説明

PLCのCPUユニット、PLC用のシステムプログラムおよびPLC用のシステムプログラムを格納した記録媒体

【課題】汎用コンピュータに近いハードウェア構成を用いて実現するのに好適であるような、PLCシステムバス経由のデータの入出力とフィールドネットワーク経由のデータの入出力とを並列に実行する手段を提供する。
【解決手段】マイクロプロセッサは、出力データを第1転送バッファから第1通信回路を経てPLCシステムバス上の第1機器に出力する処理と、入力データを第1機器から第1通信回路を経て第1転送バッファに入力する処理とを含む第1入出力処理と、出力データを第2転送バッファから第2通信回路を経てフィールドネットワーク上の第2機器に出力する処理と、入力データを第2機器から第2通信回路を経て第2転送バッファに入力する処理とを含む第2入出力処理とが並列に実行されるように、第1通信回路および第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械や設備などの動作を制御するために用いられるPLC(Programmable Logic Controller、あるいはプログラマブルコントローラとも称される)における出力処理および入力処理に関する。
【背景技術】
【0002】
PLCは、たとえば、制御プログラムを実行するマイクロプロセッサを含むCPU(Central Processing Unit)ユニット、外部のスイッチやセンサからの信号入力および外部のリレーやアクチュエータへの信号出力を担当するIO(Input Output)ユニットといった複数のユニットで構成される。それらのユニット間で、制御プログラムの実行サイクルごとに、PLCシステムバスおよび/またはフィールドネットワークを経由してデータの授受をしながら、PLCは制御動作を実行する。
【0003】
たとえば、特許文献1(特開2003−29809号公報)には、PLCのCPUユニットが、ローカルI/Oユニットとの間でI/Oバス(PLCシステムバス)を介してI/Oデータを転送するための通信を行うとともに、リモートI/Oスレーブとの間でネットワーク(フィールドネットワーク)を介してI/Oデータを転送するための通信を行う構成が開示されている。ローカルI/Oユニットとの間の入出力、および、リモートI/Oスレーブとの間の入出力は、並列に行われる。CPUユニットにおいて、I/Oデータは、データメモリに格納される。データメモリに対するアクセスを制御するアービタが設けられている。I/Oバスを介してI/Oデータを転送するために、PLC命令実行部は、アービタを介してデータメモリにアクセスする。I/Oバスを介した通信は、PLC命令実行部がI/OバスI/F部を用いて行う。ネットワークを介してI/Oデータを転送するために、リモートI/Oマスタ部は、アービタを介してデータメモリにアクセスする。さらに、データメモリは、PLC命令実行部が命令(制御プログラム)を実行するときにもアクセスされる。すなわち、データメモリは、共有メモリとして使用されており、同一のデータメモリが、I/Oバスを介したデータ転送、ネットワークを介したデータ転送、および制御プログラム実行のために、アービタによって調停されながらアクセスされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−029809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
PLCにおいては、制御プログラムの実行部として専用に開発されたASICが用いられ、CPUユニット全体のアーキテクチャも各PLCメーカーによって独自に開発されていた。しかし、近年は、汎用コンピュータに用いられる汎用マイクロプロセッサの性能向上に伴い、PLCの制御プログラムの実行部として汎用マイクロプロセッサを利用することが可能になってきた。汎用マイクロプロセッサを用いてPLCのCPUユニットを構成する場合、CPUユニット全体のアーキテクチャもなるべく汎用コンピュータに近いことが、開発負担を軽減したりコストを低減したりする観点から好ましい。その場合、特許文献1に示されたような、同一のデータメモリに対して、アービタを介して、PLCシステムバス経由の入出力、フィールドネットワーク経由の入出力、制御プログラムの実行のいずれの際にもアクセスする構成は、汎用コンピュータのアーキテクチャとの差異が大きく、好ましいとはいえない。
【0006】
本発明は、汎用コンピュータに近いハードウェア構成を用いて実現するのに好適であるような、PLCシステムバス経由のデータの入出力とフィールドネットワーク経由のデータの入出力とを並列に実行する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある局面によれば、制御対象を制御するPLCのCPUユニットを提供する。PLCのCPUユニットは、マイクロプロセッサと、マイクロプロセッサのメインメモリを含む記憶手段と、PLCシステムバスによって第1出力データの送信および第1入力データの受信を行う第1通信回路と、フィールドネットワークによって第2出力データの送信および第2入力データの受信を行う第2通信回路とを含む。PLCのCPUユニットは、第1出力データおよび第2出力データの送信と、第1入力データおよび第2入力データの受信と、第1入力データおよび第2入力データを使用して第1出力データおよび第2出力データを生成する制御プログラムの実行とを繰り返すことによって制御対象を制御するように構成されている。記憶手段は、制御プログラムと、システムプログラムとの格納に用いられる。マイクロプロセッサは、記憶手段に格納されたシステムプログラムおよび制御プログラムを実行する。システムプログラムは、メインメモリ上に、制御プログラムの実行に伴い第1入力データおよび第2入力データが読み出されるとともに第1出力データおよび第2出力データが書き込まれる演算バッファと、PLCシステムバスによって送信される第1出力データおよび受信された第1入力データを格納する第1転送バッファと、フィールドネットワークによって送信される第2出力データおよび受信された第2入力データを格納する第2転送バッファとを生成する命令を含む。システムプログラムは、さらに、制御プログラムの実行を制御する命令と、第1入力データ、第2入力データ、第1出力データおよび第2出力データの入出力を制御する命令とを含む。マイクロプロセッサは、システムプログラムを実行することにより、第1出力データを演算バッファから第1転送バッファにコピーするとともに第2出力データを演算バッファから第2転送バッファにコピーする出力コピー処理と、第1入力データを第1転送バッファから演算バッファにコピーするとともに第2入力データを第2転送バッファから演算バッファにコピーする入力コピー処理との実行を制御する。さらに、マイクロプロセッサは、システムプログラムを実行することにより、第1出力データを第1転送バッファから第1通信回路を経てPLCシステムバス上の第1機器に出力する処理と、第1入力データを第1機器から第1通信回路を経て第1転送バッファに入力する処理とを含む第1入出力処理と、第2出力データを第2転送バッファから第2通信回路を経てフィールドネットワーク上の第2機器に出力する処理と、第2入力データを第2機器から第2通信回路を経て第2転送バッファに入力する処理とを含む第2入出力処理とが並列に実行されるように、第1通信回路および第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する。
【0008】
好ましくは、第1通信回路は、第1通信回路バッファを含み、第2通信回路は、第2通信回路バッファを含む。第1入出力処理は、第1出力データを第1転送バッファから第1通信回路バッファに転送する第1出力転送処理と、第1出力データを第1通信回路バッファから第1機器に送信する第1送信処理と、第1入力データを第1機器から第1通信回路バッファに受信する第1受信処理と、第1入力データを第1通信回路バッファから第1転送バッファに転送する第1入力転送処理とを含む。第2入出力処理は、第2出力データを第2転送バッファから第2通信回路バッファに転送する第2出力転送処理と、第2出力データを第2通信回路バッファから第2機器に送信する第2送信処理と、第2入力データを第2機器から第2通信回路バッファに受信する第2受信処理と、第2入力データを第2通信回路バッファから第2転送バッファに転送する第2入力転送処理とを含む。
【0009】
さらに好ましくは、マイクロプロセッサは、システムプログラムを実行することにより、第1出力転送処理および第2出力転送処理の一方が開始されてからその出力転送処理に対応する入力転送処理が完了するまでの間に他方の出力転送処理が開始されるように、第1通信回路および第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する。
【0010】
あるいはさらに好ましくは、マイクロプロセッサは、システムプログラムを実行することにより、第1送信処理および第1受信処理である第1送受信処理、ならびに、第2送信処理および第2受信処理である第2送受信処理、の一方が開始されてからその送受信処理が完了するまでの間に他方の送受信処理が開始されるように、第1通信回路および第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する。
【0011】
あるいは好ましくは、第1入出力処理は、第1出力データを第1転送バッファから第1機器に出力する第1出力処理と、第1入力データを第1機器から第1転送バッファに入力する第1入力処理とを含む。第2入出力処理は、第2出力データを第2転送バッファから第2機器に出力する第2出力処理と、第2入力データを第2機器から第2転送バッファに入力する第2入力処理とを含む。マイクロプロセッサは、システムプログラムを実行することにより、第1出力処理と第2出力処理との並列実行、および、第1入力処理と第2入力処理との並列実行、のうちの少なくとも一方が行われるように制御する。
【0012】
あるいはさらに好ましくは、マイクロプロセッサは、システムプログラムを実行することにより、第1出力転送処理および第2出力転送処理の一方が開始されてからその出力転送処理に対応する送信処理が完了するまでの間に他方の出力転送処理が開始されるように、第1通信回路および第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する。
【0013】
あるいはさらに好ましくは、マイクロプロセッサは、システムプログラムを実行することにより、第1送信処理および第2送信処理の一方が開始されてからその送信処理が完了するまでの間に他方の送信処理が開始されるように、第1通信回路および第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する。
【0014】
あるいはさらに好ましくは、マイクロプロセッサは、システムプログラムを実行することにより、第1受信処理および第2受信処理の一方が開始されてからその受信処理に対応する入力転送処理が完了するまでの間に他方の受信処理が開始されるように、第1通信回路および第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する。
【0015】
あるいはさらに好ましくは、記マイクロプロセッサは、システムプログラムを実行することにより、第1受信処理および第2受信処理の一方が開始されてからその受信処理が完了するまでの間に他方の受信処理が開始されるように、第1通信回路および第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する。
【0016】
本発明の別の局面によれば、マイクロプロセッサと、マイクロプロセッサのメインメモリを含む記憶手段と、PLCシステムバスによって第1出力データの送信および第1入力データの受信を行う第1通信回路と、フィールドネットワークによって第2出力データの送信および第2入力データの受信を行う第2通信回路とを含み、第1出力データおよび第2出力データの送信と、第1入力データおよび第2入力データの受信と、第1入力データおよび第2入力データを使用して第1出力データおよび第2出力データを生成する、記憶手段に格納される制御プログラムの実行とを繰り返すことによって制御対象を制御するPLCのCPUユニットにおいて、記憶手段に格納されてマイクロプロセッサによって実行されるためのPLC用のシステムプログラムを提供する。システムプログラムは、制御動作の実行準備命令として、メインメモリ上に、制御プログラムの実行に伴い第1入力データおよび第2入力データが読み出されるとともに第1出力データおよび第2出力データが書き込まれる演算バッファと、PLCシステムバスによって送信される第1出力データおよび受信された第1入力データを格納する第1転送バッファと、フィールドネットワークによって送信される第2出力データおよび受信された第2入力データを格納する第2転送バッファとを生成する命令を含む。システムプログラムは、制御動作の実行制御命令として、制御プログラムの実行を開始させる制御プログラム開始命令と、第1出力データを演算バッファから第1転送バッファにコピーするための第1出力コピー命令と、第2出力データを演算バッファから第2転送バッファにコピーするための第2出力コピー命令と、第1入力データを第1転送バッファから演算バッファにコピーするための第1入力コピー命令と、第2入力データを第2転送バッファから演算バッファにコピーするための第2入力コピー命令と、第1通信回路を制御するための第1入出力制御命令および第2通信回路を制御するための第2入出力制御命令のうちの少なくとも一方の入出力制御命令であって、第1出力データを第1転送バッファから第1通信回路を経てPLCシステムバス上の第1機器に出力する処理と、第1入力データを第1機器から第1通信回路を経て第1転送バッファに入力する処理とを含む第1入出力処理と、第2出力データを第2転送バッファから第2通信回路を経てフィールドネットワーク上の第2機器に出力する処理と、第2入力データを第2機器から第2通信回路を経て第2転送バッファに入力する処理とを含む第2入出力処理とが並列に実行されるようにするための入出力制御命令とを含む。
【0017】
好ましくは、第1通信回路は、第1通信回路バッファを含み、第2通信回路は、第2通信回路バッファを含む。第1入出力処理は、第1出力データを第1転送バッファから第1通信回路バッファに転送する第1出力転送処理と、第1出力データを第1通信回路バッファから第1機器に送信する第1送信処理と、第1入力データを第1機器から第1通信回路バッファに受信する第1受信処理と、第1入力データを第1通信回路バッファから第1転送バッファに転送する第1入力転送処理とを含む。第2入出力処理は、第2出力データを第2転送バッファから第2通信回路バッファに転送する第2出力転送処理と、第2出力データを第2通信回路バッファから第2機器に送信する第2送信処理と、第2入力データを第2機器から第2通信回路バッファに受信する第2受信処理と、第2入力データを第2通信回路バッファから第2転送バッファに転送する第2入力転送処理とを含む。第1入出力制御命令は、第1出力転送処理を開始させる第1出力転送命令、第1送信処理を開始させる第1送信命令、第1受信処理を開始させる第1受信命令、第1送信処理および第1受信処理を開始させる第1送受信命令、第1入力転送処理を開始させる第1入力転送命令のうちのいずれかの命令を含む。第2入出力制御命令は、第2出力転送処理を開始させる第2出力転送命令、第2送信処理を開始させる第2送信命令、第2受信処理を開始させる第2受信命令、第2送信処理および第2受信処理を開始させる第2送受信命令、第2入力転送処理を開始させる第2入力転送命令のうちのいずれかの命令を含む。
【0018】
さらに好ましくは、システムプログラムは、第1出力転送命令および第2出力転送命令を含み、そのうちの一方の出力転送命令が実行されてからそれによって開始される出力転送処理に対応する入力転送処理が完了するまでの間に他方の出力転送命令が実行されるようにプログラムされている。
【0019】
あるいはさらに好ましくは、システムプログラムは、第1送受信命令および第2送受信命令を含み、そのうちの一方の送受信命令が実行されてからそれによって開始される送受信処理が完了するまでの間に他方の送受信命令が実行されるようにプログラムされている。
【0020】
あるいはさらに好ましくは、第1入出力処理は、第1出力データを第1転送バッファから第1機器に出力する第1出力処理と、第1入力データを第1機器から第1転送バッファに入力する第1入力処理とを含む。第2入出力処理は、第2出力データを第2転送バッファから第2機器に出力する第2出力処理と、第2入力データを第2機器から第2転送バッファに入力する第2入力処理とを含む。第1入出力制御命令は、第1出力処理を開始させる第1出力命令および第1入力処理を開始させる第1入力命令を含む。第2入出力制御命令は、第2出力処理を開始させる第2出力命令および第2入力処理を開始させる第2入力命令を含む。第1出力命令および第2出力命令の実行による第1出力処理と第2出力処理との並列実行、ならびに、第1入力命令および第2入力命令の実行による第1入力処理と第2入力処理との並列実行、のうちの少なくとも一方が行われるようにプログラムされている。
【0021】
あるいはさらに好ましくは、システムプログラムは、第1出力転送命令および第2出力転送命令を含み、そのうちの一方の出力転送命令を実行してからそれによって開始される出力転送処理に対応する送信処理が完了するまでの間に他方の出力転送命令が実行されるようにプログラムされている。
【0022】
あるいは好ましくは、システムプログラムは、第1送信命令および第2送信命令を含み、そのうちの一方の送信命令を実行してからそれによって開始される送信処理が完了するまでの間に他方の送信命令が実行されるようにプログラムされている。
【0023】
あるいはさらに好ましくは、システムプログラムは、第1受信命令および第2受信命令を含み、そのうちの一方の受信命令を実行してからそれによって開始される受信処理に対応する入力転送処理が完了するまでの間に他方の受信命令が実行されるようにプログラムされている。
【0024】
あるいは好ましくは、システムプログラムは、第1受信命令および第2受信命令を含み、そのうちの一方の受信命令を実行してからそれによって開始される受信処理が完了するまでの間に他方の受信命令が実行されるようにプログラムされている。
【0025】
この発明のさらに別の局面によれば、マイクロプロセッサと、マイクロプロセッサのメインメモリを含む記憶手段と、PLCシステムバスによって第1出力データの送信および第1入力データの受信を行う第1通信回路と、フィールドネットワークによって第2出力データの送信および第2入力データの受信を行う第2通信回路とを含み、第1出力データおよび第2出力データの送信と、第1入力データおよび第2入力データの受信と、第1入力データおよび第2入力データを使用して第1出力データおよび第2出力データを生成する、記憶手段に格納される制御プログラムの実行とを繰り返すことによって制御対象を制御するPLCのCPUユニットにおいて、記憶手段に格納されてマイクロプロセッサによって実行されるためのPLC用のシステムプログラムを格納した記録媒体を提供する。システムプログラムは、制御動作の実行準備命令として、メインメモリ上に、制御プログラムの実行に伴い第1入力データおよび第2入力データが読み出されるとともに第1出力データおよび第2出力データが書き込まれる演算バッファと、PLCシステムバスによって送信される第1出力データおよび受信された第1入力データを格納する第1転送バッファと、フィールドネットワークによって送信される第2出力データおよび受信された第2入力データを格納する第2転送バッファとを生成する命令を含む。システムプログラムは、制御動作の実行制御命令として、制御プログラムの実行を開始させる制御プログラム開始命令と、第1出力データを演算バッファから第1転送バッファにコピーするための第1出力コピー命令と、第2出力データを演算バッファから第2転送バッファにコピーするための第2出力コピー命令と、第1入力データを第1転送バッファから演算バッファにコピーするための第1入力コピー命令と、第2入力データを第2転送バッファから演算バッファにコピーするための第2入力コピー命令と、第1通信回路を制御するための第1入出力制御命令および第2通信回路を制御するための第2入出力制御命令のうちの少なくとも一方の入出力制御命令であって、第1出力データを第1転送バッファから第1通信回路を経てPLCシステムバス上の第1機器に出力する処理と、第1入力データを第1機器から第1通信回路を経て第1転送バッファに入力する処理とを含む第1入出力処理と、第2出力データを第2転送バッファから第2通信回路を経てフィールドネットワーク上の第2機器に出力する処理と、第2入力データを第2機器から第2通信回路を経て第2転送バッファに入力する処理とを含む第2入出力処理とが並列に実行されるようにするための入出力制御命令とを含む。
【0026】
好ましくは、第1通信回路は、第1通信回路バッファを含み、第2通信回路は、第2通信回路バッファを含む。第1入出力処理は、第1出力データを第1転送バッファから第1通信回路バッファに転送する第1出力転送処理と、第1出力データを第1通信回路バッファから第1機器に送信する第1送信処理と、第1入力データを第1機器から第1通信回路バッファに受信する第1受信処理と、第1入力データを第1通信回路バッファから第1転送バッファに転送する第1入力転送処理とを含む。第2入出力処理は、第2出力データを第2転送バッファから第2通信回路バッファに転送する第2出力転送処理と、第2出力データを第2通信回路バッファから第2機器に送信する第2送信処理と、第2入力データを第2機器から第2通信回路バッファに受信する第2受信処理と、第2入力データを第2通信回路バッファから第2転送バッファに転送する第2入力転送処理とを含む。第1入出力制御命令は、第1出力転送処理を開始させる第1出力転送命令、第1送信処理を開始させる第1送信命令、第1受信処理を開始させる第1受信命令、第1送信処理および第1受信処理を開始させる第1送受信命令、第1入力転送処理を開始させる第1入力転送命令のうちのいずれかの命令を含む。第2入出力制御命令は、第2出力転送処理を開始させる第2出力転送命令、第2送信処理を開始させる第2送信命令、第2受信処理を開始させる第2受信命令、第2送信処理および第2受信処理を開始させる第2送受信命令、第2入力転送処理を開始させる第2入力転送命令のうちのいずれかの命令を含む。
【0027】
さらに好ましくは、システムプログラムは、第1出力転送命令および第2出力転送命令を含み、そのうちの一方の出力転送命令が実行されてからそれによって開始される出力転送処理に対応する入力転送処理が完了するまでの間に他方の出力転送命令が実行されるようにプログラムされている。
【0028】
あるいはさらに好ましくは、システムプログラムは、第1送受信命令および第2送受信命令を含み、そのうちの一方の送受信命令が実行されてからそれによって開始される送受信処理が完了するまでの間に他方の送受信命令が実行されるようにプログラムされている。
【0029】
あるいはさらに好ましくは、第1入出力処理は、第1出力データを第1転送バッファから第1機器に出力する第1出力処理と、第1入力データを第1機器から第1転送バッファに入力する第1入力処理とを含む。第2入出力処理は、第2出力データを第2転送バッファから第2機器に出力する第2出力処理と、第2入力データを第2機器から第2転送バッファに入力する第2入力処理とを含む。第1入出力制御命令は、第1出力処理を開始させる第1出力命令および第1入力処理を開始させる第1入力命令を含む。第2入出力制御命令は、第2出力処理を開始させる第2出力命令および第2入力処理を開始させる第2入力命令を含む。第1出力命令および第2出力命令の実行による第1出力処理と第2出力処理との並列実行、ならびに、第1入力命令および第2入力命令の実行による第1入力処理と第2入力処理との並列実行、のうちの少なくとも一方が行われるようにプログラムされている。
【0030】
あるいはさらに好ましくは、システムプログラムは、第1出力転送命令および第2出力転送命令を含み、そのうちの一方の出力転送命令を実行してからそれによって開始される出力転送処理に対応する送信処理が完了するまでの間に他方の出力転送命令が実行されるようにプログラムされている。
【0031】
あるいは好ましくは、システムプログラムは、第1送信命令および第2送信命令を含み、そのうちの一方の送信命令を実行してからそれによって開始される送信処理が完了するまでの間に他方の送信命令が実行されるようにプログラムされている。
【0032】
あるいはさらに好ましくは、システムプログラムは、第1受信命令および第2受信命令を含み、そのうちの一方の受信命令を実行してからそれによって開始される受信処理に対応する入力転送処理が完了するまでの間に他方の受信命令が実行されるようにプログラムされている。
【0033】
あるいは好ましくは、システムプログラムは、第1受信命令および第2受信命令を含み、そのうちの一方の受信命令を実行してからそれによって開始される受信処理が完了するまでの間に他方の受信命令が実行されるようにプログラムされている。
【0034】
なお、本明細書における(日本語の)「命令」は、ある機能を実現するための、プログラムのソースリストに表れる個々の命令に限らず、それら個々の命令や関数等の集合をも意味しており、たとえば英語ではinstructionsのように複数形で表記されるべきものである。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、汎用コンピュータに近いハードウェア構成が採用されていながら、PLCシステムバス経由の入出力とフィールドネットワーク経由のデータの入出力とを並列に実行可能なPLCのCPUユニットを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態に係るPLCシステムの概略構成を示す模式図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るCPUユニットのハードウェア構成を示す模式図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るCPUユニットで実行されるソフトウェア構成を示す模式図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るCPUユニットのメインメモリの領域構成を示す模式図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るCPUユニットにおけるシステムプログラムの全体処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態に係るCPUユニットの動作のシーケンス図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るCPUユニットの動作のシーケンス図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るCPUユニットの動作のシーケンス図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るCPUユニットの動作のシーケンス図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係るCPUユニットの動作のシーケンス図である。
【図11】図10に示すシーケンス図に対応するフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態2に係るCPUユニットの動作のシーケンス図である。
【図13】図12に示すシーケンス図に対応するフローチャートである。
【図14】本発明の実施の形態3に係るCPUユニットの動作のシーケンス図である。
【図15】図14に示すシーケンス図に対応するフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態4に係るCPUユニットの動作のシーケンス図である。
【図17】図16に示すシーケンス図に対応するフローチャートである。
【図18】本発明の実施の形態5に係るCPUユニットの動作(入力方向)のシーケンス図である。
【図19】本発明の実施の形態5に係るCPUユニットの動作(出力方向)のシーケンス図である。
【図20】図18および図19に対応するフローチャートである。
【図21】本発明の実施の形態に係るCPUユニットに接続して用いられるPLCサポート装置のハードウェア構成を示す模式図である。
【図22】本発明の実施の形態に係るCPUユニットに接続して用いられるPLCサポート装置のソフトウェア構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0038】
<A.システム構成>
本実施の形態に係るPLCは、機械や設備などの制御対象を制御する。本実施の形態に係るPLCは、その構成要素としてCPUユニットを含む。CPUユニットは、マイクロプロセッサと、マイクロプロセッサのメインメモリを含む記憶手段と、通信回路とを含む。本実施の形態に係るPLCのCPUユニットは、出力データの送信と、入力データの受信と、入力データを使用して出力データを生成する制御プログラムの実行とを繰り返すことによって制御対象を制御するように構成されている。
【0039】
記憶手段は、制御プログラム、および当該制御プログラムの実行と入力データおよび出力データの入出力とを制御するシステムプログラムの格納に用いられる。マイクロプロセッサは、記憶手段に格納されたシステムプログラムおよび制御プログラムを実行する。
【0040】
通信回路は、出力データを送信しおよび入力データを受信する。後述するように、本実施の形態に係るPLCは、通信回路として、PLCシステムバスによって出力データの送信および入力データの受信を行う第1通信回路と、フィールドネットワークによって出力データの送信および入力データの受信を行う第2通信回路とを有している。
【0041】
まず、図1を参照して、本実施の形態に係るPLC1のシステム構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るPLCシステムの概略構成を示す模式図である。図1を参照して、PLCシステムSYSは、PLC1と、PLC1とフィールドネットワーク2を介して接続されるサーボモータドライバ3およびリモートIOターミナル5と、フィールド機器である検出スイッチ6およびリレー7とを含む。また、PLC1には、接続ケーブル10などを介してPLCサポート装置8が接続される。
【0042】
PLC1は、主たる演算処理を実行するCPUユニット13と、1つ以上のIOユニット14と、特殊ユニット15とを含む。これらのユニットは、PLCシステムバス11を介して、データを互いに遣り取りできるように構成される。また、これらのユニットには、電源ユニット12によって適切な電圧の電源が供給される。なお、PLC1として構成される各ユニットは、PLCメーカーが提供するものであるので、PLCシステムバス11は、一般にPLCメーカーごとに独自に開発され、使用されている。これに対して、後述するようにフィールドネットワーク2については、異なるメーカーの製品同士が接続できるように、その規格などが公開されている場合も多い。
【0043】
CPUユニット13の詳細については、図2を参照して後述する。
IOユニット14は、一般的な入出力処理に関するユニットであり、オン/オフといった2値化されたデータの入出力を司る。すなわち、IOユニット14は、検出スイッチ6などのセンサが何らかの対象物を検出している状態(オン)および何らの対象物も検出していない状態(オフ)のいずれであるかという情報を収集する。また、IOユニット14は、リレー7やアクチュエータといった出力先に対して、活性化するための指令(オン)および不活性化するための指令(オフ)のいずれかを出力する。
【0044】
特殊ユニット15は、アナログデータの入出力、温度制御、特定の通信方式による通信といった、IOユニット14ではサポートしない機能を有する。
【0045】
フィールドネットワーク2は、CPUユニット13と遣り取りされる各種データを伝送する。フィールドネットワーク2としては、典型的には、各種の産業用イーサネット(登録商標)を用いることができる。産業用イーサネット(登録商標)としては、たとえば、EtherCAT(登録商標)、Profinet IRT、MECHATROLINK(登録商標)−III、Powerlink、SERCOS(登録商標)−III、CIP Motionなどが知られており、これらのうちのいずれを採用してもよい。さらに、産業用イーサネット(登録商標)以外のフィールドネットワークを用いてもよい。たとえば、モーション制御を行わない場合であれば、DeviceNet、CompoNet/IP(登録商標)などを用いてもよい。本実施の形態に係るPLCシステムSYSでは、典型的に、本実施の形態においては、産業用イーサネット(登録商標)であるEtherCAT(登録商標)をフィールドネットワーク2として採用する場合の構成について例示する。
【0046】
なお、PLC1は、CPUユニット13にIOユニット14の機能やサーボモータドライバ3の機能を持たせることにより、そのような内蔵機能でまかなえる範囲については、IOユニット14やサーボモータドライバ3などを介さずにCPUユニット13が直接制御対象を制御する構成でもよい。
【0047】
サーボモータドライバ3は、フィールドネットワーク2を介してCPUユニット13と接続されるとともに、CPUユニット13からの指令値に従ってサーボモータ4を駆動する。より具体的には、サーボモータドライバ3は、PLC1から一定周期で、位置指令値、速度指令値、トルク指令値といった指令値を受ける。また、サーボモータドライバ3は、サーボモータ4の軸に接続されている位置センサ(ロータリーエンコーダ)やトルクセンサといった検出器から、位置、速度(典型的には、今回位置と前回位置との差から算出される)、トルクといったサーボモータ4の動作に係る実測値を取得する。そして、サーボモータドライバ3は、CPUユニット13からの指令値を目標値に設定し、実測値をフィードバック値として、フィードバック制御を行う。すなわち、サーボモータドライバ3は、実測値が目標値に近づくようにサーボモータ4を駆動するための電流を調整する。なお、サーボモータドライバ3は、サーボモータアンプと称されることもある。
【0048】
また、図1には、サーボモータ4とサーボモータドライバ3とを組み合わせたシステム例を示すが、その他の構成、たとえば、パルスモータとパルスモータドライバとを組み合わせたシステムを採用することもできる。
【0049】
図1に示すPLCシステムSYSのフィールドネットワーク2には、さらに、リモートIOターミナル5が接続されている。リモートIOターミナル5は、基本的には、IOユニット14と同様に、一般的な入出力処理に関する処理を行う。より具体的には、リモートIOターミナル5は、フィールドネットワーク2でのデータ伝送に係る処理を行うための通信カプラ52と、1つ以上のIOユニット53とを含む。これらのユニットは、リモートIOターミナルバス51を介して、データを互いに遣り取りできるように構成される。
【0050】
PLCサポート装置8については後述する。
<B.CPUユニットのハードウェア構成>
次に、図2を参照して、CPUユニット13のハードウェア構成について説明する。図2は、本発明の実施の形態に係るCPUユニット13のハードウェア構成を示す模式図である。図2を参照して、CPUユニット13は、マイクロプロセッサ100と、チップセット102と、メインメモリ104と、不揮発性メモリ106と、システムタイマ108と、PLCシステムバスコントローラ120と、フィールドネットワークコントローラ140と、USBコネクタ110とを含む。チップセット102と他のコンポーネントとの間は、各種のバスを介してそれぞれ結合されている。
【0051】
マイクロプロセッサ100およびチップセット102は、典型的には、汎用的なコンピュータアーキテクチャに準じて構成される。すなわち、マイクロプロセッサ100は、チップセット102から内部クロックに従って順次供給される命令コードを解釈して実行する。チップセット102は、接続されている各種コンポーネントとの間で内部的なデータを遣り取りするとともに、マイクロプロセッサ100に必要な命令コードを生成する。さらに、チップセット102は、マイクロプロセッサ100での演算処理の実行の結果得られたデータなどをキャッシュする機能を有する。
【0052】
CPUユニット13は、記憶手段として、メインメモリ104および不揮発性メモリ106を有する。
【0053】
メインメモリ104は、揮発性の記憶領域(RAM)であり、CPUユニット13への電源投入後にマイクロプロセッサ100で実行されるべき各種プログラムを保持する。また、メインメモリ104は、マイクロプロセッサ100による各種プログラムの実行時の作業用メモリとしても使用される。このようなメインメモリ104としては、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)といったデバイスが用いられる。
【0054】
一方、不揮発性メモリ106は、リアルタイムOS(Operating System)、PLC1のシステムプログラム、ユーザプログラム、モーション演算プログラム、システム設定パラメータといったデータを不揮発的に保持する。これらのプログラムやデータは、必要に応じて、マイクロプロセッサ100がアクセスできるようにメインメモリ104にコピーされる。このような不揮発性メモリ106としては、フラッシュメモリのような半導体メモリを用いることができる。あるいは、ハードディスクドライブのような磁気記録媒体や、DVD−RAM(Digital Versatile Disk Random Access Memory)のような光学記録媒体などを用いることもできる。
【0055】
システムタイマ108は、一定周期ごとに割り込み信号を発生してマイクロプロセッサ100に提供する。典型的には、ハードウェアの仕様によって、複数の異なる周期でそれぞれ割り込み信号を発生するように構成されるが、OS(Operating System)やBIOS(Basic Input Output System)などによって、任意の周期で割り込み信号を発生するように設定することもできる。このシステムタイマ108が発生する割り込み信号を利用して、後述するような制御サイクルごとの制御動作が実現される。
【0056】
CPUユニット13は、通信回路として、PLCシステムバスコントローラ120およびフィールドネットワークコントローラ140を有する。これらの通信回路は、出力データの送信および入力データの受信を行う。
【0057】
なお、CPUユニット13自体にIOユニット14やサーボモータドライバ3の機能を持たせる場合は、PLCシステムバスコントローラ120による出力データの送信および入力データの受信は、それらの機能を担う部分を通信の相手方としてCPUユニット13の内部で行われる送信および受信となる。
【0058】
PLCシステムバスコントローラ120(第1通信回路)は、PLCシステムバス11を介したデータの遣り取りを制御する。より具体的には、PLCシステムバスコントローラ120は、DMA(Dynamic Memory Access)制御回路122と、PLCシステムバス通信制御回路124と、第1通信回路バッファ126とを含む。なお、PLCシステムバスコントローラ120は、PLCシステムバスコネクタ130を介してPLCシステムバス11と内部的に接続される。
【0059】
第1通信回路バッファ126は、PLCシステムバス11を介して他のユニットへ出力されるデータ(以下「出力データ」または「第1出力データ」とも称す。)の送信バッファ、および、PLCシステムバス11を介して他のユニットから入力されるデータ(以下「入力データ」または「第1入力データ」とも称す。)の受信バッファとして機能する。なお、マイクロプロセッサ100による演算処理によって作成された第1出力データは、原始的にはメインメモリ104に格納される。そして、特定のユニットへ転送されるべき第1出力データは、メインメモリ104から読み出されて、第1通信回路バッファ126に一次的に保持される。また、他のユニットから転送された第1入力データは、第1通信回路バッファ126に一次的に保持された後、メインメモリ104に移される。
【0060】
DMA制御回路122は、メインメモリ104から第1通信回路バッファ126への第1出力データの転送、および、第1通信回路バッファ126からメインメモリ104への第1入力データの転送を行う。
【0061】
PLCシステムバス通信制御回路124は、PLCシステムバス11に接続される他のユニットとの間で、第1通信回路バッファ126の第1出力データを送信する処理および第1入力データを受信して第1通信回路バッファ126に格納する処理を行う。典型的には、PLCシステムバス通信制御回路124は、PLCシステムバス11における物理層およびデータリンク層の機能を提供する。
【0062】
フィールドネットワークコントローラ140(第2通信回路)は、フィールドネットワーク2を介したデータの遣り取りを制御する。すなわち、フィールドネットワークコントローラ140は、用いられるフィールドネットワーク2の規格に従い、出力データの送信および入力データの受信を制御する。上述したように、本実施の形態においてはEtherCAT(登録商標)規格に従うフィールドネットワーク2が採用されるので、通常のイーサネット(登録商標)通信を行うためのハードウェアを含む、フィールドネットワークコントローラ140が用いられる。EtherCAT(登録商標)規格では、通常のイーサネット(登録商標)規格に従う通信プロトコルを実現する一般的なイーサネット(登録商標)コントローラを利用できる。但し、フィールドネットワーク2として採用される産業用イーサネット(登録商標)の種類によっては、通常の通信プロトコルとは異なる専用仕様の通信プロトコルに対応した特別仕様のイーサネット(登録商標)コントローラが用いられる。また、産業用イーサネット(登録商標)以外のフィールドネットワークを採用した場合には、当該規格に応じた専用のフィールドネットワークコントローラが用いられる。
【0063】
第2通信回路バッファ146は、フィールドネットワーク2を介して他の装置などへ出力されるデータ(以下「出力データ」または「第2出力データ」と称す。)の送信バッファ、および、フィールドネットワーク2を介して他の装置などから入力されるデータ(以下「入力データ」または「第2入力データ」とも称す。)の受信バッファとして機能する。マイクロプロセッサ100による演算処理によって作成された第2出力データは、原始的にはメインメモリ104に格納される。そして、特定の装置へ転送されるべき第2出力データは、メインメモリ104から読み出されて、第2通信回路バッファ146に一次的に保持される。また、他の装置から転送された第2入力データは、第2通信回路バッファ146に一次的に保持された後、メインメモリ104に移される。
【0064】
DMA制御回路142は、メインメモリ104から第2通信回路バッファ146への第2出力データの転送、および、第2通信回路バッファ146からメインメモリ104への第2入力データの転送を行う。
【0065】
フィールドネットワーク通信制御回路144は、フィールドネットワーク2に接続される他の装置との間で、第2通信回路バッファ146の第2出力データを送信する処理および第2入力データを受信して第2通信回路バッファ146に格納する処理を行う。典型的には、フィールドネットワーク通信制御回路144は、フィールドネットワーク2における物理層およびデータリンク層の機能を提供する。
【0066】
USBコネクタ110は、PLCサポート装置8とCPUユニット13とを接続するためのインターフェイスである。典型的には、PLCサポート装置8から転送される、CPUユニット13のマイクロプロセッサ100で実行可能なプログラムなどは、USBコネクタ110を介してPLC1に取込まれる。
【0067】
<C.CPUユニットのソフトウェア構成>
次に、図3を参照して、本実施の形態に係る各種機能を提供するためのソフトウェア群について説明する。これらのソフトウェアに含まれる命令コードは、適切なタイミングで読み出され、CPUユニット13のマイクロプロセッサ100によって実行される。
【0068】
図3は、本発明の実施の形態に係るCPUユニット13で実行されるソフトウェア構成を示す模式図である。図3を参照して、CPUユニット13で実行されるソフトウェアとしては、リアルタイムOS200と、システムプログラム210と、ユーザプログラム236との3階層になっている。
【0069】
リアルタイムOS200は、CPUユニット13のコンピュータアーキテクチャに応じて設計されており、マイクロプロセッサ100がシステムプログラム210およびユーザプログラム236を実行するための基本的な実行環境を提供する。このリアルタイムOSは、典型的には、PLCのメーカーあるいは専門のソフトウェア会社などによって提供される。
【0070】
システムプログラム210は、PLC1としての機能を提供するためのソフトウェア群である。具体的には、システムプログラム210は、スケジューラプログラム212と、出力処理プログラム214と、入力処理プログラム216と、シーケンス命令演算プログラム232と、モーション演算プログラム234と、その他のシステムプログラム220とを含む。なお、一般には出力処理プログラム214および入力処理プログラム216は、連続的(一体として)に実行されるので、これらのプログラムを、IO処理プログラム218と総称する場合もある。
【0071】
ユーザプログラム236は、ユーザにおける制御目的に応じて作成される。すなわち、PLCシステムSYSを用いて制御する対象のライン(プロセス)などに応じて、任意に設計されるプログラムである。
【0072】
後述するように、ユーザプログラム236は、シーケンス命令演算プログラム232およびモーション演算プログラム234と協働して、ユーザにおける制御目的を実現する。すなわち、ユーザプログラム236は、シーケンス命令演算プログラム232およびモーション演算プログラム234によって提供される命令、関数、機能モジュールなどを利用することで、プログラムされた動作を実現する。そのため、ユーザプログラム236、シーケンス命令演算プログラム232、およびモーション演算プログラム234を、制御プログラム230と総称する場合もある。
【0073】
このように、CPUユニット13のマイクロプロセッサ100は、記憶手段に格納されたシステムプログラム210および制御プログラム230を実行する。
【0074】
以下、各プログラムについてより詳細に説明する。
ユーザプログラム236は、上述したように、ユーザにおける制御目的(たとえば、対象のラインやプロセス)に応じて作成される。ユーザプログラム236は、典型的には、CPUユニット13のマイクロプロセッサ100で実行可能なオブジェクトプログラム形式になっている。このユーザプログラム236は、PLCサポート装置8などにおいて、ラダー言語などによって記述されたソースプログラムがコンパイルされることで生成される。そして、生成されたオブジェクトプログラム形式のユーザプログラム236は、PLCサポート装置8から接続ケーブル10を介してCPUユニット13へ転送され、不揮発性メモリ106などに格納される。
【0075】
スケジューラプログラム212は、出力処理プログラム214、入力処理プログラム216、および制御プログラム230について、各実行サイクルでの処理開始および処理中断後の処理再開を制御する。より具体的には、スケジューラプログラム212は、ユーザプログラム236およびモーション演算プログラム234の実行を制御する。
【0076】
本実施の形態に係るCPUユニット13では、モーション演算プログラム234に適した一定周期の実行サイクル(制御サイクル)を処理全体の共通サイクルとして採用する。そのため、1つの制御サイクル内で、すべての処理を完了することは難しいので、実行すべき処理の優先度などに応じて、各制御サイクルにおいて実行を完了すべき処理と、複数の制御サイクルに亘って実行してもよい処理とが区分される。スケジューラプログラム212は、これらの区分された処理の実行順序などを管理する。より具体的には、スケジューラプログラム212は、各制御サイクル期間内において、より高い優先度が与えられているプログラムほど先に実行する。
【0077】
出力処理プログラム214は、ユーザプログラム236(制御プログラム230)の実行によって生成された出力データを、PLCシステムバスコントローラ120および/またはフィールドネットワークコントローラ140へ転送するのに適した形式に再配置する。PLCシステムバスコントローラ120またはフィールドネットワークコントローラ140が、マイクロプロセッサ100からの、送信を実行するための指示を必要とする場合は、出力処理プログラム214がそのような指示を発行する。
【0078】
入力処理プログラム216は、PLCシステムバスコントローラ120および/またはフィールドネットワークコントローラ140によって受信された入力データを、制御プログラム230が使用するのに適した形式に再配置する。
【0079】
シーケンス命令演算プログラム232は、ユーザプログラム236で使用されるある種のシーケンス命令が実行されるときに呼び出されて、その命令の内容を実現するために実行されるプログラムである。
【0080】
モーション演算プログラム234は、ユーザプログラム236による指示に従って実行され、サーボモータドライバ3やパルスモータドライバといったモータドライバに対して出力する指令値を実行されるごとに算出するプログラムである。
【0081】
その他のシステムプログラム220は、図3に個別に示したプログラム以外の、PLC1の各種機能を実現するためのプログラム群をまとめて示したものである。
【0082】
リアルタイムOS200は、複数のプログラムを時間の経過に従い切り替えて実行するための環境を提供する。本実施の形態に係るPLC1においては、CPUユニット13のプログラム実行によって生成された出力データを他のユニットまたは他の装置へ出力(送信)するためのイベント(割り込み)として、制御サイクル開始の割り込みが初期設定される。リアルタイムOS200は、制御サイクル開始の割り込みが発生すると、マイクロプロセッサ100での実行対象を、割り込み発生時点で実行中のプログラムからスケジューラプログラム212に切り替える。なお、リアルタイムOS200は、スケジューラプログラム212およびスケジューラプログラム212がその実行を制御するプログラムが何ら実行されていない場合に、その他のシステムプログラム210に含まれているプログラムを実行する。このようなプログラムとしては、たとえば、CPUユニット13とPLCサポート装置8との間の接続ケーブル10(USB)などを介した通信処理に関するものが含まれる。
【0083】
なお、制御プログラム230およびスケジューラプログラム212は、記憶手段であるメインメモリ104および不揮発性メモリ106に格納される。
【0084】
<D.メインメモリ構成>
次に、図4を参照して、CPUユニット13のメインメモリ104に構成される記憶領域について説明する。
【0085】
図4は、本発明の実施の形態に係るCPUユニット13のメインメモリ104の領域構成を示す模式図である。図4を参照して、メインメモリ104には、各種のプログラム領域1041と、制御プログラムの作業領域1042と、第1転送バッファ1044と、第2転送バッファ1045とが形成される。制御プログラムの作業領域1042は、演算バッファ1043を含む。これらの領域は、起動時などに、CPUユニット13がシステムプログラム210に含まれる命令を実行することで生成される。
【0086】
各種のプログラム領域1041には、各種のプログラムを実行するためのコードが一時的に格納される。制御プログラムの作業領域1042には、制御プログラム230の実行により作成された出力データが一時的に格納される。
【0087】
演算バッファ1043からは制御プログラムの実行に伴い入力データが読み出されるとともに、演算バッファ1043に出力データが書き込まれる。
【0088】
第1転送バッファ1044は、PLCシステムバス11によって送信される出力データおよび受信された入力データが格納される。第2転送バッファ1045は、フィールドネットワーク2によって送信される出力データおよび受信された入力データが格納される。
【0089】
PLCシステムバス11を介していずれかの出力データを送信する必要がある場合には、マイクロプロセッサ100は、対象の出力データを制御プログラムの作業領域1042から第1転送バッファ1044へコピーする。このコピー処理を、以下「第1出力コピー処理」とも称す。このとき、マイクロプロセッサ100は、同一のユニットに送信される複数の出力データを一括して送信できるように、第1転送バッファ1044において、同一のユニットに向けられた出力データ群がまとめられるように出力データを再配置する。
【0090】
この第1転送バッファ1044にコピーされた出力データは、PLCシステムバスコントローラ120の第1通信回路バッファ126へ転送される。この第1転送バッファ1044から第1通信回路バッファ126への出力データの転送処理は、PLCシステムバスコントローラ120のDMA制御回路122によって制御される。この転送処理を、以下「第1出力転送処理」とも称す。さらに、PLCシステムバスコントローラ120のPLCシステムバス通信制御回路124が、第1通信回路バッファ126に転送された出力データを、PLCシステムバス11を介して送信先(第1機器)へ送信する。この送信処理を、以下「第1送信処理」とも称す。
【0091】
同様に、フィールドネットワーク2を介していずれかの出力データを送信する必要がある場合には、マイクロプロセッサ100は、対象の出力データを制御プログラムの作業領域1042から第2転送バッファ1045へコピーする。このコピー処理を、以下「第2出力コピー処理」とも称す。このとき、マイクロプロセッサ100は、第2転送バッファ1045において、シリアルフレームとして送信できる形式に出力データを再配置する。
【0092】
この第2転送バッファ1045にコピーされた出力データは、フィールドネットワークコントローラ140の第2通信回路バッファ146へ転送される。この第2転送バッファ1045から第2通信回路バッファ146への出力データの転送処理は、フィールドネットワークコントローラ140のDMA制御回路142によって制御される。この転送処理を、以下「第2出力転送処理」とも称す。さらに、フィールドネットワークコントローラ140のフィールドネットワーク通信制御回路144が、第2通信回路バッファ146に転送された出力データを、フィールドネットワーク2を介して送信先(第2機器)へ送信する。この送信処理を、以下「第2送信処理」とも称す。
【0093】
一方、送信先(第1機器)からPLCシステムバス11を介して送信された入力データは、PLCシステムバスコントローラ120のPLCシステムバス通信制御回路124によって受信され、第1通信回路バッファ126に格納される。この送信先(第1機器)からの入力データの受信処理を、以下「第1受信処理」とも称す。この第1通信回路バッファ126に格納された入力データは、第1転送バッファ1044へ転送される。この第1通信回路バッファ126から第1転送バッファ1044への入力データの転送処理は、PLCシステムバスコントローラ120のDMA制御回路122によって制御される。この転送処理を、以下「第1入力転送処理」とも称す。
【0094】
さらに、マイクロプロセッサ100は、第1転送バッファ1044に転送された入力データを演算バッファ1043へコピーする。このコピー処理を、以下「第1入力コピー処理」とも称す。このとき、マイクロプロセッサ100は、演算バッファ1043において、コピーされた入力データを制御プログラム230が使用するのに適した形式に再配置する。
【0095】
同様に、送信先(第2機器)からフィールドネットワーク2を介して送信された入力データは、フィールドネットワークコントローラ140のフィールドネットワーク通信制御回路144によって受信され、第2通信回路バッファ146に格納される。この送信先(第2機器)からの入力データの受信処理を、以下「第2受信処理」とも称す。この第2通信回路バッファ146に受信された入力データは、第2転送バッファ1045へ転送される。この第2通信回路バッファ146から第2転送バッファ1045への入力データの転送処理は、フィールドネットワークコントローラ140のDMA制御回路142によって制御される。この転送処理を、以下「第2入力転送処理」とも称す。
【0096】
さらに、マイクロプロセッサ100は、第2転送バッファ1045に転送された入力データを演算バッファ1043へコピーする。このコピー処理を、以下「第2入力コピー処理」とも称す。このとき、マイクロプロセッサ100は、演算バッファ1043において、コピーされた入力データを制御プログラム230が使用するのに適した形式に再配置する。
【0097】
このように、マイクロプロセッサ100は、出力データを演算バッファ1043から第1転送バッファ1044および第2転送バッファ1045にコピーする出力コピー処理(第1出力コピー処理および第2出力コピー処理)と、入力データを第1転送バッファ1044および第2転送バッファ1045から演算バッファ1043にコピーする入力コピー処理(第1入力コピー処理および第2入力コピー処理)との実行を制御する。
【0098】
この出力コピー処理(第1出力コピー処理および第2出力コピー処理)については、マイクロプロセッサ100が出力処理プログラム214を実行することで実現され、入力コピー処理(第1入力コピー処理および第2入力コピー処理)については、マイクロプロセッサ100が入力処理プログラム216を実行することで実現される。
【0099】
本実施の形態に係るCPUユニット13においては、演算バッファ1043、第1転送バッファ1044、および第2転送バッファ1045は、それぞれのアクセスを互いに独立に制御できるように構成されている。そのため、たとえば、以下に示す(1)〜(3)といった複数の動作を並列実行することができる。
【0100】
(1) マイクロプロセッサ100が行う、制御プログラム230の実行に伴う演算バッファ1043へのアクセス
(2) PLCシステムバスコントローラ120のDMA制御回路122が行う、第1転送バッファ1044と第1通信回路バッファ126との間のデータ転送のための、メインメモリ104上の第1転送バッファ1044へのアクセス
(3) フィールドネットワークコントローラ140のDMA制御回路142が行う、第2転送バッファ1045と第2通信回路バッファ146との間のデータ転送のための、メインメモリ104上の第2転送バッファ1045へのアクセス
そのため、マイクロプロセッサ100は、出力データを第1転送バッファ1044から第1通信回路(PLCシステムバスコントローラ120)を経てPLCシステムバス11上の第1機器に出力する処理(出力処理)と、入力データを当該第1機器から当該第1通信回路を経て第1転送バッファ1044に入力する処理(入力処理)とを含む第1入出力処理と、出力データを第2転送バッファ1045から第2通信回路(フィールドネットワークコントローラ140)を経てフィールドネットワーク2上の第2機器に出力する処理(出力処理)と、入力データを当該第2機器から当該第2通信回路を経て第2転送バッファ1045に入力する処理(入力処理)とを含む第2入出力処理とが並列に実行されるように、第1通信回路(PLCシステムバスコントローラ120)および第2通信回路(フィールドネットワークコントローラ140)のうちの少なくとも一方を制御する。
【0101】
ここで、第1入出力処理は、出力データを第1転送バッファ1044から第1通信回路バッファ126に転送する第1出力転送処理と、出力データを第1通信回路バッファ126から第1機器に送信する第1送信処理と、入力データを第1機器から第1通信回路バッファ126に受信する第1受信処理と、入力データを第1通信回路バッファ126から第1転送バッファ1044に転送する第1入力転送処理とを含む。同様に、第2入出力処理は、出力データを第2転送バッファ1045から第2通信回路バッファ146に転送する第2出力転送処理と、出力データを第2通信回路バッファ146から第2機器に送信する第2送信処理と、入力データを第2機器から第2通信回路バッファ146に受信する第2受信処理と、入力データを第2通信回路バッファ146から第2転送バッファ1045に転送する第2入力転送処理とを含む。
【0102】
ここで、上記のそれぞれのバッファについて説明しておく。
CPUユニット13のメインメモリ104においては、演算バッファは、入力データごとおよび出力データごとに生成される。そのため、制御プログラムが複数ある場合には、1つの入力データまたは1つの出力データのための演算バッファは、制御プログラムごとに生成されることになる。
【0103】
1つの制御プログラムのための、1つの入力データまたは1つの出力データのための演算バッファが複数あってもよい。たとえば、1つの制御プログラムのための、1つの入力データまたは1つの出力データのための演算バッファを2つずつ生成し、一方の演算バッファが制御プログラムの実行のために使用されているときは、第1転送バッファ1044または第2転送バッファ1045からのデータのコピーは、他方の演算バッファに行うようにしてもよい。このように、同一の入力データまたは出力データについて組をなして運用される複数の演算バッファは、集合的に1つの演算バッファとみなすことができる。
【0104】
図4には、多数の入力データおよび出力データのための多数の演算バッファを、演算バッファ1043として集合的に示している。言い換えれば、演算バッファ1043は、演算バッファ領域を示しているといってもよい。同様に、図4においては、第1転送バッファ1044、第2転送バッファ1045、第1通信回路バッファ126、第2通信回路バッファ146についても、多数の入力データおよび多数の出力データのための多数のバッファを集合的に示している。
【0105】
<E.システムプログラムの全体処理動作>
次に、システムプログラム210の全体処理動作について説明する。
【0106】
システムプログラム210は、制御動作の実行準備命令および制御動作の実行制御命令を含む。実行準備命令および実行制御命令には、以下のような命令を含み、マイクロプロセッサ100がこれらの命令を予め定められたタイミングもしくは割り込みなどのイベントの発生に応答して実行する。
【0107】
(1) 実行準備命令
メインメモリ104上に、制御プログラムの実行に伴い入力データが読み出されるとともに出力データが書き込まれる演算バッファ1043と、PLCシステムバス11によって送信される出力データおよび受信された入力データを格納する第1転送バッファ1044と、フィールドネットワーク2によって送信される出力データおよび受信された入力データを格納する第2転送バッファ1045とを生成する命令。
【0108】
(2) 実行制御命令
(a) 制御プログラム230の実行を開始させる制御プログラム開始命令。
【0109】
(b) 出力データを演算バッファ1043から第1転送バッファ1044にコピーするための第1出力コピー命令。
【0110】
(c) 出力データを演算バッファ1043から第2転送バッファ1045にコピーするための第2出力コピー命令。
【0111】
(d) 入力データを第1転送バッファ1044から演算バッファ1043にコピーするための第1入力コピー命令。
【0112】
(e) 入力データを第2転送バッファ1045から演算バッファ1043にコピーするための第2入力コピー命令。
【0113】
(f) 第1通信回路(PLCシステムバスコントローラ120)を制御するための第1入出力制御命令および第2通信回路(フィールドネットワークコントローラ140)を制御するための第2入出力制御命令のうちの少なくとも一方の入出力制御命令であって、出力データを第1転送バッファ1044から第1通信回路を経てPLCシステムバス11上の第1機器に出力する処理と、入力データを第1機器から第1通信回路を経て第1転送バッファ1044に入力する処理とを含む第1入出力処理と、出力データを第2転送バッファ1045から第2通信回路を経てフィールドネットワーク2上の第2機器に出力する処理と、入力データを第2機器から第2通信回路を経て第2転送バッファ1045に入力する処理とを含む第2入出力処理とが並列に実行されるようにするための入出力制御命令。
【0114】
これらの命令は、以下のような手順でマイクロプロセッサ100によって実行される。
図5は、本発明の実施の形態に係るCPUユニットにおけるシステムプログラムの全体処理を示すフローチャートである。図5に示すように、まず、制御動作の実行準備処理が実行される(ステップS1)。より具体的には、ステップS1においては、マイクロプロセッサ100が実行準備命令を実行し、演算バッファ1043、第1転送バッファ1044、および第2転送バッファ1045をメインメモリ104上に生成する。さらに、制御プログラム230の実行準備処理は、具体的な実装形態に応じたその他の実行準備処理を含みうる。
【0115】
続いて、制御動作の実行制御処理が実行される(ステップS2)。この実行制御処理は、繰返し実行されることになる。より具体的には、ステップS2においては、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム開始命令、第1出力コピー命令、第2出力コピー命令、第1入力コピー命令、第2入力コピー命令、入出力制御命令(第1入出力処理および/または第2入出力処理とを並列に実行)を実行する。また、制御動作の実行制御処理は、具体的な実装形態に応じたその他の実行制御処理を含みうる。制御動作の実行制御処理に含まれる各処理の実行順序は具体的な実施形態に依存する。
【0116】
<F.CPUユニットにおける並列処理について>
上述したように、本実施の形態に係るCPUユニット13では、第1入出力処理および第2入出力処理を並列的に実行することができる。また、CPUユニット13(マイクロプロセッサ100)では、制御プログラム230も実行される。そこで、まず、CPUユニット13における並列処理について、図6〜図9を参照してその概要について説明する。図6〜図9は、本発明の実施の形態に係るCPUユニット13の動作のシーケンス図である。
【0117】
各シーケンス図について説明する前に、図中の符号について説明する。
図中の符号「T」は、システムタイマが発生する一定周期の割り込み(制御サイクル開始割り込み)のタイミングを示す。この制御サイクル開始割り込みTの発生によって、制御サイクルが開始される。図6〜図9に示す例では、制御プログラムの実行サイクルは、制御サイクルに等しいものとする。
【0118】
制御サイクル開始割り込みTとしては、CPUユニット13の外部から入力される、一定周期または非一定周期の信号を用いてもよい。そうすると、信号源となる外部の何らかのイベントに同期して制御動作をさせることができる。
【0119】
また、制御サイクル開始割り込みを用いずに、1つの制御サイクル内の処理がすべて終了すれば直ちに次の制御サイクルの処理を開始するようにしてもよい。この場合は、制御サイクルの時間は、制御サイクルごとに変動し得る。このような変動の影響を排除するために、1つの制御サイクル内の制御動作に関する処理がすべて終了した後、制御サイクルの開始から一定時間が経過するまで処理を待機するためのシステムプログラムを実行することにより、制御サイクルの周期がほぼ一定になるようにしてもよい。
【0120】
次に、図中の符号「A」〜「G」は、以下に示すような各処理の開始または終了のタイミングを示す。
【0121】
A:出力転送処理の開始時刻(出力処理の開始時刻、入出力処理の開始時刻をも示す)
B:送信処理の開始時刻(送信処理および受信処理の開始時刻をも示す)
C:送信処理の終了時刻(出力処理の終了時刻をも示す)
D:受信処理の開始時刻(入力処理の開始時刻をも示す)
E:受信処理の終了時刻(送信処理および受信処理の終了時刻をも示す)
F:入力転送処理の開始時刻
G:入力転送処理の終了時刻(入力処理の終了時刻、入出力処理の終了時刻をも示す)
また、符号「A」〜「G」に付与される数字「1」および「2」は、それぞれ第1入出力処理および第2入出力処理に関係することを示す。
【0122】
なお、最初に説明する図6のシーケンス図においては、符号A1,A2,G1,G2のみが現れている。なお、後述する図16のシーケンス図には、すべての符号が現れる。
【0123】
ここで、上述の時刻A〜GのいずれかをXの文字で表すと、一般には、X1とX2とは同じ時刻とはならない。これは、「第1」系の(すなわち、PLCシステムバス11に関係する)処理、および、「第2」系の(すなわち、フィールドネットワーク2に関係する)処理について、それぞれシステムプログラム210の命令を用いて処理の開始を指示させると、たとえ同時に処理を開始しようとしても、命令自体が順次実行されるので、わずかな時間差が生じるためである。また、「第1」系の処理と「第2」系の処理とは、実装レベルでの処理の内容が互いに異なるために、それらの終了時刻は互いに異なる。
【0124】
さらに、図6のシーケンス図に示される「出力コピー処理」−「入出力処理」−「入力コピー処理」のように、「第1」系および「第2」系のそれぞれのシーケンス中において、先の処理の終了を待って後の処理を開始するという形式を採用した場合には、後の処理の開始時刻は先の処理の終了時刻に依存する。この理由によっても、「第1」系および「第2」系の対応する処理の開始時刻は互いに異なる。
【0125】
出力コピー処理および入力コピー処理を、マイクロプロセッサ100が自らプログラム処理として行う場合には、「第1」系と「第2」系との間の出力コピー処理同士および入力コピー処理同士は、並列実行ではなく、事実上、順次実行となる。チップセットに内蔵のDMA制御回路または別途設けたDMA制御回路により、あるいはマルチコアのマイクロプロセッサにより、「第1」系と「第2」系との間の出力コピー処理同士および入力コピー処理同士を互いに独立して実行できる場合は、これらの処理の並列実行が可能である。マイクロプロセッサが自らプログラム処理として出力コピー処理および入力コピー処理を行うのではない場合も、少なくとも、マイクロプロセッサが実行開始のトリガを与える点で処理の実行を制御することになる。
【0126】
図6には、1つの制御サイクル内で、入出力処理を一続きに行う場合のシーケンスの例を示す。制御サイクル開始割り込みTが発生すると、まず入出力関係の処理が実行され、その後、制御プログラムが行される。以下の説明において、単に「入出力処理」との記載は、その処理の中で、出力処理の後に入力処理を行う場合、入力処理の後に出力処理を行う場合、出力処理と入力処理とを時間帯を分けずに混ぜて行う場合を含む。
【0127】
入出力処理を並列に行うとは、第1入出力処理の開始(開始時刻A1)後、第1入出力処理の終了(終了時刻G1)までに第2入出力処理の開始(開始時刻A2)があること、または、反対に、第2入出力処理の開始(開始時刻A2)後、第2入出力処理の終了(終了時刻G2)までに第1入出力処理の開始(A1)があることである。以降の説明において、処理の内容を問わず、互いに同種の「第1」系の処理と「第2」系の処理とを並列に行うというときの意味は、上記と同様である。
【0128】
図7〜図9には、入出力処理の並行実行に係るさまざまな態様を示す。
図7についても、1つの制御サイクル内で、入出力処理を一続きに行う場合のシーケンスの例を示す。図6の場合とは異なり、出力コピー処理を制御プログラム実行の直後に行う。すなわち、出力コピー処理は入出力処理の直前に行われるとは限らない。制御サイクルごとに1つの制御プログラムを実行する場合には、図6および図7に示すいずれのシーケンスにおいても、外部から見たCPUユニット13の動作はほとんど変わらない。但し、後述する図18および図19に示すように、制御サイクルの周期(送受信の周期)よりも制御プログラムの実行周期の方が長い場合には、出力コピー処理を図6に示すように入出力処理の直前に行うか、あるいは、図7に示すように制御プログラム実行の直後に行うかによって、特定の制御プログラムの実行により生成された出力データがいつCPUユニット13から出力されるかが違ってくることがある。
【0129】
また、制御サイクルの周期よりも制御プログラムの実行周期の方が長い場合には、入出力処理と制御プログラム実行との間に別の制御プログラムに関する処理が行われる場合がある。このような場合には、入力コピー処理は、入出力処理の直後に行ってもよいし、制御プログラム実行の直前に行ってもよい。入力コピー処理をどちらのタイミングで行うかによって、特定の制御プログラムの実行において、いつ入力された入力データが用いられるかが違ってくることがある。
【0130】
図8には、図6に示す入出力処理を、出力処理と入力処理とに分けて実行する場合のシーケンスの例を示す。また、図9には、1つの制御サイクルの中で、制御プログラムの実行の前に入力処理を行い、制御プログラムの実行の後に出力処理を行う場合のシーケンスの例を示す。
【0131】
この図8および図9に示すいずれのシーケンスにおいても、第1入出力処理は、出力データを第1転送バッファから第1機器に出力する第1出力処理と、入力データを第1機器から第1転送バッファに入力する第1入力処理とを含む。同様に、第2入出力処理は、出力データを第2転送バッファから第2機器に出力する第2出力処理と、入力データを第2機器から第2転送バッファに入力する第2入力処理とを含む。そして、マイクロプロセッサ100は、第1出力処理と第2出力処理との並列実行および第1入力処理と第2入力処理との並列実行のうちの少なくともいずれかが行われるように制御を行う。
【0132】
このように、入出力処理を、出力処理と入力処理とに分けて実現することにより、図8に示すような入出力処理を一連の処理として行うシーケンス、および、図9に示すように制御プログラムの実行をはさんで入力処理と出力処理とを分けて行うシーケンス、のいずれを採用した場合であっても、出力命令および入力命令を共通して使用できる。
【0133】
以下、図2および図4に示された構成に基づく、より具体的な実施の形態について説明する。なお、以降の説明において、「第1」および「第2」の同種の処理または命令が存在する場合に、その処理または命令について「第1」または「第2」を特定せずに言及するときは、「第1」および「第2」に共通する説明をしている。
【0134】
<G.全体処理動作(実施の形態1)>
実施の形態1として、図6に示すシーケンスの入出力処理を具体化した一形態について説明する。実施の形態1においては、入出力処理を一体的に行う場合の例を示す。
【0135】
図10は、本発明の実施の形態1に係るCPUユニット13の動作のシーケンス図である。図11は、図10に示すシーケンス図に対応するフローチャートである。
【0136】
図10を参照して、図6に示すシーケンス中の入出力処理は、より具体化された、出力転送処理、送受信処理、および入力転送処理により構成される。
【0137】
本実施の形態に係るCPUユニット13においては、図4を参照して説明したように、マイクロプロセッサ100は、出力コピー命令および入力コピー命令を実行することにより、マイクロプロセッサ100自身で演算バッファ1043と転送バッファ1044,1045との間でそれぞれ出力データおよび入力データのコピーを行う。
【0138】
また、マイクロプロセッサ100は、入出力制御命令の少なくとも一部である出力転送命令を実行することにより、通信回路(PLCシステムバスコントローラ120およびフィールドネットワークコントローラ140)に対して出力転送開始を指示する。その指示を通信回路が受けると、通信回路の中のDMA制御回路(DMA制御回路122,142)は、出力データを転送バッファ1044および1045から通信回路バッファ126および146に転送(コピー)する。転送が完了すると、通信回路の中の通信制御回路(PLCシステムバス通信制御回路124およびフィールドネットワーク通信制御回路144)は、機器との間でそれぞれ送受信処理を行う。すなわち、通信制御回路は、出力データを通信回路バッファ126および146から機器に送信し、入力データを機器から通信回路バッファ126および146に受信する。
【0139】
この送受信処理は、採用しているPLCシステムバス11およびフィールドネットワーク2の通信規約に従い、その通信規約において効率のよい態様で行うことが好ましい。たとえば、EtherCAT(登録商標)の場合であれば、マスター機器は、各スレーブ機器に送る出力データを1つのシリアルフレームに格納して送信する。一方、各スレーブ機器は、フレームを通過させる間に、自己宛ての出力データをフレームから読み出し、入力データをフレームに書き込む。第2通信回路は、各スレーブ機器を一巡して戻ってきた(受信した)フレームから各機器の入力データを得る。
【0140】
別のいくつかの通信規約に従うと、通信回路は、1つの機器あてに出力データを格納したフレームを送信し、それに対する返信としてその機器から入力データが格納されたフレームを受信する。引き続いて、別の1つの機器を対象として同様の送信および受信を行う。
【0141】
これらの例からわかるとおり、送受信処理においては、送信だけを行う時間帯と受信だけを行う時間帯とが分離していないことがある。
【0142】
送受信処理が完了すると、通信回路の中のDMA制御回路は、入力データを通信回路バッファから転送バッファに転送(コピー)する。転送が完了すると、通信回路は、マイクロプロセッサ100に対して入力転送完了通知を送る。
【0143】
出力転送処理に続く、送受信処理および入力転送処理は、通信回路自身が実行制御する。そのため、マイクロプロセッサ100は、通信回路に対して出力転送開始を指示した後は、入力転送完了通知を受けるまで入出力処理に関して行うべきことがない。この時間を利用して、システムプログラムや他の制御プログラムをマイクロプロセッサ100に実行させるようにしてもよい。
【0144】
送受信処理の開始は、通信回路に対する一定周期の送受信開始信号(受信ではなく送信から開始する場合は送信開始信号)をトリガとしてもよい。送受信開始信号は、システムタイマが発生するようにしてもよいし、通信回路自身が送受信開始信号を発生するタイマを有していてもよい。制御サイクル開始割り込みTと送受信開始信号との間の時間間隔は、常に一定になるようにするのが好ましい。
【0145】
図10に示すシーケンスを実現するための具体的なマイクロプロセッサ100で実行されるシステムプログラム210に係る処理としては、図11に示すフローチャートのようになる。
【0146】
図11を参照して、マイクロプロセッサ100は、システムプログラム210における、PLC1の制御動作の実行準備処理を実行する(ステップS1)。続いて、マイクロプロセッサ100は、システムプログラム210における、PLC1の制御動作の実行制御処理を実行する(図5に示すステップS2)。このPLC1の制御動作の実行制御処理の詳細な一例がステップS200〜S216に相当する。
【0147】
まず、マイクロプロセッサ100は、制御サイクル開始割り込みを待つ(ステップS200)。制御サイクル開始割り込みを受けると(ステップS200においてYES)、マイクロプロセッサ100は、第1出力コピー命令を実行するとともに、第2出力コピー命令を実行する(ステップS202)。第1出力コピー命令の実行により、マイクロプロセッサ100は、第1出力データをメインメモリ104上の演算バッファ1043から第1転送バッファ1044にコピーする。また、第2出力コピー命令の実行により、マイクロプロセッサ100は、第2出力データをメインメモリ104上の演算バッファ1043から第2転送バッファ1045にコピーする。ここで、演算バッファ1043における第1出力データと第2出力データとは同一のデータであってもよい。
【0148】
少なくとも第1出力コピー命令の実行が完了すると、マイクロプロセッサ100は、第1出力転送命令を実行する。また、少なくとも第2出力コピー命令の実行が完了すると、マイクロプロセッサ100は、第2出力転送命令を実行する(ステップS204)。ステップS204において、第1出力転送命令を実行する時刻がA1、第2出力転送命令を実行する時刻がA2である。第1出力転送命令の実行により、第1通信回路(PLCシステムバスコントローラ120)に対して出力転送開始が指示される。また、第2出力転送命令の実行により、第2通信回路(フィールドネットワークコントローラ140)に対して出力転送開始が指示される。そして、第1通信回路および第2通信回路は、それぞれ、転送バッファ1044および1045から通信回路バッファ126および146へ出力データを転送(コピー)し、第1機器および第2機器との間で送受信処理を行い、通信回路バッファ126および146に受信した入力データを転送バッファ1044および1045へ転送する。第1通信回路および第2通信回路は、この一連の処理が完了すると、それぞれ入力転送完了通知を発行する。したがって、入力転送処理の終了時刻Gとしては、マイクロプロセッサ100がそれぞれの入力転送完了通知を受信したタイミングとなる。
【0149】
ステップS204の後、マイクロプロセッサ100は、通信回路からの入力転送完了通知を待つ(ステップS206)。ここで、第1通信回路からの第1入力転送完了通知を待つ処理と第2通信回路からの第2入力転送完了通知を待つ処理とは独立に行わる。すなわち、第1通信回路からの第1入力転送完了通知を受けると、第2入力転送完了通知をすでに受けたかどうかにかかわらず、マイクロプロセッサ100は、第1入力コピー命令を実行する。また、第2通信回路からの第2入力転送完了通知を受けると、第1入力転送完了通知をすでに受けたかどうかにかかわらず、マイクロプロセッサ100は、第2入力コピー命令を実行する(ステップS208)。第1入力コピー命令の実行により、マイクロプロセッサ100は、入力データをメインメモリ104上の第1転送バッファから演算バッファ1043にコピーする。また、第2入力コピー命令の実行により、マイクロプロセッサ100は、入力データをメインメモリ104上の第2転送バッファから演算バッファ1043にコピーする。マイクロプロセッサ100が第1出力転送命令および第2出力転送命令のいずれについても実行した後、処理はステップS210へ進む。
【0150】
ステップS210において、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム開始命令を実行する。そして、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム230の実行終了通知を待つ(ステップS212)。
【0151】
制御プログラム開始命令の実行により、制御プログラム230の実行が開始される。これに伴って、マイクロプロセッサ100で実行される処理は、システムプログラム210による処理から制御プログラム230による処理に切り替わる。すなわち、制御プログラム230の実行開始から実行終了するまでの間は、マイクロプロセッサ100は、システムプログラム210を実行しない。その後、制御プログラム230の実行が終了した通知(制御プログラム230の実行終了通知)があれば、マイクロプロセッサ100における実行対象は、制御プログラム230からシステムプログラム210へ戻る。
【0152】
制御プログラム230の実行終了通知を受けると(ステップS212においてYES)、マイクロプロセッサ100は、その他の処理を実行する(ステップS214)。その他の処理の実行を開始すると、マイクロプロセッサ100は、その他の処理の実行終了通知、または、次の制御サイクル開始割り込みを待つ(ステップS216)。
【0153】
次の制御サイクル開始割り込みを受ける前に、その他の処理の実行終了通知を受けると(ステップS216において「実行終了通知」)、ステップS200以下の処理が再度実行される。これに対して、その他の処理の実行終了通知を受ける前に、次の制御サイクル開始割り込みを受けると(ステップS216において「制御サイクル開始」)、その他の処理の実行は中断され、ステップS202以下の処理が再度実行される。
【0154】
以上のように、本実施の形態に係るマイクロプロセッサ100は、第1出力転送処理および第2出力転送処理の一方が開始されてからその出力転送処理に対応する入力転送処理が完了するまでの間(図10において、出力転送処理の開始時刻A1(または、A2)から入力転送処理の終了時刻G1(または、G2)までの間)に他方の出力転送処理が開始されるように、第1通信回路および第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する(図11におけるステップS204およびS206)。
【0155】
実施の形態1によれば、入出力処理を一続きに行う場合に、第1入出力処理と第2入出力処理とを並列に実行することができる。
【0156】
<H.全体処理動作(実施の形態2)>
実施の形態2として、図6に示すシーケンスの入出力処理を具体化した別の形態について説明する。実施の形態2においては、入出力処理を一体的に行う場合の例を示す。
【0157】
図12は、本発明の実施の形態2に係るCPUユニット13の動作のシーケンス図である。図13は、図12に示すシーケンス図に対応するフローチャートである。
【0158】
図12を参照して、図6に示すシーケンス中の入出力処理は、より具体化された、出力転送処理、送受信処理、および入力転送処理により構成される。
【0159】
上述した実施の形態1における具体例との相違点は、マイクロプロセッサ100が通信回路に対し、送受信処理の開始および入力転送処理の開始を指示する点である。さらに、通信回路は、マイクロプロセッサ100に対し、出力転送処理の完了および送受信処理の完了を通知する。一般に、CPUユニット13内の処理である出力転送処理および入力転送処理と比較して、CPUユニット13外との通信処理である送受信処理の方が長い時間を要するので、送受信処理が並列に実行されることは重要である。
【0160】
図13に示すフローチャートは、図11に示すフローチャートと比較して、ステップS2051〜S2054の処理が付加されている点が異なっている。以下、主としてこの相違点について説明し、その他の処理についての詳細な説明は繰り返さない。
【0161】
マイクロプロセッサ100が第1出力転送命令を実行するとともに、第2出力転送命令を実行した後(ステップS204)、マイクロプロセッサ100は、通信回路からの出力転送完了通知を待つ(ステップS2051)。ここで、第1通信回路からの第1出力転送完了通知を待つ処理と第2通信回路からの第2出力転送完了通知を待つ処理とは独立に行われる。すなわち、第1通信回路からの第1出力転送完了通知を受けると、第2出力転送完了通知をすでに受けたかどうかにかかわらず、マイクロプロセッサ100は、第1送受信命令を実行する。また、第2通信回路からの第2出力転送完了通知を受けると、第1出力転送完了通知をすでに受けたかどうかにかかわらず、マイクロプロセッサ100は、第2送受信命令を実行する(ステップS2052)。
【0162】
ステップS2052において、第1送受信命令を実行する時刻がB1、第2送受信命令を実行する時刻がB2である。なお、送受信の周期を一定にするために、システムタイマ108などからの一定周期のトリガ信号を待って、第1送受信命令および/または第2送受信命令を実行してもよい。
【0163】
ステップS2052における第1送受信命令の実行により、第1通信回路(PLCシステムバスコントローラ120)に対して送受信開始が指示される。また、第2送受信命令の実行により、第2通信回路(フィールドネットワークコントローラ140)に対して送受信開始が指示される。そして、第1通信回路および第2通信回路は、それぞれ、第1機器および第2機器との間で送受信処理が完了すると、それぞれ送受信完了通知を発行する。
【0164】
ステップS2052の後、マイクロプロセッサ100は、通信回路からの送受信転送完了通知を待つ(ステップS2053)。ここで、第1通信回路からの第1送受信完了通知を待つ処理と第2通信回路からの第2送受信完了通知を待つ処理とは独立に行われる。すなわち、第1通信回路からの第1送受信完了通知を受けると、第2送受信完了通知をすでに受けたかどうかにかかわらず、マイクロプロセッサ100は、第1入力転送命令を実行する。また、第2通信回路からの第2送受信完了通知を受けると、第1送受信完了通知をすでに受けたかどうかにかかわらず、マイクロプロセッサ100は、第2入力転送命令を実行する(ステップS2054)。
【0165】
ステップS2054において、第1入力転送命令を実行する時刻がE1、第2入力転送命令を実行する時刻がE2である。一般に、出力転送処理に要する時間は比較的短く、送受信処理に要する時間は比較的長いことを考慮すると、以上のような処理により、事実上、第1送受信処理と第2送受信処理とを並列に実行することができる。
【0166】
以上のように、本実施の形態に係るマイクロプロセッサ100は、第1送信処理および第1受信処理である第1送受信処理、ならびに、第2送信処理および第2受信処理である第2送受信処理の一方が開始されてからその送受信処理が完了するまでの間(図12において、送信処理の開始時刻B1(または、B2)から送受信処理の終了時刻E1(または、E2)までの間)に他方の送受信処理が開始されるように、または開始され得るように、第1通信回路および第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する(図13におけるステップS204〜S206)。
【0167】
実施の形態2によれば、入出力処理を一続きに行う場合に、第1送受信処理と第2送受信処理とを並列に実行することができる。
【0168】
<I.全体処理動作(実施の形態3)>
実施の形態3として、図9に示すシーケンスの入出力処理を具体化した一形態について説明する。実施の形態3においては、入出力処理を出力処理と入力処理とに分けて行う場合の例を示す。
【0169】
図14は、本発明の実施の形態3に係るCPUユニット13の動作のシーケンス図である。図15は、図14に示すシーケンス図に対応するフローチャートである。
【0170】
図14を参照して、図9に示すシーケンス中の入力処理は、より具体化された、受信処理および入力転送処理により構成される。また、図9に示すシーケンス中の出力処理は、出力転送処理および送信処理により構成される。
【0171】
マイクロプロセッサ100は、制御サイクル開始割り込みを受けると、受信命令を実行することにより、通信回路(PLCシステムバスコントローラ120およびフィールドネットワークコントローラ140)に対して入力データの受信開始を指示する。その指示を通信回路が受けると、通信回路の中の通信制御回路(PLCシステムバス通信制御回路124およびフィールドネットワーク通信制御回路144)は、機器に対して入力データの送出を指示し、その指示に応じて機器から送出された入力データを受信して通信回路バッファ126および146に格納する。入力データの受信が完了すると、通信回路の中のDMA制御回路(DMA制御回路122,142)は、入力データを通信回路バッファから転送バッファ1044および1045に転送(コピー)する。転送が完了すると、通信回路は、マイクロプロセッサ100に対し、入力転送完了通知を送る。マイクロプロセッサ100は、入力転送完了通知を受けると、入力コピー命令を実行することにより、入力データを転送バッファ1044および1045から演算バッファ1043にコピーする。
【0172】
マイクロプロセッサ100は、制御プログラム実行終了通知を受けると、出力コピー命令を実行することにより、出力データを演算バッファ1043から転送バッファ1044および1045にコピーする。出力コピーが完了すると、マイクロプロセッサ100は、出力転送命令を実行することにより、通信回路に対して出力転送開始を指示する。その指示を通信回路が受けると、通信回路の中のDMA制御回路は、出力データを転送バッファ1044および1045から通信回路バッファに転送(コピー)する。転送が完了すると、通信回路の中の通信制御回路は、出力データを通信回路バッファから機器に送信する。送信処理が完了すると、通信回路は、マイクロプロセッサ100に対して送信完了通知を送る。
【0173】
図14に示すシーケンスを実現するための具体的なマイクロプロセッサ100で実行されるシステムプログラム210に係る処理としては、図15に示すフローチャートのようになる。
【0174】
図15を参照して、マイクロプロセッサ100は、システムプログラム210における、PLC1の制御動作の実行準備処理を実行する(ステップS1)。続いて、マイクロプロセッサ100は、システムプログラム210における、PLC1の制御動作の実行制御処理を実行する(図5に示すステップS2)。このPLC1の制御動作の実行制御処理の詳細な一例がステップS220〜S240に相当する。
【0175】
まず、マイクロプロセッサ100は、制御サイクル開始割り込みを待つ(ステップS220)。制御サイクル開始割り込みを受けると(ステップS220においてYES)、マイクロプロセッサ100は、第1受信命令を実行するとともに、第2受信命令を実行する(ステップS222)。そして、マイクロプロセッサ100は、通信回路からの入力転送完了通知を待つ(ステップS224)。
【0176】
ステップS222の処理は、制御サイクル開始割り込みTを受けた時刻である受信処理の開始時刻Dに開始される。第1受信命令の実行により、第1通信回路(PLCシステムバスコントローラ120)に対して入力データの受信開始が指示される。また、第2受信命令の実行により、第2通信回路(フィールドネットワークコントローラ140)に対して入力データの受信開始が指示される。そして、第1通信回路および第2通信回路は、それぞれ、第1機器および第2機器に対して入力データの送出を指示し、その指示に応じて第1機器および第2機器からそれぞれ送出された入力データを受信して通信回路バッファ126および146に格納する。さらに、第1通信回路および第2通信回路は、入力データを通信回路バッファ126および146から転送バッファ1044および1045に転送(コピー)する。第1通信回路および第2通信回路は、この一連の受信処理が完了すると、それぞれ入力転送完了通知を発行する。したがって、入力転送処理の終了時刻の終了時刻Gとしては、マイクロプロセッサ100がそれぞれの入力転送完了通知を受信したタイミングとなる。
【0177】
第1通信回路からの第1入力転送完了通知を受けると、マイクロプロセッサ100は、第1入力コピー命令を実行する。また、第2通信回路からの第2入力転送完了通知を受けると、マイクロプロセッサ100は、第2入力コピー命令を実行する(ステップS208)。第1入力コピー命令の実行により、マイクロプロセッサ100は、入力データをメインメモリ104上の第1転送バッファから演算バッファ1043にコピーする。また、第2入力コピー命令の実行により、マイクロプロセッサ100は、入力データをメインメモリ104上の第2転送バッファから演算バッファ1043にコピーする。マイクロプロセッサ100が第1出力転送命令および第2出力転送命令のいずれについても実行した後、処理はステップS228へ進む。
【0178】
ステップS228において、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム開始命令を実行する。そして、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム230の実行終了通知を待つ(ステップS230)。
【0179】
制御プログラム開始命令の実行により、制御プログラム230の実行が開始される。これに伴って、マイクロプロセッサ100で実行される処理は、システムプログラム210による処理から制御プログラム230による処理に切り替わる。すなわち、制御プログラム230の実行開始から実行終了するまでの間は、マイクロプロセッサ100は、システムプログラム210を実行しない。その後、制御プログラム230の実行が終了した通知(制御プログラム230の実行終了通知)があれば、マイクロプロセッサ100における実行対象は、制御プログラム230からシステムプログラム210へ戻る。
【0180】
その後、制御プログラム実行終了通知を受けると(ステップS230においてYES)、マイクロプロセッサ100は、第1出力コピー命令を実行するとともに、第2出力コピー命令を実行する(ステップS232)。第1出力コピー命令の実行により、マイクロプロセッサ100は、出力データをメインメモリ104上の演算バッファ1043から第1転送バッファ1044にコピーする。また、第2出力コピー命令の実行により、マイクロプロセッサ100は、出力データをメインメモリ104上の演算バッファ1043から第2転送バッファ1045にコピーする。
【0181】
少なくとも第1出力コピー命令の実行が完了すると、マイクロプロセッサ100は、第1出力転送命令を実行する。また、少なくとも第2出力コピー命令の実行が完了すると、マイクロプロセッサ100は、第2出力転送命令を実行する(ステップS234)。そして、マイクロプロセッサ100は、通信回路からの送信完了通知を待つ(ステップS236)。ステップS234において、第1出力転送命令を実行する時刻がA1、第2出力転送命令を実行する時刻がA2である。
【0182】
第1出力転送命令の実行により、第1通信回路(PLCシステムバスコントローラ120)に対して出力転送開始が指示される。また、第2出力転送命令の実行により、第2通信回路(フィールドネットワークコントローラ140)に対して出力転送開始が指示される。そして、第1通信回路および第2通信回路は、それぞれ、転送バッファ1044および1045から通信回路バッファ126および146へ出力データを転送(コピー)し、第1機器および第2機器に対して送信処理を行う。第1通信回路および第2通信回路は、この一連の処理が完了すると、それぞれ送信完了通知を発行する。
【0183】
通信回路からの第1送信完了通知および第2送信完了通信のいずれをも受信すると、マイクロプロセッサ100は、その他の処理を実行する(ステップS238)。その他の処理の実行を開始すると、マイクロプロセッサ100は、その他の処理の実行終了通知、または、次の制御サイクル開始割り込みを待つ(ステップS240)。
【0184】
次の制御サイクル開始割り込みを受ける前に、その他の処理の実行終了通知を受けると(ステップS240において「実行終了通知」)、ステップS220以下の処理が再度実行される。これに対して、その他の処理の実行終了通知を受ける前に、次の制御サイクル開始割り込みを受けると(ステップS240において「制御サイクル開始」)、その他の処理の実行は中断され、ステップS222以下の処理が再度実行される。
【0185】
以上のように、本実施の形態に係るマイクロプロセッサ100は、第1出力転送処理および第2出力転送処理の一方が開始されてからその出力転送処理に対応する送信処理が完了するまでの間(図14において、出力転送処理の開始時刻A1(または、A2)から送信処理の終了時刻C1(または、C2))に他方の出力転送処理が開始されるように、または開始され得るように、第1通信回路および第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する(図15におけるステップS234,S236)。
【0186】
また、本実施の形態に係るマイクロプロセッサ100は、第1受信処理および第2受信処理の一方が開始されてからその受信処理に対応する入力転送処理が完了するまでの間(図16において、受信処理の開始時刻D1(または、D2)から入力転送処理の終了時刻G1(または、G2))に他方の受信処理が開始されるように、または開始されうるように、第1通信回路および第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する。
【0187】
実施の形態3によれば、入出力処理を、出力処理と入力処理に分けて実行する場合に、第1出力処理と第2出力処理とを並列に実行すること、および第1入力処理と第2入力処理とを並列に実行することができる。
【0188】
<J.全体処理動作(実施の形態4)>
実施の形態4として、図8に示すシーケンスの入出力処理を具体化した形態について説明する。実施の形態4においては、入出力処理を出力処理と入力処理とに分けて行う場合の例を示す。
【0189】
図16は、本発明の実施の形態4に係るCPUユニット13の動作のシーケンス図である。図17は、図16に示すシーケンス図に対応するフローチャートである。
【0190】
図16を参照して、図8に示すシーケンス中の出力処理は、より具体化された、出力転送処理および送信処理により構成される。また、図8に示すシーケンス中の入力処理は、受信処理および入力転送処理により構成される。マイクロプロセッサ100は、これらの各処理を開始させる命令を実行することにより、通信回路に対し各処理の開始を指示する。通信回路は、各処理の実行を完了すると、マイクロプロセッサ100に対し処理の完了通知を送る。
【0191】
これら各処理は、図9および図14に示すように、制御プログラムの実行を挟んで入力処理と出力処理とを分けて行うタイプのシーケンスを実現する順序で実行するようにしてもよい。
【0192】
図16に示すシーケンスを実現するための具体的なマイクロプロセッサ100で実行されるシステムプログラム210に係る処理としては、図17に示すフローチャートのようになる。
【0193】
図17を参照して、マイクロプロセッサ100は、システムプログラム210における、PLC1の制御動作の実行準備処理を実行する(ステップS1)。続いて、マイクロプロセッサ100は、システムプログラム210における、PLC1の制御動作の実行制御処理を実行する(図5に示すステップS2)。このPLC1の制御動作の実行制御処理の詳細な一例がステップS250〜S278に相当する。
【0194】
まず、マイクロプロセッサ100は、制御サイクル開始割り込みを待つ(ステップS250)。制御サイクル開始割り込みを受けると(ステップS250においてYES)、マイクロプロセッサ100は、第1出力コピー命令を実行するとともに、第2出力コピー命令を実行する(ステップS252)。少なくとも第1出力コピー命令の実行が完了すると、マイクロプロセッサ100は、第1出力転送命令を実行する。また、少なくとも第2出力コピー命令の実行が完了すると、マイクロプロセッサ100は、第2出力転送命令を実行する(ステップS254)。そして、マイクロプロセッサ100は、通信回路からの出力転送完了通知を待つ(ステップS256)。ステップS254において、第1出力転送命令を実行する時刻がA1、第2出力転送命令を実行する時刻がA2である。
【0195】
第1通信回路からの第1出力転送完了通知を受けると、マイクロプロセッサ100は、第1送信命令を実行する。また、第2通信回路からの第2出力転送完了通知を受けると、マイクロプロセッサ100は、第2送信命令を実行する(ステップS258)。そして、マイクロプロセッサ100は、通信回路からの送信完了通知を待つ(ステップS260)。ステップS258において、第1送信命令を実行する時刻がB1、第2送信命令を実行する時刻がB2である。
【0196】
第1送信命令の実行により、第1通信回路(PLCシステムバスコントローラ120)に対して送信開始が指示される。また、第2送信命令の実行により、第2通信回路(フィールドネットワークコントローラ140)に対して送信開始が指示される。そして、第1通信回路および第2通信回路は、それぞれ、第1機器および第2機器に対して送信処理を行う。第1通信回路および第2通信回路は、送信処理が完了すると、それぞれ送信完了通知を発行する。
【0197】
第1通信回路からの第1送信完了通知を受けると、マイクロプロセッサ100は、第1受信命令を実行する。また、第2通信回路からの第2送信完了通知を受けると、マイクロプロセッサ100は、第2受信命令を実行する(ステップS262)。そして、マイクロプロセッサ100は、通信回路からの受信完了通知を待つ(ステップS264)。ステップS262において、第1送信完了通知を受ける時刻がC1、第2送信完了通知を受ける時刻がC2である。
【0198】
第1通信回路からの第1受信完了通知を受けると、マイクロプロセッサ100は、第1入力転送命令を実行する。また、第2通信回路からの第2受信完了通知を受けると、マイクロプロセッサ100は、第2入力転送命令を実行する(ステップS266)。そして、マイクロプロセッサ100は、通信回路からの入力転送完了通知を待つ(ステップS268)。ステップS266において、第1受信完了通知を受ける時刻がE1、第2受信完了通知を受ける時刻がE2である。
【0199】
第1通信回路からの第1入力転送完了通知を受けると、マイクロプロセッサ100は、第1入力コピー命令を実行する。また、第2通信回路からの第2入力転送完了通知を受けると、マイクロプロセッサ100は、第2入力コピー命令を実行する(ステップS270)。第1入力コピー命令の実行および第2入力コピー命令の実行がいずれも完了すると、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム開始命令を実行する(ステップS272)。そして、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム230の実行終了通知を待つ(ステップS274)。
【0200】
制御プログラム230の実行終了通知を受けると(ステップS274においてYES)、マイクロプロセッサ100は、その他の処理を実行する(ステップS276)。その他の処理の実行を開始すると、マイクロプロセッサ100は、その他の処理の実行終了通知、または、次の制御サイクル開始割り込みを待つ(ステップS278)。
【0201】
次の制御サイクル開始割り込みを受ける前に、その他の処理の実行終了通知を受けると(ステップS278において「実行終了通知」)、ステップS250以下の処理が再度実行される。これに対して、その他の処理の実行終了通知を受ける前に、次の制御サイクル開始割り込みを受けると(ステップS278において「制御サイクル開始」)、その他の処理の実行は中断され、ステップS252以下の処理が再度実行される。
【0202】
以上のように、本実施の形態に係るマイクロプロセッサ100は、第1送信処理および第2送信処理の一方が開始されてからその送信処理が完了するまでの間(図16において、送信処理の開始時刻B1(または、B2)から送信処理の終了時刻C1(または、C2))に他方の送信処理が開始されるように、または開始され得るように、第1通信回路および第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する(図17におけるステップS258,S260)。
【0203】
また、本実施の形態に係るマイクロプロセッサ100は、第1受信処理および第2受信処理の一方が開始されてからその受信処理が完了するまでの間(図16において、受信処理の開始時刻D1(または、D2)から受信処理の終了時刻E1(または、E2))に他方の受信処理が開始されるように、または開始されうるように、第1通信回路および第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する(図17におけるステップS262,S264)。
【0204】
実施の形態4によれば、入出力処理を、出力処理と入力処理とに分けて実行する場合に、第1送信処理と第2送信処理とを並列に実行すること、および、第1受信処理と第2受信処理とを並列に実行することができる。
【0205】
なお、上述の説明においては、「第1」系の処理と「第2」系の処理との間で、処理要素の構成が互いに同一である場合について説明した。しかしながら、「第1」系の処理と「第2」系の処理との間で処理要素の構成は互いに異なっていてもよい。たとえば、「第1」系、すなわちPLCシステムバス11による通信については、図16に示すように、出力転送処理、送信処理、受信処理、入力転送処理の各処理ごとに、マイクロプロセッサからの開始指示と通信回路からの処理完了通知を行いながら処理を進め、一方で、「第2」系、すなわちフィールドネットワーク2による通信については、図10に示すように、マイクロプロセッサから出力転送処理の開始指示を与えた後は、通信回路自身が出力転送処理に続く送受信処理、入力転送処理の実行を制御する、のような組み合わせが可能である。この場合は、「第1」系および「第2」系とも、入出力処理を行っている点で共通するので、並列実行の意味は、図6の例に従うことになる。
【0206】
<K.全体処理動作(実施の形態5)>
実施の形態5は、制御プログラムが時分割で複数実行される場合の動作例について説明する。
【0207】
図18は、本発明の実施の形態5に係るCPUユニット13の動作(入力方向)のシーケンス図である。図19は、本発明の実施の形態5に係るCPUユニット13の動作(出力方向)のシーケンス図である。図20は、図18および図19に対応するフローチャートである。
【0208】
図18および図19には、具体例として、実行優先度の高い制御プログラム1と実行優先度の低い制御プログラム2とを実行する場合を示す。このとき、制御プログラム1の実行サイクルは、制御サイクル2周期分(制御サイクル1〜2,3〜4)であり、制御プログラム2の実行サイクルは、制御サイクル4周期分(制御サイクル1〜4)であるとする。
【0209】
また、システムプログラム210は、制御動作の実行準備処理として、制御プログラム1に対応して演算バッファ1を生成し、制御プログラム2に対応して演算バッファ2を生成するものとする。この演算バッファを用いて、実行サイクルに同期させて、入出力データを更新する方式について説明する。
【0210】
図18および図19に示すシーケンス図において、入出力処理については、上述の実施の形態1において説明した処理方式を採用した。但し、本実施の形態においては、制御プログラムの実行サイクルが複数回の制御サイクルに亘るので、各制御プログラムのための実効的な入出力処理は、その制御プログラムの実行サイクルが開始する制御サイクルにおいてのみ行われるものとする。「実効的な入出力処理」とは、出力処理については、制御プログラムの実行によって更新された出力データが機器に送信されることであり、入力処理については、機器から受信された入力データによって演算バッファが更新されることである。
【0211】
実施の形態5においては、入出力処理(出力転送処理、送受信処理、入力転送処理)自体は毎制御サイクルにおいて実行されるものであるが、入出力処理の実効性は、出力コピー処理と入力コピー処理とをどの制御サイクルにおいて行うかによって制御している。
【0212】
入出力処理を毎制御サイクルにおいて実行すると、なんらかの送受信処理が一定周期で行われるので、PLCシステムバス11およびフィールドネットワーク2の動作状況の監視を行うことが容易になるという利点がある。一方、入出力処理を、実効的な入出力処理を行うことができる制御サイクル(制御プログラムの実行サイクルが開始する制御サイクル)においてのみ行うようにしてもよい。これにより、マイクロプロセッサ100、ならびに、PLCシステムバス11およびフィールドネットワーク2についてのリソース消費量を低減できる。
【0213】
また、図18および図19において、制御プログラム2は、入出力処理の時間を使って実行してもよい。たとえば、制御サイクル2において実行開始された制御プログラム2が制御サイクル2内で実行終了しなかった場合に、制御サイクル3においてPLCシステムバスコントローラ120およびフィールドネットワークコントローラ140が入出力処理を行っている時間を使って、制御サイクル2の未実行の部分を実行してもよい。
【0214】
図18および図19に示すシーケンスを実現するための具体的なマイクロプロセッサ100で実行されるシステムプログラム210に係る処理としては、図20に示すフローチャートのようになる。
【0215】
図20を参照して、マイクロプロセッサ100は、システムプログラム210における、PLC1の制御動作の実行準備処理を実行する(ステップS1)。続いて、マイクロプロセッサ100は、システムプログラム210における、PLC1の制御動作の実行制御処理を実行する(図5に示すステップS2)。このPLC1の制御動作の実行制御処理の詳細な一例がステップS300〜S348に相当する。
【0216】
まず、マイクロプロセッサ100は、制御サイクル開始の割り込み信号を待つ(ステップS300)。制御サイクル開始の割り込み信号を受けると(ステップS300においてYES)、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム1の実行サイクルが現在の制御サイクルから開始する場合には、制御プログラム1の実行状態を「実行前」状態に設定した上で、第1出力コピー命令を実行するとともに、第2出力コピー命令を実行する(ステップS302)。第1出力コピー命令の実行により、マイクロプロセッサ100は、演算バッファ1に格納されている出力データを第1転送バッファにコピーする。また、第2出力コピー命令の実行により、マイクロプロセッサ100は、演算バッファ1に格納されている出力データを第2転送バッファにコピーする。
【0217】
続いて、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム2の実行サイクルが現在の制御サイクルから開始する場合には、制御プログラム2の実行状態を「実行前」状態に設定した上で、第1出力コピー命令を実行するとともに、第2出力コピー命令を実行する(ステップS304)。第1出力コピー命令の実行により、マイクロプロセッサ100は、演算バッファ2に格納されている出力データを第1転送バッファにコピーする。また、第2出力コピー命令の実行により、マイクロプロセッサ100は、演算バッファ2に格納されている出力データを第2転送バッファにコピーする。
【0218】
続いて、マイクロプロセッサ100は、第1出力転送命令を実行する(ステップS306)とともに、第2出力転送命令を実行する(ステップS308)。そして、マイクロプロセッサ100は、第1通信回路からの入力転送完了通知および第2通信回路からの入力転送完了通知を待つ(ステップS310)。ここで、第1通信回路からの第1入力転送完了通知を待つ処理と第2通信回路からの第2入力転送完了通知を待つ処理とは独立に行わる。
【0219】
第1出力転送命令の実行により、第1転送バッファに関する出力処理および入力処理が実行される。また、第2出力転送命令の実行により、第2転送バッファに関する出力処理および入力処理が実行される。
【0220】
第1通信回路からの入力転送完了通知または第2通信回路からの入力転送完了通知を受けると、ステップS312の処理が実行される。
【0221】
すなわち、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム1の実行サイクルが現在の制御サイクルから開始する場合には、演算バッファ1に関して、第1通信回路からの入力転送完了通知を受けると第1入力コピー命令を実行するとともに、第2通信回路からの入力転送完了通知を受けると第2入力コピーを実行する。第1入力コピー命令の実行により、マイクロプロセッサ100は、第1転送バッファに格納されている入力データを演算バッファ1にコピーする。また、第2入力コピー命令の実行により、マイクロプロセッサ100は、第2転送バッファに格納されている入力データを演算バッファ1にコピーする。
【0222】
さらに、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム2の実行サイクルが現在の制御サイクルから開始する場合には、演算バッファ2に関して、第1通信回路からの入力転送完了通知を受けると第1入力コピー命令を実行するとともに、第2通信回路からの入力転送完了通知を受けると第2入力コピーを実行する。第1入力コピー命令の実行により、マイクロプロセッサ100は、第1転送バッファに格納されている入力データを演算バッファ2にコピーする。また、第2入力コピー命令の実行により、マイクロプロセッサ100は、第2転送バッファに格納されている入力データを演算バッファ2にコピーする。
【0223】
続いて、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム1の実行状態を判断する(ステップS320)。
【0224】
制御プログラム1が「実行前」状態である場合(ステップS320において「実行前」)には、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム1の実行状態を「実行中」に設定し、制御プログラム1の実行を開始する(ステップS322)。そして、処理はステップS326へ進む。
【0225】
制御プログラム1が「実行中」状態である場合(ステップS320において「実行中」)には、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム1の未実行の部分の実行を開始する(ステップS324)。そして、処理はステップS326へ進む。
【0226】
制御プログラム1が「実行終了」状態である場合(ステップS320において「実行終了」)には、処理はステップS340へ進む。
【0227】
ステップS322またはS334において、制御プログラム1の実行を開始(または、再開)すると、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム1の実行終了通知、または、次の制御サイクル開始の割り込み信号を待つ(ステップS326)。なお、ステップS232またはS234において、制御プログラム1の実行が開始(または、再開)されることで、マイクロプロセッサ100で実行される処理は、システムプログラムによる処理から制御プログラム1による処理に切り替わる。すなわち、制御プログラム1の実行開始から実行終了するまでの間は、マイクロプロセッサ100は、システムプログラムを実行しない。そして、制御プログラム1の実行が終了するまでに次の制御サイクル開始の割り込みがあれば、リアルタイムOS200が、マイクロプロセッサ100での制御プログラム1の実行を中断させ、システムプログラムの実行を再開させる。あるいは、制御プログラム1の実行が終了した通知(制御プログラム1の実行終了通知)があれば、マイクロプロセッサ100における実行対象は、制御プログラム2からシステムプログラムへ戻る。
【0228】
制御プログラム1の実行終了通知を受けると(ステップS336において「実行終了通知」)、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム1の実行状態を「実行終了」に設定する(ステップS328)。そして、処理はステップS340へ進む。
【0229】
一方、制御プログラム1の実行終了通知までに次の制御サイクル開始の割り込みを受けると(ステップS336において「制御サイクル開始」)、マイクロプロセッサ100で実行中の制御プログラム1は中断され、マイクロプロセッサ100は、ステップS302以下の処理を再度実行する。
【0230】
ステップS340において、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム2の実行状態を判断する(ステップS340)。
【0231】
制御プログラム2が「実行前」状態である場合(ステップS340において「実行前」)には、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム2の実行状態を「実行中」に設定し、制御プログラム2の実行を開始する(ステップS342)。そして、処理はステップS346へ進む。
【0232】
制御プログラム2が「実行中」状態である場合(ステップS340において「実行中」)には、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム2の未実行の部分の実行を開始する(ステップS344)。そして、処理はステップS346へ進む。
【0233】
制御プログラム2が「実行終了」状態である場合(ステップS340において「実行終了」)には、処理はステップS300へ進む。
【0234】
ステップS342またはS344において、制御プログラム2の実行を開始(または、再開)すると、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム2の実行終了通知、または、次の制御サイクル開始の割り込み信号を待つ(ステップS346)。
【0235】
制御プログラム2の実行終了通知を受けると(ステップS346において「実行終了通知」)、マイクロプロセッサ100は、制御プログラム2の実行状態を「実行終了」に設定する(ステップS348)。そして、処理はステップS300へ進む。
【0236】
一方、制御プログラム2の実行終了通知までに次の制御サイクル開始の割り込みを受けると(ステップS346において「制御サイクル開始」)、マイクロプロセッサ100で実行中の制御プログラム2は中断され、マイクロプロセッサ100は、ステップS302以下の処理を再度実行する。
【0237】
実施の形態5によれば、実効的な入出力処理のタイミングを制御プログラムの実行サイクルに同期させることができる。
【0238】
実施の形態5では、制御プログラム1、2のそれぞれがPLCシステムバス11およびフィールドネットワーク2の両方を介する入出力処理を利用するが、1つの制御プログラムはPLCシステムバス11およびフィールドネットワーク2の一方のみを介する入出力処理を利用する場合もあり得る。たとえば、制御プログラム1は、第1出力データおよび第1入力データについてPLCシステムバス11のみを介する入出力処理を利用し、制御プログラム2は、第2出力データおよび第2入力データについてフィールドネットワーク2のみを介する入出力処理を利用する場合があり得る。この場合には、制御プログラム1は、第1入力データを使用して第1出力データを生成し、制御プログラム2は、第2入力データを使用して第2出力データを生成する。また、この場合には、PLCシステムバス11を介する入出力処理とフィールドネットワーク2を介する入出力処理との間で実効的な入出力処理の周期が異なることになる。
【0239】
なお、実施の形態5の変形として、図7に示すように、入力コピー処理を行うタイミングを制御プログラム実行の直前とし、出力コピー処理を行うタイミングを制御プログラム実行の直後としてもよい。このような構成を採用すると、実効的な入出力のタイミングが制御プログラムの実行サイクルと同期しなくなる場合があるが、制御プログラムは、より最新の入力データを使用し、制御プログラムの実行終了後に出力データをより早く機器に送信できる場合がある。
【0240】
たとえば、図18および図19に示す制御サイクル2において実行される制御プログラム2は、制御サイクル2において入力された入力データを使用し、その制御プログラム2が生成した出力データは、制御サイクル3において出力されることになる。
【0241】
<L.サポート装置>
次に、PLC1で実行されるプログラムの作成およびPLC1のメンテナンスなどを行うためのPLCサポート装置8について説明する。
【0242】
図21は、本発明の実施の形態に係るCPUユニットに接続して用いられるPLCサポート装置8のハードウェア構成を示す模式図である。図21を参照して、PLCサポート装置8は、典型的には、汎用のコンピュータで構成される。なお、メンテナンス性の観点からは、可搬性に優れたノート型のパーソナルコンピュータが好ましい。
【0243】
図21を参照して、PLCサポート装置8は、OSを含む各種プログラムを実行するCPU81と、BIOSや各種データを格納するROM(Read Only Memory)82と、CPU81でのプログラムの実行に必要なデータを格納するための作業領域を提供するメモリRAM83と、CPU81で実行されるプログラムなどを不揮発的に格納するハードディスク(HDD)84とを含む。
【0244】
PLCサポート装置8は、さらに、ユーザからの操作を受付けるキーボード85およびマウス86と、情報をユーザに提示するためのモニタ87とを含む。さらに、PLCサポート装置8は、PLC1(CPUユニット13)などと通信するための通信インターフェイス(IF)89を含む。
【0245】
後述するように、PLCサポート装置8で実行される各種プログラムは、CD−ROM9に格納されて流通する。このCD−ROM9に格納されたプログラムは、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)ドライブ88によって読取られ、ハードディスク(HDD)84などへ格納される。あるいは、上位のホストコンピュータなどからネットワークを通じてプログラムをダウンロードするように構成してもよい。
【0246】
上述したように、PLCサポート装置8は、汎用的なコンピュータを用いて実現されるので、これ以上の詳細な説明は行わない。
【0247】
図22は、本発明の実施の形態に係るCPUユニットに接続して用いられるPLCサポート装置8のソフトウェア構成を示す模式図である。図22を参照して、PLCサポート装置8ではOS310が実行され、PLCサポートプログラム320に含まれる各種のプログラムを実行可能な環境が提供される。
【0248】
PLCサポートプログラム320は、エディタプログラム321と、コンパイラプログラム322と、デバッガプログラム323と、シミュレーション用シーケンス命令演算プログラム324と、シミュレーション用モーション演算プログラム325と、通信プログラム326とを含む。PLCサポートプログラム320に含まれるそれぞれのプログラムは、典型的には、CD−ROM9に格納された状態で流通して、PLCサポート装置8にインストールされる。
【0249】
エディタプログラム321は、ユーザプログラム236を作成するための入力および編集といった機能を提供する。より具体的には、エディタプログラム321は、ユーザがキーボード85やマウス86を操作してユーザプログラム236のソースプログラム330を作成する機能に加えて、作成したソースプログラム330の保存機能および編集機能を提供する。また、エディタプログラム321は、外部からのソースプログラム330の入力を受付ける。
【0250】
コンパイラプログラム322は、ソースプログラム330をコンパイルして、CPUユニット13のマイクロプロセッサ100で実行可能なオブジェクトプログラム形式のユーザプログラム236を生成する機能を提供する。また、コンパイラプログラム322は、ソースプログラム330をコンパイルして、PLCサポート装置8のCPU81で実行可能なオブジェクトプログラム形式のユーザプログラム340を生成する機能を提供する。このユーザプログラム340は、PLCサポート装置8によってPLC1の動作をシミュレート(模擬)するために使用される、シミュレーション用のオブジェクトプログラムである。
【0251】
デバッガプログラム323は、ユーザプログラムのソースプログラムに対してデバッグを行うための機能を提供する。このデバッグの内容としては、ソースプログラムのうちユーザが指定した範囲を部分的に実行する、ソースプログラムの実行中における変数値の時間的な変化を追跡する、といった動作を含む。
【0252】
デバッガプログラム323は、さらに、シミュレーション用のオブジェクトプログラムであるユーザプログラム340を実行する機能を提供する。このシミュレーション時には、CPUユニット13のシステムプログラムに含まれるシーケンス命令演算プログラム232およびモーション演算プログラム234に代えて、PLCサポートプログラム320に含まれるシミュレーション用シーケンス命令演算プログラム324およびシミュレーション用モーション演算プログラム325が用いられる。
【0253】
通信プログラム326は、PLC1のCPUユニット13へユーザプログラム236を転送する機能を提供する。
【0254】
一般的には、PLC1に実装されるシステムプログラム210は、CPUユニット13の製造段階でCPUユニット13の不揮発性メモリ106へ格納される。但し、CD−ROM9にシステムプログラム210を格納しておけば、ユーザは、CD−ROM9のシステムプログラム210をPLCサポート装置8へコピーし、通信プログラム326が提供する機能を利用してコピーしたシステムプログラム210をCPUユニット13へ転送することもできる。さらに、CD−ROM9に、PLC1のCPUユニット13で実行されるリアルタイムOS200を格納しておけば、リアルタイムOS200についてもユーザ操作によってPLC1へ再インストールできる。
【0255】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0256】
1 PLC、2 フィールドネットワーク、3 サーボモータドライバ、4 サーボモータ、5 リモートIOターミナル、6 検出スイッチ、7 リレー、8 PLCサポート装置、9 CD−ROM、10 接続ケーブル、11 PLCシステムバス、12 電源ユニット、13 CPUユニット、14,53 IOOユニット、15 特殊ユニット、51 ターミナルバス、52 通信カプラ、81 CPU、83 RAM、85 キーボード、86 マウス、87 モニタ、88 CD−ROMドライブ、100 マイクロプロセッサ、102 チップセット、104 メインメモリ、106 不揮発性メモリ、108 システムタイマ、110 USBコネクタ、120 PLCシステムバスコントローラ、122,142 DMA制御回路、124 PLCシステムバス通信制御回路、126 第1通信回路バッファ、130 コネクタ、140 フィールドネットワークコントローラ、144 フィールドネットワーク通信制御回路、146 第2通信回路バッファ、200 リアルタイムOS、210 システムプログラム、212 スケジューラプログラム、214 出力処理プログラム、216 入力処理プログラム、218 IO処理プログラム、220 その他のシステムプログラム、230 制御プログラム、232 シーケンス命令演算プログラム、234 モーション演算プログラム、236,340 ユーザプログラム、320 サポートプログラム、321 エディタプログラム、322 コンパイラプログラム、323 デバッガプログラム、324 シミュレーション用シーケンス命令演算プログラム、325 シミュレーション用モーション演算プログラム、326 通信プログラム、330 ソースプログラム、1041 プログラム領域、1042 制御プログラムの作業領域、1043 演算バッファ、1044 第1転送バッファ、1045 第2転送バッファ、SYS PLCシステム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象を制御するPLCのCPUユニットであって、
マイクロプロセッサと、
前記マイクロプロセッサのメインメモリを含む記憶手段と、
PLCシステムバスによって第1出力データの送信および第1入力データの受信を行う第1通信回路と、
フィールドネットワークによって第2出力データの送信および第2入力データの受信を行う第2通信回路とを備え、
前記PLCのCPUユニットは、前記第1出力データおよび前記第2出力データの送信と、前記第1入力データおよび前記第2入力データの受信と、前記第1入力データおよび前記第2入力データを使用して前記第1出力データおよび前記第2出力データを生成する制御プログラムの実行とを繰り返すことによって前記制御対象を制御するように構成されており、
前記記憶手段は、前記制御プログラムと、システムプログラムとの格納に用いられ、
前記マイクロプロセッサは、前記記憶手段に格納された前記システムプログラムおよび前記制御プログラムを実行し、
前記システムプログラムは、前記メインメモリ上に、前記制御プログラムの実行に伴い前記第1入力データおよび前記第2入力データが読み出されるとともに前記第1出力データおよび前記第2出力データが書き込まれる演算バッファと、前記PLCシステムバスによって送信される第1出力データおよび受信された第1入力データを格納する第1転送バッファと、前記フィールドネットワークによって送信される第2出力データおよび受信された第2入力データを格納する第2転送バッファとを生成する命令を含み、
前記システムプログラムは、さらに、前記制御プログラムの実行を制御する命令と、前記第1入力データ、前記第2入力データ、前記第1出力データおよび前記第2出力データの入出力を制御する命令とを含み、
前記マイクロプロセッサは、前記システムプログラムを実行することにより、
前記第1出力データを前記演算バッファから前記第1転送バッファにコピーするとともに前記第2出力データを前記演算バッファから前記第2転送バッファにコピーする出力コピー処理と、
前記第1入力データを前記第1転送バッファから前記演算バッファにコピーするとともに前記第2入力データを前記第2転送バッファから前記演算バッファにコピーする入力コピー処理との実行を制御し、
前記マイクロプロセッサは、前記システムプログラムを実行することにより、
前記第1出力データを前記第1転送バッファから前記第1通信回路を経て前記PLCシステムバス上の第1機器に出力する処理と、前記第1入力データを前記第1機器から前記第1通信回路を経て前記第1転送バッファに入力する処理とを含む第1入出力処理と、
前記第2出力データを前記第2転送バッファから前記第2通信回路を経て前記フィールドネットワーク上の第2機器に出力する処理と、前記第2入力データを前記第2機器から前記第2通信回路を経て前記第2転送バッファに入力する処理とを含む第2入出力処理と、
が並列に実行されるように、前記第1通信回路および前記第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する、PLCのCPUユニット。
【請求項2】
前記第1通信回路は、第1通信回路バッファを含み、
前記第2通信回路は、第2通信回路バッファを含み、
前記第1入出力処理は、
前記第1出力データを前記第1転送バッファから前記第1通信回路バッファに転送する第1出力転送処理と、
前記第1出力データを前記第1通信回路バッファから前記第1機器に送信する第1送信処理と、
前記第1入力データを前記第1機器から前記第1通信回路バッファに受信する第1受信処理と、
前記第1入力データを前記第1通信回路バッファから前記第1転送バッファに転送する第1入力転送処理とを含み、
前記第2入出力処理は、
前記第2出力データを前記第2転送バッファから前記第2通信回路バッファに転送する第2出力転送処理と、
前記第2出力データを前記第2通信回路バッファから前記第2機器に送信する第2送信処理と、
前記第2入力データを前記第2機器から前記第2通信回路バッファに受信する第2受信処理と、
前記第2入力データを前記第2通信回路バッファから前記第2転送バッファに転送する第2入力転送処理とを含む、請求項1に記載のPLCのCPUユニット。
【請求項3】
前記マイクロプロセッサは、前記システムプログラムを実行することにより、前記第1出力転送処理および前記第2出力転送処理の一方が開始されてからその出力転送処理に対応する入力転送処理が完了するまでの間に他方の出力転送処理が開始されるように、前記第1通信回路および前記第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する、請求項2に記載のPLCのCPUユニット。
【請求項4】
前記マイクロプロセッサは、前記システムプログラムを実行することにより、前記第1送信処理および前記第1受信処理である第1送受信処理、ならびに、前記第2送信処理および前記第2受信処理である第2送受信処理、の一方が開始されてからその送受信処理が完了するまでの間に他方の送受信処理が開始されるように、前記第1通信回路および前記第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する、請求項2に記載のPLCのCPUユニット。
【請求項5】
前記第1入出力処理は、
前記第1出力データを前記第1転送バッファから前記第1機器に出力する第1出力処理と、
前記第1入力データを前記第1機器から前記第1転送バッファに入力する第1入力処理とを含み、
前記第2入出力処理は、
前記第2出力データを前記第2転送バッファから前記第2機器に出力する第2出力処理と、
前記第2入力データを前記第2機器から前記第2転送バッファに入力する第2入力処理とを含み、
前記マイクロプロセッサは、前記システムプログラムを実行することにより、前記第1出力処理と前記第2出力処理との並列実行、および、前記第1入力処理と前記第2入力処理との並列実行、のうちの少なくとも一方が行われるように制御する、請求項1に記載のPLCのCPUユニット。
【請求項6】
前記マイクロプロセッサは、前記システムプログラムを実行することにより、前記第1出力転送処理および前記第2出力転送処理の一方が開始されてからその出力転送処理に対応する送信処理が完了するまでの間に他方の出力転送処理が開始されるように、前記第1通信回路および前記第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する、請求項2に記載のPLCのCPUユニット。
【請求項7】
前記マイクロプロセッサは、前記システムプログラムを実行することにより、前記第1送信処理および前記第2送信処理の一方が開始されてからその送信処理が完了するまでの間に他方の送信処理が開始されるように、前記第1通信回路および前記第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する、請求項2に記載のPLCのCPUユニット。
【請求項8】
前記マイクロプロセッサは、前記システムプログラムを実行することにより、前記第1受信処理および前記第2受信処理の一方が開始されてからその受信処理に対応する入力転送処理が完了するまでの間に他方の受信処理が開始されるように、前記第1通信回路および前記第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する、請求項2に記載のPLCのCPUユニット。
【請求項9】
前記マイクロプロセッサは、前記システムプログラムを実行することにより、前記第1受信処理および前記第2受信処理の一方が開始されてからその受信処理が完了するまでの間に他方の受信処理が開始されるように、前記第1通信回路および前記第2通信回路のうちの少なくとも一方を制御する、請求項2に記載のPLCのCPUユニット。
【請求項10】
マイクロプロセッサと、前記マイクロプロセッサのメインメモリを含む記憶手段と、PLCシステムバスによって第1出力データの送信および第1入力データの受信を行う第1通信回路と、フィールドネットワークによって第2出力データの送信および第2入力データの受信を行う第2通信回路とを備え、前記第1出力データおよび前記第2出力データの送信と、前記第1入力データおよび前記第2入力データの受信と、前記第1入力データおよび前記第2入力データを使用して前記第1出力データおよび前記第2出力データを生成する、前記記憶手段に格納される制御プログラムの実行とを繰り返すことによって制御対象を制御するPLCのCPUユニットにおいて、前記記憶手段に格納されて前記マイクロプロセッサによって実行されるためのPLC用のシステムプログラムであって、
前記システムプログラムは、制御動作の実行準備命令として、前記メインメモリ上に、前記制御プログラムの実行に伴い前記第1入力データおよび前記第2入力データが読み出されるとともに前記第1出力データおよび前記第2出力データが書き込まれる演算バッファと、前記PLCシステムバスによって送信される第1出力データおよび受信された第1入力データを格納する第1転送バッファと、前記フィールドネットワークによって送信される第2出力データおよび受信された第2入力データを格納する第2転送バッファとを生成する命令を含み、
前記システムプログラムは、制御動作の実行制御命令として、
前記制御プログラムの実行を開始させる制御プログラム開始命令と、
前記第1出力データを前記演算バッファから前記第1転送バッファにコピーするための第1出力コピー命令と、
前記第2出力データを前記演算バッファから前記第2転送バッファにコピーするための第2出力コピー命令と、
前記第1入力データを前記第1転送バッファから前記演算バッファにコピーするための第1入力コピー命令と、
前記第2入力データを前記第2転送バッファから前記演算バッファにコピーするための第2入力コピー命令と、
前記第1通信回路を制御するための第1入出力制御命令および前記第2通信回路を制御するための第2入出力制御命令のうちの少なくとも一方の入出力制御命令であって、前記第1出力データを前記第1転送バッファから前記第1通信回路を経て前記PLCシステムバス上の第1機器に出力する処理と、前記第1入力データを前記第1機器から前記第1通信回路を経て前記第1転送バッファに入力する処理とを含む第1入出力処理と、前記第2出力データを前記第2転送バッファから前記第2通信回路を経て前記フィールドネットワーク上の第2機器に出力する処理と、前記第2入力データを前記第2機器から前記第2通信回路を経て前記第2転送バッファに入力する処理とを含む第2入出力処理とが並列に実行されるようにするための入出力制御命令とを含む、PLC用のシステムプログラム。
【請求項11】
前記第1通信回路は、第1通信回路バッファを含み、
前記第2通信回路は、第2通信回路バッファを含み、
前記第1入出力処理は、
前記第1出力データを前記第1転送バッファから前記第1通信回路バッファに転送する第1出力転送処理と、
前記第1出力データを前記第1通信回路バッファから前記第1機器に送信する第1送信処理と、
前記第1入力データを前記第1機器から前記第1通信回路バッファに受信する第1受信処理と、
前記第1入力データを前記第1通信回路バッファから前記第1転送バッファに転送する第1入力転送処理とを含み、
前記第2入出力処理は、
前記第2出力データを前記第2転送バッファから前記第2通信回路バッファに転送する第2出力転送処理と、
前記第2出力データを前記第2通信回路バッファから前記第2機器に送信する第2送信処理と、
前記第2入力データを前記第2機器から前記第2通信回路バッファに受信する第2受信処理と、
前記第2入力データを前記第2通信回路バッファから前記第2転送バッファに転送する第2入力転送処理とを含み、
前記第1入出力制御命令は、前記第1出力転送処理を開始させる第1出力転送命令、前記第1送信処理を開始させる第1送信命令、前記第1受信処理を開始させる第1受信命令、前記第1送信処理および前記第1受信処理を開始させる第1送受信命令、前記第1入力転送処理を開始させる第1入力転送命令のうちのいずれかの命令を含み、
前記第2入出力制御命令は、前記第2出力転送処理を開始させる第2出力転送命令、前記第2送信処理を開始させる第2送信命令、前記第2受信処理を開始させる第2受信命令、前記第2送信処理および前記第2受信処理を開始させる第2送受信命令、前記第2入力転送処理を開始させる第2入力転送命令のうちのいずれかの命令を含む、請求項10に記載のPLC用のシステムプログラム。
【請求項12】
前記第1出力転送命令および前記第2出力転送命令を含み、そのうちの一方の出力転送命令が実行されてからそれによって開始される出力転送処理に対応する入力転送処理が完了するまでの間に他方の出力転送命令が実行されるようにプログラムされている、請求項11に記載のPLC用のシステムプログラム。
【請求項13】
前記第1送受信命令および前記第2送受信命令を含み、そのうちの一方の送受信命令が実行されてからそれによって開始される送受信処理が完了するまでの間に他方の送受信命令が実行されるようにプログラムされている、請求項11に記載のPLC用のシステムプログラム。
【請求項14】
前記第1入出力処理は、
前記第1出力データを前記第1転送バッファから前記第1機器に出力する第1出力処理と、
前記第1入力データを前記第1機器から前記第1転送バッファに入力する第1入力処理とを含み、
前記第2入出力処理は、
前記第2出力データを前記第2転送バッファから前記第2機器に出力する第2出力処理と、
前記第2入力データを前記第2機器から前記第2転送バッファに入力する第2入力処理とを含み、
前記第1入出力制御命令は、前記第1出力処理を開始させる第1出力命令および前記第1入力処理を開始させる第1入力命令を含み、
前記第2入出力制御命令は、前記第2出力処理を開始させる第2出力命令および前記第2入力処理を開始させる第2入力命令を含み、
前記第1出力命令および前記第2出力命令の実行による前記第1出力処理と前記第2出力処理との並列実行、ならびに、前記第1入力命令および前記第2入力命令の実行による前記第1入力処理と前記第2入力処理との並列実行、のうちの少なくとも一方が行われるようにプログラムされている、請求項10に記載のPLC用のシステムプログラム。
【請求項15】
前記第1出力転送命令および前記第2出力転送命令を含み、そのうちの一方の出力転送命令を実行してからそれによって開始される出力転送処理に対応する送信処理が完了するまでの間に他方の出力転送命令が実行されるようにプログラムされている、請求項11に記載のPLC用のシステムプログラム。
【請求項16】
前記第1送信命令および前記第2送信命令を含み、そのうちの一方の送信命令を実行してからそれによって開始される送信処理が完了するまでの間に他方の送信命令が実行されるようにプログラムされている、請求項11に記載のPLC用のシステムプログラム。
【請求項17】
前記第1受信命令および前記第2受信命令を含み、そのうちの一方の受信命令を実行してからそれによって開始される受信処理に対応する入力転送処理が完了するまでの間に他方の受信命令が実行されるようにプログラムされている、請求項11に記載のPLC用のシステムプログラム。
【請求項18】
前記第1受信命令および前記第2受信命令を含み、そのうちの一方の受信命令を実行してからそれによって開始される受信処理が完了するまでの間に他方の受信命令が実行されるようにプログラムされている、請求項11に記載のPLC用のシステムプログラム。
【請求項19】
マイクロプロセッサと、前記マイクロプロセッサのメインメモリを含む記憶手段と、PLCシステムバスによって第1出力データの送信および第1入力データの受信を行う第1通信回路と、フィールドネットワークによって第2出力データの送信および第2入力データの受信を行う第2通信回路とを備え、前記第1出力データおよび前記第2出力データの送信と、前記第1入力データおよび前記第2入力データの受信と、前記第1入力データおよび前記第2入力データを使用して前記第1出力データおよび前記第2出力データを生成する、前記記憶手段に格納される制御プログラムの実行とを繰り返すことによって制御対象を制御するPLCのCPUユニットにおいて、前記記憶手段に格納されて前記マイクロプロセッサによって実行されるためのPLC用のシステムプログラムを格納した記録媒体であって、
前記システムプログラムは、制御動作の実行準備命令として、前記メインメモリ上に、前記制御プログラムの実行に伴い前記第1入力データおよび前記第2入力データが読み出されるとともに前記第1出力データおよび前記第2出力データが書き込まれる演算バッファと、前記PLCシステムバスによって送信される第1出力データおよび受信された第1入力データを格納する第1転送バッファと、前記フィールドネットワークによって送信される第2出力データおよび受信された第2入力データを格納する第2転送バッファとを生成する命令を含み、
前記システムプログラムは、制御動作の実行制御命令として、
前記制御プログラムの実行を開始させる制御プログラム開始命令と、
前記第1出力データを前記演算バッファから前記第1転送バッファにコピーするための第1出力コピー命令と、
前記第2出力データを前記演算バッファから前記第2転送バッファにコピーするための第2出力コピー命令と、
前記第1入力データを前記第1転送バッファから前記演算バッファにコピーするための第1入力コピー命令と、
前記第2入力データを前記第2転送バッファから前記演算バッファにコピーするための第2入力コピー命令と、
前記第1通信回路を制御するための第1入出力制御命令および前記第2通信回路を制御するための第2入出力制御命令のうちの少なくとも一方の入出力制御命令であって、前記第1出力データを前記第1転送バッファから前記第1通信回路を経て前記PLCシステムバス上の第1機器に出力する処理と、前記第1入力データを前記第1機器から前記第1通信回路を経て前記第1転送バッファに入力する処理とを含む第1入出力処理と、前記第2出力データを前記第2転送バッファから前記第2通信回路を経て前記フィールドネットワーク上の第2機器に出力する処理と、前記第2入力データを前記第2機器から前記第2通信回路を経て前記第2転送バッファに入力する処理とを含む第2入出力処理とが並列に実行されるようにするための入出力制御命令とを含む、PLC用のシステムプログラムを格納した記録媒体。
【請求項20】
前記第1通信回路は、第1通信回路バッファを含み、
前記第2通信回路は、第2通信回路バッファを含み、
前記第1入出力処理は、
前記第1出力データを前記第1転送バッファから前記第1通信回路バッファに転送する第1出力転送処理と、
前記第1出力データを前記第1通信回路バッファから前記第1機器に送信する第1送信処理と、
前記第1入力データを前記第1機器から前記第1通信回路バッファに受信する第1受信処理と、
前記第1入力データを前記第1通信回路バッファから前記第1転送バッファに転送する第1入力転送処理とを含み、
前記第2入出力処理は、
前記第2出力データを前記第2転送バッファから前記第2通信回路バッファに転送する第2出力転送処理と、
前記第2出力データを前記第2通信回路バッファから前記第2機器に送信する第2送信処理と、
前記第2入力データを前記第2機器から前記第2通信回路バッファに受信する第2受信処理と、
前記第2入力データを前記第2通信回路バッファから前記第2転送バッファに転送する第2入力転送処理とを含み、
前記第1入出力制御命令は、前記第1出力転送処理を開始させる第1出力転送命令、前記第1送信処理を開始させる第1送信命令、前記第1受信処理を開始させる第1受信命令、前記第1送信処理および前記第1受信処理を開始させる第1送受信命令、前記第1入力転送処理を開始させる第1入力転送命令のうちのいずれかの命令を含み、
前記第2入出力制御命令は、前記第2出力転送処理を開始させる第2出力転送命令、前記第2送信処理を開始させる第2送信命令、前記第2受信処理を開始させる第2受信命令、前記第2送信処理および前記第2受信処理を開始させる第2送受信命令、前記第2入力転送処理を開始させる第2入力転送命令のうちのいずれかの命令を含む、請求項19に記載のPLC用のシステムプログラムを格納した記録媒体。
【請求項21】
前記第1出力転送命令および前記第2出力転送命令を含み、そのうちの一方の出力転送命令が実行されてからそれによって開始される出力転送処理に対応する入力転送処理が完了するまでの間に他方の出力転送命令が実行されるようにプログラムされている、請求項20に記載のPLC用のシステムプログラムを格納した記録媒体。
【請求項22】
前記第1送受信命令および前記第2送受信命令を含み、そのうちの一方の送受信命令が実行されてからそれによって開始される送受信処理が完了するまでの間に他方の送受信命令が実行されるようにプログラムされている、請求項20に記載のPLC用のシステムプログラムを格納した記録媒体。
【請求項23】
前記第1入出力処理は、
前記第1出力データを前記第1転送バッファから前記第1機器に出力する第1出力処理と、
前記第1入力データを前記第1機器から前記第1転送バッファに入力する第1入力処理とを含み、
前記第2入出力処理は、
前記第2出力データを前記第2転送バッファから前記第2機器に出力する第2出力処理と、
前記第2入力データを前記第2機器から前記第2転送バッファに入力する第2入力処理とを含み、
前記第1入出力制御命令は、前記第1出力処理を開始させる第1出力命令および前記第1入力処理を開始させる第1入力命令を含み、
前記第2入出力制御命令は、前記第2出力処理を開始させる第2出力命令および前記第2入力処理を開始させる第2入力命令を含み、
前記第1出力命令および前記第2出力命令の実行による前記第1出力処理と前記第2出力処理との並列実行、ならびに、前記第1入力命令および前記第2入力命令の実行による前記第1入力処理と前記第2入力処理との並列実行、のうちの少なくとも一方が行われるようにプログラムされている、請求項19に記載のPLC用のシステムプログラムを格納した記録媒体。
【請求項24】
前記第1出力転送命令および前記第2出力転送命令を含み、そのうちの一方の出力転送命令を実行してからそれによって開始される出力転送処理に対応する送信処理が完了するまでの間に他方の出力転送命令が実行されるようにプログラムされている、請求項20に記載のPLC用のシステムプログラムを格納した記録媒体。
【請求項25】
前記第1送信命令および前記第2送信命令を含み、そのうちの一方の送信命令を実行してからそれによって開始される送信処理が完了するまでの間に他方の送信命令が実行されるようにプログラムされている、請求項20に記載のPLC用のシステムプログラムを格納した記録媒体。
【請求項26】
前記第1受信命令および前記第2受信命令を含み、そのうちの一方の受信命令を実行してからそれによって開始される受信処理に対応する入力転送処理が完了するまでの間に他方の受信命令が実行されるようにプログラムされている、請求項20に記載のPLC用のシステムプログラムを格納した記録媒体。
【請求項27】
前記第1受信命令および前記第2受信命令を含み、そのうちの一方の受信命令を実行してからそれによって開始される受信処理が完了するまでの間に他方の受信命令が実行されるようにプログラムされている、請求項20に記載のPLC用のシステムプログラムを格納した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−194668(P2012−194668A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56774(P2011−56774)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【特許番号】特許第4877424号(P4877424)
【特許公報発行日】平成24年2月15日(2012.2.15)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】