説明

PTPシートの製造装置

【課題】各種の動作を指示するにあたり、衛生面を考慮しつつ、しかも、作業者にとって例えば手袋の着脱といった煩わしさのないPTPシートの製造装置を提供する。
【解決手段】パネル75の手前側に行列状に検知位置が配置されるように、パネル用行ランプ群55、パネル用行センサ群56、パネル用列ランプ群57、及び、パネル用列センサ群58を配置する。そして、行方向及び列方向のセンサ56A〜56D,58A〜58Dによって光量の変化を検知することにって、作業者の指が検知位置に到達したことを非接触で判断し、所望の動作を実現する。パネル75には各検知位置に対応するように行列状のエリアを設け、ここに、動作の内容表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTPシートを製造するためのPTPシートの製造装置に係り、特に、各種の動作を外部から指示するための機構を備えたPTPシートの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、PTPシートは、錠剤等が収容される複数のポケット部を備えており、各ポケット部単位のシート小片に切り離すことができるようにスリットが形成されている。
【0003】
かかるPTPシートは、PTP包装機(ブリスター包装機)によって製造される。PTP包装機においては、ポケット部が形成された長尺状のフィルムを搬送させつつポケット部に錠剤を充填する充填工程、アルミニウム等よりなるカバーフィルムを貼着する貼着工程、スリットを成形するスリット成形工程、PTPシート単位に打ち抜く打抜き工程等を経る。
【0004】
ところで、このようなPTPシートの製造を実現するための各機構は、異物の混入防止など衛生面から、筐体内部に構築されている。ただし、例えば充填工程において充填される錠剤を包装機に補充したりする等、作業者が製品(錠剤)を取り扱う場合もあるため、作業者は、錠剤を取り扱う際には、衛生面を考慮して手袋を着用するようにしている。
【0005】
一方、包装機には、起動、停止、あるいは、扉の開閉といった各種スイッチが設けられており、作業者は、適宜、これらのスイッチを操作することになる(例えば、特許文献1参照)。例えば、充填工程において充填される錠剤を包装機に補充するといった作業では、所定の扉を開放するためのスイッチを操作することになる。この場合、作業者は、衛生面から、上記錠剤を取り扱う際に着用する手袋を取り外し、素手で操作するようにしている。
【0006】
かかる手法により、製品(錠剤)の衛生面における品質の確保が図られている。
【特許文献1】特開2000−281002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、PTPシートの製造を管理する作業者は、PTP包装機を操作する場合と、製品(錠剤)を取り扱う場合とで、その都度、手袋を嵌めたり外したりしなければならない。特に、PTP包装機の操作と製品(錠剤)の取り扱いとを交互に行うような場合には、手袋の着脱は非常に煩わしいものとなる。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、従来と同様に衛生面を考慮しつつ、しかも、作業者にとって上記手袋の着脱といった煩わしさのないPTPシートの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0010】
手段1.各種の動作を外部から指示可能に構成されたPTPシートの製造装置において、
前記動作に対応して予め設定された検知位置に人体の一部が到達したことを、非接触で検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果に基づき、前記到達を判断すると、前記検知位置に対応する前記動作を実現するための信号出力を行う制御手段とを備えていることを特徴とするPTPシートの製造装置。
【0011】
手段1に記載のPTPシートの製造装置は、各種の動作を外部から指示可能に構成されている。ここで各種の動作とは、製造装置の起動、停止、あるいは、製造装置の扉の開閉など、作業者による指示に基づき行われる動作をいう。
【0012】
手段1では特に、動作に対応して予め設定された検知位置に人体の一部が到達したことを、検知手段が非接触で検知し、検知手段による検知結果に基づき、制御手段によって、検知位置への到達が判断されると、検知位置に対応する動作を実現するための信号出力が行われる。なお、人体の一部は、手のひらや足などとしてもよいが、現実的には指(例えば人差し指)であることが考えられる。また、専用の棒部材などを所持した上で、当該棒部材を到達させる場合も当然に含まれる。以下の手段でも同様である。
【0013】
従来、製造装置には、起動、停止、あるいは、扉の開閉といった各種スイッチが設けられており、作業者は、適宜、これらのスイッチを操作することになる。この場合、作業者は、衛生面から、錠剤を取り扱う際に着用する手袋を取り外し、素手で操作するようにしている。つまり、錠剤を取り扱う際には手袋を着用することを前提に、製造装置(のスイッチ)に触れる場合には、その都度、手袋を取り外さなければならなかった。
【0014】
この点、手段1によれば、予め設定された検知位置に人体の一部が到達したことが検知され、検知位置への到達が判断されると、検知位置に対応する動作を実現するための信号出力がなされる。したがって、モータなどの駆動手段へ信号出力を行うように構成すれば、検知位置に対応する動作が非接触で実現される。すなわち、作業者は、製造装置に触れることなく、所望の動作を製造装置に行わせることができ、結果として、衛生面を考慮しつつ、手袋の着脱といった煩わしさを払拭することができる。
【0015】
手段2.手段1に記載のPTPシートの製造装置において、
前記検知位置に対応させて前記動作の内容表示を行う表示領域を有する表示手段を備えていることを特徴とするPTPシートの製造装置。
【0016】
手段2によれば、上記検知位置に対応させて表示手段の表示領域に動作の内容表示が行われるため、各動作を指示するために設定される検知位置を、作業者が把握し易くなるという点で有利である。
【0017】
手段3.手段2に記載のPTPシートの製造装置において、
前記表示領域又はその近傍における前記表示手段に、前記人体の一部を挿入可能な開口部を形成し、前記検知位置を、当該開口部に対応させて設定したことを特徴とするPTPシートの製造装置。
【0018】
手段3によれば、表示領域又はその近傍における表示手段に人体の一部を挿入可能な開口部が形成されており、検知位置が、当該開口部に対応させて設定されている。例えば、開口部の奥側に検知位置を設定することが考えられる。このようにすれば、作業者は、設定された検知位置を確実に把握することができる。
【0019】
手段4.手段1乃至3のいずれかに記載のPTPシートの製造装置において、
前記検知位置を、行列状に設定したことを特徴とするPTPシートの製造装置。
【0020】
手段4によれば、検知位置が行列状に設定されている。行列状とあるのは、多数の検知位置が行方向(横並びの方向)及び列方向(縦並びの方向)に並んだ状態を示す。ここでは、行方向及び列方向のうちの少なくとも一方に複数の検知位置が設定されたものが含まれるものとする(例えば1行2列以上又は2行1列以上)。もちろん、2行2列以上としてもよい。以下の手段でも同様である。このようにすれば、検知位置が所定の区画に並んで配置されるため、作業者は、その区画内に並べられた検知位置に例えば指を到達させることで、種々の動作を指示することができる。すなわち、スイッチ操作のためにあちこち振り回されることがなく、一局集中的な操作が可能となる。
【0021】
手段5.PTPシートを製造するための各種の動作を外部から指示可能に構成されたPTPシートの製造装置において、
前記動作に対応して予め設定された検知位置に人体の一部が到達したことを、当該到達による光源からの光量の変化に基づき、非接触で検知する検知手段と、
前記検知位置に対応させて動作の内容表示を行う表示領域を有する表示手段と、
前記検知手段による検知結果に基づき、前記到達を判断すると、前記検知位置に対応する前記動作を実現するための信号出力を行う制御手段とを備えていることを特徴とするPTPシートの製造装置。
【0022】
手段5に記載のPTPシートの製造装置は、基本的に、上記手段1に記載のものと同様の構成となっている。
【0023】
手段5では特に、動作に対応して予め設定された検知位置に人体の一部が到達したことを、当該到達による光源からの光量の変化に基づき検知手段が非接触で検知し、検知手段による検知結果に基づき、制御手段によって、検知位置への到達が判断されると、検知位置に対応する動作を実現するための信号出力が行われる。また、表示手段の表示領域に、検知位置に対応させて動作の内容表示が行われる。
【0024】
したがって、モータなどの駆動手段へ信号出力を行うように構成すれば、検知位置に対応する動作が非接触で実現される。すなわち、作業者は、製造装置に触れることなく、所望の動作を製造装置に行わせることができ、結果として、衛生面を考慮しつつ、手袋の着脱といった煩わしさを払拭することができる。
【0025】
また、手段5によれば、光源からの光量の変化に基づき人体の検知位置への到達を判断するため、比較的簡単な構成によって到達を確実に判断することができる。
【0026】
さらに、手段5によれば、表示手段の表示領域に上記検知位置に対応させて動作の内容表示が行われるため、各動作を指示するために設定される検知位置を、作業者が把握し易くなるという点で有利である。
【0027】
手段6.手段5に記載のPTPシートの製造装置において、
前記検知手段は、前記光源としての発光手段と、前記光量の変化を検知する光検知手段とを備えていることを特徴とするPTPシートの製造装置。
【0028】
例えば手段6に示すように、検知手段は、光源としての発光手段と、光量の変化を検知する光検知手段とを構成要素とすることが考えられる。発光手段は、例えば発光ダイオード(以下「LED」という)として具現化され、光検知手段は、例えば光センサとして具現化される。このようにすれば、比較的簡単な構成によって到達を確実に判断することができ、製造装置のコストアップを抑えることができる。
【0029】
手段7.手段6に記載のPTPシートの製造装置において、
前記発光手段及び前記光検知手段を行方向及び列方向に対向させて設けることによって、前記検知位置を前記表示領域の手前側に行列状に設定し、前記行方向及び前記列方向の両方向から、前記検知位置への到達を判断するように構成したことを特徴とするPTPシートの製造装置。
【0030】
手段7によれば、発光手段及び光検知手段を行方向及び列方向に対向させて設けることで、検知位置が表示領域の手前側に行列状に設定されている。そして、行方向及び列方向の両方向から、検知位置への到達を判断する。このようにすれば、検知位置が表示領域に対応する所定の区画に並んで配置されるため、作業者は、表示領域の内容表示に基づいて、その区画内に並べられた検知位置に例えば指を到達させることで、種々の動作を指示することができる。すなわち、一局集中的な操作が可能となる。また、行方向及び列方向の両方向から検知位置への到達を判断することにより、発光手段及び光検知手段の数を、検知位置の数よりも少なくしたりすることもできる。例えば4行4列の16個の検知位置を設定する場合、行方向及び列方向にそれぞれ4個の発光手段及び光検知手段を対向させて配置すればよく、発光手段及び光検知手段はそれぞれ8個ずつ用意すればよい。
【0031】
手段8.手段7に記載のPTPシートの製造装置において、
前記表示領域を行列状に設定し、各表示領域において前記動作の内容表示を行うことを特徴とするPTPシートの製造装置。
【0032】
手段8によれば、行列状に検知位置が設定されることを前提に、表示領域が行列状に設定され、各表示領域において動作の内容表示が行われる。したがって、この表示領域の内容表示に基づき、作業者は、設定された検知位置を確実に把握できると共に、当該検知位置に対応する動作の内容を確実に把握できる。
【0033】
手段9.手段7又は8に記載のPTPシートの製造装置において、
前記制御手段は、前記行方向又は列方向に並べて配置される複数の発光手段が同時に点灯状態とならないよう制御すると共に、前記点灯状態にある発光手段に対向する前記光検知手段による検知結果に基づき、前記検知位置への到達を判断することを特徴とするPTPシートの製造装置。
【0034】
上述したように行方向及び列方向に対向させて発光手段及び光検知手段を設ける場合、発光手段同士が近接して設けられる場合には特に、複数の発光手段が同時に点灯状態となると、対応していない発光手段からの光によって、光検知手段が誤検知を行うおそれがある。
【0035】
この点、手段9によれば、行方向又は列方向に並べて配置される複数の発光手段が同時に点灯状態とならないよう(例えば順次点灯)制御され、点灯状態にある発光手段に対向する光検知手段による検知結果に基づき、検知位置への到達が判断される。したがって、上述したような光検知手段による誤検知を、回避することができる。これによって、上記検知位置への到達を確実に判断することが可能となる。また、誤検知を回避できる分だけ、発光手段同士、光検知手段同士の間隔を狭く設定でき、省スペース化を図ることができる。
【0036】
なお、発光手段同士の距離が離れていれば光検知手段による誤検知は生じにくいため、「前記制御手段は、前記行方向又は列方向に並べて配置される前記複数の発光手段のうち少なくとも隣り合う発光手段が同時に点灯状態とならないよう制御すると共に、前記点灯状態にある発光手段に対向する前記光検知手段による検知結果に基づき、前記検知位置への到達を判断すること」としてもよい。
【0037】
手段10.手段6乃至9のいずれかに記載のPTPシートの製造装置において、
前記表示領域又はその近傍における前記表示手段に、前記人体の一部を挿入可能な開口部を形成し、前記開口部の奥に前記発光手段及び前記光検知手段を対向させて設けることによって、前記検知位置を、前記開口部に対応させて設定したことを特徴とするPTPシートの製造装置。
【0038】
手段10によれば、表示領域又はその近傍における表示手段に人体の一部を挿入可能な開口部が形成されており、この開口部の奥に発光手段及び光検知手段を対向させて設けることによって、検知位置が、開口部に対応させて設定されている。このようにすれば、作業者は、設定された検知位置を確実に把握することができる。
【0039】
手段11.手段10に記載のPTPシートの製造装置において、
前記表示手段による前記内容表示を、前記開口部に対応させて行うことを特徴とするPTPシートの製造装置。
【0040】
手段11によれば、開口部に対応させて検知位置が設定されることを前提に、表示手段による内容表示が、開口部に対応させて行われる。したがって、この内容表示に基づき、作業者は、設定された検知位置を確実に把握することができると共に、当該検知位置に対応する動作の内容を確実に把握できる。
【0041】
手段12.手段2乃至11のいずれかに記載のPTPシートの製造装置において、
前記表示手段は板状のパネルで構成され、前記内容表示が固定的なものとなっていることを特徴とするPTPシートの製造装置。
【0042】
手段12によれば、表示手段が板状のパネルで構成されており、内容表示が固定的なものとなっている。このように表示手段を板状のパネルで構成する場合、比較的簡単に構成できるため、製造装置のコストアップを抑えることができる。
【0043】
手段13.手段2乃至11のいずれかに記載のPTPシートの製造装置において、
前記表示手段はモニタ装置で構成され、前記内容表示が可変的なものとなっており、
前記制御手段は、前記検知位置に対応する前記動作の中で、前記内容表示に応じた動作を実現するための信号出力を行うことを特徴とするPTPシートの製造装置。
【0044】
手段13によれば、表示手段がモニタ装置で構成されており、内容表示が可変的なものとなっている。そして、制御手段によって、検知位置に対応する複数の動作の中で、内容表示に応じた動作を実現するための信号出力が行われる。このようにすれば、設定された検知位置の数以上の動作を実現することができ、作業者は、表示領域の内容表示に基づいて、各動作の指示を、より集中的に行うことができる。また、表示手段による内容表示と制御手段による信号出力が切り換えられるのみで検知手段は共通利用されるため、製造装置のコストアップを抑えることができる。
【0045】
手段14.手段1乃至13のいずれかに記載のPTPシートの製造装置において、
前記各種の動作を実現するための駆動手段を備えており、
前記制御手段は、前記信号出力を行うことによって、前記検知位置に対応する動作を実現するための駆動手段を制御することを特徴とするPTPシートの製造装置。
【0046】
手段14では、駆動手段を具備しており、信号出力を行うことにより、制御手段によって、検知位置に対応する動作を実現するための駆動手段が制御される。このようにすれば、検知位置に対応する動作が非接触で実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0048】
図1(a),(b)に示すように、本実施形態におけるPTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着された密封用フィルム4とを有している。容器フィルム3は、PPによって構成され、光透過性を有している(ここでは、透明を呈している)。密封用フィルム4は、アルミニウムによって構成されている。
【0049】
また、各ポケット部2には被充填物としての錠剤5が1つずつ収容されている。PTPシート1の容器フィルム3には、例えば2つのポケット部2が含まれたペア小片に切り離すことができるように複数の横スリット6が形成されている(もちろん縦スリットが形成されていてもよいし、スリットを省略してもよい)。
【0050】
次に、「PTPシートの製造装置」としてのPTP包装機(ブリスタ包装機)10の構成について説明することとする。
【0051】
図2に示すように、PTP包装機10の最上流側では、帯状の容器フィルム3がロール状に巻回されている。ロール状に巻回された容器フィルム3は、間欠的に搬送されるようになっており、容器フィルム3の搬送経路に沿って、加熱装置12とポケット成形装置13とが順に並設されている。これら加熱装置12及びポケット成形装置13によってポケット部形成装置14が構成されている。そして、加熱装置12によって容器フィルム3が部分的に加熱され、該容器フィルム3が比較的柔軟になった状態において、ポケット成形装置13によって容器フィルム3にポケット部2が成形される。なお、このポケット部2の成形は、容器フィルム3の搬送動作間のインターバルに行われる。
【0052】
ポケット部2が形成された容器フィルム3の移送経路に沿って、ポケット部2に錠剤5を自動的に充填する充填装置16、外観検査装置17、シール装置18が、配設されている。
【0053】
充填装置16は、所定時間間隔毎にシャッタを開くことで錠剤5を落下させるものであり、このシャッタ開放動作に伴って各ポケット部2に錠剤5が投入される。
【0054】
外観検査装置17は、錠剤5が各ポケット部2に確実に充填されているか否か、また錠剤5の欠け、ひび等の外観異常の有無、異物混入の有無等の検査を行うためのものである。該外観検査装置17は、ポケット部2の開口側からの検査を行う。
【0055】
一方、帯状に形成された密封用フィルム4は、最上流側においてロール状に巻回されている。ロール状に巻回された密封用フィルム4の引出し端は、シール装置18の方へと案内されている。シール装置18は、フィルム受けロール19と、加熱ロール20とを備えており、フィルム受けロール19に加熱ロール20が圧接可能に構成されている。そして、両ロール19,20間に容器フィルム3及び密封用フィルム4が送り込まれるようになっており、容器フィルム3及び密封用フィルム4が、両ロール19,20間を加熱圧接状態で通過することで、容器フィルム3に密封用フィルム4が貼着され、これにより、錠剤5が各ポケット部2に充填された帯状のPTPフィルム21が製造される。このとき、加熱ロール20の表面には、シール用の網目状の凸条が形成されており、これが強く圧接することで、強固なシールが実現されるようになっている。
【0056】
前記シール装置18の下流には、ポケット部2側から錠剤5等の異常を検出するための外観検査装置23が設けられている。尚、外観検査装置17,23によって不良品判定された場合、図示しない不良シート排出機構に不良品信号が送られ、その不良品判定となったPTPシート1は、不良シート排出機構によって別途排出され、図示しない不良品ホッパに移送されるようになっている。
【0057】
外観検査装置23の下流ではPTPフィルム21移送経路に沿って、スリット成形装置24及びシート打抜装置26が順に配設されている。スリット成形装置24は、PTPフィルム21の所定位置に前記横スリット6を形成する機能を有する。シート打抜装置26は、PTPフィルム21をPTPシート1単位に打抜く機能を有する。前記シート打抜装置26の下流側には、シート打抜装置26から落下する端材27を貯留するためのスクラップ用ホッパ28が設けられている。また、シート打抜装置26の下側には、打抜かれたPTPシート1を移送するためのコンベア29が設けられており、該PTPシート1は完成品用ホッパ30に移送されるようになっている。かかるPTP包装機10の各種動作は、後述するモータ62〜64等(図4参照)により実現されるようになっている。すなわち、包装用フィルム3の搬送及びポケット部形成装置14の駆動は本体駆動モータ62によって実現され、スリット成形装置24の駆動はスリッタ駆動モータ63によって実現され、シート打抜装置26の駆動はシート打抜器駆動モータ64によって実現され、充填装置16のシャッタの開閉は供給シャッタ65によって実現される。
【0058】
このようなPTP包装機10は、衛生面を考慮して、筐体内部に構築されている。例えば、上記充填装置16の部位が筐体内部に構築されている様子を、図3に示した。
【0059】
図3に示すように、PTP包装機10は、容器フィルム3の搬送方向(矢印Hで示す方向)を長手方向とする筐体本体71に収容されてなる。筐体本体71は、基部71Cと、基部71Cの上方に設けられてPTP包装機10の側方を覆う壁部71Bと、壁部71Bに連結されてPTP包装機10の上方を覆う屋根部71Aとを備えている。壁部71Bには、製造工程を監視可能な透明の窓部71Dが適宜、設けられている。
【0060】
本実施形態において、充填装置16に対応する部位における屋根部71A及び壁部71Bの一部には開口が形成されており、その開口に対応して、電動スライド式カバー72が設けられている。電動スライド式カバー72は、容器フィルム3の搬送方向に平行に摺動可能となっており、その開時には、屋根部71A及び壁部71Bの内側へ収容されるようになっている。そして、この電動スライド式カバー72の開放状態において、充填装置16(のホッパ)に対する錠剤5の補充が可能となっている。当該カバー72の開閉はカバー開閉モータ61(図4参照)によって実現される。
【0061】
基部71Cの上部(電動スライド式カバー72の周辺部)には、「開」の文字が表示された表示板73と、「閉」の文字が表示された表示板74とが設けられている。そして、これら表示板73,74には、開口部73A,74Aが形成されており、作業者は、この開口部73A,74Aに指を挿し入れることにより、上記電動スライド式カバー72の開閉を支持することができるようになっている。
【0062】
このように筐体内部に構築されたPTP包装機10に対し外部から種々の動作を指示するために、操作スイッチが設けられている。本実施形態は、この操作スイッチ等の構成に特徴を有するものであり、操作スイッチとして非接触式のスイッチを採用している。
【0063】
本実施形態では、非接触式スイッチを、上記筐体本体71の電動スライド式カバー72の開閉操作に適用した例について説明すると共に、それ以外の他の機構へ適用した例について説明する。前者は、図4に示すカバー開閉モータ61を制御するためのものであり、後者は、PTP包装機10の各種動作を実現するための本体駆動モータ62、スリッタ駆動モータ63、シート打抜器駆動モータ64、及び、供給シャッタ65を制御するためのものである。したがって、本実施形態におけるスイッチの構成は、カバー用のもの、他の機構用のものの2種類に大別される。
【0064】
カバー用のものは、図4に示すように、カバー開放用ランプ51、カバー開放用センサ52、カバー閉鎖用ランプ53、及び、カバー閉鎖用センサ54で構成されている。ランプ51,53は、例えばLEDなどで構成される。一方、センサ52,54は、光センサであり、受光量によって抵抗値が変化する素子などで構成される。これらランプ51,53及びセンサ52,54でカバー用スイッチが構成されており、図4中には、これを符号42として示した。そして、このカバー用スイッチ42により、制御装置41を介して、カバー開閉モータ61が制御されるようになっている。
【0065】
一方、他の機構用のものは、図4に示すように、パネル用行ランプ群55、パネル用行センサ群56、パネル用列ランプ群57、及び、パネル用列センサ群58で構成されている。これら、ランプ群55,57及びセンサ群56,58でパネルスイッチが構成されており、図4中には、これを符号43として示した。そして、このパネルスイッチ43により、制御装置41を介して、本体駆動モータ62、スリッタ駆動モータ63、シート打抜器駆動モータ64、及び、供給シャッタ65が制御されるようになっている。
【0066】
なお、制御装置41は、いわゆるコンピュータである。また、カバー開閉モータ61、本体駆動モータ62、スリッタ駆動モータ63、シート打抜器駆動モータ64、及び、供給シャッタ65が、駆動手段を構成し、図4中には、これを符号44で示した。これらについてここで説明しておく。
【0067】
カバー開閉モータ61は、上述した筐体本体71の電動スライド式カバー72を開閉するためのモータである。上記カバー用スイッチ42を介して電動スライド式カバー72の開放が指示されると、制御装置41を介して、電動スライド式カバー72を開放するように、カバー開閉モータ61が駆動される。一方、電動スライド式カバー72の閉鎖が指示されると、制御装置41を介して、電動スライド式カバー72を閉鎖するように、カバー開閉モータ61が駆動される。
【0068】
本体駆動モータ62は、PTP包装機10の搬送用の各ロール及びポケット部形成装置14を駆動するためのモータである。上記パネルスイッチ43を介してPTP包装機10の起動が指示されると、制御装置41を介して、本体駆動モータ62が駆動される。一方、PTP包装機10の停止が指示されると、制御装置41を介して、本体駆動モータ62の駆動が停止される。
【0069】
スリッタ駆動モータ63は、スリット成形装置24を駆動するためのモータである。上記パネルスイッチ43を介してスリット成形装置24の駆動が指示されると、制御装置41を介して、スリッタ駆動モータ63が駆動される。一方、スリット成形装置24の駆動停止が指示されると、制御装置41を介して、スリッタ駆動モータ63の駆動が停止される。
【0070】
シート打抜器駆動モータ64は、シート打抜装置26を駆動するためのモータである。上記パネルスイッチ43を介してシート打抜装置26の駆動が指示されると、制御装置41を介して、シート打抜器駆動モータ64が駆動される。一方、シート打抜装置26の駆動停止が指示されると、制御装置41を介して、シート打抜器駆動モータ64の駆動が停止される。
【0071】
供給シャッタ65は、充填装置16による錠剤5の供給を行うためのシャッタ駆動装置である。上記パネルスイッチ43を介して錠剤5の供給が指示されると、制御装置41を介して、供給シャッタ65が作動状態となる。一方、錠剤5の供給停止が指示されると、制御装置41を介して、供給シャッタ65の作動が停止される。
【0072】
次に、本実施形態の特徴的構成であるカバー用スイッチ42について説明し、続けて、パネルスイッチ43について説明する。
【0073】
図5(a)は、図4中の「開」の文字が表示された表示板73及びその周辺部を拡大して示した説明図である。図5(b)は、図5(a)のJ−J線概略断面図である。
【0074】
図5に示すように、表示板73は、基部71Cの前面側に取着されている。表示板73の下部には、開口部73Aが形成されている。これに対応させて、開口部73Aと丁度同じ径の開口部71Eが、基部71Cにも形成されている。これら開口部73A,71Eは、開口部73A,71Eの外縁に触れることなく、作業者が指(例えば人差し指)を差し入れるのに十分な径を有している。
【0075】
カバー開放用ランプ51及びカバー開放用センサ52は、基部71Cの背面側(内側)において、両者51,52が相対向するように水平に配置されている。
【0076】
かかる構成の下、カバー開放用ランプ51は、制御装置41により、常時、点灯される。これにより、非操作時(作業者が指を差し入れていないとき)には、矢印C1で示すように開放ランプ51から照射された光が開放センサ52により受光されることとなり、このときの受光量は、相対的に大きくなる。
【0077】
ここで作業者が電動スライド式カバー72を開放しようとする場合、指を開口部73A,71Eへ挿し入れる。図5(b)に二点鎖線で示す如くである。すると、作業者の指によってカバー開放用ランプ51からの光(矢印C1で示す光)が遮られるために、操作時(作業者が指を挿し入れたとき)には、カバー開放用センサ52の受光量が、相対的に小さくなる。
【0078】
制御装置41は、この受光量の変化を例えば抵抗値の変化として検知し、受光量が相対的に小さくなった場合には、図3に示すカバー開閉モータ61を駆動する。その結果、電動スライド式カバー72が開放される。
【0079】
なお、ここでは、開放についてのみ説明したが、閉鎖についても同様である。すなわち、カバー閉鎖用ランプ53及びカバー閉鎖用センサ54は、カバー開放用ランプ51及びカバー開放用センサ52と同様に、「閉」の文字が表示された表示板74の開口部74Aに対応させ、対向するように設けられている。そして、非操作時(作業者が指を差し入れていないとき)には、カバー閉鎖用ランプ53からのカバー閉鎖用センサ54の受光量が相対的に大きくなるようになっている。ここで、電動スライド式カバー72を閉鎖しようとする場合、作業者が指を表示板74の開口部へ挿し入れることにより、操作時(作業者が指を挿し入れたとき)には、カバー閉鎖用センサ54の受光量が、相対的に小さくなる。これにより、制御装置41を介して、電動スライド式カバー72が閉鎖される。
【0080】
続けてパネルスイッチ43について説明する。
【0081】
パネルスイッチ43は、図6に示すように、行列状(ここでは4行4列)に動作の内容表示がなされたパネル75に対応させて設けられている。具体的には、上述の行ランプ群55、行センサ群56、列ランプ群57、及び、列センサ群58は、パネル75の手前側(紙面の手前側)に配置されている。
【0082】
パネル用行ランプ群55は4つのランプ55A,55B,55C,55Dで構成されており、これらランプ55A〜55Dは、LEDなどで構成され、パネルの左側に等間隔で縦方向に配置されている。パネル用行センサ群56は4つのセンサ56A,56B,56C,56Dで構成されており、これらセンサ56A〜56Dは、光センサなどで構成され、パネルの右側に、上記ランプ55A〜55Dにそれぞれ相対向するよう縦方向に配置されている。
【0083】
また、パネル用列ランプ群57は4つのランプ57A,57B,57C,57Dで構成されており、これらランプ57A〜57Dは、LEDなどで構成され、パネルの上側に等間隔で横方向に配置されている。パネル用列センサ群58は4つのセンサ58A,58B,58C,58Dで構成されており、これらセンサ58A〜58Dは、光センサなどで構成され、パネルの下側に、上記ランプ57A〜57Dにそれぞれ対向するように横方向に配置されている。
【0084】
つまり、ランプ55A〜55D,57A〜57Dとセンサ56A〜56D,58A〜58Dとをそれぞれ直線で結んだ場合、その直線の交点が4行4列のマトリックスを形成するようになっている。そして、この交点に対応する位置(検知位置)に、パネル75による内容表示がなされている。
【0085】
ここで、作業者がPTP包装機10の起動、すなわち、PTP包装機10の搬送用の各ロール等の駆動を指示する場合を例に挙げて説明する。図7(a)は、図6のK−K線概略断面図であり、図7(b)は、図6のL−L線概略断面図である。
【0086】
作業者が、指(例えば人差し指)をパネル75の「起動」の表示に近づけると、図7(a)に示すように、ランプ55Aからセンサ56Aに向かう光(矢印C2で示した光)が遮られることになる。また、これと共に(同時に)、図7(b)に示すように、ランプ57Aからセンサ58Aへ向かう光(矢印C3で示した)が遮られることになる。その結果、2つのセンサ56A,58Aの受光量が相対的に小さくなる。制御装置41は、これらセンサ56A,58Aの受光量の減少を判断して、本体駆動モータ62を駆動する。これによって、PTP包装機10が起動される。
【0087】
なお、ここでは、PTP包装機10の起動が指示された場合を例に挙げて説明したが、パネル75における内容表示に対応する2つのセンサに基づき、各動作の指示を判断することができる。例えばPTP包装機10の停止指示は、対応する2つのセンサ56B,58Aに基づいて、判断することができる。
【0088】
ところで、上記カバー用スイッチ42においては、カバー開放用ランプ51及びカバー閉鎖用ランプ53は常時、点灯されていた。これに対し、パネルスイッチ43においては、8つのランプ55A〜55D,57A〜57Dの点灯タイミングが、制御装置41によって制御されている。これら8つのランプ55A〜55D,57A〜57Dに対し便宜的に記号(a)〜(h)を付して示すと、各ランプ(a)〜(h)の点灯タイミングは、図8に示すように制御される。図8では、横軸を時刻tとし、縦軸に各ランプ(a)〜(h)のオン/オフ状態を示した。HIGHレベルが点灯状態(オン)を示し、LOWレベルが消灯状態(オフ)を示している。なお、時刻T0から時刻T1までの期間(以下、時刻xから時刻yまでの期間を、期間[x,y]と記述する)及び、期間[T1,T2]、期間[T2,T3]、期間[T3,T4]、期間[T4,T5]はそれぞれ、一定の期間である。
【0089】
図8に示すように、まず期間[T0,T1]においてランプ(a)が点灯状態となり、次の期間[T1,T2]においてランプ(b)が点灯状態となり、同様に、期間[T2,T3]においてランプ(c)、期間[T3,T4]においてランプ(d)が、そしてまた、期間[T4,T5]においてランプ(a)が点灯状態となるという具合に、ランプ(a)〜(d)は同時に点灯されることなく、それぞれ順に点灯されるように制御される。
【0090】
また、ランプ(a)〜(d)が点灯される各期間が4等分されており、ランプ(a)〜(d)がそれぞれ点灯状態にある各期間に、ランプ(e)→ランプ(f)→ランプ(g)→ランプ(h)という具合に、4つのランプ(e)〜(h)が順に点灯状態となるよう制御される。
【0091】
すなわち、ランプ(a)〜(d)(パネル用行ランプ群55に属するランプ55A〜55D)が同時に点灯されることがないようになっている。そして、各ランプ(a)〜(d)が点灯状態にあるときに、ランプ(e)〜(h)(パネル用列ランプ群57に属するランプ57A〜57D)が点灯状態とされるのであるが、これら各ランプ(e)〜(h)が同時に点灯されることがないようになっている。
【0092】
そして、点灯状態にあるランプ(a)〜(h)にそれぞれ相対向するセンサ56A〜56D,58A〜58Dによる検知結果に基づいて、制御装置41は、作業者の指が検知位置へ到達したことを判断するようになっている。これにより、他のランプからの誤った遮光検出(誤検出)が防止されるようになっている。
【0093】
なお、本実施形態においては、図3に示したカバー用スイッチ42を構成するカバー開放用ランプ51及びカバー閉鎖用ランプ53、並びに、パネルスイッチ43を構成するパネル用行ランプ群55及びパネル用列ランプ群57が「発光手段」に相当し、カバー用スイッチ42を構成するカバー開放用センサ52及びカバー閉鎖用センサ54、並びに、パネルスイッチ43を構成するパネル用行センサ群56及びパネル用列センサ群58が「光検知手段」に相当する。そして、これらが「検知手段」を構成している。
【0094】
また、図3に示した制御装置41が「制御手段」に相当し、図4に示した表示板73,74、及び、図6に示したパネル75が「表示手段」に相当する。
【0095】
以上詳述したように、本実施形態では、カバー用スイッチ42及びパネルスイッチ43が非接触のスイッチとして構成されており、これらのスイッチ42,43によって作業者の指が検知位置に到達したことが検知される。そして、検知結果に基づき、制御装置41によって、作業者の指が検知位置に到達したことが検知されると、対応する駆動手段44へ信号出力を行うことによって作業者の所望の動作が実現される。
【0096】
これによって、作業者は、PTP包装機10に触れることなく、所望の動作をPTP包装機10に行わせることができ、結果として、例えば手袋の着脱といった煩わしさを払拭しつつ、衛生面を考慮した適切な作業を行うことができる。
【0097】
また、本実施形態では、カバー用スイッチ42に関しては、表示板73,74に開口部73A,74Aが形成されており、この開口部73A,74Aの奥側に検知位置が設定されている。そして、開口部73A,74Aに対応させて、表示板73,74に電動スライド式カバー72の動作内容である「開」、「閉」が表示されている。これによって、作業者は、設定された検知位置を確実に把握することができると共に、当該検知位置に対応する動作の内容を確実に把握することができる。
【0098】
さらにまた、本実施形態では、パネル75の手前側に行列状に検知位置が配置されるように、パネル用行ランプ群55、パネル用行センサ群56、パネル用列ランプ群57、及び、パネル用列センサ群58が配置されている。これによって、スイッチ操作のためにあちこち振り回されたりすることなく、作業者は、パネル75の内容表示に基づいて、各動作の指示を一局集中的に行うことができる。また、指をかざすだけスイッチ操作が実現され、押圧操作やレバー操作を必要としないため、作業性の飛躍的な向上を図ることができる。
【0099】
しかも、ランプ55A〜55D,57A〜57D及びセンサ56A〜56D,58A〜58Dが縦横に配置されることにより、検知位置への到達が行方向及び列方向から検知されるようにしたため、計16個の検知位置が、当該検知位置の数よりも少ない各8個のランプ55A〜55D,57A〜57D及びセンサ56A〜56D,58A〜58Dで設定されている。これによって、PTP包装機10のコストアップを抑止することができる。
【0100】
加えて、パネル75には計16個の検知位置に対応するように行列状にエリアが設けられ、ここに内容表示がなされている。これによって、作業者は、設定された検知位置を確実に把握できると共に当該検知位置に対応する動作の内容を確実に把握できる。
【0101】
また、本実施形態では、ランプ51,53,55A〜55D,57A〜57D及びセンサ52,54,56A〜56D,58A〜58Dで検知手段を構成した。これによって比較的簡単な構成で、確実に検知位置への到達を判断できると共に、この点でも、PTP包装機10のコストアップを抑えることができる。
【0102】
さらにまた、動作の内容表示を表示板73,74及びパネル75で行う構成であるため、例えばモニタ装置などを用いて動作の内容表示を行う構成と比較してPTP包装機10のコストアップを抑えることができる。
【0103】
また、本実施形態では、図8に示すように、ランプ(a)〜(d)(パネル用行ランプ群55に属するランプ55A〜55D)が同時に点灯されることがないようになっている。そして、各ランプ(a)〜(d)が点灯状態にあるときに、ランプ(e)〜(h)(パネル用列ランプ群57に属するランプ57A〜57D)が点灯状態とされるのであるが、これらランプ(e)〜(h)が同時に点灯されることがないようになっている。これによって、行列状に検知位置が配置されていても(図6参照)、ランプ55Aからの光をセンサ56Bが受光するというような、対応しないランプからの光によるセンサの誤検出が生じにくい。検知位置への到達を確実に検知することができる。
【0104】
以上、一実施形態について説明したが、このような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々なる形態で実施できる。
【0105】
(a)上記実施形態では、ランプ51,53,55A〜55D,57A〜57D及びセンサ52,54,56A〜56D,58A〜58Dで検知手段が構成されていた。つまり、光源からの光量の変化に基づいて作業者の指の到達を判断していた。
【0106】
これに対して、三次元計測手法を用い、パネル75に対応する検知位置への作業者の指の到達を検知するようにしてもよい。例えば、座標位置によって照射時間、輝度、又は、波長の異なる光源を用い、ライン光でパネル75を走査する。これをカメラで撮像することによって、作業者の指からの乱反射光を検出し、そのタイミング(時間)、輝度、又は、波長と、座標位置とから、作業者の指が検知位置に到達したか否かを検知するようにしてもよい。また例えば、2方向から撮像を行い、ステレオ法を用いて、作業者の指が検知位置に到達したか否かを検知するようにしてもよい。
【0107】
また、静電容量の変化、あるいは、磁界・電界の乱れなどによって、作業者の指の到達を検知するようにしてもよい。
【0108】
(b)上記実施形態では、ランプ(a)〜(h)の点灯タイミングを制御装置41によって制御することにより、センサ56A〜56D,58A〜58Dの誤検知を防止していた。
【0109】
これに対して、例えば、少なくとも隣り合うランプについては光の波長を変えたり、あるいは、ランプ又はセンサ側に特定の波長を有する光のみを通過させるフィルタを設置したりするようにしてもよい。
【0110】
(c)上記実施形態では動作の内容表示をパネル75で行う構成であったが、パネル75に代え、例えばモニタ装置の表示画面に動作の内容表示を行う構成としてもよい。この場合、内容表示を切り換えると共に、検知位置に対応する動作内容を切り換える(制御装置41による信号の出力先を切り換える)ようにすれば、上記実施形態のような計16個の検知位置によって、16個以上の動作を実現することができ、作業者は、表示画面の内容表示に基づいて、各動作の指示を、より集中的に行うことができる。さらに、内容表示と制御装置41による信号の出力先が切り換えられるのみで、ランプ55A〜55D,57A〜57D及びセンサ56A〜56D,58A〜58Dは共通利用できるため、PTP包装機10のコストアップを抑えることができる。
【0111】
(d)上記実施形態においてパネル75に示した各動作は一例であり、他の動作を実現するにあたって本発明を採用してもよい。例えば、PTP包装機10における錠剤の品種の設定や選択、検査結果などを表示するためのモニタ画面の表示内容の切り替え、加熱ロール20のヒータの温度や搬送スピードなどの諸々の設定データに関する変更、検査を行うか否かの切り替え、不良排出を行うか否かの切り替え、フィルム通しモードなどの運転状態の選択、PTP包装機10の休憩停止、終了停止などに応用することができる。
【0112】
(e)上記実施形態では、本体駆動モータ62によって、PTP包装機10の各ロールと共にポケット部形成装置14が駆動される構成であった。
【0113】
これに対して、ポケット部形成装置14を独立して駆動制御可能としてもよく、この場合、例えば図6に示したパネルスイッチ43に、ポケット部形成装置14の駆動/駆動停止を指示するための検知位置を設定し、パネル75に動作の内容表示を行うことにより、スイッチを追加することが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】(a)はPTPシートの表側を示す斜視図であり、(b)はPTPシートの部分拡大断面図である。
【図2】実施形態のPTP包装機を示す概略構成図である。
【図3】電動スライド式カバーの開閉を示すための説明図である。
【図4】操作スイッチを含む電気的構成を示すブロック図である。
【図5】カバー用スイッチの構成を示すものであり、(a)は図4の表示板及びその周辺部分の拡大図であり、(b)は、(a)のJ−J線概略断面図である。
【図6】パネルスイッチの構成を示すための説明図である。
【図7】(a)は図6のK−K線概略断面図であり、(b)は図6のL−L線概略断面図である。
【図8】ランプの点灯タイミングを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0115】
1…PTPシート、2…ポケット部、3…容器フィルム、4…密封用フィルム、5…錠剤、6…スリット、10…PTP包装機、41…制御装置、42…カバー用スイッチ、43…パネルスイッチ、44…駆動手段、51…カバー開放用ランプ、52…カバー開放用センサ、53…カバー閉鎖用ランプ、54…カバー閉鎖用センサ、55…パネル用行ランプ群、56…パネル用行センサ群、57…パネル用列ランプ群、58…パネル用列センサ群、55A〜55D,57A〜57D…ランプ、56A〜56D,58A〜58D…センサ、61…カバー開閉モータ、62…本体駆動モータ、63…スリッタ駆動モータ、64…シート打抜器駆動モータ、65…供給シャッタ、71…筐体本体、71A…屋根部、71B…壁部、71C…基部、71D…窓部、71E…開口部、72…電動スライド式カバー、73,74…表示板、73A,74A…開口部、75…パネル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の動作を外部から指示可能に構成されたPTPシートの製造装置において、
前記動作に対応して予め設定された検知位置に人体の一部が到達したことを、非接触で検知する検知手段と、
前記検知手段による検知結果に基づき、前記到達を判断すると、前記検知位置に対応する前記動作を実現するための信号出力を行う制御手段とを備えていることを特徴とするPTPシートの製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載のPTPシートの製造装置において、
前記検知位置に対応させて前記動作の内容表示を行う表示領域を有する表示手段を備えていることを特徴とするPTPシートの製造装置。
【請求項3】
請求項2に記載のPTPシートの製造装置において、
前記表示領域又はその近傍における前記表示手段に、前記人体の一部を挿入可能な開口部を形成し、前記検知位置を、当該開口部に対応させて設定したことを特徴とするPTPシートの製造装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のPTPシートの製造装置において、
前記検知位置を、行列状に設定したことを特徴とするPTPシートの製造装置。
【請求項5】
PTPシートを製造するための各種の動作を外部から指示可能に構成されたPTPシートの製造装置において、
前記動作に対応して予め設定された検知位置に人体の一部が到達したことを、当該到達による光源からの光量の変化に基づき、非接触で検知する検知手段と、
前記検知位置に対応させて動作の内容表示を行う表示領域を有する表示手段と、
前記検知手段による検知結果に基づき、前記到達を判断すると、前記検知位置に対応する前記動作を実現するための信号出力を行う制御手段とを備えていることを特徴とするPTPシートの製造装置。
【請求項6】
請求項5に記載のPTPシートの製造装置において、
前記検知手段は、前記光源としての発光手段と、前記光量の変化を検知する光検知手段とを備えていることを特徴とするPTPシートの製造装置。
【請求項7】
請求項6に記載のPTPシートの製造装置において、
前記発光手段及び前記光検知手段を行方向及び列方向に対向させて設けることによって、前記検知位置を前記表示領域の手前側に行列状に設定し、前記行方向及び前記列方向の両方向から、前記検知位置への到達を判断するように構成したことを特徴とするPTPシートの製造装置。
【請求項8】
請求項7に記載のPTPシートの製造装置において、
前記表示領域を行列状に設定し、各表示領域において前記動作の内容表示を行うことを特徴とするPTPシートの製造装置。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のPTPシートの製造装置において、
前記制御手段は、前記行方向又は列方向に並べて配置される複数の発光手段が同時に点灯状態とならないよう制御すると共に、前記点灯状態にある発光手段に対向する前記光検知手段による検知結果に基づき、前記検知位置への到達を判断することを特徴とするPTPシートの製造装置。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれかに記載のPTPシートの製造装置において、
前記表示領域又はその近傍における前記表示手段に、前記人体の一部を挿入可能な開口部を形成し、前記開口部の奥側に前記発光手段及び前記光検知手段を対向させて設けることによって、前記検知位置を、前記開口部に対応させて設定したことを特徴とするPTPシートの製造装置。
【請求項11】
請求項10に記載のPTPシートの製造装置において、
前記表示手段による前記内容表示を、前記開口部に対応させて行うことを特徴とするPTPシートの製造装置。
【請求項12】
請求項2乃至11のいずれかに記載のPTPシートの製造装置において、
前記表示手段は板状のパネルで構成され、前記内容表示が固定的なものとなっていることを特徴とするPTPシートの製造装置。
【請求項13】
請求項2乃至11のいずれかに記載のPTPシートの製造装置において、
前記表示手段はモニタ装置で構成され、前記内容表示が可変的なものとなっており、
前記制御手段は、前記検知位置に対応する前記動作の中で、前記内容表示に応じた動作を実現するための信号出力を行うことを特徴とするPTPシートの製造装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載のPTPシートの製造装置において、
前記各種の動作を実現するための駆動手段を備えており、
前記制御手段は、前記信号出力を行うことによって、前記検知位置に対応する動作を実現するための駆動手段を制御することを特徴とするPTPシートの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−335450(P2006−335450A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−164998(P2005−164998)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(000106760)シーケーディ株式会社 (627)
【Fターム(参考)】