説明

RFIDタグ

RFIDタグを改善するために、RFIDタグが、繊維層(4)を有し、この繊維層が、折り目線(6)に沿って2つの区域(8、10)に区分され、第1区域(8)が、デザインタグとして形成され、第1区域上に折り畳まれた第2区域(10)が、トランスポンダタグとして形成され、第2区域には、アンテナ(12)が嵌め込まれ又は被着されており、アンテナが、チップ(14)と接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載されたRFIDタグに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1による公知のRFIDタグでは、支持体上に配置されたアンテナと、このアンテナに接続されたチップとから成る完全トランスポンダ(transponder)が設けられている。このトランスポンダは、最初に支持層に被着され、次にこの支持層がデザインタグと接続され、このデザインタグは支持層に裾のように重なっている。トランスポンダは、ユニットとして設けられているので、独自の層を形成し、こうして3層、従って比較的厚くて剛性なRFIDタグを提供する。このようなRFIDタグは、比較的コストがかかり、あまり柔軟でない。さらに、RFIDタグは、衣類で使用した場合、望ましくない途切れ箇所となり、着用快適性を損なうことになる。
【0003】
特許文献2による公知の他のRFIDタグでは、デザインタグが2つの層から成り、層がポケットを形成し、そのポケット内にトランスポンダが挿入されている。この多層型のRFIDタグも、製造が難しいだけでなく、比較的厚くて剛性であり、従って、上記RFIDタグと同様に望ましくない特性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第02/093524号パンフレット
【特許文献2】国際公開第94/29503号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、上記で言及された種類のRFIDタグを改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1のRFIDタグによって解決される。
【0007】
RFIDタグが、繊維層を有し、この繊維層が、折り目線に沿って2つの区域に区分され、第1区域が、デザインタグとして形成され、第1区域上に折り畳まれた第2区域が、トランスポンダタグとして形成され、第2区域が、嵌め込まれ又は被着されたアンテナを含み、このアンテナがチップと接続されている。これにより、まず、ごく単純なRFIDタグが得られる。というのも、このタグは一体に製造可能であり、それとともにデザインタグの片面がトランスポンダタグと強固に接続されているからである。繊維層の第2区域は、1cm当りの緯糸数が第1区域よりも著しく小さい数で製造することができる。チップとアンテナ糸は、浮いている紋糸によって作られた肉厚部を介して嵌め込む必要がない。アンテナが繊維層に嵌め込まれ又は繊維層に取付けられていることによって、チップは繊維層に直接配置してアンテナと接続しておくこともでき、こうしてデザインタグに直接接続されたトランスポンダタグを形成する。このサンドイッチ構成によってアンテナとチップは、保護されることにもなる。こうして2層のRFIDタグが得られ、このタグは公知の3層RFIDタグよりもはるかに薄く、嵩張り感が少ない。そのことから、RFIDタグの柔軟性が改善され、それとともにタグの取扱い性および着用快適性が改善される。
【0008】
RFIDタグの好ましい実施形態は請求項2〜16に明示されている。
【0009】
請求項2によれば、アンテナが、蛇行状又はジグザグ状又はコイル状で繊維層の内部又は表面に配置されていると好ましい。請求項3によれば、第2区域のアンテナは、区域の縁部にまで案内しておくことができ、従って、第1区域が延長部を有することはない。しかし、請求項4によれば、アンテナをデザインタグに沿って、折り目線から離れた方の縁部にまで案内することも可能である。このことは、特にRFIDタグの製造にとって有利である。というのも、このようなRFIDタグは、一般に、織機で連続的に製造することができ、この場合、アンテナ糸は、中断せずに或るタグから次のタグへと案内することができるからである。
【0010】
請求項5によれば、RFIDタグは、HF又はUHFチップを有している。
【0011】
請求項6によれば、繊維層は、編まれるか又は織られて形成されている。また、アンテナは、編み込まれるか又は織り込まれている。請求項7によれば、繊維層は不織布として形成しておくこともでき、この不織布の内部又は表面にアンテナが配置されている。
【0012】
請求項8によれば、RFIDタグは、可塑化しておくこともでき、これにより耐久性は改善することができる。
【0013】
さらに、請求項9によれば、繊維層が、熱溶解の接着性の糸(融着糸)を含み、この融着糸によって区域が互いに結合されていると有利である。
【0014】
請求項10によれば、アンテナは、チップとはんだ付けしておくことができる。請求項11によれば、アンテナが、導電性接着剤によってチップと接続されていると、特に簡単な構成が得られる。請求項12によれば、チップが付加的に接着によって繊維層と結合されているとき、特に安定した構成が得られる。
【0015】
請求項13によれば、第2区域が、デザインタグから張り出さないように第2区域は最大で第1区域と同じ大きさとなっている。
【0016】
請求項14によれば、RFIDタグの構成は、繊維層が織られて形成され、折り目線が緯糸方向に延びているので、その製造が容易となる。その場合、アンテナ糸は経糸のように扱い、すなわち、供給し給糸することができる。
【0017】
請求項15によれば、繊維層が、嵌め込まれたアンテナと共にニードル織機で製造されていると特に有益であり、これにより、確実な縁部が与えられる。しかし、請求項16による製造も可能であり、繊維層は、嵌め込まれたアンテナと共に広幅織機で製造され、次に、個々の帯材に裁断される。
【0018】
前記構成要素、請求された構成要素、下記実施例に述べられ本発明により使用すべき構成要素は、それらの寸法、形状、使用材料および技術的思想の点で、特別な例外条件に服しておらず、各応用分野において知られた選択基準は制約されることなく応用することができる。
【0019】
本発明の対象物のその他の細部、利点および特徴は、添付する図面の以下の説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】デザインタグとその上に折り畳まれるトランスポンダタグとを有するRFIDタグの略図である。
【図2】図1のRFIDタグを展開した状態を示した平面図である。
【図3】図2のRFIDタグの変更例を示した図である。
【図4】図1のRFIDタグを示した側面図である。
【図5】チップの配置を示した横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に略示されたRFIDタグ2は、繊維層4で形成されており、この繊維層は、折り目線6に沿って第1区域8と第2区域10とに区分されている。第1区域は、デザインタグとして形成され、相応する図形記号及び/又は文字記号を備えておくことができる。トランスポンダタグとして形成される第2区域10は、アンテナ12を含み、このアンテナは、図示した例では、蛇行状に配置して繊維層4に嵌め込まれている。アンテナにチップ14が接続されている。第2区域10の長さLは、最大で第1区域8の長さと同じであるか、もしくは、主にそれよりも短くなっている。第2区域10は、第1区域8の上に折り畳まれ、特に図4から読み取ることができるように、第1区域に当接する。第2区域10は、折り目線6に沿って第1区域8と結合しておくことができるだけでなく、例えば、区域の1つにおいて、詳しくは示さない接着糸による接着等の付加的措置によって結合しておくことができる。
【0022】
図2は、展開したRFIDタグ2の平面図であり、この図からアンテナの配置が明らかとなる。アンテナ12は、第2区域10で蛇行状に延びており、繊維層4の第1区域8では折り目線6から、折り目線6から離れた方の縁部16にまで直線状に案内されている。この構成の利点として、アンテナ12は帯状に製造される繊維層4に持続的に挿入することができ、或るRFIDタグ2から後続のRFIDタグ2aへと継目なしに移行できる。このようなタグは、主にニードル織機で製造され、折り目線は、緯糸の方向に延び、アンテナ12は、経糸と同様に供給することができる。
【0023】
図3は、RFIDタグ2bの変更実施形態を示している。ここでは、第2区域10のアンテナ12aが、横で外に引き出され、第2区域10のアンテナ12aが、RFIDタグの製造の間において第1区域8の外側を延びている。第1区域の外側にあるアンテナ糸12bは、帯材の製造後にRFIDタグから切り取られる。
【0024】
特に図5から読み取ることができるように、チップ14が支持体18を有し、この支持体は、詳しくは図示しないチップの端子を含む。これらの端子は、それぞれ、導電性接着剤20、22を介してアンテナ12のアンテナ区域24、26と導電結合されている。さらに、チップ14は、他の接着剤28を介して繊維層4と結合されている。チップ14の領域において、アンテナ12が、短絡ブリッジ30を有し、この短絡ブリッジは、中断部32で遮断することができる。このアンテナの配置は、チップ14の両側でアンテナ区域がほぼ同じ長さを有するようになされている。
【符号の説明】
【0025】
L 第2区域の長さ
2 RFIDタグ
2a RFIDタグ
2b RFIDタグ
4 繊維層
6 折り目線
8 第1区域
10 第2区域
12 アンテナ
12a アンテナ
12b アンテナ
14 チップ
16 縁部
18 支持体
20 接着剤
22 接着剤
24 アンテナ区域
26 アンテナ区域
28 接着剤
30 短絡ブリッジ
32 中断部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維製のデザインタグを有するRFIDタグであって、該タグの裏面には、トランスポンダが配置されており、該トランスポンダが、アンテナ(12、12a、12b)を備えたチップ(14)を有するものにおいて、
当該RFIDタグが繊維層(4)を有し、該繊維層が折り目線(6)に沿って2つの区域(8、10)に区分され、第1区域(8)がデザインタグとして形成され、第2区域(10)が、前記第1区域上に折り畳まれ、前記第2区域(10)が、トランスポンダタグとして形成され、前記第2区域には、アンテナ(12、12a、12b)が嵌め込まれ又は被着されており、該アンテナが、チップ(14)に接続されていることを特徴とするRFIDタグ。
【請求項2】
前記アンテナ(12、12a、12b)が、蛇行状又はジグザグ状又はコイル状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のRFIDタグ。
【請求項3】
前記第2区域(10)のアンテナ(12b)が、区域の縁部まで案内されていることを特徴とする請求項1又は2記載のRFIDタグ。
【請求項4】
前記アンテナ(12a)が、デザインタグ(8)に沿って、折り目線(6)から離れて対向する位置にある縁部(16)にまで延びていることを特徴とする請求項1又は2記載のRFIDタグ。
【請求項5】
前記トランスポンダが、HF又はUHFチップ(14)を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【請求項6】
前記繊維層(4)が、編まれて又は織られて形成されており、前記アンテナ(12)が、前記繊維層に編み込まれるか又は織り込まれていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【請求項7】
前記繊維層(4)が、不織布として形成され、該不織布の内部又は表面には、前記アンテナ(12)が配置されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【請求項8】
当該RFIDタグが可塑化されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【請求項9】
前記繊維層(4)が、熱溶解の接着性の糸を含み、該糸が、各区域を互いに結合していることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【請求項10】
前記アンテナ(12)が、前記チップ(14)とはんだ付けされていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【請求項11】
前記アンテナ(12)が、導電性接着剤(20、22)によってチップ(14)と接続されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【請求項12】
前記チップ(14)が、付加的に接着剤(28)によって前記繊維層(4)と結合されていることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【請求項13】
前記第2区域(10)が、最大で前記第1区域(8)と同じ大きさまでで形成されていることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【請求項14】
前記繊維層(4)が、織られて形成され、前記折り目線(6)が、緯糸方向に延びていることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【請求項15】
前記繊維層(4)が、前記嵌め込まれたアンテナ(12)と共にニードル織機で製造されていることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか一項に記載のRFIDタグ。
【請求項16】
前記繊維層(4)が、前記嵌め込まれたアンテナ(12)と共に広幅織機で製造し裁断されていることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか一項に記載のRFIDタグ。

【図1】
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【図2−4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−545038(P2009−545038A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−521084(P2009−521084)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000353
【国際公開番号】WO2008/011739
【国際公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(500031009)テクスティルマ・アクチェンゲゼルシャフト (22)
【Fターム(参考)】