説明

RPF燃焼灰造粒固化物とその製造方法

【課題】RPFの燃焼炉からの燃焼灰とセメントと清水と場合によって固化促進剤を清水に混合して造粒機に導入して造粒するRPF燃焼灰造粒固化物とその製造方法において、造粒前におけるRPFの燃焼灰の養生をすることなく、造粒後にRPF燃焼灰造粒固化物を破砕する工程を必要とすることなく、造粒後に早期に自己破壊するRPF燃焼灰造粒固化物とその製造方法を提供する
【解決手段】RPFの燃焼炉からの燃焼灰と、セメントと、又はこれらと清水に混合した固化促進剤とを造粒機に同時に導入して造粒するRPF燃焼灰造粒固化物とその製造方法において、
RPF燃焼炉からの燃焼灰を外気に晒さずに直接造粒機に導入して造粒することを特徴とするRPF燃焼灰造粒固化物とその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RPF燃焼灰を利用し固化後に自己破壊するRPF燃焼灰造粒固化物とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(1)、2006年6月に公布された循環型社会形成推進基本法では、ゴミ焼却の廃熱を利用する技術としてゴミ固形燃料化が提唱され、わが国の廃棄物発電は、エネルギー利用に対する期待、ダイオキシン対策への対応、政府の建設費等への助成策等の関係もあって、その導入普及が急速に進んだ。
通称RDF(:efuse erived uel)は、自治体が収集したごみを原料とした固形燃料で、家庭ごみが中心のため含水率は高く、発熱量は3000〜4000kcal/kgと低く、RDF燃焼灰にはダイオキシン類などの有害な有機塩素化合物のみならず、重金属含有などの複合汚染物が含まれている。また、2003年の夏、三重県のRDF発電設備で爆発事故が発生して以降、適正管理体制の強化が求められている状況にある。
【0003】
(2)、一方、分別排出基準に基づいた紙類、木類や塩ビ系を除いたプラスチック類などの産業廃棄物を主原料にした固形燃料としてRPF(:efuse aper & lastic uel)が製造されているが、RDFと比較して、主原料の発生履歴がはっきりしていること、品質が安定していること、発熱量が高くそのコントロールが可能であること、石炭の代替え燃料になること、などの特徴を有している。
したがって、今後はRPF固形燃料が廃棄物発電燃料の主流となることが予想される。
【0004】
(3)、それに伴って、RPFを燃焼した後の灰(以下RPF燃焼灰と言う)の処理が問題となることは容易に想像できる。前述したように、主原料の起源が明確であることから、RPF燃焼灰の成分についてもそれほどばらつくこともなく、また、有害な化学物質も含まれていないことが考えられるため、有効活用できる方法を確立しておくことはRPF燃焼灰の処理問題の解決につながる。
【0005】
(4)、製紙工場等ではRPFボイラ・タービン発電設備が稼動しているが、同発電設備はRPF及び石炭を燃料としており、製紙工場の地球温暖化対策・廃棄物削減対策を目的とした事業計画の一環で、同工場のエネルギー効率化の中心を担う設備として期待されている。
【0006】
(5)、このRPF発電用の固形燃料を製造している工場では、年間24、000トン(2、000トン/月)のRPFの製造と年間12、000トン(1、000トン/月)のRPF燃焼灰の処理を引き受けている例がある。
【0007】
(6)、本発明者等は、特許文献1にて紹介したように造粒工程は無いもののRPF燃焼灰に異常膨張抑制剤として石炭灰を混合し、これにセメント及び各種粗骨材や細骨材を配合した「RPF燃焼灰を利用したエココンクリートブロック、エコ再生骨材等のエココンクリートとその製造方法」を開発した。
しかし、この方法は、エココンクリートブロックそのものを利用する以外は再生骨材として破砕処理して各種の用途に適用させなければならない繁雑さを伴うものであった。
【0008】
(7)、本発明者等は、用途を直接エココンクリートブロック或いはコンクリートとしての構造体に使用されるものを対象とするのではなく、路盤材料、アスファルトコンクリート用骨材、グランド下層材料、セメントコンクリート用骨材、凍上抑制材料などに使用するRPF燃焼灰造粒固化物の製造方法を研究開発してきた。
【0009】
而して、RPF燃焼灰造粒固化物の製造方法として、RPF燃焼炉からの燃焼灰とセメントと清水と、又は燃焼灰とセメントと清水に混合した固化促進剤等とを造粒機に同時に導入して造粒する方法を試みたが、この方法はRPF燃焼炉からの燃焼灰は、予め空気に晒して酸化安定させる所謂前養生をした後に造粒機に導入し、ここで別途導入するセメントと清水、又はセメントと清水に混合した固化促進剤等とを混練して造粒するものであった。
【0010】
ここで問題は、造粒前における燃焼灰の前養生に多大な時間を必要とすること、及び造粒機による粒状化の大きさには限界があるため、それよりも細粒の材料を製造する際は、造粒後に破砕する工程や篩分けする工程を必要とし多大な時間とエネルギーを必要とすることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2010−6616「RPF燃焼灰を利用したエココンクリートブロック、エコ再生骨材等のエココンクリートとその製造方法」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、RPF燃焼炉からの燃焼灰とセメントと清水と、又は燃焼灰とセメントと清水に混合した固化促進剤等とを造粒機に導入して造粒するにおいて、造粒前における燃焼灰の前養生をすることなく、造粒後に敢えて破砕する工程を必要とすることなく、造粒後に造粒体が大気と触れ膨張して各種割れを生じながらそれが起因して搬送過程、分粒過程などで適度の粒度に崩壊する所謂自己破壊して粒度分布が所望の粒度に均一に細粒化するRPF燃焼灰造粒固化物とその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記課題を満足するものでありその特徴とするところは次の(1)〜(5)のとおりである。
【0014】
(1)、RPF燃焼炉からの燃焼灰とセメントと清水とを造粒機に導入して混合攪拌して造粒するRPF燃焼灰造粒固化材の製造方法において、
RPF燃焼炉からの燃焼灰を外気に晒さずに直接造粒機に導入して混合攪拌して造粒することを特徴とするRPF燃焼灰造粒固化物の製造方法。
【0015】
(2)、燃焼灰を65〜75w%とセメントを12〜7w%と清水を23〜18w%とを混合攪拌して造粒することを特徴とする請求項1に記載のRPF燃焼灰造粒固化物の製造方法。
【0016】
(3)、RPF燃焼炉からの燃焼灰を吸引密封搬送して燃焼灰サイロに導入し、燃焼灰サイロからの燃焼灰を直接造粒機に導入することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のRPF燃焼灰造粒固化物の製造方法。
【0017】
(4)、燃焼灰と、セメントと、水分を含有し、粒度が5mm以下で、膨張比が1.0%以下、粗粒率が3.5以下、細粒化率が3%以下、修正CBRが30%以上のRPF燃焼灰造粒固化材。
【0018】
(5)、前記RPF燃焼灰造粒固化材の用途が路盤材料、アスファルトコンクリート用骨材、グランド下層材料、セメントコンクリート用骨材、凍上抑制材料の何れかであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載のRPF燃焼灰造粒固化物の製造方法又は前記(4)に記載のRPF燃焼灰造粒固化物。
【発明の効果】
【0019】
本発明のRPF燃焼灰造粒固化物とその製造方法はRPF燃焼炉からの燃焼灰を外気に晒さずに直接造粒機に導入しセメントと清水とを混合攪拌して造粒することにより、造粒前における燃焼灰の養生をすることなく、造粒後に敢えて破砕する工程を必要とすることなく、造粒後に造粒体が大気と触れ大気中の酸素および水分との反応による膨張力によって内部割れ、表面割れ、ひび割れ等の各種割れを生じながらそれが起因して搬送過程、分粒過程などで適度の粒度に崩壊する所謂自己破壊させて所望の均一な細粒分布で且つ所望強度のRPF燃焼灰造粒固化物を効率よく製造することができる優れた効果をもたらすものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(1、)本発明におけるRPF燃焼灰の定義
分別排出基準に基づいた紙類、木類や塩ビ系を除いたプラスチックを主原料にした固形燃料RPFと石炭を混合したものを製紙会社等でボイラー燃料として使用する。これにより発生する燃焼灰をRPF燃焼灰という。
好ましい化学組成は、二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化カルシウムが全体の70%以上を占め、その他酸化第2鉄、酸化マグネシウムなどの酸化物である。
(2)、本発明において、RPF燃焼灰を外気に晒さずに直接造粒機に導入する方法例とその意義
RPF燃焼炉からの燃焼灰を例えば粉粒体運搬車(バルク車)等で吸引密封搬送して密封の燃焼灰サイロに貯蔵し、燃焼灰サイロからの燃焼灰を直接造粒機にて混合する。
これにより、造粒前に予め空気に晒して酸化させる前養生によってRPF燃焼灰を単味で使用する場合の欠点とされていた膨張力を失うことなく、造粒後の自己破壊に効果的にそれを利用することができる。
更に、RPF燃焼灰が施工時に飛散する作業環境や強アルカリ外気に晒さずに、効率よく製造することができる。
(3)、本発明において、造粒体の大きさとその自己破壊効果(細粒効果の程度と物性値)
造粒後に造粒体が大気と触れ大気中の酸素および水分との反応による膨張力によって内部割れ、表面割れ、ひび割れ等の各種割れを生じながらそれが起因して搬送過程、分粒過程などで適度の粒度に崩壊する所謂自己破壊させて所望の均一な細粒分布で且つ所望強度のRPF燃焼灰造粒固化物を効率よく製造する。
造粒機にて造粒した粒状体の粒度分布で5mmが75%程度であったものが、造粒後約24時間経過した後の粒度分布は5mm以下が85%になっており自己破砕作用が顕著に得られまた修正CBRも30%以上であった。
【0021】
(4)、本発明において、外気に晒さずに造粒機に導入するRPF燃焼灰とセメントと清水との配合割合とその意義
○RPF燃焼灰の配合範囲とその意義
図1は暴露したRPF燃焼灰自体の膨張比と本発明で製造したRPF燃焼灰造粒固化物の膨張比の経時変化を比較して示した図である。RPF燃焼灰の膨張は収束するまでに測定開始からおよそ1ヶ月間を必要とし、一方、RPF燃焼灰造粒固化物の場合は測定開始後の24時間程度の間に膨張は収束する傾向を示している。したがって、RPF燃焼灰造粒固化物の膨張比を1.0%以下に抑えるためには65〜75w%程度のRPF燃焼灰を使用することが望ましい。
○セメント配合量範囲とその意義
セメント量は粗粒率(FM)及び細粒化率から見ると、セメント量が増加するのに比例して測定値が高くなる傾向となる。又、団粒が大きくなり粒度は粗くなり、団粒が壊れ細粒化率が高くなる。
粗粒率(FM)の目標3.0程度(標準的な砂の値)とすると、セメント量は12〜7w%程度となる。
○清水の配合量範囲とその意義
粗粒率(FM)を目標3.0(標準的な砂の値)と設定すると概ね水量21w%程度を境に変化が見られる。また、単位水量を細粒化率2.0%以下に設定すると、23〜18w%程度が良好な単位水量となる。
【0022】
○必要に応じて添加する添加物の例
1)、固化促進剤の目的と種類と外掛けの添加割合
高性能分散剤フローエイド2009(株式会社タイホーコーザイ製:商標)を使用する場合がある。
これにより、水和時におこるセメント粒子の凝結を防ぎ、粒子相互を分散させる。また、この薬剤により水和が効果的に行われ、強さも増加する。単位セメント量の約1.0%が最適使用量である。
【0023】
(5)、本発明において、造粒機の例(型式又は仕様、造粒性能、etc)
本発明において使用する混練造粒機の形式例及び性能を以下に示す。
名称、形式:ペレガイア(株式会社北川鉄工所製:商標)VZ−1000F、ミキサー容量:1000L、動力: 30kW+55kW、燃焼灰の処理能力:128t/日
【0024】
(6)、本発明において、用途別の効果
1)、粒状路盤材
RPF燃焼灰造粒固化物は、舗装材料の粒状路盤の骨材として用いることができ、RPF燃焼灰の利用を可能とするものである。有限な地球資源である天然砂、砕石に代わる材料として、利用することができるため、地球環境汚染が大きな社会問題となっている資源の保存に貢献することができる。
2)、アスファルトコンクリート用骨材
RPF燃焼灰造粒固化物は、アスファルトコンクリートの骨材として用いることができ、RPF燃焼灰の利用を可能とするものである。有限な地球資源である天然砂、砕石に代わる材料として、利用することができるため、地球環境汚染が大きな社会問題となっている資源の保存に貢献することができる。
3)、グランド下層材
RPF燃焼灰造粒固化物は、運動場やグラウンドの土系舗装材料に求められる保水性と透水性を有していることから、中層に用いることにより、表層から浸透する余剰水の排除と大きな保水力により表層の乾燥を防ぐことができる。
4)、セメントコンクリート用骨材
RPF燃焼灰造粒固化物は、セメントコンクリートの骨材として用いることができ、RPF燃焼灰の利用を可能とするものである。有限な地球資源である天然砂、砕石に代わる材料として、利用することができるため、地球環境汚染が大きな社会問題となっている資源の保存に貢献することができる。
【0025】
(7)、本発明の説明で使用する用語の定義は次の通りである。
1)粗粒率について
骨材のふるい分け試験の結果を用いて、公称寸法が0.15、0.3、0.6、1.2、2.5、5、10、20、40および80mmの各ふるいに留まる累計残留百分率(%)の総和を求め、これを100で除した値。英語の頭文字をとってF.M.と表記・呼称されることも多い。一般に骨材の平均粒径が大きいものほど粗粒率の値が大きい。
2)、細粒化率について
RPF燃焼灰造粒固化物を110℃の温度で一定質量になるまで炉乾燥したのち、その試料500gと鋼球(φ25mm)20個をふるい振とう器の受け皿に入れて30分間振とうする。その試料についてふるい分け試験を行い、次式で細粒化率を求める。細粒化率=(振とう後の0.6mmふるい通過質量百分率)/(振とう前の0.6mm通過質量百分率)
3)、修正CBRについて
California Bearing Ratioの略語で、路盤材料や盛土材料の品質基準を表わす指標。現場締固め条件に合せてもとめた砕石、砂利、スラグなどの粒状路盤材のCBR。はじめJIS A 1211(CBR試験方法)に従い3層92回の突固めで求めた最適含水比で、3層92、42および17回の突固め回数で締固めた供試体の乾燥密度と4日間水浸後のCBRの関係グラフを求める。このグラフを用いて施行時に予想される締固め度に対応する乾燥密度よりCBRを求める。これがその材料の修正CBRである。締固め度は通常3層92回突固めたときの乾燥密度の95%とする。舗装施工便覧では下層路盤材の修正CBRは道路用砕石の場合、道路用鉄鋼スラグ30%以上、上層路盤材では80%以上と規定している。
【実施例1】
【0026】
本発明の実施例は図2に示す製造装置を用いてRPF燃焼灰造粒固化物を製造した例である。
図2において、RPF燃焼灰造粒固化物の製造装置は、RPFの燃焼炉100と、燃焼灰サイロ200と、セメントサイロ300と、固化促進剤供給管400と、清水薬剤貯蔵タンク501と薬剤供給タンク502と、バッチ式の造粒機600と、造粒したRPF燃焼灰造粒固化材を搬送するコンベアー701と篩装置(スクリーン)702とから構成してなる。
【0027】
RPFの燃焼炉100から排出した400〜600℃のRPF燃焼灰は、外気に晒さない状態で吸引搬送管P1により吸引密封搬送して燃焼灰サイロ200に挿入する。
燃焼灰サイロ200からはロータリーフィダーにより定量的に抜き出し配合に必要な40〜300℃のRPF燃焼灰をスクリューコンベアで所定量切り出されて造粒機600に装入される。セメントサイロ300からはロータリーフィダーで配合に必要な所定量切り出されて造粒機600に装入され混合・撹拌される。清水タンク500からは配合に必要な所定量の清水のみが或いは固化促進剤サイロ400から混入した固化促進剤と共に造粒装置600に装入され造粒を形成する。
造粒に要する時間(1バッチ)は5〜10分で行い、造粒機の容積は1.0mで1バッチのRPF燃焼灰は300〜600kgを使用する。
【0028】
バッチ式の造粒装置600は、RPF燃焼灰とセメントと清水又は固化促進剤を混合させた清水を自転公転する攪拌機601で攪拌しながら混合して造粒する攪拌造粒部を有する。
【0029】
このRPF燃焼灰造粒固化物の製造装置による具体的な製造方法例とRPF燃焼灰造粒固化材例を表1に紹介し、RPF燃焼灰造粒固化物を用いた粒状路盤材料の配合設計と性能を表2と表3に紹介する。またセメントコンクリート用骨材配合設計条件とその結果を表4に紹介し、エココンクリートブロック規格表を表5に示す。
【0030】
図2において、粒状路盤材料の製造は、攪拌重機により細骨材としてのRPF燃焼灰造粒固化物とRC40とを表1のように配合して表2および3に記載の粒状路盤材を製造する。
又エココンクリートブロックの製造はバッチャープラントにより細骨材としてのRPF燃焼灰造粒固化物と清水と高炉セメントと混和剤とRC40とを表4に記載のように配合して表5に記載のエココンクリートブロックを製造する。
【0031】
【表1】

【0032】
以上の実施例で紹介のように、本発明の上記実施例の具体例において造粒機にて造粒した粒状体の粒度分布で5mmが75%程度で有ったものが、造粒後約24時間経過した後の粒度分布は5mm以下が85%になっており自己破砕作用が顕著に得られまた修正CBRも30%以上であった。
これに比し比較例は、造粒機にて造粒した粒状体の粒度分布で5mmが70%程度で有ったものが、数週間を経過した後の粒度分布は5mmが75%程度になっており目標の粒度分布には程遠いものであった。修正CBRは30%以上であった。
【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

表1の具体例1のRPF燃焼灰造粒固化物とRC−40を配合して得た粒状路盤材の各性状の試験結果を示す。通常の道路用粒状路盤材と遜色ない結果が得られた。
【0035】
【表4】

【0036】
【表5】

【0037】
而して、表1の具体例1のRPF燃焼灰造粒固化物を利用した本例のエココンクリート製造において、当該RPF燃焼灰造粒固化物とRC4005を配合する他のコンクリート原料の種類とその配合率の例とこれで得たエココンクリートブロックの性状を表4に併記した通りであり、エココンクリートブロックの仕様サイズは表5に記載してある。
【0038】
このエココンクリートブロックにおいての試験内容は次の通り好結果が得られた。
a)、圧縮強度
圧縮強度は、材齢28日で目標とする強度21Nmmを満足する結果となっている。
b)、スランプ
スランプに於いては、目標とするスランプ12.0±2.5cm以内で良好な数値である。
c)、空気量
空気量は、目標とする空気量2.0±1.0%以内で良好な数値である。
d)、エココンクリートブロックひび割れ状態
ひび割れについては、前述の原料灰を造粒固化処理することにより、ひび割れの発生は確認出来なかった。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は前記のように優れた効果即ちRPFの燃焼炉からのRPF燃焼灰とセメントと清水を、又はこれらと前記清水に混合した固化促進剤とを造粒機に導入して造粒するRPF燃焼灰造粒固化材とその製造方法において、造粒前における燃焼灰の前養生をすることなく、造粒後に破砕する工程を必要とすることなく、RPF燃焼灰の前養生を造粒終了後に発現させて、造粒直後のRPF燃焼灰造粒固化材を短時間で自己破壊させ所望の細粒分布のRPF燃焼灰造粒固化物に変換して製造することができるため、自己破壊させたRPF燃焼灰造粒固化物は、早期に土木材料として路盤材、アスファルトコンクリート骨材、グランド下層材、セメントコンクリート骨材等に適用し、或いは鉄鋼製造用の副資材として溶銑・溶鋼の保温材等に適用し、農業用資材として土地改良材等に適用することができるなど、適用産業が幅広く産業上の利用可能性は多大なものがある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の製造方法で利用するRPF燃焼灰とRPF燃焼灰造粒固化材との膨張量の経時変化を示すグラフである。
【図2】本発明の製造方法を実施する装置とそのプロセスを示す概要説明図である。
【図3】本発明とその製造方法の具体例1〜3により自己破壊した5mm以下に細粒化したRPF燃焼灰造粒固化物の写真を示す。
【図4】表5に示すエココンクリートブロックAの写真を示す。
【符号の説明】
【0041】
100:RPFの燃焼炉
200:燃焼灰サイロ
300:セメントサイロ
400:固化促進剤供給管
501:清水薬剤貯蔵タンク
502:薬剤供給タンク
600:バッチ式の造粒機
701:コンベアー
702:篩装置(スクリーン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
RPF燃焼炉からの燃焼灰とセメントと清水とを造粒機に導入して混合攪拌して造粒するRPF燃焼灰造粒固化材の製造方法において、
RPF燃焼炉からの燃焼灰を外気に晒さずに直接造粒機に導入して混合攪拌して造粒することを特徴とするRPF燃焼灰造粒固化物の製造方法。
【請求項2】
燃焼灰を65〜75w%とセメントを12〜7w%と清水を23〜18w%とを混合攪拌して造粒することを特徴とする請求項1に記載のRPF燃焼灰造粒固化物の製造方法。
【請求項3】
RPF燃焼炉からの燃焼灰を吸引密封搬送して燃焼灰サイロに導入し、燃焼灰サイロからの燃焼灰を直接造粒機に導入することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のRPF燃焼灰造粒固化物の製造方法。
【請求項4】
燃焼灰と、セメントと、水分を含有し、粒度が5mm以下で、膨張比が1.0%以下、粗粒率が3.5以下、細粒化率が3%以下、修正CBRが30%以上のRPF燃焼灰造粒固化物。
【請求項5】
前記RPF燃焼灰造粒固化物の用途が路盤材料、アスファルトコンクリート用骨材、グランド下層材料、セメントコンクリート用骨材、凍上抑制材料の何れかであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一つに記載のRPF燃焼灰造粒固化物の製造方法又は請求項4に記載のRPF燃焼灰造粒固化物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−157854(P2012−157854A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36413(P2011−36413)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(308022313)株式会社東部開発 (2)
【Fターム(参考)】