説明

M3ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニスト

ムスカリン性アセチルコリン受容体アンタゴニストおよびそれらの使用方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規チアゾールアニリン化合物、医薬組成物、それらの調製のためのプロセス、およびMムスカリン性アセチルコリン受容体媒介疾患の処置におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
末梢および中枢神経系におけるコリン作動性神経から放出されるアセチルコリンは、2つの主要なクラスのアセチルコリン受容体:ニコチン性およびムスカリン性アセチルコリン受容体との相互作用を通じて、多くの異なる生物学的プロセスに影響を及ぼす。ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)は、7つの膜貫通ドメインを有するGタンパク質共役型受容体のスーパーファミリーに属する。M〜Mと呼ばれる5つのmAChRサブタイプが存在し、各々は異なる遺伝子の産物である。これらの5つのサブタイプの各々は、特有の薬理学的特性を示している。ムスカリン性アセチルコリン受容体は、脊椎動物器官において広く分布し、そしてこれらの受容体は抑制性および興奮性作用の両方を媒介し得る。例えば、気道、膀胱および胃腸管にて見出される平滑筋において、MmAChRは収縮性応答を媒介する。総説のために、(1)を参照のこと。
【0003】
ムスカリン性アセチルコリン受容体機能障害は、広範で異なる病態生理学的状態において留意されている。例えば、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)において、炎症状態は、肺平滑筋につながっている副交感神経に対する抑制性Mムスカリン性アセチルコリン自己受容体機能の消失を誘導し、迷走神経刺激の後に漸増するアセチルコリン放出を引き起こす。このmAChR機能障害は、MmAChRの漸増する刺激によって媒介される気道過敏性をもたらす。同様に、炎症性腸疾患(IBD)における胃腸管の炎症は、MmAChR媒介運動過剰をもたらす(3)。膀胱過剰収縮性に起因する失禁はまた、MmAChRの漸増する刺激を通じて媒介されることが示されている。従って、サブタイプ選択的なmAChRアンタゴニストの同定は、これらのmAChR媒介疾患における治療法として有用であり得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
広範な疾患状態の処置のための抗ムスカリン性受容体療法の使用を支持する多くの証拠にもかかわらず、比較的少数の抗ムスカリン性化合物しか臨床において使用されていない。従って、MmAChRでの封鎖を引き起こすことができる新規化合物の必要性が残されている。喘息、COPD、IBDおよび尿失禁などのMmAChRの刺激の増加に付随する状態は、mAChR結合の阻害剤である化合物によって利益を得るだろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、式(I)で表される化合物または医薬上許容されるその塩の有効量を投与する工程を包含し、アセチルコリンがMmAChRに結合する、ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)媒介疾患の処置方法を提供する。
本発明はまた、式(I)で表される化合物の有効量を哺乳動物に投与する工程を包含する、アセチルコリン受容体へのアセチルコリンの結合の阻害を必要とする哺乳動物におけるアセチルコリン受容体へのアセチルコリンの結合の阻害方法に関する。
【0006】
本発明はまた、式(I)で表される新規化合物、ならびに式(I)で表される化合物および医薬担体もしくは希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明において有用である式(I):
【化1】

[式中、
R1およびR2は独立して、以下:
【化2】

、3−チエニル、ピリジル、ベンジル、ピリミジル、チアゾリル、イソチアゾリルおよびC3−7シクロアルキルからなる群より選択され、それらの全ては置換されてもよく;
およびRは独立して、水素および置換されてもよいC1−4アルキルからなる群より選択され;
Rbは独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ジハロメチル、トリハロメチルおよびNRからなる群より選択され;
Rcは独立して、C1−4アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ジハロメチル、トリハロメチルおよびNRからなる群より選択され;
Xは、医薬上許容される負に荷電したイオンであり;
Y1は、OまたはNRであり;
Y2およびY3は独立して、NおよびCHからなる群より選択され;ならびに
sは、1〜3の値を有する整数である]
で表される化合物は、上記の構造によって表される。
【0008】
実例となる、式(I)で表される化合物は、以下を含む:
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−ヒドロキシ−フェニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−メチル−チオフェン−2−イル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(4−メチル−チオフェン−3−イル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−{2,2−ビス−[5−(1,1−ジフルオロ−メチル)−チオフェン−2−イル]−エテニル}−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−3−(2,2−ビス−(3−チエニル)エテニル)−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド) 3−{2,2−ビス[5−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]エテニル}−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3−フルオロ−2−メチルフェニル)エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(5−フルオロ−2−メチルフェニル)エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−フルオロ−フェニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−クロロ−フェニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;および
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(2−ヒドロキシ−フェニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタン;ブロミド。
【0009】
調製方法
式(I)で表される化合物は、合成手順(そのいくつかを下記のスキームにて示す)を利用することによって得てもよい。これらのスキームに記載の合成は、広範で異なるR1およびR2基を有する式(I)で表される化合物を調製するのに適用可能である。
【0010】
【化3】

1のようなアザビシクロケトンは、さらに適切な出発材料を使用して、ロビンソン−シェプフ濃縮(一般手順のために、Org. Syn. 816 (1958)を参照のこと)などの当業者に公知の反応によって調製され得る。それは、ヘルナー−ウォズワース−エモンズ反応などの当業者に公知の変換(RおよびR’=アルキル)を使用して、2のようなエステルに変換され、続いて溶媒中パラジウム、白金またはロジウムなどの遷移金属触媒を使用して水素添加され得る。あるいは、1から2への変換は、米国特許第2800482号に記載されるように達成され得る。化合物3は、1)テトラヒドロフランなどのエーテル溶媒中の適切な有機金属試薬R1M(M=LiまたはMg)の過剰量の添加によってR1=R2である化合物3を得るか、または2)反応条件を適切に制御する(もしくは、エステル2をいわゆるワインレブ(Weinreb)アミド7に変換する−スキーム2を参照のこと)ことによって、中間体ケトン8が単離され、続いてR2M(M=LiまたはMg)で処理されて、R1≠R2である化合物3を得るかのいずれかによって調製され得る。
【0011】
【化4】

次いで、アルコール3は試薬MeX(X=ハライドまたはスルホナート)で処理されて、四級アンモニウム塩5を形成し得る。あるいは、3は脱水などの当業者に公知のプロセスを経てアルケン4を得、続いて上記のように、対応する四級アンモニウム塩6に変換され得る。あるいは、脱水工程はまた、四級アンモニウム塩5上で行われ得る。
【実施例】
【0012】
合成実施例
ここで、単に実例であり、本発明の範囲の限定としては解釈されない以下の実施例への参照によって本発明を記載する。全ての温度は、単位℃で与える。薄層クロマトグラフィー(t.l.c.)をシリカ上で実施し、カラムクロマトグラフィー(ほかに述べない限り、Merck 9385を使用するフラッシュカラムクロマトグラフィー)をシリカ上で実施した。
【0013】
LC/MSを、以下の条件下で行った。
【0014】
【表1】

【0015】
一般手順:
A.グリニャール試薬
グリニャール試薬(8eq)(標準的な方法に従って調製したか、または市販されている)を、氷浴で0℃まで冷却した。無水テトラへドロンフラン(4ml/mmol)中トロパンエステル(1eq)を滴下した。室温まで温め、室温で30分間撹拌した後に、反応混合物を還流温度まで2時間加熱した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液にて反応停止し、液相を酢酸エチルで抽出した。有機相を逆相HPLCによって濃縮および精製して、生成物を得た。
【0016】
B.脱水
以下の方法のうちの1つによって、アルコール化合物をアルケン化合物に変換した。
【0017】
1.アルコール1g、シュウ酸2gおよび水3mlの混合物を還流温度で2時間加熱する。冷却した混合物を10%NaOHでアルカリ性にし、生成物を3部のエーテルでの抽出によって取り出す。エーテルを蒸発させることによって、所望のアルケン生成物を得る。
【0018】
2.アルコール1gおよび6N HCl水溶液5mlの混合物を、還流温度で1時間加熱する。冷却した混合物を10%NaOHでアルカリ性にし、生成物を3部のエーテルでの抽出によって取り出す。エーテルを蒸発させることによって、所望のアルケン生成物を得る。
【0019】
3.アルコールおよびAmberlyst−15(湿潤)レジン(0.5eq重量)の混合物を、5:1 アセトニトリル:水中で撹拌し、40℃まで18時間加熱した。反応物を冷却し、濾過する。エバポレーションによって、所望のアルケン生成物を得る。
【0020】
C.四級化
以下の方法うちの1つを使用して、三級アミン中間体を四級アンモニウム塩に変換し得る。
【0021】
1.四級アミン(1eq)およびメチルハライド(20eq)を、室温でジクロロメタン/アセトニトリル(2:1)中に溶解した。得られた混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物を濃縮して、生成物を得た。いくつかの場合、残留物を逆相HPLC(TFAを含まない)によって精製した。
【0022】
2.四級アミン(1eq)を、室温でブロモメタンを含むアセトン(20eq)中に溶解した。得られた溶液を、室温で12時間撹拌した。反応混合物を濾過し、冷却したエーテルで洗浄して、白色の固体として四級塩を得た。
【0023】
中間体1
(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−酢酸メチルエステル:
混合物を含まないトリメチルホスホンアセテート(19.6ml、0.121mol)を、約−45℃でTHF(150ml)中水素化ナトリウムのスラリー(95%、3.15g、0.125mol)に添加した。得られた混合物を、−45℃〜−35℃の間で1時間撹拌した。THF(100ml)中トロピノン(15g、0.108mol)の溶液を添加し、得られた混合物を−30℃〜室温で2時間にわたって撹拌した。反応混合物を還流温度で24時間加熱した。室温まで冷却した後に、反応混合物を水(50ml)で冷却し、次いで減圧下で濃縮して、2M HCl(150ml)とエーテル(400ml)との間に分配された残留物を得た。水相を分離し、エーテル(2×200ml)で洗浄し、次いで2.5M NaOH(約150ml)でpH12までアルカリ化した。次いで、水溶性残留物を酢酸エチル(4×100ml)で抽出した。合した有機物をMgSOで乾燥させ、濃縮して、粗製油(16g、76%)を得た。
【0024】
NMRは所望の生成物および約5%のSMを示した。微量のエンドアルケン2すらも検出されなかった。LC/MS:1.06分(100%)は、(M+H):196に対応する。
【0025】
10% Pd/C(1g)を、MeOH(400ml)中に希釈した上記の粗製油に添加した。得られた反応混合物を、室温、40〜56psi下で水素添加させた。約43時間後に、H取り込みがないことを観察した。Celite上での触媒の濾過の後に、溶媒を減圧下で蒸発させて、粗製油を得て、それを蒸留によって精製して、11.2gの無色の油(69%)を得た。b.p.122〜125℃。NMRは、所望の生成物のみ示した。10%未満のエンド生成物が存在したかもしれない。
【0026】
中間体2
(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−酢酸エチルエステル:
エチルシアノ3−トロパンアセテート
無水エタノール(20mL)中のトロピノン(13.9g、0.1mol)、エチルシアノアセテート(11.3g、0.1mol)、酢酸アンモニウム(1.6g、0.021mol)、酢酸(7.3g、0.12mol)および10% Pd/C(0.6g)の混合物を、60p.s.i.、50℃で、18時間水素添加した。触媒を濾過した後に、濾液を減圧下で蒸発させた。琥珀色の油性残留物を希塩酸(1N、200ml)中に溶解し、溶液をエーテル(200ml)で抽出した。酸性溶液を中和し、KCOで飽和させ、生成物をエーテルでの抽出(6×200ml)によって取り出した。エーテル溶液の蒸留によって、黄色の油として所望のエチルシアノ3−トロパンアセテート8.0g(34%)を得た。b.p.139〜140℃(2mm)。
【0027】
エチル3−トロパンアセテート
37%塩酸25ml中エチルシアノ−3−トロパンアセテート5.6gの溶液を、還流温度で13時間加熱した。溶液を減圧下で蒸発させ、残留物を無水エタノールの蒸留による連続的な添加および除去によって乾燥させた。塩化水素で飽和させた無水エタノール40ml中のその溶液を一晩室温で放置することによって、粗生成物をエステル化した。大部分のアルコールを、減圧下で除去した。次いで、冷却した5N NaOH溶液(20ml)を残留物に添加し、生成物をエーテル(6×50ml)で抽出した。エーテルを除去することによって、淡黄色の油として所望の生成物を得た。収量:5.0g(100%)。
【0028】
中間体3
(3−エンド)−1,1−ジ−3−チエニル−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)エタノール:
エーテル(6ml)中3−ブロモチオフェン(1.93g、11.8mmol)の溶液を、−70℃まで冷却し、−70℃、アルゴン下で撹拌しながらn−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M、4.8ml)の溶液に添加した。反応混合物を−70℃で30分間撹拌した。(参照: J.C.S. Perkin Trans. I. 1984, 223)。エーテル中(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−酢酸エチルエステル(1.00g、4.74mmol)をカニューレを介して添加し、溶液を−70℃で1時間撹拌し続けた。水(10ml)を添加し、反応混合物を室温まで温めた。次いで、反応混合物をエーテルで抽出し、飽和NaClで洗浄した。エーテル層をNaSOで乾燥させ、蒸発させて粗生成物を得、それを逆相HPLCによって精製して、約460mgの白色の固体(29%)を得た。LC/MS:(M+H):334。
【0029】
中間体4
(3−エンド)−3−(2,2−ジ−3−チエニルエテニル)−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法B1に従って、(3−エンド)−1,1−ジ−3−チエニル−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)エタノール(420mg、1.18mmol)から表題化合物を88%の収率(420mg)で調製した。LC/MS:(M+H):316。
【0030】
中間体6
(3−エンド)−1,1−ビス(3,4−ジフルオロフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)エタノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−酢酸メチルエステル(744mg、3.78mmol)および3,4−ジフルオロフェニルマグネシウムブロミド(THF中0.5M、48ml、24mmol)から表題化合物を54%の収率(802mg)で調製した。LC/MS:(M+H):394。
【0031】
中間体7
(3−エンド)3−[2,2−ビス(3,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法B1に従って、(3−エンド)−1,1−ビス(3,4−ジフルオロフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)エタノール(430mg、1.09mmol)から表題化合物を92%の収率(376mg)で調製した。LC/MS:(M+H):376。
【0032】
中間体9
(3−エンド)−1,1−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)エタノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−酢酸メチルエステル(750mg、3.81mmol)および3,5−ジフルオロフェニルマグネシウムブロミド(THF中0.5M、50mL、25mmol)から表題化合物を19%の収率(284mg)で調製した。LC/MS:(M+H):394。
【0033】
中間体10
(3−エンド)3−[2,2−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)エテニル]−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法B1に従って、(3−エンド)−1,1−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)エタノール(270mg、0.68mmol)から表題化合物を74%の収率(189mg)で調製した。LC/MS:1.87分、(M+H):376。
【0034】
中間体12
(3−エンド)−1,1−ビス[5−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)エタノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−酢酸メチルエステル(750mg、3.81mmol)および2−メトキシ−5−フルオロフェニルマグネシウムブロミド(THF中0.5M、50ml、25mmol)から表題化合物を53%の収率(842mg)で調製した。LC/MS:(M+H):418。
【0035】
中間体13
(3−エンド)−3−{2,2−ビス[5−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]エテニル}−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法B1に従って、(3−エンド)−1,1−ビス[5−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)エタノール(195mg、0.68mmol)から表題化合物を46%の収率(124mg)で調製した。LC/MS:(M+H):399。
【0036】
中間体14
(3−エンド)−1,1−ビス(3−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)エタノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−酢酸メチルエステル(985mg、5.0mmol)および5−フルオロ−2−メチルフェニルマグネシウムブロミド(THF中0.5M、60ml、30mmol)から表題化合物を11%の収率(229mg)で調製した。LC/MS:(M+H):418。
【0037】
中間体15
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3−フルオロ−2−メチルフェニル)エテニル]−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法B2に従って、(3−エンド)−1,1−ビス(3−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)エタノール(190mg、0.49mmol)から表題化合物を99%の収率(178mg)で調製した。LC/MS:(M+H):368。
【0038】
中間体17
(3−エンド)−1,1−ビス[5−フルオロ−2−メチルフェニル]−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)エタノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−酢酸メチルエステル(985mg、5.0mmol)および5−フルオロ−2−メチルフェニルマグネシウムブロミド(THF中0.5M、60ml、30mmol)から表題化合物を14%の収率(292mg)で調製した。LC/MS:(M+H):386。
【0039】
中間体18
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(5−フルオロ−2−メチルフェニル)エテニル]−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法B2に従って、(3−エンド)−1,1−ビス(5−フルオロ−2−メチルフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)エタノール(140mg、0.36mmol)から表題化合物を98%の収率(129mg)で調製した。LC/MS:(M+H):368。
【0040】
中間体24
2−((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−1,1−ビス−(3−メチル−チオフェン−2−イル)−エタノール:
米国特許第2,800,482号に従って、((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−酢酸メチルエステル(0.50g,2.54mmol)および2−ブロモ−3−メチルチオフェン(1.0g、5.65mmol)、ならびにブチルリチウム(ペンタン中2M、2.8ml、5.65mmol)から表題化合物を調製した。1.8%NHOH:8%MeOH:92.2%CHClを使用するシリカ上でのフラッシュクロマトグラフィーによって粗製化合物を精製し、0.320g(34%)を得た。LC/MS (M+H):362。
【0041】
中間体5
(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス−(3−メチル−2−チエニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
一般的な方法D1に従って、2−((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−1,1−ビス−(3−メチル−2−チエニル))−エタノール(0.320g、0.885mmol)およびメチルブロミド(t−ブチルメチルエーテル中2M 2.2ml、4.4mmol)から表題化合物を合成して、0.248g(61%)を得た。LC/MS(M+H):376。
【0042】
中間体25
1,1−ビス−(3−メトキシ−フェニル)−2−((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−エタノール:
一般的な方法Aに従って、((3−エンド−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル))−酢酸メチルエステル(0.50g、2.54mmol)および3−メトキシマグネシウムブロミド(THF中1.0M、22ml、22mmol)から調製し、溶媒系として1.8%NHOH:8%MeOH:92.2%CHを使用してシリカ上で精製し、0.69g(71%)を得た。LC/MS(M+H):382。
【0043】
中間体8
(3−エンド)−3−{2−ヒドロキシ−2,2−ビス[3−(メチルオキシ)フェニル]エチル}−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド
一般的な方法D1に従って、1,1−ビス−(3−メトキシ−フェニル)−2−((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル))−エタノール(0.54g、1.42mmol)およびメチルヨージド(530μl、8.5mmol)から表題化合物を合成して、0.72g(97%)を得た。LC/MS(M+H):396。
【0044】
実施例1
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−ヒドロキシ−フェニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス−(3−メトキシ−フェニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージドを、酢酸中30%臭化水素溶液6ml中に溶解した。それを70℃で9時間、および室温で12時間加熱した。溶液を逆相HPLC上で濃縮および精製し、表題化合物0.90gを得た。LC/MS(M+H):350。
【0045】
中間体26
2−[(3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル])−1,1−ビス−(4−メチル−3−チエニル)−エタノール:
米国特許第2,800,482号に従って、((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−酢酸メチルエステル(0.50g、2.54mmol)および3−ブロモ−4−メチルチオフェン(1.0g、5.65mmol)およびブチルリチウム(ペンタン中2M、2.8ml、5.65mmol)から表題化合物を合成した。粗製化合物を1.8%NHOH:8%MeOH:92.2%CHClを使用するシリカ上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、0.242gを得た。LC/MS(M+H):362。
【0046】
中間体11
(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス(4−メチル−3−チエニル)エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド
一般的な方法D1に従って、2−[(3−エンド)−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル]−1,1−ビス(4−メチル−3−チエニル)エタノール(0.120g、0.33mmol)およびメチルブロミド(t−ブチルメチルエーテル中2M 0.83ml、1.65mmol)から表題化合物を合成して、0.048g(31%)を得た。LC/MS(M+H):376。
【0047】
中間体27
2−[(3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル]−1,1−ビス−(5−メチル−2−チエニル)−エタノール:
米国特許第2,800,482号に従って、((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−酢酸メチルエステル(0.50g、2.54mmol)および2−ブロモ−5−メチルチオフェン(1.0g、5.65mmol)およびブチルリチウム(ペンタン中2M、2.8ml、5.65mmol)から表題化合物を合成した。粗製化合物を1.8%NHOH:8%MeOH:92.2%CHClを使用するシリカ上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、0.494gを得た。LC/MS(M+H):362。
【0048】
中間体16
(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス(5−メチル−2−チエニル)エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド
一般的な方法D1に従って、2−[(3−エンド)−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル]−1,1−ビス(4−メチル−3−チエニル)エタノール(0.247g、0.68mmol)およびメチルブロミド(t−ブチルメチルエーテル中2M 1.7ml、3.4mmol)から表題化合物を合成して、0.143g(46%)を得た。LC/MS(M+H):376。
【0049】
実施例2
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−メチル−2−チエニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
一般的な方法B3に従って、(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス−(3−メチル−チオフェン−2−イル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド(0.128g、0.35mmol)およびAmberlyst−15レジン(0.3g)から表題化合物を合成して、0.081g(50%)を得た。LC/MS(M+H):358。
【0050】
実施例3
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(4−メチル−3−チエニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
一般的な方法B3に従って、(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス−(4−メチル−チオフェン−3−イル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド(0.080g、0.22mmol)およびAmberlyst−15レジン(0.2g)から表題化合物を合成して、0.103g(いくらかの溶媒を保持した化合物)を得た。LC/MS(M+H):358。
【0051】
実施例4
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(5−メチル−2−チエニル))−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
一般的な方法B3に従って、(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド(0.150g、0.41mmol)およびAmberlyst−15レジン(0.3g)から表題化合物を合成して、0.058g(31%)を得た。LC/MS(M+H):358。
【0052】
中間体28
1,1−ビス−(5−クロロ−2−チエニル)−2−[(3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)]−エタノール:
米国特許第2,800,482号に従って、(3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−酢酸メチルエステル(0.338g,1.72mmol)および2−ブロモ−5−クロロチオフェン(395μl、3.6mmol)およびブチルリチウム(ペンタン中2M、1.8ml、3.6mmol)から表題化合物を合成して、0.470gを得た。さらなる精製を実施した。LC/MS(M+H):402。
【0053】
中間体19
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−2−ヒドロキシ−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
一般的な方法D3に従って、1,1−ビス−(5−クロロ−チエニル)−2−[(3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)]−エタノール(0.220g、0.55mmol)およびメチルブロミド(t−ブチルメチルエーテル中2M 1.3ml、2.7mmol)から表題化合物を合成した。それを逆相HPLCによって精製し、0.11g(40%)を得た。LC/MS(M+H):416。
【0054】
実施例5
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(5−クロロ−2−チエニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
一般的な方法B3に従って、(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−2−ヒドロキシ−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド(0.085g、0.17mmol)およびAmberlyst−15レジン(0.025g)から表題化合物を合成し、0.090gを得た。LC/MS(M+H):398。
【0055】
中間体29
1,1−ビス−[5−(1,1−ジフルオロ−メチル)−チオフェン−2−イル]−2−[(3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル]−エタノール:
米国特許第2,800,482号に従って、((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−酢酸メチルエステル(0.242g,1.23mmol)および2−ブロモ−5−(1,1−ジフルオロ−メチル)−チオフェン(JOC64,7048,(1999)に従って調製した、0.544g、2.58mmol)およびブチルリチウム(ペンタン中2M、1.3ml、5.65mmol)から表題化合物を合成した。粗製化合物を、1.8%NHOH:8%MeOH:92.2%CHClを使用するシリカ上でのフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、0.380gを得た。LC/MS(M+H):434。
【0056】
中間体20
(3−エンド)−3−{2,2−ビス[5−(ジフルオロメチル)−2−チエニル]−2−ヒドロキシメチル}−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法D1に従って、1,1−ビス[5−(ジフルオロメチル)−2−チエニル]−2−[(3−エンド)−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル]エタノール(0.150g、0.346mmol)およびメチルブロミド(t−ブチルメチルエーテル中2M 0.86ml、1.73mmol)から表題化合物を合成した。それを逆相HPLCによって精製し、0.107g(61%)を得た。LC/MS M+:448。
【0057】
実施例6
(3−エンド)−3−{2,2−ビス−[5−(1,1−ジフルオロ−メチル)−チオフェン−2−イル]−エテニル}−8,8−ジメチルl−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
1:1 アセトニトリル:クロロホルムを溶媒系として使用したこと以外は一般的な方法B3に従って、(3−エンド)−3−{2,2−ビス−[5−(1,1−ジフルオロ−メチル)−2−チエニル)]−2−ヒドロキシ−エチル}−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド(0.050g、0.098mmol)およびAmberlyst−15レジン(0.130g)から表題化合物を合成した。それを逆相HPLCによって精製し、0.005gを得た。LC/MS(M+H):430。
【0058】
中間体30
エンド−1,1−ビス−(4−クロロ−フェニル)−2−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−エタノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−酢酸エチルエステル(600mg、2.85mmol)および4−cクロロフェニルマグネシウムブロミド(THF中1M、20ml、20mmol)から表題化合物を50%の収率(554mg)で調製した。LC/MS(M+H):390。
【0059】
中間体31
(3−エンド)−1,1−ビス−(3−クロロ−フェニル)−2−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−エタノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−酢酸エチルエステル(800mg、4.06mmol)、マグネシウム(1.18g、48.7mmol)および3−クロロフェニルブロミド(7.77g、40.6mmol)から表題化合物を63.3%の収率(1.00g)で調製した。
LC/MS(M+H):390。
【0060】
中間体32
(3−エンド)−1,1−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−2−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−エタノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−酢酸エチルエステル(800mg、3.79mmol)および4−フルオロフェニルマグネシウムブロミド(THF中1M、31ml、30mmol)から表題化合物を82%の収率(1.10g)で調製した。
LC/MS(M+H):358。
【0061】
中間体33
(3−エンド)−1,1−ビス−(3−フルオロ−フェニル)−2−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−エタノール:
一般的な方法Aに従って、(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−酢酸メチルエステル(600mg、3.05mmol)、マグネシウム(888mg、36.5mmol)および3−フルオロフェニルブロミド(5.34g、30.5mmol)から表題化合物を64%の収率(700mg)で調製した。LC/MS(M+H):358。
【0062】
中間体34
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−エテニル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン
一般的な方法B1に従って、(3−エンド)−1,1−ビス(4−クロロフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)エタノール(430mg、1.09mmol)から表題化合物(35mg)を34%の収率で調製した。LC/MS(M+H):372。
【0063】
中間体35
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−クロロ−フェニル)−エテニル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法B1に従って、(3−エンド)−1,1−ビス(3−クロロフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)エタノール(500mg、1.28mmol)から表題化合物(400mg)を84%の収率で調製した。LC/MS(M+H):372。
【0064】
中間体36
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−エテニル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法B1に従って、(3−エンド)−1,1−ビス(4−フルオロフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)エタノール(1000mg、2.80mmol)から表題化合物(700mg)を74%の収率で調製した。LC/MS(M+H):340。
【0065】
中間体37
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−フルオロ−フェニル)−エテニル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン:
一般的な方法B1に従って、(3−エンド)−1,1−ビス(3−フルオロフェニル)−2−(8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)エタノール(460mg、1.28mmol)から表題化合物(400mg)を92%の収率で調製した。LC/MS(M+H):340。
【0066】
実施例7
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド:
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−エテニル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(150mg、0.442mmol)およびヨウ化メチル2.0ml(32.1mmol)を、室温で12時間、メタノール5ml中で撹拌した。反応混合物を濃縮して、表題化合物(136mg、87%)を得た。LC/MS(M+H):354。
実施例8
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド:
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(100mg、0.268mmol)およびヨウ化メチル2.0ml(32.1mmol)を、室温で12時間、メタノール(5ml)中で撹拌した。反応混合物を濃縮して、表題化合物(80mg、79%)を得た。LC/MS(M+H):386。
実施例9
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−フルオロ−フェニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド:
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−フルオロ−フェニル)−エテニル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(150g、0.442mmol)およびヨウ化メチル0.5ml(8.1mmol)を、室温で12時間、メタノール5ml中で撹拌した。反応混合物を濃縮して、表題化合物(94mg、60%)を得た。LC/MS(M+H):354。
【0067】
実施例10
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−クロロ−フェニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド:
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−クロロ−フェニル)−エテニル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(100mg、0.29mmol)およびヨウ化メチル0.5ml(8.1mmol)を、室温で12時間、メタノール(5ml)中で撹拌した。反応混合物を濃縮して、表題化合物(80mg、77%)を得た。LC/MS(M+H):386。
【0068】
中間体42
(3−ンド)−3−[2,2−ビス−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−エテニル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン:
n−ブチルリチウム(2.5M,12ml)を、−78℃で10分間にわたってジエチルエーテル100ml中2−ブロモピロール(3.8g、23.75mol)に滴下した。反応混合物を−78℃で30分間撹拌した後に、ジエチルエーテル10ml中(3−エンド)−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−酢酸エチルエステル(1.54g、7.92mmol)を添加した。溶液を−78℃で1時間保持し、室温まで温めた。飽和塩化アンモニウム水溶液(20ml)にて反応停止し、酢酸エチル(100ml×3)で水相を抽出した。合した有機相を1M HCl(50ml×2)で洗浄し、HPLCによって濃縮および精製して、生成物(980mg、39%)を得た。LC/MS(M+H):310。
【0069】
中間体43
(3−ンド)−1−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−2−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−1−フェニル−エタノール:
n−ブチルリチウム(2.5M、5.0ml)を、−78℃で10分間にわたってテトラヘドロフラン20ml中1,2−ジクロロベンゼン(1.2ml、12.36mmol)に滴下した。反応混合物を−78℃で2時間撹拌した後に、2−((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−1−フェニル−エタノン(500mg、2.06mmol)を添加した。溶液を室温まで温め、飽和塩化アンモニウム水溶液(15ml)にて反応停止し、酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。合した有機相をHPLCによって濃縮および精製して、生成物(150mg、20.4%)を得た。LC/MS:(M+H):358。
【0070】
実施例11
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−エテニル]−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(200mg、0.645mmol)および臭化メチル(1.5g、16.1mmol)を、室温で12時間、アセトン5ml中で撹拌した。反応混合物を濃縮して、表題化合物(100mg、49%)を得た。LC/MS:(M+H):324。
【0071】
実施例12
(3−エンド)−3−(2,2−ビス−(3−チエニル)エテニル)−8,8−メチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド:
一般的な方法C1に従って、(3−エンド)−3−(2,2−ビス−(3−チエニル)エテニル)−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(50mg、0.16mmol)およびヨードオメタン(466mg、3.2mmol)から表題化合物を85%の収率(56mg)で調製した。LC/MS:(M+H):330。
【0072】
実施例13
(3−ンド)−3−[2,2−ビス(3,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
一般的な方法C2に従って、(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(100mg、0.27mmol)およびブロモメタン(2.7ml、tert−ブチルエーテル中2M、5.4 mmol)から表題化合物を64%の収率(81mg)で調製した。LC/MS:(M+H):390。
【0073】
実施例14
(3−ンド)−3−[2,2−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
一般的な方法C2に従って、(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)エテニル]−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(90mg、0.24mmol)およびブロモメタン(2.4ml、tert−ブチルエーテル中2M、4.8mmol)から表題化合物を68%の収率(177mg)で調製した。LC/MS:(M+H):390。
【0074】
実施例15
(3−ンド)−3−{2,2−ビス[5−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]エテニル}−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
一般的な方法C2に従って、(3−ンド)−3−{2,2−ビス[5−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]エテニル}−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(42mg、0.11mmol)およびブロモメタン(1.1ml、tert−ブチルエーテル中2M、2.2mmol)から表題化合物を94%の収率(51mg)で調製した。LC/MS:(M+H):414。
【0075】
実施例16
(3−ンド)−3−[2,2−ビス(3−フルオロ−2−メチルフェニル)エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
一般的な方法C2に従って、(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3−フルオロ−2−メチルフェニル)エテニル]−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン(87mg、0.24mmol)およびブロモメタン(1.3ml、tert−ブチルエーテル2M、2.6mmol)から表題化合物を73%の収率(181mg)で調製した。LC/MS:(M+H):382。
【0076】
実施例17
(3−ンド)−3−[2,2−ビス(5−フルオロ−2−メチルフェニル)エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド:
一般的な方法C1に従って、(3−エンド)−3−[2,2−ビス(5−フルオロ−2−メチルフェニル)エテニル]−8−メチル−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタ(200mg、0.54mmol)およびヨードメタン(1.58g、10.8mmol)から表題化合物を88%の収率(219mg)で調製した。LC/MS:(M+H):382。
【0077】
中間体44
(3−ンド)−1,1−ビス−(2−メトキシ−フェニル)−2−(8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−エタノール :
一般的な方法Aに従って、((3−エンド)−8−メチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル)−酢酸メチルエステル(0.50g,2.54mmol)および2−メトキシマグネシウムブロミド(THF中1.0M、15ml、15.2mmol)から表題化合物を合成し、1.8%NHOH:8%MeOH:92.2%CHを溶媒系として使用してシリカ上で精製し、0.69g(42%)を得た。LC/MS(M+H):382。
【0078】
実施例18
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(2−ヒドロキシ−フェニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド:
(3−エンド)−3−[2−ヒドロキシ−2,2−ビス−(2−メトキシ−フェニル)−エチル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージドを酢酸中30%臭化水素溶液5ml中に溶解した。それを70℃で1時間、および85℃で3時間加熱した。次いで、溶液を逆相HPLCで濃縮および精製し、0.090g(73%)の表題化合物を得た。LC/MS(M+H):350。
【0079】
生物学的実施例
本発明の、MmAChRでの化合物の抑制性効果を、以下のインビトロおよびインビボ機能アッセイによって測定する。
【0080】
カルシウム動員による受容体活性化の阻害の分析:
以前記載したように(4)、受容体活性化型カルシウム動員をモニターすることによって、CHO細胞上で発現するmAChRの刺激を分析した。MmAChRを安定して発現するCHO細胞を、96ウェルブラックウォール/クリアボトムプレート中にプレーティングした。18〜24時間後に培地を吸引し、負荷培地(以下を含むEMEM:Earl塩、0.1%RIAグレードBSA(Sigma,St.Louis MO)、4μM Fluo−3アセトキシメチルエステル蛍光指示色素(Fluo−3 AM,Molecular Probes,Eugene,OR))100μlと置き換え、1時間、37℃でインキュベートした。次いで、色素を含む培地を吸引し、新たな培地(Fluo−3 AMを含まない)と置き換え、細胞を10分間、37℃でインキュベートした。次いで、細胞を3回洗浄し、アッセイ緩衝液(0.1%ゼラチン(Sigma)、120mM NaCl、4.6mM KCl、1mM KHPO、25mM NaHCO、1.0mM CaCl、1.1mM MgCl,11mMグルコース、20mM HEPES(pH 7.4))中にて10分間、37℃でインキュベートした。化合物50μl(アッセイにおいて、1×10−11−1x10−5M最終)を添加し、プレートを10分間、37℃でインキュベートした。次いで、プレートを蛍光強度プレートリーダー(FLIPR,Molecular Probes)中に置き、ここで細胞に負荷した色素を6Wアルゴンレーザー由来の励起光(488nm)に露光した。細胞をアセチルコリン50μl(0.1〜10nM最終)を50μl/秒の速度で添加することによって活性化させ、0.1%BSAを含む緩衝液中に調製した。細胞質カルシウム濃度の変化としてモニターするカルシウム動員を、566nm発光強度の変化として測定した。発光強度の変化は、細胞質カルシウムレベル(5)と直接関連する。96ウェルの全てから放射された蛍光を、冷却したCCDカメラを使用して同時に測定した。1秒毎にデータポイントを収集した。次いで、このデータをGraphPad PRISMソフトウェアを使用してプロットし、分析した。
【0081】
メタコリン誘導型気管支収縮
メタコリンに対する気道応答性を、覚醒時の非拘束BalbCマウス(各群n=6)にて測定した。気圧プレチスモグラフィーを使用して、エンハンスドポーズ(enhanced pause)(Penh)、メタコリンでの気管支攻撃の間に起こる気道耐性の変化と相関することを示す単位のない尺度(2)を測定した。マウスを、ビヒクル50μl(10% DMSO)中化合物50μl(0.003〜10μg/マウス)を用いて、鼻腔内、i.v.、i.p.またはp.o.で前処置し、次いでプレチスモグラフィーチャンバー中に入れた。一旦チャンバーに入れたら、マウスを10分間平衡化させ、5分間ベースラインPenh測定を行った。次いで、マウスを、2分間メタコリンのエアロゾル(10mg/ml)にて攻撃した。メタコリンエアロゾルの開始時に始めて7分間連続的にPenhを記録し、その後5分間継続した。各マウスのデータを、GraphPad PRISMソフトウェアを使用して分析し、プロットした。
【0082】
本発明の化合物は、限定するものではないが、以下を含む広範な徴候を処置するのに有用である:慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、喘息、慢性呼吸器閉塞症、肺線維症、肺気腫およびアレルギー性鼻炎などの呼吸器疾患;過敏性腸症候群、痙性大腸炎、胃十二指腸潰瘍、胃腸痙攣または運動機能亢進、憩室炎、胃腸平滑筋系の攣縮に付随する疼痛などの胃腸管障害;神経原性頻尿、神経陰性膀胱、夜尿症、心身膀胱、膀胱攣縮または慢性膀胱炎に付随する失調症、尿意逼迫または頻尿、および動揺病を含む排尿障害に付随する尿路障害。
【0083】
本発明の化合物の投与方法は、当業者に容易に明らかであろう。
【0084】
吸入による肺への局所的送達用の乾燥散剤組成物は、例えば吸入器またはインサフレータでの使用のために、例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジ、または積層アルミ箔のブリスターで存在し得る。処方物は一般に、吸入のために、本発明の化合物、およびラクトースまたはデンプンなどの適切な散剤基剤(担体物質)の散剤混合物を含む。ラクトースの使用が好ましい。各カプセルまたはカートリッジは一般に、所望により別の治療上の有効成分と組み合わせて、式(I)で表される化合物20μg〜10mgを含み得る。あるいは、本発明の化合物は賦形剤を含まず存在し得る。
【0085】
適切には、医薬品分注器は、貯蔵乾燥散剤吸入器(RDPI)、複数回投与用乾燥散剤吸入器(MDPI)および計量用量吸入器(MDI)からなる群より選択される型である。
【0086】
貯蔵乾燥散剤吸入器(RDPI)は、吸入器が乾燥散剤形態で複数の医薬品(未計量の用量)を含むのに適切な貯蔵形態パックを有し、貯蔵から送達位置までに医薬品用量を計量する手段を含むことを意味する。例えば、計量する手段は、カップが貯蔵からの医薬品で充填され得る第1の位置から、計量した医薬品用量が吸入のために患者に利用可能になる第2の位置まで可動である計量カップを含み得る。
【0087】
複数回投与用乾燥散剤吸入器(MDPI)は、乾燥散剤形態で医薬品を分注するのに適切な吸入器(ここで、医薬品は多重を含む(または、担持する)複数回投与用パック内に含まれる)が医薬品の各用量(または医薬品の一部分)を決定しているものを意味する。好ましい態様において、キャリアはブリスターパック形態を有するが、それは、例えば、医薬品が印刷、塗布および真空吸蔵を含む任意の適切なプロセスによって適用された、カプセルベースのパック形態またはキャリアを含み得る。
【0088】
処方物は事前に計量される(例えば、DiskusについてGB 2242134を参照のこと、またはDiskhalerについてGB 2178965、2129691および2169265を参照のこと)か、または使用時に計量され得る(例えば、TurbuhalerについてEP 69715を参照のこと)。単位用量デバイスの例は、Rotahaler(GB 2064336を参照のこと)である。Diskus吸入デバイスは、その全長に沿って間隔をおいて多数の陥凹を有する基礎シート、およびそこに密封される、密閉だが剥離可能な蓋シートから形成される細長い条片を含んで、多数の容器を決定し、各容器は好ましくはラクトースと組み合わせた式(I)で表される化合物を含む、吸入可能な処方物を有する。好ましくは、条片は、1巻きで傷つけられるように十分に柔軟である。好ましくは、蓋シートおよび基礎シートは互いに密封されていない先端部分を有し、少なくとも一方の先端部分は巻き手段に付着されるように構築される。また、好ましくは、基礎と蓋シートとの間の密封は、それらの全幅に及ぶ。好ましくは、蓋シートは、基礎シートの第1の先端から縦方向に基礎シートから剥離され得る。
【0089】
1つの態様において、複数回投与用パックは、乾燥散剤形態での医薬品の含有のために、複数のブリスターを含むブリスターパックである。ブリスターは、典型的に、医薬品の放出を容易にするための通常の様式で配置される。
【0090】
1つの態様において、複数回投与用ブリスターパックは、円盤形態のブリスターパック上に一般に環状に配置された複数のブリスターを含む。別の態様において、複数回投与用ブリスターパックは、例えば、条片またはテープを含む形態で、細長い。
【0091】
好ましくは、複数回投与用ブリスターパックは、剥離可能に互いに固定された2つの部分の間に決定される。米国特許第5,860,419、5,873,360および5,590,645号に、この一般的な型の医薬品パックが記載されている。この態様において、デバイスは通常、各医薬品用量に接近するための、部分を別々に剥離する剥離手段を含む開放ステーション(station)とともに提供される。適切には、デバイスは、剥離可能な部分が、その全長に沿って間隔をおいた多数の医薬品容器を決定する細長いシートであり、デバイスは、順番に各容器を索引する索引手段とともに提供される。より好適には、デバイスは一方のシートが多数のポケットを有する基礎シートであり、他方のシートが蓋シートであり、各ポケットおよび蓋シートの隣接部分がそれぞれの容器を決定する使用に適応され、デバイスは蓋シートおよび基礎シートを開放ステーションで別々にする駆動手段を含む。
【0092】
計量用量吸入器(MDI)は、エアロゾル形態で医薬品を分注するのに適切な医薬品分注器(ここで、医薬品は噴射剤ベースのエアロゾル医薬品処方物を含むのに適切なエアロゾル容器中に含まれる)を意味する。エアロゾル容器は、典型的に、エアロゾル形態医薬品処方物を患者に放出するための計量バルブ、例えばスライドバルブとともに提供される。エアロゾル容器は一般に、バルブ(これは、容器を静止させる一方でバルブを押し下げるか、またはバルブを静止させる一方で容器を押し下げるかのいずれかによって開放され得る)による各作動の際に、事前に計量した用量の医薬品を送達するように設計されている。
【0093】
医薬品容器がエアロゾル容器である場合、バルブは、典型的に、医薬品エアロゾル処方物がバルブ本体に入ってもよい入口、エアロゾルがバルブ本体を出てもよい出口、および出口を通る流れを制御可能である開放/閉鎖機構を有するバルブ本体を含む。
【0094】
バルブは、開放/閉鎖機構が密封リングを有し、密封リングによって受け取り可能であり、バルブ軸が分注通路を有するスライドバルブでもよく、バルブ軸はバルブ閉鎖位置から、バルブ本体の内部が分注通路を介してバルブ本体の外側と連通しているバルブ開放位置までリング内をスライド可能に可動である。
【0095】
典型的には、バルブは計量バルブである。計量容量は、典型的に、10〜100μl、例えば25μl、50μlまたは63μlである。適切には、バルブ本体は、医薬品処方物の量を計量するための計量チャンバー、および計量チャンバーへの入口を通る流れを制御可能である開放/閉鎖機構を決定する。好ましくは、バルブ本体は第2の入口を介して計量チャンバーと連通するサンプリングチャンバーを有し、該入口は医薬品処方物の計量チャンバーへの流れを調節する開放/閉鎖機構によって制御可能である。
【0096】
バルブはまた、チャンバーおよびチャンバー中に伸長しているバルブ軸を有し、チャンバーと比較して分注位置と非分注位置との間で可動である「フリーフローエアロゾルバルブ」を含む。計量する容量がそれらの間で決定され、非分注位置と分注位置との間の動作の間に、バルブ軸が連続的に:(i)エアロゾル処方物のチャンバーへのフリーフローを可能にし(ii)バルブ軸の外部表面とチャンバーの内部表面との間で、加圧エアロゾル処方物の閉鎖され計量された容量を決定し、そして(iii)計量した容量が出口通路と連通するまで、閉鎖され計量された容量の容量を減少させることなく、閉鎖され計量された容量とともにチャンバー内を移動し、計量した容量の加圧エアロゾル処方物を分注することを可能にするように、バルブ軸は立体配置を有し、チャンバーは内部立体配置を有する。この型のバルブは、米国特許第5,772,085号に記載されている。さらに、本発明の化合物の鼻腔内送達が有効である。
【0097】
医薬上有効な経鼻組成物を処方するために、医薬品は、それがその薬理学的機能を行う鼻腔の全ての部分(標的組織)に容易に送達されなければならない。さらに、医薬品は、比較的長時間標的組織と接触したままであったほうがよい。医薬品が長時間標的組織と接触したままである程、医薬品は鼻孔にて鼻から粒子を除去するように機能するそれらの力に抵抗できなければならない。「粘膜線毛クリアランス」といわれるそのような力は、迅速に、例えば粒子が鼻に入ってから10〜30分以内に、鼻から除去するのに極めて有効であると認識される。
【0098】
経鼻処方物の他の所望される特徴は、それが使用者の不快を引き起こす成分を含んではならず、それが良好な安定性および有効期間特性を有し、オゾン枯渇剤などの環境に有害であると考えられる構成物を含まないことである。
【0099】
鼻に投与する場合の本発明の処方物のための適切な投与用法では、患者は鼻腔をきれいにしたのに続いて深く吸入するべきであろう。吸入の間に、処方物は一方の鼻孔に適用され、一方他方は手動で圧迫される。次いで、この手順は他方の鼻孔のために反復されるだろう。
【0100】
本発明の処方物を鼻孔に適用するための好ましい手段は、前圧縮ポンプの使用によってである。最も好ましくは、前圧縮ポンプは、Valois SAが製造したVP7モデルであろう。十分な力が適用されるまでは処方物は放出されず、ほかに、より小さい用量が適用され得ることを保証しているので、そのようなポンプは有益である。前圧縮ポンプの別の利点は、スプレーを有効に噴射するための閾値圧力が達成されるまでポンプが処方物を放出しないので、スプレーの噴射が保証されていることである。典型的には、VP7モデルは、処方物10〜50mlを保持できるボトルを用いて使用され得る。各スプレーは典型的に、そのような処方物50〜100μlを送達し;従って、VP7モデルは少なくとも100回の計量用量を提供できる。
【0101】
経鼻処方物の実施例
実施例1:有効成分を含む経鼻処方物
120回の作動に適切な全量において、以下の成分を用いて鼻腔内送達用の処方物を調製し、処方物を1回の作動当たり50または100μlを分注するように適応させた計量バルブを装着したボトルに充填した:
【表2】

【0102】
デバイスを経鼻アクチュエータ(Valois)に装着した。
【0103】
実施例2:有効成分を含む経鼻処方物
120回の作動に適切な全量において、以下の成分を用いて鼻腔内送達用の処方物を調製し、処方物を1回の作動当たり50または100μlを分注するように適応させた計量バルブを装着したボトル(プラスチックまたはガラス)に充填した:
【表3】

【0104】
デバイスを経鼻アクチュエータ(Valois、例えば、VP3、VP7またはVP7D)に装着した。
【0105】
実施例3:有効成分を含む経鼻処方物
120回の作動に適切な全量において、以下の成分を用いて鼻腔内送達用の処方物を調製し、処方物を1回の作動当たり50または100μlを分注するように適応させた計量バルブを装着したボトルに充填した:
【表4】

【0106】
実施例4:有効成分を含む経鼻処方物
120回の作動に適切な全量において、以下の成分を用いて鼻腔内送達用の処方物を調製し、処方物を1回の作動当たり50または100μlを分注するように適応させた計量バルブを装着したボトルに充填した:
【表5】

【0107】
デバイスを経鼻アクチュエータ(Valois)に装着した。
【0108】
明細書および以下の特許請求の範囲中で、文脈がほかに必要としない限り、用語「含む」、ならびに「含む」および「含むこと」などのバリエーションは、記載された事項もしくは工程または事項の群の含有を意味し、いずれの他の事項もしくは工程または事項もしくは工程の群の除外を意味しないことが理解されよう。
【0109】
本明細書に記載の特許および特許出願を、出典明示により本明細書の一部とする。
【0110】
限定するものではないが、本明細書に記載の特許および特許出願を含む全ての刊行物を、各刊行物を完全に記載するかのように、詳細および個別に出典明示により本明細書の一部とすることを示すように、出典明示により本明細書の一部とする。
【0111】
上記の記載は、好ましいその実施態様を含む本発明を完全に開示している。本明細書で開示する実施態様の修飾および改良は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。さらなる生成なしに、当業者は先行の記載を使用して、本発明を完全に利用し得る。従って、実施例は、本発明の範囲の単なる実例であって、決して限定として解釈されるべきではない。排他的特性または特権を主張する本発明の実施態様を、上記に記載する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式(I):
【化1】

[式中、
R1およびR2は独立して、以下:
【化2】

、3−チエニル、ピリジル、ベンジル、ピリミジル、チアゾリル、イソチアゾリルおよびC3−7シクロアルキルからなる群より選択され、それらの全ては置換されてもよく;
およびRは独立して、水素および置換されてもよいC1−4アルキルからなる群より選択され;
Rbは独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ジハロメチル、トリハロメチルおよびNRからなる群より選択され;
Rcは独立して、C1−4アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ジハロメチル、トリハロメチルおよびNRからなる群より選択され;
Xは、医薬上許容される負に荷電したイオンであり;
Y1は、OまたはNRであり;
Y2およびY3は独立して、NおよびCHからなる群より選択され;ならびに
sは、1〜3の値を有する整数である]
で表される化合物。
【請求項2】
以下からなる群より選択される、請求項1記載の化合物:
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−ヒドロキシ−フェニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−メチル−チオフェン−2−イル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(4−メチル−チオフェン−3−イル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(5−メチル−チオフェン−2−イル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−{2,2−ビス−[5−(1,1−ジフルオロ−メチル)−チオフェン−2−イル]−エテニル}−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(4−フルオロ−フェニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−3−(2,2−ビス−(3−チエニル)エテニル)−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3,4−ジフルオロフェニル)エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3,5−ジフルオロフェニル)エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド) 3−{2,2−ビス[5−フルオロ−2−(メチルオキシ)フェニル]エテニル}−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(3−フルオロ−2−メチルフェニル)エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス(5−フルオロ−2−メチルフェニル)エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(4−クロロ−フェニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−フルオロ−フェニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(3−クロロ−フェニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンヨージド;
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタンブロミド;および
(3−エンド)−3−[2,2−ビス−(2−ヒドロキシ−フェニル)−エテニル]−8,8−ジメチル−8−アゾニア−ビシクロ[3.2.1]オクタン;ブロミド。
【請求項3】
請求項1記載の化合物および医薬上許容されるその担体を含む、ムスカリン性アセチルコリン受容体媒介疾患の処置のための医薬組成物。
【請求項4】
請求項1記載の化合物の安全および有効量を投与する工程を包含する、アセチルコリン受容体へのアセチルコリンの結合の阻害を必要とする哺乳動物におけるアセチルコリン受容体へのアセチルコリンの結合の阻害方法。
【請求項5】
請求項1記載の化合物の安全かつ有効量を投与する工程を包含し、アセチルコリンが該受容体に結合する、ムスカリン性アセチルコリン受容体媒介疾患の処置方法。
【請求項6】
疾患が慢性閉塞性肺疾患、慢性気管支炎、喘息、慢性呼吸器閉塞症、肺線維症、肺気腫およびアレルギー性鼻炎からなる群より選択される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
投与が口または鼻を介しての吸入を介する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
投与が貯蔵乾燥散剤吸入器、複数回投与用乾燥散剤吸入器または計量用量吸入器から選択される医薬品分注器を介する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
化合物がヒトに投与され、用量1mg当たり12時間またはより長い作用持続時間を有する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
化合物が24時間またはより長い作用持続時間を有する、請求項9記載の方法。
【請求項11】
化合物が36時間またはより長い作用持続時間を有する、請求項10記載の方法。

【公表番号】特表2009−503101(P2009−503101A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525175(P2008−525175)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【国際出願番号】PCT/US2006/030218
【国際公開番号】WO2007/016650
【国際公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】