説明

LEDパッケージ

【課題】透光性カバーが基板に接合されるLEDパッケージにおいて、透光性カバーと基板とを接合する接着材のはみ出しが防止される構成を提供する。
【解決手段】基板10と、該基板に実装されるLED素子20と、前記基板に接着材50を介して取り付けられ、前記LED素子を囲繞するドーム状の透光性カバー30とを、備えるLEDパッケージであって、前記透光性カバーの前記基板に対する接合部31が傾斜部32と平面部33とを備え、前記傾斜部は前記基板に対して傾斜し、該接合部の内縁及び/又は外縁に沿い、前記平面部は前記傾斜部に連続し、前記基板に当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性カバーを有するLEDパッケージの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に実装されたLED素子を囲繞する透光性カバーが基板に接合されたLEDパッケージにおける、透光性カバーの取り付け態様の例が、特許文献1〜4に開示されている。特許文献1〜3に開示のLEDパッケージではいずれも、接着材を使用して基板と透光性カバーを取り付けている。一方、特許文献4に開示のLEDパッケージでは基板のカバーに対する接合部に接着材の逃がし用の溝を備える。
【0003】
【特許文献1】特開2007−250817号公報
【特許文献2】特開2006−351333号公報
【特許文献3】特開2008−16362号公報
【特許文献4】特開2006−303122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜3のLEDパッケージでは、透光性カバー取り付け用の接着材が、透光性カバーと基板との間から透光性カバーの内側(LED素子側)にはみ出してLED素子のボンディングワイヤに干渉したり、透光性カバーの外側にはみ出してLEDパッケージの電極パッドに干渉したりするなどの問題があった。このような問題に対して、引用文献4に開示のように、基板に接着材の逃がし用の溝を設けて接着材のはみ出しを防止することが行われる。しかし、基板を放熱性の高いセラミック基板やAl基板であると、このような溝を設けることは手間がかかるものであり、コスト面で不利となる。
そこで、本発明は、透光性カバーが基板に接合されるLEDパッケージにおいて、透光性カバーと基板とを接合する接着材のはみ出しが防止される構成を提供することを目的の一つとする。また、コスト面で有利となる構成を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の目的を達成するため、本発明の構成からなる。即ち、
基板と、該基板に実装されるLED素子と、前記基板に接着材を介して取り付けられ、前記LED素子を囲繞するドーム状の透光性カバーとを、備えるLEDパッケージであって、
前記透光性カバーの前記基板に対する接合部が傾斜部と平面部とを備え、
前記傾斜部はその内縁及び/又は外縁に沿って前記基板に対して傾斜し、
前記平面部は前記傾斜部に連続して前記基板に当接する、ことを特徴とするLEDパッケージである。
【0006】
本発明のLEDパッケージによれば、透光性カバーの基板に対する接合部において、傾斜部はその内縁及び/又は外縁に沿って基板に対して傾斜しているため透光性カバーと基板とを接合する接着材の逃がしの空間が確保され、当該接着材が透光性カバーの内側または外側にはみ出して、ボンディングワイヤや電極パッド等に干渉することが防止される。さらに、傾斜部に連続する平面部が備えられることにより、透光性カバーと基板との接合面積が確保され、十分な接着強度が得られる。また、接着材を逃がすための溝や凹部を基板に形成する必要がないため、手間がかからない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は本発明の実施例であるLEDパッケージ1の上面図である。
【図2】図2Aは図1のA−A線断面図であり、図2Bは図2Aの要部Bの拡大図であり、図2Cは図2Aの要部Cの拡大図である。
【図3】図3は本発明の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のLEDパッケージについて詳述する。本発明では基板に実装されるLED素子を透光性カバーで囲繞する。基板の種類は限定されず、公知のものを使用することができる。中でも、Al基板、セラミック基板などの放熱の高いものが好ましい。装置の信頼性が向上するからである。基板にはLED素子が実装される。LED素子の種類は時に限定されない。
【0009】
本発明で使用する透光性カバーは基板に実装されたLED素子を囲繞するように設けられる。透光性カバーの材質は透光性を有するものであれば特に限定されず、ガラス、アクリル樹脂など、公知の材料から適宜選択できる。透光性カバーの形状はドーム状であって、その外形は半球型、楕円半球型、部分球型、部分楕円球型とすることができる。透光性カバーは基板に接着材を介して接合される。接着材の種類は基板の材質、透光性カバーの材質等を考慮して決定することができる。AlN製の基板とガラス製の透光性カバーを使用する場合、例えば、エポキシ樹脂系の接着材を使用することができる。
【0010】
透光性カバーの基板に対する接合部は傾斜部と平面部とを備える。傾斜部は接合部の内縁及び/又は外縁に沿って基板に対して傾斜している。傾斜部の形状は平面状であってよいことはもちろん、曲面状であっても良い。傾斜部を接合部の内縁に沿って設けることにより、当該接合部の内縁に沿って接合部と基板との間に接着材の逃がしの空間が形成されることとなる。これにより、透光性カバーの内側、即ちLED素子側に接着材が過度にはみ出さず、LED素子のボンディングワイヤやLED素子自体に干渉することが防止される。一方、傾斜部を接合部の外縁に沿って設けることにより、当該接合部の外縁に沿って接合部と基板との間に接着材の逃がしの空間が形成されることとなる。これにより、透光性カバーの外側、即ちLED素子の反対側に接着材が過度にはみ出さず、電極パッド、配線パターン等に干渉することが防止される。傾斜部を接合部の内縁及び外縁のそれぞれに沿って設けることにより、透光性カバーの内側及び外側の両方から接着剤が過度にはみ出さず、ボンディングワイヤ、LED素子、電極パッド、配線パターン等に干渉することが防止される。
【0011】
傾斜部の傾斜角度は例えば、基板に対して約10°〜約60°、好ましくは約15°〜約45°、好ましくは約20°〜約40°である。接着材の逃がしの空間が十分に形成されて、接着材のはみ出しが効果的に防止されるからである。平面部は傾斜部に連続して基板に当接する。例えば、平面部は基板に平行な面とすることができる。傾斜部及び平面部は接合部の全域に形成されていることが好ましい。接合部の全域において接着材のはみ出しが防止されるからである。
【0012】
接合部における、傾斜部と平面部の面積の割合は特に限定されないが、平面部に対して傾斜部が少なすぎれば、接着材の逃がしの空間が十分に形成されず、はみ出し防止の効果が十分に発揮されない。一方、平面部に対して傾斜部が多すぎれば、接合強度の低下や加工の容易性の低下を引き起こす。例えば、傾斜部の面積は平面部の面積に対して、約0.1倍〜約5.0倍、好ましくは約0.5倍〜約3.0倍、より好ましくは約1.0倍〜約2.0倍である。この範囲であれば、接着材の逃がしの空間が十分に形成されて、はみ出し防止の効果が十分に発揮されるとともに、十分な接合強度と、高い加工容易性が得られる。
【0013】
本発明の基板には配線パターンが形成され、該配線パターンのエッジの一部が、透光性カバーと基板との接合部に対向することが好ましい。このようにすれば、当該接合部から接着材がはみ出したとしても、当該エッジの一部がこれを堰き止める壁面として機能するため、接着材が電極パッドやボンディングワイヤに干渉することがより一層防止されるからである。このような堰き止め用の配線パターンは、通電用として設けられる配線パターンを利用しても良いし、通電には利用されない、いわゆるダミーの配線パターンを設けて利用しても良い。
以下本発明の実施例について、より詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
本発明の実施例であるLEDパッケージ1の上面図を図1に示す。図1に示すように、LEDパッケージ1は基板10、LED素子20、透光性カバー30、電極パッド40、配線パターン41、ダミーパターン42を備える。基板10はAlN製の放熱性基板である。基板10には配線パターン41が形成されている。配線パターン41のチップマウント部(図示せず)にLED素子20が実装され、ワイヤボンディングされている(符号21参照)。透光性カバー30はLED素子20を囲繞している。また、ダミーパターン42は透光性カバー30の内側、及び外側の基板10上に設けられる。
【0015】
図1のA−A線断面図を図2Aに示す。図2Aに示すように、透光性カバー30の形状はドーム状であって、LED素子20を囲繞するように基板10に取り付けられている。透光性カバー30は、基板10に対する接合部31において接着材50を介して基板10と接合されている。接着材50はエポキシ樹脂系の接着材である。接合部31は透光性カバー30の端面全域に形成されている。
【0016】
図2Aの要部Bの拡大図を図2Bに示す。図2Bに示すように接合部31は傾斜部32と平面部33とからなる。傾斜部32は接合部31の内縁に沿って形成されている。平面部33は傾斜部32に連続して形成されている。透光性カバー30が基板10に取り付けられた状態において、傾斜部32は基板10とのなす角が約30°となるように基板10に対して傾斜しており、平面部33は基板10と略平行となっている。このように、接合部31が傾斜部32を備えることにより、接合部31と基板10(図2Bにおいては配線パターン41)との間に、接着材50が逃げる空間が確保されることとなる。これにより、接合時に接着材50が透光性カバー30の内側(LED素子20側)に過度にはみ出さないため、当該接着材50がボンディングワイヤ21に干渉することが防止される。一方、接合部31が平面部33を備えることにより、基板10(図2Bにおいては配線パターン41)への接合面積が確保されるため、十分な接合強度が得られる。また、画像認識により透光性カバー30の配置を設定したり、透光性カバー30の配置状態を検査する場合に、当該接合部31の平面部33により接合部31の配置の識別精度が高まる。これらにより、LEDパッケージ1の信頼性が向上する。
なお、接合時に、基板10において接着材50が塗布される領域は適宜設置できるが、少なくとも接合部31の平面部33に対向する領域を含む領域とする。これにより、平面部33と基板10との接合が確保され、十分な接着強度が得られる。
【0017】
図2Aの要部Cの拡大図を図2Cに示す。図2Cに示すように、接合部31の近傍にはダミーパターン42が設けられており、ダミーパターン42のエッジ42aが接合部31に対向している。これにより、接合部31と基板10との間から接着材50がはみ出したとしても、エッジ42aがこれを堰き止める壁面として機能する。その結果、接着材50が電極パッド42やボンディングワイヤ21に干渉することが防止される。これにより、LEDパッケージ1の信頼性が向上する。また、透光性カバー30の接合部31に傾斜部32を設けて接着剤50の逃がしの空間が形成されるため、基板10に当該逃がしの空間としての溝や凹部を設ける必要がなく、手間がかからず、コスト面で有利となる。
【0018】
本実施例では、接合部31において傾斜部32を接合部31の内縁に沿って設けたが、図3Aに示す変形例のように、接合部31の傾斜部340を接合部310の外縁に沿って設け、平面33を当該傾斜部340に連続して設けることとしてもよい。このようにすれば、接着剤50が透光性カバー30の外側に過度にはみ出さず、透光性カバー30の外側の電極パッド40や配線パターン41に干渉することが防止される。
また、図3Bに示す変形例のように、第1の傾斜部320を接合部310の内縁に沿って設けるとともに、第2の傾斜部340を接合部311の外縁に沿って設け、第1の傾斜部320と第2の傾斜部340の間に平面330を当該第1の傾斜部320及び第2の傾斜部340に連続して設けることとしてもよい。このようにすれば、透光性カバー30の内側及び外側の両方に対して、接着材50のはみ出しが防止され、接着材50がボンディングワイヤ21、電極パッド42、配線パターン41に干渉することが防止される。
【0019】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0020】
1 LEDパッケージ10 基板
20 LED素子
21 ボンディングワイヤ
30 透光性カバー
31、310、311 接合部
32 傾斜部
320 第1の傾斜部
340 第2の傾斜部
33 平面部
40 電極パッド
41 配線パターン
42 ダミーパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、該基板に実装されるLED素子と、前記基板に接着材を介して取り付けられ、前記LED素子を囲繞するドーム状の透光性カバーとを、備えるLEDパッケージであって、
前記透光性カバーの前記基板に対する接合部が傾斜部と平面部とを備え、
前記傾斜部は前記基板に対して傾斜し、該接合部の内縁及び/又は外縁に沿い、
前記平面部は前記傾斜部に連続し、前記基板に当接する、ことを特徴とするLEDパッケージ。
【請求項2】
前記傾斜部及び前記平面部が、前記接合部の全域に形成されている、請求項1に記載のLEDパッケージ。
【請求項3】
前記基板には配線パターンが形成され、該配線パターンのエッジの一部が前記接合部に対向する、請求項1又は2に記載のLEDパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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