説明

Pbフリー可溶合金型温度ヒューズ

【課題】 感温材にSn―Bi母体合金を主組成とし動作温度が130〜135℃である鉛フリー可溶合金型温度ヒューズを提供する。
【解決手段】 Sn−Cuめっき銅線からなる一対のリ−ド部材1、2に母体合金組成が42Sn−58Biの二元合金にAgを1重量%とInおよび/またはGaを添加または一部置換して含有させた低融点可溶合金3が抵抗溶接により接合される。低融点可溶合金3の表面にはロジン、ワックスおよび活性剤からなるフラックス4を被覆し、その後、アルミナ等のセラミック碍管の絶縁ケース5に収容し、エポキシ樹脂と無機物添加材の耐熱封着材6、7によりリード部材1、2の導出部を残して絶縁ケース5の両端部を封着して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、周囲温度の異常温度上昇や過熱加温状態を感知して電気回路を遮断して電気機器の損傷を防ぐ保護素子である可溶合金型温度ヒューズ、特に、130〜135℃の動作温度で機能する低融点可溶合金を用いたPb(鉛)フリー可溶合金型温度ヒュ−ズに関する。
【背景技術】
【0002】
電気、電子機器等を過熱損傷から保護する保護素子として、所定温度で動作して回路を遮断する温度ヒューズが知られている。このうち、感温材に低融点可溶合金をヒューズエレメントに使用した可溶合金型温度ヒューズは、通電回路に設けて利用され、周囲温度の過昇により低融点可溶合金が溶融して回路遮断する。また、低融点合金は発熱抵抗体と併設して抵抗体の通電加熱により所定温度で低融点可溶合金を強制的に溶断させる抵抗内蔵型温度ヒューズも知られている。この種の合金型温度ヒューズは、保温コタツ、炊飯器等の家電製品、液晶テレビや複写機器等のOA機器、照明機器など機器の安全手段として広く利用されている。
【0003】
一方、感温材である低融点可溶合金は、環境保全の立場から生態系に有害な物質、たとえば、Pb、Cd、Hg、Tl等を含まないことが強く要望されている。そして、生態系に有害な物質を含まない合金として、動作温度が140℃前後のSn―Bi共晶合金が合金型温度ヒューズの低融点可溶合金として知られている。この合金組成は42Sn−58Bi(±3重量%)であるが、広く利用される使用温度領域の110〜115℃に対して動作温度は130〜135℃に設定される。したがって、140℃前後の動作温度では約8℃高い温度であるので、半導体装置を利用するパック電池などの電気機器にとって安全領域の使用温度限界として、132℃前後の動作温度で安定して動作する可溶合金型温度ヒューズが求められている。
【0004】
ところで、Pbフリー合金型温度ヒューズとしては合金組成がSn−In−Bi三元合金のものが特許文献1に開示されるほか、In―Bi系やSn−Bi系の可溶合金を用いる温度ヒューズが特許文献2および3に開示される。しかし、Sn−Bi系の場合の動作温度は140℃以上であるので動作温度132℃近辺には不向きである。さらに、こうした問題を回避するために、特許文献4乃至8にはそれぞれ合金組成を特定して所定の動作温度で作動するPbフリーの合金型温度ヒューズが知られている。
【特許文献1】特開2001−266723号公報
【特許文献2】特開2003−249155号公報
【特許文献3】特開2003−147461号公報
【特許文献4】特開2004−146228号公報
【特許文献5】特開2004−152558号公報
【特許文献6】特開2004−256829号公報
【特許文献7】特開2004−256888号公報
【特許文献8】特開2003−82430号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
温度ヒューズに要求される作動条件は利用分野に応じて異なるが、半導体装置を制御素子に用いるパック電池などの電気機器で広く利用されるものとして、動作温度が130〜135℃の合金型温度ヒューズの提供が強く要望されている。こうした要請に対応するには、動作温度が132℃近辺にあって信頼性が高くて製造加工が容易な可溶合金を見出すことが必要であり、特に環境面からの安全性を考慮して低融点可溶合金が有害物質を含まないPbフリー可溶合金型温度ヒューズであることが必要である。ここで所望する可溶合金として特許文献1に示されるものがあるが、従来から広く知られるようにIn含量が多いと軟化したり酸化したりするので信頼性が得られない。また、線材での加工性が容易でないので問題であり、易酸化性や高延展性材料は加工中に変質して寸法上の管理が厳格にできないなどの理由から信頼性を低下させる。本発明者の知見によれば、温度ヒューズに用いられる低融点可溶合金は、特定の温度で球状溶断させる必要上、できれば単一の溶融点を持つ共晶合金組成が好ましい。
【0006】
したがって、本発明は上述の課題を解決するために、本発明者の知見に基づき、PbやCd等の有害物質を含まずかつ高い信頼性を有し、動作温度が130〜135℃に設定できる低融点可溶合金材として、基本的にSn−Bi二元合金を母体合金とすることに着眼し、これに特徴ある微量金属を添加し、または置換することで所望される溶融開始温度と加工性とを考慮して見い出した可溶合金を使用した新規かつ改良された可溶合金型温度ヒューズの提供を目的とする。
【0007】
換言すると、絶縁ケースに収容する可溶合金の両端にリード部材を接続し、その導出部を耐熱性封着材で封着する合金型温度ヒューズにおいて、可溶合金に錫(Sn)とビスマス(Bi)の組成がSn42重量%およびBi58重量%の二元母体合金を主要組成として、これに動作温度の調整と線材加工性とを満足させる微量金属を添加または置換して使用することを提案する。特に、線材加工性または冷間加工性を改善するよう銀(Ag)の含有とインジウム(In)および/またはガリウム(Ga)を微量含有させて有害金属フリーの低融点可溶合金を使用した新規かつ改良されたPbフリー可溶合金型温度ヒューズの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、一対のリード部材に接続した可溶合金を絶縁ケースに収容し、リード部材の導出部を封着した合金型温度ヒューズにおいて、可溶合金は42Sn−58Bi母体合金とAgを含む微量金属とからなる低融点可溶合金であって、微量金属の含有量を母体合金の組成に対して4重量%以内の範囲で添加または一部置換したことを特徴とするPbフリー可溶合金型温度ヒューズが提供される。ここで、前記微量金属は少なくとも1.0重量%のAgを含み、線材加工容易なSn−Bi−Ag系合金を使用して動作温度を130〜135℃の範囲内に設定することを特徴とするPbフリー可溶合金型温度ヒューズ、あるいは、前記微量金属としてInおよび/またはGaを含むことを特徴とするPbフリー可溶合金型温度ヒューズを開示する。ここで、低融点可溶合金の選定に当たっては、合金の溶融開始温度および圧下率や冷間加工性を選択基準とし、特に、次の10種類の合金組成を好ましい可溶合金として利用できることを見い出した。すなわち、(42Sn−55Bi−3Ga)−1Ag、42Sn−55Bi−2Ga−1Ag、(42Sn−56Bi−2Ga)−1Ag、(42Sn−56Bi−2In)−1Ag、(42Sn―56Bi−1Ga−1In)−1Ag、42Sn−56Bi−1Ga−1Ag、41Sn−57Bi−1Ga−1Ag、42Sn−56Bi−0.5Ga−0.5In−1Ag、(42Sn−58Bi)−1Ga−1Agおよび42Sn−56Bi−1In−1Agからなる合金組成群のいずれかの一つの合金組成を選択した低融点可溶合金を使用したPbフリー可溶合金型温度ヒューズを開示する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の可溶合金型温度ヒューズは動作温度が130〜135℃の比較的広範囲に利用できるPbフリー可溶合金型温度ヒューズであって、高い信頼性と製造過程での容易な線材加工性を備える実用的価値の高い温度ヒューズである。特に、二元母体合金を主要組成として、これにAgを含む微量金属を加えて所望する動作温度に影響する溶融開始温度と、線材加工等の冷間加工性の良い低融点可溶合金である。また、加工処理に影響する特性の圧下率を選定基準として利用し、所望される低融点可溶合金を見い出した。したがって、PbやCdなどの有害金属を含有せず環境保全に役立つ有害金属フリーの可溶合金型温度ヒューズを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の可溶合金型温度ヒューズはアキシャルタイプ、ラジアルタイプ、小型薄型タイプおよび抵抗内蔵型タイプ等の各種タイプの温度ヒューズとして利用できる。以下、アキシャルタイプ可溶合金型温度ヒューズについて実施形態の一例として説明する。本発明は動作温度が130〜135℃の合金型温度ヒューズであるが、低融点可溶合金の母体合金が42Sn−58Bi(±3重量%)の二元組成からなり、微量金属をこの母体合金に添加、または一部置換して組成とすることを特徴とする。ここで微量金属にはAgを含むSn−Bi−Ag系合金とすることにより線材加工性を容易に、さらに第2の微量金属としてInおよび/またはGaを含有する合金組成とする。Sn―Bi母体合金に対する微量金属は、所望する動作温度を決める溶融開始温度と、製造工程での線材処理に影響する冷間加工性または圧下率を測定して試作検討した。その結果、PbやCdなどの有害金属を含有せず環境保全に役立つ有害金属フリーの可溶合金型温度ヒューズに使用する好ましい可溶合金は、溶融開始温度119.9℃の(42Sn−55Bi−3Ga)−1Ag、同じく120.3℃の42Sn−55Bi−2Ga−1Ag、同じく122.4℃の(42Sn−56Bi−2Ga)−1Ag、同じく122.8℃の(42Sn−56Bi−2In)−1Ag、同じく126.6℃の(42Sn―56Bi−1Ga−1In)−1Ag、同じく129.6℃の42Sn−56Bi−1Ga−1Ag、同じく129.6℃の41Sn−57Bi−1Ga−1Ag、同じく129.9℃の42Sn−56Bi−0.5Ga−0.5In−1Ag、同じく130.0℃の(42Sn−58Bi)−1Ga−1Agおよび同じく131.2℃の42Sn−56Bi−1In−1Agの10種類の合金組成群からなるいずれかの一つの合金組成を有し、圧下率が相対的値で10%以上のものが良好な合金組成として選ばれることが判明した。温度ヒューズの動作温度は、従来共晶型合金の単一な溶融温度を用いて獲得するのが一般的であったが、共晶型合金でなくても対象温度で固相−液相の存在比によって流動性が発現しない場合は温度ヒューズに使用できる。具体的に、動作温度130〜135℃の温度ヒューズに使用する選択された合金の溶融開始温度が119〜131℃であるのは、合金の約70%以上が溶融液化しないと流動性が充分に発現せず、部分溶解するものの液相線温度付近になるまで溶断しないことが明らかにされた。したがって、温度ヒューズの通常の使用温度は110〜115℃の範囲と考えられるが、上述のような溶融特性を有する合金であれば動作温度より低い温度に固液共存域を持っている合金も、動作温度を130〜135℃に設定できる新規かつ改良された可溶合金型温度ヒューズに適用可能となることが分かった。
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の実施例であるアキシャルタイプ可溶合金型温度ヒューズについて図面を参照しつつ説明する。前述のように、動作温度が130〜135℃である可溶合金型温度ヒューズの使用温度は、通常110〜115℃の範囲と考えられ、使用する可溶合金の溶融特性によっては動作温度より低い温度に固液共存域を有する合金も適用可能である。図1に示すように、可溶合金型温度ヒューズはSn−Cuめっき銅線からなる一対のリ−ド部材1、2に、本発明の特徴とする母体合金組成が42Sn−58Biの二元合金に微量金属Agを1重量%とさらにInまたはGaのいずれかを含有させた低融点可溶合金3が抵抗溶接により接合して作製される。低融点可溶合金3の表面にはロジン、ワックスおよび活性剤からなるフラックス4を被覆する。その後、アルミナ等のセラミック碍管の絶縁ケース5に収容され、エポキシ樹脂と少量の無機物添加材からなる耐熱封着材6、7によりリード部材1、2の導出部を残して絶縁ケース5の両端部を封着して構成される。このような構成の可溶合金型温度ヒューズにおいて、次のような変形例も可能である。先ず、低融点可溶合金3の形状に関し、通常、φ0.3〜0.7mm線を使用するが、必要に応じて同一の断面積を有するテープ状合金の平角片も使用できる。必要に応じてφ0.3mm以下やφ0.7mm以上の線材として使用することもできる。なお、低融点可溶合金は合金鋳塊の押出し加工および引抜き加工により線材が製造されるが、その後の加工処理として必要に応じてテープ状に圧延加工することもある。いずれも加工性の良い可溶合金を選択して使用することが必要である。
【0012】
ここで、低融点可溶合金の選定方法について詳述する。本発明の温度ヒューズに使用する動作温度130〜135℃の低融点可溶合金は、先ず、次の試作実験品に関する溶融開始温度および圧下率の測定により選ばれる。試作された合金母体となる42Sn―58Biの二元合金に各種微量金属を添加または一部置換して、試作実験品Sn−Bi−Xの合金組成19種類が用意される。これらの合金組成はそれぞれに示差走査熱量測定(以下DSC測定)により溶融開始温度(または固相線温度と呼ばれる)およびDSCピーク温度(または液相線温度)が測定され、冷間圧延に対する柔軟度合である圧下率が測定される。なお、DSC測定はそれぞれの合金組成を20〜200℃の間を1分間に5℃の昇温速度として測定される。その結果、表1に示すような各合金組成に対する溶融開始温度が求められる。測定された溶融開始温度は動作温度に影響するのでこれにより本発明の対象となる動作温度が130〜135℃の合金組成の第一候補が選別される。しかし、これらの合金組成が全て合金型温度ヒューズ使用できるかはφ0.7mmの線材に加工して可溶合金型温度ヒューズを容易に作製可能かどうかの試験が必要であり、そのために、線材加工に影響するねじり試験を行い、圧下率を測定する。なお、第一候補の選別実験では微量金属にAg、Au、Ga、Ge、Pd、Al、Inを5%以内の量で添加または置換しているが、所望の動作を得るのに必要な溶融開始温度となる合金組成は全て2%以内の微量金属の添加または一部置換したものであることが判明した。
【0013】
【表1】

【0014】
次に、表1に示される溶融開始温度からの第一候補として評価した7種類の合金組成と母体合金の42Sn−58Biについて、それぞれの線材加工性の良否を判別するための試験を行なった。この試験は冷間圧延による脆さを試験するものであり、線材をねじり加工して変形を与える試験である。具体的には、圧延のときロールを通過する前と後の厚みの差を最初の厚みで除して100を乗じた圧延率または圧下率を試験測定して算出する。この試験測定のために、それぞれの合金組成は直径40〜45mm、厚さ2〜3mmの円柱体に成形加工したテストピースが用意される。次いで、用意されたテストピースは冷間ロール間で圧縮されて厚さを減少するように圧延されるが、その際圧延によりクラックが生ずる。クラックの生じはじめたときの厚みを測定するものであるので、この厚み測定値は厚みが薄い程柔軟性があることになる。一方、圧下率は圧延前の円柱体テストピースの厚みd0とクラック発生時の円柱体テストピースの厚みd1を測定し、両者の差d0−d1を最初の厚みd0で割った値の百分率%で示す。すなわち、圧延引き伸ばしにより破断するのにどれほどの柔軟性を保つかによって線材の加工性の良否が判別されるが、測定結果は基準合金42Sn―58Biを含む7種類に42Sn−57Bi−1Gaのテストピースを加えた8種類の合金組成について、2〜5個のテストピースの圧下率の個別値から平均値を求めた。図2はテストピース8種の合金組成について、測定結果の圧下率(%)と溶融開始温度(℃)を棒グラフにして測定値を付して表示する。ここで、注目すべきは圧下率が10%未満では、合金型温度ヒューズに使用するための線材加工が極めて困難となり、実用化には不適当であった。したがって、この試作実験品から動作温度130〜135℃を設定するに必要な本発明の可溶合金型温度ヒューズに使用できる合金組成は、溶融開始温度が132℃±4℃でかつ圧下率10%以上である5種類が実用可能な可溶合金であることが判明した。なお、母体合金42Sn―58Biおよび比較例として42Sn−57Bi−1Gaテストピースは、同様に測定に供されてきたが、実用化には溶融開始温度および圧下率の特性において満足されるものでないことが明らかになった。
【実施例2】
【0015】
同様にして別の実験で合金組成の14種類の試料を作製してそれぞれの固相線温度の溶融開始温度(℃)、液相線温度のDSCピーク温度(℃)および冷間加工性を示す圧下率(%)を測定した。14種類の合金組成中、動作温度130〜135℃に設定できる可溶合金型温度ヒューズに使用可能な合金組成は10種類であることが判明した。表2はこれら使用可能な10種類の合金組成に関する特性値の測定結果を示す一覧表である。ここに挙げた合金型温度ヒューズに使用できる合金としては、先ず、冷間加工性の圧下率が10%以上であることが要件であり、さらに、本発明の動作温度130〜135℃の範囲内に設定するためには、実施例1および2で示した10種類の組成合金が好ましいことが判明した。好ましい可溶合金は、溶融開始温度119.9℃の(42Sn−55Bi−3Ga)−1Ag、同じく120.3℃の42Sn−55Bi−2Ga−1Ag、同じく122.4℃の(42Sn−56Bi−2Ga)−1Ag、同じく122.8℃の(42Sn−56Bi−2In)−1Ag、同じく126.6℃の(42Sn―56Bi−1Ga−1In)−1Ag、同じく129.6℃の42Sn−56Bi−1Ga−1Ag、同じく129.6℃の41Sn−57Bi−1Ga−1Ag、同じく129.9℃の42Sn−56Bi−0.5Ga−0.5In−1Ag、同じく130.0℃の(42Sn−58Bi)−1Ga−1Agおよび同じく131.2℃の42Sn−56Bi−1In−1Agの10種類の群からなるいずれかの一つの合金組成を有し、冷間加工性が良好な合金が選ばれる。換言すると、可溶合金型温度ヒューズは、感温材に組成が42Sn−58Biの母体合金に対してAgを1重量%含有させた三元組成であって線材加工性を容易にするものであり、第2の微量金属としてさらにInおよびGaのいずれか一方または両者を含有する。その結果、130〜135℃の動作温度を有するSn−Bi−Ag系合金により線材加工性を容易にして温度ヒューズの製作を可能にした。
【0016】
【表2】

【0017】
また、図3には本発明の可溶合金型温度ヒューズに使用可能な好ましい4種類の可溶合金について、(a)42Sn−56Bi−1Ga−1Ag、(b)42Sn−56Bi−0.5Ga−0.5In−1Ag、(c)(42Sn−58Bi)−1Ga−1Agおよび(d)42Sn−56Bi−1In−1Agに関するDSCチャートを示す。なお、それぞれの合金組成について、同様に組織構造に関して電子顕微鏡写真による観察も確認した。

【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る実施例の可溶合金型温度ヒューズの断面図を示す。
【図2】本発明に関わる温度ヒューズ用の各種合金組成の溶融開始温度と圧下率を示すグラフである。
【図3】同じく本発明に使用可能な合金組成4種類のDSCチャートである。
【符号の説明】
【0019】
1、2…リード部材、 3…低融点可溶合金、 4…フラックス、 5…絶縁ケース、
6、7…封着材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のリード部材に接続した可溶合金を絶縁ケースに収容し、前記リード部材の導出部を封着した合金型温度ヒューズにおいて、前記可溶合金は42Sn−58Bi母体合金とAgを含む微量金属とからなる合金であって、前記微量金属の含有量を前記母体合金の組成に対して4重量%以内の範囲で添加または一部置換したことを特徴とするPbフリー可溶合金型温度ヒューズ。
【請求項2】
前記微量金属は少なくとも1.0重量%のAgを含み、線材加工容易なSn−Bi−Ag系合金を使用して動作温度を130〜135℃の範囲内に設定することを特徴とする請求項1に記載のPbフリー可溶合金型温度ヒューズ。
【請求項3】
前記微量金属としてInおよび/またはGaを含むことを特徴とする請求項2に記載のPbフリー可溶合金型温度ヒューズ。
【請求項4】
前記可溶合金は(42Sn−55Bi−3Ga)−1Ag、42Sn−55Bi−2Ga−1Ag、(42Sn−56Bi−2Ga)−1Ag、(42Sn−56Bi−2In)−1Ag、(42Sn―56Bi−1Ga−1In)−1Ag、42Sn−56Bi−1Ga−1Ag、41Sn−57Bi−1Ga−1Ag、42Sn−56Bi−0.5Ga−0.5In−1Ag、(42Sn−58Bi)−1Ga−1Ag、および42Sn−56Bi−1In−1Agの合金組成群から選択されるいずれかであり、冷間加工性の良いSn−Bi−Ag系合金を使用したことを特徴とする請求項1に記載のPbフリー可溶合金型温度ヒューズ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−31775(P2007−31775A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−216781(P2005−216781)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(300078431)エヌイーシー ショット コンポーネンツ株式会社 (75)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】