説明

LEDランプ及びそのLEDランプを使用する自動車のランプ

【課題】自動車のランプとしてLEDを使用すると、アウターレンズを発熱させるほどの熱エネルギーがないため降雪地帯では、自動車のランプ、特に自動車のフォグランプやストップランプに付着した雪が融けずに見えなくなってしまう課題があった。
【解決手段】光エネルギーを吸収して発熱する透明素材20を混合して形成されたガラス及び樹脂から構成されるアウターレンズ2を有するLEDランプ1及びそのLEDランプ1を使用する自動車のランプによる。また、LEDランプ1が、波長800nm乃至900nmの赤外線LED61を有するLEDランプを使用する方が発熱効率がよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、LED(発光ダイオード)を光源とし、LEDの光エネルギーを吸収して発熱するアウターレンズを有するLEDランプ、特に自動車のフォグランプやストップランプに使用されるLEDランプに関する。なお、この明細書に記載される「LEDランプ」は、LEDを光源として使用する照明装置を意味する。
【背景技術】
【0002】
LEDは、光源として従来から使用されている白熱灯よりも電力の使用効率が良く、フィラメントを使わないため衝撃に強く、寿命が長い等の多くのメリットがあり、自動車の様々なランプへの使用も多くなっている。
【0003】
従来使用されているLEDを光源とする自動車のランプは、図5に示すようにアウターレンズ101とハウジング102とからなる中空箱状体の中にリフレクター103、インナーレンズ104、LED基盤105、コントロール基盤106を有していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしLEDの一般的な特性として、同照度の場合、従来のフィラメントを使用する白熱灯に比べ、不要な赤外線などを含まないため発熱量が少ない。そのため自動車のランプとしてLEDを使用すると、アウターレンズを発熱させるほどの熱エネルギーがないため冬期、特に降雪地帯では、自動車のランプ、特に自動車のフォグランプやストップランプに付着した雪が融けずに見えなくなってしまう課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、光エネルギーを吸収して発熱する透明素材を混合して形成されたガラス及び樹脂から構成されるアウターレンズを有することを特徴とするLEDランプを提案する。
【0006】
また、光エネルギーを吸収して発熱する透明素材を混合して形成されたガラス及び樹脂から構成されるアウターレンズを有するLEDランプを使用することを特徴とする自動車のランプを提案する。
【0007】
更に、LEDランプが、波長800nm乃至900nmの赤外線LEDを有する0005に記載されているLEDランプを提案する。
【0008】
更にまた、LEDランプが、波長800nm乃至900nmの赤外線LEDを有するLEDランプである0008に記載されている自動車のランプを提案する。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、LEDランプのアウターレンズを、LEDの光エネルギーを吸収して発熱する透明素材を混合して形成されたガラス及び樹脂から構成されることによってアウターレンズを従来より発熱させることができるので、降雪地帯においてランプとして使用する場合、融雪効果がある。
【0010】
また、降雪地帯を走る自動車においては、ヘッドランプの他、フォグランプやストップランプに使用することにより、アウターレンズの発熱によって雪が付着することを防止することができる。特にフォグランプやストップランプは、運転するドライバーから見えにくいため自発的に融雪させることが必要であるが、この発明によれば発光熱源の熱を吸収し自発的に融雪させることができ、融雪性が向上し雪の付着によるフォグランプやストップランプが見えなくなり交通事故の危険性が高まる問題点を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
この発明の第1実施形態であるLEDランプ、詳細には自動車に使用されるLEDランプの縦断面図である図1、この発明の第2実施形態である自動車に使用されるLEDランプの縦断面図である図2、アウターガラスの透明素材の構成分布の例を示す説明図である図3及び図4に基づいて説明する。
【0012】
この発明の第1実施形態である自動車に使用されるLEDランプ1aは、図1に示すようにアウターレンズ2と、ハウジング3と、リフレクター4、インナーレンズ5、LED基盤6a、コントロール基盤7とを有し、アウターレンズ2と、ハウジング3は中空箱状体を形成しており、中空箱状体の中にリフレクター4、インナーレンズ5、LED基盤6a、コントロール基盤7とを設ける。LED基盤6aは、一般的な波長660mmの赤色LED60を使用している。
【0013】
アウターレンズ2は、LED基盤6aからの光エネルギーを吸収して発熱する透明素材、例えば近赤外線吸収剤を添加剤としてアウターレンズ2の材料であるガラス及び樹脂と混合して形成される。このLED基盤6aからの光エネルギーを吸収して発熱する透明素材が混合されたレンズ部分20は、図3に示すようにアウターレンズ2の全面に行き渡るように混合してもよいが、図4に示すように意匠性を考慮してアウターレンズ2の必要な部位にのみ混合して構成してもよい。
【0014】
次に、この発明の第2実施形態である自動車に使用されるLEDランプについて図2に基づいて説明する。
【0015】
この発明の第2実施形態である自動車に使用されるLEDランプ1bは、図1に示すようにアウターレンズ2と、ハウジング3と、リフレクター4、インナーレンズ5、LED基盤6b、コントロール基盤7とを有し、アウターレンズ2と、ハウジング3は中空箱状体を形成しており、中空箱状体の中にリフレクター4、インナーレンズ5、LED基盤6b、コントロール基盤7とを設ける。
【0016】
LED基盤6bは、波長660mmの赤色LED60の他に波長800nm乃至900nmの赤外線LED61を有している。
【0017】
第2実施形態のアウターレンズ2は、第1実施形態と同じでLED基盤6bからの光エネルギーを吸収して発熱する透明素材は、例えば近赤外線吸収剤を添加剤としてアウターレンズ2の材料と混合して形成される。第2実施形態のLED基盤6bからは、通常の赤色LED60より波長の長い熱量に変換されやすい波長800nm乃至900nmの赤外線LED61を光源としているため、より熱量向上率が向上する。
【0018】
第2実施形態においても、LED基盤6bからの光エネルギーを吸収して発熱する透明素材が混合されたレンズ部分20は、図3に示すようにアウターレンズ2の全面に行き渡るように混合してもよいが、図4に示すように意匠性を考慮して必要な部位にのみ混合して構成してもよいことは第1実施形態と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
この発明は、LEDを光源とするランプ、特に降雪地帯で使用される自動車のフォグランプ、ストップランプ、ヘッドランプとして使用されるLEDランプに利用される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の第1実施形態である自動車に使用されるLEDランプの縦断面図
【図2】この発明の第2実施形態である自動車に使用されるLEDランプの縦断面図
【図3】この発明のLEDランプのアウターガラスの透明素材の構成分布の例を示す説明図
【図4】この発明のLEDランプのアウターガラスの透明素材の構成分布の例を示す説明図
【図5】従来使用されているLEDを光源とする自動車のLEDランプの縦断面図
【符号の説明】
【0021】
1a LEDランプ(第1実施形態)
1b LEDランプ(第2実施形態)
2 アウターレンズ
20 透明素材が混合されたレンズ部分
3 ハウジング
4 リフレクター
5 インナーレンズ
6a LED基盤(第1実施形態)
6b LED基盤(第2実施形態)
60 赤色LED
61 赤外線LED
7 コントロール基盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光エネルギーを吸収して発熱する透明素材を混合して形成されたガラス及び樹脂から構成されるアウターレンズを有することを特徴とするLEDランプ。
【請求項2】
光エネルギーを吸収して発熱する透明素材を混合して形成されたガラス及び樹脂から構成されるアウターレンズを有するLEDランプを使用することを特徴とする自動車のランプ。
【請求項3】
LEDランプが、波長800nm乃至900nmの赤外線LEDを有する請求項1に記載されているLEDランプ。
【請求項4】
LEDランプが、波長800nm乃至900nmの赤外線LEDを有するLEDランプである請求項2に記載されている自動車のランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−9854(P2010−9854A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166142(P2008−166142)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000157083)関東自動車工業株式会社 (1,164)
【Fターム(参考)】