説明

RGD1ペプチドの内部移行に関係する方法および組成物

血管形成を受けている標的組織に対して、またはαvインテグリンを発現する細胞もしくは組織に対して有用な組成物および方法が開示される。この組成物および方法は、動物において、血管形成を受けている組織に対して、またはαvインテグリンを発現している細胞もしくは組織に対して選択的に結合し、かつホーミングするペプチド配列に基づく。この開示された標的化は、血管形成を経験している組織に対して、またはαvインテグリンを発現する細胞もしくは組織に対して治療剤および検出可能剤を送達するために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連する出願への相互参照)
本願は、2008年1月18日に出願された米国仮特許出願第61/022,131号の利益を主張する。2008年1月18日に出願された米国仮特許出願第61/022,131号は、その全体が参考により本明細書中に援用される。
【0002】
(連邦により後援された研究に関する申告)
本発明は、NIHの国立癌研究所からの補助金第CA104898号、同第CA119414号、同第CA119335号、同第CA124427号、同第CA115410号、および同第30199号ならびに国防総省からの補助金第BC076050号のもと連邦政府の後援でなされた。連邦政府は本発明における一定の権利を有する。
【0003】
(発明の分野)
本発明は概して、分子医学、腫瘍学および血管生物学の分野に、さらに詳細には、腫瘍および血管形成部位に選択的にホーミングするRGD配列を含んでいるインテグリン−結合ペプチドに関する。
【背景技術】
【0004】
RGD(アルギニン−グリシン−アスパラギン酸)は、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、いくつかのコラーゲンなどを含めて多くの細胞接着促進性細胞外マトリックスタンパク質における細胞表面レセプターの重要な認識配列である(Ruoslahti,2003)。インテグリンは細胞表面レセプターの大きいファミリーであって、RGD配列で細胞外マトリックスに結合する。おおよそ3分の1のインテグリンがRGD配列をそれらの認識部位として用い;それ以外は他の配列を認識する。RGD配列はまた、血液凝固においてフィブロネクチンに対する血小板の結合を媒介する。RGDペプチドおよびペプチド模倣物を用いて、インテグリン活性を調節することができる。これらの化合物はまた、治療および診断用の化合物をインテグリンが活性である部位に送達するのに有用である。膨大な薬物発見の努力がRGDおよび関連のペプチドに対して集中しており、既に多数のRGDベースの薬物が市場にあるか、または臨床試験中である(Ruoslahti,2003;2004)。
【0005】
腫瘍、組織再生、および炎症は、既存の血管から新規な血管の成長を誘導する。このプロセスである血管形成は、創傷治癒のためのバイタル要件である。なぜなら、新規な血管の形成によって種々の媒介因子栄養物および酸素が治癒組織に達することが可能になるからである(Marin 1997,Singer&Clark 1999,Falanga 2006,Folkman 2006)。新しく形成された血管は、既存の脈管構造とは構造が異なる。このような相違は正常な血管に対して腫瘍脈管構造を比較することによって広く特徴付けられている(Ruoslahti,2002)。非悪性組織および前癌状態の病変における血管形成の血管は、腫瘍血管とマーカーを共有するが、別個のマーカーも存在する(Hoffmanら、2003;Joyceら、2003)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
癌処置の前進に対する主要なハードルは、正常な組織を残置しながら癌を選択的に標的化し得る因子が比較的欠如しているということである。例えば、一般的には局所的な処置である、放射線療法および手術は、処置領域における正常な組織に対する実質的な損傷を生じ得、これによって正常な組織の瘢痕化および喪失が生じる。化学療法は、これに対して、一般には全身に投与され、迅速な細胞の代謝回転および連続的な細胞分裂を受ける骨髄、粘膜、皮膚および小腸などの器官に実質的な損傷を生じ得る。結果として、望ましくない副作用、例えば、悪心、脱毛および血球数減少がしばしば、癌患者が化学療法薬で静脈内処置される場合に生じる。このような望ましくない副作用は、安全に投与可能な薬物の量を制限し得、それによって生存率を妨げて、患者の生活の質に影響する。従って、診断および処置の有効性を増大し、かつ全身の治療に関連する副作用を軽減する、腫瘍を選択的に標的化するための新規な治療ストラテジーが必要である。本発明は、腫瘍に選択的にホーミングし、薬物、遺伝子治療ベクターまたは他の作用物質を適切な組織に対して選択的に標的化するために適切である分子を提供することによってこの要件を満たす。関連する利点も提供される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要旨
本明細書に開示されるのは、単離されたペプチドであって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、もしくはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つ、または1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、もしくはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つを含んでいるアミノ酸セグメントを含んでいる、単離されたペプチドである。このペプチドは、100、50または20残基未満の長さを有し得る。このアミノ酸セグメントは、ジスルフィド結合を介するなどの環状であってもよい。このペプチドは、血管形成の部位、損傷の部位、外科的部位、腫瘍、関節炎の部位、または1つ以上のαvインテグリン、ニューロピリン−1もしくはその両方を発現する細胞もしくは組織に対して選択的にホーミングし得る。例えば、この細胞もしくは組織は、1つ以上のαvインテグリンを発現し得、またはこの細胞もしくは組織は、1つ以上のαvインテグリンおよびニューロピリン−1を発現し得る。このインテグリンは、例えば、αvβ3インテグリン、αvβ5インテグリン、α5β1インテグリン、またはその組み合わせであってもよい。ある形態では、アミノ酸セグメントは、アミノ酸配列RGDR/K/H(配列番号325)を含んでもよい。例えば、アミノ酸セグメントは、アミノ酸配列CRGDR/K/HGPD/HC(配列番号326)を含んでもよい。別の例としては、このアミノ酸セグメントは、アミノ酸配列CRGDR/K/HGPD/E/HC(配列番号327)を含んでもよい。別の例では、このアミノ酸セグメントは、アミノ酸配列CRGDR/K/HGP/VD/E/HC(配列番号328)を含んでもよい。従って、例えば、このアミノ酸セグメントは、アミノ酸配列CRGDHGPDC(配列番号313)、CRGDHGPEC(配列番号314)、CRGDHGPHC(配列番号315)、CRGDHGVDC(配列番号316)、CRGDHGVEC(配列番号317)、CRGDHGVHC(配列番号318)、CRGDKGPDC(配列番号1)、CRGDKGPEC(配列番号3)、CRGDKGPHC(配列番号302)、CRGDKGVDC(配列番号319)、CRGDKGVEC(配列番号320)、CRGDKGVHC(配列番号321)、CRGDRGPDC(配列番号2)、CRGDRGPEC(配列番号290)、CRGDRGPHC(配列番号303)、CRGDRGVDC(配列番号322)、CRGDRGVEC(配列番号323)、またはCRGDRGVHC(配列番号324)を含んでもよい。
【0008】
また、本明細書において開示されるのはコンジュゲートであって、ここでは、このコンジュゲートは、単離されたペプチドであって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、もしくはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つ、または1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、もしくはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つを含んでいる、アミノ酸セグメントを含んでいる、単離されたペプチドに連結された部分を含む。この部分は、血管新生阻害剤、血管形成促進剤、癌化学療法剤、細胞毒性剤、抗炎症剤、抗関節炎剤、ナノ粒子、ポリペプチド、核酸分子、低分子、発蛍光団、フルオレセイン、ローダミン、放射性核種、インジウム−111、テクネチウム−99、炭素−11、炭素−13、または組み合わせであってもよい。この部分は、治療剤、例えば、デコリンであってもよい。この部分は検出可能な薬剤であってもよい。このコンジュゲートは、ウイルス、例えば、ファージを含んでもよい。
【0009】
さらに開示されるのは、ある部分が血管形成に対して指向される方法であって、この方法は被験体に対して、単離されたペプチドであって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、もしくはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つ、または1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、もしくはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つを含んでいるアミノ酸セグメントを含んでいる、単離されたペプチドに連結された部分を含むコンジュゲートを投与する工程を包含する。この部分を用いて、癌、糖尿病性失明、加齢性黄斑変性症、関節リウマチもしくは乾癬を処置するか、または創傷治癒を促進する。このコンジュゲートは、治療効果を有してもよく、この効果としては、例えば、炎症の減少、創傷治癒の速度の上昇、瘢痕組織の量の減少、疼痛の減少、腫脹の減少、または壊死の減少を含む。この被験体は、標的化されるべき1つ以上の部位を有し得、ここでこの部分は、標的化されるべき部位の1つ以上に対して指向される。この被験体は癌を有してもよく、この部分はこの被験体において腫瘍血管形成に対して指向される。例えば、このコンジュゲートは癌に対して治療効果を有し得る。例えば、腫瘍のサイズが減少されてもよいし、または腫瘍の増殖が減少されるか、停止されるか、もしくは逆転されてもよい。この部分はまた、癌を検出するか、1つ以上の腫瘍を可視化するか、またはその両方に用いることができる。
【0010】
また開示されるのは、ある部分が腫瘍に対して指向される方法であって、この方法は被験体に対して、単離されたペプチドであって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、もしくはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つ、または1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、もしくはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つを含んでいるアミノ酸セグメントを含んでいる、単離されたペプチドに連結された部分を含むコンジュゲートを投与する工程を包含する。この方法はさらに、被験体中の腫瘍が1つ以上のαvインテグリン、ニューロピリン−1またはその両方を発現するか否かを決定する工程、およびこの腫瘍が1つ以上のαvインテグリン、ニューロピリン−1またはその両方を発現する場合、コンジュゲートをこの被験体に投与する工程をさらに包含し得る。例えば、腫瘍は、1つ以上のαvインテグリンを発現してもよいし、または腫瘍は、1つ以上のαvインテグリンおよびニューロピリン−1を発現してもよい。この方法はさらに、被験体中の腫瘍がニューロピリン−1を正常よりも高いレベルで発現するか否かを決定する工程、および該腫瘍がニューロピリン−1を正常より高いレベルで発現する場合、コンジュゲートを被験体に投与する工程をさらに包含してもよい。腫瘍中の細胞はαvインテグリンを発現してもよい。腫瘍中の細胞は、ニューロピリン−1を発現してもよい。腫瘍中の細胞は、ニューロピリン−2を発現してもよい。腫瘍中の細胞は、ニューロピリン−1、ニューロピリン−2またはその両方を発現してもよい。腫瘍中の細胞は、αvインテグリンおよびニューロピリン−1を発現してもよい。腫瘍中の細胞は、ニューロピリン−1を正常よりも高いレベルで発現してもよい。このインテグリンは、例えば、αvβ3インテグリン、αvβ5インテグリン、α5β1インテグリン、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0011】
開示される方法および組成物のさらなる利点は、以下の説明に部分的に示されており、その説明から部分的に理解されるか、または開示される方法および組成物の実行によって学習され得る。開示される方法および組成物の利点は、添付の特許請求の範囲に詳細に示される要素および組み合わせの手段によって実現および獲得されるであろう。前述の一般的説明および以下の詳細な説明の両方とも、例示的かつ説明的でしかなく、特許請求される本発明の限定ではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付の図面は、本明細書に組み込まれかつその一部を構成しており、開示される方法および組成物のいくつかの実施形態を説明とともに図示しており、開示される方法および組成物の原理を説明するのに役立つ。
【図1】図1は、ヒト前立腺癌の骨(脛骨)異種移植片における脈管構造に選択的にホーミングするペプチドについてのスクリーニングの間のT7ファージライブラリーの富化パターンの例を示す。3回のエキソビボ・ファージ・ディスプレイを行い、続いて、インビボのファージディスプレイを1回行った。次いで、この選択されたファージプールを追加回のエキソビボ・ファージ・ディスプレイに供して、標的腫瘍に対するその結合を正常な骨に対する結合と比較した。ランダムな個々のファージクローンをインビボの選択回およびエキソビボの最終回から配列決定した。その結果を表1に示す。
【図2】図2A、2Bおよび2Cは、種々のヒト異種移植片腫瘍に対するiRGD1ペプチドのホーミングを示す。フルオレサミン標識したiRGD1ペプチド(200μg)を尾静脈から、頸骨および脳中に(A)PPC1ヒト前立腺癌異種移植片、(B)MIA PaCa−2ヒト膵臓同所異種移植片腫瘍、または(C)MDA−MB−435乳癌同所異種移植片腫瘍、を保有している免疫欠損マウスに注射する。4.5時間の循環後、マウスを灌流して、未結合のペプチドを除去して、器官を回収し、UV光(左パネル)および白色光(右パネル)のもとで観察した。
【図3】図3Aおよび3Bは、マウス膵臓癌腫へのiRGD1ペプチドの腫瘍ホーミングを示す。A)フルオレサミン標識した200μgのiRGD1ペプチドを尾静脈から、膵臓導管腺癌(PDAC)を有するトランスジェニックマウスに注射して、そのペプチドを4.5時間循環させた。B)過剰の非標識iRGD1(2mg/マウス)を、PDACマウスに注射して、30分後にAに記載されるようなフルオレサミン標識したiRGD1ペプチドを注射した。UV光(左パネル)および白色光(右パネル)のもとで観察した、回収された器官を示す。
【図4】図4A、図4B、図4Cおよび図4Dは、PDAC病変におけるFAM−iRGDペプチドの時間依存性のインビボのホーミングパターンを示す。約200μgのFAM−iRGD1を、PDACを保有しているマウスに注射して、15分(A)、30分(B)、2時間(C)および4.5時間(D)循環させた。それぞれ、DAPIで染色している核、および抗CD31抗体で染色している血管内皮細胞を示す。FAM−iRGD1の注射の後、15分(A)〜30分(B)では、血管中に(矢印)または血管の周囲の細胞中に色素が残留する(A、右の上の角で窓の中の矢じり形)が、2時間後(C、矢印)または4.5時間後(D,矢印)、このペプチドでは血管染色は観察されない。ペプチド注射の30分後、このペプチドの蛍光は腫瘍腺中に出現する(B,主要パネルおよび上部の右角の挿入);腫瘍内のいくつかの個々の細胞は2時間後(C、星印)および4.5時間(D、星印)強力に陽性である。
【図5】図5は、iRGD1ペプチドのインビトロでの腫瘍細胞への内部移行を示す。I型コラーゲンでコーティングしたカバースリップ上で培養したPPC1、MDA−MB−435、およびMIA PaCa−2細胞を10μMのフルオレサミン−iRGD1とともに37℃で2時間インキュベートし、原形質膜マーカーおよび核染色DAPIで染色し、共焦点顕微鏡下で画像化した。
【図6】図6Aおよび図6Bは、iRGDファージの腫瘍細胞への内部移行を示す。A)T7ファージであって、iRGDペプチド、RGD−4C(CDCRGDCFC、配列番号4)を提示しているT7ファージ、またはCG7C(コントロールのファージ)を、種々の腫瘍細胞株とともに37℃で30分間インキュベートした。細胞表面に結合したファージを、酸性緩衝液を用いて細胞を洗浄することによって取り除いて、内部移行したファージをレスキューして、滴定した。iRGDファージの内部移行はRGD−4C(CDCRGDCFC,配列番号4)のものよりも顕著に効率的である。B)T7ファージであって、iRGDペプチド(主要パネル)を提示しているT7ファージまたはCG7Cのコントロールのペプチド(右の上部パネル)を、I型コラーゲンでコーティングしたカバースリップ上で培養したPPC1細胞とともに37℃で2時間インキュベートして、抗T7抗体、原形質膜マーカーおよびDAPIで染色して、核を可視化して、共焦点顕微鏡によって画像化した。iRGDファージは腫瘍細胞中に過度に内部移行するが、コントロールのファージ(挿入物)は内部移行しないことに注意のこと。
【図7】図7Aおよび図7Bは、CG7Cを提示しているファージ(コントロールのファージ)の結合(A)および内部移行(B)、またはスクリーニングで示されたiRGD改変体の例を示す(配列番号1、106、302、2、262、および303)。PPC1細胞を、このファージとともに1時間、4℃(A)または37℃(B)でインキュベートした。細胞表面に結合したファージ(A)または細胞に内部移行したファージ(B)を滴定のためにレスキューした。
【図8】図8Aおよび図8Bは、CG7C(コントロールのファージ)、iRGD1、およびiRGD1変異体(各々のアミノ酸(下線を付した)(配列番号1および304〜310)のアラニン置換を担持する)を提示するファージの結合(A)および内部移行(B)を示す。PPC1細胞を、このファージとともに1時間4℃(A)または37℃(B)でインキュベートした。細胞表面に結合したファージ(A)または細胞に内部移行したファージを滴定のためにレスキューした。R、G、D、KおよびGの中の5つの残基のうちのいずれか1つのアラニン変異は、腫瘍細胞へのiRGDファージの結合および内部移行を排除または大きく減少することに注意のこと。
【図9】図9Aおよび図9Bは、CG7C(コントロールのファージ)、CRGDKG、CRGDK、CRGDまたはCRG(それぞれ、配列番号5〜8)を提示しているファージの結合(A)および内部移行(B)を示す。PPC1細胞をこのファージとともに1時間4℃(A)または37℃(B)でインキュベートした。細胞表面に結合したファージ(A)または細胞に内部移行したファージを滴定のためにレスキューした。
【図10】図10Aおよび図10Bは、腫瘍細胞に結合するiRGD1ファージの阻害(A)、およびそれらへの内部移行(B)を一連のペプチドを提示するUV不活性化ファージによって示す。A)PPC1細胞は、iRGD1、KGD(CKGDKGPDC,配列番号9)を提示している100〜1000倍過剰のUV不活性化ファージ、またはCG7C(コントロールのファージ)を用いて前処理し、続いて活性なiRGDファージまたはCG7Cファージとともに4℃で1時間同時インキュベートした。細胞表面に結合したファージを滴定した。B)PPC1細胞を、それらをiRGD1またはCG7Cファージとともに37℃で同時インキュベートした以外は、A)に記載のとおり処理した。内部移行したファージを図5Aについての凡例で記載されるとおり滴定のためにレスキューした。
【図11】図11Aおよび図11Bは、iRGD1ファージ結合(A)および内部移行(B)の阻害を一連の抗インテグリン抗体によって示す。A)PPC1細胞を一連の抗インテグリン抗体の有無によって、またはコントロールとして正常なマウスIgGによって、4℃で30分間、前処理し、続いて、iRGD1ファージまたはCG7Cコントロールのファージとともに4℃(A)または37℃(B)で1時間のインキュベーションをした。細胞表面に結合したファージ(A)または細胞に内部移行したファージ(B)をレスキューして滴定した。αVインテグリンサブユニットに対する機能ブロッキング抗体は、iRGD1ファージの結合および内部移行の両方を効率的に阻害する。
【図12】図12A〜図12Eは、iRGDペプチドのインビボ腫瘍ホーミングを示す。a)約200μgのFAM−iRGDまたはコントロールのペプチドが含有されるPBSを、新規な膵臓導管腺癌(PDAC)を保有しているLSL−Kras,p53−fl/+,p48−Creマウスに静脈内注射した(BardeesyおよびDePinho,Pancreatic cancer biology and genetics. Nature Rev. Cancer 2,897−909(2002))。そのペプチドを2時間循環させて、器官を収集し、UV光(左側のパネル)または白色光(右側のパネル)のもとで可視化した。矢じり形は腫瘍を指している。b、c)iRGDおよびコントロールのペプチドのインビボ分布の定量。FAM−iRGD;非−インテグリン−結合iRGD変異体,FAM−CRGEKGPDC(配列番号291)(FAM−iRGE);およびFAM−標識された環状ポリグリシンペプチド(FAM−CGC)を、本明細書においていずれかに記載されているようにPDACマウスに注射した(BardeesyおよびDePinho,Pancreatic cancer biology and genetics. Nature Rev. Cancer 2,897〜909(2002))(b)。ある場合には、10倍過剰の未標識のiRGDペプチドまたはiRGEペプチドをFAM−iRGDの30分前に注射した(c)。各々の組織における蛍光を、イメージJソフトウェア(Image J software)を用いて定量した。統計学的分析をスチューデントのt検定を用いて行った。未標識のペプチドの注射なしのFAM−iRGDホーミングをcにおいて100%とみなした。n=3;エラーバー、標準偏差(s.d.);二重星印、p<0.01。d)示したペプチド、ファージおよびミセルを注射したマウス由来の同所性22Rv−1ヒト前立腺癌異種移植片の共焦点画像。iRGDは同様のインテグリン結合と比較したが、内部移行しないペプチド、CRDGC(配列番号301)とは比較しなかった。遊離のペプチドについての循環時間はペプチド提示ファージについては、2時間、15分であって、ペプチドカップリングミセルについては3時間であった。矢印は、血管壁の内側またはすぐ外側のFAM−CRGDC(配列番号292)ペプチドまたはCRGDC(配列番号292)ファージを指しており、腫瘍血管に対するそのホーミングを示しているが、ただし分散および内部移行はない。各々の3つの腫瘍の複数のセクション由来の代表的な視野を示す。縮尺バー=50μm。e)FAM−iRGDミセルまたはCy7で標識したFAMコントロールミセルを注射したPDACマウス(BardeesyおよびDePinho(2002))の全身の画像化。画像はミセルの注射3時間後にとった。皮膚の剃毛した領域のみを破線によって描写して示す。明るい染色,800nm(Cy7);暗い方の染色,700nm(バックグラウンドの蛍光)。蛍光性器官の、のこ歯の外観は、マウスの呼吸によって生じる。
【図13】図13A〜図13Cは、iRGDがαvインテグリンに結合することを示す。a)合成のiRGDペプチドおよびその改変体、ならびに対応する非感染性ファージによる、iRGDファージがPPC1前立腺癌に対して結合することの阻害。b、c)インテグリンまたはコントロールのマウスIgGに対する抗体による、PPC1細胞(b)およびM21細胞(c)に対するiRGDファージ結合の阻害。統計学的分析をANOVA(a,c)およびスチューデントのt検定(b)で行った。インヒビターなしのiRGDファージ結合をaにおいて100%とみなした。n=3;エラーバー,標準偏差(s.d.);一重星印,p<0.05;二重の星印,p<0.01;三重の星印,p<0.001。
【図14】図14A〜14Eは、腫瘍細胞内のiRGD内部移行におけるCendRモチーフを示す。a)非感染性のRPARPAR(配列番号296)またはRPARPARA(配列番号297)ファージで前処理したかまたはしていないPPC1細胞内のトリプシン処理したiRGDファージの内部移行。b)合成のCRGDK(配列番号6)、RPARPAR(配列番号296)、およびRPARPARA(配列番号297)のペプチド、および対応する非感染性のファージによる、PPC1に対するCRGDK(配列番号6)ファージ結合の阻害。c)抗ニューロピリン−1ブロッキング抗体(抗NRP−1)またはコントロールのヤギIgG(左側のパネル)で処理したPPC1細胞、ならびにニューロピリン−1(NRP−1)の強制された発現を誘導するためにニューロピリン−1cDNAでトランスフェクトされるか、ベクター単独でトランスフェクトされるかまたはトランスフェクションなしのM21細胞に対する、CRGDK(配列番号6)ファージの結合(右側のパネル)。d)CendR−内部移行ペプチドRPARPAR(配列番号296)およびCRGDK(配列番号6)を提示する非感染性ファージによるPPC1内のiRGDおよびiRGEファージ内部移行の阻害。e)ニューロピリン−1機能をブロックする抗ニューロピリン−1抗体(抗NRP−1)による、PPC1細胞内のiRGDファージの用量依存性の阻害。統計的な分析をANOVA(a,b,d)またはスチューデントのt検定(c,e)で行った。インヒビターなしのCRGDK(配列番号6)ファージ結合をbにおいて100%とみなした。n=3;エラーバー,標準偏差;一重の星印,p<0.05;二重の星印,p<0.01;三重の星印,p<0.001。
【図15】図15Aおよび図15Bは腫瘍細胞内のiRGDの内部移行がニューロピリン−1を包含することを示す。a)iRGDファージでインキュベートしたPPC1細胞の共焦点顕微鏡画像。細胞をファージ、ニューロピリン−1、および核について染色した。右パネルは左パネルにおける破線の領域の高倍率視野である。iRGDファージはPPC1細胞内に内部移行して、核周辺部で(矢じり形)および核で(矢印)ニューロピリン−1とともに同時局在化することに注意のこと。縮尺バー=20μm。b)PDACにおけるαvインテグリン(右側のパネル)およびニューロピリン−1(左側のパネル)の発現に関する、FAM−iRGDペプチド(グリーン)の時間依存性のホーミング(BardeesyおよびDePinho(2002))。FAM−iRGDによって標的化される血管は、αvインテグリンおよびニューロピリン−1(矢印)の両方について陽性であった。挿入物は、FAM−iRGDによって標的化された脈管構造のCD31染色を示す。試験したほとんど全ての腫瘍導管において、αvインテグリンは陽性であった。腫瘍細胞(矢じり形)および腫瘍導管(星印)もニューロピリン−1について強力に陽性であって、内部移行してFAM−iRGDを残すのに極めて強力であった。縮尺バー=50μm。
【図16】図16Aおよび図16Bは、同所性異種移植片および自然発生のマウス腫瘍に対する合成のiRGDペプチドのホーミングを示す。PBS中の約200μgのFAM−iRGDを、腫瘍を保有しているマウスに対して静脈内投与した。そのペプチドを2時間循環させて、器官を収集してUV光または白色光のもとで見た。矢じり形は、腫瘍を指している。a)この腫瘍はヒト前立腺癌PPC1の脳および脛骨移植片(Zhangら、Lymphatic zip codes in premalignant lesions and tumors.Cancer Res.66,5696−5706(2006))、ならびに22rv−1の同所性異種移植片(Drakeら、Assessing tumor growth and distribution in a model of prostate cancer metastasis using bioluminescence imaging.Clin.Exp.Metastasis 22,674−684(2005))、ヒトすい臓癌MIA PaCa−2(Sugaharaら、Chondroitin sulfate E fragments enhance CD44 cleavage and CD44−dependent motility in tumor cells.Cancer Res.68,7191−7199(2008))、およびヒト乳癌BT474(Rusnakら、The effects of the novel,reversible epidermal growth factor receptor/ErbB−2 tyrosine kinase inhibitor,GW2016,on the growth of human normal and tumor−derived cell lines in vitro and in vivo.Mol.Cancer.Ther.1,85〜94(2001))であった。b)自然発生のマウス腫瘍はRIP−Tag2マウスの膵臓島腫瘍(Hanahan,Heritable formation of pancreatic 1−cell tumors in transgenic mice expressing recombinant insulin/simian virus 40 oncogenes.Nature 315,115−122(1985))およびK14−HPV16マウスの頸部腫瘍(Arbeitら、Progressive squamous epithelial neoplasia in K14−human papillomavirus type 16 transgenic mice.J.Virol.68,4358−4368(1994))であった。
【図17】図17は、iRGDファージが腫瘍組織へ浸透し、腫瘍細胞へ内部移行することを示す。iRGD、RGD−4C、またはCGCファージを注射したトランスジェニックマウス由来のPDAC腫瘍の共焦点画像。矢印はファージについて陽性である血管を指しており、星印は腫瘍導管を示す。上部の右パネルは上の左のパネルにおける破線の領域の拡大視野を示す。挿入物はRGD−4Cファージによって標的化された血管を示す。iRGDファージは、腫瘍の実質内に広範に広がり、腫瘍細胞内に内部移行するが、一方RGD−4Cファージは、血管を標的化するが、脈管構造内の近接会合にとどまる。CGCファージは、腫瘍ホーミングを示さなかった。縮尺バー=50μm。
【図18】図18は、CGCファージに比較したiRGDファージのPPC1細胞への結合および内部移行を示す。PPC1細胞をiRGDまたはCGCファージを用いて1時間4℃でまたは37℃で処理した。内部移行を評価するために、細胞表面に結合したファージを、ファージ滴定の前に酸緩衝液を用いて細胞を洗浄することによって除去した。iRGDファージの内部移行は、4℃では生じないことに注意のこと。統計学的分析をスチューデントのt検定で行った。n=3,エラーバーはs.d.に相当する。
【図19】図19Aおよび図19Bは、腫瘍細胞におけるインテグリン発現を示す。a,b)PPC1(a)およびM21細胞(b)におけるインテグリン発現は、フローサイトメトリーによって分析した。このプロフィールは、未染色の細胞の値(薄い灰色)に相当し、細胞をマウスIgG(濃い灰色)または適切なインテグリン抗体(影なし、矢印つき)を一次抗体として用いてインキュベートした。
【図20】図20は、FAM−iRGDペプチドで処理したPPC1細胞から回収したペプチドフラグメントを示す。PPC1細胞を、プロテアソームインヒビターMG132の存在下でFAM−iRGDペプチド(N末端でFAM)とともに37℃で90分間インキュベートした。ペプチドフラグメントを抗FITCアフィニティーカラムで回収して、質量分析計によって分析した。FAM−CRGDK[M+H](m/z:1,049)(配列番号6)およびFAM−CRGDK[M+Na](m/z:1,072)(配列番号6)の存在、ならびに全長のFAM−iRGD(m/z:1,419)の非存在に注意のこと。メジャーなペプチドフラグメントは、抗FITCアフィニティーカラムについてのアイソタイプコントロールとして用いたマウスIgGカラムからも、またはFAM−iRGDに曝されなかったPPC1細胞の溶解液を抗FITCに分画したときも、回収されなかった(示さず)。C末端においてFAMで標識したiRGDペプチドによって、細胞からGPDC−FAM((CRGDK(配列番号6)を生じるiRGD切断から期待される988質量単位のフラグメント)は生じなかった(示さず)。これによって、iRGDペプチドがK−G結合でタンパク質分解性に切断される場合に生じるであろうニューロピリン−1−結合N末端フラグメント(CRGDK;配列番号6))のみが内部移行することが示され、そしてジスルフィド結合は内部移行の前に減少されることが示される。MG132を略することによって、FAM−CRGDK(配列番号6)(示さず)より少ないペプチドのみが生じ(示さず)、これによって、細胞内FAM−CRGDK(配列番号6)はプロテアソームで分解されることが示される。
【図21】図21Aおよび21Bは、インテグリン発現に関連する腫瘍細胞に対するCRGDK(配列番号6)ファージの結合を示す。a)インテグリン抗体は、PPC1細胞に対するCRGDK(配列番号6)ファージの結合を阻害しない。b)CRGDK(配列番号6)ファージは、種々のαvインテグリン発現レベルでM21細胞に対して同様に結合する(αvインテグリン発現パターンについては図19Bを参照のこと)。
【図22】図22は、iRGDおよびCRGDK(配列番号6)ファージのPPC1およびM21細胞への内部移行を示す。細胞をiRGDまたはCRGDK(配列番号6)ファージを用いて1時間37℃で、続いて酸性の緩衝液洗浄によって処理して、細胞表面に結合するファージを除去した。CRGDK(配列番号6)ファージは、ニューロピリン−1の高い発現を有するPPC1細胞におけるiRGDファージよりも効率的に内部移行するが、M21細胞では逆転されないことに注意のこと。
【図23】図23は、CendRエレメントを欠くRGDファージが腫瘍細胞に効率的に内部移行しないことを示す。iRGDファージ改変体CRGDGGPDC(配列番号298)、CRGDC(配列番号292)、またはRGD−4Cを発現するT7ファージとともにインキュベートされたPPC1細胞の共焦点顕微鏡画像。この細胞をファージ(矢印を付した)、ニューロピリン−1(遠位および隣接)、および核(中央塊)について染色した。CRGDGGPDC(配列番号298)ファージの右パネルは、左パネルにおける破線の領域の高倍率の視野である。RGDファージは細胞の表面に結合する(矢じり形)が、細胞中には効率的に内部移行しないことに注意のこと。縮尺バー=10μm。
【図24】iRGDの2工程の内部移行機構を示す。iRGDペプチド(配列番号1)は、αvインテグリン−発現内皮および腫瘍内の他の細胞の表面に蓄積する。RGDモチーフは、インテグリン結合を媒介する。このペプチドを細胞表面会合したプロテアーゼ(単数または複数)によって切断して、潜在性のCendRエレメントであるRXXK/R(配列番号13および14)をC末端で露出する(ハサミをともなう破線)(配列番号6および311)。次いで、CendRエレメントはニューロピリン−1に対する結合を媒介し、細胞への内部移行を生じる。このペプチドは、細胞中にカーゴ、例えば、簡易な化合物またはナノ粒子を運び、ただしこのカーゴは、iRGDペプチドのN末端に結合される。なぜなら、ジスルフィド結合はペプチドが内部移行される前に適切に壊れるからである(破線矢印)。廃棄されたペプチドは配列番号312である。
【図25】図25A〜図25Cは、腫瘍およびファージ・ディスプレイ・スクリーニングからの富化データを示す。a)PPC1脛骨異種移植片:下部パネルに示される領域のImage Station In Vivo FXでとった上部パネル、X線写真。矢印は、脛骨における腫瘍を指す。b)心臓の左心室への百万個の腫瘍細胞の注入からひろがったGFP−PC−3腫瘍。マウスは、Illumatool Bright Light System LT−9900を用いてUV光のもとで画像化した。骨(例えば、顎、撓骨、大腿骨)で増殖する腫瘍をスクリーニングに用いた。c)ファージ・ディスプレイ・スクリーニングの連続回で得た富化の例。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
開示される方法および組成物は、本明細書に含まれる特定の実施形態および実施例の以下の詳細な説明、ならびに図面およびそれらの以前のおよび以下の説明を参照することによってさらに容易に理解できる。
【0014】
本発明の化合物、組成物、物品、デバイスおよび/または方法が開示および記載される前に、それらは別段特定しない限り、特定の合成方法または特定の組み換えバイオテクノロジー方法に限定されるものではなく、あるいは、別段特定しない限り、特定の試薬にも限定されず、従って当然ながら変化し得ることが理解されるべきである。本明細書に用いられる用語法は、特定の実施形態を記載する目的でしかなく、限定を意図するものではないことも理解されるべきである。
【0015】
(A.全般)
ファージディスプレイのペプチドライブラリーのインビボスクリーニングを用いて、腫瘍における血管の特殊化をプローブした。この方法によって、脈管構造における異質性の大きい程度が明らかになった;組織特異的ホーミングペプチドは、多数の正常な器官および組織、腫瘍およびアテローム性動脈硬化症で特定されている(Rajotteら、1998;Ruoslahti,2002;Liuら、2003;Zhangら、2005;Koloninら、2006)。腫瘍は、血管およびリンパ管の両方で特定の血管マーカーを担持することが示されている(Ruoslahti,2002;Laakkonenら、2002;2004;Zhangら、2006)。ファージ・ディスプレイ・スクリーニングにおける標的として用いられなかった腫瘍タイプを概観することによって、腫瘍について選択的な追加のホーミングペプチド配列が明らかになる場合があることが推論された。前立腺癌および前立腺癌転移を、標的腫瘍として選択した。
【0016】
αvインテグリンを発現する新規な脈管構造または細胞および組織を選択的に標的化するあるクラスのペプチドが発見されている。ある形態では、このペプチドは、配列CRGDR/KGPD/EC(配列番号300)を有する。詳細には、新規な脈管構造を選択的に標的化する3つのペプチドが特定されている:CRGDKGPDC(iRGD1,配列番号1と呼ばれる)、CRGDRGPDC(iRGD2、配列番号2と呼ばれる)、およびCRGDKGPEC(iRGD3、配列番号3と呼ばれる)。このクラスのペプチドの他の例としては、CRGDRGPEC(配列番号290)が挙げられる。ある形態では、このペプチドは、配列RGDR/K/H(配列番号325)を有し得る。例えば、このペプチドは、配列CRGDR/K/HGPD/HC(配列番号326)を有してもよい。別の例としては、このペプチドは、配列CRGDR/K/HGPD/E/HC(配列番号327)を有してもよい。別の例としては、このペプチドは、配列CRGDR/K/HGP/VD/E/HC(配列番号328)を有してもよい。従って、例えば、このペプチドは、配列CRGDHGPDC(配列番号313)、CRGDHGPEC(配列番号314)、CRGDHGPHC(配列番号315)、CRGDHGVDC(配列番号316)、CRGDHGVEC(配列番号317)、CRGDHGVHC(配列番号318)、CRGDKGPDC(配列番号1)、CRGDKGPEC(配列番号3)、CRGDKGPHC(配列番号302)、CRGDKGVDC(配列番号319)、CRGDKGVEC(配列番号320)、CRGDKGVHC(配列番号321)、CRGDRGPDC(配列番号2)、CRGDRGPEC(配列番号290)、CRGDRGPHC(配列番号303)、CRGDRGVDC(配列番号322)、CRGDRGVEC(配列番号323)、またはCRGDRGVHC(配列番号324)を有し得る。
【0017】
これらのホーミングペプチドは、抗癌剤を送達するための腫瘍の全身的な標的化の容易さを示す。
【0018】
B.定義
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いる場合、単数形「1つの、ある(不定冠詞:a、an)」および「この、その(定冠詞:the)」とは、文脈が明確に他を示すのでない限り、複数の言及を包含する。従って、例えば、「薬学的なキャリア」についての言及には、このようなキャリアの2つ以上の混合物などを包含する。
【0019】
範囲は、「約、ほぼ、およそ」ある特定の値から、および/または「約、ほぼ、およそ」別の特定の値までとして本明細書では表現され得る。このような範囲が表される場合、別の実施形態は、ある特定の値から、および/または他の特定の値までを包含する。同様に、値が近似で表される場合、先行詞「約、ほぼ、およそ」の使用によって、この特定の値は、別の実施形態を形成することが理解されるであろう。各々の範囲のエンドポイントは、他のエンドポイントに関して、および独立して他のエンドポイントで、両方とも有意であることがさらに理解される。本明細書において開示される多数の値が存在すること、かつ各々の値は、その値自体に加えて「約、ほぼ、およそ」その特定の値として本明細書で開示されることも理解される。例えば、「10」という値が開示されるならば、「約10」も開示される。ある値がその値「以下」で開示される場合、当業者によって適切に理解されるとおり、「その値以上」および値の間の可能な範囲も開示されることも理解される。例えば、「10」という値が開示される場合、「10以下」および「10以上」も開示される。本出願全体において、データは多数の異なる形式で提供されること、ならびにこのデータは、エンドポイントおよび出発ポイントに相当し、そしてデータポイントの任意の組み合わせにおよぶことも理解される。例えば、ある特定のデータポイント「10」および特定のデータポイント15が開示される場合、10および15より大きい、それ以上、それ未満、それ以下およびそれに等しい値が開示されるとみなされ、10と15との間も同様であることが理解される。2つの特定の単位の間の各々の単位も開示されることも理解される。例えば、10および15が開示されるならば、11、12、13および14も開示される。
【0020】
本明細書および以下の特許請求の範囲では、以下の意味を有すると規定されるであろう多数の用語に対して言及がなされるであろう:
「任意の」または「必要に応じて」とは、実質的に記載される事象または環境が存在してもしなくてもよいこと、そしてこの説明はこの事象または環境が生じる場合、およびそれが生じない場合を包含することを意味する。
【0021】
本出願全体にわたって、種々の刊行物が引用される。これらの刊行物の開示はその全体が本出願への参照によって援用されており、これが関与する当該分野の言及をさらに詳細に記載する。開示される引用文献はまた、その引用文献が依拠するセンテンスで考察される物質に含まれる物質について本明細書の引用文献によって個々にかつ詳細に援用される。
【0022】
開示される方法および組成物は、特定の合成方法、特定の分析技術に、または別段特定しない限り特定の試薬に限定されず、従って変化してもよいことが理解されるべきである。本明細書において用いられる用語法は、特定の実施形態を記載する目的でしかなく、限定を意図するものではないことも理解されるべきである。
【0023】
材料
開示されるのは、開示される組成物を調製するために用いられるべき成分、および本明細書において開示される方法内で用いるべき成分自体である。これらおよび他の物質は、本明細書に開示されており、これらの物質の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループなどが開示されているが、これらの化合物の各々の種々の個々のおよび総合的な組み合わせおよび順列の特定の言及が明確に開示され得ない場合、各々は詳細に考慮されかつ本明細書に記載される。例えば、特定のペプチドが開示されかつ考察され、ペプチドを含んでいる多数の分子に対してなすことができる多数の修飾が考察され、特に考慮されるのは、ペプチドおよび修飾の各々のかつあらゆる組み合わせおよび順列であって、それは特に反対が示されない限り可能である。従って、あるクラスの分子A、BおよびCが開示され、同様に、あるクラスの分子D、EおよびF、および組み合わせ分子A−Dの例が開示されるならば、各々が個々に言及されない場合でさえ、各々が個々にかつ総合的に考慮され、これは組み合わせA−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、およびC-Fが考慮され開示されることを意味する。同様に、これらの任意のサブセットまたは組み合わせも開示される。従って、例えば、A−E、B−F、およびC−Eのサブグループが、開示されると考えられるであろう。この概念は、本出願の全ての局面にあてはまり、これには、限定するものではないが、開示される組成物を作製および用いる方法における工程を包含する。従って、実現可能な種々の追加の工程がある場合、これらの追加工程の各々は、開示される方法の任意の特定の実施形態または実施形態の組み合わせで行われてもよいことが理解される。
【0024】
開示されるのは、単離されたペプチドであって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、またはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つ、または関連のアミノ酸配列を含んでいるアミノ酸セグメントを含んでいる単離されたペプチドに関連する方法および組成物である。
【0025】
また開示されるのは、単離されたペプチドであって、例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、もしくはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つ、または1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、もしくはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つを含んでいるアミノ酸セグメントを含んでいる、単離されたペプチドである。当業者は、どのアミノ酸が置換され得るか、かつ、ペプチドの機能を保持し得るかを容易に評価できる。
【0026】
このペプチドは、例えば、100残基未満の長さを有してもよい。このペプチドは例えば、50残基未満の長さを有してもよい。このペプチドは、例えば、20残基未満の長さを有してもよい。この開示されたアミノ酸セグメントは、例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、またはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つを含んでもよい。この開示されたアミノ酸セグメントは例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、またはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つであって、1つ以上の保存的アミノ酸置換を有しているアミノ酸配列を含んでもよい。この開示されたペプチドは、例えば、円形または環状であってもよい。この開示されたペプチドは例えば、ジスルフィド結合を介して、円形または環状であってもよい。この開示されたペプチドは例えば、非円形または直線であってもよい。この開示されたアミノ酸セグメントは、例えば、円形または環状であってもよい。この開示されたアミノ酸セグメントは、例えば、ジスルフィド結合を介して、円形または環状であってもよい。この開示されたアミノ酸セグメントは例えば、非円形または直線であってもよい。この開示されたペプチドは、例えば、アミノ酸セグメントから構成されてもよい。この開示されたペプチドは選択的に、例えば、血管形成の部位、例えば、創傷部位または組織にホーミングしてもよい。
【0027】
また開示されるのは、コンジュゲートであって、ここではこのコンジュゲートは開示されたペプチド、例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、もしくはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つ、または1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、もしくはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つを含んでいるアミノ酸セグメントを含んでいるペプチドなどに連結された部分を含む。
【0028】
この部分は、例えば、抗血管形成剤、血管形成促進剤、癌化学療法剤、細胞毒性剤、抗炎症剤、抗関節炎剤、ポリペプチド、核酸分子、低分子、発蛍光団、フルオレセイン、ローダミン、放射性核種、インジウム−111、テクネチウム−99、炭素−11、炭素−13、または組み合わせであってもよい。この部分は、例えば、治療剤であってもよい。この部分は例えば、検出可能な薬剤であってもよい。このコンジュゲートは、例えば、ウイルスであってもよい。このコンジュゲートは例えば、ファージを含んでもよい。このコンジュゲートはさらに、例えば、第二のペプチドを含んでもよく、ここでこの第二のペプチドは、例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、もしくはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つ、または1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、もしくはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つを含んでいるアミノ酸セグメントを含んでもよい。
【0029】
このコンジュゲートは被験体中の血管形成組織に対して向けられるか、またはそれに標的化されるか、またはそれにホーミングし、従ってこのコンジュゲートはこの部分が血管形成組織に対して指向される。腫瘍が処置されている場合、従って、その部分は腫瘍に関連する血管形成組織に指向され得る。このコンジュゲートは、例えば、癌を処置するために用いられ得る。このコンジュゲートは、癌に対する治療的な効果を有し得る。例えば、腫瘍のサイズが減ってもよいし、および/または腫瘍の増殖が軽減されても、停止されても、もしくは逆転されてもよい。この部分を用いて癌を検出しても、1つ以上の腫瘍を可視化しても、またはその両方でもよい。
【0030】
被験体は血管形成が生じている創傷を有してもよい。創傷は例えば、慢性であっても、または急性であってもよい。この創傷は、任意の段階の治癒において、炎症段階から、顆粒化へ、収縮へ、上皮形成へ、再構築期へであってもよく、これはコラーゲン形成および瘢痕組織の形成を包含する。創傷は、例えば、自動車、ボートまたは飛行機の事故、発砲、突刺またはナイフの事故、落下、産業事故または串刺し由来であってもよい。創傷はまた、例えば、手術の間に形成され得る。創傷は例えば、ポートの移植などの処置の結果でもあり得る。
【0031】
コンジュゲートを用いて、例えば、創傷の部位の少なくとも1つを処置してもよい。コンジュゲートは、創傷の少なくとも1つの部位に対する治療効果を有してもよい。この部分を用いて、例えば、創傷の部位の少なくとも1つを検出、可視化または画像化、またはその組み合わせを行ってもよい。
【0032】
このコンジュゲートはまた、例えば、糖尿病性失明、加齢性黄斑変性症、関節リウマチまたは乾癬を、例えば、処置するためにも用いられ得る。
【0033】
このコンジュゲートは、例えば、1つ以上のαvインテグリン、ニューロピリン−1、またはその両方を発現する細胞または組織に対して部分を向けるために用いられ得る。例えば、細胞または組織は、1つ以上のαvインテグリンを発現してもよく、または細胞または組織は、1つ以上のαvインテグリンおよびニューロフィリン−1を発現してもよい。インテグリンは、例えば、αvβ3インテグリン、αvβ5インテグリン、α5β1インテグリン、またはその組み合わせであってもよい。
【0034】
A.ホーミング分子
開示されるのは、血管形成の部位に選択的にホーミングするホーミング分子である。種々のホーミング分子を開示された組成物、コンジュゲートおよび方法で用いてもよい。このようなホーミング分子としては限定するものではないが、本明細書に開示されるようなペプチドが挙げられる。詳細には、ホーミング分子およびその使用に対する本明細書での言及およびその説明はまた詳細には、開示されるペプチドに言及し、それに適用することを意図する。開示される化合物、組成物、コンジュゲートおよび方法は、種々の形態の開示されるホーミング分子を包含または使用し得る。発現の都合のために、本明細書の多くの場所でペプチドの用途または包含が言及される。このような場合、種々の形態でのホーミング分子がまた、ペプチドに関して記載されるのと同じまたは同様の方式で用いられるかまたは包含され得ると考えられ、そしてこのような用途および包含は詳細には、本明細書で意図されかつ開示されることが理解される。
【0035】
本明細書において用いる場合、「分子」という用語を広義に用いて、ポリマーまたは非ポリマー有機化合物、例えば、低分子薬物;核酸分子、例えば、RNA、DNA、例えば、cDNAまたはオリゴヌクレオチド;ペプチド;またはタンパク質、例えば、増殖因子レセプターまたはその抗体もしくはフラグメント、例えば、Fv、FdもしくはFabフラグメントまたは抗原結合ドメインを含む別の抗体フラグメントを意味する。
【0036】
本明細書において用いる場合、「ホーミング分子」という用語は、正常な組織に優先して血管形成の部位、または腫瘍(詳細には、腫瘍の脈管構造)に対してインビボで選択的にホーミングする任意の分子を意味する。同様に、「ホーミングペプチド」という用語は、血管形成の部位に対してインビボで選択的にホーミングするペプチドを意味する。血管形成の部位に対してインビボで選択的にホーミングするホーミング分子は、このような部位に対する優先的なホーミングを示し得ることが理解される。
【0037】
「選択的にホーミングする」とは、インビボで、このホーミング分子が非標的に比べた場合、標的に対して優先的に結合することを意味する。このようなホーミング分子は、例えば、血管形成の部位に対して選択的にホーミングし得る。例えば、血管形成部位に対して選択的にホーミングすることは、一般には血管形成を受けていない組織のいくつかの組織型に比較して、血管形成内の少なくとも2倍大きい局在化によって特徴付けられる。ホーミング分子は、いくつかのもしくは多くの非再生組織の組織型に比較した場合、またはほとんどもしくは全ての非再生組織に比較した場合、再生性の組織に対する、5倍、10倍、20倍またはそれ以上の優先的な局在化によって特徴付けられ得る。従って、いくつかの場合には、ホーミング分子は、一部は、再生性の組織、創傷組織または腫瘍にホーミングすることに加えて、1つ以上の正常な器官にホーミングすることが理解される。選択的なホーミングはまた、標的化とも呼ばれ得る。
【0038】
「血管形成」という用語は、既存の血管からの新規な血管の増殖に関与する生理学的なプロセスとして規定される。血管形成は、自然な血管形成に用いられる用語であり、腸重責症とは、既存のものを分裂することによる新規な血管形成についての用語である。血管形成は成長および発達における、そして創傷治癒における正常なプロセスである。腫瘍の移行においては、休止状態から悪性の状態へと基礎的な段階がある。血管形成とは、血管形成の前の同じ組織に、または標準的もしくはコントロールに比べた場合、所定の領域で新規な血管の増殖に10%以上の増大があるとき、生じているといわれる。
【0039】
いくつかの実施形態では、ホーミング分子とは、創傷組織または腫瘍などの血管形成を受けている組織に選択的にホーミングし、かつ抗体でもその抗原結合フラグメントでもない分子であり得る。「抗体」という用語は、1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含んでいるペプチドまたはポリペプチドを指す、当該分野で認識される用語である。例えば、Borrabaeck,Antibody Engineering 第2版,Oxford University Press,New York(1995)を参照のこと。
【0040】
ホーミングには、優先的なホーミングおよび/または選択的なホーミングを含むが、これは、ホーミング分子がいかなる正常なおよび/または非標的領域にも結合しないことを意味しない(例えば、非腫瘍、非凝固および/または非創傷)。いくつかの実施形態では、ホーミング選択性は、他の非標的成分よりも相対的なKに関して、対応する標的について例えば、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約150倍、少なくとも約200倍選択性であり得る。いくつかの実施形態では、ホーミング分子は対応する標的に対して、少なくとも約50倍選択性、少なくとも約100倍選択性、少なくとも約200倍選択性、少なくとも約300倍選択性、少なくとも約400倍選択性、少なくとも約500倍選択性、少なくとも約600倍選択性、少なくとも約700倍選択性、少なくとも約800倍選択性、少なくとも約1000倍選択性、または少なくとも約1500倍の選択性を有し得る。例えば、いくつかの好ましい実施形態では、このホーミング分子は、約200nM未満、約150nM未満、約100nM未満、または約75nM未満という標的に対するK値を有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、このホーミング分子は、約50nMを超える、約25nMを超える、約20nMを超える、約15nMを超える、約10nMを超える、約5nMを超える、約3nMを超える、または約1nMを超えるという標的に対するK値を有し得る。いくつかの好ましい実施形態では、この標的部分は、その標的に約10−8M未満、約10−9M未満、約10−10M未満、約10−11M未満、約10−12M未満、約10−13M、または約10−14M未満というKで結合する。
【0041】
結合とは、ホーミング分子のその標的に対する認識および/または結合の状況において、例えば、ホーミング分子がその標的に対して、共有結合および/または非共有結合によって、結合、付着そうでなければカップリングし得る場合、共有結合および非共有結合の両方を指してもよい。結合は、高い親和性または低い親和性のいずれであってもよく、好ましくは高い親和性であり得る。有用であり得る結合力の例としては限定するものではないが、共有結合、双極子相互作用、静電気力、水素結合、疎水性相互作用、イオン結合および/またはファンデルワールス力が挙げられる。
【0042】
1.ペプチドおよびペプチド模倣物
開示されるのは、単離されたペプチドであって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、またはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つ、または関連のアミノ酸配列を含んでいるアミノ酸セグメントを含んでいる単離されたペプチドに関連する方法および組成物である。この単離されたペプチドは例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、もしくはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つ、または1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、もしくはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つを例えば含んでいるアミノ酸セグメントを含んでもよい。
【0043】
アミノ酸セグメントは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、またはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つに対して少なくとも約90%、80%、70%または60%同一性のアミノ酸配列、または1つ以上のアミノ酸の付加または欠失を含む変化に相当するその間の任意の割合を含んでもよい。このアミノ酸セグメントは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、またはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つを含んでもよい。このアミノ酸セグメントは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、またはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つであって、1、2、3、4、5、6、7、8または9つの保存的アミノ酸置換を有するアミノ酸配列を含んでもよい。このアミノ酸セグメントは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、またはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つのキメラを含んでもよい。このようなキメラは、付加物であってもよく、1つの配列の配列が別の実質的な配列に追加されているか、1つの配列の配列が別の配列の配列で置換されているか、またはその組み合わせである場合、追加的であり得る。開示されるペプチドは、このアミノ酸セグメントから構成され得る。
【0044】
このアミノ酸セグメントは、例えば、非円形、直線、円形または環状であってもよい。アミノ酸セグメントは、任意の適切な結合、例えば、ジスルフィド結合を介して円形または環状にされてもよい。このペプチドは、任意の適切な長さ、例えば、100残基未満の長さを有してもよい。このペプチドは、例えば、50残基未満の長さを有してもよい。このペプチドは、例えば、20残基未満の長さを有してもよい。
【0045】
開示されるペプチドは、創傷組織、または腫瘍などの血管形成を受けている組織に対して選択的にホーミングし得る。この開示されたペプチドはこのような組織または腫瘍と選択的に相互作用し得る。
【0046】
また開示されるのは、単離されたペプチドであって、100残基未満の長さを有しており、かつ配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、またはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つ、またはそれらのペプチド模倣物を含む単離されたペプチドである。このような単離されたペプチドは、例えば、50残基未満の長さまたは20残基未満の長さを有してもよい。特定の実施形態では、開示されるのは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、またはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つを含み、かつ20、50または100残基未満の長さを有する、ペプチドであり得る。
【0047】
開示されるペプチドは、単離形態であってもよい。開示されるペプチドに関して本明細書において用いる場合、「単離された」という用語は、細胞中のペプチドと正常には会合されるか、またはライブラリー中もしくは粗調製物中でペプチドと会合している、混入しているポリペプチド、脂質、核酸および他の細胞物質などの物質を比較的含まない形態であるペプチドを意味する。
【0048】
開示されるペプチドは、任意の適切な長さを有してもよい。開示されるペプチドは、例えば、6、7、8、9、10、12、15、20、25、30、35または40残基という比較的短い長さを有してもよい。開示されるペプチドはまた、有意に長い配列の状況で有用であり得る。従って、ペプチドは、例えば、最大、50、100、150、200、250、300、400、500、1000または2000残基という長さを有し得る。特定の実施形態では、ペプチドは、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100または200残基という長さを有し得る。さらなる実施形態では、ペプチドは、5〜200残基、5〜100残基、5〜90残基、5〜80残基、5〜70残基、5〜60残基、5〜50残基、5〜40残基、5〜30残基、5〜20残基、5〜15残基、5〜10残基、10〜200残基、10〜100残基、10〜90残基、10〜80残基、10〜70残基、10〜60残基、10〜50残基、10〜40残基、10〜30残基、10〜20残基、20〜200残基、20〜100残基、20〜90残基、20〜80残基、20〜70残基、20〜60残基、20〜50残基、20〜40残基または20〜30残基という長さを有し得る。本明細書において用いる場合、「残基」という用語は、アミノ酸またはアミノ酸アナログを指す。
【0049】
i.ペプチド改変体
特定のアミノ酸配列を参照して本明細書において用いる場合、「保存的改変体」とは、第一のアミノ酸が、その第一のアミノ酸の生化学的特性と類似の少なくとも1つの生化学的特性を有している別のアミノ酸またはアミノ酸アナログによって置き換えられている配列である;同様の特性としては、例えば、類似のサイズ、荷電、疎水性または水素結合能力が挙げられる。
【0050】
例として、保存的改変体は、第一の非荷電の極性のアミノ酸が第二の(非同一)非荷電の極性のアミノ酸、例えば、システイン、セリン、トレオニン、チロシン、グリシン、グルタミンまたはアスパラギンまたはそれらのアナログで保存的に置換されている配列であり得る。保存的な改変体とはまた、第一の塩基性のアミノ酸が第二の塩基性のアミノ酸、例えば、アルギニン、リジン、ヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、N−メチルリジンまたはそれらのアナログで保存的に置換されている配列であってもよい。同様に、保存的な改変体とは、第一の疎水性アミノ酸が、第二の疎水性アミノ酸、例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、メチオニン、フェニルアラニンまたはトリプトファンまたはそれらのアナログで保存的に置換されている、配列であってもよい。同じ方法で、保存的改変体は、第一の酸性アミノ酸が第二の酸性アミノ酸、例えば、アスパラギン酸またはグルタミン酸またはそれらのアナログで保存的に置換されている配列;芳香族アミノ酸、例えば、フェニルアラニンが第二の芳香族アミノ酸またはアミノ酸アナログ、たとえば、チロシンで保存的に置換されている配列;または第一の比較的小さいアミノ酸、例えば、アラニンが第二の比較的小さいアミノ酸またはアミノ酸アナログ、たとえば、グリシンもしくはバリン、またはそれらのアナログで置換されている配列であってもよい。例えば、1つのアミノ酸残基を生物学的および/または化学的に類似の別のアミノ酸残基で置換することは、当業者には保存的置換として公知である。例えば、保存的置換とは、1つの疎水性残基を別の残基、または1つの極性残基を別の残基で置き換えることである。この置換としては、例えば、Gly、Ala;Val、Ile、Leu;Asp、Glu;Asn、Gln;Ser、Thr;Lys、Arg;およびPhe、Tyrなどの組み合わせが挙げられる。各々の明確に開示された配列のこのような保存的に置換された改変体は、本明細書に提供されるモザイクポリペプチド内に含まれる。
【0051】
本明細書は種々のタンパク質およびタンパク質配列を考察しているので、それらのタンパク質配列をコードし得る核酸も開示されることが理解される。これは、特定のタンパク質配列に関連する全ての変性配列、すなわち、1つの特定のタンパク質配列をコードする配列を有している全ての核酸、ならびにタンパク質配列の開示される改変体および誘導体をコードする変性核酸を含んでいる全ての核酸を包含する。従って、各々の特定の核酸配列は本明細書で記載されていないかもしれないが、各々のかつあらゆる配列が現実には開示され、開示されるタンパク質配列を通じて本明細書で記載されていることが理解される。
【0052】
開示される組成物に組み込まれ得る多くのアミノ酸およびペプチドアナログがあることが理解される。例えば、多数のDアミノ酸または上記で考察されるアミノ酸とは異なる機能的な置換を有するアミノ酸が存在する。天然に存在するペプチドの反対の立体異性体が開示され、同様にペプチドアナログの立体異性体が開示される。これらのアミノ酸は、部位特異的な方式でペプチド鎖中にアナログアミノ酸を挿入するために、選択したアミノ酸をともなうtRNA分子を充填することによって、および例えばアンバーコドンを利用する遺伝子構築物を作成することによって、ポリペプチド鎖中に容易に組み込むことができる(Thorsonら、Methods in Molec.Biol.77:43−73(1991)、Zoller,Current Opinion in Biotechnology,3:348〜354(1992);Ibba,Biotechnology & Genetic Engineering Reviews 13:197〜216(1995)、Cahillら、TIBS,14(10):400〜403(1989);Benner,TIB Tech,12:158〜163(1994);IbbaおよびHennecke,Bio/technology,12:678〜682(1994)これら全てがアミノ酸アナログに関連する物質について少なくとも参照によって本明細書に援用される)。
【0053】
また開示されるのは、異種タンパク質に融合された開示されたペプチドを含んでいるキメラタンパク質である。一実施形態では、異種タンパク質は、サイトカイン活性、細胞傷害性活性、またはアポトーシス促進活性などの治療活性を有し得る。さらなる実施形態では、この異種タンパク質は、抗体またはその抗原結合フラグメントであってもよい。他の実施形態では、このキメラタンパク質は、異種タンパク質に融合された、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、またはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つ、またはそれらの保存的改変体またはペプチド模倣物を含んでいるペプチドを包含する。「異種」という用語は本明細書において用いる場合、開示されるペプチドに融合されたタンパク質に対する言及では、このペプチドをコードする遺伝子以外の供給源由来のタンパク質、またはペプチド模倣物が由来するタンパク質を意味する。開示されるキメラタンパク質は、種々の長さを有してもよく、この長さとしては限定するものではないが、100残基未満、200残基未満、300残基未満、400残基未満、500残基未満、800残基未満、または1000残基未満の長さを含む種々の長さを有し得る。
【0054】
本明細書において用いる場合、「キメラ」および「キメラの」とは、2つ以上の供給源由来の配列の任意の組み合わせをいう。これには、例えば、サブユニットの単一の部分(例えば、ヌクレオチド、アミノ酸)から最大では他の配列に追加、挿入および/または置換される全体のソース配列(source sequence)までが挙げられる。キメラは例えば、追加的であってもよく、ここではある配列の1つ以上の部分が1つ以上の他の配列の1つ以上の部分に追加され;置換であってもよく、ここではある配列の1つ以上の部分が1つ以上の他の配列の1つ以上の部分で置換されるか;またはそれらの組み合わせである。「保存的置換のキメラ」を用いて、置換キメラを指してもよく、ここではキメラのソース配列は、いくつかの構造的および/または機能的な関係を有し、同様のまたは類似の構造および/または機能を有している配列の一部がお互いに置換されている。代表的なキメラ抗体およびヒト化抗体は保存的な置換キメラの例である。
【0055】
また開示されるのは、二機能性のペプチドであって、別の機能を有している第二のペプチドに融合されたホーミングペプチドを含むペプチドである。このような二機能性のペプチドは、全長分子の異なる部分によって付与される少なくとも2つの機能を有し、かつ例えば、選択性のホーミング活性に加えて、抗血管形成活性またはアポトーシス促進活性を呈し得る。
【0056】
また開示されるのは、ホーミング分子を各々が独立して含んでいる少なくとも2つのサブ配列を含む単離された多価ペプチドである(例えば、アミノ酸配列配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、またはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つ、またはそれらの保存的改変体またはペプチド模倣物)。この多価ペプチドは、例えば、ホーミング分子を各々が独立して含んでいるこのようなサブ配列のうち、少なくとも3つ、少なくとも5つ、または少なくとも10個を有し得る(例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、またはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つ、またはそれらの保存的改変体またはペプチド模倣物)。特定の実施形態では、この多価ペプチドは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15または20個の同一または同一でないサブ配列を有してもよい。さらなる実施形態では、この多価のペプチドは、ホーミング分子からなる同一のサブ配列を含んでもよい(例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、またはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つ、またはそれらの保存的改変体またはペプチド模倣物)。さらなる実施形態では、この多価ペプチドは、連続的な同一のまたは同一でないサブ配列を含み、これはいかなる介在するアミノ酸によっても隔てられていない。さらなる実施形態では、この多価ペプチドは、環状であっても、そうでなければ立体配置的に強制されてもよい。一例では、このペプチドは、ジスルフィド結合を介して円形にされても、環状にされてもよい。
【0057】
必要に応じて、単離されたペプチド、またはホーミング分子は、本明細書においていずれかにさらに考察されるとおり、環状であっても、そうでなければ立体配置的に強制されてもよい。本明細書において用いる場合、「立体配置的に強制された」分子、例えば、ペプチドとは、三次元構造が経時的にある空間配置で実質的に維持されている分子である。立体配置的に強制された分子は、改善された特性、例えば、親和性の増大、代謝安定性、膜透過性または溶解度を有し得る。立体配置的な強制の方法は、当該分野で周知であり、本明細書においていずれかにさらに考察されるような環化を包含する。
【0058】
ペプチドに対して本明細書において用いる場合、「環状の」という用語は、2つの隣接しないアミノ酸またはアミノ酸アナログの間の分子内結合を含んでいる構造を意味する。この環化は、共有結合または非共有結合を通じて達成され得る。分子内結合としては限定するものではないが、骨格対骨格、側鎖対骨格および側鎖対側鎖の結合が挙げられる。環化の好ましい方法は、非隣接アミノ酸またはアミノ酸アナログの側鎖の間のジスルフィド結合の形成を通じる。ジスルフィド結合を形成できる残基としては、例えば、システイン(Cys)、ペニシラミン(Pen)、β,β−ペンタメチレンシステイン(Pmc)、β,β−ペンタメチレン−β−メルカプトプロピオン酸(Pmp)およびそれらの機能的な均等物が挙げられる。
【0059】
ペプチドはまた、アミノ酸またはそのアナログの側鎖基を利用して、アミノ末端残基のN末端アミンに対して共有結合を形成し得る、例えば、ラクタム結合を介して環化し得る。ラクタム結合を形成できる残基としては、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、リジン(Lys)、オルニチン(orn)、α,β−ジアミノ−プロピオン酸、γ−アミノ−アジピン酸(Adp)およびM−(アミノメチル)安息香酸(Mamb)が挙げられる。環化はさらに、例えば、リジン(Lys)残基とロイシン(Leu)残基との間のリシノノルロイシン結合、または2つのチロシン(Tyr)残基の間のジチロシン結合の形成を通じて達成され得る。当業者は、これらおよび他の結合が環状ペプチドに含まれ得ることを理解する。
【0060】
B.コンジュゲート
開示されるのは、本明細書において開示されるようなペプチドなどの部分およびホーミング分子を含んでいるコンジュゲートである。例えば、開示されるのは、血管形成を受けている組織に対して選択的にホーミングするホーミング分子に連結された治療剤を含んでいるコンジュゲートである。開示されるコンジュゲートは、例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、またはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つを含んでいるアミノ酸セグメントを含んでいるペプチドに連結された部分を含んでもよい。
【0061】
本明細書に開示されるホーミング分子の任意の形態または型を、開示されるコンジュゲートにおいて用いてもよい。この部分は任意の分子であってもよい。好ましくは、この部分は、ホーミング分子の標的に有用に標的化される分子である。例えば、治療効果を有する部分などの標的に影響するか、または蛍光分子もしくは放射性核種などの、標的の検出、可視化または画像化を促進する部分。血管形成を受けている組織にホーミングする開示されたペプチドは、例えば、創傷治癒を促進、炎症もしくは疼痛を処置、または癌を処置し得る部分と例えば、有用に組み合され得る。種々の治療剤が、コンジュゲート中で有用であり、これには限定するものではないが、抗血管形成剤、血管形成促進剤、癌化学療法剤、細胞毒性剤、抗炎症剤、抗関節炎剤、ポリペプチド、核酸分子、低分子、発蛍光団、フルオレセイン、ローダミン、放射性核種、インジウム−111、テクネチウム−99、炭素−11、炭素−13である部分、または組み合わせが挙げられる。
【0062】
多重ホーミング分子を含んでいるコンジュゲートは、例えば、2つ以上、3つ以上、5つ以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上、50個以上、100個以上、200個以上、300個以上、400個以上、500個以上、または1000個以上のホーミング分子を含んでもよい。一実施形態では、このコンジュゲートは、全てが同一のアミノ酸配列を有するホーミング分子を含む。別の実施形態では、このコンジュゲートは、2つ以上の非同一のアミノ酸配列を有しているホーミング分子を含む。例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、またはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つを別々に用いてもまたは一緒に用いてもよい。多重ホーミング分子を組み込んでいるコンジュゲート中で有用な部分としては、限定するものではないが、ファージ、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスおよび他のウイルス、細胞、リポソーム、ポリマーマトリックス、非ポリマーマトリックス、粒子、例えば、金粒子、マイクロデバイス、ナノデバイス、およびナノスケールの半導体物質が挙げられる。
【0063】
コンジュゲートは、例えば、少なくとも2つのホーミング分子に連結されたリポソームまたは他のポリマー性マトリックスを含んでもよい。必要に応じて、このリポソームまたは他のポリマーマトリックスは、少なくとも10個、少なくとも100個、または少なくとも1000個のホーミング分子に連結され得る。リポソームはこのようなコンジュゲートで有用であり得;リン脂質または他の脂質からなるリポソームは非毒性であり、作製および投与が比較的簡単である生理学的に受容可能であり、かつ代謝可能なキャリアである(Gregoriadis,Liposome Technology,Vol.1(CRC Press,Boca Raton,Fla.(1984))。このリポソームまたは他のポリマーマトリックスは必要に応じて、別の成分、例えば、限定するものではないが、治療剤、癌化学療法剤、細胞傷害性剤、抗血管形成剤、ポリペプチドまたは核酸分子を含んでもよい。
【0064】
開示されるコンジュゲートの成分は、任意の適切な方式で組み合されても、結合されても、および/またはカップリングされてもよい。例えば、部分およびホーミング分子は、共有結合的にまたは非共有結合的に、直接または間接的に、リンカー部分と会合されてもされなくてもよい。
【0065】
C.部分
開示されるのは、標的に対して部分を向ける組成物および方法である。本明細書において用いる場合、「部分」という用語は広義に用いて、結合する分子に対して生物学的に有用な機能を一般的に付与する物理的、化学的または生物学的な物質を意味する。ある部分は限定するものではないが、生物学的物質、例えば、細胞、ファージまたは他のウイルス;有機化合物、例えば、低分子;放射性核種;核酸分子またはオリゴヌクレオチド;ポリペプチドまたはペプチドを含めて任意の天然または非天然の物質であってもよい。有用な部分としては、限定するものではないが、抗血管形成剤、血管形成促進剤、癌化学療法剤、細胞毒性剤、抗炎症剤、抗関節炎剤、ポリペプチド、核酸分子、低分子、発蛍光団、フルオレセイン、ローダミン、放射性核種、インジウム−111、テクネチウム−99、炭素−11、炭素−13、または組み合わせが挙げられる。有用な部分としてはさらに、限定するものではないが、ファージおよび他のウイルス、細胞、リポソーム、ポリマーマトリックス、非ポリマーマトリックスまたは粒子、例えば、金粒子、マイクロデバイスおよびナノ粒子、ならびにナノスケールの半導体物質が挙げられる。当該分野で公知のこれらおよび他の部分は、コンジュゲートの成分であり得る。
【0066】
1.治療剤
コンジュゲート中に組み込まれた部分は、治療剤であってもよい。本明細書において用いる場合、「治療剤」という用語は、正常または生理学的な組織において1つ以上の生物学的な活性を有する分子を意味する。種々の治療剤がコンジュゲートに含まれてもよい。
【0067】
本明細書に開示されるコンジュゲートを用いて、創傷または組織損傷をホーミングしてもよい。この目的のために有用な部分は、いくつかの基本的なグループに属する分子を含んでもよく、これには、炎症を予防する抗炎症剤、組織増殖を妨げる再狭窄予防薬物、血栓の形成または血栓溶解を阻害または制御する抗血栓形成薬物、および組織増殖を調節し、組織の治癒を増強する生物活性剤が挙げられる。
【0068】
このコンジュゲートはまた、癌化学療法剤を含んでもよい。本明細書において用いる場合、「癌化学療法剤」は癌細胞の増殖、成長、寿命または転移活性を阻害する化学剤である。このような癌化学療法剤は、限定するものではないが、タキサン、例えば、ドセタキセル;アントラサイクリン、例えば、ドキソルビシン;アルキル化剤;ビンカアルカロイド;代謝拮抗剤;白金剤、例えば、シスプラチンまたはカルボプラチン;ステロイド、例えば、メトトレキセート;抗生物質、例えば、アドリアマイシン;イソファミド;または選択的なエストロゲンレセプターモジュレーター;抗体、例えば、トラスツズマブであってもよい。
【0069】
コンジュゲートで有用な治療剤は、ヒト化モノクローナル抗体などの抗体であってもよい。例えば、抗上皮増殖因子受容体2(HER2)抗体、トラスツズマブ(Herceptin;Genentech,South San Francisco,Calif.)は、HER2/neu過剰発現乳癌を処置するためにコンジュゲート中で有用な治療剤である(Whiteら、Annu.Rev.Med.52:125−141(2001))。
【0070】
有用な治療剤はまた、細胞毒性剤であってもよく、これは本明細書において用いる場合、細胞死を直接または間接的に促進する任意の分子であってもよい。有用な細胞毒性剤としては、限定するものではないが、低分子、ポリペプチド、ペプチド、ペプチド模倣物、核酸−分子、細胞およびウイルスが挙げられる。非限定的な例として、有用な細胞毒性剤としては、細胞傷害性低分子、例えば、ドキソルビシン、ドセタキセルまたはトラスツズマブ;抗菌ペプチド、例えば、以下にさらに記載されるペプチド;アポトーシス促進性ポリペプチド、例えば、カスパーゼおよびトキシン、例えば、カスパーゼ−8;ジフテリア毒素A鎖、Pseudomonas外毒素A、コレラ毒素、リガンド融合毒素、例えば、DAB389EGF、トウゴマ(ricinus communis)毒素(リシン);および細胞傷害性細胞、例えば、細胞毒性T細胞が挙げられる。例えば、Martinら、Cancer Res.60:3218〜3224(2000);KreitmanおよびPastan,Blood 90:252〜259(1997);Allamら、Cancer Res.57:2615〜2618(1997);ならびにOsborneおよびCoronado−Heinsohn,Cancer J.Sci.Am.2:175(1996)を参照のこと。当業者は、本明細書に記載されるかまたは当該分野で公知であるこれらおよび追加の細胞毒性剤が、開示されるコンジュゲートおよび方法で有用であり得ることを理解する。
【0071】
一実施形態では、治療剤は、治療用ポリペプチドであってもよい。本明細書において用いる場合、治療用ポリペプチドは、生物学的に有用な機能を有する任意のポリペプチドであってもよい。有用な治療ポリペプチドとしては、限定するものではないが、サイトカイン、抗体、細胞毒性ポリペプチド;アポトーシス促進性ポリペプチド;および抗血管形成ポリペプチドを包含する。コンジュゲートのなかで有用な治療剤はまた、抗血管形成剤であってもよい。本明細書において用いる場合、「抗血管形成剤」という用語は、血管の成長および発達である、血管形成を軽減または予防する分子を意味する。このコンジュゲートを血管形成に関連する任意の疾患、状態または障害を処置または診断するために用いてもよい。例えば、黄斑変性症および糖尿病性血管合併症が診断および/または処置され得る。種々の抗血管形成剤が、ごく普通の方法によって調製できる。このような抗血管形成剤としては、限定するものではないが、低分子;タンパク質、例えば、血管新生因子、転写因子および抗体のドミナントナガティブ型;ペプチド;ならびに核酸分子、例としては、リボザイム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、および核酸分子であって、例えば、血管新生因子およびレセプター、転写因子のドミナントネガティブ型をコードする核酸分子、ならびに抗体およびその抗原結合フラグメントが挙げられる。例えば、HagedornおよびBikfalvi,Crit.Rev.Oncol.Hematol.34:89〜110(2000)、ならびにKirschら、J.Neurooncol.50:149〜163(2000)を参照のこと。
【0072】
2.検出可能因子
開示されるコンジュゲート中の部分はまた検出可能因子であってもよい。種々の検出可能因子が開示される方法で有用である。本明細書において用いる場合、「検出可能剤」という用語は、検出できる任意の分子をいう。有用な検出可能因子としては、インビボで投与可能で、かつ引き続き検出可能な部分が挙げられる。開示されるコンジュゲートおよび画像化方法で有用な検出可能因子としては、限定するものではないが、放射性標識および蛍光分子が挙げられる。検出可能因子は例えば、好ましくは、非侵襲性および/またはインビボの可視化技術によって、直接または間接的に検出を容易にする任意の部分であってもよい。
【0073】
好ましい実施形態では、検出可能因子は、標的に対してホーミング分子がホーミングする能力を妨げないような方法でホーミング分子にカップリングされ得る。いくつかの実施形態では、検出可能因子は、ホーミング分子に対して化学的に結合され得る。いくつかの実施形態では、この検出可能因子は、ホーミング分子に対してそれ自体化学的に結合される部分に対して化学的に結合されてもよく、このホーミング分子が画像化部分および標的化部分を間接的に連結する。
【0074】
D.薬学的組成物およびキャリア
開示されるコンジュゲートは、薬学的に受容可能なキャリア中で、インビボで投与されてもよい。「薬学的に受容可能な」とは、生物学的にもそれ以外でも望ましい物質を意味し、すなわち、この物質は、なんら望ましくない生物学的効果を生じることなく、その物質が含まれている薬学的組成物の他のなんらかの成分と有害な方式で相互作用することもなく、核酸またはベクターと一緒に被験体に投与され得る。このキャリアは当然のこととして、当業者に周知であるとおり、活性成分の任意の分解を最小化するように、および被験体における任意の有害な副作用を最小化するように選択される。この物質は、溶液、懸濁液中であってもよい(例えば、マイクロ粒子、リポソーム、または細胞中に組み込まれる)。
【0075】
方法
本明細書に開示されるのは、開示されるペプチドなどの、開示されるホーミング分子を用いる方法である。例えば、開示されるのは、血管形成を受けている組織に対してある部分を差し向ける方法であって、この方法は、本明細書に開示されるコンジュゲートを被験体に投与する工程を包含する。上記で考察されるとおり、この組織は、腫瘍の部位であっても、創傷、例えば、損傷もしくは外科手術によって生じる創傷であってもよい。
【0076】
本明細書に開示されるコンジュゲートは、腫瘍が血管形成に関連しているので腫瘍を有する被験体で有用であり得る。開示されるのはある部分を腫瘍に仕向ける方法であって、この方法は、本明細書に開示される任意のコンジュゲートを被験体に投与する工程を包含する。例えば、コンジュゲートは治療効果を有してもよい。この被験体は、標的化されるべき1つ以上の部位を有してもよく、ここでこの部分は、標的化されるべき1つ以上の部位に向けられる。例えば、被験体は、本明細書に開示される部分で処置され得る複数の創傷または病変を有し得る。この被験体はまた癌を有してもよく、この部分は、被験体における腫瘍血管形成に向けられてもよい。この場合、このコンジュゲートは、癌に対する治療効果を有し得る。例えば、腫瘍のサイズが低減されてもよいし、または腫瘍の増殖が低減、停止または逆転されてもよい。この部分はまた、癌を検出するか、1つ以上の腫瘍を可視化するか、またはその両方に用いられ得る。
【0077】
開示される組成物は、癌などの未制御の細胞増殖が生じる任意の疾患を処置するために用いられ得る。種々のタイプの癌の非限定的なリストは以下のとおりであり得る:リンパ腫(ホジキンおよび非ホジキン)、白血病、癌腫、固形組織の癌、扁平上皮癌、腺癌、肉腫、神経膠腫、高度神経膠腫、芽細胞腫、芽腫、神経芽細胞腫、プラズマ細胞腫、組織球腫、黒色腫、腺腫、低酸素腫瘍、骨髄腫、AIDS関連リンパ腫または肉腫、転移性癌または一般的な癌。
【0078】
処置に対して開示された組成物を用いることができる癌の代表的だが非限定的な列挙は以下のとおりである:リンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、菌状息肉腫、ホジキン病、骨髄性白血病、膀胱癌、脳腫瘍、神経系の癌、頭頸部癌、頭頸部の扁平上皮癌、腎臓癌、肺癌、例えば、小細胞肺癌および非小細胞肺癌、神経芽腫/膠芽腫、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、皮膚癌、肝臓癌、黒色腫、口、のど、喉頭および肺の扁平上皮癌、直腸癌、子宮頸癌(cervical cancer)、子宮頚癌(cervical carcinoma)、乳癌、および上皮癌、腎臓癌、泌尿生殖器癌、肺癌、食道癌、頭頸部癌、大腸癌、造血系の癌;精巣癌;結腸および直腸の癌、前立腺癌、または膵臓癌。
【0079】
開示される組成物および方法についての標的として特に有用である癌および腫瘍は、1つ以上のαvインテグリン、ニューロピリン−1またはその両方を発現する癌および腫瘍である。例えば、この癌および腫瘍は、1つ以上のαvインテグリンを発現し得るか、またはこの癌および腫瘍は、1つ以上のαvインテグリンおよびニューロピリン−1を発現し得る。ニューロピリン−1を正常より高度に発現する癌および腫瘍は、特に有用な標的である。これらの目的のためには、腫瘍におけるまたは腫瘍に近いある程度の細胞が1つ以上のαvインテグリンを発現し、腫瘍におけるある程度の細胞がニューロピリン−1を発現することも十分である。本明細書において用いる場合、遺伝子またはタンパク質の正常な発現レベルは、正常な組織または細胞における発現のレベルである。任意の適切な比較組織または細胞を用いてもよい。例えば、癌細胞および腫瘍の場合、非癌組織または非腫瘍性組織のレベルを用いて、発現の正常なレベルを達成してもよい。同じタイプの正常な細胞または組織を癌または腫瘍の供給源として用いることが有用な場合がある。
【0080】
開示されるのは、ある部分を腫瘍に向ける方法であって、この方法は、被験体中の腫瘍が1つ以上のαvインテグリン、ニューロピリン−1、またはその両方を発現するか否かを決定する工程と、およびこの腫瘍が1つ以上のαvインテグリン、ニューロピリン−1、またはその両方を発現する場合、この被験体に対して本明細書に開示される任意のコンジュゲートを投与する工程を包含する。例えば、この腫瘍は、1つ以上のαvインテグリンを発現してもよいし、またはこの腫瘍は、1つ以上のαvインテグリンおよびニューロピリン−1を発現してもよい。また開示されるのは、ある部分を腫瘍に向ける方法であって、この方法は、被験体中の腫瘍がニューロピリン−1を正常より高いレベルで発現するか否かを決定する工程と、およびこの腫瘍がニューロピリン−1を正常より高いレベルで発現する場合、この被験体に対して本明細書に開示される任意のコンジュゲートを投与する工程を包含する。
【0081】
また開示されるのは、ある部分を腫瘍に向ける方法であって、この方法は、この被験体に対してコンジュゲートを投与する工程を包含し、ここでこのコンジュゲートは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、もしくはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つ、または1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、もしくはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つを含んでいるアミノ酸セグメントを含んでいる、単離されたペプチドに連結された部分を含む。この方法はさらに、被験体中の腫瘍が1つ以上のαvインテグリン、ニューロピリン−1、またはその両方を発現するか否か、およびこの腫瘍が1つ以上のαvインテグリン、ニューロピリン−1、またはその両方を発現するか否かを決定する工程と、この被験体に対してコンジュゲートを投与する工程を包含し得る。例えば、この腫瘍は、1つ以上のαvインテグリンを発現してもよいし、またはこの腫瘍は、1つ以上のαvインテグリンおよびニューロピリン−1を発現してもよい。この方法はさらに、被験体中の腫瘍がニューロピリン−1を正常より高いレベルで発現するか否かを決定する工程と、およびこの腫瘍がニューロピリン−1を正常より高いレベルで発現する場合、この被験体に対してこのコンジュゲートを投与する工程を包含する。腫瘍における細胞は、ニューロピリン−1を発現してもよい。腫瘍における細胞はαvインテグリンおよびニューロピリン−1を発現してもよい。腫瘍における細胞は、ニューロピリン−1を正常より高いレベルで発現してもよい。このインテグリンは、例えば、αvβ3インテグリン、αvβ5インテグリン、α5β1インテグリンまたは組み合わせであってもよい。
【0082】
開示されるのは、治療効果が炎症の軽減を含んでいる方法である。「炎症における軽減」とは、炎症が処置されなかった場合に比較した炎症の軽減を意味する。炎症の軽減は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは100%の増大、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100倍以上であってもよい。創傷治癒の速度において、未処置の創傷に比較した場合増大があり得る。創傷治癒の速度の増大は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、もしくは100%の増大、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、もしくは100倍以上であってもよい。損傷または創傷の未処置の部位に比較して、瘢痕組織の量の減少も存在してもよい。瘢痕組織の量の減少は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100%であってもよい。疼痛の量の減少が必要な被験体が受ける疼痛の量の減少も、疼痛の処置を受けない場合の疼痛の量に比較して存在し得る。疼痛におけるこの軽減は、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100%の減少であり得る。腫脹における減少も存在し得る。腫脹におけるこの減少は、未処置の膨張に比較され得、腫脹における約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100%の減少であり得る。未処置の組織に比較して、組織の壊死の軽減も存在してもよい。壊死の軽減は約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100%であってもよい。
【0083】
本明細書において開示されるコンジュゲートはまた、関節炎および他の炎症性疾患を有する被験体で有用であり得る。なぜならこのような病変は血管形成に関連する場合が多いからである。このコンジュゲートは、血管形成に関連する任意の疾患、状態または障害を処置または診断するために用いられ得る。例えば、黄斑変性症および糖尿病性血管合併症が診断および/または処置され得る。
【0084】
本明細書に開示される組成物および開示される方法を行うために必要な組成物は、他に特段の注記が無い限り、その特定の試薬または化合物について当業者に公知の任意の方法を用いて作製することができる。
【0085】
開示されたタンパク質、例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、またはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つを作製する一方法は、タンパク質化学の技術によって2つ以上のペプチドまたはポリペプチドを一緒に連結することである。例えば,ペプチドまたはポリペプチドは、Fmoc(9−フルオレニルメチルオキシカルボニル)またはBoc(tert−ブチルオキシカルボニル)化学のいずれかを用いて市販の実験装置を用いて化学的に合成され得る。(Applied Biosystems,Inc.,Foster City,CA)。当業者は、開示されるタンパク質に相当するペプチドまたはポリペプチドが、例えば、標準的な化学反応によって合成され得ることを容易に理解できる。例えば、ペプチドまたはポリペプチドは、合成されてもよいし、その合成樹脂から切断されなくてもよいが、ペプチドまたはタンパク質の他のフラグメントが合成されて、樹脂から実質的に切断されてもよく、それによって他のフラグメント上で機能的にブロックされる末端基を露出する。ペプチド縮合反応によって、これらの2つのフラグメントがそれぞれ、それらのカルボキシ末端およびアミノ末端でペプチド結合を介して共有結合されて、抗体またはそれらのフラグメントを形成し得る(Grant G A(1992)Synthetic Peptides:A User Guide.W.H.Freeman and Co.,N.Y.(1992);Bodansky MおよびTrost B.,編集(1993)Principles of Peptide Synthesis.Springer−Verlag Inc.,NY(これは、ペプチド合成に関連する材料について少なくとも参照することによって本明細書に援用される)。あるいは、このペプチドまたはポリペプチドは本明細書に記載のようにインビボで独立して合成される。一旦単離されれば、これらの独立したペプチドまたはポリペプチドは連結されて、類似のペプチド縮合反応を介してペプチドまたはそのフラグメントを形成し得る。
【0086】
例えば、クローニングされるかまたは合成のペプチドセグメントの酵素的連結によって、比較的短いペプチドフラグメントを、連結して、より大きいペプチドフラグメント、ポリペプチドまたは全タンパク質ドメインを作製することが可能になる(Abrahmsen Lら、Biochemistry,30:4151(1991))。あるいは、合成ペプチドの天然の化学的連結を利用して、短いペプチドフラグメントから大きいペプチドまたはポリペプチドを合成的に構築してもよい。この方法は2工程の化学的反応からなる(Dawsonら、Synthesis of Proteins by Native Chemical Ligation.Science,266:776〜779(1994))。この第一の工程は、チオエステル−連結中間体を最初の共有結合産物として生じるための保護されていない合成ペプチド−チオエステルと、アミノ末端Cys残基を含んでいる別の保護されていないペプチドセグメントとの化学選択性反応である。反応条件における変化なしで、この中間体は、自然な、急速な分子内反応を受けて、連結部位での天然のペプチド結合を形成する(Baggiolini Mら、(1992)FEBS Lett.307:97〜101;Clark−Lewis Iら、J.Biol.Chem.,269:16075(1994);Clark−Lewis Iら、Biochemistry,30:3128(1991);Rajarathnam Kら、Biochemistry 33:6623−30(1994))。
【0087】
あるいは、保護されていないペプチドセグメントが化学的に連結され、ここでは化学的連結の結果としてのペプチドセグメントの間で形成された結合は天然でない(非ペプチド)結合である(Schnolzer,Mら、Science,256:221(1992))。この技術を用いて、タンパク質ドメインのアナログおよび全生物学的活性を有する比較的純粋な大量のタンパク質を合成した(deLisle Milton R Cら、Techniques in Protein Chemistry IV.Academic Press,New York,pp.257〜267(1992))。
【実施例】
【0088】
以下の実施例は、当業者に対して、本明細書において特許請求される化合物、組成物、物品、デバイスおよび/または方法がどのように行われ、評価されるかという詳細な開示および説明をもたらすために示しており、かつ純粋に例示を意図するものであって、この開示を限定するものではないものとする。数値(例えば、量、温度など)に関して正確性を保証する労力を払っているが、ある程度の誤差および偏差(逸脱)が考慮されるべきである。他に示すことが無い限り、部分は重量部分であり、温度は℃であるか、または外界温度であり、圧力は大気圧または大気圧付近である。
【0089】
(実施例1)
1.実施例1:損傷組織の脈管構造における分子変化
i.ファージディスプレイによるホーミングペプチドの特定
腫瘍における脈管構造にホーミングする候補ペプチドを特定するために、T7ファージ中のペプチドライブラリーをスクリーニングした。スクリーニングの間に観察されるライブラリーの富化の例を図1に示す。エキソビボスクリーニングは、T7ファージライブラリー(多様性約10)と、種々のヒト前立腺癌細胞の骨異種移植片から作製された細胞懸濁液とをインキュベートすることによって行い、細胞に結合されたファージを滴定のために回収してさらなる回について増幅した。エキソビボの回数を3回繰り返した後、インビボのファージディスプレイに移動した。エキソビボおよびインビボのファージ選択は、Hoffmanら、「In vivo and ex vivo selections using phae−displayed libraries,」ClarksonおよびLowman(編集)Phage Display:A Practical Approach Oxford,U.K.:Oxford University Press(2004))に記載されるように行った。
【0090】
スクリーニングのインビボ段階では、エキソビボ選択したファージプールを、ヒト前立腺癌細胞の骨異種移植片を保有しているヌード(免疫欠損)マウスに静脈内注射した。そのマウスを、PBSを用いて心臓を通して灌流することによって10分後に屠殺して、腫瘍および他の組織をファージ滴定および回収のために収集した。腫瘍組織からのファージを増幅して、これを用いて最終のエキソビボ・ファージ・ディスプレイを行った。ここで、標的腫瘍に対するファージプールの結合を、正常な骨に対する結合と比較した。限られた数の個々のファージクローンを標的腫瘍および正常な骨から無作為にピックアップして、配列決定に供した。
【0091】
個々のファージクローンの配列決定によって、選択されたプールで複数回明らかになったペプチド配列が明らかになった(表1)。3つの配列であって、各々がRGDモチーフを含んでいる配列をさらなる分析のために選択した。この選択されたペプチドは環状ペプチドCRGDKGPDC(iRGD1、配列番号1と呼ばれる)、CRGDRGPDC(iRGD2、配列番号2と呼ばれる)、およびCRGDKGPEC(iRGD3、配列番号3と呼ばれる)である。
【0092】
ii.iRGDペプチドの腫瘍ホーミング
ファージディスプレイで特定されたiRGD配列の腫瘍ホーミングをiRGD1ペプチドが腫瘍にホーミングする能力を研究することによって確認した。約200μgのフルオレサミン(フルオレスカミン(fluore scamine))−標識したiRGD1ペプチド(FAM−iRGD1)を、尾静脈を通じて、PPC1ヒト前立腺癌、MIA PaCa−2ヒト膵臓癌、またはMDA−MB−435ヒト乳癌の異種移植片を保有している免疫欠損マウスに注射して、4.5時間循環させた(図2)。UV光のもとでの収集した器官の検査によって、iRGD−注射したマウスの腫瘍は強い蛍光性であったが、正常な組織は蛍光性でなかったことが示された。同様の結果が、自然発生の膵管腺癌(PDAC)腫瘍を保有しているトランスジェニックマウスにFAM−iRGD1を注射した場合得られた(BardeesyおよびDePinho,2002)(図3A)。過剰な未標識のiRGD1ペプチドを同時注射することによって、PDAC腫瘍におけるFAM−iRGD1の蓄積が阻害され、このことは、iRGD1ホーミングの特異性を実証している(図3B)。FAM−iRGD1を注射された動物からのPDAC腫瘍切片の共焦点顕微鏡によって、このペプチドについての時間依存性のインビボのホーミング動態が示された。このペプチドは腫瘍血管で最初に蓄積し(図4A、矢印)、次いで細胞周囲の脈管構造で蓄積し(図4A、矢じり形)、そして30分後に腫瘍腺中の腫瘍細胞にシフトした(図4B)。この時点までに、脈管構造では微量しかみられず(図4B、矢印)、調査した後の時点では血管の蛍光は見られなかった(図4CおよびD)。腫瘍細胞に関連するペプチド蛍光は腫瘍細胞の核周囲の領域に凝縮した(図4Cおよび4D、星印)。これらの観察によって、iRGDは腫瘍血管および腫瘍細胞の両方を標的化すること、およびiRGDは腫瘍細胞内で蓄積することが示される。
【0093】
iii.iRGDの腫瘍細胞への内部移行
iRGDペプチドが腫瘍細胞へ内部移行するという概念は、共焦点顕微鏡によって確認された。種々のタイプの腫瘍細胞をFAM−iRGD1とともに2時間37℃でインキュベートしたとき、ペプチドの蛍光は細胞内に蓄積した(図5)。さらに、iRGDファージはまた、腫瘍細胞に内部移行し、その内部移行は、RGD−4C(CDCRGDCFC、配列番号10)またはCG7Cのコントロールのペプチド(図6)などの他のRGDペプチドを提示するファージの内部移行よりもかなり広範であった。従って、iRGDは、単純な化合物(フルオレセイン)の内部移行およびナノ粒子の内部移行を生じ得る(T7ファージは約50nmの直径を有するナノ粒子である)。iRGDの特定の改変体、例えば、CRGDKGPDC、CRGDRGPDC、またはCRGDKGPEC(それぞれ、配列番号1、2、および3)は、同様の腫瘍細胞結合および内部移行をCRGDKGPDC(図7.配列番号1)として示し、このことはiRGDの重要なモチーフが5つのアミノ酸RGDK/RGに存在することを示唆している。iRGD中のモチーフを特定するために、2つの実験を行った。第一に、iRGDのアラニンスキャンを行った。R、G、D、K、またはGの中の5つの残基のうちの任意の1つをアラニンへ変異させることによって、iRGDファージの内部移行は排除または大きく減少された(図8)。第二に、CRGDKG、CRGDK、CRGD、またはCRG(配列番号5〜8)を提示しているファージを構築して、腫瘍細胞へ結合および内部移行する能力を試験した(図9)。CRGDKGおよびCRGDK(配列番号5および6)のファージは両方とも腫瘍細胞に結合して内部移行したが、CRGDおよびCRGはしなかった。まとめると、これらの結果から、iRGDの重要なモチーフはRGDK/R(配列番号11および12)からなることが示唆される。
【0094】
iv.iRGDのレセプター
PPC1ヒト前立腺癌細胞へのiRGDファージの結合および内部移行はUV不活性化iRGDファージによって用量依存性の方式で劇的に阻害されたが、CG7CコントロールペプチドまたはKGD(CKGDKGPDC、配列番号1)ペプチドを発現するUV不活性化ファージでは阻害されず、このことは、レセプター媒介性の作用が、腫瘍細胞へのiRGDの結合および内部移行に関与したことを示唆している(図10)。
【0095】
RGDモチーフはインテグリン認識配列であって、RGD−指向性インテグリン、例えば、αvβ3、αVβ5、およびα5β1は血管形成性の内皮細胞および特定の腫瘍細胞で上方制御されることが公知である(ElicieriおよびCheresh,2001;Ruoslahti,2002)。従って、iRGDの腫瘍細胞結合および内部移行に対するRGD−指向性インテグリンに対する抗体の効果を試験した。
【0096】
図11に示されるとおり、αVβ5インテグリンに対する抗体は、PPC1前立腺癌細胞へのiRGDファージおよびペプチドの結合、ならびにこれらの細胞によるファージの引き続く内部移行を廃した。対照的に、抗α5β1は、iRGD内部移行に対してわずかな効果しか有さなかった。従って、1つ以上のαVインテグリンは、iRGDの1つのレセプターとして作用する。しかし、iRGDの顕著な内部移行効率、および抗α2抗体および抗α5β1抗体などの他の抗インテグリン抗体がiRGDの内部移行に対してある程度の阻害性の効果を示すという事実を考慮すれば、αVインテグリン結合が腫瘍ホーミングにおけるiRGDの固有の力価を完全に説明する可能性は低い。iRGD配列は、フリン型プロテアーゼのコンセンサス切断部位を含む(RXXK/R;配列番号13および14;Thomas,2002)。フリンは、大型のタンパク質分解酵素ファミリーであって、そのメンバーは細胞型特異的な方式で発現される場合が多い。腫瘍におけるインテグリンに対するiRGDの結合に続いて、RGDK/R(配列番号11および12)配列に選択性のタンパク質分解性切断はどういうものかペプチドの内部移行およびそのペイロードを促進することが推測される。内部移行は次に、標的細胞におけるiRGDの蓄積を生じ、これによってiRGDはホーミングペプチドとして特に有効になる。
【0097】
表1は、ヒト前立腺癌の骨異種移植片で行った、インビボのファージディスプレイ(図1で星印で示す)および4回のエキソビボ・ファージ・ディスプレイ(図1の二重の星印)からのその後の結果を示す。小文字でかつ下線を引いてない配列は、骨腫瘍および正常な骨に対して共通であって、排除された。大文字でかつ二重の下線の配列は、iRGDおよびその改変体を示し、大文字でかつ下線なしの配列は、iRGDに関連するモチーフを有した。iRGD保有ファージの数は独立したスクリーニングを表すことに注意のこと。4つのアミノ酸またはそれより長いアミノ酸のアミノ酸配列は配列番号15〜289であって、左から右、次に上から下である。
【0098】
【表1−1】

【0099】
【表1−2】

【0100】
【表1−3】

【0101】
【表1−4】

【0102】
【表1−5】

【0103】
【表1−6】

B.実施例2:iRGDホーミングおよび内部移行の分析
RGDインテグリン認識モチーフを含有するペプチド(PierschbacherおよびRuoslahti,E.Cell attachment activity of fibronectin can be duplicated by small synthetic fragments of the molecule.Nature 309,30〜33(1984);Ruoslahti,The RGD story: a personal account.Matrix Biol.22,459−465(2003))およびその模倣物を、腫瘍血管で発現されるαv−インテグリンに対して薬物、生物製剤、造影剤およびナノ粒子を送達するために用いた(EliceiriおよびCheresh,Adhesion events in angiogenesis.Curr.Opin.Cell Biol.13,563−568(2001);Ruoslahti,Specialization of tumor vasculature.Nature Rev.Cancer 2,83〜90(2002);Arapら、Cancer treatment by targeted drug delivery to tumor vasculature in a mouse model.Science 279,377〜380(1998);Curnisら、Coupling tumor necrosis factor−α with αintegrin ligands improves its antineoplastic activity.Cancer Res.64,565〜571(2004);Sipkinsら、Detection of tumor angiogenesis in vivo by αβ−targeted magnetic resonance imaging.Nature Med.4,623〜626(1998);Murphyら、Nanoparticle−mediated drug delivery to tumor vasculature suppresses metastasis.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 105,9343−9348(2008))。しかし、重大な障害はこのようなRGD標的剤が腫瘍実質に浸透してその中に蓄積する能力が、標的インテグリンの明らかな発現にかかわらず、限定されていることである(Jain,Vascular and interstitial barriers to delivery of therapeutic agents in tumors.Cancer Metastasis Rev.9,253〜266(1990))。開示されるのは、血管外遊走を組織化することおよび腫瘍組織内の連鎖したペイロードの広がりにおいて、例外的に有効であり、かつ腫瘍細胞内で引き続き内部移行する環状RGDペプチド、iRGD(配列:CRGDK/RGPD/EC;配列番号1、2、3および290)である。このペプチドは2つの機能的なエレメントを組み込む:腫瘍特異性を与えるRGDモチーフ(PierschbacherおよびRuoslahti,E.Cell attachment activity of fibronectin can be duplicated by small synthetic fragments of the molecule.Nature 309,30−33(1984);Ruoslahti(2003);EliceiriおよびCheresh(2001);Ruoslahti(2002);Arapら、(1998);Curnisら、(2004);Sipkinsら、(1998);Murphyら、(2008))、および浸透を媒介するRXXK/Rモチーフ(CendRモチーフ、配列番号13および14)。iRGDはαvインテグリンを発現する培養細胞に容易に結合して、他のRGDペプチドよりもかなり効率的に内部移行された。内部移行は、CendRモチーフについてのレセプターであるニューロピリン−1の発現に依存した。試験した7つ全ての腫瘍モデルでは、フルオレセイン、ファージまたは人工のナノ粒子のペイロードに結合されたiRGDは、インビボで腫瘍血管周囲に蓄積し、腫瘍間質に広がり、腫瘍細胞内に内部移行した。近赤外線色素で標識されたiRGDミセルの全身投与はマウスの全身画像化に強力かつ特異的な腫瘍シグナルを生じた。iRGDの組織浸透特性は、診断画像化および治療のためのナノ規模のペイロードのシナフィック(synaphic)(ドッキングベースの)腫瘍標的化のための新規なツールである。
【0104】
前立腺癌のマウスモデルを、ファージライブラリー選択において標的として用いて(Hoffmanら、Progressive vascular changes in a transgenic mouse model of squamous swuamous cell carcinoma.Cancer Cell 4,383〜391(2003))、腫瘍血管に結合するペプチドを特定した。RGDモチーフを含んだファージ(PierschbacherおよびRuoslahti(1984);Ruoslahti(2003))であって、3つの関連の配列CRGDKGPDC(配列番号1)、CRGDRGPDC(配列番号2)、およびCRGDKGPEC(配列番号3)内のファージは、選択されたプール中で優勢であった(表2)。CRGDKGPDC(「iRGD」「内部移行する−RGD」;配列番号1)が最も頻繁であって、さらなる分析のために選択した。
【0105】
【表2】

48例の固体クローンを最終回のエキソビボ・ファージ・ディスプレイで回収したファージプールから配列決定のために無作為にピックアップした。配列決定の結果が失敗であったクローン(5%未満)はこの分析の間除外した。各々のRGDペプチドの割合を示す。
【0106】
iRGDはフルオレセイン標識したペプチド(FAM−iRGD)として合成して、このペプチドを腫瘍保有マウス中に静脈内注射した。FAM−iRGDは、試験した各々の腫瘍モデルで腫瘍組織に蓄積した。腫瘍はUV光のもとで強力に蛍光を発したが正常な組織では蛍光性ではなかった(図12A、12Bおよび16)。コントロールのペプチドは、最低限の腫瘍蛍光しか生じなかった(図12B)。過剰な未標識のiRGDペプチドを同時注射することによって、腫瘍におけるFAM−iRGDの蓄積を大きく減じたが、非インテグリン結合(PierschbacherおよびRuoslahti(1984);Ruoslahti(2003))改変体,CRGEKGPDC(iRGE;配列番号291)は、同じ効果を有さなかった(図12C)。これらの結果によって、iRGDは腫瘍を特異的に標的化すること、およびそのRGDモチーフは標的に重要であることが示される。
【0107】
共焦点顕微鏡によって、腫瘍血管の中および周囲、ならびに腫瘍実質内のFAM−iRGDペプチドの蓄積が明らかになった(図12D)が、正常な組織では見られなかった。著しいことに、iRGDファージ(直径約50nm)および別のiRGD−コーティングナノ粒子、自己アセンブリングするミセル(直径15〜25nm)(Karmaliら、Targeting of albumin−embedded paclitaxel nanoparticles to tumors.Nanomedicine in press(2008);Arlethら、Detailed structure of hairy mixed micelles formed by phosphatidylcholine and PEGylated phospholipids in aqueous media.Langmuir 21,3279〜3290(2005))も血管外腫瘍実質に達した(図12Dおよび図17)。2つの他のRGDペプチドおよび対応するファージ,CRGDC(配列番号292)およびRGD−4C(配列番号293)は、αvインテグリンに対して強力な親和性を有し(Koivunenら、Selection of peptides binding to the α β integrin from phage display library.J.Biol.Chem.268,20205−20210(1993);Koivunenら、Phage libraries displaying cuclic peptides with different ring sizes:ligand specificities of the RGD−directed integrin.Biotechnology(N Y)13,265〜270(1995))、やはり腫瘍にホーミングしたが、腫瘍血管におよびその周囲にのみ蓄積し、iRGDのように間質全体には分散しなかった(図12Dおよび17)。
【0108】
近赤外線色素Cy7で標識したFAM−iRGDミセルを注射したマウスの全身の画像化は、腫瘍からの強力かつ特異的なシグナルを生じ、腫瘍標的化についてのiRGDの能力を示している(図12E)。iRGDの内部移行特性および腫瘍組織へのそのみかけの広がりによって、iRGDのこれらの固有の活性の背景にある機構の研究が促進された。
【0109】
培養された前立腺腫瘍細胞は4℃でiRGDファージに結合したが、有意に内部移行しなかった、一方37℃では、結合および内部移行の両方が生じた(図18)。4℃での結合は、用量依存性の方式で、遊離のiRGDペプチドによって、および非感染性(UV−不活性化)iRGDファージによって阻害されたが、非−インテグリン−結合iRGEペプチドまたはファージによっては阻害されなかった(図13A)。RGD−指向性のインテグリンαvβ3、αvβ5、およびα5β1は、血管形成性の内皮細胞および特定の腫瘍細胞で上方制御される(EliceiriおよびCheresh(2001);Ruoslahti(2002))。PPC1細胞は、αvβ5およびα5β1を発現するが、αvβ3は発現しない(図19A)。抗αvβ5抗体はPPC1細胞に対するiRGDファージ結合をほぼ完全に阻害したが、αvβ3、α5β1、およびいくつかの他のインテグリンに対する阻害性抗体は、効果を有さなかった(図13B)。αvβ3およびαvβ5の両方を発現するM21ヒト黒色腫細胞(ChereshおよびSpiro,Biosynthetic and functional properties of an Arg−Gly−Asp−directed receptor involved in human melanoma cell attachment to vitronectin,fibrinogen,and von Willebrand factor.J.Biol.Chem.262,17703〜17711(1987))(図19B)は、iRGDに結合したが、これらのインテグリンの発現を欠いている改変体は、結合せず、これによってiRGD結合のαvインテグリン依存性が確認された(図13C)。M21細胞結合は、抗αvβ3または抗αvβ5(図13C)のいずれかによって軽減され、このことは、iRGDがこれらのインテグリンの両方を認識することを示した。
【0110】
コンセンサスなCendRモチーフであるR/KXXR/K(配列番号13、14、294、および295)は、細胞へのニューロピリン−1−依存性結合およびペプチドの内部移行を媒介することが示された。このモチーフは、ペプチド中のC末端位置を占める限り活性ではない。iRGDは、CendRモチーフ、RGDK/Rを含むが、このモチーフはC−末端ではない。タンパク質分解性処理は、RGD中でCRGDKモチーフを活性化するために必要である場合があると理解された。実際図14Aに示されるとおり、アルギニンおよびリジン残基の後ろでタンパク質を切断するトリプシンを用いるiRGDファージの処理は、PPC1細胞に対するiRGDファージの結合を増強した。トリプシンは、内部移行しないペプチドCRGDC(配列番号292)またはRGD−4C(配列番号293)に効果を有さなかった(示さず)。インタクトなiRGDファージではないが、トリプシン処理したiRGDファージの4℃での結合は(示さず)、原型のCendRペプチド、RPARPAR(配列番号296)を発現する非感染性ファージによってブロックされたが、CendRモチーフがC末端に対するアラニン残基の付加によって破壊されたペプチド(RPARPARA;配列番号297)を提示するファージによってはブロックされなかった。
【0111】
iRGD中のCendRモチーフが細胞性プロテアーゼによって実際に活性化されるか否かを決定するため、FAM−iRGD(そのN末端にFAMを担持する)を、PPC1前立腺癌細胞とともにインキュベートして、細胞内産物を、抗FITC抗体に対するアフィニティークロマトグラフィーによって単離した。細胞表面でタンパク質分解を可能にしながら細胞質のタンパク質分解を妨げるために、インキュベーションはプロテアソームインヒビターの存在下で行った。細胞内の全長FAM−iRGDは検出されず、FAM−CRGDKフラグメント(配列番号6)が回収された(図20)。
【0112】
タンパク質分解性に放出されるCRGDK(配列番号6)はiRGDの活性な内部移行成分であるという意味に基づいて、CRGDK(配列番号6)を発現するファージを操作して、これがPPC1細胞に結合およびその中に内部移行したことが見出された。結合プロセスはαvインテグリン−依存性ではなかった(図21Aおよび図21B)が、CendRシステムを要することが明らかになった。なぜなら、これはRPARPAR(配列番号296)ファージによって用量依存性に阻害されたからである(図14B)。さらに、CendRペプチドについてのレセプターであるニューロピリン−1に対する抗体も結合を減らした(図14C,左側のパネル)。CRGDK(配列番号6)ファージは、ニューロピリン−1の発現が最小であるM21細胞へ実質的に結合せず内部移行もしなかった(図22)、しかし、これらの細胞においてニューロピリン−1の発現を強制し、結合(図14C,右側のパネル)および内部移行(示さず)を3.5倍増大した。これらの結果によって、CRGDK(配列番号6)(同様にRPARPAR;配列番号296)が細胞に結合して、CendR経路の後に内部移行することが示される。
【0113】
iRGDで内部移行する配列であるRGDK CendRエレメント(配列番号11)と一致して、CRGDK(配列番号6)およびRPARPAR(配列番号296)ファージは、PPC1細胞へのiRGDファージ内部移行をブロックした(図14D)。抗−ニューロピリン−1はまた、内部移行を阻害したが(図14E)、細胞に対するファージの結合の影響は小さかった(示さず)。iRGDにおけるRGDおよびRXXKモチーフの相対的な役割を、iRGEファージを用いて試験したが、このiRGEファージは、破壊されたRGDモチーフに起因してインテグリンに結合せず(PierschbacherおよびRuoslahti(1984);Ruoslahti(2003))、ただし、CendRモチーフ,RXXKを依然として含んでいる。iRGEファージは、PPC1細胞内に内部移行せず、RPARPAR(配列番号296)およびCRGDK(配列番号6)は両方とも内部移行を阻害し(図14D)、このことによって、これはCendR内部移行経路に続くことが示された。内部移行はiRGDのものよりもかなり有効であったが、これはおそらくiRGEが細胞表面でファージを濃縮するであろうインテグリン結合を欠いているためであった。これらの結果によって、iRGDはRXXK配列を利用するCendR経路を通じて細胞内で内部移行すること、およびこの内部移行は、RGDを通じたインテグリンへの最初の結合によって容易にされることが示される。
【0114】
共焦点顕微鏡によって、iRGDファージおよびニューロピリン−1が特定の領域に、および培養細胞の核に同時局在することが示され(図15A)、このことは腫瘍細胞へのiRGDの内部移行におけるCendR経路の関与を支持している。CendRモチーフ(CRGDGGPDC;配列番号298)、CRGDC(配列番号292)、またはRGD−4C(配列番号293)(図23)を欠くiRGD改変体を提示しているファージは、ニューロピリン−1で同時局在せず、それらは内部移行することもなかった。新規のPDACを保有しているマウスへのFAM−iRGDペプチドの静脈内注射(BardeesyおよびDePinho,(2002))の後、ペプチドは最初に、腫瘍血管で同時局在し、次いでαvインテグリンに陽性である腫瘍細胞内で出現した(図15B,左側のパネル)。重要なことに、ニューロピリン−1について強力に陽性の腫瘍細胞は、FAM−iRGDを蓄積および保持するのに特に有効であった(図15B,右側のパネル)。
【0115】
これらの結果、iRGDの新規な多段階標的機構が示され、インタクトなペプチドがαvインテグリンを発現する細胞の表面で蓄積し、ここでこのペプチドはタンパク質分解的に切断して、CRGDK(配列番号6)フラグメントを含んでいるCendRモチーフを生成する。次いでこのフラグメントは、ニューロピリン−1に結合して、標的細胞内に内部移行する(図24)。この機構はiRGDスペシャルを作製し:これは強力な腫瘍特異性を呈し、標的細胞内に効率的に内部移行され、腫瘍組織に浸透する。この多段階工程は、iRGDの腫瘍特異性に各々が加わってもよい。なぜなら、αvインテグリンおよびニューロピリン−1の発現は種々の腫瘍型で上昇するからである(EliceiriおよびCheresh(2001);Ruoslahti(2002);Pellet−Manyら、Neuropilins:structure,function and role in disease.Biochem.J.411,211〜226(2008))。同じことがプロテアーゼ(単数または複数)を処理することにも当てはまる場合がある。例えば、R/KXXR/K CendRモチーフと類似の配列後でタンパク質を優先的に切断する、膜結合プロテアーゼであるマトリプターゼは腫瘍で過剰発現される(Uhland,Matriptase and its putative role in cancer.Cell Mol.Life.Sci.63,2968〜2978(2006))。
【0116】
インテグリンは細胞表面から細胞内区画へ往復し、かつ細胞表面に戻り、そして特定のウイルス病原体は細胞へ進入するのにこの機構を利用する(PellinenおよびIvaska,Integrin traffic.J.Cell Sci.119,3723−3731(2006))。しかし、CendR経路を要する、iRGDの内部移行能力は、従来のRGDペプチドの能力よりもかなり効果的であり、その後にインテグリン輸送が続く。最も顕著な結果は、iRGDの組織浸透活性であって、これは従来のRGDペプチドおよびそれらの模倣物で達成され得る活性をかなり上回り、これは腫瘍血管に対するそれらのペイロードしかとらない(Murphyら、(2008);Pasqualiniら、αv integrins as receptors for tumor targeting by circulating ligands.Nature Biotechnol.15,542〜546(1997))。このことによってCendRモチーフは、依然として構想される機序を介して腫瘍間質への浸透のために重要であることが示される。
【0117】
いくつかの以前に記載された腫瘍特異的な細胞浸透ペプチドは潜在性のCendR配列を含む(Hoffmanら、(2003);Laakkonenら、A tumor−homing peptide with a targeting specificity related to lymphatic vessels.Nature Med.8,751〜755(2002);Porkkaら、A fragment of the HMGN2 protein homes to the nuclei of tumor cells and tumor endothelial cells in vivo.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99,7444〜7449(2002);Joyceら、Stage−specific vascularmarkers revealed by phage display in a mouse model of pancreatic islet tumorigenesis.Cancer Cell 4,393〜403(2003))。LyP−1(CGNKRTRGC;配列番号299;Laakkonenら、(2002))は9アミノ酸の環状ペプチドであって、特定のレセプターの結合部位(Fogalら、Mitochondrial/cell−surface protein p32/gC1qR as a molecular target in tumor cells and tumor stroma.Cancer Res.68,7210〜7218(2008))および潜在性のCendRモチーフであるKRTR(配列番号299のアミノ酸4〜7)を有する。iRGDナノ粒子と同様、LyP−1−コーティングされたナノ粒子は静脈内注射後数分内で腫瘍組織に滲出する(Karmaliら、(2008);Laakkonenら、(2002);von Maltzahnら、In vivo tumor cell targeting with “click” nanoparticles.Bioconjug.Chem.19,1570〜1578(2008))。LyP−1および他のホーミングペプチドの活性におけるCendRの関与はまだ研究されなければならないが、同様に考えられる。iRGDおよびCendRシステムは、癌標的および処置を改善するために用いられ得る。
【0118】
1.方法
マウスを施設のガイドラインに従って維持し、動物実験はカリフォルニア大学(University of California,Santa Barbara and San Francisco)の動物研究委員会(Animal Research Committees)によって承認された。本発明者らは、トランスジェニック腫瘍マウス(BardeesyおよびDePinho,(2002);Arbeitら、Progressive squamous epithelial neoplasia in K14−human papillomavirus type 16 transgenic mice.J.Virol.68,4358〜4368(1994);Hanahan,Heritable formation of pancreatic β−cell tumors in transgenic mice expressing recombinant insulin/simian virus 40 oncogenes.Nature 315,115〜122(1985))およびBALB/cヌードマウスに10個のヒト癌細胞を同所に、心臓内にまたは脳および脛骨内に注射することによって作製した異種移植片腫瘍(Harlan Sprague Dawley,Indianapolis,IN)を用いた。個々のペプチド(例えば、iRGE)を発現するT7ファージを、製造業者の指示に従って、T7−Select Phage Display System(EMD Biosciences,Gibbstown,N.J.)で作製した。インビボでのファージホーミング研究およびインビトロでの細胞結合研究(Zhangら、(2006))、免疫蛍光(Karmaliら、(2008))およびフローサイトメトリー(Sugaharaら、Hyaluronan oligosaccharides induce CD44 cleavage and promote cell migration in CD44−expressing tumor cells.J.Biol.Chem.278,32259〜32265(2003))を記載のとおり行った。全身画像化を、Odyssey Infrared Imaging System(LI−COR Biosciences,Lincoln,NE)を用いてCy7標識したミセルの注射3時間後に行った。ファージ内部移行アッセイでは、細胞を10プラーク形成単位(pfu)のファージを用いて37℃で1時間処理し、酸性緩衝液(グリシン−HCl,pH2.5)で洗浄して、細胞表面に対して結合されたファージを取り除きかつ不活性化し、ファージ滴定のために溶解した。ペプチドの内部移行は、20μMのFAM−標識したペプチドとともに90分間37℃でインキュベートすることによって研究した。PPC1に内部移行したFAM−iRGDペプチドは、抗FITC親和性クロマトグラフィーによって酸洗浄した細胞から取り除き、質量分析計によって分析した。ファージの結合および/または内部移行を阻害するために、UV照射によって非感染性にされた合成ペプチドまたはファージを、試験ファージとのインキュベーションの20分前に細胞に添加した。組織中のFAM−標識ペプチドを、Image Jソフトウェアを用いて蛍光を測定することによって定量した。スチューデントのt検定および一元分散分析(ANOVA)続いて適切な事後のt検定を統計学的分析に用いた(表3)。
【0119】
【表3−1】

【0120】
【表3−2】

i.腫瘍モデル
異種移植片は、BALB/cヌードマウスに以下の10個のヒト癌細胞を同所性にまたは脛骨および脳に注射することによって作製した:前立腺癌PC−3(Yangら、A fluorescent orthotopic bone metastasis model of human prostate cancer.Cancer Res.59,781〜786(1999))、PPC1(Zhangら、(2006))、および22Rv−1(Drakeら、Assessing tumor growth and distribution in a model of prostate cancer metastasis using bioluminescence imaging.Clin.Exp.Metastasis 22,674〜684(2005))、膵臓癌MIA PaCa−2(Sugaharaら、Chondroitin sulfate E fragments enhance CD44 cleavage and CD44−dependent motility in tumor cells.Cancer Res.68,7191〜7199(2008))、および乳癌BT474(Rusnakら、The effects of the novel,reversible epidermal growth factor receptor/ErbB−2 tyrosine kinase inhibitor,GW2016,on the growth of human normal and tumor−derived cell lines in vitro and in vivo.Mol.Cancer.Ther.1,85−94(2001))。播種性の前立腺腫瘍は、心臓の左心室に10個のGFP−PC−3細胞を注射することによって生成した(Yangら、(1999))。腫瘍は、Image Station In Vivo FXのX線システム(Eastman Kodak Company,Rochster,N.Y)またはIllumatool Bright Light System LT−9900(Lightools Research,Encinitas,CA)を用いてモニターした。トランスジェニックマウスを記載のとおり維持した(BardeesyおよびDePinho(2002);Arbeitら、(1994);Hanahan(1985))。
【0121】
ii.ファージライブラリーのスクリーニング
本発明者らは、T7ファージ(多様性約10)で提示される環状のCXC(C+システイン;X=任意のアミノ酸)ペプチドライブラリー、ならびにエキソビボおよびインビボのスクリーニングの組み合わせを用いた(Hoffmanら、(2003))。PPC1およびPC−3(図25A)の異種移植片またはGFP−PC−3の播種性の骨腫瘍を用いた(図25B)。腫瘍細胞懸濁物での3回のエキソビボ選択に続いて腫瘍ホーミングのための1回のインビボ選択を行った。最終のエキソビボ選択の後、得られたファージプールは、腫瘍細胞由来懸濁物に対してもとのライブラリーより200〜400倍多く、正常な骨髄由来細胞に対して5倍多く結合した(図25C)。個々のファージクローンはファージプールから無作為にピックアップされて配列決定された。
【0122】
iii.インビボのペプチドおよびファージホーミング
フルオレセインで標識した合成ペプチド(Karmaliら、(2008))(約200μg)を腫瘍保有マウスに静脈内注射して、15分〜2時間循環させた。組織を収集して、UV光下で観察するか(Illumatool Bright Light System LT−9900)または免疫蛍光のために処理した(Karmaliら、(2008))。ファージホーミングを評価するために(Zhangら、(2006))、10pfuのT7ファージを、腫瘍保有マウスに静脈内注射して、15分間循環させた。そのマウスを、1%BSAを含有しているPBSを用いて心臓を通して灌流させ、その組織を免疫蛍光のために回収した。
【0123】
iv.ミセルの調製
脂質は、Avanti Polar Lipids(Alabaster,AL)から購入した。DSPE−PEG2,000−iRGD(FAM)は、N末端上にシステインを保有しているFAM−iRGDペプチドを、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−マレイミド(ポリエチレグリコール)2,000(DSPE−PEG2,000−マレイミド)に対して室温で4時間1:1のモル比でカップリングすることによって調製した。DSPE−PEG2,000−FAMは、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−アミノ(ポリエチレングリコール)2,000(DSPE−PEG2,000−アミン)とNHS−フルオレセイン(Pierce Biotechnology,Rockford,IL)とを1:1のモル比で、室温で1時間カップリングすることによって調製した。DSPE−PEG2,000−Cy7は、1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−アミノ(ポリエチレングリコール)2,000およびCy7−NHSエステル(GE Healthcare,UK)を用いて同様に調製した。
【0124】
DSPE−PEG2,000−iRGD(FAM)、DSPE−PEG2,000−アミンおよびDSPE−PEG2,000−Cy7を3:6.7:0.3のモル比でクロロホルム/メタノール(3:1,v/v)中に溶解した。その溶媒をエバポレートして、乾燥された脂質フィルムを減圧下で8時間維持して、PBS中で、60℃で2時間膨張させた。そのバイアルをボルテックスして、超音波処理し、ミセルを生じた。そのミセルを0.2μmおよび0.1μmのフィルターを通じて連続的に濾過して、無菌のPBSで洗浄して未反応のペプチドを除去した。コントロールのCy7ミセルを、DSPE−PEG2,000−FAMをDSPE−PEG2,000−iRGD(FAM)の代わりに用いて調製した。そのミセルは、Malvern Zetasizer Nano(Malvern,UK)で、動的レーザー光散乱(屈折率、1.59;粘性、0.89)によって脱イオン水中で測定した場合、15〜25nmの直径であった。
ミセルペプチドコンジュゲートのインビボ画像化。
【0125】
PDACマウス(BardeesyおよびDePinho,(2002))に、PBS中の1mMミセルの100μlを注射した。3時間後そのマウスを麻酔して、剃毛し、Odyssey Infrared Imaging System(LI−COR Biosciences,Lincoln,NE)を用いる全身画像化に供した。
【0126】
v.免疫蛍光
組織切片は、記載どおりに処理した(Karmaliら、(2008))。細胞(2×10個の細胞)をコラーゲンI−コーティングカバースリップ(BD Biosciences,San Jose,CA)上で一晩増殖し、10pfu/mlのT7ファージとともに30分間インキュベートした。その細胞を4%パラホルムアルデヒド中で固定して、抗体およびDAPIで染色した(Molecular Probes,Eugene,OR)。一次抗体はラット抗マウスCD31モノクローナル抗体(BD Biosciences)、およびウサギ抗ヒトαvインテグリン(Chemicon,Temecula,CA)、ウサギ抗ヒトニューロピリン−1(Chemicon)、マウス抗ヒトニューロピリン−1(Miltenyi Biotec,Auburn,CA)、およびウサギ抗T7ファージポリクローナル抗体であった。マウス、ラットおよびウサギIgGに対する二次抗体,Alexa594ヤギ抗体、およびAlexa488ロバ抗ウサギ抗体はMolecular Probesからであった。細胞および組織切片は、共焦点顕微鏡(Fluoview 500,Olympus America,Center Valley,PA)によって検査した。
【0127】
vi.インビトロのファージ結合および内部移行アッセイ
懸濁された細胞(1%のBSAを含有するDMEM中の10個の細胞)を10pfu/mlのT7ファージとともに4℃で1時間インキュベートした。その細胞を結合緩衝液で4回洗浄し、1%のNP−40を含有する溶原性ブロスで溶解して、滴定した。ファージ内部移行アッセイは、細胞を37℃でファージとともにインキュベートしたこと、および酸性緩衝液(500mMの塩化ナトリウム、0.1Mのグリシン、1%のBSA,pH2.5)を第二の洗浄で結合緩衝液と置き換えたこと以外は同じ手順を用いた。結合および内部移行のインヒビターをファージとのインキュベーションの20分前に添加した。非感染性ファージを、1%BSAを含有しているDMEM中で8分間UVを用いてファージを処理することによって調製した。1粒子あたり約200ペプチドを発現するUV不活性化ファージ粒子が得られ、これを多価インヒビターとして用いた。遊離の合成ペプチド、ヒトα1、α2、αvβ3、αvβ5、α5β1、α4またはαvインテグリンおよびインテグリンサブユニットに対するマウス抗体(Chemicon)、ヤギ抗ウサギニューロピリン−1(R&D Systems,Minneapolis,MN)と、マウスおよびヤギのIgGアイソタイプコントロール(Abcam)も試験した。
【0128】
vii.フローサイトメトリー
1mMのMgSO、CaCl、およびMnClを緩衝液に添加したこと以外は、実験は記載のとおり行った(Sugaharaら、Hyaluronan oligosaccharides induce CD44 cleavage and promote cells migration in CD44−expressing tumor cells.J.Biol.Chem.278,32259〜32265(2003))。この抗体は、細胞結合アッセイと同じであって、Alexa488ヤギ抗マウス抗体(Molecular Probes)で検出した。細胞はEasyCyte Plus System(Guava Technologies,Hayward,CA)で分析した。
【0129】
viii.FAM−iRGDフラグメント単離
PPC1細胞(DMEM中の10個の細胞)を10μMのカルボベンゾキシル−ロイシニル−ロイシニル−ロイシナル(MG132,EMD Chemicals,Gibbstown,NJ)を用いて30分間37℃で処理してプロテアソームを阻害して、N−末端またはC−末端をFAMで標識した20μMのiRGDペプチドとインキュベートした。この細胞を酸性緩衝液で1回洗浄し、氷上でプロテアーゼインヒビター(Complete Mini EDTA−free,Roche Applied Science,Indianapolis,IN)を含有するMPER(Pierce Biotechnology)中で30分間溶解した。そのサンプルを30分間12,000rpmで遠心分離した。その上清を抗FITCアフィニティーカラムに加え、洗浄後、結合したペプチドをグリシン−HCl、pH2.8で溶出した。その溶出物を質量分析にかけた。
【0130】
本出願全体を通じて、種々の刊行物が引用される。これらの刊行物の開示は、本発明が属する当該分野の状況をさらに詳細に記載するためにその全体が出典明記によって本出願に援用される。
【0131】
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いる場合、単数形「1つの、ある(不定冠詞:a、an)」および「この、その(定冠詞:the)」は、文脈が明確に他を示すのでない限り、複数の言及を包含する。従って、例えば、「あるペプチド(a peptide)」という言及は、複数のこのようなペプチドを包含し、「このペプチド(the peptide)という言及は、当業者に公知の1つ以上のペプチドおよびそれらの均等物などについての言及である。
【0132】
「任意の(optional)」または「必要に応じて(optionally)」とは、その後に続いて記載される事象、環境または材料(物質)が生じても生じなくても存在しなくても存在してもよいことを意味し、そしてその説明はその事象、環境または材料(物質)が生じるかまたは存在する場合、および生じず、存在もしない場合を包含する。
【0133】
範囲は、本明細書においては、「約、およそ、ほぼ」ある特定の値から、および/または「約、およそ、ほぼ」別の特定の値までで表されてもよい。このような範囲が表される場合、また特に意図されて、開示されると考慮されるのは、その文脈が特に他を示すのでない限り、ある特定の値からおよび/または他の特定の値までの範囲である。同様に、値が近似値で表される場合、先行詞「約」という使用によって、特定の値が、文脈上特に他を示すのでない限り、開示されるとみなされるべき別の特に意図される実施形態を形成することが理解されるであろう。この範囲の各々のエンドポイントは他のエンドポイントに関して、かつ文脈上特に他を示すのでない限り他のエンドポイントと独立して、その両方で重要であることがさらに理解されるであろう。結局、明確に開示される範囲内に含まれる個々の値および値の部分的範囲の全てがまた特に考慮され、かつ文脈上特に他が示されるのでない限り開示されるとみなされるべきであることが理解されるべきである。前述は、これらの実施形態の特定の場合いくつかまたは全てが明確に開示されるか否かにかかわらずあてはまる。
【0134】
他に規定しない限り、本明細書で用いられる全ての技術的用語および科学的用語は、開示される方法および組成物が属する当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるのと同様または均等な任意の方法および材料を本発明の方法および組成物の実践または試験において用いることができるが、特に有用な方法、デバイスおよび材料は記載されるとおりである。本明細書に引用される刊行物およびそれらに挙げられる材料は、出典明記によって本明細書に詳細に援用される。本明細書は決して本発明が先行発明を理由としてこのような開示に先行する権利がないという承認として解釈されるべきではない。いかなる引用文献も先行技術を構成するとは承認されない。引用文献の考察はそれらの著者が主張するものを言及しており、出願人らは引用される文献の正確性および適切性に意義を申し立てる権利を保留している。多数の刊行物が本明細書で言及されるが、このような引用文献はこれらの文書のいずれかが当該分野の共通の一般的な知識の一部を構成することを認めるものではないことが明らかに理解される。
【0135】
本明細書の説明および特許請求の範囲全体を通じて「含む、包含する(comprise)」という用語およびその用語の変形、例えば「含んでいる(comprising)」および「含む、包含する(comprises)」とは、「限定するものではないが〜を包含する(including but not limited to)」を意味し、例えば、他の追加物、成分、整数または工程を排除する意図はない。
【0136】
開示される方法および組成物は、それらが変化し得るので、特定の方法論、プロトコールおよび試薬に限定されないことが理解される。本明細書に用いられる用語は、特定の実施形態のみを記載する目的であって、本発明の範囲を限定する意図はなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解されるべきである。
【0137】
当業者は、慣用的な実験以下を用いて、本明細書に記載される方法および組成物の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識するか、または確認できるであろう。このような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されるものとする。
【0138】
【数1】

【0139】
【数2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離されたペプチドであって、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、もしくはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つ、または1つ以上の保存的アミノ酸置換を有する配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、もしくはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つを含んでいるアミノ酸セグメントを含んでいる、単離されたペプチド。
【請求項2】
前記アミノ酸セグメントが配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号290のアミノ酸配列、アミノ酸配列CRGDR/K/HGVD/E/HC(配列番号329)のうちの1つ、またはアミノ酸配列CRGDHGPD/E/HC(配列番号330)のうちの1つを含む、請求項1に記載の単離されたペプチド。
【請求項3】
100残基未満の長さを有する、請求項1に記載の単離されたペプチド。
【請求項4】
50残基未満の長さを有する、請求項1に記載の単離されたペプチド。
【請求項5】
20残基未満の長さを有する、請求項1に記載の単離されたペプチド。
【請求項6】
アミノ酸セグメントが環状である、請求項1に記載の単離されたペプチド。
【請求項7】
アミノ酸セグメントがジスルフィド結合を介して環化される、請求項6に記載の単離されたペプチド。
【請求項8】
血管形成の部位に選択的にホーミングする、請求項1に記載の単離されたペプチド。
【請求項9】
前記血管形成が損傷の部位においてである、請求項8に記載の単離されたペプチド。
【請求項10】
前記血管形成が外科的部位においてである、請求項8に記載の単離されたペプチド。
【請求項11】
腫瘍に選択的にホーミングする、請求項1に記載の単離されたペプチド。
【請求項12】
関節炎の部位に選択的にホーミングする、請求項1に記載の単離されたペプチド。
【請求項13】
1つ以上のαvインテグリンを発現する細胞または組織に対して選択的にホーミングする、請求項1に記載の単離されたペプチド。
【請求項14】
1つ以上のαvインテグリンおよびニューロピリン−1を発現する細胞または組織に対して選択的にホーミングする、請求項1に記載の単離されたペプチド。
【請求項15】
アミノ酸セグメントからなる、請求項1に記載の単離されたペプチド。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載のペプチドに連結された部分を含む、コンジュゲート。
【請求項17】
前記部分が抗血管形成剤、血管形成促進剤、癌化学療法剤、細胞毒性剤、抗炎症剤、抗関節炎剤、ナノ粒子、ポリペプチド、核酸分子、低分子、発蛍光団、フルオレセイン、ローダミン、放射性核種、インジウム−111、テクネチウム−99、炭素−11、炭素−13、または組み合わせである、請求項16に記載のコンジュゲート。
【請求項18】
前記部分が治療剤である、請求項17に記載のコンジュゲート。
【請求項19】
前記治療剤がデコリンである、請求項18に記載のコンジュゲート。
【請求項20】
前記部分が検出可能な薬剤である、請求項17に記載のコンジュゲート。
【請求項21】
ウイルスを含む、請求項17に記載のコンジュゲート。
【請求項22】
ファージを含む、請求項21に記載のコンジュゲート。
【請求項23】
ある部分が血管形成に対して指向される方法であって、被験体に対して請求項17〜22のいずれか1項に記載のコンジュゲートを投与する工程を包含する、方法。
【請求項24】
前記部分を用いて、癌、糖尿病性失明、加齢性黄斑変性症、関節リウマチもしくは乾癬を処置するか、または創傷治癒を促進する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記コンジュゲートが治療効果を有する、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
治療効果が炎症の減少、創傷治癒の速度の上昇、瘢痕組織の量の減少、疼痛の減少、腫脹の減少、または壊死の減少を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
被験体が標的されるべき部位を1つ以上有し、前記部分が該標的されるべき部位の1つ以上に対して指向される、請求項23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
被験体が癌を有し、前記部分が該被験体において腫瘍血管形成に対して指向される、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
コンジュゲートが癌に対して治療効果を有する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
腫瘍のサイズが減少される、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
腫瘍の増殖が減少されるか、停止されるか、または逆転される、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記部分を用いて癌を検出するか、1つ以上の腫瘍を可視化するか、またはその両方である、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
ある部分が腫瘍に対して指向される方法であって、被験体に対して請求項17〜22のいずれか1項に記載のコンジュゲートを投与する工程を包含する、方法。
【請求項34】
腫瘍中の細胞がαvインテグリンを発現する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
腫瘍中の細胞がニューロピリン−1を発現する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
腫瘍中の細胞がニューロピリン−2を発現する、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
腫瘍中の細胞がニューロピリン−1、ニューロピリン−2、またはその両方を発現する、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
腫瘍中の細胞がαvインテグリンおよびニューロピリン−1を発現する、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
腫瘍中の細胞がニューロピリン−1を正常よりも高いレベルで発現する、請求項35〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
被験体中の腫瘍が1つ以上のαvインテグリンを発現するか否かを決定する工程、および該腫瘍が1つ以上のαvインテグリンを発現する場合、前記コンジュゲートを該被験体に投与する工程をさらに包含する、請求項33〜39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
被験体における腫瘍がニューロピリン−1を正常よりも高いレベルで発現するか否かを決定する工程、および該腫瘍がニューロピリン−1を正常より高いレベルで発現する場合、前記コンジュゲートを該被験体に投与する工程をさらに包含する、請求項40に記載の方法。

【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図18】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図12】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公表番号】特表2011−510019(P2011−510019A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543285(P2010−543285)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/031305
【国際公開番号】WO2009/126349
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(508236848)バーナム インスティテュート フォー メディカル リサーチ (9)
【Fターム(参考)】