説明

LED用パッケージ

【課題】耐熱性、放熱性、さらには照明機能に優れるLED用パッケージを提供する。
【解決手段】金属材8表面の全体に絶縁層10が付設されてなるLED用パッケージである。金属材としてはAl、Cu、Mg等が好適に用いられる。また、AlまたはMgよりなる金属材8の表面にプラズマ酸化によりPPC処理を行うことで絶縁層10が形成される。このパッケージの搭載部上にLEDチップが搭載され、上面の凹み部全体に封止樹脂が充填される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、LED用パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来におけるLED用パッケージは、例えば、PPA(ポリフタルアミド)樹脂により形成されているが、最近においてLEDの高出力化が進み高温となることで変色、溶解等の問題が発生している。また、高出力となるとジャンクション温度が上昇してLEDの発光効率が低下するのでその熱を逃がす必要があるが、現状のPPA樹脂製パッケージではその放熱性能に限界があった。とくに最近では低価格のLEDTVの開発が進められており、その際にはLEDの搭載数量が少なくされることによりきわめて高出力のLEDが必要とされ、現状のPPA樹脂製パッケージはその使用に限界があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は上記の事情に鑑みて行ったものであり、耐熱性、放熱性に優れるLED用パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の発明(請求項1の発明)では金属材表面の全体に絶縁層が付設されてなるLED用パッケージを提供する。上記構成のLED用パッケージは基材が金属製であることで耐熱性に優れ、かつ、熱伝導性が良いことで放熱性に優れる。基材として金属を用いているが表面に絶縁層が付されていることで電気的に支障なく用いられる。金属材としてはAl、Cu、Mg等が好適に用いられる。絶縁層は適宜の方法により形成され、例えば、陽極酸化処理等により形成される。
【0005】
第2の発明(請求項4の発明)ではAlまたはMgよりなる金属材の表面にPPC処理による絶縁層が形成されてなるLED用パッケージを提供する。上記構成のLED用パッケージは基材が金属製であることで耐熱性に優れ、かつ、熱伝導性が良いことで放熱性が優れる。基材として金属を用いているが表面に絶縁層が付されていることで電気的に支障なく用いられる。さらに、PCC処理によって形成される絶縁層が白色のアルミナ系セラミック皮膜よりなることで反射率が高く、これにより、照明機能の高いLED用パッケージが得られる。
【発明の効果】
【0006】
第1の発明によれば、耐熱性、放熱性に優れて高出力LEDに好適に用いられるLED用パッケージが得られる。また、第2の発明によれば、耐熱性、放熱性に優れるとともに、さらに、照明機能に優れる高出力LEDに好適に用いられるLED用パッケージが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】この発明のLED用パッケージの外観斜視図
【図2】この発明のLED用パッケージの断面図
【図3】この発明のLED用パッケージの部分拡大断面図
【図4】この発明のLED用パッケージの変形例の外観斜視図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0008】
図1はこの発明のLED用パッケージの外観斜視図、図2は同断面図、図3は部分拡大図である。LEDパッケージ1は平面形状を長方形とし、底部5とその周囲から立ち上がる周壁7とからなり、底部5の中央にはLEDチップの搭載部2が形成されその両側位置に端子金具の配置穴3が設けられている。LEDパッケージ1はAlよりなる基材8の表面の全体に絶縁層10が付設されて構成されている。
【0009】
上記LEDパッケージ1の製造方法を説明する。まず、Al原材料から冷感鍛造プレスより所定の形態の基材8を作成し、次に、その基材8をメッキ槽内に浸漬して陽極酸化処理することでその表面に絶縁層10を形成して製造した。
【0010】
図2に点線で示すように、搭載部2上にLEDチップ15が搭載され、端子金具17のそれぞれが下方から配置穴3それぞれに嵌め込まれて取り付けられるとともに所定の配線が行われ、さらに上面の凹み部の全体に封止樹脂19が充填されてLEDが完成される。
【実施例2】
【0011】
その外形は実施例1のものと同様であるので図示は省略する。この実施例では基材としてCuを用い、Cu原材料から冷感鍛造プレスより所定の形態の基材を作成し、次に、陽極酸化処理することでその表面全体に絶縁層を形成して製造した。
【実施例3】
【0012】
その外形は実施例1のものと同様であるので図示は省略する。この実施例では基材としてMgを用い、Mg原材料からインジェクション成形により所定の形態の基材を作成し、以下は上記実施例1のものと同様にして絶縁層を形成して製造した。
【実施例4】
【0013】
その外形は実施例1のものと同様であるので図示は省略する。この実施形態では第1の実施形態と同様にしてAl原材料から所定形態の基材を作成し、次に、その基材の表面の全体にプラズマ酸化によりPPC処理を行うことで絶縁層を形成して製造した。
【実施例5】
【0014】
その外形は実施例1のものと同様であるので図示は省略する。この実施形態では第3の実施形態と同様にしてMg原材料から所定形態の基材を作成し、次に、その基材の表面の全体にプラズマ酸化によりPPC処理を行うことで絶縁層を形成して製造した。
【0015】
上記実施例それぞれのLEDパッケージは、従来のPPA樹脂製のパッケージに比較して耐熱性、放熱性が明らかに優れることが確認された。これは基材が金属製であることによるもので、放熱性は熱伝導が良いことに起因する。基材として金属を用いているが表面に絶縁層が付されていることで何ら短絡等の問題が発生することなく使用できた。
【0016】
とくに、実施例1のものは基材がAlであって熱伝導性が良いことで耐熱性、放熱性が優れ、表面の反射率が高く照明機能に優れるものが得られ、また、価格も安く提供される。実施例2のものは基材がCuであるのできわめて熱伝導性が良いことで耐熱性、放熱性がとくに優れるものが得られた。実施例3のものは基材がMgであることでインジェクション成形により精巧な形状のものが得られた。
【0017】
また、実施例4と実施例5のものは、絶縁層がPCC処理によりが設けられていることで照明効率がきわめて良好なものとなった。これは、PCC処理による絶縁層がアルミナ系セラミック皮膜であり、それが白色に近く反射率が高いことによる。
【0018】
(変形例)
図4は外形が異なる形態とする変形例を示し、金属基材の表面には絶縁層を備えている。このLED用パッケージ1では上記実施例それぞれの端子金具の配置穴が設けられず、係止突起20のそれぞれが設けられており、この係止突起20に係止穴が嵌め込まれることで端子金具が取り付けられる構成となっている。
【符号の説明】
【0019】
1 LED用パッケージ
10 絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属材表面の全体に絶縁層が付設されてなるLED用パッケージ。
【請求項2】
前記金属材がAl、CuまたはMgである請求項1記載のLED用パッケージ。
【請求項3】
前記絶縁層が陽極酸化処理により形成される請求項1または2記載のLED用パッケージ。
【請求項4】
AlまたはMgよりなる金属材の表面にPPC処理による絶縁層が形成されてなるLED用パッケージ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate