説明

LNG貯蔵タンク及びLNG運搬船

【課題】 本発明は、LNG貯蔵タンクから発生する蒸発ガス(BOG)を処理する方法及び船舶を提供する。
【解決手段】 極低温状態の液化天然ガスを運搬するLNG船の貯蔵タンクで、常圧付近の圧力範囲内で上記のタンク内の蒸気圧力が調節されるが、LNGの運送中に上記タンク内の蒸気圧力の増加を許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LNG貯蔵タンクで発生する蒸発ガス(BOG)の処理と関連するLNGタンク、安全弁、LNG運搬船に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に天然ガス(Natural Gas、以下、NGと呼ぶ)は、生産地で極低温の液化天然ガス(Liquefied Natural Gas、以下、LNGと呼ぶ)状態に作られ、LNG運搬船によって目的地まで遠距離輸送された後、LNG浮遊式貯蔵及び再気化装置(FSRU、Floating Storage and Regasification Unit)、または陸上の荷役ターミナルを経ながら再気化され、消費先に供給される。
【0003】
LNG再気化船(RV、LNG Regasification Vessel)によってLNGが輸送される場合には、LNGがLNG浮遊式貯蔵及び再気化装置または陸上の荷役ターミナルを通らずともLNG再気化船内で再気化され、消費先に直接供給される。
【0004】
天然ガスの液化温度は常圧で約-163℃の極低温のため、LNGの温度が常圧で-163℃より若干高くなると蒸発してしまう。従来のLNG運搬船の場合を例に挙げると、LNG運搬船のLNG貯蔵タンクは断熱処理がされてはいるが、外部の熱がLNGに持続的に伝わるため、LNG運搬船によるLNG輸送の途中で、LNGがLNG貯蔵タンク内で持続的に気化されることにより、LNG貯蔵タンク内で蒸発ガス(Boil-Off Gas)が発生する。このようにLNG貯蔵タンク内で蒸発ガスが発生すると、LNG貯蔵タンクの圧力が上昇し危険な状態になる。
【0005】
従来はLNG貯蔵タンクの圧力を安全な状態に維持するため、LNG貯蔵タンクで発生した蒸発ガスをLNG運搬船の推進用燃料として使用したこともあった。即ち、従来の低温液体状態でLNGを運搬するLNG運搬船の場合、輸送中のタンク内のLNG温度を-163℃前後の常圧(ambient pressure)で常に維持し、殆ど同一温度と同一圧力を維持することを基本概念としていたため、発生するBOGを外部に排出して処理していた。
【0006】
LNG貯藏タンクで発生した蒸発ガスをボイラーで燃焼させ、発生したスチームによって駆動するスチームタービン推進方式は推進効率が低いという問題点がある。
また、LNG貯蔵タンクで発生した蒸発ガスを圧縮し、ディーゼルエンジンの燃料として使用する二重燃料ディーゼル電気推進システム(dual fuel diesel electric propulsion system)は、スチームタービン推進方式に比べて効率は高くなるが、中速エンジンと電気推進装置が複雑なので装備の維持・補修に問題点が多い。また、このような方式は蒸発ガスを燃料として供給しなければならないので、液体圧縮より設置費及び運転費がかかる気体圧縮方式を適用するしかない。
【0007】
また、このように蒸発ガスを推進用燃料として使用する方式は、どんな場合においても一般船舶に使用される2行程の低速ディーゼルエンジンの効率には及ばない。
【0008】
一方、LNG貯蔵タンクで発生した蒸発ガスを再液化し、再度LNG貯蔵タンクへと復帰させる方式がある。しかしこのように蒸発ガスを再液化する方式は、LNG運搬船内に複雑なシステムを有する蒸発ガス再液化装置を設置しなければならないという問題点がある。そして、推進装置の燃料として使用できたり、蒸発ガス再液化装置で処理できる量以上の蒸発ガスが発生する場合には、余分な蒸発ガスをガス燃焼器などで焼却して処理するしかないので、その処理のためのガス燃焼器など、別途の装備が追加される問題点がある。
【0009】
例えば、図4に示されたように、従来のLNG貯蔵タンクの圧力を殆ど同一状態に維持することを基本概念とするLNG運搬船の場合は、LNGを船積みした後、初期(船積みした後、3〜5日間)にはLNG貯蔵タンクが多少熱くなった状態なので、上部の実線が表示しているように、運航中のBOG発生量(NBOG, natural BOG)と比べてより多い量の超過BOG(Excessive BOG)が発生してしまうが、この超過BOGはボイラーまたは二重燃料 ディーゼル電気推進システムにおける燃料消耗量以上である。したがって、ボイラーやエンジンに使用されるBOG量を図示した下部の点線との差を表す、斜線部に該当するBOGは、GCU(Gas Combustion Unit、ガス燃焼器)を通して燃やすしかない。また、LNG運搬船が運河を通過する場合(例えば、図4から5〜6日)にも、ボイラーかエンジンでは、BOG消費がないか(運河の待機時)少ないため(運河通過時)にエンジンが要求する必要以上のBOGは燃やすしかない。そして、LNG運搬船が積載の状態で入港待機、もしくは入港する場合でもBOGの消耗量がないか少ない時が発生するが、この時にも剰余BOGは燃やすしかない。
【0010】
このように、燃やしてしまうBOG量は150,000m3容量のLNG運搬船において年間1500〜2000トンに達し、金額に換算すると6億ウォンに相当する。しかもBOGを燃やすことで環境汚染の問題も発生する。
【0011】
一方、上記のような低圧タンクと違い、LNG貯蔵タンクに断熱壁を設けず、LNG貯蔵タンク内で蒸発ガスを200気圧(ゲージ圧)前後の高圧に維持することでLNG貯蔵タンク内の蒸発ガスの発生を抑制する技術が知られている(特許文献1乃至特許文献5)。
【特許文献1】韓国特許公開第2001−0014021号
【特許文献2】韓国特許公開2001−0014033号
【特許文献3】韓国特許公開2001−0083920号
【特許文献4】韓国特許公開2001−0082235号
【特許文献5】韓国特許公開2004−0015294号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、このように、LNG貯蔵タンクの内部に蒸発ガスを200気圧前後の高圧で収容できるようにするためにはLNG貯蔵タンクの壁を分厚くしなければならないので、製造費が増加するだけでなく、蒸発ガスを200気圧前後の高圧に維持するための高圧ポンプなどの別途の装備が必要となるという問題点がある。
【0013】
このような技術とは別に圧力タンクといわれている技術もあるが、これも揮発性の高い液体を常温の超高圧タンクに保管するようになっているので、BOGの処理問題は発生しないが、タンクの大きさに制限があり、やはりその製造費が増加するという問題点がある。
【0014】
以上のように、従来のLNG運搬船のLNGタンクは、極低温状態の液体を常圧付近の圧力で、運送中にもその圧力を一定に維持しながらBOGの発生を許容する方式なので、BOGの消耗量が多く、別途の再液化装置を設けなければならないという問題点があった。また、上記の極低温状態の液体を大気圧のような低圧で運送するタンクと違い、圧力タンクと同様に多少高温でも高圧に耐えられるタンクで運送する方法は、BOGの処理はないが、タンクの大きさに制限があり、製造費が増加するという問題点がある。
【0015】
本発明は、このような従来の技術の問題点を解決するためのもので、極低温状態の液化ガスを運搬する常圧付近の多少高圧タンクに関するもので、タンクの製造費を抑えながら大容量タンクの製造ができるだけでなく、BOGの浪費も減らせるLNG貯蔵タンク及び、これを利用したLNGの運送方法と、更に蒸発ガス処理方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前述した目的を達成するために、本発明は極低温の状態の液化ガスを運搬する常圧付近の多少高圧タンクに関するもので、運送中にタンク?の圧力変化をある程度許容することを特?とする。
【0017】
本発明の一つの態様では、LNG貯蔵タンクで発生する蒸発ガス(BOG)を処理するBOG処理手段を持つLNG運搬船において、上記LNG貯蔵タンクのLNGの運送中に上記タンク内の蒸気圧力と上記LNGの温度増加を許容することを特徴とするLNG運搬船とその方法が提供される。
【0018】
BOG処理手段として、一般的にLNG貯蔵タンクから発生するBOGはボイラー(例えば、スチームタービン推進用ボイラー)に使用されるか、DFDEとMEGIのようなガスエンジンの燃料やガスタービンに使用されるか、再液化しLNG貯蔵タンクへ戻す方法が知られている(例えば、韓國特許公開2004‐0046836、韓国特許登?0489804、0441857、韓国実用公報2006‐0000158等)。しかし、これらの方法では日常的な処理手段による処理量を超過する過剰のBOG発生(例えば、LNG積載後)、また、入出航、運河通過等の場合と同じように処理手段による処理が?可能な場合は、GCU(Gas Combustion Unit)のようなBOG燃焼手段によるBOGの浪費が不可避であった。
【0019】
本発明ではBOG処理の柔軟性が増大され、このようなBOG?費を無くす長所がある。本発明によるLNG運搬船はGCUが不必要なこともあれば、場合によっては非常時のBOG処理やBOG管理の柔軟性向上のためにGCUが必要なこともある。
【0020】
本発明の一態様ではLNG運送船にBOGをLNGタンクから排出し処理する手段(ボイラー、再液化装置裝置、ガスエンジン等)が備わっている。
【0021】
本発明のまた別の態様では、LNGを運搬するLNG運搬船に設けられるLNG貯蔵タンクの上部に設置される安全弁の調節方法に関して、上記LNG貯蔵タンクにLNGを船積する場合と上記LNG運搬船が運航する場合において、上記安全弁の開閉圧力値を異にすることを特徴とする安全弁の開閉方法が提供される。本発明では上記構成を特徴とする安全弁、LNG貯蔵タンク、LNG運搬船が提供される。
【0022】
従来は極低温の液化天然ガス状態で運搬するLNG船の貯蔵タンクの上部に安全弁を設置しLNG貯蔵タンクの内部圧力を安全に管理した。安全弁でタンクの爆発等に対する安全性を確保し、LNG積載後発生するBOGに対しては上記のようにボイラー(例えば、スチームタービン推進用ボイラー)に使用されるか、DFDEやMEGIのようなガスエンジンの燃料として使用されるか、ガスタービンに使用されるか、再液化しLNG貯蔵タンクに送り返す方法が知られている。しかし、これらの方法では日常的な処理手段による処理量を超過する過剰BOG発生(例えば、LNG積載後)、または入出航、運河の通過等の場合のように日常的な処理手段による処理が不可能な場合に、GCU(Gas Combustion Unit)のようなBOG燃焼手段によるBOGの浪費が不可避であった。このような方法でLNG運搬船のLNG貯蔵タンクの圧力を所定の範囲内で一定に維持した。
【0023】
このようなLNG運搬船の安全弁の設定値が0.25気圧の場合、LNGの船積時にLNG貯蔵タンクの98%程度の体積までLNGを積み、残り2%は余裕空間として空けておく。98%以上の時にはLNGで満たすと、LNG貯蔵タンクの圧力が0.25気圧到達時にLNG上部のドームからLNGが溢れ出てしまう(overflow)。ところで、本発明は他の形態で見られるようにLNGの船積後からLNG圧力の上昇をそのまま許容する場合、少量のLNGを積載しても本発明による安全弁設定圧力でLNGの温度上昇によるLNG膨張のため、LNGがオーバーフローする可能性がある。例えば、LNGタンクの蒸気圧力が0.7気圧の場合、LNGの積載量が97%程度でもオーバーフロー現象が発生する可能性があることが明らかになった。これはLNG積載量が減るという問題と繋がる。
【0024】
このような問題のため、LNG貯蔵タンクの内部の上部に設置される安全弁の開閉圧力値を常圧付近の多少高圧で一定に固定するよりは、積載の際に既存のLNG運搬船でのように低い圧力、例えば0.25気圧で固定し運航を始め、BOGを多少使用(例えば、ボイラー、エンジン等の燃料で使用)し、LNG貯蔵タンク内のLNGの量が減少した場合には本発明の他の実施例でのように安全弁の開閉圧力値を上げ、船積量を減少させずにBOGの浪費を減らしたりBOG処理の柔軟性を高めることができる。本発明は、BOGをLNGタンクから排出し処理する手段(ボイラー、再液化装置、ガスエンジン等)が具備されたLNG運送船に適用されればBOGの浪費が無くなるという点において、その効果が大きい。
【0025】
従って、本発明では安全弁の開閉圧力値は上記LNG貯蔵タンクで発生する蒸発ガスが外部に排出され、上記LNG貯蔵タンク内に積載されたLNGの量が減少してから上昇し、上記LNGを船積する際の開閉圧力値は0.25気圧以下に設定されるのが望ましく、上記LNG運搬船が運航する際の圧力値は0.25超過乃至2気圧に設定されるが、特に望ましくは上記LNG運搬船が運航する際の圧力値は0.25超過乃至0.7気圧に設定する。ここで、LNG運搬船が運航する際、安全弁の開閉圧力値は運航条件による蒸発ガスの使用量により、例えば0.4気圧、0.7気圧等に段階的に上昇させることができる。
【0026】
従って、本発明でLNG運搬船が運航する際というのはLNG船にLNGを積載後、運航を始めてBOGをある程度使用した後、LNG貯蔵タンク内のLNGの体積が多少減った場合を意味する。例えば、LNGの体積が98.5%の際、安全弁の開閉圧力値を0.25気圧にセットし、LNGの体積が98.0%の際には安全弁の開閉圧力値を0.4気圧にセットし、LNGの体積が97.7%の際には安全弁の開閉圧力値を0.5気圧に、LNGの体積が97.1%の際には安全弁の開閉圧力値を0.7気圧にセットするのが望ましい。
【0027】
本発明のまた別の形態であるが、極低温の液化天然ガス状態で運搬するLNG船の貯蔵タンクにおいて、上記貯蔵タンクの上部に設置される安全弁開閉圧力値を常に0.25超過乃至2気圧、望ましくは0.25超過乃至0.7気圧、更に望ましくは0.7気圧前後に設定することを特徴とする。従って本発明では、上記の構成を特徴とする安全弁の開閉方法、LNG貯蔵タンク、LNG運搬船が提供される。
【0028】
従来の方法はBOGの損失が激しく、高圧タンクの製造費が増加するという問題点があるが、本発明ではLNG貯蔵タンクの安全弁の圧力値を高めてLNGの船積後から荷役前まで運航してタンクの内部圧力とLNGの温度の上昇を許容することによって、このような問題点を解決した。
【0029】
本発明の他の態様では、極低温液化天然ガスの状態で運搬するLNG船の貯蔵タンクとして常圧付近の圧力範囲内で、上記のタンク内の蒸気圧力が調節でき、LNGの運送中に上記のタンク内の蒸気圧力と上記のLNGの温度増加を許容することを特徴とするLNG運搬船用LNG貯蔵タンクが提供される。上記タンク内の蒸気圧力は0.25超過乃至2気圧、望ましくは0.25超過乃至0.7気圧、更に望ましくは0.7気圧前後であることを特徴とする。また、上記LNGタンク内部の温度分布を均一にするため、上記LNG貯蔵タンクの下部のLNGとLNG貯蔵タンクの上部の蒸発ガスを混合することを特徴とする。LNGの蒸発はLNG貯蔵タンク内で局部的に温度が高くなるとより多く発生する傾向があるので、LNG貯蔵タンク内のLNGやBOGの温度を均一に維持するのが望ましい。また、他の観点から見ると、LNG貯蔵タンク上部の蒸発ガスはタンク下部のLNGに比べて熱容量が少ないために外部からの流入熱による温度上昇で急激な圧力増加を招きかねないが、このような蒸発ガスをタンクの下部LNGと混合することでLNGタンクの急激な圧力増加を抑えることができる。
【0030】
また、本発明の他の態様として、LNGターミナルから荷役されたタンクの圧力に合わせてLNG運搬船のLNGタンク内の蒸気圧力を調節することができる。例えば、荷役されるLNGターミナル、LNG−RV、FSRU等でのタンクの圧力が高い場合(例えば、0.4〜0.7気圧前後)には、LNG運搬船のタンクの圧力を上昇させ続けて運航し、タンクの圧力が従来のように低い場合(0.2気圧前後)には、本発明によるBOG処理の柔軟性を利用しBOG浪費を減らしながら、荷役されるタンクの圧力に合わせることができる。
【0031】
また、本発明の他の態様によると、上記の特徴を有する極低温状態の液化天然ガスの運搬方法及び上記タンクが設置されたLNG運搬船が提供できる。特に、本発明の他の形態によると、本発明は極低温状態の液化ガスを運搬する常圧付近の多少高圧のメンブレイン型LNGタンクに関するもので、運送中にタンク内の圧力変化をある程度許容することを特徴とする。本発明で記載しているメンブレインタンクは、IGC Code(2000)においてLNGタンクに関して定義しているMembrane tankを意味する。具体的にMembrane tanksは、船体依存型(non-self-supporting tanks)で船体に断熱壁が形成され、その上部に薄い密封層(membrane)が形成されたものを意味する。ここではSemi-membrane tanksも含む意味で使用される。
【0032】
後述するGTT NO 96、Mark III、韓国特許第499710号及び第644217号等に記載されたタンクがメンブレイン型タンクの例である。
【0033】
このようなメンブレイン型タンクは、タンクの補強によって0.7気圧(ゲージ圧)まで耐えられるよう設計されているが、一般的には0.25気圧を超えないように規定されている。従来のすべてのメンブレイン型タンクは、この規定に準じてタンク内部の蒸気圧を0.25気圧以下で、運航中のLNGの温度と圧力が殆ど一定に保たれるよう管理されている。一方、本発明では0.25気圧を超過する圧力、望ましくは0.25超過2気圧以下、更に望ましくは0.25気圧超過0.7気圧以下でタンクの内部圧力とLNGの温度の上昇を許容するよう管理することを特徴とする。また、本発明のLNG貯蔵タンクを利用した蒸発ガス処理方法は、LNG貯蔵タンク内部の温度分布を均一に維持させることを特徴とする。
【0034】
本発明のまた別の態様によると、本発明は大型のLNG運搬船に関するものである。望ましくは100,000m3以上のLNG貯蔵能力を持つLNG運搬船に関するものである。大型容量のLNG運搬船は、LNGタンクを高圧タンクに製造するためにはタンクの厚みが増して製造費が急激に増加するが、本発明のように大気圧に近い相対圧(ゲージ圧)1気圧前後で製造する場合、その製造費もさほど増加せず実質的に蒸発ガス発生による圧力を支えながらBOG処理がなくてもLNGの運搬が可能である。
【発明の効果】
【0035】
前述のように、本発明は極低温の状態の液化ガスを運搬する常圧付近の多少高圧タンクに関するもので、運送中にタンク?の圧力変化をある程度許容することにより、BOGの浪費を減らしたりBOG処理の柔軟性を高めることができる。この特徴はBOG処理手段を持つ又は持たないLNG運搬船で適用が可能であり、両方でその効果が著しい。
【0036】
たとえば、BOG処理手段を持つLNG運搬船では、LNGの運搬中に発生する蒸発ガスが消耗量より多い場合にも、蒸発ガスの損失無しで保存することができ、経済性及び効率性が図れる。例えば、図4に示されているような蒸発ガス処理用エンジン装着のLNG運搬船の場合、LNGの船積後数日間超過発生するBOGと、運航中に運河を通過する際、または積載状態の入港を待機している際、または入港時に発生するエンジン消耗量以上のBOGは従来にはGCUを用いて燃やしてしまうケースが殆どであったが、本発明の技術を適用すると、このようなBOGの浪費を減らすことができる。
【0037】
また、LNG運搬船でガス/液体兼用の噴射エンジンを使う場合、蒸発ガス圧縮機ではなく液体ポンプを用いて燃料を供給することができるので、設置費及び運転費を相当減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下では、添付した図面を参照し、本発明における望ましい実施の形態を詳細に説明する。
【0039】
本発明のLNG貯蔵タンクはLNG運搬船、LNG浮遊式貯蔵及び再気化装置(FSRU)、陸上の荷役ターミナル、LNG再気化船(RV)等のLNG貯蔵タンクに適用できる。このようにLNG運搬タンクの圧力と温度の上昇を許容しながらBOGの処理問題を解決することで、BOGの浪費を減らせるだけでなく、需要先でのLNGの需要量を考慮し、上記の各種のLNGタンク内にLNGを長期間保管できるので、LNGの運送、保管等において柔軟性が高くなるという長所がある。本実施の形態では、LNG運搬船に適用されるLNG貯蔵タンクを中心的に例をあげ、説明することにする。
【0040】
図1は、本発明によるLNG運搬船用LNG貯蔵タンク内での熱流入量に対する概念を表すもので、従来はLNG運搬船用LNG貯蔵タンク内の圧力を一定範囲内で維持させることで外部からの流入熱が大部分蒸発ガスの発生に寄与し、また、このように発生した蒸発ガス全部をLNG運搬船で処理していたが、本実施の形態では、LNG運搬船用LNG貯蔵タンク内の圧力上昇を許容することによって、圧力上昇に伴う飽和温度の上昇によるタンク内のLNG及び天然ガス(Natural Gas、以下、NGと呼ぶ)の顕熱増加分によって大部分の熱流入量が吸収されるので、増発ガスの発生が大幅に減少させられる。例えば、LNG運搬船用LNG貯蔵タンクの圧力が0.7気圧になれば、飽和温度は初期0.06気圧に比べ約6℃上昇する。
【0041】
図2は、本発明の望ましい実施の形態に係るLNG運搬船用LNG貯蔵タンクを概略的に表している。断熱壁が設けられたLNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)の場合、正常にLNGを積載した場合、出発時の内部圧力が0.06気圧(ゲージ圧)程度で、LNG運搬船の運航期間中に蒸発ガスが発生し内部の圧力が次第に増加する。例えば、LNG生産地でLNGを積載した後LNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)の内部の圧力が0.06気圧になり、LNG運搬船が出発して約15〜20日間運航した後目的地に着くと、LNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)の内部圧力が0.7気圧まで上昇する可能性がある。
【0042】
これを温度と関連させて述べると、一般的にLNGには様々な不純物が含まれているので沸点が純粋なメタン液体より低いのが一般的である。純粋なメタンは0.06気圧で沸点が−161℃程度であるが、実際のLNG運搬で運搬されるLNGは窒素、エタン等の不純物が多少含まれているので−163℃前後が沸点になる。純粋なメタンを基準に説明すると、LNG船積後に0.06気圧でタンク内温度は−161℃前後になり、これを移送距離とBOG消費量を考慮しタンク内の蒸気圧力を0.25気圧に制御するとLNG温度は−159℃前後、タンク内の蒸気圧力を0.7気圧に制御するとLNG温度は−155℃前後、タンク内の蒸気圧力を2気圧に制御するとLNG温度は−146℃前後まで上昇するようになる。
【0043】
本発明のLNG運搬船用LNG貯蔵タンクは断熱壁を具備し、このような蒸発ガスの発生による圧力上昇を考慮して設計されたもので、即ち、蒸発ガスの発生による圧力上昇分に耐えられる強度を持つよう設計されたものである。従って、LNG運搬船の運航期間中に、LNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)の内部で発生した蒸発ガスはLNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)に蓄積される。
【0044】
例えば、本発明の実施の形態によるLNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)は、望ましくは断熱壁を備えて0.25超過乃至2気圧(ゲージ圧)の圧力に耐えられるよう設計し、更に望ましくは0.6乃至1.5気圧の(ゲージ圧)の圧力に耐えられるよう設計する。LNG運搬の距離と現在のIGC Codeを考慮すると0.25気圧超過乃至0.7気圧の圧力、特に0.7気圧前後で耐えられるよう設計されるのが望ましい。ただし、圧力が低すぎるとLNGを運搬する距離が短くなるので望ましくなく、高すぎるとタンクの製造が容易でなくなるという問題点がある。
【0045】
また、このような本発明によるLNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)は、最初の設計時に厚みを持たせて設計するか、または、既存の一般LNG運搬船用LNG貯蔵タンクに構造上の大きな変化を与えず、単に補強材を追加し適切な補強をするだけでも十分実現可能なので、製作費の面において経済的である。
【0046】
一方、断熱(防熱)壁を備えている従来の技術によるLNG運搬船用LNG貯蔵タンクとしては、以下のように様々なものが知られている。従って、図1では断熱壁の図示を省いた。
【0047】
まず、LNG運搬船の内部に設けられるLNG貯蔵タンクは独立タンク型(Independent Type)とメンブレイン型(Membrane Type)とに分けられる。その具体的な内容は以下の通である。
【0048】
下記の[表1]で、いわゆるGTT NO 96-2型とGTT Mark III型は、1995年Gaz Transport(GT)社と、Technigaz(TGZ)社がGTT(Gaztransport & Technigaz)社へと改名され、それぞれGT型は、GTT NO 96-2型に、TGZ型は、GTT Mark III型に改称され使用している。
【表1】

【0049】
上述のGT型及びTGZ型タンクの構造は米国特許US6,035,795、US6,378,722、US5,56,513、米国特許公開US2003-0000949と、韓国特許公開KR2000-0011347号、KR2000-0011346号等に記載されている。
【0050】
韓国特許第499710号及び第0644217号には、他の概念で断熱壁が開示されている。様々な形態の断熱壁が備えているLNG運搬船用LNG貯蔵タンクが既に開示されているが、これらはできるだけLNGの気化を抑制するためのものである。
【0051】
前述のように様々な形態の断熱機能を有するLNG運搬船用LNG貯蔵タンクに対し、本発明を適用することが可能である。このようなLNG運搬船用LNG貯蔵タンクの殆どは0.25気圧以下の圧力に耐えられるよう設計されており、0.2気圧以下、例えば、0.1気圧になるよう蒸発ガスを推進燃料として消耗するか再液化し、それ以上の圧力に達すると、蒸発ガスの一部、または全部をGCUで燃やしてしまう。また、LNG貯蔵タンクには安全弁(safty valve)が設けられ、上記の制御に失敗しても安全弁(普通、開閉圧力が0.25気圧)を通して外気に排出する。
【0052】
これに比べ、本発明ではLNG運搬船の運航中に、図2のLNG貯蔵タンクの上部、普通、ドーム部にLNG貯蔵タンクから発生する蒸発ガスによる圧力上昇がある場合、これの排出を制御する安全弁が設けられて(未図示)いるが、本発明では上記の安全弁の圧力値を0.25超過乃至2気圧、望ましくは0.25超過乃至0.7気圧、更に望ましくは0.7気圧前後に設定する。
【0053】
加えて本発明によるLNG貯蔵タンクは、温度及び圧力の局部的な上昇を減少させることにより、LNG貯蔵タンクの圧力を減少させるよう構成されたもので、LNG運搬船用LNG貯蔵タンクの下部の相対的に低温のLNGを相対的に高温のLNG運搬船用LNG貯蔵タンクの上部に噴射し、LNG運搬船用LNG貯蔵タンクの上部の相対的に高温の蒸発ガスを相対的に低温のLNG運搬船用LNG貯蔵タンクの下部に噴射し、LNG運搬船用LNG貯蔵タンクの温度分布を均一に維持させる。
【0054】
図2で、LNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)の下部にはLNG用ポンプ(11)と、蒸発ガス用噴射ノズル(21)が設置されており、LNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)の上部にはLNG用スプレイ(13)と蒸発ガス用圧縮機(23)が設置されている。ここでLNG用ポンプ(11)と蒸発ガス用圧縮機(23)は上・下部に自由に設置可能である。LNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)の下部の相対的に低温のLNGはLNG用ポンプ(11)によって上部のLNG用スプレイ(13)に供給され、相対的に高温のLNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)の上部に噴射し、LNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)の上部の相対的に高温の蒸発ガスは蒸発ガス用圧縮機(23)によって下部の蒸発ガス用噴射ノズル(21)に供給され、相対的に低温のLNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)の下部に噴射し、LNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)の温度分布を均一に維持させることで蒸発ガスの発生量を減らすことができる。
【0055】
BOG処理手段を持たないLNG運搬船においては、BOG発生がタンク内の圧力上昇と直結されているので、このように蒸発ガスの発生量を減らすことが、圧力を徐々に上昇させるのに特に有用である。BOG処理手段を有するLNG運搬船においてはタンクの圧力が上昇すると一定量のBOGを排出させ、タンク内の蒸発ガスの圧力を調節できるので、LNG運搬船の運航中に、上記のようなLNG及びBOGの噴射が不要となる。
【0056】
また、LNGを生産する生産ターミナルでLNGを過冷状態にしLNG運搬船に船積すると、運送中に発生する蒸発ガス(圧力上昇)を更に減らすことができる。生産ターミナルでLNGを過冷状態のまま積載すると、LNG運搬船用LNG貯蔵タンクの圧力が負圧(0気圧以下)になる恐れがあるので、これを防止するために窒素を充填することができる。
【0057】
以上のような本発明の一実施の形態によるLNG運搬船用LNG貯蔵タンクを用いて蒸発ガスを処理する方法を説明すると、以下の通りである。
【0058】
LNG運搬船の運航の際に、本発明によるLNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)は蒸発ガスを処理せず、これによるタンク内部の圧力上昇を許容することにより、これによるタンク内部の温度が上昇しながら殆どの熱流入量をタンク内部のLNG及びNGの上昇した熱エネルギーとして蓄積し、LNG運搬船が目的地に到着すると、荷役ターミナルでLNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)に蓄積された蒸発ガスを処理する。
【0059】
図3は、本発明の望ましい実施の形態に係るLNG運搬船用LNG貯蔵タンクを用いて荷役ターミナルで蒸発ガスを処理するための構成を概略的に示している。
【0060】
荷役ターミナルには複数の荷役ターミナル用LNG貯蔵タンク(2)と高圧圧縮機(3a)と低圧圧縮機(3b)と再凝縮器(4)と高圧ポンプ(P)と気化器(5)が設置されている。LNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)に蓄積された蒸発ガスは大量であるので、殆どが荷役ターミナルで高圧圧縮機(3a)により普通70−80気圧に圧縮されてから消費者に供給される。一方、LNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)に蓄積された蒸発ガスの一部は低圧圧縮機(3b)により普通8気圧前後に圧縮されてから再凝縮器(4)を経て再凝縮され、気化器(5)で再度気化されて消費者に供給されることもある。
【0061】
荷役ターミナルでLNG運搬船用LNG貯蔵タンクから荷役ターミナル用LNG貯蔵タンクにLNGの荷役の時、LNG運搬船用LNG貯蔵タンクの圧力が、荷役ターミナル用LNG貯蔵タンクの圧力より大きいので、荷役ターミナル用LNG貯蔵タンク内に圧力の高いLNGが流入されると蒸発ガスが追加発生される。これを最小化するため、LNG運搬船のLNG運搬船用LNG貯蔵タンクからLNGを荷役ターミナルの高圧送出ポンプの入口に直接連結し供給先に供給する方案がある。本発明によるLNG運搬船用LNG貯蔵タンクは、荷役時にはLNGタンク内の圧力が高いために、従来のLNG運搬船に比べて荷役時間が10〜20%短縮されるという長所がある。
【0062】
LNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)に貯蔵されたLNGは、荷役ターミナルの荷役ターミナル用LNG貯蔵タンク(2)に供給されず、再凝縮器(4)に供給され蒸発ガスを再凝縮させた後、気化器(5)で気化され消費者に直接供給される。
【0063】
一方、荷役ターミナルに再凝縮器が設置されていない場合には、LNGを高圧ポンプ(P)の吸入口に直接供給することもできる。
【0064】
上記のように、荷役ターミナルに荷役ターミナル用貯蔵タンク(2)を複数個設置した場合、LNG運搬船のLNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)からLNGを複数の荷役ターミナル用貯蔵タンク(2)に均等に配分すると、蒸発ガスの発生が荷役ターミナルの複数のLNG貯蔵タンク(2)に分散され、それぞれのLNG貯蔵タンク(2)内での蒸発ガス発生による影響が最小化される。荷役ターミナル用貯蔵タンク(2)内で発生した蒸発ガスは少量であるので、低圧圧縮機(3b)により普通8気圧前後に圧縮された後、再凝縮器(4)を経て再凝縮され、気化器(5)で再度気化し消費者に供給される。
【0065】
また、本発明によると、LNG運搬船用LNG貯蔵タンクが従来の設計圧力以上で運転されるので、LNG荷役時にLNG運搬船用LNG貯蔵タンク内の圧力を維持するためにLNG運搬船用LNG貯蔵タンク内に蒸発ガスまたはNGを満たす過程が不要となる。
【0066】
また、貯蔵圧力が本発明のLNG運搬船用貯蔵タンクの圧力に対応するよう従来のLNGターミナル用LNG貯蔵タンク、またはLNG浮遊式貯蔵及び再気化装置(FSRU)用LNG貯蔵タンクを改造するか、新規のLNGターミナル用LNG貯蔵タンク、またはLNG浮遊式貯蔵及び再気化装置(FSRU)用LNG貯蔵タンクを建設するようになると、LNG運搬船からLNG荷役時に追加の蒸発ガスの生成はないので、従来の荷役方法をそのまま適用しても問題がない。
【0067】
本発明によると、LNG浮遊式貯蔵及び再気化装置(FSRU)の場合、蒸発ガスの管理における柔軟性が大きくなるので、再凝縮装置の設置が不要となる。
【0068】
本発明によると、LNG再気化船(RV)の場合、上述したLNG運搬船及びLNG浮遊式貯蔵及び再気化装置(FSRU)の長所をすべて持つことができる。
【0069】
図5はLNG荷役ターミナルのLNG貯蔵タンクの圧力に応じ、LNG運搬船の積載運航中LNG貯蔵タンクの圧力の運営形態を表す。Fモードは、荷役ターミナルのLNG貯蔵タンクの許容圧力が、例えば0.7気圧乃至1.5気圧以下の場合に、LNG運搬船のLNG貯蔵タンク内の圧力を上記LNG荷役ターミナルのLNG貯蔵タンクの許容圧力と同一に0.7気圧乃至1.5気圧以下まで継続的に上昇させて運航するものである。この場合はBOG処理手段を備えていないLNG運搬船において特に有用である。
【0070】
LNG荷役ターミナルのLNG貯蔵タンクの許容圧力が、例えば0.4気圧以下の場合にはSモードまたはVモードが適当である。この二つのモードは、BOG処理手段を有するLNG運搬船に適用可能な形式である。SモードはLNG運搬船のLNG貯蔵タンク内の圧力を一定に少しずつ上昇させながら運航するものである。つまり、SモードはLNG運搬船のLNG貯蔵タンク内の圧力をLNG荷役ターミナルのLNG貯蔵タンクの許容圧力と同一の0.4気圧以下まで継続的に上昇させながら運航するものである。
【0071】
Vモードは、LNG運搬船のLNG貯蔵タンク内の圧力の運営幅を広めたもので、BOG処理手段によるBOG消費量を超過し発生するBOGに対しては、LNG運搬船のLNG貯蔵タンク内で保管しBOG浪費を減らせる長所がある。例えば、LNG運搬船が運河を通過する場合に、DFDE、MEGI、ガスタービン等のLNGガスを燃料とする推進手段が作動しなくてBOGの消耗がないため、LNG運搬船のLNG貯蔵タンク内で発生するBOGをその内部に蓄積し、LNG運搬船のLNG貯蔵タンクの圧力を0.7気圧乃至1.5気圧以下まで上昇させることもでき、LNG運搬船が運河を通過した後の場合にLNGガスを燃料とする推進手段を最大限稼動し、BOGの消耗を増加させ、LNG運搬船のLNG貯蔵タンクの圧力を0.4気圧以下に下げることもできる。
【0072】
一方、LNG荷役ターミナルに大量のフラッシュガス(flash gas)が処理できるフラッシュガス処理設備が設けられているかどうかによってもLNG運搬船のLNG貯蔵タンクの圧力運営形態を変えることもできる。LNG荷役ターミナルに大量のフラッシュガスが処理できるフラッシュガス処理設備が設けられている場合には、LNG運搬船のLNG貯蔵タンクの圧力をFモードに運営し、LNG荷役ターミナルに大量のフラッシュガスが処理できるフラッシュガス処理設備が設けられていない場合には、LNG運搬船のLNG貯蔵タンクの圧力をSモードまたはVモードに運営する。
【0073】
図6は、LNGタンク内部のBOGを下部のLNGに噴射し、LNG運搬船のLNG貯蔵タンクの圧力上昇を低減させる装置を表す模式図である。
【0074】
図6に例示された、LNG運搬船のLNG貯蔵タンクの圧力上昇低減装置は、LNG運搬船のLNG貯蔵タンク(1)の上部の蒸発ガスを圧縮後、LNG貯蔵タンク(1)の下部のLNG内に噴射させるよう構成されている。
【0075】
この装置は、LNG運搬船のLNG貯蔵タンク(1)の上部に設置された蒸発ガス吸入口(31)と、一端が蒸発ガス吸入口(31)に連結され、他端がLNG貯蔵タンク(1)の下部に連結された配管(33)と、この配管(33)の途中に設置された圧縮機(35)を含む。
【0076】
図6の左側の例示のように、配管(33)はLNG貯蔵タンク(1)の内部に設置できる。配管(33)がLNG貯蔵タンク(1)の内部に設置された場合、圧縮機(35)は配管(33)の下部に設置された潜水圧縮機であるのが望ましい。潜水圧縮機はシーリング(密封)処理されたものである。
【0077】
図6の右側の例示のように、配管(33)はLNG貯蔵タンク(1)の外部に設置できる。配管(33)がLNG貯蔵タンク(1)の外部に設置された場合、圧縮機(35)は配管(33)に設置された一般的な圧縮機である。一般的な圧縮機はシーリング処理されていないものを言う。
【0078】
一方、蒸発ガス吸入口(31)には液体吸入防止手段が設置されたものが望ましい。液体吸入防止手段にはデミスター(demister)がある。
【0079】
このようなLNG運搬船のLNG貯蔵タンクの圧力上昇低減装置は温度及び圧力の局部的な上昇を減少させることによってLNG貯蔵タンクの圧力を減少させるよう構成されたもので、LNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)の上部の相対的に高温の蒸発ガスを相対的に低温のLNG運搬船用LNG貯蔵タンク(1)の下部に噴射し、LNG運搬船用LNG貯蔵タンクの温度分布を均一に維持させることにより、即ち、LNG貯蔵タンク内での局部的な温度上昇を防止することにより、蒸発ガスの発生量を減らすことができる。
【0080】
図7は、運航途中にリアルタイムで関連データを受け、適切なデータ処理及び計算を通して、LNG貯蔵タンクの安全弁における現在の許容可能な最大設定圧力をリアルタイムで表示するシステムの構成図を表したもので、これを通して安全にLNG貯蔵タンクの安全弁を調節できる。
【0081】
LNG貯蔵タンク(1)の安全弁(SRV、Safety Relief Valve または Safety Valve)が設置されたLNG運搬船の場合、貨物の積載量を最大化するために初期には安全弁の設置圧力を低く設定するが、運航中には発生する蒸発ガス(BOG, Boil-off Gas)の消耗によって減ってしまった貨物の積載量に合わせて安全弁の設定圧力を高めることができる。運航途中に安全弁の設定圧力を高めると、LNG貯蔵タンク(1)で発生する蒸発ガスの量が減るために大気放出または燃焼装置での消耗量を最小化できる。運航中にはLNG貯蔵タンク(1)内のLNGレベル等の計測値が頻繁に変わるため適切なデータ処理を通して船舶の動的な動きや外部ノイズを除去するシステムと、加工されたデータを用いてLNG貯蔵タンク(1)内の実際のLNG体積を計算し、LNG貯蔵タンクの安全弁の許容可能な設定圧力を計算するシステム及び最終的に結果値を表示する装置で構成される。
【0082】
図7の右側には、LNG貯蔵タンク(1)内のLNG体積を計算するために測定された関連データが例示されている。LNG貯蔵タンク内のLNGレベル(Cargo level)は従来のレベルゲージによって測定されたものであり、LNG貯蔵タンクの温度(Cargo temperature)は従来の温度センサー(未図示)によって測定されたものであり、LNG貯蔵タンクの圧力(Cargo tank pressure)は従来の圧力センサー(未図示)によって選択されたものであり、LNG運搬船のトリム(trim)は従来のトリムセンサー(未図示)によって測定されたものであり、LNG運搬船のリスト(list)は従来のリストセンサー(未図示)によって測定されたものである。ここで、LNG運搬船のトリム(trim)は、LNG運搬船の前後の傾斜度を表し、LNG運搬船のリスト(list)は、LNG運搬船の左右の傾斜度を表す。
【0083】
本実施の形態に係るLNG貯蔵タンクの安全弁の設定圧力確認システムは、図7の左側の例示のように、図7の右側に例示された測定データを処理するデータ処理モジュール(61)を含む。
【0084】
データ処理モジュールでは、最小自乗法(least square)、移動平均法(moving average)または低帯域フィルターリング法(low pass filtering)を用いてデータを処理するのが望ましい。
【0085】
また、LNG貯蔵タンクの安全弁の設定圧力確認システムは、データ処理モジュール(61)で処理されたデータを演算し、LNG貯蔵タンク(1)内のLNG体積を計算するLNG体積計算モジュール(63)を含む。
【0086】
LNG貯蔵タンクの安全弁の設定圧力確認システムでは、このようにLNG体積計算モジュール(63)で計算されたLNG体積からLNG貯蔵タンク(1)の安全弁の許容可能な設定圧力を計算する。
【0087】
一方、LNG貯蔵タンク(1)からLNG運搬船の燃料ガス推進手段に供給される燃料ガスの流量を測定し、初期LNG積載量と使用された蒸発ガスの量に基づいて、現在のLNG貯蔵タンク内のLNG体積を計算し、このように測定された燃料ガスの流量から計算されたLNG体積をLNG体積計算モジュール(63)で計算されたLNG体積に反映することもできる。このように計算されたLNG貯蔵タンク内のLNG体積とLNG貯蔵タンクの安全弁の許容可能な設定圧力は表示パネル(65)で表示される。
【0088】
図8は、本実施の形態に係るLNG運搬船の燃料ガスの流量計測装置を表す。LNG運搬船の燃料ガスの流量計測のために差圧式流量計測装置が用いられるが、装置の特性上測定範囲に制限があり、測定範囲を超える流量については測定誤差が大きく発生する。仮に測定範囲を変えようとする場合、オリフィス自体を取り替えねばならないので手間がかかるだけでなく危険が伴う作業である。
【0089】
従来では一つのオリフィスが設置されて測定範囲に制限があったが、測定範囲の違う二つのオリフィスを直列に配置し、流量に応じる適正オリフィス測定値を選択し使わせることによって有効な測定範囲を容易に拡大できる。
【0090】
即ち、広範囲の燃料ガスの流量計測のために計測範囲が異なる二つ以上のオリフィスを直列に配置し、流量に応じる適正オリフィスの測定値を選択させ使わせることによって有効な測定範囲を簡単に拡大することができる。
【0091】
図8でLNG運搬船のLNG貯蔵タンクから燃料ガスを燃料ガス推進手段に供給する燃料供給ライン配管(70)の途中に、測定範囲の異なるオリフィス(71, 71')が直列に設けられている。このそれぞれのオリフィス(71, 71')の前後の燃料供給ライン配管(70)には、差圧測定部(73)が繋がっている。この差圧測定部(73)は測定範囲によって選択可能なセレクト(75、Selector))を通して流量測定部に(77)に選択的に繋がっている。
【0092】
このように、測定範囲によって選択できるセレクト(75)を差圧測定部(73)と流量測定部(77)の間に設置し、流量に応じる適正オリフィスの測定値を選択し使わせることによって有効な測定範囲を簡単に拡大することができる。
【0093】
従来のシステムは燃料ガスのオリフィスの容量がBOG付近に合わせてあるので、BOG消耗量の少ない作業が多いLNG運搬船の場合、測定の正確度が落ちる。これを補うために本発明は、容量の少ないオリフィスを直列に追加設置する方法である。
【0094】
この方法はLNG貯蔵タンク内のLNGレベル測定において、LNG消耗量からLNG貯蔵タンク内のLNGのレベル、即ち、体積が測定できる。
【0095】
更に、従来の測定の精密度を下げる追加要因であるBOG造成を知らないという点であるが、これを補うためにガスクロマトグラフィー等を追加しBOGの造成を考慮することができる。
【0096】
また、このようにLNG貯蔵タンク内のLNGレベルの測定が正確になると、従来より多少高圧にLNGタンクの圧力を維持する本発明のBOG管理方法及び装置の効率性が増大する。即ち、LNGタンク内のLNG体積の正確な量が分かれば、LNGタンクの安全弁の設定を多重に変えることも容易でBOGの消耗量も減らすことができる。
【0097】
これに比べて図9は従来のLNG運搬船の燃料ガスの流量計測装置を表すもので、従来では差圧式燃料ガスの流量計測のためのオリフィス(71)が一つだけ設置され、特定の計測範囲内でしか有効な計測値が得られない短所がある。
【0098】
図10は本発明の一つの実施の形態により、BOGを圧縮した後、LNGタンク下部に供給するものを表す。
【0099】
LNG運搬船のLNG貯蔵タンク上部の蒸発ガスを圧縮し、推進燃料として用いる燃料ガス推進手段を有するLNG運搬船では、スエズ(Suez)運河等の運河を通過する際に燃料ガスを全く使用できないので、LNG貯蔵タンクの温度及び圧力が局部的に上昇する可能性が高い。このような問題点を解決するために別途のBOG抽出装置が必要な場合がある。
【0100】
つまり、図10で示すように、BOGを若干抜き出しBOG圧縮機で加圧した後(約3〜5気圧)、LNG貯蔵タンク(1)の下部に入れる。
【0101】
このためにLNG運搬船のLNG貯蔵タンク(1)上部の蒸発ガスを圧縮し、燃料ガス推進手段に供給する燃料ガス供給ライン(L1)の途中には、蒸発ガスをLNG貯蔵タンク(1)に復帰させる蒸発ガス分岐ライン(L2)が設けられている。
【0102】
また、蒸発ガス分岐ライン(L2)と接する地点の上流の燃料ガス供給ライン(L1)の途中に圧縮機(41)が設けられている。
【0103】
蒸発ガス分岐ライン(L2)の途中にはバッファータンク(43)が設けられている。圧縮機(41)を経た蒸発ガスの圧力とLNG貯蔵タンク(1)の圧力に差があるので、圧縮機(41)を経た蒸発ガスをバッファータンク(43)に臨時に貯蔵し、その圧力をLNG貯蔵タンク(1)の圧力に合うよう調節した後、LNG貯蔵タンク(1)へ復帰させるのが望ましい。
【0104】
このようなLNG運搬船のLNG貯蔵タンクの圧力上昇低減装置の稼動は2時間10分程度の間欠的な作動をするのが望ましい。
【0105】
燃料ガス推進手段には二重燃料ディーゼル電気推進システム(DFDE)、ガス噴射エンジン、ガスタービン等がある。
【0106】
DFDE、ガス噴射エンジン、ガスタービン等を適用したLNG運搬船の場合、BOG圧縮機を適用しBOGを圧縮した後、エンジンへ送り燃焼させる概念であるが、本発明により、LNG貯蔵タンク内のBOGの排出を無くすか減らすよう構成されたLNG運搬船の場合、燃料ガス推進手段で燃料ガスの消耗が少ないか無い場合に、LNG貯蔵タンク内部の局部的な温度上昇による過度な圧力上昇を防ぐために、BOGを圧縮した後、DFDEへ送らずに蒸気ガス分岐ラインを通し、LNG貯蔵タンクの下部に復帰させる。本発明の他の実施の形態では、LNG貯蔵タンクのLNGを気化させ、燃料ガスとして燃料ガス推進手段に供給する燃料ガス供給システムが提供される。即ち、従来は燃料ガス推進手段で液体のLNG以外に高圧圧縮機を用いてBOGを燃料として使用したが、本発明では全くBOGを使用しない方法である。その代わりに、LNGのエネルギーを利用したBOG再液化装置を追加することができる。つまり、BOGを圧縮し、燃料ガス供給ラインのLNGと熱交換することによって冷却(再凝縮機でN2冷却装置無し)する。この場合NBOGの40−60%程度のみ再液化されるが、本発明によるLNG運搬船がLNG貯蔵タンク内のBOGの排出を無くすか減らすよう構成されているので問題はない。更に必要であれば、バラスト航海(Ballast voyage)用で、約1ton/hour小型BOG再液化装置を設けることもできる。
【0107】
本実施の形態の燃料ガス供給システムに用いられるLNG運搬船のLNG貯蔵タンク(1)は、LNG運搬船の運航期間中に内部で発生する蒸発ガスによる圧力上昇を許容するため、蒸発ガスによる圧力上昇分に耐えられる強度を有するよう設計されたものである。
【0108】
図11に例示された燃料ガス供給システムは、LNG運搬船のLNG貯蔵タンク(1)からLNGを抜き出し燃料ガス推進手段に供給する燃料ガス供給ライン(L11)を設け、この燃料ガス供給ライン(L11)の途中に、LNGをLNG貯蔵タンク(1)から抜き出された蒸発ガスと熱交換させる熱交換器(51)を設けたものである。
【0109】
熱交換器(51)の上流の燃料ガス供給ライン(L11)には、LNGを燃料ガス推進手段の要求流量及び圧力に合わせて圧縮させ、燃料ガス推進手段に供給するための1次ポンプ(52)が設けられている。
【0110】
熱交換器(51)にはLNG貯蔵タンク(1)の上部から蒸発ガスを抜き出し、LNG貯蔵タンク(1)へ復帰させる蒸発ガス液化ライン(L12)が通過する。
【0111】
熱交換器(51)で、LNGは蒸発ガスとの熱交換によって温度が上昇し燃料ガス推進手段に供給され、蒸発ガスはLNGとの熱交換によって液化しLNG貯蔵タンク(1)へ復帰される。
【0112】
熱交換器(51)の下流の燃料ガス供給ライン(L11)で、熱交換器(51)で蒸発ガスと熱交換されたLNGを燃料ガス推進手段の要求流量及び圧力に合うよう圧縮させ、燃料ガス推進手段に供給するための2次ポンプ(54)が設けられている。
【0113】
2次ポンプ(54)の下流の燃料ガス供給ライン(L11)には、熱交換器(51)で熱交換したLNGを加熱し燃料ガス推進手段に供給するためのヒーター(55)が設けられている。
【0114】
熱交換器(51)の上流の蒸発ガス液化ライン(L2)には、LNG貯蔵タンクから抜き出される蒸発ガスを圧縮及び冷却させた後、LNGと熱交換させるために蒸発ガス用圧縮機(56)及び冷却器(57)が順番に設けられている。
【0115】
燃料ガス推進手段が要求する燃料ガスの圧力が高い場合(例えば、250気圧)、1次ポンプ(52)でのLNGの場合、27気圧に圧縮されたLNGが熱交換器(51)を経て温度が約−163℃から約−100℃に上昇してから液体状態で2次ポンプ(54)に供給され、2次ポンプ(54)で約250気圧に圧縮された(超臨界状態で、液体、気体の区分がない)後、ヒーター(55)で加熱されて気化し、燃料ガス推進手段に供給される。この場合、熱交換器(51)に供給されるLNGの圧力が高いので、熱交換器(51)を経る際にLNGの温度が上昇してもLNGは気化しない。
【0116】
一方、燃料ガス推進手段が要求する燃料ガスの圧力が低い場合(例えば、6気圧)、1次ポンプ(52)でのLNGの場合、6気圧に圧縮されたLNGが熱交換器(51)を経る際に一部気化しヒーター(55)に供給され、ヒーター(55)で加熱されてから燃料ガス推進手段に供給される。この場合、2次ポンプ(54)は要らない。
【0117】
このようなLNG運搬船の燃料ガス供給システムによると、LNG貯蔵タンクからLNGを抜き出し、燃料ガス推進手段の要求流量及び圧力に合うよう圧縮させてから燃料ガス推進手段に供給するが、LNGをLNG貯蔵タンクから抜き出される蒸発ガスと熱交換させてから供給するので、LNG運搬船で燃料ガス推進手段に燃料ガスを供給するに当たり、その構成が簡単でありながらも所用する動力を節減するとともに、LNG貯蔵タンク内の蒸発ガスの蓄積による過度な圧力上昇が防止できる。
【0118】
以上では、本発明の特定の実施の形態を中心として設定されたが、本発明の趣旨及び添付した特許請求範囲内で、多様な変形、変更または修正が当該技術分野において起こり得る。従って、前述した説明及び図面は本発明の技術思想を限定するものではなく、本発明を例示するものとして解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】図1は、本発明の望ましい実施例によるLNG運搬船用LNG貯蔵タンクへの流入熱量の吸収に対する概念を示す図面である。
【図2】図2は、本発明の望ましい実施例によるLNG運搬船用LNG貯蔵タンクを概略に示す図面である。
【図3】図3は、本発明の望ましい実施例によるLNG運搬船用LNG貯蔵タンクを利用し、荷役ターミナルでの蒸発ガスを処理するための構成を概略に示す図面である。
【図4】図4は、従来のLNG貯蔵タンクの圧力を殆ど同一の状態に維持することを基本概念とするLNG運搬船の蒸発ガスの浪費を示す模式図である。
【図5】図5は、LNG荷役ターミナルのLNG貯蔵タンクの圧力に従うLNG運搬船の積載運航中LNG貯蔵タンクの圧力運営形態を示す模式図である。
【図6】図6は、LNG貯蔵タンク上部のBOGを、下部のLNGに噴射する方法を示す模式図である。
【図7】図7は、運航しながらリアルタイムで関連データが送られ、適切なデータ処理及び計算を通してLNG貯蔵タンクの安全弁の、現在可能な最大の設定圧力をリアルタイムで表示するシステムの構成を示す模式図である。
【図8】図8は、本発明によるLNG運搬船の燃料ガスの流量計測装置を示す。
【図9】図9は、従来のLNG運搬船の燃料ガスの流量計測装置を示す。
【図10】図10は、本発明の一つの実施例により、BOGを圧縮し、LNG貯蔵タンクの下部に供給することを示す。
【図11】図11は、本発明の一つの実施例によるLNG運搬船の燃料ガス供給システムの概略図である。
【符号の説明】
【0120】
1 LNG運搬専用LNG貯蔵タンク
2 荷役ターミナル用のLNG貯蔵タンク
3 圧縮機
4 再凝縮機
5 気化機
P 高圧ポンプ
11 LNG用ポンプ
13 LNG用スプレー
21 蒸発ガス用噴射ノズル
23 蒸発ガス用圧縮機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
極低温状態の液化天然ガスを運搬するLNG船の貯蔵タンクであって、常圧付近の圧力範囲内で上記のタンク内の蒸気圧力が調節されるが、LNGの運送中に上記タンク内の蒸気圧力の増加を許容する強度を持つことを特徴とするLNG船のLNG貯蔵タンク。
【請求項2】
上記タンクの強度は、当該タンク内の蒸気圧力が0.25超過乃至2気圧まで上昇することを許容するように設定されることを特徴とする、請求項1に記載のLNG船のLNG貯蔵タンク。
【請求項3】
上記タンクの強度は、当該タンク内の蒸気圧力が0.25超過乃至0.7気圧まで上昇することを許容するように設定されることを特徴とする、請求項1に記載のLNG船のLNG貯蔵タンク。
【請求項4】
上記タンクの強度は、当該タンク内の蒸気圧力が0.7気圧まで上昇することを許容するように設定されることを特徴とする、請求項1に記載のLNG船のLNG貯蔵タンク。
【請求項5】
上記タンクに設けられて上記タンクの安全のために開閉される安全弁は、上記タンク内の蒸気圧力が0.25超過乃至2気圧を超える場合に開くことを特徴とする、請求項2に記載のLNG船のLNG貯蔵タンク。
【請求項6】
上記安全弁は上記タンク内の蒸気圧力が0.7気圧を越える場合に開くことを特徴とする、請求項5に記載のLNG船のLNG貯蔵タンク。
【請求項7】
上記LNGタンク内部の温度分布を均一にするために、上記LNG貯蔵タンクの下部のLNGと、LNG貯蔵タンクの上部の蒸発ガスとを混合する手段を備えることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載のLNG船のLNG貯蔵タンク。
【請求項8】
上記LNGタンクはメンブレイン型タンクであることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載のLNG船のLNG貯蔵タンク。
【請求項9】
上記LNG船はBOG処理手段を有することを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載のLNG船のLNG貯蔵タンク。
【請求項10】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のタンクが備えられたLNG運搬船。
【請求項11】
上記LNGタンク内部の温度分布を均一にするために、上記LNG貯蔵タンクの下部のLNGと、LNG貯蔵タンクの上部の蒸発ガスを混合する手段を備えることを特徴とする、請求項10に記載のLNG運搬船。
【請求項12】
上記LNGタンクはメンブレイン型タンクであることを特徴とする、請求項10に記載のLNG運搬船。
【請求項13】
上記LNG船はBOG処理手段を有するのを特徴とする、請求項10に記載のLNG運搬船。
【請求項14】
極低温液化天然ガスの状態でLNGをLNG船のLNG貯蔵タンクに貯蔵して運搬する方法であって、常圧付近の圧力範囲内で上記タンク内の蒸気圧力が調節され、上記LNGの運送中に上記タンク内の蒸気圧力の増加を許容することを特徴とするLNGの運搬方法。
【請求項15】
上記タンク内の蒸気圧力は0.25超過乃至0.7気圧まで上昇を許容することを特徴とする、請求項14に記載のLNGの運搬方法。
【請求項16】
上記タンク内部の温度分布を均一にするために上記タンクの下部のLNGと、上記タンクの上部の蒸発ガスを混合することを特徴とする、請求項14又は15に記載のLNGの運搬方法。
【請求項17】
上記タンクは、メンブレイン型タンクであることを特徴とする、請求項14又は15に記載のLNGの運搬方法。
【請求項18】
上記LNG船にはBOG処理手段が設けられていることを特徴とする、請求項14又は15に記載のLNGの運搬方法。
【請求項19】
上記LNG船にはBOG処理手段が備えられておらず、上記LNG運搬船の運航中に上記タンクからBOGの排出がないことを特徴とする、請求項14又は15に記載のLNGの運搬方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−196685(P2008−196685A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288870(P2007−288870)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(507123523)デウ シップビルディング アンド マリーン エンジニアリング カンパニー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】