説明

N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の多形体

N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の多形体、これらの多形体の製造法及びこれらの使用が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の多形体、その製造及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
δ受容体は、中枢神経系及び疼痛系のような多くの身体的機能における役割を有するものとして同定されている。δ受容体作用薬は、疼痛、不安、抑うつ及びその他の中枢神経及び疼痛関連症状に対して多くの治療活性を示している。
【0003】
Delormeらの米国特許第6,187,792号は、疼痛及び中枢神経関連疾患に有用な、いくつかのδ受容体作用薬を記載している。しかしながら、これらの化合物及びこれらの化合物の新規な多形体を製造する改良された方法に対する要求がなお存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
「環境温度」は、一般的に、0℃と100℃の間の温度を表す。詳しくは、「環境温度」は、20℃と40℃の間の温度を表す。より詳しくは、「環境温度」は、25℃と30℃の間の温度を表す。
【0005】
一般的に、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩は、Delormeらの米国特許第6,187,792号(以下「Delormeら」と称する)の記載に従って製造することができ、この特許は、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の製造方法及び使用方法の記載に関して、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の第一の多形体(実施例において、「多形体A」として例示されている)が、以下に記載される方法を使用して製造され得ることを見出した。
【0007】
従って、本発明の1つの態様は、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の第一の多形体を製造する方法を提供する。
【0008】
1つの実施態様において、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の第一の多形体を製造する方法は、
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩を、イソプロパノール、ブタノール及びアセトンから選択される溶媒に、第一の所定の温度で溶解して溶液を形成し;そして
前記溶液を第二の所定の温度に冷却して、それによって少なくともN,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の一部を結晶化する;
ことを含み、前記第一の所定の温度は、前記第二の所定の温度よりも少なくとも10℃高い方法である。
【0009】
別の実施態様において、第一の多形体を製造する方法において使用する溶媒は、イソプロパノールである。
【0010】
更なる実施態様において、第一の多形体を製造する方法において使用する第一の所定の温度は、60℃と80℃の間である。
【0011】
なお更なる実施態様において、第一の多形体を製造する方法において使用する第二の所定の温度は、0℃と40℃の間である。
【0012】
更なる実施態様において、第一の多形体を製造する方法は、
冷却する工程の後で前記溶液を濾過して固体部分を分離する;
工程を更に含む。
【0013】
更なる実施態様において、第一の多形体を製造する方法は、
前記固体部分を乾燥する;
工程を更に含む。
【0014】
別の態様において、本発明の1つの実施態様は、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の結晶多形体であって、前記結晶多形体は、環境温度で固体NMRプローブを使用してプロトン(1H)緩和時間を測定した場合、6秒未満のプロトン緩和時間を有するものである結晶多形体を提供する。
【0015】
本発明の別の実施態様は、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の結晶多形体であって、前記結晶多形体の固体13C−NMRスペクトルは、基準物質としてテトラメチルシランを使用した場合、43ppmと45ppmの間の化学シフトでピークを有し、前記スペクトルは、環境温度で10KHzでスピンする固体NMRプローブを用いて得られるものである結晶多形体を提供する。
【0016】
本発明の更なる実施態様は、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の結晶多形体であって、前記結晶多形体の固体13C−NMRスペクトルは、基準物質としてテトラメチルシランを使用した場合、168ppmと170ppmの間の化学シフトでピークを有し、前記スペクトルは、環境温度で10KHzでスピンする固体NMRプローブを用いて得られるものである結晶多形体を提供する。
【0017】
本発明のなお更なる実施態様は、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の結晶多形体であって、前記結晶多形体は、環境温度で固体NMRプローブを使用してフッ素19(19F)緩和時間を測定した場合、30秒未満のフッ素19緩和時間を有するものである結晶多形体を提供する。
【0018】
1つの実施態様において、上記で特定した結晶多形体は、上記した1つ又はそれ以上の方法を使用して製造することができる。
【0019】
本発明者らは、第一の多形体は、好適な方法を使用して、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の第二の多形体(実施例において、「多形体B」として例示されている)に変換することができることを、更に見出している。
【0020】
それ故に、本発明の別の態様は、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の第二の多形体を製造する方法を提供する。
【0021】
1つの実施態様において、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の第二の多形体を製造する方法は、
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩とイソプロパノール、ブタノール及びアセトンから選択される溶媒を、20℃と80℃の間の温度で少なくとも1時間組み合わせる;
ことを含み、ここで、前記N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩と前記溶媒は所定の比率で組み合わされ、それによって前記N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の一部は、前記温度において、前記組み合わせの中で固体であり続ける。
【0022】
別の実施態様において、第二の多形体を製造する方法は、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩とイソプロパノール、ブタノール及びアセトンから選択される溶媒を、約50℃の温度で少なくとも1時間組み合わせる工程を含む。
【0023】
更なる実施態様において、第二の多形体を製造する方法は、
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩とイソプロパノール、ブタノール及びアセトンから選択される溶媒を、20℃と80℃の間の温度で組み合わせ;
前記組み合わせを35℃未満の温度に冷却するか又は維持し;そして
前記組み合わせを濾過する;
工程を含む。
【0024】
なお更なる実施態様において、第二の多形体を製造方法は、
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩とイソプロパノール、ブタノール及びアセトンから選択される溶媒を、20℃と80℃の間の温度で組み合わせ;
環境温度で、固体NMRプローブを使用してプロトン(1H)緩和時間を測定した場合、6秒と10秒の間にプロトン緩和時間を有するN,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の多形体の種結晶を、前記組み合わせに添加する;
工程を含む。
【0025】
なお更なる実施態様において、第二の多形体を製造する方法は、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩とイソプロパノールを20℃と80℃の間の温度で組み合わせる工程を含む。
【0026】
なお更なる実施態様において、第二の多形体を製造する方法は、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩を215℃と235℃の間の温度に加熱する工程を含む。
【0027】
従って、別の態様において、本発明の実施態様は、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の第二の多形体であって、前記多形体は、環境温度で固体NMRプローブを使用してプロトン(1H)緩和時間を測定した場合、6秒と10秒の間にプロトン緩和時間を有するものである多形体を提供する。
【0028】
本発明の別の実施態様は、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の第二の多形体であって、前記多形体の固体13C−NMRスペクトルは、基準物質としてテトラメチルシランを使用した場合、41ppmと43ppmの間の化学シフトで少なくとも1つのピークを有し、前記スペクトルが、環境温度で10KHzでスピンする固体NMRプローブを用いて得られるものである多形体を提供する。
【0029】
本発明の更なる実施態様は、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の第二の多形体であって、前記多形体の固体13C−NMRスペクトルは、基準物質としてテトラメチルシランを使用した場合、170ppmと175ppmの間の化学シフトで少なくとも1つのピークを有し、前記スペクトルは、環境温度で10KHzでスピンする固体NMRプローブを用いて得られるものである多形体を提供する。
【0030】
本発明のなお更なる実施態様は、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の第二の多形体であって、前記多形体は、環境温度で固体NMRプローブを使用してフッ素19(19F)緩和時間を測定した場合、30秒と50秒の間のフッ素19緩和時間を有するものである多形体を提供する。
【0031】
上に記載した本発明の1つ又はそれ以上の実施態様によるN,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の第二の多形体は、上に記載した第二の多形体を製造する1つ又はそれ以上の方法を使用して製造することができる。
【0032】
本発明のなお更なる実施態様は、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の多形体であって、前記多形体が少なくとも210℃の融点を有するものである多形体を提供する。
【0033】
本発明のなお更なる実施態様は、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の多形体であって、前記多形体が少なくとも230℃の融点を有するものである多形体を提供する。
【0034】
本発明の更なる態様は、第一の多形体と第二の多形体の組み合わせを提供する。
【0035】
1つの実施態様において、第一の多形体と第二の多形体の組み合わせは、これら2つの多形体の混合物として存在してもよい。
【0036】
多形体(例えば、実施例に示された多形体A又はB)は、治療、特に慢性疼痛、神経因性疼痛、急性疼痛、癌性疼痛、関節リウマチに起因する疼痛、偏頭痛、内臓痛等のような種々の疼痛状態の治療において、有用である。しかしながら、この一覧は網羅的なものと解釈すべきではない。
【0037】
これら多形体は、特に、関節炎のような自己免疫疾患用の、皮膚移植、臓器移植及び同様の外科的要求のための、膠原病、種々のアレルギー用の、抗腫瘍剤及び抗ウイルス剤としての使用のための、免疫抑制剤として有用である。
【0038】
これらの多形体は、オピオイド受容体の変性又は機能障害がそのパラダイムにおいて存在するか又は関係しているような疾患状態の治療に有用である。これは、陽電子放出断層撮影法(PET)のような診断技術及び画像応用における、多形体の同位体標識体の使用を包含することができる。
【0039】
これらの多形体は、下痢、抑うつ、不安及びストレス関連障害例えば心的外傷後ストレス障害、パニック障害、全般性不安障害、社会恐怖及び強迫性障害、尿失禁、早漏、種々の精神疾患、咳嗽、肺水腫、種々の消化管障害、例えば便秘、機能性消化管障害例えば過敏性腸症候群及び機能性消化不良、パーキンソン病及びその他の運動障害、外傷性脳損傷、発作、心筋梗塞後の心保護、脊髄損傷、及びアルコール、ニコチン、オピオイド及びその他の薬物乱用の治療を包含する薬物常用、及び交感神経系の障害、例えば、高血圧を治療するのに有用である。
【0040】
これらの多形体は、全身麻酔及び監視下鎮静管理(monitored anaesthesia care)中に使用するための鎮痛薬として有用である。異なった性質を有する薬剤の組み合わせは、しばしば、麻酔状態(例えば、記憶喪失、痛覚脱失、筋弛緩及び鎮静)を維持するのに必要とされる効果のバランスを達成するのに使用される。この組み合わせに包含されるものは、吸入麻酔薬、睡眠薬、抗不安薬、神経筋遮断薬及びオピオイドである。
【0041】
また、本発明の範囲内に含まれるものは、上記で考察したいずれかの状態の治療用の医薬の製造のための、多形体の使用である。
【0042】
本発明の更なる態様は、多形体の有効量を治療を必要とする患者に投与することによって、上記で考察した状態のいずれかに罹患した対象を治療する方法である。
【0043】
従って、本発明は、治療において使用するための、前記で定義された多形体を提供する。
【0044】
更なる態様において、本発明は、治療において使用するための医薬の製造における、前記で定義された多形体の使用を提供する。
【0045】
本発明の文脈において、用語「治療」は、また、それとは別の指示がない限り「予防」も包含する。用語「治療的」及び「治療的に」は、それに応じて解釈されるべきである。本発明の文脈内での用語「治療」は、本発明の化合物の有効量を、前から存在する疾患状態、急性若しくは慢性の状態又は再発した状態のいずれかを緩和するために投与することを更に包含する。この定義は、また、再発状態を防止するための予防的治療、及び慢性障害のための継続的治療を包含する。
【0046】
この多形体は、治療において、特に慢性疼痛、神経障害性疼痛、急性疼痛、背部痛、癌性疼痛、及び内臓痛を包含する種々の疼痛状態の治療に対して有用であるが、これらに限定されない。
【0047】
ヒトのような温血動物における治療のための使用においては、この多形体は、経口、筋肉内、皮下、局所、鼻腔内、腹腔内、胸腔内、静脈内、硬膜外、髄腔内、脳室内及び関節内への注射による経路のいずれかによって、通常の医薬組成物の形態で投与することができる。
【0048】
本発明の1つの実施態様において、投与経路は、経口、静脈内又は筋肉内であってもよい。
【0049】
投与量は、特定の患者に対して最も適切な個々の投与計画及び投与量レベルを決定する場合、主治医によって通常考慮される、投与経路、疾患の重症度、患者の年齢及び体重、及びその他の因子に依存する。
【0050】
この多形体から医薬組成物を製造するための、不活性で、薬学的に許容される担体は、固体か液体かのいずれかであり得る。固体の形態の製剤は、散剤、錠剤、分散性顆粒剤、カプセル剤、カシェ剤及び坐剤を包含する。
【0051】
固体の担体は、希釈剤、矯味矯臭剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、又は錠剤の崩壊剤としても作用し得る1つ又はそれ以上の物質であることができ、それはカプセル化材料でもあり得る。
【0052】
散剤においては、担体は、微粉化された多形体との混合物である、微粉化された固形物である。錠剤においては、活性成分は、必要な結合性を有する担体と好適な割合で混合され、所望の形状及び大きさに圧縮される。
【0053】
坐剤組成物を製造するためには、脂肪酸グリセリド類とカカオ脂の混合物のような低融点ワックスが先ず溶融され、そして有効成分が、例えば、撹拌によって、その中に分散される。溶融された均一な混合物は、都合の良い大きさの型に注がれ、そして冷却されて固化される。
【0054】
好適な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、乳糖、ショ糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオ脂、などである。
【0055】
用語、組成物は、また、カプセルを与える担体としてのカプセル化材料と、活性成分との薬剤を包含し、活性成分(他の担体と一緒に、又は他の担体なしに)は、その担体によって囲まれ、それ故にそれと一体化しているカプセルを提供する。同様に、カシェ剤も包含される。
【0056】
錠剤、散剤、カシェ剤、及びカプセル剤は、経口投与に好適な固形剤形として使用することができる。
【0057】
液体の形態の組成物は、液剤、懸濁剤及びエマルジョン剤を包含する。例えば、活性化合物の滅菌水溶液又は滅菌プロピレングリコール水溶液は、非経口投与に好適な液体製剤であり得る。液体組成物は、また、ポリエチレングリコール水溶液の形態で液剤として製剤化することができる。
【0058】
経口投与用水性液剤は、活性成分を水に溶解し、所望により好適な着色料、矯味矯臭剤、安定剤及び増粘剤を加えることによって製造することができる。経口用の水性懸濁剤は、微粉化活性成分を、天然及び合成のゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムのような粘性物質及びその他の医薬薬剤分野で公知の懸濁化剤と共に水に分散することによって作ることができる。
【0059】
投与様式に依存するが、医薬組成物は、好ましくは、0.05質量%から99質量%、より好ましくは0.10質量%から50質量%の多形体を包含するであろう。ここで、全ての質量%は全組成物を基準にしている。
【0060】
本発明の実施のための治療的有効量は、個々の患者の年齢、体重及び応答を包含する公知の診断基準を使用することによって決定され、そして当業者によって治療されている又は予防されている疾患との関係において解釈され得る。
【0061】
本発明の範囲内には、医薬の製造のための上記に定義された多形体の使用がある。
【0062】
また、本発明の範囲内にあるものとしては、疼痛及び/又は不安の治療用の医薬の製造のための多形体の使用がある。
【0063】
更に提供されるものとしては、限定されないが、慢性疼痛、神経障害性疼痛、急性疼痛、背部痛、癌性疼痛、及び内臓痛を包含する種々の疼痛状態の治療用の医薬の製造のための多形体の使用である。
【0064】
本発明の更なる態様は、多形体の有効量を治療を必要とする患者に投与することによる、上記に考察した状態のいずれかに罹患した対象の治療方法である。
【0065】
更に、薬学的に許容される担体と関連して、少なくとも1つの多形体を含む医薬組成物が提供される。
【0066】
特に、治療のために、より詳しくは疼痛の治療のために、薬学的に許容される担体と関連して、少なくとも1つの多形体を含む医薬組成物が提供される。
【0067】
更に、上記に考察した状態のいずれかにおいて使用される薬学的に許容される担体と関連して、少なくとも1つの多形体を含む医薬組成物が提供される。
【実施例】
【0068】
本発明は、更に、本発明の化合物を製造し、精製し、分析し、そして生物試験することができる方法を記載した、以下の実施例によってより詳細に説明されるが、それらは本発明を制限するものと解釈すべきではない。
【0069】
〔実施例1〕
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の多形体Aの製造
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩(Delorme等、米国特許第6,187,792号の方法又はそれに実質的に類似の方法を使用して製造された)(24.62g)を容器1に投入した。
【0070】
容器1は、オーバーヘッドの攪拌機、凝縮器及び温度計を装着した150ml丸底フラスコである。
容器1に環境温度でイソプロパノール(78ml)を加えた。
撹拌を開始した。
容器1の内容物を70℃に加熱した。
容器1の内容物を、完全に溶解したことが明らかになるまで70℃に保持した。
このバッチをインラインの濾過器で濾過し、容器2に入れた。
【0071】
容器2は、オーバーヘッドの攪拌機、凝縮器及び温度計を装着した150ml丸底フラスコである。
容器1にイソプロパノール(5ml)を加えた。
インラインの濾過器を通してライン洗滌液を濾過し、容器2に入れた。
容器2の撹拌を開始した。
溶液を、少なくとも1時間かけて0℃に冷却した。
粘性の白色のスラリーが生じた。
混合物を少なくとも1時間0℃に保持した。
容器2の内容物を濾過器に移し、完全に脱液した。
前もって冷却したイソプロパノール(12ml)を容器2に加えた。
容器2の内容物を濾過器に移し、完全に脱液した。
固形の生成物を取り出し、その固形物を、減圧下(60℃、250mbar)で少なくとも18時間乾燥した。
収量20.81g(収率88.4%)を得た。XRDにより、単離された固形物は、図1に示すように多形体Aであることが確認された。
【0072】
〔実施例2〕
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の多形体Bの製造
実施例1で製造された多形体A(64.5g)を容器1に投入した。
容器1は、オーバーヘッドの攪拌機、温度計、Lasentecプローブ及び不活性ガス導入口を装着した500mlジャケット付き容器である。
容器1に2−プロパノール(203ml)を投入した。
容器1の内容物を80℃に加熱した。
容器1の内容物を1時間保持した。
この時間の間に全ての固形物が溶解した。
容器1の内容物を、インラインの濾過器を経由して容器2に移した。
容器2には、容器1と同じように器具が装着されていた。
9cmスプリットブフナー漏斗を濾過器として使用した。代替の濾過器を使用してもよい。
【0073】
2−プロパノール(13ml)を容器1に投入した。
容器1の内容物を、インラインの濾過器を経由して容器2に移した。
容器2の内容物を35℃に冷却した。
容器2の内容物を1時間保持した。
この間に結晶化が起こった。結晶化が起こらない場合は、起こるまで保持を延長した。
容器2の内容物を50℃に暖めた。
容器2の内容物を8時間保持した。
この保持の間にスラリーの多形転移が起こった。
容器2の内容物を40℃に冷却した。
容器2の内容物を30分間保持した。
容器2の内容物を30℃に冷却した。
容器2の内容物を30分間保持した。
容器2の内容物を20℃に冷却した。
容器2の内容物を30分間保持した。
容器2の内容物を0℃に冷却した。
容器2の内容物を2時間保持した。
容器2の内容物を濾過装置に移した。
9cmスプリットブフナー漏斗を使用した。
湿潤濾過ケーキを脱液した。
2−プロパノール(32ml)を容器2に投入した。
容器2の内容物を0℃に冷却した。
容器2の内容物を濾過器に移した。
濾過ケーキを脱液した。
真空オーブン中で湿潤ケーキを乾燥した。
真空オーブンは、50℃で200mbarの減圧度であった。
XRDにより、単離された固形物が、図1に示すように完全に多形体Bのみであることが確認された。
【0074】
〔実施例3〕
種結晶添加プロトコールによるN,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の多形体Bの製造
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の多形体A(45.0g)を容器1に投入した。
容器1は、後退わん曲攪拌機(retreat curve stirrer)、不活性ガス導入口、温度計及びLasentecプローブを装着した500mlジャケット付き容器である。
2−プロパノール(320ml)を容器1に投入した。
容器1の内容物を49℃に加熱し、全ての固形物を溶解した。
低温では、大部分の固形物が懸濁して残存した。
容器1の内容物を冷却し、40℃に冷却した。
実施例2で調製した多形体B(10mg)を、容器1に投入した。
内容物を40℃で4時間保持した。
この間に結晶化の開始が起こった。
容器1の内容物を45℃に暖めた。
このバッチをこの段階で一夜保持した。
容器1の内容物を45℃から40℃に1時間かけて冷却した。
容器1の内容物を40℃で1時間保持した。
容器1の内容物を30℃に1時間かけて冷却した。
容器1の内容物を30℃で1時間保持した。
容器1の内容物を20℃に1時間かけて冷却した。
容器1の内容物を20℃で1時間保持した。
固形物を濾過して集め、風乾した。
単離した固形物の重量は18.22gであった。固形物のXRDにより、この固形物が、(図1に示すように)完全に多形体Bのみを含有していることが確認された。
【0075】
〔実施例4〕
多形体A及びBの固体NMR特性
固体NMRは、Bruker WB400 NMR装置上で4mmHXプローブを使用し、室温(27℃)で実施した。交差分極パルスシーケンス(接触時間は1ms)をデータ取得の間に使用した。13Cをプロトンからデカップリングし(周波数399.87MHz)、プローブを10KHzでスピンした。以下のパラメータ(表1に示す)を実験に使用した。
【表1】

【0076】
多形体A及びBの両者について13C固体NMRを測定し、図2に示した。
表2にこれらのスペクトルにおけるピークを列挙する。
【表2】

【0077】
1H及び19Fの両者の緩和時間(T1)を測定した。環境温度において、多形体A及びB両者の1H及び19Fの緩和時間を図3に示す。これら多形体の緩和時間の温度依存性も調べた。結果を図4に要約する。
【0078】
〔実施例5〕
多形体A及びBの溶解性
多形体Bとイソプロパノールのよく混合したスラリー(攪拌機を止めて)から、所定容積の液体をピペットを使って取り出し、容量フラスコに移し、ドラフトチェンバー(fume cupboard)内に放置して溶媒を蒸発させた。試料を採取した温度を記録し、1日たった
後、残存する溶媒を窒素ガスで吹き払い、次いで真空オーブンに移した。溶解度の試料を真空オーブン中およそ40℃で、それらの質量が一定になり、固体のみが残存していることを示すまで、乾燥と秤量を行った。多形体Bの溶解度を、測定された試料の重量に基づいて決した。
【0079】
イソプロパノール中における多形体Aの溶解度曲線及び準安定域を得るために、濁度プローブ装置を使用して実験を準備した。設定及び操作は、A. R. Parsons, S. N. Black and R. Colling, 2003, Automated measurement of metastable zones for pharmaceutical compounds, Trans IChemE, Part A, 81:700-704に詳細に記載されており、その全文は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0080】
結果を図5に示す。これらの結果に基づき、多形体Bは、低温において多形体Aよりも溶解度が低いことが明らかである。また、多形体Bは、20℃と80℃の間の温度範囲で、多形体Aよりもより安定であることも分かる。
【0081】
〔実施例6〕
多形体A及びBのDSC実験
示差走査熱量測定法(DSC)を、窒素雰囲気下で、昇温速度2℃/分で多形体A及びBの両者について行った。結果を、図6A及び図6Bにそれぞれ示す。図6Aに示すように、多形体Aは、約235℃での溶融による吸熱事象を有する。図6Bの多形体BのDSCは、約215℃で溶融し、次いで約216℃で再結晶することを示唆している。多形体Bの再結晶型は、次いで、多形体Aが溶融するのと同じ温度である約235℃で溶融し、この再結晶型が多形体Aであることを示唆している。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、多形体A及びBのX線回折図を示す。
【図2】図2は、多形体A及びBの固体13CNMRを示す。
【図3】図3は、多形体A及びBの1H及び19F緩和時間を例示する。
【図4】図4は、多形体A及びB(「A」及び「B」とそれぞれ表示してある)の1H緩和時間の温度依存性を例示する。
【図5】図5は、多形体A及びB(「多形A」及び「多形B」とそれぞれ表示してある)の溶解度曲線を例示する。
【図6A】図6Aは、多形体AのDSC図形を示す。
【図6B】図6Bは、多形体BのDSC図形を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の多形体であって、該多形体は、環境温度において固体NMRプローブを使用してプロトン緩和時間を測定した場合、6秒から10秒の間のプロトン緩和時間を有するものである多形体。
【請求項2】
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の多形体であって、該多形体の固体13C−NMRスペクトルは、基準物質としてテトラメチルシランを使用した場合、41ppmと43ppmの間の化学シフトで少なくとも1つのピークを有し、該スペクトルは、環境温度で10KHzでスピンする固体NMRプローブを用いて得られるものである多形体。
【請求項3】
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の多形体であって、該多形体の固体13C−NMRスペクトルは、基準物質としてテトラメチルシランを使用した場合、170ppmと175ppmの間の化学シフトで少なくとも1つのピークを有し、該スペクトルは、環境温度で10KHzでスピンする固体NMRプローブを用いて得られるものである多形体。
【請求項4】
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の多形体であって、該多形体は、環境温度において固体NMRプローブを使用してフッ素19緩和時間を測定した場合、30秒と50秒の間のフッ素19緩和時間を有するものである多形体。
【請求項5】
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩とイソプロパノール、ブタノール及びアセトンから選択される溶媒を20℃と80℃の間の温度で組み合わせることを含む方法によって製造される、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の多形体。
【請求項6】
組み合わせの工程が約50℃の温度で少なくとも1時間行われる、請求項5に記載の多形体。
【請求項7】
組み合わせを35℃未満の温度に冷却し;そして、
組み合わせたものを濾過する;
ことを更に含む請求項6に記載の多形体。
【請求項8】
方法が、
環境温度において固体NMRプローブを使用してプロトン緩和時間を測定した場合、6秒と10秒の間にプロトン緩和時間を有するN,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の多形体の種結晶を組み合わせに添加する;
ことを更に含む請求項5に記載の多形体。
【請求項9】
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩と溶媒が所定の比率で組み合わされ、それによってN,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の一部がこの組み合わせの中で固体であり続ける請求項5に記載の多形体。
【請求項10】
溶媒がイソプロパノールである、請求項5に記載の多形体。
【請求項11】
医薬として使用するための、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
疼痛、不安又は抑うつの治療用医薬の製造における、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項14】
治療を必要とする温血動物に、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物の治療的有効量を投与する処置を含む、温血動物における疼痛の治療方法。
【請求項15】
治療を必要とする温血動物に、請求項1〜10のいずれか1項に記載の化合物の治療的有効量を投与する処置を含む、温血動物における不安の治療方法。
【請求項16】
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩とイソプロパノール、ブタノール及びアセトンから選択される溶媒を20℃と80℃の間の温度で少なくとも1時間組み合わせることを含む方法であって、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩と該溶媒が所定の比率で組み合わされ、それによってN,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の一部が、該温度において、この組み合わせの中で固体であり続ける上記方法。
【請求項17】
組み合わせの工程が約50℃の温度で少なくとも1時間行われる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
組み合わせを35℃未満の温度に冷却し;そして、
この組み合わせを濾過する;
ことを更に含む請求項16に記載の方法。
【請求項19】
環境温度において固体NMRプローブを使用してプロトン緩和時間を測定した場合、6秒と10秒の間にプロトン緩和時間を有するN,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の多形体の種結晶を組み合わせに添加する;
ことを更に含む請求項16に記載の方法。
【請求項20】
溶媒がイソプロパノールである、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩と溶媒が所定の比率で組み合わされ、それによってN,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の一部がこの組み合わせの中で固体であり続ける請求項16に記載の方法。
【請求項22】
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩を、イソプロパノール、ブタノール及びアセトンから選択される溶媒に、第一の所定の温度で溶解して溶液を形成し;そして
この溶液を第二の所定の温度に冷却し、それによって少なくともN,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の一部を結晶化する;
ことを含み、ここで上記第一の所定の温度が、第二の所定の温度よりも少なくとも10℃高いN,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の多形体の製造法。
【請求項23】
溶媒がイソプロパノールである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
第一の所定の温度が60℃と80℃の間である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
第二の所定の温度が0℃と40℃の間である、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
冷却する工程の後で溶液を濾過して固体部分を分離することを更に含む請求項22に記載の方法。
【請求項27】
固体部分を乾燥することを更に含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の結晶多形体であって、該多形体は、環境温度で固体NMRプローブを使用してプロトン緩和時間を測定した場合、6秒未満のプロトン緩和時間を有するものである結晶多形体。
【請求項29】
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の結晶多形体であって、該多形体の固体13C−NMRスペクトルは、基準物質としてテトラメチルシランを使用した場合、43ppmと45ppmの間の化学シフトでピークを有し、該スペクトルは、環境温度で10KHzでスピンする固体NMRプローブを用いて得られる上記結晶多形体。
【請求項30】
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の結晶多形体であって、該多形体の固体13C−NMRスペクトルは、基準物質としてテトラメチルシランを使用した場合、168ppmと170ppmの間の化学シフトでピークを有し、該スペクトルは、環境温度で10KHzでスピンする固体NMRプローブを用いて得られるものである上記結晶多形体。
【請求項31】
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の結晶多形体であって、該多形体は、環境温度で固体NMRプローブを使用してフッ素19緩和時間を測定した場合、30秒未満のフッ素19緩和時間を有する上記結晶多形体。
【請求項32】
少なくとも210℃の融点を有する、N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩の多形体。
【請求項33】
医薬として使用するための、請求項28〜32のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項34】
疼痛、不安又は抑うつの治療用の医薬の製造における、請求項28〜32のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項35】
請求項28〜32のいずれか1項に記載の化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項36】
治療を必要とする温血動物に、請求項28〜32のいずれか1項に記載の化合物の治療的有効量を投与する処置を含む、温血動物における疼痛の治療方法。
【請求項37】
治療を必要とする温血動物に、請求項28〜32のいずれか1項に記載の化合物の治療的有効量を投与する処置を含む、温血動物における不安の治療方法。
【請求項38】
N,N−ジエチル−4−(3−フルオロフェニル−ピペリジン−4−イリデン−メチル)−ベンズアミド・塩酸塩を、215℃と235℃の間の温度に加熱する;
ことを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2008−515969(P2008−515969A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−536649(P2007−536649)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【国際出願番号】PCT/SE2005/001469
【国際公開番号】WO2006/041381
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】