説明

POSシステム

【課題】POSシステムにおいて生体認証をする際に、POSシステム全体の処理をスムーズに行う。
【解決手段】レジオープンの状態のときに商品登録、精算に係る操作を受け付けるPOS端末と、POS端末の扱者を認証する認証装置とを含むPOSシステムにおいて、POS端末は、扱者番号毎に扱者の生体データを登録生体データとして記憶する記憶手段と、レジオープンの状態にするための操作時に入力された扱者番号に対応する登録生体データを認証装置に送信する送信手段と、認証装置によって読み取られた生体データと登録生体データとが一致する旨の判断結果を認証装置から取得した場合に、レジオープンの状態にする制御手段とを有し、認証装置は、生体データを生体から読み取るとともに、読み取った生体データとPOS端末から取得した登録生体データとが一致するか否かを判断し、判断結果をPOS端末に送信する一致判断手段を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POSシステムに関する。特に、本発明は、POSシステムの操作を行う扱者の確実に行うPOSシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、POS端末の扱者の本人確認のために、POS端末に指紋読取装置を接続し、POS端末のCPUが、指紋読取装置によって読取られた指紋データ(いわゆる、生体データ)と予め登録してある本人の指紋データとが一致するか否かを照合する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−80193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術を適用した場合、本人確認の目的は達せられるものの、POS端末のCPUの負荷が大きくなるという問題がある。昨今、POS端末は、LAN接続、画面表示機器採用によるデータ量の増加、あるいは、顧客管理処理などCPUの負荷は高まっているが、上記技術を適用した場合、POS端末には、指紋データという画像データの一致判断処理もさらに加わるからである。従って、上記技術を適用した場合には、POS端末の動作が一時停止するおそれがあるという問題がある。例えば、夕方の混雑時のように少しでも早く精算処理をすべき時に一時停止してしまうと運用上の影響が少なくない。
【0005】
また、一時的にPOS端末20から離れていた扱者がPOS端末20に戻ってきた場合、一般の操作(商品登録や精算などのチェックアウトに係る操作)を一時的に禁止する状態(以下、「レジオフ状態」という)から、一般の操作を許可する状態(以下、「レジオープン状態」という)に、早く戻したいという要求がある。
【0006】
また、扱者が、登録済みの本人の登録生体データが、どのような生体データであるか(例えば、左右何れの手の何れの指の指紋データであるか)を忘れてしまい、その結果、認証処理を何度もやり直すこととなり、手間取るという問題もある。
【0007】
また、本人であるにも拘らず、生体認証で他人であると誤認する場合もある。POS端末の操作は、パート等により数人で交替する場合が多く、交代の度に誤認が発生すると正しく認証される迄、購入者(客)を待たせてしまうという問題がある。なお、登録済生体データと読取った生体データとの一致判断基準は、100%のデータ一致ではなく、例えば、静脈認証では、貧血状態などの場合、生体データの細部が欠けることや生体自体の経時変化を考慮しているが、一致判断基準をあまり低くすると、他人との判別ができなくなる場合もありえる。
【0008】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、POSシステムにおいて生体認証をする際に、POSシステム全体の処理をスムーズに行うための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記問題を解決するために、本発明の一態様であるPOSシステムは、レジオープンの状態のときに商品登録、精算に係る操作を受け付けるPOS端末と、前記POS端末の扱者を認証する認証装置とを含むPOSシステムにおいて、前記POS端末は、扱者番号毎に扱者の生体データを登録生体データとして記憶する記憶手段と、レジオープンの状態にするための操作時に入力された扱者番号に対応する登録生体データを前記認証装置に送信する送信手段と、前記認証装置によって読み取られた生体データと前記登録生体データとが一致する旨の判断結果を前記認証装置から取得した場合に、レジオープンの状態にする制御手段とを有し、前記認証装置は、生体データを生体から読み取るとともに、読み取った生体データと前記POS端末から取得した登録生体データとが一致するか否かを判断し、判断結果を前記POS端末に送信する一致判断手段を有することを特徴とする。
上記POSシステムによれば、POS端末のCPUは、生体データの一致判断という負荷の大きい処理を行わないため、生体認証を行うPOSシステム全体の処理をスムーズにすることができるようになる。また、生体データの一致判断という専門技術が要求される処理をPOS端末に実装させることなく、POSシステムにおいて生体認証をすることができるようになる。しかも、POS端末は、扱者番号毎の登録生体データを記憶し、入力された扱者番号に応じた登録生体データを認証装置に送信するため、認証対象として複数の扱者が存在する場合であっても問題なく適用することができる。
【0010】
上記POSシステムにおいて、前記POS端末の前記送信手段は、前記登録生体データを送信する際に、前記認証装置に生体データの読取準備を行わせる読取準備命令を送信するようにしてもよい。
上記POSシステムによれば、認証装置に登録生体データを送信する際に、認証装置に読取準備命令を送信するため、認証装置の消費電力を抑えることができる。また、扱者は、認証装置において特段の操作を要せず、単に、生体の所定の位置を認証装置30に位置させるだけで読取を可能にすることができるようになる。
【0011】
上記POSシステムにおいて、前記認証装置は、前記POS端末が商品登録、精算に係る操作が一時的に禁止されているレジオフの状態であるときは、生体データを読取可能な読取準備状態であるようにしてもよい。
上記POSシステムによれば、POS端末がレジオフの状態であるときは、認証装置は読取準備状態であるため、扱者は、レジオフ状態からレジオープン状態に復帰させる際、生体の所定位置を認証装置に位置させるだけでよく、簡便に復帰させることができるようになる。
【0012】
上記POSシステムにおいて、前記POS端末は、読取るべき生体の位置を案内情報として出力する案内手段をさらに有し、前記POS端末の前記記憶手段は、扱者番号毎に生体から読取るべき生体の位置データを記憶し、前記POS端末の前記案内手段は、レジオープンの状態にするための操作時に入力された扱者番号に対応する前記位置データを出力するようにしてもよい。
上記POSシステムによれば、レジオープンの状態にするために扱者が扱者番号を入力した場合、当該扱者番号に対応する生体の位置が表示されるため、扱者は、認証の際に、読み取るべき生体の位置を忘れてしまっていても、読み取るべき生体の位置を確認することができるようになる。従って、認証処理を何度もやり直すことがなくなり、認証に手間取ることがなくなるようになる。
【0013】
上記POSシステムにおいて、前記POS端末の前記記憶手段は、扱者番号毎に、前記認証装置による前記判断のための一致判断基準を記憶し、前記POS端末の前記送信手段は、レジオープンの状態にするための操作時に入力された扱者番号に対応する登録生体データとともに、当該扱者番号に対応する前記一致判断基準を前記認証装置に送信し、前記認証装置の一致判断手段は、前記一致判断基準に基づいて前記判断を実行するようにしてもよい。
上記POSシステムによれば、一致判断基準を扱者毎に管理することができるため、誤認を防止するために一致判断基準を下げる必要がある扱者に限定して一致判断基準を下げればよく、一律に一致判断基準を下げる場合に比べて、一致判断基準を下げる扱者の人数を減らすことができるようになる。即ち、生態的特徴の安定性は個人差があるが、該個人差に応じて一致判断基準を個人毎に柔軟に設定変更することができるようになる。
【0014】
上記POSシステムにおいて、前記POS端末の前記記憶手段は、扱者番号毎に、前記POS端末の各種操作の拒否を規定する拒否データを記憶し、さらに、前記拒否データに応じた基準であって前記認証装置による前記判断のための一致判断基準を記憶し、前記POS端末の前記送信手段は、レジオープンの状態にするための操作時に入力された扱者番号に対応する登録生体データとともに、当該扱者番号に対応する前記拒否データに応じた前記一致判断基準を前記認証装置に送信し、前記認証装置の一致判断手段は、前記拒否データに応じた前記一致判断基準に基づいて前記判断を実行するようにしてもよい。
上記POSシステムによれば、認証装置は、扱者毎の拒否データに応じた一致判断基準に基づいて一致判断を実行するため、扱者の権限に応じた柔軟な認証を実現することができるようになる。例えば、責任の小さい扱者は、責任の大きい扱者に比べ、より誤認しないような一致判断基準を設定するような認証を実現することができるようになる。
【0015】
上記POSシステムにおいて、前記認証装置の一致判断手段は、前記判断が一致しない旨のものであった場合、生体データを再度読み取って一致をさらに判断し、前記POS端末の案内手段は、前記認証装置から一致しない旨の判断結果を取得した場合にエラーを出力するとともに、所定回数連続して前記一致しない旨の判断結果を取得した場合には、扱者番号の入力を要求する案内情報を出力するようにしてもよい。
上記POSシステムによれば、読取位置が適切でないときなどに、素早く一致させることができるようになる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、POSシステムにおいて生体認証をする際に、POSシステム全体の処理をスムーズに行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態によるPOSシステムのシステム構成図の一例である。
【図2】図1のPOS端末のブロック図の一例である。
【図3】図1のPOS端末に記憶されている情報の一例である。
【図4】図1のPOS端末の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】図1のPOS端末に表示される情報の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態によるPOSシステムのシステム構成図である。
【0019】
本発明の実施形態によるPOSシステム1は、飲食店、又は、小売店などに設置される。POSシステム1は、図1に示すように、サーバ10と、複数台のPOS端末20と、複数台の認証装置とが含まれている。
【0020】
サーバ10は、種々のファイルや売上実績を集計管理し、各POS端末20と接続するLANも管理する。なお、サーバ10と各POS端末20との接続は、有線であってもよいし、無線であってもよい。
【0021】
POS端末20は、来店客が買い上げる商品の登録および精算を行うための装置であり、各種の操作キーや表示部などを備えている。例えば、扱者は、POS端末20を用いて、商品のバーコードを読み取って、または、プリセットキーを押下し、商品登録を行い、合計金額の代金精算を行う。
【0022】
認識装置30は、指静脈認識装置である(汎用の市販されているものであってもよい)。認識装置30は、POS端末20と例えばRS232−Cにより接続され、POS端末20からの命令(以下、コマンドともいう)により動作する。例えば、認識装置30は、POS端末20から、生体データの読取準備を行うべき旨のコマンド(以下、「準備コマンド」という)を取得した場合、生体データを読み取るための光源を点灯(発光)させる。
【0023】
図2は、POS端末20のブロック図である。図2において、CPU201は、中央処理装置であり、ROM202に記憶されているプログラム(例えば、図4に示す処理を実行するためのプログラム)を読み出して実行することにより、POS端末20の動作を制御する。また、CPU201は、RAM203に記憶されている種々のデータを読み書きする。ROM202は、プログラムを記憶している読み出し専用メモリである。RAM203は、扱者ファイル、生体ファイルおよび操作権限ファイル、各種のメッセージ(例えば、エラーメッセージ)などを記憶する、随時読み出し書き込みメモリである。
【0024】
表示部204は、スキャナ部(非図示)によりバーコードを読み取った商品の個別の商品名や値段、読み取った全商品のリストや合計金額、買い上げ点数、メニュー画面、各種メッセージなどを表示する。操作部205は、各種操作キーからなる。なお、表示部204および操作部205は、液晶タッチパネルとして実装してもよい。
【0025】
通信部206は、サーバ10との間で行うデータ通信の制御を行う。シリアルI/F207は、認証装置30との間で行うデータ通信の制御を行う。例えば、POS端末20は、シリアルI/F207を介して認証装置30から登録生成データとしての生体データを受信し、通信部206を介して生体データをサーバ10へ送信する。
【0026】
図3は、POS端末20のRAM203に記憶されている情報の一例である。扱者ファイルは、扱者に係るデータ(以下、「扱者データ」という)を記憶するファイルである。扱者データは、例えば、図3(a)に示すように、扱者番号、氏名、売上実績、生体データ番号、生体位置、一致判断基準などの項目(カラム)を含む。
扱者番号は、扱者を識別する識別情報であって、扱者ファイルのキー項目である。
生体データ番号は、生体データを識別する識別情報であって、1または2以上の値を記憶する。例えば、図3(a)の例の扱者ファイルには、扱者番号「2001」に係る生体データ番号として、2つの生体データ番号「001」「002」が、区切符号(カンマ)で区切られて記憶されている。
生体位置は、生体の位置(部位)を示す情報であって、生体データ番号に対応する、1または2以上の値を記憶する。例えば、図3(a)の例の扱者ファイルには、扱者番号「2001」に係る生体位置として、生体データ番号「001」に対応する生体位置「左人指」および生体データ番号「002」に対応する生体位置「右中」が、区切符号(カンマ)で区切られて記憶されている。
一致判断基準は、認証装置30が読み取った生体データと登録生体データとを比較して一致するか否かを判断する際に参照される情報である。例えば、一致判断基準「1」は、上記両データの一致する程度が100%に近い所定の値以上でなければ一致すると判断されない旨を示し、一致判断基準の値が大ければ大きい程、上記両データの一致する程度が小さくても一致すると判定され易くなる。
【0027】
生体ファイルは、例えば、図3(b)に示すように、生体データ番号、登録生体データを記憶するファイルである。
生体データ番号は、上述の如く、生体データを識別する識別情報であって、生体ファイルのキー項目である。登録生体データは、認識装置30で読み取られた生体データであって、登録生体データとして設定されたものである。
以下、生体データの登録手順、即ち、登録生体データの記憶手順について説明する。POS端末20は、メニュー画面から生体ファイルの設定が選択された後、認証装置30から生体データ(登録生体データとなる生体データ)を受信する。POS端末20は、扱者番号、生成データ番号、生体位置とともに、受信した生体データをサーバ10に送信する。サーバ10は、全POS端末20(若しくは、認証装置30から生体データを受信したPOS端末20以外のPOS端末20)に、扱者番号、生体データ番号、生体位置とともに生体データを配信する。これにより、全POS端末20は、同一かつ最新の扱者ファイルおよび生体ファイルを保持することができる。POS端末20が生体データとともにサーバ10に送信する扱者番号および生体位置は、例えば、メニュー画面において入力されたものである。また、POS端末20が生体データとともにサーバ10に送信する生体データ番号は、メニュー画面において扱者番号などが入力されたときに、自動採番されたものである。
なお、認証装置30から生体データを受信したPOS端末20は、自身の記憶する扱者ファイルおよび生体ファイルを更新し、更新後の扱者ファイルおよび生体ファイルをサーバ10に送信し、サーバ10は、更新後の扱者ファイルおよび生体ファイルを配信してもよい。
【0028】
操作権限ファイルは、扱者の操作権限に係るデータ(以下、「操作権限データ」という)を記憶するファイルである。操作権限データは、例えば、図3(c)に示すように、扱者番号、スキャン登録、締めキー、売価変更、ファイル設定の項目を含む。
扱者番号は、上述の如く、扱者を識別する識別情報であって、操作権限ファイルのキー項目である。スキャン登録、締めキー、売価変更およびファイル設定は、それぞれの操作の操作許否を示す情報(許否データとも称する)を記憶する。
図3(c)の例の操作権限ファイルでは、扱者番号が大きい程、操作権限が強く(責任が重く)設定されている。例えば、扱者番号「2001」の扱者はスキャン登録の操作のみが許可され、扱者番号「9001」の扱者はスキャン登録、締めキー、売価変更、ファイル設定の何れの操作も許可される旨の設定がなされている。
【0029】
図4は、POS端末20の動作の一例を示すフローチャートである。図5は、POS端末20に表示される情報の一例である。以下、図4に示すフローチャートを用いてPOS端末20の動作を説明する。本フローチャートは、POS端末20の電源オンにより開始する。なお、本フローチャートの開始時において、POS端末20には、例えば、図3に示す各種ファイルおよび読取のリトライ回数の設定情報等の動作に必要な情報が記憶されているものとする。認証装置30についても同様である。
【0030】
図4において、POS端末20は、レジオープンのための扱者番号を入力するための画面を介して、扱者番号が入力されたか否かを判断する(ステップS1)。POS端末20は、扱者番号が入力されていないと判断した場合(ステップS1:No)、扱者番号が入力されたと判断する迄、ステップS1を繰り返す。
【0031】
POS端末20は、扱者番号が入力されたと判断した場合(ステップS1:Yes)、RAM203に記憶されている扱者ファイルから、入力された扱者番号の扱者データを読み出す(ステップS2)。次いで、POS端末20は、読み出した扱者データに含まれる生体位置を含む認証用案内表示を表示部204に表示する(ステップS3)。例えば、POS端末20は、扱者番号「9001」が入力されたと判断した場合、図3(a)に示す扱者ファイルから、扱者番号「9001」の扱者データを読み出し、読み出した扱者データに含まれる生体位置「右中」を含む、図5に示すような認証用案内表示を表示部204に表示する。
【0032】
次いで、POS端末20は、認証装置30に生体データの読取準備を行わせるコマンド、即ち、準備コマンドを該認証装置30に送信する(ステップS4)。具体的には、POS端末20は、準備コマンドとして、認証装置30に生体データを読み取るための光源を点灯させるコマンドを送信する。これにより、認証装置30は、生体データを読み取るための光源を点灯させる。
【0033】
次いで、POS端末20は、RAM203に記憶されている生体ファイルから、入力された扱者番号に対応する登録生体データを読み出す(ステップS5)。次いで、POS端末20は、ステップS2において読み出した扱者データに含まれる一致判断基準とともに、読み出した登録生体データを認証装置に送信する(ステップS6)。例えば、POS端末20は、扱者番号「9001」が入力された場合、ステップS2において読み出した扱者データに含まれる生体データ番号「351」に対応付けられた登録生体データを読み出し、ステップS2において読み出した扱者データに含まれる一致判断基準「1」とともに認証装置30に送信する。
【0034】
次いで、POS端末20は、ステップS6において認証装置30に送信した登録生体データと認証装置30が読み取った生体データとが一致する旨の判断結果を認証装置30から受信したか否かを判断する(ステップS7)。なお、認証装置30は、ステップS6においてPOS端末20から受信した一致判断基準に基づいて、読み取った生体データとステップS6においてPOS端末20から受信した登録生体データとが一致するか否かを判断し、判断結果をPOS端末20に送信する。
【0035】
POS端末20は、一致する旨の判断結果を認証装置30から受信していないと判断した場合(ステップS7:No)、エラー(例えば、扱者番号の入力からやり直すべき旨のエラー)を表示し(ステップS8)、生体データの読取準備を解除させるコマンド(以下、「準備解除コマンド」という)を該認証装置30に送信する(ステップS9)。具体的には、POS端末20は、準備解除コマンドとして、認証装置30に光源を消灯させるコマンドを送信する。そして、ステップS1に戻る。
【0036】
POS端末20は、一致する旨の判断結果を認証装置30から受信したと判断した場合(ステップS7:Yes)、準備解除コマンドを認証装置30に送信する(ステップS10)。
【0037】
次いで、POS端末20は、一般の操作(商品登録や精算などのチェックアウトに係る操作)を許可する状態、即ち、レジオープン状態に移行する(ステップS11)。レジオープン状態において、POS端末20は、扱者による操作に基づいて、一般の処理(商品登録や精算などのチェックアウトに係る処理)を実行する(ステップS12)。なお、レジオープン状態において操作可能な範囲は、操作権限ファイルに基づくものである。例えば、POS端末20は、扱者番号「9001」が入力された場合、図3(c)に示す操作権限ファイルから、扱者番号「9000〜9999」の操作権限データを読み出し、スキャン登録、締めキー、売価変更、ファイル設定の操作を可能にする。
【0038】
POS端末20は、一般の操作を一時的に禁止する状態、即ち、レジオフ状態に移行させるための操作を受け付けたか否かを判断する(ステップS13)。POS端末20は、レジオフ状態に移行させるための操作を受け付けたと判断した場合(ステップS13:Yes)、レジオフ状態に移行する(ステップS14)。レジオフ状態において、POS端末20は、準備コマンドを認証装置30に送信する(ステップS15)。
【0039】
次いで、POS端末20は、登録生体データと認証装置30が読み取った生体データとが一致する旨の判断結果を認証装置30から受信したか否かを判断する(ステップS16)。
【0040】
POS端末20は、一致する旨の判断結果を認証装置30から受信していないと判断した場合(ステップS16:No)、ステップS16に戻る。POS端末20は、一致する旨の判断結果を認証装置30から受信したと判断した場合(ステップS16:Yes)、ステップS10に戻る。
【0041】
POS端末20は、レジオフ状態に移行させるための操作を受け付けていないと判断した場合(ステップS13:No)、POS端末20による処理を終了させるための操作(以下、「クローズ操作」という)を受け付けたか否かを判断する(ステップS17)。なお、クローズ操作は、例えば、一日の業務終了時などに行われる。
【0042】
POS端末20は、クローズ操作を受け付けていないと判断した場合(ステップS17:No)、ステップS12に戻る。POS端末20は、クローズ操作を受け付けたと判断した場合(ステップS17:Yes)、レジクローズ処理として、レジオープン中の処理実績を確定してレポートを出力し、操作禁止状態に移行する(ステップS18)。例えば、POS端末20は、レジクローズ処理として、レジオープン中の処理実績を確定し、扱者によって在高金額が入力されると、入力された在高金額を含む処理実績をまとめたレポートを出力する。そして、本フローチャートは終了する。
【0043】
以上、説明した実施形態によれば、POSシステム1において生体認証をする際に、POS端末20のCPUは、生体データの一致判断という負荷の大きい処理を行わないため、POSシステム1全体の処理をスムーズに行うことができるようになる。また、生体データの一致判断という専門技術が要求される処理をPOS端末20に実装させることなく、POSシステム1において生体認証をすることができるようになる。しかも、POS端末20は、扱者番号毎の登録生体データを記憶し、入力された扱者番号に応じた登録生体データを認証装置30に送信するため、認証対象として複数の扱者が存在する場合であっても問題なく適用することができる。
【0044】
また、POS端末20は、認証装置30に登録生体データを送信する際に、認証装置30に準備コマンドを送信するため、認証装置30の消費電力を抑えることができる。また、扱者は、認証装置30において特段の操作を要せず、単に、生体の所定の位置を認証装置30に位置させるだけで読取を可能にすることができるようになる。
【0045】
また、図7のフローチャートにおいて、POS端末20は、レジオフ状態に移行し(ステップS14)、次いで準備コマンドを認証装置30に送信するため(ステップS15)、即ち、POS端末20がレジオフの状態であるときは、認証装置30は読取準備状態になるようにしているため、扱者は、レジオフ状態からレジオープン状態に復帰させる際、生体の所定位置を認証装置に位置させるだけでよく、簡便に復帰させることができるようになる。
【0046】
また、POS端末20は、レジオープンの状態にするために扱者が扱者番号を入力した場合、当該扱者番号に対応する生体の位置(部位)が表示されるため、扱者は、認証の際に、読み取るべき生体の位置を忘れてしまっていても、読み取るべき生体の位置を確認することができるようになる。従って、認証処理を何度もやり直すことがなくなり、認証に手間取ることがなくなるようになる。
【0047】
一致判断基準を扱者毎に管理することができるため、誤認を防止するために一致判断基準を下げる必要がある扱者に限定して一致判断基準を下げればよく、一律に一致判断基準を下げる場合に比べて、一致判断基準を下げる扱者の人数を減らすことができるようになる。即ち、生態的特徴の安定性は個人差があるが、該個人差に応じて一致判断基準を個人毎に柔軟に設定変更することができるようになる。
【0048】
なお、上記実施形態においては、POS端末20は、図3(a)に示すように一致判断基準を扱者単位に記憶し、入力された扱者番号に応じた一致判断基準を送信するが、図3(d)に示すように、操作権限データ、即ち、扱者毎の許否データに応じた一致判断基準を記憶し、入力された扱者番号に対応する拒否データに応じた一致判断基準を送信するようにしてもよい。これにより、認証装置30は、扱者毎の拒否データに応じた一致判断基準に基づいて一致判断を実行するため、扱者の権限に応じた柔軟な認証を実現することができるようになる。例えば、責任の小さい扱者は、責任の大きい扱者に比べ、より誤認しないような一致判断基準を設定するような認証を実現することができるようになる。
【0049】
また、上記実施形態では、POS端末20は、認証の都度、一致判断基準を認証装置30に送信するが、POS端末20は、一致判断基準に変更があった場合を除き、一致判断基準を認証の都度、認証装置30に送信しなくてもよい。即ち、認証装置30は、POS端末20から取得した扱者毎の一致判断基準(または、許否データに応じた一致判断基準)を記憶し、記憶した一致判断基準に基づいて一致を判断してもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、認証装置30は、準備コマンドを取得した場合、生体データを読み取るための光源を点灯させたが、準備コマンドを取得した場合、スリープモードからスタンバイモードに移行してもよい。例えば、POS端末20は、認証装置30をスリープモードからスタンバイモードに移行させるコマンドと、生体データを読み取るための光源を点灯させるコマンドをと分けて別々に認証装置30に送信するようにしてもよいし、認証装置30をスリープモードからスタンバイモードに移行させるコマンドを認証装置30に送信し、認証装置30は指の有無を検知して光源を点灯させるようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、図7のフローチャートに示すように、POS端末20の処理フローは、一致する旨の判断結果を認証装置30から受信していないと判断した場合(ステップS7:No)、エラー(例えば、扱者番号の入力からやり直すべき旨のエラー)を表示し(ステップS8)、準備解除コマンドを該認証装置30に送信し(ステップS9)、ステップS1に戻るものであるが、エラー処理の処理フローはこれに限定されない。例えば、POS端末20は、一致しない旨の判断結果を認証装置30から受信したと判断した場合(ステップS7:No)、準備解除コマンドを該認証装置30に送信せずに、位置が正しくない旨のエラーを表示してステップS7に戻る処理を所定回数繰り返し、上記処理を所定回数繰り返した後に、一致しない旨の判断結果を認証装置30から受信したとさらに判断した場合(ステップS7:No)、扱者番号の入力からやり直すべき旨のエラーを表示し(ステップS8)、準備解除コマンドを該認証装置30に送信し(ステップS9)、ステップS1に戻るようにしてもよい。これにより、読取位置が適切でないときなどに、素早く一致させることができるようになる。例えば、本人の場合の認証で生体の位置や角度が不正確である場合には、再度、扱者番号を入力しなくてもよいため、認証処理に係る操作の操作性が向上する。
【0052】
また、上記実施形態では、上述の如く、POS端末20がレジオフの状態であるときは、認証装置30は読取準備状態になるようにしているが、扱者番号の入力後に読取準備状態になるようにしてもよい。例えば、POS端末20は、レジオフ状態に移行し(ステップS14)、ステップS1に戻るようにしてもよい。これにより、一時的にPOS端末20から離れていた扱者以外の扱者の認証をすることができるようになる。但し、一時的にPOS端末20から離れていた扱者の認証を素早く行う場合、本実施形態の方が優れている。
【0053】
また、上記実施形態では、レジオープン操作時に扱者番号を入力しているが、扱者番号の入力を省略してもよい。例えば、POS端末20に扱者番号を入力しなくても、認証装置30が生体データを読み取ることができるようにするとともに、認証装置30が生体データを読み取った場合に、図3に記載の扱者ファイル、生体ファイルなどの一致判断に必要なファイルを参照できるようにし、認証装置30は、読み取った生体データが何れかの登録生体データと、当該登録生体データに対応する一致判断基準に基づいて一致すると判断した場合、当該登録生体データに対応する扱者番号とともに、一致する旨の判断結果をPOS端末20に送信するようにしてもよい。なお、扱者番号の入力なしに、認証装置30が生体データを読み取る方法としては、例えば、扱者がPOS端末20において所定の簡便な操作(例えば、所定のボタン押下)を行った場合にPOS端末20は準備コマンドを認証装置30に送信するようにしてもよいし、扱者が、直接、認証装置30に対して所定の簡便な操作を行った場合に認証装置30は光源を点灯させてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、生体データは指静脈の例を説明したが、指紋、手静脈、虹彩等であってもよい。
【0055】
なお、本実施形態におけるPOSシステム1は、多数の発明を含む。従って、生体認証の一致判断は認証装置30が実行する態様に限定されず、認証装置30(つまり生体データ読取装置といえる)が生体データを読み取ってPOS端末20またはサーバ10に送信し、POS端末20またはサーバ10が一致判断を実行する態様としてもよい。なお、サーバ10が一致判断を実行する場合、サーバ10は、認証に必要な各種情報(図3に示す情報)をPOS端末20から取得してもよいし、サーバ10自身が記憶していてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 POSシステム
20 POS端末
30 認証装置
201 CPU
202 ROM
203 RAM
204 表示部
205 操作部
206 通信部
207 シリアルI/F

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レジオープンの状態のときに商品登録、精算に係る操作を受け付けるPOS端末と、前記POS端末の扱者を認証する認証装置とを含むPOSシステムにおいて、
前記POS端末は、
扱者番号毎に扱者の生体データを登録生体データとして記憶する記憶手段と、
レジオープンの状態にするための操作時に入力された扱者番号に対応する登録生体データを前記認証装置に送信する送信手段と、
前記認証装置によって読み取られた生体データと前記登録生体データとが一致する旨の判断結果を前記認証装置から取得した場合に、レジオープンの状態にする制御手段とを有し、
前記認証装置は、
生体データを生体から読み取るとともに、読み取った生体データと前記POS端末から取得した登録生体データとが一致するか否かを判断し、判断結果を前記POS端末に送信する一致判断手段を有する
ことを特徴とするPOSシステム。
【請求項2】
前記POS端末の前記送信手段は、
前記登録生体データを送信する際に、前記認証装置に生体データの読取準備を行わせる読取準備命令を送信することを特徴とする請求項1に記載のPOSシステム。
【請求項3】
前記認証装置は、
前記POS端末が商品登録、精算に係る操作が一時的に禁止されているレジオフの状態であるときは、生体データを読取可能な読取準備状態であることを特徴とする請求項2に記載のPOSシステム。
【請求項4】
前記POS端末は、
読取るべき生体の位置を案内情報として出力する案内手段をさらに有し、
前記POS端末の前記記憶手段は、
扱者番号毎に生体から読取るべき生体の位置データを記憶し、
前記POS端末の前記案内手段は、
レジオープンの状態にするための操作時に入力された扱者番号に対応する前記位置データを出力することを特徴とする請求項1に記載のPOSシステム。
【請求項5】
前記POS端末の前記記憶手段は、
扱者番号毎に、前記認証装置による前記判断のための一致判断基準を記憶し、
前記POS端末の前記送信手段は、
レジオープンの状態にするための操作時に入力された扱者番号に対応する登録生体データとともに、当該扱者番号に対応する前記一致判断基準を前記認証装置に送信し、
前記認証装置の一致判断手段は、
前記一致判断基準に基づいて前記判断を実行することを特徴とする請求項1に記載のPOSシステム。
【請求項6】
前記POS端末の前記記憶手段は、
扱者番号毎に、前記POS端末の各種操作の拒否を規定する拒否データを記憶し、
さらに、前記拒否データに応じた基準であって前記認証装置による前記判断のための一致判断基準を記憶し、
前記POS端末の前記送信手段は、
レジオープンの状態にするための操作時に入力された扱者番号に対応する登録生体データとともに、当該扱者番号に対応する前記拒否データに応じた前記一致判断基準を前記認証装置に送信し、
前記認証装置の一致判断手段は、
前記拒否データに応じた前記一致判断基準に基づいて前記判断を実行することを特徴とする請求項1に記載のPOSシステム。
【請求項7】
前記認証装置の一致判断手段は、
前記判断が一致しない旨のものであった場合、生体データを再度読み取って一致をさらに判断し、
前記POS端末の案内手段は、
前記認証装置から一致しない旨の判断結果を取得した場合にエラーを出力するとともに、所定回数連続して前記一致しない旨の判断結果を取得した場合には、扱者番号の入力を要求する案内情報を出力することを特徴とする請求項1に記載のPOSシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−118599(P2011−118599A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274589(P2009−274589)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000145068)株式会社寺岡精工 (317)
【Fターム(参考)】