MRI装置及び制御プログラム
【課題】画像データ上に示された関心領域に対する撮像条件を容易かつ正確に設定する。
【解決手段】MRI装置100は、パイロット撮像モードで撮像された画像中の少なくとも1つの関心領域の中から、所望の関心領域を選択する関心領域選択部で設定された前記撮像条件に基づいて、本撮像モードのMRI撮像を行なう制御73と、関心領域選択部73で選択された前記関心領域に対応する撮像条件を生成する撮像条件生成部74と、前記撮像条件を前記関心領域の近傍に表示する表示部6と、表示部6で表示された前記撮像条件の設定を行なう撮像条件設定部74と、撮像条件設定部74部8とを備える。
【解決手段】MRI装置100は、パイロット撮像モードで撮像された画像中の少なくとも1つの関心領域の中から、所望の関心領域を選択する関心領域選択部で設定された前記撮像条件に基づいて、本撮像モードのMRI撮像を行なう制御73と、関心領域選択部73で選択された前記関心領域に対応する撮像条件を生成する撮像条件生成部74と、前記撮像条件を前記関心領域の近傍に表示する表示部6と、表示部6で表示された前記撮像条件の設定を行なう撮像条件設定部74と、撮像条件設定部74部8とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像データに対して設定された各種関心領域における撮像条件を容易に設定することが可能なMRI装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴撮像法(MRI)は、強力な静磁場中に置かれた被検体組織の原子核スピンを、そのラーモア周波数をもつ高周波信号(RFパルス)で励起し、この励起に伴って発生する磁気共鳴信号(MR信号)を再構成処理して画像データを生成する撮像法である。
【0003】
MRI装置は、生体内から検出されたMR信号に基づいて画像データを生成する画像診断装置であり、解剖学的診断情報のみならず機能診断情報や生化学情報等多くの診断情報を得ることができるため、今日の画像診断の分野では不可欠なものとなっている。
【0004】
上述のMRIでは、血流情報の観測を可能にするMRA(Magnetic Resonance Angiography)法が既に臨床の場で用いられ、更に、近年では造影剤を用いずに血流情報の観測を可能にする各種の非造影MRIも開発されている。この非造影MRIでは、被検体の診断対象領域に対して設定された1つあるいは複数のラベリングパルス照射領域に対しラベリングパルスを照射することにより、血管内血液から得られるMR信号が周囲の生体組織から得られるMR信号より高感度で検出される。
【0005】
例えば、Time-SLIP(Time-Spatial Labeling Inversion Pulse)法とTrue SSFP(Steady-State Free Precession)法を組み合わせたパルスシーケンスによる非造影MRIでは、180度のフリップ角を有した領域選択IRパルスを上述のラベリングパルス照射領域に対して照射した後、True SSFP法による高速MRI撮像が行なわれる。このTime-SLIP法の適用により、造影剤を用いずに所望の血管領域における血流の動態観測を行なうことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−289862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、上述の非造影MRIにおけるラベリングパルスの照射領域や通常のMRIにおける撮像領域等に対する撮像条件の設定は、全ての撮像条件入力欄が一覧表示された撮像条件入力シートを用いて行なわれてきた。即ち、医師や検査師らは、撮像条件入力シートに示された多くの撮像条件入力欄の中から所望の撮像条件入力欄を検索し、得られた撮像条件入力欄に対して当該MRI撮像に好適な撮像条件を入力する方法がとられてきた。このため、撮像条件の設定に多大の時間を要し、検査効率が低下するのみならず医師や検査師らに大きな負担を与えてきた。
【0008】
また、上述の撮像条件入力シートを用いた撮像条件の設定では、同種類の照射領域や撮像領域に対して共通の撮像条件が設定されるため、これらの照射領域あるいは撮像領域が複数個設定される場合には個々の領域に対する撮像条件の設定が不可能であった。このため、これらの領域に対して最適な撮像条件を設定することは困難であるという問題点を有していた。
【0009】
本開示は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像データ上に示された関心領域の撮像条件を容易に設定することが可能なMRI装置及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施形態に係るMRI装置は、パイロット撮像モードにて設定した撮像条件に基づいて本撮像モードのMRI撮像を行なう。前記MRI装置は、関心領域選択部と、撮像条件生成部と、表示部と、撮像条件設定部と、制御部とを備える。前記関心領域選択部は、前記パイロット撮像モードで撮像された画像中の少なくとも1つの関心領域の中から所望の関心領域を選択する。前記撮像条件生成部は、前記関心領域選択部で選択された前記関心領域に対応する撮像条件を生成する。前記表示部は、前記撮像条件を前記関心領域の近傍に表示する。前記撮像条件設定部は、前記表示部で表示された前記撮像条件の設定を行なう。前記制御部は、前記撮像条件設定部で設定された前記撮像条件に基づいて前記本撮像モードのMRI撮像を行なう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態におけるMRI装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態の非造影MRI撮像に適用されるTime-SLIP法とTrue SSFP法を組み合わせたパルスシーケンスを示す図。
【図3】本実施形態の非造影MRI撮像において照射される領域選択IRパルスとこの領域選択IRパルスの照射に伴って変化する原子核スピンの縦磁化を示す図。
【図4】本実施形態の非造影MRI撮像において観測される血流情報を模式的に示す図。
【図5】本実施形態の撮像条件生成部によって生成される撮像条件を示す図。
【図6】本実施形態の表示部において位置決め用画像データと共に表示される撮像条件を示す図。
【図7】本実施形態の位置決め用画像データに設定された関心領域に対する撮像条件の配置位置を示す図。
【図8】本実施形態における撮像条件の設定手順を示すフローチャート。
【図9】本実施形態の変形例において位置決め用画像データと共に表示される複数の撮像条件を示す図。
【図10】本実施形態の他の変形例において位置決め用画像データに設定された格子状の関心領域とこの関心領域の撮像条件を示す撮像条件を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を説明する。
【0013】
本実施形態に係るMRI装置では、本撮像モードに先行するパイロット撮像モードにおいて収集された位置決め用画像中に、非造影MRI撮像において使用される領域選択IRパルスの照射領域(ラベリングパルス照射領域)を示す少なくとも1つの関心領域を重畳して表示部に表示する。表示された関心領域の中から所望の関心領域が選択された場合、選択された関心領域に対して仮設定された撮像条件(例えば、標準撮像条件等を用いて仮設定された関心領域を照射する領域選択IRパルスの照射条件等)を示す撮像条件を生成し、得られた撮像条件を位置決め用画像データに重畳された関心領域の近傍に配置して表示部に表示する。次いで、表示された撮像条件を必要に応じて更新することにより、選択された関心領域に対して好適な撮像条件を設定し、得られた撮像条件に基づいて本撮像モードのMRI撮像を行なう。
【0014】
尚、以下の説明では、非造影MRI撮像のラベリングパルス照射領域に対応した2つの関心領域をパイロット撮像モードにて収集された位置決め用画像に対して設定し、これらの関心領域の中から選択された所望関心領域の近傍に表示される撮像条件に基づいて関心領域に好適な撮像条件を設定する場合について述べるが、撮像条件はラベリングパルスの照射条件に限定されものではなく、撮像断面を設定する撮像条件等であっても構わない。
【0015】
本開示の実施形態におけるMRI装置の構成と機能につき図1乃至図7を用いて説明する。尚、図1は、MRI装置の全体構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すMRI装置100は、被検体150に対して磁場を発生する静磁場発生部1及び傾斜磁場発生部2と、被検体150に対してRFパルスを照射しこの被検体150が発生するMR信号を検出する送受信部3と、被検体150に対するパイロット撮像モード及び本撮像モードの非造影MRI撮像において収集されたMR信号(MRデータ)を再構成処理して位置決め用画像データ及び診断用画像データを生成する画像データ生成部4と、位置決め用画像データに対して設定される関心領域に対応した撮像条件を生成する撮像条件生成部5と、関心領域や撮像条件が付加された位置決め用画像データや本撮像モードの診断用画像データを表示する表示部6を備えている。
【0017】
更に、MRI装置100は、被検体情報の入力、撮像モード/撮像条件設定モードの選択、関心領域の選択、撮像条件の設定、各種コマンド信号の入力等を行なう入力制御部7と、被検体150を載置する天板9と、天板9を被検体150の体軸方向(z軸方向)へ移動させる天板移動機構部10と、MRI装置100が有する上述の各ユニットを制御する制御部8を備えている。
【0018】
静磁場発生部1は、常伝導磁石あるいは超電導磁石によって構成される主磁石11と、この主磁石11に電流を供給する静磁場電源12を備え、図示しないガントリ中央部の撮像野に配置された被検体150に対し強力な静磁場を形成する。尚、主磁石11は、永久磁石によって構成されていてもよい。
【0019】
一方、傾斜磁場発生部2は、被検体150の体軸方向(図1のz軸方向)とこの体軸方向に直交するx軸方向及びy軸方向に対して傾斜磁場を形成する傾斜磁場コイル21と、傾斜磁場コイル21の各々に対してパルス電流を供給する傾斜磁場電源22を備えている。
【0020】
傾斜磁場コイル21及び傾斜磁場電源22は、被検体150が置かれたガントリ中央部の撮像野に対して位置情報を付加する。即ち、傾斜磁場電源22は、制御部8から供給されるシーケンス制御信号に基づいてx軸方向、y軸方向及びz軸方向の傾斜磁場コイル21に供給するパルス電流を制御することにより各々の方向に対して傾斜磁場を形成する。そして、x軸方向、y軸方向及びz軸方向の傾斜磁場は合成されて互いに直交するスライス選択傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場及び周波数エンコード(読み出し)傾斜磁場が任意の方向に形成され、これらの傾斜磁場は、主磁石11によって形成された静磁場に重畳されて被検体150に印加される。
【0021】
次に、送受信部3は、被検体150に対してRFパルスを照射すると共に被検体150から発生したMR信号を検出する送受信コイル31と、送受信コイル31に接続された送信部32及び受信部33を備えている。但し、送受信コイル31は、送信専用コイルと受信専用コイルによって構成されていても構わない。
【0022】
送信部32は、位置決め用画像データの収集を目的としたパイロット撮像モード及び診断用画像データの収集を目的とした本撮像モードにおいて、送受信コイル31に対しパルス電流を供給する機能を有し、図示しない基準信号発生器、変調器及び電力増幅器等を有している。基準信号発生器は、主磁石11の静磁場強度によって決定される磁気共鳴周波数(ラーモア周波数)と同じ周波数を有した基準信号を発生し、変調器は、この基準信号を所定の選択励起波形で変調してパルス電流を生成する。
【0023】
そして、得られたパルス電流は、電力増幅器を介して送受信コイル31へ供給され、被検体150に対しRFパルスが照射される。特に、Time-SLIP法とTrue SSFP法を組み合わせたパルスシーケンスによる本実施形態の非造影MRI撮像では、1つの画像データの収集に際し、180度のフリップ角を有した2つの領域選択IR(Inversion Recovery)パルス、90度パルス及び複数の180度パルスが送受信コイル31に対し所定の順序で供給される。
【0024】
一方、受信部33は、上述のRFパルスが照射された被検体150において発生し、送受信コイル31によって検出されたMR信号に対して中間周波変換、位相検波、低周波増幅、フィルタリング、A/D変換等の信号処理を行なって、k空間のMRデータを生成する。
【0025】
次に、Time-SLIP法とTrue SSFP法を組み合わせることにより所望の血管系が強調された画像データを時系列的に収集することが可能な本実施形態の非造影MRI撮像につき図2乃至図4を用いて説明する。尚、図2は、MR信号の収集に先立ち、被検体150の撮像領域内に設定されたラベリングパルス照射領域S1(第1のラベリングパルス照射領域)に対して領域選択IRパルスPI1(第1の領域選択IRパルス)を照射し、ラベリングパルス照射領域S2(第2のラベリングパルス照射領域)に対して領域選択IRパルスPI2(第2の領域選択IRパルス)を照射する当該非造影MRI撮像のパルスシーケンスを示している。
【0026】
一方、図3は、領域選択IRパルスPI1が照射されたラベリングパルス照射領域S1及び領域選択IRパルスPI2が照射されたラベリングパルス照射領域S2における生体組織の原子核スピンが有する縦磁化の時間的変化を示している。また、図4は、被検体150の撮像領域Rxに対して設定されるラベリングパルス照射領域S1及びラベリングパルス照射領域S2とこれらの照射領域に対する領域選択IRパルスPI1及びPI2の照射により非造影での観測が可能となる血管領域の血流情報を模式的に示している。
【0027】
図2において、図2(a)は、上述のラベリングパルス照射領域を含む被検体150の撮像領域に対して照射されるRFパルス、図2(b)乃至図2(d)は、撮像領域に対して印加されるスライス選択傾斜磁場(Gs)、位相エンコード傾斜磁場(Ge)及び周波数エンコード(読み出し)傾斜磁場(Gr)、図2(e)は、RFパルスの照射により被検体150の撮像領域から発生するMR信号を夫々示している。
【0028】
図2に示した非造影MRI撮像のパルスシーケンスでは、先ず、時刻t1において180度のフリップ角を有する領域選択IRパルスPI1が被検体150のラベリングパルス照射領域S1に対して照射され、次いで、時刻t1に後続する時刻t2において同様のフリップ角を有する領域選択IRパルスPI2がラベリングパルス照射領域S2に対して照射される。そして、領域選択IRパルスPI1の照射時刻t1から所定時間TI1(あるいは領域選択IRパルスPI2の照射時刻t2から所定時間TI2)だけ経過した時刻t3において90度パルスが照射された後、True SSFP法のパルスシーケンスに基づくMR信号の収集が開始される。
【0029】
図3は、領域選択IRパルスPI1及び領域選択IRパルスPI2の照射タイミング(図3(a))と、領域選択IRパルスPI1が照射されたラベリングパルス照射領域S1の原子核スピンが有する縦磁化の時間的変化(図3(b))及び領域選択IRパルスPI2が照射されたラベリングパルス照射領域S2の原子核スピンが有する縦磁化の時間的変化(図3(c))を示しており、時刻t1における領域選択IRパルスPI1の照射及び時刻t2における領域選択IRパルスPI2の照射によって正の縦磁化(Mo)から負の縦磁化(−Mo)へ180度反転したラベリングパルス照射領域S1及びS2の縦磁化は、生体組織や血管内血液の縦緩和時間T1に従って元の縦磁化(Mo)へ戻ろうとする。
【0030】
このような回復過程の時刻t3において90度パルスがラベリングパルス照射領域S1及びS2を含む撮像領域に対して印加された場合、領域選択IRパルスPI1及びPI2の照射を受けなかった撮像領域(以下では、ラベリングパルス非照射領域と呼ぶ。)では縦磁化Moを有する生体組織及び血管内血液に対してTrue SSFP法のパルスシーケンスを適用したMRI撮像が行なわれ、ラベリングパルス照射領域S1及びS2では縦磁化Moより小さな縦磁化M1あるいはM2を有する生体組織及び血管内血液に対して上述のMRI撮像が行なわれる。
【0031】
そして、このMRI撮像によりラベリングパルス非照射領域からは縦磁化M0の大きさに比例した高感度のMR信号が収集され、ラベリングパルス照射領域S1及びS2からは縦磁化M1(M1<M0)あるいは縦磁化M2(M2<M0)の大きさに比例した低感度のMR信号が収集される。
【0032】
次に、領域選択IRパルスPI1及びPI2を用いたTime-SLIP法のMRI撮像によって得られる血流情報につき図4を用いて説明する。図4は、例えば、被検体150の非造影MRI撮像に先行して行われるパイロット撮像モードにて収集された位置決め用画像データに対して設定されるラベリングパルス照射領域S1及びS2を示している。
【0033】
このようなラベリングパルス照射領域S1及びS2に対して時刻t1における領域選択IRパルスPI1の照射と時刻t2における領域選択IRパルスPI2の照射が行なわれ、時刻t1からTI1あるいは時刻t2からTI2だけ経過した時刻t3においてTrue SSFP法のパルスシーケンスによるMRI撮像が開始された場合、原子核スピンの縦磁化が著しく減少しているラベリングパルス照射領域S1及びS2の生体組織や血管内血液からは低感度のMR信号が収集される。
【0034】
一方、ラベリングパルス照射領域S1及びS2に隣接したラベリングパルス非照射領域において縦磁化M0が維持されている血管内血液は、時刻t3において図4の斜線で示す血管領域R1及びR2へ移動するため、血管領域R1及びR2からは高感度のMR信号を収集することができる。即ち、上述の方法によれば、領域選択IRパルスPI1及びPI2の照射から所定時間経過した後にTrue SSFP法による高速MRI撮像を行なうことにより、ラベリングパルス照射領域S1の血管領域R1及びラベリングパルス照射領域S2の血管領域R2における血流情報を高感度で観察することが可能となる。尚、図4の矢印は血流方向を示している。
【0035】
次に、図1の画像データ生成部4は、MRデータ記憶部41、高速演算処理部42及び画像データ記憶部43を備え、MRデータ記憶部41には、スライス選択傾斜磁場及び位相エンコード傾斜磁場を順次更新することにより被検体150から時系列的に収集されたパイロット撮像モード及び本撮像モードのMR信号がk空間のMRデータとして保存される。
【0036】
一方、高速演算処理部42は、MRデータ記憶部41から読み出したk空間のMRデータに対しフーリエ変換による再構成処理を行なって実空間の画像データを生成し、得られたパイロット撮像モード及び本撮像モードの画像データは画像データ記憶部43に一旦保存される。
【0037】
次に、撮像条件生成部5は、図示しない撮像条件記憶部とデータ抽出部を備え、この撮像条件記憶部には、RFパルスの照射領域や画像データの収集領域等を示す各種関心領域に対して予め設定された標準撮像条件や過去のMRI検査において用いられた撮像条件等が関心領域の識別情報を付帯情報として保存されている。そして、当該関心領域の撮像条件を設定する撮像条件設定モードにおいて位置決め用画像データ上に示された複数の関心領域(例えば、ラベリングパルス照射領域S1及びS2を示す2つの関心領域)の中から所望の関心領域(例えば、ラベリングパルス照射領域S1を示す関心領域)が入力制御部7によって選択された場合、データ抽出部は、選択された関心領域の識別情報に基づき、撮像条件記憶部に保存されている各種撮像条件の中からラベリングパルス照射領域S1に対応する撮像条件を読み出す。そして、得られた撮像条件が一覧表示された所定フォーマットの撮像条件を作成する。
【0038】
図5は、ラベリングパルス照射領域S1を示す関心領域SR1及びラベリングパルス照射領域S2を示す関心領域SR2が重畳された位置決め用画像データの撮像領域Rxにおいて関心領域SR1が選択された場合、撮像条件生成部5が生成する撮像条件の具体例を示したものであり、この撮像条件には、例えば、標準撮像条件等によって仮設定された領域選択IRパルスPI1の反転時間(TI)、フリップ角(α)、スライス厚(d)が示され、更に、領域選択IRパルスPI1を用いたMRI撮像におけるエコー時間(TE)及び繰り返し時間(TR)等が必要に応じて示される。そして、その右端部には、仮設定された上述の撮像条件の値を更新(増減)するためのボタンが付加されている。
【0039】
図1へ戻って、MRI装置100の表示部6は、図示しない表示データ生成部、データ変換部及びモニタを含み、表示データ生成部は、パイロット撮像モードにおいて画像データ生成部4が生成した位置決め用画像データにラベリングパルス照射領域S1及びS2を示す関心領域SR1及びSR2を重畳し、更に、撮像条件設定モードの入力制御部7によって関心領域SR1及びSR2の中から、例えば、関心領域SR1が選択された場合、選択された関心領域SR1の識別情報に基づいて撮像条件生成部5が生成した撮像条件を位置決め用画像データ上の関心領域SR1に近接させて付加し表示データを生成する。次いで、データ変換部は、表示データに対しD/A変換やテレビフォーマット変換等の変換処理を行なってモニタに表示する。更に、表示データ生成部は、本撮像モードにおいて画像データ生成部4が生成した診断用画像データに被検体情報や撮像条件等を付加して表示データを生成し、データ変換部を介してモニタに表示する。
【0040】
一方、入力制御部7は、例えば、表示パネル、スイッチ、キーボードまたはマウス等の各種入力デバイスに接続され、表示部6と組み合わせることによりインタラクティブなインターフェースを形成している。入力制御部7は、上述の入力デバイスからの入力結果に基づいて撮像モード/撮像条件設定モードの選択を行なうモード選択部71と、位置決め用画像データに対する関心領域の設定を行なう関心領域設定部72と、位置決め用画像データに対して設定された1つあるいは複数からなる各種関心領域の中から所望の関心領域を選択する関心領域選択部73と、位置決め用画像データ上の関心領域に近接して示された撮像条件を用いて関心領域に好適な撮像条件の設定を行なう撮像条件設定部74として機能する。また、被検体情報の入力、Time-SLIP法及びTrue SSFP法のパルスシーケンスを含むMR信号収集条件の設定、画像データ生成条件及び画像データ表示条件の設定、更には、各種コマンド信号の入力等も上述の表示パネルや入力デバイスを用いて行なわれる。
【0041】
天板9は、図示しない寝台の上面において被検体150の体軸方向(z軸方向)へスライド自在に取り付けられ、この天板9に載置された被検体150をz軸方向へ移動させることによりその撮像領域を撮像野の所望位置に設定する。一方、天板移動機構部10は、例えば、寝台の端部あるいは下部に取り付けられ、天板9を移動させるための駆動信号を制御部8から供給される天板移動制御信号に基づいて生成する。天板9を被検体150の体軸方向へ順次移動させながらMRI撮像を所定間隔で行なうことにより広範囲な画像データの収集が可能となる。
【0042】
次に、制御部8は、主制御部81、シーケンス制御部82及び天板移動制御部83を備えている。主制御部81は、例えば、図示しないCPUと記憶部で構成され、MRI装置100が有する各ユニットを統括して制御する機能を有している。そして、主制御部81の記憶部には、上述の入力デバイスにおいて入力された各種情報が保存される。一方、主制御部81のCPUは、特に、上述のMR信号収集条件に基づき傾斜磁場コイル21や送受信コイル31に供給するパルス電流の大きさ、極性、供給時間、供給タイミング等を設定してシーケンス制御部82へ供給することにより被検体150に対する非造影MRI撮像を実行する。
【0043】
シーケンス制御部82は、例えば、図示しないCPUと記憶部で構成され、主制御部81から供給される上述のMR信号収集条件を記憶部に一旦保存した後、これらの情報に基づいてTime-SLIP法とTrue SSFP法を組み合わせた非造影MRI撮像のシーケンス制御信号を生成し、傾斜磁場発生部2の傾斜磁場電源22や送受信部3の送信部32を制御する。一方、天板移動制御部83は、入力制御部7から主制御部81を介して供給される天板移動指示信号に基づいて天板移動制御信号を生成し天板移動機構部10へ供給する。
【0044】
次に、入力制御部7によって撮像条件設定モードが選択された場合、表示部6のモニタに位置決め用画像データと共に表示される撮像条件とこの撮像条件を用いて行なわれる撮像条件の設定につき図6を用いて説明する。
【0045】
図6に示すように、入力制御部7のモード選択機能を用いてパイロット撮像モードから撮像条件設定モードへのモード切替が行なわれた場合、表示部6は、パイロット撮像モードにおいて収集された位置決め用画像データにラベリングパルス照射領域S1及びラベリングパルス照射領域S2を示す関心領域SR1及び関心領域SR2を重畳して生成した表示データを自己のモニタに表示する。このとき、関心領域SR1及び関心領域SR2の大きさ、位置及び方向は、撮像方法単位で予め設定された標準的な照射領域情報に基づいて設定される。
【0046】
次いで、表示部6のモニタに表示された位置決め用画像データに重畳している関心領域SR1の撮像条件を更新したい場合、操作者は、入力制御部7に接続された入力デバイスを用いて位置決め用画像データ上の関心領域SR1を選択(クリック選択)する。一方、この選択信号と関心領域SR1の識別情報を入力制御部7から主制御部81を介して受信した撮像条件生成部5は、自己の撮像条件記憶部に記憶されている各種撮像条件の中から関心領域SR1の撮像条件を読み出し、これらの撮像条件が仮設定された撮像条件(図5参照)を生成して表示部6へ供給する。そして、表示部6は、撮像条件生成部5から供給された撮像条件を位置決め用画像データ上の関心領域SR1に近接して付加し自己のモニタに表示する。
【0047】
次に、操作者は、表示部6に表示された撮像条件に付加されているボタンを用いて上述の撮像条件を更新することにより当該関心領域に好適な撮像条件を設定し、撮像条件の設定が終了したならば本撮像モードを選択する。そして、本撮像モードの選択信号により、新たに設定された撮像条件は、主制御部81を介してシーケンス制御部82へ供給され本撮像モードのMRI撮像が開始される。
【0048】
尚、所望の関心領域が選択された直後において仮設定される撮像条件は、当該MRI撮像に対して初期設定されたMR信号収集条件に基づく撮像条件や予め設定された標準撮像条件、更には、過去のMRI撮像において設定された撮像条件等に基づくものであってもよいが特に限定されない。一方、位置決め用画像データに重畳された関心領域SR1あるいは関心領域SR2の大きさ、位置及び方向が不適当な場合、入力制御部7に接続された入力デバイスを用いて更新してもよいが、上述の撮像条件を用いて更新しても構わない。この場合、撮像条件には関心領域の位置や方向に関する情報が付加される。
【0049】
次に、関心領域に対する撮像条件の表示位置につき図7を用いて説明する。図7は、ラベリングパルス照射領域S1を示す関心領域SR1とラベリングパルス照射領域S2を示す関心領域SR2が水平方向に隣接して配置された場合を示しており、位置決め用画像データに付加される撮像条件の位置は、関心領域を選択する際に用いられる入力デバイスのクリック位置によって決定される。
【0050】
例えば、関心領域SR1を入力制御部7に接続された入力デバイスを用いて選択する際、関心領域SR1の左上領域をクリックすることにより関心領域SR1に対応する撮像条件は関心領域SR1に隣接する領域Aに配置され、関心領域SR1の右上領域をクリックした場合の撮像条件は領域Dに配置される。また、関心領域SR1の左下領域をクリックした場合の撮像条件は領域Bあるいは領域Cに配置され、関心領域SR1の右下領域をクリックした場合の撮像条件は領域Eあるいは領域Fに配置される。
【0051】
同様にして、関心領域SR2の左上領域をクリックした場合の撮像条件は領域Gに配置され、関心領域SR2の右上領域をクリックした場合の撮像条件は領域Jに配置される。また、関心領域SR2の左下領域をクリックした場合の撮像条件は領域Hあるいは領域Iに配置され、関心領域SR2の右下領域をクリックした場合の撮像条件は領域Kあるいは領域Lに配置される。この場合、表示部6に備えられたモニタの縦幅に余裕がある場合には、領域C、領域F、領域I及び領域Lへの配置が好適であるが特に限定されない。
【0052】
次に、本実施形態における撮像条件の設定手順につき図8のフローチャートを用いて説明する。
【0053】
被検体150に対するパイロット撮像モードのMRI撮像に先立ち、医師や検査師等(以下では、操作者と呼ぶ。)による入力デバイスの操作に基づいて、入力制御部7は、被検体情報の入力やパイロット撮像モード及び本撮像モードにおけるMR信号収集条件、画像データ生成条件及び画像データ表示条件の設定を行なう(図8のステップS1)。
【0054】
上述の初期設定が終了したならば、入力制御部7は、操作者による入力デバイスの操作に基づいて、パイロット撮像モードの選択と撮像開始コマンドの入力を行なう。次に、このコマンド信号を受信した制御部8の主制御部81は、MRI装置100が有する各ユニットを制御し、例えば、被検体150のコロナル断面(正面から見た縦断面)における位置決め画像データを生成する(図8のステップS2)。そして、表示部6は、得られた位置決め用画像データに予め設定されたラベリングパルス照射領域S1を示す関心領域SR1とラベリングパルス照射領域S2を示す関心領域SR2を重畳してモニタに表示する(図8のステップS3)。
【0055】
位置決め用画像データの生成と表示が終了したならば、入力制御部7は、操作者による入力デバイスの操作に基づいて、撮像条件設定モードを選択し(図8のステップS4)、表示部6のモニタに位置決め用画像データと共に表示されている関心領域SR1及び関心領域SR2の位置や大きさが不適当な場合には入力制御部7の入力デバイスを用いて補正を行なう。次いで、入力制御部7は、操作者による入力デバイスの操作に基づいて、撮像条件の更新が必要な関心領域(例えば、関心領域SR1)を選択する(図8のステップS5)。
【0056】
一方、この選択信号と選択された関心領域SR1の識別情報を入力制御部7から主制御部81を介して受信した撮像条件生成部5は、自己の撮像条件記憶部に記憶されている各種撮像条件の中から関心領域SR1の撮像条件を読み出し、これらの撮像条件が仮設定された撮像条件を生成して表示部6へ供給する。そして、表示部6は、撮像条件生成部5から供給された撮像条件を上述の位置決め用画像データに重畳された関心領域SR1の近傍に付加して自己のモニタに表示する(図8のステップS6)。
【0057】
次いで、入力制御部7は、操作者による入力デバイスの操作に基づいて、表示部6に表示された撮像条件に示されているボタンを用いて仮設定された撮像条件を更新することにより、当該関心領域に好適な撮像条件を設定する(図8のステップS7)。また、位置決め用画像データに重畳されている関心領域SR2に対しても撮像条件の更新が必要な場合、上述のステップS5乃至ステップS7の手順を繰り返すことにより、関心領域SR2に対する撮像条件の更新を行なう(図8のステップS5乃至ステップS7)。
【0058】
そして、位置決め用画像データに示された関心領域SR1及び関心領域SR2に対する撮像条件の設定が終了したならば、入力制御部7は、操作者による入力デバイスの操作に基づいて、本撮像モードの選択と撮像開始コマンドの入力を行なう(図8のステップS8)。このとき、撮像条件設定モードにおいて仮設定あるいは新たに設定された関心領域SR1及び関心領域SR2の撮像条件は、本撮像モードの選択信号に基づいてシーケンス制御部82へ供給され、撮像開始コマンドが主制御部81へ供給されることにより、上述の撮像条件に基づいた本撮像モードのMRI撮像が開始される(図8のステップS9)。
【0059】
以上述べた本実施形態によれば、パイロット撮像モードの位置決め用画像データに重畳された関心領域の撮像条件を容易に設定することが可能となる。このため、検査効率が向上するのみならず被検体や医師等の負担を軽減することができる。
【0060】
特に、位置決め用画像データに対して複数の関心領域が設定される場合には各々の関心領域における撮像条件を独立に設定することが可能となるため、当該MRI撮像に好適な撮像条件を正確かつ短時間で設定することができる。
【0061】
また、撮像条件の設定に用いる撮像条件は、対応する関心領域の近傍に配置されるため誤った設定を防止することができ、また、撮像条件に付加されたボタンを操作することにより撮像条件の設定は更に容易となる。
【0062】
以上、本開示の実施形態について述べてきたが、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施形態では、非造影MRI撮像のラベリングパルス照射領域に対応した2つの関心領域をパイロット撮像モードにて収集した位置決め用画像データに対して設定し、これらの関心領域の中から選択された所望関心領域の近傍に表示される撮像条件に基づいて関心領域に好適な撮像条件を設定する場合について述べたが、撮像条件は、ラベリングパルスの照射条件に限定されるものではなく、通常の撮像断面を設定する撮像条件等であっても構わない。
【0063】
また、位置決め用画像データに対して第1の領域選択IRパルス及び第2の領域選択IRパルスの照射領域(ラベリングパルス照射領域)を示す2つの関心領域を設定する場合について述べたが、位置決め用画像データに設定される関心領域の数は1つでもよく、3つ以上であっても構わない。
【0064】
更に、位置決め用画像データに設定された複数の関心領域の中から1つの関心領域を選択し、選択された関心領域の撮像条件を用いて関心領域に好適な撮像条件を設定する場合について述べたが、複数の関心領域の中から2つ以上の関心領域を同時に選択してもよい。例えば、図9に示すように、関心領域SR1と関心領域SR2が同時に選択された場合、関心領域SR1の撮像条件を示す撮像条件Do1が関心領域SR1の近傍に表示され、関心領域SR2の撮像条件を示す撮像条件Do2が関心領域SR2の近傍に表示される。そして、このように表示された撮像条件Do1及びDo2に基づいて関心領域SR1及び関心領域SR2に好適な撮像条件の設定が行なわれる。尚、関心領域SR1と関心領域SR2に対して同一の撮像条件を設定する場合、撮像条件Do1(Do2)に対して入力した関心領域SR1(関心領域SR2)の撮像条件を撮像条件Do2(Do1)に対してコピー&ペーストすることにより関心領域SR2(関心領域SR1)の撮像条件を設定することも可能である。
【0065】
また、上述の実施形態では、位置決め用画像データに重畳された関心領域の大きさ、位置、方向等が不適当な場合、入力制御部7の入力デバイスを用いて関心領域を更新する場合について述べたが、上述の撮像条件を用いて関心領域の更新を行なってもよい。この場合、撮像条件には、関心領域の大きさ、位置、方向等に関する情報が追加される。
【0066】
更に、位置決め用画像データに対しラベリングパルス照射領域を示す同種の関心領域を重畳する場合について述べたが、例えば、ラベリングパルス照射領域を示す関心領域や飽和パルス照射領域を示す関心領域のような異種の関心領域を同一の位置決め用画像データに重畳しても構わない。
【0067】
一方、上述の実施形態では、撮像条件設定モードにおける撮像条件の設定が終了したならば、設定された撮像条件を用いて診断用画像データを生成する本撮像モードへ移行する場合について述べたが、撮像条件を用いた評価用画像データの生成と表示を行なうことにより設定された撮像条件の妥当性を確認する評価モードを撮像条件設定モードと本撮像モードの間に設けてもよい。この評価モードにおいて生成された評価用画像データの観察により、撮像条件設定モードにおいて設定された撮像条件が適当でないことが判明した場合、撮像条件設定モードと評価モードを繰り返すことにより更に良好な撮像条件を設定することができる。
【0068】
また、撮像条件としてTime-SLIPの照射条件について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、飽和パルス、SPAMM(Spatial modulation of magnetization)パルス、水選択励起パルス、脂肪抑制パルス等の照射条件であってもよい。
【0069】
例えば、非造影MRIによって脳脊髄液(CSF: cerebrospinal fluid)の画像化を行なう場合、図10に示すように被検体の頭部に対して収集された位置決め用画像データに対し飽和領域を示す格子状のタグが関心領域SR3として設定される。そして、この関心領域SR3の近傍に表示される撮像条件Do3を用いて関心領域SR3に好適な撮像領域条件(即ち、関心領域SR3に対して照射されるSPAMMパルスの照射条件)が設定される。
【0070】
この場合、位置決め用画像データには、格子間隔D及び格子幅ΔDを決定する傾斜磁場強度Gd及びRFパルス間隔Δτが撮像条件として仮設定され、更に、反転時間(TI)、フリップ角α、エコー時間(TE)及び繰り返し時間(TR)が必要に応じて仮設定された撮像条件Do3が付加される。そして、操作者は、仮設定された上述の撮像条件を更新することにより関心領域SR3に好適な撮像条件を設定する。尚、脳脊髄液の画像化を目的として被検体の頭部に設定される関心領域の形状は、格子状に限定されるものではなく、ストライプ状あるいは放射状の関心領域であっても構わない。
【0071】
尚、本発明の実施形態に係るMRI装置の一部は、例えば、コンピュータをハードウェアとして用いることでも実現することができる。すなわち、MRI装置の制御部や入力制御部等は、上記のコンピュータに搭載されたプロセッサ(CPUなど)にプログラムを実行させることにより実現することができる。このとき、MRI装置は、上記のプログラムをコンピュータに予めインストールすることで実現してもよいし、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶するか或いはネットワークを介して上記のプログラムを配布して、このプログラムをコンピュータに適宜インストールすることで実現してもよい。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1…静磁場発生部
11…主磁石
12…静磁場電源
2…傾斜磁場発生部
21…傾斜磁場コイル
22…傾斜磁場電源
3…送受信部
31…送受信コイル
32…送信部
33…受信部
4…画像データ生成部
5…撮像条件生成部
6…表示部
7…入力制御部
8…制御部
81…主制御部
82…シーケンス制御部
83…天板移動制御部
9…天板
10…天板移動機構部
100…MRI装置
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像データに対して設定された各種関心領域における撮像条件を容易に設定することが可能なMRI装置及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴撮像法(MRI)は、強力な静磁場中に置かれた被検体組織の原子核スピンを、そのラーモア周波数をもつ高周波信号(RFパルス)で励起し、この励起に伴って発生する磁気共鳴信号(MR信号)を再構成処理して画像データを生成する撮像法である。
【0003】
MRI装置は、生体内から検出されたMR信号に基づいて画像データを生成する画像診断装置であり、解剖学的診断情報のみならず機能診断情報や生化学情報等多くの診断情報を得ることができるため、今日の画像診断の分野では不可欠なものとなっている。
【0004】
上述のMRIでは、血流情報の観測を可能にするMRA(Magnetic Resonance Angiography)法が既に臨床の場で用いられ、更に、近年では造影剤を用いずに血流情報の観測を可能にする各種の非造影MRIも開発されている。この非造影MRIでは、被検体の診断対象領域に対して設定された1つあるいは複数のラベリングパルス照射領域に対しラベリングパルスを照射することにより、血管内血液から得られるMR信号が周囲の生体組織から得られるMR信号より高感度で検出される。
【0005】
例えば、Time-SLIP(Time-Spatial Labeling Inversion Pulse)法とTrue SSFP(Steady-State Free Precession)法を組み合わせたパルスシーケンスによる非造影MRIでは、180度のフリップ角を有した領域選択IRパルスを上述のラベリングパルス照射領域に対して照射した後、True SSFP法による高速MRI撮像が行なわれる。このTime-SLIP法の適用により、造影剤を用いずに所望の血管領域における血流の動態観測を行なうことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−289862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、上述の非造影MRIにおけるラベリングパルスの照射領域や通常のMRIにおける撮像領域等に対する撮像条件の設定は、全ての撮像条件入力欄が一覧表示された撮像条件入力シートを用いて行なわれてきた。即ち、医師や検査師らは、撮像条件入力シートに示された多くの撮像条件入力欄の中から所望の撮像条件入力欄を検索し、得られた撮像条件入力欄に対して当該MRI撮像に好適な撮像条件を入力する方法がとられてきた。このため、撮像条件の設定に多大の時間を要し、検査効率が低下するのみならず医師や検査師らに大きな負担を与えてきた。
【0008】
また、上述の撮像条件入力シートを用いた撮像条件の設定では、同種類の照射領域や撮像領域に対して共通の撮像条件が設定されるため、これらの照射領域あるいは撮像領域が複数個設定される場合には個々の領域に対する撮像条件の設定が不可能であった。このため、これらの領域に対して最適な撮像条件を設定することは困難であるという問題点を有していた。
【0009】
本開示は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像データ上に示された関心領域の撮像条件を容易に設定することが可能なMRI装置及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本実施形態に係るMRI装置は、パイロット撮像モードにて設定した撮像条件に基づいて本撮像モードのMRI撮像を行なう。前記MRI装置は、関心領域選択部と、撮像条件生成部と、表示部と、撮像条件設定部と、制御部とを備える。前記関心領域選択部は、前記パイロット撮像モードで撮像された画像中の少なくとも1つの関心領域の中から所望の関心領域を選択する。前記撮像条件生成部は、前記関心領域選択部で選択された前記関心領域に対応する撮像条件を生成する。前記表示部は、前記撮像条件を前記関心領域の近傍に表示する。前記撮像条件設定部は、前記表示部で表示された前記撮像条件の設定を行なう。前記制御部は、前記撮像条件設定部で設定された前記撮像条件に基づいて前記本撮像モードのMRI撮像を行なう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態におけるMRI装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】本実施形態の非造影MRI撮像に適用されるTime-SLIP法とTrue SSFP法を組み合わせたパルスシーケンスを示す図。
【図3】本実施形態の非造影MRI撮像において照射される領域選択IRパルスとこの領域選択IRパルスの照射に伴って変化する原子核スピンの縦磁化を示す図。
【図4】本実施形態の非造影MRI撮像において観測される血流情報を模式的に示す図。
【図5】本実施形態の撮像条件生成部によって生成される撮像条件を示す図。
【図6】本実施形態の表示部において位置決め用画像データと共に表示される撮像条件を示す図。
【図7】本実施形態の位置決め用画像データに設定された関心領域に対する撮像条件の配置位置を示す図。
【図8】本実施形態における撮像条件の設定手順を示すフローチャート。
【図9】本実施形態の変形例において位置決め用画像データと共に表示される複数の撮像条件を示す図。
【図10】本実施形態の他の変形例において位置決め用画像データに設定された格子状の関心領域とこの関心領域の撮像条件を示す撮像条件を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を説明する。
【0013】
本実施形態に係るMRI装置では、本撮像モードに先行するパイロット撮像モードにおいて収集された位置決め用画像中に、非造影MRI撮像において使用される領域選択IRパルスの照射領域(ラベリングパルス照射領域)を示す少なくとも1つの関心領域を重畳して表示部に表示する。表示された関心領域の中から所望の関心領域が選択された場合、選択された関心領域に対して仮設定された撮像条件(例えば、標準撮像条件等を用いて仮設定された関心領域を照射する領域選択IRパルスの照射条件等)を示す撮像条件を生成し、得られた撮像条件を位置決め用画像データに重畳された関心領域の近傍に配置して表示部に表示する。次いで、表示された撮像条件を必要に応じて更新することにより、選択された関心領域に対して好適な撮像条件を設定し、得られた撮像条件に基づいて本撮像モードのMRI撮像を行なう。
【0014】
尚、以下の説明では、非造影MRI撮像のラベリングパルス照射領域に対応した2つの関心領域をパイロット撮像モードにて収集された位置決め用画像に対して設定し、これらの関心領域の中から選択された所望関心領域の近傍に表示される撮像条件に基づいて関心領域に好適な撮像条件を設定する場合について述べるが、撮像条件はラベリングパルスの照射条件に限定されものではなく、撮像断面を設定する撮像条件等であっても構わない。
【0015】
本開示の実施形態におけるMRI装置の構成と機能につき図1乃至図7を用いて説明する。尚、図1は、MRI装置の全体構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すMRI装置100は、被検体150に対して磁場を発生する静磁場発生部1及び傾斜磁場発生部2と、被検体150に対してRFパルスを照射しこの被検体150が発生するMR信号を検出する送受信部3と、被検体150に対するパイロット撮像モード及び本撮像モードの非造影MRI撮像において収集されたMR信号(MRデータ)を再構成処理して位置決め用画像データ及び診断用画像データを生成する画像データ生成部4と、位置決め用画像データに対して設定される関心領域に対応した撮像条件を生成する撮像条件生成部5と、関心領域や撮像条件が付加された位置決め用画像データや本撮像モードの診断用画像データを表示する表示部6を備えている。
【0017】
更に、MRI装置100は、被検体情報の入力、撮像モード/撮像条件設定モードの選択、関心領域の選択、撮像条件の設定、各種コマンド信号の入力等を行なう入力制御部7と、被検体150を載置する天板9と、天板9を被検体150の体軸方向(z軸方向)へ移動させる天板移動機構部10と、MRI装置100が有する上述の各ユニットを制御する制御部8を備えている。
【0018】
静磁場発生部1は、常伝導磁石あるいは超電導磁石によって構成される主磁石11と、この主磁石11に電流を供給する静磁場電源12を備え、図示しないガントリ中央部の撮像野に配置された被検体150に対し強力な静磁場を形成する。尚、主磁石11は、永久磁石によって構成されていてもよい。
【0019】
一方、傾斜磁場発生部2は、被検体150の体軸方向(図1のz軸方向)とこの体軸方向に直交するx軸方向及びy軸方向に対して傾斜磁場を形成する傾斜磁場コイル21と、傾斜磁場コイル21の各々に対してパルス電流を供給する傾斜磁場電源22を備えている。
【0020】
傾斜磁場コイル21及び傾斜磁場電源22は、被検体150が置かれたガントリ中央部の撮像野に対して位置情報を付加する。即ち、傾斜磁場電源22は、制御部8から供給されるシーケンス制御信号に基づいてx軸方向、y軸方向及びz軸方向の傾斜磁場コイル21に供給するパルス電流を制御することにより各々の方向に対して傾斜磁場を形成する。そして、x軸方向、y軸方向及びz軸方向の傾斜磁場は合成されて互いに直交するスライス選択傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場及び周波数エンコード(読み出し)傾斜磁場が任意の方向に形成され、これらの傾斜磁場は、主磁石11によって形成された静磁場に重畳されて被検体150に印加される。
【0021】
次に、送受信部3は、被検体150に対してRFパルスを照射すると共に被検体150から発生したMR信号を検出する送受信コイル31と、送受信コイル31に接続された送信部32及び受信部33を備えている。但し、送受信コイル31は、送信専用コイルと受信専用コイルによって構成されていても構わない。
【0022】
送信部32は、位置決め用画像データの収集を目的としたパイロット撮像モード及び診断用画像データの収集を目的とした本撮像モードにおいて、送受信コイル31に対しパルス電流を供給する機能を有し、図示しない基準信号発生器、変調器及び電力増幅器等を有している。基準信号発生器は、主磁石11の静磁場強度によって決定される磁気共鳴周波数(ラーモア周波数)と同じ周波数を有した基準信号を発生し、変調器は、この基準信号を所定の選択励起波形で変調してパルス電流を生成する。
【0023】
そして、得られたパルス電流は、電力増幅器を介して送受信コイル31へ供給され、被検体150に対しRFパルスが照射される。特に、Time-SLIP法とTrue SSFP法を組み合わせたパルスシーケンスによる本実施形態の非造影MRI撮像では、1つの画像データの収集に際し、180度のフリップ角を有した2つの領域選択IR(Inversion Recovery)パルス、90度パルス及び複数の180度パルスが送受信コイル31に対し所定の順序で供給される。
【0024】
一方、受信部33は、上述のRFパルスが照射された被検体150において発生し、送受信コイル31によって検出されたMR信号に対して中間周波変換、位相検波、低周波増幅、フィルタリング、A/D変換等の信号処理を行なって、k空間のMRデータを生成する。
【0025】
次に、Time-SLIP法とTrue SSFP法を組み合わせることにより所望の血管系が強調された画像データを時系列的に収集することが可能な本実施形態の非造影MRI撮像につき図2乃至図4を用いて説明する。尚、図2は、MR信号の収集に先立ち、被検体150の撮像領域内に設定されたラベリングパルス照射領域S1(第1のラベリングパルス照射領域)に対して領域選択IRパルスPI1(第1の領域選択IRパルス)を照射し、ラベリングパルス照射領域S2(第2のラベリングパルス照射領域)に対して領域選択IRパルスPI2(第2の領域選択IRパルス)を照射する当該非造影MRI撮像のパルスシーケンスを示している。
【0026】
一方、図3は、領域選択IRパルスPI1が照射されたラベリングパルス照射領域S1及び領域選択IRパルスPI2が照射されたラベリングパルス照射領域S2における生体組織の原子核スピンが有する縦磁化の時間的変化を示している。また、図4は、被検体150の撮像領域Rxに対して設定されるラベリングパルス照射領域S1及びラベリングパルス照射領域S2とこれらの照射領域に対する領域選択IRパルスPI1及びPI2の照射により非造影での観測が可能となる血管領域の血流情報を模式的に示している。
【0027】
図2において、図2(a)は、上述のラベリングパルス照射領域を含む被検体150の撮像領域に対して照射されるRFパルス、図2(b)乃至図2(d)は、撮像領域に対して印加されるスライス選択傾斜磁場(Gs)、位相エンコード傾斜磁場(Ge)及び周波数エンコード(読み出し)傾斜磁場(Gr)、図2(e)は、RFパルスの照射により被検体150の撮像領域から発生するMR信号を夫々示している。
【0028】
図2に示した非造影MRI撮像のパルスシーケンスでは、先ず、時刻t1において180度のフリップ角を有する領域選択IRパルスPI1が被検体150のラベリングパルス照射領域S1に対して照射され、次いで、時刻t1に後続する時刻t2において同様のフリップ角を有する領域選択IRパルスPI2がラベリングパルス照射領域S2に対して照射される。そして、領域選択IRパルスPI1の照射時刻t1から所定時間TI1(あるいは領域選択IRパルスPI2の照射時刻t2から所定時間TI2)だけ経過した時刻t3において90度パルスが照射された後、True SSFP法のパルスシーケンスに基づくMR信号の収集が開始される。
【0029】
図3は、領域選択IRパルスPI1及び領域選択IRパルスPI2の照射タイミング(図3(a))と、領域選択IRパルスPI1が照射されたラベリングパルス照射領域S1の原子核スピンが有する縦磁化の時間的変化(図3(b))及び領域選択IRパルスPI2が照射されたラベリングパルス照射領域S2の原子核スピンが有する縦磁化の時間的変化(図3(c))を示しており、時刻t1における領域選択IRパルスPI1の照射及び時刻t2における領域選択IRパルスPI2の照射によって正の縦磁化(Mo)から負の縦磁化(−Mo)へ180度反転したラベリングパルス照射領域S1及びS2の縦磁化は、生体組織や血管内血液の縦緩和時間T1に従って元の縦磁化(Mo)へ戻ろうとする。
【0030】
このような回復過程の時刻t3において90度パルスがラベリングパルス照射領域S1及びS2を含む撮像領域に対して印加された場合、領域選択IRパルスPI1及びPI2の照射を受けなかった撮像領域(以下では、ラベリングパルス非照射領域と呼ぶ。)では縦磁化Moを有する生体組織及び血管内血液に対してTrue SSFP法のパルスシーケンスを適用したMRI撮像が行なわれ、ラベリングパルス照射領域S1及びS2では縦磁化Moより小さな縦磁化M1あるいはM2を有する生体組織及び血管内血液に対して上述のMRI撮像が行なわれる。
【0031】
そして、このMRI撮像によりラベリングパルス非照射領域からは縦磁化M0の大きさに比例した高感度のMR信号が収集され、ラベリングパルス照射領域S1及びS2からは縦磁化M1(M1<M0)あるいは縦磁化M2(M2<M0)の大きさに比例した低感度のMR信号が収集される。
【0032】
次に、領域選択IRパルスPI1及びPI2を用いたTime-SLIP法のMRI撮像によって得られる血流情報につき図4を用いて説明する。図4は、例えば、被検体150の非造影MRI撮像に先行して行われるパイロット撮像モードにて収集された位置決め用画像データに対して設定されるラベリングパルス照射領域S1及びS2を示している。
【0033】
このようなラベリングパルス照射領域S1及びS2に対して時刻t1における領域選択IRパルスPI1の照射と時刻t2における領域選択IRパルスPI2の照射が行なわれ、時刻t1からTI1あるいは時刻t2からTI2だけ経過した時刻t3においてTrue SSFP法のパルスシーケンスによるMRI撮像が開始された場合、原子核スピンの縦磁化が著しく減少しているラベリングパルス照射領域S1及びS2の生体組織や血管内血液からは低感度のMR信号が収集される。
【0034】
一方、ラベリングパルス照射領域S1及びS2に隣接したラベリングパルス非照射領域において縦磁化M0が維持されている血管内血液は、時刻t3において図4の斜線で示す血管領域R1及びR2へ移動するため、血管領域R1及びR2からは高感度のMR信号を収集することができる。即ち、上述の方法によれば、領域選択IRパルスPI1及びPI2の照射から所定時間経過した後にTrue SSFP法による高速MRI撮像を行なうことにより、ラベリングパルス照射領域S1の血管領域R1及びラベリングパルス照射領域S2の血管領域R2における血流情報を高感度で観察することが可能となる。尚、図4の矢印は血流方向を示している。
【0035】
次に、図1の画像データ生成部4は、MRデータ記憶部41、高速演算処理部42及び画像データ記憶部43を備え、MRデータ記憶部41には、スライス選択傾斜磁場及び位相エンコード傾斜磁場を順次更新することにより被検体150から時系列的に収集されたパイロット撮像モード及び本撮像モードのMR信号がk空間のMRデータとして保存される。
【0036】
一方、高速演算処理部42は、MRデータ記憶部41から読み出したk空間のMRデータに対しフーリエ変換による再構成処理を行なって実空間の画像データを生成し、得られたパイロット撮像モード及び本撮像モードの画像データは画像データ記憶部43に一旦保存される。
【0037】
次に、撮像条件生成部5は、図示しない撮像条件記憶部とデータ抽出部を備え、この撮像条件記憶部には、RFパルスの照射領域や画像データの収集領域等を示す各種関心領域に対して予め設定された標準撮像条件や過去のMRI検査において用いられた撮像条件等が関心領域の識別情報を付帯情報として保存されている。そして、当該関心領域の撮像条件を設定する撮像条件設定モードにおいて位置決め用画像データ上に示された複数の関心領域(例えば、ラベリングパルス照射領域S1及びS2を示す2つの関心領域)の中から所望の関心領域(例えば、ラベリングパルス照射領域S1を示す関心領域)が入力制御部7によって選択された場合、データ抽出部は、選択された関心領域の識別情報に基づき、撮像条件記憶部に保存されている各種撮像条件の中からラベリングパルス照射領域S1に対応する撮像条件を読み出す。そして、得られた撮像条件が一覧表示された所定フォーマットの撮像条件を作成する。
【0038】
図5は、ラベリングパルス照射領域S1を示す関心領域SR1及びラベリングパルス照射領域S2を示す関心領域SR2が重畳された位置決め用画像データの撮像領域Rxにおいて関心領域SR1が選択された場合、撮像条件生成部5が生成する撮像条件の具体例を示したものであり、この撮像条件には、例えば、標準撮像条件等によって仮設定された領域選択IRパルスPI1の反転時間(TI)、フリップ角(α)、スライス厚(d)が示され、更に、領域選択IRパルスPI1を用いたMRI撮像におけるエコー時間(TE)及び繰り返し時間(TR)等が必要に応じて示される。そして、その右端部には、仮設定された上述の撮像条件の値を更新(増減)するためのボタンが付加されている。
【0039】
図1へ戻って、MRI装置100の表示部6は、図示しない表示データ生成部、データ変換部及びモニタを含み、表示データ生成部は、パイロット撮像モードにおいて画像データ生成部4が生成した位置決め用画像データにラベリングパルス照射領域S1及びS2を示す関心領域SR1及びSR2を重畳し、更に、撮像条件設定モードの入力制御部7によって関心領域SR1及びSR2の中から、例えば、関心領域SR1が選択された場合、選択された関心領域SR1の識別情報に基づいて撮像条件生成部5が生成した撮像条件を位置決め用画像データ上の関心領域SR1に近接させて付加し表示データを生成する。次いで、データ変換部は、表示データに対しD/A変換やテレビフォーマット変換等の変換処理を行なってモニタに表示する。更に、表示データ生成部は、本撮像モードにおいて画像データ生成部4が生成した診断用画像データに被検体情報や撮像条件等を付加して表示データを生成し、データ変換部を介してモニタに表示する。
【0040】
一方、入力制御部7は、例えば、表示パネル、スイッチ、キーボードまたはマウス等の各種入力デバイスに接続され、表示部6と組み合わせることによりインタラクティブなインターフェースを形成している。入力制御部7は、上述の入力デバイスからの入力結果に基づいて撮像モード/撮像条件設定モードの選択を行なうモード選択部71と、位置決め用画像データに対する関心領域の設定を行なう関心領域設定部72と、位置決め用画像データに対して設定された1つあるいは複数からなる各種関心領域の中から所望の関心領域を選択する関心領域選択部73と、位置決め用画像データ上の関心領域に近接して示された撮像条件を用いて関心領域に好適な撮像条件の設定を行なう撮像条件設定部74として機能する。また、被検体情報の入力、Time-SLIP法及びTrue SSFP法のパルスシーケンスを含むMR信号収集条件の設定、画像データ生成条件及び画像データ表示条件の設定、更には、各種コマンド信号の入力等も上述の表示パネルや入力デバイスを用いて行なわれる。
【0041】
天板9は、図示しない寝台の上面において被検体150の体軸方向(z軸方向)へスライド自在に取り付けられ、この天板9に載置された被検体150をz軸方向へ移動させることによりその撮像領域を撮像野の所望位置に設定する。一方、天板移動機構部10は、例えば、寝台の端部あるいは下部に取り付けられ、天板9を移動させるための駆動信号を制御部8から供給される天板移動制御信号に基づいて生成する。天板9を被検体150の体軸方向へ順次移動させながらMRI撮像を所定間隔で行なうことにより広範囲な画像データの収集が可能となる。
【0042】
次に、制御部8は、主制御部81、シーケンス制御部82及び天板移動制御部83を備えている。主制御部81は、例えば、図示しないCPUと記憶部で構成され、MRI装置100が有する各ユニットを統括して制御する機能を有している。そして、主制御部81の記憶部には、上述の入力デバイスにおいて入力された各種情報が保存される。一方、主制御部81のCPUは、特に、上述のMR信号収集条件に基づき傾斜磁場コイル21や送受信コイル31に供給するパルス電流の大きさ、極性、供給時間、供給タイミング等を設定してシーケンス制御部82へ供給することにより被検体150に対する非造影MRI撮像を実行する。
【0043】
シーケンス制御部82は、例えば、図示しないCPUと記憶部で構成され、主制御部81から供給される上述のMR信号収集条件を記憶部に一旦保存した後、これらの情報に基づいてTime-SLIP法とTrue SSFP法を組み合わせた非造影MRI撮像のシーケンス制御信号を生成し、傾斜磁場発生部2の傾斜磁場電源22や送受信部3の送信部32を制御する。一方、天板移動制御部83は、入力制御部7から主制御部81を介して供給される天板移動指示信号に基づいて天板移動制御信号を生成し天板移動機構部10へ供給する。
【0044】
次に、入力制御部7によって撮像条件設定モードが選択された場合、表示部6のモニタに位置決め用画像データと共に表示される撮像条件とこの撮像条件を用いて行なわれる撮像条件の設定につき図6を用いて説明する。
【0045】
図6に示すように、入力制御部7のモード選択機能を用いてパイロット撮像モードから撮像条件設定モードへのモード切替が行なわれた場合、表示部6は、パイロット撮像モードにおいて収集された位置決め用画像データにラベリングパルス照射領域S1及びラベリングパルス照射領域S2を示す関心領域SR1及び関心領域SR2を重畳して生成した表示データを自己のモニタに表示する。このとき、関心領域SR1及び関心領域SR2の大きさ、位置及び方向は、撮像方法単位で予め設定された標準的な照射領域情報に基づいて設定される。
【0046】
次いで、表示部6のモニタに表示された位置決め用画像データに重畳している関心領域SR1の撮像条件を更新したい場合、操作者は、入力制御部7に接続された入力デバイスを用いて位置決め用画像データ上の関心領域SR1を選択(クリック選択)する。一方、この選択信号と関心領域SR1の識別情報を入力制御部7から主制御部81を介して受信した撮像条件生成部5は、自己の撮像条件記憶部に記憶されている各種撮像条件の中から関心領域SR1の撮像条件を読み出し、これらの撮像条件が仮設定された撮像条件(図5参照)を生成して表示部6へ供給する。そして、表示部6は、撮像条件生成部5から供給された撮像条件を位置決め用画像データ上の関心領域SR1に近接して付加し自己のモニタに表示する。
【0047】
次に、操作者は、表示部6に表示された撮像条件に付加されているボタンを用いて上述の撮像条件を更新することにより当該関心領域に好適な撮像条件を設定し、撮像条件の設定が終了したならば本撮像モードを選択する。そして、本撮像モードの選択信号により、新たに設定された撮像条件は、主制御部81を介してシーケンス制御部82へ供給され本撮像モードのMRI撮像が開始される。
【0048】
尚、所望の関心領域が選択された直後において仮設定される撮像条件は、当該MRI撮像に対して初期設定されたMR信号収集条件に基づく撮像条件や予め設定された標準撮像条件、更には、過去のMRI撮像において設定された撮像条件等に基づくものであってもよいが特に限定されない。一方、位置決め用画像データに重畳された関心領域SR1あるいは関心領域SR2の大きさ、位置及び方向が不適当な場合、入力制御部7に接続された入力デバイスを用いて更新してもよいが、上述の撮像条件を用いて更新しても構わない。この場合、撮像条件には関心領域の位置や方向に関する情報が付加される。
【0049】
次に、関心領域に対する撮像条件の表示位置につき図7を用いて説明する。図7は、ラベリングパルス照射領域S1を示す関心領域SR1とラベリングパルス照射領域S2を示す関心領域SR2が水平方向に隣接して配置された場合を示しており、位置決め用画像データに付加される撮像条件の位置は、関心領域を選択する際に用いられる入力デバイスのクリック位置によって決定される。
【0050】
例えば、関心領域SR1を入力制御部7に接続された入力デバイスを用いて選択する際、関心領域SR1の左上領域をクリックすることにより関心領域SR1に対応する撮像条件は関心領域SR1に隣接する領域Aに配置され、関心領域SR1の右上領域をクリックした場合の撮像条件は領域Dに配置される。また、関心領域SR1の左下領域をクリックした場合の撮像条件は領域Bあるいは領域Cに配置され、関心領域SR1の右下領域をクリックした場合の撮像条件は領域Eあるいは領域Fに配置される。
【0051】
同様にして、関心領域SR2の左上領域をクリックした場合の撮像条件は領域Gに配置され、関心領域SR2の右上領域をクリックした場合の撮像条件は領域Jに配置される。また、関心領域SR2の左下領域をクリックした場合の撮像条件は領域Hあるいは領域Iに配置され、関心領域SR2の右下領域をクリックした場合の撮像条件は領域Kあるいは領域Lに配置される。この場合、表示部6に備えられたモニタの縦幅に余裕がある場合には、領域C、領域F、領域I及び領域Lへの配置が好適であるが特に限定されない。
【0052】
次に、本実施形態における撮像条件の設定手順につき図8のフローチャートを用いて説明する。
【0053】
被検体150に対するパイロット撮像モードのMRI撮像に先立ち、医師や検査師等(以下では、操作者と呼ぶ。)による入力デバイスの操作に基づいて、入力制御部7は、被検体情報の入力やパイロット撮像モード及び本撮像モードにおけるMR信号収集条件、画像データ生成条件及び画像データ表示条件の設定を行なう(図8のステップS1)。
【0054】
上述の初期設定が終了したならば、入力制御部7は、操作者による入力デバイスの操作に基づいて、パイロット撮像モードの選択と撮像開始コマンドの入力を行なう。次に、このコマンド信号を受信した制御部8の主制御部81は、MRI装置100が有する各ユニットを制御し、例えば、被検体150のコロナル断面(正面から見た縦断面)における位置決め画像データを生成する(図8のステップS2)。そして、表示部6は、得られた位置決め用画像データに予め設定されたラベリングパルス照射領域S1を示す関心領域SR1とラベリングパルス照射領域S2を示す関心領域SR2を重畳してモニタに表示する(図8のステップS3)。
【0055】
位置決め用画像データの生成と表示が終了したならば、入力制御部7は、操作者による入力デバイスの操作に基づいて、撮像条件設定モードを選択し(図8のステップS4)、表示部6のモニタに位置決め用画像データと共に表示されている関心領域SR1及び関心領域SR2の位置や大きさが不適当な場合には入力制御部7の入力デバイスを用いて補正を行なう。次いで、入力制御部7は、操作者による入力デバイスの操作に基づいて、撮像条件の更新が必要な関心領域(例えば、関心領域SR1)を選択する(図8のステップS5)。
【0056】
一方、この選択信号と選択された関心領域SR1の識別情報を入力制御部7から主制御部81を介して受信した撮像条件生成部5は、自己の撮像条件記憶部に記憶されている各種撮像条件の中から関心領域SR1の撮像条件を読み出し、これらの撮像条件が仮設定された撮像条件を生成して表示部6へ供給する。そして、表示部6は、撮像条件生成部5から供給された撮像条件を上述の位置決め用画像データに重畳された関心領域SR1の近傍に付加して自己のモニタに表示する(図8のステップS6)。
【0057】
次いで、入力制御部7は、操作者による入力デバイスの操作に基づいて、表示部6に表示された撮像条件に示されているボタンを用いて仮設定された撮像条件を更新することにより、当該関心領域に好適な撮像条件を設定する(図8のステップS7)。また、位置決め用画像データに重畳されている関心領域SR2に対しても撮像条件の更新が必要な場合、上述のステップS5乃至ステップS7の手順を繰り返すことにより、関心領域SR2に対する撮像条件の更新を行なう(図8のステップS5乃至ステップS7)。
【0058】
そして、位置決め用画像データに示された関心領域SR1及び関心領域SR2に対する撮像条件の設定が終了したならば、入力制御部7は、操作者による入力デバイスの操作に基づいて、本撮像モードの選択と撮像開始コマンドの入力を行なう(図8のステップS8)。このとき、撮像条件設定モードにおいて仮設定あるいは新たに設定された関心領域SR1及び関心領域SR2の撮像条件は、本撮像モードの選択信号に基づいてシーケンス制御部82へ供給され、撮像開始コマンドが主制御部81へ供給されることにより、上述の撮像条件に基づいた本撮像モードのMRI撮像が開始される(図8のステップS9)。
【0059】
以上述べた本実施形態によれば、パイロット撮像モードの位置決め用画像データに重畳された関心領域の撮像条件を容易に設定することが可能となる。このため、検査効率が向上するのみならず被検体や医師等の負担を軽減することができる。
【0060】
特に、位置決め用画像データに対して複数の関心領域が設定される場合には各々の関心領域における撮像条件を独立に設定することが可能となるため、当該MRI撮像に好適な撮像条件を正確かつ短時間で設定することができる。
【0061】
また、撮像条件の設定に用いる撮像条件は、対応する関心領域の近傍に配置されるため誤った設定を防止することができ、また、撮像条件に付加されたボタンを操作することにより撮像条件の設定は更に容易となる。
【0062】
以上、本開示の実施形態について述べてきたが、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく変形して実施することが可能である。例えば、上述の実施形態では、非造影MRI撮像のラベリングパルス照射領域に対応した2つの関心領域をパイロット撮像モードにて収集した位置決め用画像データに対して設定し、これらの関心領域の中から選択された所望関心領域の近傍に表示される撮像条件に基づいて関心領域に好適な撮像条件を設定する場合について述べたが、撮像条件は、ラベリングパルスの照射条件に限定されるものではなく、通常の撮像断面を設定する撮像条件等であっても構わない。
【0063】
また、位置決め用画像データに対して第1の領域選択IRパルス及び第2の領域選択IRパルスの照射領域(ラベリングパルス照射領域)を示す2つの関心領域を設定する場合について述べたが、位置決め用画像データに設定される関心領域の数は1つでもよく、3つ以上であっても構わない。
【0064】
更に、位置決め用画像データに設定された複数の関心領域の中から1つの関心領域を選択し、選択された関心領域の撮像条件を用いて関心領域に好適な撮像条件を設定する場合について述べたが、複数の関心領域の中から2つ以上の関心領域を同時に選択してもよい。例えば、図9に示すように、関心領域SR1と関心領域SR2が同時に選択された場合、関心領域SR1の撮像条件を示す撮像条件Do1が関心領域SR1の近傍に表示され、関心領域SR2の撮像条件を示す撮像条件Do2が関心領域SR2の近傍に表示される。そして、このように表示された撮像条件Do1及びDo2に基づいて関心領域SR1及び関心領域SR2に好適な撮像条件の設定が行なわれる。尚、関心領域SR1と関心領域SR2に対して同一の撮像条件を設定する場合、撮像条件Do1(Do2)に対して入力した関心領域SR1(関心領域SR2)の撮像条件を撮像条件Do2(Do1)に対してコピー&ペーストすることにより関心領域SR2(関心領域SR1)の撮像条件を設定することも可能である。
【0065】
また、上述の実施形態では、位置決め用画像データに重畳された関心領域の大きさ、位置、方向等が不適当な場合、入力制御部7の入力デバイスを用いて関心領域を更新する場合について述べたが、上述の撮像条件を用いて関心領域の更新を行なってもよい。この場合、撮像条件には、関心領域の大きさ、位置、方向等に関する情報が追加される。
【0066】
更に、位置決め用画像データに対しラベリングパルス照射領域を示す同種の関心領域を重畳する場合について述べたが、例えば、ラベリングパルス照射領域を示す関心領域や飽和パルス照射領域を示す関心領域のような異種の関心領域を同一の位置決め用画像データに重畳しても構わない。
【0067】
一方、上述の実施形態では、撮像条件設定モードにおける撮像条件の設定が終了したならば、設定された撮像条件を用いて診断用画像データを生成する本撮像モードへ移行する場合について述べたが、撮像条件を用いた評価用画像データの生成と表示を行なうことにより設定された撮像条件の妥当性を確認する評価モードを撮像条件設定モードと本撮像モードの間に設けてもよい。この評価モードにおいて生成された評価用画像データの観察により、撮像条件設定モードにおいて設定された撮像条件が適当でないことが判明した場合、撮像条件設定モードと評価モードを繰り返すことにより更に良好な撮像条件を設定することができる。
【0068】
また、撮像条件としてTime-SLIPの照射条件について述べたが、これに限定されるものではなく、例えば、飽和パルス、SPAMM(Spatial modulation of magnetization)パルス、水選択励起パルス、脂肪抑制パルス等の照射条件であってもよい。
【0069】
例えば、非造影MRIによって脳脊髄液(CSF: cerebrospinal fluid)の画像化を行なう場合、図10に示すように被検体の頭部に対して収集された位置決め用画像データに対し飽和領域を示す格子状のタグが関心領域SR3として設定される。そして、この関心領域SR3の近傍に表示される撮像条件Do3を用いて関心領域SR3に好適な撮像領域条件(即ち、関心領域SR3に対して照射されるSPAMMパルスの照射条件)が設定される。
【0070】
この場合、位置決め用画像データには、格子間隔D及び格子幅ΔDを決定する傾斜磁場強度Gd及びRFパルス間隔Δτが撮像条件として仮設定され、更に、反転時間(TI)、フリップ角α、エコー時間(TE)及び繰り返し時間(TR)が必要に応じて仮設定された撮像条件Do3が付加される。そして、操作者は、仮設定された上述の撮像条件を更新することにより関心領域SR3に好適な撮像条件を設定する。尚、脳脊髄液の画像化を目的として被検体の頭部に設定される関心領域の形状は、格子状に限定されるものではなく、ストライプ状あるいは放射状の関心領域であっても構わない。
【0071】
尚、本発明の実施形態に係るMRI装置の一部は、例えば、コンピュータをハードウェアとして用いることでも実現することができる。すなわち、MRI装置の制御部や入力制御部等は、上記のコンピュータに搭載されたプロセッサ(CPUなど)にプログラムを実行させることにより実現することができる。このとき、MRI装置は、上記のプログラムをコンピュータに予めインストールすることで実現してもよいし、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶するか或いはネットワークを介して上記のプログラムを配布して、このプログラムをコンピュータに適宜インストールすることで実現してもよい。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1…静磁場発生部
11…主磁石
12…静磁場電源
2…傾斜磁場発生部
21…傾斜磁場コイル
22…傾斜磁場電源
3…送受信部
31…送受信コイル
32…送信部
33…受信部
4…画像データ生成部
5…撮像条件生成部
6…表示部
7…入力制御部
8…制御部
81…主制御部
82…シーケンス制御部
83…天板移動制御部
9…天板
10…天板移動機構部
100…MRI装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイロット撮像モードで撮像された画像中の少なくとも1つの関心領域の中から所望の関心領域を選択する関心領域選択部と、
前記関心領域選択部で選択された前記関心領域に対応する撮像条件を生成する撮像条件生成部と、
前記撮像条件を前記関心領域の近傍に表示する表示部と、
前記表示部で表示された前記撮像条件の設定を行なう撮像条件設定部と、
前記撮像条件設定部で設定された前記撮像条件に基づいて本撮像モードのMRI撮像を行なう制御部と、
を備えたことを特徴とするMRI装置。
【請求項2】
前記撮像条件生成部は、前記関心領域に仮設定された撮像条件に基づいて前記撮像条件を生成し、前記撮像条件設定部は、前記撮像条件生成部で仮設定された前記撮像条件を更新することにより前記撮像条件の設定を行なうことを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
【請求項3】
前記撮像条件設定部は、前記仮設定された撮像条件を更新するボタンを有することを特徴とする請求項2記載のMRI装置。
【請求項4】
前記撮像条件生成部は、予め設定された標準撮像条件または過去のMRI撮像において設定された撮像条件に基づいて、前記撮像条件を生成することを特徴とする請求項2記載のMRI装置。
【請求項5】
前記撮像条件設定部は、ラベリングパルス照射領域を示す前記関心領域の撮像条件を設定することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
【請求項6】
前記撮像条件設定部は、Time-SLIP、飽和パルス、SPAMMパルス、水選択励起パルス、及び脂肪抑制パルスの少なくとも1つの照射条件を前記撮像条件として設定することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
【請求項7】
前記撮像条件設定部によって設定された撮像条件を評価する撮像条件評価部を更に備え、前記制御部は、前記撮像条件評価部の評価結果に基づいて前記本撮像モードのMRI撮像を開始することを特徴とする請求項1記載のMRI装置
【請求項8】
前記撮像条件に基づいて撮像条件の設定を行なう撮像条件設定モードを選択するモード選択部を更に備え、前記表示部は、前記撮像条件設定モードの選択情報に基づいて、前記画像に前記関心領域及び前記撮像条件を付加して表示することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
【請求項9】
前記関心領域選択部によって複数の関心領域が選択された場合、前記撮像条件設定部は、選択された前記複数の関心領域の少なくとも1つの関心領域に設定した撮像条件を用いて、選択された前記複数の関心領域の残りの関心領域の撮像条件を設定することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
【請求項10】
パイロット撮像モードで撮像された画像中に示される少なくとも1つの関心領域の中から、所望の関心領域を選択する関心領域選択部と、
前記関心領域選択部で選択された前記関心領域に対応する撮像条件を生成する撮像条件生成部と、
前記撮像条件を前記関心領域の近傍に表示する表示部と、
前記表示部で表示された撮像条件の設定を行なう撮像条件設定部と、
前記撮像条件設定部で設定された前記撮像条件に基づいて、本撮像モードのMRI撮像を行なう制御部として
コンピュータを機能させるための制御プログラム。
【請求項1】
パイロット撮像モードで撮像された画像中の少なくとも1つの関心領域の中から所望の関心領域を選択する関心領域選択部と、
前記関心領域選択部で選択された前記関心領域に対応する撮像条件を生成する撮像条件生成部と、
前記撮像条件を前記関心領域の近傍に表示する表示部と、
前記表示部で表示された前記撮像条件の設定を行なう撮像条件設定部と、
前記撮像条件設定部で設定された前記撮像条件に基づいて本撮像モードのMRI撮像を行なう制御部と、
を備えたことを特徴とするMRI装置。
【請求項2】
前記撮像条件生成部は、前記関心領域に仮設定された撮像条件に基づいて前記撮像条件を生成し、前記撮像条件設定部は、前記撮像条件生成部で仮設定された前記撮像条件を更新することにより前記撮像条件の設定を行なうことを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
【請求項3】
前記撮像条件設定部は、前記仮設定された撮像条件を更新するボタンを有することを特徴とする請求項2記載のMRI装置。
【請求項4】
前記撮像条件生成部は、予め設定された標準撮像条件または過去のMRI撮像において設定された撮像条件に基づいて、前記撮像条件を生成することを特徴とする請求項2記載のMRI装置。
【請求項5】
前記撮像条件設定部は、ラベリングパルス照射領域を示す前記関心領域の撮像条件を設定することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
【請求項6】
前記撮像条件設定部は、Time-SLIP、飽和パルス、SPAMMパルス、水選択励起パルス、及び脂肪抑制パルスの少なくとも1つの照射条件を前記撮像条件として設定することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
【請求項7】
前記撮像条件設定部によって設定された撮像条件を評価する撮像条件評価部を更に備え、前記制御部は、前記撮像条件評価部の評価結果に基づいて前記本撮像モードのMRI撮像を開始することを特徴とする請求項1記載のMRI装置
【請求項8】
前記撮像条件に基づいて撮像条件の設定を行なう撮像条件設定モードを選択するモード選択部を更に備え、前記表示部は、前記撮像条件設定モードの選択情報に基づいて、前記画像に前記関心領域及び前記撮像条件を付加して表示することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
【請求項9】
前記関心領域選択部によって複数の関心領域が選択された場合、前記撮像条件設定部は、選択された前記複数の関心領域の少なくとも1つの関心領域に設定した撮像条件を用いて、選択された前記複数の関心領域の残りの関心領域の撮像条件を設定することを特徴とする請求項1記載のMRI装置。
【請求項10】
パイロット撮像モードで撮像された画像中に示される少なくとも1つの関心領域の中から、所望の関心領域を選択する関心領域選択部と、
前記関心領域選択部で選択された前記関心領域に対応する撮像条件を生成する撮像条件生成部と、
前記撮像条件を前記関心領域の近傍に表示する表示部と、
前記表示部で表示された撮像条件の設定を行なう撮像条件設定部と、
前記撮像条件設定部で設定された前記撮像条件に基づいて、本撮像モードのMRI撮像を行なう制御部として
コンピュータを機能させるための制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−16459(P2012−16459A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155287(P2010−155287)
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月7日(2010.7.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】
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