PTC素子の製造方法
【課題】 PTC素子に発生する耐圧不良を抑制することができるPTC素子の製造方法を提供する。
【解決手段】 PTC素子を製造する場合は、まず端子電極3A,3Bを作製すると共に、導電性フィラーとポリエチレン樹脂等とを混錬させてPTC素体2を形成する。続いて、端子電極3A,3BがPTC素体2を挟んで対向するように、PTC素体2及び端子電極3A,3Bを配置する。続いて、加圧治具4A,4Bを用いて端子電極3A,3BをPTC素体2に対して熱プレスすることにより、端子電極3A,3BをPTC素体2の上面及び下面に接合する。具体的には、加圧治具4Aの治具本体5と端子電極3Aとの間、加圧治具4Bの治具本体5と端子電極3Bとの間にそれぞれスペーサ6を介在させる。このとき、スペーサ6をPTC素体2の上面及び下面の縁部に重ならないように配置する。
【解決手段】 PTC素子を製造する場合は、まず端子電極3A,3Bを作製すると共に、導電性フィラーとポリエチレン樹脂等とを混錬させてPTC素体2を形成する。続いて、端子電極3A,3BがPTC素体2を挟んで対向するように、PTC素体2及び端子電極3A,3Bを配置する。続いて、加圧治具4A,4Bを用いて端子電極3A,3BをPTC素体2に対して熱プレスすることにより、端子電極3A,3BをPTC素体2の上面及び下面に接合する。具体的には、加圧治具4Aの治具本体5と端子電極3Aとの間、加圧治具4Bの治具本体5と端子電極3Bとの間にそれぞれスペーサ6を介在させる。このとき、スペーサ6をPTC素体2の上面及び下面の縁部に重ならないように配置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子機器に内蔵された電池や部品等を過電流から保護するためのPTC素子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来におけるPTC素子の製造方法としては、例えば特許文献1に記載されているように、結晶性高分子中に導電性粉末が分散されてなる導電性組成物のシート体を2枚の金属板で挟んだ状態で加熱・加圧(熱プレス)することにより、シート体の表裏面に金属板をそれぞれ貼付することが知られている。
【特許文献1】特開2003−151804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術のように2枚の金属板でシート体(PTC素体)を挟んだ状態で熱プレスを行うと、その時の加圧力によってPTC素体が押し潰されて横に広がる。このようにして得られたPTC素子では、PTC素体の広がった部分において耐圧不良(ショート)が発生していた。
【0004】
本発明の目的は、PTC素子に発生する耐圧不良を抑制することができるPTC素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、PTC素子に耐圧不良が発生する原因について、鋭意追究を重ねた結果、熱プレスによりPTC素体の広がった部分(PTC素体の縁部)に、樹脂が密集している樹脂リッチ部と、導電性フィラーが密集している導電性フィラーリッチ部とが形成されてしまうことを見出した。その原因としては、1対の端子電極をPTC素体に対して加圧したときに、PTC素体の縁部に加圧力が加わると、流動性の良い樹脂成分が優先的に流れ出すためと考えられる。そして、更に追究したところ、樹脂リッチ部と導電性フィラーリッチ部との境界部において耐圧不良が集中しやすくなることが分かった。本発明は、そのような新たな知見に基づいて成されたものである。
【0006】
即ち、本発明は、PTC素体を1対の端子電極で挟んで成るPTC素子の製造方法であって、端子電極を有する電極形成体を1対用意する工程と、樹脂と導電性フィラーとを混錬させてPTC素体を形成する工程と、1対の電極形成体の各端子電極同士がPTC素体を挟んで対向するように、PTC素体及び1対の電極形成体を配置する工程と、第1加圧治具により1対の電極形成体の一方の端子電極をPTC素体に対して加圧すると共に、第2加圧治具により1対の電極形成体の他方の端子電極をPTC素体に対して加圧することにより、端子電極をPTC素体の上面及び下面に接合する工程とを含み、端子電極をPTC素体に接合する工程においては、第1加圧治具及び第2加圧治具の少なくとも一方の加圧面がPTC素体の縁部に重ならないように第1加圧治具及び第2加圧治具を配置した状態で、PTC素体に対する端子電極の加圧を行うことを特徴とするものである。
【0007】
このような本発明においては、第1加圧治具及び第2加圧治具により1対の電極形成体の各端子電極をPTC素体に対して加圧すると、その時の加圧力によって各端子電極がPTC素体の上面及び下面にそれぞれ接合されるようになる。このとき、第1加圧治具及び第2加圧治具は、その少なくとも一方の加圧面がPTC素体の縁部に重ならないように配置される。このため、端子電極の寸法がPTC素体の上面及び下面の寸法に比べて大きく、各端子電極がPTC素体から外側にはみ出るように配置される場合でも、PTC素体の縁部の少なくとも一部には、加圧治具による加圧力が殆ど加わらないようになる。従って、加圧によってPTC素体が押し潰されて横に広がっても、流動性の良い樹脂成分の優先的な流れ出しが起きにくくなる。これにより、PTC素体の縁部には、樹脂リッチ部と導電性フィラーリッチ部との境界が形成されにくくなるので、PTC素子に生じる耐圧不良が抑制される。
【0008】
好ましくは、端子電極をPTC素体に接合する工程においては、第1加圧治具及び第2加圧治具の少なくとも一方として、加圧面が加圧前のPTC素体の上面及び下面よりも小さい加圧治具を用いて、PTC素体に対する端子電極の加圧を行う。
【0009】
この場合には、1対の電極形成体の各端子電極をPTC素体に対して加圧するときに、簡単且つ確実に、加圧治具をPTC素体の縁部に重ならないように配置することが可能となる。
【0010】
また、好ましくは、1対の電極形成体を用意する工程においては、電極形成体として端子電極を複数有するリードフレームを1対形成し、PTC素体及び1対の電極形成体を配置する工程においては、1対のリードフレームの各端子電極同士がPTC素体を挟んで対向するように、PTC素体及び1対のリードフレームを配置し、端子電極をPTC素体に接合する工程においては、第1加圧治具及び第2加圧治具の少なくとも一方として、加圧面の幅が加圧前のPTC素体よりも狭い加圧治具を用いて、PTC素体に対する端子電極の加圧を行い、端子電極をPTC素体に接合する工程を実施した後、リードフレームの各端子電極を切り離すように1対のリードフレームを切断する。
【0011】
この場合には、複数のPTC素子を一括して製造可能となるので、製造工数を削減し、製造コストを抑えることができる。また、加圧前のPTC素体よりも狭い加圧面を有する加圧治具を使用することにより、1対のリードフレームの各端子電極をPTC素体に対して加圧するときに、簡単且つ確実に、加圧治具をPTC素体の縁部に重ならないように配置することが可能となる。
【0012】
第1加圧治具及び第2加圧治具の少なくとも一方として、治具本体と、治具本体と端子電極との間に介在されると共に加圧面を構成する面を有し、治具本体の加圧力を端子電極に伝えるためのスペーサとを有する加圧治具を用いることが好ましい。
【0013】
このように加圧治具の一部品としてスペーサを使用する場合には、加圧治具の加圧面に損傷等があったり、加圧治具の加圧面が劣化しても、安価なスペーサの交換だけで対処可能となる。また、治具本体を平板形状とすることで、加圧治具を容易に製作することができる。従って、耐久性やコストの面で有利となる。
【0014】
また、第1加圧治具及び第2加圧治具の少なくとも一方として、加圧面を構成する突起を有する加圧治具を用いても良い。
【0015】
この場合には、加圧治具の部品点数が最小限に抑えられるだけでなく、端子電極に対する加圧面の位置決めが簡単になる等、加圧治具のセッティング等が容易に行えるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、PTC素子に発生する耐圧不良を抑制することができる。これにより、PTC素子の品質を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係わるPTC素子の製造方法の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
まず、本発明に係わるPTC素子の製造方法の第1実施形態を図1〜図6により説明する。図1は、本発明に係わるPTC素子の製造方法の実施形態により製造されるPTC素子を示す斜視図である。同図において、PTC(Positive Temperature Coefficient)素子1は、復帰式のヒューズ機能を有するポリマーPTC素子であり、例えば携帯電話の電池パック用保護素子として使用される。
【0019】
PTC素子1は、樹脂に導電性フィラーを分散させてなる直方体状のPTC素体2と、このPTC素体2を直接挟んで対向するようにPTC素体2の上面及び下面にそれぞれ接合された板状または箔状の端子電極3A,3Bとを備えている。PTC素体2は、正の抵抗温度特性、つまり温度が上昇すると電気抵抗が増加する特性を有している。樹脂としては、結晶性高分子を使用するのが好ましい。結晶性高分子としては、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられるが、熱硬化性樹脂であっても良い。導電性フィラーとしては、Ni粉等を使用する。
【0020】
端子電極3A,3Bは、PTC素体2の上面全体及び下面全体をそれぞれ覆うように、PTC素体2の中心に対して対称にPTC素体2を挟み込んでいる。端子電極3A,3Bは、NiやNi合金等で形成されている。端子電極3A,3Bの厚みは、例えば100μm程度である。端子電極3A,3Bは、PTC素体を挟んで重なり合うPTC領域Xをそれぞれ有している。
【0021】
図2は、本実施形態におけるPTC素子の製造方法の手順を示すフローチャートである。同図において、上記のPTC素子1を製造する場合には、まず端子電極(電極形成体)3A,3Bを作製する(工程51)。
【0022】
また、Ni粉等の導電性フィラーとポリエチレン樹脂等の結晶性高分子とを用意し、これらを混錬したブロックを形成する。そして、このブロックを円盤状に加熱・加圧(熱プレス)した後、チップサイズにカットすることにより、PTC素体2を得る(工程52)。なお、この状態(後述する加圧前の状態)では、PTC素体2の上面及び下面の形状は、矩形状(ここでは正方形状)となっている。そして、PTC素体2の上面及び下面の一辺長さHは、端子電極3A,3Bの幅寸法Wよりも小さくなっている(図4参照)。
【0023】
続いて、そのようにして得られたPTC素体2及び端子電極3A,3Bを熱プレス機(図示せず)に入れ、図3及び図4に示すように、端子電極3A,3B同士がPTC素体2を挟んで対向するように、PTC素体2及び端子電極3A,3Bを配置する(手順53)。このとき、端子電極3A,3BがPTC素体2の4つの側面から外側にはみ出るように、端子電極3A,3BをPTC素体2に対して配置する。
【0024】
続いて、図3及び図4に示すように、上側加圧治具4A及び下側加圧治具4Bを用いて、端子電極3A,3BをPTC素体2に対して熱プレスすることにより、端子電極3A,3BをPTC素体2の上面及び下面にそれぞれ接合する(手順54)。
【0025】
上側加圧治具4A及び下側加圧治具4Bは、いずれも平板状の治具本体5とスペーサ6とからなっている。治具本体5は、例えばステンレス綱(SUS)等で形成されている。スペーサ6は、例えばステンレス綱や銅、プラスチック、紙等で形成されている。スペーサ6の主面の形状は、矩形状(ここでは正方形状)となっている。そして、スペーサ6の主面の一辺長さSは、PTC素体2の上面及び下面の一辺長さHよりも短くなっている。
【0026】
このような上側加圧治具4A及び下側加圧治具4Bを用いて、端子電極3A,3BをPTC素体2に対して熱プレスするときは、端子電極3Aを上側加圧治具4AとPTC素体2とで挟むと共に端子電極3Bを下側加圧治具4BとPTC素体2とで挟むように、加圧治具4A,4Bを配置する。具体的には、加圧治具4Aの治具本体5と端子電極3Aとの間にスペーサ6を介在させると共に、加圧治具4Bの治具本体5と端子電極3Bとの間にスペーサ6を介在させる。このとき、図4に示すように、各スペーサ6をPTC素体2の上面及び下面の縁部全周にわたって重ならないように配置する。
【0027】
そして、その状態で、上側加圧治具4Aにより端子電極3AをPTC素体2に対して加圧すると共に、下側加圧治具4Bにより端子電極3BをPTC素体2に対して加圧する。すると、図5に示すように、加圧治具4A,4Bの加圧力によってPTC素体2が押し潰されて横に広がるようになる。このとき、各スペーサ6において端子電極3A,3B側の主面6aが、加圧治具4A,4Bの加圧面となる。なお、熱プレスにおける加熱は、加圧と同時に行っても良いし、加圧の前に行っても良い。
【0028】
その後、PTC素体2の縁部が端子電極3A,3Bの側面からはみ出ている場合には、PTC素体2のはみ出し部分をカットする。そして、電子ビームの照射によりPTC素体2に含まれる樹脂の架橋処理を行う(工程55)。これにより、上記のPTC素体2及びリード端子3A,3BからなるPTC素子1が得られる。
【0029】
ところで、PTC素体2を端子電極3A,3Bで挟み込んだ状態で、スペーサ6を使用せずに、治具本体5のみを使用して熱プレスを行うと、以下の問題が生じる。
【0030】
即ち、治具本体5のみにより端子電極3A,3BをPTC素体2に対して加圧すると、図6に示すように、PTC素体2が横に流動膨張するようになる。このとき、流動性の良い樹脂成分が優先的に流れ出すため、加圧前のPTC素体2に相当する素子初期部7の周囲では、樹脂成分が少なくなり、導電性フィラーが密集している導電性フィラーリッチの状態となり、加圧によって素子初期部7から広がった部分(素体流動部)8では、樹脂成分が密集している樹脂リッチの状態となると予測される。このため、導電性フィラーリッチ部と樹脂リッチ部との境界部において耐圧不良(ショート)が発生し、結果的にPTC素子2の耐圧特性が不安定になり、品質上の問題が生じる。
【0031】
これに対し本実施形態では、加圧治具4A,4Bを構成する部品の一つとして、PTC素体2の上面及び下面よりも小さい加圧面6aを有するスペーサ6を用意し、このスペーサ6をPTC素体2の縁部に重ならないように配置した状態で、加圧治具4A,4Bにより端子電極3A,3BをPTC素体2に対して加圧するので、PTC素体2の上面及び下面の縁部には、加圧治具4A,4Bによる加圧力が加わることは殆ど無い。このため、加圧によってPTC素体2が押し潰されて横に広がっても、流動性の良い樹脂成分の優先的な流れ出しが抑制される。従って、結晶性高分子に対する導電性フィラーの分散が均一な状態に維持され、PTC素体2の縁部には樹脂リッチ部と導電性フィラーリッチ部とが形成されにくくなる。これにより、PTC素子1の耐圧不良の発生が抑制され、耐圧特性の安定したPTC素体1を得ることができる。
【0032】
また、スペーサ6に傷が付いたり、スペーサ6が破損した場合には、その安価なスペーサ6だけを交換すれば良く、加圧治具4A,4B全体を交換する必要は無い。また、治具本体5としては既存の加圧治具をそのまま使用できるので、スペーサ6を用意できれば、加圧治具を新たに製作する必要も無い。これにより、加圧治具にかかるコストを増大させなくて済む。
【0033】
なお、上記第1実施形態では、端子電極3A,3BをPTC素体2に対して熱プレスするときに、端子電極3Aの上側及び端子電極3Bの下側にそれぞれスペーサ6を配置するようにしたが、スペーサ6は、図7に示すように、端子電極3Aの上側及び端子電極3Bの下側のいずれか一方のみに配置しても良い。
【0034】
本発明に係わるPTC素子の製造方法の第2実施形態を図8により説明する。図中、第1実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0035】
本実施形態においては、第1実施形態における加圧治具4A,4Bの代わりに、図8に示すような上側加圧治具10A及び下側加圧治具10Bを用いて、端子電極3A,3BをPTC素体2に対して熱プレスする。加圧治具10A,10Bは、それぞれ加圧用の突起11を有している。この突起11の先端面11aは、加圧治具10A,10Bの加圧面を構成している。突起11の先端面11aの形状及び寸法は、例えば第1実施形態におけるスペーサ6の主面の形状及び寸法と同様である。
【0036】
このような加圧治具10A,10Bを用いて、端子電極3A,3BをPTC素体2に対して熱プレスするときには、突起11の先端面(加圧面)11aがPTC素体2の上面及び下面の縁部全周にわたって重ならないように、加圧治具10A,10Bを配置した状態で行う。この場合にも、第1実施形態と同様に、流動性の良い樹脂成分の優先的な流れ出しが抑制されるため、PTC素体2の縁部には樹脂リッチ部と導電性フィラーリッチ部とが形成されにくくなる。これにより、PTC素子1の耐圧不良を抑制することができる。
【0037】
また、加圧治具10A,10Bを使用する場合には、スペーサ6をいちいち用意しなくて済み、PTC素体2に対するスペーサ6の正確な位置決め等も不要となる。
【0038】
なお、上記第2実施形態では、端子電極3Aの上側に加圧治具10Aを配置し、端子電極3Bの下側に加圧治具10Bを配置するようにしたが、端子電極3Aの上側及び端子電極3Bの下側のいずれか一方には、例えば突起の無い平板状の加圧治具(第1実施形態における治具本体5)を配置しても良い。
【0039】
本発明に係わるPTC素子の製造方法の第3実施形態を図9〜図12により説明する。図中、第1実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0040】
図9は、本実施形態におけるPTC素子の製造方法の手順を示すフローチャートである。本実施形態は、複数のPTC素子1を同時にまとめて製造する方法である。同図において、まずリードフレーム(電極形成体)20A,20Bを作製する(工程61)。図10及び図11に示すように、リードフレーム20Aは、複数の端子電極3Aを有し、これらの端子電極3Aはフレーム21Aを介して繋がっている。リードフレーム20Bは、複数の端子電極3Bを有し、これらの端子電極3Bはフレーム21Bを介して繋がっている。
【0041】
また、リードフレーム20A,20Bにおける端子電極3A,3Bの数に応じた短冊状のPTC素体22を形成する(工程62)。このPTC素体22の具体的な形成方法は、第1実施形態におけるPTC素体2の形成方法と同様である。
【0042】
続いて、PTC素体22及びリードフレーム20A,20Bを熱プレス機(図示せず)に入れ、PTC素体22がリードフレーム20A,20Bにおける端子電極3A,3Bの配列方向に延在すると共にリードフレーム20Aの各端子電極3Aとリードフレーム20Bの各端子電極3BとがPTC素体22を挟んで対向するように、PTC素体22及びリードフレーム20A,20Bを配置する(工程63)。このとき、各端子電極3A,3BがPTC素体22の両側面から外側にはみ出るように、リードフレーム20A,20BをPTC素体22に対して配置する。
【0043】
続いて、上側加圧治具23A及び下側加圧治具23Bを用いて、リードフレーム20A,20Bの各端子電極3A,3BをPTC素体22に対して熱プレスすることにより、各端子電極3A,3BをPTC素体22の上面及び下面にそれぞれ接合する(工程64)。
【0044】
加圧治具23A,23Bは、平板状の治具本体24と、短冊状のPTC素体22に対応する短冊状のスペーサ25とからなっている。スペーサ25の幅寸法Pは、PTC素体22の幅寸法Qよりも狭くなっている。治具本体24及びスペーサ25の材料等は、第1実施形態における治具本体5及びスペーサ6と同様である。
【0045】
このような加圧治具23A,23Bを用いて、各端子電極3A,3BをPTC素体22に対して熱プレスするときは、加圧治具23Aの治具本体24とリードフレーム20Aとの間にスペーサ25を介在させると共に、加圧治具23Bの治具本体24とリードフレーム20Bとの間にスペーサ25を介在させる。このとき、各スペーサ25を、PTC素体22の上面及び下面の両側縁部全体にわたって重ならないように配置する。そして、加圧治具23A,23Bにより各端子電極3A,3BをPTC素体22に対して熱プレスすると、PTC素体22が押し潰されて横に広がった状態で、各端子電極3A,3BがPTC素体22に接合されるようになる。このとき、各スペーサ25においてリードフレーム20A,20B側の主面25aが、加圧治具23A,23Bの加圧面となる。
【0046】
その後、電子ビームの照射によりPTC素体22に含まれる樹脂の架橋処理を行う(工程65)。そして、図12に示すように、リードフレーム20Aにおける各端子電極3Aを除く不要部分と、リードフレーム20Bにおける各端子電極3Bを除く不要部分とをカットして、各端子電極3A,3Bを切り離すと共に、各端子電極3A,3B毎にPTC素体22をカットする(工程66)。これにより、上記のPTC素体2及びリード端子3A,3Bからなる複数のPTC素子1が得られる。
【0047】
このような本実施形態においては、PTC素体22よりも幅狭の加圧面25aを有するスペーサ25を用意し、このスペーサ25をPTC素体22の両側縁部に重ならないように配置した状態で、加圧治具23A,23Bにより各端子電極3A,3BをPTC素体22に対して加圧するので、PTC素体22の上面及び下面の両側縁部には、加圧治具23A,23Bによる加圧力が加わることは殆ど無い。このため、PTC素体22が押し潰されて横に広がっても、流動性の良い樹脂成分の優先的な流れ出しが抑制されるため、PTC素体22の両側縁部には樹脂リッチ部と導電性フィラーリッチ部とが形成されにくくなる。これにより、上記の製法によって得られるPTC素子1の耐圧不良を抑制することができる。
【0048】
なお、上記第3実施形態では、各端子電極3A,3BをPTC素体22に対して熱プレスするときに、リードフレーム20Aの上側及びリードフレーム20Bの下側にそれぞれスペーサ25を配置するようにしたが、リードフレーム20Aの上側及びリードフレーム20Bの下側のいずれか一方のみにスペーサ25を配置しても良い。
【0049】
また、短冊状のスペーサ25を使用する代わりに、上記第1実施形態のスペーサ6を端子電極3A,3Bの数だけ用意し、各端子電極3A,3Bと治具本体24との間にスペーサ6をそれぞれ介在させても良い。さらに、治具本体とスペーサとからなる加圧治具を使用する代わりに、加圧面を構成する突起を複数有する加圧治具を使用しても良い。
【0050】
また、上記第3実施形態では、リードフレーム20A,20Bにおける端子電極3A,3Bの数に応じた短冊状のPTC素体22を形成したが、そのような短冊状のPTC素体22の代わりに、上記第1実施形態のPTC素体2を端子電極3A,3Bの数に対応して複数用いても良い。
【0051】
以上、本発明に係わるPTC素子の製造方法の好適な実施形態について、幾つか説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0052】
例えば、上下の端子電極をPTC素体に対して加圧する際には、上側加圧治具及び下側加圧治具の少なくても一方の加圧面がPTC素体の上面及び下面の縁部の少なくとも一部に重ならないように上側加圧治具及び下側加圧治具を配置した状態で行えば良い。また、スペーサの主面や突起の先端面で構成される加圧治具の加圧面の形状としては、特に矩形状に限られず、円形状等であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係わるPTC素子の製造方法の実施形態により製造されるPTC素子を示す斜視図である。
【図2】本発明に係わるPTC素子の製造方法の第1実施形態の手順を示すフローチャートである。
【図3】図2に示すPTC素体と端子電極との接合工程において、加圧治具により端子電極をPTC素体に対して熱プレスする方法を示す側面図である。
【図4】図2に示すPTC素体と端子電極との接合工程において、加圧治具により端子電極をPTC素体に対して熱プレスする方法を示す平面図である。
【図5】図3に示す加圧治具により端子電極がPTC素体に対して熱プレスされた後の状態を示す側面図である。
【図6】従来一般の加圧治具を使用して、端子電極をPTC素体に対して熱プレスしたときの様子を示す概念図である。
【図7】図2に示すPTC素体と端子電極との接合工程において、加圧治具により端子電極をPTC素体に対して熱プレスする他の方法を示す側面図である。
【図8】本発明に係わるPTC素子の製造方法の第2実施形態において、加圧治具により端子電極をPTC素体に対して熱プレスする方法を示す側面図である。
【図9】本発明に係わるPTC素子の製造方法の第3実施形態の手順を示すフローチャートである。
【図10】図9に示すPTC素体と端子電極との接合工程において、加圧治具により端子電極をPTC素体に対して熱プレスする方法を示す平面図である。
【図11】図9に示すPTC素体と端子電極との接合工程において、加圧治具により端子電極をPTC素体に対して熱プレスする方法を示す側面図である。
【図12】図9に示すリードフレーム及びPTC素体の切断工程において、リードフレーム及びPTC素体の切断箇所を示す平面図である。
【符号の説明】
【0054】
1…PTC素子、2…PTC素体、3A,3B…端子電極(電極形成体)、4A…上側加圧治具(第1加圧治具)、4B…下側加圧治具(第2加圧治具)、5…治具本体、6…スペーサ、6a…主面(加圧面)、10A…上側加圧治具(第1加圧治具)、10B…下側加圧治具(第2加圧治具)、11…突起、11a…先端面(加圧面)、20A,20B…リードフレーム(電極形成体)、22…短冊状のPTC素体、23A…上側加圧治具(第1加圧治具)、23B…下側加圧治具(第2加圧治具)、24…治具本体、25…スペーサ、25a…主面(加圧面)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子機器に内蔵された電池や部品等を過電流から保護するためのPTC素子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来におけるPTC素子の製造方法としては、例えば特許文献1に記載されているように、結晶性高分子中に導電性粉末が分散されてなる導電性組成物のシート体を2枚の金属板で挟んだ状態で加熱・加圧(熱プレス)することにより、シート体の表裏面に金属板をそれぞれ貼付することが知られている。
【特許文献1】特開2003−151804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術のように2枚の金属板でシート体(PTC素体)を挟んだ状態で熱プレスを行うと、その時の加圧力によってPTC素体が押し潰されて横に広がる。このようにして得られたPTC素子では、PTC素体の広がった部分において耐圧不良(ショート)が発生していた。
【0004】
本発明の目的は、PTC素子に発生する耐圧不良を抑制することができるPTC素子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、PTC素子に耐圧不良が発生する原因について、鋭意追究を重ねた結果、熱プレスによりPTC素体の広がった部分(PTC素体の縁部)に、樹脂が密集している樹脂リッチ部と、導電性フィラーが密集している導電性フィラーリッチ部とが形成されてしまうことを見出した。その原因としては、1対の端子電極をPTC素体に対して加圧したときに、PTC素体の縁部に加圧力が加わると、流動性の良い樹脂成分が優先的に流れ出すためと考えられる。そして、更に追究したところ、樹脂リッチ部と導電性フィラーリッチ部との境界部において耐圧不良が集中しやすくなることが分かった。本発明は、そのような新たな知見に基づいて成されたものである。
【0006】
即ち、本発明は、PTC素体を1対の端子電極で挟んで成るPTC素子の製造方法であって、端子電極を有する電極形成体を1対用意する工程と、樹脂と導電性フィラーとを混錬させてPTC素体を形成する工程と、1対の電極形成体の各端子電極同士がPTC素体を挟んで対向するように、PTC素体及び1対の電極形成体を配置する工程と、第1加圧治具により1対の電極形成体の一方の端子電極をPTC素体に対して加圧すると共に、第2加圧治具により1対の電極形成体の他方の端子電極をPTC素体に対して加圧することにより、端子電極をPTC素体の上面及び下面に接合する工程とを含み、端子電極をPTC素体に接合する工程においては、第1加圧治具及び第2加圧治具の少なくとも一方の加圧面がPTC素体の縁部に重ならないように第1加圧治具及び第2加圧治具を配置した状態で、PTC素体に対する端子電極の加圧を行うことを特徴とするものである。
【0007】
このような本発明においては、第1加圧治具及び第2加圧治具により1対の電極形成体の各端子電極をPTC素体に対して加圧すると、その時の加圧力によって各端子電極がPTC素体の上面及び下面にそれぞれ接合されるようになる。このとき、第1加圧治具及び第2加圧治具は、その少なくとも一方の加圧面がPTC素体の縁部に重ならないように配置される。このため、端子電極の寸法がPTC素体の上面及び下面の寸法に比べて大きく、各端子電極がPTC素体から外側にはみ出るように配置される場合でも、PTC素体の縁部の少なくとも一部には、加圧治具による加圧力が殆ど加わらないようになる。従って、加圧によってPTC素体が押し潰されて横に広がっても、流動性の良い樹脂成分の優先的な流れ出しが起きにくくなる。これにより、PTC素体の縁部には、樹脂リッチ部と導電性フィラーリッチ部との境界が形成されにくくなるので、PTC素子に生じる耐圧不良が抑制される。
【0008】
好ましくは、端子電極をPTC素体に接合する工程においては、第1加圧治具及び第2加圧治具の少なくとも一方として、加圧面が加圧前のPTC素体の上面及び下面よりも小さい加圧治具を用いて、PTC素体に対する端子電極の加圧を行う。
【0009】
この場合には、1対の電極形成体の各端子電極をPTC素体に対して加圧するときに、簡単且つ確実に、加圧治具をPTC素体の縁部に重ならないように配置することが可能となる。
【0010】
また、好ましくは、1対の電極形成体を用意する工程においては、電極形成体として端子電極を複数有するリードフレームを1対形成し、PTC素体及び1対の電極形成体を配置する工程においては、1対のリードフレームの各端子電極同士がPTC素体を挟んで対向するように、PTC素体及び1対のリードフレームを配置し、端子電極をPTC素体に接合する工程においては、第1加圧治具及び第2加圧治具の少なくとも一方として、加圧面の幅が加圧前のPTC素体よりも狭い加圧治具を用いて、PTC素体に対する端子電極の加圧を行い、端子電極をPTC素体に接合する工程を実施した後、リードフレームの各端子電極を切り離すように1対のリードフレームを切断する。
【0011】
この場合には、複数のPTC素子を一括して製造可能となるので、製造工数を削減し、製造コストを抑えることができる。また、加圧前のPTC素体よりも狭い加圧面を有する加圧治具を使用することにより、1対のリードフレームの各端子電極をPTC素体に対して加圧するときに、簡単且つ確実に、加圧治具をPTC素体の縁部に重ならないように配置することが可能となる。
【0012】
第1加圧治具及び第2加圧治具の少なくとも一方として、治具本体と、治具本体と端子電極との間に介在されると共に加圧面を構成する面を有し、治具本体の加圧力を端子電極に伝えるためのスペーサとを有する加圧治具を用いることが好ましい。
【0013】
このように加圧治具の一部品としてスペーサを使用する場合には、加圧治具の加圧面に損傷等があったり、加圧治具の加圧面が劣化しても、安価なスペーサの交換だけで対処可能となる。また、治具本体を平板形状とすることで、加圧治具を容易に製作することができる。従って、耐久性やコストの面で有利となる。
【0014】
また、第1加圧治具及び第2加圧治具の少なくとも一方として、加圧面を構成する突起を有する加圧治具を用いても良い。
【0015】
この場合には、加圧治具の部品点数が最小限に抑えられるだけでなく、端子電極に対する加圧面の位置決めが簡単になる等、加圧治具のセッティング等が容易に行えるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、PTC素子に発生する耐圧不良を抑制することができる。これにより、PTC素子の品質を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係わるPTC素子の製造方法の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
まず、本発明に係わるPTC素子の製造方法の第1実施形態を図1〜図6により説明する。図1は、本発明に係わるPTC素子の製造方法の実施形態により製造されるPTC素子を示す斜視図である。同図において、PTC(Positive Temperature Coefficient)素子1は、復帰式のヒューズ機能を有するポリマーPTC素子であり、例えば携帯電話の電池パック用保護素子として使用される。
【0019】
PTC素子1は、樹脂に導電性フィラーを分散させてなる直方体状のPTC素体2と、このPTC素体2を直接挟んで対向するようにPTC素体2の上面及び下面にそれぞれ接合された板状または箔状の端子電極3A,3Bとを備えている。PTC素体2は、正の抵抗温度特性、つまり温度が上昇すると電気抵抗が増加する特性を有している。樹脂としては、結晶性高分子を使用するのが好ましい。結晶性高分子としては、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられるが、熱硬化性樹脂であっても良い。導電性フィラーとしては、Ni粉等を使用する。
【0020】
端子電極3A,3Bは、PTC素体2の上面全体及び下面全体をそれぞれ覆うように、PTC素体2の中心に対して対称にPTC素体2を挟み込んでいる。端子電極3A,3Bは、NiやNi合金等で形成されている。端子電極3A,3Bの厚みは、例えば100μm程度である。端子電極3A,3Bは、PTC素体を挟んで重なり合うPTC領域Xをそれぞれ有している。
【0021】
図2は、本実施形態におけるPTC素子の製造方法の手順を示すフローチャートである。同図において、上記のPTC素子1を製造する場合には、まず端子電極(電極形成体)3A,3Bを作製する(工程51)。
【0022】
また、Ni粉等の導電性フィラーとポリエチレン樹脂等の結晶性高分子とを用意し、これらを混錬したブロックを形成する。そして、このブロックを円盤状に加熱・加圧(熱プレス)した後、チップサイズにカットすることにより、PTC素体2を得る(工程52)。なお、この状態(後述する加圧前の状態)では、PTC素体2の上面及び下面の形状は、矩形状(ここでは正方形状)となっている。そして、PTC素体2の上面及び下面の一辺長さHは、端子電極3A,3Bの幅寸法Wよりも小さくなっている(図4参照)。
【0023】
続いて、そのようにして得られたPTC素体2及び端子電極3A,3Bを熱プレス機(図示せず)に入れ、図3及び図4に示すように、端子電極3A,3B同士がPTC素体2を挟んで対向するように、PTC素体2及び端子電極3A,3Bを配置する(手順53)。このとき、端子電極3A,3BがPTC素体2の4つの側面から外側にはみ出るように、端子電極3A,3BをPTC素体2に対して配置する。
【0024】
続いて、図3及び図4に示すように、上側加圧治具4A及び下側加圧治具4Bを用いて、端子電極3A,3BをPTC素体2に対して熱プレスすることにより、端子電極3A,3BをPTC素体2の上面及び下面にそれぞれ接合する(手順54)。
【0025】
上側加圧治具4A及び下側加圧治具4Bは、いずれも平板状の治具本体5とスペーサ6とからなっている。治具本体5は、例えばステンレス綱(SUS)等で形成されている。スペーサ6は、例えばステンレス綱や銅、プラスチック、紙等で形成されている。スペーサ6の主面の形状は、矩形状(ここでは正方形状)となっている。そして、スペーサ6の主面の一辺長さSは、PTC素体2の上面及び下面の一辺長さHよりも短くなっている。
【0026】
このような上側加圧治具4A及び下側加圧治具4Bを用いて、端子電極3A,3BをPTC素体2に対して熱プレスするときは、端子電極3Aを上側加圧治具4AとPTC素体2とで挟むと共に端子電極3Bを下側加圧治具4BとPTC素体2とで挟むように、加圧治具4A,4Bを配置する。具体的には、加圧治具4Aの治具本体5と端子電極3Aとの間にスペーサ6を介在させると共に、加圧治具4Bの治具本体5と端子電極3Bとの間にスペーサ6を介在させる。このとき、図4に示すように、各スペーサ6をPTC素体2の上面及び下面の縁部全周にわたって重ならないように配置する。
【0027】
そして、その状態で、上側加圧治具4Aにより端子電極3AをPTC素体2に対して加圧すると共に、下側加圧治具4Bにより端子電極3BをPTC素体2に対して加圧する。すると、図5に示すように、加圧治具4A,4Bの加圧力によってPTC素体2が押し潰されて横に広がるようになる。このとき、各スペーサ6において端子電極3A,3B側の主面6aが、加圧治具4A,4Bの加圧面となる。なお、熱プレスにおける加熱は、加圧と同時に行っても良いし、加圧の前に行っても良い。
【0028】
その後、PTC素体2の縁部が端子電極3A,3Bの側面からはみ出ている場合には、PTC素体2のはみ出し部分をカットする。そして、電子ビームの照射によりPTC素体2に含まれる樹脂の架橋処理を行う(工程55)。これにより、上記のPTC素体2及びリード端子3A,3BからなるPTC素子1が得られる。
【0029】
ところで、PTC素体2を端子電極3A,3Bで挟み込んだ状態で、スペーサ6を使用せずに、治具本体5のみを使用して熱プレスを行うと、以下の問題が生じる。
【0030】
即ち、治具本体5のみにより端子電極3A,3BをPTC素体2に対して加圧すると、図6に示すように、PTC素体2が横に流動膨張するようになる。このとき、流動性の良い樹脂成分が優先的に流れ出すため、加圧前のPTC素体2に相当する素子初期部7の周囲では、樹脂成分が少なくなり、導電性フィラーが密集している導電性フィラーリッチの状態となり、加圧によって素子初期部7から広がった部分(素体流動部)8では、樹脂成分が密集している樹脂リッチの状態となると予測される。このため、導電性フィラーリッチ部と樹脂リッチ部との境界部において耐圧不良(ショート)が発生し、結果的にPTC素子2の耐圧特性が不安定になり、品質上の問題が生じる。
【0031】
これに対し本実施形態では、加圧治具4A,4Bを構成する部品の一つとして、PTC素体2の上面及び下面よりも小さい加圧面6aを有するスペーサ6を用意し、このスペーサ6をPTC素体2の縁部に重ならないように配置した状態で、加圧治具4A,4Bにより端子電極3A,3BをPTC素体2に対して加圧するので、PTC素体2の上面及び下面の縁部には、加圧治具4A,4Bによる加圧力が加わることは殆ど無い。このため、加圧によってPTC素体2が押し潰されて横に広がっても、流動性の良い樹脂成分の優先的な流れ出しが抑制される。従って、結晶性高分子に対する導電性フィラーの分散が均一な状態に維持され、PTC素体2の縁部には樹脂リッチ部と導電性フィラーリッチ部とが形成されにくくなる。これにより、PTC素子1の耐圧不良の発生が抑制され、耐圧特性の安定したPTC素体1を得ることができる。
【0032】
また、スペーサ6に傷が付いたり、スペーサ6が破損した場合には、その安価なスペーサ6だけを交換すれば良く、加圧治具4A,4B全体を交換する必要は無い。また、治具本体5としては既存の加圧治具をそのまま使用できるので、スペーサ6を用意できれば、加圧治具を新たに製作する必要も無い。これにより、加圧治具にかかるコストを増大させなくて済む。
【0033】
なお、上記第1実施形態では、端子電極3A,3BをPTC素体2に対して熱プレスするときに、端子電極3Aの上側及び端子電極3Bの下側にそれぞれスペーサ6を配置するようにしたが、スペーサ6は、図7に示すように、端子電極3Aの上側及び端子電極3Bの下側のいずれか一方のみに配置しても良い。
【0034】
本発明に係わるPTC素子の製造方法の第2実施形態を図8により説明する。図中、第1実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0035】
本実施形態においては、第1実施形態における加圧治具4A,4Bの代わりに、図8に示すような上側加圧治具10A及び下側加圧治具10Bを用いて、端子電極3A,3BをPTC素体2に対して熱プレスする。加圧治具10A,10Bは、それぞれ加圧用の突起11を有している。この突起11の先端面11aは、加圧治具10A,10Bの加圧面を構成している。突起11の先端面11aの形状及び寸法は、例えば第1実施形態におけるスペーサ6の主面の形状及び寸法と同様である。
【0036】
このような加圧治具10A,10Bを用いて、端子電極3A,3BをPTC素体2に対して熱プレスするときには、突起11の先端面(加圧面)11aがPTC素体2の上面及び下面の縁部全周にわたって重ならないように、加圧治具10A,10Bを配置した状態で行う。この場合にも、第1実施形態と同様に、流動性の良い樹脂成分の優先的な流れ出しが抑制されるため、PTC素体2の縁部には樹脂リッチ部と導電性フィラーリッチ部とが形成されにくくなる。これにより、PTC素子1の耐圧不良を抑制することができる。
【0037】
また、加圧治具10A,10Bを使用する場合には、スペーサ6をいちいち用意しなくて済み、PTC素体2に対するスペーサ6の正確な位置決め等も不要となる。
【0038】
なお、上記第2実施形態では、端子電極3Aの上側に加圧治具10Aを配置し、端子電極3Bの下側に加圧治具10Bを配置するようにしたが、端子電極3Aの上側及び端子電極3Bの下側のいずれか一方には、例えば突起の無い平板状の加圧治具(第1実施形態における治具本体5)を配置しても良い。
【0039】
本発明に係わるPTC素子の製造方法の第3実施形態を図9〜図12により説明する。図中、第1実施形態と同一または同等の部材には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0040】
図9は、本実施形態におけるPTC素子の製造方法の手順を示すフローチャートである。本実施形態は、複数のPTC素子1を同時にまとめて製造する方法である。同図において、まずリードフレーム(電極形成体)20A,20Bを作製する(工程61)。図10及び図11に示すように、リードフレーム20Aは、複数の端子電極3Aを有し、これらの端子電極3Aはフレーム21Aを介して繋がっている。リードフレーム20Bは、複数の端子電極3Bを有し、これらの端子電極3Bはフレーム21Bを介して繋がっている。
【0041】
また、リードフレーム20A,20Bにおける端子電極3A,3Bの数に応じた短冊状のPTC素体22を形成する(工程62)。このPTC素体22の具体的な形成方法は、第1実施形態におけるPTC素体2の形成方法と同様である。
【0042】
続いて、PTC素体22及びリードフレーム20A,20Bを熱プレス機(図示せず)に入れ、PTC素体22がリードフレーム20A,20Bにおける端子電極3A,3Bの配列方向に延在すると共にリードフレーム20Aの各端子電極3Aとリードフレーム20Bの各端子電極3BとがPTC素体22を挟んで対向するように、PTC素体22及びリードフレーム20A,20Bを配置する(工程63)。このとき、各端子電極3A,3BがPTC素体22の両側面から外側にはみ出るように、リードフレーム20A,20BをPTC素体22に対して配置する。
【0043】
続いて、上側加圧治具23A及び下側加圧治具23Bを用いて、リードフレーム20A,20Bの各端子電極3A,3BをPTC素体22に対して熱プレスすることにより、各端子電極3A,3BをPTC素体22の上面及び下面にそれぞれ接合する(工程64)。
【0044】
加圧治具23A,23Bは、平板状の治具本体24と、短冊状のPTC素体22に対応する短冊状のスペーサ25とからなっている。スペーサ25の幅寸法Pは、PTC素体22の幅寸法Qよりも狭くなっている。治具本体24及びスペーサ25の材料等は、第1実施形態における治具本体5及びスペーサ6と同様である。
【0045】
このような加圧治具23A,23Bを用いて、各端子電極3A,3BをPTC素体22に対して熱プレスするときは、加圧治具23Aの治具本体24とリードフレーム20Aとの間にスペーサ25を介在させると共に、加圧治具23Bの治具本体24とリードフレーム20Bとの間にスペーサ25を介在させる。このとき、各スペーサ25を、PTC素体22の上面及び下面の両側縁部全体にわたって重ならないように配置する。そして、加圧治具23A,23Bにより各端子電極3A,3BをPTC素体22に対して熱プレスすると、PTC素体22が押し潰されて横に広がった状態で、各端子電極3A,3BがPTC素体22に接合されるようになる。このとき、各スペーサ25においてリードフレーム20A,20B側の主面25aが、加圧治具23A,23Bの加圧面となる。
【0046】
その後、電子ビームの照射によりPTC素体22に含まれる樹脂の架橋処理を行う(工程65)。そして、図12に示すように、リードフレーム20Aにおける各端子電極3Aを除く不要部分と、リードフレーム20Bにおける各端子電極3Bを除く不要部分とをカットして、各端子電極3A,3Bを切り離すと共に、各端子電極3A,3B毎にPTC素体22をカットする(工程66)。これにより、上記のPTC素体2及びリード端子3A,3Bからなる複数のPTC素子1が得られる。
【0047】
このような本実施形態においては、PTC素体22よりも幅狭の加圧面25aを有するスペーサ25を用意し、このスペーサ25をPTC素体22の両側縁部に重ならないように配置した状態で、加圧治具23A,23Bにより各端子電極3A,3BをPTC素体22に対して加圧するので、PTC素体22の上面及び下面の両側縁部には、加圧治具23A,23Bによる加圧力が加わることは殆ど無い。このため、PTC素体22が押し潰されて横に広がっても、流動性の良い樹脂成分の優先的な流れ出しが抑制されるため、PTC素体22の両側縁部には樹脂リッチ部と導電性フィラーリッチ部とが形成されにくくなる。これにより、上記の製法によって得られるPTC素子1の耐圧不良を抑制することができる。
【0048】
なお、上記第3実施形態では、各端子電極3A,3BをPTC素体22に対して熱プレスするときに、リードフレーム20Aの上側及びリードフレーム20Bの下側にそれぞれスペーサ25を配置するようにしたが、リードフレーム20Aの上側及びリードフレーム20Bの下側のいずれか一方のみにスペーサ25を配置しても良い。
【0049】
また、短冊状のスペーサ25を使用する代わりに、上記第1実施形態のスペーサ6を端子電極3A,3Bの数だけ用意し、各端子電極3A,3Bと治具本体24との間にスペーサ6をそれぞれ介在させても良い。さらに、治具本体とスペーサとからなる加圧治具を使用する代わりに、加圧面を構成する突起を複数有する加圧治具を使用しても良い。
【0050】
また、上記第3実施形態では、リードフレーム20A,20Bにおける端子電極3A,3Bの数に応じた短冊状のPTC素体22を形成したが、そのような短冊状のPTC素体22の代わりに、上記第1実施形態のPTC素体2を端子電極3A,3Bの数に対応して複数用いても良い。
【0051】
以上、本発明に係わるPTC素子の製造方法の好適な実施形態について、幾つか説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0052】
例えば、上下の端子電極をPTC素体に対して加圧する際には、上側加圧治具及び下側加圧治具の少なくても一方の加圧面がPTC素体の上面及び下面の縁部の少なくとも一部に重ならないように上側加圧治具及び下側加圧治具を配置した状態で行えば良い。また、スペーサの主面や突起の先端面で構成される加圧治具の加圧面の形状としては、特に矩形状に限られず、円形状等であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に係わるPTC素子の製造方法の実施形態により製造されるPTC素子を示す斜視図である。
【図2】本発明に係わるPTC素子の製造方法の第1実施形態の手順を示すフローチャートである。
【図3】図2に示すPTC素体と端子電極との接合工程において、加圧治具により端子電極をPTC素体に対して熱プレスする方法を示す側面図である。
【図4】図2に示すPTC素体と端子電極との接合工程において、加圧治具により端子電極をPTC素体に対して熱プレスする方法を示す平面図である。
【図5】図3に示す加圧治具により端子電極がPTC素体に対して熱プレスされた後の状態を示す側面図である。
【図6】従来一般の加圧治具を使用して、端子電極をPTC素体に対して熱プレスしたときの様子を示す概念図である。
【図7】図2に示すPTC素体と端子電極との接合工程において、加圧治具により端子電極をPTC素体に対して熱プレスする他の方法を示す側面図である。
【図8】本発明に係わるPTC素子の製造方法の第2実施形態において、加圧治具により端子電極をPTC素体に対して熱プレスする方法を示す側面図である。
【図9】本発明に係わるPTC素子の製造方法の第3実施形態の手順を示すフローチャートである。
【図10】図9に示すPTC素体と端子電極との接合工程において、加圧治具により端子電極をPTC素体に対して熱プレスする方法を示す平面図である。
【図11】図9に示すPTC素体と端子電極との接合工程において、加圧治具により端子電極をPTC素体に対して熱プレスする方法を示す側面図である。
【図12】図9に示すリードフレーム及びPTC素体の切断工程において、リードフレーム及びPTC素体の切断箇所を示す平面図である。
【符号の説明】
【0054】
1…PTC素子、2…PTC素体、3A,3B…端子電極(電極形成体)、4A…上側加圧治具(第1加圧治具)、4B…下側加圧治具(第2加圧治具)、5…治具本体、6…スペーサ、6a…主面(加圧面)、10A…上側加圧治具(第1加圧治具)、10B…下側加圧治具(第2加圧治具)、11…突起、11a…先端面(加圧面)、20A,20B…リードフレーム(電極形成体)、22…短冊状のPTC素体、23A…上側加圧治具(第1加圧治具)、23B…下側加圧治具(第2加圧治具)、24…治具本体、25…スペーサ、25a…主面(加圧面)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
PTC素体を1対の端子電極で挟んで成るPTC素子の製造方法であって、
前記端子電極を有する電極形成体を1対用意する工程と、
樹脂と導電性フィラーとを混錬させて前記PTC素体を形成する工程と、
前記1対の電極形成体の前記各端子電極同士が前記PTC素体を挟んで対向するように、前記PTC素体及び前記1対の電極形成体を配置する工程と、
第1加圧治具により前記1対の電極形成体の一方の前記端子電極を前記PTC素体に対して加圧すると共に、第2加圧治具により前記1対の電極形成体の他方の前記端子電極を前記PTC素体に対して加圧することにより、前記端子電極を前記PTC素体の上面及び下面に接合する工程とを含み、
前記端子電極を前記PTC素体に接合する工程においては、前記第1加圧治具及び前記第2加圧治具の少なくとも一方の加圧面が前記PTC素体の縁部に重ならないように前記第1加圧治具及び前記第2加圧治具を配置した状態で、前記PTC素体に対する前記端子電極の加圧を行うことを特徴とするPTC素子の製造方法。
【請求項2】
前記端子電極を前記PTC素体に接合する工程においては、前記第1加圧治具及び前記第2加圧治具の少なくとも一方として、前記加圧面が加圧前の前記PTC素体の上面及び下面よりも小さい加圧治具を用いて、前記PTC素体に対する前記端子電極の加圧を行うことを特徴とする請求項1記載のPTC素子の製造方法。
【請求項3】
前記1対の電極形成体を用意する工程においては、前記電極形成体として前記端子電極を複数有するリードフレームを1対形成し、
前記PTC素体及び前記1対の電極形成体を配置する工程においては、前記1対のリードフレームの前記各端子電極同士が前記PTC素体を挟んで対向するように、前記PTC素体及び前記1対のリードフレームを配置し、
前記端子電極を前記PTC素体に接合する工程においては、前記第1加圧治具及び前記第2加圧治具の少なくとも一方として、前記加圧面の幅が加圧前の前記PTC素体よりも狭い加圧治具を用いて、前記PTC素体に対する前記端子電極の加圧を行い、
前記端子電極を前記PTC素体に接合する工程を実施した後、前記リードフレームの前記各端子電極を切り離すように前記1対のリードフレームを切断することを特徴とする請求項1記載のPTC素子の製造方法。
【請求項4】
前記第1加圧治具及び前記第2加圧治具の少なくとも一方として、治具本体と、前記治具本体と前記端子電極との間に介在されると共に前記加圧面を構成する面を有し、前記治具本体の加圧力を前記端子電極に伝えるためのスペーサとを有する加圧治具を用いることを特徴とする請求項2または3記載のPTC素子の製造方法。
【請求項5】
前記第1加圧治具及び前記第2加圧治具の少なくとも一方として、前記加圧面を構成する突起を有する加圧治具を用いることを特徴とする請求項2または3記載のPTC素子の製造方法。
【請求項1】
PTC素体を1対の端子電極で挟んで成るPTC素子の製造方法であって、
前記端子電極を有する電極形成体を1対用意する工程と、
樹脂と導電性フィラーとを混錬させて前記PTC素体を形成する工程と、
前記1対の電極形成体の前記各端子電極同士が前記PTC素体を挟んで対向するように、前記PTC素体及び前記1対の電極形成体を配置する工程と、
第1加圧治具により前記1対の電極形成体の一方の前記端子電極を前記PTC素体に対して加圧すると共に、第2加圧治具により前記1対の電極形成体の他方の前記端子電極を前記PTC素体に対して加圧することにより、前記端子電極を前記PTC素体の上面及び下面に接合する工程とを含み、
前記端子電極を前記PTC素体に接合する工程においては、前記第1加圧治具及び前記第2加圧治具の少なくとも一方の加圧面が前記PTC素体の縁部に重ならないように前記第1加圧治具及び前記第2加圧治具を配置した状態で、前記PTC素体に対する前記端子電極の加圧を行うことを特徴とするPTC素子の製造方法。
【請求項2】
前記端子電極を前記PTC素体に接合する工程においては、前記第1加圧治具及び前記第2加圧治具の少なくとも一方として、前記加圧面が加圧前の前記PTC素体の上面及び下面よりも小さい加圧治具を用いて、前記PTC素体に対する前記端子電極の加圧を行うことを特徴とする請求項1記載のPTC素子の製造方法。
【請求項3】
前記1対の電極形成体を用意する工程においては、前記電極形成体として前記端子電極を複数有するリードフレームを1対形成し、
前記PTC素体及び前記1対の電極形成体を配置する工程においては、前記1対のリードフレームの前記各端子電極同士が前記PTC素体を挟んで対向するように、前記PTC素体及び前記1対のリードフレームを配置し、
前記端子電極を前記PTC素体に接合する工程においては、前記第1加圧治具及び前記第2加圧治具の少なくとも一方として、前記加圧面の幅が加圧前の前記PTC素体よりも狭い加圧治具を用いて、前記PTC素体に対する前記端子電極の加圧を行い、
前記端子電極を前記PTC素体に接合する工程を実施した後、前記リードフレームの前記各端子電極を切り離すように前記1対のリードフレームを切断することを特徴とする請求項1記載のPTC素子の製造方法。
【請求項4】
前記第1加圧治具及び前記第2加圧治具の少なくとも一方として、治具本体と、前記治具本体と前記端子電極との間に介在されると共に前記加圧面を構成する面を有し、前記治具本体の加圧力を前記端子電極に伝えるためのスペーサとを有する加圧治具を用いることを特徴とする請求項2または3記載のPTC素子の製造方法。
【請求項5】
前記第1加圧治具及び前記第2加圧治具の少なくとも一方として、前記加圧面を構成する突起を有する加圧治具を用いることを特徴とする請求項2または3記載のPTC素子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−142338(P2007−142338A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−337543(P2005−337543)
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月22日(2005.11.22)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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