Nb3X化合物系超電導線材の製造方法
【課題】 ジェリーロール法における芯材への原料シートの巻取り作業を容易に行うことができると共に、全長に亘って安定した高い超電導特性を示すNb3X化合物系超電導線材を製造する方法を提供する。
【解決手段】 Nb3X化合物系超電導線材をジェリーロール法によって製造するに当たり、NbまたはNb合金からなるNb含有シートと、Nbと反応して超電導性化合物を形成する元素Xまたは元素Xを含む合金からなるシートを用い、これらを重ね合わせて、全長に亘って表面が周方向に滑らかでない芯材に巻取って構成したロール状積層物を、CuまたはCu合金からなるパイプに挿入し、これを静水圧押し出しすることによって前記シートを襞状に形成した一次超電導線材とする工程を含む。
【解決手段】 Nb3X化合物系超電導線材をジェリーロール法によって製造するに当たり、NbまたはNb合金からなるNb含有シートと、Nbと反応して超電導性化合物を形成する元素Xまたは元素Xを含む合金からなるシートを用い、これらを重ね合わせて、全長に亘って表面が周方向に滑らかでない芯材に巻取って構成したロール状積層物を、CuまたはCu合金からなるパイプに挿入し、これを静水圧押し出しすることによって前記シートを襞状に形成した一次超電導線材とする工程を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Nb3Al系やNb3Sn系(以下、「Nb3X化合物系」と略記することがある)の超電導線材をジェリーロール法によって製造する方法に関するものであり、殊に核融合装置、電力貯蔵装置、物性研究などに使用される超電導マグネットの素材として有用なNb3X化合物系超電導線材を製造するための有用な方法に関するものである。以下では、Nb3X化合物系として、代表的なものとしてNb3Al系超電導線材を採り上げて説明を進める。
【背景技術】
【0002】
高磁場応用の分野において使用される超電導線材においては、高磁界下における高臨界電流密度に加え、超電導線材に作用する電磁力によって生じる機械的歪応力に耐えるだけの耐歪特性の高い材料の開発が望まれている。こうした中で、Nb3Al系金属間化合物は高磁場下での耐歪特性が高いことから、核融合装置、電力貯蔵装置、物性研究等に使用される超電導マグネットへの利用が期待されている。
【0003】
Nb3Al系金属間化合物の生成法としては、(A)線材を加熱して1600℃以上の高温に保持した後に急冷してNb3Al相を得る急熱急冷法、(B)NbとAlを微細に分散させた状態で1000℃以下の温度で熱処理を施してNbとAlの拡散反応でNb3Al相を得る方法(拡散法)等が知られている。
【0004】
上記方法のうち急熱急冷法を適用した場合のNb3Al相は、Nb:Al=3:1という化学量論組成の化合物が安定して存在可能であり、極めて高い超電導特性(高磁場下での高臨界電流密度)が期待できる。しかしながら、1600℃以上の高温条件下では、超電導線材の安定性を高めるために配置されるCuやAlなどの安定化金属が溶融してしまうため、安定化金属の複合が困難であるという問題があり、実用化するための大きな障害になっている。
【0005】
一方、拡散法を適用した場合には、1000℃以下の温度で熱処理されることから、安定化金属の複合化は比較的容易であるが、処理温度が低いため、化学量論組成(Nb:Al=3:1)からずれた化合物が生成し易く、超電導特性が劣ることが多い。但し、この方法では、Nb中への拡散距離が短い場合には、1000℃以下の処理温度であっても良質なNb3Al相が生成することが知られるようになり、この拡散法を適用するNb3Al系超電導線材の開発が進められている。
【0006】
NbへのAlの拡散距離を短くするNb3Al系超電導線材の製造方法として、粉末冶金法、チューブ法、クラッドチップ押出し法、ジェリーロール法等、様々な製造方法が提案されているが、このうちジェリーロール法では超電導線材の多芯化、長尺化が比較的容易であることから実用化に最も適した方法であると考えられている。
【0007】
このジェリーロール法では、NbまたはNb合金からなるNb含有シートと、AlまたはAl合金からなるAl含有シートを、CuまたはCu合金(或はNbまたはNb合金)からなる芯材を中心として重ね巻きして積層物とし、CuまたはCu合金からなるパイプ内に挿入した後、縮径加工(減面加工)して一次超電導線材を作成し、これを同じ断面形状のCu線と一緒にして複数本束ね、CuまたはCu合金からなるパイプ内に挿入して縮径加工することによって多芯フィラメントを持つ線材が製造される。こうした方法では、減面加工を施すことによって、積層されたNb製シートとAl製シートの厚さを薄くしていき、Nb中へのAlの拡散距離を短くすることができる。
【0008】
ところで、加工初期段階の重ね巻き工程においては、巻き密度を上げて反応界面を多く導入することが超電導特性の向上に直結するため、芯材に巻きつける原料シートの広がりを抑えながら巻き密度を上げた巻き取り作業を行う必要がある。
【0009】
またジェリーロール法で、Nb3Al系超電導線材を作製した場合のNb3Al相生成反応は、Nb/Al積層界面のみで起こるので反応速度が遅く、NbとAlを完全に反応させる熱処理条件下では初期に生成したNb3Alの結晶の粗大化が著しく進行し、磁束ピン止め点としてのNb3Al結晶粒界の減少によって、臨界電流密度が劣化することになる。
【0010】
一方、Nb3Al結晶粒の粗大化が進行しない熱処理条件下では、未反応のNbやAlが存在するため、十分な臨界電流密度を得ることはできない。このように、ジェリーロール法で製造したNb3Al系超電導線材に対して拡散法でNb3Al相の生成を試みた場合には、期待するほどの臨界電流密度が得られないという問題がある。こうした問題を解決するために、これまでにも様々な技術が提案されている。
【0011】
例えば特許文献1には、Nb含有シートの結晶組織を調整し、Nb/Al複合組織をAl相がマトリックス中に繊維状に分散した組織とすることによって、臨界電流密度を向上させたNb3Al系超電導線材について提案されている。また特許文献2には、巻き取りに先立ってNb含有シートを熱処理して結晶方位を調整し、Nb含有シートとAl含有シートの界面が密にジグザグ形状となるようにすることによって、臨界電流密度を向上させたNb3Al系超電導線材について提案されている。
【0012】
これらの技術において、臨界電流密度を向上させる原理は、加工に対して異方性を有するNb結晶組織を利用するものである。しかしながら、これらの技術では、線材の長尺化に際して使用する長尺のNb含有シートの厳密な結晶粒組織制御は困難であり、部分的に意図した形状にシートを変形させることが困難であるので、超電導線材の特性にバラツキが生じるという問題がある。
【0013】
ところで、ジェリーロール法でNb含有シートとAl含有シートを芯材に交互に重ね巻きする際には、芯材としては丸棒金属芯を用いるのが一般的であるが、芯材とシート間には十分な摩擦力が働かないことから、芯材が空回りしてシートの巻き弛みが発生しやすくなり、こうした巻き弛みが発生すると超電導特性が低下することになる。こうした巻き弛みを解消するたには、巻き直しを行う必要があるが、そうすると製造時間がかかってしまうという問題がある。また巻き弛みが発生することによる不都合も、従来の技術では解消されていないのが実情である。
【0014】
こうした問題は、上記したNb3Al系超電導線材に限らず、Nbと反応して超電導相を形成する元素(Sn,Ge,Ga等)を用いる場合においても、同様に生じる共通の課題である。
【特許文献1】特許第3438271号公報 特許請求の範囲等
【特許文献2】特開平6−290651号公報 特許請求の範囲等
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、こうした状況の下でなされたものであって、その目的は、ジェリーロール法における芯材への原料シートの巻取り作業を容易に行うことができると共に、全長に亘って安定した高い超電導特性を示すNb3X化合物系超電導線材を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成することのできた本発明のNb3X化合物系超電導線材の製造方法とは、Nb3X化合物系超電導線材をジェリーロール法によって製造するに当たり、NbまたはNb合金からなるNb含有シートと、Nbと反応して超電導性化合物を形成する元素Xまたは元素Xを含む合金からなるシートを用い、これらを重ね合わせて、全長に亘って表面が周方向に滑らかでない芯材に巻取って構成したロール状積層物を、CuまたはCu合金からなるパイプに挿入し、これを静水圧押し出しすることによって前記シートを襞状に形成した一次超電導線材とする工程を含む点に要旨を有するものである。
【0017】
本発明の製造方法においては、前記一次超電導線材を複数本束ねて、CuまたはCu合金からなるパイプに挿入し、これを縮径加工した後熱処理することによって多芯線のNb3X化合物系超電導線材を得ることができる。
【0018】
また、本発明の製造方法においては、Nbと反応して超電導性化合物を形成する元素Xとしては、Al,Sn,GeおよびGaよりなる群から選ばれる1種以上の元素が挙げられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の製造方法では、Nb3X化合物系超伝導線材をジェリーロール法によって製造するに際して、全長に亘って表面が周方向に滑らかでない芯材を用いると共に、この芯材にシートを巻取って構成したロール状積層物を、CuまたはCu合金からなるパイプに挿入し、これを静水圧押し出しすることによって前記シートを襞状に形成した一次超電導線材を用いることによって、金属芯材へのシートの巻き取り作業を容易にすることができると共に、希望する超電導特性を発揮する超電導線材が得られることになる。また上記の様な一次超電導線材を複数本束ねて、CuまたはCu合金からなるパイプに挿入し、これを縮径加工した後熱処理することによって、効果的に線材の多芯化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明者らは、従来技術における問題を解決するには、(1)金属芯材とシートとの摩擦力を増大させるような構成を採用すること、および(2)積層の各界面を全長さに亘って襞状に変形させた構成とし、Nbと元素Xの接触面積を大きくし、結晶粒の粗大化が進行する前にNbと元素Xとの拡散反応を完了させることが必要であると考えた。こうした着想に基づいて様々な角度から検討した。その結果、上記のような構成を採用すれば、上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明の構成を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
本発明では、NbまたはNb合金からなるNb含有シートと、Nbと反応して超電導性化合物を形成する元素Xまたは元素Xを含む合金からなるシート(以下、「Al含有シートで代表する」を重ね合わせて芯材に巻取る必要があるが、このとき用いる芯材の形状例を模式的に図1に示す。
【0022】
図1に示した芯材1では、芯材表面の軸心方向全長に沿って凹凸1aが形成されたものである。こうした芯材に対して、その表面にNb含有シート2とAl含有シート3を重ね合わせて(Nb/Al積層部4)、芯材1に巻き取った後の断面構造(一次複合材)を図2に示す。
【0023】
図2に示すように、芯材1とNb/Al積層部4が接しない芯材凹部には、空隙5が形成された状態となっている。こうした構成の一次複合材6をCuまたはCu合金ケース7中に装填後、静水圧押し出し・伸線加工すると、図3に示すような単芯複合材(一次超電導線材)10を得ることができる。
【0024】
この単芯複合材10では、静水圧押し出しの際に、印加される等方圧と伸線ダイスによる減面加工によって、前記空隙5内にNb/Al積層部4が変形して入り込み、図4(図3のA領域部分拡大図)に示すように、襞状に変形したNb/Al積層部4を得ることができる。
【0025】
尚、一次複合材を構成するに際して、芯材1として安定化の為のCu(安定化銅)を配置する場合には、Nb3Al相生成熱処理中の安定化銅の汚損を防止する為に、Nb含有シートとAl含有シートを重ね巻きする前に、芯材にNbシートを複数回巻き付けて拡散障壁層を設けるようにしてもよい。また、外側のCu安定化銅(前記CuまたはCu合金ケース7)の汚染を防ぐ為に、Nb/Al積層部の外側にNb管(Nb含有材をパイプ状に加工したもの)を被せるか、或いはNb/Al積層部を巻き取った後に、Nbシートを複数回巻き付け、拡散障壁層を設けることも可能である。
【0026】
次に、一次超電導線材10を伸線によって六角断面形状にして、同じ様に六角断面形状にしたCuまたはCu合金スペーサ(図示せず)とともに複数本束ね、図5に示すようにCuまたはCu合金製パイプ8内に挿入して、押出し加工および伸線加工を行い、図6に示すような断面形状のNb3Al系多芯超電導線材12を得る。
【0027】
最終的に、このNb3Al系多芯超電導線材12を比較的低い温度(例えば、700〜800℃程度)で熱処理することによって、Nb含有シート2とAl含有シート3の間で反応が進行し、Nb3Al系超電導体相が形成されてNb3Al系超伝導線材を得ることができる。
【0028】
こうした構成では、表面が周方向に滑らかでない芯材1を使用するものであるので、芯材1とこの芯材に直接巻き付ける原料シート間の摩擦が向上することになり、巻き取り作業性が良好となり、短時間で巻き密度を向上させながら巻き取り作業が可能となる。
【0029】
また、上記のような構成の芯材1に複合材(Nb/Al積層部4)を巻き取った後に、等方静水圧を印加することによって、巻き付けたNbシート2とAlシート3を直接的に襞状に変形することが可能となり、事前の熱処理などを必要とせずに、確実に且つ容易に線材全長さに亘ってNbとAlの反応界面を増大した超電導特性の高いNb3Al系超電導線材が実現できる。また、こうした構成であれば、従来と比べて大幅に反応界面を増大することができることになる。
【0030】
前記図1に示した芯材1の構成では、芯材1の凸部の断面形状は先細り状のものを示したけれども、この凸部形状は図1に示したものに限らず、例えば図7に示すように断面矩形の歯車型のものや、図8に示すように断面波状のもの、等を形成することができる。また、この凹凸形状は軸心方向に沿って一定のものにする必要はなく、例えば図9に示すように平面格子状となる凹凸であってもよい。更には、ローレット加工(ナーリング)によって、その表面にダイヤモンド状や七子目状の刻みをいれたものであっても良い。要するに、表面性状が周方向に滑らかでないものであれば、いずれも本発明の芯材1として用いることができる。こうした表面性状における凹部と凸部の高低も自由に選択可能であるので、任意の形状(断面襞状)のNb/Al積層部4を形成することができる。
【0031】
尚本発明で用いるNb含有シート2としては、工業用純Nbの他、Ti,Ta,Zr,Hf等の合金元素を含むNb合金を用いることができる。またNbと反応して超電導性化合物を形成する元素Xとしては、Al,Sn,GeおよびGaよりなる群から選ばれる1種以上の元素が挙げられ、これらの単独の元素からなるシート、或いはこれらの2種以上を合金化したシート、更にはMg,Be,Ag,Cu等の合金元素を含有させたもの等は、いずれも元素Xを含むシートとして用いることができる。
【0032】
以下、本発明を実施例によってより具体的に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【実施例】
【0033】
実施例
芯材1として、凹部と凸部の直径の差が1.0mmとなるようにローレット加工を施したCu棒を用い、これに厚み0.1mmのNbシート2と厚み0.03mmのAlシート3を積層して巻き取り、前記図2に示したような一次複合材6を作製した。このとき、Nbシート2とAlシート3の巻き取りに要した時間は約2時間であった。
【0034】
得られた一次複合材をCuケース7中に装填後(前記図3)、静水圧押し出し・伸線加工し、六角断面単芯複合材(Nb/Al/Cu複合体)を作製した。この六角断面単芯複合材を102本束ねてCuケース内に組み込み、伸線加工を行い、φ1.00mmまで加工し、多芯複合材(Nb3Al系多芯超電導線材12)を作製した。
【0035】
作製した多芯複合材中のNb/Al積層部形状調査のために多芯複合材を50等分し、その断面を観察したところ、いずれの断面においてもNb/Al積層部4は前記図4に模式的に示したような非常に細かな湾曲部を持つ襞状を呈していた。
【0036】
またこの多芯複合材を、750℃×50時間のNb3Al相生成熱処理を施し、温度:4.2k、磁場:12Tで臨界電流密度を測定したところ、690A/mm2であった。
【0037】
比較例
芯材1として、滑らかな表面を持つCu棒を用い、これに厚み0.1mmのNbシートと厚み0.03mmのAlシートを積層して巻き取り、図10に示すような一次複合材15を作製した。このとき、Nbシート2とAlシート3の巻き取りに要した時間は約5時間であった。
【0038】
得られた一次複合材15をCuケース7中に装填後、静水圧押し出し・伸線加工し、図11に示すような単芯複合材16を作製した。更に、この単芯複合材16を加工し、六角断面単芯複合材(Nb/Al/Cu複合体)を作製した。この六角断面単芯複合材を102本束ねてCuケース内に組み込み、伸線加工を行い、φ1.00mmまで加工し、多芯複合材を作製した。
【0039】
作製した多芯複合材中のNb/Al積層部形状調査のために多芯複合材を50等分し、その断面を観察したところ、いずれの断面においてもNb/Al積層部は図12(図11におけるB領域部分拡大図)に模式的に示すようわずかに湾曲した形状を呈していた。
【0040】
またこの多芯複合材を、750℃×50時間のNb3Al相生成熱処理を施し、温度:4.2k、磁場:12Tで臨界電流密度を測定したところ、630A/mm2であった。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明で使用する芯材1の一例を示す概略図である。
【図2】本発明で作製される一次複合材6の一構成例を示した概略断面図である。
【図3】本発明で作製される単芯複合材10の概略図である。
【図4】図3におけるA領域部分拡大図である。
【図5】本発明でNb3Al系多芯超電導線材を作製する際の模式図である。
【図6】本発明で作製されるNb3Al系多芯超電導線材の概略断面図である。
【図7】本発明で使用する芯材1の他の例を示す概略断面図である。
【図8】本発明で使用する芯材1の更に他の例を示す概略断面図である。
【図9】本発明で使用する芯材の他の例を示す概略断面図である。
【図10】比較例としての一次複合材15の構成例を示した概略断面図である。
【図11】比較例としての単芯複合材16の一構成例を示す概略断面図である。
【図12】図11におけるB領域部分拡大図である。
【符号の説明】
【0042】
1 芯材
2 Nb含有シート
3 Al含有シート
4 Nb/Al積層部
5 空隙
6,15 一次複合材
10,16 単芯複合材(一次超電導線材)
12 Nb3Al系多芯超電導線材
【技術分野】
【0001】
本発明は、Nb3Al系やNb3Sn系(以下、「Nb3X化合物系」と略記することがある)の超電導線材をジェリーロール法によって製造する方法に関するものであり、殊に核融合装置、電力貯蔵装置、物性研究などに使用される超電導マグネットの素材として有用なNb3X化合物系超電導線材を製造するための有用な方法に関するものである。以下では、Nb3X化合物系として、代表的なものとしてNb3Al系超電導線材を採り上げて説明を進める。
【背景技術】
【0002】
高磁場応用の分野において使用される超電導線材においては、高磁界下における高臨界電流密度に加え、超電導線材に作用する電磁力によって生じる機械的歪応力に耐えるだけの耐歪特性の高い材料の開発が望まれている。こうした中で、Nb3Al系金属間化合物は高磁場下での耐歪特性が高いことから、核融合装置、電力貯蔵装置、物性研究等に使用される超電導マグネットへの利用が期待されている。
【0003】
Nb3Al系金属間化合物の生成法としては、(A)線材を加熱して1600℃以上の高温に保持した後に急冷してNb3Al相を得る急熱急冷法、(B)NbとAlを微細に分散させた状態で1000℃以下の温度で熱処理を施してNbとAlの拡散反応でNb3Al相を得る方法(拡散法)等が知られている。
【0004】
上記方法のうち急熱急冷法を適用した場合のNb3Al相は、Nb:Al=3:1という化学量論組成の化合物が安定して存在可能であり、極めて高い超電導特性(高磁場下での高臨界電流密度)が期待できる。しかしながら、1600℃以上の高温条件下では、超電導線材の安定性を高めるために配置されるCuやAlなどの安定化金属が溶融してしまうため、安定化金属の複合が困難であるという問題があり、実用化するための大きな障害になっている。
【0005】
一方、拡散法を適用した場合には、1000℃以下の温度で熱処理されることから、安定化金属の複合化は比較的容易であるが、処理温度が低いため、化学量論組成(Nb:Al=3:1)からずれた化合物が生成し易く、超電導特性が劣ることが多い。但し、この方法では、Nb中への拡散距離が短い場合には、1000℃以下の処理温度であっても良質なNb3Al相が生成することが知られるようになり、この拡散法を適用するNb3Al系超電導線材の開発が進められている。
【0006】
NbへのAlの拡散距離を短くするNb3Al系超電導線材の製造方法として、粉末冶金法、チューブ法、クラッドチップ押出し法、ジェリーロール法等、様々な製造方法が提案されているが、このうちジェリーロール法では超電導線材の多芯化、長尺化が比較的容易であることから実用化に最も適した方法であると考えられている。
【0007】
このジェリーロール法では、NbまたはNb合金からなるNb含有シートと、AlまたはAl合金からなるAl含有シートを、CuまたはCu合金(或はNbまたはNb合金)からなる芯材を中心として重ね巻きして積層物とし、CuまたはCu合金からなるパイプ内に挿入した後、縮径加工(減面加工)して一次超電導線材を作成し、これを同じ断面形状のCu線と一緒にして複数本束ね、CuまたはCu合金からなるパイプ内に挿入して縮径加工することによって多芯フィラメントを持つ線材が製造される。こうした方法では、減面加工を施すことによって、積層されたNb製シートとAl製シートの厚さを薄くしていき、Nb中へのAlの拡散距離を短くすることができる。
【0008】
ところで、加工初期段階の重ね巻き工程においては、巻き密度を上げて反応界面を多く導入することが超電導特性の向上に直結するため、芯材に巻きつける原料シートの広がりを抑えながら巻き密度を上げた巻き取り作業を行う必要がある。
【0009】
またジェリーロール法で、Nb3Al系超電導線材を作製した場合のNb3Al相生成反応は、Nb/Al積層界面のみで起こるので反応速度が遅く、NbとAlを完全に反応させる熱処理条件下では初期に生成したNb3Alの結晶の粗大化が著しく進行し、磁束ピン止め点としてのNb3Al結晶粒界の減少によって、臨界電流密度が劣化することになる。
【0010】
一方、Nb3Al結晶粒の粗大化が進行しない熱処理条件下では、未反応のNbやAlが存在するため、十分な臨界電流密度を得ることはできない。このように、ジェリーロール法で製造したNb3Al系超電導線材に対して拡散法でNb3Al相の生成を試みた場合には、期待するほどの臨界電流密度が得られないという問題がある。こうした問題を解決するために、これまでにも様々な技術が提案されている。
【0011】
例えば特許文献1には、Nb含有シートの結晶組織を調整し、Nb/Al複合組織をAl相がマトリックス中に繊維状に分散した組織とすることによって、臨界電流密度を向上させたNb3Al系超電導線材について提案されている。また特許文献2には、巻き取りに先立ってNb含有シートを熱処理して結晶方位を調整し、Nb含有シートとAl含有シートの界面が密にジグザグ形状となるようにすることによって、臨界電流密度を向上させたNb3Al系超電導線材について提案されている。
【0012】
これらの技術において、臨界電流密度を向上させる原理は、加工に対して異方性を有するNb結晶組織を利用するものである。しかしながら、これらの技術では、線材の長尺化に際して使用する長尺のNb含有シートの厳密な結晶粒組織制御は困難であり、部分的に意図した形状にシートを変形させることが困難であるので、超電導線材の特性にバラツキが生じるという問題がある。
【0013】
ところで、ジェリーロール法でNb含有シートとAl含有シートを芯材に交互に重ね巻きする際には、芯材としては丸棒金属芯を用いるのが一般的であるが、芯材とシート間には十分な摩擦力が働かないことから、芯材が空回りしてシートの巻き弛みが発生しやすくなり、こうした巻き弛みが発生すると超電導特性が低下することになる。こうした巻き弛みを解消するたには、巻き直しを行う必要があるが、そうすると製造時間がかかってしまうという問題がある。また巻き弛みが発生することによる不都合も、従来の技術では解消されていないのが実情である。
【0014】
こうした問題は、上記したNb3Al系超電導線材に限らず、Nbと反応して超電導相を形成する元素(Sn,Ge,Ga等)を用いる場合においても、同様に生じる共通の課題である。
【特許文献1】特許第3438271号公報 特許請求の範囲等
【特許文献2】特開平6−290651号公報 特許請求の範囲等
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、こうした状況の下でなされたものであって、その目的は、ジェリーロール法における芯材への原料シートの巻取り作業を容易に行うことができると共に、全長に亘って安定した高い超電導特性を示すNb3X化合物系超電導線材を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成することのできた本発明のNb3X化合物系超電導線材の製造方法とは、Nb3X化合物系超電導線材をジェリーロール法によって製造するに当たり、NbまたはNb合金からなるNb含有シートと、Nbと反応して超電導性化合物を形成する元素Xまたは元素Xを含む合金からなるシートを用い、これらを重ね合わせて、全長に亘って表面が周方向に滑らかでない芯材に巻取って構成したロール状積層物を、CuまたはCu合金からなるパイプに挿入し、これを静水圧押し出しすることによって前記シートを襞状に形成した一次超電導線材とする工程を含む点に要旨を有するものである。
【0017】
本発明の製造方法においては、前記一次超電導線材を複数本束ねて、CuまたはCu合金からなるパイプに挿入し、これを縮径加工した後熱処理することによって多芯線のNb3X化合物系超電導線材を得ることができる。
【0018】
また、本発明の製造方法においては、Nbと反応して超電導性化合物を形成する元素Xとしては、Al,Sn,GeおよびGaよりなる群から選ばれる1種以上の元素が挙げられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の製造方法では、Nb3X化合物系超伝導線材をジェリーロール法によって製造するに際して、全長に亘って表面が周方向に滑らかでない芯材を用いると共に、この芯材にシートを巻取って構成したロール状積層物を、CuまたはCu合金からなるパイプに挿入し、これを静水圧押し出しすることによって前記シートを襞状に形成した一次超電導線材を用いることによって、金属芯材へのシートの巻き取り作業を容易にすることができると共に、希望する超電導特性を発揮する超電導線材が得られることになる。また上記の様な一次超電導線材を複数本束ねて、CuまたはCu合金からなるパイプに挿入し、これを縮径加工した後熱処理することによって、効果的に線材の多芯化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明者らは、従来技術における問題を解決するには、(1)金属芯材とシートとの摩擦力を増大させるような構成を採用すること、および(2)積層の各界面を全長さに亘って襞状に変形させた構成とし、Nbと元素Xの接触面積を大きくし、結晶粒の粗大化が進行する前にNbと元素Xとの拡散反応を完了させることが必要であると考えた。こうした着想に基づいて様々な角度から検討した。その結果、上記のような構成を採用すれば、上記目的が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。以下、本発明の構成を、図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
本発明では、NbまたはNb合金からなるNb含有シートと、Nbと反応して超電導性化合物を形成する元素Xまたは元素Xを含む合金からなるシート(以下、「Al含有シートで代表する」を重ね合わせて芯材に巻取る必要があるが、このとき用いる芯材の形状例を模式的に図1に示す。
【0022】
図1に示した芯材1では、芯材表面の軸心方向全長に沿って凹凸1aが形成されたものである。こうした芯材に対して、その表面にNb含有シート2とAl含有シート3を重ね合わせて(Nb/Al積層部4)、芯材1に巻き取った後の断面構造(一次複合材)を図2に示す。
【0023】
図2に示すように、芯材1とNb/Al積層部4が接しない芯材凹部には、空隙5が形成された状態となっている。こうした構成の一次複合材6をCuまたはCu合金ケース7中に装填後、静水圧押し出し・伸線加工すると、図3に示すような単芯複合材(一次超電導線材)10を得ることができる。
【0024】
この単芯複合材10では、静水圧押し出しの際に、印加される等方圧と伸線ダイスによる減面加工によって、前記空隙5内にNb/Al積層部4が変形して入り込み、図4(図3のA領域部分拡大図)に示すように、襞状に変形したNb/Al積層部4を得ることができる。
【0025】
尚、一次複合材を構成するに際して、芯材1として安定化の為のCu(安定化銅)を配置する場合には、Nb3Al相生成熱処理中の安定化銅の汚損を防止する為に、Nb含有シートとAl含有シートを重ね巻きする前に、芯材にNbシートを複数回巻き付けて拡散障壁層を設けるようにしてもよい。また、外側のCu安定化銅(前記CuまたはCu合金ケース7)の汚染を防ぐ為に、Nb/Al積層部の外側にNb管(Nb含有材をパイプ状に加工したもの)を被せるか、或いはNb/Al積層部を巻き取った後に、Nbシートを複数回巻き付け、拡散障壁層を設けることも可能である。
【0026】
次に、一次超電導線材10を伸線によって六角断面形状にして、同じ様に六角断面形状にしたCuまたはCu合金スペーサ(図示せず)とともに複数本束ね、図5に示すようにCuまたはCu合金製パイプ8内に挿入して、押出し加工および伸線加工を行い、図6に示すような断面形状のNb3Al系多芯超電導線材12を得る。
【0027】
最終的に、このNb3Al系多芯超電導線材12を比較的低い温度(例えば、700〜800℃程度)で熱処理することによって、Nb含有シート2とAl含有シート3の間で反応が進行し、Nb3Al系超電導体相が形成されてNb3Al系超伝導線材を得ることができる。
【0028】
こうした構成では、表面が周方向に滑らかでない芯材1を使用するものであるので、芯材1とこの芯材に直接巻き付ける原料シート間の摩擦が向上することになり、巻き取り作業性が良好となり、短時間で巻き密度を向上させながら巻き取り作業が可能となる。
【0029】
また、上記のような構成の芯材1に複合材(Nb/Al積層部4)を巻き取った後に、等方静水圧を印加することによって、巻き付けたNbシート2とAlシート3を直接的に襞状に変形することが可能となり、事前の熱処理などを必要とせずに、確実に且つ容易に線材全長さに亘ってNbとAlの反応界面を増大した超電導特性の高いNb3Al系超電導線材が実現できる。また、こうした構成であれば、従来と比べて大幅に反応界面を増大することができることになる。
【0030】
前記図1に示した芯材1の構成では、芯材1の凸部の断面形状は先細り状のものを示したけれども、この凸部形状は図1に示したものに限らず、例えば図7に示すように断面矩形の歯車型のものや、図8に示すように断面波状のもの、等を形成することができる。また、この凹凸形状は軸心方向に沿って一定のものにする必要はなく、例えば図9に示すように平面格子状となる凹凸であってもよい。更には、ローレット加工(ナーリング)によって、その表面にダイヤモンド状や七子目状の刻みをいれたものであっても良い。要するに、表面性状が周方向に滑らかでないものであれば、いずれも本発明の芯材1として用いることができる。こうした表面性状における凹部と凸部の高低も自由に選択可能であるので、任意の形状(断面襞状)のNb/Al積層部4を形成することができる。
【0031】
尚本発明で用いるNb含有シート2としては、工業用純Nbの他、Ti,Ta,Zr,Hf等の合金元素を含むNb合金を用いることができる。またNbと反応して超電導性化合物を形成する元素Xとしては、Al,Sn,GeおよびGaよりなる群から選ばれる1種以上の元素が挙げられ、これらの単独の元素からなるシート、或いはこれらの2種以上を合金化したシート、更にはMg,Be,Ag,Cu等の合金元素を含有させたもの等は、いずれも元素Xを含むシートとして用いることができる。
【0032】
以下、本発明を実施例によってより具体的に説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のものではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【実施例】
【0033】
実施例
芯材1として、凹部と凸部の直径の差が1.0mmとなるようにローレット加工を施したCu棒を用い、これに厚み0.1mmのNbシート2と厚み0.03mmのAlシート3を積層して巻き取り、前記図2に示したような一次複合材6を作製した。このとき、Nbシート2とAlシート3の巻き取りに要した時間は約2時間であった。
【0034】
得られた一次複合材をCuケース7中に装填後(前記図3)、静水圧押し出し・伸線加工し、六角断面単芯複合材(Nb/Al/Cu複合体)を作製した。この六角断面単芯複合材を102本束ねてCuケース内に組み込み、伸線加工を行い、φ1.00mmまで加工し、多芯複合材(Nb3Al系多芯超電導線材12)を作製した。
【0035】
作製した多芯複合材中のNb/Al積層部形状調査のために多芯複合材を50等分し、その断面を観察したところ、いずれの断面においてもNb/Al積層部4は前記図4に模式的に示したような非常に細かな湾曲部を持つ襞状を呈していた。
【0036】
またこの多芯複合材を、750℃×50時間のNb3Al相生成熱処理を施し、温度:4.2k、磁場:12Tで臨界電流密度を測定したところ、690A/mm2であった。
【0037】
比較例
芯材1として、滑らかな表面を持つCu棒を用い、これに厚み0.1mmのNbシートと厚み0.03mmのAlシートを積層して巻き取り、図10に示すような一次複合材15を作製した。このとき、Nbシート2とAlシート3の巻き取りに要した時間は約5時間であった。
【0038】
得られた一次複合材15をCuケース7中に装填後、静水圧押し出し・伸線加工し、図11に示すような単芯複合材16を作製した。更に、この単芯複合材16を加工し、六角断面単芯複合材(Nb/Al/Cu複合体)を作製した。この六角断面単芯複合材を102本束ねてCuケース内に組み込み、伸線加工を行い、φ1.00mmまで加工し、多芯複合材を作製した。
【0039】
作製した多芯複合材中のNb/Al積層部形状調査のために多芯複合材を50等分し、その断面を観察したところ、いずれの断面においてもNb/Al積層部は図12(図11におけるB領域部分拡大図)に模式的に示すようわずかに湾曲した形状を呈していた。
【0040】
またこの多芯複合材を、750℃×50時間のNb3Al相生成熱処理を施し、温度:4.2k、磁場:12Tで臨界電流密度を測定したところ、630A/mm2であった。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明で使用する芯材1の一例を示す概略図である。
【図2】本発明で作製される一次複合材6の一構成例を示した概略断面図である。
【図3】本発明で作製される単芯複合材10の概略図である。
【図4】図3におけるA領域部分拡大図である。
【図5】本発明でNb3Al系多芯超電導線材を作製する際の模式図である。
【図6】本発明で作製されるNb3Al系多芯超電導線材の概略断面図である。
【図7】本発明で使用する芯材1の他の例を示す概略断面図である。
【図8】本発明で使用する芯材1の更に他の例を示す概略断面図である。
【図9】本発明で使用する芯材の他の例を示す概略断面図である。
【図10】比較例としての一次複合材15の構成例を示した概略断面図である。
【図11】比較例としての単芯複合材16の一構成例を示す概略断面図である。
【図12】図11におけるB領域部分拡大図である。
【符号の説明】
【0042】
1 芯材
2 Nb含有シート
3 Al含有シート
4 Nb/Al積層部
5 空隙
6,15 一次複合材
10,16 単芯複合材(一次超電導線材)
12 Nb3Al系多芯超電導線材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Nb3X化合物系超電導線材をジェリーロール法によって製造するに当たり、NbまたはNb合金からなるNb含有シートと、Nbと反応して超電導性化合物を形成する元素Xまたは元素Xを含む合金からなるシートを用い、これらを重ね合わせて、全長に亘って表面が周方向に滑らかでない芯材に巻取って構成したロール状積層物を、CuまたはCu合金からなるパイプに挿入し、これを静水圧押し出しすることによって前記シートを襞状に形成した一次超電導線材とする工程を含むことを特徴とするNb3X化合物系超電導線材の製造方法。
【請求項2】
前記一次超電導線材を複数本束ねて、CuまたはCu合金からなるパイプに挿入し、これを縮径加工した後熱処理する請求項1に記載のNb3X化合物系超電導線材の製造方法。
【請求項3】
Nbと反応して超電導性化合物を形成する元素Xは、Al,Sn,GeおよびGaよりなる群から選ばれる1種以上の元素である請求項1または2に記載のNb3X系超電導線材の製造方法。
【請求項1】
Nb3X化合物系超電導線材をジェリーロール法によって製造するに当たり、NbまたはNb合金からなるNb含有シートと、Nbと反応して超電導性化合物を形成する元素Xまたは元素Xを含む合金からなるシートを用い、これらを重ね合わせて、全長に亘って表面が周方向に滑らかでない芯材に巻取って構成したロール状積層物を、CuまたはCu合金からなるパイプに挿入し、これを静水圧押し出しすることによって前記シートを襞状に形成した一次超電導線材とする工程を含むことを特徴とするNb3X化合物系超電導線材の製造方法。
【請求項2】
前記一次超電導線材を複数本束ねて、CuまたはCu合金からなるパイプに挿入し、これを縮径加工した後熱処理する請求項1に記載のNb3X化合物系超電導線材の製造方法。
【請求項3】
Nbと反応して超電導性化合物を形成する元素Xは、Al,Sn,GeおよびGaよりなる群から選ばれる1種以上の元素である請求項1または2に記載のNb3X系超電導線材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−59757(P2006−59757A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242601(P2004−242601)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
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