説明

LD発光検出回路

【課題】ONU内において連続発光障害が発生した場合に、ONUの光出力レベルが−45dBm程度の低い光レベルにて連続発光する状態を安定して高精度に検出することができるLD発光検出回路を得ること。
【解決手段】レーザダイオード1のアノードと電源との間に設けられ、レーザダイオード1に流れる電流と同じか、もしくは任意の比率で増幅した電流を出力する電流検出電流出力回路2と、電流検出電流出力回路2から出力される電流を電圧に変換し、増幅して出力する電流電圧変換増幅回路3と、電流電圧変換増幅回路3から出力される電圧値とレーザダイオード1の発光検出レベルに応じて予め設定された所定の基準電圧値とを比較するコンパレータ5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信システムに関するものであり、特に、アクセス系光通信システムの一つの方式であるPON(Passive Optical Network)システムにおいて加入者側装置ONU(Optical Network Unit)に搭載するバースト光送信器のレーザダイオードの発光状態を検出するLD発光検出回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、光ファイバを用いた公衆回線網を実現する方式として、PONシステムと呼ばれるポイント・トゥ・マルチポイントのアクセス系光通信システムが広く用いられている。
【0003】
PONシステムは、局側装置である1台のOLT(Optical Line Terminal)と、光スターカプラを介して接続される複数の加入者端末装置であるONUにより構成される。多数のONUに対して、OLTと伝送路である光ファイバの大部分は共有できるため、運用コストの経済化が期待できることや、光スターカプラは受動部品であるので給電が必要なく屋外設置が容易であり、信頼性も高いという利点があることから、ブロードバンドネットワークを実現する切り札として近年活発に導入が進められている。
【0004】
例えば、IEEE802.3ahで規格化されている伝送速度が1.25Gbit/sのGE−PON(Gigabit Ethernet(登録商標) - Passive Optical Network)においては、OLTからONUへの下りは、光波長1.49μm帯を利用し、各ONUが自局に割り当てられたタイムスロットの自局宛データのみ取り出す同報通信方式を用いている。一方、各ONUからOLTへの上りは、光波長1.31μm帯を利用し、各ONUのデータが衝突しないように送出タイミングを制御する時分割多重通信方式を用いている。
【0005】
また、近年、IEEE802.3avでは、10.3Gbit/sの10G−EPON(10Gigabit-Ethernet(登録商標) Passive Optical Network)の国際標準化が2009年9月に完了しており,本規格においても、各ONUからOLTへの上りは、GE−PONと同様に時分割多重通信方式を用いている。
【0006】
時分割多重通信方式においては、当然ではあるが各ONUのデータが衝突しないことが前提となっている。しかし、ONU側において何らかの障害が発生し、バースト光送信器の光出力が停止しない、連続発光障害が発生することが考えられる。この連続発光障害が発生した場合は、障害を発生した時点以降において、OLTに接続された全てのONUとの通信が不能となる重大な障害となる。
【0007】
IEEE802.3ahならびにIEEE802.3avにおいては、ONUが光パケットを送信しない場合の光出力レベルが−45dBm以下と規定されている。したがって、各ONUの光出力レベルが−45dBm以上であるかどうかを検出する必要がある。
【0008】
ONU用バースト光送信器のLD発光検出回路の構成としては、様々な方式が提案されているが、例えば特許文献1においては、レーザダイオードが発光しない故障を検出する回路として、レーザダイオードのアノード側と電源間に抵抗を設け、本抵抗とレーザダイオードに流れる電流により発生する電圧を基準電圧と比較することによりレーザダイオードの電流駆動状態を検出し、レーザダイオードの背面光を受光するフォトダイオード(以下「PD」という)を設け、PDの出力電流を電圧に変換し、その電圧を基準電圧と比較することによりレーザダイオードの発光状態を検出し、2つの検出結果を論理処理することにより、レーザダイオードに電流が流れている場合において発光しない状態を検出する方式が開示されている。
【0009】
また、例えば特許文献2においては、LDを駆動するバイアス電流および変調電流の元電流源出力に抵抗を設け、この2つの抵抗の両端の電圧を検出することによりLDに流れる電流をモニタする方式が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−352122号公報
【特許文献2】特開平2−196482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献1に示された技術では、ONUの光出力レベルが−45dBm程度の低いレベルにて連続発光する状態を検出することができない。正常にパケットを出力している状態のONUの光出力レベルは、IEEE802.3avPR30規格より最大+9dBmである。この場合において、例えばレーザダイオードと光ファイバとの結合効率を25%、レーザダイオードの微分量子効率を0.3(W/A)とすると、約100mA程度の電流がレーザダイオードのアノードと電源との間の抵抗に流れる。ここで、仮に抵抗による電圧降下を最大0.1V程度と見込むと、抵抗値は1Ω以下である。一方、ONUの光出力レベルが−45dBmである場合において、レーザダイオードと光ファイバとの結合効率およびレーザダイオードの微分量子効率を上述した値とした場合、約350μAの電流がレーザダイオードのアノードと電源との間の抵抗に流れる。このとき、レーザダイオードのアノードと電源との間の抵抗による電圧降下は0.35mVと極めて小さな値となるため、一般的な識別回路ではONUの光出力レベルが−45dBm程度の低いレベルにて連続発光する状態を検出できない、という問題があった。
【0012】
また,上記特許文献2に示された技術では、近年の伝送速度の高速化に伴い、レーザダイオードと並列に抵抗を接続して抵抗の両端電圧を検出し、電圧値に相当する電流値を求めているが、レーザダイオードに実際に流れる電流を検出するものではない。このため、ONUの光出力レベルが−45dBm程度の低いレベルにて連続発光している状態を正確に検出できない、という問題があった。
【0013】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、PONシステムのONU側バースト光送信器において、ONU内において連続発光障害が発生した場合に、ONUの光出力レベルが−45dBm程度の低い光レベルにて連続発光する状態を高精度に検出可能とするLD発光検出回路を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、バースト信号によって駆動されるレーザダイオードの駆動電流の有無を検出することにより当該レーザダイオードの発光有無を検出するLD発光検出回路であって、前記レーザダイオードのカソードと電源との間に設けられ、前記レーザダイオードに流れる電流と同じか、もしくは任意の比率で増幅した電流を出力する電流検出電流出力回路と、前記電流検出電流出力回路から出力される電流を電圧に変換し、増幅して出力する電流電圧変換増幅回路と、前記電流電圧変換増幅回路から出力される電圧値と前記レーザダイオードの発光検出レベルに応じて予め設定された所定の基準電圧値とを比較するコンパレータと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、ONU内において連続発光障害が発生した場合に、ONUの光出力レベルが−45dBm程度の低い光レベルにて連続発光する状態を高精度に検出できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、PONシステムにおけるONUの連続発光故障を説明する図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1にかかるLD発光検出回路の一構成例を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態2にかかるLD発光検出回路の一構成例を示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態3にかかるLD発光検出回路の一構成例を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態4にかかるLD発光検出回路の一構成例を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態5にかかる電流電圧変換増幅回路の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施の形態にかかるLD発光検出回路を詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0018】
実施の形態1.
図1は、PONシステムにおけるONUの連続発光故障を説明する図である。図1に示すように、OLTに接続されたONUが全て正常である場合には、各ONU毎に異なる光出力レベルの光パケットが時分割多重通信方式でOLTに送信される(図1上図の破線枠内参照)。一方、例えばONUbにおいて連続発光故障が発生した場合には、ONUbにおける連続発光故障発生以降の全てのONUとOLTとの間の通信が不能となる(図1下図の破線枠内参照)。また、背景技術の段落「0007」に記載した通り、IEEE802.3ahならびにIEEE802.3avにおいては、ONUが光パケットを送信しない場合の光出力レベルが−45dBm以下と規定されている。そこで、本実施の形態では、各ONUの光出力レベルが−45dBm程度の低い光レベルにて連続発光する状態を高精度に検出可能なLD発光検出回路を構成する。
【0019】
図2は、本発明の実施の形態1にかかるLD発光検出回路の一構成例を示す図である。図2に示すように、実施の形態1にかかるLD発光検出回路100は、電流検出電流出力回路2、電流電圧変換増幅回路3、AC/DC変換回路4、コンパレータ5、および基準電圧源6を備えている。
【0020】
また、電流検出電流出力回路2は、PNP型トランジスタ21およびPNP型トランジスタ22を備えている(以下、PNP型トランジスタを単に「トランジスタ」という)。トランジスタ21は、エミッタが正電源8に接続され、コレクタおよびベースがレーザダイオード(以下、「LD」という)1のアノードに接続されている。トランジスタ22は、エミッタが正電源8に接続され、ベースがトランジスタ21のベースと接続されている。これらのトランジスタ21およびトランジスタ22は、トランジスタ21を親電流源側、トランジスタ22を子電流源側としてカレントミラー回路を構成している。
【0021】
なお、図2において、LD1、正電源8、バイアス電流源9、変調電流源10、変調回路11、および負電源14は、実施の形態1にかかるLD発光検出回路100が適用されるバースト光送信器の構成要素である。
【0022】
つぎに、実施の形態1にかかるLD発光検出回路100の動作について、図2を参照して説明する。
【0023】
LD1を発光させるためのLD駆動電流として、バイアス電流源9から供給されるバイアス電流Ibiasと、変調回路11にバースト信号が入力されることにより変調電流源10から供給される変調電流ImodとがLD1へ入力されると、LD1が励起発振して発光する。このとき、電流検出電流出力回路2を構成するカレントミラー回路の親電流源トランジスタ21のコレクタよりLD駆動電流が流れ出るが、親電流源トランジスタ21にLD駆動電流が流れると、カレントミラー回路の子電流源トランジスタ22のコレクタよりLD駆動電流と同じ値の電流が流れ出る。
【0024】
電流電圧変換増幅回路3は、この電流を電圧に変換して増幅し、AC/DC変換回路4に出力する。
【0025】
AC/DC変換回路4は、電流電圧変換増幅回路3の出力である電圧値をDC電圧値に変換し、コンパレータ5に出力する。
【0026】
コンパレータ5は、このDC電圧値と所定の基準電圧値とを比較する。ここで、所定の基準電圧値は、LD1の発光検出レベルに応じて、予め基準電圧源6に設定された値である。すなわち、コンパレータ5は、DC電圧値と所定の基準電圧値とを比較することにより、LDの発光有無を識別する。
【0027】
つぎに、具体的な数値により実施の形態1にかかるLD発光検出回路100の動作を検証する。IEEE802.3ahならびにIEEE802.3avにおいては、ONUが光パケットを送信しない場合のONUの光出力の発光レベルは、上述のとおり−45dBm以下に規定されている。したがって、連続発光障害が発生した場合でも、LDの光出力レベルは−45dBm以下が規定となる。この場合、例えばLD1と光ファイバの結合効率を25%、LD1の微分量子効率を0.3(W/A)とすると、約350μAの電流が流れることとなる。この電流と同値の電流が電流電圧変換増幅回路3に入力され、例えば電流電圧変換増幅回路3の電流電圧変換率を1000倍とすると、約350mVの電圧に変換される。350mVの振幅であれば十分に識別可能であり、コンパレータ5において、安定的に−45dBmのONU光出力レベルの検出が可能となる。
【0028】
以上のように、本発明の実施の形態1にかかるLD発光検出回路によれば、カレントミラー回路を用いてLDに流れる電流と同じ値の電流を検出し、検出した電流を電圧に変換し増幅して、DC値に変換した後に所定の基準電圧値と比較することにより、LDの発光状態を検出するようにしたので、ONU内において連続発光障害が発生した場合において、安定的に−45dBm程度のONU光出力レベルの検出が可能となり、高精度なLD発光検出が実現できる。
【0029】
実施の形態2.
図3は、本発明の実施の形態2にかかるLD発光検出回路の一構成例を示す図である。なお、実施の形態1と同一または同等の構成部には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0030】
図3に示すように、実施の形態2にかかるLD発光検出回路200は、変調回路11に入力されるバースト信号の低周波遮断周波数より十分に低い周波数のトーン信号を発生するトーン信号発生回路13、トーン信号をバイアス電流Ibiasに重畳する第1の加算回路16、およびトーン信号を変調電流Imodに重畳する第2の加算回路17をさらに備えている。
【0031】
また、電流検出電流出力回路2aは、トランス23および共振回路24を備えている。
【0032】
トランス23は、一次側コイルの一端が正電源8に接続され、他端がLD1のアノードに接続されている。また、トランス23は、二次側コイルの一端が正電源8に接続され、一次側コイルに電流が流れることにより一次側コイルと二次側コイルとの巻線比に応じた電流が二次側コイルに流れる。なお、トランス23のインダクタンス値をバースト信号の周波数に対して十分に小さくすることにより、LD1と正電源8との間の電圧降下を数mV程度に抑えることができる。なお、巻線比を1:1とすれば、実施の形態1と同様に一次側コイルに流れる電流と同じ値の電流が二次側コイルに流れるが、巻線比を変えることにより任意の電流比となる。
【0033】
共振回路24は、コンデンサとコイルとが並列に接続された並列共振回路であり、トランス23の二次側コイルと並列に接続されている。また、共振回路24の共振周波数は、上述したトーン信号の周波数としている。
【0034】
つぎに、実施の形態2にかかるLD発光検出回路200の動作について、図3を参照して説明する。実施の形態1と同一符号の構成要素は、実施の形態1と同一の動作をする。実施の形態1との差異は、変調回路11に入力されるバースト信号の低周波遮断周波数より十分に低い周波数のトーン信号をバイアス電流Ibiasおよび変調電流Imodに重畳している点である。
【0035】
電流検出電流出力回路2aは、トランス23の一次側コイルを流れる電流から共振回路24の共振周波数と一致するトーン信号のみを抽出し、電流電圧変換増幅回路3に出力する。
【0036】
ここで、電流検出電流出力回路2aにおいてトランス23の一次側コイルを流れる電流からトーン信号のみが抽出される原理について説明する。共振回路24の共振周波数、すなわちトーン信号の周波数では、共振回路24のインピーダンスが最大となり、トランス23の二次側コイルには共振回路24が接続されていない状態と等価となる。このため、トランス23はトランスとして機能し、二次側コイルには巻線比に応じた電流が流れる。一方、変調電流Imodはトーン信号より十分に高い周波数成分であるので、二次側コイルに並列に接続される共振回路24のコンデンサは短絡された状態と等価となり、トランス23はトランスとして機能しなくなる。このため、変調電流Imodに対応する電流は、二次側コイルに流れない。
【0037】
以上のように、本発明の実施の形態2にかかるLD発光検出回路によれば、電流検出電流出力回路にトランスを用いたので、トランスのインダクタンス値をバースト信号の周波数に対して十分に小さくすることにより、LDと正電源との間の電圧降下を数mV程度に小さくでき、実施の形態1と比較しても電力効率の良いLD発光検出が実現できる。
【0038】
また、トランスの一次側コイルを流れる電流から共振回路の共振周波数と一致するトーン信号のみを抽出し、LDの光出力レベルを検出することができる。
【0039】
実施の形態3.
図4は、本発明の実施の形態3にかかるLD発光検出回路の一構成例を示す図である。なお、実施の形態1と同一または同等の構成部には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0040】
図4に示すように、実施の形態3にかかるLD発光検出回路300は、実施の形態1の構成に加えて、LD1の背面光をモニタするフォトダイオード(以下、「PD」という)15をさらに備えている。
【0041】
PD15は、LD1のアノードと電流電圧変換増幅回路3との間に接続され、LD1の発光に応じた電流を電流電圧変換増幅回路3へ入力すると共に、PD15にも電流が流れることによりカレントミラー回路の親電流源トランジスタ21から流れ出る電流も増え、これに併せて子電流源トランジスタ22から流れ出る電流も増えるため、電流電圧変換増幅回路3へはPD15に流れる電流の2倍の電流を入力することが可能となる。
【0042】
以上のように、本発明の実施の形態3にかかるLD発光検出回路によれば、LDの背面光をモニタするPDを備え、LDの発光に応じてPDに流れる電流を電流電圧変換増幅回路に加算入力するようにしたので、連続発光障害発生時における低い光出力レベルの判定に必要な電流量を増大させ、実施の形態1よりも感度の高いLD発光検出を実現できる。
【0043】
実施の形態4.
図5は、本発明の実施の形態4にかかるLD発光検出回路の一構成例を示す図である。なお、実施の形態2と同一または同等の構成部には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0044】
図5に示すように、実施の形態4にかかるLD発光検出回路400は、実施の形態2の構成に加えて、実施の形態3と同様に、LD1の背面光をモニタするPD15をさらに備えている。
【0045】
PD15は、実施の形態3と同様に、LD1のアノードと電流電圧変換増幅回路3との間に接続され、LD1の発光に応じた電流を電流電圧変換増幅回路3へ入力すると共に、PD15にも電流が流れることによりトランス23の一次側コイルから流れ出る電流も増え、これに併せて二次側コイルから流れ出る電流も増えるため、電流電圧変換増幅回路3へはPD15に流れる電流の2倍の電流を入力することが可能となる。
【0046】
以上のように、本発明の実施の形態4にかかるLD発光検出回路によれば、LDの背面光をモニタするPDを備え、LDの発光に応じてPDに流れる電流を電流電圧変換増幅回路に加算入力するようにしたので、連続発光障害発生時における低い光出力レベルの判定に必要な電流量を増大させ、実施の形態2よりも感度の高いLD発光検出を実現できる。
【0047】
実施の形態5.
図6は、本発明の実施の形態5にかかる電流電圧変換増幅回路の一構成例を示す図である。図6に示すように、実施の形態5にかかるLD発光検出回路500は、上述した実施の形態1〜4にかかるLD発光検出回路100,200,300,400の電流電圧変換増幅回路3を、トランスインピーダンスアンプ25により構成し、帰還抵抗26の値により電流電圧変換率を設定する。
【0048】
以上のように、本発明の実施の形態5にかかるLD発光検出回路によれば、電流電圧変換増幅回路をトランスインピーダンスアンプにより構成したので、帰還抵抗値により電流電圧変換率を容易に設定することが可能となる。
【0049】
なお、実施の形態では、電流電圧変換増幅回路の出力である電圧値をDC電圧値に変換するAC/DC変換回路を用いているが、AC/DC変換回路を用いず、電流電圧変換増幅回路の出力である電圧値が所定の基準電圧値を超えたことを検出する構成でもよい。
【0050】
また、以上の実施の形態に示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように、本発明にかかるLD発光検出回路は、ONU内において連続発光障害が発生した場合に、ONUの光出力レベルが−45dBm程度の低い光レベルにて連続発光する状態を安定して高精度に検出することができる発明として有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 レーザダイオード(LD)
2,2a 電流検出電流出力回路
3 電流電圧変換増幅回路
4 AC/DC変換回路
5 コンパレータ
6 基準電圧源
8 正電源
9 バイアス電流源
10 変調電流源
11 変調回路
13 トーン信号発生回路
14 負電源
15 フォトダイオード(PD)
16,17 加算回路
21,22 PNP型トランジスタ
23 トランス
24 共振回路
25 トランスインピーダンスアンプ
26 帰還抵抗
100,200,300,400 LD発光検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バースト信号によって駆動されるレーザダイオードの駆動電流の有無を検出することにより当該レーザダイオードの発光の有無を検出するLD発光検出回路であって、
前記レーザダイオードのアノードと電源との間に設けられ、前記レーザダイオードに流れる電流と同じか、もしくは増幅した電流を出力する電流検出電流出力回路と、
前記電流検出電流出力回路から出力される電流を電圧に変換し、増幅して出力する電流電圧変換増幅回路と、
前記電流電圧変換増幅回路から出力される電圧値と前記レーザダイオードの発光検出レベルに応じて設定された所定の基準電圧値とを比較するコンパレータと、
を備える
ことを特徴とするLD発光検出回路。
【請求項2】
前記電流検出電流出力回路は、親電流源PNP型トランジスタおよび子電流源PNP型トランジスタを有するカレントミラー回路により構成され、
前記カレントミラー回路は、前記親電流源PNP型トランジスタのコレクタを前記レーザダイオードのアノードに接続し、前記親電流源PNP型トランジスタのエミッタを前記正電源に接続し、前記子電流源PNP型トランジスタのコレクタを前記電流電圧変換増幅回路に接続して構成されることを特徴とする請求項1に記載のLD発光検出回路。
【請求項3】
前記バースト信号の低周波遮断周波数より十分に低い周波数のトーン信号を発生し、前記レーザダイオードを駆動するバイアス電流と変調電流とに前記トーン信号を重畳するトーン信号発生回路をさらに備え、
前記電流検出電流出力回路は、前記レーザダイオードのカソードと前記正電源との間に設けられた1次側コイルおよび前記電流電圧変換増幅回路と前記正電源との間に設けられた2次側コイルからなるトランス回路と、前記2次側コイルと並列に接続されたコンデンサおよびコイルの並列回路からなる共振回路とにより構成され、
前記共振回路は、前記トーン信号の周波数を共振周波数とすることを特徴とする請求項1に記載のLD発光検出回路。
【請求項4】
前記レーザダイオードの背面光をモニタするフォトダイオードをさらに備え、
前記レーザダイオードのアノードに前記フォトダイオードのカソードを接続し、前記フォトダイオードのアノードを前記電流電圧変換増幅回路に接続し、前記フォトダイオードに流れる電流を前記電流電圧変換増幅回路に加算入力することを特徴とする請求項2または3に記載のLD発光検出回路。
【請求項5】
前記電流電圧変換増幅回路は、トランスインピーダンス回路により構成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のLD発光検出回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−114835(P2011−114835A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272285(P2009−272285)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】