説明

LEDモジュールの製造方法

【課題】コストを削減できるとともに供給不足を解消できるLEDモジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】一方向に延びた回路基板12上に複数のLED11を実装したLEDモジュール10の製造方法において、長尺の基材13上にLED11に対応して同一の回路パターン17が長手方向に繰り返し形成された基板素材21を設け、基板素材21に所定数のLED11を実装するLED実装工程33と、基板素材21を所定の長さに切断して回路基板12を形成する切断工程39とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板上に複数のLEDを実装したLEDモジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は従来のLEDモジュールの平面図を示している。LEDモジュール10は液晶表示装置の液晶パネルを照明するバックライト等に搭載され、回路基板12上に複数のLED11が実装される。
【0003】
回路基板12は一方向に延びたバー状に形成され、ガラスエポキシ等の基材上に銅箔等の配線層が積層される。回路基板12の配線層には所定の配線16aを伴う回路16が形成され、複数のLED11が長手方向に並設して実装される。回路基板12の一端には外部のコネクタに接続される端子部18が設けられる。
【0004】
端子部18から外部電力が供給されると、回路16を介してLED11に電力が供給される。これにより、LED11が発光して液晶パネル等を照明する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2009/142192号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のLEDモジュール10によると、液晶表示装置等のサイズに応じて実装されるLED11の数量が異なり、回路基板12の長さも異なる。このため、液晶表示装置の型式等に応じて複数機種のLEDモジュール10の製造を行う必要がある。
【0007】
これにより、設計工数、金型費用や機種切替え等の製造工数、多機種の管理工数等が大きくなるとともに、市場動向による在庫リスクが大きくなる。従って、LEDモジュール10のコストが大きくなるとともに特定の機種の需要が大きくなると供給不足になる問題があった。
【0008】
本発明は、コストを削減できるとともに供給不足を解消できるLEDモジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は、一方向に延びた回路基板上に複数のLEDを実装したLEDモジュールの製造方法において、長尺の基材上に前記LEDに対応する同一の回路パターンが長手方向に繰り返し形成された基板素材を設け、前記基板素材に所定数の前記LEDを実装するLED実装工程と、前記基板素材を所定の長さに切断して前記回路基板を形成する切断工程とを備えることを特徴としている。
【0010】
この構成によると、長尺の基材上に同一の回路パターンが繰り返し形成された基板素材上に機種に応じた数のLEDがLED実装工程で実装される。切断工程では基板素材が機種に応じた長さに切断される。LED実装工程の後に切断工程を行ってもよく、切断工程の後にLED実装工程を行ってもよい。
【0011】
また本発明は、上記構成のLEDモジュールの製造方法において、各前記回路パターンがそれぞれ端子部を有し、コネクタに接続される一の前記回路パターンの前記端子部を除く他の前記端子部を前記切断工程で除去したことを特徴としている。この構成によると、複数の回路パターンに対応して複数の端子部が形成され、切断工程で一の回路パターンの端子部を残して他の端子部が除去される。LEDモジュールに実装されたLEDには残された端子部を介して電力が供給される。
【0012】
また本発明は、上記構成のLEDモジュールの製造方法において、前記切断工程で前記回路パターンに含まれる不要な配線を分断する貫通孔を形成したことを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成のLEDモジュールの製造方法において、前記基板素材がロール状に形成され、前記LED実装工程の後に前記切断工程が行われることを特徴としている。この構成によると、ロール状の基板素材が複数の工程を順に設けたLEDモジュールの製造ライン上に一端を引き出して配される。LED実装工程では基板素材上にLEDが実装される。その後、切断工程で基板素材が所定の長さに切断される。これにより、所定長さの回路基板上にLEDを実装したLEDモジュールが得られる。
【0014】
また本発明は、上記構成のLEDモジュールの製造方法において、前記基材がポリイミドまたは厚みが0.06mm以下のガラスエポキシにより形成されることを特徴としている。この構成によると、ロール状の基板素材を容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、長尺の基材上にLEDに対応して同一の回路パターンが長手方向に繰り返し形成された基板素材を設け、LED実装工程で基板素材にLEDを実装して切断工程で基板素材を所定の長さに切断するので、LEDの数量及び回路基板の長さが異なる複数機種のLEDモジュールを同一の基板素材を用いて容易に形成することができる。従って、LEDモジュールのコストを削減できるとともに供給不足を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態の表示装置を示す平面図
【図2】本発明の第1実施形態の表示装置のLEDモジュールを示す平面図
【図3】本発明の第1実施形態の表示装置のLEDモジュールの回路基板を示す側面断面図
【図4】本発明の第1実施形態の表示装置のLEDモジュールの製造ラインで用いる基板素材を示す斜視図
【図5】本発明の第1実施形態の表示装置のLEDモジュールの製造ラインで用いる基板素材を示す平面図
【図6】本発明の第1実施形態の表示装置のLEDモジュールの製造ラインを示す図
【図7】本発明の第2実施形態の表示装置を示す平面図
【図8】従来のLEDモジュールを示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は第1実施形態の表示装置の平面図を示している。表示装置1は液晶テレビやモバイル端末等を構成し、液晶パネル等の表示パネル2の背面にバックライト3が配される。バックライト3は導光板4及びLEDモジュール10を備えた所謂エッジライト型に構成される。
【0018】
導光板4は平面視矩形の樹脂成形品から成り、表示パネル2に出射面4bを対向して配される。LEDモジュール10は導光板4の周面の入射面4aに沿って一方向に延びて設けられ、回路基板12上に複数のLED11が実装される。LED11の出射光が入射面4aから導光板4に入射して導光し、出射面4bから照明光が出射される。これにより、表示パネル2上に画像が表示される。
【0019】
図2はLEDモジュール10の平面図を示している。説明の便宜上、前述の図8に示す従来例と同様の部分には同一の符号を付している。LEDモジュール10は一方向に延びたバー状の回路基板12の一面に配線16aを伴う回路16が形成され、複数のLED11が長手方向に並設して実装される。
【0020】
また、回路基板12上には各LED11に対応して所望の方向に光を出射させるレンズ(不図示)が実装される場合もある。回路基板12の一端にはLED11の駆動回路側のコネクタに接続される端子部18が形成される。
【0021】
図3は回路基板12の側面断面図を示している。回路基板12は基材13の一面に回路16(図2参照)を形成する配線層15が積層され、他面に放熱層14が積層される。基材13は約25μmの厚みのポリイミドにより形成される。基材13を0.06mm以下の厚みのガラスエポキシにより形成してもよい。基材13としてポリイミドやガラスエポキシを用いると薄型化しても強度を確保することができる。
【0022】
配線層15は例えば、35μmの厚みの銅箔等により形成される。放熱層14は例えば、厚みが35μmの銅箔や、厚みが0.3mm以下のアルミニウム箔により形成される。LED11の発熱は基材13を介して放熱層14に伝えられ、放熱層14から放熱される。
【0023】
基材13、配線層15及び放熱層14の厚みが薄いため、回路基板12は可撓性を有するフィルム状に形成されたフレキシブル基板になっている。
【0024】
図4はLEDモジュール10の製造ライン30(図6参照)で用いられる基板素材21の斜視図を示している。基板素材21は長尺の基材13上に配線層15及び放熱層14が積層され、可撓性を有するため巻回してロール状に形成される。後述するように基板素材21を切断して回路基板12が得られる。
【0025】
ポリイミドを基材13とする基板素材21の製造時には、まずポリイミドから成る基材13の表面にポリイミドの前駆体であるポリアミック酸が塗布される。次に、配線層15及び放熱層14を形成する金属箔を熱ラミネートした後、熱硬化処理される。これにより、基材13の両面の直上にそれぞれ配線層15及び放熱層14が形成される。
【0026】
配線層15及び放熱層14の一方の金属箔上にポリイミドの前駆体を塗布し、他方を熱ラミネートした後に熱硬化処理してもよい。これにより、ポリイミドの前駆体が熱硬化してポリイミドから成る基材13を形成することができる。
【0027】
ガラスエポキシを基材13とする基板素材21を形成する場合は、基材13の両面に接着剤が塗布される。次に、配線層15及び放熱層14を形成する金属箔を熱ラミネートした後、熱硬化処理される。これにより、基材13の両面にそれぞれ接着剤を介して配線層15及び放熱層14が形成される。
【0028】
基材13をポリイミドにより形成すると、配線層15や放熱層14と基材13との間に基材13と材質の異なる接着層が形成されない。このため、回路基板12の熱伝導性の低下を抑制することができる。
【0029】
図5は基板素材21の平面図を示している。基板素材21は配線層15をエッチングして配線16aを伴う回路16が形成される。回路16は基板素材21上に実装されるLED11に対応する同一の回路パターン17が長手方向に繰り返されている。各回路パターン17には外部のコネクタとの接続を行う端子部18が設けられる。後述するように、基板素材21を切断して回路基板12(図中、一点鎖線で示す)を形成する際に、一の回路パターン17の端子部18を残して他の回路パターン17の端子部18が除去される。
【0030】
図6はLEDモジュール10の製造ラインを示す図である。製造ライン30はクリーム半田工程31、第1検査工程32、LED実装工程33、リフロー半田工程34、第2検査工程35、レンズ実装工程36、熱硬化工程37、粘着テープ貼着工程38、切断工程39が順に配される。製造ライン30の先頭にはロール状の基板素材21が配され、先端を引き出された基板素材21が製造ライン30上に送り出される。
【0031】
クリーム半田形成工程31は基板素材21の配線部15上の所定位置にクリーム半田を印刷等により形成する。第1検査工程32は基板素材21上のクリーム半田の外観等を検査する。LED実装工程33はクリーム半田上にLED11(図1参照)を載置して仮接着する。リフロー半田工程34はクリーム半田を溶融してLED11を半田付けする。第2検査工程35はLED11を半田付けした基板素材21の外観等を検査する。
【0032】
レンズ実装を行う場合はレンズ実装工程36が行われ、接着剤を塗布したレンズ(不図示)を基板素材21上に仮接着する。熱硬化工程37はレンズの接着剤を熱硬化して基板素材21にレンズを固着する。粘着テープ貼着工程38は基板素材21の放熱層14の一面に粘着テープを貼着する。
【0033】
切断工程39は金型の打ち抜きによって基板素材21を機種に応じて所定長さに切断する。これにより、一方向に延びた回路基板12上に複数のLED11を実装したLEDモジュール10(図2参照)が得られる。この時、前述の図2に示すように、一の回路パターン17の端子部18を残して他の回路パターン17の端子部18が除去される。また、回路パターン17に含まれる不要な配線16aが貫通孔19により分断される。そして、順に基板素材21が送り出され、LEDモジュール10が順に形成される。
【0034】
本実施形態によると、長尺の基材13上にLED11に対応して同一の回路パターンが長手方向に繰り返し形成された基板素材21を設け、LED実装工程33で基板素材21にLED11を実装して切断工程39で基板素材21を所定の長さに切断するので、LED11の数量及び回路基板12の長さが異なる複数機種のLEDモジュール10を同一の基板素材21を用いて容易に形成することができる。
【0035】
従って、LEDモジュール10の設計工数、製造工数及び管理工数を削減してコストを削減することができる。また、複数の機種のLEDモジュール10を迅速に製造できるため特定の機種の需要が大きくなった際に供給不足を解消することができる。
【0036】
また、一の回路パターン17に設けた端子部18を除く他の端子部18を切断工程39で除去したので、外部のコネクタに接続される端子部18を容易に形成することができる。
【0037】
また、切断工程39で回路パターン17に含まれる不要な配線16aを分断する貫通孔19を形成したので、LED11が実装される回路基板12上に所望の回路16を容易に形成することができる。
【0038】
また、基板素材21がロール状に形成され、LED実装工程33の後に切断工程39が行われるので、基板素材21を製造ライン30上に送り出してLED11を実装し、基板素材21を所定の長さに切断してLEDモジュール10を容易に得ることができる。また、製造ライン30上に回路基板12を搬送する搬送パレットを必要とせず、LEDモジュール10のコストをより削減することができる。加えて、短冊状の回路基板12上にLED11を実装する際に生じる回路基板12の捩れによる歩留り低下や工数の増加を回避することができる。
【0039】
尚、基板素材21を機種に応じた長さに切断して回路基板12を形成した後、回路基板12上にLED11を実装してもよい。これにより、本実施形態よりもコスト削減効果が低下するが、複数の機種のLEDモジュール10を容易に製造することができる。
【0040】
また、基板素材21の基材13がポリイミドまたは厚みが0.06mm以下のガラスエポキシにより形成されるので、基板素材31を容易にロール状に形成することができる。
【0041】
本実施形態において、基板素材21の長手方向に直交する幅方向にも回路パターン17を並設して回路パターン17をマトリクス状に形成してもよい。これにより、切断工程で基板素材21の長手方向及び幅方向に切断して複数列のLEDモジュール10を同時に形成することができる。
【0042】
次に、図7は第2実施形態の表示装置の平面図を示している。説明の便宜上、前述の図1〜図6に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。表示装置1は液晶パネル等の表示パネル2の背面にバックライト3が配される。バックライト3は表示パネル2に面して一方向に延びる複数のLEDモジュール10を並設した所謂直下型に構成される。LED11の出射光により表示パネル2を照明して表示パネル2上に画像が表示される。
【0043】
各LEDモジュール10は第1実施形態と同様に構成される。即ち、長尺の基材13上にLED11に対応した同一の回路パターン17が長手方向に繰り返し形成された基板素材21(図5参照)を切断してLEDモジュール10が形成される。従って、第1実施形態と同様に、LED11の数量及び回路基板12の長さが異なる複数機種のLEDモジュール10を同一の基板素材21を用いて容易に形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明によると、液晶テレビやモバイル端末等の液晶表示パネルのバックライト等に利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 表示装置
2 表示パネル
3 バックライト
4 導光板
10 LEDモジュール
11 LED
12 回路基板
13 基材
14 放熱層
15 配線層
16 回路
16a 配線
17 回路パターン
18 端子部
19 貫通孔
21 基板素材
31 クリーム半田工程
32 第1検査工程
33 LED実装工程
34 リフロー半田工程
35 第2検査工程
36 レンズ実装工程
37 熱硬化工程
38 粘着テープ貼着工程
39 切断工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延びた回路基板上に複数のLEDを実装したLEDモジュールの製造方法において、長尺の基材上に前記LEDに対応する同一の回路パターンが長手方向に繰り返し形成された基板素材を設け、前記基板素材に所定数の前記LEDを実装するLED実装工程と、前記基板素材を所定の長さに切断して前記回路基板を形成する切断工程とを備えることを特徴とするLEDモジュールの製造方法。
【請求項2】
各前記回路パターンがそれぞれ端子部を有し、コネクタに接続される一の前記回路パターンの前記端子部を除く他の前記端子部を前記切断工程で除去したことを特徴とする請求項1に記載のLEDモジュールの製造方法。
【請求項3】
前記切断工程で前記回路パターンに含まれる不要な配線を分断する貫通孔を形成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のLEDモジュールの製造方法。
【請求項4】
前記基板素材がロール状に形成され、前記LED実装工程の後に前記切断工程が行われることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のLEDモジュールの製造方法。
【請求項5】
前記基材がポリイミドまたは厚みが0.06mm以下のガラスエポキシにより形成されることを特徴とする請求項4に記載のLEDモジュールの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−16578(P2013−16578A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147258(P2011−147258)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】