説明

NOx排出を制御および低減するシステムおよび方法

【課題】特に発電産業の大きな関心事であるNOx排出を低減するシステムを提供すること。
【解決手段】システム30は、NOxを含むガス流を発生させるように構成されるガス発生源と、ガス発生源の下流に位置する酸化触媒16とを備える。酸化触媒16は、ガス流中のNOガス分子を酸化させてより高次のNxy分子を生成するように構成される。除去システムは、酸化触媒16の下流に位置し、溶媒吸収または溶媒反応によってガス流からより高次のNxy分子を除去するように構成される。システム30は、酸化触媒16の下流に位置する二次NOxトリミングシステム32をさらに備え、二次NOxトリミングシステム32は、ガス流中に存在するNOx分子と反応するように構成される反応物を、ガス流に噴射するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、NOx排出削減の分野にある。より詳細には、本発明は、NOx発生源からのNOx排出を低減するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
NOx排出は、多くの産業、特に発電産業にとって関心事である。NOxの発生は、高温燃焼応用分野において、および/または窒素含有燃料を燃焼した場合によく見られる。高い燃焼温度では、燃焼空気中の二原子窒素が酸化してNOxを発生させ得る。燃料中の窒素も、燃焼中に遊離基として放出されてNOxを形成し得る。NOx排出は、一般に、酸性雨および有害な健康上の副次的作用を引き起こすことで知られており、したがって、取締り調査の対象である。
【0003】
NOxを還元するための一般的な手法の1つは、NOxをN2に変換するために触媒に還元剤を噴射することを伴う。さらにより詳細には、選択的接触還元(「SCR」)触媒と共にアンモニアを使用することが、現在最もよく見られるNOx還元の手法である。いくつかの応用例では、この手法は、ガス流からNOxの80〜95%を除去するのに有効であり得るが、アンモニア反応物を使用することにより、運転コストがかなり大きくなり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、NOxを還元する新しいシステムおよび方法を提供することが望まれている。アンモニアなどの還元用反応物の必要性をなくす、またはこの還元用反応物の利用を削減するNOxを還元する新しいシステムおよび方法を提供することも望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、NOx排出を低減するシステムが提供される。このシステムは、NOxを含むガス流を発生させるように構成されるガス発生源と、ガス発生源の下流に位置する酸化触媒を備えることができる。この酸化触媒は、ガス流中のNOガス分子を酸化させてより高次のNxy分子を生成するように構成され得る。除去システムは、溶媒吸収または溶媒反応によってガス流からより高次のNxy分子を除去するように構成され得る酸化触媒の下流に位置することができる。このシステムは、酸化触媒の下流に位置する二次NOxトリミングシステムをさらに備えてもよく、この二次NOxトリミングシステムは、ガス流中に存在するNOx分子と反応するように構成される反応物を、ガス流に噴射するように構成される。
【0006】
別の態様では、システムからNOx排出を低減するための制御システムが設けられる。この制御システムは、ガス流または燃料の特性を測定するように適合および配置したセンサを含む測定システムを備えてもよく、この測定システムは、測定した特性を示すデータを転送するように構成される。このシステムは、測定システムから転送されるデータを受信するように構成されるコントローラを備えることもでき、このコントローラは、測定システムから転送されるデータに応じてガス流に加えることになる反応物の量を決定するためのアルゴリズムを実行するように構成される。このコントローラは、加えることになる反応物の量を示す制御信号を発生させるように構成され得る。このシステムは、コントローラが発生する制御信号に応じてガス流に噴射される反応物の量を調節するようになされるアクチュエータをさらに備えてもよい。
【0007】
別の態様では、発生源で発生するガス流からのNOx排出を低減する方法が提供される。この方法は、ガス流と酸化触媒を接触させることによってガス流中に存在するNOガスの部分を酸化させてより高次のNxy分子を生成するステップと、溶媒吸収または溶媒反応によってガス流からより高次のNxy分子を除去するステップと、ガス流中に存在するNOx分子と反応するように構成される反応物を、酸化触媒の下流でガス流に噴射するステップとを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の1つまたは複数の実施形態によるNOx排出を低減するシステムの説明図である。
【図2】本発明の1つまたは複数の実施形態によるNOx排出を低減するさらなるNOxトリミングを用いるシステムの説明図である。
【図3】本発明の1つまたは複数の実施形態によるアンモニア噴射によって実現されるNOx排出を低減するさらなるNOxトリミングを用いるシステムの説明図である。
【図4】本発明の1つまたは複数の実施形態によるNOx排出を低減する制御方式の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
NOx発生源からのNOx排出を低減するシステムおよび方法が提供される。このシステムおよび方法は、ガス燃焼、蒸気発生、および炭化水素精製の応用例など、NOxを発生する様々な応用例に使用することができるが、それらに限定されない。このシステムおよび方法は、一般に、NOxを含むガス流が発生する任意の応用例に用いることができる。例示的な実施形態では、本発明のシステムおよび方法を用いて、ガスタービンエンジンからのNOx排出を低減することができる。別の実施形態では、本発明のシステムおよび方法を用いて、ボイラからのNOx排出を低減することができる。さらに別の実施形態では、本発明のシステムおよび方法を用いて、精製所からのNOx排出を低減することができる。
【0010】
本発明のシステムおよび方法は、主に、ガス流中のNO分子をより高次のNxy分子に酸化し、溶媒吸収または溶媒反応によってより高次のNxy分子をその後除去することによってガス流からNOxを削減することを実現することができる。有利なことに、そのような手法は、還元剤を連続的に噴射する必要性をなくしまたは低減することができる。いくつかの実施形態では、このシステムは、ガス流に反応物を添加することなく燃焼後のガス流からNOxの80〜95%を除去することができる。同様に、そのようなシステムは、N25のようなより高い溶媒吸収または溶媒反応を有するNxy種を生成するために、オゾン(O3)などの酸化剤またはエネルギー源を添加する必要性を低減またはなくすことができる。
【0011】
「より高次のNxy分子」なる用語は、本明細書で用いられる場合、xおよび/またはyの値が1より大きいNxy分子を指す。これら分子は、NOの酸化に関する生成物であり得る。例えば、より高次のNxy分子なる用語は、NO2およびN25を包含する。この用語は、N2O、N23およびN24を含むNOより高次である他の窒素酸化物も包含する。
方法
一態様では、発生源で発生するガス流からのNOx排出を低減する方法が提供される。この方法は、ガス流と酸化触媒を接触させることによってガス流中に存在するNOガスのかなりの部分を酸化させてより高次のNxy分子(NO2および/またはN25など)を生成するステップと、その後、水性吸収または水性反応によってガス流からNO2ガスを除去するステップとを含むことができる。
【0012】
本明細書で用いられる場合、「酸化触媒」なる用語は、一般に、NO分子を酸化させてより高次のNxy分子、例えばNO2および/またはN25を生成する装置を指す。この酸化触媒は、化学触媒でコーティングした内部ハニカム構造を有する流通式装置であり得る。一実施形態では、酸化触媒は、CO触媒であり得る。いくつかの実施形態では、酸化触媒は、酸化触媒から出るガス流中のNxy分子の大部分がNO2分子であるようにガス流中の十分な量のNO分子を酸化させるように構成される。いくつかの実施形態では、ガス流が酸化触媒に接触する前に、ガス流中のNOx分子の大部分がNO分子である。好ましくは、酸化触媒は、約350°F〜約700°Fの範囲のガス流温度に酸化触媒がさらされることになるガス流の流路に沿った位置に配置され得る。有利なことに、そのような温度範囲で酸化触媒を運転することにより、触媒表面にわたって所望の反応速度(desired rate kinetics)を実現するのに十分な温度を与えつつ、触媒が、低い運転温度によりNxyの発生を熱力学的に促進することが可能になり得ることが分かっている。排気流に対してSOxが存在することにより、最適温度をより高い値へシフトできることも分かっている。
【0013】
例示的な実施形態では、従来のガスタービンエンジンは、NOx分子の約90%がNOであるガス流を発生し得る。酸化触媒は、NOx分子の約50%以上がより高次のNxy分子(例えば、NO2および/またはN25)であり、またはより好ましくは、NOx分子の約70%以上がより高次のNxy分子であり、またはさらにより好ましくは、NOx分子の約80%以上がより高次のNxy分子であるガス流を発生させるように構成され得る。NOx酸化防止剤で処理されないCO触媒については、NOx中で80%を超えるより高次のNxyが、約700°F以下の温度で実現され得る。約85%の酸化効率が、白金ベースの酸化触媒を用いて約350°F〜約700°Fの範囲で実現され得る。この範囲は、触媒組成、触媒表面処理、および触媒の表面積に応じて変化し得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、この方法は、燃料を燃焼してガス流を発生させるステップをさらに含んでもよく、このガス流は、燃料の燃焼に関する反応生成物を含む。例えば、燃料は、炭化水素燃料、非炭化水素燃料、またはそれらの組み合わせを含み得る。例示的な実施形態では、燃料には、天然ガス、石油または石炭が含まれ得る。ガス流は、ガスタービン、ボイラ、炉、精製所、または化学処理プラントなどの様々な発生源で発生し得るが、それらに限定されない。
【0015】
ガス流中のより高次のNxy分子は、溶媒吸収(水性吸収など)または溶媒反応によって酸化触媒の下流で除去することができる。より高次のNxy分子、特にNO2分子およびN25分子は、水に溶け、ガス流に水を加えることによってガス流から除去することができる。例えば、ガス流の中に水を噴霧してガス流中のより高次のNxy分子を吸収することができる。その後、水およびより高次のNxy分子は、ガス流から分離することができる。いくつかの実施形態では、ガス流中の水蒸気を凝縮するようになされた集水器が、酸化触媒の下流に配置され得る。別の実施形態では、水性または他の溶媒膜(solvent film)が、デミスタパッドなど高表面積構造に坦持され、Nxyは、この膜に運ばれる。凝縮水は、ガス流中のより高次のNxy分子を吸収することができ、その後、水およびより高次のNxy分子は、ガス流から分離することができる。他の実施形態では、より高次のNxy分子は、より高次のNxy分子と反応物の反応によって分離することができる。例えば、NO2分子は、石灰ベースの水溶液中などでソーダ石灰と接触および反応し得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、NO分子をより高次のNxy分子に酸化すること、およびより高次のNxy分子の水性吸収および/または水性反応は、ガス流からNOx分子の少なくとも40%を除去するのに効果的なやり方で行われる。好ましい実施形態では、NO分子をより高次のNxy分子に酸化すること、およびより高次のNxy分子の水性吸収および/または水性反応は、ガス流からNOx分子の少なくとも75%を除去するのに効果的なやり方で行われる。有利には、そのようなレベルのNOx還元は、アンモニアを添加することなく実現され得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、燃料源の性質または必要な低減レベルにより、さらにより大量のNOxをガス流から除去することが必要とされる可能性がある。発生源、特に、より高いレベルのNOxを発生させるNOx発生源、またはより大きいNOx削減が必要または所望されるNOx発生源で発生するガス流からのNOxの低減を強化するNOxトリミング方法が提供される。
【0018】
この方法は、ガス流と酸化触媒を接触させることによってガス流中に存在するNOガスのかなりの部分を酸化させてNO2ガスおよび/または他のより高次のNxy酸化物を生成するステップと、溶媒吸収または溶媒反応によってガス流からより高次のNxy分子を除去するステップと、ガス流中に存在するNOx分子と反応するように構成される反応物を、酸化触媒の下流でガス流に噴射するステップとを含んでもよい。例えば、ガス流中のNO分子と反応する反応物が、加えられてもよい。いくつかの実施形態では、この反応物は、オゾンまたはアンモニアであり得る。いくつかの実施形態では、この方法は、排出測定またはモデルベース制御に基づいてガス流に加えることになる反応物の量を制御するステップをさらに含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、より高次のNxy分子がガス流から除去された後に、反応物が加えられてもよい。触媒によってNOをNO2酸化物または他のNxy酸化物に酸化させることにより、排気流から容易に洗浄できるN25などの窒素酸化物を形成するのに必要なオゾン全量を減少させる。例えば、1モルのNOを1モルのNO2に酸化させるのに約1モルのオゾンが必要とされるのに対して、排気流からより高いNOxを除去するために、1モルのNO2をさらにより水に溶けるN25に酸化させるのに約2分の1モルのオゾンが必要とされる。このようにして、酸化触媒によりNOをNO2に酸化させることにより、洗浄前、例えば、LoTOx処理前にオゾンを排気管に加えるシステムについて必要とされるオゾンを約66%だけ減少させることができる。有利なことに、このことにより、そのようなシステムについての資本コストおよび動作コストがより低くなり得る。
システム
別の態様では、NOx排出を低減するシステムが提供される。このシステムは、NOxを含むガス流を発生させるように構成されるガス発生源と、ガス発生源の下流に位置する酸化触媒であって、ガス流中のNOガス分子を酸化させてより高次のNxy分子を生成するように構成される酸化触媒と、水性吸収または水性反応によってガス流からNxy分子を除去するように構成される酸化触媒の下流に位置する除去装置とを備えることができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、このシステムは、燃料を燃焼して燃料の燃焼に関する反応生成物を含むガス流を発生させるように構成されるガス発生源を備えることができる。燃料には、天然ガス、石油または石炭などの炭化水素燃料が含まれ得る。ガス流は、ガスタービン、ボイラ、炉、または化学処理プラント(精製所など)など様々な発生源で発生し得るが、それらに限定されない。
【0021】
ガス流中のより高次のNxy分子は、水性吸収または水性反応によって酸化触媒の下流で除去することができる。より高次のNxy分子は、水に溶け、ガス流に水を加えることによってガス流から除去することができる。例えば、水噴射装置によって、例えば1つまたは複数のスプレイノズルを通じて水をガス流の中に噴霧してガス流中のより高次のNxy分子を吸収することができる。その後、水およびより高次のNxy分子は、ガス流から分離することができる。いくつかの実施形態では、ガス流中の水蒸気を凝縮するようになされた集水器が、酸化触媒の下流に配置され得る。凝縮水は、ガス流中のより高次のNxy分子を吸収することができ、その後、水およびより高次のNxy分子は、ガス流から分離することができる。他の実施形態では、より高次のNxy分子は、より高次のNxy分子と反応物の反応によって分離することができる。例えば、より高次のNxy分子は、ソーダ石灰溶液と接触および反応し得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、NO分子をより高次のNxy分子に酸化すること、およびより高次のNxy分子の水性吸収および/または水性反応は、ガス流からNOx分子の少なくとも40%を除去するのに効果的なやり方で行われる。好ましい実施形態では、NO分子をより高次のNxy分子に酸化すること、およびより高次のNxy分子の水性吸収および/または水性反応は、ガス流からNOx分子の少なくとも75%を除去するのに効果的なやり方で行われる。有利には、そのようなレベルのNOx還元は、アンモニアを添加することなく実現され得る。
【0023】
図1にNOx排出を低減するシステムの実施形態を示す。システム10は、ガスタービンエンジン12などのNOx発生源を有し得る。ガスタービンエンジン12は、排気温度が約800〜約1200°Fで、NOx濃度が9ppmであるガス流を発生し得る。NOx排出の約10%は、NO2を含み得るものであり、残部は主にNOである。ガス流が約350〜約800°Fまで冷却できるように、ガス流が1つまたは複数の熱交換器14を通過してもよい。次いで、ガス流は、酸化触媒16を通過してもよく、この酸化触媒16でNO分子のかなりの部分は、より高次のNxy分子に酸化される。図1の本実施形態では、酸化触媒16から出るガス流は、NOx濃度が9ppmで、NOx排出の約80%が、NO2、またはN25などの他のより高次の窒素酸化物を含むものであり得る。次いで、ガス流は、熱交換器18において約120°Fまでさらに冷却することができる。
【0024】
次いで、冷却したガス流は容器20を通過することができ、この容器20でNxyを、水性溶媒などの溶媒中で洗浄し、吸収または反応し、次いでガス流から除去する。例えば、容器20は、Nxyに対する水または他の溶媒をガス流の中に噴射する水噴射装置を含んでもよい。いくつかの実施形態では、容器20は、ガス流中の水蒸気を凝縮する集水装置を含んでもよい。次いで、液体の水、および吸収したより高次のNxy分子は、ガス流から分離することができ、次いで、ガス流は、大気へ通じる排気管22を通過することができる。排ガス流は、2.5ppmvd(容積比百万分率)のNOxを含有し得る。別の実施形態では、容器20は、NO2に対するソーダ石灰または別の反応物を含んでもよい。
【0025】
より高次のNxy分子の水性吸収および/または水性反応は、様々なやり方で実現することができる。例えば、高い硫黄含量を有する燃料については、より高次のNxy分子の水性吸収および/または水性反応が、排煙脱硫(「FGD」)処理の一部としてFGDユニット内で行われ得る。スプレイ塔、充填層スクラバ(packed bed scrubber)、および/またはベンチュリスクラバなどの様々なタイプのスクラバが、ガス流からより高次のNxy分子を分離するために用いられ得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、燃料源または必要な低減レベルの本質は、さらにより大量のNOxが、ガス流から除去されることを必要とし得ることにある。発生源、特に、より高いレベルのNOxを発生させるNOx発生源、またはより大きいNOx削減が必要または所望されるNOx発生源で発生するガス流からのNOxの低減を強化するNOxトリミングシステムが提供される。
【0027】
一実施形態では、NOxを含むガス流を発生させるように構成されるガス発生源と、ガス発生源の下流に位置する酸化触媒とを備える、NOx排出を低減するシステムが提供される。酸化触媒は、ガス流中のNOガス分子を酸化させてより高次のNxy分子を生成するように構成され得る。このシステムは、水性吸収または水性反応によってガス流からより高次のNxy分子を除去するように構成される酸化触媒の下流に位置する除去システムをさらに備えてもよい。二次NOxトリミングシステムは、酸化触媒の下流に位置してもよい。この二次NOxトリミングシステムは、反応物をガス流に噴射してガス流中に存在するNOx分子と反応させるように構成され得る。
【0028】
このシステムは、NOxトリミング制御システムを備えることもできる。NOxトリミング制御システムは、ガス流に加えることになる反応物の量を制御するように構成され得る。NOxトリミング制御システムは、排出測定またはモデルベース制御に基づいてガス流に加えることになる反応物の量を制御するように構成され得る。
【0029】
様々なNOxトリミングシステムを使用することができる。いくつかの実施形態では、NOxトリミングシステムは、オゾンをガス流に噴射するオゾン噴射システムを備える。他の実施形態では、このトリミングシステムは、アンモニア噴射システムと、このアンモニア噴射システムの下流の選択的接触還元(SCR)触媒とを備える。そのようなトリミングシステムは、いくつかの実施形態において、還元剤を連続的に噴射すること必要とし得るが、より高次のNxy分子を除去する除去システムが、主要なNOx削減システムとして利用され得るので、還元剤の必要性は、実質的に減少し得る。例えば、除去システムは、ガス流中に存在するNOx分子の少なくとも40%、またはより好ましくは、ガス流中に存在するNOx分子の少なくとも75%を除去するように構成される。
【0030】
いくつかの実施形態では、ガス流が酸化触媒に接触する前に、ガス流中に存在するNOx分子の大部分がNO分子である。例えば、ガスタービンエンジンシステムにおいては、タービン排気中のNOx分子の約90%が、NOであり得る。いくつかの実施形態では、酸化触媒は、発生源で発生するNO分子の約50%以上を酸化することができる。いくつかの実施形態では、酸化触媒は、発生源で発生するNO分子の約75%以上を酸化することができる。
【0031】
図2に二次NOxトリミングを用いたNOx低減システムを示す。NOx低減システム30は、ガスタービンエンジン12などのNOx発生源を有し得る。ガスタービンエンジン12は、NOxを含めて燃料の燃焼に関する生成物を含むガス流を発生させ得る。ガス流は、1つまたは複数の熱交換器14を通過し、次いで酸化触媒16を通過することができ、酸化触媒16でNO分子のかなりの部分は、より高次のNxy分子に酸化される。次いで、ガス流は、熱交換器18においてさらに冷却することができる。
【0032】
次いで、冷却したガス流は容器20を通過することができ、この容器20でより高次のNxy分子が水性吸収または水性反応され、ガス流から除去される。例えば、容器20は、NO2に対する水または他の溶媒をガス流の中に噴射する水噴射装置を含んでもよい。いくつかの実施形態では、容器20は、ガス流中の水蒸気を凝縮する集水装置を含んでもよい。次いで、液体の水および吸収したNO2は、ガス流から分離することができ、次いで、ガス流は、NOxトリミングシステム32を通過することができる。
【0033】
別の実施形態では、容器20は、熱交換器およびスクラバを備えて冷却と洗浄の複合段を設けてもよい。排気流中に高濃度のSOxが存在する応用例については、容器20に入る排気温度は、350°Fを超え得る。容器20では、排気温度は、NOおよびNO2をN25に効果的に酸化する前にオゾンの急速な破壊を抑止するためにオゾンを加える前に約250°F以下まで減少され得る。容器20は、いくつかの実施形態においてオゾンを加える機能および最終水洗浄段を与えることができるNOxトリミングシステム32の前に、NOxおよびSOxの一部を洗浄することができる。
【0034】
NOxトリミングシステム32では、反応物を、ガス流中に噴射してガス流中に存在するNO分子と反応させることができる。例えば、アンモニアまたはオゾンが、NOxトリミングシステム32においてガス流に噴射されてもよい。いくつかの実施形態では、NOxトリミングシステム32は、オゾン噴射システムと、水洗浄システムとを備え得る。オゾンは、NOx分子と反応してN25および/またはNO2、または他のNxyを発生させることができ、その後これらは、排気管22において水洗浄システムによって除去することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、NOxトリミングシステムは、NOx分子をN2およびO2に変換するためのNOx還元剤噴射システムおよび還元触媒を含み得る。例えば、図3に示すように、容器20から出るガス流は、アンモニア噴射システム34を通じて、次いで低温選択的接触還元(SCR)触媒36へ供給することができる。次いで、ガス流は、大気へ通じる排気管22を通過することができる。
制御システム
別の態様では、NOx排出を低減するための制御システムが提供される。この制御システムは、NOx低減システムの一部として、トリミング反応物の噴射を制御するために使用することができる。例えば、この制御システムは、燃料の燃焼によりNOxを含むガス流を発生させるように構成されるガス発生源と、ガス発生源の下流に位置する酸化触媒とを含むNOx低減システムと共に使用することができる。酸化触媒は、ガス流中のNOガス分子を酸化させてNO2ガス分子およびN25ガス分子などのより高次のNxy分子を生成するように構成されてもよい。NOx低減システムは、水性吸収または水性反応によってガス流からNO2分子を除去するように構成される酸化触媒の下流に位置するNO2除去システムと、反応物をガス流に噴射するように構成される酸化触媒の下流に位置する二次NOxトリミングシステムとをさらに備えてもよい。この反応物は、ガス流中に存在するNOx分子と反応するように構成され得る。
【0036】
制御システムは、ガス流または燃料の1つまたは複数の特性を測定するように適合および配置されたセンサを備える測定システムを含んでもよい。例えば、この測定システムは、NOxの濃度、NOの濃度、またはNO2の濃度のうち少なくとも1つを測定するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、センサは、NOxトリミングシステムの上流に位置する。いくつかの実施形態では、センサは、酸化触媒の下流に位置する。いくつかの実施形態では、センサは、より高次のNxy分子についての除去システムの下流に位置する。測定システムは、測定した特性を示すデータを転送するように構成することができる。
【0037】
制御システムは、測定システムから転送されるデータを受信するように構成されるコントローラを備えることもできる。このコントローラは、測定システムから転送されるデータに応じてガス流に加えることになる反応物の量を決定するためのアルゴリズムを実行することができる。したがって、このコントローラは、ガス流または燃料の測定した特性に基づいて加えることになる反応物の量を決定することができる。例えば、このセンサが、NOxトリミングシステムの上流でガス流の特性を測定する場合、コントローラは、モデルベースアルゴリズムを用いてガス流に加える反応物の量を決定してもよく、それによって所望のNOx低減を実現する。センサが、NOxトリミングシステムの下流でガス流の特性を測定する場合、コントローラは、閉ループフィードバック制御アルゴリズムを用いて、所望のガス流の特性、例えば、予め指定した制御設定点が実現されるまで加える反応物の量を調整することができる。
【0038】
いくつかの実施形態では、コントローラは、複数のセンサからデータを受信し、多変数アルゴリズムに基づいて加えることになる反応物の量を決定することができる。例えば、コントローラは、NOxの濃度、NOの濃度、NO2の濃度、またはガス流の温度を含むがこれらに限定されない複数のガス流の特性を示す1つまたは複数のセンサからデータを受信することができる。センサは、ガス流の流路に沿った1つまたは複数の位置に配置することもできる。1つまたは複数のセンサによって転送されるデータに基づいて、コントローラは、加える反応物の量を示す制御信号を発生させるように構成されていてもよい。
【0039】
制御システムは、コントローラが発生する制御信号に応じてガス流に噴射される反応物の量を調節するようになされるアクチュエータをさらに備えてもよい。例えば、アクチュエータは、ガス流に加える反応物の量を制御するのに適している制御弁または他の装置を備えてもよい。
【0040】
図4に制御システムのための例示的な制御方式を示す。制御方法40は、燃料またはガス流を測定する感知または測定ステップ42を含むことができる。例えば、ガス流中の1つまたは複数の位置でのNOx、NOおよび/またはNO2の濃度を測定することができる。いくつかの実施形態では、一例として、燃料は、燃料または段位置の窒素含有量、霧化特性、および/または排煙脱硫(FGD)ユニットにおけるスクラブ流(scrubbing flow)の量を決定するために解析されてもよい。
【0041】
次いで、コントローラは、ガス流に加えるトリミング反応物またはスクラブ剤の量を決定する決定ステップ44を実行することができる。いくつかの実施形態では、この決定ステップ44は、1つまたは複数のガス流の測定値を1つまたは複数の予め指定した制御設定点と比較することによって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、この決定ステップ44は、モデルベース制御アルゴリズムを実行することを伴ってもよい。例えば、コントローラは、ガス流に加える反応物または溶媒あるいは両方の量を計算または他の方法で決定して所望のレベルのNOx低減を実現することができる。
【0042】
コントローラが決定ステップ44を実行すると、コントローラは、トリミング反応物のガス流への噴射を作動するために作動ステップ46を実行することができる。作動ステップ46は、制御信号を制御弁などのアクチュエータに転送して、ガス流に加える反応物の量を調節することを伴い得る。オゾンまたはアンモニアを含むがそれらに限定されない様々な反応物が、ガス流に加えられてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、図4の制御方式は、NOx発生源が作動中の間、連続的またはほぼ連続的に実施され得る。いくつかの実施形態では、この制御方式は、例えば、1つまたは複数の予め指定した制御設定点を満たすまたは上回る状態を検出または測定することなどのイベントによって引き起こされ得る。同様に、この処理は、1つまたは複数の予め指定した制御設定点を満たす状態を検出または測定した後に終了し得る。
【0044】
本明細書は、例を用いて、最良の形態を含む本発明を開示しており、いずれかの装置またはシステムを製造および使用し、いずれかの採用した方法を実施することなど、当業者が本発明を実施することも可能にする。本発明の特許性の範囲は、特許請求の範囲によって定められ、当業者が想到する他の例を含み得る。そのような他の例は、そうした他の例が、特許請求の範囲の文言とは異ならない構造的要素を有する場合、またはそうした他の例が、特許請求の範囲の文言とは実質的に差のない均等な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内にあるものとする。
【符号の説明】
【0045】
10 システム
12 ガスタービンエンジン
14 (1つまたは複数の)熱交換器
16 酸化触媒
18 熱交換器
20 容器
22 排気管
30 NOx低減システム
32 NOxトリミングシステム
34 アンモニア噴射システム
36 選択的接触還元(SCR)触媒
40 制御方法
42 測定ステップ
44 決定ステップ
46 作動ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NOx排出を低減するシステム(30)であって、
NOxを含むガス流を発生させるように構成されるガス発生源と、
前記ガス発生源の下流に位置し、前記ガス流中のNOガス分子を酸化させてより高次のNxy分子を生成するように構成される酸化触媒(16)と、
溶媒吸収または溶媒反応によって前記ガス流からより高次のNxy分子を除去するように構成される前記酸化触媒(16)の下流に位置する除去システムと、
前記酸化触媒の下流に位置し、前記ガス流中に存在するNOx分子と反応するように構成される反応物を、前記ガス流に噴射するように構成される二次NOxトリミングシステム(32)と
を備えるシステム(30)。
【請求項2】
NOxトリミング制御システムをさらに備え、前記NOxトリミング制御システム(32)が、前記ガス流に加える反応物の量を制御するように構成される、請求項1記載のシステム(30)。
【請求項3】
前記NOxトリミング制御システム(32)が、排出測定またはモデルベース制御のうち少なくとも1つに基づいて前記ガス流に加える前記反応物の量を制御するように構成される、請求項2記載のシステム(30)。
【請求項4】
前記反応物が、オゾンまたはアンモニアである、請求項1記載のシステム(30)。
【請求項5】
前記二次トリミングシステム(32)が、オゾン噴射システムを備える、請求項1記載のシステム(30)。
【請求項6】
前記二次トリミングシステム(32)が、前記オゾン噴射システムの下流で水スクラバを備える、請求項5記載のシステム(30)。
【請求項7】
前記二次トリミングシステム(32)が、アンモニア噴射システム(34)を備える、請求項1記載のシステム(30)。
【請求項8】
前記二次トリミングシステム(32)が、前記アンモニア噴射システム(34)の下流で選択的接触還元触媒(36)を備える、請求項7記載のシステム(30)。
【請求項9】
前記除去システムが、前記ガス流中に存在する前記NOx分子の少なくとも40%を除去するように構成される、請求項1記載のシステム(30)。
【請求項10】
前記ガス流が前記酸化触媒に接触する前は、前記ガス流中に存在するNOx分子の大部分がNO分子である、請求項1記載のシステム(30)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−230121(P2011−230121A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−90647(P2011−90647)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】