカムでオルニチンまたはアルギニン生合成と関連したアセチルグルタミン酸シンターゼ(acetylglutamate synthase)及びアセチルオルニティナーゼ(acetyl ornithinase)の活性を持つポリヌクレオチド(polynucleotide)、前記ポリヌクレオチドによって暗号化されるポリペプチド、前記ポリヌクレオチドを含む再組合ベクター、前記再調合ベクターをL-オルニチンまたはL-アルギニン生産宿主微生物に導入して形質転換させた形質転換体及び前記形質転換体を培養してL-オルニチンまたはL-アルギニンを製造する方法に関することで、本発明の形質転換体はアセチルグルタミン酸シンターゼ及びアセチルオルニティナーゼの活性が内在的活性より強化されることによって高收率でL-オルニチンまたはL-アルギニンを生産できる優れた効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、L-オルニチンまたはL-アルギニン生産変移株及びこれの製造方法に係り、より具体的にはコリネバクテリウムグルタミカム(Corynebacterium Glutamicum)でオルニチンまたはアルギニン生合成と関連したアセチルグルタミン酸シンターゼ(acetyl glutamate synthase)及びアセチルオルニティナーゼ(acetyl ornithinase)に活性を持つポリヌクレオチド(polynucleotide)、前記ポリヌクレオチドによって暗号化されるポリペプチド(polypeptide)、前記ポリヌクレオチドを含む再組合ベクター、前記再組合ベクターをL-アルギニン生産宿主微生物に導入して形質転換させた形質転換体)及び前記形質転換体を培養してL-オルニチンまたはL-アルギニンを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
L-アミノ酸は、人の医薬に使われるが、特に薬学産業、食品産業L-アミノ酸は、人の医薬に使われるが、特に薬学産業、食品産業及び動物栄養補給に使われる。特に、L-アミノ酸中L-オルニチンはアルギニン生合成過程の中間物質で肝機能を促進させる医薬成分で知られている(非特許文献1)。
【0003】
またL-アルギニンは、植物種子やニンニク中に遊離状態で含まれていて、アミノ酸類強化制にも使われて、医薬品、食品などにも広く利用される。医薬用では肝機能促進剤、脳機能促進剤、男性不妊治療剤、総合アミノ酸製剤などに使われていて、食品用ではかまぼこ添加剤、健康飲み物添加剤、高血圧患者の食塩代替用で最近脚光を浴びている物質だ。
【0004】
コリネ型細菌(coryneform bacteria)、特にコリネバクテリウムグルタミカム(coryenbacterium glutamicum)は、菌株の醗酵によってアミノ酸を生産することができる。その重要性が大きいからその製造方法は、持続的な改善が成り立っていて、例えば、撹拌及び酸素導入、または、醗酵中の糖濃度のような培養培地造成に対する方法的改善が成り立っている。
【0005】
これら微生物のアミノ酸生産性を増加させるために、微生物選別及び変移体選別法が使われる。このように、抗代謝物質に耐性や調節関連性を持つ代謝物質らに対する栄養要求性でL-アミノ酸を生産する菌株が得られる。例えば、アセチルグルタミン酸(glutamate)生産菌株のブレビバクテリウム(Brevibacterium)またはコリネバクテリウム(Corynebacterium)の中微生物から誘導された変移株を利用してオルニチンを生産する方法(特許文献1)が報告された。また、炭素源、質素源から直接L-アルギニンを生産する方法として、グルタミン酸(glutamate)生産菌株のブレビバクテリウム(Brevibacterium)またはコリネバクテリウム(Corynebacterium)の中微生物から誘導された変移株を利用する方法(特許文献2、特許文献3、特許文献4)が報告された。
【0006】
再組合体DNA技術は、コリネバクテリウムのL-アミノ酸生産菌株の固有な性質を改善するために追加で使われる方法である。例えば、アルギニンとプロリン(proline)合成をできない菌株にオルニチン生合成遺伝子のargCJBDを増幅した菌株を利用した方法がある(非特許文献2)。また、アルギニン生合成オペロン(operon)の発現を抑制する遺伝子argRを不活性化させた遺伝子再組合菌株を利用する方法(特許文献5)が報告されている。
【0007】
一方、改善された生産能増加は、また生合成遺伝子の強化によって達成される。生合成遺伝子の増加した発現によって収率が向上することができるということは知られている。例えばアルギニン生合成遺伝子のargFを過発現(over-expression)させる方法(特許文献6)が報告されている。
【0008】
また、コリネバクテリウムグルタミカム菌株でアルギニン生合成に関連したアセチルオルニチンアミノ基転移酵素の遺伝子と推定されるargD2遺伝子(Ncgl2355)または、遺伝子(Ncgl0990)を過発現させて高収率でL-アルギニンを生産できるL-アルギニンの製造方法が開始されている(特許文献7及び特許文献8)。
【0009】
このように高収率のオルニチンまたはアルギニン生産株を作るために生合成遺伝子の強化が必要で、特に生合成酵素のアセチルグルタミン酸シンターゼ(acetyl glutamate synthase)及びアセチルオルニティナーゼ(acetyl ornithinase)を強化する必要がある。
【0010】
しかしコリネバクテリウムの属微生物から現在まで報告されたことではアセチルグルタミン酸シンターゼ遺伝子が知られていないために本発明者などはアセチルグルタミン酸シンターゼの機能を遂行する遺伝子を糾明した。同時に本遺伝子がargJによって暗号化されるアセチルオルニティナーゼと類似の活性を持つのを確認した。また、本遺伝子を強化することによってオルニチンまたはアルギニンの濃度が向上するのを確認することによって本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】EP 0 393 708 A3
【特許文献2】日本公開特許昭和第57-163487号
【特許文献3】日本公開特許昭和第60-83593号
【特許文献4】日本公開特許昭和第62-265988号
【特許文献5】米国特許出願第2002/0045223A1号
【特許文献6】大韓民国特許出願第10-2004-107215号
【特許文献7】大韓民国登録特許第10-0830289号
【特許文献8】大韓民国登録特許第10-0830290号
【特許文献9】U.S pat. No. 4,489,190
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Salvatore et al.、1964
【非特許文献2】Hwang et al.、2008
【非特許文献3】Sakayan et al.、1996
【非特許文献4】menkel et al
【非特許文献5】Eikmarms et al
【非特許文献6】Sonnen et al
【非特許文献7】Serwold-Davis et al
【非特許文献8】Eikmanns et al
【非特許文献9】Amann et al
【非特許文献10】James M. Lee、Prentice-Hall International Edition s、pp138-176、1991
【非特許文献11】Schafer et al.1994
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、コリネバクテリウム属由来のアセチルグルタミン酸シンターゼまたはアセチルオルニティナーゼの活性を持つポリペプチドまたはポリヌクレオチドを新規糾明することである。
【0014】
また、本発明の他の目的は、前記遺伝子を過発現させてオルニチンまたはアルギニン生産能が向上した菌株を提供することである。
【0015】
また、本発明のまた他の目的は、前記微生物を利用してオルニチンまたはアルギニンを高濃度で生産する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記のような目的を達成するために、本発明の一態様は、コリネバクテリウムグルタミカム由来のアセチルグルタミン酸シンターゼ及びアセチルオルニティナーゼの活性を持つのを特徴とするポリペプチドを提供するのにある。
【0017】
本発明ではアセチルグルタミン酸シンターゼ及びアセチルオルニティナーゼを暗号化する遺伝子を糾明するために一般が接近可能なデータベースの"National Insititute of Health"に寄託された遺伝子番号Ncgl1469がアセチルグルタミン酸シンターゼ及びアセチルオルニティナーゼを暗号化するのを確認した。アセチルグルタミン酸を暗号化する遺伝子に対しては知られたところがなかったし、アセチルオルニティナーゼはargJによって暗号化されると報告なった(非特許文献3)。するがNcgl1469遺伝子が二種類酵素を暗号化することに対する報告は以前には知られていなかった。アミノ酸序列は、序列番号1に列挙されていて、ヌクレオチド序列は序列番号2に列挙されている。
【0018】
本発明のもう一つの態様はアセチルグルタミン酸シンターゼ及びアセチルオルニティナーゼを暗号化する遺伝子を含むベクターを提供するのにある。前記ベクターはアセチルグルタミン酸シンターゼ及びアセチルオルニティナーゼ遺伝子を含む。前記で使われることができるプラスミド(plasmid)はpZ1(非特許文献4)、pEkEx1(非特許文献5)、pHS2-1(非特許文献6)、pCG4(特許文献9)またはpNG2(非特許文献7)及びpEKO(非特許文献8)等が可能である。好ましく本発明ではpEKOを使った。より一層好ましく当該ベクターは、序列番号1のアミノ酸または序列番号2のヌクレオチドを含む。具体的に図1に示するベクターを例に挙げられる。
【0019】
本発明の他の態様は、アセチルグルタミン酸シンターゼ及びアセチルオルニティナーゼが強化された微生物または形質轉化された細胞または再組合細胞を提供するところにある。使われた菌株は、アセチルグルタミン酸シンターゼ及びアセチルオルニティナーゼの強化以前にすでにL-オルニチンまたはL-アセアルギニンを生産する菌株を使うことができる。前記形質転換体は、任意の形質転換方法により当業者が容易に製造することができる。本発明で"形質転換(transformation)"はDNAを宿主で導入してDNAが染色体の因子としてまたは染色体統合完成によって複製可能になることで外部のDNAを細胞内で導入して人為的に遺伝的な変化を起こす現象を意味する。
【0020】
一般的に形質転換方法には、CaCl2沈殿法、CaCl2方法にDMSO(dimethyl sulf oxide)という還元物質を使うことによって効率を上げたHanahan方法、電気穿孔法(electroporation)、燐酸カルシウム沈殿法、原形質融合法、シリコンカーバイド繊維を利用した撹拌法、アグロバクテリア媒介された形質転換法、PEGを利用した形質転換法、デキストラン硫酸、リポペクタミン(lipopectamine)及び乾燥/抑制媒介された形質転換方法などがある。
【0021】
具体的に本発明では、電気穿孔法を利用して前記再組合ベクターpEK-Ptrc::1469を宿主微生物に導入して形質転換体を製造したし、抗生剤耐性を利用して再組合ベクターを含む菌株を分離した。
【0022】
本発明で"内在的活性より強化"という概念は、前記で言及した酵素のアセチルグルタミン酸シンターゼ及びアセチルオルニティナーゼの細胞内活性が天然的に持つ活性に比べて向上したのを意味する。酵素の活性を高めるための方法では遺伝子複製数を高さはのであることができる。遺伝子の複製数を高めるためにはプラスミドのようなベクターを利用する方法または染色体に追加的な遺伝子を挿入する方法が使われることができる。また、遺伝子発現に肯定的な影響を与える調節因子を強化させることによって一層高めることができる。それで調節因子要素は転写水準で強化させることができるし、特に強化された転写信号に使われる。前記その他にもまた翻訳が強化されることができるし、これによって例えばmRNAの安定性も向上する。また高い活性を持つ該当酵素でコード化される遺伝子も使われることができる。また、該当する遺伝子の過発現は培地造成を変化させることによって到達することができる。また他の方法ではプロモーターを強化させることまたはもっと強いプロモーターを交替する方法であることができる。強いプロモーターで使用できるのは例えば、Tac-プロモーター(非特許文献9)を使うことができる。酵素の活性を高めるための他の方法では突然変異を介して微生物で内人的活性を高める方法が可能だ。前記種類の突然変異は例えば、UV光線または突然変異解消化学物質と同じ伝統的な方法または缺失、挿入及び/または、ヌクレオチド交換と同じ遺伝工学的方法で発生させることができる。酵素の活性を強化させるためには前記に言及した措置を全部可能に組み合わせることが可能だ。
【0023】
本発明によれば、コリネ型細菌中でコリネ属またはブレビ(brevi)属バクテリウムが使われることができて、具体的にコリネバクテリウムグルタミカム類型の適合した出発菌株は、例えば次の公知の野生型菌株たちだ。コリネバクテリウムグルタミカム(corynebacterium glutamicum)ATCC13032、コリネバクテリウムアセトグルタミカム(corynebacterium acetoglutamicum)ATCC15806、コリネバクテリウムアセトアシドフィラム(corynebacterium acetoacidophilum)ATCC13870、コリネバクテリウムサーモアミノゲナエス(corynebacterium thermoaminogenaes)FERM BP-1539、ブレビバクテリウムフラバム(Brevibacterium flavum)ATCC14067、ブレビバクテリウムラクトフェルメンタム(Brevibacterium lactofermentum)ATCC13869、ブレビバクテリウムディバリカタム(Brevibacterium divaricatum)ATCC14020そしてそれらから作られた、オルニチン生合成経路に関与するオルニチンカルバモイルトランスフェラ-ゼ欠損、アルギニンリプレッサ欠損及びグルタミン酸キナーゼが欠損された過量のL-オルニチンを生産する変移体またはアルギニン生合成に関与するアルギニンリプレッサが欠損された過量のL-アルギニンを改善された濃度で生産する変移体であることができる。
【0024】
本発明のまた他の態様で、前記記述された微生物をL-オルニチンまたはL-アルギニンの生産を目的に培養することができる。前記微生物の培養過程は当業界に知らされた適当な培地と培養条件に条件によって成り立つことができる。このような培養過程は当業者なら選択される菌株によって容易に調整して使うことができる。前記培養方法の例には、回分式培養(batch culture)、連続式培養(cintiuous culture)及び乳加式培養(fed-batch culture)が含まれるか、ここに限定されるのではない。このような多様な培養方法は、例えば、"Biochemical Engineering"(非特許文献10)等に開示されている。培養中に水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、アンモニア、燐酸及び硫酸と同じ化合物を培養物に適切な方式で添加して、培養物のpHを調整することができる。また、培養中には脂肪酸ポリグリコールエステルのような消泡剤を使って気泡生成を抑制することができる。また、培養物の好気状態(aerobic condition)を維持するために、培養物内に酸素または、酸素-含有気体(例、空気)を注入する。培養物の温度は、普通20℃ないし45℃、好ましくは25℃ないし40℃である。培養期間は好ましくはL-アルギニンメチオニンの生成量が得られる時まで続くことができるし、好ましくは10ないし160時間である。培養物からのL-オルニチンまたはL-アルギニンの分離は当業界に知らされた通常の方法によって分離することができる。このような分離方法には、遠心分離、濾過、イオン交換クロマトグラフィー及び結晶化などの方法が利用されることができる。例えば、培養物を低速遠心分離してバイオマスを除去して得られた上登液を、イオン交換クロマトグラフィーを通じて分離することができる。
【発明の効果】
【0025】
前記のように本発明は、コリネバクテリウムグルタミカムでオルニチンまたはアルギニン生合成と関連したアセチルグルタミン酸シンターゼ及びアセチルオルニティナーゼに活性を持つポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドによって暗号化されるポリペプチド、前記ポリヌクレオチドを含む再組合ベクター、前記再組合合ベクターをL-アルギニン生産宿主微生物に導入して形質転換させた形質転換体及び前記形質転換体を培養してL-オルニチンまたはL-アルギニンを製造する方法を提供する効果がある。本発明の形質転換体はアセチルグルタミン酸シンターゼ及びアセチルオルニティナーゼの活性が内在的活性より強化されることによって高収率でL-オルニチンまたはL-アルギニンを生産することができるので生物医薬産業上有用に使用できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明にともなうpEK-Ptrc::Ncgl1469ベクターの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施例によってより詳細に説明する。しかし、これら実施例は、本発明を例示的に実施するためのもので本発明の範囲がこれら実施例に限定されるのではない。
【0028】
<実施例>
実施例1:Ncgl1469クローニング
本実施例では過発現ベクターを製作するために先にtrcプロモーターをpTrc99A(非特許文献9)を柱形でして序列番号3及び4番のオリゴヌクレオチドをプライマーでしてPCRを遂行した。また、rrnBターミネーターをpTrc99Aを柱形でして序列5及び6番のオリゴヌクレオチドをプライマーでしてPCRを遂行した。重合酵素はPfuUltraTM高-信頼DNAポリメラーゼ(stratageme)であり、PCR条件は変性95℃、30秒;アニーリング55℃、30秒;及び重合反応68℃、1分を25回繰り返した。NIH GenBankを根拠としてNCgl1469遺伝子の塩基序列情報を確保して、これに基づいてプライマーを合成した(序列7及び8)。合成したプライマーを利用してコリネバクテリウムグルタミカムATCC13032菌株の遺伝子DNAを柱形にしてPCRを上と同じ方法で遂行する。PCR条件は変性95℃、30秒;アニーリング55℃、30秒;及び重合反応68℃、1分30秒を25回繰り返した。前記で得られたptrcプロモーター分画と1469ORFをXba1、NdeI/NedI及びxba1で各々制限酵素処理した後、酵素処理されたベクターと3切れ接合して再組合ベクターを得た。得られた再組合ベクターをHincIIとEcoRIでまた酵素処理して、PCRを利用して獲得したrrnBターミネーター分画をSmaI/EcoRI制限酵素で処理してプロモーター-1469ORF-ターミネーターが挿入されたpEK-Ptrc::1469再組合ベクターを獲得した。
【0029】
実施例2:Ncgl1469発現
前記実施例1でクローニングしたNcgl1469遺伝子の活性を確認するために先にコリネバクテリウムグルタミカムATCC13032菌株のargJが破砕された菌株を製作する必要がある。argJが欠損なった菌株を製作するためにpK18mobsacBインターグレーション(intergration)ベクター(非特許文献11)を利用した。ATCC13032を柱形でして各々序列番号7及び8と9及び10をプライマーでしてPCRを遂行した。PCR条件は変性95℃、30秒;アニーリング55℃、30秒;及び重合反応68℃、1分30秒を25回繰り返した。pK18mobsacBベクターをXbaIで制限酵素処理した後、得られた二つのPCR分画を各々XbaI/ApaI、ApaI/XbaIで処理して3切れ接合で再組合ベクターを製作した。
【0030】
製作された再組合ベクターをATCC13032菌株に電気パルス法で形質転換後カナマイシン(kanamicin)25mg/Lを含有した選別培地で染色体上のヌクレオチドと相同性によって挿入された菌株を選別した。1次染色体挿入された菌株を栄養培地で震盪培養(30℃、4時間)した後、各々10-4から10-10で蔗糖(sucrose)を含んでいる固体培地に塗抹した。大部分のコロニーが蔗糖によって死滅して低い割合で現れるコロニーを選別することによって、2次交差(crossover)により挿入された染色体上のベクター序列が除去された菌株を選別した。以上のように選別された菌株は、最終的に抗生剤カナマイシンに対する感受性可否の確認及び序列7と10を利用したPCRを通じて遺伝子構造確認過程を経て最終選ばれた。
【0031】
実施例3:Ncgl1469のアセチルグルタミン酸シンターゼ及びアセチルオルニティナーゼ活性測定
前記実施例2で選ばれた菌株を液体培地で培養した後、遠心分離して菌体を集めた。菌体は100mM Tris/Hcl buffer(pH7.5)に2度洗浄して準備して、グラスビードを利用した方法で細胞壁を除去した。
【0032】
既に知らされた方法により分光吸光器を利用して412nmで5-thio-2-nitroba nzonateの形成量を測定して(Errey and Blanchard、2005)アセチルグルタミン酸活性を測定した。アセチルオルニティナーゼの活性もまた従来の方法(Vogel and Mcleelan、1970)によって測定した。
【0033】
前の方法を通じてATCC13032、argJΔ菌株にpEKOベクター、pEK-Ptrc::1469を過発現させた菌株の活性を各々測定した結果は下の表1のようだ。
【0034】
【表1】

【0035】
アセチルオルニティナーゼを暗号化すると報告されたargJが欠損なった菌株を製作してNcgl1469を過発現させて、アセチルグルタミン酸及びアセチルオルニティナーゼ活性を測定した結果Ncgl1469が二つの酵素に対する活性を持つのを確認した。
【0036】
実施例4:SJ8073-pEK-Ptrc::1469菌株のオルニチン生産
Ncgl1469遺伝子が過発現した菌株のオルニチン生産能を確認するためにオルニチン生産株のSJ8074(argF-argR-proBΔ、非特許文献2)菌株を母菌株で使った。
【0037】
菌株は、0.8g/L KH2PO4、10g/L(NH4)2SO4、1g/L MgSO4・7H2O、1.2g/L Na2HPO4、2mg/L MnSO4・H2O、10mg/L ZnSO4・7H2O、10g酵母抽出物、20g/L CaCO3、60g/L葡萄糖及び10mM IPTGを入れて250mLバッフルフラスコで震盪培養した。培養液中のオルニチン濃度は下の表2と同じだ。
【0038】
【表2】

【0039】
オルニチン生産菌株のSJ8074菌株にNcgl1469を過発現させた結果 オルニチン生産量が約20%以上増加したことを確認した。
【0040】
再組合ベクターpEK-Ptrc::Ncgl1469をC. glutamicum SJ8074菌株に導入して 得た形質転換体をCorynebacterium glutamicum CA06-0020と命名して、2009年12月23日付で韓国微生物保存センター(Korean Culture center of Microorganisms、以下、"KCCM"で略称するということ)に受託番号KCCM11057Pで寄託した。
【0041】
実施例5:ATCC21831,argRΔ-pEK-Ptrc::1469菌株のアルギニン生産
TL2遺伝子が過発現した菌株のアルギニン生産能を確認するためにアルギニン生産菌株のATCC21831菌株のアルギニン抑制因子のargRを破砕した菌株を製作して母菌株で使った。
【0042】
菌株は、0.8g/L KH2PO4、10g/L(NH4)2SO4、1g/L MgSO4・7H2O、1.2g/L Na2HPO4、2mg/L MnSO4・H2O、10mg/L ZnSO4・7H2O、10g酵母抽出物、20g/L CaCO3及び60g/L葡萄糖を入れて250mL baffled flask震盪培養する。培養液中のアルギニン濃度は下の表3と同じだ。
【0043】
【表3】

【0044】
アルギニン生産菌株のATCC21831-argRΔ菌株にNcgl1469を過発現させた結果アルギニン生産量が約10%増加したことを確認した。
【0045】
再組合ベクターpEK-Ptrc::Ncgl1469をATCC21831 argRΔ菌株に導入して得た形質転換体をCorynebacterium glutamicum CA06-0021と命名して、2009年12月23日付で韓国微生物保存センター(Korean Culture center of Microorganisms、以下、"KCCM"で略称するということ)に受託番号KCCM 11058Pで寄託した。
【0046】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者は、本発明がその技術的思想や必須特徴を変更しなくて他の具体的な形態で実施される可能性があることを理解することができる。これと関連して、以上で記述した実施例及び実験例はすべての面で例示的なものであり制限的であることではないことに理解しなければならない。本発明の範囲は前述した詳細な説明よりは後述される特許請求範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導き出されるすべての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈されなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コリネバクテリウムグルタミカム(Corynebacterium Glutamicum)由来アセチルグルタミン酸シンターゼ(acetylglutamate synthase)及びアセチルオルニティナーゼ(acetyl ornithinase)の活性を持つのを特徴とするアミノ酸序列1と表示されるポリペプチド。
【請求項2】
請求項1に記載のポリペプチドを暗号化する序列番号2と表示されるポリヌクレオチド(polynucleotide)。
【請求項3】
請求項2に記載のヌクレオチドを含む図1の再組合ベクターpEK-Ptrc::Ncgl1469。
【請求項4】
請求項3に記載のベクターで形質転換されてアセチルグルタミン酸シンターゼ及びアセチルオルニティナーゼの活性が内在的活性より強化されたアミノ酸生産能を持つコリネバクテリウム属微生物。
【請求項5】
前記コリネバクテリウム属微生物がコリネバクテリウムグルタミカムのことを特徴とする請求項4に記載のコリネバクテリウム属微生物。
【請求項6】
前記アミノ酸はL-オルニチンまたはL-アルギニンであることを特徴とする請求項4に記載のコリネバクテリウム属微生物。
【請求項7】
請求項4の形質転換されたコリネバクテリウムグルタミカム属微生物を培養する段階及び前記微生物からオルニチンまたはアルギニンを回収する段階を含むL-オルニチンまたはL-アルギニンの製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−512687(P2013−512687A)
【公表日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543031(P2012−543031)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【国際出願番号】PCT/KR2010/009521
【国際公開番号】WO2011/083933
【国際公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(507421681)シージェイ チェイルジェダン コーポレーション (24)
【Fターム(参考)】