説明

RF増幅装置

【課題】トランジスタの出力電極とインピーダンス整合回路としての伝送線路変圧器TLTとを接続する際にTLTのインピーダンス整合の条件を維持すること。
【解決手段】RF増幅装置は、アンテナに供給される送信電力を生成するトランジスタQの出力電極に接続された伝送線路変圧器TLTを具備する。TLTの主線路Loutの一端In(A)にはトランジスタの出力電極からの送信電力が供給され、TLTの副線路Linの一端Lin(B)は交流接地点に接続される。副線路の他端Lin(A)は主線路の一端に接続され、主線路の他端Out(A)からアンテナに供給される送信電力が生成される。TLTの主線路と副線路とが近接して対向したエネルギー結合部では、副線路から主線路へ結合エネルギーが伝達される。トランジスタの出力電極と電気的に接続された接続部材BWは、エネルギー結合部の一部の主線路と副線路との一方に形成された接続部CPと接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝送線路型整合回路を有するRF(無線周波数)増幅装置に関し、特に最終増幅段の電力トランジスタの出力電極とインピーダンス整合回路としての伝送線路変圧器とを接続する際に伝送線路変圧器のインピーダンス整合の条件を維持するのに有益な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話に代表される移動体通信には、複数の通信方式が存在する。例えば欧州では、第2世代無線通信方式として普及しているGSMおよびGSMのデータ通信速度を向上したEDGEに加えて、近年サービスが開始された第3世代無線通信方式であるW−CDMAがある。また、北米では第2世代無線通信方式であるDCS、PCSに加えて、第3世代無線通信方式であるcdma1xが普及している。尚、GSMは、Global System for Mobile Communicationの略である。EDGEは、Enhanced Data rate for GSM Evolutionの略である。W−CDMAは、Wide-band Code Division Multiple Accessの略である。DCSは、Digital Cellar Systemの略である。PCSは、Personal Communication Systemの略である。cdma1xは、Code Division Multiple Access 1xの略である。
【0003】
下記非特許文献1には、伝送線路変圧器(TLT;Transmission Line Transformer)による整合技術を、RF周波数とローエンドマイクロ波でのマルチオクターブインピーダンス変換に使用することが記載されている。伝統的に電力増幅器では、超低インピーダンスから50Ωへオクターブもしくはそれ以上の帯域で変換する変圧器を実現するために、多数のインダクタ、容量、伝送線またはそれらの組み合わせがラダー回路で一般的に使用されている。これらの構成部品を使用した伝統的技術は、制限された周波数帯域を持つと伴に大きな回路サイズとなる。結合した伝送線の直線もしくはコイルのセクションを使用する伝送線路変圧器(TLT)は、広帯域を持つとともに小さな回路サイズとなる。この型の変圧器は、例えば配線回路基板、低温焼成セラミック(LTCC)、高温焼成セラミック(HTCC)、モノリシックシリコン(Si)またはガリウムアセナイド(GaAs)ICのいずれの多層配線製造技術を用いるように設計されることができることも、下記非特許文献1に記載されている。
【0004】
下記非特許文献2には、グァネラ(Guanella)型とルスロフ(Ruthroff)型の伝送線路変圧器(TLT)が紹介されるとともに、GaAs基板上に3層配線を使用することにより非平衡グァネラ型伝送線路変圧器(TLT)が形成されることが記載されている。
【0005】
下記非特許文献3には、伝統的な変圧器が磁束結合によるのに対して、伝送線路変圧器(TLT)は伝送線路モードで出力回路にエネルギーを伝達する点で相違することが記載されている。浮遊インダクタンスと寄生容量とは一般的に伝送線の特性インピーダンスに吸収されるので、伝統的な変圧器よりも結果として伝送線路変圧器(TLT)はより広い帯域幅と大きな効率を示すとしている。オフチップの伝送線路変圧器(TLT)が2.4GHzブルートース応用の低雑音増幅器(LNA)でシングルエンド信号から差動信号への変換およびその逆の変換に使用されている。
【0006】
下記非特許文献4には、インピーダンス整合に変圧器は有益な構成要素であるが2〜30MHzの周波数帯域では内部配線容量が考慮されなければならないのに対して、グァネラとルスロフとによる伝送線路変圧器(TLT)は驚異的大電力レベルで有益なもので、簡単に構成され、安価で、軽量で、広い帯域幅を扱えると記載している。SSBとAM通信に使用する2〜30MHzの周波数帯域の広帯域高出力高周波リニアアンプでは、フェライトトロイドに巻きついた伝送線路変圧器(TLT)が多段増幅器の段間と出力の整合回路に使用されている。
【0007】
下記非特許文献5には、高効率が要求されるRF通信用の電力増幅器の負荷として、チョークインダクタンスを使用することが記載されている。チョークインダクタンスがDC電源から増幅器へ供給される電流の高調波を抑圧することも、下記非特許文献5に記載されている。
【0008】
【非特許文献1】Inder J. Bahl, “Broadband and Copmact Impedance Transformers for Microwave Circuits”, IEEE MICROWAVE magazine PP.56−62、August 2006.
【非特許文献2】J. Horn et al, “Integrated Transmission Line Transformer, 2004 IEEE MTT−S Digest, PP.201−204.
【非特許文献3】Bill Toole et al,“A Low Voltage, Low Power RF CMOS LNA for Bluetooth Applications using Transmission Line Transformers”, Proceedings of the 27th European Solid−State Circuits Conference, 2001, ESSCIRC, 18−20 Sept, 2001, PP.433−436.
【非特許文献4】OCTAVIUS PITZALIS et al, “Broadband 60−W HF Lenear Amplifier”, IEEE JOURNAL OF SOLID−STATE CIRCUITS, VOL.SC−6, NO.3, JUNE 1971, PP.93−103.
【非特許文献5】Brett E. Klehn et al,“AN EXACT ANALYSIS OF CLASS−E POWER AMPLIFIERS FOR RF COMMUNICATIONS”, Proceedings of the 2004 International Symposium on Circuits and Systems, PP.277−280.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記非特許文献5に記載されているように、RF電力増幅器の負荷としてチョークインダクタが使用されている。本発明者等は本発明に先立って、RF電力増幅器を内蔵したRFモジュールの開発に従事した。RF電力増幅器の負荷を抵抗とした場合と比較して、RFチョークを使用することにより電源電圧を半分とすることができる。しかし、このRFチョークインダクタには、大きな電流容量と高いQファクターとが要求される。しかし、大きな電流容量と高いQファクターとを実現するためには、半導体チップまたは多層配線基板の上のスパイラルコイルの占有面積が大きいと言う問題がある。
【0010】
また、良く知られているように、携帯電話等のモバイル通信機器の50Ωのアンテナに送信電力を低い電源電圧で供給するには、インピーダンス整合回路がRF電力増幅器の出力と負荷としてのアンテナとの間に接続される。この整合回路としては、例えば無損失の1:4の変圧比を持つ変圧器を使用することにより、RF電力増幅器の5ボルトピークツーピーク振幅が20ボルトピークツーピーク振幅になる。言い換えれば、整合回路としての変圧器を使用することにより、負荷インピーダンスを実効的に低い値に変換して、RF電力増幅器が出力する制限された振幅でも目標の送信電力を出力することができる。
【0011】
前記非特許文献1に記載されているように、変圧器による伝統的技術と比較して伝送線路変圧器(TLT)を使用することにより広帯域と小さな回路サイズとが実現されることができる。
【0012】
図1は、本発明に先立って本発明者等により検討されたRFパワーモジュールに内蔵されたRF電力増幅器を示す図である。
【0013】
図1に示すRF電力増幅器では、RF電力増幅器の最終増幅段の電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qのコレクタ出力電極とRFパワーモジュールの出力端子Poutとの間には、インピーダンス整合回路としての伝送線路変圧器(TLT)が接続されている。尚、RFパワーモジュールの出力端子Poutからは、携帯電話の50Ωのアンテナ(図示せず)に供給される送信電力が出力される。
【0014】
図1に示すように、主線路Loutと副線路Linとを持つ伝送線路変圧器TLTは、多層配線基板等で構成されるRFパワーモジュールの回路基板CBの主表面に形成された多層配線によって形成されることができる。例えば、伝送線路変圧器TLTの副線路Linは多層配線の下層配線により形成され、伝送線路変圧器TLTの主線路Loutは多層配線の上層配線により形成され、その逆にすることもできる。多層配線の下層配線により形成された副線路Linと多層配線の上層配線により形成された主線路Loutとの間には、層間絶縁膜(図示せず)が配置されている。多層配線の下層配線により形成された副線路Linの一端Lin(B)には動作電圧Vccが供給可能であり、副線路Linの他端Lin(A)には電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qのコレクタ出力電極CBPからの入力信号が供給可能である。すなわち、副線路Linの他端Lin(A)は、層間絶縁膜に形成されるスルー接続配線Thを介して伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一端In(A)に接続される。伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一端In(A)には、電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)QのRFコレクタ出力信号が供給される。
【0015】
従って、伝送線路変圧器TLTの副線路Linから主線路Loutへのインピーダンス変換によって、主線路Loutの他端Out(A)から電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qの変換出力電力が生成されることができる。すなわち、伝送線路変圧器TLTの副線路Linと主線路Loutとの間の層間絶縁膜により、特性インピーダンスが形成される。従って、伝送線路変圧器TLTの副線路Linから伝送線路モードで主線路Loutへ、誘導性・容量性結合エネルギーが伝達される。従って、負荷回路として空芯コイルも使用せず、大きな電流容量と高いQファクターのスパイラルコイルもしくはチョークインダクタンスを使用せずに、増幅素子の出力電極からのRF増幅電圧信号を取り出すことが可能となる。
【0016】
電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)QはIII−V族化合物半導体チップに形成され、例えばGaAsとInPとのヘテロ接合バイポーラトランジスタが使用される。また、他のHBTとしては、シリコン半導体チップに形成された、SiGeのヘテロ接合バイポーラトランジスタも使用されることもできる。従って、電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qのコレクタ出力電極は、III−V族化合物半導体チップまたはシリコン半導体チップの表面に半導体製造プロセスによって製造された配線層CBPで形成される。この電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qのコレクタ出力電極CBPは、並列接続の4本のボンディング・ワイヤーBWを介してRFパワーモジュールの回路基板CBの主表面に形成された上層配線の主線路Loutの接続部(CP)に接続されている。この並列接続の4本のボンディング・ワイヤBWによる低寄生抵抗と低寄生インダクタンスとは、電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qのアンペアオーダーのコレクタ電流による電圧降下を低減する。尚、この上層配線の主線路Loutの接続部CPは、4本のボンディング・ワイヤBWのためのボンディング・パッドである。
【0017】
すなわち、このボンディング・パッドの接続部CPは、伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの伝送線と副線路Linの伝送線との誘導性・容量性結合のエネルギー伝達結合部分から離間して形成されている。離間の主たる第1の理由は、ボンディング・パッド接続部CPに接続された4本のボンディング・ワイヤBWから生成されるRF周波数の磁束による伝送線路変圧器TLTの主線路Loutと副線路Linとの間のエネルギー伝達結合部分への影響を低減するためである。離間の副次的な第2の理由は、RFモジュールの製造時のボンディング・ワイヤBWのワイヤ・ボンディング工程でのワイヤ・ボンダーによる伝送線路変圧器TLTの副線路Linと主線路Loutとの間の層間絶縁膜への機械的圧力の影響を低減するためである。すなわち、ワイヤ・ボンダーによる圧力により、層間絶縁膜に亀裂が生じたり、亀裂によって層間絶縁膜の電気的絶縁性が低下する可能性を考慮して、ボンディング・パッド接続部CPをエネルギー伝達結合部分から離間して形成したものである。
【0018】
以上説明した第1と第2の理由からボンディング・パッド接続部CPを伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの伝送線と副線路Linの伝送線との誘導性・容量性結合のエネルギー伝達結合部分から離間して形成してものであるが、本発明者等の検討によって新たな問題が明らかとされた。
【0019】
それは上記の考慮に従ってボンディング・パッド接続部CPをエネルギー伝達結合部分から離間したにもかかわらず、逆にRF電力増幅器の出力とアンテナ入力との間のインピーダンス整合回路としての図1に示した伝送線路変圧器TLTを使用してもインピーダンス整合が得られないと言うものである。本発明者等がこのインピーダンス不整合の原因を検討した結果、以下の事項が明らかとされた。
【0020】
図2は、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qと伝送線路変圧器TLTとを含む図1のRF電力増幅器の最終増幅段の等価回路を示す図である。
【0021】
図2に示すように、伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの出力端子Out(A)と接地電位GNDとの間に出力容量Coutが接続されている。また、伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの入力端子In(A)と接地電位GNDとの間に入力容量Cinが接続され、伝送線路変圧器TLTの副線路Linの交流接地点(動作電圧Vccの供給点)と接地電位との間にバイパス容量Cpassが接続されている。特に、図2に示すように、電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qのコレクタ出力電極と伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの入力端子In(A)との間には、ボンディング・パッド接続部CPの無視できない寄生インダクタンスによる追加インダクタLaddが存在している。伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの寄生インダクタンスと副線路Linの寄生インダクタンスとはインピーダンス不整合の原因とはならないが、ボンディング・パッド接続部CPの無視できない寄生インダクタンスはインピーダンス不整合の原因とはなることが本発明者等による検討により明らかとされた。また、図1に示したRF電力増幅器では、ボンディング・パッド接続部CPは主線路Loutと副線路Linとから構成された伝送線路変圧器TLTの本体から外部に離間しているため、回路基板CBの主表面での占有面積が大きくなるという問題もあった。
【0022】
図3は、図1と図2とに示されたRF電力増幅器の最終増幅段の出力とアンテナ入力との間の伝送線路変圧器TLTのインピーダンス整合の状態を解析したスミスチャートを示す図である。尚、図3のスミスチャートは、50Ωのアンテナの負荷インピーダンスZ0で割り算することで正規化されたものである。
【0023】
図3のスミスチャートのスタート・ポイントZ1はRF電力増幅器の最終増幅段の出力の電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qの出力インピーダンスであり、例えば出力インピーダンスZ1は5Ωである。従って、スタート・ポイントZ1の正規化した値は0.1+j・0で抵抗軸の直線上の0.1となっている。次に、電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qのコレクタ出力電極には伝送線路変圧器TLTのボンディング・パッド接続部CPの追加寄生インダクタLaddが接続されているので、スタート・ポイントZ1から0.1定抵抗円上を右回りの軌跡でインピーダンスが移動する。図1に示すRF電力増幅器では、伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの入力端子In(A)のボンディング・パッド接続部CPの長さは略800μmあり、追加寄生インダクタLaddは0.35nHのインダクタンスとなっている。その結果、第1移動先ポイントZ2の正規化した値は、例えば0.1+j0.2となる。
【0024】
次に、追加寄生インダクタLaddには伝送線路変圧器TLTの副線路Linが接続されているので、副線路Linの寄生インダクタンスによって第1移動先ポイントZ2から左回りの軌跡で例えば正規化した値が0.08+j0.1の第2移動先ポイントZ3にインピーダンスが移動する。また、伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの寄生インダクタンスによって第2移動先ポイントZ3から右回りの軌跡で例えば正規化した値が0.04+j0.15の第3移動先ポイントZ4にインピーダンスが移動する。
【0025】
次に、変圧比1:4の伝送線路変圧器TLTによって、第3移動先ポイントZ4からインピーダンスは第3移動先ポイントZ4の正規化した値の実数部と虚数部とがそれぞれ4倍された0.16+j0.6の第4移動先ポイントZ5に移動する。また、伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの出力端子Out(A)には20pFのキャパシタンスの出力容量Coutが接続されているので、第4移動先ポイントZ5から右回りの軌跡で例えば正規化した値が2.0+j・0の第5移動先ポイントZ6にインピーダンスが最終的に移動する。
【0026】
目標とした最終移動先ポイントは50Ωのアンテナの負荷インピーダンスZ0であったのに際して、図3のスミスチャートでの実際の最終移動先ポイントZ6のインピーダンスは正規化した値が2.0+j・0の略100Ωである。良く知られているように、反射係数Γは下記のようになり、反射電力はゼロとならず、目標とするインピーダンス整合の条件を得ることができない。
【0027】
Γ=(Z6−Z0)/(Z6+Z0)=−0.5 …(1式)
尚、図7は図1に示したRFパワーモジュールの回路基板CBの主表面の上面を示す図である。図7で、電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qのコレクタ出力電極CBPから伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一端In(A)に供給されたRF電力は、時計回りの方向で主線路Loutの他端Out(A)へ伝達される。また、電力トランジスタQのコレクタ出力電極CBPからスルー接続配線Thを介して伝送線路変圧器TLTの副線路Linの他端Lin(A)に供給されたRF電力は、反時計回りの方向で副線路Linの一端Lin(B)の動作電源電圧Vccに伝達される。
【0028】
本発明は、以上のような本発明に先立った本発明者等の検討の結果なされたものである。従って、本発明の目的とするところは、RF増幅装置の最終増幅段の電力トランジスタの出力電極とインピーダンス整合回路としての伝送線路変圧器とを接続する際に伝送線路変圧器のインピーダンス整合の条件を維持することにある。
【0029】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本願において開示される発明のうちの代表的なものについて簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0031】
即ち、本発明の代表的なRF増幅装置は、無線装置のアンテナに供給される送信電力を生成する電力トランジスタ(Q)と、電力トランジスタの出力電極(CBP)に接続された伝送線路変圧器(TLT)とを具備する。
【0032】
伝送線路変圧器の主線路(Lout)の一端(In(A))には電力トランジスタの出力電極からの送信電力が供給され、伝送線路変圧器の副線路(Lin)の一端(Lin(B))は交流接地点に接続される。副線路の他端(Lin(A))は主線路の一端に接続され、主線路の他端(Out(A))からアンテナに供給される送信電力が生成される。伝送線路変圧器の主線路と副線路とが近接して対向したエネルギー結合部では、副線路から主線路へ結合エネルギーが伝達される。
【0033】
電力トランジスタの出力電極と電気的に接続された接続部材(BW)は、エネルギー結合部の一部の主線路と副線路とのいずれか一方に形成された接続部(CP)と電気的に接続されていることを特徴する(図4参照)。
【発明の効果】
【0034】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0035】
すなわち、最終増幅段の電力トランジスタの出力電極とインピーダンス整合回路としての伝送線路変圧器とを接続する際に伝送線路変圧器のインピーダンス整合の条件を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
《代表的な実施の形態》
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0037】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態によるRF増幅装置は、無線装置のアンテナに供給される送信電力を生成する電力トランジスタ(Q)と、前記電力トランジスタの出力電極(CBP)に接続された伝送線路変圧器(TLT)とを具備している。
【0038】
前記伝送線路変圧器は、主線路(Lout)と副線路(Lin)とを含む。前記主線路の一端(In(A))には前記電力トランジスタの前記出力電極からの前記送信電力が供給され、前記副線路の一端(Lin(B))は交流接地点に接続される。前記副線路の他端(Lin(A))は前記主線路の前記一端に接続され、前記主線路の他端(Out(A))から前記アンテナに供給される前記送信電力が生成される。前記伝送線路変圧器の前記主線路と前記副線路とが近接して対向したエネルギー結合部では、前記副線路から前記主線路へ結合エネルギーが伝達される。
【0039】
前記電力トランジスタの前記出力電極と電気的に接続された接続部材(BW)は、前記エネルギー結合部の一部の前記主線路と前記副線路とのいずれか一方に形成された接続部(CP)と電気的に接続されていることを特徴する(図4参照)。
【0040】
前記実施の形態によれば、前記電力トランジスタの前記出力電極と前記主線路の前記一端(In(A))との間の寄生インダクタンスを大幅に低減することができ、伝送線路変圧器(TLT)のインピーダンス整合の条件を維持することができる(図6参照)。
【0041】
好適な実施の形態によるRF増幅装置では、前記副線路の前記一端の前記交流接地点には接地電圧レベルと異なる動作電圧(Vcc)が印加されることにより、前記副線路を介して前記電力トランジスタの前記出力電極に前記動作電圧が供給される。
【0042】
より好適な実施の形態によるRF増幅装置では、前記伝送線路変圧器の前記主線路と前記副線路とは絶縁基板(CB)に形成された多層配線で構成されている。
【0043】
更により好適な実施の形態によるRF増幅装置では、前記電力トランジスタは半導体チップに形成され、前記半導体チップに形成された前記電力トランジスタの前記出力電極と電気的に接続された前記接続部材はボンディング・ワイヤ(BW)とボンディング・ボール(BB)とのいずれかである。前記接続部材と電気的に接続され前記エネルギー結合部の前記一部に形成された前記接続部は、前記絶縁基板(CB)に形成されたボンディング・パッド接続部(CP)である。
【0044】
他のより好適な実施の形態によるRF増幅装置では、前記伝送線路変圧器の前記主線路と前記副線路とは単一層のスパイラル状の共通配線層で形成されている(図11参照)。
【0045】
具体的な一つの実施の形態によるRF増幅装置では、前記電力トランジスタと前記伝送線路変圧器の前記主線路と前記副線路とはモノリシックマイクロ波集積回路の半導体基板に形成されている(図12参照)。
【0046】
他の具体的な一つの実施の形態によるRF増幅装置では、前記電力トランジスタはヘテロ接合バイポーラトランジスタとLDMOSとのいずれかである。
【0047】
〔2〕本発明の他の実施の形態に係るRF増幅装置(RF_PAM)は、第1周波数帯域を持つ第1RF送信入力信号(Pin_LB)を増幅する第1電力増幅器(HPA1)と、
前記第1周波数帯域よりも周波数の高い第2周波数帯域を持つ第2RF送信入力信号(Pin_HB)を増幅する第2電力増幅器(HPA2)とを具備している。
【0048】
前記第1電力増幅器は、前記第1RF送信入力信号を増幅することにより無線装置のアンテナに供給される第1送信電力(Pout_LB)を生成する第1電力トランジスタ(Q12)と、前記第1電力トランジスタの第1出力電極に接続された第1伝送線路変圧器(TLT12)とを含む。
【0049】
前記第2電力増幅器は、前記第2RF送信入力信号を増幅することにより前記無線装置の前記アンテナに供給される第2送信電力(Pout_HB)を生成する第2電力トランジスタ(Q22)と、前記第2電力トランジスタの第2出力電極に接続された第2伝送線路変圧器(TLT22)とを含む。
【0050】
前記第1伝送線路変圧器と前記第2伝送線路変圧器のそれぞれは、主線路(Lout)と副線路(Lin)とを含む。前記主線路の一端(In(A))には前記電力トランジスタの前記出力電極からの前記送信電力が供給され、前記副線路の一端(Lin(B))は交流接地点に接続される。前記副線路の他端(Lin(A))は前記主線路の前記一端に接続され、前記主線路の他端(Out(A))から前記アンテナに供給される前記送信電力が生成される。前記伝送線路変圧器の前記主線路と前記副線路とが近接して対向したエネルギー結合部では、前記副線路から前記主線路へ結合エネルギーが伝達される。
【0051】
前記電力トランジスタの前記出力電極と電気的に接続された接続部材(BW)は、前記エネルギー結合部の一部の前記主線路と前記副線路とのいずれか一方に形成された接続部(CP)と電気的に接続されていることを特徴する(図4、図13参照)。
【0052】
好適な実施の形態によるRF増幅装置では、前記それぞれの伝送線路変圧器の前記副線路の前記一端の前記交流接地点には接地電圧レベルと異なる動作電圧(Vdd)が印加されることにより、前記副線路を介して前記電力トランジスタの前記出力電極に前記動作電圧が供給される。
【0053】
より好適な実施の形態によるRF増幅装置では、前記それぞれの伝送線路変圧器の前記主線路と前記副線路とは絶縁基板(CB)に形成された多層配線で構成されている。
【0054】
他のより好適な実施の形態によるRF増幅装置では、前記それぞれの電力トランジスタと前記それぞれの伝送線路変圧器の前記主線路と前記副線路とはモノリシックマイクロ波集積回路の半導体基板に形成されている(図12参照)。
【0055】
更により好適な実施の形態によるRF増幅装置では、前記それぞれの電力トランジスタは半導体チップに形成され、前記半導体チップに形成された前記それぞれの電力トランジスタの前記出力電極と電気的に接続された前記接続部材はボンディング・ワイヤ(BW)とボンディング・ボール(BB)とのいずれかである。前記接続部材と電気的に接続され前記エネルギー結合部の前記一部に形成された前記接続部は、前記絶縁基板(CB)に形成されたボンディング・パッド接続部(CP)である。
【0056】
具体的な一つの実施の形態によるRF増幅装置では、前記第1RF送信入力信号はGSM850とGSM900のいずれかであり、前記第2RF送信入力信号はDCS1800とPCS1900とWCDMA1900のいずれかである(図13参照)。
【0057】
他の具体的な一つの実施の形態によるRF増幅装置では、前記電力トランジスタはヘテロ接合バイポーラトランジスタとLDMOSとのいずれかである。
【0058】
〔3〕本発明の他の実施の形態に係るRF増幅装置(RF_PAM1)は、無線装置のアンテナに供給される送信電力を生成する第1と第2の電力トランジスタ(Q1、Q2)と、前記第1と第2の電力トランジスタの第1と第2の出力電極に第1と第2の入力が接続された出力合成ストリップライン(OUT_SL_LB)と、前記出力合成ストリップラインの出力に接続された伝送線路変圧器(TLT12)とを具備している。
【0059】
前記伝送線路変圧器は、主線路(Lout)と副線路(Lin)とを含む。前記主線路の一端(In(A))には前記出力合成ストリップラインの前記出力からの前記送信電力が供給され、前記副線路の一端(Lin(B))は交流接地点に接続される。前記副線路の他端(Lin(A))は前記主線路の前記一端に接続され、前記主線路の他端(Out(A))から前記アンテナに供給される前記送信電力が生成される。前記伝送線路変圧器の前記主線路と前記副線路とが近接して対向したエネルギー結合部では、前記副線路から前記主線路へ結合エネルギーが伝達される。
【0060】
前記出力合成ストリップラインの前記出力と電気的に接続された接続部材(BW)は、前記エネルギー結合部の一部の前記主線路と前記副線路とのいずれか一方に形成された接続部(CP)と電気的に接続されていることを特徴する(図14参照)。
【0061】
好適な実施の形態によるRF増幅装置では、前記副線路の前記一端の前記交流接地点には接地電圧レベルと異なる動作電圧(Vdd)が印加されることにより、前記副線路と出力合成ストリップラインとを介して前記第1と第2の電力トランジスタの前記第1と第2の出力電極に前記動作電圧が供給される。
【0062】
より好適な実施の形態によるRF増幅装置では、前記伝送線路変圧器の前記主線路と前記副線路とは絶縁基板(CB)に形成された多層配線で構成されている。
【0063】
他のより好適な実施の形態によるRF増幅装置では、前記それぞれの電力トランジスタと前記それぞれの伝送線路変圧器の前記主線路と前記副線路とはモノリシックマイクロ波集積回路の半導体基板に形成されている(図12参照)。
【0064】
更により好適な実施の形態によるRF増幅装置では、前記第1と第2の電力トランジスタは半導体チップに形成される。前記半導体チップに形成された前記第1と第2の電力トランジスタの前記第1と第2の出力電極と前記出力合成ストリップラインの前記第1と第2の入力とは、第1と第2のボンディング・ワイヤ(BW)を介して接続される。前記出力合成ストリップラインの前記出力は、第4のボンディング・ワイヤ(BW)を介して前記主線路の前記一端(In(A))と接続される。
【0065】
具体的な一つの実施の形態によるRF増幅装置では、前記第1と第2の電力トランジスタのそれぞれはヘテロ接合バイポーラトランジスタとLDMOSとのいずれかである。
【0066】
《実施の形態の説明》
次に、実施の形態について更に詳述する。
【0067】
《本発明の1つの実施の形態によるRFモジュール》
図4は、本発明の1つの実施の形態によるRFパワーモジュールに内蔵されたRF電力増幅器を示す図である。
【0068】
まず、図4に示すRFパワーモジュールのRF電力増幅器が図1に示す本発明に先立って本発明者等により検討されたRFパワーモジュールと相違するのは電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタのコレクタ出力電極と伝送線路変圧器TLTとの接続構造のみであり、その他は基本的に同一である。
【0069】
すなわち、図4に示すRFパワーモジュールのRF電力増幅器では、4本のボンディング・ワイヤBWのためのボンディング・パッド接続部CPが、伝送線路変圧器TLTの主線路Loutと副線路Linとが近接して対向したエネルギー伝達結合部に形成されている。このエネルギー伝達結合部では、副線路Linから主線路Loutへ、誘導性・容量性結合エネルギーが伝達される。具体的には、図4では、多層配線の下層配線の伝送線路変圧器TLTの副線路Linの上部には多層配線の上層配線の伝送線路変圧器TLTの主線路Loutが形成され、下層の副線路Linと上層の主線路Loutとの間にエネルギー伝達結合部に形成される。すなわち、このエネルギー伝達結合部の上部の多層配線の上層配線の伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一部が、電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタQのコレクタ出力電極CBPに接続された4本のボンディング・ワイヤBWのためのボンディング・パッド接続部CPとして形成されている。また、ボンディング・パッド接続部CPとしての伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一部は、RF電力増幅器の最終増幅段の電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)QのRFコレクタ出力信号が供給される伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一端In(A)でもある。また、RFパワーモジュールの出力端子Poutからは、携帯電話の50Ωのアンテナ(図示せず)に供給される送信電力が出力される。
【0070】
図5は、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qと伝送線路変圧器TLTとを含む図4のRF電力増幅器の最終増幅段の等価回路を示す図である。従って、図4に示すRFパワーモジュールのRF電力増幅器では、電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタQのコレクタ出力電極と伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの入力端子In(A)との間のボンディング・パッド接続部CPの寄生インダクタンスを図1と図2と比較して大幅に低減することが可能となった。すなわち、電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qのコレクタ出力電極と伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの入力端子In(A)との間の寄生インダクタンスは、実質的に並列接続の4本のアルミニュームのボンディング・ワイヤBWによる低寄生インダクタンスのみとなる。その結果、電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qのコレクタ出力電極とインピーダンス整合回路としての伝送線路変圧器TLTとを接続する際に、伝送線路変圧器TLTのインピーダンス整合の条件を維持することが可能となる。
【0071】
図4と図5とに示された伝送線路変圧器TLTの入力インピーダンスZinと出力インピーダンスZoutとによる伝送線路変圧器TLTのインピーダンス変換について検討する。ここで、伝送線路変圧器TLTの主線路Loutと副線路Linのそれぞれの特性インピーダンスを、Zoとする。伝送線路変圧器TLTの入力端子としての伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一端In(A)に入力電圧Vinが供給されると、この入力電圧Vinは伝送線路変圧器TLTの副線路Linの他端Lin(A)と一端Lin(B)の交流接地点(動作電圧Vccの供給点)との間に印加される。すると、伝送線路変圧器TLTの副線路Linから主線路Loutへ伝達される誘導性・容量性結合エネルギーによって、伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一端In(A)と他端Out(A)との間に入力電圧Vinと略等しい電圧が誘起される。従って、伝送線路変圧器TLTの出力端子としての主線路Loutの他端Out(A)の出力電圧Voutは、次式で求められる。
【0072】
Vout≒2Vin …(2式)
一方、伝送線路変圧器TLTの出力端子としての主線路Loutの他端Out(A)を短絡状態とした状態での伝送線路変圧器TLTの入力端子としての伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一端In(A)から見た伝送線路変圧器TLTの入力インピーダンスZinは、次式で求められる。
【0073】
Zin=Zo/2 …(3式)
一方、伝送線路変圧器TLTの入力端子としての伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの入力端子In(A)を開放状態とした状態での伝送線路変圧器TLTの出力端子としての主線路Loutの他端Out(A) から見た伝送線路変圧器TLTの出力インピーダンスZoutは、次式で求められる。
【0074】
Zout=2Zo …(4式)
従って、伝送線路変圧器TLTの入力インピーダンスZinと出力インピーダンスZoutとの比は1:4となり、図4と図5とに示された伝送線路変圧器TLTのインピーダンス変換比(変圧比)は1:4となる。
【0075】
図6は、図4と図5とに示された本発明の1つの実施の形態によるRF電力増幅器の最終増幅段の出力とアンテナ入力との間の伝送線路変圧器TLTのインピーダンス整合の状態を解析したスミスチャートを示す図である。尚、図6のスミスチャートも、50Ωのアンテナの負荷インピーダンスZ0で割り算することで正規化されたものである。
【0076】
図6のスミスチャートのスタート・ポイントZ1はRF電力増幅器の最終増幅段の出力の電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qの出力インピーダンスであり、例えば出力インピーダンスZ1は5Ωである。従って、スタート・ポイントZ1の正規化した値は0.1+j・0で抵抗軸の直線上の0.1となっている。まず、電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qのコレクタ出力電極には、4本のアルミニュームのボンディング・ワイヤBWと伝送線路変圧器TLTの副線路Linが接続されている。従って、ボンディング・ワイヤBWによる低寄生インダクタンスと副線路Linの寄生インダクタンスとによって、スタート・ポイントZ1から例えば正規化した値が0.08+j0.05の第1移動先ポイントZ3にインピーダンスが移動する。
【0077】
次に、伝送線路変圧器TLTの副線路Linには伝送線路変圧器TLTの主線路Loutが接続されているので、主線路Loutの寄生インダクタンスによって第1移動先ポイントZ3から例えば正規化した値が0.05+j0.1の第2移動先ポイントZ4にインピーダンスが移動する。
【0078】
次に、変圧比1:4の伝送線路変圧器TLTによって、第2移動先ポイントZ4からインピーダンスは第2移動先ポイントZ4の正規化した値の実数部と虚数部とがそれぞれ4倍された0.2+j0.4の第3移動先ポイントZ5に移動する。また、伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの出力端子Out(A)には20pFのキャパシタンスの出力容量Coutが接続されているので、第3移動先ポイントZ5から右回りの軌跡で例えば正規化した値が1.0+j・0の第4移動先ポイントZ6にインピーダンスが最終的に移動する。
【0079】
目標とした最終移動先ポイントは50Ωのアンテナの負荷インピーダンスZ0であったのに際して、図6のスミスチャートでの実際の最終移動先ポイントZ6のインピーダンスは正規化した値が1.0+j・0の略50Ωである。従って、反射係数Γは下記のようになり、反射電力は略ゼロとなり、目標とするインピーダンス整合の条件を得ることができる。
【0080】
Γ=(Z6−Z0)/(Z6+Z0)≒0 …(5式)
また図4に示すように、主線路Loutと副線路Linとを持つ伝送線路変圧器TLTは、多層配線セラミック絶縁基板等で構成されるRFパワーモジュールの回路基板CBの主表面に形成された多層メタライズ配線によって形成されることができる。例えば、伝送線路変圧器TLTの副線路Linは多層配線セラミック絶縁基板の内部の下層メタライズ層配線により形成され、伝送線路変圧器TLTの主線路Loutは多層配線セラミック絶縁基板の主表面の最上層メタライズ配線により形成され、その逆にすることもできる。下層メタライズ層配線により形成された副線路Linと最上層メタライズ配線により形成された主線路Loutとの間には、層間絶縁膜(図示せず)が配置されている。下層メタライズ層配線により形成された副線路Linの一端Lin(B)には動作電圧Vccが供給可能であり、副線路Linの他端Lin(A)には電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qのコレクタ出力電極CBPからの入力信号が供給可能である。すなわち、副線路Linの他端Lin(A)は、層間絶縁膜に形成されるスルー接続配線Thを介して伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一端In(A)に接続される。伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一端In(A)には、電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)QのRFコレクタ出力信号が供給される。
【0081】
従って、伝送線路変圧器TLTの副線路Linから主線路Loutへのインピーダンス変換によって、主線路Loutの他端Out(A)から電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qの変換出力電力が生成されることができる。すなわち、伝送線路変圧器TLTの副線路Linと主線路Loutとの間の層間絶縁膜により、特性インピーダンスが形成される。従って、伝送線路変圧器TLTの副線路Linから伝送線路モードで主線路Loutへ、誘導性・容量性結合エネルギーが伝達される。従って、負荷回路として空芯コイルも使用せず、大きな電流容量と高いQファクターのスパイラルコイルもしくはチョークインダクタンスを使用せずに、増幅素子の出力電極からのRF増幅電圧信号を取り出すことが可能となる。
【0082】
電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)QはIII−V族化合物半導体チップに形成され、例えばGaAsとInPとのヘテロ接合バイポーラトランジスタが使用される。また、他のHBTとしては、シリコン半導体チップに形成された、SiGeのヘテロ接合バイポーラトランジスタも使用されることもできる。従って、電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qのコレクタ出力電極は、III−V族化合物半導体チップまたはシリコン半導体チップの表面に半導体製造プロセスによって製造された配線層CBPで形成される。この電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qのコレクタ出力電極CBPは、並列接続の4本のアルミニュームのボンディング・ワイヤーBWを介してRFパワーモジュールの回路基板CBの主表面に形成された上層配線の主線路Loutの接続部(CP)に接続されている。この並列接続の4本のボンディング・ワイヤBWによる低寄生抵抗と低寄生インダクタンスとは、電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qのアンペアオーダーのコレクタ電流による電圧降下を低減する。尚、この上層配線の主線路Loutの接続部CPは、4本のボンディング・ワイヤBWのためのボンディング・パッドである。
【0083】
また、電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qは並列接続された複数の単位HBTで構成され、複数の単位HBTのコレクタ・エミッタ電流経路は並列接続され、複数の単位HBTのベース電極も並列接続されている。電力トランジスタは並列接続された複数の単位パワーMOSトランジスタで構成されることもでき、複数の単位パワーMOSのドレイン・ソース電流経路は並列接続され、複数の単位パワーMOSのゲート電極も並列接続される。電力HBTまたはパワーMOSの半導体チップは、多層配線セラミック絶縁基板に形成された低熱抵抗の金属放熱構造の主表面にハンダによって電気的に熱的に接続される。この放熱構造の裏面は、携帯電話端末のマザーボード内部の面積の大きな接地配線にハンダによって電気的に熱的に接続される。低熱抵抗の金属放熱構造としては、サーマル・ビアや放熱ヘッダ等を使用することができる。この時に、電力HBTのエミッタまたはパワーMOSのソースが低熱抵抗の金属放熱構造と電気的に接続されることによって、電力HBTまたはパワーMOSはエミッタ接地またはソース接地のRF増幅素子として安定に動作することができる。
【0084】
また、図8は図4に示した本発明の1つの実施の形態によるRFパワーモジュールの回路基板CBの主表面の上面を示す図である。図8で、電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qのコレクタ出力電極CBPから伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一端In(A)に供給されたRF電力は、時計回りの方向で主線路Loutの他端Out(A)へ伝達される。また、電力トランジスタQのコレクタ出力電極CBPからスルー接続配線Thを介して伝送線路変圧器TLTの副線路Linの他端Lin(A)に供給されたRF電力は、反時計回りの方向で副線路Linの一端Lin(B)の動作電源電圧Vccに伝達される。
【0085】
《他の実施の形態によるRFモジュール》
図9は、本発明の他の1つの実施の形態によるRFパワーモジュールに内蔵されたRF電力増幅器を示す図である。
【0086】
図9に示すRFパワーモジュールでは、電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタQのコレクタ出力電極は、4本のボンディング・ワイヤではなく4個のボンディング・ボールBBを介して伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一部のボンディング・パッド接続部CPと接続される。また、ボンディング・パッド接続部CPとしての伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一部は、RF電力増幅器の最終増幅段のヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)QのRFコレクタ出力信号が供給される伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一端In(A)でもある。また、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qと伝送線路変圧器TLTの主線路Loutとの間には第1層層間絶縁膜(図示せず)が形成され、この第1層層間絶縁膜には4個のボンディング・ボールBBのための開口が形成されている。
【0087】
更に、伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一端In(A)は、上層の第2層層間絶縁膜に形成されるスルー接続配線Thを介して、伝送線路変圧器TLTの副線路Linの他端Lin(A)と接続される。
【0088】
従って、図9でも、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qのコレクタ出力電極から伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一端In(A)に供給されたRF電力は、時計回りの方向で主線路Loutの他端Out(A)へ伝達される。また、トランジスタQのコレクタ出力電極からスルー接続配線Thを介して伝送線路変圧器TLTの副線路Linの他端Lin(A)に供給されたRF電力は、反時計回りの方向で副線路Linの一端Lin(B)に伝達される。また、伝送線路変圧器TLTの副線路Linの一端Lin(B)には、動作電源電圧Vccが供給されることができる。
【0089】
図10は、本発明の更に他の1つの実施の形態によるRFパワーモジュールに内蔵されたRF電力増幅器を示す図である。図10に示すRFパワーモジュールでは、RFパワーモジュールの回路基板CBの主表面に形成された伝送線路変圧器TLTの主線路Loutと副線路Linのそれぞれのコーナー部分が円形状とされている点が図4の実施の形態との相違であり、その他は図4の実施の形態と同一である。それにより、伝送線路変圧器TLTの主線路Loutと副線路Linとに、RF信号が流れる際のコーナー部分での高周波損失を低減することができる。また、コーナーだけではなく、全ての路線において外形を円形で構成しても良い。
【0090】
図11は、本発明の更に他の1つの実施の形態によるRFパワーモジュールに内蔵されたRF電力増幅器を示す図である。図11に示すRFパワーモジュールでは、RFパワーモジュールの回路基板CBの主表面に形成された伝送線路変圧器TLTの主線路Loutと副線路Linとが、多層配線層ではなく同一平面上の共通配線層で形成されている点が図4の実施の形態との相違であり、その他は図4の実施の形態と同一である。
【0091】
すなわち、図11に示すRFパワーモジュールでは、伝送線路変圧器TLTの主線路Loutと副線路Linとが単一層のスパイラル状(螺旋状)の共通配線層で形成されている。更に、伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一端In(A)は、共通配線層によって伝送線路変圧器TLTの副線路Linの他端Lin(A)に接続されている。従って、RFパワーモジュールの回路基板CBの主表面で単一層の共通配線層で略平行に形成された伝送線路変圧器TLTの主線路Loutと副線路Linとの間に、誘導性・容量性のエネルギー伝達結合部分が形成される。その結果、図11に示すRFパワーモジュールでも、図4に示すRFパワーモジュールと同様に伝送線路変圧器TLTの副線路Linから主線路Loutへ、誘導性・容量性結合エネルギーが伝達される。
【0092】
また、図11でも、ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qのコレクタ出力電極から伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一端In(A)に供給されたRF電力は、時計回りの方向で主線路Loutの他端Out(A)へ伝達される。また、トランジスタQのコレクタ出力電極から単一層の共通配線層を介して伝送線路変圧器TLTの副線路Linの他端Lin(A)に供給されたRF電力は、反時計回りの方向で副線路Linの一端Lin(B)に伝達される。また、伝送線路変圧器TLTの副線路Linの一端Lin(B)には、動作電源電圧Vccが供給されている。
【0093】
図12は、本発明の更に他の1つの実施の形態によるRFパワーモジュールに内蔵されたRF電力増幅器を示す図である。
【0094】
図12に示すRFパワーモジュールでは、RFパワーモジュールの回路基板CBは、多層配線セラミック絶縁基板ではなく、半導体基板である。本発明の好適な実施の形態では、回路基板CBを構成する半導体基板は、III−V族化合物半導体のGaAs半絶縁性基板である。従って、図12に示すRFパワーモジュールは、モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)の形態で形成されている。図12に示すように、III−V族化合物半導体のGaAs半絶縁性基板CBには、GaAsとInPとの電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qが形成されると伴に伝送線路変圧器TLTの主線路Loutと副線路Linとが形成されている。伝送線路変圧器TLTの副線路LinはGaAs半絶縁性基板CBの多層配線の下層配線により形成され、伝送線路変圧器TLTの主線路Loutは多層配線の主表面の上層配線により形成され、その逆にすることもできる。GaAs半絶縁性基板CBの多層配線の下層配線により形成された伝送線路変圧器TLTの副線路Linは、スルー接続配線Thを介して多層配線の上層配線により形成された伝送線路変圧器TLTの副線路Linの他端Lin(A)に接続されている。このように、図12では、伝送線路変圧器TLTの主線路Loutと副線路Linとは、化合物半導体製造プロセスによって形成されることができる。
【0095】
図12では、特にHBTQのコレクタ電極CCPは、コレクタ電極CCPの上部に形成された多層配線の上層配線によって下層配線によって形成された伝送線路変圧器TLTの副線路Linの他端Lin(A)に接続されている。
【0096】
従って、図12でも、電力ヘテロ接合バイポーラトランジスタ(HBT)Qのコレクタ出力電極から伝送線路変圧器TLTの上層配線の主線路Loutの一端In(A)に供給されたRF電力は、時計回りの方向で上層配線の主線路Loutの他端Out(A)へ伝達される。また、電力トランジスタQのコレクタ出力電極からスルー接続配線Thを介して伝送線路変圧器TLTの下層配線の副線路Linの他端Lin(A)に供給されたRF電力は、反時計回りの方向で下層配線の副線路Linの一端Lin(B)に伝達される。また、伝送線路変圧器TLTの下層配線の副線路Linの一端Lin(B)には、動作電源電圧Vccが供給されている。
【0097】
《具体的な実施の形態によるRFモジュール》
図13は、本発明の1つの具体的な実施の形態によるRF電力増幅器を内蔵したRFモジュールを示す回路図である。同図に示すようにRF電力増幅装置は、1つのパッケージ中に組み込まれたRFパワーモジュールRF_PAMとして構成されている。
【0098】
携帯電話端末のような通信端末機器中に搭載されるRF送受信アナログ信号処理集積回路(RFICと言う)から、第1RF送信入力信号Pin_LBと第2RF送信入力信号Pin_HBとが、RFパワーモジュールRF_PAMの第1RF電力増幅器HPA1と第2RF電力増幅器HPA2とにそれぞれ供給される。第1RF送信入力信号Pin_LBはGSM850とGSM900の略0.8GHz〜1.0GHzの第1周波数帯域を持ち、第2RF送信入力信号Pin_HBはDCS1800とPCS1900とWCDMA1900との略1.7GHz〜2.0GHzの第2周波数帯域を持つ。
【0099】
GSM850のバンドのRF送信信号とGSM900のバンドのRF送信信号とは第1周波数帯域を持つ第1RF送信入力信号Pin_LBとして、第1RF電力増幅器HPA1の入力に供給される。尚、GSM850のバンドのRF送信信号の周波数帯域は824MHz〜849MHzで、GSM900のバンドのRF送信信号の周波数帯域は880MHz〜915MHzである。
【0100】
DCS1800のバンドのRF送信信号とPCS1900のバンドのRF送信信号とは第2周波数帯域を持つ第2RF送信入力信号Pin_HBとして、第2RF電力増幅器HPA2の入力に供給される。また、WCDMA1900のバンドのRF送信信号も第2RF送信入力信号Pin_HBとして、第2RF電力増幅器HPA2の入力に供給されることもできる。尚、DCS1800のバンドのRF送信信号の周波数帯域は1710MHz〜1785MHzで、PCS1900のバンドのRF送信信号の周波数帯域は1850MHz〜1910MHzで、WCDMA1900のバンドのRF送信信号の周波数帯域は1920MHz〜1980MHzである。
【0101】
第1RF電力増幅器HPA1では、第1RF送信入力信号Pin_LBは、結合容量C11を介して多段増幅器の入力側増幅器1st_StgのRF増幅素子Q11で増幅される。入力側増幅器1st_Stg_LBのRF増幅信号は、伝送線路変圧器TLT11で構成された段間整合回路を介して多段増幅器の出力側増幅器2nd_Stg_LBのRF増幅素子Q12で増幅される。RF増幅素子Q12の出力から、伝送線路変圧器TLT21で構成された出力整合回路を介して第1RF送信出力信号Pout_LBが得られる。入力側増幅器1st_Stg_LBのRF増幅素子Q11の出力電極には段間整合回路としての伝送線路変圧器TLT11を介して、出力側増幅器2nd_StgLBのRF増幅素子Q12の出力電極には出力整合回路としての伝送線路変圧器TLT12を介して動作電源電圧Vddが供給される。入力側増幅器1st_StgのRF増幅素子Q11の入力電極には、入力側バイアス回路1st_BC_LBで形成されたバイアス電圧が供給される。出力側増幅器2nd_Stg_LBのRF増幅素子Q12の入力電極には、出力側バイアス回路2nd_BC_LBで形成されたバイアス電圧が供給される。
【0102】
第2RF電力増幅器HPA2では、第2RF送信入力信号Pin_HBは、結合容量C21を介して多段増幅器の入力側増幅器1st_Stg_HBのRF増幅素子Q21で増幅される。入力側増幅器1st_Stg_HBのRF増幅信号は、伝送線路変圧器TLT21で構成された段間整合回路を介して多段増幅器の出力側増幅器2nd_Stg_HBのRF増幅素子Q22で増幅される。RF増幅素子Q22の出力から、伝送線路変圧器TLT22で構成された出力整合回路を介して第2RF送信出力信号Pout_HBが得られる。入力側増幅器1st_Stg_HBのRF増幅素子Q21の出力電極には段間整合回路としての伝送線路変圧器TLT21を介して、出力側増幅器2nd_Stg_HBのRF増幅素子Q22の出力電極には出力整合回路としての伝送線路変圧器TLT22を介して動作電源電圧Vddが供給される。入力側増幅器1st_Stg_HBのRF増幅素子Q21の入力電極には、入力側バイアス回路1st_BC_HBで形成されたバイアス電圧が供給される。出力側増幅器2nd_Stg_HBのRF増幅素子Q22の入力電極には、出力側バイアス回路2nd_BC_HBで形成されたバイアス電圧が供給される。
【0103】
図13の右下に示すように、RF増幅素子Q12の出力整合回路としての伝送線路変圧器TLT12は、入力と出力Poutとの間に配置された主線路Loutと、入力と出力とのいずれか一方と交流接地点との間に配置され主線路Loutと結合された副線路Linとを含んでいる。伝送線路変圧器TLT12の主線路Loutの入力は、増幅素子Q12の出力電極に接続される。副線路Linの交流接地点に接地電圧レベルGNDと異なる動作電圧Vddが印加されることにより、交流接地点から副線路Linを介して増幅素子Q12の出力電極に動作電圧Vddが供給される。主線路Loutの入力と出力とに入力容量Cinと出力容量Coutとがそれぞれ接続され、副線路Linの交流接地点にはバイパス容量Cpassが接続されている。
【0104】
図13に示すRFモジュールでは、RF増幅素子Q11、Q12、Q21、Q22は、LDMOS(Lateral Diffused MOS)と呼ばれるRF増幅に適したNチャンネルシリコンパワーMOSトランジスタである。また、図13に示すRFモジュールでは、伝送線路変圧器TLT11、TLT12、TLT21、TLT22の全ては、図4、図8、図9、図10、図11、図12のいずかの実施の形態と同様に、構成されることが可能である。すなわち、RF増幅素子Q11、Q12、Q21、Q22のドレイン出力電極の伝送線路変圧器の主線路Loutの一端In(A)と副線路Linの他端Lin(A)との接続部が、主線路Loutと副線路Linとの間のエネルギー伝達結合部に形成される。その結果、回路基板の主表面の占有面積を低減することができると伴に、出力整合回路としての伝送線路変圧器TLT12、TLT22でのアンテナとのインピーダンス整合の条件を維持することができる。
【0105】
図14は、本発明の更に他の1つの具体的な実施の形態によるRFパワーモジュールRF_PAM1の具体的な構成を示す図である。
【0106】
同図に示すように本発明の更に他の1つの実施の形態によるRFパワーモジュールRF_PAM1は、1つのパッケージ中に組み込まれている。RF増幅素子であるNチャンネルのLDMOSとパワー制御やバイアス制御などのための内部回路とは、1個のシリコン半導体集積回路Si ICのチップ上に形成されている。シリコン半導体集積回路Si ICのチップ内部の下方には、GSM850とGSM900とを送信するための第1RF電力増幅器HPA1が配置されている。チップ内部の上方には、DCS1800とPCS1900とWCDMA1900とを送信するための第2RF電力増幅器HPA2が配置されている。チップ内部の中央には、パワー検出器DETと、電圧レギュレータVregと、モード信号MODEが供給されるモードスイッチ制御回路Md_Swとが配置されている。このシリコン半導体集積回路Si ICは、RFパワーモジュールRF_PAM1の配線基板上に配置されている。この配線基板上には、整合回路としての伝送線路変圧器TLT11、12、21、22や多数の容量素子C12、C22・・・の受動素子と2個のパワーカップラーPCPL_LB、PCPL_HBと2個の出力用のストリップラインOUT_SL_LB、OUT_SL_HB等も配置されている。伝送線路変圧器TLT11、12、21、22は、上述したように配線基板上の多層配線を利用して形成される。カップラーPCPL_LBは第1RF電力増幅器HPA1の送信出力レベルを検出するものであり、カップラーPCPL_HBは第2RF電力増幅器HPA2の送信出力レベルを検出するものである。多層配線の下層配線を利用して形成されたY字型の出力合成用ストリップラインOUT_SL_LBと多層配線の上層層配線を利用して形成されたカップラーPCPL_LBとが電磁気的に結合されることにより、カップラーPCPL_LBは第1RF電力増幅器HPA1の送信出力レベルを検出する。カップラーPCPL_LBの一端は終端抵抗R34を介して接地電圧GNDに接続され、カップラーPCPL_LBの他端の送信出力レベルはパワー検出器DETに供給される。送信出力レベルの変化はパワー検出器DETと電圧レギュレータVregとの出力変化となり、入力側バイアス回路1st_BC_LBと出力側バイアス回路2nd_BC_LBのバイアス電圧変化により第1RF電力増幅器HPA1のAPC制御が行われる。多層配線の下層配線を利用して形成されたY字型の出力合成用ストリップラインOUT_SL_HBと多層配線の上層層配線を利用して形成されたカップラーPCPL_HBとが電磁気的に結合されることにより、カップラーPCPL_HBは第2RF電力増幅器HPA2の送信出力レベルを検出する。カップラーPCPL_HBの一端は終端抵抗R35を介して接地電圧GNDに接続され、カップラーPCPL_HBの他端の送信出力レベルはパワー検出器DETに供給される。送信出力レベルの変化はパワー検出器DETと電圧レギュレータVregとの出力変化となり、入力側バイアス回路1st_BC_HBと出力側バイアス回路2nd_BC_HBのバイアス電圧変化により第2RF電力増幅器HPA2のAPC制御が行われる。
【0107】
第1RF電力増幅器HPA1の出力側増幅器2nd_Stg_LBは並列接続された2個の増幅器で構成され、同様に第2RF電力増幅器HPA2の出力側増幅器2nd_Stg_HBも並列接続された2個の増幅器で構成されている。第1RF電力増幅器HPA1の並列接続された2個の出力側増幅器2nd_Stg_LBの2個の入力は入力側増幅器1st_Stg_LBの出力により並列に駆動され、同様に第2RF電力増幅器HPA2の並列接続された2個の出力側増幅器2nd_Stg_HBの2個の入力も入力側増幅器1st_Stg_HBの出力により並列に駆動される。第1RF電力増幅器HPA1の並列接続された2個の出力側増幅器2nd_Stg_LBの2個の出力は、Y字型の出力合成用ストリップラインOUT_SL_LBの2つの入力に供給される。Y字型の出力合成用ストリップラインOUT_SL_LBの出力から、GSM850とGSM900のいずれかの第1RF送信出力信号Pout_LBが出力される。同様に、第2RF電力増幅器HPA2の並列接続された2個の出力側増幅器2nd_Stg_HBの2個の出力も、Y字型の出力合成用ストリップラインOUT_SL_HBの2つの入力に供給される。Y字型の出力合成用ストリップラインOUT_SL_HBの出力から、DCS1800とPCS1900とWCDMA1900のいずれかの第2RF送信出力信号Pout_HBが出力される。また、RFパワーモジュールRF_PAM1の右側から、パワー検出器DETのパワー検出信号VDETが出力されている。RFパワーモジュールRF_PAM1の左側から、GSM850とGSM900のいずれかの第1RF送信入力信号Pin_LBと、DCS1800とPCS1900とWCDMA1900のいずれかの第2RF送信入力信号Pin_HBと、モード信号MODEとが供給される。また、並列接続された2個の出力側増幅器2nd_Stg_LBと並列接続された2個の出力側増幅器2nd_Stg_HBとは、DD−CIMA型と呼ばれる増幅器により構成されている。尚、DD−CIMAは、Divided-Device and Collectively Impedance-Matched Amplifierの略である。
【0108】
また、図14に示すRFモジュールRF_PAM1でも、伝送線路変圧器TLT11、TLT12、TLT21、TLT22の全ては、図4、図8、図9、図10、図11、図12のいずれかの実施の形態と同様に、構成されることが可能である。すなわち、RF・LDMOSのドレイン出力電極の伝送線路変圧器の主線路Loutの一端In(A)と副線路Linの他端Lin(A)との接続部が、主線路Loutと副線路Linとの間のエネルギー伝達結合部に形成される。その結果、回路基板の主表面の占有面積を低減することができると伴に、出力整合回路としての伝送線路変圧器TLT12、TLT22でのアンテナとのインピーダンス整合の条件を維持することができる。
【0109】
特に、図14の下部に示すように2個の出力側増幅器2nd_Stg_LBの2個のRF・LDMOSQ1、Q2のドレイン出力信号は、ボンディング・ワイヤBWを介してY字型の出力合成用ストリップラインOUT_SL_LBの2つの入力に供給される。このY字型の出力合成用ストリップラインOUT_SL_LBの出力も、ボンディング・ワイヤBWを介して第1RF送信出力信号Pout_LBのための出力整合回路としての伝送線路変圧器TLT12のボンディング・パッド接続部CPに接続されている。このボンディング・パッド接続部CPも、伝送線路変圧器TLT12の主線路Loutと副線路Linのエネルギー伝達結合部に形成されている。図14でも、多層配線の下層配線の伝送線路変圧器TLT12の副線路Linの上部には多層配線の上層配線の伝送線路変圧器TLT12の主線路Loutが形成され、下層の副線路Linと上層の主線路Loutとの間にエネルギー伝達結合部に形成される。すなわち、このエネルギー伝達結合部の上部の主線路Loutの一部が、Y字型の出力合成用ストリップラインOUT_SL_LBの出力に接続された4本のボンディング・ワイヤBWのためのボンディング・パッド接続部CPとして形成されている。また、ボンディング・パッド接続部CPとしての伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一部は、RF電力増幅器の最終増幅段の2個の出力側増幅器2nd_Stg_LBの2個のRF・LDMOSQ1、Q2のドレイン出力信号が供給される伝送線路変圧器TLTの主線路Loutの一端In(A)でもある。また、RFパワーモジュールの出力端子Pout_LBからは、携帯電話の50Ωのアンテナ(図示せず)に供給される送信電力が出力される。
【0110】
また、図14でも、副線路Linの一端Lin(B)の交流接地点には接地電圧レベルと異なる動作電圧Vddが印加されることにより、副線路Linと出力合成ストリップライン出力合成用ストリップラインOUT_SL_LBとを介して2個のRF・LDMOSQ1、Q2のドレイン出力電極に動作電圧Vddが供給される。
【0111】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0112】
例えば、RF電力増幅器の電力トランジスタとしてはGaAsとInPとのヘテロ接合またはSiGeのヘテロ接合のバイポーラトランジスタやLDMOS以外にもHEMTなどのGaAsを初めとする化合物半導体を使用するFETを使用することもできる。
【0113】
更に、伝送線路変圧器の主線路と副線路とは四角形や円形状のコーナー部分を持つ四角形以外にも、5角形や6角形等の多角形やスパイラル等の円形とすることができる。
【0114】
また、本発明を主に携帯電話端末について述べたが、本発明は携帯電話端末に限定されるものではなく、携帯電話基地局、無線LAN、車載機器、家電製品、その他の無線通信を用いる機器、装置に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】図1は、本発明に先立って本発明者等により検討された伝送線路型整合回路を示す回路図である。
【図2】図2は、ヘテロ接合バイポーラトランジスタと伝送線路変圧器TLTとを含む図1のRF電力増幅器の最終増幅段の等価回路を示す図である。
【図3】図3は、図1と図2とに示されたRF電力増幅器の最終増幅段の出力とアンテナ入力との間の伝送線路変圧器によるインピーダンス不整合の状態を解析したスミスチャートを示す図である。
【図4】図4は、本発明の1つの実施の形態によるRFパワーモジュールに内蔵されたRF電力増幅器を示す図である。
【図5】図5は、ヘテロ接合バイポーラトランジスタと伝送線路変圧器とを含む図4のRF電力増幅器の最終増幅段の等価回路を示す図である。
【図6】図6は、図4と図5とに示された本発明の1つの実施の形態によるRF電力増幅器の最終増幅段の出力とアンテナ入力との間の伝送線路変圧器TLTのインピーダンス整合の状態を解析したスミスチャートを示す図である。
【図7】図7は図1に示したRFパワーモジュールの回路基板CBの主表面の上面を示す図である。
【図8】図8は図4に示した本発明の1つの実施の形態によるRFパワーモジュールの回路基板の主表面の上面を示す図である。
【図9】図9は、本発明の他の1つの実施の形態によるRFパワーモジュールに内蔵されたRF電力増幅器を示す図である。
【図10】図10は、本発明の更に他の1つの実施の形態によるRFパワーモジュールに内蔵されたRF電力増幅器を示す図である。
【図11】図11は、本発明の更に他の1つの実施の形態によるRFパワーモジュールに内蔵されたRF電力増幅器を示す図である。
【図12】図12は、本発明の更に他の1つの実施の形態によるRFパワーモジュールに内蔵されたRF電力増幅器を示す図である。
【図13】図13は、本発明の1つの具体的な実施の形態によるRF電力増幅器を内蔵したRFモジュールを示す回路図である。
【図14】図14は、本発明の更に他の1つの具体的な実施の形態によるRFパワーモジュールの具体的な構成を示す図である。
【符号の説明】
【0116】
CB 回路基板
Q 電力トランジスタ
CBP コレクタ出力電極
BW ボンディング・ワイヤ
CP ボンディング・パッド接続部
TLT 伝送線路変圧器
Lout 主線路
Lin 副線路
In(A) 主線路の一端
Out(A) 主線路の他端
Lin(A) 副線路の他端
Lin(B) 副線路の一端
Th スルー接続配線
Cin 入力容量
Cout 出力容量
Cpass パス容量
Vcc 動作電圧
BB ボンディング・ボール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線装置のアンテナに供給される送信電力を生成する電力トランジスタと、前記電力トランジスタの出力電極に接続された伝送線路変圧器とを具備してなり、
前記伝送線路変圧器は、主線路と副線路とを含み、
前記主線路の一端には前記電力トランジスタの前記出力電極からの前記送信電力が供給され、前記副線路の一端は交流接地点に接続され、
前記副線路の他端は前記主線路の前記一端に接続され、前記主線路の他端から前記アンテナに供給される前記送信電力が生成され、
前記伝送線路変圧器の前記主線路と前記副線路とが近接して対向したエネルギー結合部では、前記副線路から前記主線路へ結合エネルギーが伝達され、
前記電力トランジスタの前記出力電極と電気的に接続された接続部材は、前記エネルギー結合部の一部の前記主線路と前記副線路とのいずれか一方に形成された接続部と電気的に接続されていることを特徴とするRF増幅装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記副線路の前記一端の前記交流接地点には接地電圧レベルと異なる動作電圧が印加されることにより、前記副線路を介して前記電力トランジスタの前記出力電極に前記動作電圧が供給されることを特徴とするRF増幅装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記伝送線路変圧器の前記主線路と前記副線路とは絶縁基板に形成された多層配線で構成されていることを特徴とするRF増幅装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記電力トランジスタは半導体チップに形成され、
前記半導体チップに形成された前記電力トランジスタの前記出力電極と電気的に接続された前記接続部材はボンディング・ワイヤとボンディング・ボールとのいずれかであり、
前記接続部材と電気的に接続され前記エネルギー結合部の前記一部に形成された前記接続部は、前記絶縁基板に形成されたボンディング・パッド接続部であることを特徴とするRF増幅装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記伝送線路変圧器の前記主線路と前記副線路とは単一層のスパイラル状の共通配線層で形成されていることを特徴とするRF増幅装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記電力トランジスタと前記伝送線路変圧器の前記主線路と前記副線路とはモノリシックマイクロ波集積回路の半導体基板に形成されていることを特徴とするRF増幅装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記電力トランジスタはヘテロ接合バイポーラトランジスタとLDMOSとのいずれかであることを特徴とするRF増幅装置。
【請求項8】
第1周波数帯域を持つ第1RF送信入力信号を増幅する第1電力増幅器と、
前記第1周波数帯域よりも周波数の高い第2周波数帯域を持つ第2RF送信入力信号を増幅する第2電力増幅器とを具備してなり、
前記第1電力増幅器は、前記第1RF送信入力信号を増幅することにより無線装置のアンテナに供給される第1送信電力を生成する第1電力トランジスタと、前記第1電力トランジスタの第1出力電極に接続された第1伝送線路変圧器とを含み、
前記第2電力増幅器は、前記第2RF送信入力信号を増幅することにより前記無線装置の前記アンテナに供給される第2送信電力を生成する第2電力トランジスタと、前記第2電力トランジスタの第2出力電極に接続された第2伝送線路変圧器とを含み、
前記第1伝送線路変圧器と前記第2伝送線路変圧器のそれぞれは、主線路と副線路とを含み、
前記主線路の一端には前記電力トランジスタの前記出力電極からの前記送信電力が供給され、前記副線路の一端は交流接地点に接続され、
前記副線路の他端は前記主線路の前記一端に接続され、前記主線路の他端から前記アンテナに供給される前記送信電力が生成され、
前記伝送線路変圧器の前記主線路と前記副線路とが近接して対向したエネルギー結合部では、前記副線路から前記主線路へ結合エネルギーが伝達され、
前記電力トランジスタの前記出力電極と電気的に接続された接続部材は、前記エネルギー結合部の一部の前記主線路と前記副線路とのいずれか一方に形成された接続部と電気的に接続されていることを特徴とするRF増幅装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記それぞれの伝送線路変圧器の前記副線路の前記一端の前記交流接地点には接地電圧レベルと異なる動作電圧が印加されることにより、前記副線路を介して前記電力トランジスタの前記出力電極に前記動作電圧が供給されることを特徴とするRF増幅装置。
【請求項10】
請求項8において、
前記それぞれの伝送線路変圧器の前記主線路と前記副線路とは絶縁基板に形成された多層配線で構成されていることを特徴とするRF増幅装置。
【請求項11】
請求項8において、
前記それぞれの電力トランジスタと前記第それぞれの伝送線路変圧器の前記主線路と前記副線路とはモノリシックマイクロ波集積回路の半導体基板に形成されていることを特徴とするRF増幅装置。
【請求項12】
請求項9において、
前記それぞれの電力トランジスタは半導体チップに形成され、
前記半導体チップに形成された前記それぞれの電力トランジスタの前記出力電極と電気的に接続された前記接続部材はボンディング・ワイヤとボンディング・ボールとのいずれかであり、
前記接続部材と電気的に接続され前記エネルギー結合部の前記一部に形成された前記接続部は、前記絶縁基板に形成されたボンディング・パッド接続部であることを特徴とするRF増幅装置。
【請求項13】
請求項8において、
前記第1RF送信入力信号はGSM850とGSM900のいずれかであり、前記第2RF送信入力信号はDCS1800とPCS1900とWCDMA1900のいずれかであることを特徴とするRF増幅装置。
【請求項14】
請求項8において、
前記それぞれの電力トランジスタはヘテロ接合バイポーラトランジスタとLDMOSとのいずれかであることを特徴とするRF増幅装置。
【請求項15】
無線装置のアンテナに供給される送信電力を生成する第1と第2の電力トランジスタと、前記第1と第2の電力トランジスタの第1と第2の出力電極に第1と第2の入力が接続された出力合成ストリップラインと、前記出力合成ストリップラインの出力に接続された伝送線路変圧器とを具備してなり、
前記伝送線路変圧器は、主線路と副線路とを含み、
前記主線路の一端には前記出力合成ストリップラインの前記出力からの前記送信電力が供給され、前記副線路の一端は交流接地点に接続される。前記副線路の他端は前記主線路の前記一端に接続され、前記主線路の他端から前記アンテナに供給される前記送信電力が生成され、
前記伝送線路変圧器の前記主線路と前記副線路とが近接して対向したエネルギー結合部では、前記副線路から前記主線路へ結合エネルギーが伝達され、
前記出力合成ストリップラインの前記出力と電気的に接続された接続部材は、前記エネルギー結合部の一部の前記主線路と前記副線路とのいずれか一方に形成された接続部と電気的に接続されていることを特徴とするRF増幅装置。
【請求項16】
請求項15において、
前記副線路の前記一端の前記交流接地点には接地電圧レベルと異なる動作電圧が印加されることにより、前記副線路と出力合成ストリップラインとを介して前記第1と第2の電力トランジスタの前記第1と第2の出力電極に前記動作電圧が供給されることを特徴とするRF増幅装置。
【請求項17】
請求項15において、
前記伝送線路変圧器の前記主線路と前記副線路とは絶縁基板に形成された多層配線で構成されていることを特徴とするRF増幅装置。
【請求項18】
請求項15において、
前記それぞれの電力トランジスタと前記それぞれの伝送線路変圧器の前記主線路と前記副線路とはモノリシックマイクロ波集積回路の半導体基板に形成されていることを特徴とするRF増幅装置。
【請求項19】
請求項17において、
前記第1と第2の電力トランジスタは半導体チップに形成され、
前記半導体チップに形成された前記第1と第2の電力トランジスタの前記第1と第2の出力電極と前記出力合成ストリップラインの前記第1と第2の入力とは、第1と第2のボンディング・ワイヤを介して接続され、
前記出力合成ストリップラインの前記出力は、第4のボンディング・ワイヤを介して前記主線路の前記一端と接続されることを特徴とするRF増幅装置。
【請求項20】
請求項15において、
前記第1と第2の電力トランジスタのそれぞれはヘテロ接合バイポーラトランジスタとLDMOSとのいずれかであることを特徴とするRF増幅装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−88770(P2009−88770A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253391(P2007−253391)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】