説明

MMP−14結合タンパク質を含む、骨溶解性障害を処置するための組成物および方法

MMP−14もしくはMMP−9結合タンパク質を単独で使用するか、または他の治療薬と併用して使用して、骨親和性癌および骨粗鬆症のような骨溶解性障害を処置するための方法および組成物を提供する。例えば、被験体における骨溶解性障害を処置するための方法であって、骨溶解性障害に罹患した被験体に重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列を含む有効量のMMP−14結合タンパク質を投与することを含む方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の引用
本願は、2007年12月17日に提出した米国出願第61/008,153号、2008年1月31日に提出した米国出願第61/025,032号、および2008年10月22日に提出した米国出願第61/107,510号に対する優先権を主張する。先願の開示は、本願の開示の一部であるとみなされ(そして参考として援用され)る。
【背景技術】
【0002】
背景
骨再吸収を媒介する破骨細胞は骨溶解性障害を包含する正常および異常な骨リモデリング過程に関与している。破骨細胞は造血細胞から分化する多核細胞である。破骨細胞は、不完全な細胞分裂よりはむしろ骨髄における造血幹細胞から誘導された単核前駆体の融合により形成されることが一般に認められる。破骨細胞前駆体の成熟多核破骨細胞への分化は異なる要因、例えばホルモンおよび局所刺激を要し、そして生存している骨および骨細胞は破骨細胞の発達において重要な役割を果たしていることがわかっている。骨芽細胞または骨髄間質細胞もまた破骨細胞の分化に必要である。破骨細胞はミネラルおよび有機物の骨マトリックスの両方の溶解を担っている。破骨細胞は特殊化された膜の領域および数種の膜および細胞質のマーカーを有する独特の極性を有する形態を発現する終末分化した細胞を呈する。
【0003】
数種の分子機序は癌細胞の骨への転移を媒介し、そして骨親和性癌細胞は骨の微小環境におけるホーミング、接着、増殖および生存を向上させる骨細胞様特性を獲得すると考えられている。腫瘍生育および骨溶解性の患部の発生に関与するシグナリング経路はRANK、RANKL、オステオプロテゲリン(OPG)、IGFおよび膜型(MT)−マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)を包含する。骨分解の初期段階は石灰化していないI型コラーゲン層の除去とそれに続くやはりI型コラーゲンを含む石灰化したマトリックスの分解よりなる。骨における腫瘍の拡大には特に豊富であり分解に抵抗性であるこのマトリックスの除去が必要である。破骨細胞の支援は、破骨細胞が骨マトリックス可溶化に関与する主要な細胞であることから、必須であると考えられる。骨を分解する破骨細胞の能力は、プロトン、カテプシンKおよびMMPを分泌するそれらの能力に帰属する。癌細胞が存在する場合の骨環境内のMMPレベルの全般的上昇は、部分的には癌細胞自体によるMMPの産生に起因する。
【0004】
破骨細胞は骨溶解性の骨転移および他の骨溶解性の疾患において主要な役割を果たしているため、破骨細胞の刺激および機能を防止するためには新しい薬剤および方法が当該分野で必要とされている。骨溶解性疾患をターゲティングした数種の治療方策が現在使用されているか、または開発中であり、そこでは破骨細胞の形成または活性を阻害することによって骨再吸収をブロックするための薬物を開発することが研究の主な焦点となっている。ビスホスホネート(BP)、即ち骨において濃縮されるピロホスフェート類縁体が今日では最も有効な骨再吸収の阻害剤となっている。BPは破骨細胞により取り込まれ、これによりそれらの活性を阻害し、そして細胞にアポトーシスを受けさせることにより、骨再吸収を阻害している。進行癌は転移し易い。骨転移の有効な処置法はまだ存在せず、既存の処置法、例えばビスホスホネート、化学療法および放射線療法はクオリティーオブライフを改善するが、延命の利点は有しておらず、そして多大な副作用を有する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に開示するものは、骨溶解性障害、特に骨親和性癌および骨粗鬆症の処置のための方法である。1つの態様において、本発明は有効量のMMP−14またはMMP−9結合タンパク質の投与を含む骨溶解性障害の処置または防止のための方法を提供する。骨溶解性障害が骨親和性癌である特定の実施形態においては、該方法は、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質の投与により、例えば限定されないが、乳房、肺および前立腺を包含する多くの癌の骨への転移性拡大に起因して生じる場合がある骨溶解性の患部の発生を減少させるおよび/または防止するように特に作用する。他の実施形態においては、該方法はMMP−14またはMMP−9結合タンパク質の投与により骨転移を有する被験体において骨溶解性の患部が形成されることを防止するように特に作用する。
【0006】
1つの実施形態において、MMP−14結合タンパク質はMMP−9結合タンパク質と組み合わせて投与される。1つの実施形態において、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は追加の癌の治療薬または処置法、例えばビスホスホネート(例えばアミノおよび非アミノビスホスホネート)、ホルモン関連化合物(例えばエストロゲンおよびSERM)、RANKL拮抗剤、αγβ拮抗剤、Src阻害剤、カテプシンK阻害剤、カルシトニン、化学療法および放射線療法と組み合わせて投与される。
【0007】
1つの実施形態において、MMP−14結合タンパク質はMMP−9結合タンパク質および追加の癌の治療薬または処置法、例えばビスホスホネート(例えばアミノおよび非アミノビスホスホネート)、ホルモン関連化合物(例えばエストロゲンおよびSERM)、RANKL拮抗剤、αγβ拮抗剤、Src阻害剤、カテプシンK阻害剤、カルシトニン、化学療法および放射線療法と組み合わせて投与される。
【0008】
1つの態様において、本発明は骨溶解性障害の処置のためのキットを提供する。該キットはMMP−14および/またはMMP−9結合タンパク質、および骨溶解性障害を有する被験体にMMP−14および/またはMMP−9結合タンパク質を投与するための説明書を含む。1つの実施形態において、該キットは骨溶解性障害の処置のための追加の治療薬の投与に関する説明書を更に含み、そして場合により追加の治療薬を含有してよい。1つの実施形態において、説明書は追加の治療薬の非存在下における阻害剤に関する投薬計画、投薬スケジュールおよび/または投与経路とは異なるMMP−14および/またはMMP−9結合タンパク質の投薬計画、投薬スケジュールおよび/または投与経路を提供する。
【0009】
別の態様において、本明細書においては骨溶解性障害の処置のための医薬の製造のためのMMP−14および/またはMMP−9結合タンパク質の使用を提供する。該医薬は場合によりビスホスホネートのような骨溶解性障害の処置のための追加の治療薬を含んでよい。
【0010】
何れかの開示された方法、キットまたは組成物において使用されるMMP−14および/またはMMP−9結合タンパク質は以下の詳細な説明において記載する1つ以上の特性を有することができる。例えば本明細書に記載する何れかの方法またはキットにおいて使用される好ましい組成物は1つ以上の製薬上許容しうる緩衝液、担体、および賦形剤を更に含んでよく、これらは、組成物に対して望ましい特徴、例えば限定されないが、患者への組成物の増強された投与、阻害剤の増強された循環系中半減期、患者の血液化学に対する組成物の増強された適合性、組成物の増強された保存、および/または患者への投与の際の組成物の増強された薬効を与える場合がある。
【0011】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細を添付する図面および以下の説明において示す。本発明の他の特徴、目的および利点は説明および図面から、そして請求項から明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1−1】図1は骨溶解性障害を処置するための記載した方法および組成物において使用してよい一部の例示されるMMP−14結合タンパク質のFab重鎖(HC)および軽鎖(LC)可変領域のアミノ酸配列を示す。HCVドメインの標準的ナンバリングを示す。HCのCDR3の長さはかなり変動する。慣例通り、第2のシステインは92番とし、そしてFR4の保存されたWGモチーフのWは103番とする。C92とW103との間に9残基超が存在する場合、102番より後ろの残基は102a番、102b番等と記載する。
【図1−2】図1は骨溶解性障害を処置するための記載した方法および組成物において使用してよい一部の例示されるMMP−14結合タンパク質のFab重鎖(HC)および軽鎖(LC)可変領域のアミノ酸配列を示す。HCVドメインの標準的ナンバリングを示す。HCのCDR3の長さはかなり変動する。慣例通り、第2のシステインは92番とし、そしてFR4の保存されたWGモチーフのWは103番とする。C92とW103との間に9残基超が存在する場合、102番より後ろの残基は102a番、102b番等と記載する。
【図1−3】図1は骨溶解性障害を処置するための記載した方法および組成物において使用してよい一部の例示されるMMP−14結合タンパク質のFab重鎖(HC)および軽鎖(LC)可変領域のアミノ酸配列を示す。HCVドメインの標準的ナンバリングを示す。HCのCDR3の長さはかなり変動する。慣例通り、第2のシステインは92番とし、そしてFR4の保存されたWGモチーフのWは103番とする。C92とW103との間に9残基超が存在する場合、102番より後ろの残基は102a番、102b番等と記載する。
【図2】図2は(左側)PBS対照(上)またはDX−2400(下)で処置した骨溶解性の脛骨患部の大きさのX線分析、および(右)記載通りにPBS対照またはDX−2400で処置した骨溶解性の脛骨患部の大きさの骨組織形態測定分析を示す。
【図3−1】図3は骨溶解性障害を処置するための記載した方法および組成物において使用してよい一部の例示されるMMP−9結合タンパク質のFab重鎖(HC)および軽鎖(LC)可変領域のアミノ酸配列を示す。
【図3−2】図3は骨溶解性障害を処置するための記載した方法および組成物において使用してよい一部の例示されるMMP−9結合タンパク質のFab重鎖(HC)および軽鎖(LC)可変領域のアミノ酸配列を示す。
【図3−3】図3は骨溶解性障害を処置するための記載した方法および組成物において使用してよい一部の例示されるMMP−9結合タンパク質のFab重鎖(HC)および軽鎖(LC)可変領域のアミノ酸配列を示す。
【図3−4】図3は骨溶解性障害を処置するための記載した方法および組成物において使用してよい一部の例示されるMMP−9結合タンパク質のFab重鎖(HC)および軽鎖(LC)可変領域のアミノ酸配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
骨転移前立腺癌を有する患者に由来するコア骨生検標本に由来する切片中においてMMP−2、MMP−9およびMMP−14の発現が観察されている。更にまた、RANKL、MMP−2、MMP−13およびMMP−14の発現はインビボの乳癌MDA−MB−231細胞の転移を有する骨中で顕著に上昇することが観察されている。本開示は骨親和性癌および骨粗鬆症のような骨溶解性障害の処置および防止におけるMMP−14またはMMP−9結合活性を阻害するMMP−14またはMMP−9結合タンパク質を包含するMMP−14またはMMP−9結合タンパク質を用いる方法、ならびにそのための組成物およびキットを提供する。
【0014】
定義
簡便のために、本発明を更に説明する前に、明細書、実施例および添付請求項において使用する特定の用語をここで定義しておく。
【0015】
単数表記は特段の相反する記載が無い限り複数表記を包含するものとする。
【0016】
「抗体」という用語は少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメインまたは免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むタンパク質を指す。例えば、抗体は重(H)鎖可変領域(本明細書においてはVHと略記)および軽(L)鎖可変領域(本明細書においてはVLと略記)を含み得る。別の例においては、抗体は2つの重(H)鎖可変領域および2つの軽(L)鎖可変領域を含む。「抗体」という用語は抗体の抗原結合フラグメント(例えば単鎖抗体、FabおよびsFabフラグメント、F(ab’)、Fdフラグメント、Fvフラグメント、scFv、およびドメイン抗体(dAb)フラグメント(de Wildt等、Eur J Immunol.1996;26(3):629−39))ならびに完全な抗体を包含する。抗体はIgA、IgG、IgE、IgD、IgM(ならびにこれらのサブタイプ)の構造的特徴を有することができる。抗体は如何なる原料に由来してもよいが、霊長類(ヒトおよび非ヒト霊長類)および霊長類化されたものが好ましい。
【0017】
VHおよびVL領域は、「フレームワーク領域」(FR)と称されるより保存された領域が介在する「相補性決定領域」(CDR)と称される超可変性の領域に更に再分割することができる。フレームワーク領域およびCDRの範囲は厳密に定義されている(Kabat,E.A.等(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242およびChothia,C.等(1987)J.Mol.Biol.196:901−917参照、更にまたwww.hgmp.mrc.ac.ukも参照)。Kabatの定義を本明細書において使用する。各々のVHおよびVLは、典型的には、以下の順序、即ち:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4においてアミノ末端からカルボキシ末端に並んだ3つのCDRと4つのFRより構成される。
【0018】
抗体のVHまたはVLは重鎖または軽鎖の定常領域の全てまたは一部を更に含むことにより、それぞれ重鎖および軽鎖の免疫グロブリン鎖を形成することができる。1つの実施形態において、抗体は2つの重鎖免疫グロブリン鎖および2つの軽鎖免疫グロブリン鎖の4量体であり、この場合、重鎖および軽鎖の免疫グロブリン鎖は例えばジスルフィド結合により相互に連結されている。IgGにおいて、重鎖定常領域は3つの免疫グロブリンドメイン、CH1、CH2およびCH3を含む。軽鎖定常領域はCLドメインを含む。重鎖および軽鎖の可変領域は抗原と相互作用する結合ドメインを含有する。抗体の定常領域は、典型的には、宿主の組織または因子、例えば免疫系の種々の細胞(例えばエフェクター細胞)および古典的補体系の第1の成分(Clq)への抗体の結合を媒介する。免疫グロブリンの軽鎖はカッパまたはラムダ型であってよい。1つの実施形態において、抗体はグリコシル化されている。抗体は抗体依存性細胞毒性および/または補体媒介細胞毒性に関して機能的であることができる。
【0019】
抗体の1つ以上の領域はヒト型または効果的にヒト型であることができる。例えば、可変領域の1つ以上はヒト型または効果的にヒト型であることができる。例えば、CDRの1つ以上は、ヒト型の、例えばHCCDR1、HCCDR2、HCCDR3、LCCDR1、LCCDR2、およびLCCDR3であることができる。軽鎖CDRの各々がヒト型であることができる。HCCDR3はヒト型であることができる。フレームワーク領域の1つ以上がヒト型の、例えばHCまたはLCのFR1、FR2、FR3、およびFR4であることができる。例えばFc領域はヒト型であることができる。1つの実施形態において、フレームワーク領域の全てが、例えばヒト体細胞、例えば免疫グロブリンを産生する造血細胞または非造血細胞から誘導されたヒト型である。1つの実施形態において、ヒト型配列は例えば生殖細胞系統核酸によりコードされた生殖細胞系統の配列である。1つの実施形態において、選択されたFabのフレームワーク(FR)残基は最も類縁の霊長類生殖細胞系統遺伝子、特にヒト生殖細胞系統遺伝子における相当する残基のアミノ酸型に変換することができる。定常領域の1つ以上がヒト型または効果的にヒト型であることができる。例えば、免疫グロブリンの可変ドメイン、定常領域、定常ドメイン(CH1、CH2、CH3、CL1)の少なくとも70、75、80、85、90、92、95、98、または100%、または全抗体がヒト型または効果的にヒト型であることができる。
【0020】
抗体の全てまたは一部分が免疫グロブリン遺伝子またはそのセグメントによりコードされることができる。例示されるヒト型免疫グロブリン遺伝子はカッパ、ラムダ、アルファ(IgA1およびIgA2)、ガンマ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、デルタ、エプシロンおよびミューの定常領域遺伝子、ならびに多くの免疫グロブリン可変領域遺伝子を包含する。完全長の免疫グロブリンの「軽鎖」(約25KDaまたは約214アミノ酸)はNH2末端における可変領域遺伝子(約110アミノ酸)およびCOOH末端におけるカッパまたはラムダの定常領域遺伝子によりコードされている。完全長の免疫グロブリンの「重鎖」(約50KDaまたは約446アミノ酸)は同様に可変領域遺伝子(約116アミノ酸)および他の上記定常領域遺伝子の1つ、例えばガンマ(約330アミノ酸をコードしている)によりコードされている。ヒトHCの長さは、HCCDR3が約3アミノ酸残基から35アミノ酸残基超にまで変動するため、かなり変動する。
【0021】
完全長抗体の「抗原結合フラグメント」という用語は、目的の標的に特異的に結合する能力を保持している完全長抗体の1つ以上のフラグメントを指す。完全長抗体の「抗原結合フラグメント」という用語に含まれる結合フラグメントの例は、(i)Fabフラグメント即ちVL、VH、CLおよびCH1ドメインよりなる1価のフラグメント;(ii)F(ab’)フラグメント即ちヒンジ領域においてジスルフィド架橋により連結されたFabフラグメント2つを包含する2価のフラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインよりなるFdフラグメント;(iv)抗体の単一のアームのVLおよびVHドメインよりなるFvフラグメント、(v)dAbフラグメント(Ward等、(1989)Nature341:544−546)、即ちVHドメインよりなるもの;および(vi)機能性を保持している単離された相補性決定領域(CDR)を包含する。更にまた、Fvフラグメントの2つのドメイン、即ちVLおよびVHは別個の遺伝子によりコードされているが、それらは組み換え法を用いながら、VLおよびVH領域が対になって単鎖Fv(scFv)として知られている1価の分子を形成する単一のタンパク質鎖としてそれらが形成され得るようにする合成リンカーにより、連結できる。例えば米国特許5,260,203、4,946,778および4,881,175;Bird等(1988)Science242:423−426;およびHuston等(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA85:5879−5883を参照。
【0022】
抗体フラグメントは何れかの適切な手法、例えば当業者に知られた従来の手法を用いて得ることができる。「単一特異性抗体」という用語は特定の標的、例えばエピトープに対して単一の結合特異性および親和性を示す抗体を指す。この用語は「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」を包含し、これらは本明細書において使用する場合、抗体がどのように発生したかに関わらず単一の分子組成物の抗体またはそのフラグメントの調製品を指す。
【0023】
本明細書において使用する場合、「結合親和性」とは見かけの会合定数、即ちKを指す。Kは解離定数(K)の逆数である。結合タンパク質は例えば特定の標的分子、例えばMMP−14、MMP−16またはMMP−24に対して少なくとも10、10、10、10、10、1010および1011−1の結合親和性を有する。結合タンパク質が第2の標的よりも第1の標的に対して相対的に高親和性で結合することは、第2の標的への結合に関するK(または数値K)よりも高値の第1の標的への結合に関するK(またはより小さい数値K)により示すことができる。そのような場合、結合タンパク質は第2の標的(例えば第2のコンホーメーションまたはその模倣物における同じタンパク質;または第2のタンパク質)と比較して相対的に第1の標的(例えば第1のコンホーメーションのまたはその模倣物におけるタンパク質)に対して特異性を有している。結合親和性の相違(例えば特異性または他の比較に関して)は少なくとも1.5、2、3、4、5、10、15、20、37.5、50、70、80、91、100、500、1000、または10倍であることができる。
【0024】
結合親和性は種々の方法、例えば平衡透析、平衡結合、ゲル濾過、ELISA、表面プラズモン共鳴、またはスペクトル分析(例えば蛍光アッセイを使用)により測定できる。結合親和性を評価するための例示される条件はTRIS緩衝液(50mM TRIS、150mM NaCl、5mM CaCl、pH7.5)中である。これらの手法を用いることにより結合タンパク質(または標的)の濃度の関数としての結合型または遊離型の結合タンパク質の濃度を計測できる。結合型の結合タンパク質の濃度([結合型])は遊離型の結合タンパク質の濃度([遊離型])および標的上の結合タンパク質に関する結合部位の濃度に対して以下の方程式:
[結合型]=N・[遊離型]/((1/Ka)+[遊離型])
により関連しており、式中(N)は標的分子当たりの結合部位数である。
【0025】
しかしながら、Kを厳密に測定することは必ずしも必要ではなく、その理由は、場合によっては、例えばKに正比例しており、そしてそのため高値の親和性が例えば2倍高値であるかどうかを調べる等の比較のために用いることができるELISAまたはFACS分析のような方法を用いた親和性の定量的計測を行うこと、親和性の定性的な計測を行うこと、または例えば機能的アッセイ、例えばインビトロまたはインビボアッセイにおける活性により親和性の推定を行うことで十分であるためである。
【0026】
「結合タンパク質」という用語は標的分子と相互作用できるタンパク質またはポリペプチドを指す。この用語は「リガンド」と互換的に使用される。「MMP−14結合タンパク質」はMMP−14と相互作用できるタンパク質を指し、そして特にMMP−14と優先的に相互作用する、および/またはこれを阻害するタンパク質を包含する。例えばMMP−14結合タンパク質は抗体であってよい。「MMP−9結合タンパク質」とはMMP−9と相互作用できるタンパク質を指し、そして特にMMP−9と優先的に相互作用する、および/またはこれを阻害するタンパク質を包含する。例えばMMP−9結合タンパク質は抗体であってよい。
【0027】
「癌」または「癌性の」という用語は、典型的には調節不可能な細胞の成長を特徴とする哺乳類における生理学的な状態を指すか、これを説明する。癌の例は限定しないが癌腫、リンパ腫、芽腫、肉腫、および白血病を包含する。そのような癌のより特定的な例は乳癌、前立腺癌、結腸癌、扁平上皮細胞癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、胃腸癌、膵臓癌、神経膠芽細胞腫、子宮頸癌、卵巣癌、肝臓癌、膀胱癌、肝癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌腫、唾液腺癌腫、腎臓癌、肝臓癌、外陰部癌、甲状腺癌、肝臓癌腫および種々の型の頭頚部癌を包含する。
【0028】
「同族リガンド」という用語はMMP−14またはMMP−9の天然に存在するリガンドを指し、これには天然に存在するその変異体(例えばスプライス変異体、天然に存在する突然変異体、およびアイソフォーム)も包含される。
【0029】
「組み合わせ」という用語は同じ患者を処置するために2つ以上の薬剤または治療法を使用することを指し、その場合薬剤または治療法の使用または作用は時間において重複する。薬剤または治療法は同時に行う(例えば患者に投与される単一製剤として、または同時に投与される2つの別個の製剤として)か、または何れかの順序で逐次的に行うことができる。
【0030】
「保存的なアミノ酸置換」とはアミノ酸残基が同様の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられているものである。同様の側鎖を有するアミノ酸のファミリーは当該分野で定義されている。これらのファミリーは塩基性側鎖(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、未荷電の極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、β分枝側鎖(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)および芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を包含する。多くのフレームワークおよびCDRのアミノ酸残基が1つ以上の保存的置換を含むことが可能である。
【0031】
「効果的にヒト型の」免疫グロブリン可変領域とは、免疫グロブリン可変領域が正常なヒトにおいて免疫原性応答を誘発しないようにヒトフレームワークアミノ酸位置の十分な数量を包含している免疫グロブリン可変領域である。「効果的にヒト型の」抗体とは、抗体が正常なヒトにおいて免疫原性応答を誘発しないようにヒトアミノ酸位置の十分な数量を包含している抗体である。
【0032】
「エピトープ」とは結合タンパク質(例えばFabまたは完全長抗体のような抗体)により結合されている標的化合物上の部位を指す。標的化合物がタンパク質である場合、部位はアミノ酸成分より完全になるか、タンパク質のアミノ酸の化学的修飾より完全になるか(例えばグリコシル部分)、またはそれらの組み合わせよりなることができる。重複しているエピトープは少なくとも1つ共通のアミノ酸残基、グリコシル基、ホスフェート基、スルフェート基、または他の分子特徴を包含する。
【0033】
2つの配列間の「相同性」または「配列同一性」(用語は本明細書においては互換的に使用する)の計算は以下の通り実施する。配列を最適な比較目的のためにアラインメントする(例えば最適なアライメントのために第1および第2のアミノ酸または核酸の配列の一方または両方にギャップを導入することができ、そして非相同の配列は比較目的のためには無視することができる)。最適なアライメントはギャップペナルティー12、ギャップエクステンドペナルティー4、およびフレームシフトギャップペナルティー5を含むBlossum62スコアリングマトリックスを用いたGCGソフトウエアパッケージにおいてGAPプログラムを用いた場合のベストスコアとして求められる。次に相当するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置におけるアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列における位置が第2の配列における相当する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドにより占有されていれば、分子はその位置において同一となる(本明細書において使用する場合、アミノ酸または核酸の「同一性」はアミノ酸または核酸の「相同性」と等価である)。2つの配列の間のパーセント同一性は配列により共有される同一の位置の数の関数である。
【0034】
好ましい実施形態においては、比較目的のためにアラインメントされたレファレンス配列の長さはレファレンス配列の長さの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、なおより好ましくは少なくとも60%、そして更により好ましくは少なくとも70%、80%、90%、92%、95%、97%、98%、または100%である。例えば、レファレンス配列は免疫グロブリン可変ドメイン配列の長さであってよい。
【0035】
「ヒト化」免疫グロブリン可変領域は、免疫グロブリン可変領域が正常なヒトにおいて免疫原性応答を誘発しないようにヒトフレームワークアミノ酸位置の十分な数量を包含するように修飾された免疫グロブリン可変領域である。「ヒト化」免疫グロブリンの説明は例えば米国特許6,407,213および米国特許5,693,762に記載されている。
【0036】
本明細書において使用する場合、「低ストリンジェンシー、中ストリンジェンシー、高ストリンジェンシー、または超高ストリンジェンシーの条件の下にハイブリダイズする」という用語はハイブリダイゼーションおよび洗浄の条件を説明している。ハイブリダイゼーション反応を行うことに関するガイダンスはCurrent Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,N.Y.(1989)6.3.1−6.3.6に記載されている。この参考文献には水性および非水性の方法が記載されており、そして何れかを使用できる。本明細書において言及される特定のハイブリダイゼーション条件は以下の通りである。即ち(1)低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)で約45℃、次いで2回洗浄を0.2XSSC、0.1%SDSで少なくとも50℃(洗浄温度は低ストリンジェンシー条件では55℃まで上昇できる);(2)中ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は6XSSCで約45℃、次いで1回以上の洗浄を0.2XSSC、0.1%SDSで60℃;(3)高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は6XSSCで約45℃、次いで1回以上の洗浄を0.2XSSC、0.1%SDSで65℃;そして(4)超高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件は0.5Mリン酸ナトリウム、7%SDSで65℃、次いで1回以上の洗浄を0.2XSSC、1%SDSで65℃。超高ストリンジェンシー条件(4)が好ましい条件であり、そして特段の記載が無い限り使用すべきものである。開示内容は本明細書に記載する核酸に対して、またはその相補物に対して低、中、高または超高ストリンジェンシーでハイブリダイズする核酸、例えば本明細書に記載する結合タンパク質をコードする核酸を包含する。核酸はレファレンス核酸の長さと同じかその長さの30、20、または10%以内であることができる。核酸は本明細書に記載する免疫グロブリン可変ドメイン配列をコードする領域に相当することができる。
【0037】
MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は、タンパク質の機能に実質的に影響しない本明細書に記載する結合タンパク質に対して突然変異(少なくとも1つ、2つ、または4つ、および/または15、10、5または3未満)を有してよい(例えば保存的または非必須のアミノ酸置換)。特定の置換が耐容されるか、即ち生物学的特性、例えば生物学的活性に悪影響を及ぼさないか否かに関しては、例えば突然変異が保存的であるかを調べることにより、または、Bowie等(1990)Science247:1306−1310の方法により、予測することができる。
【0038】
本明細書において使用する場合、「免疫グロブリン可変ドメイン配列」とは抗原結合部位に適するコンホーメーションにおいて1つ以上のCDR領域が位置するように免疫グロブリン可変ドメインの構造を形成することができるアミノ酸配列を指す。例えば配列は天然に存在する可変ドメインのアミノ酸配列の全てまたは一部分を包含してよい。例えば配列は1つ、2つまたはこれより多いNまたはC末端アミノ酸、内部アミノ酸を省略してよく、1つ以上の挿入または追加的末端アミノ酸を包含してよく、または、他の改変を含んでよい。1つの実施形態において、免疫グロブリン可変ドメイン配列を包含するポリペプチドは別の免疫グロブリン可変ドメイン配列と会合することにより抗原結合部位、例えばMMP−14またはMMP−9タンパク質と優先的に相互作用する構造、例えばMMP−14またはMMP−9触媒ドメインを形成することができる。
【0039】
「単離された組成物」とは単離された組成物の入手元となり得る天然の試料の少なくとも1つの成分の少なくとも90%から取り出される組成物である。人工的または天然に製造される組成物は、目的の種または種の集団が重量基準で少なくとも5、10、25、50、75、80、90、92、95、98、または99%純粋であれば所定の純度を「少なくとも有する組成物」であることができる。
【0040】
「非必須」アミノ酸残基とは生物学的活性を減ずることなく、またはより好ましくは生物学的活性を実質的に改変することなく、結合剤、例えば抗体の野生型配列から改変することができる残基であるのに対し、「必須」アミノ酸残基を変化させることは実質的な活性消失をもたらすものである。
【0041】
本明細書において使用する場合、「転移性の癌」とは、身体の他の部分、特に骨にまで広がる可能性を有する癌として定義される。種々の癌が骨までで転移することができるが、最も一般的な転移癌は乳癌、肺癌、腎臓癌、多発性骨髄腫、甲状腺癌および前立腺癌である。例示すれば、骨に転移する可能性がある他の癌は限定しないが、腺癌腫、血液細胞の悪性疾患、例えば白血病およびリンパ腫;頭頚部癌;胃腸癌、例えば食道癌、胃癌、結腸癌、腸癌、結腸直腸癌、直腸癌、膵臓癌、肝臓癌、胆管または胆嚢癌;女性の生殖管の悪性疾患、例えば卵巣癌腫、子宮内膜癌、膣癌、および子宮頸癌;膀胱癌;脳腫瘍、例えば神経芽腫;肉腫、骨肉腫;および皮膚癌、例えば悪性黒色腫および扁平上皮細胞癌を包含する。本発明は特に骨における腫瘍誘導の骨溶解性の病変の防止および処置を意図している。
【0042】
本明細書において使用する場合、「骨溶解性障害」とは増大した破骨細胞の活性に起因する何れかの状態である。骨溶解性障害の危険性を有する被験体は、骨溶解性障害を発症する素因のある群に属する被験体、または上昇した破骨細胞活性を誘発するか、それに寄与する疾患に罹患する被験体であってよい。本発明の例示される実施形態において、骨溶解性障害は相対的に上昇した破骨細胞活性に関連する代謝性の骨疾患、例えば内分泌症(副腎皮質機能亢進症、性機能低下症、原発性または続発性の上皮小体機能亢進症、甲状腺機能亢進症)、高カルシウム血症、欠乏状態(くる病/骨軟化症、壊血病、栄養失調)、慢性疾患(吸収不良症候群、慢性腎不全(腎性骨形成異常症)、慢性肝疾患(肝性骨形成異常症))、薬物(糖質コルチコイド(糖質コルチコイド誘導骨粗鬆症)、ヘパリン、アルコール)、または遺伝性の疾患(骨形成不全症、ホモシスチン尿症)、癌、骨粗鬆症、大理石骨病、関節炎および関節リウマチに関連する骨の炎症、歯周病、線維性形成異常、および/またはパジェット病であってよい。他の例示される実施形態においては、骨溶解性障害は骨への転移癌(骨親和性癌)であってよく、その場合、転移癌は乳癌、肺癌、腎臓癌、多発性骨髄腫、甲状腺癌、前立腺癌、腺癌腫、血液細胞の悪性疾患、例えば白血病およびリンパ腫;頭頚部癌;胃腸癌;例えば食道癌、胃癌、結腸癌、腸癌、結腸直腸癌、直腸癌、膵臓癌、肝臓癌、胆管および胆嚢癌;女性の生殖管の悪性疾患、例えば卵巣癌腫、子宮内膜癌、膣癌、または子宮頸癌;膀胱癌;脳腫瘍、例えば神経芽腫;肉腫、骨肉腫;または皮膚癌、例えば悪性黒色腫および扁平上皮細胞癌である。一部の実施形態においては、例えば被験体における増大した破骨細胞活性は標準的な破骨細胞活性、例えば被験体のコホートにおける破骨細胞活性、例えば破骨細胞障害の症状を有さない被験体のコホートにおける破骨細胞活性のレベル、または、被験体の無作為抽出分の破骨細胞活性のレベルと比較して増大している破骨細胞活性を指す。破骨細胞活性は標準と比較して例えば約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、またはそれより高値の分、増大することができる。破骨細胞活性は例えば酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)染色;血清中の核因子κBリガンドに対する受容体活性化物質(RANKL)の濃度のELISA分析;および/または骨髄から単離された骨芽細胞のアリザリンレッド染色により計測できる。その他の方法は例えばWO2003/031597に記載されている。
【0043】
「骨粗鬆症」という用語は骨が極端に多孔性となり、骨折しやすくなり、そして治癒が緩徐であり、閉経後の女性に特に発生し、そして脊椎の崩壊に起因して脊椎の湾曲をもたらす場合が多い疾患を指す。
【0044】
「骨親和性癌」(osteotropic cancer)という用語は骨の転移癌、即ち乳癌、肺癌、または前立腺癌のような原発癌を起源とし、骨中に存在する二次的な癌を指す。
【0045】
「非経口投与」および「非経口的に投与する」という表現は本明細書において使用する場合、経腸以外の投与、および通常は注射による局所投与の様式を意味し、そして限定しないが、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管的、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内の注射および輸液を包含する。
【0046】
被験体における疾患を「防止する」という用語は、疾患の症状の少なくとも1つを防止するように薬学的処置、例えば薬物の投与に被験体を付すことを指し、即ち、望ましくない状態(例えば疾患または宿主動物の他の望ましくない状況)の臨床的症状に先立って、望ましくない状態の発生から宿主を保護するように投与する。疾患を「防止する」とはまた、「予防」または「予防的処置」を指す場合もある。
【0047】
「予防有効量」とは所望の予防結果を達成するために必要な投薬量および時間で有効となる量を指す。典型的には、予防的用量は疾患の前、またはより早期の段階において被験体に使用されるため、予防有効量は治療有効量より低値となる。
【0048】
本明細書において使用する場合、「実質的に同一」(または「実質的に相同」)という用語は、第2のアミノ酸または核酸の配列に同一または等しい(例えば同様の側鎖、例えば保存されたアミノ酸置換を有する)アミノ酸残基またはヌクレオチドの十分な数量を含有することにより、第1および第2のアミノ酸または核酸の配列が同様の活性、例えば結合活性、結合優先性、または生物学的活性を有する(またはそれを有するタンパク質をコードする)第1のアミノ酸または核酸の配列を指すために本明細書においては使用する。抗体の場合においては、第2の抗体は同じ特異性を有し、そして同じ抗原に対して少なくとも50%、少なくとも25%、または少なくとも10%の親和性を有する。本明細書に開示する配列に類似または相同(例えば少なくとも約85%配列同一性)の配列もまた本出願の一部分である。一部の実施形態においては、配列同一性は約85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれより高値となることができる。更にまた、核酸セグメントが鎖の相補体に選択的ハイブリダイゼーション条件(例えば高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件)下にハイブリダイズする場合は実質的な同一性が存在する。核酸は全細胞中、細胞溶解物中、または部分的に精製された、または実質的に精製された形態に存在してよい。
【0049】
バイオポリマーに関するモチーフ配列は、変化したアミノ酸であることができる位置を包含できる。例えばそのような文脈において文字「X」は一般的に何れかのアミノ酸(例えば20の天然のアミノ酸の何れか、または19の非システインアミノ酸の何れか)を指す。他の許容されるアミノ酸もまた括弧およびスラッシュを用いて表記できる。例えば「(A/W/F/N/Q)」とはアラニン、トリプトファン、フェニルアラニン、アスパラギン、およびグルタミンがその特定の位置において許容されることを意味している。
【0050】
統計学的有意性は何れかの当分野で知られた方法により求めることができる。例示される統計学的検定は、スチューデントT検定、ノンパラメトリックなマンホイットニーU検定、およびノンパラメトリックなウィルコクソン統計学的検定を包含する。一部の統計学的に有意な関係は0.05または0.02より低値のP値を有する。特定の結合タンパク質は、統計学的に有意である(例えばP値<0.05または0.02)例えば特異性または結合における差を示す場合がある。
【0051】
2つの状態の間の区別可能な定性的または定量的な差を示す「誘導する」、「阻害する」、「強化する」、「上昇させる」、「増大させる」、「低下させる」等の用語は、2つの状態の間の差、例えば統計学的有意差を指す場合がある。
【0052】
「治療有効量」とは所望の治療結果を達成するために必要な投薬量および時間で有効となる量を指す。組成物の治療有効量は個体の疾患の状態、年齢、性別、および体重、そして個体において所望の応答を誘発するタンパク質の能力のような要因に従って変動し得る。治療有効量はまた、組成物の何れかの毒性または有害な作用よりも治療上有益な作用が優先されるようなものである。
【0053】
「治療有効投薬量」は好ましくは計測可能なパラメーター、例えば循環系中のIgG抗体のレベルを、未処置被験体と相対比較した場合に、統計学的に有意な程度または少なくとも約20%まで、より好ましくは少なくとも約40%まで、更により好ましくは少なくとも約60%まで、そしてなおより好ましくは少なくとも約80%まで、モジュレートする。計測可能なパラメーター、例えば疾患関連パラメーターをモジュレートする化合物の能力はヒトの障害および状態、例えば癌(例えば転移癌、例えば転移乳癌、例えば骨親和性癌)、炎症性疾患(例えば滑膜炎、アテローム性動脈硬化症)、関節リウマチ、変形性関節症、眼の状態(例えば黄斑変性)、糖尿病、アルツハイマー病、脳虚血、子宮内膜症、フィブリン侵襲活性、血管形成、または毛細血管形成における薬効を予測する動物モデル系において評価できる。あるいは、組成物のこの特性はインビトロでパラメーターをモジュレートする化合物の能力を調べることにより評価できる。
【0054】
被験体における疾患を「処置する」または疾患を有する被験体を「処置する」とは、疾患の症状の少なくとも1つが治癒、軽減または低減されるように薬学的処置、例えば薬物の投与に被験体を付すことを指す。
【0055】
「腫瘍」とは本明細書において使用する場合、悪性または良性に関わらず全ての新生物性の細胞ならびに全ての前癌性および癌性細胞および組織の成長および増殖を指す。
【0056】
MMP−14結合タンパク質
MMP−14の発現は骨転移性の前立腺癌を有する患者に由来する骨試料中で観察される。何れかのMMP−14結合タンパク質、例えば本明細書に記載するMMP−14結合タンパク質を、本明細書に開示する骨溶解性障害を処置するための方法および組成物において使用してよい。MMP−14はMMP14、即ちマトリックスメタロプロテイナーゼ−14前駆体として標記される遺伝子によりコードされる。MMP−14と同義語はマトリックスメタロプロテイナーゼ14(膜挿入型)、膜1型マトリックスメタロプロテイナーゼ、膜型マトリックスメタロプロテイナーゼ1、MMP−14、MMP14、MMP−X1、MT1MMP、MT1−MMP、MTMMP1、MT−MMP1を包含する。MT−MMP類は同様の構造、例えばシグナルペプチド、プロドメイン、触媒ドメイン、ヒンジ領域、およびヘモペキシンドメインを有する(Wang等2004、J.Biol Chem.279:51148−55)。SwissProtエントリーP50281によれば、MMP−14前駆体のシグナル配列はアミノ酸残基1〜20を包含する。プロペプチドは残基21〜111を包含する。Cys93は可能なシステインスイッチとして注釈付けされている。残基112〜582は成熟した活性なタンパク質を構成する。触媒ドメインは残基112〜317を包含する。ヘモペキシンドメインは残基318〜523を包含する。膜貫通セグメントは残基542〜562を含む。
【0057】
MMP−14は細胞から剥離するか細胞表面上に観察することができ、単一の膜貫通アミノ酸配列により連結されている。例えばOsnkowski等(2004、J.Cell Physiol,200:2−10)を参照。
【0058】
MMP−14結合タンパク質は単離されたタンパク質(例えば他のタンパク質を少なくとも70、80、90、95、または99%含まない)であってよい。
【0059】
MMP−14結合タンパク質は更にMMP−14、例えばヒトMMP−14を阻害し得る。1つの実施形態において、タンパク質はヒトMMP−14の触媒ドメインに結合し、例えばタンパク質はMMP−14の活性部位の中またはその近傍の残基に接している。
【0060】
特定の実施形態においては、MMP−14(例えばヒトMMP−14)に結合し、そして少なくとも1つの免疫グロブリン可変領域を包含するタンパク質を、方法および組成物において使用する。例えば、MMP−14結合タンパク質は重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列および軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を包含する。多くの例示されるMMP−14結合タンパク質を本明細書に記載する。
【0061】
MMP−14結合タンパク質はまた抗体であってよい。MMP−14結合抗体は単一のポリペプチド(例えばscFv)中、または、異なるポリペプチド(例えばIgGまたはFab)上に包含されたそれらのHCおよびLC可変ドメイン配列を有してよい。例えば、抗体は以下の配列の何れかに対抗して生じさせてもよい。
【0062】
ヒトMMP−14の例示されるアミノ酸配列を表1に示す。
【0063】
【表1】

【0064】
マウスMMP−14の例示されるアミノ酸配列を表2に示す。
【0065】
【表2】

【0066】
MMP−14結合タンパク質を対抗して開発してよい例示されるMMP−14タンパク質はヒトまたはマウスのMMP−14のアミノ酸配列、これらの配列の1つに80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列、またはそのフラグメント、例えばシグナル配列またはプロドメインを有さないフラグメントを包含する。
【0067】
例示されるMMP−14結合タンパク質はM0031−C02、M0031−F01、M0033−H07、M0037−C09、M0037−D01、M0038−E06、M0038−F01、M0038−F08、M0039−H08、M0040−A06、M0040−A11、およびM0043−G02を包含する。これらの結合タンパク質の例示されるFab重鎖(HC)および軽鎖(LC)可変領域のアミノ酸配列は図1に示す通りであり、そしてその配列およびその識別および製造に関しては参照により全体が本明細書に組み込まれる係争中の出願USSN11/648,423(US2007−0217997)に更に説明されている。他の例示されるMMP−14結合タンパク質はDX−2400およびDX−2410を包含する。DX−2400およびM0038−F01はHCおよびLCCDRアミノ酸配列を共有している。これらのタンパク質の重鎖および軽鎖の可変領域のアミノ酸配列は実施例に示す。
【0068】
当該分野で知られている他のMMP−14阻害剤は、例えば限定しないが、以下の特許および特許出願、即ち:米国特許6,114,159;米国特許6,399,348;日本国特許3802560および欧州特許0750672(全てMax Delbrueck Center for Molecular Medicineの名において);米国特許6,184,022;米国特許6,825,024;欧州特許0685557;日本国特許2694604(全てDaiichi Fine Chemicalsの名において);および米国仮出願60/755,376および60/805,567(共にDyax Corpの名において)に開示されているものを包含する。
【0069】
MMP−9およびMMP−9結合実体
何れかのMMP−9結合タンパク質を本明細書に開示した骨溶解性障害を処置するための方法および組成物において使用し得る。
【0070】
MMP−9は正式名マトリックスメタロプロテイナーゼ−9前駆体であるMMP9と標記される遺伝子によりコードされている。MMP−9の同義語はマトリックスメタロプロテイナーゼ9、ゼラチナーゼB(GELB)、92kDaゼラチナーゼ(CLG4B)、92kDaのIV型コラゲナーゼ(EC3.4.24.35)を包含する。DNA配列はHomo sapiensおよびMus musculusに関して知られている。例示されるヒトMMP9をコードするcDNA配列およびアミノ酸配列は後述する通りである。例示されるネズミMMP9をコードするcDNA配列およびアミノ酸配列も後述する通りである。例示されるMMP−9タンパク質は、ヒトまたはマウスのMMP−9アミノ酸配列、これらの配列の1つに80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一である配列、またはそのフラグメント、例えばシグナル配列またはプロドメインを有さないフラグメントを包含できる。
【0071】
表3は他の生物における類似の遺伝子およびヒトMMP−9との類似性のパーセンテージを示す。チンパンジー(Pan troglodytes)、ブタ(Sus scrofa)、ウシ(Bos taurus)、ミバエ(Drosophila melanogaster)、イモムシ(Caenorhabditis elegans)、パンコウボ(Saccharomyces cerevisiae)、熱帯アフリカツメガエル(Silurana tropicalis)、アフリカマラリア蚊(Anopheles gambiae)、緑藻(Chlamydomonas reinhardtii)、ダイズ(Glycine max)、オオムギ(Hordeum vulgare)、トマト(Lycopersicon esculentum)、イモチ病菌(Magnaporthe grisea)、サトウキビ(Saccharum officinarum)、テーダマツ(Pinus taeda)、トウモロコシ(Zea mays)、コムギ(Triticum aestivum)、アリカンテブドウ(Vitis vinifera)、パンカビ(Neurospora crassa)、分裂コウボ(Schizosaccharomyces pombe)、ホヤ(Ciona intestinalis)、アメーバ(Dictyostelium discoideum)、A.gosspyiiコウボ(Ashbya gossypii)、K.lactisコウボ(Kluyveromyces lactis)、タルウマゴヤシ(Medicago truncatula)、寄生マラリア(Plasmodium falciparum)、寄生住血吸虫(Schistosoma mansoni)、モロコシ(Sorghum bicolor)、トキソプラズマ症(Toxoplasma gondii)に対するMMPに関するヒトとの類似性のデータは観察されていない。
【0072】
【化1】

【0073】
【化2】

【0074】
【化3】

【0075】
【化4】

【0076】
【表3】

【0077】
MMP−9のドメイン。MMP−9はペプチダーゼM10Aファミリーに属する。MMP−9は5つのドメイン;即ち、分泌メタロプロテイナーゼ遺伝子ファミリーの全メンバーにより共有されているアミノ末端および亜鉛結合のドメイン、72kDaのIV型コラゲナーゼ中にも存在するコラーゲン結合フィブロネクチン様ドメイン、PUMP−1を除いたこのファミリーの全既知酵素により共有されているカルボキシル末端ヘモペキシン様ドメイン、およびV型コラーゲンのアルファ2鎖に相同なユニークな54アミノ酸長のプロリンリッチドメインよりなる(Wilhelm等(1989)J.Biol.Chem.264,17213−17221)(表4)。
【0078】
【表4−1】

【0079】
【表4−2】

【0080】
【表4−3】

【0081】
MMP−9の触媒活性はヒスタチン−3 1/24(ヒスタチン−5)により阻害される。MAP−9はウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化物質;プラスミノーゲン;IL−1ベータ、4−アミノフェニル水銀アセテートおよびホルボールエステルにより活性化される。MMP−9は単量体、ジスルフィド連結ホモ2量体、および25kDaタンパク質とのヘテロ2量体として存在する。マクロファージおよび形質転換された細胞系統は単量体MMP−9のみ産生し、ヘテロ2量体型は正常な肺胞マクロファージおよび顆粒球により産生される。前駆体のプロセシングにより、64、67および82kDaの異なる活性型が生じる。MMP−3による逐次的プロセシングでは82kDaのマトリックスメタロプロテイナーゼ−9が生じる。関節炎患者においては、この酵素は関節破壊の発症に寄与する場合があり、疾患の状態の有用なマーカーとなり得る。
【0082】
MMP−9の内因性阻害剤。MMP−9は多くの内因性阻害剤を有する。他のMMP類と同様、MMP−9はTIMPにより阻害される(Murphy,G.、およびWillenbrock,F.(1995)Methods Enzymol.248,496−510)。MMP−9(およびMMP−2)の特徴はTIMPとの堅固で非共有結合性の安定な複合体を形成するそのチモーゲンの能力である。プロMMP−2はTIMP−2に結合することがわかっている(Goldberg等(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA86,8207−8211)のに対し、プロMMP−9はTIMP−1に結合する(Wilhelm等(1989)J.Biol.Chem.264,17213−17221)。TIMPは典型的には緩徐で堅固に結合する阻害剤である。ファージディスプレイタンパク質のライブラリから選択されるMMP−9結合タンパク質(例えば抗体、ペプチド、Kunitzドメイン)はより急速な動態を有するように選択できる。例えば、組み換えTIMP−1は、例えば本明細書に記載するMMP−9結合タンパク質と組み合わせてMMP−9を阻害するために投与できる。
【0083】
MMP−9の小分子阻害剤。Skiles等(2004、Curr Med Chem,11:2911−77)は第1世代の小分子MMP阻害剤は乏しい生体利用性を有し、そして第2世代は筋肉骨格疼痛および炎症を誘発していることを報告している。大部分の小分子MMP阻害剤は触媒性亜鉛と相互作用するが、かなり低値の親和性を有している。即ち、作用を有するにはより高い濃度が必要となる。触媒性亜鉛との相互作用は他のMMP類の阻害および毒性副作用をもたらす。本明細書に記載するMMP−9結合タンパク質は小分子阻害剤と組み合わせて使用できる。例えば、阻害剤は組み合わせにおいて使用されるため、使用される小分子の用量は低減でき、そしてこれにより、より小さい副作用となる。小分子MMP−9阻害剤の例は小型合成アントラニル酸系阻害剤を包含する(例えばCalbiochemの阻害剤I、カタログ番号444278およびLevin等2001,Bioorg.Med.Chem.Lett.11:2975−2978を参照)。
【0084】
MMP−9の小型干渉RNA阻害剤。MMP−9は小型干渉RNA(siRNA)により阻害できる。使用できるsiRNAの例は以下のものを包含する。
【0085】
【化5】

【0086】
Kawasaki等2008年2月10日、Nat.Med.advanceオンライン出版doi:10.1038/nm1723も参照。siRNAは例えば本明細書に記載するMMP−9結合タンパク質と組み合わせてMMP−9を阻害するために投与できる。
【0087】
MMP−9結合タンパク質
同様に提供されるものはMMP−9(例えばヒトMMP−9)に結合するタンパク質であり、そして少なくとも1つの免疫グロブリン可変領域、またはKunitzドメインを包含するペプチド、ポリペプチドの何れかである。そのような結合タンパク質を識別および選択および改善するための方法は後述する。MMP−9発現は骨転移前立腺癌を有する患者に由来する骨試料中に観察される。MMP−9結合タンパク質、例えば本明細書に記載するMMP−9結合タンパク質は例えば骨溶解性障害を処置するために本明細書に記載する方法において使用できる。
【0088】
好ましい実施形態においては、MMP−9結合タンパク質は少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメインを包含する。例えばMMP−9結合タンパク質は重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列および軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を包含する。多くの例示されるMMP−9結合タンパク質を本明細書に記載する。MMP−9結合タンパク質は抗体であってよい。MMP−9結合抗体は単一のポリペプチド(例えばscFv)中、または、異なるポリペプチド(例えばIgGまたはFab)上に包含されたそれらのHCおよびLC可変ドメイン配列を有してよい。
【0089】
MMP−9結合タンパク質は単離されたペプチドまたはタンパク質(例えば他のタンパク質を少なくとも70、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%含まない)であってよい。
【0090】
MMP−9結合タンパク質は追加的にMMP−9、例えばヒトMMP−9を阻害してよい。結合タンパク質はMMP−9(例えばヒトMMP−9)の触媒活性を阻害できる。1つの実施形態において、タンパク質はヒトMMP−9の触媒ドメインに結合し、例えばタンパク質はMMP−9の活性部位中またはその近傍の残基に接触する。一部の実施形態においては、タンパク質はMMP−9の活性部位中またはその近傍の残基に接触せず、むしろ、MMP−9の他の場所に結合し、そしてその活性に影響する(例えば阻害する)MMP−9の立体的変化を引き起こす。
【0091】
タンパク質はMMP−9、例えばヒトMMP−9に、少なくとも10、10、10、10、10、1010および1011−1の結合親和性で結合できる。1つの実施形態において、タンパク質は1x10−3、5x10−4−1、または1x10−4−1より緩徐なKoffでMMP−9に結合する。1つの実施形態において、タンパク質は1x10、1x10、または5x10−1−1より高速のKonでMMP−12に結合する。1つの実施形態において、タンパク質は例えば10−5、10−6、10−7、10−8、10−9、および10−10M未満のKiでヒトMMP−9活性を阻害する。タンパク質は例えば100nM、10nMまたは1nM未満のIC50を有する。一部の実施形態においては、タンパク質は約1.8nMのIC50を有する。MMP−9に対するタンパク質の親和性は100nm未満、10nm未満、または約3nM(例えば3.1nM)、約5nM(例えば5nM)、約6nm(例えば5.9nM)、約7nM(例えば7.1nM)、または約10nM(例えば9.6nM)のKで特徴付けることができる。
【0092】
一部の実施形態においては、タンパク質はK<200nMを有する。
【0093】
一部の実施形態においては、タンパク質は少なくとも約10分(例えば11分)、少なくとも約20分(例えば18分)、少なくとも約25分(例えば25分)、少なくとも約35分(例えば33分)、または少なくとも約60分(例えば57分)のt1/2を有する。
【0094】
1つの実施形態において、タンパク質はヒトMMP−9の触媒ドメインに結合し、例えばタンパク質はMMP−9の活性部位中またはその近傍の残基に接触する。
【0095】
一部の実施形態においては、タンパク質はMMP−9の活性部位中またはその近傍の残基に接触せず、むしろ、MMP−9の他の場所に結合し、そしてその活性に影響する(例えば阻害する)MMP−9の立体的変化を引き起こす。
【0096】
例示されるMMP−9結合タンパク質は重鎖(HC)および/または軽鎖(LC)、そして一部の実施形態においては、539A−M0240−B03、M0078−G07、M0081−D05、M0076−D03、M0072−H07、M0075−D12およびM0166−F10よりなる抗体の群から選択されるHCおよび/またはLC可変ドメインを有する抗体、または539A−M0240−B03、M0078−G07、M0081−D05、M0076−D03、M0072−H07、M0075−D12およびM0166−F10のHCおよび/またはLCCDRを含むタンパク質を包含する。これらのMMP−9結合タンパク質は更に参照により全体が本明細書に組み込まれる2008年3月3日出願のUSSN61/033,075および2008年5月21日出願のUSSN61/054,938に記載されている。これらおよび追加的な結合タンパク質のアミノ酸配列をまた、本明細書に記載する図3および実施例に示す。
【0097】
タンパク質は、抗体の場合、1つ以上以下の特徴、即ち、(a)ヒトCDRまたはヒトフレームワーク領域;(b)HC免疫グロブリン可変ドメイン配列は上記したHC可変ドメインのCDRに少なくとも85、88、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%同一である1つ以上のCDRを含み;(c)LC免疫グロブリン可変ドメイン配列は上記したLC可変ドメインのCDRに少なくとも85、88、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%同一である1つ以上のCDRを含み;(d)LC免疫グロブリン可変ドメイン配列は上記したLC可変ドメインに少なくとも85、88、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%同一であり;(e)HC免疫グロブリン可変ドメイン配列は上記したHC可変ドメインに少なくとも85、88、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99または100%同一であり;(f)タンパク質は本明細書に記載するタンパク質により結合されるエピトープ、またはそのようなエピトープとオーバーラップするエピトープに結合し;そして(g)霊長類CDRまたは霊長類フレームワーク領域を包含できる。
【0098】
1つの実施形態において、HCおよびLC可変ドメイン配列は同じポリペプチド鎖の成分である。別の場合、HCおよびLC可変ドメイン配列は異なるポリペプチド鎖の成分である。例えばタンパク質はIgG、例えばIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4である。タンパク質は可溶性Fab(sFab)であり得る。他の例においては、タンパク質はFab’、scFv、ミニボディー、scFv::Fc融合物、Fab::HSA融合物、HSA::Fab融合物、Fab::HSA::Fab融合物、または本明細書の結合タンパク質の1つの抗原組み合わせ部位を含む他の分子を包含する。これらのFabのVHおよびVL領域はIgG、Fab、Fab、Fab’、scFv、PEG化Fab、PEG化scFv、PEG化Fab、VH::CH1::HSA+LC、HSA::VH::CH1+LC、LC::HSA+VH::CH1、HSA::LC+VH::CH1、または他の適切な構造として提供されることができる。
【0099】
1つの実施形態において、タンパク質はヒト型、もしくはヒト化抗体であり、またはヒトにおいて非免疫原性である。例えば、タンパク質は1つ以上のヒト抗体フレームワーク領域、例えば全てのヒトフレームワーク領域を包含する。1つの実施形態において、タンパク質はヒトFcドメインまたはヒトFcドメインと少なくとも95、96、97、98、または99%同一であるFcドメインを包含する。
【0100】
1つの実施形態において、タンパク質は霊長類型もしくは霊長類化抗体であり、またはヒトにおいて非免疫原性である。例えば、タンパク質は1つ以上の霊長類抗体フレームワーク領域、例えば全ての霊長類フレームワーク領域を包含する。1つの実施形態において、タンパク質は霊長類Fcドメインまたは霊長類Fcドメインと少なくとも95、96、97、98、または99%同一であるFcドメインを包含する。「霊長類」はヒト(Homo sapiens)、チンパンジー(Pan troglodytesおよびPan paniscus(ボノボ))、ゴリラ(Gorilla gorilla)、ギボン、サル、キツネザル、アイアイ(Daubentonia madagascariensis)およびメガネザルを包含する。
【0101】
特定の実施形態においては、タンパク質はマウスまたはウサギに由来する配列を包含しない(例えばネズミまたはウサギの抗体ではない)。
【0102】
MMP−9/MMP−2結合タンパク質
MMP−9/2結合タンパク質はMMP−9(例えばヒトMMP−9)およびMMP−2(例えばヒトMMP−2)に結合する結合タンパク質であり、そして少なくとも1つの免疫グロブリン可変領域、またはKunitzドメインを包含するペプチド、ポリペプチドの何れかである。そのような結合タンパク質を識別および選択および改善するための方法は後述する。MMP−9およびMMP−2の両方の発現は骨転移前立腺癌を有する患者に由来する骨試料中に観察される。MMP−9/MMP−2結合タンパク質、例えば本明細書に記載するMMP−9/MMP−2結合タンパク質は例えば骨溶解性障害を処置するために本明細書に記載する方法において使用できる。
【0103】
好ましい実施形態においては、MMP−9/2結合タンパク質は少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメインを包含する。例えばMMP−9/MMP−2結合タンパク質は重鎖(HC)免疫グロブリン可変ドメイン配列および軽鎖(LC)免疫グロブリン可変ドメイン配列を包含する。MMP−9/MMP−2結合タンパク質は抗体であってよい。MMP−9/MMP−2結合抗体は単一のポリペプチド(例えばscFv)中、または、異なるポリペプチド(例えばIgGまたはFab)上に包含されたそれらのHCおよびLC可変ドメイン配列を有してよい。
【0104】
MMP−9/MMP−2結合タンパク質は単離されたペプチドまたはタンパク質(例えば他のタンパク質を少なくとも70、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99%含まない)であってよい。
【0105】
MMP−9/MMP−2結合タンパク質は追加的にMMP−9、例えばヒトMMP−9および/またはMMP−2、例えばヒトMMP−2を阻害してよい。結合タンパク質はMMP−9(例えばヒトMMP−9)および/またはMMP−2(例えばヒトMMP−2)の触媒活性を阻害できる。1つの実施形態において、タンパク質はヒトMMP−9の触媒ドメインに結合し、例えばタンパク質はMMP−9の活性部位中またはその近傍の残基に接触し、および/またはタンパク質はヒトMMP−2の触媒ドメインに結合し、例えばタンパク質はMMP−2の活性部位中またはその近傍の残基に接触する。一部の実施形態においては、タンパク質はMMP−9の活性部位中またはその近傍の残基に接触せず、むしろ、MMP−9の他の場所に結合し、そしてその活性に影響する(例えば阻害する)MMP−9の立体的変化を引き起こす。他の実施形態においては、タンパク質はMMP−2の活性部位中またはその近傍の残基に接触せず、むしろ、MMP−2の他の場所に結合し、そしてその活性に影響する(例えば阻害する)MMP−2の立体的変化を引き起こす。
【0106】
タンパク質はMMP−9/MMP−2に、少なくとも10、10、10、10、10、1010および1011−1の結合親和性で結合できる。1つの実施形態において、タンパク質は1x10−3、5x10−4−1、または1x10−4−1より緩徐なKoffでMMP−9/MMP−2に結合する。1つの実施形態において、タンパク質は1x10、1x10、または5x10−1−1より高速のKonでMMP−12に結合する。1つの実施形態において、タンパク質は例えば10−5、10−6、10−7、10−8、10−9、および10−10M未満のKiでヒトMMP−9/MMP−2活性を阻害する。タンパク質は例えば100nM、10nMまたは1nM未満のIC50を有する。一部の実施形態においては、タンパク質は約1.8nMのIC50を有する。MMP−9に対するタンパク質の親和性は100nm未満、10nM未満、または約3nM(例えば3.1nM)、約5nM(例えば5nM)、約6nm(例えば5.9nM)、約7nM(例えば7.1nM)、または約10nM(例えば9.6nM)のKで特徴付けることができる。
【0107】
一部の実施形態においては、タンパク質はK<200nMを有する。
【0108】
一部の実施形態においては、タンパク質は少なくとも約10分(例えば11分)、少なくとも約20分(例えば18分)、少なくとも約25分(例えば25分)、少なくとも約35分(例えば33分)、または少なくとも約60分(例えば57分)のt1/2を有する。
【0109】
例示されるMMP−9/2結合タンパク質は重鎖(HC)および/または軽鎖(LC)、そして一部の実施形態においては、M0237−D02よりなる抗体の群から選択されるHCおよび/またはLC可変ドメインを有する抗体を包含する。そのようなMMP−9/2結合タンパク質は更に、参照により全体が本明細書に組み込まれる2008年3月3日出願のUSSN61/033,068、2008年3月3日出願のUSSN61/033,075および2008年5月21日出願のUSSN61/054,938に記載されている。アミノ酸配列もまた本明細書の実施例に記載する。
【0110】
1つの実施形態において、HCおよびLC可変ドメイン配列は同じポリペプチド鎖の成分である。別の場合、HCおよびLC可変ドメイン配列は異なるポリペプチド鎖の成分である。例えばタンパク質はIgG、例えばIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4である。タンパク質は可溶性Fab(sFab)であり得る。他の例においては、タンパク質はFab’、scFv、ミニボディー、scFv::Fc融合物、Fab::HSA融合物、HSA::Fab融合物、Fab::HSA::Fab融合物、または本明細書の結合タンパク質の1つの抗原組み合わせ部位を含む他の分子を包含する。これらのFabのVHおよびVL領域はIgG、Fab、Fab、Fab’、scFv、PEG化Fab、PEG化scFv、PEG化Fab、VH::CH1::HSA+LC、HSA::VH::CH1+LC、LC::HSA+VH::CH1、HSA::LC+VH::CH1、または他の適切な構造として提供されることができる。
【0111】
1つの実施形態において、タンパク質はヒト型、もしくはヒト化抗体であり、またはヒトにおいて非免疫原性である。例えば、タンパク質は1つ以上のヒト抗体フレームワーク領域、例えば全てのヒトフレームワーク領域を包含する。1つの実施形態において、タンパク質はヒトFcドメインまたはヒトFcドメインと少なくとも95、96、97、98、または99%同一であるFcドメインを包含する。
【0112】
1つの実施形態において、タンパク質は霊長類型もしくは霊長類化抗体であり、またはヒトにおいて非免疫原性である。例えば、タンパク質は1つ以上の霊長類抗体フレームワーク領域、例えば全ての霊長類フレームワーク領域を包含する。1つの実施形態において、タンパク質は霊長類Fcドメインまたは霊長類Fcドメインと少なくとも95、96、97、98、または99%同一であるFcドメインを包含する。「霊長類」はヒト(Homo sapiens)、チンパンジー(Pan troglodytesおよびPan paniscus(ボノボ))、ゴリラ(Gorilla gorilla)、ギボン、サル、キツネザル、アイアイ(Daubentonia madagascariensis)およびメガネザルを包含する。
【0113】
特定の実施形態においては、タンパク質はマウスまたはウサギに由来する配列を包含しない(例えばネズミまたはウサギの抗体ではない)。 MMP−14またはMMP−9結合タンパク質を識別するための方法
MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は当該分野で知られたリガンド識別の何れかの方法により識別してよい。特定の実施形態においては、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質はライブラリをスクリーニングすることにより識別してよい。特定の実施形態においては、ライブラリはディスプレイライブラリである。ディスプレイライブラリは実体の収集物であり;各実体は接近可能なポリペプチド成分およびポリペプチド成分をコードするか同定する回収可能な成分を包含する。ポリペプチド成分は異なるアミノ酸配列が表示されるように変動させる。ポリペプチド成分は何れの長さであってもよく、例えば3アミノ酸〜300アミノ酸超の長さであることができる。ディスプレイライブラリの実体は1つより多いポリペプチド成分、例えば可溶性Fab(sFab)の2つのポリペプチド鎖を包含できる。1つの例示される実施態様においては、ディスプレイライブラリはMMP−14またはMMP−9に結合するタンパク質を同定するために使用できる。選択においては、ライブラリの各メンバーのポリペプチド成分をMMP−14またはMMP−9(例えばMMP−14またはMMP−9の触媒ドメインまたは他のフラグメント)でプローブし、そしてポリペプチド成分がMMP−14またはMMP−9に結合する場合は、ディスプレイライブラリメンバーを、典型的には支持体上の保持により同定する。
【0114】
標的に結合する候補ライブラリメンバーを選択した後、例えば標的、例えばMMP−14またはMMP−9に対するその結合特性を更に特性化するため、または他のタンパク質、例えば他のメタロプロテイナーゼへの結合に関して、各候補ライブラリメンバーを更に分析することができる。各候補ライブラリメンバーは1つ以上の二次的なスクリーニングアッセイに付すことができる。アッセイは結合特性、触媒特性、阻害特性、生理学的特性(例えば細胞毒性、腎クリアランス、免疫原性)、構造特性(例えば安定性、コンホーメーション、オリゴマー化状態)または他の機能的特性に関するものであることができる。同じアッセイを反復して、ただし条件を変動させながら用いることにより、例えばpH、イオン、または熱に対する感受性を測定することができる。
【0115】
適宜、アッセイはディスプレイライブラリメンバーを直接、選択されたポリペプチドをコードする核酸から製造された組み換えポリペプチド、または選択された配列に基づいて合成された合成ペプチドを用いることができる。選択されたFabの場合は、Fabを評価することができ、または、修飾して未損傷のIgGタンパク質として製造することができる。結合特性に関する例示されるアッセイはELISA、同種結合アッセイ、表面プラズモン共鳴(SPR)および細胞アッセイを包含し、これらの実施は当該分野で良く知られている。
【0116】
ディスプレイライブラリの使用に加えて、他の方法を用いることによりMMP−14またはMMP−9結合抗体を得ることができる。例えばMMP−14またはMMP−9タンパク質またはその領域は非ヒト動物、例えばげっ歯類における抗原として使用できる。ヒト化抗体は抗原結合に直接関与しないFv可変領域の配列をヒトFv可変領域に由来する等価な配列で置き換えることにより形成できる。ヒト化抗体を形成するための一般的な方法はMorrison,S.L.1985、Science 229:1202−1207、Oi等、1986、BioTechniques 4:214、およびQueen等の米国特許第5,585,089号、同第5,693,761号および同第5,693,762号により報告されている。これらの方法は重鎖または軽鎖の少なくとも1つに由来する免疫グロブリンFv可変領域の全てまたは一部分をコードする核酸配列を単離すること、操作すること、および発現させることを包含する。そのような核酸の多くの原料が使用可能である。例えば、核酸は上記した通り所定の標的に対する抗体を産生するハイブリドーマから得てよい。次にヒト化抗体をコードする組み換えDNAまたはそのフラグメントを適切な発現ベクター内にクローニングすることができる。
【0117】
免疫グロブリンMMP−14またはMMP−9結合タンパク質(例えばIgGまたはFabMMP−14またはMMP−9結合タンパク質)は免疫原性を低減するために修飾してよい。低減された免疫原性は、治療薬として使用するためのMMP−14またはMMP−9結合タンパク質においては、治療用分子に対する免疫応答を被験体が発生する可能性を低下させることから、望ましいものである。MMP−14またはMMP−9結合タンパク質の免疫原性を低減するために有用な手法は潜在的ヒトT細胞エピトープの欠失/修飾およびCDRの外の配列(例えばフレームワークおよびFc)の「生殖細胞系統化」を包含する。
【0118】
MMP−14またはMMP−9結合抗体はヒトT細胞エピトープの特異的欠失またはWO98/52976およびWO00/34317に開示されている方法による「脱免疫化」により修飾してよい。概すれば、抗体の重鎖および軽鎖の可変領域をMHCクラスIIに結合するペプチドに関して分析するものであり;これらのペプチドは潜在的T細胞エピトープとなるものである(WO98/52976およびWO00/34317において定義される)。潜在的T細胞エピトープの検出のためには、「ペプチドスレッディング」と称されるコンピューターモデリングの手順を適用することができ、そして更に、ヒトMHCクラスII結合ペプチドのデータベースをWO98/52976およびWO00/34317に記載の通りVHおよびVL配列に存在するモチーフに関して検索できる。これらのモチーフは18の主要MHCクラスIIDRアロタイプの何れかに結合し、そしてこのため、潜在的T細胞エピトープを構成する。検出された潜在的T細胞エピトープは可変領域におけるアミノ酸残基少数を置換することにより、または好ましくは、単一アミノ酸置換により、排除できる。排他的ではないが可能な保存的置換が行われる限り、ヒト生殖細胞系統抗体配列におけるこの位置において共通なアミノ酸を使用してよい。ヒト生殖細胞系の配列はTomlinson,I.A.等、1992、J.Mol.Biol.227:776−798;Cook,G.P.等、1995、Immunol.Today Vol.16(5):237−242;Chothia,D.等、1992、J.Mol.Bio.227:799−817に開示されている。V BASEディレクトリはヒト免疫グロブリン可変領域配列の包括的なディレクトリを与えている(編集はTomlinson,I.A.等、MRC Centre for Protein Engineering,Cambridge,UK)。脱免疫化の変化が識別された後、VおよびVをコードする核酸を突然変異誘発または他の合成方法(例えば、デノボ合成、カセット置き換え等)により構築できる。突然変異誘発された可変配列は、場合によりヒト定常領域、例えばヒトIgG1またはκ定常領域に融合させることができる。
【0119】
一部の場合において、潜在的T細胞エピトープは抗体機能のために重要であることが知られているか予測されている残基を包含することになる。例えば、潜在的T細胞エピトープは通常はCDRに向かって偏向している。更にまた、潜在的T細胞エピトープは抗体の構造および結合のために重要なフレームワーク残基中に存在する場合がある。これらの潜在的なエピトープを排除するような変化は一部の場合においては、例えば変化を有する鎖と有さない鎖を作製して試験することによるなど、より精査しなければならない。可能であれば、CDRがオーバーラップする潜在的T細胞エピトープはCDR外の置換により排除されている。一部の場合においては、CDR内の改変が唯一の選択肢であり、そしてこのため、この置換を有する変異体と有さない変異体を試験しなければならない。他の場合においては、潜在的T細胞エピトープを除去するために必要な置換は抗体結合のために必須であるフレームワーク内の残基位置にある。これらの場合においては、この置換を有する変異体と有さない変異体を試験しなければならない。即ち、一部の場合において、変異体脱免疫化重鎖および軽鎖可変領域を設計しており、そして様々な重/軽鎖の組み合わせを試験することにより最適な脱免疫化抗体を同定している。次に最終脱免疫化抗体の選択は、脱免疫化の範囲、即ち可変領域中に残存する潜在的T細胞エピトープの数と組み合わせながら異なる変異体の結合親和性を考慮することにより行うことができる。脱免疫化は何れかの抗体、例えば非ヒト配列を包含する抗体、例えば合成抗体、ネズミ抗体、他の非ヒトモノクローナル抗体、またはディスプレイライブラリから単離された抗体を修飾するために使用できる。
【0120】
MMP−14またはMMP−9結合抗体は、結合特性が実質的に維持されている限り、フレームワーク領域の非生殖細胞系アミノ酸1つ以上を抗体の相当する生殖細胞系アミノ酸に戻すことにより「生殖細胞系統化」される。同様の方法は定常領域において、例えば定常免疫グロブリンドメインにおいても使用できる。
【0121】
MMP−14またはMMP−9に結合する抗体、例えば本明細書に記載する抗体は、抗体の可変領域を生殖細胞系統配列1つ以上により類似するものとするために修飾してよい。例えば抗体は、例えばフレームワーク、CDR、または定常領域中において、アミノ酸置換1つ、2つ、3つまたはそれより多くを包含することにより、それをレファレンス生殖細胞系統配列により類似するものとすることができる。1つの例示される生殖細胞系統化方法は単離された抗体の配列に類似(例えば特定のデータベースにおいて最も類似)である生殖細胞系統配列1つ以上を同定することを包含できる。次に突然変異(アミノ酸レベル)を単離された抗体中において、漸増的に、または他の突然変異と組み合わせて生じさせる。例えば、一部または全ての可能な生殖細胞系統突然変異をコードする配列を包含する核酸ライブラリを作製する。次に突然変異した抗体を、例えば単離された抗体と相対比較して追加的な生殖細胞系統残基1つ以上を有し、そしてなお有用である(例えば機能的活性を有している)抗体を同定するために評価する。1つの実施形態において、可能な限り多数の生殖細胞系統残基を単離された抗体中に導入する。
【0122】
1つの実施形態において、突然変異誘発を用いることによりフレームワークおよび/または定常領域内に生殖細胞系統残基1つ以上を置換または挿入する。例えば、生殖細胞系統フレームワークおよび/または定常領域残基は修飾される非可変領域と類似(例えば最も類似)である生殖細胞系統配列に由来するものであることができる。突然変異誘発の後、抗体の活性(例えば結合または他の機能的活性)を評価することにより生殖細胞系統残基が耐容される(即ち活性を消失させない)かどうかを調べることができる。同様の突然変異誘発をフレームワーク領域で実施できる。
【0123】
生殖細胞系統配列を選択することは種々の方法において実施できる。例えば生殖細胞系統配列は選択性または類似性に関する所定の基準、例えば少なくともある特定のパーセンテージ同一性、例えば少なくとも75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または99.5%同一性にそれが合致するという条件において、選択することができる。選択は少なくとも2、3、5、または10種の生殖細胞系統配列を用いて実施できる。CDR1およびCDR2の場合は、類似の生殖細胞系統配列を同定することは1つのそのような配列を選択することを包含することができる。CDR3の場合は類似の生殖細胞系統配列を同定することは、1つのそのような配列を選択することを包含することができるが、アミノ末端部分およびカルボキシ末端部分に別個に寄与する2つの生殖細胞系統配列を用いることを包含してよい。他の実施態様においては、1つより多いまたは2つの生殖細胞系統配列を用いることにより、例えばコンセンサス配列を形成する。
【0124】
1つの実施形態において、特定のレファレンス可変ドメイン配列、例えば本明細書に記載する配列に関して、関連する可変ドメイン配列は、レファレンスCDR配列の残基、即ち、ヒト生殖細胞系統配列(即ちヒト生殖細胞系統核酸によりコードされるアミノ酸配列)における相当する位置における残基と同一である残基と同一ではないCDRアミノ酸位置の少なくとも30、40、50、60、70、80、90、95または100%を有する。
【0125】
1つの実施形態において、特定のレファレンス可変ドメイン配列、例えば本明細書に記載する配列に関して、関連する可変ドメイン配列は、ヒト生殖細胞系統配列、例えばレファレンス可変ドメイン配列に関連する生殖細胞系統配列に由来するFR配列に同一であるFR領域の少なくとも30、50、60、70、80、90、または100%を有する。
【0126】
従って、目的の所定の抗体と同様の活性を有するが、1つ以上の生殖細胞系統配列、特に1つ以上のヒト生殖細胞系統配列に対してより類似性を有する抗体を単離することが可能である。例えば抗体はCDRの外の領域(例えばフレームワーク領域)における生殖細胞系統配列に少なくとも90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または99.5%同一であることができる。更にまた、抗体はCDR領域における少なくとも1、2、3、4、または5生殖細胞系統残基を包含でき、その生殖細胞系統残基は修飾される可変領域と類似(例えば最も類似)である生殖細胞系統配列に由来する。主要な目的の生殖細胞系統配列はヒト生殖細胞系統配列である。抗体の活性(例えばKにより計測した結合活性)は元の抗体の100、10、5、2、0.5、0.1および0.001のファクター内であることができる。
【0127】
ヒト免疫グロブリン遺伝子の生殖細胞系統配列は測定されており、そしてウエブサイトimgt.cines.frから入手できる国際ImMunoGeneTics情報システム(IMGT)およびV BASEディレクトリ(編集はTomlinson,I.A.等、MRC Centre for Protein Engineering,Cambridge,UK、ウエブサイトvbase.mrc−cpe.cam.ac.uk)を包含する多くの情報源から入手できる。
【0128】
kappaに関する例示される生殖細胞系統レファレンス配列はO12/O2、O18/O8、A20、A30、L14、L1、L15、L4/18a、L5/L19、L8、L23、L9、L24、L11、L12、O11/O1、A17、A1、A18、A2、A19/A3、A23、A27、A11、L2/L16、L6、L20、L25、B3、B2、A26/A10、およびA14を包含する。例えばTomlinson等、1995、EMBO J.14(18):4628−3を参照。
【0129】
HC可変ドメインに関する生殖細胞系統レファレンス配列は特定のカノニカルな構造、例えばH1およびH2超可変ループ内の1〜3構造を有する配列に基づくことができる。免疫グロブリン可変ドメインの超可変ループのカノニカル構造はChothia等、1992、J.Mol.Biol.227:799−817;Tomlinson等、1992、J.Mol.Biol.227:776−798;およびTomlinson等、1995、EMBO J.14(18):4628−38に記載されている通りその配列から推定することができる。1〜3構造を有する例示される配列はDP−1、DP−8、DP−12、DP−2、DP−25、DP−15、DP−7、DP−4、DP−31、DP−32、DP−33、DP−35、DP−40、7−2、hv3005、hv3005f3、DP−46、DP−47、DP−58、DP−49、DP−50、DP−51、DP−53、およびDP−54を包含する。
【0130】
1つの実施形態において、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は循環系中、例えば血液、血清、リンパ、または他の組織中のその安定化および/または保持を例えば少なくとも1.5、2、5、10、または50倍向上させる部分に物理的に会合させる。例えば、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は重合体、例えば実質的に非抗原性の重合体、例えばポリアルキレンオキシドまたはポリエチレンオキシドと会合させることができる。適当な重合体は重量においてかなり変動する。約200〜約35,000(または約1,000〜約15,000、および2,000〜約12,500)の範囲の数平均分子量を有する重合体を使用できる。例えばMMP−14またはMMP−9結合タンパク質を水溶性重合体、例えば親水性のポリビニル重合体、例えばポリビニルアルコールおよびポリビニルピロリドンにコンジュゲートできる。そのような重合体を非限定的に列挙すれば、ポリアルキレンオキシドホモ重合体、例えばポリエチレングリコール(PEG)またはポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化ポリオール、その共重合体およびそのブロック共重合体が包含されるが、ただしブロック共重合体の水溶性は維持されなければならない。
【0131】
MMP−14またはMMP−9結合タンパク質はまた担体タンパク質、例えば血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミンと会合させることができる。例えば翻訳融合物はMMP−14またはMMP−9結合タンパク質に担体タンパク質を会合させるために使用できる。
【0132】
MMP−14またはMMP−9結合タンパク質の医薬組成物
別の態様において、本開示はMMP−14またはMMP−9結合タンパク質、例えば本明細書に記載するMMP−14またはMMP−9に結合しているものとして同定される抗体分子、他のポリペプチドまたはペプチドを包含する組成物、例えば製薬上許容しうる組成物または医薬組成物を提供する。MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は製薬上許容しうる担体および/または製薬上許容しうる塩と共に処方できる。医薬組成物は治療用組成物および診断用組成物、例えばインビボの画像化のための標識されたMMP−14またはMMP−9結合タンパク質を包含する組成物を包含する。
【0133】
製薬上許容しうる担体は生理学的に適合性のある如何なる溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤および抗カビ剤、等張性付与剤および吸収遅延剤等も包含することができる。好ましくは、担体は静脈内、筋肉内、皮下、非経口、脊髄または表皮への投与(例えば注射または輸液による)に適しているが、吸入および鼻内投与に適する担体も意図される。投与経路に応じて、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は化合物を不活性化させる可能性のある酸および他の天然の条件の作用から化合物を保護するための物質中にコーティングされてよい。
【0134】
製薬上許容しうる塩は、元の化合物の所望の生物学的活性を保持し、そして如何なる望ましくない毒性学的作用も付与しない塩である(例えばBerge,S.M.等、1977、J.Pharm.Sci.66:1−19参照)。そのような塩の例は酸付加塩および塩基付加塩を包含する。酸付加塩は非毒性の無機酸、例えば塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸等から、ならびに非毒性の有機酸、例えば脂肪族のモノまたはジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、芳香族の酸、脂肪族および芳香族のスルホン酸等から誘導されたものを包含する。塩基付加塩はアルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等から、ならびに非毒性の有機アミン、例えばN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチルグルカミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、プロカイン等から誘導されたものを包含する。
【0135】
組成物は種々の形態にあってよい。それらには例えば液体、半固体および固体の剤型、例えば液体の溶液(例えば注射可能および輸液可能な溶液)、分散液または懸濁液、錠剤、丸薬、粉末、リポソームおよび座剤が包含される。形態は意図される投与様式および治療用途に応じたものとなる。多くの組成物が注射可能または輸液可能な溶液、例えばヒトへの抗体の投与のために使用されるものと同様な組成物の形態にある。例示される投与様式は非経口(例えば静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。1つの実施形態において、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は静脈内への輸液または注射により投与される。別の好ましい実施形態においては、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は筋肉内または皮下注射により投与される。
【0136】
組成物は溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポソーム、または高い薬物濃度に適する他の秩序のある構造として処方できる。滅菌された注射可能な溶液は上記列挙した成分の1つまたは組み合わせを適切な溶媒中の必要量の結合タンパク質に配合し、そして必要に応じて濾過滅菌することにより製造できる。一般的に、分散液は塩基性の分散媒体および上記列挙したものに属する必要な他の成分を含有する滅菌ビヒクル内に活性化合物を配合することにより製造できる。滅菌された注射可能な溶液の調製のための滅菌粉末の場合は、好ましい製造方法は、活性成分および何れかの追加的な所望の成分の粉末を、先に滅菌濾過されたその溶液であったものから生じる真空乾燥および凍結乾燥である。溶液の適切な流体性は例えば、レシチンのようなコーティングの使用により、分散液の場合は必要な粒径の維持により、そして界面活性剤の使用により維持することができる。注射可能な組成物の延長された吸収は、吸収を遅延させる物質、例えばモノステアレート塩およびゼラチンを組成物に含有させることによりもたらすことができる。
【0137】
MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は種々の方法により投与できるが、多くの用途においては、好ましい投与経路/様式は静脈内への注射または輸液である。例えば、治療用途のためには、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は約1〜100mg/mまたは7〜25mg/mの用量に達するまで30、20、10、5または1mg/分未満の速度による静脈内輸液により投与できる。投与の経路および/または様式は所望の結果に応じて変動することになる。特定の実施形態においては、活性化合物は急速な放出に対抗して化合物を保護することになる担体、例えば、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系を含む制御放出製剤を用いながら調製してよい。生体分解性の生体適合性重合体、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸が使用できる。そのような製剤の調製のための多くの方法が使用可能である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson編、1978、Marcel Dekker,Inc.,New Yorkを参照。
【0138】
医薬組成物は医療装置を用いて投与できる。例えば、1つの実施形態において、本明細書に開示した医薬組成物は装置、例えば無針の皮下注射装置、ポンプ、またはインプラントを用いて投与できる。
【0139】
特定の実施形態においてはMMP−14またはMMP−9結合タンパク質はインビボの適切な分布を確保するために処方できる。例えば、血液脳関門(BBB)は多くの高度に親水性の化合物を排除する。本明細書に開示した治療用化合物が(所望により)BBBを通過することを確保するためには、それらは例えばリポソーム内として処方できる。リポソームの製造方法に関しては米国特許第4,522,811号;同第5,374,548号;および同第5,399,331号を参照。リポソームは特定の細胞または臓器に選択的に輸送される部分1つ以上を含むことにより、ターゲティング薬物送達を増強する場合がある(例えばV.V.Ranade,1989,J.Clin.Pharmacol.29:685参照)。
【0140】
投薬計画は最適な所望の応答(例えば治療応答)を与えるために調節される。例えば、単回瞬時投与を行ってよく、数回分の分割用量を経時的に投与してよく、あるいは、用量は治療状況の緊急性により指示される通り比例的に低減または増大してよい。投与の簡便性および投薬量の均一性のためには投与単位剤型として非経口組成物を処方することが特に好都合である。投与単位剤型とは本明細書において使用する場合、処置すべき被験体に対する統一された投薬量として適する物理的に個別の単位を指し;各単位は所望の薬学的担体と組み合わせて所望の治療効果をもたらすように計算された活性化合物の所定の量を含有する。投与単位剤型に関する詳細は(a)活性化合物のユニークな特性および達成すべき特定の治療効果、および(b)個体における感受性の治療に関わるそのような活性化合物を製剤化する技術に固有の限界により支配され、そしてそれに直接依存する場合がある。
【0141】
本明細書に開示した抗体の治療または予防有効量に関する非限定的な範囲の例は0.1〜20mg/kg、より好ましくは1〜10mg/kgである。抗MMP−14またはMMP−9抗体は、例えば約1〜100mg/mまたは約5〜30mg/mの用量に達するまで30、20、10、5または1mg/分未満の速度による静脈内輸液により投与できる。抗体よりも分子量において小さい結合タンパク質に関しては、適切な量は比例的に低値となる場合がある。用量値は軽減すべき状態の型および重症度に応じて変動してよい。特定の被験体においては、特定の投薬計画を個体の必要性および組成物を投与するか投与を監督している者の専門的判断に応じて経時的に調節できる。
【0142】
本明細書に開示した医薬組成物は本明細書に開示したMMP−14またはMMP−9結合タンパク質の「治療有効量」または「予防有効量」を包含してよい。
【0143】
骨溶解性障害を処置する方法
MMP−14またはMMP−9に結合し、そして本明細書に記載する、および/または本明細書に詳述する方法により同定されるタンパク質は特にヒト被験体において治療および予防上の利用性を有する。これらの結合タンパク質は骨溶解性障害を処置、防止、および/または診断するために被験体に投与する。特定の実施形態においては、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は被験体に対し、あるいはさらに培養物中の骨親和性の癌細胞に対し、例えばインビトロまたはエクスビボで、骨親和性癌を処置または防止するために投与する。他の実施形態においては、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は骨粗鬆症を処置または防止するために被験体に投与する。処置することには障害、障害の少なくとも1つの症状、または障害に対する素因を軽減、緩和、改変、救済、緩解、改善または影響するために有効な量を投与することを包含し、防止することは、例えば処置なしと想定されるものと比較して障害の顕在化を停止または緩徐化するために有効な量を投与することを包含する。処置はまた、例えば処置なしと想定されるものと比較して骨溶解性障害の発症を遅延、例えば発症を防止、または悪化を防止してよい。
【0144】
本明細書において使用する場合、骨溶解性障害、例えば骨親和性癌または骨粗鬆症を防止するために有効なMMP−14またはMMP−9結合タンパク質の量、またはMMP−14またはMMP−9結合タンパク質の予防有効量は、骨溶解性障害の発症または再発の発生を防止または遅延するための被験体への単回投与または複数回投与により有効となる本明細書に記載したMMP−14またはMMP−9結合タンパク質、例えば抗MMP−14またはMMP−9抗体の量を指す。換言すればMMP−14またはMMP−9結合タンパク質の治療有効量は、そのような処置なしと想定されるものを超える程度まで、被験体を処置すること、例えば被験体における障害の少なくとも1つの症状を治癒すること、軽減すること、緩和することまたは改善することにおいて、被験体への単回投与または複数回投与により、有効となる量である。組成物の治療有効量は、個体の疾患の状態、年齢、性別、および体重、ならびに個体における所望の応答を誘発する化合物の能力のような要因に従って変動してよい。治療有効量はまた、組成物の何れかの毒性または有害な作用よりも治療上有益な作用が優先されるようなものである。治療有効量は好ましくは未処置の被験体と相対比較して計測可能なパラメーターを良い方向にモジュレートする。計測可能なパラメーターを阻害する化合物の能力はヒト障害における薬効を予測する動物モデル系において評価できる。投薬計画は最適な所望の応答(例えば治療応答)を与えるために調節できる。例えば、単回瞬時投与を行ってよく、数回分の分割用量を経時的に投与してよく、あるいは、用量は治療状況の緊急性により指示される通り比例的に低減または増大してよい。投与の簡便性および投薬量の均一性のためには投与単位剤型として非経口組成物を処方することが特に好都合である。投与単位剤型とは本明細書において使用する場合、処置すべき被験体に対する統一された投薬量として適する物理的に個別の単位を指し;各単位は所要の薬学的担体と組み合わせて所望の治療効果をもたらすように計算された活性化合物の所定の量を含有する。
【0145】
骨溶解性障害の処置のための治療有効量の決定のためのガイダンスは特定の骨溶解性障害のインビボのモデルを参照することにより得てよい。例えば、骨親和性癌に関しては、癌のげっ歯類またはLibechovミニブタモデルにおける治療有効量であるMMP−14またはMMP−9結合タンパク質の量は、治療有効量である用量の選択の指針として使用してよい。ヒト癌のげっ歯類モデルの多くが使用可能であり、例えばヌードマウス/腫瘍異種移植片系が挙げられる。PC−3またはヒト乳癌細胞系統、MDA−MB−231、即ち骨転移を誘発する能力が高い(MDA−231#16)または能力が低い(MDA−MB−231#17)ものの何れかのような癌細胞系統をそのような動物モデルの作成において使用してよく、あるいは、それら自体においてモデルとして使用してよい。
【0146】
本明細書に記載したMMP−14またはMMP−9結合タンパク質は被験体における骨溶解性障害を低減するため、例えば骨親和性癌(例えば固形腫瘍または病変、または循環系中の癌細胞を殺傷するため)または骨粗鬆症(例えば骨の多孔性を低減するため)を処置するために使用できる。方法は例えば骨溶解性障害(例えば骨親和性の癌、腫瘍または患部の大きさ)、障害の症状、または障害の進行をモジュレートするために有効な量において、被験体にMMP−14またはMMP−9結合タンパク質を投与することを包含する。MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は治療有効量が得られる前に複数回(例えば少なくとも2、3、5、または10回)投与してよい。1つの実施形態において、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は細胞、例えば癌細胞のインビボの活性を阻害(例えば少なくとも1つの活性を阻害、増殖、遊走、成長または生存性を低減)するために使用される。結合タンパク質はそれらのみで使用するか、または薬剤、例えば細胞毒性薬物、細胞毒酵素、または放射性同位体にコンジュゲートできる。この方法は単独または薬剤(例えば細胞毒性薬物)に結合した結合タンパク質をそのような処置を要する被験体に投与することを包含する。例えばMMP−14またはMMP−9を実質的に阻害しないMMP−14またはMMP−9結合タンパク質は、MMP−14またはMMP−9が伴っている細胞または組織、例えば腫瘍に毒素のような薬剤を含有するナノ粒子を送達するために使用してよい。
【0147】
従って、本開示は、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質(例えば抗MMP−14またはMMP−9IgGまたはFab)の有効量を投与することによる骨親和性癌または骨粗鬆症のような骨溶解性障害を処置する(例えば標準と相対比較して、例えば処置非存在下に予測されるものと比較して、または、疾患に関わる処置を受けていない骨溶解性障害を有する被験体(または被験体のコホート)の状態と比較して、腫瘍の生育または骨の多孔性を緩徐化、排除または対抗させる、転移の数または大きさの何れかを防止または低減する、腫瘍細胞の侵襲性を低減または排除する、腫瘍の進行の時間間隔を増大させる、または無疾患の生存期間を延長する)方法を提供する。一部の実施形態においては、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質はMMP−14またはMMP−9活性を阻害する。特定の実施形態においてはMMP−14またはMMP−9結合タンパク質は単剤処置として投与される。他の実施形態において、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は追加的な抗癌剤と組み合わせて投与される。
【0148】
同様に提供されるものは、骨溶解性障害を発症する危険性を有する被験体にMMP−14またはMMP−9結合タンパク質の有効量を投与することにより、被験体が骨溶解性障害を発症する危険性を低減する、骨溶解性障害の発症を防止、またはその危険性を低減する方法である。例えば、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は骨親和性癌、例えば骨転移を有する被験体において骨溶解性病変を防止するために投与してよい。別の例としては、骨溶解性障害を防止するかそれを発症する危険性を低減するために、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は骨への転移の可能性を有する癌(例えば乳癌、肺癌、または前立腺癌)と診断されている被験体に投与してよい。
【0149】
本開示は更に、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質の有効量を投与して、これにより腫瘍の大きさまたは成長を低減または防止することにより、腫瘍部位における骨親和性癌をモジュレート(例えば低減または防止)する方法を提供する。MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は単剤療法として、または追加的な薬剤と組み合わせて腫瘍部位に投与してよい。
【0150】
同様に提供されるものは、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質の有効量を被験体に投与することにより被験体における腫瘍によるECM分解を低減することを含む、腫瘍による細胞外マトリックス(ECM)分解を低減するための方法である。
【0151】
MMP−14またはMMP−9結合タンパク質および他の薬剤を投与する方法は「医薬組成物」においても記載している。使用される分子の適当な投薬量は被験体の年齢および体重および使用する特定の薬物に応じたものとなり得る。結合タンパク質は例えば天然または病理学的な物質とMMP−14またはMMP−9の間の、望ましくない相互作用を阻害、低減する競合薬として使用できる。MMP−14またはMMP−9結合タンパク質の用量は特に疾患の部位における、患者のMMP−14またはMMP−9の活性の90%、95%、99%、または99.9%をブロックするために十分な量であり得る。疾患に応じて、これは0.1、1.0、3.0、6.0または10.0mg/kgを要する場合がある。150,000g/モルの分子量を有するIgG(2結合部位)に関しては、これらの用量は5Lの血液容量当たり結合部位約18nM、180nM、540nM、1.08μM、および1.8μMに相当する。
【0152】
MMP−14またはMMP−9結合タンパク質はMMP−14またはMMP−9発現細胞を認識し、そして骨親和性癌細胞を伴っている(例えば近接しているか、交絡している)細胞に結合することができるため、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は何れかのそのような細胞を抑制(例えば少なくとも1つの活性を阻害、成長および増殖を低減、または殺傷)し、そして骨溶解性障害の進行を抑制するために、使用できる。癌近傍でMMP−14またはMMP−9の活性を低減することは、転移、成長因子の活性化等に関してMMP−14またはMMP−9の活性に依存していると考えられる癌細胞を間接的に抑制(例えば少なくとも1つの活性を阻害、成長および増殖を低減、または殺傷)することができる。
【0153】
あるいは、結合タンパク質は癌性の細胞の周辺部における細胞に結合するが、癌細胞を直接または間接的に抑制(例えば少なくとも1つの活性を阻害、成長および増殖を低減、または殺傷)するためには十分、癌性の細胞に近接している。即ち、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質(例えば毒素、例えば細胞毒により修飾されたもの)は、癌性の組織における細胞(例えば癌性細胞そのもの、および、癌を伴うか、これを侵襲している細胞)を選択的に抑制するために使用できる。
【0154】
MMP−14またはMMP−9結合タンパク質はMMP−14またはMMP−9が存在している細胞および組織に薬剤(例えば種々の細胞毒性または治療用の薬物の何れか)を送達するか、その送達を支援または増強するために使用してよい。例示される薬剤は、放射線を放出する化合物、植物、真菌、または細菌起源の分子、生体タンパク質、およびこれらの混合物を包含する。細胞毒性剤は細胞内作用性の細胞毒性剤、例えば毒素またはショートレンジの放射線放出物質、例えばショートレンジの高エネルギーα−放出物質であり得る。
【0155】
MMP−14またはMMP−9発現骨親和性癌細胞をターゲティングするためには、プロドラッグ系を使用することができる。例えば第1の結合タンパク質はプロドラッグ活性化物質に近接している場合のみ活性化されるプロドラッグにコンジュゲートする。プロドラッグ活性化物質は第2の結合タンパク質、好ましくは標的分子上の非競合部位に結合するものにコンジュゲートする。2つの結合タンパク質が競合または非競合結合部位に結合するかどうかは、従来の競合結合アッセイにより調べることができる。例示される薬物プロドラッグ対はBlakely等(1996)Cancer Research,56:3287−3292に記載されている。
【0156】
MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は天然の補体依存性細胞毒性(CDC)または抗体依存性細胞毒性(ADCC)を介して抗原発現細胞を排除するためにインビボで直接使用できる。本明細書に記載した結合タンパク質は補体結合エフェクタードメイン、例えばIgG1、−2、または−3に由来するFc部分、または補体に結合するIgMの相当する部分を包含できる。1つの実施形態において、標的細胞の集団を本明細書に記載した結合剤および適切なエフェクター細胞でエクスビボ処理する。処理は補体または補体含有血清の添加により補充できる。更にまた、本明細書に記載した結合タンパク質でコーティングされた標的細胞の貪食作用は補体タンパク質の結合により改善できる。別の実施形態においては、補体結合エフェクタードメインを包含する結合タンパク質でコーティングされた標的細胞は補体により溶解される。
【0157】
MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は、内皮または上皮の内部に遺伝子療法目的のために細胞内に巨大および極小の分子、例えば遺伝子を送達し、そして、MMP−14またはMMP−9を発現する組織のみをターゲティングするために使用できる。
【0158】
ポリペプチド毒素の場合は、組み換え核酸手法を用いることにより、翻訳融合物として結合タンパク質(例えば抗体またはその抗原結合フラグメント)および細胞毒(またはそのポリペプチド成分)をコードする核酸を構築することができる。次に組み換え核酸を例えば細胞内で発現させ、そしてコードされた融合ポリペプチドを単離する。
【0159】
あるいは、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は高エネルギー放射線放出物質、例えば放射性同位体、例えばある部位に局在化すると数細胞直径の殺傷をもたらすγ線放出物質である131Iにカップリングすることができる。例えばS.E.Order、「Analysis,Results,and Future Prospective of the Therapeutic Use of Radiolabeled Antibody in Cancer Therapy」、Monoclonal Antibodies for Cancer Detection and Therapy,R.W.Baldwin等(編)、pp303−316(Academic Press 1985)を参照。他の適当な放射性同位体は放出物質、例えば212Bi、213Bi、および211At、およびb線放出物質、例えば186Reおよび90Yを包含する。更にまた、177Luもまた画像化および細胞毒性剤の両方として使用してよい。
【0160】
131I、90Yおよび177Luで標識した抗体を用いる放射線免疫療法(RIT)は厳密な臨床検査に付されている。これらの3種の核種の物理的特徴にはかなりの相違があり、そしてその結果、放射性核種の選択は目的の組織に対して最大放射線量を送達するためには極めて重要である。90Yのより高値のベータエネルギー粒子は嵩高の腫瘍に対して良好である場合がある。131Iの比較的低エネルギーのベータ粒子は理想的であるが、放射性ヨウ素化された分子のインビボの脱ハロゲン化は内在化抗体にとって主要な不利点となっている。これとは対照的に、177Luは僅か0.2〜0.3mm範囲の低エネルギーベータ粒子を有し、そして90Yと比較して骨髄に対してはるかに低値の放射線量を送達する。更にまた、より長い物理的半減期(90Yと比較して)により、滞在時間が高値となっている。その結果、骨髄に対する比較的低い放射線量においてより高値の活性(mCi量超)の177Lu標識剤を投与できる。種々の癌の処置における177Lu標識抗体の使用を検討している数種の臨床試験が存在している。(Mulligan,T.等、1995、Clin.Canc.Res.1:1447−1454;Meredith,RF.等、1996、J.Nucl.Med.37:1491−1496;Alvarez,RD.等、1997、Gynecol.Oncol.65:94−101)。
【0161】
複合療法
本明細書に記載したMMP−14またはMMP−9結合タンパク質、例えば抗MMP−14またはMMP−9FabまたはIgGは目的の特定の骨溶解性障害を処置するための他の治療薬1つ以上と組み合わせて投与できる。例えば、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は手術、他のMMP−14またはMMP−9阻害剤、例えば小分子阻害剤、他の抗MMP−14またはMMP−9FabまたはIgG(例えば本明細書に記載する他のFabまたはIgG)、ペプチド阻害剤、または小分子阻害剤と共に、治療的または予防的に使用できる。本明細書に記載したMMP−14またはMMP−9結合タンパク質との複合療法において使用できるMMP−14またはMMP−9阻害剤の例は、ネオバスタット、マリマスタット、BAY12−9566およびプリノマスタットを包含する。1つ以上の小分子MMP阻害剤を本明細書に記載した1つ以上のMMP−14またはMMP−9結合タンパク質と組み合わせて使用できる。例えば組み合わせは副作用が低減されるように必要となる小分子阻害剤の用量を低値化することができる。組み合わせは一方または両方の薬剤の送達および薬効を増強する場合がある。
【0162】
特定の実施形態においては、本明細書に記載したMMP−14またはMMP−9結合タンパク質は骨親和性癌を処置するための他の療法の1つ以上、例えば限定しないが、手術、放射線療法、化学療法、および他の抗癌治療薬と組み合わせて投与できる。例えば、MMP−14もしくはMMP−9を阻害する、またはMMP−14もしくはMMP−9の活性の下流の事象(例えばプロMMP−2からMMP−2への切断)を阻害するタンパク質もまた、放射線療法、化学療法、手術、または第2の薬剤の投与のような他の抗癌療法と組み合わせて使用できる。例えば、第2の薬剤はTie−1阻害剤であり得る(例えばTie−1結合タンパク質;共に2005年8月9日に出願された米国特許出願11/199,739およびPCT/US2005/0284を参照)。他の例として、第2の薬剤はVEGFシグナリング経路をターゲティングするか、負の方向に調節するものであり得る。この後者のクラスの例は、VEGF拮抗剤(例えば抗VEGF抗体、例えばベバシツマブ)およびVEGF受容体拮抗剤(例えば抗VEGF受容体抗体)を包含する。1つの特定の好ましい組み合わせはベバシツマブである。組み合わせは更に5−FUおよびロイコボリン,および/またはイリノテカンを包含することができる。他の追加的な癌の施療または処置は、ビスホスホネート(例えばアミノおよび非アミノビスホスホネート)、ホルモン関連化合物(例えばエストロゲンおよびSERM)、RANKL拮抗剤、RANKL経路阻害剤、αγβ拮抗剤、Src阻害剤、カテプシンK阻害剤およびカルシトニンを包含する。
【0163】
他の実施形態において、本明細書に記載したMMP−14またはMMP−9結合タンパク質は骨粗鬆症を処置するための他の療法1つ以上、例えば限定しないが、ビスホスホネート(例えばアミノおよび非アミノビスホスホネート)、ホルモン関連化合物(例えばエストロゲンおよびSERM)、カルシトニン、テリパラチド(FORTEO(商標))、タモキシフェンおよびRANKL経路阻害剤と組み合わせて投与できる。
【0164】
薬剤または療法は同時に(例えば患者に投与される単一の製剤として、または同時に投与される2つの別個の製剤として)または逐次的に何れかの順序で投与できる。逐次的投与は異なる時期に行われる投与である。1つの薬剤ともう1つの薬剤の投与の間の時間は数分、数時間、数日、または数週間であることができる。本明細書に記載したMMP−14またはMMP−9結合タンパク質の使用はまた、別の療法の投薬量を低減することにより例えば投与されるべき別の薬剤に伴う副作用を低減するため、例えばベバシツマブのような抗VEGF抗体の副作用を低減するためにも使用できる。従って、組み合わせはMMP−14またはMMP−9結合タンパク質の非存在下において使用される場合よりも少なくとも10、20、30、または50%低値である投薬量において第2の薬剤を投与することを包含できる。
【0165】
第2の薬剤または療法はまた他の抗癌剤または療法であり得る。抗癌剤の非限定的な例は、例えば抗微小管剤、トポイソメラーゼ阻害剤、代謝拮抗剤、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、インタカレーション剤、シグナル伝達経路に干渉できる薬剤、アポトーシスを促進する薬剤、放射線、および他の腫瘍関連抗原に対抗する抗体(例えばネイキッド抗体、免疫毒素および放射性コンジュゲート)を包含する。抗癌剤の特定のクラスの例を以下に詳述すれば、抗チューブリン/抗微小管剤、例えばパクリタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、タキソテール;トポイソメラーゼI阻害剤、例えばイリノテカン、トポテカン、カンプトテシン、ドキソルビシン、エトポシド、ミトキサントロン、ダウノルビシン、イダルビシン、テニポシド、アムサクリン、エピルビシン、メルバロン、塩酸ピロキサントロン;代謝拮抗剤、例えば5−フルオロウラシル(5FU)、メトトレキセート、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、リン酸フルダラビン、シタラビン/AraC、トリメトレキセート、ゲムシタビン、アシビシン、アラノシン、ピラゾフリン、N−ホスホアセチルーL−アスパルテート=PALA、ペントスタチン、5−アザシチジン、5−アザ−2’−デオキシシチジン、araA、クラドリビン、5−フルオロウリジン、FUDR、チアゾフリン、N−[5−[N−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルメチル)−N−メチルアミノ]−2−テノイル]−L−グルタミン酸;アルキル化剤、例えばシスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシンC、BCNU=カルムスチン、メルファラン、チオテパ、ブスルファン、クロラムブシル、プリカマイシン、ダカルバジン、リン酸イフォスファミド、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、ウラシルマスタード、ピポブロマン、4−イポメアノール;他の作用機序を介して作用する薬剤、例えばジヒドロレンペロン、スピロムスチン、およびデシペプチド;例えば抗腫瘍応答を増強する生物学的応答モディファイアー、例えばインターフェロン;アポトーシス剤、例えばアクチノマイシンD;および抗ホルモン剤、例えば抗エストロゲン、例えばタモキシフェン,または例えば抗アンドロゲン,例えば4’−シアノ−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3’−(トリフルオロメチル)プロピオンアニリドである。
【0166】
転移性骨癌を処置する場合に使用してよい他の追加的な癌の療法または処置はビスホスホネート(例えばアミノおよび非アミノビスホスホネート)、ホルモン関連化合物(例えばエストロゲンおよびSERM)、RANKL拮抗剤、αγβ拮抗剤、Src阻害剤、カテプシンK阻害剤およびカルシトニンを包含する。これらの治療薬の全ては、他の活性を有することに加えて、骨再吸収抑制剤として作用する場合がある。
【0167】
ビスホスホネート(ジホスホネートとも称する)は破骨細胞の作用および骨の再吸収を抑制する薬物のクラスである。それらの用途は骨粗鬆症、変形性骨炎(骨のパジェット病)、骨転移(高カルシウム血症を伴うか伴わない)、多発性骨髄腫および骨の脆弱さを特徴とする他の条件の防止および処置を包含する。例示されるビスホスホネート(ジホスホネートとも称する)はアミノおよび非アミノビスホスホネートの両方を包含する。本明細書に開示した方法において使用してよいビスホスホネートの特定の例は、限定しないが、非アミノビスホスホネート、例えばエチドロネート(DIDRONEL(登録商標))、クロドロネート(BONEFOS(登録商標)、LORON(登録商標))およびチルドロネート(SKELID(登録商標));およびアミノビスホスホネート、例えばパミドロネート(APD、AREDIA(登録商標))、ネリドロネート、オルパドロネート、アレンドロネート(FOSAMAX(登録商標))、イバンドロネート(BONIVA(登録商標))、リセドロネート(ACTONEL(登録商標))およびゾレドロネート(ZOMETA(登録商標))を包含する。
【0168】
ホルモン関連化合物は、例えば限定しないが、エストロゲン、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)およびLH−RHアゴニスト、例えばロイプロリド(LUPRON(登録商標)、VIADUR(登録商標)、ELIGARD(登録商標))、ゴセレリン(Zoladex(登録商標))、ラロキシフェン(EVISTA(登録商標))およびトリプトレリン(TRELSTAR(登録商標))を包含する。
【0169】
RANKL拮抗剤はRANK−RANKL相互作用をブロックするために使用してよい。例示されるRANKL拮抗剤は、限定しないがTRANCE−Fc、OPGおよびOPG−Fcを包含する。
【0170】
例示されるRANKL経路阻害剤は、限定しないが、デノスマブ(Body等(2006)Clin,Cancer Res.12:1221−1228)を包含する。
【0171】
αγβ拮抗剤は骨への破骨細胞の接着をブロックするために使用してよい。例示されるαγβ拮抗剤は小分子およびペプチドの拮抗剤を包含し、その例は限定しないが、ビタキシン、シレンジチド、(S)−3−オキソ−8−[2−[6−(メチルアミノ)−ピリジン−2−イル]−1−エトキシ]−2−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−2−ベンズアゼピン−4−酢酸および3−[2−オキソ−3−[5,6,7,8−テトラヒドロ−[1,8]ナフチリジン−2−イル)プロピル]−イミダゾリジン−1−イル]−3(S)−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)プロピオン酸を包含する。
【0172】
Src阻害剤は破骨細胞の活性化をもたらす工程をブロックするために使用してよい。例示されるSrc阻害剤は限定しないが、SKI−606(Wyeth)、AZD0530(AstraZeneca)およびBMS−453825(ダサチニブ(SPRYCEL(登録商標))を包含する。
【0173】
カテプシンK阻害剤は破骨細胞特異的コラゲナーゼの活性をブロックするために使用してよい。例示されるカテプシンK阻害剤は限定しないが、バリカチブを包含する。
【0174】
複合療法は他の療法の副作用を低減する薬剤を投与することを包含できる。骨溶解性障害が骨親和性癌である実施形態においては、薬剤は抗癌剤処置の副作用を低減する薬剤であり得る。例えば、薬剤はロイコボリンであり得る。
【0175】
キット
本明細書に記載したMMP−14またはMMP−9結合タンパク質はキット中に、例えばキットの成分として提供されることができる。例えば、キットは(a)MMP−14またはMMP−9結合タンパク質、例えばMMP−14またはMMP−9結合タンパク質を包含する組成物、および場合により(b)情報資料を包含する。情報資料は本明細書に記載した方法、および/または、本明細書に記載した方法のためのMMP−14またはMMP−9結合タンパク質の使用に関連する説明的、教育的、販売上または他の資料であることができる。
【0176】
キットの情報資料はその形態において制約されない。1つの実施形態において、情報資料は化合物の製造、化合物の分子量、濃度、有効期限、バッチまたは製造場所の情報等に関する情報を包含できる。1つの実施形態において、情報資料は骨溶解性障害を処置、防止、または診断するための結合タンパク質の使用に関する。
【0177】
1つの実施形態において、情報資料は本明細書に記載し方法を実施するための適当な態様において、例えば適当な用量、剤型、または投与様式(例えば本明細書に記載した用量、剤型、または投与様式)において、MMP−14またはMMP−9結合タンパク質を投与するための説明書を包含できる。別の実施形態においては、情報資料は適当な被験体、例えばヒト、例えば骨溶解性障害の危険性を有するヒトにMMP−14またはMMP−9結合タンパク質を投与するための説明書を包含できる。例えば、資料は骨親和性癌または骨粗鬆症を有する患者にMMP−14またはMMP−9結合タンパク質を投与するための説明書を包含できる。キットの情報資料はその形態において制約されない。多くの場合において、情報資料、例えば説明書は、他のフォーマット、例えばコンピューター読み取り可能な資料にあってよい。
【0178】
MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は何れかの形態、例えば液体、乾燥または凍結乾燥された形態において提供できる。MMP−14またはMMP−9結合タンパク質は実質的に純粋および/または滅菌状態であることが好ましい。MMP−14またはMMP−9結合タンパク質が溶液中で提供される場合は、溶液は好ましくは水溶液であり、滅菌された水溶液が好ましい。MMP−14またはMMP−9結合タンパク質が乾燥形態で提供される場合、再構成は一般的には適当な溶媒を添加することによる。溶媒、例えば滅菌された水または緩衝液は場合によりキット中に提供できる。
【0179】
キットはMMP−14またはMMP−9結合タンパク質を含有する組成物のための容器1つ以上を包含できる。一部の実施形態においては、キットは組成物および情報資料のための別個の容器、分割器またはコンパートメントを含有する。例えば組成物はボトル、バイアルまたはシリンジ中に含有させ、そして情報資料は容器に付随して含有させることができる。他の実施形態においては、キットの別個の要素を単一の非分割の容器内部に含有させる。例えば組成物は、ラベルの形態の情報資料を自身に結着させた状態で有しているボトル、バイアルまたはシリンジに含有させる。一部の実施形態においては、キットは複数(例えばパック)の個々の容器を包含し、各々がMMP−14またはMMP−9結合タンパク質の単位剤型(例えば本明細書に記載した剤型)の1つ以上を含有する。例えば、キットは複数のシリンジ、アンプル、ホイルパケット、またはブリスタパックを包含し、各々がMMP−14またはMMP−9結合タンパク質の単回単位用量を含有する。キットの容器は気密性、防水性(例えば水分の変化または蒸発に対して非透過性である)、および/または、遮光性であることができる。
【0180】
キットは場合により組成物の投与に適する装置、例えばシリンジ,吸入器、滴下装置(例えば点眼器)、スワブ(例えば綿花スワブまたは木材スワブ)、または何れかのそのような送達装置を包含する。1つの実施形態において、装置は結合タンパク質の計量された用量を分配する移植可能な装置である。本開示は更に、例えば本明細書に記載した成分を組み合わせることによる、キットを提供する方法も特徴とする。
【実施例】
【0181】
以下の実施例は更に説明を行うものであり、限定的ではない。
【0182】
(実施例1)DX−2400はPC−3前立腺癌モデルにおいて骨溶解性の病変を低減する。
【0183】
PC−3前立腺癌細胞をマウスに脛骨内に接種した。細胞の脛骨内接種後3日に処置を開始した。DX−2400(10mg/kg)およびPBS対照を14日間Q2Dで投与した。X線分析および骨の組織形態学的分析によればDX−2400は約3倍骨溶解性病変の面積を低減した(図2)。DX−2400はMMP−14の選択的阻害剤である。
【0184】
(実施例2)例示されるMMP−9結合抗体
骨転移モデルにおいて539A−M0240−B03および539A−M0237−D02のインビトロの作用を評価するために実験を実施した。
【0185】
細胞。生265.7細胞(マウス白血病単球/マクロファージ細胞系統)をATCC(カタログ番号TIB−71)から入手し、ATCC推奨完全培地(カタログ番号30−2020)中に維持した。3〜7継代目の細胞を本試験に使用した。
【0186】
材料。オステオロジックディスクはBDバイオサイエンス(カタログ番号354609)から購入した。タータレート耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)染色キットはKamiya Biomedica Company,Seattle WA(カタログ番号KT−008)から入手した。GM6001はMilliporeから入手した。
【0187】
方法。スライド当たり約2000個の生264.7細胞を、完全生育培地を有するオステオロジック・マルチテスト・スライド上に播種した。翌日、細胞を広スペクトルMMP阻害剤GM6001(5μM、10μM、25μM濃度を試験)、539A−M0240−B03(10μg/ml、50μg/ml濃度を試験)、または539A−M0237−D02(10μg/ml、100μg/ml濃度を試験)と共に100ng/mLの組み換えネズミ可溶性RANKリガンド(Peprotech Inc.UK)を含有する新しい培地に交換した。次にスライドを6日間37℃でインキュベートし、上記した通り第3日に新しい培地に交換した。インキュベーション時間の終了時に、スライドの片方の面をTRAPに関して染色し、スライドのもう一方の面を漂白(10%漂白剤)し、水で数回洗浄し、風乾した。次にスライドを多核化TRAP陽性細胞または再吸収領域(窪み)の何れかに関して顕微鏡下に観察した。培地のみおよび組み換えオステオプロテゲリン(rHOPG)(100ng/mL)と共にインキュベートした細胞をそれぞれ陰性および陽性対照として使用した。
【0188】
結論。これらのインビトロの実験は、GN6001、539A−M0240−B03および539A−M0237−D02は破骨細胞形成および骨再吸収に対して試験濃度において阻害作用を有していることを示唆している(データ示さず)。結果は阻害作用が用量依存性であることを示していた。GN6001、539A−M0240−B03または539A−M0237−D02の濃度を上昇させるに従い、TRAP陽性染色量および再吸収領域の数は低下した。
【0189】
(実施例3)例示されるMMP−9結合抗体
539A−M0166−F10。例示されるMMP−9抗体は539A−M0166−F10である。539A−M0166−F10sFABの可変領域のアミノ酸配列は以下の通りである。
【0190】
【化6】

【0191】
539A−M0240−B03。別の例示されるMMP−9抗体は539A−M0240−B03である。539A−M0240−B03はMMP−9の選択的阻害剤である。539A−M0240−B03はヒトおよびマウスのMMP−9の活性を低下または阻害することができる。539A−M0240−B03軽鎖(LC)および重鎖(HC)の相補性決定領域(CDR)の配列は以下の通りである。
【0192】
【化7】

【0193】
(実施例4)例示されるMMP−9/2結合抗体
M0237−D02。例示されるMMP−9/2抗体はM0237−D02である。539A−M0237−D02sFABの可変領域のアミノ酸配列は以下の通りである。
【0194】
【化8】

【0195】
(実施例5)例示されるMMP−14結合抗体
DX−2400。例示されるMMP−14抗体はDX−2400である。DX−2400の可変ドメイン配列は以下の通りである。
【0196】
【化9】

【0197】
【化10】

【0198】
DX−2410。他の例示されるMMP−14抗体はDX−2410である。DX−2410の可変ドメイン配列は以下の通りである。
【0199】
【化11】

【0200】
(実施例6)別の例示されるMMP−9結合抗体
539A−M0240−B03のHCCDR配列および以下に示す軽鎖配列を含有するタンパク質を本明細書に記載した方法において使用できる。以下に示すLCCDRおよび539A−M0240−B03のHCCDRを含有するタンパク質、または以下に示すLC可変領域(軽鎖V遺伝子)および539A−M0240−B03のHCCDRを含有するタンパク質もまた本明細書に記載した方法において使用できる。タンパク質は以下に示す定常領域(LCλ1)のような定常領域配列を包含できる。
【0201】
【化12】

【0202】
本明細書に記載した方法において使用できる他の例示されるタンパク質に関するアミノ酸および核酸配列を以下に示す。以下に示すLCおよびHCのCDRを含有するタンパク質、または以下に示す軽鎖および重鎖の可変領域(それぞれLVおよびHV)を含有するタンパク質もまた本明細書に記載した方法において使用できる。
【0203】
【化13】

【0204】
【化14】

【0205】
本明細書に記載した方法において使用できる別の例示されるタンパク質に関するアミノ酸および核酸の配列を以下に示す。以下に示すLCおよびHCのCDRを含有するタンパク質、または以下に示す軽鎖および重鎖の可変領域(それぞれLVおよびHV)を含有するタンパク質もまた本明細書に記載した方法において使用できる。軽鎖および重鎖(以下においてそれぞれLV+LCおよびHV+HCとして示す)の配列を含有するタンパク質もまた使用できる。
【0206】
【化15】

【0207】
【化16】

【0208】
【化17】

【0209】
(参考文献)
本出願を通じて引用した文献の参考物、発行された特許、公開された、または未公開の特許出願を包含する全ての引用参考文献の内容は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。矛盾がある場合は本明細書における如何なる定義も含めて本出願が優先する。
【0210】
(等価物)
本発明の実施形態の多くを説明してきた。しかしなお、本発明の精神および範囲を逸脱することなく種々の変更を行えることは明らかである。従って、他の実施形態も以下に記載する請求項の範囲内に包含される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体における骨溶解性障害を処置するための方法であって、骨溶解性障害に罹患した被験体に重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列を含む有効量のMMP−14結合タンパク質を投与することを含む方法。
【請求項2】
前記個体に追加の治療薬を投与することを更に含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記追加の治療薬がビスホスホネート、ホルモン関連化合物、RANKL拮抗剤、αγβ拮抗剤、Src阻害剤、カテプシンK阻害剤およびカルシトニンよりなる群から選択される請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記追加の治療薬がビスホスホネートである請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記追加の治療薬がMMP−9結合タンパク質である請求項2記載の方法。
【請求項6】
前記MMP−14結合タンパク質がMMP−14を阻害する請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記骨溶解性障害が骨親和性癌および骨粗鬆症よりなる群から選択される請求項1、2、3、4、5、または6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列がM0038−F01の重鎖CDRを含み、前記軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列がM0038−F01のCDRを含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
被験体における骨溶解性障害を防止するための方法であって、骨溶解性障害の危険性を有する被験体に重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列を含む有効量のMMP−14結合タンパク質を投与することを含む方法。
【請求項10】
前記防止される骨溶解性障害が骨親和性癌および骨粗鬆症よりなる群から選択される請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記個体に追加の治療薬を投与することを更に含む請求項9記載の方法。
【請求項12】
前記追加の治療薬がビスホスホネート、ホルモン関連化合物、RANKL拮抗剤、αγβ拮抗剤、Src阻害剤、カテプシンK阻害剤およびカルシトニンよりなる群から選択される請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記追加の治療薬がビスホスホネートである請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記追加の治療薬がMMP−9結合タンパク質である請求項11記載の方法。
【請求項15】
前記MMP−14結合タンパク質がMMP−14を阻害する請求項9記載の方法。
【請求項16】
前記重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列がM0038−F01の重鎖CDRを含み、前記軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列がM0038−F01のCDRを含む請求項9記載の方法。
【請求項17】
重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むMMP−14結合タンパク質を含む容器;ならびに
骨溶解性障害の処置のための該MMP−14結合タンパク質の使用に関する説明書
を備えるキット。
【請求項18】
前記骨溶解性障害が骨親和性癌および骨粗鬆症よりなる群から選択される請求項17記載のキット。
【請求項19】
追加の治療薬を更に含む請求項17記載のキット。
【請求項20】
前記追加の治療薬がMMP−9結合タンパク質である請求項19記載のキット。
【請求項21】
前記重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列がM0038−F01の重鎖CDRを含み、前記軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列がM0038−F01のCDRを含む請求項17記載のキット。
【請求項22】
被験体における骨溶解性障害を処置するための方法であって、骨溶解性障害に罹患した被験体に重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列を含む有効量のMMP−9結合タンパク質を投与することを含む方法。
【請求項23】
前記個体に追加の治療薬を投与することを更に含む請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記追加の治療薬がビスホスホネート、ホルモン関連化合物、RANKL拮抗剤、αγβ拮抗剤、Src阻害剤、カテプシンK阻害剤およびカルシトニンよりなる群から選択される請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記追加の治療薬がビスホスホネートである請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記追加の治療薬がMMP−14結合タンパク質である請求項23記載の方法。
【請求項27】
前記MMP−9結合タンパク質がMMP−9を阻害する請求項22記載の方法。
【請求項28】
前記骨溶解性障害が骨親和性癌および骨粗鬆症よりなる群から選択される請求項22、23、24、25、26、または27の何れか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列が539A−M0240−B03の重鎖CDRを含み、前記軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列が539A−M0240−B03のCDRを含む請求項22記載の方法。
【請求項30】
被験体における骨溶解性障害を防止するための方法であって、骨溶解性障害の危険性を有する被験体に重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列を含む有効量のMMP−9結合タンパク質を投与することを含む方法。
【請求項31】
前記防止される骨溶解性障害が骨親和性癌および骨粗鬆症よりなる群から選択される請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記個体に追加の治療薬を投与することを更に含む請求項30記載の方法。
【請求項33】
前記追加の治療薬がビスホスホネート、ホルモン関連化合物、RANKL拮抗剤、αγβ拮抗剤、Src阻害剤、カテプシンK阻害剤およびカルシトニンよりなる群から選択される請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記追加の治療薬がビスホスホネートである請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記追加の治療薬がMMP−14結合タンパク質である請求項32記載の方法。
【請求項36】
前記MMP−9結合タンパク質がMMP−9を阻害する請求項30記載の方法。
【請求項37】
前記重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列が539A−M0240−B03の重鎖CDRを含み、前記軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列が539A−M0240−B03のCDRを含む請求項30記載の方法。
【請求項38】
重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列および軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むMMP−9結合タンパク質を含む容器;ならびに
骨溶解性障害の処置のための該MMP−9結合タンパク質の使用に関する説明書
を備えるキット。
【請求項39】
前記骨溶解性障害が骨親和性癌および骨粗鬆症よりなる群から選択される請求項38記載のキット。
【請求項40】
追加の治療薬を更に含む請求項38記載のキット。
【請求項41】
前記追加の治療薬がMMP−14結合タンパク質である請求項40記載のキット。
【請求項42】
前記重鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列が539A−M0240−B03の重鎖CDRを含み、前記軽鎖免疫グロブリン可変ドメイン配列が539A−M0240−B03のCDRを含む請求項38記載のキット。

【図1−1】
image rotate

【図1−2】
image rotate

【図1−3】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3−1】
image rotate

【図3−2】
image rotate

【図3−3】
image rotate

【図3−4】
image rotate


【公表番号】特表2011−506614(P2011−506614A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539749(P2010−539749)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/087236
【国際公開番号】WO2009/079585
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(506065987)ダイアックス コーポレーション (26)
【Fターム(参考)】