説明

OX40R結合剤

本発明は、OX40受容体(OX40R)と結合でき、OX40R−OX40L相互作用を阻害できる、OX40リガンド(OX40L)細胞外領域から分離されたペプチドを開示する。このようなペプチド、それらを含む融合タンパク質、並びにそれらの配列に基づいてデザインされたペプチドおよびその他の分子は、活性化T細胞にかかわる疾患の予防および/または治療においてOX40R仲介細胞情報伝達をブロッキングするために、天然OX40Lと競合するOX40R結合剤として使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OX40受容体とOX40リガンドとの相互作用を調節できる新しいペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
OX40受容体(文献ではOX40R、OX−40、OX−40抗原、TNFRSF4、またはCD134とも表示される)の膜タンパク質、およびOX40リガンド(文献ではOX40L、糖タンパク質gp34、ACT−4−L、TNFSF4、CD134リガンド、またはCD134Lとも表示される)によって構成される細胞調節系は、腫瘍壊死因子リガンド/受容体スーパーファミリーに属するその他のタンパク質と同様、免疫反応の調節、並びに二次リンパ組織の形成において重要な役割を有する(グラベンスタイン(Gravestein)Lおよびボルスト(Borst)J、1998;ワインバーグ(Weinberg)A、2002)。臨床観察、および例えば遺伝子ターゲティング実験などの動物モデルによって、これらの活動の多くの証拠が提供されている(チェン(Chen)Aら、1999、コップ(Kopf)Mら、1999;ムラタ(Murata)Kら、2000)。
【0003】
OX40受容体(以下OX40R)は、TNFRファミリーのメンバーの細胞表面抗原であり、T細胞受容体(TCR)結合に続いて一過性に発現され、同時刺激の受容体として働く。これはT細胞のための高度に特異的なCD4+またはCD8+活性化マーカーと考えられ、多発性硬化症または関節リウマチなどにおけるような、免疫学的病理に関連した炎症部位、並びに腫瘍浸潤リンパ球、および移植片対宿主病の動物モデルの末梢血で過剰発現されることが多い。
【0004】
OX40リガンド(以下、OX40L)は、本来ヒトT細胞リンパ球向性ウイルス1感染症およびCD40活性化によって刺激されるタンパク質として同定された膜貫通タンパク質であり(ミウラ(Miura)Sら、1991)、TNFと構造的類似性を有して細胞結合性または分泌性三量体を形成できる。これは、活性化された抗原提示BおよびT細胞、並びに樹状細胞、脈管内皮細胞およびその他の非造血性組織(例えば心臓、骨格筋、および膵臓)上に提示される。
【0005】
OX40Lは、高親和性(Kd=0.2〜0.4nM)を持つホモ三量体としてOX40Rと相互作用し、このシステムについて様々な結合アッセイが試験されている(テイラー(Taylor)Lら、2002;テイラー(Taylor)Lおよびシュヴァルツ(Schwartz)H、2001;アル−シャムカニ(Al−Shamkhani)Aら、1997)。しかしこれまでに立体構造は解明されておらず、OX40L−OX40R相互作用の機構に関するさらに詳しい分子の詳細を提供するための詳細な構造−活性度の研究も実施されていない。
【0006】
OX40LとOX40Rの間の相互作用は、OX40R発現エフェクターT細胞に対して同時刺激効果を有し、Tヘルパー細胞(Th1およびTh2)によるサイトカイン生成の上方制御と、活性化誘導細胞死の阻害を通じたメモリーT細胞の増大した生存とによって、より強い細胞反応をもたらす。機能的OX40L遺伝子が欠損した形質転換マウス、およびOX40RとOX40Lの相互作用のブロッキング、またはOX40RポジティブT細胞の枯渇により、自己免疫の臨床的徴候が減少することが実証された己免疫動物モデルにおいて、追認する証拠も得られた。
【0007】
さらにOX40LはOX40R結合時に、C−CケモカインRANTESをはじめとするいくつかの遺伝子の発現を誘発し、OX40R-OX40L系が活性化T細胞血管外遊走の調節に関与するように見える内皮モデルにおいて得られた結果が追認される(コタニ(Kotani)Aら、2002)。
【0008】
累積的にこれらの発現および機能データは、OX40L−OX40R相互作用によって制御されるシグナル伝達経路が、抗原特異的増殖性反応を延長する一助になる、さもなければエフェクター/メモリーT細胞集団の持続、分化、または再活性化に影響するかもしれない可能性を高める。
【0009】
OX40R−OX40L系に対する関心は、細胞内情報伝達機構が未だ完全に理解されていなくとも、OX40Rの発現プロフィールによってこのタンパク質が、例えば自己反応性T細胞を除去することが必要な多発性硬化症のような臨床状況において、CD4+T細胞仲介疾患のための特有のターゲットになるという事実に関連している。仮説では、OX40Rの活性度を調節する生成物は、全てのT細胞をターゲットとする、自己免疫疾患および移植拒絶反応に対する従来の免疫抑制療法の重篤な副作用を有さないかもしれないとされる。
【0010】
OX40LとOX40Rの間の相互作用を調節する治療上の可能性は、OX40L標的免疫毒素(ワインバーグ(Weinberg)Aら、1996)、抗OX40R抗体(バンサル−パカラ(Bansal−Pakala)Pら、2001)、抗OX40L抗体(ストゥーバー(Stuber)Eおよびストローバー(Strober)W、1996;ヨシオカ(Yoshioka)Yら、2000;ツカダ(Tsukada)Nら、2000)、およびOX40L−Ig融合タンパク質(ヒギンズ(Higgins)LMら、1999;ワインバーグ(Weinberg)Aら、1999)を用いて得られた、生体内で(in vivo)生じた結果によって認識された。これらの化合物は、(炎症部位での活性化CD4+T細胞の蓄積を防止するため)OX40L−OX40R相互作用に拮抗する、あるいは(癌などのその他のいくつかの病的病状におけるように)OX40Rを活性化することのいずれかが意図される。
【0011】
OX40Rの作用薬または拮抗剤のいずれかである様々なOX40R結合剤が、免疫付与および癌治療に対してポジティブな効果を有するものとして、先行技術で開示されている(国際公開第95/21915号パンフレット;国際公開第95/21251号パンフレット;欧州特許第978287号明細書;国際公開第99/42585号パンフレット;国際公開第02/66044号パンフレット;米国特許明細第6312700号明細書)。しかし実際には、OX40L全細胞外領域または抗体などの大型分子のみが、効果的なOX40R結合剤であるとして開示される。これはまた、この相互作用を特性決定するための実際の構造−活性度研究が実施されておらず、その他のTNF/TNFRタンパク質構造分析から信頼できる情報を推論することもできないという事実に起因する(ボードマー(Bodmer)JLら、2002)。
【0012】
既知のOX40R結合剤は、治療上および診断上の作用物質として有用であることが立証されているので、上述の大型分子の結合およびOX40L競合特性を維持して、生成するのがより容易な化合物を同定し、ペプチドまたはその他の小型分子を開発することが望ましいであろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
OX40L細胞外領域に由来する特異的ペプチドが、OX40R結合剤として使用できることが今や発見されている。より具体的には、2つの異なる信頼できるスクリーニング技術によって示されるように、ヒトOX40Lのアミノ酸94〜124に対応するペプチド、並びにヒトOX40Lのアミノ酸107〜116を含むこのペプチドの断片が、高い親和性でヒトOX40Rと相互作用することが見いだされた。このようなペプチド、それらの配列を含む異種のタンパク質、並びにそれらの配列に基づいてデザインされたペプチドおよびその他の分子は、異なる治療上の用途のために、天然OX40Lと競合するOX40R結合剤として使用できる。本発明のその他の特徴と利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
先行技術で開示された証拠に照らして、OX40R−OX40L相互作用を阻害するためのOX40R結合剤として有用たり得る、OX40L細胞外領域中への特異的ペプチド配列の指摘はない。
【0015】
OX40L細胞外領域に由来する一連のペプチドをスクリーニングすることで、高い親和性でOX40Rと相互作用し、OX40Lと競合する短いアミノ酸配列が意外にも同定され、OX40R−OX40L相互作用の阻害剤として特性決定された。
【0016】
したがって本発明は、ヒトOX40Lのアミノ酸94〜124(P5;配列番号:6)に対応するペプチド配列である新しいOX40R結合剤を開示する。
【0017】
本発明は、1つ以上のアミノ酸が欠落し、ヒトOX40Lのアミノ酸107〜111(ペプチドP5−1a;配列番号:13)を含む、アミノ酸94〜124(ペプチドP5;配列番号:6)に対応するペプチド配列からなるヒトOX40Lのペプチド配列であるOX40R結合剤を開示する。特にこれらのペプチドは5〜10個のアミノ酸を有し、さらにヒトOX40Lのアミノ酸107〜116(ペプチドP5−1;配列番号:8)、または107〜111(ペプチドP5−1a;配列番号:13)に対応する配列を有する。
【0018】
上で定義されたペプチドP5、並びにP5断片は、本願明細書の実施例において、ヒトOX40Rタンパク質に結合することが示され(または推論され)ている。この結合活性度は、組み換え型OX40LおよびOX40Rを用いた生体外(in vitro)アッセイを使用して試験され、特許請求されるペプチド配列によってOX40Lが効果的に競合されることが実証されている。したがって本発明によって、ヒト疾患に関連した望ましくないOX40R−OX40L相互作用と細胞情報伝達を阻害するための新しい手段が提供される。
【0019】
OX40Lの別称であるヒトACT−4−Lの細胞外領域の断片が、OX40L(国際公開第95/21915号パンフレット)の細胞外領域における、機能的または構造的領域に関連する可能なOX40R結合剤として開示されている。しかし文献では、ペプチドP5、またはペプチドP5−1およびP5−1aなどのその断片に対応するヒトOX40Lの機能的または構造的領域が、OX40Lに対して競合活性を有するという証拠は提供されていない。マウスOX40L細胞外領域配列に基づいてデザインされたペプチドは、抗OX40L抗体を生成するための抗原として使用されている(ストゥーバー(Stuber)Eおよびストローバー(Strober)W、1996)が、この領域におけるマウスおよびヒトOX40Lの限定的保存に照らして(図5Aおよび6A)、これらのいずれかの配列がヒトOX40Rに対するヒトOX40Lの結合と効率的に競合できるとは推論できない。
【0020】
本願明細書は、同一タンパク質ファミリーに属するその他のリガンド−受容体対を比較して(ボドマー(Bodmer)JLら、2002)、またはPREDATOR、PHDまたはHNN(例えばhttp://npsa−pbil.ibcp.fr/cgi−bin/npsa_automat.pl?page=/NPSA/npsa_server.htmlでアクセスできる)などのタンパク質構造予測に対する周知のアルゴリズムを使用して、機能的または構造的ドメインが明確に予測できなくても、このようなペプチドが意外にもOX40R−OX40L相互作用を阻害できるOX40R結合剤として効果的であることを成功裏に実証する。
【0021】
「ペプチド」と言う用語は、普通は、通常4〜20個の近接するアミノ酸である、4〜40個以上の近接するアミノ酸を含有するポリペプチド鎖に適用される。このようなペプチドは、より大きなタンパク質の部分的タンパク分解性切断、化学合成、または遺伝子工学ををはじめとする、当業者に既知の方法によって生成できる。
【0022】
「活性の」と言う用語は、本発明のペプチドについて実証されるOX40R結合特性を示す化合物を定義する。
【0023】
ペプチドP5、およびペプチドP5−1およびP5−1aによって例証されるその特異的断片の特性は、それらの活性変異体中で維持でき、あるいは強化することすらできる。この分子カテゴリーは、1つ以上のアミノ酸残基が保存的に置換されているこれらの配列の類似体を含むが、ただしそれらは、技術分野で既知のまたは下の実施例で開示される手段により測定されるように、本発明で特性決定された同一生物学的活性度に匹敵するまたはより高いレベルで示す。
【0024】
本発明に従って、これらの活性変異体における好ましい変化は、一般に「保存的」または「安全」置換として知られる。保存的アミノ酸置換は、分子の構造および生物学的機能を保存するために、十分に類似した化学特性を有するアミノ酸を有するのもである。特に例えば10個未満、好ましくは3個未満である少数のアミノ酸のみが挿入または欠落に関与し、あるいはタンパク質またはペプチドの機能的高次構造に重大な意味を持つアミノ酸を除去または置換しないならば、それらの機能を変更することなく、上で定義された配列中でアミノ酸の挿入および欠落があっても良いことが明らかである。
【0025】
文献は、天然タンパク質の配列および/または構造に関する統計学的および物理化学的な研究に基づいて、保存的アミノ酸置換の選択が実施できる多くのモデルを提供する(ロゴブ(Rogov)SIおよびネクラソブ(Nekrasov)AN、2001)。タンパク質デザイン実験は、アミノ酸の特異的サブセットの使用により、折りたためる活性タンパク質が生成できることを示し、タンパク質構造中により容易に収容できるアミノ酸の「同義」置換の分類の一助となる(マーフィー(Murphy)LRら、2000)。同義のアミノ酸群、およびより好ましい同義の群は、表Iで定義されたものである。
【0026】
これらの代替えの化合物では、本願明細書で開示された基本的特性、特にOX40Rに結合して阻害するその能力に関して影響しないヒトOX40Lの選択配列の変化によって、分子を理解することが意図される。類似化合物は、従来のコード化DNAの特定部位の突然変異誘発技術から、コード化DNA配列またはアミノ酸の組み合わせ技術(DNA混合、ファージ・ディスプレイ/選択など)から、コンピューター利用のデザイン研究から、あるいは当業者により先行技術および本願明細書実施例に示される教示を使用して日常的に得られて試験される、実質的に対応する変異ペプチドの有限のセットを提供する、適切なあらゆるその他の既知の技術から得られても良い。
【0027】
本願明細書は、アミノ酸配列P5、P5−1、P5−1aを含む融合ポリぺプチドまたはペプチド、あるいは上述のそれらのいずれかの活性変異体、およびヒトOX40L以外のタンパク質配列に属するアミノ酸配列である、新しいOX40結合剤を開示する。この異種の後者の配列は、OX40R結合活性度を大幅に損なうことなしに追加的特性を提供すべきである。このような追加的特性の例は、より容易な精製手順、体液中でのより長く持続する半減期、または細胞外局在化である。この後者の特性は、本願明細書でOX40R結合剤として特性決定されたペプチドが、これらのペプチドの分離および精製が促進されるだけでなく、OX40LとOX40Rが自然に相互作用する空間に局在化できるようにするので、上の定義に含まれる融合またはキメラタンパク質の特異的な群を定義するのに、特に重要である。
【0028】
本発明のOX40R結合剤をはじめとする融合タンパク質に含まれることができる追加的なタンパク質配列は、膜結合タンパク質、膜結合タンパク質の細胞外領域、免疫グロブリン定常部、多量体化領域、細胞外タンパク質、シグナルペプチド含有タンパク質、搬出シグナル含有タンパク質の中から選択できる。
【0029】
OX40結合剤に融合させるための1つ以上のこれらの配列の選択は、前記作用物質の特定用途の関数である。一般的手順としてこれらのタンパク質は、遺伝子副体または非/相同的組み込みベクター、並びに形質転換−、感染症−、または形質移入−ベースの技術を使用して、原核または真核宿主細胞を修飾するために使用されるウィルスまたはプラスミド起源の複製可能なベクター中で、一般的遺伝工学技術を使用してクローン化し、それらをコード化する核酸セグメントを作り出すことにより生成できる。これらのベクターは、前記細胞内で恒常的に活性または誘発性であるように選択されるそれら自身の転写開始/終了制御配列の調節の下で、OX40R結合剤をはじめとする融合タンパク質が、原核または真核宿主細胞内で発現できるようにすべきである。次にこのような細胞内で実質的に富化される細胞系を分離して、安定細胞系が提供できる。特に修飾されて本発明のOX40R結合剤を発現する細胞が直接的に使用または投与される場合は常に、好ましい細胞はOX40Lを通常発現するヒト細胞、特にヒトB細胞である。
【0030】
細胞外、搬出シグナル、またはシグナル−ペプチド含有タンパク質の配列におけるように、追加的タンパク質配列によって、OX4OR結合ドメインが細胞外空間に分泌されるようになる場合、さらなる加工の観点から、作用物質が培養細胞からより容易に収集、精製でき、または代案として細胞は直接的に使用または投与できる。
【0031】
膜結合タンパク質の配列におけるように、追加的タンパク質によってOX40R結合剤が細胞表面に固定されるようになる場合、さらなる加工の観点から、作用物質を培養細胞から収集、精製するのはより困難になることができるが、細胞は直接的に使用または投与でき、天然OX40Lの1つに対応する形態で作用物質が提供され、もしかするとその特性が改善されるかも知れない。
【0032】
最後にOX40L−OX40R相互作用に、タンパク質の多量体化、特に三量体化が関与することは既知である(アル−シャムカニ(Al−Shamkhani)Aら、1997)。したがって融合タンパク質は、免疫グロブリン定常部、膜結合タンパク質の細胞外領域、または技術分野でTNFR−様(国際公開第00/39295号パンフレット)またはその他のタンパク質(国際公開第01/49866号パンフレット、国際公開第99/10510号パンフレット、国際公開第01/98507号パンフレット)中に存在することが既知の三量体化領域などの得られたタンパク質が多量体化できるようにする配列も含んでも良い。含めることができるその他の有用なタンパク質配列は、アフィニティークロマトグラフィーによる精製手段を提供するものである(コンスタンス(Constans)A、2002;ロウ(Lowe)CRら、2001)。
【0033】
本発明のポリぺプチドおよびペプチドは、所望の使用および/または生成方法に従って好ましくあることができる、例えば活性画分、前駆物質、塩、または誘導体などの代替の形態であることができる。
【0034】
「画分」と言う用語は、化合物それ自体のポリペプチド鎖の単独での、または例えば糖またはリン酸残基、あるいは元のポリぺプチドまたはペプチドの凝集塊などの結合した関連分子または残基との組み合せでの、あらゆる断片を指す。このような分子は、例えばペプチドの生体内(in vivo)または生体外(in vitro)化学誘導体化(アセチル化またはカルボキシル化)、あるいはペプチドの合成および加工またはさらなる加工ステップにおいて、そのリン酸化(ホスホチロシン、ホスホセリン、またはホスホスレオニン残基の導入)またはグリコシル化(例えば哺乳類のグリコシル化または脱グリコシル化酵素などのグリコシル化に影響する酵素にペプチドを曝露することによる)パターンの修飾によって作られるものなどの通常、一次配列を変更させないその他の修飾からも得ることができる。例えばP5およびP5−1は潜在的グリコシル化部位(ヒトOX40L中のアミノ酸114〜116)を含有し、これは宿主細胞内での組換え体発現中、または化学合成中に適宜修飾できる。
【0035】
「前駆物質」は、細胞または身体への投与の前後に、代謝的および酵素的処理によって本発明の化合物に変換できる化合物である。
【0036】
「塩」と言う用語は、ここではカルボキシル基の塩、および本発明のペプチド、ポリぺプチド、またはそれらの類似体のアミノ基の酸付加塩の双方を指す。カルボキシル基の塩は技術分野で既知の手段によって形成しても良く、例えばナトリウム、カルシウム、アンモニウム、第二鉄または亜鉛塩などの無機塩が挙げられ、有機塩基を持つ塩としては、例えばトリエタノールアミンなどのアミン、アルギニンまたはリジン、ピペリジン、プロカインなどを用いて形成するものなどのが挙げられる。例えば酸付加塩としては、例えば塩酸または硫酸などの鉱酸を有する塩と、例えば酢酸またはシュウ酸などの有機酸を有する塩とが挙げられる。このような塩のいずれもが、本発明のペプチドおよびポリぺプチドまたはそれらの類似体に実質的に類似した活性度を有するべきである。
【0037】
「誘導体」と言う用語は、ここでの用法では、既知の方法に従って、アミノ酸部分の側鎖上、あるいはN−またはC−末端基上に存在する官能基から調製できる誘導体を指す。このような誘導体としては、例えばカルボキシル基のエステルまたは脂肪族アミド、および遊離アミノ基のN−アシル誘導体または遊離水酸基のO−アシル誘導体が挙げられ、例えばアルカノイル−またはアロイル−基などのアシル基を用いて形成される。
【0038】
本発明の別の目的は、ペプチドP5のペプチドミメティック(peptide mimetics)(ペプチドミメティック(peptidomimetics)とも称される)、ペプチドP5−1およびp5−1aによって例証されるその特異的断片、その中でペプチドまたはポリぺプチドの性質が、アミノ酸側鎖、アミノ酸掌性、および/またはペプチド主鎖のレベルで化学的に修飾されている、上で定義された対応する活性変異体からなる、新しいOX40R結合剤である。これらの修正は、(改善されていないとすれば)類似した治療上、診断上、および/または薬物動態学的特性を有するOX40R結合剤を提供することを意図する。
【0039】
例えばペプチドが被験者への注射に続いてペプチダーゼによる切断を被りやすいことが問題である場合、特に感受性の高いペプチド結合を非切断性ペプチドミメティックで置換することで、より安定し、従って治療薬としてより有用なペプチドを提供できる。同様に、L−アミノ酸残基の置き換えは、ペプチドのタンパク質分解に対する感受性を低くし、最終的にはペプチド以外の有機化合物により類似させる標準法である。t−ブチルオキシカルボニル、アセチル、テイル、スクシニル、メトキシスクシニル、スベリル、アジピル、アゼライル、ダンシル、ベンジルオキシカルボニル、フルオレニルメトキシカルボニル、メトキシアゼライル、メトキシアジピル、メトキシスベリル、および2,4,−ジニトロフェニルなどのアミノ−末端ブロッキング基もまた有用である。増大した強度、長期にわたる活性、精製の容易さ、および/または増大した半減期を提供する多くのその他の修飾は、技術分野で既知である(国際公開第02/10195号パンフレット;ビラン(Villain)Mら、2001)。ペプチドミメティックをはじめとする好ましい代案、アミノ酸の「同義」群は、表IIで定義されるものである。
【0040】
ペプチドミメティック、並びに非ペプチドミメティックの合成および開発技術は、技術分野で周知である(ソーヤー(Sawyer)TK、1997;フルビー(Hruby)VJおよびバルセ(Balse)PM、2000;ゴレビオウスキー(Golebiowski)Aら、2001;キム(Kim)HOおよびカーン(Kahn)M、2000)。生体外(in vitro)および生体内(in vivo)翻訳系の双方を使用して、非天然アミノ酸をタンパク質に組み込み、タンパク質の構造および機能を調べ、および/または改善する様々な方法論もまた文献で開示される(ドゥガーティ(Dougherty)DA、2000)。
【0041】
新しいOX40R結合剤は、ペプチドP5と、ペプチドP5−1およびP5−1aによって例証されるその特異的断片と、あるいは上で定義された対応する活性変異体の構造および/または配列を利用するコンピューター支援薬剤デザイン方法によって同定される、ペプチド、ペプチドミメティック、または非ペプチドミメティックであることができる。別々の分子または複合体としてのOX40LおよびOX40Rの立体構造は未だに解明されていないが、本願明細書で提供される開示により、ひとたびこの情報が利用できるようになれば、これらのそしてその他のシミュレーション技術を使用して、OX40LとOX40Rの間の相互作用の研究がより効率的にできるようになる(コクラン(Cochran)Aら、2001;クレーマー−ペコール(Kraemer−Pecore)CMら、2001)。このようなコンピューター支援分析を活用して、合成有機分子またはペプチド(例えば4〜20個のアミノ酸を有する)の形態の改善されたペプチドまたは非ペプチドミメティック薬剤が開発できる。ひとたびこれらの化合物がスクリーニングされ、OX40Rと結合しOX40Lと競合できることが分かると、次にそれは細胞または動物モデルを使用して、それらの有用性について評価される。
【0042】
本発明のOX40R結合剤の有用な接合体または複合体は、(国際公開第95/21251号パンフレットで抗OX40R抗体について示されるように)技術分野で既知の分子および方法を使用して生成され、(放射性または蛍光標識、ビオチンによって)それらの検出、(細胞毒性作用物質によって)それらの治療上の有効性、および/または(ポリエチレングリコールとその他の天然または合成ポリマーによって)それらのデリバリを改善できる(ピライ(Pillai)Oおよびパンチャングヌラ(Panchagnula)R、2001)。
【0043】
ペプチドP5、その特異的断片、ペプチドP5−1およびP5−1aによって例証される対応する活性変異体、およびそれらを含有する融合タンパク質は、既知の化学合成によって、または組換えDNAをベースとする技術によって調製できる。
【0044】
本発明の別の目的は、実質的に同一であるヌクレオチド配列を含む、本発明のOX40R結合剤のための核酸コード化である。
【0045】
「実質的に同一であるヌクレオチド配列」は、遺伝子コードの縮重のおかげで特定のアミノ酸配列もコードする、あらゆるその他の核酸配列を含む。
【0046】
本発明は、本発明のOX40R結合剤をコードする核酸が発現できるようにするウィルスまたはプラスミド起源のベクター、およびこのようなベクターによって形質転換された原核または真核宿主細胞も含む。これらの形質転換細胞内で実質的に富化される安定細胞系は、例えばヒトB細胞などの細胞膜上で分泌または発現されることができるOX40R結合剤の発現特徴に基づいて分離できる。
【0047】
本発明のOX40R結合剤は、上で述べた宿主細胞を適切な培養液中で培養し、OX40R結合剤を収集する方法によって生成できる。
【0048】
本発明のタンパク質をコードするDNA配列は、適切なベクター中に挿入してライゲートできる。ひとたび形成すると、発現ベクターを適切な宿主細胞内に導入し、次にそれがベクターを発現して所望のタンパク質が生じる。
【0049】
ここで述べる本発明の組換えタンパク質のいずれかの発現は、適切な発現ベクターを使用して、真核細胞(例えば酵母、昆虫または哺乳類の細胞)または原核細胞内でもたらすことができる。技術分野で既知のあらゆる方法を用いることができる。
【0050】
例えば上の方法のいずれかによって得られたタンパク質をコードするDNA分子は、技術分野で周知の技術によって、適切に構築された発現ベクターに挿入される。二重鎖のcDNAは、ホモポリマーテーリングによって、または合成DNAリンカー、または平滑末端ライゲーション技術の使用が関与する制限連結によって、プラスミドベクターに連結される。DNAリガーゼを使用してDNA分子を結合し、望ましくない連結は、アルカリホスファターゼでの処理によって回避される。
【0051】
所望のタンパク質を発現できるために、発現ベクターは、遺伝子発現およびタンパク質生成ができるように所望のタンパク質をコードするDNAに連結された、転写および翻訳制御情報を含有する特異的ヌクレオチド配列も含まなくてはならない。まず遺伝子が転写されるために、それはRNAポリメラーゼによって認識可能なプロモーターによって先行されなくてはならず、それにポリメラーゼが結合することによって、転写過程が開始する。種々のこのようなプロモーターが使用され、異なる効率で働く(強弱プロモーター)。
【0052】
真核ホストでは、ホストの性質次第で異なる転写および翻訳制御配列を用いても良い。それらは、制御シグナルが高レベルの発現を有する特定遺伝子に結びつく、アデノウイルス、ウシ乳頭腫ウイルス、シミアンウイルスなどのウィルス起源に由来しても良い。例は、ヘルペスウイルスのTKプロモーター、SV40初期プロモーター、酵母gal4遺伝子プロモーターなどである。抑制および活性化ができるようにする転写開始制御シグナルを選択して、遺伝子発現を調節できるようにしても良い。
【0053】
所望の遺伝子配列を宿主細胞内に組み込める、作動可能に連結された転写性および翻訳制御シグナルを有するベクター内に、本発明のタンパク質のヌクレオチド配列コードを含むDNA分子を挿入する。
【0054】
導入されたDNAによって安定に形質転換された細胞は、発現ベクターを含有する宿主細胞を選択できるようにする1つ以上のマーカーを導入することによっても選択できる。マーカーはまた、栄養要求株ホストに光合成能、例えば抗生物質、または銅などの重金属の殺生剤への抵抗性を提供しても良い。選択性マーカー遺伝子は、発現されるDNA遺伝子配列に直接的に連結し、または同時形形質移入によって同一細胞に導入することができる。
【0055】
ベクターの追加的要素もまた、本発明のタンパク質の最適な生成を得るのに有用であるかも知れず、特にベクターを含有する受容細胞をベクターを含有しない受容細胞から認識し選択する容易さ、特定ホストにおいて所望のベクターのコピー数、そしてベクターを異種の宿主細胞間で「シャトル」できることが望ましいかどうかなど、プラスミドまたはウィルスベクターを含有する特定細胞を選択するために有用であるかもしれない。
【0056】
ひとたびコンストラクトを含有するベクターまたはDNA配列が発現のために調製されると、形質転換、形質移入、接合、プロトプラスト融合、電気穿孔法、リン酸カルシウム−沈殿、直接的ミクロ注入などの種々の適切な手段のいずれかによって、DNAコンストラクトを適切な宿主細胞に導入しても良い。
【0057】
宿主細胞は、原核または真核のどちらかであっても良い。好ましい真核ホストは、正確な折りたたみ、または正確な部位のグリコシル化をはじめとする翻訳後修飾をタンパク質分子に提供することから、例えばヒト、サル、マウス、およびチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳類の細胞である。また酵母細胞は、グリコシル化をはじめとする翻訳後ペプチド修飾をすることができる。強いプロモーター配列と高いコピー数のプラスミドを使用するいくつかの組換えDNAストラテジーが存在し、それは酵母内で所望のタンパク質を生成するために使用できる。酵母はクローン化哺乳類の遺伝子生成物上でリーダー配列を認識し、リーダー配列を持つペプチドを分泌する(すなわちプレペプチド)。
【0058】
ベクターの導入後に、ベクター含有細胞の生育について選択する選択培地中で宿主細胞を生育させる。クローン化遺伝子配列の発現からは、所望のタンパク質の生成が帰結する。
【0059】
本発明のこれらの目的は、本願明細書によって提供される組換えOX40R結合剤に関する開示を、一般的分子生物学技術の知識と組み合わせることによって達成できる。オックスフォード大学出版(Oxford University Press)発行のシリーズ中のいくつかのタイトル「実際的アプローチ(A Practical Approach)」(「DNAクローン化2:発現のシステム(DNA Cloning 2:Expression Systems)」1995;「DNAクローン化4:哺乳類のシステム(DNA Cloning 4:Mammalian Systems)」1996;「タンパク質発現(Protein Expression)」1999;「タンパク質精製技術(Protein Purification Techniques)」2001)などのように、多数のレビュー(マクライズ(Makrides)SC、1999)および書籍が、ベクターおよび原核または真核宿主細胞を使用して、組換えタンパク質をクローンおよび製造する方法に関する教示を提供する。
【0060】
それらがペプチドまたはペプチドミメティックの形態である場合に、本発明のOX40R結合剤を製造するために指示される化学合成技術の例は、固相合成および液相合成である。例えば固相合成として、合成するペプチドのC−末端に対応するアミノ酸が有機溶剤に不溶性の支持体に結合され、反応の交互の反復によって、それらのアミノ基および側鎖官能基が適した保護基で保護されるアミノ酸が、C−末端からN−末端の順で1つずつ縮合され、樹脂またはペプチドのアミノ基の保護基に結合したアミノ酸が放出され、かくしてペプチド鎖はこの様式で延長する。
【0061】
固相合成法は、使用される保護基のタイプに応じて、tBoc方およびFmoc法によって大まかに分類される。典型的に使用される保護基としては、アミノ基のためのtBoc(t−ブトキシカルボニル)、Cl−Z(2−クロロベンジルオキシカルボニル)、Br−Z(2−ブロモベンジルオキシカルボニル)、Bzl(ベンジル)、Fmoc(9−フルオレニルメトキシカルボニル)、Mbh(4,4’−ジメトキシジベンズヒドリル)、Mtr(4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル)、Trt(トリチル)、Tos(トシル)、Z(ベンジルオキシカルボニル)、およびCl2−Bzl(2,6−ジクロロベンジル)、グアニジノ基のためのNO2(ニトロ)およびPmc(2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル)、そして水酸基のためのtBu(t−ブチル)が挙げられる。所望のペプチドの合成後、それを脱保護反応させて固体支持体から切断する。このようなペプチド切断反応は、Boc法のためにはフッ化水素またはトリフルオロメタンスルホン酸、Fmoc法のためにはTFAを用いて実施しても良い。
【0062】
組換えDNAまたは化学合成技術によって得られるOX40R結合剤に、最終的に1つ以上の精製ステップを施す。精製は、この目的のために知られるあらゆる方法、すなわち抽出、沈殿、クロマトグラフィー、電気泳動などを伴うあらゆる従来の手順によって実施できる。例えばHPLC(高速液体クロマトグラフィー)が使用できる。溶出は、一般にタンパク質精製のために用いられる水−アセトニトリルベースの溶剤を使用して実施できる。本発明は、本発明のOX40R結合剤の精製品を含む。精製品とはここでの用法では、乾燥重量で本発明の化合物の少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%である製剤を指す。
【0063】
上述の本発明の化合物(タンパク質、ペプチド、有機化合物)は、薬物としてヒトOX40Lの拮抗剤、OX40Lの活性度に関する文献に照らしてRANTES発現の誘発物質(コタニ(Kotani)A.ら、2002)、そしてヒトRANTESの拮抗剤であることができる。
【0064】
本発明のOX40R結合剤は、医薬組成物中で自己免疫疾患、炎症、または感染症の予防および/または治療のための活性成分として使用できる。
【0065】
本発明のOX40R結合剤はひとたびOX40Rに結合すると、OX40Lの拮抗剤として作用し、このような分子の治療上の可能性は、CD4+T細胞活性化の阻害が有利である、自己免疫疾患(例えば炎症腸疾患、関節リウマチ、および多発性硬化症)、炎症または感染症の予防および/または治療にある。この後者の効果はまた、OX40Rを発現するCD4+T細胞の集団を減少させるためにも使用できる。
【0066】
本発明は、活性成分として本発明のOX40R結合剤の1つを含む、CD4+T細胞に関係した疾患の予防および/または治療のための医薬組成物も提供する。これらの医薬組成物は、薬学上許容可能なキャリア、賦形剤、安定剤、または希釈剤と組み合わせて調剤できる。作用物質の特性次第で、医薬組成物は、自己免疫疾患、炎症、または感染症などのCD4+T細胞に関係した疾患に対して有用であることができる。
【0067】
本発明のOX40R結合剤を含む医薬組成物としては、前記化合物を治療的有効量、すなわち処置した動物において医学的に望ましい結果を達成するのに効果的な量で含有するあらゆる組成物が挙げられる。医薬組成物は、適切な薬学上許容可能なキャリア、動物に投与するのに適切な生物学的に適合性のビヒクル(例えば生理食塩水)を含有しても良く、最終的に薬剤的に使用できる製剤への活性化合物の加工を促進する添加剤(賦形剤、安定剤または希釈剤など)を含む。
【0068】
医薬組成物は、投与様式の要求を満たすいずれかの許容可能なやり方で調剤しても良い。薬剤デリバリーのための医用材料およびその他のポリマーの使用、並びに投与の特定の様式を確認するための異なる技術とモデルについては、文献で開示されている(ルオ(Luo)Bおよびプレストウィッチ(Prestwich)GD、2001;クレランド(Cleland)JLら、2001)。血液脳関門の貫通を改善するための本発明の化合物の修飾もまた有用であろう。経血管ドラッグデリバリー分野におけるバイオミメティック輸送および合理的なドラッグデリバリーのその他の方法については、技術分野で既知である(ラネー(Ranney)DF、2000)。
【0069】
投与のあらゆる許容された様式が使用でき、当業者によって決定される。例えば投与は、皮下、静脈内、皮内、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、経皮、経口、または頬側径路などの様々な径路によって実施されても良い。非経口的投与は、大量瞬時投与、または長時間にわたるゆっくりとした灌流によっても良い。非経口的投与のための製剤としては、無菌の水性または非水性溶液、懸濁液、およびエマルジョンが挙げられ、それらは技術分野で既知の補助的作用物質または賦形剤を含んでも良く、日常的な方法に従って調製できる。さらに適切な油性注射懸濁液として、活性化合物の懸濁液を投与しても良い。例えば適切な親油性の溶剤またはビヒクルとしては、脂肪油、例えばごま油、または合成脂肪酸エステル、例えばごま油、または例えばオレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステルが挙げられる。懸濁液の粘度を増大させる物質を含有しても良い水性注射懸濁液としては、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、および/またはデキストランが挙げられる。任意に懸濁液は安定剤も含有しても良い。医薬組成物は、注射による投与のための適切な溶液を含み、賦形剤と共に約0.01〜99%、好ましくは約20〜75%の活性化合物を含有する。直腸投与できる組成物としては坐薬が挙げられる。
【0070】
投与される投薬量は、受容者の年齢、性別、健康、および体重、あれば併用治療の種類、治療の頻度、および所望の効果の性質に左右されるものと理解されている。投薬量は、当業者によって理解され決定されるように個々の被験者のために調整される。各治療に要する総用量は、複数用量または単一用量によって投与されても良い。本発明の医薬組成物は、単独で、または病状を対象とする、または病状のその他の症状を対象とするその他の治療薬と併せて投与しても良い。通常、活性成分の一日の投薬量は、体重1kg当たり0.01〜100mgからなる。
【0071】
本発明の化合物は、生理食塩水などの薬学上許容可能なキャリア中で、患者に静脈内投与しても良い。例えばリポソーム経由のデリバリなどのペプチドの細胞内デリバリーの標準方法が使用できる。このような方法は、当業者には周知である。本発明の調合物は、静脈内、皮下、筋肉内、および腹腔内などの非経口的投与のために有用である。
【0072】
医学分野では周知のように、あらゆる一患者に対する投薬量は、患者の大きさ、体表面積、年齢、投与される特定化合物、性別、投与の時間と径路、一般的健康、および併用して投与されるその他の薬剤をはじめとする多くの要因に左右される。
【0073】
本発明のOX40R結合剤は、膜結合または可溶性タンパク質としてのOX40Rタンパク質の細胞外領域の検出のために使用できる。明らかにこの利用法は、OX40Rタンパク質を発現する活性化CD4+T細胞の検出に広げることができる。
【0074】
これらの利用法をベースとする検出方法は、サンプルを作用物質または細胞に接触させる第1のステップと、OX40Rタンパク質の細胞外領域間の相互作用をこれらの要素の存在を示すために直接的に(既述したように、作用物質または細胞に関連したいずれかの標識の手段によって)、または間接的に(例えばOX40Rタンパク質またはOX40R−発現細胞上のこの結合の効果の手段によって)検出する第2のステップとを含む。
【0075】
作用物質または細胞は、サンプルと接触させる前後に支持体上に固定化でき、これによって、膜結合または可溶性タンパク質としてのOX40R細胞外領域、またはOX40R発現細胞の検出だけでなく、精製および/または濃縮ができるようになる。それ故これらの支持体は、サンプルを支持体、または本発明のOX40R結合剤を発現する細胞に接触させることにより、前記サンプル中の膜結合または可溶性タンパク質としてのOX40R細胞外領域、またはOX40R発現細胞の検出、精製、および/または濃縮方法で使用できる。この検出方法および既述の検出方法を使用して、減少したまたは増大したCD4+T細胞または可溶性OX40Rタンパク質の存在に関連した病状が診断できる。
【0076】
本発明のOX40R結合剤、またはそれらを発現する細胞は、自己免疫疾患、炎症、または感染症の予防および/または治療方法で投与できる。
【0077】
本発明は、本願明細書の実施例で提供されるように、
a)i)本発明で述べられた化合物、細胞、および支持体の中から選択されるOX40R結合剤を構成する要素、
ii)OX40R細胞外領域を含むタンパク質、その表面にOX40R細胞外領域を発現する細胞系、およびOX40R細胞外領域を分泌する細胞系の中から選択されるOX40R部分を構成する要素、および
iii)OX40R−OX40L相互作用の阻害剤として試験される化合物の要素、を含むサンプルを形成するステップと、
b)要素(i)と(ii)との間の相互作用に対する化合物(iii)の効果を直接的または間接的に検出するステップと、
c)(b)において、(a)の要素の質および/または量の点で異なるサンプル間で検出された効果を比較するステップと
を含む、OX40R−OX40L相互作用を阻害する化合物の性質および活性度の判定のためのスクリーニング検査も開示する。
【0078】
プラスチックマイクロタイタープレートまたはビーズなどの支持体上に固定化された結合要素を使用することによる、これらの類のスクリーニングはより効率的で迅速であるため、上で開示された支持体は好ましい要素を表す。
【0079】
本発明は、患者から得られたサンプル中の減少したまたは増大したCD4+T細胞または可溶性OX40Rタンパク質の存在に起因する病状の診断も可能にする、OX40Rタンパク質の細胞外領域(膜結合または可溶性タンパク質として)、または活性化CD4+T細胞を検出するための)OX40R結合剤、それらを発現する細胞、またはそれらを含む支持体を含む新しいキットも提供する。
【0080】
最後に本発明は、異なるタグ配列を有する融合タンパク質として膜結合性タンパク質の細胞外部分とタンパク質リガンドとを含む、タンパク質リガンドと膜結合性タンパク質との相互作用を阻害する化合物をスクリーニングするためのキットも提供する。
【0081】
参照した文献は、あらゆるデータ、表、図、および引用文献に示されるテキストをはじめとして全てその内容全体を本願明細書に引用したものとする。さらに参照した文献中で引用される文献のあらゆる内容は、全てその内容全体を本願明細書に引用したものとする。既知の方法ステップ、従来の方法ステップ、既知の方法または従来の方法への言及は、本発明の態様、既述または実施態様が、関連技術で開示、教示または提案されたと認めるものでは決してない。
【0082】
ひとたび本願明細書で開示された方法および生成物の特徴が理解されれば、先行技術、並びに本発明の基本的詳細といくつかの応用について述べる制限を意図しない以下の図面と実施例をレビューすることで、追加的ステップの必要性および種類が容易に推論できる。
【実施例】
【0083】
実施例1:アルファスクリーン(Alphascreen)TMをベースとする競合アッセイを使用してOX40L−OX40R相互作用を検出するための実験デザイン
方法
タンパク質
ヒトOX40R−IgG1融合タンパク質については、以前に述べられている(ゴドフリー(Godfrey)ら、1994)。組換えタンパク質は、pCEP4(インビトロゲン(Invitrogen))をベースとする哺乳類の発現ベクターを構築して調製し、その中でヒトOX40Rの細胞外部分をコード化するcDNA(SWISSPROT Acc.番号P43489のアミノ酸1〜208)は、ヒトIgG1の定常部をコード化するcDNAの5’末端にインフレーム融合される(ヒンジ領域、CH2およびCH3;SWISSPROT Acc.番号P01857のアミノ酸98〜330)。組換えOX40R−IgG1は、OX40Rのシグナル配列のために分泌タンパク質として発現される。
【0084】
ハイグロマイシンの選択性マーカー遺伝子を含有する発現コンストラクトと共に、リン酸カルシウム技術を使用してHEK293−EBNA細胞を形質移入した。細胞を2×105細胞/mlの密度で、増殖培地(DMEM/F−12(1:1)10%ウシ胎児血清および4mML−グルタミンを補充;シグマケミカル(Sigma Chemicals))に播種した。翌日2%ウシ胎児血清および4mML−グルタミンを補充したDMEM/F−12(1:1)で培地を置き換えた。1時間後、細胞を形質移入して、5%CO2含有の加湿大気中37℃で4時間インキュベートし、次に培地を変更して10%ウシ胎児血清含有増殖培地に戻した。形質移入の2日後、選択作用物質(ハイグロマイシンB;300μg/ml)を培地に添加した。選択された細胞中からOX40R−IgG1を正確に発現するクローンを分離した。
【0085】
分離クローンから生成される細胞培養上清から、組換えOX40R−IgGを精製した。遠心分離(500×gで10分間)によって上清を清澄にし、引き続いて0.45および0.22μm孔径のPVDF膜(ミリポア(Millipore))を使用して濾過した。同時にバイオ・ロジック(Bio−Logic)FPLCシステム(バイオラド(Biorad))を使用して、その上に組換えタンパク質G(ファーマシア(Pharmacia))が固定される38mlの樹脂を含有する精製カラムを添加液(0.1M Tris、pH7.0)で平衡化した。20カラム容積(CV)の添加液での平衡化の後、流速1ml/分でサンプルをカラムに適用した。10CVの添加液でカラムを洗浄し、樹脂に非特異的に結合したタンパク質を除去した。0.1グリシン/HCl(pH3.0)溶出緩衝液を使用してステップ傾斜法により、IgG1部分を通じてタンパク質G上に固定化されたOX40R−IgG1融合タンパク質を溶出した。得られた画分を1M Tris(pH7.6)で直接的に中和し、酸性溶出緩衝液中でのタンパク質分解を防止した。最後にPBS(リン酸緩衝食塩水)で平衡化したセファデックス(Sephadex)G25カラム(ファーマシア(Pharmacia))を使用して、OX40R−IgG1融合タンパク質を含有する画分を脱塩し、アッセイに使用するまで−80℃でアリコートで保存した。
【0086】
ヒトOX40L−マウスCD8および抗マウスCD8ビオチン化抗体は市販され(アンセル(Ancell))、並びにスラミン(シグマケミカル(Sigma Chemicals))も市販される。プラスミド中でGSTに融合したOX40Lの細胞外部分のクローン化によって、バキュロウイルス発現系(ゲートウェー(Gateway)TM、インビトロゲン(Invitrogen))において、グルタチオン−S−転移酵素(GST)との融合タンパク質として組み換えヒト可溶性OX40Lを調製し、次にそれを使用してSF9細胞を形質移入した。発現および精製は、製造元の説明書に従って実施した。
【0087】
アルファスクリーン(Alphascreen)TMアッセイ
アルファスクリーン(Alphascreen)TM修飾アクセプターおよび供与体ビーズを購入した(バイオシクンッルパッカード(Biosignal Packard)。OX40R−IgG1およびOX40L−CD8融合タンパク質をタンパク質A−接合アクセプタービーズ上に、ビオチン化抗CD8抗体の手段によってストレプトアビジン接合供与体ビーズ上に、それぞれ固定化した。
【0088】
コスター(Costar)(登録商標)384ウェル白色ポリスチレンプレート(コーニング(Corning))を使用して、結合アッセイを実施した。384ウェルプレートの各ウェルは、25μL容積の反応混合物を含有した。反応混合物の5つの各構成成分(OX40R−IgG1、OX40L−CD8、ビオチン化抗CD8、ストレプトアビジン接合供与体ビーズ、およびタンパク質A接合アクセプタービーズ)を5μL容積で添加した。あらゆる希釈は、ジメチル・スルホキシド(DMSO)あり、またはなしのアッセイ緩衝液(リン酸緩衝食塩水および0.1%BSA)で行った。
【0089】
標準アッセイでは、OX40−IgG1およびOX40L−CD8を共に30分間インキュベートし、次にビオチン化抗CD8抗体(10nM)を添加した。さらに30分間のインキュベーション時間に続いて、個々のウェルにストレプトアビジン供与体ビーズ(20μg/ml)およびタンパク質Aアクセプタービーズ(20μg/ml)を添加した。1秒間/ウェルの読み取り時間に設定したパッカード(Packard)フュージョン(Fusion)TMリーダー(バイオシグナルパッカード(Biosignal Packard)を使用して、1時間後にプレートをカウントした。供与体およびアクセプタービーズの光感受性のために、実験は青色光の下で実施し、あらゆるインキュベーション時間は室温で実施した。より短い発光波長520〜620nmと組み合わせた励起波長680nmでプレートを読み取った。
【0090】
データ分析
D、IC50、およびEC50値は全てプリズム(Prism)(登録商標)ソフトウェア(グラフパッドソフトウェア(Graphpad Software))を使用して計算した。IC50値のKi値への転換は、チェング(Cheng)−プルソフ(Prusoff)方程式(チェング(Cheng)YCおよびプルソフ(Prusoff)WH、1973)を使用して実施した。
【0091】
結果
文献で既知のOX40L結合アッセイとしては、FACSベースの分析(テイラー(Taylor)Lら、2002)、またはビアコア(Biacore)TMベースの分析(アル−シャムカニ(Al−Shamkhani)Aら、1997)が挙げられる。これらの技術は高速大量処理スクリーニングには不適切であるので、ルミネッセンス酸素チャネリングイムノアッセイ(Luminescent Oxygen Channeling Immunoassay(LOCI;欧州特許第515194号明細書;ウルマン(Ullman)Eら、1994)をベースとする方法である、増幅ルミネッセンス近接均質アッセイスクリーン(Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay Screen)(アルファスクリーン(Alphascreen)TM;パッカードバイオサイエンス(Packard Bioscience))と称される市販の技術を利用して、OX40R−OX40L相互作用に対するOX40L由来ペプチドの可能な阻害特性を確立するためのより効率的なシステムが創設された。
【0092】
簡単に述べると、アルファスクリーン(Alphascreen)TM技術は、特にタンパク質/タンパク質相互作用アッセイのために、生体分子の相互作用および活動に対する化合物の効果の容易で信頼できる判定を提供する。アルファスクリーン(Alphascreen)TMは、特異的分子接合のための官能基を提供するヒドロゲル層でそれぞれが被覆された、「供与体」および「アクセプター」ポリスチレンビーズの使用に依存する。固定化した分子間の生物学的相互作用によってビーズが近づくと、化学反応のカスケードが開始して、大幅に増幅されたシグナルが生じる。680nmでのレーザー励起時に、「供与体」ビーズ中の光増感剤は、周囲の酸素をさらに励起された一重項状態に変換する。励起された一重項状態酸素分子は、迅速に減衰する前に最大距離200nmにわたり拡散する。アクセプタービーズが近接している場合、これらの酸素分子は、アクセプタービーズに含有されるケミルミネッサー(チオキセン誘導体など)と反応して、化学ルミネセンスを生じる。引き続いて活性化蛍光体は、520〜620nmで発光する。特異的生物学的相互作用の不在時、供与体ビーズによって生じる一重項状態酸素分子は、アクセプタービーズの近接状態なしでは検出されない。アルファスクリーン(Alphascreen)TM技術によって、サブナノモル/ミクロモル範囲の親和性の相互作用が検出できるようになる。
【0093】
本例では、外来性の標識群の使用を避けた短い生物学的リンカーを有する異なる親和性タグを使用して、アルファスクリーン(Alphascreen)TMビーズ上に固定化した基本的結合パートナーのみを使用して、実験的設定を最初に試験した。シグナルは、ビオチン化抗CD8抗体OX40L−CD8とOX40R−IgG1によって形成する複合体のお陰で、ストレプトアビジン供与体とタンパク質Aアクセプタービーズとが、200nm未満の距離で隔てられている場合にのみ検出されるべきである(図1)。可溶性OX40L−CD8と共にOX40RのIgG1標識細胞外領域をインキュベートして複合体を形成した。適切なタグのために、この複合体はタンパク質Aアクセプタービーズと結合でき、ビオチン化抗CD8抗体の存在下でストレプトアビジン供与体ビーズと結合でき、検出できるアルファスクリーン(Alphascreen)TMシグナルを生じる。OX40L−OX40R相互作用と競合する化合物の存在下では、供与体およびアクセプタービーズはもはや近接せず、シグナルはもはや検出されない。
【0094】
このアッセイの実施可能性を判定するために実施された最初の実験では、アルファスクリーン(Alphascreen)TMシグナルは、OX40R−IgG1の添加に伴い用量依存的な様式で増大した(図2A)。5または10nMのOX40−IgG1をそれぞれ使用して計算されたEC50値(−logEC50±SEM、平均の標準誤差)は、7.7×10-9M(8.11±0.04)および7.9×10-9M(8.10±0.01)であった。次にこの結合アッセイで使用する最適濃度を求めるために、より幅広い受容体濃度(2.5〜80nM)を使用して実験を繰り返した。全部で7種類の濃度を試験し、結果は、OX40L−CD8(図2B)とのインキュベーションに続いて、各濃度で、アルファスクリーン(Alphascreen)TMシグナルにおいて、シグナル/バックグラウンド(S/B)比に用量依存性の増大が生じたことを実証した。あらゆる場合において、ナノモル範囲に留まった計算されたEC50値の間に顕著な差はなかった。
【0095】
これらの結果を考慮して、OX40R−IgG1(10nM)およびOX40L−CD8(40nM)の濃度でさらに実験を実施し、作業するための良好なS/Bウィンドウを可能にし、またこれらの融合タンパク質の最小濃度のみを使用することでアッセイの費用効率が高いことを裏付けた。
【0096】
次にTNF−様タンパク質とそれらの受容体との相互作用を阻害する小型分子であるスラミン(1mM)存在下で測定された、非特異的結合に起因するシグナルを差し引いてOX40R−IgG1のためのOX40L−CD8のKDを計算した(アルザーニ(Alzani)Rら、1995)。OX40L−CD8の特異的結合は、可飽和で高親和性(図3)であり、KD値は20.7±5.2nMと計算された。これはビアコア(Biacore)センサーチップ方法を使用してOX40Rに対するOX40L−CD4の結合親和性を測定した際の文献値(アル−シャムカニ(Al−Shamkhani)Aら、1997)と一致し、概してTNF受容体ファミリーのその他のメンバーについて、それらの各リガンドに対して得られたKD値に類似する。
【0097】
このアッセイにおいてOX40L−CD8不在下では、それ自身はアルファスクリーン(Alphascreen)TMシグナルを生じることができない、OX40L−OX40R相互作用に対する2つの既知の競合相手(未標識組み換えヒト可溶性OX40Lおよびスラミン)が、OX40R−IgG1からOX40L−CD8を排除する能力を調べた。およそのKD値を考慮して、OX40R−IgG1(10nM)の4倍のOX40L−CD8(40nM)濃度で、排除実験を実施した。OX40−IgG1(10nM)およびOX40L−CD8(40nM)も含有する反応混合物に、増大する濃度のOX40L(3μM〜0.1pM)またはスラミン(1mM〜1nM)を添加した。双方の化合物は、用量依存的な様式でOX40L−CD8結合について競合し、得られたIC50値(−logIC50±SEM)は、それぞれ5.9×10-9M(8.23±0.35)および7.9×10-5M(4.10±0.06)であった(図4)。これらの値は、チェング(Cheng)−プルソフ(Prusoff)方程式(チェング(Cheng)YCおよびプルソフ(Prusoff)WH、1973)によって、OX40Lに対して2.0nM、スラミンに対して26.3μMのKi値に転換できる。このスラミンに対する後者の値は、TNF受容体に対するTNF−α結合の阻害について報告された値と類似する(グレイ(Gray)PWら、1990)。
【0098】
アッセイを実施するためアッセイのさらなる最適化を行って、病状をより良く定義した。アッセイはシグナルを失うことなく、濃度1%までのジメチル・スルホキシド(DMSO)に耐えられた。最初の添加ステップでOX40−IgG1、OX40L−CD8、およびビオチン化抗CD8抗体を組み合わせ、第2のステップでストレプトアビジン供与体およびタンパク質Aアクセプタービーズを組み合わせ、総インキュベーション時間を60分間に保つことで、アッセイは効率的に実施できた。双方の混合物は、プレートへの添加に先だって調製できる。
【0099】
最初、OX40L−OX40R相互作用を競合的に阻害するOX40L由来ペプチドを検出するために開発された、上で述べたアルファスクリーン(Alphascreen)TM技術は、このような相互作用のあらゆるその他の選択的小型分子またはペプチド阻害剤をスクリーニングするのにも適切であろう。このアッセイは、均質で高感度、強力で384ウェルフォーマットでの自動化に適するので、同アプローチは、膜結合性タンパク質の細胞外部分とタンパク質リガンドを異なるタグ配列を持つ融合タンパク質(本例ではそれぞれIgG1およびCD8)として単に発現させることで、膜結合性タンパク質と相互作用する多くのその他のタンパク質リガンドの生化学スクリーニングの開発に潜在的に応用可能である。
【0100】
実施例2:OX40Rに結合するOX40L由来ペプチドの同定
方法
ペプチド
エピトップ(Epytop)(フランス)によって、85〜97%の範囲の純度でペプチド(10〜31アミノ酸)を合成し、−20℃で凍結乾燥形態で保存した。使用前に、PBS中0.1mMのNaOHでペプチドを可溶化した。各ペプチドの名称、配列、およびヒトOX40L中の対応するアミノ酸を表IIIに示す。
【0101】
アルファスクリーン(Alphascreen)TMベースの競合アッセイ
最初の添加ステップ中に、5μL容積の様々な濃度の各ペプチドと共に、可溶性構成成分(OX40−IgG1、OX40L−CD8、およびビオチン化抗CD8抗体)をOX40Lとスラミンの競合アッセイ(図4)について既述した濃度で混合した。ストレプトアビジン供与体およびタンパク質Aアクセプタービーズを30分後に添加した。実施例1で述べたようにより短い発光波長520〜620nmと組み合わせた長い励起波長680nmで読み取る前に、プレートを暗中、室温で振盪して2時間インキュベートした。
【0102】
蛍光消光アッセイ
前述のようにして蛍光消光アッセイを実施した(ゴラベク(Golabek)Aら、2000)。OX40R−IgG1(35μg)を500μLのPBS中に溶解し、スリットを5nmに設定した分光蛍光計(パーキンエルマー(Perkin Elmer)LS50B)を使用して、励起波長290nmで蛍光スペクトルを295〜420nmで記録した。次に15分間の平衡化後に、ヒトOX40R−IgG1の蛍光スペクトルを増大する濃度(5〜1000nM)のP5およびP5−1ペプチド存在下で記録した。336nmでの蛍光変化をペプチド濃度に対してプロットし、得られた曲線をプリズム(Prism)(登録商標)ソフトウェア(グラフパッド(GraphPad))で非線形回帰適合によって分析した。
【0103】
結果
タンパク質のアミノ酸51〜183に対応するヒトOX40L細胞外領域の配列に基づいて、一連の部分的に重なるペプチドをデザインした(図5A;表III)。この領域では、抗OX40L抗体を作るために、マウスOX40Lの配列に基づいて2つのぺプチドが以前デザインされている(ストゥーバー(Stuber)Eおよびストローバー(Strober)W、1996)。
【0104】
実施例1で述べたアルファスクリーン(Alphascreen)TMベースの競合アッセイにおいて、第1の一連のペプチドを使用して、薬理学的に妥当な親和性値であるミクロモル範囲で、OX40Lに対するOX40Rの結合を阻害できるペプチド(P5)を定義することが可能であった(図5B)。
【0105】
P5ペプチドの配列に基づいて第2の一連の部分的に重なるペプチドを試験して、この阻害分子をさらに減少させた(図6A;表III)。この逐次スクリーニングの結果、ミクロモル範囲(それぞれKd〜10および62ミクロモル)で、アミノ酸107〜116(P5−1)に対応するペプチドがOX40RのOX40Lへの結合をなおも阻害できるため、ヒトOX40L(P5)のアミノ酸94〜124を含む領域は最小領域でなかった。その他の試験されたペプチドは、OX40R−OX40L相互作用に対する効果を全くあるいはほとんど示さなかった(図6B)。
【0106】
P5−1ペプチドのC−末端の6個のアミノ酸を含有するP4ペプチドは、OX40Rと非常に不十分に結合することが立証されるので、例えば配列GYFSQ(ペプチドP5−1a;ヒトOX40L中のアミノ酸107〜111;配列番号:13)などのP5−1ペプチドのN−末端アミノ酸が、OX40R結合剤として機能的に活性の最小ペプチド配列を表すかも知れないことも推論される。マウスOX40L由来ペプチドP−OX−1(ストゥーバー(Stuber)Eおよびストローバー(Strober)W、1996)と比較すると、このペプチドは、2個の非保存的置換を含有する(図6A)。
【0107】
この実施例で競合アッセイによって同定されるP5およびP5−1ペプチドの配列により、OX40L−OX40R相互作用において重要な役割を果たすOX40L中の構造が同定でき、OX40Lが特異的ペプチド配列によって効果的に競合できることが実証される。これらのファミリーに属するタンパク質間の接触領域は、リガンド−受容体の対の中で非常に多様であるので、これらの知見は、これらのタンパク質の構造−活性度関係にかかわる現状技術、あるいはその他のTNF/TNFR−様タンパク質の分析からは予測可能でなかった(ボドマー(Bodmer)JLら、2002)。
【0108】
実施例1でOX40L−OX40R相互作用の阻害剤として同定されるペプチドの親和性は、自然な状態でビーズまたはその他の支持体なしに、溶液中でこのような測定ができるようにする技術である、蛍光消光分光分析によって評価された。この方法は、別のタンパク質(P5またはP5−1)との結合時に、タンパク質(OX40R−IgG1)の内部蛍光の変化をモニターすることに基づく。OX40R−IgG1と、増大する濃度のP5またはP5−1ペプチドとのインキュベーションにより、ペプチドP5およびP5−1濃度に対してOX40R−IgG1の蛍光変化をプロットすると、その内部蛍光に双曲線の形状である変化が起きる(図7Aおよび7B)。データの非線形回帰分析からは、それぞれ、OX40RでKD〜7.9nM、ペプチドP5およびP5−1でKD〜24.6nMである見かけの解離定数が明らかになる。これらの値からは、OX40R−IgG1と選択されたペプチドの間の高親和性相互作用が実証されるので、それはOX40L拮抗剤として使用できる。
【0109】
本実施例で提示した知見は、OX40Rに効率的に結合する特異的OX40L由来ペプチドを使用することで、OX40R−OX40L相互作用が効果的に阻害できることを示し、OX40R径路をターゲットととし、その調節下での異常なまたは望ましくない生理的事象を阻害する薬剤開発のための新しい機会が提供される。次にこれらのOX40R結合剤は、技術分野で既知の動物および細胞生物学アッセイを使用して、OX40Rとの相互作用においてOX40Lの拮抗剤としてさらに詳しく特性決定され(国際公開第99/42585号パンフレット;イムラ(Imura)Aら、1997;ノハラ(Nohara)Cら、2001;ピッピグ(Pippig)SDら、1999;コタニ(Kotani)A.ら、2002)、妥当なモデルにおいて、その他の可能な使用制限的副作用を試験することで、さらに有効性確認できる(コールマン(Coleman)RAら、2001)。
【0110】
【表1】

【0111】
【表2】

【0112】
【表3】

【0113】
参考文献
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【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】OX40L−OX40R相互作用の研究のためのこのアプローチの実施可能性を実証するために最初開発された、アルファスクリーン(Alphascreen)TMアッセイの実験デザイン。
【図2】アルファスクリーン(Alphascreen)TMアッセイを使用して検出されたOX40R−IgG1へのOX40L−CD8の用量依存性結合。(A)増大する濃度のOX40L−CD8を濃度5nM(○)または10nM(●)のOX40R−IgG1と共に30分間インキュベートした。次にビオチン化抗CD8抗体(10nM)を添加し、30分後、ストレプトアビジン供与体(20mg/ml)およびタンパク質Aアクセプター(20mg/ml)ビーズを添加した。これらの添加の1時間後、プレートをフュージョン(Fusion)TMリーダー上でカウントした。OX40R−IgG1(黒四角)不在下では、非常に弱いシグナルのみが検出された。(B)シグナル/バックグラウンド(S/B)比に対する増大するOX40R−IgG1濃度の効果。S/B比は、OX40L−CD8(100nM)存在下で得られたカウントをバックグラウンドカウント(OX40L−CD8不在下)で除して計算された。データは平均±SEM(平均の標準誤差)として表され、全ての実験は、三連で3回実施した。
【図3】OX40R−IgG1のためのOX40L−CD8のKD定量。OX40R−IgG1(10nM)を増大する濃度のOX40L−CD8存在下でインキュベートした。スラミン(1mM)存在下で求めた全結合(黒四角)と非特異的結合(●)の差として、特異的結合(□)を計算した。三連で実施した3回の実験からの平均±SEMとしてデータを表した。
【図4】OX40LとスラミンによるOX40L−CD8結合に対する競合作用。ビオチン化抗CD8抗体(10nM)の添加に先だって、OX40−IgG(10nM)、OX40L−CD8(40nM)、および増大する濃度の可溶性OX40L(●)またはスラミン(○)を30分間インキュベートした。30分後、ストレプトアビジン供与体およびタンパク質Aアクセプタービーズを添加した。グラフは、(阻害剤の不在下で得られた)最大アルファスクリーン(Alphascreen)TMシグナルの阻害率を表す。三連で実施した3回の実験からの平均±SEMとしてデータを表した。
【図5】OX40L断片のOX40R−IgG1への結合。(A)アルファスクリーン(Alphascreen)TMベースの競合アッセイによって試験されたペプチド、またはマウスOX40L由来P−OX−1およびP−OX−2ペプチド(配列の下;非同一アミノ酸を表示)に対応する配列と共に、主要タンパク質領域の位置(配列の上)が表示されるヒトOX40L(SWISSPROT Acc.番号P23510)の配列。(B)ペプチドP4、P5によるOX40R−IgG1のOX40L−CD8に対する結合の阻害、およびペプチドなしの対照。
【図6】マウスOX40L由来ペプチドP−OX−1(ストゥーバー(Stuber)Eおよびストローバー(Strober)W、1996;表Iに示す§は非保存的置換を示し、そして・は保存的置換を示す)、およびアルファスクリーン(Alphascreen)TMベースの競合アッセイで試験したP5由来ペプチドの配列と並べた、ペプチドP5のOX40R−IgG1(A)配列に対するP5由来ペプチドの結合。ペプチドP5−1aは、P5−1で囲まれた配列である。(B)ペプチドP5のその他の断片によって提供される効果と比較した、アルファスクリーン(Alphascreen)TMベースの競合アッセイにおける、ペプチドP5−1によるOX40R−IgG1のOX40L−CD8に対する結合の阻害。
【図7】蛍光消光分光分析を使用して測定したペプチドP5(A)およびP5−1(B)とのOX40R−IgG1相互作用。OX40R−IgG1蛍光変化の非線形回帰分析からは、2個のペプチドのKd値として示されるOX40R−IgG1−ペプチド複合体の解離定数と共に、可飽和結合が明らかになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトOX40Lのアミノ酸94〜124(配列番号:6)のペプチド配列に対応するOX40R結合剤。
【請求項2】
1つ以上のアミノ酸が欠落し、ヒトOX40Lのアミノ酸107〜111(配列番号:13)を含む、アミノ酸94〜124(配列番号:6)に対応するペプチド配列からなるヒトOX40Lのペプチド配列であるOX40R結合剤。
【請求項3】
5〜10個のアミノ酸を有するヒトOX40Lのペプチド配列である、請求項2に記載のOX40R結合剤。
【請求項4】
ヒトOX40Lの107〜116(配列番号:8)、または107〜111(配列番号:13)に対応する配列を有するペプチドである、請求項3に記載のOX40R結合剤。
【請求項5】
1つ以上のアミノ酸が保存的に置換されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のペプチドの活性変異体であるOX40R結合剤。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のアミノ酸配列と、ヒトOX40L(配列番号:1)以外のタンパク質配列に属するアミノ酸配列とを含む、融合ポリぺプチドまたはペプチドであるOX40R結合剤。
【請求項7】
融合ポリぺプチドまたはペプチドが、膜結合タンパク質、膜結合タンパク質の細胞外領域、免疫グロブリン定常部、多量体化領域、細胞外タンパク質、シグナルペプチド含有タンパク質、搬出シグナル含有タンパク質の1つ以上のタンパク質配列に属するアミノ酸配列を含む、請求項6に記載のOX40R結合剤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のOX40R結合剤の活性画分、前駆物質、塩、または誘導体であるOX40R結合剤。
【請求項9】
請求項4に記載のOX40R結合剤の配列および/または構造に基づいてデザインされた、ペプチド、ペプチドミメティック、または非ペプチドミメティックであるOX40R結合剤。
【請求項10】
分子が、放射性標識、ビオチン、蛍光標識、細胞毒性作用物質、およびドラッグデリバリー作用物質の中から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載のOX40R結合剤の活性接合体または複合体である、OX40R結合剤。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のOX40R結合剤をコードする核酸。
【請求項12】
請求項11に記載の核酸によってコードされたOX40R結合剤の発現を可能にする、ウィルスまたはプラスミド起源のベクター。
【請求項13】
請求項12に記載の発現ベクターで形質転換されている、原核または真核宿主細胞。
【請求項14】
請求項13に記載の細胞内で実質的に富化された分離安定細胞系。
【請求項15】
OX40R結合剤が細胞膜上で分泌または発現される、請求項14に記載の細胞系。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか1項に記載の細胞を培養するステップと、前記結合剤を収集するステップとを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のOX40R結合剤を製造する方法。
【請求項17】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のOX40R結合剤の精製品。
【請求項18】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のOX40R結合剤の薬物としての使用。
【請求項19】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のOX40R結合剤のヒトOX40L拮抗剤としての使用。
【請求項20】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のOX40R結合剤のヒトRANTES拮抗剤としての使用。
【請求項21】
自己免疫疾患、炎症、または感染症の予防および/または治療のための請求項1〜10のいずれか1項に記載のOX40R結合剤の医薬組成物中の活性成分としての使用。
【請求項22】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のOX40R結合剤を活性成分として含む、CD4+T細胞に関する疾患の予防および/または治療のための医薬組成物。
【請求項23】
薬学上許容可能なキャリア、賦形剤、安定剤、および/または希釈剤と組み合わせた、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
CD4+T細胞に関する疾患が、移植自己免疫疾患、炎症、または感染症である、請求項22または23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
膜結合または可溶性タンパク質としてのOX40Rタンパク質の細胞外領域の検出のための請求項1〜10のいずれか1項に記載のOX40R結合剤、または請求項14または15に記載の細胞の使用。
【請求項26】
活性化CD4+T細胞の検出のための請求項1〜10のいずれか1項に記載のOX40R結合剤、または請求項14または15に記載の細胞の使用。
【請求項27】
膜結合または可溶性タンパク質としてのOX40R細胞外領域の、または活性化CD4+T細胞の検出、精製、および/または濃縮のための支持体であって、請求項1〜7のいずれか1項に記載のOX40R結合剤を固定化形態で有する支持体。
【請求項28】
サンプルを請求項27に記載の支持体、または請求項14または15に記載の細胞に接触させるステップを含む、前記サンプル中の膜結合または可溶性タンパク質としてのOX40R細胞外領域の、または活性化CD4+T細胞の検出、精製、および/または濃縮方法。
【請求項29】
減少したまたは増大したCD4+T細胞または可溶性OX40Rタンパク質の存在に関連した病状を診断するために使用される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のOX40R結合剤または請求項14または15に記載の細胞を投与するステップを含む、自己免疫疾患、炎症、または感染症の予防および/または治療方法。
【請求項31】
a)i)請求項1〜10に記載の化合物、請求項14または15に記載の細胞、および請求項27に記載の支持体の中から選択されるOX40R結合剤を構成する要素、
ii)OX40Rの細胞外領域を含むタンパク質、その表面にOX40Rの細胞外領域を発現する細胞系、およびOX40Rの細胞外領域を分泌する細胞系の中から選択されるOX40R部分を構成する要素、および
iii)OX40R−OX40L相互作用モジュレーターとして試験される化合物
の要素を含むサンプルを形成するステップと、
b)要素(i)と(ii)との間の相互作用に対する化合物(iii)の効果を直接的または間接的に検出するステップと、
c)(b)において、(a)の要素の質および/または量の点で異なるサンプル間で検出された効果を比較するステップと
を含む、OX40R−OX40L相互作用を調節する化合物の性質および活性度の判定のためのスクリーニング検査。
【請求項32】
請求項1〜10に記載のOX40R結合剤、請求項14または15に記載の細胞、または請求項27に記載の支持体を含む、OX40Rタンパク質の細胞外領域または活性化CD4+T細胞を検出するためのキット。
【請求項33】
患者から得られたサンプル中の減少したまたは増大したCD4+T細胞または可溶性OX40Rタンパク質の存在による病状の診断のための請求項32に記載のキット。
【請求項34】
異なるタグ配列を有する融合タンパク質として膜結合性タンパク質の細胞外部分とタンパク質リガンドとを含む、タンパク質リガンドと膜結合性タンパク質との相互作用を阻害する化合物をスクリーニングするためのキット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトOX40Lのアミノ酸94〜124(配列番号:6)のペプチド配列に対応するOX40R結合剤。
【請求項2】
1つ以上のアミノ酸が欠落し、ヒトOX40Lのアミノ酸107〜116(配列番号:8)を含む、アミノ酸94〜124(配列番号:6)に対応するペプチド配列からなるヒトOX40Lのペプチド配列であるOX40R結合剤。
【請求項3】
ヒトOX40Lの107〜116(配列番号:8)に対応する配列を有するペプチドである、請求項2に記載のOX40R結合剤。
【請求項4】
1つ以上のアミノ酸が保存的に置換されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のペプチドの活性変異体であるOX40R結合剤。
【請求項5】
ヒトOX40Lの107〜111(配列番号:13)に対応する配列を有するペプチドである、OX40R結合剤。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のアミノ酸配列と、ヒトOX40L(配列番号:1)以外のタンパク質配列に属するアミノ酸配列とを含む、融合ポリぺプチドまたはペプチドであるOX40R結合剤。
【請求項7】
融合ポリぺプチドまたはペプチドが、膜結合タンパク質、膜結合タンパク質の細胞外領域、免疫グロブリン定常部、多量体化領域、細胞外タンパク質、シグナルペプチド含有タンパク質、搬出シグナル含有タンパク質の1つ以上のタンパク質配列に属するアミノ酸配列を含む、請求項6に記載のOX40R結合剤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のOX40R結合剤の活性画分、前駆物質、塩、または誘導体であるOX40R結合剤。
【請求項9】
請求項3又は5に記載のOX40R結合剤の配列および/または構造に基づいてデザインされた、ペプチド、ペプチドミメティック、または非ペプチドミメティックであるOX40R結合剤。
【請求項10】
分子が、放射性標識、ビオチン、蛍光標識、細胞毒性作用物質、およびドラッグデリバリー作用物質の中から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載のOX40R結合剤の活性接合体または複合体である、OX40R結合剤。
【請求項11】
請求項6又は7に記載のOX40R結合剤をコードする核酸。
【請求項12】
請求項11に記載の核酸によってコードされたOX40R結合剤の発現を可能にする、ウィルスまたはプラスミド起源のベクター。
【請求項13】
請求項12に記載の発現ベクターで形質転換されている、原核または真核宿主細胞。
【請求項14】
請求項13に記載の細胞内で実質的に富化された分離安定細胞系。
【請求項15】
OX40R結合剤が細胞膜上で分泌または発現される、請求項14に記載の細胞系。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか1項に記載の細胞を培養するステップと、前記結合剤を収集するステップとを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のOX40R結合剤を製造する方法。
【請求項17】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のOX40R結合剤の精製品。
【請求項18】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のOX40R結合剤の薬物としての使用。
【請求項19】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のOX40R結合剤のヒトOX40L拮抗剤としての使用。
【請求項20】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のOX40R結合剤のヒトRANTES拮抗剤としての使用。
【請求項21】
自己免疫疾患、炎症、または感染症の予防および/または治療のための請求項1〜10のいずれか1項に記載のOX40R結合剤の医薬組成物中の活性成分としての使用。
【請求項22】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のOX40R結合剤を活性成分として含む、CD4+T細胞に関する疾患の予防および/または治療のための医薬組成物。
【請求項23】
薬学上許容可能なキャリア、賦形剤、安定剤、および/または希釈剤と組み合わせた、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
CD4+T細胞に関する疾患が、移植自己免疫疾患、炎症、または感染症である、請求項22または23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
膜結合または可溶性タンパク質としてのOX40Rタンパク質の細胞外領域の検出のための請求項1〜10のいずれか1項に記載のOX40R結合剤、または請求項14または15に記載の細胞の使用。
【請求項26】
活性化CD4+T細胞の検出のための請求項1〜10のいずれか1項に記載のOX40R結合剤、または請求項14または15に記載の細胞の使用。
【請求項27】
膜結合または可溶性タンパク質としてのOX40R細胞外領域の、または活性化CD4+T細胞の検出、精製、および/または濃縮のための支持体であって、請求項13〜15のいずれか1項に記載のOX40R結合剤を固定化形態で有する支持体。
【請求項28】
サンプルを請求項27に記載の支持体、または請求項13〜15のいずれか1項に記載の細胞に接触させるステップを含む、前記サンプル中の膜結合または可溶性タンパク質としてのOX40R細胞外領域の、または活性化CD4+T細胞の検出、精製、および/または濃縮方法。
【請求項29】
減少したまたは増大したCD4+T細胞または可溶性OX40Rタンパク質の存在に関連した病状を診断するために使用される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のOX40R結合剤または請求項13〜15のいずれか1項に記載の細胞を投与するステップを含む、自己免疫疾患、炎症、または感染症の予防および/または治療方法。
【請求項31】
a)i)請求項1〜10に記載の化合物、請求項13〜15のいずれか1項に記載の細胞、および請求項27に記載の支持体の中から選択されるOX40R結合剤を構成する要素、
ii)OX40Rの細胞外領域を含むタンパク質、その表面にOX40Rの細胞外領域を発現する細胞系、およびOX40Rの細胞外領域を分泌する細胞系の中から選択されるOX40R部分を構成する要素、および
iii)OX40R−OX40L相互作用モジュレーターとして試験される化合物
の要素を含むサンプルを形成するステップと、
b)要素(i)と(ii)との間の相互作用に対する化合物(iii)の効果を直接的または間接的に検出するステップと、
c)(b)において、(a)の要素の質および/または量の点で異なるサンプル間で検出された効果を比較するステップと
を含む、OX40R−OX40L相互作用を調節する化合物の性質および活性度の判定のためのスクリーニング検査。
【請求項32】
請求項1〜10に記載のOX40R結合剤、請求項13〜15のいずれか1項に記載の細胞、または請求項27に記載の支持体を含む、OX40Rタンパク質の細胞外領域または活性化CD4+T細胞を検出するためのキット。
【請求項33】
患者から得られたサンプル中の減少したまたは増大したCD4+T細胞または可溶性OX40Rタンパク質の存在による病状の診断のための請求項32に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−506041(P2006−506041A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−580382(P2003−580382)
【出願日】平成15年4月2日(2003.4.2)
【国際出願番号】PCT/EP2003/050089
【国際公開番号】WO2003/082919
【国際公開日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【出願人】(599177396)アプライド リサーチ システムズ エーアールエス ホールディング ナームロゼ フェンノートシャップ (70)
【Fターム(参考)】