説明

PUFAを含有する組成物及びそれを使用した方法

【課題】記憶障害、精神障害、又は脳の疾患若しくは障害を有する対象者を治療する方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る方法は、記憶障害、精神障害、又は脳の疾患若しくは障害を有する対象者に、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、ウリジン、それらの代謝前駆体、又はそれらの組み合わせを含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、神経細胞又は脳細胞のリン脂質、シナプス、シナプス・タンパク質及びシナプス膜の合成及びレベルを増加又は増進させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、神経細胞又は脳細胞のリン脂質、シナプス、シナプス・タンパク質及びシナプス膜の合成及びレベルを増加又は増進させる方法を提供する。また、本発明は、記憶障害、精神障害、又は脳の疾患若しくは障害を有する対象者を治療する方法であって、前記対象者に、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、ウリジン、それらの代謝前駆体、又はそれらの組み合わせを含有する組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
認知症は、その人の日常活動を行う能力に対して深刻な影響を与える脳疾患である。高齢者に最も多く見られる認知症は、アルツハイマー病(Alzheimer' s disease:AD)である。アルツハイマー病は、病初では、脳の思考、記憶及び言語を司る部分に影響を及ぼす。記憶及び認知(思考)機能の低下は、多くの専門家の間では、老化の通常の結果であると考えられている。ARCD(加齢関連認知低下)の人々には、記憶及び学習、注意及び集中、思考、言語の使用、並びに他の精神機能の低下が認められる。当該技術分野では、これらの病気及び疾患の治療方法が、至急必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、神経細胞又は脳細胞のリン脂質、シナプス、シナプス・タンパク質及びシナプス膜の合成及びレベルを増加又は増進させる方法を提供する。また、本発明は、記憶障害、精神障害、又は脳の疾患若しくは障害を有する対象者を治療する方法であって、前記対象者に、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、ウリジン、それらの代謝前駆体、又はそれらの組み合わせを含有する医薬組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0004】
ある実施形態では、本発明は、加齢関連記憶障害の対象者における神経細胞又は脳細胞のシナプス膜の量を増加させる方法であって、前記対象者に、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、それによって、加齢関連記憶障害の対象者における神経細胞又は脳細胞のシナプス膜の量を増加させるようにした方法を提供する。
【0005】
他の実施形態では、本発明は、加齢関連記憶障害の対象者における神経細胞又は脳細胞のシナプス膜の量を増加させる方法であって、前記対象者に、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、それによって、加齢関連記憶障害の対象者における神経細胞又は脳細胞のシナプス膜の量を増加させるようにした方法を提供する。
【0006】
他の実施形態では、本発明は、加齢関連記憶障害の対象者における神経細胞又は脳細胞のシナプス膜の量を増加させる方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、加齢関連記憶障害の対象者における神経細胞又は脳細胞のシナプス膜の量を増加させるようにした方法を提供する。
【0007】
他の実施形態では、本発明は、加齢関連記憶障害の対象者における神経細胞又は脳細胞のシナプス膜の量を増加させる方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、加齢関連記憶障害の対象者における神経細胞又は脳細胞のシナプス膜の量を増加させるようにした方法を提供する。
【0008】
他の実施形態では、本発明は、アルツハイマー病、記憶障害又は記憶喪失の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、前記オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体で神経細胞内のリン脂質の合成を増加させることによって、アルツハイマー病、記憶障害又は記憶喪失の対象者を治療するようにした方法を提供する。
【0009】
他の実施形態では、本発明は、アルツハイマー病、記憶障害又は記憶喪失の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する医薬組成物を投与するステップを含み、前記オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体で神経細胞内のリン脂質の合成を増加させることによって、アルツハイマー病、記憶障害又は記憶喪失の対象者を治療するようにした方法を提供する。
【0010】
他の実施形態では、本発明は、アルツハイマー病、記憶障害又は記憶喪失の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、アルツハイマー病、記憶障害又は記憶喪失の対象者を治療するようにした方法を提供する。
【0011】
他の実施形態では、本発明は、アルツハイマー病、記憶障害又は記憶喪失の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、アルツハイマー病、記憶障害又は記憶喪失の対象者を治療するようにした方法を提供する。
【0012】
他の実施形態では、本発明は、ピック病、レビー小体病、ハンチントン病及び軽度認知障害(MCI:mild cognitive impairment)から成る群より選択される記憶障害を有する対象者を治療する方法であって、前記対象者に、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する医薬組成物を投与するステップを含み、前記オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体で神経細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、ピック病、レビー小体病、ハンチントン病及びMCIから成る群より選択される記憶障害を有する対象者を治療するようにした方法を提供する。
【0013】
他の実施形態では、本発明は、ピック病、レビー小体病、ハンチントン病及びMCIから成る群より選択される記憶障害を有する対象者を治療する方法であって、前記対象者に、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する医薬組成物を投与するステップを含み、前記オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体で神経細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、ピック病、レビー小体病、ハンチントン病及びMCIから成る群より選択される記憶障害を有する対象者を治療するようにした方法を提供する。
【0014】
他の実施形態では、本発明は、ピック病、レビー小体病、ハンチントン病及びMCIから成る群より選択される病気を有する対象者を治療する方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、前記組成物で神経細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、前記記憶障害を有する対象者を治療するようにした方法を提供する。
【0015】
他の実施形態では、本発明は、ピック病、レビー小体病、ハンチントン病及びMCIから成る群より選択される記憶障害を有する対象者を治療する方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、前記組成物で神経細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、前記記憶障害を有する対象者を治療するようにした方法を提供する。
【0016】
他の実施形態では、本発明は、加齢関連記憶障害の対象者における脳内のシナプスのサイズ及び数を増加させる方法であって、前記対象者に、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、それによって、加齢関連記憶障害の対象者における脳内のシナプスのサイズ及び数を増加させるようにした方法を提供する。
【0017】
他の実施形態では、本発明は、加齢関連記憶障害の対象者における脳内のシナプスのサイズ及び数を増加させる方法であって、前記対象者に、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、それによって、加齢関連記憶障害の対象者における脳内のシナプスのサイズ及び数を増加させるようにした方法を提供する。
【0018】
他の実施形態では、本発明は、加齢関連記憶障害の対象者における脳内のシナプスのサイズ及び数を増加させる方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、加齢関連記憶障害の対象者における脳内のシナプスのサイズ及び数を増加させるようにした方法を提供する。
【0019】
他の実施形態では、本発明は、加齢関連記憶障害の対象者における脳内のシナプスのサイズ及び数を増加させる方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、加齢関連記憶障害の対象者における脳内のシナプスのサイズ及び数を増加させるようにした方法を提供する。
【0020】
他の実施形態では、本発明の方法及び組成物のいずれかは、オメガ3脂肪酸及びコリンの投与を含む。他の実施形態では、本発明の方法及び組成物のいずれかは、オメガ3脂肪酸及びコリン塩の投与を含む。他の実施形態では、本発明の方法及び組成物のいずれかは、オメガ6脂肪酸及びコリンの投与を含む。他の実施形態では、本発明の方法及び組成物のいずれかは、オメガ6脂肪酸及びコリン塩の投与を含む。
【0021】
他の実施形態では、本発明の方法及び組成物のいずれかは、オメガ3脂肪酸、ウリジン及びコリンの投与を含む。他の実施形態では、本発明の方法及び組成物のいずれかは、オメガ3脂肪酸、ウリジン及びコリン塩の投与を含む。他の実施形態では、本発明の方法及び組成物のいずれかは、オメガ6脂肪酸、ウリジン及びコリンの投与を含む。他の実施形態では、本発明の方法及び組成物のいずれかは、オメガ6脂肪酸、ウリジン及びコリン塩の投与を含む。
【0022】
他の実施形態では、本発明の方法及び組成物のいずれかは、オメガ6脂肪酸及びオメガ3脂肪酸の投与を含む。他の実施形態では、本発明の方法及び組成物のいずれかは、オメガ6脂肪酸、オメガ3脂肪酸及びウリジンの投与を含む。他の実施形態では、本発明の方法及び組成物のいずれかは、オメガ6脂肪酸、オメガ3脂肪酸及びコリンの投与を含む。他の実施形態では、本発明の方法及び組成物のいずれかは、オメガ6脂肪酸、オメガ3脂肪酸及びコリン塩の投与を含む。他の実施形態では、本発明の方法及び組成物のいずれかは、オメガ6脂肪酸、オメガ3脂肪酸、ウリジン及びコリンの投与を含む。他の実施形態では、本発明の方法及び組成物のいずれかは、オメガ6脂肪酸、オメガ3脂肪酸、ウリジン及びコリン塩の投与を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、神経細胞又は脳細胞のリン脂質、シナプス、シナプス・タンパク質及びシナプス膜の合成及びレベルを増加又は増進させる方法を提供する。また、本発明は、記憶障害、精神障害、又は脳の疾患若しくは障害を有する対象者を治療する方法であって、前記対象者に、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、ウリジン、それらの代謝前駆体又はそれらの組み合わせを含有する医薬組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0024】
他の実施形態では、本発明は、対象者の神経細胞のリン脂質レベルを増加させる方法であって、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を前記対象者に投与するステップを含み、それによって、対象者の神経細胞のリン脂質レベルを増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0025】
本発明に係る方法及び組成の他の実施形態では、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、ウリジン、コリン、コリン塩、又はそれらの組み合わせは、医薬組成物によって投与される。
【0026】
本発明に係る方法及び組成の他の実施形態では、投与される組成物は、対象者の神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させる。他の実施形態では、オメガ3脂肪酸は、対象者の神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させる。他の実施形態では、オメガ6脂肪酸は、対象者の神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させる。他の実施形態では、ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリンは、対象者の神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させる。他の実施形態では、コリンは、対象者の神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させる。他の実施形態では、コリン塩は、対象者の神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させる。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0027】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳細胞のリン脂質レベルを増加させる方法であって、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を前記対象者に投与するステップを含み、それによって、対象者の脳細胞のリン脂質レベルを増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0028】
他の実施形態では、本発明は、対象者の神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加又は増進させる方法であって、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を前記対象者に投与するステップを含み、それによって、対象者の神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加又は増進させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0029】
実施例1及び5の結果は、神経細胞又は脳細胞にオメガ3脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid:DHA)を投与すると、それらのリン脂質合成が増加することを示す(標識されたコリンが組み込まれることからわかるように)。オメガ3脂肪酸の投与により、全リン脂質、ホスファチジルコリン、及びホスファチジルエタノールアミン(実施例2)の合成が増加した。これは、オメガ3脂肪酸の効果が特定のリン脂質に限定されるものではないことを示す。PC12細胞は、神経細胞の分化機能を示し、神経細胞の細胞系モデルとして当該技術分野に一般的に使用されている。実施例11に提示されている結果は、オメガ3脂肪酸が短期間の培養でニューロンのリン脂質の合成を増加させることを示す。
【0030】
他の実施形態では、本発明は、対象者における神経細胞又は脳細胞のシナプス膜の量を増加させる方法であって、前記対象者に、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、それによって、対象者における神経細胞又は脳細胞のシナプス膜の量を増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0031】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物によって増加するリン脂質は、ホスファチジン酸である。他の実施形態では、「ホスファチジン酸」という用語は、「ホスファチド」という用語と同意語である。他の実施形態では、リン脂質はホスファチジルコリン(「PC」、実施例1)である。他の実施形態では、リン脂質はホスファチジルエタノールアミン(「PE」、実施例2)である。他の実施形態では、リン脂質はホスファチジルセリン(「PS」)である。他の実施形態では、リン脂質はホスファチジルイノシトール(「PI」)である。他の実施形態では、リン脂質はスフィンゴミエリンである。他の実施形態では、リン脂質はホスホグリセリドである。他の実施形態では、リン脂質は当該技術分野で周知の他のリン脂質である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0032】
他の実施形態では、本発明に係る方法によって著しく増加するPIは、1つ以上の二次メッセンジャー分子のリザーバーとして働く。他の実施形態では、二次メッセンジャー分子は、イノシトール1,4,5-トリスリン酸(IP)である。他の実施形態では、二次メッセンジャー分子は、ジアシルグリセロール(diacylglycerol:DAG)である。他の実施形態では、タンパク質キナーゼC(protein kinase C:PKC)シグナル伝達は、本発明に係る方法及び組成物によって増加する。他の実施形態では、IPのシグナル経路の下流は、本発明に係る方法及び組成物によって活性化する。他の実施形態では、細胞内カルシウムのレベルは、本発明に係る方法及び組成物によって増加する。他の実施形態では、DAGのシグナル経路の下流は、本発明に係る方法及び組成物によって活性化する。他の実施形態では、PKCのシグナル経路の下流は、本発明に係る方法及び組成物によって活性化する。他の実施形態では、細胞内カルシウムのシグナル経路の下流は、本発明に係る方法及び組成物によって活性化する。
【0033】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物によって著しく増加するスフィンゴミエリンは、セラミド源として働く。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0034】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物におけるDHA及び/又はUMPは、細胞リン脂質のバルク前駆体(bulk precursor)として働く。他の実施形態では、UMPは、ウリジンから形成されるUMPのP2Y受容体を活性化することで作用する。他の実施形態では、DHAは、シンタクシン3を活性化することで作用する。他の実施形態では、これらの機構の組み合わせが使用される。
【0035】
他の実施形態では、本明細書に提示されているデータに示されているように、DHA及び/又はUMPの投与は、シナプス形成又は髄鞘形成の障害を特徴とする疾患の治療及び/又は防止に対して有効である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0036】
ここに記載しているように、アレチネズミ(人間のものと類似するピリミジン代謝を有する)にPUFA及び/又はウリジンを投与すると、神経突起の神経原線維のタンパク質であるNF−70及びNF−M、後シナプス肥厚タンパク質であるPSD−95、及び小胞タンパク質であるシナプシン1のレベルが増加する(実施例7)。したがって、PUFAを投与することで、脳及び神経細胞のシナプス膜のレベルが増加する。他の実施形態では、本発明で使用される条件下では、本発明に係る方法及び組成物は、神経シグナリングの増大に対しても有用である。他の実施形態では、本発明で使用される条件下では、本発明に係る方法及び組成物は、神経機能の増進に対しても有用である。他の実施形態では、本発明で使用される条件下では、本発明に係る方法及び組成物は、神経突起の成長に対しても有用である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0037】
本発明に係る方法及び組成物に使用されるオメガ3脂肪酸は、他の実施形態では、オメガ3ポリ不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acid:PUFA)である。他の実施形態では、オメガ3脂肪酸は、DHAである(実施例1及び2)。DHAは、オメガ3、ポリ不飽和、22炭素の脂肪酸であり、4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸とも呼ばれる。
【0038】
他の実施形態では、オメガ3脂肪酸は、αリノレン酸(9,12,15−オクタデカトリエン酸)である。他の実施形態では、オメガ3脂肪酸は、ステアリドン酸(6,9,12,15−オクタデカテトラエン酸)である。他の実施形態では、オメガ3脂肪酸は、エイコサトリエン酸(ETA、11,14,17−エイコサトリエン酸)である。他の実施形態では、オメガ3脂肪酸は、エイコサテトラエン酸(8,11,14,17エイコサテトラエン酸)である。他の実施形態では、オメガ3脂肪酸は、エイコサペンタエン酸(EPA、5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸)である。他の実施形態では、オメガ3脂肪酸は、エイコヘキサエン酸(これも「EPA」と呼ばれる、5,7,9,11,14,17−エイコヘキサエン酸)である。他の実施形態では、オメガ3脂肪酸は、ドコサペンタエン酸(DPA、7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸)である。他の実施形態では、オメガ3脂肪酸は、テトラコサヘキサエン酸(6,9,12,15,18,21テトラコサヘキサエン酸)である。他の実施形態では、オメガ3脂肪酸は、当該技術分野で周知の他のオメガ3脂肪酸である。各オメガ3脂肪酸は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0039】
他の実施形態では、オメガ3脂肪酸は、抗炎症性PUFAである。他の実施形態では、抗炎症性PUFAは、エイコサペンタエン酸(EPA、5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸)である。他の実施形態では、抗炎症性PUFAは、DHAである。他の実施形態では、抗炎症性PUFAは、当該技術分野で周知の他のPUFAである。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0040】
ここに記載しているように、DHA、EPA、及びアラキドン酸(AA)は全て脳のリン脂質レベルを増加させる(実施例8)。したがって、本明細書に記載している効果は、特定のPUFAに限られるものではなく、むしろ、本発明で使用される条件下で1つのファミリとしてのオメガ3及びオメガ6PUFAに一般的なものである。
【0041】
他の実施形態では、オメガ3脂肪酸は、DHAの代謝前駆体である。他の実施形態では、前記代謝前駆体はEPAである。他の実施形態では、前記代謝前駆体はドコサペンタエン酸(DPA、7,10,13,16,19−ドコサペンタエン酸)である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0042】
他の実施形態では、「代謝前駆体」は、血流又は組織内の脂肪酸の濃度を増加させる化合物を意味する。他の実施形態では、「代謝前駆体」は、組織又は酵素によって脂肪酸に代謝される化合物を意味する。他の実施形態では、「代謝前駆体」は、標的細胞によって脂肪酸に代謝される化合物を意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0043】
本発明に係る方法及び組成物の他の実施形態では、オメガ3脂肪酸の代謝前駆体は、αリノレン酸である。αリノレン酸は、EPA(エイコサペンタエン酸)及びDHA(ドコサヘキサエン酸)の前駆体である。他の実施形態では、前記代謝前駆体は、当該技術分野で周知の他のオメガ3脂肪酸前駆体である。各オメガ3脂肪酸の前駆体は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0044】
「PUFA」は、他の実施形態では、オメガ3脂肪酸を意味する。他の実施形態では、この用語は、オメガ6脂肪酸を意味する。他の実施形態では、この用語は、2つ以上の二重結合を有する脂肪酸を意味する。他の実施形態では、この用語は、2つの二重結合を有する脂肪酸を意味する。他の実施形態では、この用語は、3つの二重結合を有する脂肪酸を意味する。他の実施形態では、この用語は、3つ以上の二重結合を有する脂肪酸を意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0045】
他の実施形態では、本発明は、対象者における神経細胞又は脳細胞のシナプス膜の量を増加させる方法であって、前記対象者に、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、それによって、対象者における神経細胞又は脳細胞のシナプス膜の量を増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0046】
他の実施形態では、本発明は、対象者の神経細胞のリン脂質レベルを増加させる方法であって、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を前記対象者に投与するステップを含み、それによって、対象者の神経細胞のリン脂質レベルを増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0047】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳細胞のリン脂質レベルを増加させる方法であって、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を前記対象者に投与するステップを含み、それによって、対象者の脳細胞のリン脂質レベルを増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0048】
他の実施形態では、本発明は、対象者の神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加又は増進させる方法であって、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を前記対象者に投与するステップを含み、それによって、対象者の神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加又は増進させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0049】
実施例3の結果は、神経細胞及び脳細胞にオメガ6脂肪酸であるアラキドン酸を投与することでそれらのリン脂質合成が増加することを示す(標識されたコリンが組み込まれることからわかるように)。SHSY−5Y細胞は、ヒト神経芽細胞腫から由来し、神経機能のモデル系として使用される。他の実施形態では、リン脂質の合成が増加すると、リン脂質レベルが増加する。
【0050】
他の実施形態では、オメガ6脂肪酸は、オメガ6ポリ不飽和脂肪酸(PUFA)である。他の実施形態では、オメガ6脂肪酸は、アラキドン酸である(実施例3)。アラキドン酸は、オメガ6、20炭素の脂肪酸であり、5,8,11,14−エイコサテトラエン酸とも呼ばれる。他の実施形態では、オメガ6脂肪酸は、アラキドン酸の代謝前駆体である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0051】
他の実施形態では、オメガ6脂肪酸は、リノレン酸(9,12−オクタデカジエン酸)である。他の実施形態では、オメガ6脂肪酸は、共役リノレン酸(conjugated linoleic acid:CLA)である。他の実施形態では、オメガ6脂肪酸は、γリノレン酸(6,9,12−オクタデカトリエン酸)である。他の実施形態では、オメガ6脂肪酸は、エイコサジエン酸(11,14−エイコサジエン酸)である。他の実施形態では、オメガ6脂肪酸は、ホモγリノレン酸(8,11,14−エイコサトリエン酸)である。他の実施形態では、オメガ6脂肪酸は、ドコサジエン酸(13,16−ドコサジエン酸)である。他の実施形態では、オメガ6脂肪酸は、ドコサテトラエン酸(7,10,13,16−ドコサテトラエン酸)である。他の実施形態では、オメガ6脂肪酸は、4,7,10,13,16−ドコサペンタエン酸である。他の実施形態では、オメガ6脂肪酸は、ジホモガンマリノレン酸(dihomogamma linolenic acid:DGLA)である。他の実施形態では、オメガ6脂肪酸は、当該技術分野で周知の他のオメガ6脂肪酸である。各オメガ6脂肪酸は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0052】
本発明に係る方法及び組成の他の実施形態では、オメガ6脂肪酸の代謝前駆体は、リノレン酸である。他の実施形態では、前記代謝前駆体は、リノレン酸源であるトランスバクセン酸(trans-vaccenic acid:TVA)である。他の実施形態では、前記代謝前駆体は、当該技術分野で周知の他のオメガ6脂肪酸前駆体である。各オメガ6脂肪酸前駆体は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0053】
他の実施形態では、本発明は、対象者の神経細胞のリン脂質レベルを増加させる方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、対象者の神経細胞のリン脂質レベルを増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0054】
ここに記載しているように、オメガ3脂肪酸及びオメガ6脂肪酸のそれぞれは、ウリジン(例えば、UMP)と共に相乗的に働き、リン脂質合成及びリン脂質レベルを増加させる。他の実施形態では、ウリジン・リン酸は、ウリジン1リン酸(UMP)である。
【0055】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳細胞のリン脂質レベルを増加させる方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、対象者の脳細胞のリン脂質レベルを増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0056】
他の実施形態では、本発明は、対象者の神経細胞のリン脂質レベルを増加させる方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、対象者の神経細胞のリン脂質レベルを増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0057】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳細胞のリン脂質レベルを増加させる方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、対象者の脳細胞のリン脂質レベルを増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0058】
他の実施形態では、本発明は、対象者における神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加又は増進させる方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、対象者における神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加又は増進させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0059】
他の実施形態では、本発明は、対象者における神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加又は増進させる方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、対象者における神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加又は増進させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0060】
他の実施形態では、本発明は、対象者における神経細胞又は脳細胞のシナプス膜の量を増加させる方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、対象者における神経細胞又は脳細胞のシナプス膜の量を増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0061】
他の実施形態では、本発明は、対象者における神経細胞又は脳細胞のシナプス膜の量を増加させる方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、対象者における神経細胞又は脳細胞のシナプス膜の量を増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0062】
シナプス膜の量を測定する方法は、当該技術分野では公知であり、例えば「Facilitation at single synapses probed with optical quantal analysis. Nat Neurosci. 2002 Jul;5(7) :657-64」(Oertner TG et al.)、「Neuronal activity regulates diffusion across the neck of dendritic spines. Science. 2005 Nov 4;310(5749):866-9」(Bloodgood BL et al.)、「Generalized five-dimensional dynamic and spectral factor analysis. Med Phys. 2006 Apr;33(4):1016-24」(El Fakhri G et al.)、及び「Biological applications of manganese-enhanced magnetic resonance imaging. Methods Mol Med. 2006; 124:365-86」(Pautler RG.)に記載されている。
【0063】
他の実施形態では、本発明は、アルツハイマー病の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、前記オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体で神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、アルツハイマー病の対象者を治療するようにした方法を提供する。
【0064】
他の実施形態では、本発明は、アルツハイマー病の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、前記オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体で神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、アルツハイマー病の対象者を治療するようにした方法を提供する。
【0065】
他の実施形態では、本発明は、アルツハイマー病の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、前記組成物で神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、アルツハイマー病の対象者を治療するようにした方法を提供する。
【0066】
他の実施形態では、本発明は、アルツハイマー病の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、前記組成物で神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、アルツハイマー病の対象者を治療するようにした方法を提供する。
【0067】
ここに記載しているように、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、及び/又はウリジンを含有する組成物は、神経細胞でシナプス膜の量を増加させる。したがって、本発明に係る組成物は、アルツハイマー病の治療に対して有用である。
【0068】
本発明に係る方法及び組成物の他の実施形態では、リン脂質の合成を誘起すると、標的の脳細胞又は神経細胞でリン脂質レベルが増加する。リン脂質の十分なレベルは、他の実施形態では、神経機能の様々な面(例えば、シナプスのシグナル伝達、神経伝達物質の機能、軸策分岐及び成長など)において重要であり、他の実施形態では、脳の適切な機能に対しても重要である。
【0069】
他の実施形態では、アルツハイマー病は、初期の段階にある。他の実施形態では、アルツハイマー病は、軽度の段階にある。他の実施形態では、アルツハイマー病は、中症の段階にある。他の実施形態では、アルツハイマー病は、末期の段階にある。他の実施形態では、アルツハイマー病は、重症段階にある。他の実施形態では、アルツハイマー病は、不明な段階にある。他の実施形態では、アルツハイマー病は、当該技術分野で公知の任意の段階にある。各段階は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0070】
他の実施形態では、アルツハイマー病の段階は、機能的段階評価(Functional Assessment Staging:FAST)のスケールで評価される。FASTスケールは、Reisberg博士らによって考案された。FASTスケールでは、アルツハイマー病の進行は、機能能力及び機能低下に関する7つの項目下の16の連続段階に分けられる。主な項目は、次の通りである。段階1は、機能又は記憶の低下が見られない正常な成人として定義されている。段階2は、自身の機能低下に気づいており、通常、記憶障害及び知人又は知っている場所の名前を忘れると訴える正常な高齢者として定義されている。段階3(アルツハイマー病の初期)は、仕事の環境において明らかとなる。兆候として次のものの1つ以上がある。なじみのない場所で方向感覚を失う。業績が低下していると同僚から報告される。名前及び単語簡単に見つけることができなくなる。本の一節からの情報を思い出す能力又は初めて紹介された人の名前を覚える能力が低下する。高価なもの置き忘れる。集中力が低下する。段階4(軽度のアルツハイマー病)では、対象者は、複雑なタスク(パーティーの計画、財務の胆当など)をする際に助けを必要とする場合があり、人生の出来事を簡単に思い出すことができず、集中及び旅行をするのに困難を感じる。段階5(中症のアルツハイマー病)では、適切な衣装選びなどの毎日のタスクをするのに助けを必要とする。対象者は方向感覚を喪失する。また、自身の現在の生活に関する重要な情報を思い出せないことはあるが、自身及び家族に関する主な情報をまだ覚えている。段階6(やや重症のアルツハイマー病)では、対象者は、自身及び周囲に関する情報の大部分を忘れるようになり、着衣、入浴、及び排せつの際に援助を必要とする。尿失禁及び睡眠の乱れが生じる。性格及び感情の変化はかなり明白となる。自身の思考に基づいて行動するための情報を十分に長く覚えることができないので、対象者は、意思力を失う(cognitive abulla)。段階7(重症のアルツハイマー病)では、話す能力は6又は7単語に限られるようになり、高度な語彙は1単語に限られるようになる。対象者は、歩行、着席、及び微笑することができなくなり、最終的には、頭部を垂直に支えることができなくなる。アルツハイマー病の各段階は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0071】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳のPCレベルを上昇させる方法であって、本発明に係る組成物を前記対象者に投与するステップを含み、前記組成物で前記対象者の神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の脳のPCレベルを増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0072】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳のSM(スフィンゴミエリン)レベルを上昇させる方法であって、本発明に係る組成物を前記対象者に投与するステップを含み、前記組成物で前記対象者の神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の脳のSMレベルを増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0073】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳のPIレベルを上昇させる方法であって、本発明に係る組成物を前記対象者に投与するステップを含み、前記組成物で前記対象者の神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の脳のPIレベルを増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0074】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳のPEレベルを上昇させる方法であって、本発明に係る組成物を前記対象者に投与するステップを含み、前記組成物で前記対象者の神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の脳のPEレベルを増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0075】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳のPSレベルを上昇させる方法であって、本発明に係る組成物を前記対象者に投与するステップを含み、前記組成物で前記対象者の神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、対象者のPSレベルを増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0076】
他の実施形態では、本発明は、対象者の認知機能を向上させる方法であって、本発明に係る組成物を前記対象者に投与するステップを含み、前記組成物で前記対象者の神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の認知機能を向上させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0077】
ここに記載しているように、DHA及びUMPは、記憶試験における動物の能力を向上させた(実施例10)。したがって、本発明に係る方法及び組成物は、記憶及び他の認知機能を向上及び増進させるのに有効である。
【0078】
ここに記載しているように、PUFA及び/又はウリジンを投与すると、脳のリン脂質のレベル及び合成、神経突起の神経原線維のタンパク質・レベル、並びにシナプス膜の量が増加する。したがって、本発明に係る組成物及び方法は、認知機能、神経機能、知能、シナプス伝達、並びに神経伝達物質のレベル及び活性を向上及び増進させる。
【0079】
他の実施形態では、本発明は、対象者の神経機能を向上させる方法であって、本発明に係る組成物を前記対象者に投与するステップを含み、それによって、前記組成物が前記対象者の神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させ、したがって、対象者の神経機能を向上させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0080】
他の実施形態では、本発明に係る方法によって向上される神経機能は、シナプス伝達である。他の実施形態では、シナプス伝達は、運動ニューロンに近接する。他の実施形態では、シナプス伝達は、介在ニューロンに近接している。他の実施形態では、シナプス伝達は、感覚ニューロンに近接している。各種類のシナプス伝達は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0081】
他の実施形態では、向上又は増進される神経機能は、神経伝達物質の機能である。ある実施形態では、神経伝達物質の機能は、シナプス内の神経伝達物質のレベルを増加させることによって向上又は増進する。他の実施形態では、神経伝達物質の機能は、シナプスへの神経伝達物質の放出を増加させることによって向上又は増進する。他の実施形態では、神経伝達物質の機能は、シナプスでの神経伝達物質のレベル又は放出を変化させることなしに向上又は増進する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0082】
他の実施形態では、認知若しくは神経の機能、又は知能を「向上させること」は、それらの10%の向上をもたらすことを意味する。他の実施形態では、この用語は、それらの20%の向上をもたらすことを意味する。他の実施形態では、この用語は、それらの30%の向上をもたらすことを意味する。他の実施形態では、この用語は、それらの40%の向上をもたらすことを意味する。他の実施形態では、この用語は、それらの50%の向上をもたらすことを意味する。他の実施形態では、この用語は、それらの60%の向上をもたらすことを意味する。他の実施形態では、この用語は、それらの70%の向上をもたらすことを意味する。他の実施形態では、この用語は、それら80%の向上をもたらすことを意味する。他の実施形態では、この用語は、それらの90%の向上をもたらすことを意味する。他の実施形態では、この用語は、それらの100%の向上をもたらすことを意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0083】
他の実施形態では、認知若しくは神経の機能、又は知能の向上は、治療前の前記機能と比較して評価される。他の実施形態では、前記向上は、未治療の対象者と比較して評価される。他の実施形態では、前記向上は、例えば試験などの標準化された基準にしたがって評価される。認知能力の向上の各種類は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0084】
他の実施形態では、認知若しくは神経の機能、又は知能の向上は、対象者の脳におけるニューロンの接続の数によって評価される。他の実施形態では、前記向上は、対象者の脳又は対象者の脳の特定領域における毛細血管の数によって評価される。他の実施形態では、前記向上は、神経活動によって評価される。他の実施形態では、前記向上は、神経機能によって評価される。他の実施形態では、前記向上は、言語学的機能によって評価される。他の実施形態では、前記向上は、コミュニケーション能力によって評価される。他の実施形態では、前記向上は、アセトコリン若しくは他の神経伝達物質、又は認知機能に関連する脳内化学物質のレベルの測定値によって評価される。他の実施形態では、前記向上は、対象者の脳の陽電子放出断層撮影法(Positron Emission Tomography:PET)スキャンによって評価される。他の実施形態では、前記向上は、対象者の脳の磁気共鳴映像法(magnetic resonance imaging:MRI)スキャンによって評価される。他の実施形態では、前記向上は、認知機能スクリーニング検査(Cognitive Abilities Screening Instrument:CASI)(Peila R et al., Stroke. 32: 2882-9, 2001)によって評価される。他の実施形態では、前記向上は、例えば本明細書に開示されている試験などによって評価される(実施例10)。他の実施形態では、ミニメンタル・テスト(Tsai L et al., The Mini-Mental State Test and computerized tomography. Am J Psychiatry. 1979 Apr;136(4A) :436-8)が使用される。認知機能の向上を評価する他の方法は、当該技術分野では公知であり、例えば「Schizophr Res. 2004 Oct 1;70(2-3): 117-45」(Antonova E et al.)及び「Cognitive Function Analysis」(Greenwood Pub Group, 1998)に記載されている。各方法は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0085】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳におけるシナプスの数の低下を抑制する方法であって、本発明に係る組成物を前記対象者に投与するステップを含み、前記組成物で前記対象者の神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の脳におけるシナプスの数の低下を抑制するようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0086】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳又はCNS(中枢神経系)における神経伝達物質の量又はレベルを増加させる方法であって、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を前記対象者に投与するステップを含み、前記オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体で脳又はCNSのリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の脳又はCNSにおける神経伝達物質の量又はレベルを増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0087】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳又はCNSにおける神経伝達物質の量又はレベルを増加させる方法であって、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を前記対象者に投与するステップを含み、前記オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体で脳又はCNSのリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の脳又はCNSにおける神経伝達物質の量又はレベルを増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0088】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳又はCNSにおける神経伝達物質の量又はレベルを増加させる方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、前記組成物で脳又はCNSのリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の脳又はCNSにおける神経伝達物質の量又はレベルを増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0089】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳又はCNSにおける神経伝達物質の量又はレベルを増加させる方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、前記組成物で脳又はCNSのリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の脳又はCNSにおける神経伝達物質の量又はレベルを増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は、記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0090】
ある実施形態では、本発明に係る方法によってそのレベル又は活性又は放出が影響を受ける前記神経伝達物質は、アセチルコリンである。他の実施形態では、前記神経伝達物質は、グルタミン酸塩である。他の実施形態では、前記神経伝達物質は、ドーパミンである。他の実施形態では、前記神経伝達物質は、セロトニンである。他の実施形態では、前記神経伝達物質は、5−ヒドロキシトリプタミン(5-hydroxytryptamine:HT)である。他の実施形態では、前記神経伝達物質は、GABAである。他の実施形態では、前記神経伝達物質は、当該技術分野で周知の他の神経伝達物質である。神経伝達物質の各種類は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0091】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳細胞の効果的な量の神経伝達物質をシナプスへ繰り返して放出する能力を増加又は増進させる方法であって、前記対象者に、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、前記オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体で脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の脳細胞の効果的な量の神経伝達物質をシナプスへ繰り返して放出する能力を増加又は増進させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0092】
ここに記載するように、DHA及び/又はウリジンが投与された動物では、樹状突起棘の密度が増加した(実施例9)。したがって、本発明に係る組成物は、脳内のシナプスの数及び大きさ、並びに、脳細胞の神経伝達物質を介して信号を送信する能力を増加させる。
【0093】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳細胞の効果的な量の神経伝達物質をシナプスへ繰り返して放出する能力を増加又は増進させる方法であって、前記対象者に、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、前記オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体で脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の脳細胞の効果的な量の神経伝達物質をシナプスへ繰り返して放出する能力を増加又は増進させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0094】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳細胞の効果的な量の神経伝達物質をシナプスへ繰り返して放出する能力を増加又は増進させる方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、前記組成物で前記対象者の神経細胞又は脳細胞内のリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の脳細胞の効果的な量の神経伝達物質をシナプスへ繰り返して放出する能力を増加又は増進させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0095】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳細胞の効果的な量の神経伝達物質をシナプスへ繰り返して放出する能力を増加又は増進させる方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、前記組成物で前記対象者の神経細胞又は脳細胞内のリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の脳細胞の効果的な量の神経伝達物質をシナプスへ繰り返して放出する能力を増加又は増進させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0096】
ここに記載するように、PUFA及び/又はウリジンの投与は、脳のリン脂質レベル及び合成、神経突起の神経原線維のタンパク質のレベル、並びに、シナプス膜の量を増加させる。したがって、本発明に係る組成物及び方法は、神経伝達物質の放出の量を増加及び増進させる。
【0097】
他の実施形態では、本発明は、対象者の知能を向上又は増進させる方法であって、前記対象者に本発明に係る組成物を投与するステップを含み、前記組成物で前記対象者の神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の知能を向上又は増進させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0098】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳又はその領域内の樹状突起棘の数を増加させる方法であって、前記対象者に本発明に係る組成物を投与するステップを含み、前記組成物で前記対象者の神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の脳又はその領域内の樹状突起棘の数を増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0099】
本発明に係る方法及び組成物によって向上又は増進される知能は、他の実施形態では、言語的知能である。他の実施形態では、前記知能は、音楽的知能である。他の実施形態では、前記知能は、空間的知能である。他の実施形態では、前記知能は、身体的知能である。他の実施形態では、前記知能は、対人的知能である。他の実施形態では、前記知能は、個人内の知能である。他の実施形態では、前記知能は、論理・数学的知能である。他の実施形態では、前記知能は、当該技術分野で周知の他の知能である。各種類の知能は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0100】
他の実施形態では、本発明は、脳の修復を促進又は増進させる方法であって、対象者に、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、それによって、脳の修復を促進又は増進させる方法させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0101】
他の実施形態では、本発明は、脳の修復を促進又は増進させる方法であって、対象者に、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、それによって、脳の修復を促進又は増進させる方法させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0102】
他の実施形態では、本発明は、脳の修復を促進又は増進させる方法であって、対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、脳の修復を促進又は増進させる方法させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0103】
他の実施形態では、本発明は、脳の修復を促進又は増進させる方法であって、対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、脳の修復を促進又は増進させる方法させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0104】
他の実施形態では、脳の修復は、脳梗塞の後に促進又は増進される。他の実施形態では、脳の修復は、脳損傷の後に促進又は増進される。他の実施形態では、脳の修復は、当該技術分野では周知の脳の修復を必要とする他の原因、疾患又は障害の後に促進又は増進される。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0105】
他の実施形態では、本発明に係る組成物又は方法によって、認知機能、神経機能、知能、シナプス伝達、又は神経伝達物質のレベル及び活性が促進又は向上される対象者は、認識機能障害又は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記対象者は、老人である。他の実施形態では、前記対象者は、認識障害又は記憶障害を有していない。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0106】
他の実施形態では、本発明は、刺激に対する神経細胞の感受性を増加させる方法であって、前記神経細胞に、本発明に係る組成物を接触させるステップを含み、それによって、刺激に対する神経細胞の感受性を増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0107】
ここに記載するように、PUFA及び/又はウリジンを投与すると、脳のリン脂質レベル及び合成、神経突起の神経原線維のタンパク質のレベル、並びに、シナプス膜の量が増加する。したがって、本発明に係る組成物及び方法は、刺激に対する神経細胞の感受性、並びに、脳及び中枢神経系(central nervous system:CNS)内のシナプスのサイズ及び数を増加及び向上させる。
【0108】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳内におけるシナプスの平均サイズを増加させる方法であって、前記対象者に、本発明に係る組成物を投与するステップを含み、それによって、対象者の脳内におけるシナプスの平均サイズを増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0109】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳内におけるシナプスの数を増加させる方法であって、前記対象者に、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、それによって、対象者の脳内におけるシナプスの数を増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0110】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳内におけるシナプスの数を増加させる方法であって、前記対象者に、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体
を投与するステップを含み、それによって、対象者の脳内におけるシナプスの数を増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0111】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳内におけるシナプスの数を増加させる方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、対象者の脳内におけるシナプスの数を増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0112】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳内におけるシナプスの数を増加させる方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、対象者の脳内におけるシナプスの数を増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0113】
対象者の脳及びCNS内におけるシナプスの平均サイズ、シナプスの数、並びに、シナプス活性及び神経伝達物質放出のレベルの測定及び推定方法は当該技術分野では公知であり、例えば、次のような文献に開示されている。「Estimating use-dependent synaptic gain in autonomic ganglia by computational simulation and dynamic-clamp analysis (Wheeler DW et al. J Neurophysiol. 2004 Nov;92(5):2659-71)」、「Estimating the number of release sites and probability of firing within the nerve terminal by statistical analysis of synaptic charge. (Viele K et al. Synapse.2003 Jan;47(l): 15-25)」、及び、「Estimation of the number of synapses in the cerebral cortex: methodological considerations. (DeFelipe J et al. Cereb Cortex. 1999 Oct-Nov;9(7):722-32)」。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0114】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳細胞又は神経細胞の膜の生成を誘起又は増進する方法であって、前記対象者に、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、それによって、対象者の脳細胞又は神経細胞の膜の生成を誘起又は増進させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0115】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳細胞又は神経細胞の膜の生成を誘起又は増進する方法であって、前記対象者に、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、それによって、対象者の脳細胞又は神経細胞の膜の生成を誘起又は増進させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0116】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳細胞又は神経細胞の膜の生成を誘起又は増進する方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、対象者の脳細胞又は神経細胞の膜の生成を誘起又は増進させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0117】
他の実施形態では、本発明は、対象者の脳細胞又は神経細胞の膜の生成を誘起又は増進する方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、それによって、対象者の脳細胞又は神経細胞の膜の生成を誘起又は増進させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0118】
他の実施形態では、本発明に係る方法は、標的の脳細胞又は神経細胞内の2つ以上のリン脂質の比を実質的に維持しながら、リン脂質レベルを増加させる。他の実施形態では、本発明に係る方法は、標的の脳細胞又は神経細胞内の3つ以上のリン脂質の比を実質的に維持しながら、リン脂質レベルを増加させる。他の実施形態では、本発明に係る方法は、標的の脳細胞又は神経細胞内の4つ以上のリン脂質の比を実質的に維持しながら、リン脂質レベルを増加させる。他の実施形態では、前記リン脂質は、PC、PE、PS、及びスフィンゴミエリン(SM)から選択される。他の実施形態では、これらの比の実質的な維持は、上記の神経及び脳機能の側面において重要である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0119】
「実質的に維持する」は、他の実施形態では、前の比からの10%未満のずれを意味する。他の実施形態では、「実質的に維持する」は、15%未満のずれを意味する。他の実施形態では、前記ずれは、20%未満である。他の実施形態では、前記ずれは、25%未満である。他の実施形態では、前記ずれは、30%未満である。他の実施形態では、前記ずれは、35%未満である。他の実施形態では、前記ずれは、40%未満である。他の実施形態では、前記ずれは、45%未満である。他の実施形態では、前記ずれは、50%未満である。他の実施形態では、前記ずれは、55%未満である。他の実施形態では、前記ずれは、60%未満である。他の実施形態では、前記ずれは、65%未満である。他の実施形態では、前記ずれは、70%未満である。他の実施形態では、前記ずれは、75%未満である。他の実施形態では、前記ずれは、80%未満である。他の実施形態では、前記ずれは、85%未満である。他の実施形態では、前記ずれは、90%未満である。他の実施形態では、前記ずれは、95%未満である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0120】
本発明に係る方法の他の実施形態では、リン脂質合成を誘起すると、軸策分岐が増進される。他の実施形態では、リン脂質合成を誘起すると、神経突起伸長が増進される。他の実施形態では、リン脂質合成の誘起は、ホスホリパーゼの活性化によって放出されるリン脂質部分のプールを増加させる。リン脂質部分のいくつかは生物活性であり(例えば、イノシトール1,4,5−トリスリン酸(IP3)、ジアシルグリセロール(DAG)、及びリゾプレートレット活性化因子(リゾPAF))、さらなる代謝作用によって生物活性脂質であるPAF(1−0−アルキル−2−アセチル−sn−3−グリセロール−3−ホスホコリン)を発生させる。
【0121】
他の実施形態では、リン脂質合成の誘起は、シナプス膜をストレスから保護する。他の実施形態では、前記ストレスは、酸化的ストレスである。他の実施形態では、前記ストレスは、当該技術分野で周知の他のストレスである。
【0122】
リン脂質合成の誘起の各作用は、他の実施形態では、神経伝達物質を介した信号伝達を増大させ、その結果、記憶喪失を減少させる。他の実施形態では、記憶喪失又は記憶障害は、上記の作用の1つによって停止する。他の実施形態では、記憶喪失は、上記の作用の1つによって好転する。上述したリン脂質合成の誘起の各作用及び上述した各結果は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0123】
他の実施形態では、本発明は、記憶障害又は記憶喪失の対象者を治療する方法であって、前記対象者の神経細胞に、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を接触させるステップを含み、前記オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体で神経細胞内のリン脂質の合成を増加させることによって、記憶障害又は記憶喪失の対象者を治療するようにした方法を提供する。
【0124】
他の実施形態では、本発明は、記憶障害又は記憶喪失の対象者を治療する方法であって、前記対象者の神経細胞に、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を接触させるステップを含み、前記オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体で神経細胞内のリン脂質の合成を増加させることによって、記憶障害又は記憶喪失の対象者を治療するようにした方法を提供する。
【0125】
他の実施形態では、本発明は、記憶障害又は記憶喪失の対象者を治療する方法であって、前記対象者の神経細胞に、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を接触させるステップを含み、前記組成物で神経細胞又は脳細胞内のリン脂質の合成を増加させることによって、記憶障害又は記憶喪失の対象者を治療するようにした方法を提供する。
【0126】
他の実施形態では、本発明は、記憶障害又は記憶喪失の対象者を治療する方法であって、前記対象者の神経細胞に、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を接触させるステップを含み、前記組成物で神経細胞又は脳細胞内のリン脂質の合成を増加させることによって、記憶障害又は記憶喪失の対象者を治療するようにした方法を提供する。
【0127】
他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。他の実施形態では、前記記憶障害は、脳血管疾患によって二次的に生じるものである。他の実施形態では、前記記憶障害は、脳梗塞によって二次的に生じるものである。他の実施形態では、前記記憶障害は、症候性脳梗塞によって二次的に生じたものである。他の実施形態では、前記脳梗塞は、無症候性脳梗塞である。他の実施形態では、前記記憶障害は、複数の小規模の無症候性脳梗塞の結果として生じる。他の実施形態では、前記記憶障害は、心臓血管疾患によって二次的に生じるものである。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢関連の心臓血管疾患によって二次的に生じるものである。
【0128】
他の実施形態では、前記記憶障害は、うつ病によって二次的に生じるものである。当該技術分野では周知なように、うつ病の対象者はしばしば記憶の混乱を示し、高齢者のうつ病対象者は、アルツハイマー病と誤診されることすらある。本発明に係る方法及び組成物は、他の実施形態では、うつ病及び記憶障害の両方に関与することが知られている神経伝達物質(うつ病:ドーパミン、ノルエピネフリン、及びセロトニン。記憶障害:アセチルコリン。)の放出を増加させる。
【0129】
他の実施形態では、前記記憶障害は、不眠症によって二次的に生じるものである。
【0130】
他の実施形態では、前記記憶障害は、当該技術分野で周知の他の原因によって二次的に生じるものである。各記憶障害又は記憶喪失は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0131】
「加齢に関連する」は、他の実施形態では、高齢が原因であることを意味する。他の実施形態では、前記高齢は、65歳以上である。他の実施形態では、前記高齢は、60歳以上である。他の実施形態では、前記高齢は、55歳以上である。他の実施形態では、前記高齢は、68歳以上である。他の実施形態では、前記高齢は、70歳以上である。他の実施形態では、前記高齢は、72歳以上である。他の実施形態では、前記高齢は、75歳以上である。他の実施形態では、前記高齢は、78歳以上である。他の実施形態では、前記高齢は、80歳以上である。他の実施形態では、前記高齢は、85歳以上である。他の実施形態では、前記高齢は、90歳以上である。他の実施形態では、「加齢に関連する」は、記憶障害を含む任意の疾患又は障害の結果として生じる、任意の加齢に関連する記憶障害が原因であることを意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0132】
本発明に係る方法における対象者は、ある実施形態では、人間である。他の実施形態では、前記対象者は、女性である。他の実施形態では、前記対象者は、男性である。他の実施形態では、前記対象者は、妊婦である。他の実施形態では、前記対象者は、授乳期間中の女性である。他の実施形態では、前記対象者は、赤ん坊である。他の実施形態では、前記対象者は、子供である。他の実施形態では、前記対象者は、幼い子供である。他の実施形態では、前記対象者は、大人である。他の実施形態では、前記対象者は、高齢者である。他の実施形態では、「高齢」は、上記に列挙したいずれかの例である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0133】
「赤ん坊」は、他の実施形態では、1歳以下を意味する。他の実施形態では、赤ん坊は、18ヶ月以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、6ヶ月以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、7ヶ月以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、8ヶ月以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、9ヶ月以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、10ヶ月以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、11ヶ月以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、13ヶ月以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、14ヶ月以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、16ヶ月以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、20ヶ月以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、2年以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、離乳していない子供を意味する。他の実施形態では、この用語は、離乳しているが、上記の年齢範囲のいずれかに含まれる子供を意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0134】
「子供」は、他の実施形態では、18歳以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、17歳以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、16歳以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、15歳以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、14歳以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、13歳以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、12歳以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、11歳以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、10歳以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、9歳以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、8歳以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、7歳以下を意味する。
【0135】
「幼い子供」は、他の実施形態では、7歳以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、6歳以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、5歳以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、4歳以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、3歳半以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、3歳以下を意味する。他の実施形態では、この用語は、2歳半以下を意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0136】
「大人」は、他の実施形態では、上記に列挙した子供の年齢の上限を超えている者を意味する。他の実施形態では、この用語は、上記に列挙した幼い子供の年齢の上限を超えている者を意味する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0137】
他の実施形態では、本発明は、ピック病の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、前記オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体で神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、ピック病の対象者を治療するようにした方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、レビー小体病の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、前記オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体で神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、レビー小体病の対象者を治療するようにした方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、ハンチントン病の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、前記オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体で神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、ハンチントン病の対象者を治療するようにした方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、軽度認知障害(MCI:mild cognitive impairment)の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、前記オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体で神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、軽度認知障害(MCI)の対象者を治療するようにした方法を提供する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0138】
他の実施形態では、本発明は、ピック病の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、前記オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体で神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、ピック病の対象者を治療するようにした方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、レビー小体病の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、前記オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体で神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、レビー小体病の対象者を治療するようにした方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、ハンチントン病の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、前記オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体で神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、ハンチントン病の対象者を治療するようにした方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、軽度認知障害(MCI:mild cognitive impairment)の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を投与するステップを含み、前記オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体で神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、軽度認知障害(MCI)の対象者を治療するようにした方法を提供する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0139】
他の実施形態では、本発明は、ピック病の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を接触させるステップを含み、前記組成物で神経細胞又は脳細胞内のリン脂質の合成を増加させることによって、ピック病の対象者を治療するようにした方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、レビー小体病の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を接触させるステップを含み、前記組成物で神経細胞又は脳細胞内のリン脂質の合成を増加させることによって、レビー小体病の対象者を治療するようにした方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、ハンチントン病の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を接触させるステップを含み、前記組成物で神経細胞又は脳細胞内のリン脂質の合成を増加させることによって、ハンチントン病の対象者を治療するようにした方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、MCIの対象者を治療する方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を接触させるステップを含み、前記組成物で神経細胞又は脳細胞内のリン脂質の合成を増加させることによって、MCIの対象者を治療するようにした方法を提供する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0140】
他の実施形態では、本発明は、ピック病の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を接触させるステップを含み、前記組成物で神経細胞又は脳細胞内のリン脂質の合成を増加させることによって、ピック病の対象者を治療するようにした方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、レビー小体病の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を接触させるステップを含み、前記組成物で神経細胞又は脳細胞内のリン脂質の合成を増加させることによって、レビー小体病の対象者を治療するようにした方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、ハンチントン病の対象者を治療する方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を接触させるステップを含み、前記組成物で神経細胞又は脳細胞内のリン脂質の合成を増加させることによって、ハンチントン病の対象者を治療するようにした方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、MCIの対象者を治療する方法であって、前記対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を接触させるステップを含み、前記組成物で神経細胞又は脳細胞内のリン脂質の合成を増加させることによって、MCIの対象者を治療するようにした方法を提供する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0141】
他の実施形態では、本発明は、血管性認知症の対象者を治療する方法であって、前記対象者に本発明に係る組成物を投与するステップを含み、前記組成物で前記対象者の神経細胞又は脳細胞内のリン脂質の合成を増加させることによって、血管性認知症の対象者を治療するようにした方法を提供する。
【0142】
他の実施形態では、本発明は、加齢関連神経障害の対象者を治療する方法であって、前記対象者に本発明に係る組成物を投与するステップを含み、前記組成物で前記対象者の神経細胞又は脳細胞内のリン脂質の合成を増加させることによって、加齢関連神経障害の対象者を治療するようにした方法を提供する。
【0143】
他の実施形態では、本発明は、うつ病の対象者を治療する方法であって、前記対象者の神経細胞又は脳細胞に本発明に係る組成物を投与するステップを含み、前記組成物で前記神経細胞又は脳細胞内のリン脂質の合成を増加させることによって、うつ病の対象者を治療するようにした方法を提供する。他の実施形態では、前記対象者は記憶障害を有する。他の実施形態では、前記記憶障害は、加齢に関連する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0144】
他の実施形態では、前記うつ病は、悲しみである。他の実施形態では、前記うつ病は、活力低下である。他の実施形態では、前記うつ病は、けん怠感である。他の実施形態では、前記うつ病は、衰弱である。他の実施形態では、前記うつ病は、気分の変動である。他の実施形態では、前記うつ病は、集中力低下である。他の実施形態では、前記うつ病は、不眠症である。他の実施形態では、前記うつ病は、体重変動である。他の実施形態では、前記うつ病は、性欲減退である。他の実施形態では、前記うつ病は、自殺願望である。各症状は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0145】
本発明に係る方法及び組成物の他の実施形態では、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、それらの代謝前駆体、又は本発明に係る組成物は、リン脂質の合成を増加させることによって、ここに列挙された効果の1つを発揮する。他の実施形態では、前記効果は、リン脂質の合成を増加させずに発揮される。各症状は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0146】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物は、ウリジン源を含む。他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物は、コリン源を含む。他の実施形態では、「源」は、血液又は組織中における目的とする化合物(ウリジン、コリンなど)の濃度を増加させる化合物を意味する。他の実施形態では、「源」は、対象者の組織又は酵素によって目的とする化合物に代謝される化合物を意味する。他の実施形態では、「源」は、標的細胞で目的とする化合物に代謝される化合物を意味する。他の実施形態では、ウリジン源は、ヒト肝臓でウリジンへと変換されるシチジンである。他の実施形態では、ウリジン源は、シチジン5´一リン酸塩である。他の実施形態では、ウリジン源は、シチジン5´二リン酸塩である。他の実施形態では、ウリジン源は、シチジン5´三リン酸塩である。他の実施形態では、ウリジン源は、当該技術分野で周知の他のシチジン・リン酸塩である。他の実施形態では、ウリジン源は、CDPコリンである。他の実施形態では、ウリジン源は、当該技術分野で公知の他のウリジン源である。各ウリジン源は、本発明の異なる実施形態に相当する。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0147】
本発明に係る方法で使用されるウリジン・リン酸は、他の実施形態では、ウリジン5´一リン酸塩である。他の実施形態では、前記ウリジン・リン酸は、ウリジン5´二リン酸塩である。他の実施形態では、前記ウリジン・リン酸は、ウリジン5´三リン酸塩である。他の実施形態では、ウリジン源は、当該技術分野で公知の他のウリジン・リン酸塩である。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0148】
他の実施形態では、ウリジンそれ自身ではなくウリジン・ベースの化合物が、ウリジン源又はウリジン前駆体となる。これらは、他の実施形態では、ウリジンが豊富な食品又は食物製品(藻類など)、ウリジンの塩(ウリジン・リン酸塩など)、アシル化ウリジンなどである。他の実施形態では、ウリジンのアシル誘導体又はそれらの混合物(例えば、米国特許第5,470,838号に開示されているもの)が投与される。ウリジンの各前駆体は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0149】
他の実施形態では、本発明に係る方法は、コリンの投与をさらに含む。他の実施形態では、本発明に係る方法は、コリン塩の投与をさらに含む。他の実施形態では、本発明に係る方法は、コリンへと代謝される化合物の投与をさらに含む。他の実施形態では、本発明に係る方法は、コリン源の投与をさらに含む。他の実施形態では、上記の化合物の1つの投与は、リン脂質膜の合成におけるオメガ3又はオメガ6脂肪酸及び/又はウリジンの効果を増大させる。ここ(実施例)に記載するように、コリン及びオメガ3又はオメガ6脂肪酸の投与は、神経及び脳組織におけるリン脂質、シナプス・タンパク質、及びシナプス膜のレベルの予期せぬ増大、並びに、記憶、知能、認識、及び神経機能の予期せぬ増大を示す。
【0150】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のいずれかは、オメガ3脂肪酸及びコリンの投与を含む。他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のいずれかは、オメガ3脂肪酸及びコリン塩の投与を含む。他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のいずれかは、オメガ6脂肪酸及びコリンの投与を含む。他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のいずれかは、オメガ6脂肪酸及びコリン塩の投与を含む。
【0151】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のいずれかは、オメガ3脂肪酸、ウリジン及びコリンの投与を含む。他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のいずれかは、オメガ3脂肪酸、ウリジン、及びコリン塩の投与を含む。他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のいずれかは、オメガ6脂肪酸、ウリジン、及びコリンの投与を含む。他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のいずれかは、オメガ6脂肪酸、ウリジン及びコリン塩の投与を含む。
【0152】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のいずれかは、オメガ6脂肪酸及びオメガ3脂肪酸の投与を含む。他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のいずれかは、オメガ6脂肪酸、オメガ3脂肪酸、及びウリジンの投与を含む。他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のいずれかは、オメガ6脂肪酸、オメガ3脂肪酸、及びコリンの投与を含む。他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のいずれかは、オメガ6脂肪酸、オメガ3脂肪酸、及びコリン塩の投与を含む。他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のいずれかは、オメガ6脂肪酸、オメガ3脂肪酸、ウリジン、及びコリンの投与を含む。他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物のいずれかは、オメガ6脂肪酸、オメガ3脂肪酸、ウリジン、及びコリン塩の投与を含む。
【0153】
他の実施形態では、抗炎症性PUFAが、本発明に係る方法及び組成物に含まれる。他の実施形態では、異なる2つのオメガ3脂肪酸が、本発明に係る方法及び組成物に含まれる。他の実施形態では、前記2つのオメガ3脂肪酸の内の1つは、抗炎症性PUFAである。他の実施形態では、前記2つのオメガ3脂肪酸の内の1つは、DHAである。他の実施形態では、前記2つのオメガ3脂肪酸の内の1つは、EPAである。他の実施形態では、前記2つのオメガ3脂肪酸は、DHA及びEPAである。
【0154】
他の実施形態では、前記2つのオメガ3脂肪酸の比は、0.05:1である。他の実施形態では、前記比は、0.1:1である。他の実施形態では、前記比は、0.15:1である。他の実施形態では、前記比は、0.2:1である。他の実施形態では、前記比は、0.3:1である。他の実施形態では、前記比は、0.4:1である。他の実施形態では、前記比は、0.5:1である。他の実施形態では、前記比は、0.6:1である。他の実施形態では、前記比は、0.7:1である。他の実施形態では、前記比は、0.8:1である。他の実施形態では、前記比は、0.9:1である。他の実施形態では、前記比は、1:1である。他の実施形態では、DHA及びEPAの比は、上記の比のいずれかである(DHA:EPA)。他の実施形態では、DHA及びEPAは、上記の比のいずれかである(EPA:DHA)。
【0155】
他の実施形態では、異なる2つのオメガ6脂肪酸が、本発明に係る方法及び組成物に含まれる。
【0156】
他の実施形態では、オメガ3脂肪酸のオメガ6脂肪酸に対する比は、1:1である。他の実施形態では、前記比は、1.5:1である。他の実施形態では、前記比は、2:1である。他の実施形態では、前記比は、3:1である。他の実施形態では、前記比は、4:1である。他の実施形態では、前記比は、5:1である。他の実施形態では、前記比は、6:1である。他の実施形態では、前記比は、8:1である。他の実施形態では、前記比は、10:1である。他の実施形態では、前記比は、12:1である。他の実施形態では、前記比は、15:1である。他の実施形態では、前記比は、20:1である。他の実施形態では、前記比は、30:1である。他の実施形態では、前記比は、40:1である。他の実施形態では、前記比は、50:1である。他の実施形態では、前記比は、60:1である。他の実施形態では、前記比は、80:1である。他の実施形態では、前記比は、100:1である。
【0157】
オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、ウリジン、コリン、及び/又はコリン塩の各組み合わせは、本発明の異なる実施形態に相当する。異なる複数のオメガ3脂肪酸の各組み合わせは、本発明の異なる実施形態に相当する。異なる複数のオメガ6脂肪酸の各組み合わせは、本発明の異なる実施形態に相当する。各比は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0158】
他の実施形態では、前記コリン源は、レシチンである。他の実施形態では、前記コリン源は、アセチルコリンである。他の実施形態では、前記コリン源は、シチコリン又はアルファ・グリセロホスホリルコリンである。他の実施形態では、前記コリン源は、CDPコリンである。他の実施形態では、前記コリン源は、当該技術分野では周知の他のコリン源である。各コリン源は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0159】
他の実施形態では、前記コリン塩は、スルホン酸塩(例えば、長アルキル鎖のスルホン酸塩)である。他の実施形態では、前記コリン塩は、塩化コリンである。他の実施形態では、前記コリン塩は、酒石酸水素コリンである。他の実施形態では、前記コリン塩は、コリンクエン酸塩である。他の実施形態では、前記コリン塩は、コリン石酸塩である。他の実施形態では、前記コリン塩は、鉄−コリンクエン酸塩錯体である。他の実施形態では、前記コリン塩は、当該技術分野では周知の他のコリン塩である。各コリン塩は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0160】
他の実施形態では、本発明は、アルツハイマー病を治療するための組成物であって、本発明に係る方法において開示したいずれかの組成物から成る組成物を提供する。各組成物は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0161】
他の実施形態では、本発明は、記憶障害又は記憶喪失を治療するための組成物であって、本発明に係る方法において開示したいずれかの組成物から成る組成物を提供する。各組成物は、本発明の異なる実施形態に相当する。また、記憶障害又は記憶喪失の各種類は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0162】
他の実施形態では、本発明は、ピック病を治療するための組成物であって、本発明に係る方法において開示したいずれかの組成物から成る組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、レビー小体病を治療するための組成物であって、本発明に係る方法において開示したいずれかの組成物から成る組成物を提供する。他の実施形態では、本発明は、ハンチントン病を治療するための組成物であって、本発明に係る方法において開示したいずれかの組成物から成る組成物を提供する。各組成物、及び上記の各疾患は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0163】
他の実施形態では、本発明に係る方法及び組成物は、オメガ3脂肪酸又はオメガ6脂肪の欠損を有していない対象者に対してさえもその効果を及ぼす。他の実施形態では、PUFAの薬理学的投与量が、本発明に係る方法及び組成物に使用される。他の実施形態では、治療的投与量が使用される。他の実施形態では、薬理学的投与量は、PUFAが豊富な食品に通常含まれる量よりも多い。他の実施形態では、PUFA欠損を有していない対象者の膜レベルは、PUFA及び/又はウリジンを薬理学的投与量で投与することによって増加される。他の実施形態では、本発明の結果は、PUFAが脳内に生化学的影響を及ぼすことを実証する。したがって、PUFAの薬理学的投与量での使用を裏付ける。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0164】
本発明に係る方法及び組成物に含まれるオメガ3脂肪酸の投与量は、他の実施形態では、約400〜2000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約500〜2000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約600〜2000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約800〜2000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1000〜2000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1200〜2000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1500〜2000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約400〜3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約500〜3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約600〜3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約800〜3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1000〜3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1200〜3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1500〜3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約2000〜3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約400〜4000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約500〜4000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約600〜4000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約800〜4000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1000〜4000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1200〜4000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1500〜4000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約2000〜4000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約3000〜4000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約400〜1000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約500〜1000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約600〜1000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約800〜1000mg/日である。
【0165】
他の実施形態では、前記オメガ3脂肪酸の投与量は、少なくとも400mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、少なくとも500mg/日である。の実施形態では、前記投与量は、少なくとも600mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、少なくとも700mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、少なくとも800mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、少なくとも900mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、少なくとも1g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、少なくとも1200mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、少なくとも1.5g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、少なくとも2g/日である。
【0166】
他の実施形態では、オメガ3脂肪酸の投与量は、約400mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約500mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約600mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約700mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約800mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約900mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1200mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1.5g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約2g/日である。
【0167】
他の実施形態では、妊婦に、彼女らの要求を満たす特定の投与量で投与される。他の実施形態では、前記投与量は、約200〜2000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約400〜1700mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約600〜1500mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約800〜1300mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約200〜3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約400〜3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約600〜3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約800〜3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1000〜3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約2000〜3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1500mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約2000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約3000mg/日である。
【0168】
他の実施形態では、コレステロール値が高い対象者に、彼らの要求を満たす特定の投与量で投与される。他の実施形態では、前記投与量は、約200〜4000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約400〜3500mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約600〜3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1000〜2500mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1500〜2300mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約2000mg/日である。
【0169】
本発明に係る方法及び組成物の他の実施形態では、DHAは、上記の投与量のいずれかで含まれている。他の実施形態では、DHAの投与量は、1〜50mg/kg/日である。他の実施形態では、DHAの投与量は、400〜1000mg/kg/日である。他の実施形態では、EPAは、上記の投与量のいずれかで含まれている。他の実施形態では、EPAの投与量は、1〜50mg/kg/日である。他の実施形態では、EPAの投与量は、400〜1000mg/kg/日である。各投与量は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0170】
本発明に係る方法及び組成物に含まれるオメガ6脂肪酸の投与量は、他の実施形態では、上記したオメガ3脂肪酸の投与量のいずれかである。他の実施形態では、アラキドン酸は、上記の投与量のいずれかで含まれている。他の実施形態では、アラキドン酸の投与量は、1〜50mg/kg/日である。他の実施形態では、アラキドン酸の投与量は、400〜1000mg/kg/日である。各投与量は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0171】
他の実施形態では、エイコヘキサエン酸(EPA)は、他のオメガ3又はオメガ6脂肪酸と共に又はそれらに加えて投与される。他の実施形態では、EPAの投与量は、約200mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約100〜300mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約150〜250mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約170〜230mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約100〜1000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約150〜800mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約200〜600mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約300〜500mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約300mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約400mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約500mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約600mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約800mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1000mg/日である。
【0172】
他の実施形態では、妊婦に、高投与量のEPAが投与される。他の実施形態では、前記投与量は、約1200mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1500mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1800mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約2000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約2500mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約500〜3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約800〜3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1000〜3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1500〜3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約2000〜3000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約500〜2000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約800〜2000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1000〜2000mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1500〜2000mg/日である。
【0173】
オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、又は追加的なEPAの各投与量は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0174】
本発明に係る方法及び組成物に含まれるウリジンの投与量は、他の実施形態では、10〜500mg/日(包含的)である。他の実施形態では、前記投与量は、20〜500mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、30〜500mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、50〜500mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、100〜500mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、150〜500mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、200〜500mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、300〜500mg/日である。他の実施形態では、ウリジンの投与量は、10〜400mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、20〜400mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、30〜400mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、50〜400mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、100〜400mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、150〜400mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、200〜400mg/日である。他の実施形態では、ウリジンの投与量は、10〜300mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、20〜300mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、30〜300mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、50〜300mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、100〜300mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、150〜300mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、200〜300mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約50mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約70mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約100mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約150mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約200mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約300mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約400mg/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約500mg/日である。
【0175】
ウリジンの各投与量は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0176】
本発明に係る方法及び組成物に含まれるコリンの投与量は、他の実施形態では、100mg〜10g/日(包含的)である。他の実施形態では、前記投与量は、1g〜3g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、150mg〜8g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、200mg〜6g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、300mg〜5g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、400mg〜4.5g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、500mg〜4g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、600mg〜4g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、800mg〜3.5g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、1.2g〜3g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、1.5g〜2.5g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約0.5g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約0.7g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1.2g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約1.5g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約2g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約2.5g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約3g/日である。他の実施形態では、前記投与量は、約4g/日である。上記の各投与量は、コリンそのものの量である。したがって、コリン化合物(例えば、塩化コリン、又は酒石酸コリン)の実際の投与量は、対応して大きくなる。
【0177】
コリンの各投与量は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0178】
他の実施形態では、本発明に係る組成物は、慢性的に投与される。「慢性的」は、他の実施形態では、少なくとも1週間の投与を意味する。他の実施形態では、この用語は、少なくとも2週間の投与を意味する。他の実施形態では、前記投与期間は、少なくとも10日間である。他の実施形態では、前記投与期間は、少なくとも3週間である。他の実施形態では、前記投与期間は、少なくとも4週間である。他の実施形態では、前記投与期間は、少なくとも5週間である。他の実施形態では、前記投与期間は、少なくとも6週間である。他の実施形態では、前記投与期間は、少なくとも2ヵ月間である。他の実施形態では、前記投与期間は、少なくとも3ヵ月間である。他の実施形態では、前記投与期間は、少なくとも4ヵ月間である。他の実施形態では、前記投与期間は、少なくとも6ヵ月間である。他の実施形態では、前記投与期間は、少なくとも1年間である。他の実施形態では、前記投与期間は、少なくとも2年間である。他の実施形態では、前記投与期間は、少なくとも3年間である。他の実施形態では、前記投与期間は、少なくとも5年間である。他の実施形態では、前記投与期間は、少なくとも10年間である。
【0179】
他の実施形態では、前記投与期間は、1週間である。他の実施形態では、前記投与期間は、2週間である。他の実施形態では、前記投与期間は、10日間である。他の実施形態では、前記投与期間は、3週間である。他の実施形態では、前記投与期間は、4週間である。他の実施形態では、前記投与期間は、5週間である。他の実施形態では、前記投与期間は、6週間である。他の実施形態では、前記投与期間は、2ヵ月間である。他の実施形態では、前記投与期間は、3ヵ月間である。他の実施形態では、前記投与期間は、4ヵ月間である。他の実施形態では、前記投与期間は、6ヵ月間である。他の実施形態では、前記投与期間は、1年間である。他の実施形態では、前記投与期間は、2年間である。他の実施形態では、前記投与期間は、3年間である。他の実施形態では、前記投与期間は、5年間である。他の実施形態では、前記投与期間は、10年間である。
【0180】
他の実施形態では、本発明に係る組成物のPUFAは、上記の投与期間のいずれかで投与される。他の実施形態では、本発明に係る組成物のオメガ3脂肪酸は、上記の投与期間のいずれかで投与される。他の実施形態では、本発明に係る組成物のオメガ6脂肪酸は、上記の投与期間のいずれかで投与される。他の実施形態では、本発明に係る組成物のウリジンは、上記の投与期間のいずれかで投与される。他の実施形態では、本発明に係る組成物のコリン又はコリン塩は、上記の投与期間のいずれかで投与される。
【0181】
各投与期間は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0182】
「接触」は、他の実施形態では、本発明に係る組成物を対象者に直接的に投与することを意味する。他の実施形態では、「接触」は、本発明に係る組成物を対象者に間接的に投与することを意味する。したがって、他の実施形態では、本発明に係る方法は、脳脊髄液、血流などの中で代謝されてオメガ3又はオメガ6脂肪酸となる化合物又は組成物を対象者に接触させることを含む。前記オメガ3又はオメガ6脂肪酸は、その後、拡散、又は化合物が体内を循環する、当該技術分野では公知の他の能動若しくは受動輸送過程によって、脳細胞と接触する。他の実施形態では、前記化合物は、標的細胞で、オメガ3又はオメガ6脂肪酸へ代謝される。各可能な形態は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0183】
他の実施形態では、オメガ3又はオメガ6脂肪酸の誘導体が、本発明に係る方法及び組成物に使用される。他の実施形態では、前記誘導体は、オメガ6脂肪酸の誘導体のガンマ・リノレン酸である。他の実施形態では、前記誘導体は、当該技術分野では公知のオメガ3又はオメガ6脂肪酸の任意の誘導体である。各誘導体は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0184】
他の実施形態では、本発明は、対象者の神経細胞の軸策分岐を増加させる方法であって、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を対象者に接触させるステップを含み、前記オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体で神経細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、神経細胞の軸策分岐を増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、対象者の神経細胞の軸策分岐を増加させる方法であって、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を対象者に接触させるステップを含み、前記オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体で神経細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の神経細胞の軸策分岐を増加させるようにした方法を提供する。
【0185】
他の実施形態では、本発明は、対象者の神経細胞の軸策分岐を増加させる方法であって、対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、前記組成物で神経細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の軸策分岐を増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、対象者の神経細胞の軸策分岐を増加させる方法であって、対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を投与するステップを含み、前記組成物で神経細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の軸策分岐を増加させるようにした方法を提供する。
【0186】
他の実施形態では、本発明は、対象者の神経細胞の神経突起伸長を増加させる方法であって、対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を対象者に対象者に投与するステップを含み、前記組成物で神経細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の神経突起伸長を増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、対象者の神経細胞の神経突起伸長を増加させる方法であって、対象者に、(a)ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリン、及び、(b)オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する組成物を対象者に対象者に投与するステップを含み、前記組成物で神経細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の神経突起伸長を増加させるようにした方法を提供する。
【0187】
他の実施形態では、本発明は、対象者の神経細胞の神経突起伸長を増加させる方法であって、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を対象者に接触させるステップを含み、前記オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体で神経細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の神経突起伸長を増加させるようにした方法を提供する。他の実施形態では、本発明は、対象者の神経細胞の神経突起伸長を増加させる方法であって、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を対象者に接触させるステップを含み、前記オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体で神経細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、対象者の神経突起伸長を増加させるようにした方法を提供する。
【0188】
他の実施形態では、本発明は、本発明に係る方法の実施に使用される化合物又は組成物を備えるキットを提供する。
【0189】
「医薬組成物」は、他の実施形態では、栄養補助食品を意味する。他の実施形態では、この用語は、栄養補給剤を意味する。他の実施形態では、この用語は、オメガ3脂肪酸が強化された任意の種類の食品を意味する。他の実施形態では、この用語は、オメガ6脂肪酸が強化された食品を意味する。他の実施形態では、この用語は、ウリジンが強化された食品を意味する。他の実施形態では、この用語は、コリンが強化された食品を意味する。他の実施形態では、この用語は、コリン塩が強化された食品を意味する。
【0190】
「食品」は、他の実施形態では、固形食を意味する。他の実施形態では、この用語は、飲料を意味する。他の実施形態では、この用語は、粉末状飲料を意味する。他の実施形態では、この用語は、食品ベースの製剤、機能性食品、栄養補助食品、又は栄養補給食品を意味する。
【0191】
他の実施形態では、食品は、液体、懸濁液、粉末、半固形、及び固形などのいくつかの形態であり得る。半固形の形態としては、例えば、カスタード、デザート・プディング、濃厚なクリーム、ムース、パフェ、ヨーグルト、及び甘味ゼラチンがある。固形の形態としては、例えば、バー(栄養バーと同様の)、チップ、クッキー、クラッカー、パスタ、又は膨化食品(例えば、ポップコーン、餅様食品)がある(ただし、これらに限定されるものではない)。いくつかの実施形態では、前記スナック食品を、溶解、懸濁、再水和する必要がある。
【0192】
医薬組成物の各種類は、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0193】
他の実施形態では、本発明は、オメガ3又はオメガ6脂肪酸及び/又はその類似物、誘導体、異性体、代謝物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N−酸化物、又はそれらの任意の組み合わせの使用に関する。したがって、他の実施形態では,本発明に係る方法は、PUFAの類似物の投与を含む。他の実施形態では,本発明に係る方法は、PUFAの誘導体の投与を含む。他の実施形態では,本発明に係る方法は、PUFAの異性体の投与を含む。他の実施形態では,本発明に係る方法は、PUFAの代謝物の投与を含む。他の実施形態では,本発明に係る方法は、PUFAの薬学的に許容される塩の投与を含む。他の実施形態では,本発明に係る方法は、PUFAの医薬品の投与を含む。他の実施形態では,本発明に係る方法は、PUFAの水和物の投与を含む。他の実施形態では,本発明に係る方法は、PUFAのN−酸化物の投与を含む。他の実施形態では,本発明に係る方法は、PUFAの類似物、誘導体、異性体、代謝物、薬学的に許容される塩、医薬品、水和物、N−酸化物の任意の組み合わせの投与を含む。
【0194】
本発明に係る方法及び組成物の他の実施形態では、PUFAは、トリグリセリドとして投与される。
【0195】
他の実施形態では、「異性体」という用語は、光学異性体及び類似物、構造異性体及び類似物、配座異性体及び類似物などを含む(ただし、他の実施形態では、これらに限定されるものではない)。
【0196】
本発明は、他の実施形態では、さらに、PUFAの誘導体を含む。「誘導体」という用語は、エーテル誘導体、酸誘導体、アミド誘導体、エステル誘導体などを含む(ただし、これらに限定されるものではない)。また、本発明は、さらに、PUFA化合物の水化物を含む。「水和物」という用語は、半水和物、一水和物、二水和物、三水和物などを含む(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0197】
本発明は、さらに、PUFA化合物の代謝物を含む。「代謝物」という用語は、他の物質から代謝作用又は代謝過程によって生成された任意の物質を意味する。
【0198】
本発明は、さらに、PUFA化合物の医薬品を含む。「医薬品」という用語は、ここに定義されているように、医薬的な使用に適した組成物(医薬組成物)を意味する。
【0199】
また、本発明は、ここに定義されたPUFA化合物の純粋な(Z)及び(E)異性体とそれらの混合物、並びに、純水な(RR、SS)及び(RS、SR)光学異性体の対とそれら混合物を含む。
【0200】
≪医薬組成物及び投与方法≫
【0201】
PUFA及び/又はウリジンを含有している医薬組成物は、他の実施形態では、例えば、非経口、側癌的(paracancerally)、経粘膜的、経皮的、筋肉内、静脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、頭蓋内、膣内、腫瘍内のような当該技術分野で周知の方法によって対象者に投与される。
【0202】
本発明に係る方法及び組成物の他の実施形態では、医薬組成物は、経口投与される。そのため、前記医薬組成物は、経口投与に適した形態(すなわち、固形又は液状)に製剤される。経口投与に適した固形製剤としては、タブレット剤、カプセル、錠剤、顆粒剤、ペレット剤などがある。経口投与に適した液状製剤としては、溶液、懸濁液、分散液、乳剤、油剤などがある。本発明の他の実施形態では、活性成分は、カプセル状に製剤される。この実施形態によれば、本発明に係る組成物は、活性化合物及び不活性な担体又は希釈剤に加えて、硬いゼラチンカプセルを含む。
【0203】
他の実施形態では、前記医薬組成物は、液状製剤の静脈内、動脈内又は筋肉内注射により投与される。前記投与に適した液状製剤としては、溶液、懸濁液、分散液、乳剤、油剤などがある。他の実施形態では、前記医薬組成物は、静脈内投与される。そのため、前記医薬組成物は、静脈内投与に適した形態に製剤される。他の実施形態では、前記医薬組成物は、動脈内投与される。そのため、前記医薬組成物は、動脈内投与に適した形態に製剤される。他の実施形態では、前記医薬組成物は、筋肉内投与される。そのため、前記医薬組成物は、筋肉内投与に適した形態に製剤される。
【0204】
他の実施形態では、前記医薬組成物は、体の表面に局所投与される。そのため、前記医薬組成物は、局所投与に適した形態に製剤される。局所投与に適した製剤としては、他の実施形態では、ジェル、軟膏、クリーム、ローション、滴剤などがある。
【0205】
他の実施形態では、前記医薬組成物は、坐剤(例えば、肛門坐剤又は尿道坐剤)によって投与される。他の実施形態では、前記医薬組成物は、ペレット剤の皮下埋め込みによって投与される。他の実施形態では、ペレット剤は、PUFA及び/又はウリジンを長期間に渡る制御放出をもたらす。
【0206】
他の実施形態では、活性化合物は、小胞(例えば、リポソーム)で送達される。
【0207】
他の実施形態では、本発明に係る方法で使用される担体又は希釈剤としては、例えば、ガム、デンプン(例えば、コーンスターチ、予めゲル化されたデンプン(pregeletanized starch))、糖(例えば、ラクトース、マンニトール、ショ糖、ブドウ糖)、セルロース系材料(例えば、微結晶性セルロース)、アクリレート(例えば、ポリメチル・アクリレート)、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タルク、又はそれらの混合物がある(ただし、これらに限定されるものではない)。
【0208】
他の実施形態では、液状製剤に使用される薬学的に許容される担体は、水性若しくは非水性溶液、懸濁液、乳剤、又は油剤である。非水性溶液としては、例えば、プロピレン・グリコール、ポリエチレン・グリコール、及び注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)がある。水性担体としては、例えば、水、アルコール性/水性溶液水溶液、乳剤又は懸濁液(生理食塩水及び緩衝媒体など)がある。油剤としては、例えば、動物性油、植物性油又は合成性油(例えば、ピーナッツ油、大豆油、オリーブ油、ひまわり油、魚肝油、他の魚油、又は、牛乳若しくは卵の脂質)などがある。
【0209】
他の実施形態では、非経口投与(皮下、静脈内、動脈内又は筋肉内注射)に用いられる賦形剤としては、塩化ナトリウム溶液、デキストロース・リンガー液、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸加リンガー液及び固定油などがある。静脈内注射に用いられる賦形剤としては、液体及び栄養補充液、電解質補充液(例えば、デキストロース・リンガー液に基づいたもの)などがある。例としては、界面活性剤及び他の薬学的に許容される補助剤が添加された又は添加されていない、水又は油などの無菌性の液体がある。一般に、水、生理食塩水、水性デキストロース及び関連する糖液、及びグリコール(例えば、プロピレン・グリコール又はポリエチレン・グリコール)は、好ましい液状担体である(特に、注射剤に)。
【0210】
他の実施形態では、前記組成物は、さらに、バインダー(例えば、アカシア、コーンスターチ、ゼラチン、カルボマー、エチル・セルロース、グアールガム、ヒドロキシプロピル・セルロース、ヒドロキシプロピル・メチル・セルロース、ポビドン)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ジャガイモ・デンプン、アルギン酸、二酸化ケイ素、クロスカルメローセ・ナトリウム、クロスポビドン、グアールガム、ナトリウム・デンプン・グリコレート)、様々なpH及びイオン強度の緩衝剤(例えば、Tris−HCI、アセテート、リン酸塩)、表面への吸着を防止するための添加剤(例えば、アルブミン、ゼラチン)、浄化剤(例えば、トウィーン20、トウィーン80、プルロニックF68、胆汁酸塩)、プロテアーゼ阻害剤、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、浸透強化剤、溶解補助剤(例えば、グリセロール、ポリエチレン・グリセロール)、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール)、安定剤(例えば、ヒドロキシプロピル・セルロース、ヒドロキシプロピル・メチル・セルロース)、粘度上昇剤(例えば、カルボマー、コロイド状二酸化ケイ素、エチル・セルロース、グアールガム)、甘味剤(例えば、アスパルテーム、クエン酸)、防腐剤(例えば、チメロサール、ベンジル・アルコール、パラベン)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレン・グリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、流動補助剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素)、可塑剤(例えば、フタル酸ジエチル、クエン酸トリエチル)、乳化剤(例えば、カルボマー、ヒドロキシプロピル・セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム)、ポリマー被覆(例えば、ポロキサマー、ポロキサミン)、被覆剤及び被膜剤(例えば、エチル・セルロース、アクリル酸塩、ポリメタクリル樹脂)、及び/又は補助剤を含む。上記の賦形剤のそれぞれは、本発明の異なる実施形態に相当する。
【0211】
他の実施形態では、前記医薬組成物は、制御放出型の組成物である。すなわち、PUFA及び/又はウリジンが、投与後、長期間に渡って放出される前記組成物である。制御的又は持続的に放出される組成物は、脂溶性のデポー剤(例えば、脂肪酸、ろう剤、油剤)内に製剤を含む。他の実施形態では、前記組成物は、即時放出型の組成物である。すなわち、全ての組成物(PUFA及び/又はウリジン)は、投与の直後に放出される。
【0212】
他の実施形態では、前記医薬組成物は、制御放出システムによって送達される。例えば、前記医薬組成物は、静脈内注射、埋込型浸透ポンプ、経皮貼布、リポソーム、又は他の投与方法によって投与される。ある実施形態は、ポンプが使用される(詳細については、「Langer, supra; Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14: 201 (1987)」、「Buchwald et al., Surgery 88: 507 (1980)」、「Saudek et al., N. Engl. J. Med. 321: 574 (1989)」を参照されたい)。他の実施形態では、高分子材料が使用される(例えば、マイクロスフェア内又はインプラント)。さらに、他の実施形態では、制御放出システムは、治療標的(例えば、脳)に近接して配置される。このようにすると、前記医薬組成物の投与量は、全身に投与する場合と比べて、わずかな量で済む(詳細については、例えば、「Goodson, in Medical Applications of Controlled Release, supra, vol. 2, pp. 115-138 (1984)」、「Langer R, Science 249: 1527-1533 (1990)」を参照されたい)。
【0213】
前記組成物においては、他の実施形態では、活性物質は、高分子化合物(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲルなど)の微粒子製剤、又はリポソーム、マイクロエマルション、ミセル、単層若しくは多層状の小胞、血球ゴースト、若しくはスフェロプラストに組み込みこまれていることがある。このような組成物は、物理的状態、溶解度、安定性、インビボでの放出率、及びインビボでのクリアランス率に対して影響を与える。
【0214】
また、本発明は、高分子化合物(例えば、ポロキサマー、ポロキサミン)で被膜された微粒子の組成物を含む。また、本発明は、組織特異的受容体、リガンド若しくは抗原に対する抗体と結合した化合物、又は、組織特異的受容体のリガンドと結合した化合物を含む。
【0215】
また、本発明は、水溶性高分子(例えば、ポリエチレン・グリコール、ポリエチレン・グリコール及びポリプロピレン・グリコールの共重合体、カルボキシメチル・セルロース、デキストラン、ポリビニル・アルコール、ポリビニル・ピロリドン、ポリプロリン)との共有結合によって改質された化合物を含む。改質された化合物は、改質されていない化合物と比べて、静脈内注射後の血液中での半減期が大幅に長くなる(「Abuchowski et al., 1981」、「Newmark et al., 1982」、「Katre et al., 1987」を参照されたい)。このような改質は、その化合物の水溶液中での溶解度を増加させる、凝集を除去する、その化合物の物理的又は化学的安定性を向上させる、及び、その化合物の免疫抗原性及び反応性を大幅に減少させる。その結果、そのような改質された化合物を、改質されていない化合物よりも低い頻度又は投与量で投与することにより、所望するインビボでの生物活性を得ることができる。
【0216】
活性成分を含有する前記医薬組成物の作成方法は、当業者には周知であり、例えば、混合、顆粒化又は錠剤形成処理により作成される。活性治療成分は、多くの場合は、薬学的に許容されかつ前記活性成分に適合する賦形剤と混合される。経口投与の場合は、PUFA及び/又はウリジン若しくはその生理学的に許容される誘導体(例えば、塩、エステル、N−酸化物など)は、混合のために通例的に使用される添加物(賦形剤、安定剤又は不活性希釈剤など)と混合される。そして、通例的な方法によって経口投与に適した形態(例えば、錠剤、被膜された錠剤、硬い又は柔らかいゼラチンカプセル、水溶液、アルコール溶液、又は油性溶液)に変えられる。非経口投与の場合は、PUFA及び/又はウリジン若しくはその生理学的に許容される誘導体(例えば、塩、エステル、N−酸化物など)は、溶液、懸濁液又は乳剤に変えられる。また、必要に応じて、この目的に通例使用される及び適合する物質(例えば可溶化剤など)に変換される。
【0217】
活性成分は、他の実施形態では、中和された薬学的に許容される塩の形態で、前記組成物内に含めることができる。薬学的に許容される塩としては、無機酸(例えば、塩酸やリン酸など)又は有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸など)により生成された酸付加塩(ポリペプチド又は抗体分子の遊離アミノ基によって生成される)がある。また、遊離カルボキシル基によって生成された塩は、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、水酸化第二鉄など)、及び有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2−エチルアミノ・エタノール、ヒスチジン、プロカインなど)からも得ることができる。
【0218】
上記の添加剤、賦形剤、製剤、及び投与方法のそれぞれは、本発明の異なる実施形態に相当する。
【実施例】
【0219】
実施例1:PC−12細胞をオメガ3脂肪酸で処理すると、リン脂質合成が増加する。
【0220】
≪材料及び方法≫
【0221】
<試薬>
【0222】
Perkin- Elmer (Boston, MA)から、14Cで標識の塩化コリンを調達した。Biomol, (Plymouth Meeting, PA)から、DHA、オレイン酸、又はパルミチン酸を調達した。Amersham Biosciences Corp (Piscataway, NJ)から、14C−コリンを調達した。
【0223】
<細胞培養>
【0224】
PC−12細胞を、10%のウシ胎仔血清(fetal bovine serum:FBS)を含むダルベッコ変法イーグル培地(Dulbecco's modified Eagle's medium:DMEM)に培養した。実験では、コラーゲンでコーティングされた5つの培養皿に細胞を培養した。28μMのコリンを含み、5μMのDHAを含む又は含まない血清フリーのDMEMに細胞を18時間培養した。次に、10μMのコリンを含む血清フリーのDMEMにて細胞を0.5μキュリー(μCi)/mlの14C−コリンで2.5時間標識した。
【0225】
<標識された脂質の定量>
【0226】
組織分解装置(Polytron PT 10-35、Kinematica AG、スイス)を使用して、細胞を100容量の氷冷した脱イオン水内で均質にした。次に、1mlのアリコートを3mlのクロロホルム/メタノール混合液(2:1v/v)と混合し、30秒間激しくボルテックスした。氷上で1時間冷却した後に、混合液を3mlのクロロホルム+メタノール混合液(2:1v/v)及び1mlの氷冷脱イオン水と順次混合した。その後、混合液を激しくボルテックスし、冷温室で1晩(18時間)静置した。混合液を遠心分離(4℃で10分間、1000g)で有機相(下)及び水相(上)に分離した。上相のアリコート(2ml)をCDP−コリン(下記参照)の測定に使用し、下相の0.1〜0.4mlのアリコートを真空下で乾燥させ、リン脂質の分析に使用した。リンを測定することによって、下相の0.1mlのアリコートの残物をリン脂質の全含量について測定した。下相の0.4mlの残物を40μlのメタノールに溶解し、シリカGプレート(Adsorbosil Plus-1(登録商標)、Altech)及び移動相としてのクロロホルム/エタノール/トリエチルアミン/水(30:34:30:8)の系を用いた薄相クロマトグラフィーにかけた。プレートに0.1%のジフェニルヘキサトリエン含有石油エーテルをスプレーした後に、紫外線を照射し、標準脂質を用いて、それらと対応するバンドの脂質を同定した。個々のリン脂質のバンド(PC、PE、SM、PS、及びPT)をプレートから削り取り、1mlのメタノールに抽出し、真空下で乾燥させ、リンの含量について測定した。リンの全量は、それぞれの分析においてKHPOの標準曲線と比較することによって測定した。各試料に0.5mlの4.5%HClO/27%HSOを加え、チューブを180℃で3時間加熱した。室温に冷却した後に、5mlの発色剤(2.5mg/mlのモリブデン酸アンモニウム、8.2mg/mlの酢酸ナトリウム、及び100mg/mlのアスコルビン酸を含む溶液の10:1希釈液)をチューブに加え、前記チューブ37℃で2時間インキュベートした。分光光度法で820nmにおける吸光度を測定した。リンの含量に25を掛けることで、リン脂質の質量を求めた。
【0227】
<統計分析>
【0228】
試験の後に、データを一元配置の分散分析(analysis of variance:ANOVA)で分析した。
【0229】
≪結果≫
【0230】
リン脂質合成に対するオメガ3脂肪酸の効果を評価するために、PC−12細胞をDHAの存在下又は非存在下で前培養した後、14C標識のコリンの存在下で培養した。その次に、リン脂質への標識の組み込みを測定した。オレイン酸及びパルミチン酸(これらは、オメガ3脂肪酸ではない)は、ネガティブ対照として使用した。ホスファチジルコリン(PC)への標識の組み込みの増加から明らかなように、DHAの存在下で前培養したところ、PCの合成は増加したが、オレイン酸又はパルミチン酸の存在下では、PCの合成は増加しなかった(図1)。したがって、細胞をオメガ3脂肪酸で処理すると、細胞のリン脂質の合成が増加する。
【0231】
実施例2:オメガ3脂肪酸は、多くのリン脂質の合成を用量依存的に増加させる。
【0232】
オメガ3脂肪酸によるリン脂質合成の促進の特徴をさらに明らかにするために、PC−12細胞を様々な量のDHAで前処理し、実施例1に記載したように、標識されたコリンで処理した。次に、リン脂質への14C標識の組み込みを測定した。DHAで前処理したところ、リン脂質の合成が増加した(図2)。リン脂質合成の増加は、用量依存的であった。したがって、オメガ3脂肪酸は、リン脂質の合成を用量依存的に促進する。
【0233】
実施例3:SHSY−5Y細胞をオメガ6脂肪酸で処理すると、リン脂質合成が増加する。
【0234】
≪材料及び実験方法≫
【0235】
<細胞培養>
【0236】
SHSY−5Y細胞を、10%のFBSを含むDMEMの培養皿(35mm)で100%に近い密集度に達するまでに培養した。30μMのコリンを含み、10μMのDHAを含む又は含まない血清フリーのDMEM+1%のFBSに細胞を18時間培養した。次に、実施例1に記載したように、細胞を標識し、標識されたリン脂質を定量した。
【0237】
<DHA−BSA複合体の作成>
【0238】
100μMの濃度になるようにDHAをエタノールに溶解し、10μlのアリコートに分割し、−80℃で冷凍した。各実験において、10μMの濃度になるようにアリコートをエタノールで希釈した。この溶液を、培養液に入れる際の容量と同じ容量のBSA溶液(1gm/ml)と混合した。
【0239】
≪結果≫
【0240】
次に、リン脂質合成に対するオメガ6脂肪酸の効果を神経芽腫細胞系であるSHSY−5Y細胞で分析した。この場合、リン脂質の合成は、オメガ6脂肪酸であるアラキドン酸によって促進されたが、DHA又はパルミチン酸によって促進されることはなかった(図3A)。
【0241】
実施例4:オメガ6脂肪酸は、多くのリン脂質の合成を用量依存的に増加させる。
【0242】
実施例2のPC−12細胞におけるオメガ3脂肪酸のリン脂質合成に対する効果を確認した方法にしたがって、SHSY−5Yにおけるリン脂質合成に対するアラキドン酸の効果の特徴を確認した。アラキドン酸の投与により、DHAで見られたように、全リン脂質、PC、及びホスファチジルエタノールアミンの合成がアラキドン酸の用量に依存しながら増加した(図3B)。したがって、オメガ6脂肪酸は、様々なリン脂質の合成を用量依存的に促進する。
【0243】
実施例5:PUFAを投与すると、脳のリン脂質の量が増加する。また、ウリジンは、リン脂質の量を相乗的にさらに増加させる。
【0244】
≪材料及び実験方法≫
【0245】
<食餌>
【0246】
Teklad Global(16%タンパク質の齧歯類の餌)(Harlan Teklad, Madison, WI)から成り、0.1%の塩化コリン(CC)を含有する対照標準食餌を、50mg/kg/日の量で投与した。UMPは、0.5%(重量/重量)UMP−2Naとして調整され、対照食餌に加えられた(Harlan Teklad)。尚、UMPは、240mg/kg/日の投与量で投与した。DHAを、200マイクロリットル(mcL)/日の5%アラビアゴム溶液に加え、300mg/kg/日の量で投与した。DHAを投与しなかった群には、賦形剤(5%アラビアゴム)のみを投与した。DHAはNu-Chek Prep(Elysian, MN)から調達し、UMPはNumico(Wagenigen, NL)から調達した。実験の期間中には、全ての群において体重に関して大きな変化は見られなかった。
【0247】
表4.対照標準食餌

【0248】
<脳の回収>
【0249】
アレチネズミを、ケタミン及びキシラジン(それぞれ80及び10mg/kg(腹腔内投与))で麻酔し、頭部を液体窒素に2分間浸漬することで屠殺した。その後、頭部を切断した。脳を骨鉗子ですばやく(30秒)取り出し、−80℃で保存した。
【0250】
<脳のリン脂質の測定>
【0251】
凍結した脳半球を、計量し、組織分解装置(Polytron PT 10-35、Kinematica AG、スイス)を使用して100容量の氷冷脱イオン水内で均質にし、実施例1に記載したように分析した。
【0252】
<DNA及びタンパク質測定>
【0253】
ビシンコニン酸試薬(Perkin Elmer, Norwalk, CT, USA)で、全脳のホモジネート試料におけるタンパク質を測定した。ビスベンズイミダゾール(Hoechst H 33258(American Hoechst Corporation)として知られる蛍光色素であり、356nmの励起極を示し、DNAに結合する際には458の発光極大を示す)の存在下で試料が発光する460nmの光の量を蛍光光度計で測定することで、DNAを測定した。
【0254】
≪結果≫
【0255】
体重が80〜100gのオスのアレチネズミを、それぞれ8個体の4つの群に分け、表1に示されている物質を投与した。
【0256】
表1.処理群

【0257】
4週間後、アレチネズミを屠殺し、小脳及び脳幹を除去した脳半球を全リン脂質、並びにPC、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、スフィンゴミエリン(SM)、ホスファチジルイノシトール(PI)、及びホスファチジルセリン(PS)に関して測定した。オメガ3脂肪酸(DHA)により、全リン脂質のレベルは対照群のものよりも著しく高いレベルにまでに増加した(図4、並びに表2及び3)。DHAをUMPと組み合わせると、相乗作用で全リン脂質がさらに増加した(26%)(すなわち、この増加率は、DHAを投与した群で観察された増加率(12%)及びUMPを投与した群で観察された増加率(5%)の合計よりも高かった)。それぞれのリン脂質についても同様な結果が観察された(表2及び3)。リン脂質の値をタンパク質量(図4A及び表2)又はDNA量(図4B及び表3)で標準化しても統計的な有意性が観察された。
【0258】
表2.脳のリン脂質レベルに対するDHA、UMP、又は両方の処理の効果(タンパク質量で標準化されている)。データは、平均±標準誤差(standard error of the mean:SEM)として表示されている。統計分析には、二元配置の分散分析及びテュ−キー検定が使用されている。「*」はP<0.05、「**」はP<0.01、「***」はP<0.001(対照群と比較して)を示す。

【0259】
表3.脳のリン脂質レベルに対するDHA、UMP、又は両方の処理の効果(DNA量で標準化されている)。統計分析及びデータ表示は、表2と同様である。

【0260】
これらの結果は、上記の実施例の結果を支持し、オメガ3脂肪酸及びオメガ6脂肪酸が脳のリン脂質合成及びリン脂質レベル(全リン脂質レベル及びぞれぞれのリン脂質のレベル)を増加させることを示す。これらの結果は、PUFAをウリジンと組み合わせることで相乗作用が起きることをさらに示す。また、これらの結果は、PUFAによるリン脂質合成の促進が一般的な現象であり、特定のリン脂質又は実験モデルに限られるものではないことを示す。
【0261】
脳の細胞膜の大部分を形成する4つの構造リン脂質(4つのホスファチド:PC、PB、PS、及びスフィンゴミエリン)の比例的な増加率は、ほぼ互いに等しかった(これらの4つのそれぞれのリン脂質は約20%増加した)。したがって、膜における4つの構造リン脂質の比率は維持されたことになる。その結果、正常な膜の構造及び機能が破壊されることなく、膜の量は増加した。これらの結果は、前述した実施例のデータを裏付け、本発明の構成物が脳の機能を向上及び増進することをさらに証明するものである。
【0262】
実施例6:オメガ3脂肪酸をアレチネズミに投与すると、脳のCDPコリン・レベルが減少し、脳のリン脂質レベルが増加する。
【0263】
≪材料及び実験方法≫
【0264】
<CDPコリン分析>
【0265】
上(水)相のアリコート(2ml)を真空下で乾燥させ、再び溶解し、HPLCに注入した。乾燥させた試料は、100〜200μlの水に溶解し、アニオン交換カラム(Ailtech Hypersil APS-2, 5 mm, 250 X 4.6 mm)でHPLC分析した。緩衝液A(HPO、1.75mM、pH2.9)及び緩衝液B(NaHPO、500mM、pH4.5)の直線型濃度勾配(0〜100%のB、30分間)でCDPコリンを溶出した。このようにすると、CDPコリンは、アイソクラティックシステムで40分間共溶出する物質(UMPなどの)から分離される。CDPコリンの保持時間は、9.5分であった。保持されているヌクレオチドを取り出すために、各実験の終了の際及び数日ごとにカラムを緩衝液Bで洗浄した。個々のヌクレオチドのピークを、280nmにおける紫外線吸収で検知し、信頼できる標準との比較、並びに、試料に標準ヌクレオチドを加えることで同定した。
【0266】
≪結果≫
【0267】
CDPコリン・レベルに対するPUFA投与の効果を評価するために、前述した実施例の動物の脳におけるCDPコリン・レベルを測定した。DHA及び/又はUMPの投与により、CDPコリン・レベル(図5A)及びCDPエタノールアミン・レベル(図5B)が減少した。DHAにより、CDPコリン・レベルは26%減少した(対照食餌のみ及びDHAの賦形剤を受けたアレチネズミと比較して)。また、DHA及びUMPを投与したアレチネズミのCDPコリン・レベルは21%減少した(UMPを含む食餌及びDHAの賦形剤を受けたアレチネズミと比較して)(両方ともP<0.05)。二元配置の分散分析により、DHAの有意な効果が判明した(F(1,28)=31.7、P<0.001)。
【0268】
他の実験において、DHAの同時処理なしにUMPを与えると、脳におけるPC、PB、及びPSのレベルはそれぞれ13%、29%、48%の比率で著しく増加した(表5A)。UMPなしにDHAを投与すると、これらのホスファチドのレベル、並びにスフィンゴミエリンのレベルが著しく増加した(それぞれ22%、20%、及び52%、並びに24%)。UMP及びDHAの両方を投与すると、全てのリン脂質は、UMP又はDHAのみによって生じる増加率の合計よりも大きく増加する。
【0269】
次に、これらの増加の経時変化を調べた。処理の1週間後、UMPによる有意な効果は見られなかったが、UMP及びDHAの両方の投与によって脳のPC及びPSはわずかにではあるが、有意に増加した(それぞれ、21%及び38%)。UMP及びDHAの両方で3週間処理すると、5つの全てのリン脂質が著しく増加した(21〜48%)。UMPのみを投与すると、リン脂質は、より小さくではあるが、有意に増加した。
【0270】
表5.脳のリン脂質レベルに対するUMP及び/又はPUFAの効果

【0271】
したがって、これらの条件下では、脳のリン脂質に対するPUFAの投与の効果は、PC及び関連するリン脂質へのCDPコリンの変換に起因する。
【0272】
実施例7:アレチネズミにオメガ3脂肪酸及び/又はウリジンを投与すると、シナプス・タンパク質レベルが増加する。
【0273】
≪材料及び実験方法≫
【0274】
<シナプス・タンパク質レベルの分析>
【0275】
ウエスタンブロット及びスロットブロットで、シナプス・タンパク質レベルを分析した。ウエスタンブロットを行うために、脳ホモジネートを2×KFLローディングバッファーと混合し、ゲル電気泳動前に5分間沸騰させた。SDS−PAGE(4〜20%、Bio-Rad、Hercules、CA、米国)を使用して、同量のタンパク質を流し、分離した。次に、タンパク質をPVDF膜(Immobilon-P、Millipore、Billerica、MA、米国)に転写した。残りの結合部分は、4%の非脂肪乾燥ミルク(Varnation, Glendale、CA、米国)を含むTris緩衝食塩水Tween(Tris-buffered saline-Tween:TBST)でブロックした。2×KFLローディングバッファーは、3.76mlの1MTRIS(pH6.8)、6mlの20%のドデシル硫酸ナトリウム、6mlのグリセロール、1.5mlのメルカプトエタノール、2mlの1%ブロムフェノールブルー、及び10.74mlの水を混合することによって調整された。
【0276】
スロットブロッティングを行うためには、スロットブロット精密ろ過装置(Minifold(商標)II Slot Blot System (SCR 072/0)、Schleicher & Schuell, Inc.、 Keene、NH、米国)を使用して、脱イオン水中の脳ホモジネートの2セットのアリコート(18〜21μl、20μgのタンパク質を含む)をポリビニリデンジフルオライド膜(mmobilon-P、Millipore、Billerica、MA、米国)に真空ろ過で直接ブロットした。残りの結合部分を4%の非脂肪乾燥ミルク(Varnation、Glendale、CA、米国)を含むTBSTで30分間ブロックした。次に膜(スロットブロット及びウエスタンブロット)をTBST緩衝液で5回洗浄し、目的の抗体(マウス抗NF−70、ウサギ抗NF−M、マウス抗PSD−95、及びマウス抗シナプシン1)を含むTBST溶液に浸漬した。
1晩インキュベートし、TBST緩衝液で5回洗浄した後に、ブロットをペルオキシダーゼに結合した適切な2次抗体と1時間インキュベートした。次に、ブロットをTBST緩衝液で5回洗浄し、ECLシステム(Amersham Biosciences、iscataway、NJ、米国)及びKodak X-ARフィルムを使用してタンパク質抗体の複合体を検出及び可視化した。透過アダプタを有するSupervista S-12スキャナー(UMAX Technologies、Freemont、CA、米国)を使用して膜をデジタル化した。Public Domain NIH Imageプログラムを使用することで、密度測定で免疫反応バンドを比較した。吸光度曲線の下の領域は、同じブロットにおいて対照群で生じた領域のパーセンテージとして標準化した。タンパク質レベルは、対照群のタンパク質量のパーセンテージとして表した。
【0277】
≪結果≫
【0278】
実施例5に記載されている量のUMP及びDHAの両方を投与した動物(8匹)の脳における4つのシナプス・タンパク質レベルを測定した。3又は4週間の処理の後、神経突起の神経原線維のタンパク質であるNF−70及びNF−Mは、それぞれ43%(P<0.01)又は102%(P<0.001)、及び19%(P<0.05)又は48%(P<0.01)上昇した(図6)。後シナプス肥厚タンパク質であるPSD−95のレベル及び小胞タンパク質であるシナプシン1のレベルは、3週間の処理の後に38%及び41%(両方ともP<0.001)、並びに1週間後の処理の後に35%(P<0.01)及び25%(P<0.05)上昇した(図7)。
【0279】
これらの結果は、PUFA及びウリジンの投与によりシナプス膜の量が上昇することをさらに証明するものである。これらの増加は、リン脂質レベルで見られた増加と類似しており、脳でシナプスのレベルが増加したことを示す。
【0280】
実施例8:DHA、EPA、及びAAは、脳のリン脂質・レベルを増加させる。
【0281】
≪材料及び実験方法≫
【0282】
成体のアレチネズミに、0.5%のUMP及び/若しくは300mg/kg/日のDHA、EPA若しくはAAを含む、又は含まない対照標準食餌(表4)を与えた。DHAを投与しなかった群には、賦形剤(5%アラビアゴム)のみを投与した。
【0283】
≪結果≫
【0284】
アレチネズミにUMP及び/又はPUFAを3週間投与した。その後、アレチネズミを屠殺し、脳の様々なリン脂質・レベルを測定した。表6に示されているように、DHA、EPA、及びAA全てにより、リン脂質レベルが増加した。
【0285】
表6.PUFA及び/又はウリジンの投与後の脳のリン脂質レベル

【0286】
実施例9:オメガ3脂肪酸及びウリジンは、成体又は発育中のアレチネズミ及びラットの脳における樹状突起棘の数を増加させる。
【0287】
正常な成体のアレチネズミに、対照食餌又はUMP(240mgのウリジン/kg)を含む食餌及びDHA(300mg/kg、強制経口投与)を毎日2週間投与した。この処理の終了の際に、アレチネズミの頭部を切断し、海馬スライスをカルボシアニン膜トレーサーDiI (C18) 3("DiI"、Molecular Probes、Eugene、OR)で染色した。二光子顕微鏡で海馬神経の像を得た。DHA及びUMPを投与したアレチネズミでは、海馬CA1錐体ニューロンで樹状突起棘での密度(一定の長さの樹状突起当たりの棘の数)が著しく増加した(27%増加、p=0.001対対照群)(図8)。
【0288】
他の実験では、妊娠しているラットに、出産の10日前及び授乳している20日間にコリンを含む対照食餌又はウリジン(UMP)で補われたこの食餌を不断給与した。また、それぞれの群の半分には、強制経口投与でDHA又は希釈DHAを毎日投与した。次に、子ラットを屠殺し、海馬の樹状突起棘の数を測定するために脳のスライスを調べた。UMPのみ及びDHAのみを投与したことにより、樹状突起棘の数が増加した。また、UMP及びDHAの両方の組み合わせを投与したところ、樹状突起棘の数がさらに増加した(表7)。
【0289】
表7.UMP及びDHA投与による、発育中のアレチネズミにおける樹状突起棘の数の増加

【0290】
実施例10:DHA及びUMPは学習能力を向上させる。
【0291】
≪材料及び実験方法≫
【0292】
実験的試験の日までには、アレチネズミに餌及び水を不断給与した。試験開始日に、アレチネズミを一晩17時間絶食させ、その後、午前11時から午後6時までに餌を給与した。アレチネズミは、3ヶ月齢のときから(行動トレーニングの4週間前)トレーニング期間の終了までにUMPで補われた餌及び/又は300mg/kgのDHAを摂取した(各群における個体数は8)。アレチネズミに日常の接触を慣らすために、毎日4日間にアレチネズミを手で触れた。迷路に慣らせるために、迷路のアーム中に餌のペレットを置き、アレチネズミを中で放し、3分間探検させた。これを4日間行った。アレチネズミには、1トライアル/日を与えた。トライアルの間には、全表面を10%エタノールで消毒した。このトレーニングでは、全てのトライアルにおいて全く同じ2つアームの遠位端に餌のペレットを置いた。アレチネズミを迷路の中心に置き、餌のペレットを見つけさせるために2分間放した。アレチネズミが餌のペレットが置かれたアーム(トライアルの際にすでに訪れた)に再び入ったときに、作業記憶ミス(working memory errors)が生じた。参照記憶ミス(reference memory errors)は、アレチネズミが以前のトライアル中に餌のペレットが置かれていなかったアームに入ったときに生じた。餌のペレットを見つけたパーセンテージを記録した。
【0293】
≪結果≫
【0294】
学習能力に対するウリジン及び/又はDHAの効果を評価するために、アレチネズミにウリジン及び/又はDHAを含む食餌を投与し、記憶テストを行った。DHA及びUMPを投与したところ、アレチネズミが課題を解決するパーセンテージが向上した(図9)。
【0295】
実施例11:オメガ3脂肪酸により、短期培養におけるニューロンのリン脂質の合成が増加する。
【0296】
≪材料及び実験方法≫
ラットの海馬細胞をNeurobasal+B27培地で成熟するまでに(3週間)培養した。実験の日に、細胞を、DHAを含む又は含まないDMEM+コリンで培養した。14Cコリンを加え、細胞をさらに2時間培養し、新たに形成された14C標識のPCを実施例1に記載したように抽出し、測定した。
【0297】
≪結果≫
【0298】
短期培養のニューロンのリン脂質に対するDHAの効果を評価するために、ニューロンをDHA及びコリンで前処理した。DHAにより、コリンのみ(「対照」)を投与した細胞と比較して、リン脂質の合成が2倍以上増加した(図10、P=0.04)。これらの結果は、DHAによって脳細胞及び神経細胞のリン脂質レベルが増加することを確証するものである。
【図面の簡単な説明】
【0299】
【図1】DHAがPC12細胞のリン脂質合成を増加させることを示す図である。PC12細胞を脂肪酸と共に1晩培養し、その後、14Cで標識されたコリンを含む培地で培養した。グラフは、DNA1マイクログラム(μg)当たりの、ホスファチジルコリンへ組み込まれる14C標識を壊変毎分(in disintegrations per minute:dpm)で示す。DHAは、ドコヘキサエン酸である。OAは、オレイン酸である。PAは、パルミチン酸である。*:P<0.05。
【図2】DHAによるリン脂質合成の増加が用量依存性であることを示す図である。**:P<0.001。
【図3A】アラキドン酸がSHSY−5Y細胞におけるリン脂質合成を増加させることを示す図である。DHAは、ドコヘキサエン酸である。AAは、アラキドンさんである。PAは、パルミチン酸である。*:P<0.05。**:P<0.001。
【図3B】AAによるリン脂質合成の増加が用量依存性であることを示す図である。
【図4】全動物実験でDHA及びUMPが相乗しながら脳のリン脂質レベルを増加させることを示す図である。「*」:一元配置ANOVAによって、対照群よりも著しく高いことが示された。(A)タンパク質1ミリグラム(mg)当たりのリン脂質の量(pmol)。UMP+DHAでは、リン脂質は対照群のものよりも著しく高かった(p<0.05)(一元配置ANOVA(F(3,28)=4.12、p=0.015))。同様に、二元配置ANOVAにより、対照群と比較してDHAが統計的に有意な効果を発揮することが示された(F(1,28)=8.78、p=0.006))。(B)DNA1μg当たりのリン脂質の量(pmol)。UMP+DHAでは、リン脂質は対照群のものよりも著しく高かった(p=0.020)(一元配置ANOVA(F(3,28)=3.215、p=0.038))。
【図5】脳のCDPコリン・レベル(A)及びCDPエタノールアミン・レベル(B)に対するDHAの効果を示すである。8匹のアレチネズミから成る群に対照食餌又はUMPを含有する食餌、及び強制経口投与でDHA(5%のアラビアゴム溶液の賦形剤に入れた状態で)又は5%のアラビアゴムのみを28日間投与した。29日目には、脳を回収し、CDPコリンの量を測定した。データは、平均値±標準誤差として示されている。一元配置又は二元配置ANOVA及びその後にテュ−キー検定を使用することで、統計分析を行った。a:対照食餌+賦形剤の群の値と比較したとき、P<0.05であった。b:UMPの食餌+賦形剤の群の値と比較したとき、P<0.05であった。
【図6】脳のNF−70(A)及びNF−M(B)に対するUMP食餌及びDHAの効果を示す図である。アレチネズミに、図5の説明文に記載した食餌を21日間(左のパネル)及び28日間(右のパネル)与えた。22日目及び29日目に脳を回収し、NF−70の測定を行った。値は、平均値±標準誤差として示されている。一元配置ANOVA及びテュ−キー検定を使用することで、統計分析を行った。(A)**:P<0.01、***:P<0.001(対照食餌+賦形剤の群の値と比較した際)。(B)*:P<0.05、**:P<0.01。群の間で細胞骨格タンパク質であるベータ・チューブリンのレベルに関して違いは確認されなかった。
【図7】脳のPSD−95及びシナプシン1のレベルに対するUMP食餌及びDHAの効果を示す図である。アレチネズミに、対照食餌及び強制経口投与で5%アラビアゴム、又はUMPを含有する(0.5%)食餌及び強制経口投与で賦形剤に溶解したDHA(300mg/kg)を7日間(左のパネル)又は21日間(右のパネル)与えた。翌日、脳を回収し、PSD−95(A)又はシナプシン−1(B)の測定を行った。値は、平均値±標準誤差として示されている。一元配置ANOVA及びその後にテュ−キー検定を使用することで、統計分析を行った。**:P<0.01、***:P<0.001(対照食餌+賦形剤の群の値と比較した際)。*:P<0.05、**:P<0.01。
【図8】成体のアレチネズミにおける海馬の樹状突起棘の増加を示す図である。
【図9】学習に対するウリジン及び/又はDHAの効果を示す図である。
【図10】培養された海馬神経におけるリン脂質の合成に対するDHAの効果を示す図である。縦軸は、試料50μl当たりの14CのDPMである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加齢関連記憶障害の対象者における神経細胞又は脳細胞のシナプス膜の量を増加させる方法であって、
前記神経細胞又は脳細胞に、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を接触させるステップを含み、
それによって、加齢関連記憶障害の対象者における神経細胞又は脳細胞のシナプス膜の量を増加させるようにした方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記リン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン又はスフィンゴミエリンであることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記オメガ3脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、αリノレン酸又はそれらの代謝前駆体であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体で、前記神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、前記リン脂質のレベルを増加させるようにしたことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記神経細胞又は脳細胞に、ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリンを接触させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記神経細胞又は脳細胞に、コリン、その代謝前駆体又はコリン塩を接触させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
加齢関連記憶障害の対象者における神経細胞又は脳細胞のシナプス膜の量を増加させる方法であって、
前記神経細胞又は脳細胞に、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を接触させるステップを含み、
それによって、加齢関連記憶障害の対象者における神経細胞又は脳細胞のシナプス膜の量を増加させるようにした方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記リン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン又はスフィンゴミエリンであることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法であって、
前記オメガ6脂肪酸は、アラキドン酸、リノール酸又はそれらの代謝前駆体であることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法であって、
前記オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体で、前記神経細胞又は脳細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、前記リン脂質のレベルを増加させるようにしたことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項7に記載の方法であって、
前記神経細胞又は脳細胞に、ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリンを接触させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項7に記載の方法であって、
前記神経細胞又は脳細胞に、コリン、その代謝前駆体又はコリン塩を接触させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
アルツハイマー病、記憶障害又は記憶喪失の対象者を治療する方法であって、
前記対象者に、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する医薬組成物を接触させるステップを含み、
前記オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体で、神経細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、アルツハイマー病、記憶障害又は記憶喪失の対象者を治療するようにした方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記アルツハイマー病は、初期又は軽症段階であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法であって、
前記アルツハイマー病は、中症又は重症段階であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法であって、
前記リン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン又はスフィンゴミエリンであることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法であって、
前記オメガ3脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、αリノレン酸又はそれらの代謝前駆体であることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法であって、
前記対象者に、ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリンを含有する医薬組成物を接触させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項13に記載の方法であって、
前記対象者に、コリン、その代謝前駆体又はコリン塩を含有する医薬組成物を接触させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項13に記載の方法であって、
前記記憶障害は、加齢に関連する、或いは、脳血管疾患、うつ病又は不眠症によって二次的に生じたものであることを特徴とする方法。
【請求項21】
アルツハイマー病、記憶障害又は記憶喪失の対象者を治療する方法であって、
前記対象者に、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する医薬組成物を接触させるステップを含み、
前記オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体で、神経細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、アルツハイマー病、記憶障害又は記憶障害の対象者を治療するようにした方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、
前記アルツハイマー病は、初期又は軽症段階にあることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法であって、
前記アルツハイマー病は、中症又は重症段階にあることを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項21に記載の方法であって、
前記リン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン又はスフィンゴミエリンであることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項21に記載の方法であって、
前記オメガ6脂肪酸は、アラキドン酸、リノール酸又はそれらの代謝前駆体であることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項21に記載の方法であって、
前記対象者に、ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリンを含有する医薬組成物を接触させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項21に記載の方法であって、
前記対象者に、コリン、その代謝前駆体又はコリン塩を含有する医薬組成物を接触させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項21に記載の方法であって、
前記記憶障害は、加齢に関連する、或いは、脳血管疾患、うつ病又は不眠症によって二次的に生じたものであることを特徴とする方法。
【請求項29】
ピック病、レビー小体病、ハンチントン病及び軽度認知障害(MCI:mild cognitive impairment)から成る群より選択される病気を有する対象者を治療する方法であって、
前記対象者に、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する医薬組成物を接触させるステップを含み、
前記オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体で、神経細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、前記病気を有する対象者を治療するようにした方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、
前記リン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン又はスフィンゴミエリンであることを特徴とする方法。
【請求項31】
請求項29に記載の方法であって、
前記オメガ3脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、αリノレン酸又はそれらの代謝前駆体であることを特徴とする方法。
【請求項32】
請求項29に記載の方法であって、
前記対象者に、ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリンを含有する医薬組成物を接触させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項33】
請求項29に記載の方法であって、
前記対象者に、コリン、その代謝前駆体又はコリン塩を含有する医薬組成物を接触させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項34】
ピック病、レビー小体病、ハンチントン病及び軽度認知障害(MCI:mild cognitive impairment)から成る群より選択される病気を有する対象者を治療する方法であって、
前記対象者に、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する医薬組成物を接触させるステップを含み、
前記オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体で、神経細胞のリン脂質の合成を増加させることによって、前記病気を有する対象者を治療するようにした方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、
前記リン脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルセリン又はスフィンゴミエリンであることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項34に記載の方法であって、
前記オメガ6脂肪酸は、アラキドン酸、リノール酸又はそれらの代謝前駆体であることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項34に記載の方法であって、
前記対象者に、ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリンを含有する医薬組成物を接触させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項38】
請求項34に記載の方法であって、
前記対象者に、コリン、その代謝前駆体又はコリン塩を含有する医薬組成物を接触させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項39】
加齢関連記憶障害の対象者における脳内のシナプスのサイズ及び数を増加させる方法であって、
前記対象者に、オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する医薬組成物を接触させるステップを含み、
それによって、加齢関連記憶障害の対象者における脳内のシナプスのサイズ及び数を増加させるようにした方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法であって、
前記オメガ3脂肪酸は、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、αリノレン酸又はそれらの代謝前駆体であることを特徴とする方法。
【請求項41】
請求項39に記載の方法であって、
前記オメガ3脂肪酸又はその代謝前駆体によって、前記対象者における脳細胞のリン脂質の合成を増加させるようにしたことを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項39に記載の方法であって、
前記対象者に、ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリンを含有する医薬組成物を接触させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項39に記載の方法であって、
前記対象者に、コリン、その代謝前駆体又はコリン塩を含有する医薬組成物を接触させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項44】
加齢関連記憶障害の対象者における脳内のシナプスのサイズ及び数を増加させる方法であって、
前記対象者に、オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体を含有する医薬組成物を接触させるステップを含み、
それによって、加齢関連記憶障害の対象者における脳内のシナプスのサイズ及び数を増加させるようにした方法。
【請求項45】
請求項44に記載の方法であって、
前記オメガ6脂肪酸は、アラキドン酸、リノール酸又はそれらの代謝前駆体であることを特徴とする方法。
【請求項46】
請求項44に記載の方法であって、
前記オメガ6脂肪酸又はその代謝前駆体によって、前記対象者における脳細胞のリン脂質の合成を増加させるようにしたことを特徴とする方法。
【請求項47】
請求項44に記載の方法であって、
前記対象者に、ウリジン、そのアシル誘導体、ウリジン・リン酸又はCDPコリンを含有する医薬組成物を接触させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項48】
請求項44に記載の方法であって、
前記対象者に、コリン、その代謝前駆体又はコリン塩を含有する医薬組成物を接触させるステップをさらに含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−545693(P2008−545693A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513592(P2008−513592)
【出願日】平成18年5月23日(2006.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2006/019766
【国際公開番号】WO2006/127620
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(591013573)マサチューセッツ・インスティチュート・オブ・テクノロジー (26)
【氏名又は名称原語表記】MASSACHUSETTS INSTITUTE OF TECHNOLOGY
【Fターム(参考)】