L級増幅器
増幅器内の電力損失を最小化するために、複数対の電源レールの間を動的に切り換えて最も有利なレール組合せを選択する能力を有する新規のL級増幅器。2つのL級増幅器を使用して負荷を駆動するブリッジ増幅器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電子増幅器に関し、より詳細には、複数の電源レールを有し、改善されたレール選択方法を用いて電力効率を改善する差動(ブリッジ)増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
A級増幅器やB級増幅器は非常に効率が悪い。D級増幅器は、いくぶんより高効率であるが、線形性の低下とコストの増加というトレードオフがある。D級増幅器は、入力信号がないときの電力損失である零入力損失が大きいことも問題である。D級増幅器には、一般に出力低域フィルタも必要であり、要素数及びコストが増加する。A級増幅器、AB級増幅器、D級増幅器は、一般にVCC及びVSS、又はVCC及びGNDと呼ばれる1対の電源レールを使用する。
【0003】
STマイクロエレクトロニクス社のTDA7563は、2つのAB級増幅器を使用してブリッジ負荷の終端を駆動する自動車オーディオ増幅器チップである。任意の所定時刻で、2つの増幅器のうちの1つだけがオンであり、他方はオフである。オンの増幅器が負荷の片端で全信号を駆動し、オフの増幅器は単にGNDに切り換えられる。出力信号の極性が変化すると、2つの増幅器の状態が交替する。これは、従来型のAB級構成に対して、電力損失を概算で半分に削減する。
【0004】
G級増幅器は、いくつかの用途において、A級増幅器、AB級増幅器、D級増幅器に対するたいへん優れた代替になりつつある。G級増幅器は、複数対の電源レールを使用して効率を改善する。G級増幅器は、いかなる所与の瞬間でも入力信号に適応する、最低電圧の(出力デバイスに対して)電源レールを使用して電源レール間で急速に切り換わる。デジタル・ルックアヘッド技術を用いて切換え性能を改善するものもある。G級増幅器の理論的最高効率は、電源レール数の増加とともに向上し、電源レール数が無限大に近づくと理論上100%に近づく。残念ながら、電源レール数を増加させるには、より多くの電源回路及び移行回路を付加する必要があり、これによって、システムのコスト、複雑さ、サイズが増す。結果として、G級増幅器はほんの少数の市場で採用されているにすぎない。
【0005】
いくつかの用途では、G級ダブル・ブリッジ増幅器によって負荷が駆動される。この構成では、差動式で負荷の両端子が駆動される。負荷の同相モードは、通常、最も高い供給電圧(VCC)を2で割った静止点を中心とする。
【0006】
効率改善における主要な目標は、あらゆる所与の瞬間において、あらゆる増幅器出力端子とその出力端子に電流を供給している電源レールの間の電位降下を最小化することである。これによって、増幅器の出力段におけるP=VI損失が低下する。
【0007】
図1は、負荷を駆動するG級ダブル・ブリッジ増幅器(A0及びA1)の例を示す。この例では、VCC4−0>VCC3−0>VCC2−0>VCC0−0かつVCC4−1>VCC3−1>VCC1−1>VCC0−1である。この例では、負荷は抵抗性であり、負荷に供給電圧VCC3−0とVCC1−1の間のバイアスをかける信号が存在する。例えば、4つの電源レールは、VCC0=0v、VCC1=1v、VCC3=3v、VCC4=4vでよいが、任意の他の昇順の値も代わりに用いられてよい。この例では、増幅器用の2vの同相モード・ポイントとの混乱を避けるために、VCC2という用語は用いない。電源レールに対する−0又は−1の添数は、電源レールが第1の増幅器A0向けであるか、又は第2の増幅器A1向けであることを示す。
【0008】
図1の例では、負荷の両端の電圧はVCC3−0からVCC1−1を引いたものより小さい。この例では、負荷を通って流れる電流は、電源VCC3−0とVCC1−1の間を流れる。
【0009】
図2は、従来技術による別の増幅器システムを示す。この増幅器システムは、第1の相補型対NPN0、PNP0及び第2の相補型対NPN1、PNP1を含み、1つの負荷を駆動するように各々が結合されている。
【0010】
NPN0トランジスタのコレクタは、第1のスイッチSW1を介してVCC4−0のレールに結合され、また、第1のダイオードD1を介してVCC3−0のレールに結合される。PNP0トランジスタのコレクタは、第2のスイッチSW2を介してVCC0−0のレールに結合され、また、第2のダイオードD2を介してVCC1−0のレールに結合される。NPN1トランジスタのコレクタは、第3のスイッチSW3を介してVCC4−1のレールに結合され、また、第3のダイオードD3を介してVCC3−1のレールに結合される。PNP1トランジスタのコレクタは、第4のスイッチSW4を介してVCC1−0のレールに結合され、また、第4のダイオードD4を介してVCC1−1のレールに結合される。
【0011】
第1のドライバ・ロジック(ドライバ0)は、入力信号を受け取り、入力信号を基に第1の相補型対に対してゲート信号を供給する。第2のドライバ(ドライバ1)は、入力信号を受け取り、入力信号を基に第2の相補型対に対してゲート信号を供給する。外側レールを使用しなければならないほど入力信号が十分に大きいと、ドライバは、スイッチを起動して相補型対に外側レールを結合する。ダイオードが、スイッチが起動されたときに内側レールが外側レールに短絡されるのを防ぐ。内側レールしか必要でないほど入力信号が十分に小さいとき、ドライバがスイッチを不活性化させ、内側レール(ダイオードの接合電圧降下を引いたもの)によって相補型対に電力が供給される。
【0012】
図3は、図2の一部を実施するのに使用されてよいものなど、従来技術による別の増幅器システムを示す。増幅器システムは、各々が破線のボックスによって示された増幅器出力デバイス、ドライバ、レール選択器を含む。
【0013】
出力デバイスは相補型対を含み、そのエミッタが増幅器の出力ノードを駆動する。相補型対のコレクタは、切り換えられるプラスの電源及び切り換えられるマイナスの電源にそれぞれ結合される。
【0014】
レール選択器は第1の比較器(Comp 1)を含み、これは、出力ノードでの信号を、VCC3−0の内側レールからΔV1降下を引いたものと比較して、第1のスイッチ(図2のSW1)を閉じる信号を生成する。レール選択器は第2の比較器(Comp 2)を含み、これは、出力ノードでの信号を、VCC1−0の内側レールにΔV2降下を足したものと比較して、第2のスイッチ(図2のSW2)を閉じる信号を生成する。ΔV1及びΔV2は、出力電圧がレールと抵触しないことを保証するために、出力電圧の値とVCC3のレール及びVCC1のレールとの間に、それぞれ十分なマージンを設ける。
【0015】
図4A〜図4Bは、G級ダブル・ブリッジ増幅器(増幅器0及び増幅器1)が図1のように負荷を駆動するために使用されるとき用いられる様々な電流路のより包括的な組を示す。図1に示される電流路は、この場合、図1のVCC3−0からVCC1−1への線と同一ということになる。レールが4つのG級増幅器は、示された例では、一方がVCC3からVCC1に結合され、他方がVCC4からVCC0へ結合された2つのAB級増幅器の間で切り換わっているかのように考えることができる。
【0016】
この例には、VCC4−0からVCC0−1、VCC3−0からVCC1−1、VCC4−1からVCC0−0及びVCC3−1からVCC1−0と、4つの可能な電流路がある。VCC3からVCC1への組合せは、VCC4からVCC0への組合せより電力消費が少ないが、より限定された振幅の信号にしか適応することができない。入力信号が、VCC2の同相モード・ポイントから遠くに振れないとき(具体的には、VCC3からVCC1を引いたものより負荷の両端の電圧が低いとき)、G級ブリッジ増幅器はVCC3からVCC1への組合せを用いることになる。VCC3からVCC1への組合せが十分な電圧を供給するには入力信号がVCC2から遠くに離れすぎて振れるとき、増幅器はVCC4からVCC0への組合せの使用に移行することになる。
【0017】
所望であれば、最低の電源レールはGNDでよい。あるいは、同相モード・ポイントをGNDに設定して、レールの低い方の半分はマイナスでよい。知られているように、他の設定も用いることができる。
【0018】
小信号動作の期間中、増幅器はその内側レールを使用することができ、「状態1」として図4Aに示される。プラス側増幅器(増幅器0)がレールVCC3−0及びVCC1−0を使用し、一方マイナス側増幅器(増幅器1)がレールVCC3−1及びVCC1−1を使用する。破線のボックスは、使用されるレールを示す。負荷を通る実線は、負荷を通る電流の流れを示す。プラスの入力信号が存在するとき、電流は、レールVCC3−0から負荷を通ってレールVCC1−1へ流れ、マイナスの入力信号が存在するとき、電流は、レールVCC3−1から負荷を通ってレールVCC1−0へ流れる。
【0019】
大信号動作の期間中、増幅器は、その内側レールを使用することができず、外側レールに移行する必要があり、図4Bに「状態2」及び「状態3」として示される。プラス側増幅器(増幅器0)がレールVCC4−0及びVCC0−0を使用し、一方マイナス側増幅器(増幅器1)がレールVCC4−1及びVCC0−1を使用する。プラスの入力信号が存在するとき、電流は、レールVCC4−0から負荷を通ってレールVCC0−1へ流れ、マイナスの入力信号が存在するとき、電流は、レールVCC4−1から負荷を通ってレールVCC0−0へ流れる。
【0020】
図11は、図2及び/又は図3のものなど従来技術のシステムによる実際のプラス出力信号及びマイナス出力信号への応答として求められた、プラス側の高電圧切換えレール、マイナス側の高電圧切換えレール、プラス側の低電圧切換えレール及びマイナス側の低電圧切換えレールの挙動を示す信号波形グラフである。この例では、出力信号は三角波又は「鋸歯状」波を構成する。レールの添数−0及び−1は、明瞭さのために省略されており、プラスの切換えレールが例えばVCC3と表現されると、それはVCC3−0を意味し、また、マイナスの切換えレールが、例えばVCC3と表現されると、それはVCC3−1を意味することを理解されたい。例えば時間t3とt4の間にある信号間の小さな垂直オフセットを無視されたい。それらは、説明だけのために、オーバーラップを回避することにより線をすべて見えるようにするためのものであり、回路のいかなる実際の挙動も示すようには意図されていない。
【0021】
時間t0では、プラス出力及びマイナス出力は、「ゼロ・クロス」ポイント(多くのシステムではしばしばVCC/2であり、すなわちこの例ではVCC4/2)にあり、プラス側の高電圧切換えレールはVCC3にあり、マイナス側の低電圧切換えレールはVCC1(内側レール)にある。時間t1では、プラス出力はVCC3に近づいており、このため、プラス側の高電圧切換えレールがVCC4に切り換えられ、マイナス出力はVCC1に近づいており、このため、マイナス側の低電圧切換えレールがVCC0に切り換えられる。プラス側の低電圧切換えレールはVCC1にとどまり、マイナス側の高電圧切換えレールはVCC3にとどまる。時間t2では、三角波がピークに達する。時間t3では、プラス出力はVCC3より十分下に低下しており、プラス側の高電圧切換えレールはVCC3に切り換えて戻され、マイナス出力はVCC1より十分に高く上昇しており、マイナス側の低電圧切換えレールがVCC1に切り換えて戻される。
【0022】
時間t4では、プラス出力はVCC1の十分近くまで低下しており、プラス側の低電圧切換えレールがVCC0に切り換えられ、マイナス出力はVCC3の十分近くまで上昇しており、マイナス側の高電圧切換えレールがVCC4に切り換えられる。時間t5では、三角波がピークに達する。時間t6では、プラス出力はVCC1より十分高く上昇しており、プラス側の低電圧切換えレールがVCC1に切り換えて戻され、マイナス出力はVCC3より十分低く低下しており、マイナス側の高電圧切換えレールはVCC3に切り換えて戻される。
【0023】
次いで、図示のようにサイクルが継続する。
【0024】
図11は、増幅器が、状態1、状態2又は状態3で動作している期間も識別する。状態2又は状態3のいずれかに入るか又はその状態から抜けるとき、同時に複数のレールが(この場合同時に2つが)切り換わることに留意されたい。レール切換え事象がこのように連結されるとき、レール組合せの合計数が比較的少なく、このことが、電力効率を最大限にする追求における選択肢を制限する。
【0025】
従来技術のシステムは、時間t3とt4の間及びt6とt7の間で、内側レールVCC3及びVCC1で動作できるだけである。これによって、鋸歯状波及び等しい電圧間隔に離された電源レールを用いる示された具体例では、簡単にVCC4及びVCC0でずっと動作させることに対して顕著な省電力がもたらされない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
改善されたレール選択方法を用いて効率を改善するG級タイプの増幅器が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、以下に示される本発明の実施形態の詳細な説明及び添付図面から、より十分に理解されるはずであるが、これらは、説明される特定の実施形態に本発明を限定するように解釈されるべきではなく、説明及び理解のためだけのものである。
【0028】
本発明の増幅器システムは、G級の電源レール選択技術に対して改善された技術を用いて効率をさらに改善する。これは、負荷を最適に配置するように、G級より多くのレール組合せを用いて、実時間信号自体に従って出力信号の同相モードを調整することにより行われる。負荷が差動で駆動されているので、同相モード電圧におけるこれらの動的変化が、負荷又は負荷における応答に影響を及ぼすことがない。レール間の切換えは、シンク電流対ソース電流の各電源の能力に配慮して、いかなる所与の瞬間でも入力信号当りの負荷を駆動するのに十分な最も小さいレール組合せの差動を用いる点でG級に類似したやり方で行われる。L級システムは、あたかも、様々な電流路に結合されて、出力信号の瞬時値次第でこれら電流路間を交替するいくつかのAB級増幅器を使用しているかのように考えることができる。実際上、このような移行によって生成されたいかなる信号ひずみも全体的なフィードバック・ループによって補正することができるように、この動作は、通常、2段以上の増幅器の最終段で行われる。
【0029】
示されたように、本発明によって、出力の同相モード電圧を調整して新しく選択されたレール間に負荷を配置することにより、追加の電流路を加えることが可能になる。同相モードのこの調整によって、さらに多くのレール組合せを利用できるようになり、したがって効率向上が可能になる。差動信号の同相モードを調整するための技術は周知であり、したがって、その説明は本明細書では扱わない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図5は、L級ダブル・ブリッジ増幅器(増幅器0及び増幅器1)が負荷を駆動するために使用されるとき用いられる様々な電流路を示す。図示の例には、VCC4−0からVCC3−1、VCC4−0からVCC1−1、VCC4−0からVCC0−1、VCC4−1からVCC3−0、VCC4−1からVCC1−0、VCC4−1からVCC0−0の6つの可能な電流路がある。この例では、2つの電圧信号の高い方(増幅器0向けの信号又は増幅器1向けの信号)が、常にトップレールに近いように同相モードが調整された。
【0031】
図6A〜図6Eは、L級ダブル・ブリッジ増幅器(増幅器0及び増幅器1)が負荷を駆動するために使用されるとき用いられる様々な電流路の別の組を示す。この例には、VCC4−0からVCC0−1、VCC3−0からVCC0−1、VCC1−0からVCC0−1、VCC1−1からVCC0−0、VCC3−1からVCC0−0、VCC4−1からVCC0−0の6つの可能な電流路がある。この例では、2つの電圧信号の低い方(増幅器0向けの信号又は増幅器1向けの信号)が、常にボトムレールに近いように同相モードが調整された。
【0032】
小さな入力信号動作の期間中、増幅器はその最低レールを使用することができ、「状態1」として図6Aに示される。プラス側増幅器(増幅器0)がレールVCC1−0及びVCC0−0を使用し、一方マイナス側増幅器(増幅器1)がレールVCC1−1及びVCC0−1を使用する。破線のボックスは、使用されるレールを示す。負荷を通る実線は、負荷を通る電流の流れを示す。プラスの入力信号が存在するとき、電流は、レールVCC1−0から負荷を通ってレールVCC0−1へ流れ、マイナスの入力信号が存在するとき、電流は、レールVCC1−1から負荷を通ってレールVCC0−0へ流れる。
【0033】
最低のレール組合せが不適切なとき、増幅器は、その次に高いレール対を使用することができる。また、従来技術と異なり、2つの半分の増幅器(プラス側及びマイナス側)で独立してこれを行うことができる。図6B及び図6Cは、両方の側に関して、その次に高いレール組合せを示す。プラスの入力信号が状態1のレール組合せに対して過大であるとき、プラス側の増幅器(増幅器0)は状態2に切り換わってレールVCC3−0及びVCC0−0を使用し、電流はレールVCC3−0から負荷を通ってレールVCC0−1へ流れる。マイナスの入力信号が状態1のレール組合せに対して過大であるとき、マイナス側の増幅器(増幅器1)は状態4に切り換わってレールVCC3−1及びVCC0−1を使用し、電流はレールVCC3−1から負荷を通ってレールVCC0−0へ流れる。
【0034】
図6D及び図6Eは、両方の側に関して、その次に高いレール組合せを示す。プラスの入力信号が状態2のレール組合せに対して過大であるとき、プラス側の増幅器(増幅器0)は状態3に切り換わってレールVCC4−0及びVCC0−0を使用し、電流はレールVCC4−0から負荷を通ってレールVCC0−1へ流れる。マイナスの入力信号が状態4のレール組合せに対して過大であるとき、マイナス側の増幅器(増幅器1)は状態5に切り換わってレールVCC4−1及びVCC0−1を使用し、電流はレールVCC4−1から負荷を通ってレールVCC0−0へ流れる。
【0035】
もちろん、そのような増幅器は、1つの側につき4つのレールしかないものに限定されるわけではない。3つより少ないか、あるいは4を上回る多数を有することができる。2つの側が必ずしも同数のレールを有する必要はない。2つの側のレール数、電圧の間隔及び電圧レベルは、当面の用途の必要に応じて選択することができる。有利には、これらは、予期される代表的な入力信号を増幅中の増幅器又は用法モデルにおける電力損失を最小化するように選択されるが、これは必須ではない。
【0036】
増幅器設計の当業者なら、より多くのレール又はより少ないレールを使用するように図3及び図4の設計を容易に適合させることができるであろう。
【0037】
図4、図5、図6には、合わせてブリッジ増幅器として動作する2つの増幅器が存在した。当業者なら、図5と図6における概念を、3相モータドライバのような用途での2つを上回る増幅器の使用へ拡張することができるであろう。
【0038】
図5、図6では、増幅器0と増幅器1は、1つの差動出力を生成するブリッジ増幅器又は「チャンネル」として動作する。複数のチャンネルがまとめられて、同一の電源回路から動作させられてもよい。このシナリオでは、これらのチャンネルが同時に同一ゾーンで動作しなければ有利である。例えば2チャンネルのシステムでは、一方のチャンネルが図5のモードで動作し、他方のチャンネルが図6のモードで動作するのが有利である。これは、両チャンネルが別々のゾーンにあるとき、電源のうちいくつかから必要とされる電流が、より小さいからである。
【0039】
図7はそのような場合の例を示し、3つの電圧源がある。小さな差動出力電圧の場合、チャンネル1は、VCC3−0からVCC1−1又はVCC3−1からVCC1−0の間で動作する。この期間中、チャンネル1向けの供給電流はVCC3からVCC1へ流れる。同時に、小信号の場合のチャンネル2は、VCC1−0からVCC0−1又はVCC1−1からVCC0−0の間で動作している。この期間中、チャンネル2からの供給電流はVCC1からVCC0へ流れる。VCC1からの必要な正味のシンク/ソース電流は2つのチャンネルの供給電流の大きさの間の差にすぎず、これによってVCC1からの必要な電流が低下する。これは、通常左右のチャンネルに強い相関関係があるオーディオに特に有効である。
【0040】
他の実施形態では、単に同相モードを調整するのでなく、差動出力信号が例えばプラスのとき、ブリッジの1つの端子を所与のレールへハード・スイッチしてブリッジの他の半分を全信号で駆動し、また、信号がマイナスのときはその逆を行うことが可能である。
【0041】
別の実施形態は、高周波用途に特に有効である。これらの場合では、信号周波数が高すぎて、信号がレールを通るとき、すべての実現値に対してレール対の間で切り換えることができない。したがって、高周波数信号に関して包絡線信号が識別される。レールを選択するのにこの包絡線が使用される。これらの場合には、どの電源レールを使用するか検討するとき、プラス及びマイナスの包絡線を監視すべきである。
【0042】
移行によってもたらされた歪みを低減するために、より賢明なレール間移行をするように、G級増幅器ではルックアヘッド技術が用いられることが多い。これらのルックアヘッド信号は、本来デジタル又はアナログである。そのような技術も、任意選択ではあるが、本発明の新規のL級増幅器に対して有利に用いられる。
【0043】
この増幅器システムは、オーディオ増幅器、効率的なRF増幅のための包絡線生成信号、DSL増幅器、ケーブル・モデムドライバ、モータドライバ、その他のものなど多種多様な用途で使用されてもよい。いくつかのそのような用途では、変圧器で負荷が絶縁されており、そのような場合、変圧器を平衡不平衡変成器として使用することにより、シングルエンドの出力負荷を駆動するのに本発明の増幅器システムを使用することができる。
【0044】
図8は、AB級増幅器、D級増幅器及びL級増幅器を使用する自動車ラジオ増幅器の電力損失の高度なシミュレーションの結果を示すグラフである。L級増幅器は、5つの電源レールを有するものとしてシミュレートされた(これに対して図3示されたものには電源レールが4つしかない)。電源レールに給電するのに使用されるはずのDC−DCコンバータにおける一般的な効率の悪さは、シミュレーションに含まれていた。印加された入力信号はガウス雑音信号であり、その標準偏差は、X軸上の電力を増加させる手段として各シミュレーション・ポイントで増加された。もちろんシミュレーションではすべての影響が完全にモデル化されているわけではないが、新規のL級増幅器がD級又はAB級増幅器より効率がよいことは非常に明瞭である。具体的には、小信号に対する零入力電力及び電力損失が大幅に改善(低下)されている。
【0045】
図3、図4で論じられたものなど、いくつかの実施形態では、電源レールは均一な間隔に(線形に)離され、均一な間隔に離された「ゾーン」を生成する。例えば、VCC4が3v、VCC3が2v、VCC1が1v、かつVCC0がGNDでよい。これは6つの別個の可能な構成をもたらし、図5及び図6からの6つの事例が表1に示されている。
【0046】
【表1】
【0047】
他の実施形態では、ゾーンが不均一な間隔に離される。ゾーン間隔を不均一にすると、特定の用途向けにゾーンを最適化することにより効率を改善することができる。例えば、特定のシステムは、所定の狭い振幅レンジで振動して非常にまれにしかそのレンジから出ないと知られている入力信号を増幅するのに、実質的に時間のすべてを費やすように設計されかつ使用される。そのような場合、増幅器がそのレンジの外へ出ることを要求されるまれな機会には効率が非常に悪いというトレードオフを伴って、増幅器が大部分の時間を費やす範囲内で、できるだけ優れた効率をもたらすように電源レールが選択される。不均一な間隔に離されたゾーンが有効な別のシステムには、信号の確率密度関数によって、信号が、ほとんどの期間で非常に小さく、まれに大きくなるものがある。これらの例では、多数の小さなゾーンを有して平均電力損失の無駄をなくすことができる。
【0048】
他の実施形態では、より多くのレール組合せをもたらすために、レール電圧が非線形に離される。例えば、VCC4が5v、VCC3が4v、VCC1が2v、かつVCC0がGNDでよい。これは、表2に示される10組のレール組合せをもたらす。
【0049】
【表2】
表2では、Vcmは同相モード電圧であり、そのゾーンの2つの電源レール間の半ばにあるが、複数のレール対によっていくつかのゾーンを実現することができ、したがって、複数のVcmが列挙されていてよいことに留意されたい。
【0050】
この新規の技術は、もたらされた追加のレールを利用する際にブリッジ出力信号の同相モードを急激に変化させることがこの例から理解できる。これは、VCC4〜VCC1ゾーンからVCC3〜VCC0ゾーンへの変化を要求されたときなど、表2に何度も現われた。しかし、差動信号(負荷に対して重要なのはこの信号のみ)は対象の帯域幅内の入力信号を正確に追跡し、通常このことは差動フィードバックによって実現される。
【0051】
出力同相モードにおける様々なジャンプを有する他の不均一な間隔に離されたレール組合せが可能である(同相モードのジャンプを必要としないステップもある)。表2における例は、均一な間隔に離されたゾーンの最終的な組をもたらしたが、不均一なゾーン間隔をもたらすようにゾーンを選択することは可能である。
【0052】
図9は、本発明を実施するのに使用され得るものなど、レール選択器90の一実施形態を示す。レール選択器は、増幅段(図示せず)のプラス出力及びマイナス出力をシングルエンド信号に変換して第1の中間結果信号IRes1を生成する第1の増幅器AL1を含む。第1の比較器C1は、第1の中間結果信号をVCC3−0のプラス側の高電圧の内側レール(ΔV3降下を引いたもの)と比較し、増幅器向けにVCC4−0及びVCC1−1のレールを選択する第2の中間結果信号IRes2を生成する。第2の比較器C2は、第1の中間結果信号をVCC1−0のプラスの低電圧の内側レール(ΔV4降下を引いたもの)と比較し、増幅器向けにVCC3−0及びVCC1−1のレールを選択する第3の中間結果信号IRes3を生成する。
【0053】
レール選択器は、増幅器のプラス出力及びマイナス出力をシングルエンド信号に変換して第4の中間結果信号IRes4を生成する第2の増幅器AL2を含む。第3の比較器C3は、第4の中間結果信号をVCC1−0のマイナスの低電圧の内側レール(ΔV3降下を引いたもの)と比較し、増幅器向けにVCC1−0及びVCC3−1のレールを選択する第5の中間結果信号IRes5を生成する。第4の比較器C4は、第4の中間結果信号をVCC3−0のマイナスの高電圧の内側レール(ΔV4降下を引いたもの)と比較し、増幅器向けにVCC1−0及びVCC4−1のレールを選択する第6の中間結果信号IRes6を生成する。
【0054】
NORゲートは、第2、第3、第5、第6の中間結果信号を受け取り、それらのどれも活動状態でない場合、増幅器向けにVCC1−0及びVCC1−1のレールを選択する結果信号Res7を生成する。
【0055】
図10は、本発明の一実施形態による増幅器システムを示す。このシステムは、プラス側増幅器からのプラスの出力信号及びマイナス側増幅器からのマイナスの出力信号によって電力が供給される負荷を含む。図9のレール選択器90などのレール選択器は、少なくともプラスの内側レールVCC3−0及びVCC1−0、並びにマイナスの内側レールVCC3−1及びVCC1−1を受け取り、また、プラスの外側レールVCC4−0及びVCC0−0、並びにマイナスの外側レールVCC4−1及びVCC0−1も受け取ってよい。レール選択器は、プラスの出力信号及びマイナスの出力信号も受け取る。レール選択器は、1つ又は複数のプラス側のレール選択信号及び1つ又は複数のマイナス側のレール選択信号を供給し、これらがドライバ(図示せず。あるいは増幅器に内蔵されたものとして示す)内の諸スイッチ(図示せず)を起動する。
【0056】
図12は本発明の動作を示す信号波形であり、具体的には、図9のレール選択器による三角波に応答して、プラス出力で切り換えられるレール及びマイナス出力で切り換えられるレールの挙動を示している。繰り返しになるが、オーバーラップを防いで線をすべて見えるようにするための小さな垂直オフセットを無視されたい。
【0057】
時間t0では、プラス出力が上昇しつつあり、プラス出力で切り換えられるレールはVCC1にある。時間t1では、プラス出力がVCC1に十分に接近しており、プラス出力で切り換えられるレールはVCC3に切り換えられる。時間t2では、プラス出力がVCC3に接近しており、プラス出力で切り換えられるレールはVCC4に切り換えられる。時間t3で、三角波がピークに達する。マイナス出力信号はVCC0にとどまり、マイナス出力で切り換えられるレールはVCC1にとどまる。時間t4では、プラス出力がVCC3より十分低く降下しており、プラス出力で切り換えられるレールはVCC3に切り換えて戻される。時間t5では、プラス出力がVCC1より十分低く降下しており、プラス出力で切り換えられるレールはVCC1に切り換えて戻される。
【0058】
時間t6は「ゼロ・クロス」を示し、プラス出力がVCC0になり、マイナス出力はVCC1に向かって上昇し始める。VCC4が、マイナスの増幅器側でVCC0よりマイナス側にあり、したがって、グラフ上のマイナス信号の「上昇」は、実際の差動電圧の「低下」を真に意味することに留意されたい。時間t7では、マイナス出力がVCC1に十分に近づいており、したがってマイナス出力で切り換えられるレールはVCC3に切り換えられる。時間t8では、マイナス出力がVCC3に近づいており、したがってマイナス出力で切り換えられるレールはVCC4に切り換えられる。時間t9で、三角波がピークに達する。時間t10では、マイナス出力がVCC3より十分低く降下しており、マイナス出力で切り換えられるレールはVCC3に切り換えて戻される。時間t11では、マイナス出力がVCC1より十分低く降下しており、マイナス出力で切り換えられるレールはVCC1に切り換えて戻される。時間t12では、再び「ゼロ・クロス」が生じて、図示のようにサイクルが繰り返す。
【0059】
従来技術と比べて、本発明には、選択されたレールと増幅器の諸出力端子(これらに各々が電流を供給する)の間の電圧差が最小化されるレール組合せで時間を使う大幅に改善された能力があり、従来技術によって得られた省電力に対してかなり改善された省電力をもたらす。例えば、時間t5からt7ではレールの最低の組合せが用いられる。また、時間t4からt5及び時間t7からt8では、レールの中間の組合せが用いられる。
【0060】
図6及び図12から認められるように、本発明は、従来技術に対して、プラス側増幅器とマイナス側増幅器における独立したレール選択、プラス側増幅器とマイナス側増幅器の各々における2つを上回るレール組合せ、それらの機会を別個に又は組み合わせて利用する可能性など、いくつかの異なるやり方での省電力機会を提供する。
【0061】
結論
1つの要素が別の要素と「隣接する」といわれるとき、2つの要素間に全く何もないことを意味すると解釈されるべきでなく、それらの要素は示された順序になっているだけである。
【0062】
各図において説明された様々な特徴は、多くのやり方で組み合わせられてよく、それらが説明され示された特定の実施形態に限定されるかのように解釈されるべきではない。
【0063】
この開示の利点を有する当業者は、本発明の範囲内で、前述の説明及び図から他の多くの変形形態を製作することができることを理解するはずである。実際、本発明は前述の細部に限定されない。むしろ、本発明の範囲を規定するのは、あらゆる改善を含む以下の特許請求の範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】従来技術によるG級ブリッジ増幅器及び1つの可能な電流路の一例を示す図である。
【図2】従来技術による増幅器システムの別の例を示す図である。
【図3】従来技術による増幅器システムのさらなる別の例を示す図である。
【図4】従来技術により、負荷を駆動するためにG級ダブル・ブリッジ増幅器を使用するシステムにおける、可能な電源レール接続及び電流路を示す図である。
【図5】負荷を駆動するためにL級ダブル・ブリッジ増幅器を使用するシステムにおける、1組の可能な電源レール接続及び電流路を示す図である。
【図6A】負荷を駆動するためにL級ダブル・ブリッジ増幅器を使用するシステムにおける、別の可能な電源レール組合せ及び電流路を示す図である。
【図6B】負荷を駆動するためにL級ダブル・ブリッジ増幅器を使用するシステムにおける、別の可能な電源レール組合せ及び電流路を示す図である。
【図6C】負荷を駆動するためにL級ダブル・ブリッジ増幅器を使用するシステムにおける、別の可能な電源レール組合せ及び電流路を示す図である。
【図6D】負荷を駆動するためにL級ダブル・ブリッジ増幅器を使用するシステムにおける、別の可能な電源レール組合せ及び電流路を示す図である。
【図6E】負荷を駆動するためにL級ダブル・ブリッジ増幅器を使用するシステムにおける、別の可能な電源レール組合せ及び電流路を示す図である。
【図7】負荷を駆動するためにL級ダブル・ブリッジ増幅器を使用するシステムにおける、別の1組の可能な電源レール組合せ及び電流路を示す図である。
【図8】AB級増幅器、D級増幅器及びL級増幅器における電力損失の高度なシミュレーションを示すグラフである。
【図9】本発明の一実施形態によるレール選択器を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態によって図9のレール選択器を使用する増幅器システムを示す図である。
【図11】従来技術によって生成されるものなど、信号波形の一例を示す図である。
【図12】本発明によって生成されるものなど、信号波形の別の例を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に電子増幅器に関し、より詳細には、複数の電源レールを有し、改善されたレール選択方法を用いて電力効率を改善する差動(ブリッジ)増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
A級増幅器やB級増幅器は非常に効率が悪い。D級増幅器は、いくぶんより高効率であるが、線形性の低下とコストの増加というトレードオフがある。D級増幅器は、入力信号がないときの電力損失である零入力損失が大きいことも問題である。D級増幅器には、一般に出力低域フィルタも必要であり、要素数及びコストが増加する。A級増幅器、AB級増幅器、D級増幅器は、一般にVCC及びVSS、又はVCC及びGNDと呼ばれる1対の電源レールを使用する。
【0003】
STマイクロエレクトロニクス社のTDA7563は、2つのAB級増幅器を使用してブリッジ負荷の終端を駆動する自動車オーディオ増幅器チップである。任意の所定時刻で、2つの増幅器のうちの1つだけがオンであり、他方はオフである。オンの増幅器が負荷の片端で全信号を駆動し、オフの増幅器は単にGNDに切り換えられる。出力信号の極性が変化すると、2つの増幅器の状態が交替する。これは、従来型のAB級構成に対して、電力損失を概算で半分に削減する。
【0004】
G級増幅器は、いくつかの用途において、A級増幅器、AB級増幅器、D級増幅器に対するたいへん優れた代替になりつつある。G級増幅器は、複数対の電源レールを使用して効率を改善する。G級増幅器は、いかなる所与の瞬間でも入力信号に適応する、最低電圧の(出力デバイスに対して)電源レールを使用して電源レール間で急速に切り換わる。デジタル・ルックアヘッド技術を用いて切換え性能を改善するものもある。G級増幅器の理論的最高効率は、電源レール数の増加とともに向上し、電源レール数が無限大に近づくと理論上100%に近づく。残念ながら、電源レール数を増加させるには、より多くの電源回路及び移行回路を付加する必要があり、これによって、システムのコスト、複雑さ、サイズが増す。結果として、G級増幅器はほんの少数の市場で採用されているにすぎない。
【0005】
いくつかの用途では、G級ダブル・ブリッジ増幅器によって負荷が駆動される。この構成では、差動式で負荷の両端子が駆動される。負荷の同相モードは、通常、最も高い供給電圧(VCC)を2で割った静止点を中心とする。
【0006】
効率改善における主要な目標は、あらゆる所与の瞬間において、あらゆる増幅器出力端子とその出力端子に電流を供給している電源レールの間の電位降下を最小化することである。これによって、増幅器の出力段におけるP=VI損失が低下する。
【0007】
図1は、負荷を駆動するG級ダブル・ブリッジ増幅器(A0及びA1)の例を示す。この例では、VCC4−0>VCC3−0>VCC2−0>VCC0−0かつVCC4−1>VCC3−1>VCC1−1>VCC0−1である。この例では、負荷は抵抗性であり、負荷に供給電圧VCC3−0とVCC1−1の間のバイアスをかける信号が存在する。例えば、4つの電源レールは、VCC0=0v、VCC1=1v、VCC3=3v、VCC4=4vでよいが、任意の他の昇順の値も代わりに用いられてよい。この例では、増幅器用の2vの同相モード・ポイントとの混乱を避けるために、VCC2という用語は用いない。電源レールに対する−0又は−1の添数は、電源レールが第1の増幅器A0向けであるか、又は第2の増幅器A1向けであることを示す。
【0008】
図1の例では、負荷の両端の電圧はVCC3−0からVCC1−1を引いたものより小さい。この例では、負荷を通って流れる電流は、電源VCC3−0とVCC1−1の間を流れる。
【0009】
図2は、従来技術による別の増幅器システムを示す。この増幅器システムは、第1の相補型対NPN0、PNP0及び第2の相補型対NPN1、PNP1を含み、1つの負荷を駆動するように各々が結合されている。
【0010】
NPN0トランジスタのコレクタは、第1のスイッチSW1を介してVCC4−0のレールに結合され、また、第1のダイオードD1を介してVCC3−0のレールに結合される。PNP0トランジスタのコレクタは、第2のスイッチSW2を介してVCC0−0のレールに結合され、また、第2のダイオードD2を介してVCC1−0のレールに結合される。NPN1トランジスタのコレクタは、第3のスイッチSW3を介してVCC4−1のレールに結合され、また、第3のダイオードD3を介してVCC3−1のレールに結合される。PNP1トランジスタのコレクタは、第4のスイッチSW4を介してVCC1−0のレールに結合され、また、第4のダイオードD4を介してVCC1−1のレールに結合される。
【0011】
第1のドライバ・ロジック(ドライバ0)は、入力信号を受け取り、入力信号を基に第1の相補型対に対してゲート信号を供給する。第2のドライバ(ドライバ1)は、入力信号を受け取り、入力信号を基に第2の相補型対に対してゲート信号を供給する。外側レールを使用しなければならないほど入力信号が十分に大きいと、ドライバは、スイッチを起動して相補型対に外側レールを結合する。ダイオードが、スイッチが起動されたときに内側レールが外側レールに短絡されるのを防ぐ。内側レールしか必要でないほど入力信号が十分に小さいとき、ドライバがスイッチを不活性化させ、内側レール(ダイオードの接合電圧降下を引いたもの)によって相補型対に電力が供給される。
【0012】
図3は、図2の一部を実施するのに使用されてよいものなど、従来技術による別の増幅器システムを示す。増幅器システムは、各々が破線のボックスによって示された増幅器出力デバイス、ドライバ、レール選択器を含む。
【0013】
出力デバイスは相補型対を含み、そのエミッタが増幅器の出力ノードを駆動する。相補型対のコレクタは、切り換えられるプラスの電源及び切り換えられるマイナスの電源にそれぞれ結合される。
【0014】
レール選択器は第1の比較器(Comp 1)を含み、これは、出力ノードでの信号を、VCC3−0の内側レールからΔV1降下を引いたものと比較して、第1のスイッチ(図2のSW1)を閉じる信号を生成する。レール選択器は第2の比較器(Comp 2)を含み、これは、出力ノードでの信号を、VCC1−0の内側レールにΔV2降下を足したものと比較して、第2のスイッチ(図2のSW2)を閉じる信号を生成する。ΔV1及びΔV2は、出力電圧がレールと抵触しないことを保証するために、出力電圧の値とVCC3のレール及びVCC1のレールとの間に、それぞれ十分なマージンを設ける。
【0015】
図4A〜図4Bは、G級ダブル・ブリッジ増幅器(増幅器0及び増幅器1)が図1のように負荷を駆動するために使用されるとき用いられる様々な電流路のより包括的な組を示す。図1に示される電流路は、この場合、図1のVCC3−0からVCC1−1への線と同一ということになる。レールが4つのG級増幅器は、示された例では、一方がVCC3からVCC1に結合され、他方がVCC4からVCC0へ結合された2つのAB級増幅器の間で切り換わっているかのように考えることができる。
【0016】
この例には、VCC4−0からVCC0−1、VCC3−0からVCC1−1、VCC4−1からVCC0−0及びVCC3−1からVCC1−0と、4つの可能な電流路がある。VCC3からVCC1への組合せは、VCC4からVCC0への組合せより電力消費が少ないが、より限定された振幅の信号にしか適応することができない。入力信号が、VCC2の同相モード・ポイントから遠くに振れないとき(具体的には、VCC3からVCC1を引いたものより負荷の両端の電圧が低いとき)、G級ブリッジ増幅器はVCC3からVCC1への組合せを用いることになる。VCC3からVCC1への組合せが十分な電圧を供給するには入力信号がVCC2から遠くに離れすぎて振れるとき、増幅器はVCC4からVCC0への組合せの使用に移行することになる。
【0017】
所望であれば、最低の電源レールはGNDでよい。あるいは、同相モード・ポイントをGNDに設定して、レールの低い方の半分はマイナスでよい。知られているように、他の設定も用いることができる。
【0018】
小信号動作の期間中、増幅器はその内側レールを使用することができ、「状態1」として図4Aに示される。プラス側増幅器(増幅器0)がレールVCC3−0及びVCC1−0を使用し、一方マイナス側増幅器(増幅器1)がレールVCC3−1及びVCC1−1を使用する。破線のボックスは、使用されるレールを示す。負荷を通る実線は、負荷を通る電流の流れを示す。プラスの入力信号が存在するとき、電流は、レールVCC3−0から負荷を通ってレールVCC1−1へ流れ、マイナスの入力信号が存在するとき、電流は、レールVCC3−1から負荷を通ってレールVCC1−0へ流れる。
【0019】
大信号動作の期間中、増幅器は、その内側レールを使用することができず、外側レールに移行する必要があり、図4Bに「状態2」及び「状態3」として示される。プラス側増幅器(増幅器0)がレールVCC4−0及びVCC0−0を使用し、一方マイナス側増幅器(増幅器1)がレールVCC4−1及びVCC0−1を使用する。プラスの入力信号が存在するとき、電流は、レールVCC4−0から負荷を通ってレールVCC0−1へ流れ、マイナスの入力信号が存在するとき、電流は、レールVCC4−1から負荷を通ってレールVCC0−0へ流れる。
【0020】
図11は、図2及び/又は図3のものなど従来技術のシステムによる実際のプラス出力信号及びマイナス出力信号への応答として求められた、プラス側の高電圧切換えレール、マイナス側の高電圧切換えレール、プラス側の低電圧切換えレール及びマイナス側の低電圧切換えレールの挙動を示す信号波形グラフである。この例では、出力信号は三角波又は「鋸歯状」波を構成する。レールの添数−0及び−1は、明瞭さのために省略されており、プラスの切換えレールが例えばVCC3と表現されると、それはVCC3−0を意味し、また、マイナスの切換えレールが、例えばVCC3と表現されると、それはVCC3−1を意味することを理解されたい。例えば時間t3とt4の間にある信号間の小さな垂直オフセットを無視されたい。それらは、説明だけのために、オーバーラップを回避することにより線をすべて見えるようにするためのものであり、回路のいかなる実際の挙動も示すようには意図されていない。
【0021】
時間t0では、プラス出力及びマイナス出力は、「ゼロ・クロス」ポイント(多くのシステムではしばしばVCC/2であり、すなわちこの例ではVCC4/2)にあり、プラス側の高電圧切換えレールはVCC3にあり、マイナス側の低電圧切換えレールはVCC1(内側レール)にある。時間t1では、プラス出力はVCC3に近づいており、このため、プラス側の高電圧切換えレールがVCC4に切り換えられ、マイナス出力はVCC1に近づいており、このため、マイナス側の低電圧切換えレールがVCC0に切り換えられる。プラス側の低電圧切換えレールはVCC1にとどまり、マイナス側の高電圧切換えレールはVCC3にとどまる。時間t2では、三角波がピークに達する。時間t3では、プラス出力はVCC3より十分下に低下しており、プラス側の高電圧切換えレールはVCC3に切り換えて戻され、マイナス出力はVCC1より十分に高く上昇しており、マイナス側の低電圧切換えレールがVCC1に切り換えて戻される。
【0022】
時間t4では、プラス出力はVCC1の十分近くまで低下しており、プラス側の低電圧切換えレールがVCC0に切り換えられ、マイナス出力はVCC3の十分近くまで上昇しており、マイナス側の高電圧切換えレールがVCC4に切り換えられる。時間t5では、三角波がピークに達する。時間t6では、プラス出力はVCC1より十分高く上昇しており、プラス側の低電圧切換えレールがVCC1に切り換えて戻され、マイナス出力はVCC3より十分低く低下しており、マイナス側の高電圧切換えレールはVCC3に切り換えて戻される。
【0023】
次いで、図示のようにサイクルが継続する。
【0024】
図11は、増幅器が、状態1、状態2又は状態3で動作している期間も識別する。状態2又は状態3のいずれかに入るか又はその状態から抜けるとき、同時に複数のレールが(この場合同時に2つが)切り換わることに留意されたい。レール切換え事象がこのように連結されるとき、レール組合せの合計数が比較的少なく、このことが、電力効率を最大限にする追求における選択肢を制限する。
【0025】
従来技術のシステムは、時間t3とt4の間及びt6とt7の間で、内側レールVCC3及びVCC1で動作できるだけである。これによって、鋸歯状波及び等しい電圧間隔に離された電源レールを用いる示された具体例では、簡単にVCC4及びVCC0でずっと動作させることに対して顕著な省電力がもたらされない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
改善されたレール選択方法を用いて効率を改善するG級タイプの増幅器が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0027】
本発明は、以下に示される本発明の実施形態の詳細な説明及び添付図面から、より十分に理解されるはずであるが、これらは、説明される特定の実施形態に本発明を限定するように解釈されるべきではなく、説明及び理解のためだけのものである。
【0028】
本発明の増幅器システムは、G級の電源レール選択技術に対して改善された技術を用いて効率をさらに改善する。これは、負荷を最適に配置するように、G級より多くのレール組合せを用いて、実時間信号自体に従って出力信号の同相モードを調整することにより行われる。負荷が差動で駆動されているので、同相モード電圧におけるこれらの動的変化が、負荷又は負荷における応答に影響を及ぼすことがない。レール間の切換えは、シンク電流対ソース電流の各電源の能力に配慮して、いかなる所与の瞬間でも入力信号当りの負荷を駆動するのに十分な最も小さいレール組合せの差動を用いる点でG級に類似したやり方で行われる。L級システムは、あたかも、様々な電流路に結合されて、出力信号の瞬時値次第でこれら電流路間を交替するいくつかのAB級増幅器を使用しているかのように考えることができる。実際上、このような移行によって生成されたいかなる信号ひずみも全体的なフィードバック・ループによって補正することができるように、この動作は、通常、2段以上の増幅器の最終段で行われる。
【0029】
示されたように、本発明によって、出力の同相モード電圧を調整して新しく選択されたレール間に負荷を配置することにより、追加の電流路を加えることが可能になる。同相モードのこの調整によって、さらに多くのレール組合せを利用できるようになり、したがって効率向上が可能になる。差動信号の同相モードを調整するための技術は周知であり、したがって、その説明は本明細書では扱わない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図5は、L級ダブル・ブリッジ増幅器(増幅器0及び増幅器1)が負荷を駆動するために使用されるとき用いられる様々な電流路を示す。図示の例には、VCC4−0からVCC3−1、VCC4−0からVCC1−1、VCC4−0からVCC0−1、VCC4−1からVCC3−0、VCC4−1からVCC1−0、VCC4−1からVCC0−0の6つの可能な電流路がある。この例では、2つの電圧信号の高い方(増幅器0向けの信号又は増幅器1向けの信号)が、常にトップレールに近いように同相モードが調整された。
【0031】
図6A〜図6Eは、L級ダブル・ブリッジ増幅器(増幅器0及び増幅器1)が負荷を駆動するために使用されるとき用いられる様々な電流路の別の組を示す。この例には、VCC4−0からVCC0−1、VCC3−0からVCC0−1、VCC1−0からVCC0−1、VCC1−1からVCC0−0、VCC3−1からVCC0−0、VCC4−1からVCC0−0の6つの可能な電流路がある。この例では、2つの電圧信号の低い方(増幅器0向けの信号又は増幅器1向けの信号)が、常にボトムレールに近いように同相モードが調整された。
【0032】
小さな入力信号動作の期間中、増幅器はその最低レールを使用することができ、「状態1」として図6Aに示される。プラス側増幅器(増幅器0)がレールVCC1−0及びVCC0−0を使用し、一方マイナス側増幅器(増幅器1)がレールVCC1−1及びVCC0−1を使用する。破線のボックスは、使用されるレールを示す。負荷を通る実線は、負荷を通る電流の流れを示す。プラスの入力信号が存在するとき、電流は、レールVCC1−0から負荷を通ってレールVCC0−1へ流れ、マイナスの入力信号が存在するとき、電流は、レールVCC1−1から負荷を通ってレールVCC0−0へ流れる。
【0033】
最低のレール組合せが不適切なとき、増幅器は、その次に高いレール対を使用することができる。また、従来技術と異なり、2つの半分の増幅器(プラス側及びマイナス側)で独立してこれを行うことができる。図6B及び図6Cは、両方の側に関して、その次に高いレール組合せを示す。プラスの入力信号が状態1のレール組合せに対して過大であるとき、プラス側の増幅器(増幅器0)は状態2に切り換わってレールVCC3−0及びVCC0−0を使用し、電流はレールVCC3−0から負荷を通ってレールVCC0−1へ流れる。マイナスの入力信号が状態1のレール組合せに対して過大であるとき、マイナス側の増幅器(増幅器1)は状態4に切り換わってレールVCC3−1及びVCC0−1を使用し、電流はレールVCC3−1から負荷を通ってレールVCC0−0へ流れる。
【0034】
図6D及び図6Eは、両方の側に関して、その次に高いレール組合せを示す。プラスの入力信号が状態2のレール組合せに対して過大であるとき、プラス側の増幅器(増幅器0)は状態3に切り換わってレールVCC4−0及びVCC0−0を使用し、電流はレールVCC4−0から負荷を通ってレールVCC0−1へ流れる。マイナスの入力信号が状態4のレール組合せに対して過大であるとき、マイナス側の増幅器(増幅器1)は状態5に切り換わってレールVCC4−1及びVCC0−1を使用し、電流はレールVCC4−1から負荷を通ってレールVCC0−0へ流れる。
【0035】
もちろん、そのような増幅器は、1つの側につき4つのレールしかないものに限定されるわけではない。3つより少ないか、あるいは4を上回る多数を有することができる。2つの側が必ずしも同数のレールを有する必要はない。2つの側のレール数、電圧の間隔及び電圧レベルは、当面の用途の必要に応じて選択することができる。有利には、これらは、予期される代表的な入力信号を増幅中の増幅器又は用法モデルにおける電力損失を最小化するように選択されるが、これは必須ではない。
【0036】
増幅器設計の当業者なら、より多くのレール又はより少ないレールを使用するように図3及び図4の設計を容易に適合させることができるであろう。
【0037】
図4、図5、図6には、合わせてブリッジ増幅器として動作する2つの増幅器が存在した。当業者なら、図5と図6における概念を、3相モータドライバのような用途での2つを上回る増幅器の使用へ拡張することができるであろう。
【0038】
図5、図6では、増幅器0と増幅器1は、1つの差動出力を生成するブリッジ増幅器又は「チャンネル」として動作する。複数のチャンネルがまとめられて、同一の電源回路から動作させられてもよい。このシナリオでは、これらのチャンネルが同時に同一ゾーンで動作しなければ有利である。例えば2チャンネルのシステムでは、一方のチャンネルが図5のモードで動作し、他方のチャンネルが図6のモードで動作するのが有利である。これは、両チャンネルが別々のゾーンにあるとき、電源のうちいくつかから必要とされる電流が、より小さいからである。
【0039】
図7はそのような場合の例を示し、3つの電圧源がある。小さな差動出力電圧の場合、チャンネル1は、VCC3−0からVCC1−1又はVCC3−1からVCC1−0の間で動作する。この期間中、チャンネル1向けの供給電流はVCC3からVCC1へ流れる。同時に、小信号の場合のチャンネル2は、VCC1−0からVCC0−1又はVCC1−1からVCC0−0の間で動作している。この期間中、チャンネル2からの供給電流はVCC1からVCC0へ流れる。VCC1からの必要な正味のシンク/ソース電流は2つのチャンネルの供給電流の大きさの間の差にすぎず、これによってVCC1からの必要な電流が低下する。これは、通常左右のチャンネルに強い相関関係があるオーディオに特に有効である。
【0040】
他の実施形態では、単に同相モードを調整するのでなく、差動出力信号が例えばプラスのとき、ブリッジの1つの端子を所与のレールへハード・スイッチしてブリッジの他の半分を全信号で駆動し、また、信号がマイナスのときはその逆を行うことが可能である。
【0041】
別の実施形態は、高周波用途に特に有効である。これらの場合では、信号周波数が高すぎて、信号がレールを通るとき、すべての実現値に対してレール対の間で切り換えることができない。したがって、高周波数信号に関して包絡線信号が識別される。レールを選択するのにこの包絡線が使用される。これらの場合には、どの電源レールを使用するか検討するとき、プラス及びマイナスの包絡線を監視すべきである。
【0042】
移行によってもたらされた歪みを低減するために、より賢明なレール間移行をするように、G級増幅器ではルックアヘッド技術が用いられることが多い。これらのルックアヘッド信号は、本来デジタル又はアナログである。そのような技術も、任意選択ではあるが、本発明の新規のL級増幅器に対して有利に用いられる。
【0043】
この増幅器システムは、オーディオ増幅器、効率的なRF増幅のための包絡線生成信号、DSL増幅器、ケーブル・モデムドライバ、モータドライバ、その他のものなど多種多様な用途で使用されてもよい。いくつかのそのような用途では、変圧器で負荷が絶縁されており、そのような場合、変圧器を平衡不平衡変成器として使用することにより、シングルエンドの出力負荷を駆動するのに本発明の増幅器システムを使用することができる。
【0044】
図8は、AB級増幅器、D級増幅器及びL級増幅器を使用する自動車ラジオ増幅器の電力損失の高度なシミュレーションの結果を示すグラフである。L級増幅器は、5つの電源レールを有するものとしてシミュレートされた(これに対して図3示されたものには電源レールが4つしかない)。電源レールに給電するのに使用されるはずのDC−DCコンバータにおける一般的な効率の悪さは、シミュレーションに含まれていた。印加された入力信号はガウス雑音信号であり、その標準偏差は、X軸上の電力を増加させる手段として各シミュレーション・ポイントで増加された。もちろんシミュレーションではすべての影響が完全にモデル化されているわけではないが、新規のL級増幅器がD級又はAB級増幅器より効率がよいことは非常に明瞭である。具体的には、小信号に対する零入力電力及び電力損失が大幅に改善(低下)されている。
【0045】
図3、図4で論じられたものなど、いくつかの実施形態では、電源レールは均一な間隔に(線形に)離され、均一な間隔に離された「ゾーン」を生成する。例えば、VCC4が3v、VCC3が2v、VCC1が1v、かつVCC0がGNDでよい。これは6つの別個の可能な構成をもたらし、図5及び図6からの6つの事例が表1に示されている。
【0046】
【表1】
【0047】
他の実施形態では、ゾーンが不均一な間隔に離される。ゾーン間隔を不均一にすると、特定の用途向けにゾーンを最適化することにより効率を改善することができる。例えば、特定のシステムは、所定の狭い振幅レンジで振動して非常にまれにしかそのレンジから出ないと知られている入力信号を増幅するのに、実質的に時間のすべてを費やすように設計されかつ使用される。そのような場合、増幅器がそのレンジの外へ出ることを要求されるまれな機会には効率が非常に悪いというトレードオフを伴って、増幅器が大部分の時間を費やす範囲内で、できるだけ優れた効率をもたらすように電源レールが選択される。不均一な間隔に離されたゾーンが有効な別のシステムには、信号の確率密度関数によって、信号が、ほとんどの期間で非常に小さく、まれに大きくなるものがある。これらの例では、多数の小さなゾーンを有して平均電力損失の無駄をなくすことができる。
【0048】
他の実施形態では、より多くのレール組合せをもたらすために、レール電圧が非線形に離される。例えば、VCC4が5v、VCC3が4v、VCC1が2v、かつVCC0がGNDでよい。これは、表2に示される10組のレール組合せをもたらす。
【0049】
【表2】
表2では、Vcmは同相モード電圧であり、そのゾーンの2つの電源レール間の半ばにあるが、複数のレール対によっていくつかのゾーンを実現することができ、したがって、複数のVcmが列挙されていてよいことに留意されたい。
【0050】
この新規の技術は、もたらされた追加のレールを利用する際にブリッジ出力信号の同相モードを急激に変化させることがこの例から理解できる。これは、VCC4〜VCC1ゾーンからVCC3〜VCC0ゾーンへの変化を要求されたときなど、表2に何度も現われた。しかし、差動信号(負荷に対して重要なのはこの信号のみ)は対象の帯域幅内の入力信号を正確に追跡し、通常このことは差動フィードバックによって実現される。
【0051】
出力同相モードにおける様々なジャンプを有する他の不均一な間隔に離されたレール組合せが可能である(同相モードのジャンプを必要としないステップもある)。表2における例は、均一な間隔に離されたゾーンの最終的な組をもたらしたが、不均一なゾーン間隔をもたらすようにゾーンを選択することは可能である。
【0052】
図9は、本発明を実施するのに使用され得るものなど、レール選択器90の一実施形態を示す。レール選択器は、増幅段(図示せず)のプラス出力及びマイナス出力をシングルエンド信号に変換して第1の中間結果信号IRes1を生成する第1の増幅器AL1を含む。第1の比較器C1は、第1の中間結果信号をVCC3−0のプラス側の高電圧の内側レール(ΔV3降下を引いたもの)と比較し、増幅器向けにVCC4−0及びVCC1−1のレールを選択する第2の中間結果信号IRes2を生成する。第2の比較器C2は、第1の中間結果信号をVCC1−0のプラスの低電圧の内側レール(ΔV4降下を引いたもの)と比較し、増幅器向けにVCC3−0及びVCC1−1のレールを選択する第3の中間結果信号IRes3を生成する。
【0053】
レール選択器は、増幅器のプラス出力及びマイナス出力をシングルエンド信号に変換して第4の中間結果信号IRes4を生成する第2の増幅器AL2を含む。第3の比較器C3は、第4の中間結果信号をVCC1−0のマイナスの低電圧の内側レール(ΔV3降下を引いたもの)と比較し、増幅器向けにVCC1−0及びVCC3−1のレールを選択する第5の中間結果信号IRes5を生成する。第4の比較器C4は、第4の中間結果信号をVCC3−0のマイナスの高電圧の内側レール(ΔV4降下を引いたもの)と比較し、増幅器向けにVCC1−0及びVCC4−1のレールを選択する第6の中間結果信号IRes6を生成する。
【0054】
NORゲートは、第2、第3、第5、第6の中間結果信号を受け取り、それらのどれも活動状態でない場合、増幅器向けにVCC1−0及びVCC1−1のレールを選択する結果信号Res7を生成する。
【0055】
図10は、本発明の一実施形態による増幅器システムを示す。このシステムは、プラス側増幅器からのプラスの出力信号及びマイナス側増幅器からのマイナスの出力信号によって電力が供給される負荷を含む。図9のレール選択器90などのレール選択器は、少なくともプラスの内側レールVCC3−0及びVCC1−0、並びにマイナスの内側レールVCC3−1及びVCC1−1を受け取り、また、プラスの外側レールVCC4−0及びVCC0−0、並びにマイナスの外側レールVCC4−1及びVCC0−1も受け取ってよい。レール選択器は、プラスの出力信号及びマイナスの出力信号も受け取る。レール選択器は、1つ又は複数のプラス側のレール選択信号及び1つ又は複数のマイナス側のレール選択信号を供給し、これらがドライバ(図示せず。あるいは増幅器に内蔵されたものとして示す)内の諸スイッチ(図示せず)を起動する。
【0056】
図12は本発明の動作を示す信号波形であり、具体的には、図9のレール選択器による三角波に応答して、プラス出力で切り換えられるレール及びマイナス出力で切り換えられるレールの挙動を示している。繰り返しになるが、オーバーラップを防いで線をすべて見えるようにするための小さな垂直オフセットを無視されたい。
【0057】
時間t0では、プラス出力が上昇しつつあり、プラス出力で切り換えられるレールはVCC1にある。時間t1では、プラス出力がVCC1に十分に接近しており、プラス出力で切り換えられるレールはVCC3に切り換えられる。時間t2では、プラス出力がVCC3に接近しており、プラス出力で切り換えられるレールはVCC4に切り換えられる。時間t3で、三角波がピークに達する。マイナス出力信号はVCC0にとどまり、マイナス出力で切り換えられるレールはVCC1にとどまる。時間t4では、プラス出力がVCC3より十分低く降下しており、プラス出力で切り換えられるレールはVCC3に切り換えて戻される。時間t5では、プラス出力がVCC1より十分低く降下しており、プラス出力で切り換えられるレールはVCC1に切り換えて戻される。
【0058】
時間t6は「ゼロ・クロス」を示し、プラス出力がVCC0になり、マイナス出力はVCC1に向かって上昇し始める。VCC4が、マイナスの増幅器側でVCC0よりマイナス側にあり、したがって、グラフ上のマイナス信号の「上昇」は、実際の差動電圧の「低下」を真に意味することに留意されたい。時間t7では、マイナス出力がVCC1に十分に近づいており、したがってマイナス出力で切り換えられるレールはVCC3に切り換えられる。時間t8では、マイナス出力がVCC3に近づいており、したがってマイナス出力で切り換えられるレールはVCC4に切り換えられる。時間t9で、三角波がピークに達する。時間t10では、マイナス出力がVCC3より十分低く降下しており、マイナス出力で切り換えられるレールはVCC3に切り換えて戻される。時間t11では、マイナス出力がVCC1より十分低く降下しており、マイナス出力で切り換えられるレールはVCC1に切り換えて戻される。時間t12では、再び「ゼロ・クロス」が生じて、図示のようにサイクルが繰り返す。
【0059】
従来技術と比べて、本発明には、選択されたレールと増幅器の諸出力端子(これらに各々が電流を供給する)の間の電圧差が最小化されるレール組合せで時間を使う大幅に改善された能力があり、従来技術によって得られた省電力に対してかなり改善された省電力をもたらす。例えば、時間t5からt7ではレールの最低の組合せが用いられる。また、時間t4からt5及び時間t7からt8では、レールの中間の組合せが用いられる。
【0060】
図6及び図12から認められるように、本発明は、従来技術に対して、プラス側増幅器とマイナス側増幅器における独立したレール選択、プラス側増幅器とマイナス側増幅器の各々における2つを上回るレール組合せ、それらの機会を別個に又は組み合わせて利用する可能性など、いくつかの異なるやり方での省電力機会を提供する。
【0061】
結論
1つの要素が別の要素と「隣接する」といわれるとき、2つの要素間に全く何もないことを意味すると解釈されるべきでなく、それらの要素は示された順序になっているだけである。
【0062】
各図において説明された様々な特徴は、多くのやり方で組み合わせられてよく、それらが説明され示された特定の実施形態に限定されるかのように解釈されるべきではない。
【0063】
この開示の利点を有する当業者は、本発明の範囲内で、前述の説明及び図から他の多くの変形形態を製作することができることを理解するはずである。実際、本発明は前述の細部に限定されない。むしろ、本発明の範囲を規定するのは、あらゆる改善を含む以下の特許請求の範囲である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】従来技術によるG級ブリッジ増幅器及び1つの可能な電流路の一例を示す図である。
【図2】従来技術による増幅器システムの別の例を示す図である。
【図3】従来技術による増幅器システムのさらなる別の例を示す図である。
【図4】従来技術により、負荷を駆動するためにG級ダブル・ブリッジ増幅器を使用するシステムにおける、可能な電源レール接続及び電流路を示す図である。
【図5】負荷を駆動するためにL級ダブル・ブリッジ増幅器を使用するシステムにおける、1組の可能な電源レール接続及び電流路を示す図である。
【図6A】負荷を駆動するためにL級ダブル・ブリッジ増幅器を使用するシステムにおける、別の可能な電源レール組合せ及び電流路を示す図である。
【図6B】負荷を駆動するためにL級ダブル・ブリッジ増幅器を使用するシステムにおける、別の可能な電源レール組合せ及び電流路を示す図である。
【図6C】負荷を駆動するためにL級ダブル・ブリッジ増幅器を使用するシステムにおける、別の可能な電源レール組合せ及び電流路を示す図である。
【図6D】負荷を駆動するためにL級ダブル・ブリッジ増幅器を使用するシステムにおける、別の可能な電源レール組合せ及び電流路を示す図である。
【図6E】負荷を駆動するためにL級ダブル・ブリッジ増幅器を使用するシステムにおける、別の可能な電源レール組合せ及び電流路を示す図である。
【図7】負荷を駆動するためにL級ダブル・ブリッジ増幅器を使用するシステムにおける、別の1組の可能な電源レール組合せ及び電流路を示す図である。
【図8】AB級増幅器、D級増幅器及びL級増幅器における電力損失の高度なシミュレーションを示すグラフである。
【図9】本発明の一実施形態によるレール選択器を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態によって図9のレール選択器を使用する増幅器システムを示す図である。
【図11】従来技術によって生成されるものなど、信号波形の一例を示す図である。
【図12】本発明によって生成されるものなど、信号波形の別の例を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を受け取り、かつ第1の出力信号を供給するように結合された第1の増幅器デバイスと、
前記出力信号が第1のしきい値より低くなるのに応答して、第1の電源レール及び第2の電源レールに前記第1の増幅器デバイスを結合し、前記入力信号が前記第1のしきい値より高くなること及び第2のしきい値より低くなることに応答して、第3の電源レール及び前記第1の電源レールに前記第1の増幅器デバイスを結合し、かつ、前記入力信号が前記第2のしきい値より高くなることに応答して、第4の電源レール及び前記第1の電源レールに前記第1の増幅器デバイスを結合するための、前記第1の増幅器デバイスに結合された第1のレール選択器とを備える増幅器システム。
【請求項2】
入力信号を受け取り、かつ第2の出力信号を供給するように結合された第2の増幅器デバイスと、
前記出力信号が第3のしきい値より低くなるのに応答して、第5の電源レール及び第6の電源レールに前記第2の増幅器デバイスを結合し、前記入力信号が前記第3のしきい値より高くなること及び第4のしきい値より低くなることに応答して、第7の電源レール及び前記第5の電源レールに前記第2の増幅器デバイスを結合し、かつ、前記入力信号が前記第4のしきい値より高くなることに応答して、第8の電源レール及び前記第5の電源レールに前記第2の増幅器デバイスを結合するための、前記第2の増幅器デバイスに結合された第2のレール選択器とをさらに備える請求項1に記載の増幅器システム。
【請求項3】
前記第1の入力信号がプラスの入力信号を成し、
前記第1の増幅器デバイスがプラスの増幅器デバイスを成し、
前記第2の入力信号がマイナスの入力信号を成し、かつ、
前記第2の増幅器デバイスがマイナスの増幅器デバイスを成す請求項2に記載の増幅器システム。
【請求項4】
前記第1、第2、第3、第4の電源レールが実質的に均一な間隔に離されたプラス電圧を成し、
前記第5、第6、第7、第8の電源レールが実質的に均一な間隔に離されたマイナス電圧を成す請求項3に記載の増幅器システム。
【請求項5】
前記第1のレール選択器が、M個の可能なレール組合せに前記第1の増幅器デバイスを結合するように適合され、
前記第2のレール選択器が、N個の可能なレール組合せに前記第2の増幅器デバイスを結合するように適合され、
M及びNが正の整数であり、かつN> である請求項2に記載の増幅器システム。
【請求項6】
前記第1のレール選択器が、前記第1及び第2の出力信号を受け取り、それに応答して第1の中間結果信号を生成するように結合された第3の増幅器デバイスと、
前記第1の中間結果信号を受け取るように前記第3の電源レールに結合され、その信号に応答して第2の中間結果信号を生成する第1の比較器と、
前記第1の中間結果信号を受け取るように前記第2の電源レールに結合され、その信号に応答して第3の中間結果信号を生成する第2の比較器と、
前記第1及び第2の出力信号を受け取り、それに応答して第4の中間結果信号を生成するように結合された第4の増幅器デバイスと、
前記第4の中間結果信号を受け取るように前記第6の電源レールに結合され、その信号に応答して第5の中間結果信号を生成する第3の比較器と、
前記第4の中間結果信号を受け取るように前記第7の電源レールに結合され、その信号に応答して第6の中間結果信号を生成する第4の比較器と、
前記第2、第3、第5、及び第6の中間結果信号を受け取り、それに応答して第7の結果信号を生成するように結合されるNORデバイスとを備え、
前記第2の中間結果信号が、前記第1の増幅器デバイス向けに前記第4及び第1の電源レールを選択し、かつ前記第2の増幅器デバイス向けに前記第6及び第5の電源レールを選択し、
前記第3の中間結果信号が、前記第1の増幅器デバイス向けに前記第3及び第1の電源レールを選択し、かつ前記第2の増幅器デバイス向けに前記第6及び第5の電源レールを選択し、
前記第5の中間結果信号が、前記第1の増幅器デバイス向けに前記第2及び第1の電源レールを選択し、かつ前記第2の増幅器デバイス向けに前記第7及び第5の電源レールを選択し、
前記第6の中間結果信号が、前記第1の増幅器デバイス向けに前記第2及び第1の電源レールを選択し、かつ前記第2の増幅器デバイス向けに前記第8及び第5の電源レールを選択し、
前記第7の結果信号が、前記第1の増幅器デバイス向けに前記第2及び第1の電源レールを選択し、かつ前記第2の増幅器デバイス向けに前記第6及び第5の電源レールを選択する請求項2に記載の増幅器システム。
【請求項7】
前記第1、第2、第3、第4の電源レールの電圧が、前記第4のレールが前記第3のレールの電圧より大きく、前記第3のレールの電圧が前記第2レールの電圧がより大きく、また前記第2のレールの電圧が前記第1のレールの電圧より大きいように構成され、
前記第5、第6、第7、第8の電源レールの電圧が、前記第8のレールの電圧が前記第7のレールの電圧より大きく、前記第7のレールの電圧が前記第6レールの電圧がより大きく、また前記第6のレールの電圧が前記第5のレールの電圧より大きいように構成される請求項6に記載の増幅器システム。
【請求項8】
前記第1及び第5の電源レールがアースを成す請求項7に記載の増幅器システム。
【請求項9】
前記第1、第2、第3、第4の電源レールが実質的に均一な間隔に離された電圧からなり、
前記第5、第6、第7、第8の電源レールが実質的に均一な間隔に離された電圧からなる請求項7に記載の増幅器システム。
【請求項10】
前記第1、第2、第3、第4の電源レールが実質的に均一な間隔に離されたプラス電圧を成す請求項1に記載の増幅器システム。
【請求項11】
入力信号を受け取って出力信号を供給する増幅器を動作させる方法であって、
前記入力信号及び前記出力信号のうち1つを含む判定信号を備えて、
前記判定信号が第1のしきい値より低くなることに応答して、第1の電源レール及び第2の電源レールで前記増幅器に電力を供給するステップと、
前記判定信号が前記第1のしきい値より高くかつ第2のしきい値より低くなることに応答して、第3の電源レール及び前記第1の電源レールで前記増幅器に電力を供給するステップと、
前記判定信号が前記第2のしきい値より高くなることに応答して、第4の電源レール及び前記第1の電源レールで前記増幅器に電力を供給するステップとを含み、
前記第4の電源レールの電圧が前記第3の電源レールの電圧より大きく、前記第3の電源レールの電圧が前記第2の電源レールの電圧より大きく、前記第2の電源レールの電圧が前記第1の電源レールの電圧より大きい、方法。
【請求項12】
前記増幅器がプラスの増幅器及びマイナスの増幅器を備えて、
前記判定信号がプラスであって、かつ第1のプラスのしきい値より低くなることに応答して、第1のプラスの電源レール及び第2のプラスの電源レールで前記プラスの増幅器に電力を供給するステップと、
前記判定信号がプラスであって、前記第1のプラスのしきい値より高くかつ第2のプラスのしきい値より低くなることに応答して、第3のプラスの電源レール及び前記第1のプラスの電源レールで前記プラスの増幅器に電力を供給するステップと、
前記判定信号がプラスであって、かつ前記第2のプラスのしきい値より高くなることに応答して、第4のプラスの電源レール及び前記第1のプラスの電源レールで前記プラスの増幅器に電力を供給するステップと、
前記判定信号がマイナスであって、かつ第1のマイナスのしきい値より低くなることに応答して、第5のプラスの電源レール及び第6のプラスの電源レールで前記マイナスの増幅器に電力を供給するステップと、
前記判定信号が前記第1のマイナスのしきい値よりマイナスであり、かつ第2のマイナスのしきい値ほどマイナスでなくなることに応答して、第7のプラスの電源レール及び前記第5のプラスの電源レールで前記マイナスの増幅器に電力を供給するステップと、
前記判定信号が前記第2のマイナスのしきい値よりマイナスになることに応答して、第8のプラスの電源レール及び前記第5のプラスの電源レールで前記マイナスの増幅器に電力を供給するステップとをさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1と第5のプラスの電源レールが実質的に等しい電圧であり、
前記第2と第6のプラスの電源レールが実質的に等しい電圧であって、前記第1及び第5のプラスの電源レールより高いプラスであり、
前記第3と第7のプラスの電源レールが実質的に等しい電圧であって、前記第2及び第6のプラスの電源レールより高いプラスであり、
前記第4と第8のプラスの電源レールが実質的に等しい電圧であって、前記第3及び第7のプラスの電源レールより高いプラスである請求項11に記載の方法。
【請求項1】
入力信号を受け取り、かつ第1の出力信号を供給するように結合された第1の増幅器デバイスと、
前記出力信号が第1のしきい値より低くなるのに応答して、第1の電源レール及び第2の電源レールに前記第1の増幅器デバイスを結合し、前記入力信号が前記第1のしきい値より高くなること及び第2のしきい値より低くなることに応答して、第3の電源レール及び前記第1の電源レールに前記第1の増幅器デバイスを結合し、かつ、前記入力信号が前記第2のしきい値より高くなることに応答して、第4の電源レール及び前記第1の電源レールに前記第1の増幅器デバイスを結合するための、前記第1の増幅器デバイスに結合された第1のレール選択器とを備える増幅器システム。
【請求項2】
入力信号を受け取り、かつ第2の出力信号を供給するように結合された第2の増幅器デバイスと、
前記出力信号が第3のしきい値より低くなるのに応答して、第5の電源レール及び第6の電源レールに前記第2の増幅器デバイスを結合し、前記入力信号が前記第3のしきい値より高くなること及び第4のしきい値より低くなることに応答して、第7の電源レール及び前記第5の電源レールに前記第2の増幅器デバイスを結合し、かつ、前記入力信号が前記第4のしきい値より高くなることに応答して、第8の電源レール及び前記第5の電源レールに前記第2の増幅器デバイスを結合するための、前記第2の増幅器デバイスに結合された第2のレール選択器とをさらに備える請求項1に記載の増幅器システム。
【請求項3】
前記第1の入力信号がプラスの入力信号を成し、
前記第1の増幅器デバイスがプラスの増幅器デバイスを成し、
前記第2の入力信号がマイナスの入力信号を成し、かつ、
前記第2の増幅器デバイスがマイナスの増幅器デバイスを成す請求項2に記載の増幅器システム。
【請求項4】
前記第1、第2、第3、第4の電源レールが実質的に均一な間隔に離されたプラス電圧を成し、
前記第5、第6、第7、第8の電源レールが実質的に均一な間隔に離されたマイナス電圧を成す請求項3に記載の増幅器システム。
【請求項5】
前記第1のレール選択器が、M個の可能なレール組合せに前記第1の増幅器デバイスを結合するように適合され、
前記第2のレール選択器が、N個の可能なレール組合せに前記第2の増幅器デバイスを結合するように適合され、
M及びNが正の整数であり、かつN> である請求項2に記載の増幅器システム。
【請求項6】
前記第1のレール選択器が、前記第1及び第2の出力信号を受け取り、それに応答して第1の中間結果信号を生成するように結合された第3の増幅器デバイスと、
前記第1の中間結果信号を受け取るように前記第3の電源レールに結合され、その信号に応答して第2の中間結果信号を生成する第1の比較器と、
前記第1の中間結果信号を受け取るように前記第2の電源レールに結合され、その信号に応答して第3の中間結果信号を生成する第2の比較器と、
前記第1及び第2の出力信号を受け取り、それに応答して第4の中間結果信号を生成するように結合された第4の増幅器デバイスと、
前記第4の中間結果信号を受け取るように前記第6の電源レールに結合され、その信号に応答して第5の中間結果信号を生成する第3の比較器と、
前記第4の中間結果信号を受け取るように前記第7の電源レールに結合され、その信号に応答して第6の中間結果信号を生成する第4の比較器と、
前記第2、第3、第5、及び第6の中間結果信号を受け取り、それに応答して第7の結果信号を生成するように結合されるNORデバイスとを備え、
前記第2の中間結果信号が、前記第1の増幅器デバイス向けに前記第4及び第1の電源レールを選択し、かつ前記第2の増幅器デバイス向けに前記第6及び第5の電源レールを選択し、
前記第3の中間結果信号が、前記第1の増幅器デバイス向けに前記第3及び第1の電源レールを選択し、かつ前記第2の増幅器デバイス向けに前記第6及び第5の電源レールを選択し、
前記第5の中間結果信号が、前記第1の増幅器デバイス向けに前記第2及び第1の電源レールを選択し、かつ前記第2の増幅器デバイス向けに前記第7及び第5の電源レールを選択し、
前記第6の中間結果信号が、前記第1の増幅器デバイス向けに前記第2及び第1の電源レールを選択し、かつ前記第2の増幅器デバイス向けに前記第8及び第5の電源レールを選択し、
前記第7の結果信号が、前記第1の増幅器デバイス向けに前記第2及び第1の電源レールを選択し、かつ前記第2の増幅器デバイス向けに前記第6及び第5の電源レールを選択する請求項2に記載の増幅器システム。
【請求項7】
前記第1、第2、第3、第4の電源レールの電圧が、前記第4のレールが前記第3のレールの電圧より大きく、前記第3のレールの電圧が前記第2レールの電圧がより大きく、また前記第2のレールの電圧が前記第1のレールの電圧より大きいように構成され、
前記第5、第6、第7、第8の電源レールの電圧が、前記第8のレールの電圧が前記第7のレールの電圧より大きく、前記第7のレールの電圧が前記第6レールの電圧がより大きく、また前記第6のレールの電圧が前記第5のレールの電圧より大きいように構成される請求項6に記載の増幅器システム。
【請求項8】
前記第1及び第5の電源レールがアースを成す請求項7に記載の増幅器システム。
【請求項9】
前記第1、第2、第3、第4の電源レールが実質的に均一な間隔に離された電圧からなり、
前記第5、第6、第7、第8の電源レールが実質的に均一な間隔に離された電圧からなる請求項7に記載の増幅器システム。
【請求項10】
前記第1、第2、第3、第4の電源レールが実質的に均一な間隔に離されたプラス電圧を成す請求項1に記載の増幅器システム。
【請求項11】
入力信号を受け取って出力信号を供給する増幅器を動作させる方法であって、
前記入力信号及び前記出力信号のうち1つを含む判定信号を備えて、
前記判定信号が第1のしきい値より低くなることに応答して、第1の電源レール及び第2の電源レールで前記増幅器に電力を供給するステップと、
前記判定信号が前記第1のしきい値より高くかつ第2のしきい値より低くなることに応答して、第3の電源レール及び前記第1の電源レールで前記増幅器に電力を供給するステップと、
前記判定信号が前記第2のしきい値より高くなることに応答して、第4の電源レール及び前記第1の電源レールで前記増幅器に電力を供給するステップとを含み、
前記第4の電源レールの電圧が前記第3の電源レールの電圧より大きく、前記第3の電源レールの電圧が前記第2の電源レールの電圧より大きく、前記第2の電源レールの電圧が前記第1の電源レールの電圧より大きい、方法。
【請求項12】
前記増幅器がプラスの増幅器及びマイナスの増幅器を備えて、
前記判定信号がプラスであって、かつ第1のプラスのしきい値より低くなることに応答して、第1のプラスの電源レール及び第2のプラスの電源レールで前記プラスの増幅器に電力を供給するステップと、
前記判定信号がプラスであって、前記第1のプラスのしきい値より高くかつ第2のプラスのしきい値より低くなることに応答して、第3のプラスの電源レール及び前記第1のプラスの電源レールで前記プラスの増幅器に電力を供給するステップと、
前記判定信号がプラスであって、かつ前記第2のプラスのしきい値より高くなることに応答して、第4のプラスの電源レール及び前記第1のプラスの電源レールで前記プラスの増幅器に電力を供給するステップと、
前記判定信号がマイナスであって、かつ第1のマイナスのしきい値より低くなることに応答して、第5のプラスの電源レール及び第6のプラスの電源レールで前記マイナスの増幅器に電力を供給するステップと、
前記判定信号が前記第1のマイナスのしきい値よりマイナスであり、かつ第2のマイナスのしきい値ほどマイナスでなくなることに応答して、第7のプラスの電源レール及び前記第5のプラスの電源レールで前記マイナスの増幅器に電力を供給するステップと、
前記判定信号が前記第2のマイナスのしきい値よりマイナスになることに応答して、第8のプラスの電源レール及び前記第5のプラスの電源レールで前記マイナスの増幅器に電力を供給するステップとをさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1と第5のプラスの電源レールが実質的に等しい電圧であり、
前記第2と第6のプラスの電源レールが実質的に等しい電圧であって、前記第1及び第5のプラスの電源レールより高いプラスであり、
前記第3と第7のプラスの電源レールが実質的に等しい電圧であって、前記第2及び第6のプラスの電源レールより高いプラスであり、
前記第4と第8のプラスの電源レールが実質的に等しい電圧であって、前記第3及び第7のプラスの電源レールより高いプラスである請求項11に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2009−530996(P2009−530996A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501719(P2009−501719)
【出願日】平成19年3月21日(2007.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/064545
【国際公開番号】WO2007/109738
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(508285178)リーディス・テクノロジー・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月21日(2007.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/064545
【国際公開番号】WO2007/109738
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(508285178)リーディス・テクノロジー・インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】
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