説明

LNGサテライト設備

【課題】本発明は、安定的に温水を使用部へ供給できるLNGサテライト設備を提供することを目的とする。
【解決手段】LNG貯留タンク1と、LNG気化器2と、第1の温水バッファタンク3および第2の温水バッファタンク4と、第1の温水バッファタンク3内の温水を排出する第1の払出しノズル部5と、第2の温水バッファタンク4内の温水を排出する第2の払出しノズル部6と、第1の払出しノズル部5を通って排出された温水および第2の払出しノズル部6を通って排出された温水をLNG気化器2に供給する温水供給管7と、第1の検出部8と、第2の検出部9と、報知部10と、第1の検出部8から検出された第1の水圧の値と第2の検出部9から検出された第2の水圧の値との差が所定値以上になった場合に報知部10に異常を報知させる制御装置11と、を備えるLNGサテライト設備100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLNGを気化するためのサテライト設備に関する。特にLNGサテライト設備におけるLNG気化器を加温するための設備に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、天然ガス(以下、NGともいう)を使用する工場や共用施設等の需要地が液化天然ガス(以下、LNGともいう)を最初に受け入れる一次受入れ基地から離れている場合、需要地の近くに二次受入れ基地(サテライト基地)を配置し、このサテライト基地から需要地に天然ガスを供給する方法がとられている。このようなサテライト基地には、通常、LNGを貯留するLNG貯留タンクとともにLNGを気化させるLNG気化器が設置されており、LNG貯留タンクに貯留されたLNGは、LNG気化器により気化されて天然ガスとなり、需要地に供給される。このサテライト基地は、需要地に向け、常に安定して天然ガスを供給しなくてはならない。
【0003】
LNGサテライト設備に設置されるLNG気化器は、例えば、LNGを加温して気化させるために温水を利用している。従って、LNGサテライト設備においては、LNG気化器へ温水を供給するための温水を貯留する温水バッファタンクが用いられている。
【0004】
例えば、温水を貯留する温水槽の使用は、特許文献1に記載されている。特許文献1には、温水を貯留する温水槽の下部に温水生成器を備え、温水槽の下部から上部まで比較的温度差の少ない温水が貯留されて、高温の温水を温水槽の上部から使用部に供給する方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1で開示された方法では、1基の温水槽から使用部に温水を供給しているため、異物がタンク内に入り込んで温水の供給部が詰まった場合には、使用部への温水の供給が停止してしまう。温水の供給が一度停止すると、温水供給を再開しても、温水の温度および温水供給使用部の温度はすぐには回復せず、多大な損害を被る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−82912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は、安定的に温水を使用部へ供給できるLNGサテライト設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、LNGを気化するためのLNGサテライト設備であって、LNGが貯留されるLNG貯留タンクと、LNGを気化させて、ガスを生成するLNG気化器と、前記LNG気化器を加温するために供給される温水を貯留する第1の温水バッファタンクおよび第2の温水バッファタンクと、前記第1の温水バッファタンクの下部に設けられ温水を排出する第1の払出しノズル部と、前記第2の温水バッファタンクの下部に設けられ温水を排出する第2の払出しノズル部と、前記第1の温水バッファタンクから前記第1の払出しノズル部を通って排出された温水および前記第2の温水バッファタンクから前記第2の払出しノズル部を通って排出された温水を前記LNG気化器に供給する温水供給管と、前記第1の温水バッファタンクの水圧を検出する第1の検出部と、前記第2の温水バッファタンクの水圧を検出する第2の検出部と、前記LNG気化器に供給される温水の流れの異常を報知する報知部と、前記第1の検出部から検出された第1の水圧の値と前記第2の検出部から検出された第2の水圧の値との差が所定値以上になった場合に前記報知部に異常を報知させる制御装置と、を備えるLNGサテライト設備に関する。
【0009】
本発明のLNGサテライト設備によれば、第1の温水バッファタンクの水圧を検出する第1の検出部と、第2の温水バッファタンクの水圧を検出する第2の検出部とを設け、第1の検出部から検出された第1の水圧の値と第2の検出部から検出された第2の水圧の値との差が所定値以上になった場合に報知部に異常を報知させた。これにより、第1の温水バッファタンクまたは第2の温水バッファタンクのいずれか一方が詰まった場合に異常が報知される。よって、片方の温水バッファタンクに異常が生じた場合にももう一方の温水バッファタンクが正常に動作されるため、温水の供給が停止しない。その結果、温水を温水使用部に安定的に供給することができる。
【0010】
また、LNGサテライト設備は、前記第1の払出しノズル部に取り付けられ前記第1の温水バッファタンクの内方に突出して配置される第1のストレーナと、前記第2の払出しノズル部に取り付けられ前記第2の温水バッファタンクの内方に突出して配置される第2のストレーナと、をさらに備えることが好ましい。
【0011】
この発明によれば、第1の払出しノズル部に取り付けられ第1の温水バッファタンクの内方に突出して配置される第1のストレーナと、第2の払出しノズル部に取り付けられ第2の温水バッファタンクの内方に突出して配置される第2のストレーナと、を設けた。これにより、第1の温水バッファタンク内の温水中の異物が第1の払出しノズル部に進入するのを防止でき、第2の温水バッファタンク内の温水中の異物が第2の払出しノズル部に進入するのを防止できる。従って、払出しノズル部における異物の詰まりを軽減することができる。
【0012】
また、前記第1のストレーナおよび前記第2のストレーナの各々は、円筒形状であり、該円筒形状の周面に網目状部材が配置されていることが好ましい。
【0013】
この発明によれば、第1のストレーナおよび第2のストレーナの各々を、円筒形状とし、該円筒形状の周面に網目状部材を配置した。これにより、第1の払出しノズル部および第2の払出しノズル部の各々から排出される温水の吸い込み面積が増加することで流速が低下し、異物の吸い込みを軽減できる。また、網目状により、細かな異物も第1の払出しノズル部および第2の払出しノズル部に進入するのを防止できる。従って、払出しノズル部における異物の詰まりをさらに軽減することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、第1の温水バッファタンクの水圧を検出する第1の検出部と、第2の温水バッファタンクの水圧を検出する第2の検出部とを設け、第1の検出部から検出された第1の水圧の値と第2の検出部から検出された第2の水圧の値との差が所定値以上になった場合に報知部に異常を報知させた。これにより、第1の温水バッファタンクまたは第2の温水バッファタンクのいずれか一方が詰まった場合に異常が報知される。よって、片方の温水バッファタンクに異常が生じた場合にももう一方の温水バッファタンクが正常に動作されるため、温水の供給が停止しない。その結果、温水を温水使用部に安定的に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態のLNGサテライト設備を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態の第1のストレーナおよび第2のストレーナの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明のLNGサテライト設備100の一実施形態を示す模式図である。図2は、第1のストレーナ23および第2のストレーナ24の側面を示した図である。LNGサテライト設備100は、天然ガスを工場や共用施設等の需要地に供給することを目的として設置されている。
【0018】
図1に示すように、LNGサテライト設備100は、LNG貯留タンク1と、LNG気化器2と、第1の温水バッファタンク3と、第2の温水バッファタンク4と、第1の払出しノズル部5と、第2の払出しノズル部6と、温水供給管7と、第1の検出部8と、第2の検出部9と、報知部10と、制御装置としてのLNGサテライト設備制御装置11と、LNG供給管12と、NG供給管13と、温水生成部14と、温水送水管15と、蒸気生成部16と、蒸気供給管17と、ポンプ18と、温水返水管19、21、22と、温水返水管調節弁20と、第1のストレーナ23と、第2のストレーナ24と、LNG流通管25と、温水流通管26と、を備える。
【0019】
LNG貯留タンク1は、LNGローリー車(図示せず)により輸送されてきたLNGを貯留する。
【0020】
第1の温水バッファタンク3は、LNGをNGに気化させるために利用される温水を貯留する。
【0021】
第2の温水バッファタンク4は、LNGをNGに気化させるために利用される温水を貯留する。
【0022】
温水生成部14は、第1の温水バッファタンク3および第2の温水バッファタンク4のそれぞれに供給する温水を生成する。この温水生成部14は、例えば、ボイラー(図示せず)により構成される。
【0023】
温水送水管15は、温水生成部14と第1の温水バッファタンク3および第2の温水バッファタンク4とを連結する。温水送水管15は、下流側が、温水送水管27aと温水送水管27bとに分岐しており、温水送水管27aは、第1の温水バッファタンク3と連結し、温水送水管27bは、第2の温水バッファタンク4と連結する。温水送水管15の上流側は、温水生成部14と連結する。温水送水管15は、温水生成部14内の温水を第1の温水バッファタンク3および第2の温水バッファタンク4に供給する。
【0024】
蒸気生成部16は、第1の温水バッファタンク3および第2の温水バッファタンク4のそれぞれに供給する蒸気を生成する。蒸気生成部16は、例えば、ボイラー(図示せず)により構成される。蒸気生成部16によって生成された蒸気は、第1の温水バッファタンク3および第2の温水バッファタンク4内の温水を加温する。蒸気生成部16内には、第1の温水バッファタンク3および第2の温水バッファタンク4に供給する蒸気の量を調節する蒸気供給弁(図示せず)が設けられる。
【0025】
蒸気供給管17は、蒸気生成部16と第1の温水バッファタンク3および第2の温水バッファタンク4とを連結する。蒸気供給管17は、下流側が、蒸気供給管29aと蒸気供給管29bとに分岐しており、蒸気供給管29aは、第1の温水バッファタンク3と連結し、蒸気供給管29bは、第2の温水バッファタンク4と連結する。蒸気供給管17の上流側は、蒸気生成部16と連結する。蒸気供給管17は、蒸気生成部16内の蒸気を第1の温水バッファタンク3および第2の温水バッファタンク4に供給する。
【0026】
第1の払出しノズル部5は、第1の温水バッファタンク3内の温水を排出する。第1の払出しノズル部5は、第1の温水バッファタンク3の下部に備えられる。
【0027】
第2の払出しノズル部6は、第2の温水バッファタンク4内の温水を排出する。第2の払出しノズル部6は、第2の温水バッファタンク4の下部に備えられる。
【0028】
温水供給管7は、第1の払出しノズル部5および第2の払出しノズル部6とLNG気化器2とを連結する。温水供給管7は、第1の温水バッファタンク3から第1の払出しノズル部5を通って排出された温水および第2の温水バッファタンク4から第2の払出しノズル部6を通って排出された温水をLNG気化器2に供給する。温水供給管7の上流側は、第1の払出しノズル部5と連結する管と、第2の払出しノズル部6と連結する管とに分岐する。第1の払出しノズル部5と連結する管には、第1の温水バッファタンク3から供給される温水の量を調節する温水供給管調節弁7aが設けられ、第2の払出しノズル部6と連結する管には、第2の温水バッファタンク4から供給される温水の量を調節する温水供給管調節弁7bが設けられる。温水供給管7の下流側は、LNG気化器2と連結する温水供給管7cと、バイパス管7dとに分岐する。
【0029】
バイパス管7dの下流側の端部は、温水返水管19に連結される。バイパス管7dには、バイパス管7dを流れる温水の量を調節するバイパス管調節弁31が設けられる。バイパス管7dは、温水供給管7を流通する温水の一部を温水返水管19に送る。温水供給管7には、LNG気化器2に供給する温水の温度を測定する温度センサ(図示せず)が設けられる。
【0030】
ポンプ18は、温水供給管7に設けられる。ポンプ18は、第1の温水バッファタンク3および第2の温水バッファタンク4に貯留された温水を温水供給管7を介してLNG気化器2に供給する。
【0031】
LNG気化器2は、第1の温水バッファタンク3および第2の温水バッファタンク4から供給された温水を利用してLNGをNGに変換する。LNG気化器2は、LNG貯留タンク1から供給されたLNG(変換後はNG)が流通するLNG流通管25と、第1の温水バッファタンク3および第2の温水バッファタンク4から供給された温水が流通する温水流通管26と、を備える。
【0032】
LNG流通管25は、上流側がLNG貯留タンク1内のLNGをLNG気化器2に供給するLNG供給管12と連結する。LNG流通管25の下流側は、NG供給管13に連結される。LNG流通管25内で、LNG供給管12を介して供給されたLNGがNGに変換される。変換されたNGは、LNG流通管25内を流通し、NG供給管13に供給される。
【0033】
NG供給管13は、気化されたNGを需要地に供給する。NG供給管13のLNG流通管25側(LNG気化器2の出口)には、温度センサ30が設けられる。NG供給管13に設けられた温度センサ30は、変換されたNGの温度を測定する。
【0034】
温水流通管26は、上流側が温水供給管7cと連結され、下流側が温水返水管19と連結される。温水供給管7cから供給された温水流通管26内の温水が、LNG流通管25内のLNGを加温し、LNGがNGに変換される。温水流通管26内の温水は、温水流通管26内を流通し、温水返水管19に供給される。
【0035】
温水返水管19は、上流側が温水流通管26と連結される。温水返水管19の下流側は、温水返水管21および温水返水管22に連結される。温水返水管19は、温水流通管26およびバイパス管7dから供給された温水を温水返水管21または温水返水管22に送る。
【0036】
温水返水管21は、下流側が温水返水管28aと温水返水管28bとに分岐しており、温水返水管28aは、第1の温水バッファタンク3と連結し、温水返水管28bは、第2の温水バッファタンク4と連結する。温水返水管21は、温水返水管19を介して送られた温水を、第1の温水バッファタンク3および第2の温水バッファタンク4に戻す。第1の温水バッファタンク3および第2の温水バッファタンク4に戻された温水は、再び、LNG気化器2に供給されるために貯留される。
【0037】
温水返水管22は、下流側が温水生成部14に連結される。温水返水管22には、温水返水管21および温水返水管22を流れる温水の量を調節する温水返水管調節弁20が設けられる。温水返水管22は、温水返水管19を介して送られた温水を、温水生成部14に戻す。温水生成部14に戻された温水は、再び、加温される。
【0038】
第1の検出部8は、第1の温水バッファタンク3に設けられる。この第1の検出部8は、第1の温水バッファタンク3における水圧を検出する。第1の検出部8は、例えば、水圧を検出するセンサにより構成される。
【0039】
第2の検出部9は、第2の温水バッファタンク4に設けられる。この第2の検出部9は、第2の温水バッファタンク4における水圧を検出する。第2の検出部9は、例えば、水圧を検出するセンサにより構成される。
【0040】
報知部10は、LNG気化器2に供給される温水の異常が生じた場合に異常を報知する。また、報知部10は、NG供給管13を流通するNGの温度が所定値以下になった場合に異常を報知する。報知部10は、例えば、異常を報知するための警報器により構成される。
【0041】
LNGサテライト設備制御装置11は、異常報知制御装置111と、バイパス管調節弁制御装置112と、温水返水管調節弁制御装置113と、温水バッファタンク温度制御装置114と、を備える。
【0042】
異常報知制御装置111は、LNGサテライト設備100の異常を報知部10に報知させる。具体的には、異常報知制御装置111は、第1の検出部8で検出された第1の水圧の値と第2の検出部9で検出された第2の水圧の値との差が所定値以上になった場合、報知部10に異常を報知させる。また、異常報知制御装置111は、NG供給管13に設けられた温度センサ30によって測定されたNGの温度が所定値以下になった場合、報知部10に異常を報知させる。
【0043】
バイパス管調節弁制御装置112は、NG供給管13に設けられた温度センサ30に応じてバイパス管調節弁31の開閉状態を制御する。具体的には、バイパス管調節弁制御装置112は、温度センサ30によって測定されたNGの温度が所定値以上の場合、バイパス管調節弁31の開度を大きくさせ、そのNGの温度が所定値以下の場合、バイパス管調節弁31の開度を小さくさせる。
【0044】
温水返水管調節弁制御装置113は、第1の検出部8で検出された第1の水圧の値および第2の検出部9で検出された第2の水圧の値に応じて温水返水管調節弁20の開閉状態を制御する。具体的には、温水返水管調節弁制御装置113は、第1の水圧の値および第2の水圧の値が所定値以下になった場合、温水返水管調節弁20の開度を小さくさせ、その水圧の値が所定値以上になった場合、温水返水管調節弁20の開度を大きくさせる。
【0045】
温水バッファタンク温度制御装置114は、温水供給管7に設けられた温度センサに応じて蒸気生成部16に設けられた蒸気供給弁の開閉状態を制御する。具体的には、温水バッファタンク温度制御装置114は、温水供給管7に設けられた温度センサによって測定された温水の温度が所定値以下になった場合、蒸気供給弁の開度を大きくさせ、その温水の温度が所定値以上になった場合、蒸気供給弁の開度を小さくさせる。
【0046】
第1のストレーナ23は、円筒形状のストレーナ本体と、その本体の内面側に配置される網目状部材と、を備える。この第1のストレーナ23は、第1の払出しノズル部5に取り付けられ第1の温水バッファタンク3の内方に突出して配置される。第1のストレーナ23の一端部は、第1の払出しノズル部5と連結する。第1のストレーナ23の他端部は、閉鎖されている。第1のストレーナ23は、周面に複数の開口部があり、その開口部に内面側から網目状部材が設けられる。第1の温水バッファタンク3内の温水は、その開口部の網目状部材を通して第1の払出しノズル部5に排出される。
【0047】
第2のストレーナ24は、円筒形状のストレーナ本体と、その本体の内面側に配置される網目状部材と、を備える。この第2のストレーナ24は、第2の払出しノズル部6に取り付けられ第2の温水バッファタンク4の内方に突出して配置される。第2のストレーナ24の一端部は、第2の払出しノズル部6と連結する。第2のストレーナ24の他端部は、閉鎖されている。第2のストレーナ24は、周面に複数の開口部があり、その開口部に内面側から網目状部材が設けられる。第2の温水バッファタンク4内の温水は、その開口部の網目状部材を通して第2の払出しノズル部6に排出される。
【0048】
以上のサテライト設備100によれば、以下のような効果を奏する。
【0049】
第1の温水バッファタンク3の水圧を検出する第1の検出部8と、第2の温水バッファタンク4の水圧を検出する第2の検出部9とを設け、第1の検出部8から検出された第1の水圧の値と第2の検出部9から検出された第2の水圧の値との差が所定値以上になった場合に報知部10に異常を報知させた。これにより、第1の温水バッファタンク3または第2の温水バッファタンク4のいずれか一方が詰まった場合に異常が報知される。よって、片方の温水バッファタンクに異常が生じた場合にももう一方の温水バッファタンクが正常に動作されるため、温水の供給が停止しない。その結果、温水を温水使用部に安定的に供給することができる。
【0050】
第1の払出しノズル部5に取り付けられ第1の温水バッファタンク3の内方に突出して配置される第1のストレーナ23と、第2の払出しノズル部6に取り付けられ第2の温水バッファタンク4の内方に突出して配置される第2のストレーナ24と、を設けた。これにより、第1の温水バッファタンク3内の温水中の異物が第1の払出しノズル部5に進入するのを防止でき、第2の温水バッファタンク4内の温水中の異物が第2の払出しノズル部6に進入するのを防止できる。従って、払出しノズル部における異物の詰まりを軽減することができる。
【0051】
第1のストレーナ23および第2のストレーナ24の各々を、円筒形状とし、該円筒形状の周面に網目状部材を配置した。これにより、第1の払出しノズル部5および第2の払出しノズル部6の各々から排出される温水の吸い込み面積が増加することで流速が低下し、異物の吸い込みを軽減できる。また、網目状により、細かな異物も第1の払出しノズル部5および第2の払出しノズル部6に進入するのを防止できる。従って、払出しノズル部における異物の詰まりをさらに軽減することができる。
【0052】
バイパス管調節弁31と、バイパス管調節弁制御装置112とを設け、NG供給管13に設けられた温度センサ30によって測定されたNGの温度が所定値以下になった場合、バイパス管調節弁31の開度を小さくさせ、そのNGの温度が所定値以上になった場合、バイパス管調節弁31の開度を大きくさせた。これにより、温度センサ30によって測定されたNGの温度が所定値以下になった場合、LNG気化器2に供給する温水の量を増加させ、LNG気化器2の温度を上げることができる。そのNGの温度が所定値以上になった場合、LNG気化器2に供給する温水の量を減少させ、LNG気化器2の温度を下げることができる。従って、LNG気化器2内で変換されるNGの温度を一定に保持することができる。
【0053】
温水返水管調節弁20と、温水返水管調節弁制御装置113とを設け、第1の検出部8から検出された第1の水圧の値と第2の検出部9から検出された第2の水圧の値が、所定値以下になった場合、温水返水管調節弁20の開度を小さくさせ、その水圧の値が、所定値以上になった場合、温水返水管調節弁20の開度を大きくさせた。これにより、第1の温水バッファタンク3および第2の温水バッファタンク4における水圧が所定値以下になった場合、温水返水管21に流れる温水の量を増加させ、第1の温水バッファタンク3および第2の温水バッファタンク4に温水を再び戻すことができる。第1の温水バッファタンク3および第2の温水バッファタンク4における水圧が所定値以上になった場合、温水返水管21に流れる温水の量を減少させ、温水返水管22を介して温水を温水生成部14に戻すことができる。従って、LNGサテライト設備内を循環する温水を効率よく再利用することができ、温水バッファタンク3および温水バッファタンク4の水圧を一定のレベルに保持することができる。
【0054】
蒸気供給調節弁と、温水バッファタンク温度制御装置114とを設け、温水供給管7に設けられた温度センサによって測定された温度が所定値以下になった場合、蒸気供給調節弁の開度を大きくさせ、その温度が所定値以上になった場合、蒸気供給調節弁の開度を小さくさせた。これにより、温水供給管7における温水の温度が所定値以下になった場合、第1の温水バッファタンク3および第2の温水バッファタンク4に供給する蒸気の量を増加させ、温水の温度を上げることができる。温水供給管7における温水の温度が所定値以上になった場合、第1の温水バッファタンク3および第2の温水バッファタンク4に供給する蒸気の量を減少させることができる。従って、LNG気化器2に供給される温水の温度を一定に保持することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定しない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載された効果に限定されない。
【符号の説明】
【0056】
1 LNG貯留タンク
2 LNG気化器
3 第1の温水バッファタンク
4 第2の温水バッファタンク
5 第1の払出しノズル部
6 第2の払出しノズル部
7、7c 温水供給管
7a、7b 温水供給管調節弁
7d バイパス管
8 第1の検出部
9 第2の検出部
10 報知部
11 LNGサテライト設備制御装置
12 LNG供給管
13 NG供給管
14 温水生成部
15、27a、27b 温水送水管
16 蒸気生成部
17、29a、29b 蒸気供給管
18 ポンプ
19、21、22、28a、28b 温水返水管
20 温水返水管調節弁
23 第1のストレーナ
24 第2のストレーナ
25 LNG流通管
26 温水流通管
30 温度センサ
31 バイパス管調節弁
100 LNGサテライト設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LNGを気化するためのLNGサテライト設備であって、
LNGが貯留されるLNG貯留タンクと、
LNGを気化させて、ガスを生成するLNG気化器と、
前記LNG気化器を加温するために供給される温水を貯留する第1の温水バッファタンクおよび第2の温水バッファタンクと、
前記第1の温水バッファタンクの下部に設けられ温水を排出する第1の払出しノズル部と、
前記第2の温水バッファタンクの下部に設けられ温水を排出する第2の払出しノズル部と、
前記第1の温水バッファタンクから前記第1の払出しノズル部を通って排出された温水および前記第2の温水バッファタンクから前記第2の払出しノズル部を通って排出された温水を前記LNG気化器に供給する温水供給管と、
前記第1の温水バッファタンクの水圧を検出する第1の検出部と、
前記第2の温水バッファタンクの水圧を検出する第2の検出部と、
前記LNG気化器に供給される温水の流れの異常を報知する報知部と、
前記第1の検出部から検出された第1の水圧の値と前記第2の検出部から検出された第2の水圧の値との差が所定値以上になった場合に前記報知部に異常を報知させる制御装置と、を備えるLNGサテライト設備。
【請求項2】
前記第1の払出しノズル部に取り付けられ前記第1の温水バッファタンクの内方に突出して配置される第1のストレーナと、
前記第2の払出しノズル部に取り付けられ前記第2の温水バッファタンクの内方に突出して配置される第2のストレーナと、をさらに備える請求項1に記載のLNGサテライト設備。
【請求項3】
前記第1のストレーナおよび前記第2のストレーナの各々は、円筒形状であり、該円筒形状の周面に網目状部材が配置されている、請求項2に記載のLNGサテライト設備。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−27282(P2011−27282A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−170844(P2009−170844)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】