RFID付き容器体、及びその包装体
【課題】 本発明は、容器の胴部に具備されたRFIDに、無線通信装置が確実にアクセスできるRFID付き容器体を提供することを課題とする。
【解決手段】 容器2の胴部21にRFID3が具備され、胴部周りにフィルム5が巻き付けられており、巻き付けたフィルム5の一部分を扁平状に形成することにより扁平部51が設けられていると共に、この扁平部51の両側縁が胴部21の外形延長上の外側に突出され、且つ扁平部51の扁平面52がRFID3と同じ側に向けられているRFID付き容器体。
【解決手段】 容器2の胴部21にRFID3が具備され、胴部周りにフィルム5が巻き付けられており、巻き付けたフィルム5の一部分を扁平状に形成することにより扁平部51が設けられていると共に、この扁平部51の両側縁が胴部21の外形延長上の外側に突出され、且つ扁平部51の扁平面52がRFID3と同じ側に向けられているRFID付き容器体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDが具備されたRFID付き容器体、及びその包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のIT技術の著しい進歩によって、超小型のICチップを備えるRFIDが、バーコードなどに代わって商品の製造、品質、流通などの管理に利用されるようになってきている。このRFIDに商品情報(品名、ロット番号、製造日、品質保持期限等)や入出荷情報(出荷日、入庫日等)などを適宜記録することにより、商品の製造元から流通業者を経て消費者に亘るまでの流通履歴を含めた商品管理を、個々の商品毎に行うことが可能となる。
例えば、アンプルなどの医療用容器にRFIDを具備させ、製造元から流通業者を経て消費者(病院など)に至るまでの各流通拠点で、RFIDに、入出荷情報(出荷日、入庫日等)や検品情報などの所望の情報を追加又は更新記録していくことにより、極めて正確な流通履歴を残すことができる。このようにRFIDを用いれば、医薬品などの商品の追跡管理を容易に行えるという利点がある。
【0003】
このようなRFIDを商品に具備させる手段として、例えば、特開2004−20771には、筒状のラベル基材面に、導電性インキからなるアンテナパターンが印刷され、このアンテナパターンに電気的に導通するようにICチップが貼着されているRFID付きボトル用ラベルを、容器胴部に装着することが開示されている。
また、このような筒状ラベル以外に、RFIDを備える粘着ラベルを、容器胴部に貼付する手段も考えられる。
【0004】
ところで、多くの商品は、通常、複数個を纏めて包装箱に収容された包装体の形態で、工場から出荷され、保管・搬送などの流通に供している。
該包装体は、例えば、包装箱の内部に仕切を設け、この仕切で区画された個々の空間に、容器を横にした(容器の胴部を包装箱の底面上に置いた)状態で複数の容器が収容されている、或いは、個々の空間に、容器を縦にした(容器の底面を包装箱の底面上に置いた)状態で複数の容器が収容されている。
そして、包装箱に収容された個々の容器のRFIDに、無線通信装置を用いてアクセスする場合、包装箱から容器を取り出さずに、包装箱の外側から個々の容器のRFIDにそれぞれアクセスできるようにすることが求められる。
この点、個々の容器のRFIDが全て同じ方向に向くように収容すれば、1台の無線通信装置を用いて、全ての容器のRFIDにそれぞれアクセスすることができる。
【0005】
しかしながら、容器を包装箱内に収容する際に、全ての容器のRFIDの向きを調整することは包装作業の煩雑化を招く。
さらに、RFIDの向きを揃えて包装箱に容器を収容しても、例えば、その容器の胴部が円筒状である場合、流通過程でRFIDの向きが変わることもある。
具体的には、容器の胴部が円筒状の場合、包装体を搬送中に振動等が加わって容器が胴部周方向に回転するため、容器の胴部に貼付されたRFIDの向きが変化する。例えば、容器を横にした状態で複数の容器が包装されている包装体にあっては、個々の容器が無秩序に回転することで、ある容器のRFIDは下に向き、ある容器のRFIDは上に向き、ある容器のRFIDは隣の容器側に向くというように、個々の容器毎にRFIDの方向性が定まらない。
このように個々の容器のRFIDが様々な方向に向いた状態の包装体に対し、一方向から電波を飛ばす無線通信装置では、全ての容器のRFIDに確実にアクセスできない。
特に、隣合う容器のRFID同士が向かい合うと、電波干渉が生じて正確にアクセスできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、容器の胴部に具備されたRFIDに、無線通信装置が確実にアクセスできるRFID付き容器体を提供することを第1の課題とする。
また、本発明は、複数のRFID付き容器体が収容された包装体であって、個々の容器体を取り出さなくても、各容器の胴部に具備されたRFIDのそれぞれに、無線通信装置が確実にアクセスできる包装体を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の手段として、本発明は、円筒状の胴部を有する容器の該胴部にRFIDが具備され、容器に転がり防止手段が設けられているRFID付き容器体を提供する。
【0008】
上記RFID付き容器体は、容器の円筒状胴部にRFIDが具備され、容器に転がり防止手段が具備されているので、搬送などの流通過程に於いて、振動などが加わっても該容器体の回転が規制される。従って、胴部に具備されたRFIDの向きが変わり難く、容器体に対し一方向から電波を飛ばす無線通信装置が、該容器体のRFIDに確実にアクセスできる。
【0009】
また、本発明の第2の手段として、容器の胴部にRFIDが具備され、胴部周りにフィルムが巻き付けられており、巻き付けたフィルムの一部分を扁平状に形成することにより扁平部が設けられていると共に、この扁平部の両側縁が胴部の外側又は胴部外形延長上の外側に突出され、且つ扁平部の扁平面がRFIDと同じ側に向けられているRFID付き容器体を提供する。
【0010】
上記RFID付き容器体は、巻き付けたフィルムの一部分を扁平状に形成することにより扁平部が設けられていると共に、この扁平部の両側縁が容器胴部の外側又は胴部外形延長上の外側に突出されているので、RFID付き容器体は、胴部周方向への回転が規制される。従って、容器体に対し一方向から電波を飛ばす無線通信装置が、該容器体のRFIDに確実にアクセスできる。
また、上記扁平部の扁平面は、RFIDと同じ側に向けられているので、例えば、包装箱内に複数の容器体を横にした状態で収容する際、個々の容器体は、包装作業時に向き調整を行わなくても、扁平部の両側縁の突出に起因して、RFIDが包装箱の底面に対面又は反対側に向いた状態となる。従って、包装作業が煩雑化せず、又、収容された隣合う容器体のRFID同士が向かい合わないので、電波干渉によるアクセス不良を防止できる。
【0011】
本発明の好ましい態様では、上記RFIDが、フィルムの一部分に具備され、RFIDの設けられた領域が切取補助線を介して区画されている上記RFID付き容器体を提供する。
【0012】
かかるRFID付き容器体は、巻き付けたフィルムを容器から取り除くと共に、切取補助線を利用して、RFIDの設けられた領域と該領域以外のフィルムを分断することにより、容器にRFIDを貼付したままフィルムのみを除去できる。従って、例えば、医薬品などを収納する医療用容器に本発明を適用することにより、医薬品使用時にはフィルムのみを除去し、その後、医療用容器にRFIDを付随させて保存することもできる。また、剥離可能で且つ再貼付可能な粘着剤がRFIDの設けられた領域に設けられている場合には、容器からRFIDを引き剥がし、カルテなどに再貼付して保存することもできる。
さらに、フィルムの一部分にRFIDが具備されているので、フィルムの巻付け作業を行うだけで、RFIDを容器に具備させることができる。
【0013】
本発明の第3の手段は、上記RFID付き容器体の複数個が、RFIDの向きを揃えた状態で、包装箱内に収容されている包装体を提供する。
上記のとおり、本発明のRFID付き容器体は、胴部周方向の回転が規制されるので、RFID付き容器体の複数個が、RFIDの向きを揃えた状態で包装箱内に収容されている包装体に振動などが加わっても、収容された個々の容器体は、RFIDの向きが変わり難い。
従って、包装体から個々の容器体を取り出さなくても、各容器の胴部に具備されたRFIDのそれぞれに、無線通信装置が確実にアクセスできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1のRFID付き容器体は、その回転が規制されるので、包装箱などに収容した際、胴部に具備されたRFIDの方向性が変わり難い。従って、一方向から電波を飛ばす無線通信装置を用いて、RFIDに確実にアクセスすることができるRFID付き容器体を提供することができる。
さらに、本発明の第2のRFID付き容器体は、上記効果に加えて、包装箱などに収容する際の包装作業も簡便で、又、電波干渉によるアクセス不良も防止できる。
また、本発明の包装体は、包装体から個々のRFID付き容器体を取り出さなくても、一方向から電波を飛ばす無線通信装置を用いて、各容器の胴部に具備されたRFIDのそれぞれに確実にアクセスすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1及び図2に於いて、1は、医療用容器であるアンプル2と、該アンプル2の胴部21に具備されたRFID3と、胴部21周りに巻付けられ且つ扁平部51の形成されたフィルム5と、を有するRFID付き容器体(以下、単に容器体と記す場合がある)を示す。
アンプル2は、図3に示すように、医薬品を封入する収納部を有する円筒状の胴部21と、切断用の縊れ部22を介して胴部21と一体的に形成され且つ胴部21よりも小径の副胴部23と、を有する容器である。
この胴部21は、上下に細長く(底面の直径よりも胴部長が長く)、長手方向の任意位置に於ける横断面形状が円形状に形成されている。そして、胴部21の周面は、アンプルの最外周面を構成している。
アンプル2は、従来公知の透明又は遮光性を有するガラス、合成樹脂などで形成されている。
【0016】
このアンプル2の胴部21には、RFID3が具備されており、更に、RFID3を含む胴部21周りに、フィルム5が巻き付けられている(以下、この巻付けて装着するフィルムを巻付けフィルムという)。
RFID3は、該巻付けフィルム5の一部分に設けられており、RFID3を胴部21に貼付した後、このRFID3を巻き込むように巻付けフィルム5が胴部21の周りに巻き付けられている。
該巻付けフィルム5は、その一側端が胴部21に貼付された状態で巻付けられ、且つ他側端が巻付けフィルム5の表面に貼付されることにより、筒状に形成されている。
筒状に形成された巻付けフィルム5の上下端部は、アンプル2の上下側にそれぞれ突出している。この上下端部の裏面には粘着剤が塗工されており、上下端部を扁平状にして接着することにより、巻付けフィルム5の上下に扁平部51がそれそれ形成されている。
筒状の巻付けフィルム5を扁平状に押し潰した扁平部51は、図1(a)及び(c)に示すように、その幅が胴部21の直径よりも長く、且つその両側縁が胴部21の外形延長上の外側に突出している。この扁平部51は、その扁平面52がRFID3と同じ側に向くように形成されている。
【0017】
具体的には、RFID3は、図4に示すように、ICチップ31及びアンテナ部32からなるモジュール部を少なくとも有し、無線通信装置(後述するように、読込み型、書込み型、又は読書き型の何れでもよい)によって非接触でICチップ31の電気的情報を読み込む及び/又はICチップ31に書き込むことができる無線電子部品であり、本発明では公知のものを用いることができる。
尚、このRFID3には、一般的に、RFIDタグ、RFIDインレット、ICタグ、無線ICタグ、非接触IC、非接触データキャリアなどと表現されているものも含まれる。
RFID3は、胴部21全周面の半分(半周面)以内に収まる大きさのものが好ましい。
【0018】
RFID3は、一般に支持基材上に上記モジュール部が設けられて実用に供されるが、本実施形態のRFID3は、巻付けフィルム5の一部分に、ICチップ31及びアンテナ部32からなるモジュール部が形成されている。尚、RFID3は、巻付けフィルム5の一部分に直接設けられている態様の他、巻付けフィルム5と別個の支持基材上にRFID3を設け、この支持基材を巻付けフィルム5の一部分に貼付することにより、RFID3を巻付けフィルム5に設ける態様でもよい。
この巻付けフィルム5を容器胴部21に貼付することにより、巻付けフィルム5を介してRFID3が胴部21に具備されている。尚、特に図示しないが、モジュール部の表面に保護基材(通常、薄い合成樹脂フィルム)を積層してもよい。
【0019】
巻付けフィルム5は、図4及び図5に示すように、RFID3の具備された領域が切取補助線55を介して区画されている。具体的には、巻付けフィルム5は、矩形状の巻付け領域53と、巻付け領域53の一側端中央部から外側に延出され且つRFID3が具備された基材領域54と、を有する。切取補助線55としては、図示したようなミシン目の他、ハーフカット線などを用いることができる。
尚、巻付けフィルム5の裏面(又は表面)に、必要に応じて、商品名、説明書き、注意書きなどの所望の表示を印刷してもよい。
【0020】
巻付けフィルム5の巻付け領域53の一側端、他側端及び上下端の裏面には、粘着剤56が帯状に塗工されている。但し、巻付け領域53の他側端は、巻付けフィルム5を除去する際に利用する捲り代57を確保するために、端縁から所定幅だけ粘着剤が塗工されていない。
さらに、巻付けフィルム5の基材領域54の裏面にも同様に粘着剤が塗工されている。
尚、上記粘着剤の塗工は、ベタ状に塗工されていてもよいし、格子状などに塗工されていてもよい。但し、図5に於いて、便宜上、粘着剤が設けられた部分を網掛けで示す。
【0021】
粘着剤としては、手で剥離可能な程度の接着力を有し且つ再貼付可能なものが用いられている。もっとも、手で剥離できない程度の接着力を有するものや再貼付不能なものを用いてもよい。粘着剤の種類としては、従来公知のものを利用でき、例えば、感圧型粘着剤、室温では粘着性を示さず且つ加熱されることによって粘着性を発揮する感熱性粘着剤などを用いることができる。巻付けフィルム5の装着作業が簡便であること及び離型紙を必要としないことなどから、感熱性粘着剤を用いることが好ましい。感熱性粘着剤としては、例えば、ホットメルト型感熱粘着剤、パートコート型感熱粘着剤、ディレードタック型感熱粘着剤などを適宜用いることができる。
【0022】
巻付けフィルム5の材質は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリアミド系などの公知の合成樹脂製延伸フィルムの1層又は2層以上の積層体、紙、合成紙などの他、これらの異種の積層体などの各種フィルムを用いることができる。巻付けフィルム5は、アンプル2内に収納された医薬品を透視するため、無色透明又は有色透明(遮光性を付与するため、例えば、透明フィルムに、朱インキや黄インキをベタ印刷したもの)のフィルムを用いることが好ましい。尚、無線通信装置とRFID3間の電波を遮断する虞があるので、巻付けフィルム5は、金属蒸着層やアルミニウム箔などの金属層が積層されていない金属層非積層のフィルムを用いることが好ましい。又、巻付けフィルム5は、扁平部51を構成するので、比較的剛性の高いもの、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリアミド系などのフィルムを含むものが好ましい。巻付けフィルム5の厚みは、20〜200μm程度、好ましくは、30〜150μm程度である。
【0023】
RFID3が具備された巻付けフィルム5の基材領域54の裏面を、アンプル2の胴部21に貼付しつつ、巻付け領域53の一側端の裏面を胴部21に貼付すると共に、該巻付け領域53を胴部21周りに巻付け、巻付け領域53の他側端の裏面を巻付けフィルム5の表面に貼付して筒状に成形した後、扁平面52がRFID3と同じ側になるように位置合わせをしつつ上下端部を扁平状に押し潰して扁平部51を形成することにより、本発明のRFID付き容器体1を得ることができる。
【0024】
上記RFID付き容器体1は、転がり防止手段として、胴部21の外形延長上の外側に突出する扁平部51を有するので、胴部周方向への回転が規制される。
また、容器体1は、RFID3が巻付けフィルム5によって覆われているので、巻付けフィルム5によってRFID3が保護される。
さらに、巻付けフィルム5の一部分にRFID3が具備されているので、巻付けフィルム5の巻付け作業を行うだけで、RFID3を容器2に具備させつつ、これを巻付けフィルム5にて覆うことができる。
また、巻付けフィルム5は、巻付け領域53と基材領域54が切取補助線55を介して連設されているので、医薬品使用時には巻付けフィルム5を外し且つ切取補助線55にて巻付け領域53のみを除去することにより、RFID3の具備された基材領域54をアンプル2に残して保存することができる。また、切取補助線55にて分離された基材領域54には、剥離可能で且つ再貼付可能な粘着剤が設けられているので、RFID3の具備された基材領域54をアンプル2から引き剥がし、カルテに再貼付することもできる。よって、アンプル2の商品情報をRFID3を通じてカルテに保存することができる。
【0025】
上記RFID付き容器体1は、例えば、図6〜図7に示すように、複数個を纏めて包装箱7に収容されることで、包装体10の形態で保管・搬送などの流通に供される。
包装箱7は、特に限定されず、例えば、厚紙、段ボール、硬質プラスチックシートなどの比較的硬いシートを組み立てた組立箱や、箱状に成形した合成樹脂成形品などを用いることができる。また、包装箱7は、透明なもの又は非透明なものを用いることができる。
該包装箱7の中に、RFID付き容器体1の複数個を横にして(包装箱7の底面71上にアンプル2の胴部21側を対面させて)又は縦にして(包装箱7の底面71にアンプル2の底面側を対面させて)並べて収容することにより、包装体10が構成される。
【0026】
容器体1を横にして収容した包装体10は、例えば、図6(a)に示すように、包装箱7内に、RFID3を下向きにして(RFID3を包装箱7の底面71に対面して)複数の容器体1が1段に並べられている。この場合、隣合う容器体1の間隙を埋めるため、例えば、包装箱7の底面に、波状の仕切部材73が設けられる。
尚、各容器体1は、同図(b)に示すように、RFID3を上向きにして(RFID3を包装箱7の底面71に反対側に向けて)収容されていてもよいし、又、各容器体1は、RFID3を上下交互に向くように収容されていてもよい(図示せず)。
また、容器体1を1段に並べて収容する以外に、包装箱7内に複段に並べて収容することもできる。例えば、同図(b)に示すように、横にして並べられた下段の各容器体1の間に、上段の容器体1を横にして並べる如き態様が例示される。
【0027】
上記RFID付き容器体1は、扁平部51の両側縁が胴部21の外形延長上の外側に突出されているので、該容器体1を横にして並べると、扁平部51の突出により、扁平部51の扁平面52が、包装箱7の底面71に対して略平行又は少し傾斜した状態となる。そして、容器体1の扁平部51は、扁平面52がRFID3と同じ側となるように形成されているので、各容器体1のRFID3は、包装箱7の底面71に対して上向き又は下向きの何れかに揃えられる。
従って、包装体10の包装作業時、各容器体1の向き調整を行わなくても、各容器体1は、RFID3の向きが包装箱7の底面71に対して上向き又は下向きの何れかに揃えられる。
かかる包装体10の搬送時に振動が加わっても、各容器体1は扁平部51の突出によって回転が規制されているので、揃えられた各容器体1のRFID3の向きが変わりにくい。従って、胴部21に具備されたRFID3が隣合う容器2間で向かい合う虞がない。
【0028】
また、容器体1を縦にして収容した包装体10は、例えば、図7に示すように、包装箱7の一側面72と他側面73との距離Lが扁平部51の幅よりも短く且つ容器2の胴部21の直径よりも長く形成された包装箱7が用いられる。
該包装箱7内の各容器体1は、そのRFID3が包装箱7の一側面72側に向けられ且つ該包装箱7の一側面72に対して扁平部51の扁平面52を傾斜させると共に、隣合う容器体1の胴部側を重ねた状態で収容されている。
このように扁平部51の両側縁が包装箱7の一側面72及び他側面73によって位置決めされ且つ隣合う容器体1が重ねられているので、該包装体10は、各容器体1の回転が規制され、揃えられたRFID3の向きが変わりにくい。
【0029】
次に、上記包装体の使用例について説明する。
医薬品をアンプル2内に充填した後、該医薬品に関する商品情報(品名、商品の個別的な識別番号、製造日、製造場所、品質保持期限などの所望の情報)をRFID3のICチップ31に記録し、胴部21に巻付けフィルム5を装着して上記RFID付き容器体1を作製する。各容器体1を包装箱7内に横にして又は縦にして収容することで包装体10を作製する。
尚、RFID3への商品情報の記録は、アンプル2に貼付する前に行わず、包装体10を作製後、RFID3へ情報を書き込み可能な書込み型又は読書き型の無線通信装置を用いて行うこともできる。
【0030】
この包装体10は、搬送ラインなどで搬送され、倉庫に保管、或いは製造元から出荷され、流通に供される。そして、搬送ラインなどの所定箇所に於いて、無線通信装置を用いて、包装体10の状態で個々の容器体1に具備されたRFID3との通信が行われる。
例えば、容器体1を横にして収容した包装体10にあっては、搬送途中に於いて、図8に示すように、コンベア11の間の下方に無線通信装置12を配置し、該コンベア11で搬送される包装体10を無線通信装置12に通過させている間に、該無線通信装置12から電波が送られ、個々の容器体1のRFID3と通信することで、RFID3に記録された情報をそれぞれ読み取る及び/又はRFID3に情報をそれぞれ書き込むことができる。
また、無線通信装置12を、包装体10の搬送途中に配置してRFID3と通信する態様に限られず、所望の場所で、無線通信装置12とRFID3の通信を行うこともできる。
【0031】
ここで、無線通信装置は、RFID3と無線(非接触)によってアクセスできる装置であって、RFID3の情報を読み込む読込み型、無線でRFID3に情報を記録する書込み型、又は該読み込みと書き込みの双方を行える読書き型、の何れかの型を用いることができる。
読込み型の無線通信装置は、RFID3に対して、その記録情報を読み込む機能を有する。かかる読込み型の無線通信装置を用いる場合、例えば、各容器体1に具備されたRFID3にそれぞれの識別番号(ID番号)が記録され、且つ該識別番号に対応した商品情報が別途データベース化されたシステムを構築することにより(例えば、別に設置したホストコンピュータに商品情報が記録更新され、且つインターネットなどの通信網を通じてアクセスできるデータベースなど)、読込み型の無線通信装置で読み込んだRFID情報(識別番号等)を元にしてこのデータベースと照合し、個々の容器体1についての商品情報を確認でき、商品管理を行うことができる。
【0032】
また、書込み型の無線通信装置は、RFID3に対しては、所定情報を書き込む機能を有する。かかる書込み型の無線通信装置を用いる場合、流通過程に於ける各箇所で、所定の商品情報を追記更新することにより、各容器体1のRFID3に重畳的に商品情報を蓄積できる。
これら読込み型、書込み型、読書き型の無線通信装置は、各流通箇所に於いて適宜選択して使用でき、例えば、製造元から販売業者又は消費者に至るまで、同じ型の無線通信装置(例えば、読込み型や読書き型など)を用いたり、或いは、製造元では書込み型の無線通信装置、問屋などの流通業者では読書き型、販売業者又は消費者では読込み型をそれぞれ用いるなどのように、流通箇所で異なる型の無線通信装置を用いることもできる。
【0033】
また、無線通信装置は、包装体10に収容された各容器体1のRFID3に個々にアクセスするものでも良いし、或いは、複数個を纏めて一括してアクセスする方式のものでもよい。
【0034】
上記包装体10は、収容された容器体1の回転が規制されるので、搬送中に振動が加わっても、包装体10内に揃えられたRFID3の向きが変わりにくく、従って、一方向から電波を飛ばす無線通信装置が、各容器体1のRFID3のそれぞれに確実にアクセスできる。
よって、包装体10を開封して各容器体1を取り出さなくても、包装した状態のまま、各容器体1のRFID3を介してその商品管理を行うことができる。
また、隣合う容器2のRFID3が向かい合わないので、電波干渉によるアクセス不良も防止できる。
【0035】
次に、本発明の変形例を示す。尚、変形例の説明にあたって、上記実施形態と同様の構成及び作用効果についてはその説明を省略し、用語及び図番を援用することがある。
?上記実施形態に於いて、医療用容器2としてアンプルが例示されているが、アンプル以外の医療用容器、例えば、バイアル瓶、プレフィルドシリンジ、真空採血管などに本発明を適用することもできる。
バイアル瓶は、医薬品が封入され、使用に際して注射針などを刺して医薬品を吸い出すことができる容器であり、該バイアル瓶2としては、例えば、図9(a)に示すように、医薬品を入れる収納部が形成された上面開口型の円筒状の胴部21と、この胴部21の開口部に嵌着され且つ注射針などを貫通可能なゴム製の栓体24と、を有するものなどが例示される。
プレフィルドシリンジは、予め医薬品が封入された容器(注射器)であり、プレフィルドシリンジ2としては、例えば、同図(b)に示すように、円筒状の胴部21と、胴部21の前方閉塞面に形成された医薬品注出口となる注射針装着部25と、胴部21の後方開口部に挿入されたプランジャー栓部26と、注射針装着部25に取り付けられた栓体27と、を有するものなどが例示される。
真空採血管は、血管に連通する注射針を貫通させることにより、血液を吸い出すことができる容器であり、真空採血管2としては、例えば、同図(c)に示すように、血液を入れる収納部が形成された開口型の円筒状の胴部21と、この開口部に嵌着され且つ注射針などを貫通可能なゴム製の栓体28と、を有するものなどが例示される。
【0036】
これら何れの容器2も上記と同様に、胴部21にRFID3及び巻付けフィルム5が装着され、転がり防止手段として扁平部51が設けられると共に、該扁平部51の扁平面52がRFID3と同じ側に向けられる。
これら何れの容器2も、最外周面が横断面円形状になっており、振動などによって胴部周方向に回転するが、転がり防止手段として扁平部51が設けられることにより、容器体1の回転が規制される。
【0037】
尚、医療用容器に限られず、例えば、化粧品を収納する容器、食品を収納する容器など、その他の容器2に本発明を適用できる。
【0038】
さらに、上記実施形態では、容器2の胴部21は円筒状であるが、例えば、胴部21が6面体、8面体などの多角筒状の胴部21を有する容器2に本発明を適用することもできる。
【0039】
また、上記実施形態では、容器2全体が巻付けフィルム5によって被覆されているが、例えば、容器2の一部が巻付けフィルム5で被覆されていてもよい。
このRFID付き容器体1は、例えば、図10に示すように、RFID3が胴部21に貼付され、且つ胴部21の下方側を除いて巻付けフィルム5が巻き付けられていると共に、容器2の上方側に於いて、扁平面52がRFID3と同じ側に向くように扁平部51が形成されている。尚、本変形例では、容器2としてアンプルを図示しているが、他の容器にも本変形例を適用できる(以下同様)。
かかるRFID付き容器体1は、容器2の一方端側にのみ扁平部51が形成されているものであるが、上記と同様に、該扁平部51によって容器体1の回転が規制される。
【0040】
さらに、上記実施形態では、扁平部51は、容器2の上下側に突出して設けられているが、例えば、図11に示すように、容器胴部21に巻き付けた巻付けフィルム5の一部分を扁平状に形成することにより、胴部21の外側に扁平部51が突出されていてもよい。
かかる変形例のRFID付き容器体1は、例えば、2枚の巻付けフィルム5(一方のフィルム5にはRFID3が具備されている)を胴部21の前後側にそれぞれ巻き付け、該巻付けフィルム5の両端部を胴部21の外側に突出させ、2枚の巻付けフィルム5の突出部分を接着して扁平状に形成することによって、胴部21の外側に両側縁の突出された扁平部51が形成されている。この扁平部51は、その扁平面52がRFID3と同じ側に向くように形成されている。
かかる変形例のRFID付き容器体1も同様に、胴部21の外側に突出された扁平部51によって回転が規制される。また、かかる変形例のRFID付き容器体1は、図11(a9に示すように、容器2の上下方側が巻付けフィルム5によって覆われない態様に形成することもできる。
【0041】
また、上記実施形態では、巻付けフィルム5は、巻付け領域53の縁部からRFID3の具備された基材領域54が延出している構成からなるが、基材領域54が延出していない態様、例えば、図12(a)に示すように、矩形状の巻付けフィルム5の一部分に切取補助線55を介してRFID3が具備されている態様などでもよい。
さらに、同図(b)に示すように、中央部分にRFID3が具備された巻付けフィルム5を用いることもできる。
さらに、上記実施形態では、RFID3は、巻付けフィルム5の一部分に具備されて一体化されているが、例えば、巻付けフィルムとは異なる別個の基材にRFID3を設け、この基材を上記粘着剤を介して胴部21に貼付すると共に、この周りに別体の巻付けフィルム5を貼付しつつ巻付け且つ扁平部51を形成することにより、RFID付き容器体1を構成してもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、転がり防止手段として、巻付けフィルム5の端部に扁平部51を形成することを例示したが、転がり防止手段は、巻付けフィルム5を扁平状にした扁平部51に限られず、例えば、図13に示すように、胴部21の外側に突出する粘着ラベル4を容器胴部に貼付してもよい。かかる粘着ラベル4は、比較的剛性の高い合成樹脂フィルム等からなり、粘着剤が設けられた幅狭の貼付領域41と、胴部21の直径よりも長い幅広の突出領域42と、を有し、貼付領域41にRFID3が設けられている。
該粘着ラベル4は、突出領域42の両側縁を胴部21の外側に突出させた状態で、胴部21に貼付領域41が貼り付けられる。かかる粘着ラベル4が貼付されたRFID付き容器体1は、胴部周方向への回転が規制され、振動などが加わってもRFID3の方向性が変わり難くなる。
尚、上記粘着ラベル4では、貼付領域41にRFID3が設けられているが、(貼付領域41にRFID3を設けず)RFID3の具備された胴部21(例えば、RFID3の具備された基材を胴部に貼付する)に、突出領域42の両側縁を胴部の外側に突出させた状態で、粘着ラベル4を貼付してもよい。
また、その他、図示しないが、RFID3の具備された容器2の胴部21に、外側へ突出する突起部分を設け、胴部周方向への回転を規制するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明のRFID付き容器体の一実施形態を示し、(a)は、その正面図、(b)は、側面図、(c)は、上面図。
【図2】図1のA−A線で切断した拡大端面図。
【図3】RFID付き容器体に用いるアンプル(容器)の一例を示す正面図。
【図4】(a)は、RFID付き容器体に用いるフィルムの一例を示す正面図、(b)は、同B−B線断面図。
【図5】同フィルムの背面図。
【図6】RFID付き容器体が収容された包装体の一例を示し、(a)は、容器体が横1段に収容された包装体の一部断面を含む側面図、(b)は、容器体が横2段に収容された包装体の一部断面を含む側面図。但し、包装箱のみを縦断面で表している。
【図7】RFID付き容器体が縦1列に収容された包装体の一例を示し、(a)は、その側面図、(b)は、包装箱のみを断面で表したC−C線断面図。
【図8】包装体を搬送中に無線通信装置を用いてRFIDと通信する状態を示す一部省略側面図。
【図9】(a)〜(c)共に、RFID付き容器体に用いることができる各種容器の一例を示す縦断面図。
【図10】本発明のRFID付き容器体の他の実施形態を示し、(a)は、その正面図、(b)は、側面図。
【図11】本発明のRFID付き容器体の他の実施形態を示し、(a)は、その正面図、(b)は、C−C線断面図。
【図12】(a)、(b)ともに、RFID付き容器体に用いるフィルムの変形例を示す正面図。
【図13】本発明のRFID付き容器体の他の実施形態を示す正面図。
【符号の説明】
【0044】
1…RFID付き容器体、2…容器、21…容器の胴部、3…RFID、4…粘着ラベル、31…ICチップ、32…アンテナ部、5…フィルム、51…扁平部、52…扁平部の扁平面、53…巻付け領域、54…基材領域(基材)、55…切取補助線、7…包装箱、71…包装箱の底面、72…包装箱の一側面、73…包装箱の他側面、10…包装体、11…コンベア、12…無線通信装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDが具備されたRFID付き容器体、及びその包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のIT技術の著しい進歩によって、超小型のICチップを備えるRFIDが、バーコードなどに代わって商品の製造、品質、流通などの管理に利用されるようになってきている。このRFIDに商品情報(品名、ロット番号、製造日、品質保持期限等)や入出荷情報(出荷日、入庫日等)などを適宜記録することにより、商品の製造元から流通業者を経て消費者に亘るまでの流通履歴を含めた商品管理を、個々の商品毎に行うことが可能となる。
例えば、アンプルなどの医療用容器にRFIDを具備させ、製造元から流通業者を経て消費者(病院など)に至るまでの各流通拠点で、RFIDに、入出荷情報(出荷日、入庫日等)や検品情報などの所望の情報を追加又は更新記録していくことにより、極めて正確な流通履歴を残すことができる。このようにRFIDを用いれば、医薬品などの商品の追跡管理を容易に行えるという利点がある。
【0003】
このようなRFIDを商品に具備させる手段として、例えば、特開2004−20771には、筒状のラベル基材面に、導電性インキからなるアンテナパターンが印刷され、このアンテナパターンに電気的に導通するようにICチップが貼着されているRFID付きボトル用ラベルを、容器胴部に装着することが開示されている。
また、このような筒状ラベル以外に、RFIDを備える粘着ラベルを、容器胴部に貼付する手段も考えられる。
【0004】
ところで、多くの商品は、通常、複数個を纏めて包装箱に収容された包装体の形態で、工場から出荷され、保管・搬送などの流通に供している。
該包装体は、例えば、包装箱の内部に仕切を設け、この仕切で区画された個々の空間に、容器を横にした(容器の胴部を包装箱の底面上に置いた)状態で複数の容器が収容されている、或いは、個々の空間に、容器を縦にした(容器の底面を包装箱の底面上に置いた)状態で複数の容器が収容されている。
そして、包装箱に収容された個々の容器のRFIDに、無線通信装置を用いてアクセスする場合、包装箱から容器を取り出さずに、包装箱の外側から個々の容器のRFIDにそれぞれアクセスできるようにすることが求められる。
この点、個々の容器のRFIDが全て同じ方向に向くように収容すれば、1台の無線通信装置を用いて、全ての容器のRFIDにそれぞれアクセスすることができる。
【0005】
しかしながら、容器を包装箱内に収容する際に、全ての容器のRFIDの向きを調整することは包装作業の煩雑化を招く。
さらに、RFIDの向きを揃えて包装箱に容器を収容しても、例えば、その容器の胴部が円筒状である場合、流通過程でRFIDの向きが変わることもある。
具体的には、容器の胴部が円筒状の場合、包装体を搬送中に振動等が加わって容器が胴部周方向に回転するため、容器の胴部に貼付されたRFIDの向きが変化する。例えば、容器を横にした状態で複数の容器が包装されている包装体にあっては、個々の容器が無秩序に回転することで、ある容器のRFIDは下に向き、ある容器のRFIDは上に向き、ある容器のRFIDは隣の容器側に向くというように、個々の容器毎にRFIDの方向性が定まらない。
このように個々の容器のRFIDが様々な方向に向いた状態の包装体に対し、一方向から電波を飛ばす無線通信装置では、全ての容器のRFIDに確実にアクセスできない。
特に、隣合う容器のRFID同士が向かい合うと、電波干渉が生じて正確にアクセスできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、容器の胴部に具備されたRFIDに、無線通信装置が確実にアクセスできるRFID付き容器体を提供することを第1の課題とする。
また、本発明は、複数のRFID付き容器体が収容された包装体であって、個々の容器体を取り出さなくても、各容器の胴部に具備されたRFIDのそれぞれに、無線通信装置が確実にアクセスできる包装体を提供することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の手段として、本発明は、円筒状の胴部を有する容器の該胴部にRFIDが具備され、容器に転がり防止手段が設けられているRFID付き容器体を提供する。
【0008】
上記RFID付き容器体は、容器の円筒状胴部にRFIDが具備され、容器に転がり防止手段が具備されているので、搬送などの流通過程に於いて、振動などが加わっても該容器体の回転が規制される。従って、胴部に具備されたRFIDの向きが変わり難く、容器体に対し一方向から電波を飛ばす無線通信装置が、該容器体のRFIDに確実にアクセスできる。
【0009】
また、本発明の第2の手段として、容器の胴部にRFIDが具備され、胴部周りにフィルムが巻き付けられており、巻き付けたフィルムの一部分を扁平状に形成することにより扁平部が設けられていると共に、この扁平部の両側縁が胴部の外側又は胴部外形延長上の外側に突出され、且つ扁平部の扁平面がRFIDと同じ側に向けられているRFID付き容器体を提供する。
【0010】
上記RFID付き容器体は、巻き付けたフィルムの一部分を扁平状に形成することにより扁平部が設けられていると共に、この扁平部の両側縁が容器胴部の外側又は胴部外形延長上の外側に突出されているので、RFID付き容器体は、胴部周方向への回転が規制される。従って、容器体に対し一方向から電波を飛ばす無線通信装置が、該容器体のRFIDに確実にアクセスできる。
また、上記扁平部の扁平面は、RFIDと同じ側に向けられているので、例えば、包装箱内に複数の容器体を横にした状態で収容する際、個々の容器体は、包装作業時に向き調整を行わなくても、扁平部の両側縁の突出に起因して、RFIDが包装箱の底面に対面又は反対側に向いた状態となる。従って、包装作業が煩雑化せず、又、収容された隣合う容器体のRFID同士が向かい合わないので、電波干渉によるアクセス不良を防止できる。
【0011】
本発明の好ましい態様では、上記RFIDが、フィルムの一部分に具備され、RFIDの設けられた領域が切取補助線を介して区画されている上記RFID付き容器体を提供する。
【0012】
かかるRFID付き容器体は、巻き付けたフィルムを容器から取り除くと共に、切取補助線を利用して、RFIDの設けられた領域と該領域以外のフィルムを分断することにより、容器にRFIDを貼付したままフィルムのみを除去できる。従って、例えば、医薬品などを収納する医療用容器に本発明を適用することにより、医薬品使用時にはフィルムのみを除去し、その後、医療用容器にRFIDを付随させて保存することもできる。また、剥離可能で且つ再貼付可能な粘着剤がRFIDの設けられた領域に設けられている場合には、容器からRFIDを引き剥がし、カルテなどに再貼付して保存することもできる。
さらに、フィルムの一部分にRFIDが具備されているので、フィルムの巻付け作業を行うだけで、RFIDを容器に具備させることができる。
【0013】
本発明の第3の手段は、上記RFID付き容器体の複数個が、RFIDの向きを揃えた状態で、包装箱内に収容されている包装体を提供する。
上記のとおり、本発明のRFID付き容器体は、胴部周方向の回転が規制されるので、RFID付き容器体の複数個が、RFIDの向きを揃えた状態で包装箱内に収容されている包装体に振動などが加わっても、収容された個々の容器体は、RFIDの向きが変わり難い。
従って、包装体から個々の容器体を取り出さなくても、各容器の胴部に具備されたRFIDのそれぞれに、無線通信装置が確実にアクセスできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1のRFID付き容器体は、その回転が規制されるので、包装箱などに収容した際、胴部に具備されたRFIDの方向性が変わり難い。従って、一方向から電波を飛ばす無線通信装置を用いて、RFIDに確実にアクセスすることができるRFID付き容器体を提供することができる。
さらに、本発明の第2のRFID付き容器体は、上記効果に加えて、包装箱などに収容する際の包装作業も簡便で、又、電波干渉によるアクセス不良も防止できる。
また、本発明の包装体は、包装体から個々のRFID付き容器体を取り出さなくても、一方向から電波を飛ばす無線通信装置を用いて、各容器の胴部に具備されたRFIDのそれぞれに確実にアクセスすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1及び図2に於いて、1は、医療用容器であるアンプル2と、該アンプル2の胴部21に具備されたRFID3と、胴部21周りに巻付けられ且つ扁平部51の形成されたフィルム5と、を有するRFID付き容器体(以下、単に容器体と記す場合がある)を示す。
アンプル2は、図3に示すように、医薬品を封入する収納部を有する円筒状の胴部21と、切断用の縊れ部22を介して胴部21と一体的に形成され且つ胴部21よりも小径の副胴部23と、を有する容器である。
この胴部21は、上下に細長く(底面の直径よりも胴部長が長く)、長手方向の任意位置に於ける横断面形状が円形状に形成されている。そして、胴部21の周面は、アンプルの最外周面を構成している。
アンプル2は、従来公知の透明又は遮光性を有するガラス、合成樹脂などで形成されている。
【0016】
このアンプル2の胴部21には、RFID3が具備されており、更に、RFID3を含む胴部21周りに、フィルム5が巻き付けられている(以下、この巻付けて装着するフィルムを巻付けフィルムという)。
RFID3は、該巻付けフィルム5の一部分に設けられており、RFID3を胴部21に貼付した後、このRFID3を巻き込むように巻付けフィルム5が胴部21の周りに巻き付けられている。
該巻付けフィルム5は、その一側端が胴部21に貼付された状態で巻付けられ、且つ他側端が巻付けフィルム5の表面に貼付されることにより、筒状に形成されている。
筒状に形成された巻付けフィルム5の上下端部は、アンプル2の上下側にそれぞれ突出している。この上下端部の裏面には粘着剤が塗工されており、上下端部を扁平状にして接着することにより、巻付けフィルム5の上下に扁平部51がそれそれ形成されている。
筒状の巻付けフィルム5を扁平状に押し潰した扁平部51は、図1(a)及び(c)に示すように、その幅が胴部21の直径よりも長く、且つその両側縁が胴部21の外形延長上の外側に突出している。この扁平部51は、その扁平面52がRFID3と同じ側に向くように形成されている。
【0017】
具体的には、RFID3は、図4に示すように、ICチップ31及びアンテナ部32からなるモジュール部を少なくとも有し、無線通信装置(後述するように、読込み型、書込み型、又は読書き型の何れでもよい)によって非接触でICチップ31の電気的情報を読み込む及び/又はICチップ31に書き込むことができる無線電子部品であり、本発明では公知のものを用いることができる。
尚、このRFID3には、一般的に、RFIDタグ、RFIDインレット、ICタグ、無線ICタグ、非接触IC、非接触データキャリアなどと表現されているものも含まれる。
RFID3は、胴部21全周面の半分(半周面)以内に収まる大きさのものが好ましい。
【0018】
RFID3は、一般に支持基材上に上記モジュール部が設けられて実用に供されるが、本実施形態のRFID3は、巻付けフィルム5の一部分に、ICチップ31及びアンテナ部32からなるモジュール部が形成されている。尚、RFID3は、巻付けフィルム5の一部分に直接設けられている態様の他、巻付けフィルム5と別個の支持基材上にRFID3を設け、この支持基材を巻付けフィルム5の一部分に貼付することにより、RFID3を巻付けフィルム5に設ける態様でもよい。
この巻付けフィルム5を容器胴部21に貼付することにより、巻付けフィルム5を介してRFID3が胴部21に具備されている。尚、特に図示しないが、モジュール部の表面に保護基材(通常、薄い合成樹脂フィルム)を積層してもよい。
【0019】
巻付けフィルム5は、図4及び図5に示すように、RFID3の具備された領域が切取補助線55を介して区画されている。具体的には、巻付けフィルム5は、矩形状の巻付け領域53と、巻付け領域53の一側端中央部から外側に延出され且つRFID3が具備された基材領域54と、を有する。切取補助線55としては、図示したようなミシン目の他、ハーフカット線などを用いることができる。
尚、巻付けフィルム5の裏面(又は表面)に、必要に応じて、商品名、説明書き、注意書きなどの所望の表示を印刷してもよい。
【0020】
巻付けフィルム5の巻付け領域53の一側端、他側端及び上下端の裏面には、粘着剤56が帯状に塗工されている。但し、巻付け領域53の他側端は、巻付けフィルム5を除去する際に利用する捲り代57を確保するために、端縁から所定幅だけ粘着剤が塗工されていない。
さらに、巻付けフィルム5の基材領域54の裏面にも同様に粘着剤が塗工されている。
尚、上記粘着剤の塗工は、ベタ状に塗工されていてもよいし、格子状などに塗工されていてもよい。但し、図5に於いて、便宜上、粘着剤が設けられた部分を網掛けで示す。
【0021】
粘着剤としては、手で剥離可能な程度の接着力を有し且つ再貼付可能なものが用いられている。もっとも、手で剥離できない程度の接着力を有するものや再貼付不能なものを用いてもよい。粘着剤の種類としては、従来公知のものを利用でき、例えば、感圧型粘着剤、室温では粘着性を示さず且つ加熱されることによって粘着性を発揮する感熱性粘着剤などを用いることができる。巻付けフィルム5の装着作業が簡便であること及び離型紙を必要としないことなどから、感熱性粘着剤を用いることが好ましい。感熱性粘着剤としては、例えば、ホットメルト型感熱粘着剤、パートコート型感熱粘着剤、ディレードタック型感熱粘着剤などを適宜用いることができる。
【0022】
巻付けフィルム5の材質は、特に限定されず、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリスチレン系、ポリアミド系などの公知の合成樹脂製延伸フィルムの1層又は2層以上の積層体、紙、合成紙などの他、これらの異種の積層体などの各種フィルムを用いることができる。巻付けフィルム5は、アンプル2内に収納された医薬品を透視するため、無色透明又は有色透明(遮光性を付与するため、例えば、透明フィルムに、朱インキや黄インキをベタ印刷したもの)のフィルムを用いることが好ましい。尚、無線通信装置とRFID3間の電波を遮断する虞があるので、巻付けフィルム5は、金属蒸着層やアルミニウム箔などの金属層が積層されていない金属層非積層のフィルムを用いることが好ましい。又、巻付けフィルム5は、扁平部51を構成するので、比較的剛性の高いもの、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系、ポリアミド系などのフィルムを含むものが好ましい。巻付けフィルム5の厚みは、20〜200μm程度、好ましくは、30〜150μm程度である。
【0023】
RFID3が具備された巻付けフィルム5の基材領域54の裏面を、アンプル2の胴部21に貼付しつつ、巻付け領域53の一側端の裏面を胴部21に貼付すると共に、該巻付け領域53を胴部21周りに巻付け、巻付け領域53の他側端の裏面を巻付けフィルム5の表面に貼付して筒状に成形した後、扁平面52がRFID3と同じ側になるように位置合わせをしつつ上下端部を扁平状に押し潰して扁平部51を形成することにより、本発明のRFID付き容器体1を得ることができる。
【0024】
上記RFID付き容器体1は、転がり防止手段として、胴部21の外形延長上の外側に突出する扁平部51を有するので、胴部周方向への回転が規制される。
また、容器体1は、RFID3が巻付けフィルム5によって覆われているので、巻付けフィルム5によってRFID3が保護される。
さらに、巻付けフィルム5の一部分にRFID3が具備されているので、巻付けフィルム5の巻付け作業を行うだけで、RFID3を容器2に具備させつつ、これを巻付けフィルム5にて覆うことができる。
また、巻付けフィルム5は、巻付け領域53と基材領域54が切取補助線55を介して連設されているので、医薬品使用時には巻付けフィルム5を外し且つ切取補助線55にて巻付け領域53のみを除去することにより、RFID3の具備された基材領域54をアンプル2に残して保存することができる。また、切取補助線55にて分離された基材領域54には、剥離可能で且つ再貼付可能な粘着剤が設けられているので、RFID3の具備された基材領域54をアンプル2から引き剥がし、カルテに再貼付することもできる。よって、アンプル2の商品情報をRFID3を通じてカルテに保存することができる。
【0025】
上記RFID付き容器体1は、例えば、図6〜図7に示すように、複数個を纏めて包装箱7に収容されることで、包装体10の形態で保管・搬送などの流通に供される。
包装箱7は、特に限定されず、例えば、厚紙、段ボール、硬質プラスチックシートなどの比較的硬いシートを組み立てた組立箱や、箱状に成形した合成樹脂成形品などを用いることができる。また、包装箱7は、透明なもの又は非透明なものを用いることができる。
該包装箱7の中に、RFID付き容器体1の複数個を横にして(包装箱7の底面71上にアンプル2の胴部21側を対面させて)又は縦にして(包装箱7の底面71にアンプル2の底面側を対面させて)並べて収容することにより、包装体10が構成される。
【0026】
容器体1を横にして収容した包装体10は、例えば、図6(a)に示すように、包装箱7内に、RFID3を下向きにして(RFID3を包装箱7の底面71に対面して)複数の容器体1が1段に並べられている。この場合、隣合う容器体1の間隙を埋めるため、例えば、包装箱7の底面に、波状の仕切部材73が設けられる。
尚、各容器体1は、同図(b)に示すように、RFID3を上向きにして(RFID3を包装箱7の底面71に反対側に向けて)収容されていてもよいし、又、各容器体1は、RFID3を上下交互に向くように収容されていてもよい(図示せず)。
また、容器体1を1段に並べて収容する以外に、包装箱7内に複段に並べて収容することもできる。例えば、同図(b)に示すように、横にして並べられた下段の各容器体1の間に、上段の容器体1を横にして並べる如き態様が例示される。
【0027】
上記RFID付き容器体1は、扁平部51の両側縁が胴部21の外形延長上の外側に突出されているので、該容器体1を横にして並べると、扁平部51の突出により、扁平部51の扁平面52が、包装箱7の底面71に対して略平行又は少し傾斜した状態となる。そして、容器体1の扁平部51は、扁平面52がRFID3と同じ側となるように形成されているので、各容器体1のRFID3は、包装箱7の底面71に対して上向き又は下向きの何れかに揃えられる。
従って、包装体10の包装作業時、各容器体1の向き調整を行わなくても、各容器体1は、RFID3の向きが包装箱7の底面71に対して上向き又は下向きの何れかに揃えられる。
かかる包装体10の搬送時に振動が加わっても、各容器体1は扁平部51の突出によって回転が規制されているので、揃えられた各容器体1のRFID3の向きが変わりにくい。従って、胴部21に具備されたRFID3が隣合う容器2間で向かい合う虞がない。
【0028】
また、容器体1を縦にして収容した包装体10は、例えば、図7に示すように、包装箱7の一側面72と他側面73との距離Lが扁平部51の幅よりも短く且つ容器2の胴部21の直径よりも長く形成された包装箱7が用いられる。
該包装箱7内の各容器体1は、そのRFID3が包装箱7の一側面72側に向けられ且つ該包装箱7の一側面72に対して扁平部51の扁平面52を傾斜させると共に、隣合う容器体1の胴部側を重ねた状態で収容されている。
このように扁平部51の両側縁が包装箱7の一側面72及び他側面73によって位置決めされ且つ隣合う容器体1が重ねられているので、該包装体10は、各容器体1の回転が規制され、揃えられたRFID3の向きが変わりにくい。
【0029】
次に、上記包装体の使用例について説明する。
医薬品をアンプル2内に充填した後、該医薬品に関する商品情報(品名、商品の個別的な識別番号、製造日、製造場所、品質保持期限などの所望の情報)をRFID3のICチップ31に記録し、胴部21に巻付けフィルム5を装着して上記RFID付き容器体1を作製する。各容器体1を包装箱7内に横にして又は縦にして収容することで包装体10を作製する。
尚、RFID3への商品情報の記録は、アンプル2に貼付する前に行わず、包装体10を作製後、RFID3へ情報を書き込み可能な書込み型又は読書き型の無線通信装置を用いて行うこともできる。
【0030】
この包装体10は、搬送ラインなどで搬送され、倉庫に保管、或いは製造元から出荷され、流通に供される。そして、搬送ラインなどの所定箇所に於いて、無線通信装置を用いて、包装体10の状態で個々の容器体1に具備されたRFID3との通信が行われる。
例えば、容器体1を横にして収容した包装体10にあっては、搬送途中に於いて、図8に示すように、コンベア11の間の下方に無線通信装置12を配置し、該コンベア11で搬送される包装体10を無線通信装置12に通過させている間に、該無線通信装置12から電波が送られ、個々の容器体1のRFID3と通信することで、RFID3に記録された情報をそれぞれ読み取る及び/又はRFID3に情報をそれぞれ書き込むことができる。
また、無線通信装置12を、包装体10の搬送途中に配置してRFID3と通信する態様に限られず、所望の場所で、無線通信装置12とRFID3の通信を行うこともできる。
【0031】
ここで、無線通信装置は、RFID3と無線(非接触)によってアクセスできる装置であって、RFID3の情報を読み込む読込み型、無線でRFID3に情報を記録する書込み型、又は該読み込みと書き込みの双方を行える読書き型、の何れかの型を用いることができる。
読込み型の無線通信装置は、RFID3に対して、その記録情報を読み込む機能を有する。かかる読込み型の無線通信装置を用いる場合、例えば、各容器体1に具備されたRFID3にそれぞれの識別番号(ID番号)が記録され、且つ該識別番号に対応した商品情報が別途データベース化されたシステムを構築することにより(例えば、別に設置したホストコンピュータに商品情報が記録更新され、且つインターネットなどの通信網を通じてアクセスできるデータベースなど)、読込み型の無線通信装置で読み込んだRFID情報(識別番号等)を元にしてこのデータベースと照合し、個々の容器体1についての商品情報を確認でき、商品管理を行うことができる。
【0032】
また、書込み型の無線通信装置は、RFID3に対しては、所定情報を書き込む機能を有する。かかる書込み型の無線通信装置を用いる場合、流通過程に於ける各箇所で、所定の商品情報を追記更新することにより、各容器体1のRFID3に重畳的に商品情報を蓄積できる。
これら読込み型、書込み型、読書き型の無線通信装置は、各流通箇所に於いて適宜選択して使用でき、例えば、製造元から販売業者又は消費者に至るまで、同じ型の無線通信装置(例えば、読込み型や読書き型など)を用いたり、或いは、製造元では書込み型の無線通信装置、問屋などの流通業者では読書き型、販売業者又は消費者では読込み型をそれぞれ用いるなどのように、流通箇所で異なる型の無線通信装置を用いることもできる。
【0033】
また、無線通信装置は、包装体10に収容された各容器体1のRFID3に個々にアクセスするものでも良いし、或いは、複数個を纏めて一括してアクセスする方式のものでもよい。
【0034】
上記包装体10は、収容された容器体1の回転が規制されるので、搬送中に振動が加わっても、包装体10内に揃えられたRFID3の向きが変わりにくく、従って、一方向から電波を飛ばす無線通信装置が、各容器体1のRFID3のそれぞれに確実にアクセスできる。
よって、包装体10を開封して各容器体1を取り出さなくても、包装した状態のまま、各容器体1のRFID3を介してその商品管理を行うことができる。
また、隣合う容器2のRFID3が向かい合わないので、電波干渉によるアクセス不良も防止できる。
【0035】
次に、本発明の変形例を示す。尚、変形例の説明にあたって、上記実施形態と同様の構成及び作用効果についてはその説明を省略し、用語及び図番を援用することがある。
?上記実施形態に於いて、医療用容器2としてアンプルが例示されているが、アンプル以外の医療用容器、例えば、バイアル瓶、プレフィルドシリンジ、真空採血管などに本発明を適用することもできる。
バイアル瓶は、医薬品が封入され、使用に際して注射針などを刺して医薬品を吸い出すことができる容器であり、該バイアル瓶2としては、例えば、図9(a)に示すように、医薬品を入れる収納部が形成された上面開口型の円筒状の胴部21と、この胴部21の開口部に嵌着され且つ注射針などを貫通可能なゴム製の栓体24と、を有するものなどが例示される。
プレフィルドシリンジは、予め医薬品が封入された容器(注射器)であり、プレフィルドシリンジ2としては、例えば、同図(b)に示すように、円筒状の胴部21と、胴部21の前方閉塞面に形成された医薬品注出口となる注射針装着部25と、胴部21の後方開口部に挿入されたプランジャー栓部26と、注射針装着部25に取り付けられた栓体27と、を有するものなどが例示される。
真空採血管は、血管に連通する注射針を貫通させることにより、血液を吸い出すことができる容器であり、真空採血管2としては、例えば、同図(c)に示すように、血液を入れる収納部が形成された開口型の円筒状の胴部21と、この開口部に嵌着され且つ注射針などを貫通可能なゴム製の栓体28と、を有するものなどが例示される。
【0036】
これら何れの容器2も上記と同様に、胴部21にRFID3及び巻付けフィルム5が装着され、転がり防止手段として扁平部51が設けられると共に、該扁平部51の扁平面52がRFID3と同じ側に向けられる。
これら何れの容器2も、最外周面が横断面円形状になっており、振動などによって胴部周方向に回転するが、転がり防止手段として扁平部51が設けられることにより、容器体1の回転が規制される。
【0037】
尚、医療用容器に限られず、例えば、化粧品を収納する容器、食品を収納する容器など、その他の容器2に本発明を適用できる。
【0038】
さらに、上記実施形態では、容器2の胴部21は円筒状であるが、例えば、胴部21が6面体、8面体などの多角筒状の胴部21を有する容器2に本発明を適用することもできる。
【0039】
また、上記実施形態では、容器2全体が巻付けフィルム5によって被覆されているが、例えば、容器2の一部が巻付けフィルム5で被覆されていてもよい。
このRFID付き容器体1は、例えば、図10に示すように、RFID3が胴部21に貼付され、且つ胴部21の下方側を除いて巻付けフィルム5が巻き付けられていると共に、容器2の上方側に於いて、扁平面52がRFID3と同じ側に向くように扁平部51が形成されている。尚、本変形例では、容器2としてアンプルを図示しているが、他の容器にも本変形例を適用できる(以下同様)。
かかるRFID付き容器体1は、容器2の一方端側にのみ扁平部51が形成されているものであるが、上記と同様に、該扁平部51によって容器体1の回転が規制される。
【0040】
さらに、上記実施形態では、扁平部51は、容器2の上下側に突出して設けられているが、例えば、図11に示すように、容器胴部21に巻き付けた巻付けフィルム5の一部分を扁平状に形成することにより、胴部21の外側に扁平部51が突出されていてもよい。
かかる変形例のRFID付き容器体1は、例えば、2枚の巻付けフィルム5(一方のフィルム5にはRFID3が具備されている)を胴部21の前後側にそれぞれ巻き付け、該巻付けフィルム5の両端部を胴部21の外側に突出させ、2枚の巻付けフィルム5の突出部分を接着して扁平状に形成することによって、胴部21の外側に両側縁の突出された扁平部51が形成されている。この扁平部51は、その扁平面52がRFID3と同じ側に向くように形成されている。
かかる変形例のRFID付き容器体1も同様に、胴部21の外側に突出された扁平部51によって回転が規制される。また、かかる変形例のRFID付き容器体1は、図11(a9に示すように、容器2の上下方側が巻付けフィルム5によって覆われない態様に形成することもできる。
【0041】
また、上記実施形態では、巻付けフィルム5は、巻付け領域53の縁部からRFID3の具備された基材領域54が延出している構成からなるが、基材領域54が延出していない態様、例えば、図12(a)に示すように、矩形状の巻付けフィルム5の一部分に切取補助線55を介してRFID3が具備されている態様などでもよい。
さらに、同図(b)に示すように、中央部分にRFID3が具備された巻付けフィルム5を用いることもできる。
さらに、上記実施形態では、RFID3は、巻付けフィルム5の一部分に具備されて一体化されているが、例えば、巻付けフィルムとは異なる別個の基材にRFID3を設け、この基材を上記粘着剤を介して胴部21に貼付すると共に、この周りに別体の巻付けフィルム5を貼付しつつ巻付け且つ扁平部51を形成することにより、RFID付き容器体1を構成してもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、転がり防止手段として、巻付けフィルム5の端部に扁平部51を形成することを例示したが、転がり防止手段は、巻付けフィルム5を扁平状にした扁平部51に限られず、例えば、図13に示すように、胴部21の外側に突出する粘着ラベル4を容器胴部に貼付してもよい。かかる粘着ラベル4は、比較的剛性の高い合成樹脂フィルム等からなり、粘着剤が設けられた幅狭の貼付領域41と、胴部21の直径よりも長い幅広の突出領域42と、を有し、貼付領域41にRFID3が設けられている。
該粘着ラベル4は、突出領域42の両側縁を胴部21の外側に突出させた状態で、胴部21に貼付領域41が貼り付けられる。かかる粘着ラベル4が貼付されたRFID付き容器体1は、胴部周方向への回転が規制され、振動などが加わってもRFID3の方向性が変わり難くなる。
尚、上記粘着ラベル4では、貼付領域41にRFID3が設けられているが、(貼付領域41にRFID3を設けず)RFID3の具備された胴部21(例えば、RFID3の具備された基材を胴部に貼付する)に、突出領域42の両側縁を胴部の外側に突出させた状態で、粘着ラベル4を貼付してもよい。
また、その他、図示しないが、RFID3の具備された容器2の胴部21に、外側へ突出する突起部分を設け、胴部周方向への回転を規制するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明のRFID付き容器体の一実施形態を示し、(a)は、その正面図、(b)は、側面図、(c)は、上面図。
【図2】図1のA−A線で切断した拡大端面図。
【図3】RFID付き容器体に用いるアンプル(容器)の一例を示す正面図。
【図4】(a)は、RFID付き容器体に用いるフィルムの一例を示す正面図、(b)は、同B−B線断面図。
【図5】同フィルムの背面図。
【図6】RFID付き容器体が収容された包装体の一例を示し、(a)は、容器体が横1段に収容された包装体の一部断面を含む側面図、(b)は、容器体が横2段に収容された包装体の一部断面を含む側面図。但し、包装箱のみを縦断面で表している。
【図7】RFID付き容器体が縦1列に収容された包装体の一例を示し、(a)は、その側面図、(b)は、包装箱のみを断面で表したC−C線断面図。
【図8】包装体を搬送中に無線通信装置を用いてRFIDと通信する状態を示す一部省略側面図。
【図9】(a)〜(c)共に、RFID付き容器体に用いることができる各種容器の一例を示す縦断面図。
【図10】本発明のRFID付き容器体の他の実施形態を示し、(a)は、その正面図、(b)は、側面図。
【図11】本発明のRFID付き容器体の他の実施形態を示し、(a)は、その正面図、(b)は、C−C線断面図。
【図12】(a)、(b)ともに、RFID付き容器体に用いるフィルムの変形例を示す正面図。
【図13】本発明のRFID付き容器体の他の実施形態を示す正面図。
【符号の説明】
【0044】
1…RFID付き容器体、2…容器、21…容器の胴部、3…RFID、4…粘着ラベル、31…ICチップ、32…アンテナ部、5…フィルム、51…扁平部、52…扁平部の扁平面、53…巻付け領域、54…基材領域(基材)、55…切取補助線、7…包装箱、71…包装箱の底面、72…包装箱の一側面、73…包装箱の他側面、10…包装体、11…コンベア、12…無線通信装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の胴部を有する容器の該胴部にRFIDが具備され、容器に転がり防止手段が設けられていることを特徴とするRFID付き容器体。
【請求項2】
容器の胴部にRFIDが具備され、胴部周りにフィルムが巻き付けられており、
巻き付けたフィルムの一部分を扁平状に形成することにより扁平部が設けられていると共に、この扁平部の両側縁が胴部の外側又は胴部外形延長上の外側に突出され、且つ扁平部の扁平面がRFIDと同じ側に向けられていることを特徴とするRFID付き容器体。
【請求項3】
前記RFIDが、前記フィルムの一部分に具備され、RFIDの設けられた領域が切取補助線を介して区画されている請求項2記載のRFID付き容器体。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のRFID付き容器体の複数個が、RFIDの向きを揃えた状態で、包装箱内に収容されていることを特徴とする包装体。
【請求項1】
円筒状の胴部を有する容器の該胴部にRFIDが具備され、容器に転がり防止手段が設けられていることを特徴とするRFID付き容器体。
【請求項2】
容器の胴部にRFIDが具備され、胴部周りにフィルムが巻き付けられており、
巻き付けたフィルムの一部分を扁平状に形成することにより扁平部が設けられていると共に、この扁平部の両側縁が胴部の外側又は胴部外形延長上の外側に突出され、且つ扁平部の扁平面がRFIDと同じ側に向けられていることを特徴とするRFID付き容器体。
【請求項3】
前記RFIDが、前記フィルムの一部分に具備され、RFIDの設けられた領域が切取補助線を介して区画されている請求項2記載のRFID付き容器体。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のRFID付き容器体の複数個が、RFIDの向きを揃えた状態で、包装箱内に収容されていることを特徴とする包装体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−145383(P2007−145383A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344703(P2005−344703)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】
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