説明

RPR装置

RPR装置は、1以上のリングに接続されてRPR(Resilient PacketRing)ネットワークを構成する。RPR装置は、リングに接続される各RPR装置を示すRPR装置アドレスと、各RPR装置がそれぞれ収容している利用者機器を示す利用者機器アドレスとの対応関係を登録するための記憶部を有し、自装置が収容している利用者機器から受信された或る利用者機器が宛先のデータを受け取ったときに、この或る利用者機器を収容しているRPR装置のRPR装置アドレスが記憶部に登録されている場合には、このRPR装置アドレスが宛先RPR装置アドレスとして設定されたRPRヘッダをデータに付加してRPRネットワークに送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、1以上のリングに複数のRPR(Resilient Packet Ring)装置が接続されて構成されるRPRネットワークに関し、特に、レイヤ2(L2)におけるL2−RPRマッピングテーブルを用いたRPR技術を使用したパケット転送方式に関する。
【背景技術】
従来、遠隔地にあるホスト間接続において、専用線を用いたネットワーク構築が一般的な方法であった。しかしながら、このような専用線を用いたネットワーク構築においては、エンド−トゥ−エンド(End to End)において、
(1)すべての帯域を占有する結果となる。
(2)専用線IP接続等、様々なサービスにおいて価格設定が高くなる。
等の問題が生じている。
また、専用線の接続距離に応じて価格が決まる体系となっているため、専用線をベースとした全国ネットワークの構築を行う場合、多額の費用を必要としていた。
そこで、専用線をベースとしたネットワーク構築の問題点を解消するために、身近に用いているLAN(Local Area Network)技術を使用することによって、全てのネットワークを構築するという発想で出てきた技術が、広域LANサービスである。
広域LANサービスは、LANで使用される方式、つまり比較的近くにあるコンピュータ同士をつないだネットワークで使用されるイーサネット(商標)を、大規模の広域ネットワークサービスに拡大応用したものである(Fig.37参照)。
ユーザにとっては、全てのホストがLANで単純につながっているように見えるので非常に使い易く、かつ、装置コストおよび保守コストが安いというメリットがある。これらのことから、広域LANサービスは現在急増している。
現在の広域LANサービスでは、ユーザとの接続ポイントは、安価なLANインターフェースで実現することができる。しかし、キャリアネットワーク内部のインターフェースとしては、信頼性の高いSONET(Synchronous Optical Network)/SDH(Synchronous Digital Hierarchy)技術にイーサネットのフレームをマッピングすることによって実現されている。このSONET/SDHは帯域を占有したり、統計多重効果が得られない。このため、SONET/SDHの利用価格は、ユーザにとっては非常に高価となっている。
こうした中、高価なSONET/SDH通信部分を置きかえる技術としてRPR技術が登場している。RPRはパケットリングアクセス方法を用いており、最低155Mb/sから最高10Gb/sの帯域でのデータ通信を可能にする。また、RPRは、アウターリング(Outer Ring)、インナーリング(Inner Ring)と呼ばれる2つの反対方向に周回する二重リングをサポートしているので、故障保護手段による回復力にも富んでいる。
さらに、RPRは、パケット通信の利点を生かして統計多重効果を発揮しながら、SONET/SDHと同様にハードワイヤードの専用線と同様な帯域保証が確立されている。また、データパケットは、アウターリングとインナーリングとのどちらに対しても送出することができる。
送信ノードは、データパケットの送出に際して、トポロジ検出技術によって最短ルートとなる側を選択してデータを送信する機能を有している。本機能において、送信データパケットは、リングへの入り口でRPRヘッダが付加され、リングの出口でRPRヘッダは外される。
現状では、ルーティングプロトコル等のL3(レイヤ3)機能を持つルータにRPR機能を実装することによってRPR装置(ノード)を構成し、このようなRPR装置を用いてRPRリングネットワークを構築している。すなわち、現状のRPRリングネットワークは、L3機能を含んで実現されている。Fig.38は、従来のRPR装置の原理説明図である。
RPR装置は、アウターリングおよびインナーリングに対するドロップインおよびドロップアウト用のインターフェイスを有するとともに、複数の利用者機器インターフェイスを有している。
また、RPR装置は、フレームの送出先をアウターリングとインナーリングとから選択する送出リング選択部と、フレームの送信先RPR装置を判定する送出RPR装置判定部と、利用者機器インターフェイスから受信された利用者データを解析する受信利用者データ判定部と、利用者機器アドレスとその収容位置との対応を利用者機器アドレス/収容位置学習テーブルに登録する利用者アドレス学習部と、RPRリングから受信したフレームを解析する受信データ判定部と、利用者機器に対するフレームの送出位置を判定する送出位置判定部と、利用者機器アドレス/収容位置学習テーブルを参照して利用者アドレスに対応する収容位置を検索する利用者アドレス検索部と、受信されたフレームに対するL3レベルのルーティングおよび経路選択を行うIPルーティング制御部とを備える。
現状のRPRリングネットワークにおいて、端末Aから端末Bへデータ転送を実行する場合のRPR装置の動作概要をFig.39を用いて説明する。下記概要に係る図中の括弧内の数字は、下記に示す数字と対応する。
(1)保守者はリングを構成しているRPR装置I〜IVの初期設定を実施する。
(2)各RPR装置I〜IVは、リングトポロジ検出を実行し、トポロジマップを生成する(RPR装置Iはリング上のノードとホップ数の情報を収集する)。
(3)各RPR装置および各ルータはルーティングプロトコルによりルーティングテーブルを生成する。
(4)端末Aは自分の属しているサブネット内にARP(Address Resolution Protocol)要求を送出する(端末AがルータXのMACアドレスを知るため)。
(5)ルータXより端末AへARP応答が転送される(端末Aは宛先MACアドレスを認識する)。
(6)端末Aより端末B宛のパケットをルータXに送信する(DA(Destination Address):ルータXのMACアドレス、SA(Source Address):端末AのMACアドレス)。
(7)ルータXは、受信パケットより宛先IPアドレスを抽出し、L3ルーティングプロトコルにより作成されたルーティングテーブルにより、端末BがRPR装置Iの先に存在することを認識する。従って、RPR装置I側のサブネット内へARP要求を送出する(ルータXがRPR装置IのMACアドレスを知るため)。
(8)RPR装置Iは自分のポート“a”の配下にルータXがいることを認識する(RPR装置IはMAC学習テーブル(利用者機器アドレス/収容位置学習テーブル)を生成する)。
(9)RPR装置IよりルータXへARP応答を送出する(ルータXは宛先MACアドレス(RPR装置IのMACアドレス)を認識する)。
(10)ルータXよりRPR装置Iへパケットを送信する(DA:RPR装置IのMACアドレス、SA:ルータXのMACアドレス)。
(11)RPR装置Iは(10)で受信したパケットより宛先IPアドレスを抽出し、ルーティングテーブルにより、端末BがRPR装置IIIの先に存在することを認識する。従って、受信パケットにRPRヘッダ(DA:RPR装置IIIのMACアドレス、SA:RPR装置IのMACアドレス)を付けて、RPRリング内に送出する。
(12)RPR装置IIはパケットが自装置宛てではないためパケットをスルーし、RPR装置IIIはパケットをドロップする。
(13)RPR装置IIIは端末Bが属しているサブネット内へARP要求を送出する(RPR装置IIIが端末BのMACアドレスを知るため)。
(14)端末BからRPR装置IIIへARP応答を送信する(RPR装置IIIは宛先MACアドレス(端末BのMACアドレス)を認識する)。
(15)RPR装置IIIは、受信したパケットのRPRヘッダを取り除き、端末Bへ送信する(DA:端末BのMACアドレス、SA:RPR装置IIIのMACアドレス)。
ところで、ルミナス・ネットワークス社では、L2の技術を利用して,SONET/SDHのようなリング型ネットワークを構築できるリング伝送技術「Resilient Packet Transport」(RPT)を提供している。この技術は独自のフレームフォーマットを使用したカプセル化制御によって実現されている。
また、RPTの他にIEEE802.17の標準化前に独自に提供された技術として、シスコシステムズ社のSRP(Spatial Reuse Protocol)、Nortel社のOPTera PacketEdgeがあるが、どちらともL3機能を含んだ制御方式となっている。
なお、本願発明に関連する先行技術文献として、次の特許文献1および特許文献2に記載された発明がある。特許文献1は、共有ネットワーク上にVPNを形成し、該VPN内で通信を行うネットワークにおいて、VLANとMPLSヘッダのマッピングによりL2ルーティングテーブルを作成する技術を開示する。
特許文献2は、リング構成のネットワークにおいて、リング側ポート、またはローカル側ポートの両方について自己学習するテーブルを作成し、カプセルやトークンを使わずにリング内のパケット伝送を行う技術を開示している。
【特許文献1】 特開2002−164937号
【特許文献2】 特表2002−523992
上述したような従来のRPR制御方式では以下に示す問題点(課題)がある。第1に、現状では、ルーティングプロトコル等のL3(レイヤ3)機能を含んだルータにRPR機能を実装することによってRPR装置を構成し、このようなRPR装置を用いてリングネットワークを構築している。
このため、高性能なCPUや高機能なソフトウェア、ハードウェアが必要であった。また、ルーティングプロトコルに大容量メモリを必要とする。これらのことからRPR装置(ノード)全体のコストが高くなっていた。
第2に、RPR装置がL3機能を搭載しているため、複雑な該機能を運用/管理するための高額な保守費用が必要となっていた。
第3に、既存技術におけるL2機能での実現方法は、ルミナス社のように独自のヘッダ等を用いてヘッダのカプセル化によって実現している為、直接RPR装置とつなげる事が出来なかった。
【発明の開示】
本発明の目的の一つは、L3機能を含むことなくRPRリングネットワークを構築できるRPR装置を提供することである。
また、本発明の目的の一つは、装置全体のコストを低減できるRPR装置を提供することである。
また、本発明の目的の一つは、保守費用を低減できるRPR装置を提供することである。
また、本発明の目的の一つは、特別なデータフォーマットを使用することなく、RPRリングネットワークにおけるデータ転送を実現できるRPR装置を提供することである。
本発明の第1の態様は、1以上のリングに接続されてRPR(Resilient Packet Ring)ネットワークを構成するRPR装置であって、
前記リングに接続される各RPR装置を示すRPR装置アドレスと、各RPR装置がそれぞれ収容している利用者機器を示す利用者機器アドレスとの対応関係を登録するための記憶部と、
自装置が収容している利用者機器から受信された或る利用者機器が宛先のデータを受け取り、この或る利用者機器を収容しているRPR装置のRPR装置アドレスが前記記憶部に登録されている場合には、このRPR装置アドレスが宛先RPR装置アドレスとして設定されたRPRヘッダを前記データに付加する転送制御手段と、
RPRヘッダが付加された前記データを前記RPRネットワークに送出する手段と、を含む。
第1の態様は、前記RPRネットワークからRPRヘッダが付加されたデータを受信する受信手段と、
少なくとも前記RPRヘッダが付加されたデータの送信元アドレスとこのRPRヘッダに設定されている送信元RPR装置アドレスとを前記受信手段から受け取り、この送信元アドレスが前記記憶部に登録されていない場合に、これらの送信元アドレスと送信元RPR装置アドレスとを対応づけて前記記憶部に登録するアドレス学習手段と、をさらに含むように構成することが好ましい。
第1の態様は、前記アドレス学習手段が、前記受信手段で受信されたRPRヘッダが付加されたデータの送信元アドレスが前記記憶部に記憶されているか否かを判定する判定部と、
前記送信元アドレスが記憶されていない場合に、前記送信元アドレスと前記RPRヘッダに設定されている送信元RPR装置アドレスとを対応付けて前記記憶部に記憶する登録部と、
を含むように構成するのが好ましい。
第1の態様は、前記転送制御手段が、前記或る利用者機器宛のデータの送信先アドレスを検索キーとして、対応するRPR装置アドレスを検索する検索部と、
前記対応するRPR装置アドレスが検索された場合に、このRPR装置アドレスが宛先RPR装置アドレスとして設定されたRPRヘッダを前記データに付加する付加部と、を含むように構成するのが好ましい。
第1の態様は、前記受信手段が、RPRネットワークから受信したRPRヘッダが付加されたデータに設定されているグループ識別子が自装置に収容されている利用者機器が属するグループ識別子と合致しない場合には、前記アドレス学習手段に、少なくとも前記データの送信元アドレスと前記RPRヘッダに設定されている送信元RPR装置アドレスとを渡さないように構成するのが好ましい。
第1の態様は、前記利用者機器アドレスおよび前記RPR装置アドレスがMACアドレスであるように構成するのが好ましい。前記グループ識別子は、レイヤ2グルーピング識別子(例えば、VLAN ID)であるように構成するのが好ましい。
本発明の第2の態様は、1以上の利用者機器をそれぞれ収容する第1および第2のRPR(Resilient Packet Ring)装置を含む複数のRPR装置が1以上のリングに接続されたRPRネットワークシステムであり、
前記第1のRPR装置は、自装置が収容している第1の利用者機器から、前記第2のRPR装置に収容されている第2の利用者機器への到着を所望するブロードキャスト指定のパケットを受信した場合に、このパケットに送信元アドレスが第1のRPR装置のMACアドレスであり且つ宛先アドレスがブロードキャストアドレスであるRPRヘッダを付加してRPRネットワークに送出し、
前記第2のRPR装置は、前記第1のRPR装置から送出されたRPRヘッダが付加されたパケットをRPRネットワークから受信した場合に、このRPRヘッダの送信元アドレスとこのパケットに送信元アドレスとして設定されている前記第1の利用者機器のMACアドレスとに基づいて、前記第1のRPR装置に前記第1の利用者機器が収容されていることを学習するとともに、このパケットからRPRヘッダを外して前記第2の利用者機器に向けて送出し、
前記第2のRPR装置は、前記第2の利用者機器から送信された前記第1の利用者機器宛のパケットを受信した場合に、このパケットに学習済みの前記第1のRPR装置のMACアドレスが宛先RPR装置アドレスとして設定されたRPRヘッダを付加してRPRネットワークに送出し、
前記第1のRPR装置は、前記第2のRPR装置から送出されたRPRヘッダが付加されたパケットをRPRネットワークから受信した場合に、このパケットからRPRヘッダを外して前記第1の利用者機器へ向けて送出する。
第2の態様は、前記第1のRPR装置が、前記第2のRPR装置から送出されたRPRヘッダが付加されたパケットを受信した場合に、このRPPヘッダに送信元RPR装置アドレスとして設定されている前記第2のRPR装置のRPR装置アドレスと、このパケットの送信元アドレスとして設定されている前記第2の利用者機器のアドレスとに基づいて、前記第2のRPR装置が前記第2の利用者機器を収容していることを学習し、
前記第1の利用者機器から、宛先アドレスとして前記第2の利用者機器のアドレスが宛先アドレスとして設定されたパケットを受信した場合には、このパケットに、学習済みの前記第2のRPR装置のRPR装置アドレスが宛先RPR装置アドレスとして設定されたRPRヘッダを付加してRPRネットワークに送出するように構成するのが好ましい。
第2の態様は、前記第1のRPR装置と前記第2のRPR装置との間を転送されるRPRヘッダが付加されたパケットを中継するRPR装置が、前記第1または第2のRPR装置から送出された前記RPRヘッダが付加されたパケットを受信した場合には、このRPRヘッダが付加されたパケットに設定されている送信元PRP装置アドレスと送信元アドレスとに基づいて、この送信元RPR装置アドレスで特定されるRPR装置に、この送信元アドレスで特定される利用者機器が収容されていることを学習するように構成するのが好ましい。
第2の態様は、異なるRPR装置に収容された利用者機器間で送受信されるパケットには、これらの利用者機器が属するレイヤ2グループを示すレイヤ2グルーピング識別子が設定されており、
前記複数のRPR装置のそれぞれは、自装置が収容している利用者機器のL2グルーピング識別子を保持しており、RPRネットワークから受信するRPRヘッダが付加されたパケットに、自装置が保持しているL2グルーピング識別子と異なるL2グルーピング識別子が設定されている場合には、このRPRヘッダが付加されたパケットの取り込みおよび前記学習を行わないように構成するのが好ましい。
本発明の第3の態様は、1以上のリングに接続されてRPR(Resilient Packet Ring)ネットワークを構成するRPR装置のデータ転送方法であって、
自装置が収容している利用者機器から受信された或る利用者機器が宛先のデータを受け取り、
この或る利用者機器を収容しているRPR装置のRPR装置アドレスが、前記リングに接続される各RPR装置を示すRPR装置アドレスと、各RPR装置がそれぞれ収容している利用者機器を示す利用者機器アドレスとの対応関係を登録するための記憶部に登録されている場合には、このRPR装置アドレスが宛先RPR装置アドレスとして設定されたRPRヘッダを前記データに付加し、
RPRヘッダが付加された前記データを前記RPRネットワークに送出する、
ことを含む。
第3の態様は、前記RPRネットワークからRPRヘッダが付加されたデータを受信し、
受信されたデータの送信元アドレスが前記記憶部に登録されていない場合に、これらの送信元アドレスと送信元RPR装置アドレスとを対応づけて前記記憶部に登録する、ことをさらに含むように構成するのが好ましい。
第3の態様は、前記RPRネットワークから受信されたRPRヘッダが付加されたデータの送信元アドレスが前記記憶部に記憶されているか否かを判定し、
前記送信元アドレスが記憶されていない場合に、前記送信元アドレスと前記RPRヘッダに設定されている送信元RPR装置アドレスとを対応付けて前記記憶部に登録する、ように構成するのが好ましい。
第3の態様は、前記或る利用者機器宛のデータの送信先アドレスを検索キーとして、対応するRPR装置アドレスを検索し、
前記対応するRPR装置アドレスが検索された場合に、このRPR装置アドレスが宛先RPR装置アドレスとして設定されたRPRヘッダを前記データに付加するように構成するのが好ましい。
第3の態様は、RPRネットワークから受信されたRPRヘッダが付加されたデータに設定されているグループ識別子が自装置に収容されている利用者機器に割り当てられたグループ識別子に合致しない場合には、前記記憶部に対する前記データの送信元アドレスと前記RPRヘッダに設定されている送信元RPR装置アドレスとの登録処理を行わないように構成するのが好ましい。
第3の態様は、前記利用者機器アドレスおよび前記RPR装置アドレスがMACアドレスであり、前記グループ識別子がレイヤ2グルーピング識別子であり、前記レイヤ2グルーピング識別子がVLAN IDであるようにそれぞれ構成するのが好ましい。
本発明の第4の態様は、1以上の利用者機器を収容する第1および第2のRPR(Resilient Packet Ring)装置を含む複数のRPR装置が接続されたRPRネットワークシステムのデータ転送方法であって、
前記第1のRPR装置が収容している第1の利用者機器から前記第2のRPR装置に収容されている第2の利用者機器への到着を所望するブロードキャスト指定のパケットを前記第1のRPR装置が受信した場合に、前記第1のRPR装置で、このパケットに送信元アドレスが第1のRPR装置のMACアドレスであり且つ宛先アドレスがブロードキャストアドレスであるRPRヘッダを付加してRPRネットワークに送出し、
前記第2のRPR装置が前記第1のRPR装置から送出されたRPRヘッダが付加されたパケットをRPRネットワークから受信した場合に、前記第2のRPR装置で、このRPRヘッダの送信元アドレスとこのパケットに送信元アドレスとして設定されている前記第1の利用者機器のMACアドレスとに基づいて、前記第1のRPR装置に前記第1の利用者機器が収容されていることを学習するとともに、このパケットからRPRヘッダを外して前記第2の利用者機器に向けて送出し、
前記第2のRPR装置が前記第2の利用者機器から送信された前記第1の利用者機器宛のパケットを受信した場合に、前記第2のRPR装置で、このパケットに学習済みの前記第1のRPR装置のMACアドレスが宛先RPR装置アドレスとして設定されたRPRヘッダを付加してRPRネットワークに送出し、
前記第1のRPR装置が前記第2のRPR装置から送出されたRPRヘッダが付加されたパケットをRPRネットワークから受信した場合に、前記第1のRPR装置で、このパケットからRPRヘッダを外して前記第1の利用者機器へ向けて送出する。
第4の態様は、前記第1のRPR装置が前記第2のRPR装置から送出されたRPRヘッダが付加されたパケットを受信した場合に、前記第1のRPR装置で、このRPPヘッダに送信元RPR装置アドレスとして設定されている前記第2のRPR装置のRPR装置アドレスと、このパケットの送信元アドレスとして設定されている前記第2の利用者機器のアドレスとに基づいて、前記第2のRPR装置が前記第2の利用者機器を収容していることを学習し、
前記第1のRPR装置が前記第1の利用者機器から宛先アドレスとして前記第2の利用者機器のアドレスが宛先アドレスとして設定されたパケットを受信した場合には、前記第1のRPR装置で、このパケットに、学習済みの前記第2のRPR装置のRPR装置アドレスが宛先RPR装置アドレスとして設定されたRPRヘッダを付加してRPRネットワークに送出するように構成するのが好ましい。
第4の態様は、前記第1のRPR装置と前記第2のRPR装置との間を転送されるRPRヘッダが付加されたパケットを中継するRPR装置が前記第1または第2のRPR装置から送出された前記RPRヘッダが付加されたパケットを受信した場合には、この中継RPR装置で、このRPRヘッダが付加されたパケットに設定されている送信元RPR装置アドレスと送信元アドレスとに基づいて、この送信元RPR装置アドレスで特定されるRPR装置に、この送信元アドレスで特定される利用者機器が収容されていることを学習するように構成するのが好ましい。
第4の態様は、異なるRPR装置に収容された利用者機器間で送受信されるパケットには、これらの利用者機器が属するレイヤ2グループを示すレイヤ2グルーピング識別子が設定されており、
前記複数のRPR装置のそれぞれは、自装置が収容している利用者機器のL2グルーピング識別子を保持しており、RPRネットワークから受信するRPRヘッダが付加されたパケットに、自装置が保持しているL2グルーピング識別子と異なるL2グルーピング識別子が設定されている場合には、このRPRヘッダが付加されたパケットの取り込みおよび前記学習を行わないように構成するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
Fig.1は、本発明の原理図であり;
Fig.2は、本発明の原理図であり;
Fig.3は、本発明の作用説明図であり;
Fig.4は、本発明の作用説明図であり;
Fig.5は、本発明の作用説明図であり;
Fig.6は、実施例における一ネットワーク構成例(L2グルーピング識別子未使用時)を示す図であり;
Fig.7は、実施例におけるRPR装置の配下のネットワーク構成を示す図であり;
Fig.8は、実施例におけるRPR装置の配下のネットワーク構成を示す図であり;
Fig.9は、実施例におけるRPR装置の配下のネットワーク構成を示す図であり;
Fig.10は、実施例におけるトポロジ検出メッセージのフォーマット説明図であり;
Fig.11は、Fig.10に示したトポロジ検出メッセージの設定情報の説明図であり;
Fig.12は、実施例におけるARP要求パケットのフォーマット説明図であり;
Fig.13は、Fig.12に示したARP要求パケットの設定情報の説明図であり;
Fig.14は、MACアドレス学習テーブルを示す図であり;
Fig.15は、実施例における送出RPR装置判定部の処理を示すフローチャートであり;
Fig.16は、実施例におけるRPRデータパケット(ARP要求)のフォーマット説明図であり;
Fig.17は、Fig.16に示したRPRデータパケット(ARP要求)の設定情報の説明図であり;
Fig.18Aおよび18Bは、実施例における受信データ判定部の処理を示すフローチャートであり;
Fig.19は、実施例におけるRPR装置アドレス学習部の処理を示すフローチャートであり;
Fig.20は、実施例におけるRPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部の処理を示すフローチャートであり;
Fig.21は、RPR−MACアドレス学習テーブルを示す図であり;
Fig.22は、実施例におけるARP応答パケットのフォーマット説明図であり;
Fig.23は、Fig.22に示したARP応答パケットの設定情報の説明図であり;
Fig.24は、MACアドレス学習テーブルを示す図であり;
Fig.25は、実施例におけるRPR装置アドレス検索部の処理を示すフローチャートであり;
Fig.26は、実施例におけるRPRデータパケット(ARP応答)のフォーマット説明図であり;
Fig.27は、Fig.26に示したRPRデータパケット(ARP応答)の設定情報の説明図であり;
Fig.28は、更新後のRPR−MACアドレス学習テーブルを示す図であり;
Fig.29は、RPR−MACアドレス学習テーブルを示す図であり;
Fig.30は、実施例における一ネットワーク構成例(L2グルーピング識別子使用時)を示す図であり;
Fig.31は、VLAN ID登録テーブルを示す図であり;
Fig.32は、VLAN ID登録テーブルを示す図であり;
Fig.33は、実施例におけるARP要求パケット(L2グルーピング識別子使用時)のフォーマット説明図であり;
Fig.34は、Fig.33に示したARP要求パケット(L2グルーピング識別子使用時)の設定情報の説明図であり;
Fig.35は、実施例におけるRPRデータパケット(L2グルーピング識別子使用時)のフォーマット説明図であり;
Fig.36は、Fig.35に示したRPRデータパケット(L2グルーピング識別子使用時)の設定情報の説明図であり;
Fig.37は、広域LANサービスのネットワーク構成を示す図であり;
Fig.38は、従来のRPR装置の原理図であり;
Fig.39は、従来技術(ルータにおけるRPR制御方式)の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。以下の実施形態は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されるものではない。
〔本発明の原理〕
最初に、本発明における原理について説明する。Fig.1は、本発明に係るネットワークシステムの構成例を示す図であり、Fig.2は、本発明に係るRPR装置の構成例を示す図であり、Fig.3,4および5は、Fig.1および2に示したネットワークシステムおよびRPR装置の作用説明図である。
〈ネットワーク構成例〉
Fig.1には、本発明に係る複数のRPR装置I,II,IIIおよびIVが例示されており、これらのRPR装置I,II,IIIおよびIVがRPRリング(インナーリングおよびアウターリング)に接続されることによって、RPRリングネットワークが構築されている。
RPR装置IおよびIIIは、それぞれ利用者側ネットワークN1,N2を収容しており、RPRリングネットワークは、ネットワークN1からネットワークN2へデータを転送するためのバックボーンとして利用される。
RPR装置Iは、ネットワークN1からネットワークN2へデータが転送される場合には、RPRリングネットワークにおけるデータの送信元装置として機能する。また、RPR装置Iは、送信元機器のアドレス(RPR装置Iのノードアドレス)とネットワークN1の収容ポートとの対応関係を学習する利用者アドレス学習機能を持つ。
また、RPR装置IIIは、ネットワークN1からネットワークN2へデータが転送される場合には、RPRリングネットワークにおけるデータの送信先装置として機能する。
また、RPR装置IIIは、送信先機器のアドレス(RPR装置IIIのノードアドレス)とネットワークN2の収容ポートとの対応関係を学習する利用者アドレス学習機能(1)を持つ。
さらに、RPR装置I〜IVは、それぞれ、RPRリングネットワーク内を転送されるデータからRPRリングネットワークにおけるそのデータの送信元装置のアドレスを学習する送信元装置アドレス学習機能(2)を持つ。
〈RPR装置の構成例〉
Fig.2には、各RPR装置I〜IVの構成例が示されている。Fig.2に示すように、本発明に係るRPR装置は、RPRリングに対するフレームのドロップインおよびドロップアウトを行うためのインターフェイスと、利用者側ネットワークにおける利用者機器を収容するための複数の利用者機器インターフェイスとを備えている。
さらに、RPR装置は、RPRリングに対するアウト(送出)側のインターフェイスに接続される送出Ring(リング)選択部11と、送出リング選択部11に接続される送出RPR装置判定部12と、送出RPR装置判定部12によって制御されるRPR装置アドレス検索部13と、送出RPR装置判定部12に接続される受信利用者データ判定部14と、受信利用者データ判定部14によって制御される利用者アドレス学習部15とを備えている。
さらに、RPR装置は、RPRリングに対するイン(受信)側のインターフェイスに接続される受信データ判定部16と、受信データ判定部16によって制御されるRPR装置アドレス学習部17と、受信データ判定部16に接続される送出位置判定部18と、送出位置判定部18によって制御される利用者アドレス検索部19と、RPR装置アドレス検索部13によって参照されるとともに、RPR装置アドレス学習部17によって設定されるRPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20と、利用者アドレス学習部15によって設定されるとともに利用者アドレス検索部19によって参照される利用者機器アドレス/収容位置学習テーブル21とを備えている。
送出リング選択部11は、送出RPR装置判定部12および受信データ判定部16からRPRヘッダが付加されたパケットを受け取る。送出リング選択部11は、パケットを受け取ると、そのパケットのRPRヘッダを確認し、インナーリングとアウターリングとのどちらへパケット(フレーム)を送信するか選択し、選択したリングへパケットを送信する。
送出RPR装置判定部12は、パケットの宛先MACアドレスから送信先RPR装置のMACアドレスを判定し、判定結果に応じたRPRヘッダをパケットに付加する。
すなわち、送出RPR装置判定部12は、パケットを受け取ると、このパケットの宛先MACアドレスに対応する送信先RPR装置アドレスの検索をRPR装置アドレス検索部13に指示し、検索結果として送信先RPR装置アドレスを受け取った場合には、この送信先RPR装置アドレスを含むRPRヘッダをパケットに付与し、送出リング選択部11に与える。
RPR装置アドレス検索部13は、パケットの宛先MACアドレスから送信先利用者機器が接続されているRPR装置のMACアドレスをRPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20から検索する。
すなわち、RPR装置アドレス検索部13は、送出RPR装置判定部12からの指示に従って、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20からパケットの宛先MACアドレスに対応する送信先RPR装置アドレスを検索し、対応する送信先RPR装置アドレスを取得できた場合には、この送信先RPR装置アドレスを送出RPR装置判定部12に通知する。
受信利用者データ判定部14は、利用者機器から受信したパケットから、送信元利用者機器の収容ポートおよび送信元利用者機器のMACアドレスを判定し、利用者アドレス学習部15に与える。
すなわち、受信利用者データ判定部14は、いずれかの利用者機器インターフェイス(収容ポート)で受信されたパケットを受け取り、少なくともこのパケットを受信した収容ポートのポート番号とパケットの送信元MACアドレスとを利用者アドレス学習部15に通知する。
利用者アドレス学習部15は、自RPR装置に接続している送信元利用者機器の収容ポートおよび送信元利用者機器のMACアドレスを学習する。すなわち、利用者機器学習部15は、受信利用者データ判定部14から受け取ったパケットの送信元利用者機器の収容ポート(受信ポート)のポート番号およびその送信元利用者機器のMACアドレス(パケットの送信元MACアドレス)とを対応付けて利用者機器アドレス/収容位置学習テーブル21に設定する。
受信データ判定部16は、リングネットワーク(RPRリング)から受信したパケットに付加されているRPRヘッダの宛先MACアドレスを判定し、隣接RPR装置へ転送するか、自RPR装置へパケットを取り込む(ドロップする)かを決定する。
すなわち、受信データ判定部16は、パケットに付加されているRPRヘッダの送信先RPR装置アドレスが自RPR装置アドレスであれば、そのパケットを送出位置判定部18に送る。これに対し、送信先RPR装置アドレスが自RPR装置アドレスでなければ、そのパケットを送出リング選択部11に送る。また、受信データ判定部16は、RPRヘッダが付加されたパケットをRPR装置アドレス学習部17に与える。
また、本発明は、L2グルーピング識別子(例えば、VLAN識別子)を利用することができる。この場合には、受信データ判定部16が、上記した機能に加えて、さらに、RPRヘッダの宛先MACアドレスを判定する前にフィルタリングを行うように構成することができる。
RPR装置アドレス学習部17は、受信データ判定部16から受け取ったパケットから送信元RPR装置アドレス及び利用者機器アドレスを学習する。
すなわち、RPR装置アドレス学習部17は、パケットに付加されたRPRヘッダの送信元RPR装置アドレスと、パケットの送信元MACアドレス(送信元利用者機器アドレス)との対応関係を学習し、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20に設定する。
また、RPR装置アドレス学習部17は、学習が行われた利用者機器アドレス/収容ポート対応テーブル21を参照して、自RPR装置のアドレスおよび自RPR装置配下の利用者機器アドレスを学習し、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20に設定することもできる。
送出位置判定部18は、RPRヘッダが付加されたパケットを受け取り、このパケットのRPRヘッダを削除し、このパケットの宛先MACアドレスに対応するポート番号の検索を利用者アドレス検索部19に指示し、対応するポート番号を利用者アドレス検索部19から受け取った場合には、このポート番号に対応する収容ポート(利用者機器インターフェイス)からパケットを送出する。
利用者アドレス検索部19は、送出位置判定部18からの指示に従って、パケットの宛先MACアドレスに対応する送信先利用者機器の収容ポートを利用者機器アドレス/収容位置学習テーブル21から検索し、対応する収容ポートを得られた場合には、この収容ポート(ポート番号)を送出位置判定部18に通知する。
RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20は、学習したRPR装置アドレス/利用者機器アドレスの対応関係を示すRPR−MACアドレス学習テーブル20A(Fig.3参照)を管理する。
なお、本発明においてL2グルーピング識別子が利用される場合には、L2グルーピング識別子は、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20にて管理されるように構成することができる。
利用者機器アドレス/収容位置学習部テーブル21は、利用者機器アドレスと利用者機器の収容ポートとの対応関係を示す対応テーブル(「MAC学習テーブル」とも表記する)を保持・管理する。
なお、Fig.2に示したRPR装置の構成は、例えば、従来におけるRPR装置(Fig.38)の送出RPR装置判定部および受信データ判定部に改変を加えるとともに、IPルーティング制御部に代えてRPR装置アドレス検索部13,RPR装置アドレス学習部17およびRPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20を用意することで実現することができる。
Fig.2に示した構成において、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20で管理されるRPR−MACアドレス学習テーブルが本発明の記憶部に相当する。
また、送出RPR装置判定部12およびRPR装置アドレス検索部13が本発明の転送制御手段に相当し、送出RPR装置判定部12が本発明の付加部に相当し、RPR装置アドレス検索部13が本発明の検索部に相当する。また、送出リング選択部11がデータをRPRネットワークに送出する手段に相当する。
また、受信データ判定部16が本発明の受信手段に相当する。また、RPR装置アドレス学習部17およびRPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20が本発明のアドレス学習手段に相当し、RPR装置アドレス学習部20が本発明の判定部に相当し、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20が本発明の登録部に相当する。
〈作用〉
本発明に係る作用をFig.2〜5を用いて説明する。
(1)MACアドレス学習前のパケット送信(Fig.3)
本発明は、従来技術のように、L3ルーティングプロトコルによりルーティングテーブルを作成するのではなく、RPR装置がブロードキャスト送信されるパケットを取り込んでMACアドレス学習によりRPR装置の配下にいる利用者機器が接続されていることを認識し、RPR装置アドレス/利用者機器アドレスの対応テーブルを作成する。
以降、説明にあたり、RPR装置内における処理の説明はFig.2を使用し、各ノードの位置およびフレームの処理に関してはFig.3を使用する。
最初に、保守者は、RPRリングを構成しているRPR装置I,II,III,IVの初期設定を実施する(Fig.3;(1))。
各RPR装置は、従来のRPR技術であるトポロジ検出を行うため、インナーリングおよびアウターリングに対してトポロジ検出メッセージをブロードキャスト送信する。各RPR装置から送信されるトポロジ検出メッセージは他のRPR装置で受信され、リングトポロジ情報が認識される。
トポロジ検出メッセージは定期的に送信され、各RPR装置は、2度連続して同様のリングトポロジ情報を受信すると、そのリングトポロジ情報に関するトポロジテーブルを生成する。このようにして、インナーリングおよびアウターリングのトポロジマップが各RPR装置で作成される。
なお、トポロジマップは、RPRリング上のノード(RPR装置)毎に、そのMACアドレス(RPR装置アドレス),インナーおよびアウターリングに対するTTL(Time to Live:自装置に対する位置を表す)および状態を管理する(Fig.3;(2))。
端末Aは、端末Bへパケットを送信する場合には、既知のIPアドレスからルータXのMACアドレスを認識するために自分の属しているサブネット内にARPパケット(ARP要求パケット)を送信する(Fig.3;(3))。
ルータXは、ARPパケットを受信すると、自身のMACアドレスを含むARP応答パケットを端末Aに送信する(Fig.3;(4))。端末Aは、ARP応答パケットを受信することによって、宛先MACアドレスとして指定されるルータXのMACアドレスを認識することができる。
端末Aは、宛先MACアドレスを認識すると、端末Bにパケットを送信するために、まず、ルータXへデータパケットを送信する(IP宛先アドレス:端末B,Fig.3;(5))。
ルータXはIP宛先アドレスから端末BのMACアドレスを認識するために、端末Bが属しているサブネット内にARP要求パケットを送信する(Fig.3;(6))。これによって、ARP要求パケットがルータXからRPR装置Iへ転送される。
RPR装置Iは、ルータXからのARPパケットをポート“a”で受信する。RPR装置Iは、Fig.2に示す受信利用者データ判定部14でARPパケットからルータXのMACアドレス(ARPパケットの送信元MACアドレス)とARPパケットの受信ポートを認識し、利用者アドレス学習部15にARPパケットを渡す。
利用者アドレス学習部15は、受信利用者データ判定部14で認識したルータXのMACアドレスと受信ポートとの対応関係を学習し、利用者機器アドレス/収容位置学習テーブル21でMAC学習テーブルを作成する。
ARPパケットをRPRリング内へ透過させるため、受信利用者データ判定部14は、ARPパケットを送出RPR装置判定部12へ渡す。
なお、従来技術(Fig.38)では、MAC学習テーブルを作成後、IPを終端するためルータXにARP応答パケットを送出し、その後ルータXからRPR装置Iに送信されるデータパケットを受信する。
受信利用者データ判定部14からARPパケットを受け取った送出RPR装置判定部12は、ARPパケットをRPR装置アドレス検索部13へ渡す。
なお、従来技術(Fig.38)では、データパケットを受信したIPルーティング制御部がデータパケットの宛先IPアドレスをもとに、ルーティングテーブルから端末BがRPR装置IIIに接続していることを認識し、宛先RPR装置MACアドレスをRPR装置IIIのMACアドレスに設定したRPRヘッダを付加する。
RPR装置アドレス検索部13は、ARPパケットの宛先MACアドレスを検索キーとして、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20内のRPR−MACアドレス学習テーブル(RPR装置アドレス/利用者機器アドレス対応テーブル)20Aを検索する。
このとき、宛先RPR装置アドレスが不明であれば、送出RPR装置判定部12は、宛先RPR装置MACアドレスがブロードキャストアドレスに設定され且つ送信元RPR装置MACアドレスにRPR装置IのMACアドレスが設定されたRPRヘッダをARPパケットに付加し、送出リング選択部11へ渡す。ここでは、宛先RPR装置アドレスが不明であったと仮定する。
送出リング選択部11は、RPRヘッダの情報およびトポロジマップに基づいて、インナーリングとアウターリングとのどちらへ送信するかを選択し、選択したリングへRPRデータパケットを送出する。ここでは、送出リング選択部11は、アウターリングを利用して隣接RPR装置であるRPR装置IIにRPRデータパケットを送信する(Fig.3;(8))。
RPR装置IからRPRデータパケットを受信したRPR装置IIの受信データ判定部16は、RPRヘッダの宛先MACアドレス(宛先RPR装置MACアドレス)を判定する。ここでは、宛先RPR装置MACアドレスはブロードキャストアドレスである。
このため、受信データ判定部16は、RPRデータパケットを送出リング選択部11と送出位置判定部18へ渡す。このとき、受信データ判定部16は、RPRデータパケットをRPR装置アドレス学習部17にも渡す。
なお、従来技術(Fig.38)では、受信データ判定部は、送出リング選択部と、IPルーティング制御部へRPRデータパケットを渡す。RPRデータパケットを受け取ったIPルーティング制御部は、ARPパケットから抽出した宛先IPアドレスをもとに、ルーティングテーブルからRPR装置IIの配下に宛先IPアドレスが一致する端末が存在しないことを認識し、ARPパケットを破棄する。
RPRデータパケットを受け取ったRPR装置アドレス学習部17は、RPRデータパケット中のARPパケットの送信元MACアドレスを検索キーとして、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20内のRPR−MACアドレス学習テーブルを参照し、送信元利用者機器アドレスが学習されているか否かを判定する。
ここでは、ARPパケットの送信元MACアドレスは未学習であるものと仮定する。この場合、RPR装置アドレス学習部17は、RPRデータパケットからRPRヘッダの送信元RPR装置MACアドレスとARPパケットの送信元MACアドレスの対応を学習し、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20でRPR−MACアドレス学習テーブル20Aを作成する。
送出位置判定部18は、RPRデータパケットからRPRヘッダを削除し、ARPパケットの宛先MACアドレス(ブロードキャスト)にしたがって、RPR装置IIの配下の接続機器(利用者機器)へARPパケットをブロードキャストで送信する。しかし、RPR装置IIの配下には、宛先IPアドレスが一致する利用者機器がいない。このため、RPR装置IIの配下では誰も応答しない。
一方、受信データ判定部16からRPRデータパケットを受け取った送出リング選択部11は、RPRヘッダの情報からインナーおよびアウターリングのどちらへ送信するかを選択する。ここでは、アウターリングを利用して隣接RPR装置に相当するRPR装置IIIへRPRデータパケットが送信される。
RPR装置IIIがRPR装置IIからRPRデータパケットを受信すると、RPR装置IIと同様に、受信データ判定部16でRPRヘッダの宛先MACアドレスが判定される。
RPRヘッダの宛先MACアドレスはブロードキャストアドレスである。このため、受信データ判定部16は、送出リング選択部11へRPRデータパケットを送信するとともに、RPR装置アドレス学習部17および送出位置判定部18へ渡す。
RPR装置アドレス学習部17はRPRヘッダの送信元RPR装置MACアドレスとARPパケットの送信元MACアドレスの対応を学習し、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20でRPR−MACアドレス学習テーブル20Aを作成する。
送出リング選択部11が受信データ判定部16から受け取るRPRデータパケットについては、RPR装置IIと同様の動作が行われる。これによって、RPRデータパケットがRPR装置IVに伝達され、RPR装置IVで、RPR−MACアドレス学習テーブル(RPR装置IのMACアドレスとルータXのMACアドレスとの対応関係)が学習および作成される(Fig.3;(9))。
一方、送信位置判定部18は、受信データ判定部16からRPRデータパケットを受信すると、このRPRデータパケットからRPRヘッダを削除し、このパケットの宛先MACアドレスを識別する。
このとき、パケットはARPパケットであり、その宛先MACアドレスはブロードキャストアドレスである。このため、送信位置判定部18は、利用者アドレス検索部19に対する指示を行うことなく、RPR装置IIIの配下の利用者機器(全ての利用者インターフェイス)にARPパケットをブロードキャストで送信する(Fig.3;(10))。
このとき、端末Bに対応する利用者インターフェイス(収容ポート)“b”からもARPパケットは送出され、レイヤ2スイッチ(L2SW)Yを介して端末Bに到着する。このようにして、ルータXから送信されたARPパケットが端末Bで受信される。
以上の動作によると、リング上の各RPR装置は、ブロードキャスト送信されるRPRデータパケットを取り込み、その送信元RPR装置MACアドレスと送信元MACアドレスとを抽出する。
これによって、RPR装置アドレスとMACアドレスとの対応関係を学習し、RPR装置アドレスと利用者機器アドレスとの対応テーブル(MAC−RPRアドレス学習テーブル20A)を作成することができる。これによって、各RPR装置は、各RPR装置に接続されている配下の利用者機器を認識することができる。
上記した例では、ルータXのMACアドレスとRPR装置IのMACアドレスとの対応関係を示すMAC−RPR学習テーブル20Aが各RPR装置I〜IVでそれぞれ作成される。
これによって、各RPR装置I〜IVのそれぞれにおいて、RPR装置Iの配下にルータXが利用者機器として接続されていることを認識することができる。
(2)MACアドレス学習後のパケット送信(Fig.4)
本発明では、従来技術のように、L3ルーティングプロトコルにより作成されたルーティングテーブルから利用者機器を配下に持つRPR装置を認識するのではなく、RPR装置で作成されたRPR−MACアドレス学習テーブル20Aから利用者機器が接続されているRPR装置を認識し、これによって、利用者機器間でのパケット送受信を実現する。以降、説明にあたり、RPR装置内における処理の説明はFig.2を使用し、各ノードの位置およびフレームの処理に関しては、Fig.4を使用する。
Fig.3に示した動作によってARPパケットを受信した端末Bは、ルータXにARP応答パケットを送信する(Fig.4;(11))。
RPR装置IIIは、端末Bから送信されたARP応答パケットをレイヤ2スイッチYを経由してポート“b”で受信する。すると、RPR装置IIIの受信利用者データ判定部14は、送出RPR装置判定部12と利用者アドレス学習部15にARP応答パケットを渡す。
利用者アドレス学習部15は、受信利用者データ判定部14で判定される端末BのMACアドレスとARP応答パケットを受信したポート“b”との対応関係を学習し、利用者機器アドレス/収容位置学習テーブル(MAC学習テーブル)21にこの対応関係を設定する。
このようにして、利用者アドレス学習部15は、利用者機器アドレスと収容位置との対応を示すMAC学習テーブル21を作成する。
受信利用者データ判定部14からARP応答パケットを受け取った送出RPR装置判定部12は、ARP応答パケットをRPRリング内で透過させるため、RPR装置アドレス検索部13に渡す。
これによって、ARP応答パケットに対するRPRネットワーク中の宛先(宛先RPR装置MACアドレス)の決定処理が行われる(Fig.4;(12))
なお、従来技術(Fig.38)では、RPR装置がIPを終端する。このため、IPルーティング制御部がARP応答パケットから宛先IPアドレスを抽出し、ルーティングテーブルによりルータXがRPR装置Iの先に存在することを認識する。
ARP応答パケットを受け取ったRPR装置アドレス検索部13は、ARP応答パケットの宛先MACアドレス(ルータXのMACアドレス)を検索キーとして、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20のRPR−MACアドレス学習テーブル20Aを検索する。
このとき、宛先MACアドレスに対応するRPR装置MACアドレスとして、RPR装置IのMACアドレスが検出される。これによって、ルータXがRPR装置Iの先(配下)に存在することを認識することができる。
送出RPR装置判定部12は、RPR装置アドレス検索部13から検索結果として宛先MACアドレスに対応する宛先RPR装置MACアドレス(RPR装置IのMACアドレス)を受け取る。
すると、送出RPR装置判定部12は、RPR装置IのMACアドレスをARP応答パケットの宛先RPR装置MACアドレスとして決定する。そして、送出RPR装置判定部12は、RPR装置IのMACアドレスが宛先RPR装置MACアドレスとして設定されたRPRヘッダをARP応答パケットに付加することによってRPRデータパケットを生成し、送出リング選択部11へ渡す。
送出リング選択部11は、RPRヘッダの情報からインナーおよびアウターリングのどちらへRPRデータパケットを送信するかを選択する。ここでは、インナーリングを利用して隣接RPR装置であるRPR装置IIへRPRデータパケットが転送される(Fig.4;(13))。
RPR装置IIIからRPRデータパケットを受信したRPR装置IIの受信データ判定部16は、RPRヘッダの宛先MACアドレスを判定する。RPRヘッダの宛先MACアドレスは、RPR装置IのMACアドレスであり、自ノードMACアドレス(RPR装置IIのMACアドレス)と異なる。
この場合、受信データ判定部16は、送出位置判定部18にRPRデータパケットを渡すことなく、送出リング選択部11とRPR装置アドレス学習部17とにRPRデータパケットを渡す。
なお、従来技術(Fig.38)では、受信データ判定部は、IPルーティング制御部にRPRデータパケットを渡すことなく送出リング選択部に渡す。
RPR装置アドレス学習部17は、ARP応答パケットの送信元MACアドレスを検索キーとしてRPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20内のRPR−MACアドレス学習テーブルを検索する。ここでは、検索キーに相当するMACアドレス(端末BのMACアドレス)が未学習であるものと仮定する。
この場合には、RPR装置アドレス学習部17は、RPRデータパケットからRPRヘッダの送信元MACアドレス(RPR装置IIIのMACアドレス)とARP応答パケットの送信元MACアドレスの対応関係を学習し、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20内にこの対応関係を示すRPR−MACアドレス学習テーブル20Aを作成する。
送出リング選択部11は、RPRデータパケットを受け取ると、RPRヘッダの情報からインナーおよびアウターリングのどちらへRPRデータパケットを送信するかを選択する。ここでは、送出リング選択部11は、インナーリングを利用して隣接RPR装置であるRPR装置IへRPRデータパケットを送信する。
RPRIがRPR装置IIからRPRデータパケットを受信すると、RPR装置IIと同様に、受信データ判定部16がRPRヘッダの宛先MACアドレスを判定する。
ここでは、RPRヘッダの宛先MACアドレスは自ノードMACアドレス(自RPR装置MACアドレス)と一致する。このため、受信データ判定部16は、RPRデータパケットを送出リング選択部11に渡すことなく、RPR装置アドレス学習部17と送出位置判定部18とに渡す。
なお、従来技術(Fig.38)では、受信データ判定部は、RPRデータパケットをIPルーティング制御部に渡す。IPルーティング制御部は、ARP応答パケットから抽出した宛先IPアドレスをもとに、ルーティングテーブルからRPR装置Iの配下にルータXが存在することを認識し、ARP応答パケットを送出位置判定部へ渡す。
RPR装置アドレス学習部17では、送信元RPR装置MACアドレスが未学習であれば、RPRヘッダの送信元MACアドレスとARP応答パケットの送信元MACアドレスの対応を学習し、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20でRPR−MACアドレス学習テーブル20Aを作成する。
送出位置判定部18は、受信データ判定部16からRPRデータパケットを受信すると、このRPRデータパケットからRPRヘッダを削除する。続いて、送出位置判定部18は、ARP応答パケットの宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスか否かを判定する。
ここでは、宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスでないので、利用者アドレス検索部19にARP応答パケットの宛先MACアドレスを渡す。
利用者アドレス検索部19は、宛先MACアドレスを検索キーとしてMACアドレス学習テーブル(利用者機器アドレス/収容位置学習テーブル21)を検索する。ここでは、宛先MACアドレス(ルータXのMACアドレス)に対応するポート番号として、ポート“a”が検索される。すると、利用者アドレス検索部19は、このポート番号を送出位置判定部18に通知する。
送出位置判定部18は、検索結果としてポート“a”のポート番号を利用者アドレス検索部19から受け取ると、ARP応答パケットをポート“a”に相当する利用者機器インターフェイスから送信する。
以上により、端末Bから送信されたARP応答パケットはルータXで受信される(Fig.4;(14))。
ルータXは、RPR装置IからARP応答パケットを受信すると、端末Aから受信したデータパケット(MACフレーム)を端末B宛に送信する。RPR装置Iは、端末BがRPR装置IIIに接続されていることを既に学習している。
このため、ルータXは、RPR装置IIIのMACアドレスが宛先RPR装置MACアドレスに設定されたRPRヘッダを付加したデータパケットをRPR装置IIIへ転送する。そして、RPR装置IIIは、RPRヘッダを外したデータパケットをポート“b”から送出する。これによって、端末Aからのデータパケットが端末Bへ到着する。
その後、端末Bから端末A宛にデータパケット(MACフレーム)が送信されると、RPR装置IIIは、このデータパケットに宛先RPR装置アドレスとしてRPR装置IのMACアドレスが設定されたRPRヘッダをデータパケットに付加してRPR装置Iへ転送し、RPR装置Iは、RPRヘッダを外したデータパケットをポート“a”からルータXへ送信する。ルータXは、データパケットを端末Aに送信する。
以上説明した作用によると、ルータXがARPパケットをRPR装置Iへ送信し、RPR装置IからARP応答パケットを受信するまでの間で、各RPR装置が送信元RPR装置MACアドレスと送信元MACアドレスとの対応関係を学習する。
従って、その後は、端末Aと端末Bとの間でブロードキャストパケットを送ることなくデータパケットの送受信を実行することが可能となる。
すなわち、RPR装置でMACアドレス学習により作成されたRPR装置アドレス/利用者機器アドレスの対応テーブル(RPR−MACアドレス学習テーブル20A)から送信先利用者機器が接続しているRPR装置を認識することで、利用者機器間でパケット送受信が可能となる。
(3)L2グルーピング識別子を用いたパケット送信(Fig.5)
本発明では、各RPR装置にL2グルーピング識別子を設定することができる。これによって、各RPR装置が自RPR装置宛のRPRデータパケットしか取り込まないようにフィルタリングすることが可能となる。
以降、説明にあたり、RPR装置の構成要素の動作についてはFig.2を使用し、各ノードの位置およびフレームの処理に関しては、Fig.5を用いて説明する。
Fig.5に示すネットワークシステムにおいて、端末A,ルータX,RPR装置IおよびIII,ならびに端末Bは、第1のL2グループ(登録L2グルーピング識別子:1)に属しており、RPR装置IIおよびIVは、第2のL2グループ(登録L2グルーピング識別子:2)に属しているものと仮定する。
各RPR装置I〜IVがトポロジマップを生成してから、ルータXがRPR装置IへL2グルーピング識別子を使用しているARPパケットを送信し、RPR装置IがRPRヘッダを付加してRPR装置IIにRPRデータパケットを送信するまでの動作は、上述した(1)における動作と同様である。
RPR装置IIは、RPR装置IからRPRデータパケットを受信すると、RPR装置IIの受信データ判定部16は、RPRデータパケットがL2グルーピング識別子を使用しているか否か(RPRデータパケットにL2グルーピング識別子が設定されているか否か)を判定する。
このとき、L2グルーピング識別子が使用されている場合には、受信データ判定部16は、L2グルーピング識別子の値が自ノード(自RPR装置)に登録されている値(登録L2グルーピング識別子:1)と一致するかどうかを判定する。
ここでは、RPRデータパケットのL2グルーピング識別子の値と自ノードに登録されているL2グルーピング識別子の値は一致しない。この場合には、RPR装置IIは、RPRヘッダの宛先MACアドレスの判定,および送信元RPR装置アドレスと送信元利用者機器アドレスの対応の学習を実行しない。
すなわち、L2グルーピング識別子の値が異なる場合には、受信データ判定部16は、RPRヘッダの宛先MACアドレスの値がブロードキャスト指定であっても、このRPRデータパケットを受信せず(RPR装置アドレス学習部17および送出位置判定部18に渡すことなく)、送出リング選択部11へのみ渡す。
受信データ判定部16からRPRデータパケットを受け取った送出リング選択部11は、RPRヘッダの情報からインナーおよびアウターリングのどちらへRPRデータパケットを送信するかを選択する。ここでは、アウターリングを利用して隣接RPR装置であるRPR装置IIIへRPRデータパケットを送信する。
RPR装置IIIがRPR装置IIからRPRデータパケットを受信すると、RPR装置IIIの受信データ判定部16が、RPR装置IIと同様に、RPRデータパケットにL2グルーピング識別子が設定されているか否かを判定する。ここでは、RPRデータパケットのL2グルーピング識別子の値が自ノードに登録されている値(L2グルーピング識別子:1)と一致する。
この場合には、受信データ判定部16は、RPRヘッダの宛先MACアドレスを判定し、この宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスであるので、このRPRデータパケットをRPR装置アドレス学習部17および送出位置判定部16に渡す。
RPR装置アドレス学習部17は、(1)と同様に、RPRヘッダの送信元MACアドレスとARPパケットの送信元MACアドレスの対応関係を学習し、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20でRPR−MACアドレス学習テーブル20Aを作成する。
送出リング選択部11は、RPRデータパケットを受け取ると、RPR装置IIと同様の動作を行う。すなわち、RPR装置IIIからRPR装置IVにRPRデータパケットが送信される。
RPR装置IVは、RPRデータパケットのL2グルーピング識別子が自ノードの値と一致しないので、RPR装置IIと同様の動作を行い、このRPRデータパケットに係る送信元RPR装置アドレスと利用者機器アドレスとの対応関係を学習しない。
送出位置判定部16は、受信データ判定部16からRPRデータパケットを受信すると、RPRヘッダを削除し、RPR装置IIIの配下の利用者機器にARPパケットをブロードキャスト送信する。
これ以降の動作は、上述した(1)および(2)と同様であるので、説明を省略する。このように、本発明にL2グルーピング識別子を適用すれば、各RPR装置に設定されたL2グルーピング識別子によって、各RPR装置は、自RPR装置宛のRPRデータパケットしか取り込まないようにフィルタリング処理を行う。
これによって、自RPR装置に係るRPRデータパケットのRPR−MACアドレス学習テーブルのみを作成することができる。すなわち、不要なRPR−MACアドレス学習テーブルを作成しなくて済む。また、利用者機器インターフェイスに対する不要なブロードキャストアドレスの送信を抑えることができる。
〈変形例〉
Fig.2〜Fig.5を持ちいて説明したRPR装置の構成は、次のように変形することが可能である。
上記した動作では、受信データ判定部16は、RPRデータパケットのRPRヘッダの宛先RPR装置アドレスが自装置宛であれば、そのRPRデータパケットを送出位置判定部18およびRPR装置アドレス学習部17に渡し、宛先RPR装置アドレスがブロードキャストアドレスであれば、RPRデータパケットを送出リング選択部11,送出位置判定部18およびRPR装置アドレス学習部17に渡し、宛先RPR装置アドレスがこれら以外のRPRデータパケットであれば、送出リング選択部11およびRPR装置アドレス学習部17に渡している。
すなわち、受信データ判定部16は、RPRデータパケットが自装置で取り込むべきものであれば、このRPRデータパケットを送出位置判定部18に渡すように構成されている。
ここで、受信データ判定部16は、送出位置判定部18にRPRデータパケットを渡す場合に、RPR装置アドレス学習部17と送出位置判定部18とにほぼ同時にRPRデータパケットを渡すように構成することができる。
この場合には、RPRデータパケットの転送処理と、RPR−MACアドレスの学習処理とが並列に実行される(RPR装置アドレス学習部17は、自身の処理後RPRデータパケットを廃棄)。
これに対し、受信データ判定部16がRPR装置アドレス学習部17にRPRデータパケットを一旦渡し、RPR装置アドレス検索部17が自身の処理後にRPRデータパケットを受信データ判定部16に戻し、受信データ判定部16がRPRデータパケットを送出位置判定部18に渡すように構成することができる。
この場合には、受信データ判定部16がRPRデータパケットのコピーを作成し、RPR装置アドレス学習部17に渡す処理が不要である。
上述したような構成に代えて、受信データ判定部16は、RPRデータパケットの宛先RPR装置アドレスが自装置宛であれば、RPRデータパケットを送出位置判定部18に渡すことなくRPR装置アドレス学習部17に渡し、RPR装置アドレス学習部17が学習処理の後にRPRデータパケットを送出位置判定部18に渡すように構成することもできる。
また、宛先RPR装置アドレスがブロードキャストアドレスであれば、受信データ判定部16がRPRデータパケットをRPR装置アドレス学習部17に渡し、RPR装置アドレス学習部17が学習処理の後にRPRデータパケットを送出リング選択部11および送出位置判定部18に渡すように構成することもできる。
さらに、宛先RPR装置アドレスが自装置宛およびブロードキャスト指定でない場合には、受信データ判定部16がRPR装置アドレス学習部17にRPRデータパケットを渡し、RPR装置アドレス学習部17が学習処理の後にRPRデータパケットを送出リング選択部11に渡すように構成することもできる。すなわち、RPRデータパケットが構成要素間を一回だけ通過するように構成しても良い。
また、上述した構成では、受信利用者データ判定部14は、利用者機器インターフェイスから受信したパケットを送出RPR装置判定部12と利用者アドレス学習部15とに渡す。
ここで、受信利用者データ判定部14は、受信データ判定部16と同様に、パケットを送出RPR装置判定部12と利用者アドレス学習部15にほぼ同時に渡すように構成することもできる。これに対し、受信利用者データ判定部14は、利用者アドレス学習部15に一旦パケットを渡し、利用者アドレス学習部15の処理終了後、利用者アドレス学習部15からパケットを受け取って送出RPR装置判定部12に渡すように構成しても良い。
さらに、受信利用者データ判定部14は、パケットを利用者アドレス学習部15のみに渡し、利用者アドレス学習部15が学習処理を行った後、パケットを送出RPR装置判定部12に渡すように構成するようにしても良い。
さらに、L2グルーピング識別が利用される場合では、受信データ判定部16は、L2グルーピング識別子の照合処理のために、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20で管理されている自ノードのL2グルーピング識別子を直接参照するように構成されている。
この構成に代えて、受信データ判定部16がRPR装置アドレス学習部17との連携により、RPR装置アドレス学習部17から自ノードのL2グルーピング識別子を受け取り、RPRデータパケットに設定されているL2グルーピング識別子との照合処理を行うように構成することができる。
また、上記した動作例では、ARPパケットがアウターリングを通ってRPR装置IからRPR装置IIIへ転送され、ARP応答パケットがインナーリングを通ってRPR装置IIIからRPR装置Iへ転送されている。但し、本発明において、RPRデータパケットの経路(インナー/アウターリングの別)は、適宜設定可能なものである。
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。下記の実施例で使用する語句を下記に説明する。
「リングトポロジ情報」は、リングネットワーク上に存在するRPR装置のMACアドレス、自RPR装置からのホップ数などの情報を含む。
「トポロジマップ」は、トポロジ検出で収集されるリングトポロジ情報を格納したテーブルを示す。
「VLAN ID」は、VLAN(Virtual LAN)を識別する識別子。レイヤ2ネットワークで一意な値である。上述した「L2グルーピング識別子」に相当する。
「RPRデータパケット」は、RPRヘッダを付加したパケット(MACフレーム)。RPRリングネットワークでは、リング外からのパケット(MACフレーム)がRPRに従ったフォーマット(RPRヘッダを含む)によりカプセル化され、リング上を転送される。
RPRヘッダは、RPRリングネットワークにおける送信元および宛先を示す情報として、送信元のRPR装置のMACアドレス(送信元RPR装置MACアドレス)と、宛先のRPR装置のMACアドレス(宛先RPR装置MACアドレス)とを含む。
Fig.6〜Fig.36は、本発明の一実施例の説明図である。Fig.6は、実施例における一ネットワーク構成例を示す図である。Fig.7は、実施例におけるRPR装置4の配下のネットワーク構成を示す図である。Fig.8は、実施例におけるRPR装置5の配下のネットワーク構成を示す図である。Fig.9は、実施例におけるRPR装置6の配下のネットワーク構成を示す図である。
また、Fig.10は、実施例におけるトポロジ検出メッセージのフォーマット説明図である。Fig.11は、実施例におけるトポロジ検出メッセージの設定情報の説明図である。Fig.12は、実施例におけるARP要求パケットのフォーマット説明図である。Fig.13は、実施例におけるARP要求パケットの設定情報の説明図である。Fig.14は、RPR装置4のMACアドレス学習テーブルを示す図である。Fig.15は、実施例における送出RPR装置判定部の処理を示すフローチャートである。Fig.16は、実施例におけるRPRデータパケット(ARP要求)のフォーマット説明図である。Fig.17は、実施例におけるRPRデータパケット(ARP要求)の設定情報の説明図である。Fig.18Aおよび18Bは、実施例における受信データ判定部の処理を示すフローチャートである。Fig.19は、実施例におけるRPR装置アドレス学習部の処理を示すフローチャートである。
また、Fig.20は、実施例におけるRPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部の処理を示すフローチャートである。Fig.21は、各RPR装置5および6のRPR−MACアドレス学習テーブルを示す図である。Fig.22は、実施例におけるARP応答パケットのフォーマット説明図である。Fig.23は、実施例におけるARP応答パケットの設定情報の説明図である。Fig.24は、RPR装置6のMACアドレス学習テーブルを示す図である。Fig.25は、実施例におけるRPR装置アドレス検索部の処理を示すフローチャートである。Fig.26は、実施例におけるRPRデータパケット(ARP応答)のフォーマット説明図である。Fig.27は、実施例におけるRPRデータパケット(ARP応答)の設定情報の説明図である。Fig.28は、RPR装置5の更新されたRPR−MACアドレス学習テーブルを示す図である。Fig.29は、RPR装置4のRPR−MACアドレス学習テーブルを示す図である。
また、Fig.30は、実施例における一ネットワーク構成例(L2グルーピング識別子使用時)を示す図である。Fig.31は、RPR装置5のVLAN ID登録テーブルを示す図である。Fig.32は、RPR装置6のVLAN ID登録テーブルを示す図である。Fig.33は、実施例におけるARP要求パケット(L2グルーピング識別子使用時)のフォーマット説明図である。Fig.34は、実施例におけるARP要求パケット(L2グルーピング識別子使用時)の設定情報の説明図である。Fig.35は、実施例におけるRPRデータパケット(L2グルーピング識別子使用時)のフォーマット説明図である。Fig.36は、実施例におけるRPRデータパケット(L2グルーピング識別子使用時)の設定情報の説明図である。
Fig.6には、実施例におけるネットワーク構成例が示されている。この実施例では、Fig.6中の利用者機器Aと利用者機器Eとの間でパケットの送受信を行う場合について説明する。
RPR装置は、L2機器とL3機器の双方を利用者機器として接続可能である。このため、Fig.6には、RPR装置4に接続されたルータXと、RPR装置5に接続されたブリッジZと、RPR装置6に接続されたブリッジYとが、利用者機器の例として示されている。
また、本発明で伝送可能なトラヒックの種類はRPRが伝送できるものであれば何でも良く、特に限定されない。但し、本実施例ではIPトラヒックを使うこととする。
Fig.7は、RPR装置4の配下のネットワーク構成を示している。RPR装置4は、MACアドレス“00−E0−00−00−22−04”を持ち、自身の収容ポート(ポート“a”)でルータXを収容している。ルータXは、MACアドレス“00−E0−00−00−33−01”を持つ。
また、ルータXは、利用者機器A〜Cを収容している。各利用者機器A〜Cは、例えばIP端末であり、利用者機器AはMACアドレス“00−E0−00−00−11−01”を持ち、利用者機器BはMACアドレス“00−E0−00−00−11−02”を持ち、利用者機器CはMACアドレス“00−E0−00−00−11−03”を持つ。
Fig.8は、RPR装置5の配下のネットワーク構成を示している。RPR装置5は、MACアドレス“00−E0−00−00−22−05”を持ち、自身の収容ポート(ポート“a”)でブリッジZを収容している。ブリッジZには、利用者機器(例えばIP端末)Gが接続されている。利用者機器Fは、MACアドレス“00−E0−00−00−11−07”を持つ。
Fig.9は、RPR装置6の配下のネットワーク構成を示している。RPR装置6は、MACアドレス“00−E0−00−00−22−06”を持ち、自身の収容ポート(ポート“a”)でブリッジYを収容している。ブリッジYには、利用者機器(例えばIP端末)として、利用者機器D〜Fが接続されている。
利用者機器DはMACアドレス“00−E0−00−00−11−04”を持ち、利用者機器EはMACアドレス“00−E0−00−00−11−05”を持ち、利用者機器FはMACアドレス“00−E0−00−00−11−06”を持つ。
(第1の動作例)L2グルーピング識別子を使用しない場合
最初に、実施例における第1の動作例として、Fig.6に示す利用者機器Aから送信されたパケットを利用者機器Eが受信するまでの間における各RPR装置1〜6の動作を、L2グルーピング識別子が使用されない場合について説明する。各RPR装置1〜6のうち、少なくともRPR装置4,5および6は、Fig.2に示したような構成および機能を備えている。
リングネットワーク上の各RPR装置1〜6は、既存のRPR技術であるトポロジ検出機能によってリング内の接続構成を学習する。各RPR装置1〜6は、インナーリングおよびアウターリングに対してトポロジ検出を行うため、トポロジ検出メッセージをブロードキャスト送信する。トポロジ検出メッセージは、Fig.10に示すようなフォーマットを有しており、このときのトポロジ検出メッセージのRPRヘッダは、Fig.11に示す設定値を持つ。
例えば、RPR装置1から送信されたトポロジ検出メッセージは、各RPR装置1〜6で受信されリングトポロジ情報が認識される。各RPR装置1〜6は、トポロジ検出メッセージを受信すると、その送信元RPR−MACアドレスと自RPR装置のMACアドレスを比較する。
送信元のRPR装置1は、送信元RPR−MACアドレスと自RPR装置のMACアドレスが一致することでトポロジ検出メッセージがリングを一周したと判断する。他のRPR装置2〜5も同様である。
トポロジ検出メッセージは定期的に送信され、1つのRPR装置が2度連続して同様のリングトポロジ情報をもつトポロジ検出メッセージを受信すると、トポロジマップを生成する。
その後、トポロジに変化が生じた場合においては、各RPR装置は、トポロジ変化後のリングトポロジ情報をもつトポロジ検出メッセージを2度連続して受信した場合にトポロジマップを更新する。このようにして、インナーおよびアウターリングのトポロジマップが各RPR装置1〜6で作成される。
利用者機器Aは、利用者機器Eにパケットを送信する場合には、利用者機器EのIPアドレス(既知)が自分の属しているサブネット外のものであると認識する。この場合、利用者機器Aは、他のサブネットとのゲートウェイであるルータXのMACアドレスを認識するために、自分の属しているサブネット内にARP要求パケットを送信する。
ルータAは、ARP要求パケットを受信すると、自身のMACアドレスを含むARP応答パケットを利用者機器Aに送信する。
利用者機器AはARP応答パケットを受信すると、パケットの宛先MACアドレスとなるルータXのMACアドレス=00−E0−00−00−33−01を認識する。利用者機器Aは、宛先MACアドレス(ルータXのMACアドレス)を認識すると、利用者機器Eにパケットを送信するため、ルータXへデータパケットを送信する。
ルータXはデータパケット中の宛先IPアドレスから利用者機器EのMACアドレスを認識するため、利用者機器Eが属しているサブネット内にARP要求パケットを送信する。Fig.12は、ルータXから送信されるARP要求パケットのパケットフォーマットを示し、Fig.13は、ARP要求パケットのMACヘッダの設定値を示す。
Fig.13に示すように、宛先MACアドレスがブロードキャスト(FF−FF−FF−FF−FF−FF)に設定され、送信元MACアドレスとしてルータXのMACアドレスが設定され、タイプとして“ARP要求”が設定される。
RPR装置4はルータXからのARP要求パケットをポート“a”で受信する。RPR装置4の受信利用者データ判定部14は、利用者アドレス学習部15にARP要求パケットを渡す。
利用者アドレス学習部15は、受信利用者データ判定部14で判定されたルータXのMACアドレス=00−E0−00−00−33−01とARP要求パケットを受信したポート“a”との対応を学習し、利用者機器アドレス/収容位置学習テーブル21上にFig.14に示すようなMAC学習テーブルを作成する。
受信利用者データ判定部14は、利用者アドレス学習部15によるMACアドレス学習後、ARP要求パケットを送出RPR装置判定部12に渡す。
送出RPR装置判定部12は、受信利用者データ判定部14からARP要求パケットを受け取ると、Fig.15に示す処理を実行する。ここで、Fig.15を用いて、送出RPR装置判定部12の処理フローを説明する。送出RPR装置判定部12は、パケットを受け取ると(ステップS00)、そのパケットの宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスか否かを判定する(ステップS01)。
このとき、送出RPR装置判定部12は、ブロードキャストアドレスであれば(S01;YES)、宛先RPR装置MACアドレスとしてブロードキャストアドレスを取得し(ステップS02)、ブロードキャストアドレスでなければ(S01;NO)、パケットをRPR装置アドレス検索部13に渡し、宛先RPR装置MACアドレスをRPR装置アドレス検索部13から受け取る。
そして、送出RPR装置判定部12は、パケットにステップS02またはS03で得た宛先RPR装置MACアドレスを含むRPRヘッダをパケットに付加し、送出リング選択部11に渡す(ステップS04)。
Fig.15に示した処理フローをルータX(利用者機器に相当)からのARP要求パケットに対する処理に当てはめると、以下のようになる。すなわち、送出RPR装置判定部12は、ARP要求パケットの宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスか否かを判定する(S01)。
ここに、ARP要求パケットの宛先MACアドレスはブロードキャストアドレス=FF−FF−FF−FF−FF−FFである(Fig.16および17参照)。このため、送出RPR装置判定部12は、宛先RPR装置MACアドレスとしてブロードキャストアドレスを取得し(S02)、宛先RPR装置MACアドレスがブロードキャストアドレスに設定されたRPRヘッダをARP要求パケットに付加して送出リング選択部11へ渡す(S04)。
送出RPR装置判定部12から送出リング選択部11に渡されるARP要求を含むRPRデータパケットは、Fig.16に示すフォーマットを持ち。このRPRデータパケットのRPRヘッダは、Fig.17に示す設定値を持つ。
送出リング選択部11は、RPRヘッダの情報からインナーおよびアウターリングのどちらへRPRデータパケットを送信するかを選択する。ここでは、アウターリングを利用して隣接RPR装置であるRPR装置5にRPRデータパケットを送信する。
次に、RPR装置4からRPRデータパケット(Fig.16および17)を受信したRPR装置5の動作について説明する。RPR装置5がRPR装置4からRPRデータパケットを受信すると、RPR装置5の受信データ判定部16は、Fig.18Aおよび18Bに示す処理フローを実行する。
ここで、Fig.18Aおよび18Bに示す処理フローを説明する。受信データ判定部16は、隣接RPR装置からRPRデータパケットを受信すると(ステップS000)、そのRPRデータパケットにVLANタグ(VLAN Tag)が付加されているか否かを判定する(ステップS001)。
このとき、VLANタグが付加されている場合(S001;あり)には、処理がステップS002に進み、そうでない場合(S001;なし)には、処理がステップS004へ進む。
ステップS002では、受信データ判定部16は、VLAN−IDテーブル(RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20にて管理されている)をRPRデータパケットのVLANタグ中のVLAN−IDでインデックスし、このVLAN−IDが自ノード(自RPR装置)のVLAN−IDとして登録されているか否かを判定する。
このとき、VLAN−IDが登録されていれば(S002;あり)、処理がステップS004に進み、そうでない場合(S002;なし)には、処理がステップS003に進む。
ステップS003では、受信データ判定部16は、RPRデータパケットを送出リング選択部11に渡した後、処理フローを終了する。
ステップS004では、受信データ判定部16は、RPRヘッダの宛先MACアドレス(RPR装置MACアドレス)を判定する。このとき、宛先MACアドレスが自ノードのMACアドレスであれば(S004;自ノード)、処理がステップS005に進み、ブロードキャストアドレスであれば(S004;ブロードキャスト)、処理がステップS007に進み、その他のアドレスであれば(S004;その他)、処理がステップS011に進む。
ステップS005では、受信データ判定部16は、RPRデータパケットをRPR装置アドレス学習部17へ渡し、処理をステップS006に進める。ステップS005によって、RPR装置アドレス学習部17が、RPRヘッダの送信元MACアドレスとパケットの送信元MACアドレスとの対応関係を学習する(後述)。
ステップS006では、受信データ判定部16は、RPRデータパケットを送出位置判定部18に渡し、処理フローを終了する。
ステップS007では、受信データ判定部16は、RPRヘッダの送信元MACアドレスが自ノードのMACアドレスか否かを判定する。このとき、送信元MACアドレスが自ノードのMACアドレスであれば(S007;YES)、処理がステップS010に進み、そうでなければ(S007;NO)、処理がステップS008に進む。
ステップS008では、受信データ判定部16は、RPRデータパケットをRPRアドレス学習部17に渡し、処理をステップS009に進める。ステップS008によって、RPR装置アドレス学習部17が、RPRヘッダの送信元MACアドレスとパケットの送信元MACアドレスとの対応関係を学習する(後述)。
ステップS009では、受信データ判定部16は、RPRデータパケットを送出位置判定部18と送出リング選択部11に渡し、処理フローを終了する。
ステップS010では、受信データ判定部16は、このRPRデータパケットが自身から送出されたものであるので廃棄し、処理フローを終了する。
ステップS011では、受信データ判定部16は、RPRデータパケットをRPRアドレス学習部17に渡し、処理をステップS012に進める。ステップS011によって、RPR装置アドレス学習部17が、RPRヘッダの送信元MACアドレスとパケットの送信元MACアドレスとの対応関係を学習する(後述)。
ステップS012では、受信データ判定部16は、RPRデータパケットを送出リング選択部11に渡し、処理フローを終了する。
Fig.18Aおよび18Bに示した処理フローをRPR装置4からのRPRデータパケットに対する処理に当てはめると、以下のようになる。すなわち、RPR装置5の受信データ判定部16は、VLANタグの有無を判定する(S001)。
このとき、RPRデータパケットにはVLANタグは付加されていない(Fig.16)。このため、受信データ判定部16は、RPRヘッダの宛先MACアドレスを判定する(S004)。
RPRヘッダの宛先MACアドレスはブロードキャストアドレス=FF−FF−FF−FF−FF−FFである。このため、受信データ判定部16は、RPRヘッダの送信元MACアドレスが自ノードのMACアドレスかを判定する(S007)。
このとき、RPRヘッダの送信元MACアドレスは“00−E0−00−00−22−04”であり、自ノードMACアドレス(Fig.8)とは異なる。このため、受信データ判定部16は、RPRデータパケットをRPR装置アドレス学習部17へ渡し(S008)、さらに送出位置判定部18と送出リング選択部11とにも渡す(S009)。
ステップS008で、RPRデータパケットがRPR装置アドレス学習部17に渡されることにより、RPR装置アドレス学習部17は、Fig.19に示す処理フローを実行する。
ここで、Fig.19を用いてRPR装置アドレス学習部17の処理フローについて説明する。Fig.19に示す処理フローは、Fig.18Aに示すステップS005およびS011の実行によっても実行される。
RPR装置アドレス学習部17は、受信データ判定部16からRPRデータパケットを受け取ると(ステップS100)、RPRデータパケットから送信元MACアドレスを送信元利用者機器アドレスとして抽出し、この送信元MACアドレスを検索キーとしてRPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20のRPR−MACアドレス学習テーブル20Aに、検索キーと同じ送信元利用者機器アドレスが学習されている(登録されている)か否かを判定する(ステップS101)。
このとき、送信元利用者機器アドレスが登録されている場合(S101;学習済み)には、処理がステップS103に進み、そうでない場合(SS01;未学習)には、処理がステップS102に進む。
ステップS102では、RPR装置アドレス学習部17は、RPRデータパケットの送信元利用者機器アドレス(送信元MACアドレス)とRPRヘッダの送信元RPR装置アドレス(RPR−MACアドレス)とをRPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20に通知し、処理をステップS103に進める。
ステップS103では、RPR装置アドレス学習部17は、RPRデータパケットを受信データ判定部16に渡し(戻し)、処理フローを終了する。
ステップS102で、送信元MACアドレスおよび送信元RPR−MACアドレスがRPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20に通知されることによって、Fig.20に示すようなRPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20の処理フローが起動する(ステップS200)。
すると、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20は、その内部で管理しているRPR−MACアドレス学習テーブル20Aに、通知された送信元MACアドレスおよび送信元RPR−MACアドレスとを対応づけて登録し(ステップS201)、処理フローを終了する。
上述したようなFig.19およびFig.20に示した処理フローをRPR装置IからのARP要求パケットを含むRPRデータパケット(Fig.16および17)に当てはめると、次の通りとなる。
RPR装置アドレス学習部17は、ARP要求パケットの送信元MACアドレス(ルータXのMACアドレス=00−E0−00−00−33−01)を検索キーとして、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20のRPR−MACアドレス学習テーブル20Aに送信元利用者機器アドレス(ルータXのMACアドレス)が学習されているか否かを判定する(S101)。
このとき、ARP要求パケットの送信元MACアドレスは未学習である(S101;未学習)。このため、RPR装置アドレス学習部17は、RPRデータパケットからRPRヘッダの送信元RPR−MACアドレス(RPR装置IのMACアドレス=00−E0−00−00−22−04)とARP要求パケットの送信元MACアドレス(ルータXのMACアドレス=00−E0−00−00−33−01)の対応を学習し、これらのアドレスをRPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20に通知する(S102)。
すると、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20が通知されたアドレスの対応関係をRPR−MACアドレス学習テーブル20Aに登録する(S201:Fig.21参照)。
その後、RPRデータパケットがRPR装置アドレス学習部17に渡され、受信データ判定部16がRPRデータパケットを送出リング選択部11と送出位置判定部18とに渡す(S009)。
送出位置判定部18は、RPRデータパケットを受け取ると、RPRヘッダを削除し、ARP要求パケットの宛先MACアドレス“FF−FF−FF−FF−FF−FF”にしたがって、RPR装置5の配下の利用者機器G(Fig.6)へARP要求パケットをブロードキャスト送信する。
一方、受信データ判定部16からRPRデータパケットを受け取った送出リング選択部11は、RPRヘッダの情報からインナーおよびアウターリングのどちらへRPRデータパケットを送信するかを選択する。ここでは、アウターリングを利用して隣接RPR装置であるRPR装置6へRPRデータパケットを送信する。
以上により、RPR装置5は、RPR装置4から受信したRPRデータパケットからRPRヘッダの送信元MACアドレス(送信元RPR−MACアドレス)とパケットの送信元MACアドレスの対応を学習することができる。
次に、Fig.6に示すRPR装置5からRPRデータパケット(Fig.16および17)を受信したRPR装置6の動作について説明する。RPR装置6はRPR装置5からRPRデータパケットを受信すると、RPR装置5と同様の動作を行う。
すなわち、RPR装置6の受信データ判定部16がVLANタグの有無を判定し(Fig.18A;S001)、RPRヘッダの宛先MACアドレスを判定する(Fig.18A;S004)。このとき、RPRヘッダの宛先MACアドレスは、ブロードキャストアドレス(=FF−FF−FF−FF−FF−FF)である。
このため、受信データ判定部16は、RPRヘッダの送信元MACアドレスが自ノード(RPR装置6)のMACアドレスか否か判定する(Fig.18B;S007)。このとき、送信元MACアドレスは自ノードMACアドレスとは異なる。このため、受信データ判定部16はRPRデータパケットをRPR装置アドレス学習部17へ渡す(Fig.18B;S008)。
RPR装置アドレス学習部17は、RPRヘッダの送信元MACアドレスとARP要求パケットの送信元MACアドレスの対応を学習し(Fig.19;S101,S102)、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20がFig.21に示すようなRPR−MACアドレス学習テーブル20Aを作成する(Fig.20;S201)。
RPRデータパケットは、RPR−MACアドレス学習テーブル20Aが作成された後、受信データ判定部16に渡され(Fig.19;S103)、送出リング選択部11と送出位置判定部へ渡される(Fig.18B;S009)。
送出リング選択部11は、RPRデータパケットを受け取ると、RPR装置5の送出リング選択部11と同様の動作を行い、RPRデータパケットをリングへ送出する。
一方、受信データ判定部16からRPRデータパケットを受信した送出位置判定部18は、RPRヘッダを削除し、ARP要求パケットの宛先MACアドレス“FF−FF−FF−FF−FF−FF”に従って、RPR装置6の配下の利用者機器にARPパケットをブロードキャスト送信する。
Fig.6および9に示すように、RPR装置6は、配下の利用者機器として、ARP要求パケットの目的地に相当する利用者機器Eを含む利用者機器D,E,FをブリッジYを介して収容している。ARP要求パケットはブロードキャストのため、各利用者機器D,E,Fに到着する。このようにして、ルータXから送信されたARP要求パケットは利用者機器Eで受信される。
ARP要求パケットを受信した利用者機器Eは、ARP要求パケットの宛先IPアドレスが自分宛てであることから、ルータXに対して自身のMACアドレスを含むARP応答パケットを送信する。この場合におけるARP応答パケットのフォーマットをFig.22に示し、ARP応答パケットのMACヘッダの設定値をFig.23に示す。
RPR装置6は、利用者機器Eから送信されたARP応答パケットを、ブリッジYを経由してポート“a”で受信する。RPR装置6の受信利用者データ判定部14は、利用者アドレス学習部15にARP応答パケットを渡す。
利用者アドレス学習部15は、受信利用者データ判定部14で判定された利用者機器EのMACアドレス(=00−E0−00−00−11−05)とARP応答パケットを受信したポート“a”との対応を学習し、利用者機器アドレス/収容位置学習テーブル21内にFig.24に示すようなMAC学習テーブルを作成する。
受信利用者データ判定部14は、利用者アドレス学習部15によるアドレス学習後に、ARP応答パケットを送出RPR装置判定部12へ渡す。
受信利用者データ判定部14からARP応答パケットを受け取った送出RPR装置判定部12は、Fig.15の処理フローに従って、ARP応答パケットの宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスか否かを判定する(S01)。
ARP応答パケットの宛先MACアドレスは、“00−E0−00−00−33−01”であり(Fig.23)、ブロードキャストアドレスではない。従って、送出RPR装置判定部12は、ARP応答パケットをRPR装置アドレス検索部13に渡す(S03)。
ARP応答パケットを受け取ったRPR装置アドレス検索部13は、Fig.25に示す処理フローを実行する。ここで、Fig.25を用いてRPR装置アドレス検索部13の処理フローを説明する。
RPR装置アドレス検索部13は、送出RPR装置判定部12からパケットを受け取ると(ステップS300)、処理フローを開始する。RPR装置アドレス検索部13は、送信先利用者機器アドレスを検索キーとして、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20のRPR−MACアドレス学習テーブル20Aから、送信先RPR装置のアドレスを検索する(ステップS301)。
すなわち、RPR装置アドレス検索部13は、パケットの送信先MACアドレスを検索キーとしてRPR−MACアドレス学習テーブル20Aを検索し、検索キーとしてのMACアドレスに対応するRPR装置MACアドレスを検索する。
このとき、対応するRPR装置MACアドレスが登録されている場合(学習済みである場合:S301;あり)には、処理がステップS302に進み、そうでない場合(未学習である場合:S301;なし)には処理がステップS303に進む。
ステップS302では、RPR装置アドレス検索部13は、RPR−MACアドレス学習テーブル20Aから検索されたRPR装置MACアドレスとパケットとを送出RPR装置判定部12に渡し、処理フローを終了する。
ステップS303では、RPR装置アドレス検索部13は、ブロードキャストアドレスとパケットとを送出RPR装置判定部12に渡し、処理フローを終了する。
Fig.25に示した処理フローをRPR装置6のRPR装置アドレス検索部13に当てはめると、次の通りとなる。RPR装置アドレス検索部13は、ARP応答パケットの宛先MACアドレス(=00−E0−00−00−33−01)を検索キーとして、Fig.21に示すRPR−MACアドレス学習テーブル20Aから、送信先RPR装置のMACアドレスを検索する(S301)。
このとき、RPR装置アドレス検索部13は、検索結果として送信先RPR装置のMACアドレス(RPR装置4のMACアドレス=00−E0−00−00−22−04)をRPR−MACアドレス学習テーブル20Aから取得できる。そして、RPR装置アドレス検索部13は、検索結果の宛先RPR装置MACアドレスとARP応答パケットを送出RPR装置判定部12へ渡す(S302)。
送出RPR装置判定部12は、ARP応答パケットにRPRヘッダを付加してRPRデータパケットを作成し、送出リング選択部11へ渡す。この場合のRPRデータパケットのフォーマットをFig.26に示し、RPRデータパケットのRPRヘッダの設定値をFig.27に示す。
送出リング選択部11は、RPRヘッダの情報からインナーおよびアウターリングのどちらへRPRデータパケットを送信するかを選択する。ここでは、送出リング選択部11は、インナーリングを利用して隣接RPR装置であるRPR装置5へRPRデータパケットを送信する。
以上の動作によって、RPR装置6は、利用者機器EからのARP応答パケットの宛先MACアドレス(ルータXのMACアドレス)を基に送信先RPR装置MACアドレス(ルータXを収容するRPR装置4のMACアドレス)を検索し、この送信先RPR装置MACアドレスをRPRヘッダに付加してリングネットワークへ送信することができる。
次に、RPR装置6からRPRデータパケットを受信したRPR装置5(Fig.6および8)の動作について説明する。RPR装置5がRPR装置6からRPRデータパケットを受信すると、RPR装置5の受信データ判定部16は、Fig.18Aおよび18Bに示す処理フローを実行する。
すなわち、受信データ判定部16は、VLANタグの有無を判定する(S001)。Fig.26に示すように、RPRデータパケットには、VLANタグは付加されていない。このため、受信データ判定部16は、RPRヘッダの宛先MACアドレスを判定する(S004)。
RPRヘッダの宛先MACアドレス(=00−E0−00−00−22−04)は、自ノードアドレスでもブロードキャストアドレスでもない。このため、受信データ判定部16は、RPRデータパケットをRPR装置アドレス学習部17へ渡す(S011)。
すると、RPR装置アドレス学習部17は、Fig.19に示す処理フローを開始する。RPR装置アドレス学習部17は、ARP応答パケットの送信元MACアドレス(=00−E0−00−00−11−05)を検索キーとしてRPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20のRPR−MACアドレス学習テーブル20Aを参照し、検索キーと同じ送信元利用者機器アドレスが学習されているか否かを判定する(S101)。
ここでは、送信元利用者機器アドレスが未学習のため、RPR装置アドレス学習部17は、RPRデータパケットからRPRヘッダの送信元MACアドレス(=00−E0−00−00−22−06)とARP応答パケットの送信元MACアドレス(=00−E0−00−00−11−05)とを通知する(S102)。
すると、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20がFig.20の処理フローにしたがって、送信元RPR装置MACアドレスと送信元MACアドレスとをRPR−MACアドレス学習テーブル20Aに登録する(S201)。
これによって、RPR装置5のRPR−MACアドレス学習テーブル20Aが更新され、Fig.28に示すようなRPR−MACアドレス学習テーブル20Aが作成される。
RPR装置アドレス学習部17は、RPR−MACアドレス学習テーブル20Aの作成(更新)後、RPRデータパケットを受信データ判定部16に渡し(Fig.19;S103)、受信データ判定部16は、RPRデータパケットを、送出位置判定部18に渡すことなく、送出リング選択部11へ渡す(Fig.18A;S012)。
送出リング選択部11は、受信データ判定部16からRPRデータパケットを受け取ると、RPRヘッダの情報からインナーおよびアウターリングのどちらへRPRデータパケットを送信するかを選択する。ここでは、送出リング選択部11は、インナーリングを利用して隣接RPR装置であるRPR装置4へRPRデータパケットを送信する。
次に、RPR装置5からRPRデータパケット(Fig.26および27)を受信したRPR装置4の動作について説明する。RPR装置4がRPR装置5からRPRデータパケットを受信すると、RPR装置4の受信データ判定部16は、Fig.18Aおよび18Bに示す処理フローの実行を開始する。
すなわち、受信データ判定部16は、VLANタグの有無、およびRPRヘッダの宛先MACアドレスを判定する。RPRヘッダの宛先MACアドレス(=00−E0−00−00−22−04)は、自ノードMACアドレスと一致する(Fig.7)。このため、受信データ判定部16は、RPRデータパケットをRPR装置アドレス学習部17に渡す。
すると、RPR装置アドレス学習部17がFig.19に示す処理フローを開始し、RPRヘッダの送信元MACアドレスとARP応答パケットの送信元MACアドレスの対応を学習し、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20が、Fig.20の処理フローに従って、Fig.29に示すようなRPR−MACアドレス学習テーブル20Aを作成する。その後、RPRデータパケットは、受信データ判定部16に渡され、受信データ判定部16が送出位置判定部18へRPRデータパケットを渡す。
受信データ判定部16からRPRデータパケットを受信した送出位置判定部18は、RPRヘッダを削除し、利用者アドレス検索部19との連携により、ARP応答パケットの宛先MACアドレス(=00−E0−00−00−33−01)を検索キーとしてFig.14に示すMACアドレス学習テーブルを検索し、その検索結果として得られるポート“a”にARP応答パケットを送信する。
以上により、利用者機器Eから送信されたARP応答パケットはルータXで受信される。
ARP応答パケットを受信したルータXは、利用者機器Aから受信したデータパケットを利用者機器Eへ送信できるようになる。以降、各RPR装置は学習内容に従って利用者機器Aと利用者機器Eの間でブロードキャストパケットを送ることなくパケットの送受信を行うことが可能である。
以上に説明したように、実施例によれば、L3機能のルーティングプロトコルを使用することなく、データパケットの送受信を行うことができる。
(第2の動作例)L2グルーピング識別子を使用する場合
次に、実施例における第2の動作例として、利用者機器A(Fig.6および7)から送信したパケットを利用者機器E(Fig.6および9)で受信するまでの各RPR装置1〜6の動作を、L2グルーピング識別子を使用した場合について説明する。
各RPR装置1〜6のうち、少なくともRPR装置4,5および6は、Fig.2に示したような構成および機能を備えている。また、L2グルーピング識別子の例としてVLANタグが使用される。
Fig.30は、Fig.6に示すようなネットワークにVLANを適用した場合における例を示す。Fig.30において、利用者機器A,DおよびEにはL2グルーピング識別子としてのVLAN ID(「VLAN−ID」とも表記)=1が割り当てられている。また、利用者機器B,CおよびFには、VLAN−ID=2が割り当てられている。また、利用者機器Gには、VLAN−ID=3が割り当てられている。
また、各RPR装置は、自ノード配下にいる利用者機器のVLAN−IDについてはプロビジョニングにより認識し、情報を保持しているものと仮定する。各RPR装置において、各利用者機器のVLAN−IDは、例えば、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20にて管理されるVLAN−ID登録テーブル(Fig.31および32参照)に格納され、受信データ判定部16が参照することができる。但し、VLAN−ID登録テーブルは、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20以外のRPR装置内の適宜の場所で管理することができる。
Fig.30に示す各RPR装置1〜6がトポロジマップを生成してから、利用者機器AがルータXへデータパケットを送信するまでの動作は、上述した第1の動作例と同様であるため、説明を省略する。
ルータXは、利用者機器Aからデータパケットを受信すると、利用者機器EのMACアドレスを知るため、利用者機器Eが属しているサブネットへ向けてARP要求パケットを送信する。この場合のARP要求パケットは、Fig.33に示すフォーマットを有し、ARPパケットのMACヘッダの設定値は、Fig.34に示すような値を持つ。
RPR装置4は、ルータXからのARP要求パケットをポート“a”で受信する。RPR装置4の受信利用者データ判定部14は、利用者アドレス学習部15にARP要求パケットを渡す。利用者アドレス学習部15でのMACアドレス学習テーブルの作成については、第1の動作例と同様であるので省略する。受信利用者データ判定部14は、MACアドレス学習が行われた後に、ARP要求パケットを送出RPR装置判定部12へ渡す。
送出RPR装置判定部は、ARP要求パケットの宛先MACアドレスがブロードキャストアドレスか否かを判定する。ここでは、送出RPR装置判定部12は、宛先RPR装置MACアドレスをブロードキャストアドレスに設定したRPRヘッダを付加してRPRデータパケットを生成し、送出リング選択部11へ渡す。
この場合のRPRデータパケットはFig.35に示すフォーマットを有し、このRPRデータパケットのRPRヘッダには、Fig.36に示す設定値が設定される。
送出リング選択部11は、RPRヘッダの情報からインナーおよびアウターリングのどちらへRPRデータパケットを送信するかを選択する。ここでは、アウターリングを利用して隣接RPR装置であるRPR装置5にRPRデータパケットを送信する。
次に、RPR装置4からRPRデータパケット(Fig.35および36)を受信したRPR装置5の動作について説明する。RPR装置5がRPR装置4からRPRデータパケットを受信すると、RPR装置5の受信データ判定部16は、Fig.18Aおよび18Bに示す処理フローを開始し、RPRデータパケットVLANタグの有無を判定する(S001)。
このとき、RPRデータパケットにはVLANタグが付加されている(Fig.35および36)。このため、受信データ判定部16は、Fig.31に示すVLAN−ID登録テーブルをVLANタグにおけるVLAN−ID=1でインデックスする。このとき、VLAN−ID=1は登録されていない。
このため、受信データ判定部16は、RPR装置アドレス学習部17に送信元RPR装置アドレスと送信元利用者機器アドレスの対応を学習させることなく、RPRデータパケットを送出リング選択部11へ渡す(Fig.18A;S003)。
受信データ判定部16からRPRデータパケットを受け取った送出リング選択部11は、RPRヘッダの情報からインナーおよびアウターリングのどちらへ送信するかを選択する。ここでは、送出リング選択部11は、アウターリングを選択し、隣接RPR装置に相当するRPR装置6へRPRデータパケットを送信する。
次に、RPR装置5からRPRデータパケットを受信したRPR装置6の動作について説明する。RPR装置6がRPR装置5からRPRデータパケットを受信すると、RPR装置6の受信データ判定部16はFig.18Aおよび18Bに示す処理フローを開始する。
受信データ判定部16は、RPRデータパケットにVLANタグが含まれているか否かを判定する(S001)。ここでは、VLANタグが含まれているので、受信データ判定部16は、そのVLANタグに設定されているVLANタグ=1を抽出し、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20にて管理されているVLAN−ID登録テーブル(Fig.32に示す内容が登録されている)をVLAN−ID=1でインデックスし、VLAN−ID=1が登録されているか否かを判定する(S002)。
このとき、VLAN−ID登録テーブルには、VLAN−ID=1が登録されている。このため、受信データ判定部16は、RPRヘッダの宛先MACアドレスを判定する(S004)。
ここに、RPRヘッダの宛先MACアドレスは、ブロードキャストアドレス(=FF−FF−FF−FF−FF−FF)である。このため、受信データ判定部16は、RPRヘッダの送信元MACアドレスが自ノードのMACアドレスか否かを判定する。送信元MACアドレスは、自ノードMACアドレスとは異なる。このため、受信データ判定部16は、RPRデータパケットをRPR装置アドレス学習部17へ渡す。
RPR装置アドレス学習部17は、RPRデータパケットを受け取ると、Fig.19に示した処理フローを開始して、RPRヘッダの送信元MACアドレスとARP要求パケットの送信元MACアドレスの対応を学習し、RPR装置アドレス/利用者機器アドレス学習管理部20は、Fig.20に示した処理フローに従って、Fig.21に示す登録内容を持つRPR−MACアドレス学習テーブル20Aを作成する(RPR−MACアドレスとMACアドレスとの対応関係を登録する)。
RPRデータパケットは、RPR−MACアドレス学習テーブル20Aが作成された後、受信データ判定部16に渡される。受信データ判定部16は、RPRデータパケットを送出リング選択部11と送出位置判定部18とに渡す。
送出リング選択部11は、RPRデータパケットを受け取ると、RPR5の動作と同様の動作を行うので、説明は省略する。
受信データ判定部16からRPRデータパケットを受信した送出位置判定部18は、RPRヘッダを削除し、VLANタグのVLAN−ID=1とARP要求パケットの宛先MACアドレス(=FF−FF−FF−FF−FF−FF)とに従って、これらに対応するRPR装置6の配下の利用者機器DおよびEにのみARP要求パケットをブロードキャスト送信する。
これによって、ARP要求パケットは、ブリッジYを介して利用者機器DおよびEにそれぞれ到着する。このようにしてルータXからのARP要求パケットを利用者機器Eが受信することができる。
以上により、各RPR装置1〜6(少なくともRPR装置4〜6)に設定されたVLAN−IDによって、各RPR装置4〜6は、自RPR装置宛のRPRデータパケットしか取り込まないようにRPRデータパケットをフィルタリングすることができる。
なお、その後は、利用者機器Eが自身のMACアドレスを持つARP応答パケットを生成し、ルータX宛に送信する。その後の動作は第1の動作例と同様であるので説明を省略する。
〔実施形態の効果〕
実施形態によると、利用者機器をそれぞれ収容する複数のRPR装置がRPRリングネットワークに接続され、各RPR装置が各RPR装置のMACアドレスと、そのRPR装置に収容されている利用者機器のMACアドレスとの対応関係が登録されたRPR−MACアドレス学習テーブルを持つ。
これによって、各RPR装置は、どの利用者機器がどのRPR装置に収容されているのかを認識することができる。これによって、各RPR装置は自身が収容しているパケットの宛先アドレスから対応するRPR装置アドレス(宛先に相当する利用者機器を収容しているRPR装置)を割り出して、RPRヘッダに宛先MACアドレスとして設定することができる。
このため、各RPR装置は、パケットにブロードキャスト指定でない宛先MACアドレスが設定されている場合には、RPRデータパケットをブロードキャストで送信する必要が無くなる。
これによって、RPRデータパケットの中継ノードとして機能するRPR装置(第1および第2の動作例ではRPR装置5)が、RPRデータパケットを取り込み、自身が収容しているローカルネットワーク(利用者機器ネットワーク)に送出しなくて済む。従って、フラッディングが抑えられる。
さらに、実施形態によると、L2グルーピング識別子を利用することによって、各RPR装置が自ノード宛以外のRPRデータパケットをフィルタリング(取り込みを拒否)することができる。
これによって、各RPR装置は、自ノード宛以外のRPRデータパケットに対する送信元RPR−MACアドレスと送信元MACアドレスとの対応関係の学習および登録処理を行わなくて済む。従って、RPR装置の処理負担の軽減および資源の有効利用を図ることができる。
また、実施形態によると、RPR装置4は、ルータXからのARP要求パケットを受け取ると、このARP要求パケットに対して自身のMACアドレスを含むARP応答パケットをルータXに返送することなく、RPRネットワークへ向けて、ARP要求を含むブロードキャスト指定のRPRデータパケットを送出する。
これによって、RPRネットワーク上の各RPR装置は、RPRデータパケットを受信してRPR装置4にルータXが収容されていることを学習することができるとともに、RPR装置6は、RPRデータパケットからRPRヘッダを外して利用者機器側のネットワーク(ローカルネットワーク)にARPパケットを送出する。
これによって、ルータXから送信された利用者機器Eの受信を所望するブロードキャストパケット(ARP要求パケット)が利用者機器Eにて受信される。その後、ルータX宛のARP応答パケットが、各RPR装置の学習結果に従ってRPRネットワークにおいてブロードキャストされることなくRPR装置4を介してルータXまで転送される。
このように、実施形態におけるRPRネットワークは、利用者機器を収容しているL2レベルのネットワークとして機能し、各RPR装置は、L2レベルの処理(MACアドレスに基づく)転送制御を行うことで、利用者機器間のデータの送受信を実現することができる。
すなわち、各RPR装置がルーティングテーブルの作成、L3(IP)の終端、L3ルーティングテーブルに従ったパケットの転送制御を行わなくても、利用者機器間のデータの送受信を実現できる。従って、RPR装置にL3機能を実装する必要がない。
また、RPRネットワークにおける転送制御および学習機能に用いる情報として、標準のMACアドレスおよびRPR−MACアドレスやVLANタグを用いるだけですむので、RPR装置に収容される利用者機器として、特別なフォーマットを使用するものを使用する必要がない。
また、実施形態によると、各RPR装置は、利用者機器として、L2レベルの利用者機器(利用者機器E)とL3レベルの利用者機器(ルータX)との双方を収容することができ、これらの利用者機器に対して同じ動作で利用者機器間の通信を実現することができる。
さらに、実施形態によると、次の利点がある。
〈1〉ネットワークルーティングをポートアドレス対応表などのL2−RPRマッピングテーブル(RPR−MACアドレス学習テーブル)を使用することによって、L3機能が必須でなくなる。
このため、RPR装置に対し、L3機能を提供するためのハードウェアおよびソフトウェアを実装する必要がなくなる。従って、RPR装置の価格を大幅に抑制できる。
〈2〉実施形態に係るRPR装置は、L3機能を含まない。このため、RPR装置に対して複雑な保守や運用を図る必要がなくなる。これによって、保守や運用に対する費用を大幅に低減することが可能となる。
〈3〉宛先RPR−MACとその配下のL2−MAC/他識別子との対応付けをテーブル化することにより、独自のヘッダのカプセル化制御を行う場合、直接RPR装置とつなげる事が出来ない。これに対し、実施形態では、対象MACアドレスをテーブル化する。このため、直接RPR装置に対して接続が可能となる。
【産業上の利用可能性】
本発明は、例えば、RPRリングネットワークに複数接続され、それぞれが利用者機器を収容し、利用者機器間のデータの送受信に際して中継ノードとして機能する伝送装置(RPR装置)に適用することができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】



【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】

【図28】

【図29】

【図30】

【図31】

【図32】

【図33】

【図34】

【図35】

【図36】

【図37】

【図38】

【図39】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のリングに接続されてRPR(Resilient Packet Ring)ネットワークを構成するRPR装置であって、
前記リングに接続される各RPR装置を示すRPR装置アドレスと、各RPR装置がそれぞれ収容している利用者機器を示す利用者機器アドレスとの対応関係を登録するための記憶部と、
自装置が収容している利用者機器から受信された或る利用者機器が宛先のデータを受け取り、この或る利用者機器を収容しているRPR装置のRPR装置アドレスが前記記憶部に登録されている場合には、このRPR装置アドレスが宛先RPR装置アドレスとして設定されたRPRヘッダを前記データに付加する転送制御手段と、
RPRヘッダが付加された前記データを前記RPRネットワークに送出する手段と、
を含むRPR装置。
【請求項2】
前記RPRネットワークからRPRヘッダが付加されたデータを受信する受信手段と、
少なくとも前記RPRヘッダが付加されたデータの送信元アドレスとこのRPRヘッダに設定されている送信元RPR装置アドレスとを前記受信手段から受け取り、この送信元アドレスが前記記憶部に登録されていない場合に、これらの送信元アドレスと送信元RPR装置アドレスとを対応づけて前記記憶部に登録するアドレス学習手段と、
をさらに含む請求項1記載のRPR装置。
【請求項3】
前記アドレス学習手段は、
前記受信手段で受信されたRPRヘッダが付加されたデータの送信元アドレスが前記記憶部に記憶されているか否かを判定する判定部と、
前記送信元アドレスが記憶されていない場合に、前記送信元アドレスと前記RPRヘッダに設定されている送信元RPR装置アドレスとを対応付けて前記記憶部に記憶する登録部と、
を含む請求項1または2記載のRPR装置。
【請求項4】
前記転送制御手段は、
前記或る利用者機器宛のデータの送信先アドレスを検索キーとして、対応するRPR装置アドレスを検索する検索部と、
前記対応するRPR装置アドレスが検索された場合に、このRPR装置アドレスが宛先RPR装置アドレスとして設定されたRPRヘッダを前記データに付加する付加部と、
を含む請求項1〜3のいずれかに記載のRPR装置。
【請求項5】
前記受信手段は、RPRネットワークから受信したRPRヘッダが付加されたデータに設定されているグループ識別子が自装置に収容されている利用者機器が属するグループ識別子と合致しない場合には、前記アドレス学習手段に、少なくとも前記データの送信元アドレスと前記RPRヘッダに設定されている送信元RPR装置アドレスとを渡さない
請求項2〜4のいずれかに記載のRPR装置。
【請求項6】
前記利用者機器アドレスおよび前記RPR装置アドレスがMACアドレスである
請求項1〜5のいずれかに記載のRPR装置。
【請求項7】
前記グループ識別子がレイヤ2グルーピング識別子である
請求項5または6記載のRPR装置。
【請求項8】
前記レイヤ2グルーピング識別子がVLAN IDである
請求項7記載のRPR装置。
【請求項9】
1以上の利用者機器をそれぞれ収容する第1および第2のRPR(Resilient Packet Ring)装置を含む複数のRPR装置が1以上のリングに接続されたRPRネットワークシステムであって、
前記第1のRPR装置は、自装置が収容している第1の利用者機器から、前記第2のRPR装置に収容されている第2の利用者機器への到着を所望するブロードキャスト指定のパケットを受信した場合に、このパケットに送信元RPR装置アドレスが第1のRPR装置のアドレスであり且つ宛先RPR装置アドレスがブロードキャストアドレスであるRPRヘッダを付加してRPRネットワークに送出し、
前記第2のRPR装置は、前記第1のRPR装置から送出されたRPRヘッダが付加されたパケットをRPRネットワークから受信した場合に、このRPRヘッダの送信元RPR装置アドレスとこのパケットに送信元アドレスとして設定されている前記第1の利用者機器のアドレスとに基づいて、前記第1のRPR装置に前記第1の利用者機器が収容されていることを学習するとともに、このパケットからRPRヘッダを外して前記第2の利用者機器に向けて送出し、
前記第2のRPR装置は、前記第2の利用者機器から送信された前記第1の利用者機器宛のパケットを受信した場合に、このパケットに学習済みの前記第1のRPR装置のRPR装置アドレスが宛先RPR装置アドレスとして設定されたRPRヘッダを付加してRPRネットワークに送出し、
前記第1のRPR装置は、前記第2のRPR装置から送出されたRPRヘッダが付加されたパケットをRPRネットワークから受信した場合に、このパケットからRPRヘッダを外して前記第1の利用者機器へ向けて送出する
RPRネットワークシステム。
【請求項10】
前記第1のRPR装置は、
前記第2のRPR装置から送出されたRPRヘッダが付加されたパケットを受信した場合に、このRPPヘッダに送信元RPR装置アドレスとして設定されている前記第2のRPR装置のRPR装置アドレスと、このパケットの送信元アドレスとして設定されている前記第2の利用者機器のアドレスとに基づいて、前記第2のRPR装置が前記第2の利用者機器を収容していることを学習し、
前記第1の利用者機器から、宛先アドレスとして前記第2の利用者機器のアドレスが宛先アドレスとして設定されたパケットを受信した場合には、このパケットに、学習済みの前記第2のRPR装置のRPR装置アドレスが宛先RPR装置アドレスとして設定されたRPRヘッダを付加してRPRネットワークに送出する
請求項9記載のRPRネットワークシステム。
【請求項11】
前記第1のRPR装置と前記第2のRPR装置との間を転送されるRPRヘッダが付加されたパケットを中継するRPR装置は、前記第1または第2のRPR装置から送出された前記RPRヘッダが付加されたパケットを受信した場合には、このRPRヘッダが付加されたパケットに設定されている送信元PRP装置アドレスと送信元アドレスとに基づいて、この送信元RPR装置アドレスで特定されるRPR装置に、この送信元アドレスで特定される利用者機器が収容されていることを学習する
請求項10記載のRPRネットワークシステム。
【請求項12】
異なるRPR装置に収容された利用者機器間で送受信されるパケットには、これらの利用者機器が属するレイヤ2グループを示すレイヤ2グルーピング識別子が設定されており、
前記複数のRPR装置のそれぞれは、自装置が収容している利用者機器のL2グルーピング識別子を保持しており、RPRネットワークから受信するRPRヘッダが付加されたパケットに、自装置が保持しているL2グルーピング識別子と異なるL2グルーピング識別子が設定されている場合には、このRPRヘッダが付加されたパケットの取り込みおよび前記学習を行わない
請求項11記載のRPRネットワークシステム。
【請求項13】
1以上のリングに接続されてRPR(Resilient Packet Ring)ネットワークを構成するRPR装置において、
自装置が収容している利用者機器から受信された或る利用者機器が宛先のデータを受け取り、
この或る利用者機器を収容しているRPR装置のRPR装置アドレスが、前記リングに接続される各RPR装置を示すRPR装置アドレスと、各RPR装置がそれぞれ収容している利用者機器を示す利用者機器アドレスとの対応関係を登録するための記憶部に登録されている場合には、このRPR装置アドレスが宛先RPR装置アドレスとして設定されたRPRヘッダを前記データに付加し、
RPRヘッダが付加された前記データを前記RPRネットワークに送出する、
ことを含むRPR装置のデータ転送方法。
【請求項14】
前記RPRネットワークからRPRヘッダが付加されたデータを受信し、
受信されたデータの送信元アドレスが前記記憶部に登録されていない場合に、これらの送信元アドレスと送信元RPR装置アドレスとを対応づけて前記記憶部に登録する、
ことをさらに含む請求項13記載のRPR装置のデータ転送方法。
【請求項15】
前記RPRネットワークから受信されたRPRヘッダが付加されたデータの送信元アドレスが前記記憶部に記憶されているか否かを判定し、
前記送信元アドレスが記憶されていない場合に、前記送信元アドレスと前記RPRヘッダに設定されている送信元RPR装置アドレスとを対応付けて前記記憶部に登録する、
請求項13または14記載のRPR装置のデータ転送方法。
【請求項16】
前記或る利用者機器宛のデータの送信先アドレスを検索キーとして、対応するRPR装置アドレスを検索し、
前記対応するRPR装置アドレスが検索された場合に、このRPR装置アドレスが宛先RPR装置アドレスとして設定されたRPRヘッダを前記データに付加する、
請求項13〜15のいずれかに記載のRPR装置のデータ転送方法。
【請求項17】
RPRネットワークから受信されたRPRヘッダが付加されたデータに設定されているグループ識別子が自装置に収容されている利用者機器に割り当てられたグループ識別子に合致しない場合には、前記記憶部に対する前記データの送信元アドレスと前記RPRヘッダに設定されている送信元RPR装置アドレスとの登録処理を行わない
請求項14〜16のいずれかに記載のRPR装置のデータ転送方法。
【請求項18】
前記利用者機器アドレスおよび前記RPR装置アドレスがMACアドレスである
請求項13〜17のいずれかに記載のRPR装置のデータ転送方法。
【請求項19】
前記グループ識別子がレイヤ2グルーピング識別子である
請求項17または18記載のRPR装置のデータ転送方法。
【請求項20】
前記レイヤ2グルーピング識別子がVLAN IDである
請求項19記載のRPR装置のデータ転送方法。
【請求項21】
1以上の利用者機器を収容する第1および第2のRPR(Resilient Packet Ring)装置を含む複数のRPR装置が接続されたRPRネットワークシステムにおいて、
前記第1のRPR装置が収容している第1の利用者機器から前記第2のRPR装置に収容されている第2の利用者機器への到着を所望するブロードキャスト指定のパケットを前記第1のRPR装置が受信した場合に、前記第1のRPR装置で、このパケットに送信元アドレスが第1のRPR装置のRPR装置アドレスであり且つ宛先アドレスがブロードキャストアドレスであるRPRヘッダを付加してRPRネットワークに送出し、
前記第2のRPR装置が前記第1のRPR装置から送出されたRPRヘッダが付加されたパケットをRPRネットワークから受信した場合に、前記第2のRPR装置で、このRPRヘッダの送信元RPR装置アドレスとこのパケットに送信元アドレスとして設定されている前記第1の利用者機器のアドレスとに基づいて、前記第1のRPR装置に前記第1の利用者機器が収容されていることを学習するとともに、このパケットからRPRヘッダを外して前記第2の利用者機器に向けて送出し、
前記第2のRPR装置が前記第2の利用者機器から送信された前記第1の利用者機器宛のパケットを受信した場合に、前記第2のRPR装置で、このパケットに学習済みの前記第1のRPR装置のRPR装置アドレスが宛先RPR装置アドレスとして設定されたRPRヘッダを付加してRPRネットワークに送出し、
前記第1のRPR装置が前記第2のRPR装置から送出されたRPRヘッダが付加されたパケットをRPRネットワークから受信した場合に、前記第1のRPR装置で、このパケットからRPRヘッダを外して前記第1の利用者機器へ向けて送出する
RPRネットワークシステムのデータ転送方法。
【請求項22】
前記第1のRPR装置が前記第2のRPR装置から送出されたRPRヘッダが付加されたパケットを受信した場合に、前記第1のRPR装置で、このRPPヘッダに送信元RPR装置アドレスとして設定されている前記第2のRPR装置のRPR装置アドレスと、このパケットの送信元アドレスとして設定されている前記第2の利用者機器のアドレスとに基づいて、前記第2のRPR装置が前記第2の利用者機器を収容していることを学習し、
前記第1のRPR装置が前記第1の利用者機器から宛先アドレスとして前記第2の利用者機器のアドレスが宛先アドレスとして設定されたパケットを受信した場合には、前記第1のRPR装置で、このパケットに、学習済みの前記第2のRPR装置のRPR装置アドレスが宛先RPR装置アドレスとして設定されたRPRヘッダを付加してRPRネットワークに送出する
請求項21記載のRPRネットワークシステムのデータ転送方法。
【請求項23】
前記第1のRPR装置と前記第2のRPR装置との間を転送されるRPRヘッダが付加されたパケットを中継するRPR装置が前記第1または第2のRPR装置から送出された前記RPRヘッダが付加されたパケットを受信した場合には、この中継RPR装置で、このRPRヘッダが付加されたパケットに設定されている送信元PRP装置アドレスと送信元アドレスとに基づいて、この送信元RPR装置アドレスで特定されるRPR装置に、この送信元アドレスで特定される利用者機器が収容されていることを学習する
請求項22記載のRPRネットワークシステムのデータ転送方法。
【請求項24】
異なるRPR装置に収容された利用者機器間で送受信されるパケットには、これらの利用者機器が属するレイヤ2グループを示すレイヤ2グルーピング識別子が設定されており、
前記複数のRPR装置のそれぞれは、自装置が収容している利用者機器のL2グルーピング識別子を保持しており、RPRネットワークから受信するRPRヘッダが付加されたパケットに、自装置が保持しているL2グルーピング識別子と異なるL2グルーピング識別子が設定されている場合には、このRPRヘッダが付加されたパケットの取り込みおよび前記学習を行わない
請求項23記載のRPRネットワークシステムのデータ転送方法。

【国際公開番号】WO2004/073262
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【発行日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−568173(P2004−568173)
【国際出願番号】PCT/JP2003/001442
【国際出願日】平成15年2月12日(2003.2.12)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】