説明

MIMO無線端末、中継装置とこれらを用いた無線通信システム

【課題】無線端末の通信に協力した端末の協力度を協力情報として蓄積・管理して、通信距離や通信品質の向上をより図ることができるMIMO無線装置、中継装置およびこれを用いた無線通信システムを実現すること。
【解決手段】無線通信を行うための送受信用アンテナを有するMIMO無線端末において、他のMIMO無線端末を自機の送受信用アンテナの一部として制御し擬似的に複数の送受信用アンテナを有する一台のMIMO無線端末としてMIMO通信方式による無線通信を行う無線送受信手段、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MIMO(Multiple-Input Multiple-output)通信方式を用いて通信距離・品質を向上させる無線端末、無線通信を中継するMIMO無線中継装置およびこれを用いた無線通信システムに関し、特に無線端末の通信に協力した端末の協力度を協力情報として蓄積・管理するものに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の無線端末は、MIMO通信方式(複数アンテナの指向性差を用いて空間ダイバシティを得る通信方式)を用いて、複数の無線端末が協調して動作することにより、複数のアンテナで同時に異なるデータを送信し、受信時に合成することで擬似的に広帯域を実現し、通信の高速化が図られている。このようなMIMO通信方式を用いて無線通信を行う無線端末を、以下MIMO無線端末という。
【0003】
図5は、従来のMIMO無線中継装置(以下、中継装置という)およびこれを用いた無線通信システムの構成例であり、図5において、MIMO無線端末1は、MIMO通信方式を用いて中継装置3と無線通信を行う。
【0004】
図5において、MIMO無線端末1は無線通信を介して他の無線端末または中継装置3とデータ通信を行う。
【0005】
中継装置3は、図示しない有線ネットワークまたは無線ネットワークと接続され、ネットワーク内の図示しない他端末と通信可能状態となっている通信端末で、他の端末がネットワークの接続をするにあたっての機能を提供する機器である。具体的にはMIMO無線端末とMIMO通信方式で通信可能な無線端末、無線基地局、無線アクセスポイントがあげられる。
【0006】
無線端末1と中継装置3は、送信機において複数アンテナに送信データを分配して送出し、複数の仮想的なMIMOチャネルを利用して伝送し、受信機では複数アンテナにより受信した信号から信号処理によって受信データを得るという、チャネルの特性を利用した通信方式であるMIMO通信方式を利用してデータの送受信を行なう。
【0007】
中継装置3は、MIMO通信により得られたデータを図示しないネットワークを介して他の端末に転送する。
【0008】
このような従来のMIMO無線端末、中継装置およびこれを用いた無線通信システムに関連する先行技術文献として、下記の特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2004―517549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来のMIMO無線端末は、MIMO無線通信を実施するにあたり無線端末の通信リソースの量やCPU等の演算制御手段の負荷によってはMIMO無線通信に影響を与えることがあり、より通信距離が長くより通信品質がよいといった高品質の無線通信を図ることが困難である、という問題点があった。
【0011】
本発明は上述の問題点を解決するものであり、その目的は、複数の無線端末がMIMO協力中継を実施し、この協力中継により行われる無線通信に協力した端末の協力度を協力情報として蓄積・管理して、通信距離や通信品質の向上をより図ることができるMIMO無線装置、中継装置およびこれを用いた無線通信システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
無線通信を行うための送受信用アンテナを有するMIMO無線端末において、
他のMIMO無線端末を自機の送受信用アンテナの一部として制御し擬似的に複数の送受信用アンテナを有する一台のMIMO無線端末としてMIMO通信方式による無線通信を行う無線送受信手段、を備えたことを特徴とするMIMO無線端末である。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のMIMO無線端末において、
前記無縁送受信手段は、
指向性差を用いて空間ダイバシティを得るMIMO通信方式による無線通信を行うことを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明は、
MIMO協力中継における他の無線端末の協力情報を作成する協力情報処理手段と、
前記協力情報処理手段により作成された協力情報の少なくともいずれかをヘッダ情報などに付加して、前記無線送受信手段を制御して無線通信を介して送信するデータ処理手段と、
を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項4記載の発明は、
無線通信を中継する無線通信手段を備える中継装置において、
請求項1〜3いずれかに記載のMIMO無線端末から取得したデータに基づき協力情報を抽出する協力情報処理手段と、
前記協力情報処理手段により抽出された前記協力情報を無線送受信手段を制御して送信するデータ処理手段と、
を備えること特徴とする中継装置。
【0016】
請求項5記載の発明は、
請求項1〜3いずれかに記載のMIMO無線端末と、
請求項4記載の中継装置と、
前記協力情報を記憶する協力情報データベースと、前記協力情報を元に課金情報を生成して毎月の請求金額の計算する手段を有するユーザ管理システムを備えたことを特徴とする無線通信システム。
【発明の効果】
【0017】
このように、本発明のMIMO無線端末、中継装置およびこれを用いた無線通信システムでは、無線端末がMIMO通信における協力情報を利用情報を送信するとともに(ほぼ同時に)中継装置を介してユーザ管理サーバに送信して記憶させることにより、無線端末の通信に協力した端末の協力度を協力情報として蓄積・管理することができるので、MIMO協力中継における無線通信の通信距離や通信品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るMIMO無線端末、中継装置およびこれを用いた無線通信システムの構成例を示す構成図である。
【図2】図1の中継装置3の構成ブロック図である。
【図3】図1のユーザ管理サーバ4の構成ブロック図である。
【図4】ユーザ管理サーバが課金に関する情報を蓄積・管理する場合の本発明の無線通信システムの構成図である。
【図5】従来のMIMO無線中継装置(以下、中継装置という)およびこれを用いた無線通信システムの構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明に係るMIMO無線端末、中継装置およびこれを用いた無線通信システムの構成例を示す構成図であり、図7と共通する部分には同一の符号を付けて適宜説明を省略する。図1と図7との相違点は、図1では複数の無線端末1,2により擬似的にMIMO無線通信を行うMIMO協力中継を実施する点、無線端末1,2がMIMO協力中継における他の無線端末の協力情報を送信する点、中継装置が協力情報を送信する協力情報処理手段を備える点、利用情報をおよび協力情報を蓄積するユーザ管理サーバを備える点などである。
【0020】
図1において、MIMO無線端末1、2は、MIMO通信方式を用いて中継装置3と無線通信を行う。MIMO無線端末1、2は無線通信を介して相互にデータ通信を行う、または、中継装置3とデータ通信を行う。
【0021】
MIMO無線中継装置(以下、中継装置という)3は、ネットワーク100または図示しない無線ネットワークと接続され、ネットワーク100内の図示しない他端末またはユーザ管理サーバ4と通信可能状態となっている通信端末で、他の端末がネットワークの接続をするにあたっての機能を提供する機器である。具体的には無線端末、無線基地局、無線アクセスポイントがあげられる。
【0022】
無線端末1は、特に図示しないが、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナと無線送受信手段11と、データ処理手段12と、利用情報処理手段13と、協力情報処理手段14とを備える。なお、無線端末2も無線端末1と同様の構成であるので説明を省略する。
【0023】
無線送受信手段11は、無線端末2または他の端末からのデータを無線通信を介して受信するほか、無線端末2または他の端末(中継装置3を含む)へデータを無線通信を介して送信する。
【0024】
データ処理手段12は、利用情報処理手段13により抽出された利用情報をヘッダ情報などに付加して、無線送受信手段11を制御して中継装置3を経由してユーザ管理サーバ4に送信する。
【0025】
利用情報処理手段13は、データ処理手段32からのデータを元に利用情報を生成し、データ処理手段12が必要なヘッダ情報などを付加して無線送受信手段11を制御し、中継装置3を介してユーザ管理サーバ4に送信する。具体的には、利用情報処理手段13は、中継装置3(基地局)を経由した無線通信が行われる通信時間(無線端末が携帯電話の場合は通話時間)およびパケット量を算出し、自機のIDに当該通話時間またはパケット量を付加したものを利用情報として生成し、データ処理手段12が必要なヘッダ情報などを付加して無線送受信手段11を制御し、中継装置3を介してユーザ管理サーバ4に送信する。
【0026】
無線装置1は、協力情報処理手段14が協力情報を生成し、データ処理手段12が必要なヘッダ情報などを付加して、無線送受信手段11を制御し中継装置3を介してユーザ管理サーバ4に送信する。具体的には、協力情報処理手段14は、協力中継をする前に協力をする無線装置と協力される無線装置との間で発生する通信のネゴシエーション時に通信相手(協力相手)のIDを取得し、自機のIDと取得した通信相手(協力相手)のIDに通信量(通信料)またはパケット量および協力による改善量(協力による改善量とは、利得や、通信速度、通話品質、エラーレートなどが挙げられる)を付加したものを協力情報として生成し、データ処理手段12が必要なヘッダ情報などを付加して、無線送受信手段11を制御し中継装置3を介してユーザ管理サーバ4に送信する。
【0027】
また無線端末1は、中継装置3に送信するデータのヘッダ情報に、主となる無線端末および協力端末の情報を記載して送信する。
【0028】
ここで、仮にMIMO無線端末1が中継装置3の通信範囲外に設置されているものとすれば、MIMO無線端末1は中継装置3にネットワークに接続することは不可能である。この場合、無線端末1の通信範囲内に協調することが可能な無線端末2が設置されている場合は、両端末が協調して動作することにより、擬似MIMO端末として動作させることが可能である。以降、この動作についてMIMO協力中継という。
【0029】
このMIMO協力中継は、具体的には、MIMO無線端末1がMIMO無線端末2に協力する場合には、MIMO無線端末1がMIMO無線端末2の無線送受信手段の一部分として動作することを意味する。その場合、MIMO無線端末2は無線送受信手段の一部である端末1を制御し通信を行う。
【0030】
すなわち、無線通信手段11は、他のMIMO無線端末の通信範囲内に協調できる位置に自機が設置されている場合は、これらのMIMO無線端末で擬似的に複数の送受信用アンテナを有する一台のMIMO無線端末として指向性差を用いて空間ダイバシティを得るMIMO通信方式による無線通信を行うことになる。
【0031】
この結果、MIMO無線端末1は、MIMO無線端末2の協力を得ることによって、MIMO通信の特徴である通信距離や通信品質の向上を得ることができ、単一では不可能な距離にあった中継装置と通信をすることができる。また、MIMO無線端末1が単一で中継装置2との通信可能範囲にあるときでもMIMO協力中継を利用して通信品質の改善を図ることができる。
【0032】
図2は、本発明に係る無線通信システムを構成する中継装置3の構成ブロック図である。中継装置3は、無線送受信手段31と、データ処理手段32と、協力情報判定手段33と、協力情報処理手段34と、利用情報処理手段35とを備える。
【0033】
無線送受信手段31は、無線端末1、2からのデータを無線通信を介して受信するほか、無線端末1、2へデータを無線通信を介して送信する。
【0034】
データ処理手段32は、無線端末1、2から取得したデータに基づき、データ転送が必要であると判断した場合は、無線端末1または2(もしくは図示しない中継装置3に接続されている無線端末)に転送する。なおデータ処理手段32は、データの転送に際して転送用のヘッダ情報を付与してデータ転送を行なう。
【0035】
データ処理手段32は、協力情報処理手段33により抽出された協力情報をヘッダ情報などに付加して、無線送受信手段31を制御してユーザ管理サーバ4に送信する。
【0036】
協力情報判定手段33は、無線端末1、2からの受信データのヘッダの解析を行い、協力情報の有無を判定する。協力情報処理手段34は、ヘッダ解析の結果、協力情報がある場合には、協力情報処理手段により受信データから協力情報を抽出する。利用情報処理手段35は、無線端末1から受信した情報を元に利用情報を作成する。
【0037】
図3は、本発明に係る無線通信システムを構成するユーザ管理サーバ4の構成ブロック図である。ユーザ管理サーバ4は、通信手段41と、利用情報データベース42と、協力情報データベース43とを備える。
【0038】
通信手段41は、中継装置3のデータをネットワーク100を介して受信するほか、ネットワーク100を介してネットワーク100に接続される中継装置3または図示しない他の端末へデータを送信する。
【0039】
利用情報データベース42は、無線端末1、2のネットワーク接続時間、ネットワーク接続回数、通信データ量、通信リソース(タイムスロット、フレーム、周波数)消費量などの単独または複数の組み合わせからなるネットワーク利用情報(利用情報)を記憶する。
【0040】
協力情報データベース43は、MIMO協力中継によって無線端末が中継装置との通信するために協力した実績である協力情報を記憶する。協力情報には、協力時間、協力に使用した通信リソース(帯域、周波数、タイムスロット、フレーム)の量、通信データ量、バッテリの消費量などが挙げられる。
【0041】
いいかえれば、ユーザ管理サーバ4は、これらの情報を蓄積する利用情報データベースおよび協力情報データベースを備えるものである。なお利用情報は、無線端末1、2のデータを転送する中継装置3から送信される。
【0042】
このような構成のもと、本発明に係るMIMO無線中継装置およびこれを用いた無線通信システムは、次のような(1)〜(5)の動作を行う。
【0043】
(1)無線端末1および無線端末2がMIMO協力中継を利用して中継装置3と通信を行う場合、通信の主となる無線端末1は、協力する無線端末2に関する情報を送信データに付加して中継装置3に無線端末2の協力情報を送信する。
【0044】
(2)中継装置3の協力情報判定手段32は、無線端末1または2から受信したデータのヘッダの解析を行い、協力情報の有無を判定する。協力情報判定手段33は受信データのヘッダが解析された結果、協力情報がある場合には協力情報処理手段34により受信データから協力情報が抽出される。データ処理手段32は、抽出された協力情報をヘッダ情報などに付加した後、無線送受信手段31を通じてユーザ管理サーバ4に送信する。
【0045】
(3)中継装置3のデータ処理手段32は、(2)の処理とほぼ同時にまたはその後に、中継装置3の利用情報処理手段35が無線端末1から受信した情報を元に作成された利用情報を必要なヘッダ情報などとして付加して、無線送受信手段31を制御しネットワーク100を介してユーザ管理サーバ4に送信する。
【0046】
(4)ユーザ管理サーバ4のデータ処理手段42は、通信手段41を介して受信した中継装置3からの無線端末1に係る利用情報および協力情報をそれぞれ利用情報データベースおよび協力情報データベースに記憶する。
【0047】
(5)ユーザ管理サーバ4のデータ処理手段42は、協力情報をそれぞれ利用情報データベースおよび協力情報データベースに記憶される各無線端末に係る利用情報および協力情報に基づき、通信距離や通信品質の向上をより図る。
【0048】
このように本発明のMIMO無線中継装置およびこれを用いた無線通信システムは、無線端末がMIMO通信における協力情報を利用情報を送信するとともに(ほぼ同時に)中継装置を介してユーザ管理サーバに送信して記憶させることにより、無線端末の通信に協力した端末の協力度を協力情報として蓄積・管理することができる。
【0049】
また、本発明のMIMO無線中継装置およびこれを用いた無線通信システムは、蓄積管理している協力情報に基づいて、近隣端末とのネゴシエーションすることによりMIMO協力中継による無線通信の通信距離や通信品質の向上を図ることができる。すなわち、協力情報に基づき最適な協力してもらう場合に最適な無線機器を近隣端末の中から選択できることができ、通信距離や通信品質の向上が図れる。
【0050】
なお、本発明のMIMO無線通信システムを構成するユーザ管理サーバが、受信した協力情報に基づきその協力度に応じた報酬を各無線端末に与えるものでもよい。以下、無線端末1、2を携帯電話とし、本発明のMIMO無線中継装置3を携帯電話基地局として説明する。
【0051】
図4は、ユーザ管理サーバが課金に関する情報を蓄積・管理する場合の本発明の無線通信システムの構成図である。図4において、携帯電話1が近傍の携帯電話基地局3のセル外にある場合を想定する。単独の通信では携帯電話基地局への接続が困難であると判断した携帯電話1は、通信可能範囲にある携帯電話2を探索し、MIMO協力中継により携帯電話基地局への接続を試みる。
【0052】
接続に成功した場合には、携帯電話1はMIMO協力中継を使用した通信を所望の通信端末に対して行う。その際に携帯電話1、2から送信されるデータには、携帯電話2がMIMO協力中継による協力を行っていることを示す情報が付加される。
【0053】
携帯電話基地局3の協力情報判定手段は、携帯電話1、2から受信するデータに基づいて、受信したデータにおける協力情報の有無が判断され、データ内に協力情報が存在する場合は協力情報処理手段により協力情報を抽出する。抽出した協力情報は、利用情報とともにユーザ管理サーバ4に送信する。
【0054】
ユーザ管理サーバ4は、利用情報および、協力情報を元に課金情報を生成して利用情報データベースに記憶し、毎月の請求金額の計算に用いる。具体的には、ユーザ管理サーバ4は、通信時間(または通話時間)、被協力時間、協力時間、パケット量、無線通信におけるプラン、 割引などを課金情報 として生成して利用情報データベースに記憶し、この課金情報に基づき、たとえば式(1)のような月額使用量計算式に基づき毎月の請求金額を計算する。
月額使用料= 基本料(プラン)+通話時間×通話料(プラン)+パケット量×パケット単価(プラン)+被協力時間×被協力単価(プラン)―協力時間×協力単価(プラン)―割引・・・・(1)
【0055】
いいかえれば、本発明の無線通信システムは、協力情報をネットワークの利用料金の算出の際に利用者に対する報酬としても利用することにより、MIMO無線中継における協力度に応じた報酬を与えることができる。
【0056】
このように本発明のMIMO無線中継装置およびこれを用いた無線通信システムは、無線端末がMIMO通信における協力情報を利用情報を送信するとともに(ほぼ同時に)中継装置を介してユーザ管理サーバに送信して記憶させて、利用情報と協力情報に基づき課金情報を生成して毎月の請求金額の計算に用いることにより、その協力度に応じた報酬を与えることができる。
【0057】
以上説明したように、本発明のMIMO無線端末、中継装置およびこれを用いた無線通信システムでは、無線端末がMIMO通信における協力情報を利用情報を送信するとともに(ほぼ同時に)中継装置を介してユーザ管理サーバに送信して記憶させることにより、無線端末の通信に協力した端末の協力度を協力情報として蓄積・管理することができるので、MIMO協力中継における無線通信の通信距離や通信品質の向上を図ることができ、結果として無線通信システム全体の通信品質の向上に貢献することができる。
【符号の説明】
【0058】
1、2 MIMO無線端末
3 中継装置
31 無線送受信手段
32 データ処理手段
33 協力情報判定手段
34 協力情報処理手段
35 利用情報処理手段
4 ユーザ管理システム
41 通信手段
42 利用情報データベース
43 協力情報データベース
100 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信を行うための送受信用アンテナを有するMIMO無線端末において、
他のMIMO無線端末を自機の送受信用アンテナの一部として制御して擬似的に複数の送受信用アンテナを有する一台のMIMO無線端末としてMIMO通信方式による無線通信を行う無線送受信手段、を備えたことを特徴とするMIMO無線端末。
【請求項2】
前記無縁送受信手段は、
指向性差を用いて空間ダイバシティを得るMIMO通信方式による無線通信を行うことを特徴とする請求項1記載のMIMO無線端末。
【請求項3】
MIMO協力中継における他の無線端末の協力情報を作成する協力情報処理手段と、
前記協力情報処理手段により作成された協力情報をヘッダ情報に付加して、前記無線送受信手段を制御して無線通信を介して送信するデータ処理手段と、
を備えることを特徴とする請求項2記載のMIMO無線端末。
【請求項4】
無線通信を中継する無線通信手段を備える中継装置において、
請求項1〜3いずれかに記載のMIMO無線端末から取得したデータに基づき協力情報を抽出する協力情報処理手段と、
前記協力情報処理手段により抽出された前記協力情報を無線送受信手段を制御して送信するデータ処理手段と、
を備えること特徴とする中継装置。
【請求項5】
請求項1〜3いずれかに記載のMIMO無線端末と、
請求項4記載の中継装置と、
前記協力情報を記憶する協力情報データベースと、前記協力情報を元に課金情報を生成して毎月の請求金額の計算する手段を有するユーザ管理システムを備えたことを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−278715(P2010−278715A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128643(P2009−128643)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】