説明

RF放出体の可搬型反復地理的位置検出

TDOAの使用による静止RF放出体の反復地理的位置検出は、1つの可搬型地理的位置検出(例えば、TDOA)センサ、1対の可搬型地理的位置検出センサ、および3つ以上の可搬型地理的位置検出センサの使用を含むことができる。可搬型地理的位置検出センサを反復プロセスに追加することによって、位置検出対象の信号に対する制約が減少し、位置検出精度向上を得るために必要な反復回数も削減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互引用
【0002】
本願は、2006年12月27日に出願し、"Portable, Iterative Geolocation of RF Emitters"(RF放出体の可搬型反復地理的位置検出)と題する米国特許出願第11/616,729号(弁理士整理番号TPI−0841)の優先権を主張する。その内容は、ここで引用したことにより、全体が本願にも含まれるものとする。
技術分野
【0003】
本発明は、一般的には、アナログまたはディジタル・セルラ・システム、個人通信システム(PCS)、改良型特殊移動体無線機(ESMR)、およびその他の種類のワイヤレス通信システムにおいて用いられるような、固定基地局および移動局(MS)を含む、ワイヤレス・デバイスの位置検出方法および装置に関する。更に特定すれば、本発明は、3台未満の受信機を用いた三角測量法による放出体の位置検出に関する。
【背景技術】
【0004】
無線周波数(RF)エネルギを放出するデバイスの物理的位置を判定するプロセスは、地理的位置検出(geolocation)として知られている。RF放出体の地理的位置検出には多くの技法が存在する。慣例的な地理的位置検出技法の1つは、到達時間差(TDOA)として知られている。慣行にしたがうと、TDOAによる地理的位置検出を遂行するには、異なる既知の位置にある複数のセンサにおいて、RF放出体の信号を同時に捕獲する。複数のセンサの任意の対間でも、TDOAはRFエネルギがその発生源地点から2つのセンサの各々まで伝搬するのに要する時間差である。既知の位置において二次元で2つのセンサ間におけるTDOAを測定すると、双曲線が得られ、2つのセンサが双曲線の焦点と一致する。この双曲線から、RFエネルギが発散していった元の複数の位置が求められる。他のセンサ対から複数の双曲線を導き出すと、RFエネルギが発散した元の唯一の位置が求められる。二次元のTDOAによるRF放出体の地理的位置検出には、最低でも3箇所の別個の地理的位置においてセンサによって信号を受信する必要がある。各センサ対は、潜在的なRFエネルギ源として、双曲線を生成する。三次元のTDOAによるRF放出体の地理的位置検出には、最低でも4箇所の別個の地理的位置においてセンサによって信号を受信する必要がある。各センサ対は、潜在的なRFエネルギ源として、双曲面を平面のように生成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書では、1つのセンサとの商用ワイヤレス電気通信において非常に慣例的なタイミング・プロパティを有する信号の地理的位置を反復的に検出する方法および装置を開示する。加えて、2つ以上のセンサによって信号の地理的位置を反復的に検出する方法および装置も開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次の摘要は、以下で更に詳細に説明する例示的な実施形態の様々な形態を説明することを意図している。この摘要は、開示する主題の発明的形態を全て網羅することを意図するのではなく、以下で明記する特許請求の範囲の保護範囲を限定することを意図するのでもない。
【0007】
本発明の例示的な実施形態は、種々の形態をなすことができる。例えば、本発明は、可搬型地理的位置検出センサ、可搬型地理的位置検出センサの使用を含む方法、およびシステムにおいて実現することができる。本発明は、ハードウェア、またはハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせで実現することができ、ディジタル信号処理手段を含む。
【0008】
一実施形態例では、本発明による可搬型地理的位置検出センサは、タイミング信号を受信するタイミング信号受信機と、対象の放出体(EOI)からの信号を受信し処理する同調可能広帯域受信機と、EOIからの送信にタイム・スタンプを付与する信号プロセッサと、タイミング信号受信機、同調可能広帯域受信機、および信号受信機を収容する可搬型筐体とを備えている。
【0009】
本発明による方法の一例は、少なくとも1つの可搬型地理的位置検出センサを用いてEOIの位置を検出するために用いることができる。この方法は、第1の位置において、第1の時間期間中にEOI送信を受信し、タイム・スタンプを付与し、格納するために第1可搬型地理的位置検出センサを用いるステップと、第1可搬型地理的位置検出センサを第2の位置に移動させるステップと、第2の位置において、第2の時間期間中にEOI送信を受信し、タイム・スタンプを付与し、格納するために第1可搬型地理的位置検出センサを用いるステップと、第1および第2の時間期間中に格納したEOI送信を表すデータを用いて、EOIの位置を計算するステップとを備えている。本発明の方法は、1つの可搬型地理的位置検出センサを用いて実行することができ、このセンサを反復的に異なる位置に移動させ、その位置においてEOIからの送信を受信する。また、本方法は2つ以上の地理的位置検出センサを用いて実行することもでき、その場合センサの内少なくとも1つは可搬型であり、2箇所以上の位置でEOI送信を収集するために用いられるように移動させる。利用する地理的位置検出センサの数は、EOI送信の特性に基づいて選択すればよい(例えば、EOI送信がタイミング情報を含む場合は、1つの可搬型センサを用いればよい)。
【0010】
別の例示的実施形態は、対象放出体(EOI)の位置を検出するシステムの形態をなす。この実施形態では、システムは、第1の時間期間中に第1の位置において、EOI送信を受信し、タイム・スタンプを付与し、格納し、更に第2の時間期間中に第2の位置において、EOI送信を受信し、タイム・スタンプを付与し、格納するために1つの受信機を含む可搬手段と、第1および第2の時間期間中に格納したEOI送信を表すデータを用いて、EOIの位置を計算する、プロセッサを含む計算手段とを備えている。計算手段は、可搬手段と同じ筐体の中に一体化してもよく、あるいは別個としてもよい。
【0011】
他の形態および実施形態について、以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以上の摘要および以下の詳細な説明は、添付図面と合わせて読むと、一層良く理解できる。本発明を例示する目的で、本発明の構造例を図面に示すが、本発明は、開示する具体的な方法および手段に限定されるのではない。図面において、
【図1】図1は、1つのセンサによる反復地理的位置検出の概念を模式的に示す。
【図2】図2は、反復、単一センサ地理的位置検出のための可搬型TDOAセンサを模式的に示す。
【図3】図3は、1対のセンサによる反復地理的位置検出の概念を模式的に示す。
【図4】図4は、1対のセンサによる反復地理的位置検出のための可搬型TDOAセンサを模式的に示す。
【図5】図5は、3つ以上のセンサによる反復地理的位置検出の概念を模式的に示す。
【図6】図6は、3つ以上のセンサによる反復地理的位置検出のための可搬型TDOAセンサを模式的に示す。
【図7】図7は、多重化時間差測定手法を模式的に示す。
【図8】図8は、本発明の一実施形態による方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
これより、本発明の例示的な実施形態、または現時点における好適な実施形態について説明する。最初に、全体像を規定し、次いで更に詳細な説明を行う。
A.全体像
【0014】
ここでは、漸進的(progressive)である、RF放出デバイスの位置を判定する概念を開示する。対象放出体(EOI)のタイミングを先験的に知っており、放出体が長時間送信する場合、1つのセンサを利用してその位置を判定することができる。これには、複数の別個の幾何学的位置において、TDOAセンサを用いてEOIを捕獲することを含む。TDOAセンサは、それ自体の位置が分かっており、非常に安定な基準発振器を有する。また、EOIの周波数およびタイミングのドリフトを特徴付け、これらを補償することも含む。次いで、TDOAおよび到達周波数差(FDOA)を計算する。EOIは静止しており、FDOAはEOIの周波数ドリフトを特徴付けると仮定する。同じ基準発振器からそれぞれのRFキャリアおよびフレーミング・クロック(framing clock)を得る送信機について、FDOAによって周波数ドリフトを測定すると、フレーム・クロックのドリフトを判定することができる。同じ基準発振器からそれぞれのRFキャリアおよびフレーミング・クロックを得ない送信機では、フレーム・クロック・ドリフト・レートは、異なる様式で特徴付けられる。このような技法の1つは、データ捕獲位置を再訪問し、測定したTDOAを直前のTDOA測定値と比較することである。フレーム・クロック・ドリフトを補償するための別の技法も存在する。例えば、1組の方程式を書くことができ、各々、データ捕獲位置と関連付けられており、データ捕獲位置、測定した周波数オフセット、測定した時間オフセット、ならびにフレーム・クロックおよびそのドリフトをパラメータの1つとするモデルを組み込む。十分な数のデータを捕獲した後、フレーム・クロック・ドリフト・パラメータについての解を、この1組の過決定方程式(over-determined equations)から決定することができる。加えて、データ捕獲を行う回数が多い程、反復的に精細化することができる。TDOAは、EOIタイミングの先験的知識から決定する。初期の位置推定値は、3回のデータ捕獲後に二次元で計算することができ、4回のデータ捕獲後では三次元で計算することができる。一旦最小数のデータ捕獲を行ったなら、より多くのデータ捕獲により、位置推定値を反復的に精細化していき、精度を高めることができる。最大の精度向上を得るために、次のデータ捕獲について、移動すべき方向および距離についてユーザに指針を提供することができる。
【0015】
単一センサ手法ではEOI制約を満たすことができない場合、漸進的な次のステップは、間に通信リンクを有する2つのセンサを用いることである。この通信リンクにより、2つのセンサが時間的に同時にEOIを捕獲することが可能になる。1対のセンサによる各同時データ捕獲により、EOIの可能な位置の範囲として、双曲線が得られる。2つのセンサの位置は、双曲線の焦点となる。これらのセンサの一方または双方を移動させ、双方のセンサにおいて同時にEOIを再度捕獲すると、TDOA処理から別の双曲線が得られる。これら2つの双曲線の交点が、二次元におけるEOIの一意の位置となる。更に一方または双方のセンサの位置を変え、続いて同時にデータを捕獲すると、位置検出の精度を改良して得られる。センサにおいて空視野(view-of-the-sky)に勝るGNSS受信機を用いると、他のセンサのための補助GNSSサーバとして動作することができ、GNSS信号の捕獲においてロバスト性が増大する。(GNSSは、汎地球ナビゲーション衛星システムを意味し、衛星測位を用いるナビゲーション・システムに与えられた包括的名称である。これらは、通常、アメリカ汎地球測位システム(GPS)またはロシアGLONASSシステムであるが、GPSまたはGLONASSコンスタレーションを補う対地静止システムも最終的に含む。)位置解の現在の反復における現在の位置推定値の幾何学的正確度希釈(GDOP:Geometric Dilution of Precision)を分析すると、次の同時データ捕獲では、どこにセンサを配置し直せばよいかについての指針が得られる。
【0016】
静止センサおよび/または可搬型センサを追加する程、EOIの位置検出精度が向上し、位置検出精度に対するセンサ再配置の回数の割合が改善する。センサ間の通信にメッシュ上通信ネットワークを利用すると、3つ以上のセンサを利用する場合、センサ間における接続性が一層ロバストになる。
【0017】
図1は、1つのセンサ(106)による、EOI(107)の地理的位置検出の総合的概念を示す。時点T1および位置L1において、1つの可搬型TDOAセンサは、タイム・スタンプを受信し、ある時間期間EOIを格納する。次に、1つの可搬型TDOAセンサを位置L2に移動させ、再度1つの可搬型TDOAセンサはタイム・スタンプを受信し、ある時間期間EOIを格納する。十分な回数のセンサ再配置および信号捕獲を実行し終えるまで、このプロセスを繰り返す。ここに記載する例示的実施形態では、EOIには3つの制約がある。最初に、1つの可搬型TDOAセンサを移動しEOIを受信し、タイム・スタンプを付与し、格納することができるように、十分な時間期間だけ送信していなければならない。第2に、静止していなければならない。第3に、その送信の中にタイミング情報を有していなければならない。
【0018】
図2は、1つの可搬型TDOAセンサ(200)のブロック図を示す。これは、GNSSアンテナ(202)と、高感度GNSSタイミング受信機(204)を備えており、これらは可搬型筐体(210)の中に密閉されている。これによって、EOIからの送信に非常に精度の高いタイム・スタンプを付けることが可能になり、TDOA信号処理において考慮しなければならないEOI送信のタイミングおよび周波数安定性を特徴付ける、非常に安定した周波数基準を得ることが可能になる。また、これはTDOAアンテナ(201)、ならびに同調可能な広帯域ディジタル受信機および信号プロセッサ(205)も有する。これによって、EOIの受信、タイム・スタンプ付与、格納、および処理が可能となる。同調可能な広帯域ディジタル受信機は、広帯域ワイヤレス送信をRF周波数で受信するデバイスとして定める。同調可能な広帯域ディジタル受信機は、RF周波数に同調され、広帯域ワイヤレス送信を、アナログ/ディジタル変換器によってディジタル・フォーマットに変換する。一旦ディジタル・フォーマットになったなら、ディジタル信号処理によって、受信信号をEOIの帯域幅に濾波する。コントローラ/ディスプレイ・デバイス(203)は、可搬型TDOAセンサにユーザ・インターフェースを提供する。これによって、ユーザによるそれの制御が可能となり、更に一旦十分な回数のセンサ再配置およびデータ捕獲が行われれば、EOIの位置を地図またはその他の表示上に表示することが可能となる。更に、次の再配置およびデータ捕獲にとって位置検出精度を最大に向上させるためにユーザが移動させることができる方向および距離についての指針を与える。
【0019】
図3は、1対の時間同期TDOAセンサ(313および306)によるEOIの反復TDOA位置検出の総合的概念を示す。2つのセンサは、同期して、特定の2箇所において受信するEOI信号を受信し、タイム・スタンプを付与し、格納する。つまり、2つのセンサが互いに通信するメカニズムを用いて、正確に同時にEOIの受信を調整する。次いで、一方または双方のセンサを再配置し、EOIを受信し、タイム・スタンプを付与し、格納する。このプロセスは、十分な回数のセンサ再配置および信号捕獲が行われるまで、繰り返す。1対のセンサを用いることによって、その送信の中にプロセス・タイミング情報を有さなければならないという、EOIに対する制約を解消する。
【0020】
図4は、図3の実施形態のための可搬型TDOAセンサ(400)の一方のブロック図を示す。これは、2つの例外を除いて、図2のそれと同一である。まず、2つのセンサ間において、それらのデータ捕獲を調整するための通信が可能となるように、通信アンテナ(409)および送受信機(408)を追加する。第2に、高感度GNSS受信機(404)がここでは補助GNSSサーバとしての役割を果たすことができる。センサの一方の方がGNSS信号の受信に対して明確な空視野を有する場合、このセンサがGNSS補助データを送り、GNSS信号を捕獲する際に、他方のセンサのGNSSタイミング受信機を補助する。
【0021】
図5は、3つ以上のセンサを用いたEOIの反復的な受動地理的位置検出の総合的概念を示す。二次元の地理的位置検出では、最少で3つのセンサを用いれば、一意の位置判断が可能になる。つまり、一意の位置を判定するためには、センサの再配置は不要であるが、位置検出精度は向上する。
【0022】
図6は、図5に提案した実施形態における可搬型TDOAセンサの一方のブロック図を示す。これは、図4の可搬型TDOAセンサと同一であるが、通信用送受信機をメッシュ通信送受信機(608)と交換して、センサ間における通信のロバスト性強化を図っている。
【0023】
図7は、ワイヤレス通信信号の受信フレーム・タイミングを初期状態において、どのように、位置#1における初期データ捕獲時におけるGNSS基準フレーム・クロックと整合させるかを示す。次いで、第2の位置、位置#2において信号捕獲を行い、受信フレーム・タイミングをGNSS基準フレーム・クロックと比較して、送信機におけるフレーム・クロックが完全に安定していると仮定して、2つの位置間におけるTDOA、Δtを導き出す。
【0024】
図8は、本発明の一実施形態による方法のフローチャートである。この方法は、第1の位置において、第1可搬型地理的位置検出センサを用いて、第1時間期間中にEOI送信を受信し、タイム・スタンプを付与し、格納することを含む(801)。加えて、EOI送信は、1つ以上の地理的位置検出センサにおいて、同時に受信し、タイム・スタンプを付与する等としてもよい。地理的位置検出センサは、可搬型センサでも固定センサでもよい(例えば、ワイヤレス通信システムのセル・サイトまたはBTSと同じ位置に配置した位置測定ユニット(LMU))(802)。次に、本方法は、第1可搬型地理的位置検出センサを第2の位置に移動し(803)、第2の位置において、第1可搬型地理的位置検出センサを用いて、第2の時間期間中にEOI送信を受信し、タイム・スタンプを付与し、格納する(804)。最後に、十分な反復の後、少なくとも第1および第2の時間期間中に格納したEOI送信を表すデータを用いて、EOIの位置を計算する。先に論じたように、本方法は、1つの可搬型地理的位置検出センサを用い、これを反復的に異なる位置に移動させ、そこでEOIからの送信を受信することによって実行することができ、あるいは本方法は2つ以上の地理的位置検出センサを用いて実行することもでき、その場合、センサの内少なくとも1つは可搬型であり、2箇所以上の位置でEOI送信を収集するために用いられるように移動させる。
B.例示的実施形態の詳細な説明
1.1つのセンサを用いたGSM基地送受信システム(BTS)の地理的位置検出
【0025】
GSM BTの高精度地理的位置検出を1つのセンサで遂行するには、図2に示す可搬型TDOAセンサを利用する。このセンサは、一体化した高感度、高正確度、高精度GNSSタイミング受信機204を有し、複数の既知の地理的位置においてBTS送信を捕獲する。この概念を図1に示す。
【0026】
GSMワイヤレス通信システムは、時分割多元接続(TDMA)ディジタル・ワイヤレス通信システムである。変調形式は、GMSKであり、シンボル・レートは270 5/6キロヘルツである。各フレームは、スロット毎に、期間が576 12/13マイクロ秒のタイム・スロットを8個有する。フレームには0から2,715,647まで付番されており、フレームは3時間28分53秒760ミリ秒毎に繰り返す。移動体とBTSとの間において制御チャネル信号を用いて、ワイヤレス電話呼の設定および解除を行い、更に移動体をBTSと整合させる。BTSは、そのトラフィックを時間および周波数双方について処理する。BTSは、周波数補正バーストおよび同期バーストを送信し、この時間および周波数同期を可能にする。同期バーストは、既知の時点に送信され、BTSの現在のフレーム番号およびその識別、即ち、基地局識別コード(BSIC)を有する。この信号を利用すると、BTSの位置を受動的に判定することができる。GSM BTSの別の既知の特性を用いることもできる。例えば、ミッドアンブルは、通例、先験的に分かっており、したがって用いることができる。加えて、多くの商用ワイヤレス技術が基本ネットワーク・タイミングを基地局送信に埋め込んで、その移動体ユーザがネットワークとの時間同期を取ることができるようにしている。これらの波形の全てについて、この手法によって、地理的位置を検出することができる。これらには、符号分割多元接続(CDMA)ワイヤレス・ネットワークにおけるパイロットおよび同期送信が含まれる。また、直交周波数分割多重化(OFDM)波形も、それらの移動体加入者が基地局との時間的同期を取ることを必要とし、したがってこの手法によって地理的位置を検出することができる。GSM BTSにおける基本的基準周波数は、13MHzである。シンボル・レートは、13MHzを整数の48で除算した値となる。タイム・スロットは、7500個の13MHz時間期間に等しい。ETSI GSM仕様05.10では、GSM BTS周波数基準が100万に対して0.05(ppm)、即ち50ppbの安定性/精度を有することが必要である。対照的に、可搬型TDOAセンサにおける、その高感度GNSSタイミング受信機からの10MHz周波数基準は、0.001ppbの安定性/精度を有する、即ち、要求量よりも50,000倍高い。高感度GNSSタイミング受信機とは、悪化した環境では通例である低レベルにおいて、衛星ナビゲーション信号を捕獲し追跡することができるものである。これを自動的に行うことができ、あるいは空視野が一層明確なサーバからの補助データを用いて行うこともできる。加えて、これは周波数基準を、それが衛星ナビゲーション信号から導き出すタイミング信号に規制し、非常に精度が高く安定した周波数基準を供給するようにしている。これが重要なのは、以下で論ずるが、BTS周波数基準の周波数精度/安定性は、地理的位置を検出可能な精度に大きな影響を及ぼすからである。可搬型TDOAセンサは、非常に高い周波数精度/安定性を有するので、BTSのフレーム・クロックにおけるドリフトはいずれも測定し補償することができるので、高い位置検出精度が得られる。
【0027】
単一センサGSM BTS地理的位置検出手法は、最初にGSM BTSから同期バーストを受信し、受信したバーストを内部合成同期バーストと相関付け、相関関数のピークを、内部発生、GNSS基準フレーム・クロックと整合させることを含む。この初期相関プロセスは、数学的には次のように記述する。
【数1】

式1
ここで、yl(t)は、最初のデータ捕獲位置について受信した同期バーストであり、rl*(t+τ)は、合成同期バーストであり、Tは同期バーストの持続期間、即ち、576 12/13マイクロ秒である。遅延τおよび周波数シフトωに応じて、この相関関数を最大化する。この相関関数の最大値はτlおよびωlにおいて生ずることを注記しておく。
【0028】
同期バーストには、その中にフレーム番号がエンコードされており、BTSが完全に安定したフレーム・クロックを有するときには、フレームは正確に60/13,000秒毎に繰り返す。BTS送信のデータ捕獲は、この最初の地理的データ捕獲位置において行われ、GNSS基準フレーム・クロック時間を、受信した同期バーストに整合する。データ捕獲の緯度および経度は、GNSS受信機から知らされる。このデータは、更に処理するために、格納する。つまり、一旦最初にBTSフレーム・クロックに時間整合したなら、特定のフレーム番号の別の特定の同期バーストの時刻を将来予測することができる。この特徴を利用して、BTSの地理的位置検出を可能にする。センサを別の地理的位置に移動し、BTS送信の別のデータ捕獲を行う。再度、受信した同期バーストを、合成同期バーストと相関付ける。合成同期バーストは、データ捕獲間におけるしかるべき時間遅れだけ正確に時間シフトされている。これは、数学的には次のように記述する。
【数2】

式2
ここで、y2(t)は、2箇所目のデータ捕獲位置について受信した同期バーストであり、r2*(t-nT+τ1+τ)は、しかるべき量だけ整数のフレームnTにわたって時間シフトされ、最初のデータ捕獲とτによって時間整合されている合成同期バーストである。この二次元相関関数の最大値をτ2およびω2において判定し記録する。
【0029】
この場合も、更に処理するためにこのデータを格納し、データ捕獲位置の緯度および経度を記録する。このプロセスは、高い位置検出精度が得られるだけの十分な回数だけ地理的位置を訪問しデータを捕獲するまで、繰り返す。このプロセスを図1に示す。
【0030】
TDOAは、図7に図式的に示すプロセスによって判定する。位置番号1において、GNSS基準フレーム・タイミングを、BTSから受信したフレーム・タイミングと正確に時間整合する。即ち、τを決定する。次いで、20分後、即ち、260,000GSMフレーム後に、別の地理的位置において、このプロセスを繰り返す。尚、式2のnは、この例では、260,000に等しいことを注記しておく。2番目の位置では、GNSS基準フレーム・タイミングと受信フレーム・タイミングとの間の時間差Δtを得る。これは、τ2−τに等しい。完全に安定なBTSフレーム・クロックでは、この時間差測定値から双曲線が得られ、2つのデータ捕獲位置が焦点となり、そこでBTSの位置を検出することができる。第3のデータ捕獲位置では、別の双曲線が得られる。この双曲線は、BTSの一意の位置を提示する1つの地点において、最初の双曲線と交差する。しかしながら、位置検出精度は、別個のデータ捕獲位置に訪問する回数が増えるにしたがって、大幅に高めることができる。
【0031】
実際には、BTSフレーム・クロックは完全に高精度ではなく、可搬型TDOAセンサによって測定し、特徴付け、補償する必要がある。この測定は、データ捕獲位置毎に行われる。TBSフレーム・クロックは13MHz周波数基準から導き出されるので、0.05ppmというGSM05.10安定性仕様を満たしていても、1時間に48.75シンボル程度は、時間的に移動することができる。これは、各データ捕獲位置における周波数オフセット測定値、即ち、ωおよびω2を利用することによって補償され、あるいはフレーム・クロックが経時的にどのくらい変化したか判定するために同じ地理的位置において異なる時点でEOIを測定するというような別の技法によっても補償される。TDOAおよびFDOA処理双方を実行し、測定したFDOAを用いて、BTSフレーム・クロックの時間ドリフトによって変転すると考えられるTDOA推定値を補償する。具体的には、可搬型TDOAセンサにおけるサンプル・クロックは、GNSSにロックされると、1時間当たり10ナノ秒未満のドリフト・レートを維持する。つまり、200ナノ秒の遅延拡散(delay spread)がある典型的な都市環境において、位置検出に影響を及ぼし始める前に、BTSから約20時間にわたってデータを捕獲することができる。測定した周波数オフセットω、ω2、...、は、測定した時間オフセットτ、τ2、...を補償するために用いられ、これによって、RFキャリアおよびフレーム・クロックがBTSにおける同じ基準発振器から導き出されているとすれば、BTSクロックのドリフトおよび不安定性を補償する。
【0032】
TDOA地理的位置検出における位置推定値の精度に影響を及ぼす要因は多数ある。センサ・データ捕獲位置の、BTSの位置に対する幾何学的方位は、位置検出精度に強い影響を及ぼす1つの要因である。最適なセンサ・データ捕獲位置は、BTSを中心とする円の円周に疎って均一に離間されている。このセンサ・データ捕獲の幾何学的影響は、幾何学的正確度希釈(GDOP)と記述されている。これは次のように計算することができる。
【数3】

式3
ここで、wlm=ul-umは、単位ベクトルulおよびum間の差ベクトルであり、これらは、それぞれ、評価位置からデータ捕獲位置lおよびmまでの単位ベクトルである。量βlmは、wllおよびwlm によって形成される平行四辺形の面積であり、Nはセンサ・データ捕獲位置の数である。位置検出精度は、一意の位置に対して要求される最小数を超えてセンサ・データ捕獲位置の数を増大させることによって、大幅に向上させることができる。しかしながら、位置検出精度向上のセンサ・データ捕獲回数に対する比率は、次のセンサ・データ捕獲の位置に左右される。これは、別のセンサ・データ捕獲の追加に対するGDOPを評価し、その方向にセンサを移動させることによって決定することができる。
2.1対の同期センサによる任意波形の地理的位置検出
【0033】
1つのセンサによる地理的位置検出では、位置検出対象信号の中に、先験的に分かっている、ワイヤレスGSM通信の同期パルスのような、何らかの種類のタイミング特性が埋め込まれていなければならない。この先験的な知識により、それを合成し、この合成した信号を受信信号と相関付けて、時間遅延を判定する。加えて、信号のどのドリフトや不安定も補償しなければならない。これら2つの制約は、別の可搬型TDOAセンサをシステムに追加し、これらの間に通信リンクを追加することによって回避することができる。2つのセンサは、これらの共通通信リンクを通じた調整によって、同時に(EOI)を捕獲することができる。2つの捕獲信号を相関付けることにより、時間遅延の推定値が得られる。データ捕獲の間における2つのセンサの位置が分かっていれば、双曲線は信号に対する候補位置となる。相関は、数学的には次のように記述する。
【数4】

【0034】
この場合でも、データ捕獲位置を多く追加する程、位置検出精度を大幅に高めることができる。一旦一意の位置を判定したなら、GDOPの評価によって、次のデータ捕獲にとって位置検出誤差を最小限に抑えるためセンサの一方または双方をどこに移動させるかについての指針を与える。
3.3つ以上の同期センサによる任意波形の地理的位置検出
【0035】
説明したRF放出体の位置を判定するための反復プロセスは、3つ以上の同期センサを用いることによって改良することができる。実際、位置検出誤差の繰り返し回数に対する収束率は、データ捕獲センサの数が多くなる程改善する。しかしながら、データ捕獲を調整するために、可搬型データ捕獲センサ間には通信リンクが存在しなければならない。これは、実用的な環境では、メッシュ通信ネットワークの使用によって遂行するのが一番良い。メッシュ通信ネットワークは、ネットワークにおけるセンサの少なくとも1つと通信することができるのであれば、どのようなセンサでも、ネットワークにおける他の任意のセンサと通信することを可能にする。実際には、センサは、ネットワークにおけるセンサの全てと直接通信することができない他のセンサに対するリレーとして機能する。これによって、全てのセンサ間における直接通信に適さない物理的環境において、可搬型TDOAシステムのロバストな動作が可能になる。
C.結論
【0036】
本発明の真の範囲は、本明細書に開示した、現時点における好適な実施形態に限定されるのではない。例えば、ワイヤレス位置検出システムの現時点における好適な実施形態の前述の開示では、基地送受信局(BTS)、TDOAセンサ、GPS、GNSS、メッシュ・ネットワーク等というような、説明用語を用いたが、これらが以下の特許請求の範囲の保護範囲を限定するように解釈してはならず、またそうでなくてもワイヤレス位置検出システムの発明的形態が、開示した特定の方法および装置に限定されることを暗示するように解釈してはならない。更に、当業者には言外であろうが、本明細書において開示した発明の形態の多くは、TDOA技法に基づかない位置検出システムにおいても応用することができる。例えば、本発明は、前述のように構成した可搬型TDOAセンサを採用するシステムに限定されるのではない。本明細書において記載したTDOAセンサ、システム、およびサブシステム等は、本質的に、プログラマブル・データ収集および処理デバイスであり、本明細書に開示した発明の概念から逸脱することなく、種々の形態をなすことができる。ディジタル信号処理およびその他の処理機能のコストが急速に下落していることから、例えば、本発明のシステムの動作を変更することなく、特定の機能に対する処理を、本明細書に記載した機能的要素の1つから、別の機能的要素に移転することも容易に可能である。多くの場合、本明細書において記載した実現例(即ち、機能要素)の位置は、単に設計者の好みに過ぎず、必須要件ではない。したがって、明示的に限定され得る場合を除いて、以下の請求項の保護範囲は、先に記載した具体的な実施形態に限定することは意図していない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬型地理的位置検出センサであって、
タイミング信号を受信するタイミング信号受信機と、
前記タイミング信号受信機に動作的に結合されており、対象の放出体(EOI)からの信号を受信し処理する同調可能広帯域受信機と、
前記同調可能広帯域受信機に動作的に結合されており、前記EOIからの送信にタイム・スタンプを付与する信号プロセッサと、
前記のタイミング信号受信機、同調可能広帯域受信機、および信号受信機を収容する可搬型筐体と、
を備えた、可搬型地理的位置検出センサ。
【請求項2】
請求項1記載の可搬型地理的位置検出センサにおいて、前記タイミング信号受信機は、ディジタル通信リンクによって、前記同調可能広帯域受信機に結合された、可搬型地理的位置検出センサ。
【請求項3】
請求項1記載の可搬型地理的位置検出センサにおいて、前記同調可能広帯域受信機は、広帯域ディジタル受信機を備えた、可搬型地理的位置検出センサ。
【請求項4】
請求項1記載の可搬型地理的位置検出センサにおいて、前記同調可能広帯域受信機は、ワイヤレス通信システムの基地送受信局(BTS)を備えたEOIからの送信を受信するように構成された、可搬型地理的位置検出センサ。
【請求項5】
請求項1記載の可搬型地理的位置検出センサにおいて、前記タイミング信号受信機は、衛星ベースのナビゲーション・システムからのGNSS信号を受信し、高精度のサンプリング・クロック信号を供給するように構成された、可搬型地理的位置検出センサ。
【請求項6】
請求項1記載の可搬型地理的位置検出センサにおいて、前記タイミング信号受信機は、前記信号プロセッサに安定な周波数基準を供給するように構成されており、前記信号プロセッサは、前記EOI送信のタイミングおよび周波数安定性を特徴付けるために前記周波数基準を用いるように構成された、可搬型地理的位置検出センサ。
【請求項7】
請求項1記載の可搬型地理的位置検出センサにおいて、前記同調可能広帯域受信機および信号プロセッサは、前記EOIからの送信を受信し、受信した送信にタイム・スタンプを付与し、格納し、処理するように構成された、可搬型地理的位置検出センサ。
【請求項8】
請求項1記載の可搬型地理的位置検出センサであって、更に、コントローラおよびディスプレイ・デバイス(203)と通信するための通信リンク(207)を備えた、可搬型地理的位置検出センサ。
【請求項9】
請求項8記載の可搬型地理的位置検出センサにおいて、前記コントローラおよびディスプレイ・デバイスは、前記EOIの位置を表示するため、また後続のデータ捕獲サイクルにおいて位置検出精度を高めるためにユーザが動かすことができる方向および距離に関する指針を与えるために、ユーザが前記可搬型地理的位置検出センサを制御することができる手段を提供するように構成された、可搬型地理的位置検出センサ。
【請求項10】
請求項1記載の可搬型地理的位置検出センサであって、更に、第2可搬型地理的位置検出センサとの通信を可能にするように構成された通信送受信機を備えた、可搬型地理的位置検出センサ。
【請求項11】
請求項1記載の可搬型地理的位置検出センサにおいて、前記タイミング信号受信機は、更に、補助GPS/GNSSサーバとしての役割を果たし、GPS/GNSS信号の捕獲において第2可搬型地理的位置検出センサを補助するためにGPS/GNSS補助データを送るように構成された、可搬型地理的位置検出センサ。
【請求項12】
請求項10記載の可搬型地理的位置検出センサにおいて、前記通信送受信機は、メッシュ通信送受信機を備えた、可搬型地理的位置検出センサ。
【請求項13】
請求項1記載の可搬型地理的位置検出センサにおいて、前記タイミング信号受信機を用いて汎地球測位システム(GPS)または汎地球ナビゲーション衛星システム(GNSS)からの信号を受信することによって、その位置を判定するように構成された、可搬型地理的位置検出センサ。
【請求項14】
請求項1記載の可搬型地理的位置検出センサにおいて、
前記タイミング信号受信機は、ディジタル通信リンクによって前記同調可能広帯域受信機に結合されており、
前記同調可能広帯域受信機は、広帯域ディジタル受信機を備えており、ワイヤレス通信システムの基地送受信局(BTS)を備えたEOIからの送信を受信するように構成されており、
前記タイミング信号受信機は、衛星ベースのナビゲーション・システムからのGPS信号を受信し、高精度のサンプリング・クロック信号を供給するように構成されており、
前記タイミング信号受信機は、安定な周波数基準を前記信号プロセッサに供給するように構成されており、前記信号プロセッサは、前記EOI送信のタイミングおよび周波数安定性を特徴付けるために、前記周波数基準を用いるように構成されており、
前記同調可能広帯域受信機および信号プロセッサは、前記EOIからの送信を受信し、受信した送信にタイム・スタンプを付与し、格納し、処理するように構成されており、
更に、コントローラおよびディスプレイ・デバイスと通信するための通信リンクを備えており、
前記コントローラおよびディスプレイ・デバイスは、前記EOIの位置を表示するため、また後続のデータ捕獲サイクルにおいて位置検出精度を高めるためにユーザが動かすことができる方向および距離に関する指針を与えるために、ユーザが前記可搬型地理的位置検出センサを制御することができる手段を提供するように構成されており、
更に、第2可搬型地理的位置検出センサとの通信を可能にするように構成された通信送受信機を備えた、可搬型地理的位置検出センサ。
【請求項15】
請求項14記載の可搬型地理的位置検出センサにおいて、前記タイミング信号受信機は、更に、補助GPS/GNSSサーバとしての役割を果たし、GPS/GNSS信号の捕獲において第2可搬型地理的位置検出センサを補助するためにGPS/GNSS補助データを送るように構成された、可搬型地理的位置検出センサ。
【請求項16】
請求項14記載の可搬型地理的位置検出センサにおいて、前記通信送受信機は、メッシュ通信送受信機を備えた、可搬型地理的位置検出センサ。
【請求項17】
請求項14記載の可搬型地理的位置検出センサにおいて、前記タイミング信号受信機を用いて汎地球測位システム(GPS)または汎地球ナビゲーション衛星システム(GNSS)からの信号を受信することによって、その位置を判定するように構成された、可搬型地理的位置検出センサ。
【請求項18】
少なくとも1つの可搬型地理的位置検出センサを用いて対象放出体(EOI)の位置を検出する方法であって、
第1の位置において、第1の時間期間中にEOI送信を受信し、タイム・スタンプを付与し、格納するために第1可搬型地理的位置検出センサを用いるステップと、
前記第1可搬型地理的位置検出センサを第2の位置に移動させるステップと、
前記第2の位置において、第2の時間期間中にEOI送信を受信し、タイム・スタンプを付与し、格納するために前記第1可搬型地理的位置検出センサを用いるステップと、
前記第1および第2の時間期間中に格納した前記EOI送信を表すデータを用いて、前記EOIの位置を計算するステップと、
を備えた、方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、前記1つの地理的位置検出センサを移動し、3箇所以上の位置において前記EOIを受信し、タイム・スタンプを付与し、格納することができるように、十分な時間期間送信するEOIの位置を検出するために用いる、方法。
【請求項20】
請求項18記載の方法において、静止したEOIの位置を検出するために用いる、方法。
【請求項21】
請求項18記載の方法において、その送信の中にタイミング情報を含むEOIの位置を検出するために用いる、方法。
【請求項22】
請求項18記載の方法において、前記第1可搬型地理的位置検出センサは、
タイミング信号を受信するように構成されたタイミング信号受信機と、
EOIからの信号を受信するように構成された同調可能広帯域受信機と、
前記EOIからの送信にタイム・スタンプを付与するように構成された信号プロセッサと、
を備えた、方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法において、前記タイミング信号受信機は、ディジタル通信リンクによって前記同調可能広帯域受信機に結合された、方法。
【請求項24】
請求項22記載の方法において、前記同調可能広帯域受信機は、広帯域ディジタル受信機を備えた、方法。
【請求項25】
請求項18記載の方法において、ワイヤレス通信システムの基地送受信局(BTS)からの送信を受信し、その位置を検出するために用いる、方法。
【請求項26】
請求項22記載の方法において、前記タイミング信号受信機は、衛星ベースのナビゲーション・システムからのGPS信号を受信し、高精度のサンプリング・クロック信号を供給するように構成された、方法。
【請求項27】
請求項22記載の方法において、前記タイミング信号受信機は、前記信号プロセッサに安定な周波数基準を供給するように構成されており、前記信号プロセッサは、前記EOI送信のタイミングおよび周波数安定性を特徴付けるために前記周波数基準を用いるように構成された、方法。
【請求項28】
請求項22記載の方法において、前記同調可能広帯域受信機および信号プロセッサは、前記EOIからの送信を受信し、受信したEOIにタイム・スタンプを付与し、格納し、処理するように構成された、方法。
【請求項29】
請求項22記載の方法であって、更に、前記可搬型地理的位置検出センサを制御し、前記EOIの位置を表示し、後続のデータ捕獲サイクルにおいて位置検出精度を高めるため前記可搬型地理的位置検出センサを移動させる方向および距離に関する指針を与えるために、前記可搬型地理的位置検出センサに結合されたコントローラおよびディスプレイ・デバイスを用いるステップを備えた、方法。
【請求項30】
請求項22記載の方法であって、更に、前記可搬型地理的位置検出センサと第2可搬型地理的位置検出センサとの間で通信を行うために通信送受信機を用いるステップを備えた、方法。
【請求項31】
請求項22記載の方法であって、更に、補助GPSサーバとしての役割を果たし、GPS信号の捕獲において第2可搬型地理的位置検出センサを補助するためにGPS補助データを送るために前記タイミング信号受信機を用いるステップを備えた、方法。
【請求項32】
請求項30記載の方法において、前記通信送受信機は、メッシュ通信送受信機を備えた、方法。
【請求項33】
請求項22記載の方法において、前記可搬型地理的位置検出センサは、前記タイミング信号受信機を用いて汎地球測位システム(GPS)または汎地球ナビゲーション衛星システム(GNSS)からの信号を受信することによって、その位置を判定するように構成された、方法。
【請求項34】
請求項22記載の方法であって、更に、
前記第1可搬型地理的位置検出センサを第3の位置に移動させるステップと、
前記第3の位置において、第3の時間期間中にEOI送信を受信し、タイム・スタンプを付与し、格納するために、前記第1可搬型地理的位置検出センサを用いるステップと、
を備えており、前記EOIの位置を計算するステップは、前記第1、第2、および第3時間期間中に格納した前記EOI送信を表すデータを用いることを含む、方法。
【請求項35】
請求項18記載の方法であって、更に、前記第1の時間期間中にEOI送信を受信し、タイム・スタンプを付与し、格納するために前記第1地理的位置検出センサおよび第2地理的位置検出センサを用いるステップを備えており、前記第2地理的位置検出センサは、前記第1および第2の位置とは異なる位置にあり、前記EOIの位置を計算するステップは、前記第1および第2の時間期間中に格納した前記EOI送信を表す、前記第1および第2地理的位置検出センサからのデータの使用を含む、方法。
【請求項36】
請求項35記載の方法において、前記第2地理的位置検出センサは、少なくとも前記第1の時間期間中、前記第1地理的位置検出センサと時間同期が取られた、方法。
【請求項37】
請求項35記載の方法において、前記第1および第2地理的位置検出センサは、各センサにおいて、EOI送信の同時受信を調整するために、通信送受信機を用いる、方法。
【請求項38】
請求項18記載の方法において、ワイヤレス通信信号の受信フレーム・タイミングを、前記第1の位置における初期データ捕獲時点におけるGNSSベースのフレーム・クロックと整合させることによって、到達時間差(TDOA)測定値を得て、次いで第2の位置においてデータ捕獲を実行し、前記第2の位置における受信したフレーム・タイミングを前記GNSSベースのフレーム・クロックと比較して、前記第1および第2の位置間におけるTDOAを導き出す、方法。
【請求項39】
対象放出体(EOI)の位置を検出するシステムであって、
第1の時間期間中に第1の位置において、EOI送信を受信し、タイム・スタンプを付与し、格納し、更に第2の時間期間中に第2の位置において、EOI送信を受信し、タイム・スタンプを付与し、格納するために1つの受信機を含む可搬手段と、
前記第1および第2の時間期間中に格納した前記EOI送信を表すデータを用いて、前記EOIの位置を計算する、プロセッサを含む計算手段と、
を備えた、システム。
【請求項40】
請求項39記載のシステムであって、前記可搬手段を移動させ、3箇所以上の位置において前記EOIを受信し、タイム・スタンプを付与し、格納することができるように、十分な時間期間送信するEOIの位置を検出する手段を備えた、システム。
【請求項41】
請求項39記載のシステムにおいて、前記可搬手段は、EOI送信の中にあるタイミング情報を受信する手段を備えた、システム。
【請求項42】
請求項39記載のシステムにおいて、前記可搬手段は、更に、
タイミング信号を受信するように構成されたタイミング信号受信機と、
EOIからの信号を受信するように構成された同調可能広帯域受信機と、
前記EOIからの送信にタイム・スタンプを付与するように構成された信号プロセッサと、
を備えた、システム。
【請求項43】
請求項39記載のシステムにおいて、ワイヤレス通信システムの基地送受信局(BTS)からの送信を受信し、その位置を検出する手段を備えた、システム。
【請求項44】
請求項39記載のシステムにおいて、前記可搬手段は、更に、衛星ベースのナビゲーション・システムからのGNSS信号を受信し、高精度のサンプリング・クロック信号を供給する手段を備えた、システム。
【請求項45】
請求項39記載のシステムにおいて、前記可搬手段は、更に、安定な周波数基準を供給し、前記EOI送信のタイミングおよび周波数安定性を特徴付けるために前記周波数基準を用いる手段を備えた、システム。
【請求項46】
請求項39記載のシステムであって、前記EOIからの送信を受信し、受信したEOIにタイム・スタンプを付与し、格納し、処理する手段を備えた、システム。
【請求項47】
請求項39記載のシステムであって、更に、前記可搬手段のユーザ制御を可能にし、前記EOIの位置を表示し、後続のデータ捕獲サイクルにおいて位置検出精度を高めるため前記可搬手段を移動させる方向および距離に関する指針をユーザに与えるために、コントローラおよびディスプレイ・デバイスとインターフェースする手段を備えた、システム。
【請求項48】
請求項39記載のシステムであって、更に、前記可搬手段と第2可搬手段との間で通信を行うために通信送受信機を備えた、システム。
【請求項49】
請求項39記載のシステムであって、更に、第2可搬手段を補助するためにGPS補助データを供給する手段を備えた、システム。
【請求項50】
請求項48記載のシステムにおいて、前記通信送受信機は、メッシュ通信送受信機を備えた、システム。
【請求項51】
請求項39記載のシステムにおいて、前記可搬手段は、汎地球測位システム(GPS)または汎地球ナビゲーション衛星システム(GNSS)からの信号を用いることによって、その位置を判定する手段を備えた、システム。
【請求項52】
請求項39記載のシステムであって、
前記可搬手段を第2可搬手段と時間同期させる手段を備えた、システム。
【請求項53】
請求項39記載のシステムであって、前記可搬手段および第2可搬手段によるEOI送信の同時受信を調整する手段を備えた、システム。
【請求項54】
請求項39記載のシステムにおいて、ワイヤレス通信信号の受信フレーム・タイミングを、前記第1の位置での初期データ捕獲時点におけるGNSSベースのフレーム・クロックと整合させることによって、到達時間差(TDOA)測定を行い、次いで第2の位置においてデータ捕獲を実行し、前記第2の位置における受信したフレーム・タイミングを前記GNSSベースのフレーム・クロックと比較してTDOAを得る手段を備えた、システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−515052(P2010−515052A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544056(P2009−544056)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/026261
【国際公開番号】WO2008/085443
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(500532540)トゥルーポジション・インコーポレーテッド (48)
【Fターム(参考)】