説明

RFIDタグの位置を検出する位置検出装置

【課題】RFIDシステムにおいて、比較的小型の装置でRFIDタグの位置を検出する。
【解決手段】アンテナ手段101は、指向性を有し、RFIDタグ104から発生する高調波信号を受信する。制御手段102は、アンテナ手段101が指向する方向を制御する。出力手段103は、アンテナ手段101が指向するそれぞれの方向について、その方向に対応する位置情報と、その方向から高調波信号を受信したか否かを示す受信情報とを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFID(Radio Frequency Identification)タグを用いてデータキャリアを認識するRFIDシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
RFIDタグは、データを記憶する記憶部と、無線通信を行うアンテナとを有し、非接触でデータの読み書きが可能な電子デバイスである。このようなデバイスを物品に取り付けておけば、非接触でその物品の管理を行うことができる。
【0003】
従来のRFIDタグは、図14に示すように、アンテナ12、スイッチ13、抵抗14、整流回路15、およびデータ処理回路16を備え、例えば、953MHzのリーダライタ11からの質問信号として、無変調の連続波を受信する。このとき、整流回路15は、受信した連続波から電源電圧を生成し、データ処理回路16に供給する。
【0004】
スイッチ13および抵抗14は可変負荷回路を形成し、データ処理回路16は、スイッチ13をオン/オフすることでタグの負荷を変化させて、応答信号を生成する。そして、アンテナ12は、受信した質問信号と同じ周波数で、応答信号をリーダライタ11に返信する。
【0005】
このRFIDタグの等価回路は、図15に示すようになる。V、Rant 、およびRL は、アンテナ開放電圧、アンテナ放射抵抗、およびタグの負荷をそれぞれ表す。このとき、RLとRant の比率が変化するにつれて、アンテナ再放射電力V2 /Rant は、図16のように変化する。
【0006】
質問信号の受信時および論理“0”のデータの送信時は、スイッチ13はオフのままであり、通常、RL /Rant =1に設定されている。これに対して、論理“1”のデータの送信時は、スイッチ13がオンとなる。これにより、タグ回路に抵抗14が並列に接続されるため、RLが減少し、RL /Rant の値も減少する(例えば、RL /Rant =0.5)。したがって、図16の再放射特性によれば、アンテナ再放射電力が増大し、大きな電力で電磁波が送信される。
【0007】
このように、RFIDタグは、タグの負荷を変えることによりアンテナ12からの再放射の大きさを変化させて、リーダライタ11に応答信号を返信する。
このようなRFIDシステムにおいて、高調波を用いて近接するリーダライタ間の電波干渉を防止する方法(例えば、下記の特許文献1を参照)や、RFIDタグの表面に設けた反射体を光学的に検出してタグの位置を特定する方法(例えば、下記の特許文献2を参照)が提案されている。
【特許文献1】特開平08−227468号公報
【特許文献2】特開平04−089296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した従来のRFIDシステムには、次のような問題がある。
RFIDタグが複数ある場合、リーダライタが応答信号を受信することにより、タグが存在することは認識できるが、その位置を特定するのは困難である。また、RFIDタグが貼られていない物品や、付加されたタグが故障しているような物品の存在は、認識することができない。
【0009】
RFIDタグから返信される特定の周波数の応答信号により位置を特定するためには、その周波数での非常に細いビーム(指向性)を有するアンテナを製作しなければならない。例えば、953MHzのRFIDシステムでは、波長が約31cmであるため、その整数倍の距離間隔以上で複数のアンテナ素子を配置したアレイアンテナが必要となる。
【0010】
図17は、このような狭ビームアンテナの例を示している。この狭ビームアンテナは、所定の間隔で配置された4つのアンテナ素子21−1〜21−4からなり、面積が700mm四方となるため、装置が大型化するという問題がある。
【0011】
特許文献2に記載された位置特定方法では、RFID回路とは連動しない反射板を用いているため、RFIDタグの貼り忘れや故障の検出には利用することができない。また、リーダライタ側に発光素子を設ける必要がある。
【0012】
本発明の第1の課題は、RFIDシステムにおいて、比較的小型の装置でRFIDタグの位置を検出することである。
本発明の第2の課題は、RFIDシステムにおいて、RFIDタグの貼り忘れや物品に付加されたRFIDタグの故障を検出することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
図1は、本発明の位置検出装置の原理図である。この位置検出装置は、アンテナ手段101、制御手段102、および出力手段103を備え、非接触でデータの読み書きが可能なRFIDタグ104の位置を検出する。
【0014】
アンテナ手段101は、指向性を有し、RFIDタグ104から発生する高調波信号を受信する。制御手段102は、アンテナ手段101が指向する方向を制御する。出力手段103は、アンテナ手段101が指向するそれぞれの方向について、その方向に対応する位置情報と、その方向から高調波信号を受信したか否かを示す受信情報とを出力する。
【0015】
RFIDタグ104は、リーダライタから受信した連続波の周波数の整数倍の周波数を持つ高調波信号を発生する。アンテナ手段101は、制御手段102からの指示に従って指向性を変化させ、指向する方向から送信されてくる高調波信号を受信して、高調波信号を受信したか否かを示す情報を出力手段103に提供する。制御手段102は、アンテナ手段101に指示した方向を示す情報を出力手段103に提供する。
【0016】
出力手段103は、アンテナ手段101および制御手段102から提供された情報に基づいて、それぞれの方向が指す位置情報と、その方向から高調波信号を受信したか否かを示す受信情報とを、併せて出力する。
【0017】
これにより、アンテナ手段101が指向する複数の位置のそれぞれについて、高調波信号を発生するRFIDタグ104が存在するか否かの情報を得ることができる。
また、RFIDタグ104が高調波信号の代わりに光を発生するようにすれば、その光を撮像して画像を表示することにより、RFIDタグ104の位置を検出することができる。
【0018】
例えば、後述する図6において、アンテナ手段101は、高調波受信アンテナ604および高調波受信器607に対応し、制御手段102および出力手段103は、位置制御器606およびモニタ608にそれぞれ対応する。
【0019】
また、後述する図8において、アンテナ手段101は、高調波受信アンテナ801および高調波受信器607に対応し、制御手段102および出力手段103は、位置制御器606およびモニタ608にそれぞれ対応する。
【発明の効果】
【0020】
高調波信号は基本波の2倍以上の周波数を持つため、その波長は基本波の1/2以下となる。このため、受信アンテナの指向性を確保するために必要な、アンテナ素子間の間隔が小さくなり、小型の受信アンテナでRFIDタグの位置を検出することができる。また、高調波信号の代わりに光を発生するRFIDタグを用いれば、受信アンテナは不要になるため、装置はさらに小型化される。
【0021】
いずれの場合も、リーダライタから連続波を受信したときにRFIDタグが反応するため、RFIDタグの貼り忘れや故障の検出にも利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
本実施形態のRFIDシステムでは、RFIDタグに、受信した高周波信号の高調波を発生する回路、または光を発生する回路を付加し、タグから発生する高調波や光を利用してその位置を検出する。
【0023】
高調波を発生する素子としては、ダイオード、トランジスタ等の非線形素子が用いられ、光を発生する素子としては、発光ダイオード等の発光素子が用いられる。以下の実施形態では、非線形素子としてダイオードを用い、発光素子として発光ダイオードを用いている。
【0024】
例えば、高調波を用いた場合は、リーダライタとタグが質問信号/応答信号をやりとりする波長より短い波長を受信すればよい。このため、細いビームに必要なアンテナ素子間の間隔が小さくなり、比較的小型の受信アンテナでタグの位置を特定できるようになる。上述した特許文献1では、通信の干渉を抑えるために高調波を用いており、本発明とは高調波の使用目的が異なる。
【0025】
また、光を用いた場合は、CCD(Charge Coupled Devices)等の撮像素子を用いてタグの位置を特定することができる。
図2は、高調波発生回路としてRFIDタグの整流回路を利用する例を示している。このRFIDタグは、ダイポールアンテナ201、スイッチ202、抵抗203、整流回路204、およびデータ処理回路205を備え、整流回路204は、ダイオード211、212、およびキャパシタ213、214を含む。データ処理回路205には記憶回路やロジック回路が含まれ、その負荷抵抗は等価的にRと表記される。
【0026】
スイッチ202および抵抗203は可変負荷回路を形成し、データ処理回路205は、変調信号によりスイッチ202をオン/オフすることでタグの負荷を変化させて、応答信号を生成する。そして、ダイポールアンテナ201は、リーダライタから受信した質問信号と同じ周波数で、応答信号をリーダライタに返信する。
【0027】
通常の整流回路では、ダイオード211とダイオード212の特性およびサイズを等しくして高調波の発生を抑えている。これに対して、本実施形態では、この特性を変更するか、あるいは2つのダイオードのサイズを異ならせることで、他の無線システムに影響を与えないレベルの高調波を発生させる。
【0028】
図3は、図2の整流回路204で発生する高調波の例を示している。この例では、953MHzの基本波に対して、その2倍の周波数の2次高調波と3倍の周波数の3次高調波が発生している。例えば、3次高調波を位置検出に利用すれば、図17に示したような形状の受信アンテナを、その1/3の大きさに小型化することができる。
【0029】
ここで、ダイオード211およびダイオード212の好ましい特性およびサイズについて説明する。高調波が他の無線システムに悪影響を与えないためには、一般的に、基本波の−60dB程度の電力の信号が発生できればよい。
【0030】
図4は、奇数次の高調波を発生させる場合のアンテナ波形の例を示している。横軸は位相を表し、縦軸はアンテナに発生する電圧を表す。通常、ダイオード211および212がオンとなるしきい値電圧403は、整流回路204の変換効率を高めるために、0V近くに設定される。したがって、受信波形401と相似の電圧波形がアンテナ201から再放射されるため、その場合は高調波はほとんど発生しない。
【0031】
高調波を発生させるためにしきい値電圧403をaに設定すると、整流回路204により発生する高調波を含んだ成分は、電圧波形402のようになる。アンテナ201と回路が整合しているとき、アンテナ201から再放射される信号電圧は、次式で表される。

・基本波
(4/π)(a・sinθ−(1/2)・sin2θ)
・n次高調波成分(nは奇数)
(4/π)((a/n)・sin(nθ)−(1/(n+1))・sin((n+1)θ)+(1/(n−1))・sin((n−1)θ))

ただし、元の波形の振幅を1とし、元の波形において信号値がaとなる位相をπ/2−θおよびπ/2+θとし、信号値が−aとなる位相を3π/2−θおよび3π/2+θとする。この場合、θはaの関数として求められる。したがって、適切な高調波を発生させるためには、上式を用いて、基本波とn次高調波の電力比が−60dBになるようにaを決定すればよい。
【0032】
図5は、偶数次の高調波を発生させる場合のアンテナ波形の例を示している。通常、ダイオード211とダイオード212のサイズは、高調波の発生を防ぐために、同じサイズに設定されている。これらのダイオードのサイズを異ならせると、アンテナ201から再放射される高周波信号の波形は、電圧波形501のようになり、正電圧側と負電圧側の振幅の大きさが等しくなくなる。
【0033】
ここで、大きい方の半周期の振幅を1、小さい方の半周期の振幅をb(b<1)とすると、アンテナ201と回路が整合している場合、アンテナ201から再放射される信号電圧は、次式で表される。

・基本波
(1+b)/2
・n次高調波成分(nは偶数)
2(1−b)/(π(n2 −1))

したがって、適切な高調波を発生させるためには、上式を用いて、基本波とn次高調波の電力比が−60dBになるようにbを決定し、bを2つのダイオードのサイズ比として用いればよい。
【0034】
さらに、aおよびbの値は、アンテナ201の周波数特性をも考慮して決定することが望ましい。高調波ではアンテナ放射インピーダンスが基本波の約10倍程度となり、アンテナ利得は約1.5倍程度となる。このことから考えて、−60dBの高調波信号は、回路的には−40dB程度の差を持つように設計すればよい。
【0035】
例えば、2次〜5次高調波を位置検出に用いる場合、好ましいaおよびbの値は次のようになる。

・3次高調波
a≧0.025(しきい値電圧はアンテナに発生する電圧振幅の2.5%以上)
・5次高調波
a≧0.004(しきい値電圧はアンテナに発生する電圧振幅の4%以上)
・2次高調波
b≦0.98(2つのダイオードのサイズを2%以上異ならせる)
・4次高調波
b≦0.895(2つのダイオードのサイズを10.5%以上異ならせる)

図6は、このようなRFIDタグが発生する高周波信号を用いた位置検出システムの構成例を示している。このシステムは、多数のダンボール箱等の物品601に付加されたRFIDタグ602と、リーダライタ603、高調波受信アンテナ604、回転制御機構605−1、605−2、位置制御器606、高調波受信器607、およびモニタ608を備える。
【0036】
リーダライタ603は、無変調の連続波を質問信号としてRFIDタグ602に送信するとともに、トリガ信号を高調波受信アンテナ604に送信する。RFIDタグ602は、受信波と同じ周波数の基本波により応答信号を出力するとともに、その高調波信号も出力する。リーダライタ603は、基本波の応答信号を受信し、高調波受信アンテナ604は、トリガ信号により起動されて高調波信号を受信する。
【0037】
高調波受信アンテナ604は、図7に示すように、所定の間隔で平面上に配置された複数のアンテナ素子を備え、2つの回転軸を有する。アンテナ素子としては、例えば、パッチアンテナが用いられ、その配置間隔は、例えば、受信する高調波の波長程度である。回転制御機構605−1および605−2は、位置制御器606からの位置情報を示す制御信号に従って、高調波受信アンテナ604をそれぞれの回転軸を中心として回転させる。これにより、広範囲に渡って機械的に、高調波受信アンテナ604のビームを振ることができる。
【0038】
位置制御器606は、現在の高調波受信アンテナ604のビームの向きを示す信号をモニタ608に出力する。高調波受信器607は、高調波受信アンテナ604からの信号を受け取り、所定の高調波を受信したか否かを示す信号をモニタ608に出力する。そして、モニタ608は、位置制御器606からの信号が示す方向を、RFIDタグ602が存在する方向とみなして表示平面の位置座標に変換し、それぞれの位置から高調波を受信したか否かを示す情報を、画面上に表示する。
【0039】
この情報は、図6に示されるように画像で表示するのが望ましいが、テキスト等で表示してもよい。オペレータは、モニタ608に表示された情報から、それぞれのRFIDタグ602の位置を認識することができる。この場合、RFIDタグ602が付加されていない物品601や、故障したRFIDタグ602が付加された物品601の位置には、高調波受信を示す情報が表示されないので、RFIDタグ602の貼り忘れや故障を検出することもできる。
【0040】
機械的にビームを振る方法以外に、複数のアンテナ素子の位相を電気的に変化させる方法により、RFIDタグの位置を検出することも可能である。図8は、このような位置検出システムの構成例を示している。このシステムは、図6の高調波受信アンテナ604および回転制御機構605−1、605−2を、高調波受信アンテナ801および位置情報変換器802に置き換えた構成を有する。RFIDタグ602、リーダライタ603、位置制御器606、高調波受信器607、およびモニタ608の動作は、図6の場合と同様である。
【0041】
高調波受信アンテナ801は、図9に示すようなフェーズドアレイビームアンテナであり、所定の間隔で平面上に配置された多数のアンテナ素子901と、それぞれのアンテナ素子901に接続された同数の可変位相器902を備える。この高調波受信アンテナ801は、リーダライタ603からのトリガ信号により起動されて、高調波信号を受信する。
【0042】
アンテナ素子901としては、例えば、パッチアンテナが用いられ、その配置間隔は、例えば、受信する高調波の波長程度である。可変位相器902の位相差は、位置情報変換器802からの制御信号に従って変化する。各可変位相器902は、各アンテナ素子901が出力する信号の位相を、その制御信号に応じた位相差だけ変化させて、高調波受信器607に出力する。
【0043】
位置情報変換器802は、位置制御器606からの位置情報を示す制御信号を、それぞれの可変位相器902の位相差を示す制御信号に変換して、高調波受信アンテナ801に出力する。
【0044】
高調波受信器607は、可変位相器902から出力される信号を用いて、特定の方向から受信した信号のみを検知することができる。例えば、すべての可変位相器902の位相差を0に設定すると、真正面からの高調波のみが検知され、それ以外の方向からの高調波は検知されない。また、それぞれの位相差を異ならせることで、検知される高調波の方向を任意に変化させることができる。
【0045】
位置制御器606は、現在の高調波受信アンテナ801のビームの向きを示す信号をモニタ608に出力し、高調波受信器607は、所定の高調波を受信したか否かを示す信号をモニタ608に出力する。こうして、モニタ608の画面上には、図6の場合と同様に、それぞれの位置から高調波を受信したか否かを示す情報が表示される。
【0046】
図8のRFIDシステムは、高調波受信アンテナ801の構成が図6の場合より複雑になるが、機械的な動作が不要なため、処理が速く、故障が少ないという利点を備えている。
【0047】
ところで、図2のRFIDタグでは、整流回路204を利用して高調波を発生させているが、その他の回路を利用することも可能である。図10は、高調波発生回路としてRFIDタグの可変負荷回路を利用する例を示している。
【0048】
このRFIDタグは、アンテナ1001、スイッチ1002、ダイオード1003、抵抗1004、整流回路1005、およびデータ処理回路1006を備える。このうち、アンテナ1001、スイッチ1002、抵抗1004、およびデータ処理回路1006の動作は、図2のダイポールアンテナ201、スイッチ202、抵抗203、およびデータ処理回路205の動作と同様である。整流回路1005は、高調波を発生しない通常の整流回路に相当する。
【0049】
このように、可変負荷回路に直列にダイオード1003を挿入することで、スイッチ1002がオンのとき、すなわち論理“1”の送信時に、ダイオード1003の非線形特性により高調波を発生させることができる。この場合も、図6または図8に示したシステムにより、RFIDタグの位置が検出される。
【0050】
次に、図11から図13までを参照しながら、RFIDタグに発光回路を設けた実施形態を説明する。
図11は、発光回路としてRFIDタグの整流回路を利用する例を示している。このRFIDタグは、図2の構成において整流回路204を整流回路1101に置き換えた構成を有し、整流回路1101は、整流回路204のダイオード211を、赤外線または可視光の発光ダイオード1102に置き換えた構成を有する。これにより、整流回路1101の動作時に発光ダイオード1102から光が発生する。
【0051】
なお、整流回路204のダイオード211の代わりに、ダイオード212を発光ダイオードに置き換えても、同様の効果が得られる。
図12は、発光回路としてRFIDタグの可変負荷回路を利用する例を示している。このRFIDタグは、図10の構成においてダイオード1003を発光ダイオード1201に置き換えた構成を有する。これにより、論理“1”の送信時に発光ダイオード1201から光が発生する。
【0052】
図13は、このようなRFIDタグが発生する光を用いた位置検出システムの構成例を示している。このシステムは、多数の物品601に付加されたRFIDタグ1301と、リーダライタ603、カメラ1302、およびモニタ1303を備える。このうち、リーダライタ603の動作は、図6の場合と同様である。
【0053】
RFIDタグ1301は、リーダライタ603に対する応答信号を出力するとともに、光を発生させる。カメラ1302は、光電変換を行うCCD等の撮像素子を備え、リーダライタ603からのトリガ信号により起動されて物品601を撮像し、画像情報をモニタ1303に出力する。モニタ1303は、受け取った画像情報を画面上に表示する。
【0054】
オペレータは、モニタ1303に表示された輝点の位置から、反応しているRFIDタグ1301の位置を認識することができる。この場合、RFIDタグ1301が付加されていない物品601や、故障したRFIDタグ1301が付加された物品601の位置には輝点が表示されないので、RFIDタグ1301の貼り忘れや故障を検出することもできる。
【0055】
(付記1)非接触でデータの読み書きが可能な無線タグの位置を検出する位置検出装置であって、
指向性を有し、前記無線タグから発生する高調波信号を受信するアンテナ手段と、
前記アンテナ手段が指向する方向を制御する制御手段と、
前記アンテナ手段が指向するそれぞれの方向について、該方向に対応する位置情報と、該方向から前記高調波信号を受信したか否かを示す受信情報とを出力する出力手段と
を備えることを特徴とする位置検出装置。
(付記2)前記制御手段からの制御信号に従って、前記アンテナ手段を回転軸を中心として回転させる回転制御手段をさらに備え、前記アンテナ手段は、所定の間隔で配置された複数のアンテナ素子を含むことを特徴とする付記1記載の位置検出装置。
(付記3)前記制御手段からの制御信号を位相制御信号に変換する変換手段をさらに備え、前記アンテナ手段は、所定の間隔で配置された複数のアンテナ素子と、それぞれのアンテナ素子から出力される信号の位相を該位相制御信号に従って変化させる複数の可変位相器を含むことを特徴とする付記1記載の位置検出装置。
(付記4)リーダライタからの質問信号として、無変調の連続波を受信する受信手段と、
受信した連続波から高調波信号を発生する高調波発生手段と、
前記質問信号に対する応答信号と前記高調波信号を送信する送信手段と
を備えることを特徴とする無線タグ。
(付記5)前記高調波発生手段は、非線形素子を有し、受信した連続波から電源電圧を生成する整流手段を含むことを特徴とする付記4記載の無線タグ。
(付記6)前記整流手段は、前記非線形素子として、所定値以上のしきい値電圧を有する2つのダイオードを含むことを特徴とする付記5記載の無線タグ。
(付記7)前記しきい値電圧は、受信した連続波の電圧振幅の2.5%以上であることを特徴とする付記6記載の無線タグ。
(付記8)前記整流手段は、前記非線形素子として、サイズの異なる2つのダイオードを含むことを特徴とする付記5記載の無線タグ。
(付記9)前記2つのダイオードのうち一方のサイズは、他方のサイズの89.5%以下であることを特徴とする付記8記載の無線タグ。
(付記10)前記高調波発生手段は、非線形素子を有し、前記応答信号を生成する可変負荷手段を含むことを特徴とする付記4記載の無線タグ。
(付記11)リーダライタからの質問信号として、無変調の連続波を受信する受信手段と、
受信した連続波から光を発生する発光手段と、
前記質問信号に対する応答信号を送信する送信手段と
を備えることを特徴とする無線タグ。
(付記12)前記発光手段は、発光素子を有し、受信した連続波から電源電圧を生成する整流手段を含むことを特徴とする付記11記載の無線タグ。
(付記13)前記発光手段は、発光素子を有し、前記応答信号を生成する可変負荷手段を含むことを特徴とする付記11記載の無線タグ。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の位置検出装置の原理図である。
【図2】第1のRFIDタグの構成図である。
【図3】高調波を示す図である。
【図4】第1のアンテナ波形を示す図である。
【図5】第2のアンテナ波形を示す図である。
【図6】第1の位置検出システムの構成図である。
【図7】第1の受信アンテナを示す図である。
【図8】第2の位置検出システムの構成図である。
【図9】第2の受信アンテナを示す図である。
【図10】第2のRFIDタグの構成図である。
【図11】第3のRFIDタグの構成図である。
【図12】第4のRFIDタグの構成図である。
【図13】第3の位置検出システムの構成図である。
【図14】従来のRFIDシステムの構成図である。
【図15】RFIDタグの等価回路を示す図である。
【図16】RFIDタグのアンテナ再放射電力を示す図である。
【図17】935MHz帯域ビームアンテナを示す図である。
【符号の説明】
【0057】
11、603 リーダライタ
12、1001 アンテナ
13、202、1002 スイッチ
14、203、1004 抵抗
15、204、1005、1101 整流回路
16、205、1006 データ処理回路
21−1、21−2、21−3、21−4、901 アンテナ素子
101 アンテナ手段
102 制御手段
103 出力手段
104、602、1301 RFIDタグ
201 ダイポールアンテナ
211、212、1003 ダイオード
213、214 キャパシタ
401、402、501 波形
403 しきい値電圧
601 物品
604、801 高調波受信アンテナ
605−1、605−2 回転制御機構
606 位置制御器
607 高調波受信器
608 モニタ
802 位相情報変換器
902 可変位相器
1102、1201 発光ダイオード
1302 カメラ
1303 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触でデータの読み書きが可能な無線タグの位置を検出する位置検出装置であって、
指向性を有し、前記無線タグから発生する高調波信号を受信するアンテナ手段と、
前記アンテナ手段が指向する方向を制御する制御手段と、
前記アンテナ手段が指向するそれぞれの方向について、該方向に対応する位置情報と、該方向から前記高調波信号を受信したか否かを示す受信情報とを出力する出力手段と
を備えることを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記制御手段からの制御信号に従って、前記アンテナ手段を回転軸を中心として回転させる回転制御手段をさらに備え、前記アンテナ手段は、所定の間隔で配置された複数のアンテナ素子を含むことを特徴とする請求項1記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記制御手段からの制御信号を位相制御信号に変換する変換手段をさらに備え、前記アンテナ手段は、所定の間隔で配置された複数のアンテナ素子と、それぞれのアンテナ素子から出力される信号の位相を該位相制御信号に従って変化させる複数の可変位相器を含むことを特徴とする請求項1記載の位置検出装置。
【請求項4】
リーダライタからの質問信号として、無変調の連続波を受信する受信手段と、
受信した連続波から高調波信号を発生する高調波発生手段と、
前記質問信号に対する応答信号と前記高調波信号を送信する送信手段と
を備えることを特徴とする無線タグ。
【請求項5】
前記高調波発生手段は、非線形素子を有し、受信した連続波から電源電圧を生成する整流手段を含むことを特徴とする請求項4記載の無線タグ。
【請求項6】
前記整流手段は、前記非線形素子として、所定値以上のしきい値電圧を有する2つのダイオードを含むことを特徴とする請求項5記載の無線タグ。
【請求項7】
前記整流手段は、前記非線形素子として、サイズの異なる2つのダイオードを含むことを特徴とする請求項5記載の無線タグ。
【請求項8】
前記高調波発生手段は、非線形素子を有し、前記応答信号を生成する可変負荷手段を含むことを特徴とする請求項4記載の無線タグ。
【請求項9】
リーダライタからの質問信号として、無変調の連続波を受信する受信手段と、
受信した連続波から光を発生する発光手段と、
前記質問信号に対する応答信号を送信する送信手段と
を備えることを特徴とする無線タグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図17】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図13】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−155554(P2007−155554A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−352584(P2005−352584)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】