説明

OLEDアプリケーション用オキサゾール−三重項−発光体

本発明は、特にリガンドとして使用され得る化合物、錯体、および、発光素子、特に有機発光素子(OLED)に関するものである。本発明は特に、このような素子における、発光するオキサゾール−キレート−金属錯体の発光体としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、特にリガンドとして使用可能な化合物、錯体、および、発光素子、特に有機発光素子(OLED)に関する。本発明は特に、このような発光素子における、発光するオキサゾール−キレート−金属錯体の発光体としての使用に関する。
【0002】
OLED(有機発光素子(Organic Light Emitting Devices))、または、有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diodes)は、スクリーン技術および照明技術を劇的に変化させる新たな技術を提示するものである。OLEDは、主として有機層から成り、この有機層は、柔軟性があり、コスト効率良く製造することが可能である。OLED部材を、照明器具として広面積に形成することも、ディスプレイ用の画素として小型に形成することも可能である。
【0003】
OLEDの機能全般については、例えば、H. Yersin、Top. Curr. Chem. 2004, 241,1、および、H. Yersin、「Highly Efficient OLEDs with Phosphorescent Materials」, Wiley-VCH 2006に記載されている。
【0004】
OLEDの機能は、C. Adachi et al., Appl. Phys. Lett. 2001, 78, 1622、X.H. Yang et al., Appl. Phys. Lett. 2004, 84, 2476、J. Shinar, 「Organic Light-Emitting Devices - A Survey」, AIP-Press, Springer, New York 2004、W. Sotoyama et al., Appl. Phys. Lett. 2005, 86, 153505、S. Okada et al., Dalton Trans., 2005, 1583、および、Y. -L. Tung et al., J. Mater. Chem., 2005, 15, 460-464にも記載されている。
【0005】
OLEDに関して初めて報告されて以来(例えばTang et al., Appl. Phys. Lett. 51,(1987) 913)、この素子は、特に用いられる発光材料に関して、さらに開発されており、近年では特に、いわゆる三重項発光体、または、燐光を発する発光体に関心が持たれている。
【0006】
例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ、または、ブラウン管(CRT)といった従来の技術と比べて、OLEDは多くの利点を有している。これは例えば、動作電圧が低い点、構成が平坦である点、高効率な自己発光画素である点、コントラストが大きい点、解像度が良好である点、および、全色を表示することが可能である点である。さらにOLEDは、電圧を印加すると、光を調節するだけでなく光を放射する。OLEDには既に数多くのアプリケーションが開拓され、新たなアプリケーションの領域にも可能性は開かれているが、依然として、改善されたOLED、および特に、改善された三重項発光材料に関する需要が存在している。従来の解決方法では、長期的安定性、熱的安定性、および、水と酸素に対する化学的安定性に関する問題が生じていた。さらに、多くの発光体は昇華し難い。また、現在のところ公知である発光材料では、重要な発光色を自由に用いることは不可能な場合が多い。多くの場合、電流密度が高い場合にも、または、輝度が高い場合にも高い効率を実現することは不可能である。従って、多くの発光材料では、製造技術における再現性に関する問題が存在している。
【0007】
さらに、金属有機物質、いわゆる三重項発光体を有するOLEDの光収率は、純有機材料の光収率と比べて著しく高くなり得ることが分かっている。この特性のために、有機金属材料のさらなる開発が極めて重要である。三重項発光体については、例えば、WO2004/017043 A2 (Thompson)、WO2004/016711 A1 (Thompson)、WO03/095587 (Tsuboyama)、US2003/0205707 (Chi-Ming Che)、US2002/0179885 (Chi-Ming Che)、US2003/186080 A1 (J. Kamatani)、DE10350606 A1 (Stoessel)、DE10338550 (Bold)、DE10358665 A1 (Lennartz)に記載されている。
【0008】
本発明の一課題は、従来技術の欠点を少なくとも部分的に克服すると共に、特に極めて安定し且つ良好に昇華可能な、新規の発光材料、特にOLED用発光材料、および、新規の発光素子を提供することにある。
【0009】
上記課題を、本発明では、一般式(I)または(II)の錯体によって解決する。
【0010】
【化1】

ここで、Mは、遷移金属の第2周期または第3周期の第6族元素〜第11族元素のうちの1つの元素、特にMo、Ru、Rh、Pd、Ag、W、Re、Os、Ir、Pt、および、Auから選択されたものであり、
Xは、周期表の第15族元素または第16族元素のうちの1つの元素、および、特に酸素を示し、
〜Rは、それぞれ互いに独立して、水素、ハロゲン、R’、O−R’、または、N−R’R’’を示し、
ここで、R’は、場合によってはヘテロ原子を含有し得る炭化水素基を示し、R’’はHを表し、または、R’に与えられた意味を有するものであり、2つまたはそれ以上の基R〜Rはまた、融合した環系を形成することが可能であり、
、L、および、Lは、それぞれ互いに独立して、負に帯電したリガンドまたは中性のリガンドを示し、ここで、2つまたはそれ以上のリガンドL、L、および、Lは、互いに結合されていてもよい。
【0011】
本発明に係る錯体は、特に、発光する化合物である。この錯体は、中心原子を有し、該中心原子は、遷移金属の第2周期および第3周期の第6族元素〜第11族元素のうちの1つの元素から、特にMo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、W、Re、Os、Ir、Pt、および、Auから、好ましくは、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、W、Re、Os、Ir、Pt、および、Auから、さらにより好ましくは、Pt、Pd、Ru、Os、または、Irから、とりわけPtまたはPdから選択されたものである。この中心原子は、酸化数0以上+4以下で存在することが好ましい。特に好ましくは、この中心原子は、Pt(II)、Ir(III)、または、Pd(III)である。本発明によれば、この中心原子は、四配位または六配位されている。本発明に係る錯体は、1つの金属中心原子だけを有する錯体であることが好ましい。
【0012】
本発明に係る錯体は、一般式(III)のリガンドをさらに含み、該リガンドを、本明細書中ではオキサゾールリガンドとも呼ぶ。
【0013】
【化2】

このオキサゾールリガンドは、三座配位のリガンドである。ここで、置換基Xは、元素周期表の第15族元素(つまり、N、P、AS、Sb、または、Bi)のうちの1つの元素、特に窒素、または、第16族元素(つまり、O、S、Se、Te、または、Po)のうちの1つの元素、特に酸素または硫黄を示す。Xが酸素を示すことが最も好ましい。Xが第15族元素のうちの1つの元素を示す場合、そのダングリングボンドは、例えばH、アルキル、アリール等と好適に結合される。
【0014】
オキサゾールリガンドは、残基R〜Rをさらに含有しており、これら残基R〜Rは、それぞれ互いに独立して、水素、ハロゲン、または、場合によってはヘテロ原子を含有可能および/または置き換えられることが可能な炭化水素基、および、酸素または窒素を介して基本骨格に結合された、場合によってはヘテロ原子を含有可能および/または置き換えられることが可能な炭化水素基を示すものである。
【0015】
ヘテロ原子は、特に、O、S、N、P、Si、Se、F、Cl、Br、および/または、Iから選択される。残基R〜R、あるいは、R’またはR’’はそれぞれ、0個以上50個以下のヘテロ原子、特に0個以上10個以下のヘテロ原子、さらにより好ましくは0個以上5個以下のへテロ原子を有する。多くの実施形態では、残基R〜R、あるいは、R’またはR’’はそれぞれ、少なくとも1個のヘテロ原子、特に少なくとも2個のへテロ原子を有する。このヘテロ原子は、骨格内に存在しているか、または、置換基の一部として存在している。一実施形態では、残基R〜R、あるいは、R’またはR’’は、1つまたは複数の官能基を有する炭化水素基である。好適な官能基は、例えば、ハロゲン、特に、F、Cl、Br、または、I、アルキル、特にC〜C20、さらにより好ましくはC〜Cのアルキル、アリール、O−アルキル、O−アリール、S−アリール、S−アルキル、P−アルキル、P−アリール、N−アルキル、または、N−アリール、あるいは、他の供与体族または受容体族である。多くの場合、残基R〜R、あるいは、R’またはR’’のうちの少なくとも1つの残基は、錯体の揮発性を高くさせるために、少なくとも1つのフッ素を含有していることが好ましい。
【0016】
ここで、炭素水素は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、または、ヘテロアリール基であることが好ましい。好ましいさらなる一実施形態では、残基R〜Rのうちの少なくとも1つの残基は、O−R’またはN−R’R’’であり、ここでR’はまた、1つまたは複数のヘテロ原子を含有し得る炭化水素基を示す。好ましくは、R’は、上述の1つまたは複数の官能基を含有し得る、アルキル、アリール、ヘテロアリールである。R’’はHであるか、または、R’に与えられた意味を有するものである。最も好ましくは、R〜Rは、H、フェニル、t−ブチル、COO−エチル、または、O−エチルのうちの1つまたは複数の残基を示すものである。
【0017】
本発明に係る錯体では、R〜Rのうちの2つまたはそれ以上の残基が共に、融合して1つの環系を形成していてもよい。
【0018】
他に記載がなければ、本明細書に用いたようなアルキル−またはアルキ(アルケ、アルコ)−という表現はそれぞれ、それぞれ独立して、好ましくはC〜C20の1つの炭化水素基、特にC〜Cの1つの炭化水素基を示すものである。アリール−という表現は、好ましくは、5から例えば20個のC原子、特に6個以上10個以下のC原子を有する芳香族系を示すものであり、場合によっては、C原子をヘテロ原子(例えばN、S、O)に置き換えることも可能である。
【0019】
上記錯体は、リガンドL、または、リガンドL、L、および、Lをさらに含んでいる。L、L、および、Lは、それぞれ独立して、負に帯電したリガンド、または、中性のリガンド、好ましくはハロゲン、特に塩化物または臭化物を示し、擬ハロゲン、特にチオシアン酸塩、シアン酸塩、または、シアン化物を示すものである。さらに好ましくは、周期表の第16族元素のうちの1つの元素を介して、特に酸素または硫黄(例えば、アルコキシドまたはチオラート)を介して中心原子に結合されたリガンドL、L、および、Lは、O−R’またはS−R’であり、ここで、当該R’は、上述したR’と同じ意味と成り得る。
【0020】
さらなる一実施形態では、周期表の第15族元素のうちの1つの元素、特に窒素、リン、または、砒素(例えば、ニトリル、アミン、ホスファン、水素化砒素)を介して、特にNR’R’’、PR’R’’、または、AsR’R’’を介して結合されたリガンド、または、第14族元素のうちの1つの元素、特に炭素(例えば、シアン化物、イソニトリル、アセチリド(C≡C)(ここで、n=1−10であり、Rはアルキルまたはアリールであり、(これらは場合によっては必要ならば置換されていてもよい)、トリ(アルキル)シリルである)を介して結合されたリガンドが好ましい。配位数が4よりも多い場合には、リガンドL1−3は、互いに独立しているか、または、相互結合されていることが可能である。これはつまり、リガンドL1−3は、多座配位であるということである。この多座配位のリガンドは、ここでも、中性であるか、または、負に帯電していることが可能である。好ましくは、例えばビス(ピラゾリル)ホウ酸塩またはトリ(ピラゾリル)ホウ酸塩が、負に帯電したリガンドの例であり、ビス(ホスファン)およびトリス(ホスファン)、ジイミン等が、中性のリガンドの例である。L、L、および、Lが共に、1つのリガンド
【0021】
【化3】

を形成していることが好ましい。好ましい一実施形態では、L、L、および、Lは共に、再び、一般式(III)のリガンドを形成している。
【0022】
特に好ましいのは、次の錯体である。
・5,5’−ジ−tert−ブチル−2,2’−m−フェニレン−ビス−オキサゾール−2−白金(II)臭化物、
・5,5’−ジフェニル−2,2’−m−フェニレン−ビス−オキサゾール−2−白金(II)臭化物、
・2,6−ビス(5−エトキシ−オキサゾール−2−イル)フェニル−ブロモ白金(II)、
・2−(4−メトキシカルボニル−オキサゾール−2−イル)−6−(5−エトキシ−オキサゾール−2−イル)フェニル−ブロモ白金(II)、
・(3−オキソ−3−エトキシプロピニル)−[2,6−ビス(5−エトキシ−オキサゾール−2−イル)フェニル]−白金(II)、
・(3−ヒドロキシルプロピニル)−[2,6−ビス(5−エトキシ−オキサゾール−2−イル)フェニル]−白金(II)、
・5,5’−ジ−tert−ブチル−2,2’−m−フェニレン−ビス−オキサゾール−2−パラジウム(II)臭化物、
・5,5’−ジフェニル−2,2’−m−フェニレン−ビス−オキサゾール−2−パラジウム(II)臭化物、および、
【0023】
【化4】

本発明に係る化合物は、完全に新規な、三座配位のリガンド−金属−結合を有する分子構造を備えている。本発明に係る、共有原子価が三価であるキレートリガンドを有する錯体は、特に熱的に極めて安定している。従ってこの錯体は、技術的観点から、昇華に著しく適したものである。
【0024】
本発明はさらに、一般式(IV)の化合物に関する。
【0025】
【化5】

ここで、XおよびR〜Rは、本明細書において定義したものであり、Zは、脱離基、特にHまたはハロゲン、例えばF、Cl、Br、または、Iを示すものであり、好ましくはBrを示すものである。
【0026】
この化合物は、特にリガンドに適している。一般式(IV)の化合物から成る錯体を形成する一般式IIIのリガンドは、共有原子価が三価であるために熱的に安定している。
【0027】
特に好ましいのは、一般式(IV)の次の化合物である。
【0028】
【化6】

予期しなかったが、本発明に従って、一般式(I)または(II)の錯体を発光層において用いることによって、極めて有効な特性を有する発光素子が得られることが分かった。本発明に従って用いる一般式(I)または(II)の化合物は、昇華に関して特に安定しており、このため、真空堆積法によるOLEDの製造に適している。さらに、この化合物は、OLEDにおいて発光体として使用すると、高効率および高輝度の電気燐光を示す。特に、本発明に従って用いた化合物は高い量子効率を示す。この錯体はまた、リガンドを置き換えること、および/または、リガンドを変化させることによって変化し得る。これによって、発光特性(例えば、色、量子効率、減衰時間等)を変更または制御する様々な可能性が提供される。
【0029】
本発明に係る発光素子の一実施形態の機能を、図1に概略的に示す。この発光素子は、アノードと、カソードと、発光層とを少なくとも備えている。有利であるのは、カソードまたはアノードとして用いられる電極のうちのいずれか1つまたは両方を透明に形成して、この電極を介して光を放射させることを可能にすることである。透明な電極材料には、インジウムスズ酸化物(ITO)を用いることが好ましい。特に好ましいのは、透明なアノードを用いることである。別の電極も、透明な材料から形成してよいが、両電極のうちのいずれか1つの電極のみから光を放射させるのであれば、該別の電極を、好適な電子仕事関数を有する別の材料から形成してもよい。この第2の電極、特にカソードは、電子仕事関数が低いと共に導電率が良好な金属、例えば、アルミニウムまたは銀から構成されているか、または、Mg/Ag合金またはCa/Ag合金から構成されていることが好ましい。両電極間には発光層が配置される。該発光層は、アノードおよびカソードと直接的に接触していてもよいし、間接的に接触していてもよい。ここで、間接的な接触とは、カソードとアノードと発光層との間にさらなる層が含まれていて、発光層とアノードおよび/またはカソードとは触れてはおらず、さらなる中間層を介して電気的に互いに接触していることを意味している。電圧、例えば2V以上20V以下の電圧、特に5V以上10V以下の電圧を印加すると、カソード、例えば導電性の金属層、例えばアルミニウムカソードから、負に帯電した電子が漏出し、正のアノードの方向に移動する。このアノード側からは、正の電荷キャリア、いわゆる正孔が、カソードの方向に移動する。カソードとアノードとの間に配置された発光層内には、本発明に従って、一般式(I)および(II)の有機金属錯体が発光分子として存在している。この発光分子において、または、該発光分子の近傍において、移動している電荷キャリア、つまり負に帯電した電子と正に帯電した正孔とが再結合し、これによって発光分子を、中性であるが、強力な励起状態に導く。発光分子の励起状態は、後に、そのエネルギーを光の放射として放出する。
【0030】
本発明に係る発光素子は、発光材料が昇華可能である限り、真空蒸着によって製造することが可能である。あるいは、湿式化学堆積法によって、例えば、スピンコート法、インクジェット印刷法、または、スクリーン印刷法によって形成することも可能である。OLED素子の構成については、例えば、US2005/0260449 A1、および、WO2005/098988 A1に詳細に記載されている。
【0031】
本発明に係る発光素子は、真空昇華技術によって製造可能であると共に、さらなる複数の層を含むことが可能である。これら層は、特に、電子入射層、電子伝導層(例えばAlq=Al-8-ヒドロキシキノリン、または、B−Alq=Al−ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノラート)−4−フェニルフェノラート)、および/または、正孔注入層(例えばCuPc)および正孔伝導層、または、正孔伝導層(例えばα−NPD)である。しかしながら、発光層が、正孔伝導層または電子伝導層の機能を引き受けることも可能である(好適な材料については、7〜8頁に説明した)。
【0032】
発光層は、各発光色(T−状態)にとって一重項S−三重項Tのエネルギーギャップが十分に大きい有機マトリクス材、例えばUGH、PVK(ポリビニルカルバゾール)、CBP(4,4’−ビス(9−カルバゾリル)ビフェニル)、または、他のマトリクス材から構成されていることが有効である。例えば、このマトリクス材の中に、発光錯体が、例えば1重量%以上10重量%以下でドープされていることが好ましい。
【0033】
この錯体を100%材料として塗布することによって、マトリクスを用いないで発光層を形成することも可能である。この実施形態については、後に記載する。
【0034】
特に好ましい実施形態では、本発明に係る発光素子は、カソードと、発光層または電子伝導層との間に、さらに1つのCsF中間層を有している。この中間層は、特に0.5nm以上2nm以下、好ましくは約1nmの厚さを有している。この中間層は、主として、電子仕事関数を低減させるためのものである。
【0035】
さらに好ましいことは、上記発光素子を、基板上、例えばガラス基板上に塗布することである。
【0036】
特に好ましい実施形態では、本発明に係る昇華可能な発光体用のOLED構成は、アノード、発光層、および、カソードに加えて、以下に挙げると共に図2に示した層のうちの、少なくとも1つの層、特に複数の層、および、特に好ましくは全ての層を含む。
【0037】
全ての構成が1つの基材上に設けられていることが有効である。この場合、該基材には、特に、ガラス、または、他の透明な任意の剛体材料または可撓性材料を用いることが可能である。上記基材上には、アノード、例えばインジウムスズ酸化物アノード(ITO)が配置される。アノードの上、且つ、発光層とアノードとの間には、正孔輸送層(HTL、hole transport layer)、例えばα−NPD(N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−メチル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン)が配置される。この正孔輸送層の厚さは、10nm以上100nm以下、特に30nm以上50nm以下であることが有効である。アノードと正孔輸送層との間には、より良好に正孔注入を行うためのさらなる層、例えば銅−フタロシアニン(CuPc)層が配置されていてもよい。この層は、5nm以上50nm以下、特に8nm以上15nm以下の層厚を有していることが好ましい。正孔輸送層の上、且つ、正孔輸送層と発光層との間には、アノードへの電子輸送を阻止するように機能する電子ブロッキング層が堆積されていることが有効である。これは、このような電流が抵抗損の原因となり得るからである。この電子ブロッキング層の厚さは、10nm以上100nm以下、特に20nm以上40nm以下であることが有効である。特に、HTL層が元々既に不良電子導体である場合には、この追加的な層は除いてもよい。
【0038】
次の層は、本発明に係る発光材料を含むか、または、該発光材料から成る発光層である。昇華可能な発光体を用いた実施形態では、上記発光材料を、好ましくは昇華法によって堆積させる。層厚は、40nmと200nmとの間、特に70nmと100nmとの間であることが有効である。本発明に係る発光材料は、他の材料と一緒に、特にマトリクス材と一緒に同時蒸着させることが可能である。緑色または赤色に発光する、本発明に係る発光材料は、CBP(4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル)といった通常のマトリクス材全てに適している。しかしながら、一般式(I)に係る錯体のために、100%発光材料の層を形成することも可能である。青色に発光する、本発明に係る発光材料には、特にUGH−マトリクス材料が用いられる(M. E. Thompson et al,. Chem. Mater. 2004, 16, 4743参照)。本発明に係る、異なる中心金属イオンを有する化合物を用いて混合色の光を生成するために、同時蒸着を行ってもよい。
【0039】
発光層の上には、正孔ブロッキング層を堆積させることが有効である。該正孔ブロッキング層は、カソードへの正孔電流によって生じ得る抵抗損を低減させるものである。この正孔ブロッキング層は、10nm以上50nm以下、特に15nm以上25nm以下の厚さを有していることが有効である。これに適した材料は、例えばBCP(4,7−ジフェニル−2,9−ジメチル−フェナントロリン。バソクプロインとも呼ばれる)である。上記正孔ブロッキング層の上、且つ、該正孔ブロッキング層とカソードとの間には、電子輸送材料から成るETL層(ETL=電子輸送層(electron transport layer))を塗布することが有効である。この層は、10nm以上100nm以下、特に30nm以上50nm以下の厚さを有する、蒸着可能なAlqから構成されていることが有効である。ETL層とカソードとの間には、例えばCsFまたはLiFから成る中間層を塗布することが有効である。この中間層は、正孔注入障壁を低減させ、ETL層を保護する。通常、この中間層は蒸着される。該中間層は極めて薄く、特に0.5nm以上2nm以下、より好ましくは0.8nm以上1nm以下の厚さであることが有効である。最後に、さらなる1つの導電性カソード層を、特に50nm以上500nm以下、より好ましくは100nm以上250nm以下の厚さに蒸着させる。このカソード層は、Al、Mg/Ag(特に10:1の比率)、または、他の金属から形成されていることが有効である。記載した、本発明に係る昇華可能な発光体用のOLED構成には、3Vと15Vとの間の電圧が印加されることが有効である。
【0040】
このOLED素子は、部分的には、湿式化学法によって製造することが可能であり、つまり、例えば次の構成によって製造可能である。これらは、ガラス基板、透明なITO層(インジウムスズ酸化物)、例えば、PEDOT/PSS(例えば40nm)、本発明に係る100%一般式(I)の錯体(例えば10nm以上80nm以下)、または、好適なマトリクス(例えば40nm)内にドープされた(例えば1%、特に4%以上10%以下)一般式(I)または一般式(II)に係る錯体、蒸着されたAlq(例えば40nm)、蒸着されたLiF保護層またはCsF保護層(例えば0.8nm)、蒸着された金属カソードAlまたはAgまたはMg/Ag(例えば200nm)である。
【0041】
特に好ましくは、本発明に係る可溶性発光体用のOLED構成は、次に記載すると共に図3に示した構造を有し、次に記載する層のうちの、少なくとも1つの層、より好ましくは少なくとも2つの層、最も好ましくは全ての層を含む。
【0042】
上記素子を、1つの基材の上、特にガラスの上、または、他の透明な剛体材料または可撓性材料の上に塗布することが有効である。この基材の上に、アノード、例えばインジウムスズ酸化物アノードを塗布する。該アノードの層厚は、10nm以上100nm以下、特に30nm以上50nm以下であることが有効である。アノードの上、且つ、アノードと発光層との間には、正孔導体材料、特に水溶性の正孔導体材料から成るHTL層(正孔輸送層)を塗布する。このような正孔導体材料は、例えば、PEDOT/PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチロールスルホン酸)である。上記HTL層の層厚は、10nm以上100nm以下、特に40nm以上60nm以下であることが有効である。次に、本発明に係る可溶性の発光体を含む発光層(EML)を塗布する。この材料は、溶媒の中、例えば、アセトン、ジクロロメタン、または、アセトニトリルの中で溶解可能である。これによって、その下にあるPEDOT/PSS層の溶融が回避され得る。本発明に係る発光材料が一般式(I)および一般式(II)の錯体の場合には、錯体を、例えば2重量%以上10重量%以下といった低濃度で用いてよいが、一般式(I)に係る錯体の場合には、より高濃度で用いてもよいし、または、100%層として用いてもよい。発光材料を、好適なポリマー層(例えばPVK=ポリビニルカルバゾール)において高濃度でドープまたは中程度の濃度でドープして塗布することも可能である。一般式(I)の錯体を使った金属−金属−相互作用を利用する場合には、ドーピング濃度は、発光体の二量体形成、三量体形成、または、オリゴマー形成が行われることが可能な程度高い濃度であることが有効である。
【0043】
発光層の上には、特に10nm以上80nm以下の層厚、より好ましくは30nm以上50nm以下の層厚を有する、電子輸送材料から成る層を塗布することが有効である。この電子輸送材料層に適した材料は、例えば、蒸着可能なAlqである。次に、電子注入障壁を低減させると共にETL層を保護する、薄い中間層を塗布することが有効である。この中間層は、0.5nmと2nmとの間の厚さ、特に0.5nmと1.0nmとの間の厚さを有していることが有効であり、CsFまたはLiFから構成されていることが有効である。通常、この中間層は蒸着される。さらに簡素化したOLED構成では、場合によっては、上記ETL層および/または上記中間層を省略してもよい。
【0044】
最後に、導電性のカソード層を塗布、特に蒸着させる。このカソード層は、金属、特にAlまたはMg/Ag(特に10:1の比率)から成る金属から形成されていることが有効である。
【0045】
この素子に、3V以上15V以下の電圧を印加することが有効である。
【0046】
本発明の原理では、発光素子は、発光体として、一般式(I)または(II)の少なくとも1つのM−オキサゾール−錯体、特にX=Oである錯体を含有している。
【0047】
一般式(I)または(II)の化合物は、発光素子用、および特に、有機発光素子(OLED)用の発光分子に好適であることが分かった。本発明に係る化合物は、特に、ディスプレイまたは照明といった、光を生成するシステムでの使用に好適である。
【0048】
一般式(I)または(II)のM−オキサゾール錯体を、OLEDにおいて発光層として用いることによって、多数の利点がもたらされる。つまり、例えば、発光層を昇華法によって生成することが可能となる。オキサゾールリガンドの金属に対する共有原子価が三価であるため、発光錯体は特に安定しており、すなわち、製造工程に技術的に求められる比較的厳しい昇華条件下でも安定している。発光層に、本発明に係る一般式(I)の材料を100%または高濃度で用いる場合、素子の製造時に濃度変動は生じない。さらに、発光体を結晶層に、あるいは、オリゴマー層に形成することが可能である。このシステムにおいて、特に一般式(I)の錯体から成る結晶層においては、電荷キャリア移動度は、アモルファス状の層の場合よりも著しく高い。さらに、本発明に係る発光分子によって、電流密度が高い場合に高い輝度を実現することが可能である。さらに、電流密度が高い場合にも、比較的高い効率(量子効率)を実現することが可能である。一般式(I)および(II)の錯体を、本発明に従って、溶解させて、好適なマトリクス内に低濃度にドープされた(例えば2%以上10%以下の)状態で用いてもよい。
【0049】
本発明の一実施形態では、本発明に係る一般式(I)の錯体を、発光層において、高濃度で使用可能であることが利点である。ここで、発光層内の一般式(I)の錯体の割合は、発光層の全重量に対して、80重量%よりも高いこと、特に90重量%よりも高いこと、さらにより好ましくは95重量%よりも高いこと、および、特に100重量%であることが有効である。このように高濃度であると、オリゴマー発光体として作用するオリゴマーが生成される。ここで、光の放射を導く過程は、上記オリゴマー内の錯体の個々の金属原子間の金属−金属−相互作用に基づいている。このような発光層内の本発明に係る一般式(I)の錯体は、ドーピングの量に応じて、および、残基Rに応じて、異なるM−M−間隔を有している。このため、発光色を広範囲に亘って変化させることが可能である。
【0050】
好ましいさらなる一実施形態では、発光層内に、一般式(I)の錯体を中程度の濃度で用いて、モノマーとオリゴマーとが隣り合うようにする。これによって、混合色の発光、例えば白色の発光を実現することが可能である。ここで、発光層内の一般式(I)の錯体の割合は、発光層の全重量に対して、10重量%よりも高く、特に20重量%よりも高く、さらにより好ましくは30重量%よりも高く、および特に、40重量%よりも高く、且つ、80重量%未満、特に70重量%未満、より好ましくは60重量%未満であることが有効である。
【0051】
本発明の好ましいさらなる一実施形態では、発光層において、一般式(I)の錯体、および/または、一般式(II)の錯体を低濃度で用いる。これによって、OLED素子におけるモノマー発光を実現することが可能である。ここで、一般式(I)の錯体、および/または、一般式(II)の錯体は、特に、発光層の全重量に対して、2重量%よりも高く、特に4重量%よりも高く、且つ、10重量%未満、特に8重量%未満で、発光層内に存在している。
【0052】
好ましいさらなる一実施形態では、本発明に従って、発光素子において、一般式(I)または(II)の異なる少なくとも2つの錯体が用いられている。このような多数の錯体を有する発光層によって、特に混合色の光を得ることが可能である。好ましくは、発光層は、M=Ptである一般式(I)の少なくとも1つの錯体と、M=Pdである一般式(I)の少なくとも1つの錯体とを含む。特に好ましくは、M=Pd(II)の化合物の濃度が高い発光層が、M=Ptである一般式(I)の錯体で低濃度にドープされていることである。Pd−錯体−発光層、特にPd−錯体−オリゴマーが存在する発光層の中に、Pt−錯体を組み入れることによって、OLED素子の混合色を実現する。
【0053】
好ましい一実施形態において、発光層は、一般式(I)の錯体および一般式(II)の錯体を、発光層の全重量に対して1重量%よりも高い濃度、特に2重量%よりも高い濃度、より好ましくは5重量%よりも高い濃度、且つ、10重量%未満、特に8重量%未満で含む。しかしながら、一般式(I)の錯体をほぼ完全に含有し、特に80重量%よりも高い濃度、および、特に好ましくは90重量%よりも高い濃度、特に95重量%よりも高い濃度、より好ましくは99重量%よりも高い濃度で含有する発光層を提供することも可能である。さらなる一実施形態では、発光層は、完全に、つまり100%一般式(I)の錯体から成る。本発明に係る錯体を発光層において高濃度で用いると、金属−金属−間隔が比較的短い、結晶層、または、錯体の積層が形成される。この積層において強い電気的相互作用が生じる。この際、発光波長はM−M−間隔によって決定される。高濃度の発光層を用いること、特に結晶層または準結晶層を用いることによって、さらなる利点が提供される。これは特に、製造時に濃度変動が生じない点、つまりこの高濃度のシステムには濃度変動がほとんど作用しない点である。さらに、結晶層の形成時は、電荷キャリアの移動度、つまり電子または正孔の移動度は、アモルファス状の層の場合よりも著しく高い。加えて、このような濃度の発光層によって、電流密度が高い場合に高い輝度を実現し、高効率、つまり高い量子効率を実現することが可能である。
【0054】
一般式(I)の錯体から成るオリゴマーの電荷キャリア移動度、または、結晶層または準結晶層の電荷キャリア移動度が高いために、特に、OLED素子の効率を高めると共に寿命を延ばすことが可能となる。
【0055】
本発明は、次の利点を提供するものである。
−三座のリガンド金属結合を有する、全く新規の分子構造である点。
−分子のたわみ性を抑えることによる、より効率的且つより明るい発光体である点。
−置換によって、緑色から赤色までの発光色を制御する点。
−熱的安定性が高い点。
−昇華性が良好であり、従って、真空蒸着(vacuum vapor deposition)方法を用いた技術的アプリケーションに好適である点。
−長期に亘って安定性が高い点。
−酸素と水に対する、化学的安定性が高い点。
−化学的バリエーションが極めて多い点。
−可溶性が良好であり、従って、スピンコート法、または、インクジェット印刷法の場合に、異なるポリマーマトリクス材内へのドーピングに好適である(発光層内への組み入れが良好である)点。
−ポリマーとの化学結合に好適であり、スピンコート法またはインクジェット印刷法等を用いる場合のポリマーの官能基化に好適である点。
【0056】
本発明に従って発光体として用いられる錯体は、(適したマトリクス材を選択することによって)容易に、および、特に電子求引性または電子供与性の置換基を選択することによって、波長領域の調節が可能である。
【0057】
20℃よりも高い温度、および、特に好ましくは100℃よりも高い温度で発光を示す化合物を用いることが好ましい。
【0058】
本発明はさらに、本明細書に定義する一般式(I)または(II)の化合物の、発光素子、特に有機発光素子の発光体としての使用に関する。
【0059】
本発明を、添付の図面および以下の実施例によって、さらに詳細に説明する。
【0060】
図1は、真空昇華技術によって形成可能な、本発明に係る錯体を有するOLED素子の一実施例を示す図である。
【0061】
図2は、本発明に係る昇華可能な発光材料を有する、他の高性能なOLED素子の一実施例を示す図である。
【0062】
図3は、湿式化学法によって堆積させる、本発明に係る発光体用のOLED素子の一実施例を示す図である。層厚の数値は数値例として見なされるものである。
【0063】
図4は、白金錯体Aの発光スペクトルを示す図である。条件は次の通りであった。励起:390.4nm、スリット:3.5/3.5 1.0nm 0.3s;CHCl溶液中;温度:300K;アルゴンを20分飽和させる;フィルタ:KV450。
【0064】
図5は、CHCl(λex=415nm)において、または、固形物(λex=390nm)として測定した白金錯体Bの蛍光スペクトルを示す図である。
【0065】
図6aは、白金錯体Cの構成を示す図である。
【0066】
図6bは、白金錯体Cの発光スペクトルを示す図である。条件は次の通りであった。励起:370nm;0.5nm、25/2.5 0.3;EtOH溶液、300K;フィルタ:WG420。
【0067】
図7aは、白金錯体Dの構成を示す図である。
【0068】
図7bは、白金錯体Dの発光スペクトルを示す図である。条件は次の通りであった。励起:370nm;0.5nm、2.5/2.5 0.3;EtOH溶液、300K;フィルタ:WG420。
【0069】
図8は、白金錯体Eの発光スペクトルを示す図である。条件は次の通りであった。励起:370nm;0.5nm、3/3 0.3;EtOH溶液、300K;フィルタ:WG420;Arを20分飽和させる。
【実施例】
【0070】
1.白金錯体A
5,5’−ジ−tert−ブチル−2,2’−m−フェニレン−ビス−オキサゾール−2−白金(II)臭化物(A)
【0071】
【化7】

3mlのTHFに2−臭化物−1,3−ジ[2−(5−tert−ブチル−オキサゾールイル)]ベンゾール(60mg、0.15mmol、1.0当量)を溶解した溶液に、窒素雰囲気(Distickstoffatmosphaere)下で、Pt(dipdba)(161mg、0.12mmol、1.6当量“Pt”)を加えた。この反応混合物を、60℃で一晩(20h)攪拌した。この混合物を真空において濃縮させて、原材料を得た。カラムクロマトグラフィ(SiO、2×24cm、ヘキサン/EtOAc3:1)によって、オレンジ色の固形物(77mg、0,13mmol、86%)としてのAを得た。
【0072】
(SiO,ヘキサン/EtOAc 3:1)=0.30(UV);M.p.>295℃(decomp.);H−NMR(300MHz,CDCl):δ=7.52−7.43(m,2H),7.31−7.18(m,3H),1.38(s,18H);13C−NMR(75.5MHz,CDCl):δ=172.2,162.0,157.3,128.0,123.3,123.0,119.8,32.2,28.4;IR(KBr):3140,3060,2970,2870,1590,1520,1460,1430,1395,1365,1320,1280,1210,1150,1130,1110,1025,1005,940,815,720,680cm−1;MS(PI−FDMS):m/z(%)=1117.1(40)[2M−Br],598.4(100)[M];C2023BrNPt(598.39):calculated C40.14,H3.87,N4.68;foundC40.34,H3.90,N4.74。
【0073】
2.白金錯体B
5,5’−ジフェニル−2,2’−m−フェニレン−ビス−オキサゾール−2−白金(II)臭化物(B)
【0074】
【化8】

2mlのTHFにおける2−ブロム−1,3−ジ[2−(5−フェニル−オキサゾールイル)]ベンゾール(35mg,0.079mmol,1.0当量)の溶液に、窒素雰囲気(Distickstoffatmosphaere)下で、Pt(dipdba)(86mg、0.064mmol、1.6当量“Pt”)を加えた。この反応混合物を、60℃で一晩(20h)攪拌した。沈殿とガスの発生とが観察された。反応時間後、この混合物にCHClを加えた。CHCl/EtOから再結晶された原材料を得て、濾過することにより23mg(0.036mmol,45%)の濃い黄色の固形物としてのBを得た。H−NMR−スペクトルにおける生成物のピークの帰属はまた、不可能であった。
【0075】
M.p.>420℃(decomp.);IR(KBr):3160,3070,1590,1570,1515,1490,1455,1400,1365,1325,1252,1210,1160,1135,1010,935,810,760,725,685cm−1;MS(PI−FDMS):m/z(%)=1197.6(60)[2M−Br],638.6(100)[M];C2415BrNPt(638.37):calculated C45.16,H2.37,N4.39;found C44.48,H2.55,N4.25。
【0076】
3.白金錯体C
2,6−ビス(5−エトキシ−オキサゾール−2−イル)フェニル−ブロモ白金(II)
【0077】
【化9】

HNMR(300MHz,CDCl):δ=7.31−7.25(m,2H)7.16(dd,J=6.9,8.5Hz,1H),6.67(s,サテライトJPt−H=9.2Hz,2H),4.26(q,J=7.0Hz,4H),1.50(t,J=7.1Hz,6H)。
【0078】
13CNMR(75MHz,CDCl):δ=164.6,159.0,157.2,128.1,123.4,121.4(サテライトJPt−c=18.7Hz),100.2(サテライトJPt−c=21.3Hz)67.0,14.5。
【0079】
MS(FI−FDMS):m/z(%)=1147.3(41)[2M],1068.6(60)[2M−HBr],573.9(10O)[M]。
【0080】
元素分析:foundC33.55,H2.48,N4.76,calculatedC33.46,H2.63,N4.88
4.白金錯体D
2−(4−メトキシカルボニル−オキサゾール−2−イル)−6−(5−エトキシ−オキサゾール−2−イル)フェニル−ブロモ白金(II)
【0081】
【化10】

HNMR(300MHz,CDCl):δ=8.25(s,サテライトJPt−H=3.4Hz,1H),7.45(d,J=7.7Hz,サテライトJPt−H=3.2Hz、1H),7.33(d,J=6.7Hz,サテライトJPt−H=3.1Hz,1H),7.16(t,J=6.9Hz,1H),6.82(s,サテライトJPt−H=10.5Hz,1H),4.30(q,J=7.0Hz,4H),1.50(t,J=7.1Hz,6H)。
【0082】
13CNMR(75MHz,CDCl):δ=175.4,164.1,159.5,159.1,156.6,142.2(サテライトJPt−C=15.0Hz),134.2,129.0,126.8,123.9,123.6,123.3,99.9(サテライトJPt−C=22.8Hz),70.5,53.4,14.7。
【0083】
MS(FI−FDMS):m/z(%)=1176.0(16)[2M],588.3(100)[M]’。
【0084】
元素分析:foundC32.78,H2.18,N4.74,calculatedC32.67,H2.23,N4.76。
【0085】
5.白金錯体E
(3−オキソ−3−エトキシプロピニル)−[2,6−ビス(5−エトキシ−オキサゾール−2−イル)フェニル]−白金(II)
【0086】
【化11】

HNMR(300MHz,CDCl):δ=7.35(dd,J=7.4,8.0Hz,2H),7.16(dd,J=7.1,8.2Hz,1H),6.62(s,サテライトJPt−H=9.6Hz,2H),4.26(q,J=7.1Hz,4H),4.23(q,J=7.2Hz,2H),1.50(t,J=7.1Hz,6H),1.33(t,J=7.1Hz,3H)。
【0087】
13CNMR(75MHz,CDCl):δ=172.2,166.7,158.9,154.4,129.8,129.4,124.2,121.3,121.2,102.4(サテライトJPt−C=25.4Hz),69.7,60.7,14.5,14.4。
【0088】
LRMS(FI−FDMS):m/z=591.1[M]。
【0089】
6.白金錯体F
(3−ヒロドキシルプロピニル)−[2,6−ビス(5−エトキシ−オキサゾール−2−イル)フェニル]−白金(II)
【0090】
【化12】

HNMR(300MHz、CDCl):δ=7.37(d,J=7.7Hz,2H),7.16(dd,J=7.4,8.0Hz,1H),6.67(s,サテライトJPt−H=9.7HZ,2H),4.62(d,J=5.2Hz,サテライトJPt−H=7.8Hz,2H),4.27(q,J=7.0Hz,4H),1.60(br t,J=5.8Hz,1H),1.50(t,J=7.1Hz,6H)。
【0091】
7.パラジウム錯体G
5,5’−ジ−tert−ブチル−2,2’−m−フェニレン−ビス−オキサゾール−2−パラジウム(II)臭化物
【0092】
【化13】

Pd(dba)(223mg,0.388mmol,1.0当量)、および、2−ブロム−1,3−ジ−[2−(5−tert−ブチル−オキサゾールイル)]ベンゾール(157mg,0,389mmol,1,0当量)を、乾燥ベンゾール中に溶解させた(14ml)。この溶液からガスを抜き取り(凍結させる−ポンプで送り出す−解凍するというサイクルを3回繰り返し)、還流下で加熱して、該溶液を紫色に変色させた(20分)。この反応混合物を真空で濃縮させ、これによって原材料を得た。カラムクロマトグラフィ(SiO,3×20cm,ヘキサン/EtOAc3:1)によって、黄色の固形物としてのG(166mg,0.326mmol,84%)を得た。
【0093】
(SiO,ヘキサン/EtOAc3:1)=0.18(UV);M.p.>290℃(decomp.);H−NMR(300MHz,MeOH−d):δ=7.25−7.20(m,2H),7.12(dd,1H,J=8.5,6.6Hz),6.89(s,2H),1.42(s,18H);13C−NMR(75.5MHz,MeOH−d):δ=168.6,164.7,162.7,131.0,126.0,123.9,121.0,33.1,29.0;IR(KBr):3137,3058,2966,2906,2870,2369,1591,1459,1397,1364,1281,1211,1152,1126,1030,1004,946,824,724,681cm−1;MS(PI−FDMS):m/z(%)=939.5(50)[2M−Br],510.4(100)[M],429.4(20)[M−Br];C2023BrNPd(509.73):calculatedC47.13,H4.55,N5.50;foundC46.99,H4.68,N5.44。
【0094】
8.パラジウム錯体H
5,5’−ジフェニル−2,2’−m−フェニレン−ビス−オキサゾール−2−パラジウム(II)臭化物
【0095】
【化14】

Pd(dba)(115mg,0.200mmol,1.0当量)、および、2−ブロム−1,3−ジ[2−(5−フェニル−オキサゾールイル)]ベンゾール(88.6mg,0.200mmol,1.0当量)を、乾燥ベンゾール(7ml)に溶解させた。この溶液からガスを抜き取り(凍結させる−ポンプで送り出す−解凍するというサイクルを3回繰り返し)、還流下で加熱して、該溶液の色を紫色に変色させた(20分)。白色から灰色の沈殿物が観察された。この反応混合物を真空で濃縮させた。CHClを加え、結果として生じる混合物を濾過することによって、溶融していない灰色の濾過ケーキ(67mg)と黄色の濾液とを得た。この濾液を、体積がより小さくなるまで濃縮させ、EtOを加えると、生成物が沈殿し始めた。この原材料を、CHCl/EtOから再結晶させて、23mg(0.042mmol,21%)の黄色の遊離した固形物としてのHを得た。H−NMR−スペクトルにおける生成物のピークの帰属は、不可能であった。
【0096】
M.p.>400℃(decomp.);IR(KBr):3143,3051,2373,1589,1524,1487,1452,1389,1318,1250,1201,1155,1130,1004,932,813,760,726,688cm−1;MS(PI−FDMS):m/z(%)=1019.1(25)[2M−Br],550.2(100)[M],468.5(60)[M−Br],444.3(40)[M−Pd],C2415BrNPd(549.71):calculatedC52.44,H2.75,N5.10;foundC52.36,H2.95,N5.11。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】真空昇華技術によって形成可能な、本発明に係る錯体を有するOLED素子の一実施例を示す図である。
【図2】本発明に係る昇華可能な発光材料を有する、他の高性能なOLED素子の一実施例を示す図である。
【図3】湿式化学法によって堆積させる、本発明に係る発光体用のOLED素子の一実施例を示す図である。層厚の数値は数値例として見なされるものである。
【図4】白金錯体Aの発光スペクトルを示す図である。条件は次の通りであった。励起:390.4nm、スリット:3.5/3.5 1.0nm 0.3s;CHCl溶液;温度:300K;アルゴンを20分飽和させる;フィルタ:KV450。
【図5】CHCl(λex=415nm)において、または、固形物(λex=390nm)として測定した白金錯体Bの蛍光スペクトルを示す図である。
【図6a】白金錯体Cの構成を示す図である。
【図6b】白金錯体Cの発光スペクトルを示す図である。条件は次の通りであった。励起:370nm;0.5nm、25/2.5 0.3;EtOH溶液、300K;フィルタ:WG420。
【図7a】白金錯体Dの構成を示す図である。
【図7b】白金錯体Dの発光スペクトルを示す図である。条件は次の通りであった。励起:370nm;0.5nm、2.5/2.5 0.3;EtOH溶液、300K;フィルタ:WG420。
【図8】白金錯体Eの発光スペクトルを示す図である。条件は次の通りであった。励起:370nm;0.5nm、3/3 0.3;EtOH溶液、300K;フィルタ:WG420;Arを20分飽和させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)または(II)の錯体であって、
【化1】

Mは、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、W、Re、Os、Ir、Pt、および、Auから選択されたものであり、
Xは、周期表の第15族元素または第16族元素のうちの1つの元素を示し、
〜Rは、それぞれ互いに独立して、水素、ハロゲン、R’、O−R’、または、N−R’R’’を示し、
R’は、炭化水素基若しくはヘテロ原子を含有した炭化水素基を示し、R’’はHを示すものであるか、または、R’に与えられた意味を有するものであり、ここで、R〜Rのうちの2つまたはそれ以上の残基が共に、融合して環系を形成することが可能であり、
、L、および、Lは、それぞれ互いに独立して、負に帯電したリガンドまたは中性のリガンドを示し、2つまたはそれ以上のリガンドL、L、および、Lは、互いに結合されていることが可能である錯体。
【請求項2】
一般式(I)または(II)内のMは、Pt(II)、Pd(II)、Ir(III)、Ru(II)、または、Os(II)を示すことを特徴とする、請求項1に記載の錯体。
【請求項3】
Xは、独立して、窒素、酸素、または、硫黄を示すことを特徴とする、請求項1または2に記載の錯体。
【請求項4】
〜R、あるいは、R’またはR’’は、それぞれ互いに独立して、置換または非置換の、水素基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、または、アルキニル基を示すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の錯体。
【請求項5】
〜R、あるいは、R’またはR’’は、それぞれ互いに独立して、ハロゲン、特にフッ素、および、1以上6以下、特に1以上4以下のC原子を有するアルキル基から選択された、1つまたは複数の置換基を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の錯体。
【請求項6】
、L、および、Lは、それぞれ互いに独立して、ハロゲン、特に塩化物または臭化物、擬ハロゲン、特にチオシアン酸塩、シアン酸塩またはシアン化物、および、リガンドから選択されたものであり、
上記リガンドは、周期表の第16族元素のうちの1つの元素、特に酸素または硫黄を介して、周期表の第15族元素のうちの1つの元素、特に窒素、リン、または、砒素を介して、若しくは、周期表の第14族元素のうちの1つの元素、特に炭素を介して、Mに結合されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の錯体。
【請求項7】
5,5’−ジ−tert−ブチル−2,2’−m−フェニレン−ビス−オキサゾール−2−白金(II)臭化物、
5,5’−ジフェニル−2,2’−m−フェニレン−ビス−オキサゾール−2−白金(II)臭化物、
2,6−ビス(5−エトキシ−オキサゾール−2−イル)フェニル−ブロモ白金(II)、
2−(4−メトキシカルボニル−オキサゾール−2−イル)−6−(5−エトキシ−オキサゾール−2−イル)フェニル−ブロモ白金(II)、
(3−オキソ−3−エトキシプロピニル)−[2,6−ビス(5−エトキシ−オキサゾール−2−イル)フェニル]−白金(II)、
(3−ヒドロキシルプロピニル)−[2,6−ビス(5−エトキシ−オキサゾール−2−イル)フェニル]−白金(II)、
5,5’−ジ−tert−ブチル−2,2’−m−フェニレン−ビス−オキサゾール−2−パラジウム(II)臭化物、
5,5’−ジフェニル−2,2’−m−フェニレン−ビス−オキサゾール−2−パラジウム(II)臭化物、および、
【化2】

から選択された1つである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の錯体。
【請求項8】
一般式(III)のリガンドであって、
【化3】

Xは、周期表の第15族元素または第16族元素のうちの1つの元素を示し、
〜Rは、それぞれ互いに独立して、水素、ハロゲン、R’、O−R’、または、N−R’R’’を示し、
R’は、炭化水素基若しくはヘテロ原子を含有した炭化水素基を示し、R’’はHを示すものであるか、または、R’に与えられた意味を有するものであり、ここで、2つまたはそれ以上の基R〜Rはまた、融合した環系を形成することが可能であるリガンド。
【請求項9】
一般式(IV)の化合物であって、
【化4】

Xは、周期表の第15族元素または第16族元素のうちの1つの元素を示し、
〜Rは、それぞれ互いに独立して、水素、ハロゲン、R’、O−R’、または、N−R’R’’を示し、
R’は、炭化水素基若しくはヘテロ原子を含有した炭化水素基を示し、R’’はHを示すものであるか、または、R’に与えられた意味を有するものであり、ここで、2つまたはそれ以上の基R〜Rはまた、融合した環系を形成することが可能であり、
Zは、脱離基、特にHまたはハロゲンを示す化合物。
【請求項10】
以下の化合物
【化5】

から選択された1つである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
(i)アノードと、
(ii)カソードと、
(iii)上記アノードと上記カソードとの間に配置され、上記アノードと上記カソードとに直接的または間接的に接触した発光層とを備えた発光素子であって、
上記発光層は、一般式(I)または(II)の少なくとも1つの錯体を含み、
【化6】

Mは、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、W、Re、Os、Ir、Pt、および、Auから選択されたものであり、
Xは、周期表の第15族元素または第16族元素のうちの1つの元素を示し、
〜Rは、それぞれ互いに独立して、水素、ハロゲン、R’、O−R’、または、N−R’R’’を示し、
R’は、炭化水素基若しくはヘテロ原子を含有した炭化水素基を示し、R’’はHを示すものであるか、または、R’に与えられた意味を有するものであり、ここで、2つまたはそれ以上の基R〜Rはまた、融合した環系を形成することが可能であり、
、L、および、Lは、それぞれ互いに独立して、負に帯電したリガンドまたは中性のリガンドを示し、ここで、2つまたはそれ以上のリガンドL、L、および、Lは、互いに結合されていることが可能である発光素子。
【請求項12】
正孔伝導層および/または電子伝導層をさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載の発光素子。
【請求項13】
CsF中間層またはLiF中間層をさらに含むことを特徴とする、請求項11または12に記載の発光素子。
【請求項14】
基板上、特にガラス基板上に配置されることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項15】
上記発光層内に含まれる錯体は、三重項発光体であることを特徴とする、請求項11〜14のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項16】
Mは、酸化数0以上+4以下で存在することを特徴とする、請求項11〜15のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項17】
上記発光層内には、一般式(I)および/または(II)の錯体が、上記発光層の全重量に対して1重量%以上100重量%以下の濃度で含まれていることを特徴とする、請求項11〜16のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項18】
上記発光層における一般式(I)の錯体の割合は、上記発光層の全重量に対して80重量%よりも高く、特に90重量%よりも高いことを特徴とする、請求項11〜17のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項19】
上記発光層における一般式(I)の錯体は、オリゴマーとして存在していることを特徴とする、請求項18に記載の発光素子。
【請求項20】
上記発光層における一般式(I)の錯体の割合は、上記発光層の全重量に対して、10重量%よりも高く、特に20重量%よりも高く、且つ、80重量%未満、特に70重量%未満であることを特徴とする、請求項11〜17のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項21】
上記発光層における一般式(I)の錯体は、モノマーおよびオリゴマーとして存在していることを特徴とする、請求項20に記載の発光素子。
【請求項22】
上記発光層における一般式(I)および/または(II)の錯体の割合は、上記発光層の全重量に対して、2重量%よりも高く、特に4重量%よりも高く、且つ、10重量%未満、特に8重量%未満であることを特徴とする、請求項11〜17のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項23】
上記発光層における一般式(I)または(II)の錯体は、モノマーとして存在していることを特徴とする、請求項22に記載の発光素子。
【請求項24】
発光体として、少なくとも1つの以下の化合物
5,5’−ジ−tert−ブチル−2,2’−m−フェニレン−ビス−オキサゾール−2−白金(II)臭化物、
5,5’−ジフェニル−2,2’−m−フェニレン−ビス−オキサゾール−2−白金(II)臭化物、
2,6−ビス(5−エトキシ−オキサゾール−2−イル)フェニル−ブロモ白金(II)、
2−(4−メトキシカルボニル−オキサゾール−2−イル)−6−(5−エトキシ−オキサゾール−2−イル)フェニル−ブロモ白金(II)、
(3−オキソ−3−エトキシプロピニル)−[2,6−ビス(5−エトキシ−オキサゾール−2−イル)フェニル]−白金(II)、
(3−ヒドロキシルプロピニル)−[2,6−ビス(5−エトキシ−オキサゾール−2−イル)フェニル]−白金(II)、
5,5’−ジ−tert−ブチル−2,2’−m−フェニレン−ビス−オキサゾール−2−パラジウム(II)臭化物、
5,5’−ジフェニル−2,2’−m−フェニレン−ビス−オキサゾール−2−パラジウム(II)臭化物、または、
【化7】

を含むことを特徴とする、請求項1〜23のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項25】
一般式(I)または(II)の異なる少なくとも2つの錯体を含むことを特徴とする、請求項11〜24のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項26】
上記発光層は、M=Ptである一般式(I)の少なくとも1つの錯体と、M=Pdである一般式(I)または(II)の少なくとも1つの錯体とを含むことを特徴とする、請求項25に記載の発光素子。
【請求項27】
上記発光層において、M=Pd(II)である一般式(I)の錯体が、上記発光層の全重量に対して80重量%よりも高い割合で存在していると共に、M=Pt(II)である一般式(I)の錯体が、上記発光層の全重量に対して10重量%未満の割合で存在していることを特徴とする、請求項11〜17のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項28】
一般式(I)の錯体を、結晶層および/または準結晶層として含むことを特徴とする、請求項11〜27のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項29】
OLEDであることを特徴とする、請求項11〜28のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項30】
ディスプレイおよび/または照明装置であることを特徴とする、請求項11〜29のいずれか1項に記載の発光素子。
【請求項31】
発光素子における、一般式(I)または(II)の錯体の発光体としての使用。
【請求項32】
三重項発光体としての請求項25に記載の使用。
【請求項33】
上記発光層において、一般式(I)または(II)の少なくとも1つの錯体を、真空昇華法によって導入することを特徴とする、請求項11〜30のいずれか1項に係る発光素子の製造方法。
【請求項34】
上記発光層において、一般式(I)または(II)の少なくとも1つの錯体を、湿式化学法によって導入することを特徴とする、請求項11〜30のいずれか1項に係る発光素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−544745(P2009−544745A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522153(P2009−522153)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006683
【国際公開番号】WO2008/012103
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(503180100)ノヴァレッド・アクチエンゲゼルシャフト (47)
【Fターム(参考)】