説明

LED装置および灯火装置

【課題】LEDの光出力を最適に利用できるように、LEDの改善された放熱によって優れた、表面実装されたLED装置、および、立体的形態の異なる空間的形態を簡単に実現可能であるLED装置が得られることになる。
【解決手段】プラスチック材料からなる導電性プレート(1)と、該導電性プレート(1)の主要面積上に対応配置された複数のLED(2)と、金属性層(4)とを有し、該金属性層(4)は、該導電性プレート(1)のLEDに向けられていない側の上に備えられている表面実装されたLED装置において、LED(2)が、表面実装可能なLEDであり、冷却体(3)が、導電性プレート(1)のLED(2)に向けられていない側と接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殊に例えば自動車の外部灯火の場合に使用できるような灯火ケーシング中に組み込むことができる請求項1の上位概念によるLED−装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の外部灯火及び内部灯火の分野で、殊に尾灯又は制動灯等には、LEDが、より長い寿命、電気エネルギーを可視光スペクトル領域の光線エネルギーに変換する際のより良好な効率、これと結びついたより少ない発熱量及び全体により小さな所要面積を有しているので、従来の白熱電球の代わりに発光ダイオード(LED)が、規模を拡大させつつ使用されている。しかしながら、白熱電球に比して個々のLEDの小さな輝度に基づき、アレーを形成した多数のLEDが構成されていなければならないので、製造には、まず、ある程度多くの出費をしなければならない。
【0003】
この種のアレーは、表面実装技術(SMT、表面実装技術)で、例えば導電性プレート(PCB、プリント回路板)の上に、多数のLEDが取り付けられていてもよい。この場合、例えば図1と関連して、雑誌Siemens Components 29(1991)、第4号、第147頁中のF.Moellmer及びG.Waitlの論文「SIEMENS SMT−TOPLED fuer die Oberflaechenmontage」に説明されているような1つのLED−構造形態が使用される。LEDの前記形態は、極めてコンパクトであり、場合によっては、連続配置又はマトリクス配置中でこの種のLEDの多数の配置を可能にする。
【0004】
しかし、例えばInGaAlPをベースとして構成されており、黄色光又は琥珀色光を放出するこの種のLEDのケーシングの中では、電気出力の約5%のみが光の形に変換されるにすぎないが、他方で、約95%が、熱の形に変換されている。この熱は、チップ裏面から部材の電気的接続を介して排出されている。構造形態に応じて、出願者によって公知の構造素子の場合にTOPLED又はPower TOPLEDの名称で、1つ又は3つ存在するカソード接続部を通して、まず、ケーシングから、導電性プレート上のはんだ付け点の上に熱が導かれる。このはんだ付け点から、熱は、まず、主として銅パッドに広がり、次に、導電性プレートの領域でのエポキシド樹脂材料中に広がる。引き続き、熱は、熱線及び熱対流によって、大面積的に周囲に放出される。FR4−白金材料上の個々のLEDの場合、熱抵抗は、なお相対的に低い(例えばPower TOPLED(R)タイプのLEDの場合に約180K/W)。
【0005】
しかしながら、多数のLEDが、互いに緊密に白金上に配置されている場合には、異なる挙動をする。各LEDについては、PCB上でより小さく区切られた面積が周囲への熱伝達に用いられている。従って、周囲へのPCBの熱抵抗は相対的に高くなっている。例えばPower TOPLEDタイプのLED及びFR4タイプの導電性プレートである場合には、6.5mmの部材の間隔では、550K/Wにまで熱抵抗が増大する。
【0006】
熱放出は、白金上の全ての熱発生部材、従って、LEDのすぐ近くの周囲に存在している予備抵抗、トランジスタ、MOS−FET又は制御ICから開始している。従って、白金上での熱発生及び不十分な放熱の結果、部材の破壊とならないようにするために、駆動電流を低下させなければならない。従って、LEDの光出力を完全には利用できない。
【0007】
自動車の灯火の前記の分野では、第3の制動光のためのLED−装置が使用される。これは、1行のアレーであり、その際、熱的問題は、まださほど重要になってはいない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】雑誌Siemens Components 29(1991)、第4号、第147頁中のF.Moellmer及びG.Waitlの論文「SIEMENS SMT−TOPLED fuer die Oberflaechenmontage」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の課題は、冒頭に記載した種類のLED−装置を、LEDの光出力を最適に利用できるように更に改良することである。殊に、本発明の課題は、LEDの改善された放熱によって優れた、表面実装されたLED−装置を記載することである。これ以外に、立体的形態の異なる空間的形態を簡単に実現可能であるLED装置が得られることになる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、請求項1の特徴部を有するLED−装置によって解決される。本発明の有利な他の態様及び本発明によるLED−装置を用いる有利な灯火装置は、請求項2から14の対象である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1Aは、本発明の基礎をなす実施態様の横断面図であり、表面実装されたLED装置の導電性プレートが冷却体に固定されており、図1Bは、良好な熱伝導性の層の1つの可能な構造を示す略図である。
【図2】図2A〜Cは、種々の形態の冷却体を有する本発明の変性された実施態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によれば、LED−装置は、導電性プレート及び該導電性プレート上に特に有利に表面実装された多数のLEDを備えているが、この場合、導電性プレートは、LEDに向けられていない側で冷却体に取り付けられており、前記の側では、導電性プレートによってLEDから電気的に絶縁されている良好な熱伝導性金属層を有している。従って、本発明は、殊に高いLED−密度の表面実装されたLED−装置の場合に、背後への熱誘導を促進しなければならないという認識に立っている。
【0013】
冷却体は、例えば銅又はアルミニウム又は冷却薄板からなっていてもよく、導電性プレートは、有利に熱伝導性ペースト、熱伝導性粘着剤、熱伝導性シート等で該冷却板に固定されている。該冷却体の裏面では、できるだけ良好な熱放射が可能でなければならない。この目的には、該冷却体は、例えば黒色に塗装されていてもよい及び/又は冷却ひれ及び/又は粗面を有していてもよい。
【0014】
更に、導電性プレートを構成するプラスチック材料は、一般に、熱を伝えにくいので、導電性プレートは、できるだけ薄くなければならない。導電性プレー値は、例えば可撓性導電性プレートであってもよい。可撓性導電性プレートは、通常、可撓性プラスチックから製造されている。これは、例えばポリエステルシート又はポリイミドシートからなっていてもよい。公知技術水準で自体公知のいわゆるフレックスボードの使用が特に有利である。これらのフレックスボードは、一般に、多層状の導電性プレートであり、多数のポリイミド担体シートから均一に構成されている。
【0015】
更に、銅パッドは、表面(SMT)実装技術を用いて取り付けられたLEDのはんだ付け面積を、熱が導電性プレートの裏面へ流れる前に、導電性プレート材料を通る熱の通り道を拡大させることが可能な程度に大きくしなければならない。有利に、冷却体に向けられた導電性プレートの主要面積は、積層中の収縮空洞の場合に、なお、別の粘着部位に対して横方向の熱伝導を可能にするために、銅又は別の金属で隠蔽されている。銅層は、導電性プレートの可撓性を得るために、導電性プレートに対して横方向に例えばメアンダー状にパターン付与されていてもよい。
【0016】
本発明によるLED−装置の場合、一定の立体的形態を有する冷却体が使用され、多数のLEDを有する主要面積上に設けられている可撓性の導電性プレートは、冷却体の成形又は湾曲した表面に併せて積層されている。これよって、特定の基準値に基づいて空間的に成形されたLEDモジュールを製造することができる。LEDモジュールとは、自動車の外部コンソールに場所を節約して合わせることができる。混種の特に実際的な実施例は、周囲の灯火(Rundumleuchte)であり、LED−アレーは、フレックスボード上で円筒状の冷却体の周囲に積層されている。
【0017】
LED装置は、有利にその導電性プレートと一緒に、装置ケーシング又は自動車ボデー等の良好な熱伝導性の表面部分領域上に載置されていてもよい。この場合、有利に、装置ケーシングもしくは自動車ボデー等は、冷却体として作用する。これは、就中、より少ない興行的製造費及び重量軽減につながる。従って、前記表面部分領域は、本発明の範囲内での冷却体である。
【0018】
他の有利な態様及び有利な実施態様は、以下に、実施例に基づいて、図1A〜2Cとの関連で詳細に説明してある。
【0019】
図1中に記載された基礎的な実施態様には、導電性プレート1、該導電性プレート上に、多数の有利に表面実装可能なLED2が全体に載置されている。この場合、導電性プレート1は、公知の方法で接続部を有しており、外接属部は、定義された位置で、LEDの実装のための接続面を有している。これらの接続面は、例えば表面実装デバイス(SMD)装備自動装置(Surface Mount Device−Bestueckungsautomaten)中にはんだ付け接合部を備えており、引き続く取り付け工程でLED2を、その電気的接点2aで前記の接続面にはんだ付けされている。
【0020】
この場合、導電性プレート1は、固定された導電性プレート、例えばFR4タイプであってもよいし、従って、本質的には、エポキシド樹脂材料から構成されている。あるいはまた、該導電性プレートは、可撓性導電性プレート、例えば上記のフレックスボードであってもよい。該導電性プレート1は、熱導電性粘着剤が、冷却体3の上に積層されており、該冷却体は、冷却薄板からなるか又は別の金属、例えば銅又はアルミニウムから仕上げられており、ひいては、高い熱伝導性を有している。
【0021】
冷却体に向けられた、導電性プレート1の主要面積は、積層における収縮空洞の場合に、なお、別の接着位置に対して横方向の熱伝導性を可能にするために、良好な熱伝導性層4、例えば銅層又は別の金属層で隠蔽されている。該銅層は、導電性プレートの可撓性を得るために、例えばメアンダー状(図1B)であってもよい。
【0022】
冷却体の、導電性プレート1に向けられていない側は、有利に、周囲への発熱量が最大になるように形成されている。このために、該表面は、黒色化されており及び/又は冷却ひれを備えさせている及び/又は別の適当な表面構造又は表面のざらつきで仕上げられている。
【0023】
図2A〜Cには、特定の立体的発光体を製造するために、如何に本発明を有利に利用できるかを記載している。図示された全ての場合には、まず、所望の形態を有する冷却体3が準備され、その際、表面が、発行面としての表面実装されたレート2からなるLED装置の載置によって形成されることになる。こうして、可撓性の導電性プレート1、例えばLED2のアレーを備えるフレックスボードが、冷却体3の上に積層されるのである。
【0024】
図2Aは、例えば横断面に、冷却体3の任意の湾曲を示しているが、該湾曲が、自動車の外部コンソールに場所を節約して合わせることができるので、有利に、自動車外部灯火、例えば方向指示器、尾灯又は制動灯等に使用できる。該冷却外は、例えば自動車ボデーの表面部分領域(例えばフェンダーの前照灯領域又は尾灯領域)又は装置ケーシング等の表面部分領域によって直接形成されていてもよい。
【0025】
図2Bの実施例において、緊急車両の場合に使用することができる周囲用灯火の軸方向の横断面が示されている。図2Bの周囲用灯火の場合、LED2空のアレーを備えたフレックスボード1は、管のように形成された円筒状の中空冷却体3の周囲に積層されている。この実施態様の場合、付加的にストランドに向かってアレーの軸方向に平行にのびるLEDがまとめられていてもよく、これらは、互いに時計回りに(矢印を見よ)駆動されるので、回転光を生じることになる。この場合、ある時点で、1つのストランド及び特定の数の互いに隣接したストランドは、同時に駆動させることができる。LED2は、更に、放射された光の集束のために、レンズ5を備えていてもよい。この実施態様には、従来の構造の周囲用灯火のために従来必要とされている実際に全ての機械的部材が省略されるという大きな利点がある。望ましい場合には、更に、円筒状の冷却体3には、放熱の更なる改善のためにガス、例えば空気又は冷却液を還流させることができる。
【0026】
図2Cには、投射図で、立体的な丸屋根状の光カバー(Lichtbaube)が記載されている。該光カバーは、上方平面及び4つの傾斜した側面を有する規則的な形を有しており、これらによって、それぞれ2つの側面が軸対称的に互いに配置されている。図2Cの図中では、冷却体は、フレックスボード1によって完全に覆われているので、冷却体自体は記載されていない。該フレックスボード1は、冷却体の平面に相応する数の領域を有しており、その中で、それぞれ、多数の、アレーに対して対応配置されたLED2が実装されている。該LED2は、望ましい場合には、放出された光の集束のためのレンズを備えていてもよい。この種の光カバーは、あらゆる種類の灯火の目的に使用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 導電性プレート、 2 LED、 2a 接点、 3 冷却体、 4 熱伝導性層、 5 レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック材料からなる導電性プレート(1)と、
該導電性プレート(1)の主要面積上に対応配置された複数のLED(2)と、
金属性層(4)と
を有し、
該金属性層(4)は、該導電性プレート(1)のLEDに向けられていない側の上に備えられている
表面実装されたLED装置において、
LED(2)が、表面実装可能なLEDであり、
冷却体(3)が、導電性プレート(1)のLED(2)に向けられていない側と接続されている
ことを特徴とする、表面実装されたLED装置。
【請求項2】
金属性層(4)が、銅又は良好な熱伝導性を有する別の金属を含有する、請求項1に記載のLED装置。
【請求項3】
導電性プレート(1)が、可撓性の導電性プレート、殊にフレックスボードである、請求項1又は2に記載のLED装置。
【請求項4】
LED(2)に向けられていない側を有する導電性プレート(1)が、冷却体(3)又は装置ケーシング又は自動車ボデーの良好な熱伝導性部分領域の湾曲又は1回又は数回屈曲した表面の上に、複数のLED(2)が湾曲又は1回又は数回屈曲した表面によって予め定められた空間的形態で対応配置されているように載置されていることを特徴とする、請求項3に記載のLED装置。
【請求項5】
金属性層(4)が、メアンダー状の横方向の構造を有している、請求項1から4までのいずれか1項に記載のLED装置。
【請求項6】
冷却体(3)が、金属、殊に銅又はアルミニウム又は薄板からなる、請求項1から5までのいずれか1項に記載のLED装置。
【請求項7】
冷却体(3)の、導電性プレート(1)に向けられていない表面が黒色化されており及び/又は冷却ひれ及び/又は表面のざらつきを有している、請求項1から6までのいずれか1項に記載のLED装置。
【請求項8】
LED(2)がレンズ(5)を備えている、請求項1から7までのいずれか1項に記載のLED装置。
【請求項9】
導電性プレート(1)が、金属性層(4)をLED(2)から電気的に絶縁している、請求項1から8までのいずれか1項に記載のLED装置。
【請求項10】
導電性プレート(1)が、FR4、エポキシド樹脂、ポリエステル又はポリイミドからなり、有利にポリエステルシート又はポリイミドシートの形である、請求項1から9までのいずれか1項に記載のLED装置。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか1項に記載のLED装置を有する灯火装置。
【請求項12】
自動車の外部用灯火、例えば方向指示器、尾灯又は制御灯であり、冷却体(3)が、自動車の外部コンソールに適合した湾曲を有するか又は自動車ボデーの表面部分領域である、請求項1から10までのいずれか1項に記載の灯火装置。
【請求項13】
周囲用灯火であり、冷却体(3)が、円筒状の中空体であり、該中空体の外壁に導電性プレート(1)が取り付けられている、請求項1から10までのいずれか1項に記載の灯火装置。
【請求項14】
軸方向に平行に延びる、アレーのLEDが、ストランドに向かって電気的にまとめられており、順次、回転して駆動させることができる、請求項11に記載の灯火装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−80127(P2012−80127A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−1359(P2012−1359)
【出願日】平成24年1月6日(2012.1.6)
【分割の表示】特願2000−617500(P2000−617500)の分割
【原出願日】平成12年5月12日(2000.5.12)
【出願人】(599133716)オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (586)
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D−93055 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】