説明

S1P調節剤を含む医薬組成物

本発明は、S1P受容体調節剤、例えばS1P受容体アゴニストを含む様々な医薬組成物を提供する。1つの局面において、コーティングを有する医薬組成物を提供する。他の局面において、急速崩壊組成物を提供する。さらなる局面において、糖アルコールを含まない医薬組成物を提供する。他の局面において、本発明はS1P受容体調節剤を含む、コーティングを含む医薬組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スフィンゴシン−1ホスフェート受容体調節剤、とりわけスフィンゴシン−1ホスフェート受容体アゴニストを含む医薬組成物に関する。
【0002】
スフィンゴシン−1ホスフェート(本明細書において、「S1P」と称する)は天然血清脂質である。現在8つのS1P受容体、すなわちS1P1〜S1P8が知られている。S1P受容体アゴニストはリンパ球ホーミングを加速させる特性を有する。
【0003】
S1P受容体アゴニストは免疫調節化合物であり、これは循環系から二次的リンパ管組織へのリンパ球の再分配(好ましくは可逆的)からもたらされるリンパ球減少を引き起こし、全身的な免疫抑制を惹起する。未感作細胞は隔離され、CD4およびCD8T細胞、ならびに血液由来のB細胞は、リンパ節(LN)およびパイアー斑(PP)に移動するように刺激され、こうして、細胞の移植臓器への浸潤が阻害される。
【0004】
多数の既知のS1P受容体調節剤は構造的類似を示し、これによって好適な製剤を提供するにおいて関連した問題が生じる。固体形態の、例えば錠剤またはカプセル剤としての、経口投与に十分適用可能なS1P受容体調節剤含有製剤が必要とされている。さらに、経口経路は薬剤送達のためには通常最も便利な経路であるが、不運なことに多くの患者が、例えば投与形の望ましくない味または摂取時に水が利用できないなどのため、嚥下困難に遭遇する。したがって、例えば小児または老齢患者に嚥下が容易であるS1P受容体調節剤含有経口製剤も必要とされている。さらにまた、多様な投与力価を有するS1P受容体調節剤の投与形態を容易に製造する方法が必要とされている。
【0005】
本発明は、これらの必要に応えるS1P受容体調節剤を含む様々な医薬組成物を提供する。該組成物は、S1P受容体調節剤および他の調節剤の全身投与の簡便な手段を提供し、注射または経口用液体製剤の欠点を有さず、そして良好な物理化学的特性および貯蔵特性を有する。特に、本発明の組成物は、組成物中のS1P受容体調節剤の分布における高レベルな均一性、ならびに高い安定性を示し得る。本発明の組成物は、高速自動装置で製造することができ、したがって手作業でのカプセル充填を必要としない。
【0006】
ある局面において、本発明は、口腔内で速やかに崩壊し、味をマスクする甘味剤または風味剤の使用に依存せず、そして投与形態を嚥下するための液体の存在に依存しない即時分散投与形態を提供する。かかる投与形態は口の中、特に唾液中で崩壊することができる。好ましくは、該投与形態は良好な口当たりを有し、口の中での薬剤の早すぎる放出を示さない。固体医薬組成物の即時崩壊は、有効成分の溶解性を増加し得る。特に唾液の場合、これによって小腸内におけるよりもよりよい薬剤の溶解性を導き得る。
【0007】
本発明の医薬組成物は、標準的な方法、例えば常套の混合、造粒、溶解または凍結乾燥プロセスによって製造することができる。使用することができる方法は、当該技術分野において既知であり、例えばL. Lachman et al. The Theory and Practice of Industrial Pharmacy, 3rd Ed, 1986、H. Sucker et al, Pharmazeutische Technologie, Thieme, 1991、Hagers Handbuch der pharmazeutischen Praxis, 4th Ed. (Springer Verlag, 1971) および Remington’s Pharmaceutical Sciences, 13th Ed., (Mack Publ., Co., 1970) またはその後の版に記載されている。
【0008】
本発明の組成物は、標準的な安定性試験によって示されるように良好な安定性を示し、例えば1、2または3年まで、およびそれ以上の保存寿命安定性を有し得る。好ましくは、該組成物は周囲温度で少なくとも6ヶ月安定である。安定性は例えば、ある時間、ある温度、例えば20℃、40℃または60℃で貯蔵後にHPLC分析によって分解生成物を測定することによって測定することができる。
【0009】
コーティングを含む組成物
コーティングを錠剤コアまたはペレットコアに、またはカプセルの表面に適用することによって、医薬組成物をより嚥下容易にすることができ、したがって不快な味を減少させるまたはマスクすることによってコンプライアンスが改善され得る。
【0010】
1つの局面において、本発明は、S1P受容体調節剤、例えばS1P受容体アゴニストを含む経口医薬組成物であって:
(a)1種以上のポリマー樹脂
(b)1種以上の金属オキシド
を含むコーティングを含んで成る組成物を提供する。
【0011】
固体組成物は異なるサイズのペレットの形態を取ってもよく、個々のペレットにコーティングを施されて複数の形態で存在することができ、例えば1個のカプセルまたはサシェット中に含まれていてもよい。
固体組成物は微粉化していてもよい粉末成分から形成することができ、そして種々の硬度の組成物に圧縮することができる。
【0012】
1つの態様において、圧縮組成物の粉末成分は、圧縮前にコーティングする。
他の態様において、圧縮組成物は圧縮後にコーティングする。
他の態様において、該コーティングを圧縮前後のいずれにも適用する。
液体経口組成物は、液体組成物を含むカプセル剤を含み、ここで該カプセル剤はコーティングを含む。
【0013】
1つの態様において、該コーティングはカプセルの外側表面上に適用する。
他の態様において、該コーティングはカプセルの外側表面内に分散する。
しかし、カプセルは液体成分に限定されず、粉末、ペレットの形態の固体組成物または均一液体および不均一懸濁液を含んでいてもよい。
【0014】
該固体組成物がペレットまたは顆粒の形態であるとき、これらは本明細書に記載のコーティングの適用後、それ自体、またはカプセル、例えば硬ゼラチンカプセルもしくは他の貯蔵手段、例えばサシェットに投与前に充填して使用することができる。
ペレットおよび顆粒は直径2〜0.3mmであってよく、例えば「通常のペレット」は1〜0.6mmのサイズを有し、「ビーズペレット」は0.4〜0.8mmのサイズを有する。
本発明の被覆(コーティング)組成物は、ここで錠剤コアと称され、例示される錠剤組成物に対して使用するのに特に適している。
【0015】
1つの態様において、被覆組成物を用いてS1P調節剤、例えばS1Pアゴニストを含む圧縮錠剤コアをコーティングする。
該錠剤コアは経口投与用固体製剤であってよい。
「コア」なる用語は、広い意味において、錠剤、ペレットまたは顆粒だけでなく、ゼラチンまたはデンプンのカプセル、例えば軟もしくは硬カプセルも含む。かかるコアは常套の方法で製造することができる。
【0016】
錠剤コアを用いるとき、これは好ましくは、約10〜70Nの硬度を有する。該錠剤コアは38N/cm未満、例えば22N/cm以下の抗張力を有してもよい。
S1P調節剤、例えばS1Pアゴニストを含む錠剤コアの硬度は、本明細書に記載のとおりコーティングを適用することによって、増加し得る。したがって該コーティングは、38N/cm(2.5kP)未満の抗張力を有するコア、すなわちコーティングなしでは実際の使用には弱すぎると考えられるコアから、良好な構造的強度を有する錠剤を得るための手段を提供し得る。当該コアは30N/cm(2.0kP)未満、好ましくは22N/cm(1.5kP)未満の抗張力を有してもよい。
【0017】
当該コアは軽い圧縮によって形成することができ、そして被覆成分およびもろい成分、例えばカプセルを、圧縮混合物中で損傷がほとんどないかまたは全くない状態で用いることができる。
該錠剤コアはアジュバントとS1P調節剤、例えばS1Pアゴニストを含んでいてもよい。
【0018】
該錠剤コアは、希釈剤、崩壊剤、滑沢剤、湿潤剤、流動促進剤、界面活性剤、放出補助剤、着色剤、発泡剤等を含む常套の錠剤成分を含んでいてもよい。
該錠剤コアは、当業者に既知のあらゆる既知の製剤によって製剤することができる。
該錠剤コアは、増量剤、例えばポリオール、粉末マンニトール、例えばまたは他の単糖類もしくは糖、糖アルコール等、例えばラクトース、ショ糖、デキストロース、マンニトールおよびデンプンを含んでいてもよいが、これらに限定されない。
【0019】
該錠剤コア組成物は、さらに、または他の成分に替えて、結合剤、例えばPVP、例えばセルロース、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、デンプン粘液、アカシア、アルギニン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グルコース、グアーガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルトデクトリン(kaltodectrin)、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポビドン、アルギン酸ナトリウムおよび水素化植物油を含んでいてもよい。
該錠剤コアは、さらに、または他の成分に替えて、崩壊剤(発泡剤を含むまたは含まない)、例えば架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、クロスポビドン、またはデンプングリコール酸ナトリウムを含んでいてもよい。
【0020】
該錠剤コアは、さらに、または他の成分に替えて、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリールフマル酸ナトリウム、コロイド状シリカまたはタルクを含んでいてもよい。
1つの態様において、該錠剤コアは、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウム1.5〜2%を含む。
該錠剤コア組成物は、さらに、または他の成分に替えて、流動促進剤、例えばシリカを含んでいてもよい。
該錠剤コア組成物は、さらに、または他の成分に替えて、界面活性剤、例えばラウリルサルフェートナトリウムまたはドキュセートナトリウムを含んでいてもよい。
該錠剤コア組成物は、さらに、または他の成分に替えて、風味剤を含んでいてもよい。
【0021】
該錠剤コア組成物は、さらに、または他の成分に替えて、発泡剤、例えば重炭酸ナトリウムまたはクエン酸を含んでいてもよい。
該錠剤コア組成物は、さらに、または他の成分に替えて、甘味剤を含んでいてもよい。
該錠剤コア組成物は、さらに、または他の成分に替えて、pH調節剤、例えばクエン酸またはフマル酸を含んでいてもよい。
該錠剤コアは放出速度制御添加物を含んでいてもよい。例えば、該薬剤は疎水性ポリマーマトリックス内に保持されて、体液と接触すると徐々にマトリックス外に浸出し得る。
【0022】
あるいは、体液の存在下で徐々にまたは速やかに溶解する親水性マトリックス内に該薬剤を保持することができる。該錠剤コアは異なる放出特性を有する2種以上の層を含み得る。当該層は、親水性、疎水性または親水性と疎水性の混合層であってもよい。多層錠剤コアの隣接層は、不溶性の障壁層または親水性の分離層によって分けられ得る。不溶性障壁層は不溶性外皮の形成に使用する物質で形成し得る。親水性分離層は錠剤コアの他の層よりもより溶解性の物質から形成することができ、これによって分離層が溶解して錠剤コアの放出層が露出する。
【0023】
好適な放出速度制御ポリマーは、ポリメタクリレート、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、アクリル酸ポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、カラギーナン、セルロースアセテート、ゼイン等を含む。
【0024】
該錠剤コアは、水性液体と接触すると膨潤する物質をさらに含んでいてもよく、当該物質にはポリマー物質が含まれ、そして該ポリマー物質は、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ヒドロキシプロピルセルロース、高分子量ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルアミド、メタクリレートジビニルベンゼンカリウムコポリマー、ポリメチルメタクリレート、架橋ポリビニルピロリドンまたは高分子量ポリビニルアルコールを含んでいてもよい。
【0025】
該錠剤コアはS1P調節剤、例えばS1Pアゴニストに加えて、さらなる薬学的に活性な成分を含んでいてもよい。
1つの態様において、該錠剤コア組成物が単位投与形態であるとき、各単位投与量は適切にはS1P受容体調節剤、例えばS1Pアゴニスト0.5〜10mgを含む。
該錠剤コアの可能性のある製造は、全ての成分を混合し、さらに錠剤に圧縮すること、および造粒し、さらに顆粒を錠剤に圧縮することを含む。
【0026】
1つの態様において、糖アルコールを含むコア組成物を提供する。S1P受容体調節剤、例えばS1Pアゴニストを含む錠剤コアの例示的製剤は、S1P調節剤と糖アルコールの製剤を開示しているWO 2004/089341に見ることができる。
該糖アルコールは、希釈剤、担体、増量剤または充填剤として作用し得て、好適にはマンニトール、マルチトール、イノシトール、キシリトールまたはラクチトール、好ましくは実質的に非吸湿性の糖アルコール、例えばマンニトール(D−マンニトール)であり得る。1種の糖アルコールを使用することができるか、または2種以上の糖アルコールの混合物、例えば1:1〜4:1の比の例えばマンニトールとキシリトールの混合物を用いることができる。
【0027】
他の態様において、微結晶セルロースとS1P受容体調節剤、例えばS1Pアゴニストを含み、糖アルコールを含まないコア組成物を提供する。
好ましくは、該錠剤コアとコーティングの両方の成分を微粉化する。
1つの態様において、該固体製剤は、速い崩壊速度を有するように製剤することができる。
【0028】
好ましくは、該有効成分用量は0〜1000mgの範囲である。
被覆組成物は粉末または液体ベースであり得る。
該被覆組成物は好適な電気的性質を有し、かつ医薬錠剤コアのコーティングにおけるコーティング物質として使用するのに好適な温度で可溶性であり得る。
【0029】
ポリマー樹脂の例は、ポリメタクリレート、例えばアンモニオメタクリレート、セルロースおよびその誘導体、セルロースエーテルおよびエステル、およびセルロースアセテートフタレートが含まれ得るが、これらに限定されない。
好ましくは、該ポリマー樹脂は非伝導性である。
該被覆組成物は、ポリエチレングリコールまたは糖アルコール、例えばキシリトールを含んでいてもよい。
該被覆組成物は、さらに、または他の成分に替えて、ワックスおよびオイル、またはワックスもしくはオイルのアルコール、ポロキサマー、アルキルフタレート、例えばジエチルフタレート、クエン酸またはエステルを含む他の可能性のある物質を含んでいてもよい。
【0030】
該被覆組成物は、さらに、または他の成分に替えて、1種以上のアクリル酸、アクリル酸のポリマーおよびコポリマー、ならびにそれらの誘導体、例えばポリメチルアクリレート、ポリアルケンおよびそれらの誘導体、例えばエステルおよびアリール−エステルおよびそれらの誘導体、ポリビニルアルコールおよびエステル、セルロースおよびその誘導体、例えばセルロースエーテルおよびセルロースエステル(架橋または非架橋)、例えばエチルセルロース、ならびに1種以上の腸溶性ポリマー、例えばセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルセルロース、1種以上の生分解性ポリマー、例えば1種以上のポリラクチド、ポリグリコリド、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバリレート、エチレンビニルアセテートコポリマー、およびポリ無水物(ホモまたはヘテロポリマー)、またはポリエチレンオキシドを含んでいてもよい。
【0031】
該被覆組成物は、さらに、または他の成分に替えて、分散剤、例えばラウリルサルフェートナトリウム、ドキュセートナトリウム、ツイーン(ソルビタン脂肪酸エステル)、ポロキサマーおよびセトステアリールアルコールを含んでいてもよい。
該被覆組成物は、さらに、または他の成分に替えて、粉末コーティング物質の粒子間の摩擦および/または他の力を減少させて粉末の流動性を改善する減摩成分、例えば二酸化チタン、コロイド状二酸化ケイ素、タルクまたはデンプン、またはそれらの組合せを含んでいてもよい。
【0032】
該被覆組成物は、さらに、または他の成分に替えて、崩壊剤、例えばデンプングリコール酸ナトリウム(架橋)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(架橋)、天然デンプン、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムまたはグリシネートナトリウムを含んでいてもよい。
該被覆組成物は、さらに、または他の成分に替えて、着色剤、例えば金属オキシドまたはレーキ(例えばアルミニウムレーキ)、酸化鉄または染料を含んでいてもよい。
該被覆組成物は、さらに、または他の成分に替えて、味調節剤、例えばアスパルテーム、アセサルフェームk、チクロ、サッカリン、糖または糖アルコールを含んでいてもよい。
該被覆組成物は、さらに、または他の成分に替えて、風味剤を含んでいてもよい。
【0033】
1つの態様において、該コーティングは:
(a)メタクリル酸コポリマー
(b)セルロース
(c)1種以上の金属オキシド
を含む。
【0034】
本発明はまた、経口投与用被覆医薬組成物を製造する方法であって:
(a)S1P受容体調節剤を含む錠剤コアを製造すること;そして
(b)上記定義のとおりにコーティングを適用すること
を含む方法を提供する。
【0035】
1つの態様において、該方法は:
(a)S1P受容体アゴニストまたは他の調節剤を糖アルコールと混合すること;
(b)(a)で得た混合物を摩砕および/または造粒すること;そして
(c)(b)で得た摩砕混合物を滑沢剤と混合すること、
(d)所望により、プロピレングリコール中の他の溶媒、風味剤または保存剤およびグリセリンを添加すること;そして
(e)本発明の被覆組成物を適用すること
を含む。
【0036】
この方法を用いて、良好なレベルの体積およびブレンド均一性(例えば、該組成物中でS1P受容体調節剤の実質的に均一な分散)、溶解時間および安定性を有する製剤が得られる。
【0037】
S1P受容体アゴニスト、例えば2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオールヒドロクロライドを含む錠剤コア組成物の場合、該組成物は所望により微粉化し、および/または塊を除去するために例えば400〜500μmメッシュスクリーンで工程(a)の前に篩過することができる。混合工程(a)は好適には、S1P受容体アゴニストと糖アルコール、例えばマンニトールを、任意の好適なブレンダーまたはミキサーで、例えば100〜400回転で混合することを含み得る。
【0038】
該方法は、成分を乾燥混合して行うことができる。この態様において、摩砕工程(b)は好適には、(a)で得た混合物を好ましくはメッシュサイズ400〜500μmを有するスクリーンに通すことを含んでいてもよい。方法工程(a)は、S1P受容体アゴニストまたは他の調節剤の全量を最初に少量の糖アルコール、例えば糖アルコールの総重量の5〜25重量%と混合して、前混合物を形成する工程を含んでいてもよい。その後、残りの量の糖アルコールを前記前混合物に加える。工程(a)はまた、結合溶液、例えばメチルセルロースおよび/またはキシリトール、例えば水溶液を前記混合物に加える工程を含んでいてもよい。
【0039】
工程(b)で得た摩砕混合物は、滑沢剤と混合する前に所望により1回以上混合してもよい。該滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムは、好ましくは混合前に例えば800〜900μmスクリーンで予め篩過する。
【0040】
あるいは、湿式造粒方法を用いる。この態様において、S1P受容体調節剤は好ましくは、最初に所望の糖アルコール、例えばマンニトールと乾燥混合し、そして得られた糖アルコール/S1P受容体調節剤混合物を結合剤、例えばヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースと乾燥混合する。水を加え、混合物を、例えば自動造粒機を用いて造粒する。次に該顆粒を乾燥させ、摩砕する。
【0041】
所望により、さらなる量の結合剤を工程(c)において、(b)で得られた混合物に加えることができる。
該方法は、(c)で得た混合物を打錠または、例えば硬ゼラチンカプセルに自動充填装置を用いて、充填する工程をさらに含んでいてもよい。該カプセル剤を、それぞれの外見を区別し、すぐに認識できるように着色またはマークを付してもよい。カプセルの外見を向上させ、識別するために、着色料を用いることができる。医薬に用いるのに適した着色料は、典型的には、カロチノイド、酸化鉄およびクロロフィルを含む。好ましくは、該カプセルを、コードを用いてマークを付す。
【0042】
特に被覆錠剤コアの場合、該被覆混合物は、ポリマー、着色剤および他の添加物の混合物の溶融押出によって製造することができ、そしてさらに、製造した溶融押出物の微粉化が必要である(7〜10ミクロン)。該被覆粉末は、適当なパッケージング中で安定であり、そして製造後少なくとも1年間生成物を被覆するために用いることができる。
錠剤コアを覆うコーティングは、可溶性粒子を含む粉末の静電固着によって行われる。
【0043】
この技術によって、薄い連続フィルムを錠剤コアの表面領域に形成することができる。一般に、該フィルムは錠剤コアの表面積の25〜100%、好ましくは50〜100%をカバーする。得られた錠剤は好ましくは、少なくとも50N/cm、60N/cm、最も好ましくは少なくとも70N/cmの抗張力を有する。
【0044】
1つの態様において、下記コーティング方法を用いる:
最初に、コアをホイールに固定し(吸引により)、帯電させ、コーティングチャンバーに移し、反対に帯電させたコーティング粉末を当該コア表面に付着させる。次に、この粉末層を形成したホイール上のコアをIRランプ部に移し、該コーティング粉末を溶融させた。次に、当該コアを隣接した第2ホイールに移し、該錠剤コアの底部について上記方法を反復する。
フィルム厚:20−50μm。
【0045】
典型的なコーティング重量は、コア重量の3−4%、例えば10mm2凸面錠剤でコーティング6mgである。12mm丸コアでの最大コーティング重量は、20mgである。該コーティングは好ましくは高度に均一であり、そして好ましくは均一な厚さを有する。
【0046】
加熱工程:これは、室温から錠剤を加熱して、該錠剤表面の温度が最大で約100℃、錠剤コアで約70℃に、約20秒間のピークとする。総熱曝露は常套のフィルムコーティングよりも少ない(60〜70℃で1〜2時間)。
好ましくは、該被覆組成物は非伝導性であり、そして103℃未満の融点を有し、例えば130℃で5秒で融解する。
【0047】
好ましくは、当該コアは伝導性である。伝導性でないとき、当該コアは好ましくは、3〜5%の塩、例えばNaCl、KCl、ラクチロールまたはクエン酸を含む。
1つの態様において、S1P調節剤は該錠剤コアに伝導性を賦与する。
【0048】
したがって、S1P調節剤を含む被覆組成物を製造する方法であって:下記工程
(a)S1P調節剤、例えばS1Pアゴニストを含む組成物を製造すること
(b)該組成物に静電コーティングを適用すること
(c)該コーティングを固定すること
を含む方法を提供する。
【0049】
1つのとりわけ好ましい方法において、該S1P調節剤は、コア組成物の伝導性成分の少なくとも50%、例えば少なくとも60%、典型的には75%以上を示す。
該S1P調節剤は、該コア組成物中で唯一の伝導性成分であり得る。
【0050】
該コーティングは、スプレー技術によっても適用することができる。簡便には、当該コアを室温で処理するか、または40℃まで、例えば40℃〜70℃の温気によって、スプレー前に温めることができる。コアの粘着を防止するため、該スプレー方法は好ましくは、一定の時間間隔で中断し、該コアを再び温める。しかし、例えば排気および/またはコアの温度を考慮したスプレー量の自動制御によって、スプレー方法を中断せずに処理することも可能である。
【0051】
該コーティングに多くのデザイン、プリント、形等を適用して、異なる外見を有する最終生成物を得ることができる。
スプレー圧は広い範囲で変化してもよく、一般に満足のいく結果が、約1〜約1.5barのスプレー圧で得られる。
【0052】
崩壊剤を含む組成物
即時崩壊投与形態、例えば即時崩壊錠剤を用いて、嚥下の容易さを改善することもできる。
【0053】
他の局面において、本発明は、即時崩壊固体医薬組成物であって:
(a)S1P調節剤、例えばS1Pアゴニスト
(b)アルカリ土類金属シリケート
(c)崩壊剤
(ここで、前記シリケート:崩壊剤の比は2:1〜10:1である)
を含む組成物を提供する。
【0054】
アルカリ土類金属シリケートは、ケイ酸カルシウムおよびケイ酸マグネシウムを含む。
崩壊剤はさらに、発泡剤を含んでいてもよい。
崩壊剤の例には、クロスカルメロールセルロース、クロスポビドンおよびデンプングリコール酸ナトリウムを含むが、これらに限定されない。
【0055】
該組成物はさらに増量剤を含んでいてもよく、これは例えば、ゼラチン、糖アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、デキストロース、ショ糖、ラクトース、マルトース、ソルビトール、マルトデキストリン、トウモロコシシロップ固体、または他の単糖類もしくは糖、トレハロース、ポリビニルピロリドン、高分子電解質ゲルAコンドロイチン硫酸、セルロース、デンプン誘導体、プルラン、グリシン、ドキュセートNa、PVC、HPC−SL,マンニトール&グリセロール、キサンタンゴム/カラギーナン(carragean)/アカシアゴム/グアーガム/トラガカント、マンニトール、ポリソルベート60、ドデシル硫酸ナトリウム、脂肪酸、胆汁塩、メチルヒドロキシベンゾエートナトリウム、プロピルヒドロキシベンゾエートナトリウム、ポリオールおよびデンプンから選択され得る。
【0056】
該組成物は、さらに、または他の成分に替えて、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマレートナトリウム、コロイド状シリカまたはタルクを含んでいてもよい。
【0057】
該組成物はさらに、さらなる結合剤、例えばPVP、例えばセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、デンプン粘液、アカシア、アルギニン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グルコース、グアーガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルトデクトリン(kaltodectrin)、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポビドン、アルギン酸ナトリウムまたは水素化植物油を含んでいてもよい。
【0058】
該組成物は、さらに、または他の成分に替えて、界面活性剤、例えばラウリルサルフェートナトリウムまたはドキュセートナトリウムを含んでいてもよい。
該組成物は、さらに、または他の成分に替えて、発泡剤、例えば重炭酸ナトリウムまたはクエン酸を含んでいてもよい。
該組成物は、さらに、または他の成分に替えて、風味剤を含んでいてもよい。
該組成物は、さらに、または他の成分に替えて、流動促進剤、例えばシリカを含んでいてもよい。
該組成物は、さらに、または他の成分に替えて、甘味剤を含んでいてもよい。
該組成物は、さらに、または他の成分に替えて、pH調節剤、例えばクエン酸またはフマル酸を含んでいてもよい。
【0059】
1つの態様において:
0.1〜1%のS1P調節剤、例えばS1Pアゴニスト;
60〜90%の増量剤、例えば糖アルコール;
20〜45%のシリケート;そして
4〜10%の崩壊剤
を含む組成物を提供する。
【0060】
本発明の組成物は、例えば錠剤、カプセル剤、カプレット、トローチ、ピル、ミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒の形態であってもよい。
固体組成物がペレットまたは顆粒の形態であるとき、これらはそれ自体として、またはカプセル、例えば硬ゼラチンカプセル、または他の貯蔵手段、例えばサシェットに投与前に充填して用いることができる。
ペレットおよび顆粒は直径2〜0.3mmであってよく、例えば「通常のペレット」は1〜0.6mmのサイズを有し、「ビーズペレット」は0.4〜0.8mmのサイズを有する。
【0061】
該組成物は、体液の存在下で徐々にまたは速やかに溶解する親水性マトリックス内に保持することができる。
該組成物はさらに、水性液体と接触して膨潤する物質を含んでいてもよく、該物質はポリマー物質であってもよく、該ポリマー物質は、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ヒドロキシプロピルセルロース、高分子量ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルアミド、メタクリレートジビニルベンゼンカリウムコポリマー、ポリメチルメタクリレート、架橋ポリビニルピロリドンまたは高分子量ポリビニルアルコールを含んでいてもよい。
【0062】
好ましくは、該組成物の崩壊時間(DT)は、液体、例えば水または唾液と接触して60秒未満である。
とりわけ好ましくは、DTは約30秒である。
錠剤硬度を調節して、特定のDTを有するあらゆる具体的な組成物とすることができる。このため、本発明の組成物は多様な硬度を有していてもよい。
したがって、本発明の組成物は、例えば30N/cm〜80N/cmの抗張力を有していてもよい。
【0063】
好ましくは、一旦崩壊すると、該組成物は粒子サイズ1nm〜10mm、例えば50nm〜200nmであり、これは溶解し得るかまたは微細な懸濁液を形成し得る。
速い崩壊時間について、シリケート、例えばカルシウムシリケート対崩壊剤の比は、2:1〜10:1、例えば3:1〜7:1、典型的には6:1、5:1または4:1であり得る。
1つの態様において、カルシウムシリケート対崩壊剤の比は5:1である。例えばカルシウムシリケート対クロスポビドンまたはクロスカルメロースの比は5:1であり得る。
1つの態様において、本発明の速い崩壊速度を有する多数のペレットを含むカプセル剤を提供する。
【0064】
即時崩壊または崩壊効率の改善によって、活性物質のより高い溶解性が提供され得る。体液中で沈殿する危険がより低いため、薬剤のより高い溶解性はより高い生物学的利用能を導き得る。
【0065】
S1P受容体調節剤、特にS1P受容体アゴニストの生物学的利用能は、潜在的に初回通過効果を減少させ得る経口吸収部位に頬側吸収部位を加えることによって増加させることができる。S1P受容体調節剤が舌下経路、経口粘膜、食道内層、および/または扁桃腺を通じて頬側的に吸収されるとき、該頬側吸収経路はGI管(腸内p−gp)および初回通過肝臓効果を回避するため、生物学的利用能が改善される。増加した生物学的利用能によって、安全性プロファイルの改善を導く投与量に減少させることができる。
【0066】
頬側、舌下または歯肉吸収のための口腔に医薬を適用するための医薬投与形態は、増感剤、例えば実施例に記載のもの(これらに限定されない)の存在下およびそれを含まずに用いることができる。
これらの投与形態の例は:頬側スプレー、発泡性錠剤、顆粒、経口崩壊錠剤、薄膜またはウエハー、および粘膜接着ディスクもしくはパッチを含むが、これらに限定されない。
好ましくは、有効成分用量は0〜1000mg、例えば0〜500mgの範囲である。
【0067】
凍結乾燥投与形態を含む組成物
他の局面において、本発明は、凍結乾燥投与形態のS1P調節剤、例えばS1Pアゴニストを含む即時崩壊医薬組成物を提供する。
1つの態様において、該組成物は1種以上のS1P調節剤、例えばS1Pアゴニストを含む凍結乾燥投与形態であって、コーティングしていないか、または口内で最低薬剤放出を示すポリマーもしくは脂質物質でコーティングしていてもよい。
【0068】
これは例えば、粗被覆薬剤粒子を用いて、そして乾燥単位の物理的特性を変化させることなく懸濁液での保持時間中に粒子沈降を最小とするように懸濁液の粘度を制御して、得ることができる。
得られた投与形態は、少なくとも嚥下前に口内で味をマスクするのに十分な時間、典型的には嚥下後薬剤の制御放出または徐放を提供するより長い時間、薬剤の遅延放出を示す。
【0069】
凍結乾燥後にS1P調節剤、例えばS1Pアゴニストを含むネットワークまたはマトリックスを形成する該担体物質は、薬学的に許容され、前記薬学的活性物質に対して不活性であり、そして即時崩壊ネットワークを形成することができ、すなわち例えば口内で10秒以下で崩壊する、あらゆる水溶性または水懸濁性物質であってよい。
【0070】
凍結乾燥投与形態の効果は、当該投与形態が高度に分散され、そして結果として速やかに崩壊することができることである。結果として、該組成物は口内で唾液と接触して、微細な懸濁液または溶液を形成することができる。
【0071】
好ましい担体物質はゼラチンであり、通常医薬グレードのゼラチンである。担体物質として使用することができる他の物質には、例えば加水分解デキストロース、デキストラン、デキストリン、マルトデキストリン、アルギン酸、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、微結晶セルロース、トウモロコシシロップ固体、ペクチン、カラギーナン、寒天、キトサン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、グアーガム、アカシアゴム、トラガカント、コンニャク粉、コメ粉、コムギグルテン、デンプングリコレートナトリウム、ダイズ繊維タンパク質、ポテトタンパク質、パパイン、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、グリシンおよびマンニトールが含まれる。
【0072】
該組成物はまた、さらなる賦形剤、例えばセルロースまたは糖アルコールを含んでいてもよい。
【0073】
担体物質として使用しないがそれでもなお使用されるさらなる賦形剤は、例えば、糖アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、デキストロース、ショ糖、ラクトース、マルトース、ソルビトール、マルトデキストリン、トウモロコシシロップ固体、トレハロース、ポリビニルピロリドン、高分子電解質ゲルAコンドロイチン硫酸、セルロース、デンプン誘導体、プルラン、グリシン、ドキュセートNa、PVC、HPC−SL、マンニトール&グリセロール、キサンタンゴム/カラギーナン(carragean)ゴム/アカシアゴム/グアーガム/トラガカント、マンニトール、ポリソルベート60、ドデシル硫酸ナトリウム、脂肪酸、胆汁塩、メチルヒドロキシベンゾエートナトリウム、プロピルヒドロキシベンゾエートナトリウム、ポリオールおよびデンプンから選択され得る。
【0074】
該組成物は、体液の存在下で徐々にまたは速やかに溶解する親水性マトリックス内に保持することができる。
該組成物はさらに、水性液体と接触して膨潤する物質を含んでいてもよく、そして架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ヒドロキシプロピルセルロース、高分子量ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルアミド、メタクリレートジビニルベンゼンカリウムコポリマー、ポリメチルメタクリレート、架橋ポリビニルピロリドンおよび高分子量ポリビニルアルコールから選択されるポリマー物質を組成物中に含んでいてもよい。
【0075】
1つの態様において、該組成物はゼラチンおよび多糖、例えばプルランもしくは糖アルコールと、凍結乾燥形態のS1P受容体アゴニストもしくは他の調節剤を含む。
具体的な態様において、糖アルコールは構造形成剤として作用する。
他の態様において、ゼラチンと糖アルコールは、3:1〜1:3、例えば2:1〜1:2、典型的には1:1の比で存在する。
さらなる態様において、ゼラチンは2〜10%、例えば2〜4%の量で存在し、そして糖アルコールは0.1〜15%、例えば0.5〜8%の量で存在する。
【0076】
該組成物は、さらに、または他の成分に替えて、結合剤、例えばPVP、例えばセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、デンプン粘液、アカシア、アルギニン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グルコース、グアーガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルトデクトリン(kaltodectrin)、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポビドン、アルギン酸ナトリウムまたは水素化植物油を含んでいてもよい。
該組成物は、さらに、または他の成分に替えて、崩壊剤(発泡剤を含むまたは含まない)、例えば架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、クロスポビドン、またはデンプングリコール酸ナトリウムを含んでいてもよい。
【0077】
該組成物は、さらに、または他の成分に替えて、滑沢剤、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリルフマレートナトリウム、キャノーラ油、水素化植物油、例えば水素化ヒマシ油(例えばCutina(登録商標)もしくはLubriwax(登録商標)101)、鉱油、ラウリルサルフェートナトリウム、酸化マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、安息香酸ナトリウム、タルク、ポロキサマー、または上記のいずれかの混合物を含んでいてもよい。
【0078】
該組成物は、さらに、または他の成分に替えて、界面活性剤、ラウリルサルフェートナトリウム、ドキュセートナトリウムを含んでいてもよい。
該組成物は、さらに、または他の成分に替えて、流動促進剤、例えばシリカを含んでいてもよい。
該組成物は、さらに、または他の成分に替えて、風味剤を含んでいてもよい。
該組成物は、さらに、または他の成分に替えて、発泡剤、例えば重炭酸ナトリウムまたはクエン酸を含んでいてもよい。
該組成物は、さらに、または他の成分に替えて、甘味剤を含んでいてもよい。
【0079】
該組成物は、さらに、または他の成分に替えて、pH調節剤、例えばクエン酸またはフマル酸を含んでいてもよい。
該組成物は、さらに、または他の成分に替えて、増粘剤を含んでいてもよい。
本発明の組成物は、例えば錠剤、カプセル剤、カプレット、トローチ、ピル、ミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒の形態であり得る。
該固体組成物がペレットまたは顆粒の形態であるとき、これらは本明細書に記載のコーティングの適用後、それ自体、またはカプセル、例えば硬ゼラチンカプセルもしくは他の貯蔵手段、例えばサシェットに投与前に充填して使用することができる。
ペレットおよび顆粒は直径2〜0.3mmであってよく、例えば「通常のペレット」は1〜0.6mmのサイズを有し、「ビーズペレット」は0.4〜0.8mmのサイズを有する。
【0080】
1つの態様において、本発明の即時崩壊速度を有する複数のペレットを含むカプセル剤を提供する。
即時崩壊または崩壊効率の改善によって、活性物質のより高い溶解性が提供され得る。体液中で沈殿する危険がより低いため、薬剤のより高い溶解性はより高い生物学的利用能を導き得る。
【0081】
「即時崩壊」なる用語は、本明細書において使用するとき、固体投与形態が水中、37℃で60秒以下で崩壊することを意味する。当該形態は、Disintegration Test for Tablets, B.P. 1973(英国特許番号1548022に記載されている)と同様の方法に従って試験したとき、通常約5〜20秒、より通常5〜10秒以下で崩壊する。
【0082】
S1P受容体調節剤、特にS1P受容体アゴニストの生物学的利用能は、潜在的に初回通過効果を減少させ得る経口吸収部位に頬側吸収部位を加えることによって増加させることができる。S1P受容体調節剤が舌下経路、経口粘膜、食道内層、および/または扁桃腺を通じて頬側的に吸収されるとき、該頬側吸収経路はGI管(腸内p−gp)および初回通過肝臓効果を回避するため、生物学的利用能が改善される。増加した生物学的利用能によって、安全性プロファイルの改善を導く投与量に減少させることができる。
【0083】
頬側、舌下または歯肉吸収のための口腔に医薬を適用するための医薬投与形態は、増感剤、例えば実施例に記載のもの(これらに限定されない)の存在下およびそれを含まずに用いることができる。
これらの投与形態の例は:頬側スプレー、発泡性錠剤、顆粒、経口崩壊錠剤、薄膜またはウエハー、および粘膜接着ディスクもしくはパッチを含むが、これらに限定されない。
【0084】
好ましくは、有効成分用量は0〜1000mg、例えば0〜500mgの範囲である。
該投与形態は既知の方法で製造することができ、懸濁液等とすることができる。次に液体懸濁液を、例えば好適な型のポケットに含まれる個々の単位に分注する。あるいは、該懸濁液は固体単位、例えば凍結単位または単体物質が容易にゲルを形成するゲル単位の形態で存在し得る。典型的には各単位は、薬剤250mgまで、例えば10〜100mgを含む。即時崩壊形態中の薬剤の単位投与形態は本発明によって包含される。
【0085】
担体物質中の粒子の懸濁液は、好ましくは多数の凹部(各凹部は経口投与生成物に望ましい形状およびサイズである)を有する型に導入して、好ましくは個々の単位に形成される。当該型は好ましくは、医薬のブリスターパッケージにおいて簡便に使用される物質と同じであり得るフィルム状物質の形状に形成した複数の凹部を含む。
【0086】
懸濁液の個々の凍結単位またはゲル単位を形成する別の方法は、滴下方法で混合物を固化することを含む。例えば、該懸濁液は1個以上の穴を通過させて、冷温ガスまたは液体、例えば液体窒素を通過させて固化することができる液滴、球または小粒子のスプレーを形成させることができる。あるいは、該液滴、球またはスプレーは、溶液または懸濁液と非混和性であり、液滴が固化して非混和性液体を通過して落ちるか、または非混和性液体の表面に浮くような密度を有する冷温液体と接触して固化し得る。
【0087】
薬学的に活性な物質を含む懸濁液の個々の単位からの連続相の除去を、当業者に周知の技術によって行う。例えば、個々の単位が液体形態であるとき、それらは一般に、乾燥前に凍結またはゲル化する。好適な型のポケットに含まれる懸濁液は、例えば気体状冷却媒体、例えば液体窒素を型に通過させるか、または型を窒素スプレー凍結チャンバーに挿入することによって凍結させる。あるいは、当該型を冷表面に通過させて冷却することができる。投与形態を凍結させると、当該型を乾燥前に冷温貯蔵で貯蔵することができる。
【0088】
個々の凍結単位を、当該技術分野で周知の技術による凍結乾燥によって乾燥させることができる。連続相、例えば水を凍結乾燥プロセスにおいて、固相溶媒(氷)を直接蒸気に変換する減圧下で昇華させる。凍結乾燥プロセスは一般に、凍結乾燥チャンバーにおいて、典型的には0.1〜1.0mBarの真空下で180〜500分間操作して行う。
【0089】
本発明はまた、医薬組成物を製造する方法であって:
(a)凍結乾燥投与形態のS1P受容体アゴニストまたは他の調節剤と構造形成剤を混合すること;
(b)50%未満の固体を含む水性懸濁液を製造すること;そして
(c)所望によりさらに凍結乾燥工程を行うこと
を含む方法を提供する。
1つの態様において、凍結乾燥工程の前に該懸濁液を10〜20℃、例えば15℃に冷却する。
【0090】
糖アルコールを含まない組成物
さらなる局面において、本発明は経口投与に適した固体医薬組成物であって:
(a)S1P受容体調節剤、例えばS1Pアゴニスト;および
(b)微結晶セルロース
を含み、糖アルコールを含まない医薬組成物を提供する。
該組成物はさらに滑沢剤を含む。
【0091】
好適な滑沢剤は、例えばステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、パルミトステアリン酸グリセリル、ステアリルフマレートナトリウム、キャノーラ油、水素化植物油、例えば水素化ヒマシ油(例えばCutina(登録商標)もしくはLubriwax(登録商標)101)、鉱油、ラウリルサルフェートナトリウム、酸化マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、安息香酸ナトリウム、タルク、ポロキサマー、または上記のいずれかの混合物を含む。
好ましくは、該滑沢剤はステアリン酸マグネシウムまたは水素化植物油を含む。
該組成物は好ましくは、組成物の総重量に基づいて、滑沢剤0.01〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%、例えば約2重量%を含む。
【0092】
該組成物は、1種以上のさらなる賦形剤、例えば担体、結合剤または希釈剤を含んでいてもよい。
該組成物はさらなる結合剤、例えばメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、リン酸2カルシウム、PVP、例えばセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、デンプン粘液、アカシア、アルギニン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース,、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルトデクトリン(kaltodectrin)、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポビドン、アルギン酸ナトリウムまたは水素化植物油を含んでいてもよい。
【0093】
該組成物は、さらに、または他の成分に替えて、流動促進剤、例えばシリカを含んでいてもよい。
該組成物は粉末、顆粒またはペレットの形態、あるいは単位投与形態、例えば錠剤またはカプセル剤であってよい。該組成物は経口投与用カプセル殻、とりわけ硬ゼラチン殻へのカプセル化によく適用される。あるいは、該組成物は錠剤に圧縮することができる。
【0094】
錠剤は例えば、タルクまたは多糖(例えばセルロール)またはヒドロキシプロピルメチルセルロースコーティングで被覆することができる。
該組成物はまた、崩壊剤をさらに含んでいてもよい。崩壊剤の例は、例えばクロスカルメロースセルロース、クロスポビドンおよびデンプングリコール酸ナトリウムである。
該組成物は、さらに、または他の成分に替えて、界面活性剤、例えばラウリルサルフェートナトリウムまたはドキュセートナトリウムを含んでいてもよい。
該組成物は、さらに、または他の成分に替えて、発泡剤、例えば重炭酸ナトリウムまたはクエン酸を含んでいてもよい。
【0095】
該組成物は、放出速度制御添加剤を含んでいてもよい。例えば該薬剤は、体液と接触してマトリックスの外に徐々に浸出する疎水性ポリマーマトリックス内に保持させることができる。
あるいは、体液の存在下で徐々にまたは速やかに溶解する親水性マトリックス内に該薬剤を保持することができる。該錠剤コアは異なる放出特性を有する2種以上の層を含み得る。当該層は、親水性、疎水性または親水性と疎水性の混合層であってもよい。多層錠剤コアの隣接層は、不溶性の障壁層または疎水性の分離層によって分断し得る。不溶性障壁層は不溶性外皮の形成に使用する物質で形成し得る。疎水性分離層は錠剤コアの他の層よりもより溶解性の物質から形成することができ、これによって分離層が溶解して錠剤コアの放出層が露出する。
【0096】
好適な放出速度制御ポリマーは、ポリメタクリレート、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、アクリル酸ポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、カラギーナン、酢酸セルロース、ゼイン等を含む。
【0097】
該組成物はさらに、水性液体と接触して膨潤する物質を含んでいてもよく、そして架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ヒドロキシプロピルセルロース、高分子量ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルアミド、メタクリレートジビニルベンゼンカリウムコポリマー、ポリメチルメタクリレート、架橋ポリビニルピロリドンおよび高分子量ポリビニルアルコールから選択されるポリマー物質を組成物中に含んでいてもよい。
【0098】
1つの態様において、該組成物は二酸化ケイ素を含む。
微結晶セルロースは希釈剤、担体、増量剤または充填剤として作用してもよく、そして好適にはAvicel(登録商標)であり得る。微結晶セルロースの粒子サイズは変化し得る。
【0099】
微結晶セルロース物質の使用によって、該組成物の微結晶セルロース中のS1P受容体調節剤の均一な分散の促進を補助し得る。小さい平均サイズおよび/または粗い粒子表面を有する粒子から成る微結晶セルロース製剤を提供することによって、より大きい表面積が達成される。
微粉化した、例えば平均粒子サイズ30μm未満である微結晶セルロースが該物質から形成された錠剤の圧縮性および硬度を改善することも見出された。
【0100】
該物質は好ましくは、組成物の総重量に基づいて微結晶セルロール75〜99.99重量%、例えば85〜99.9%、例えば90〜99.5重量%を含む。
典型的には、糖アルコールはラクトース、ショ糖、デキストロース、マンニトールまたはソルビトールを含む。
本発明の組成物は例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット、トローチ、ピル、ミニタブレット、ペレット、ビーズまたは顆粒の形態であってもよい。
【0101】
該固体組成物がペレットまたは顆粒の形態であるとき、これらは本明細書に記載のコーティングの適用後、それ自体、またはカプセル、例えば硬ゼラチンカプセルもしくは他の貯蔵手段、例えばサシェットに投与前に充填して使用することができる。
ペレットおよび顆粒は直径2〜0.3mmであってよく、例えば「通常のペレット」は1〜0.6mmのサイズを有し、「ビーズペレット」は0.4〜0.8mmのサイズを有する。
【0102】
本発明はまた、医薬組成物を製造する方法であって:
(a)S1P受容体アゴニストまたは他の調節剤と微結晶セルロース、例えばAvicel(登録商標)を混合すること;
(b)(a)で得られた混合物を摩砕および/または造粒すること;そして
(c)所望により(b)で得られた摩砕混合物を滑沢剤と混合すること
を含む方法を提供する。
【0103】
この方法を用いて、良好なレベルの体積およびブレンド均一性(例えば、該組成物中でS1P受容体調節剤の実質的に均一な分散)、溶解時間および安定性を有する製剤が得られる。
S1P受容体調節剤、例えば2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオールヒドロクロライドを含む錠剤コア組成物の場合、該組成物は所望により微粉化し、および/または塊を除去するために例えば400〜500μmメッシュスクリーンで工程(a)の前に篩過することができる。混合工程(a)は好適には、S1P受容体アゴニストと糖アルコール、例えばマンニトールを、任意の好適なブレンダーまたはミキサーで、例えば100〜400回転で混合することを含み得る。
【0104】
該方法は、成分を乾燥混合して行うことができる。この態様において、摩砕工程(b)は好適には、(a)で得た混合物を好ましくはメッシュサイズ400〜500μmを有するスクリーンに通すことを含んでいてもよい。方法工程(a)は、S1P受容体アゴニストまたは他の調節剤の全量を最初に少量の糖アルコール、例えば糖アルコールの総重量の5〜25重量%と混合して、前混合物を形成する工程を含んでいてもよい。その後、残りの量の糖アルコールを前記前混合物に加える。工程(a)はまた、結合溶液、例えばメチルセルロースおよび/またはキシリトール、例えば水溶液を前記混合物に加える工程を含んでいてもよい。
【0105】
(b)で得た摩砕混合物は、滑沢剤と混合する前に所望により1回以上混合してもよい。該滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムは、好ましくは混合前に例えば800〜900μmスクリーンで予め篩過する。
【0106】
あるいは、湿式造粒方法を用いる。この態様において、S1P受容体調節剤は好ましくは、最初に所望の糖アルコール、例えばマンニトールと乾燥混合し、そして得られた糖アルコール/S1P受容体調節剤混合物を結合剤、例えばヒドロキシプロピルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースと乾燥混合する。水を加え、混合物を、例えば自動造粒機を用いて造粒する。次に該顆粒を乾燥させ、摩砕する。
【0107】
所望により、さらなる量の結合剤を工程(c)において、(b)で得られた混合物に加えることができる。
【0108】
該方法は、(c)で得た混合物を打錠または、例えば硬ゼラチンカプセルに自動カプセル化装置を用いて、カプセル化する工程をさらに含んでいてもよい。該カプセル剤を、それぞれの外見を区別し、すぐに認識できるように着色またはマークを付してもよい。染料を用いて、カプセルの外見を向上し、同定することができる。医薬に用いるのに適した染料は、典型的には、カロチノイド、酸化鉄およびクロロフィルを含む。好ましくは、該カプセルを、コードを用いてマークを付す。
【0109】
S1P受容体アゴニストを含むコーティングを含んで成る組成物
S1P受容体調節剤を含むコーティングを組成物に適用して、異なる投与力価または組合せ生成物を製剤することができる。
【0110】
したがって、さらなる局面において本発明は、S1P受容体調節剤、例えばS1P受容体アゴニストを含むコーティングを含んで成る医薬組成物を提供する。
該医薬組成物は一般に、S1P受容体調節剤、例えばS1P受容体アゴニストを含むコーティングで被覆されたコアを含む。
当該コアは経口投与用のあらゆる固体製剤であってよい。
【0111】
「コア」なる用語は、広い意味において、錠剤、ペレットまたは顆粒だけでなく、ゼラチンまたはデンプンのカプセル、例えば軟もしくは硬カプセルも含む。とりわけ、当該コアは顆粒、ペレット、錠剤またはミニタブレットであり得る。かかるコアは常套の方法で製造することができる。
ある態様において、当該コアはまた、S1P受容体調節剤、例えばS1P受容体アゴニストも含む。他の態様において、S1P受容体アゴニストはコアに含まれない。
固体組成物は異なるサイズのペレットの形態を取ってもよく、個々のペレットをコーティングし、例えば、1個のカプセルまたはサシェット内に複数個のペレットを存在させてもよい。
【0112】
固体組成物は微粉化していてもよい粉末成分から形成することができ、そして異なる硬度の組成物に圧縮することができる。
1つの態様において、圧縮組成物の粉末成分を圧縮前にコーティングする。
他の態様において、該圧縮組成物を圧縮後にコーティングする。
他の態様において、該コーティングは圧縮の前後いずれもに適用する。
液体経口組成物は液体組成物を含むカプセル剤を含み、当該カプセルはコーティングを含む。
1つの態様において、該コーティングはカプセルの外面に提供される。
【0113】
他の態様において、該コーティングはカプセルの外面に分散する。
しかし、カプセル剤は液体内容物に限定されず、粉末、ペレットの形態の固体組成物または均一液体に加えて不均一懸濁液の形態を含んでいてもよい。
該固体組成物がペレットまたは顆粒の形態であるとき、これらは本明細書に記載のコーティングの適用後、それ自体、またはカプセル、例えば硬ゼラチンカプセルもしくは他の貯蔵手段、例えばサシェットに投与前に充填して使用することができる。
【0114】
ペレットおよび顆粒は直径2〜0.3mmであってよく、例えば「通常のペレット」は1〜0.6mmのサイズを有し、「ビーズペレット」は0.4〜0.8mmのサイズを有する。
本発明のコーティング組成物はとりわけ、本明細書において錠剤コアと記載され例示される錠剤組成物での使用に好適である。
1つの態様において、該被覆組成物を用いてS1P調節剤、例えばS1Pアゴニストを含む圧縮錠剤コアを被覆する。
【0115】
錠剤コアを用いるとき、これは好ましくは約10〜70Nの硬度を有する。該錠剤コアは、38N/cm未満、例えば22N/cm以下の抗張力を有する。
当該コアは軽い圧縮によって形成することができ、そして被覆成分およびもろい成分、例えばカプセルを、圧縮混合物中で損傷がほとんどないかまたは全くない状態で用いることができる。
当該コアはアジュバントおよびS1P調節剤、例えばS1Pアゴニストを含んでいてもよい。
【0116】
当該コアは、希釈剤、崩壊剤、滑沢剤、湿潤剤、流動促進剤、界面活性剤、放出助剤、着色剤、発泡剤等を含む常套の錠剤成分を含んでいてもよい。
当該コアは当業者に既知のあらゆる既知の製剤によって製剤することができる。
【0117】
当該コアは、増量剤、例えばポリオール、粉末マンニトール、または例えば他の単糖類もしくは糖、糖アルコール等、例えばラクトース、ショ糖、デキストロース、マンニトールおよびデンプンを含んでいてもよいが、これらに限定されない。
【0118】
該コア組成物は、さらに、または他の成分に替えて、結合剤、例えばPVP例えばセルロース、微結晶セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、デンプン粘液、アカシア、アルギニン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グルコース、グアーガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルトデクトリン(kaltodectrin)、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、ポビドン、アルギン酸ナトリウムおよび水素化植物油を含んでいてもよい。
【0119】
該コア組成物は、さらに、または他の成分に替えて、崩壊剤(発泡剤を含むまたは含まない)、例えば架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、クロスポビドン、またはデンプングリコール酸ナトリウムを含んでいてもよい。
該コア組成物は、さらに、または他の成分に替えて、滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマレートナトリウム、コロイド状シリカまたはタルクを含んでいてもよい。
【0120】
1つの態様において、該コア組成物は、1.5〜2%の滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウムを含む。
該コア組成物は、さらに、または他の成分に替えて、流動促進剤、例えばシリカを含んでいてもよい。
該コア組成物は、さらに、または他の成分に替えて、界面活性剤、例えばラウリルサルフェートナトリウムまたはドキュセートナトリウムを含んでいてもよい。
【0121】
該コア組成物は、さらに、または他の成分に替えて、風味剤を含んでいてもよい。
該コア組成物は、さらに、または他の成分に替えて、発泡剤、例えば重炭酸ナトリウムまたはクエン酸を含んでいてもよい。
該コア組成物は、さらに、または他の成分に替えて、甘味剤を含んでいてもよい。
該コア組成物は、さらに、または他の成分に替えて、pH調節剤、例えばクエン酸またはフマル酸を含んでいてもよい。
【0122】
該コア組成物は放出速度制御添加剤を含んでいてもよい。例えば、該薬剤は疎水性ポリマーマトリックス内に保持されて、体液と接触すると徐々にマトリックス外に浸出し得る。
【0123】
あるいは、体液の存在下で徐々にまたは速やかに溶解する親水性マトリックス内に該薬剤を保持することができる。当該コアは異なる放出特性を有する2種以上の層を含み得る。当該層は、親水性、疎水性または親水性と疎水性の混合層であってもよい。多層錠剤コアの隣接層は、不溶性の障壁層または疎水性の分離層によって分断し得る。不溶性障壁層は不溶性外皮の形成に使用する物質で形成し得る。疎水性分離層は錠剤コアの他の層よりもより溶解性の物質から形成することができ、これによって分離層が溶解して錠剤コアの放出層が露出する。
【0124】
好適な放出速度制御ポリマーは、ポリメタクリレート、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、アクリル酸ポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、カラギーナン、セルロースアセテート、ゼイン等を含む。
【0125】
該錠剤コアは、水性液体と接触すると膨潤する物質をさらに含んでいてもよく、そして架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、架橋ヒドロキシプロピルセルロース、高分子量ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルアミド、メタクリレートジビニルベンゼンカリウムコポリマー、ポリメチルメタクリレート、架橋ポリビニルピロリドンおよび高分子量ポリビニルアルコールから選択されるポリマー物質を組成物中に含んでいてもよい。
【0126】
当該コアはS1P調節剤、例えばS1Pアゴニストに加えてさらなる薬学的に活性な成分を含んでいてもよい。
1つの態様において、該コア組成物が単位投与形態であるとき、各単位投与形態は好適にはS1P受容体調節剤、例えばS1Pアゴニスト0.5〜10mgを含む。
該錠剤コアの可能性のある製造は、全ての成分を混合し、さらに錠剤に圧縮すること、および造粒し、さらに顆粒を錠剤に圧縮することを含む。
【0127】
1つの態様において、糖アルコールを含むコア組成物を提供する。S1P受容体調節剤、例えばS1Pアゴニストを含む錠剤コアの例示的製剤は、S1P調節剤と糖アルコールの製剤を開示しているWO 2004/089341に見ることができる。
【0128】
該糖アルコールは、希釈剤、担体、増量剤または充填剤として作用し得て、好適にはマンニトール、マルチトール、イノシトール、キシリトールまたはラクチトール、好ましくは実質的に非吸湿性の糖アルコール、例えばマンニトール(D−マンニトール)であり得る。1種の糖アルコールを使用することができるか、または2種以上の糖アルコールの混合物、例えば1:1〜4:1の比の例えばマンニトールとキシリトールの混合物を用いることができる。
【0129】
他の態様において、微結晶セルロースとS1P受容体調節剤、例えばS1Pアゴニストを含み、糖アルコールを含まないコア組成物を提供する。
好ましくは、該錠剤コアとコーティングの両方の成分を微粉化する。
【0130】
1つの態様において、該固体製剤は、速い崩壊速度を有するように製剤することができる。
好ましくは、該有効成分用量は0〜1000mgの範囲である。
被覆組成物は粉末または液体ベースであり得る。
該被覆組成物はポリマー樹脂を含んでいてもよい。
【0131】
ポリマー樹脂の例は、ポリメタクリレート、例えばアンモニオメタクリレート、セルロースおよびその誘導体、セルロースエーテルおよびエステル、およびセルロースアセテートフタレートが含まれ得るが、これらに限定されない。
該被覆組成物は、ポリエチレングリコールまたは糖アルコール、例えばキシリトールを含んでいてもよい。
該被覆組成物は、さらに、または他の成分に替えて、ワックスおよびオイル、またはワックスもしくはオイルのアルコール、ポロキサマー、アルキルフタレート、例えばジエチルフタレート、クエン酸またはエステルを含む他の可能性のある物質を含んでいてもよい。
【0132】
該被覆組成物は、さらに、または他の成分に替えて、1種以上のアクリル酸、アクリル酸のポリマーおよびコポリマー、ならびにそれらの誘導体、例えばポリメチルアクリレート、ポリアルケンおよびそれらの誘導体、例えばエステルおよびアリール−エステルおよびそれらの誘導体、ポリビニルアルコールおよびエステル、セルロースおよびその誘導体、例えばセルロースエーテルおよびセルロースエステル(架橋または非架橋)、例えばエチルセルロース、ならびに1種以上の腸溶性ポリマー、例えばセルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルセルロース、1種以上の生分解性ポリマー、例えば1種以上のポリラクチド、ポリグリコリド、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバリレート、エチレンビニルアセテートコポリマー、およびポリ無水物(ホモまたはヘテロポリマー)、またはポリエチレンオキシドを含んでいてもよい。
【0133】
該被覆組成物は、さらに、または他の成分に替えて、分散剤、例えばラウリルサルフェートナトリウム、ドキュセートナトリウム、ツイーン(ソルビタン脂肪酸エステル)、ポロキサマーおよびセトステアリールアルコールを含んでいてもよい。
【0134】
該被覆組成物は、さらに、または他の成分に替えて、粉末コーティング物質の粒子間の摩擦および/または他の力を減少させて粉末の流動性を改善する減摩成分、例えば二酸化チタン、コロイド状二酸化ケイ素、タルクまたはデンプン、またはそれらの組合せを含んでいてもよい。
【0135】
該被覆組成物は、さらに、または他の成分に替えて、崩壊剤、例えばデンプングリコール酸ナトリウム(架橋)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(架橋)、天然デンプン、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムまたはグリシネートナトリウムを含んでいてもよい。
【0136】
該被覆組成物は、さらに、または他の成分に替えて、着色剤、例えば金属オキシドまたはレーキ(例えばアルミニウムレーキ)、酸化鉄または染料を含んでいてもよい。
該被覆組成物は、さらに、または他の成分に替えて、味調節剤、例えばアスパルテーム、アセサルフェームk、チクロ、サッカリン、糖または糖アルコールを含んでいてもよい。
該被覆組成物は、さらに、または他の成分に替えて、風味剤を含んでいてもよい。
【0137】
該組成物は、1種以上のさらなるコーティングを含んでいてもよい。該組成物は、薬剤含有コーティングから保護コーティングによって分離されていてもよい。あるいはまたはさらに、該薬剤含有コーティングは上塗りによって被覆することができる。該または各さらなるコーティングは、ポリマー物質、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースを含んでいてもよい。かかるコーティングを当該技術分野において既知の技術を用いて製造および組成物に適用することができる。
【0138】
本発明はまた、被覆医薬組成物を製造する方法であって:
(a)コア組成物を製造すること;そして
(b)当該コアを、S1P受容体調節剤を含むコーティングで被覆すること
を含む方法を提供する。
【0139】
該コア組成物は、本明細書に記載のあらゆる技術を用いて製造することができる。
該コーティングは、当該技術分野において周知の技術を用いて、例えば流動床方法によって、当該コアに適用することができる。
【0140】
S1P調節剤
本明細書に記載の多数の組成物は各々、S1P調節剤を含む。本明細書に記載の各組成物の態様において、該S1P調節剤はS1Pアゴニストである。
【0141】
S1P受容体アゴニストは典型的にはスフィンゴシンアナログ、例えば2−置換2−アミノ−プロパン−1,3−ジオールまたは2−アミノ−プロパノール誘導体である。適切なS1P受容体アゴニストの例は、例えば下記のものである:
EP 627406A1に記載の化合物、例えば式I
【化1】

〔式中、
は直鎖または分枝鎖(C12−22)炭素鎖であり、
これは当該鎖中に結合または二重結合、三重結合、O、S、NRおよびカルボニルから選択されるヘテロ原子を有していてもよく、ここでRはH、アルキル、アラルキル、アシルまたはアルコキシカルボニルであり;そして/または
これは置換基としてアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アラルキルオキシ、アシル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アシルアミノ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アシルオキシ、アルキルカルバモイル、ニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシイミノ、ヒドロキシまたはカルボキシを有しいてもよいか;または
【0142】
は、フェニルアルキル{ここでアルキルは直鎖または分枝鎖(C6−20)炭素鎖である};または
フェニルアルキル{ここでアルキルは直鎖または分枝鎖(C1−30)炭素鎖であり、ここで当該フェニルアルキルは
所望によりハロゲンで置換された直鎖または分枝鎖(C6−20)炭素鎖、
所望によりハロゲンで置換された直鎖または分枝鎖(C6−20)アルコキシ、
直鎖または分枝鎖(C6−20)アルケニルオキシ
で置換されている};
フェニルアルコキシ、ハロフェニルアルコキシ、フェニルアルコキシアルキル、フェノキシアルコキシまたはフェノキシアルキル;
直鎖または分枝鎖(C6−20)アルキル鎖で置換されたシクロアルキルアルキル;
直鎖または分枝鎖(C6−20)アルキル鎖で置換されたヘテロアリールアルキル;
ヘテロ環式アルキル{ここで、当該アルキルは直鎖または分枝鎖(C6−20)炭素鎖である};または
直鎖または分枝鎖(C2−20)アルキル鎖で置換されたヘテロ環式アルキル
であり、
そしてここで、当該アルキル基は当該炭素鎖中に結合または二重結合、三重結合、O、S、スルフィニル、スルホニルまたはNR選択されるヘテロ原子を有していてもよく、ここでRは上記定義の通りであり;
そして置換基としてアルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、アラルキルオキシ、アシル、アルキルアミノ、アルキルチオ、アシルアミノ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アシルオキシ、アルキルカルバモイル、ニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシまたはカルボキシ、そして
、R、RおよびRは各々独立して、H、C1−4アルキルまたはアシルである〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩;
【0143】
EP 1002792Aに記載の化合物、例えば式II
【化2】

〔式中、
mが1〜9であり;そして
、R、RおよびRは各々独立して、H、アルキルまたはアシルである〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩;
【0144】
EP 0778263 A1に記載の化合物、例えば式III
【化3】

〔式中、
WはH;直鎖もしくは分枝鎖(C1−6)アルキル、(C2−6)アルケニルまたは(C2−6)アルキニル;非置換であるかまたはOH置換フェニル;RO(CH;または1〜3個の置換基(ハロゲン、シクロアルキル、フェニルまたはOH置換フェニルから成る群から選択される)で置換された直鎖もしくは分枝鎖(C1−6)アルキルであり;
XはH、またはアルキル、OH、アルコキシ、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、オキソ、ハロアルキル、ハロゲン、非置換フェニルまたは1〜3個の置換基(アルキル、OH、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ハロアルキルおよびハロゲンから成る群から選択される)で置換されたフェニルから成る群から選択される1〜3個の置換基で置換された、p個の炭素原子を有する置換もしくは非置換直鎖アルキルまたは(p−1)個の炭素原子を有する置換もしくは非置換直鎖アルコキシであり;
YはH、アルキル、OH、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、アシルアミノ、ハロアルキルまたはハロゲンであり、Zは単結合またはq個の炭素原子を有する直鎖アルキレンであり、
pとqは各々独立して1〜20の整数(ただし、6≦p+q≦23)であり、mは1、2または3であり、
nは2または3であり、
、R、RおよびRは各々独立して、H、アルキルまたはアシルである〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩;
【0145】
WO 02/18395に記載の化合物、例えば式IVaまたはIVb
【化4】

〔式中、
XはO、S、NRまたは基−(CH−(当該基は、非置換であるかまたは1〜4個のハロゲンで置換されている)であり;
nは1または2であり、
はHまたは(C1−4)アルキル(当該アルキルは非置換であるかまたはハロゲンで置換されている)であり;
1aはH、OH、(C1−4)アルキルまたはO(C1−4)アルキルであり、ここでアルキルは非置換であるかまたは1〜3個のハロゲンで置換されており;
1bはH、OHまたは(C1−4)アルキルであり、ここでアルキルは非置換であるかまたはハロゲンで置換されており;
は各々独立してHまたは(C1−4)アルキル(当該アルキルは非置換であるかまたはハロゲンで置換されている)から選択され;
式IVaの化合物の場合、RはH、OH、ハロゲンまたはO(C1−4)アルキルであり、ここでアルキルは非置換であるかまたはハロゲンで置換されており;
式IVbの化合物の場合、RはH、OH、ハロゲン、(C1−4)アルキル(ここで、アルキルは非置換であるかまたはハロゲンで置換されている)、またはO(C1−4)アルキル(ここで、アルキルは非置換であるかまたはハロゲンで置換されている)であり、
Yは−CH−、−C(O)−、−CH(OH)−、−C(=NOH)−、OまたはSであり、
は(C4−14)アルキルまたは(C4−14)アルケニルである〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩もしくは水和物;
【0146】
WO 02/06268またはJP-14316985に記載の化合物、例えば式VII
【化5】

〔式中、
およびRは各々独立して、Hまたはアミノ保護基であり;
は水素またはヒドロキシ保護基であり;
は(C1−6)アルキルであり;
nは1−6の整数であり;
Xはエチレン、ビニレン、エチニレン、式−D−CH−(式中、Dはカルボニルである)を有する基、式−CH(OH)−を有する基、O、SまたはN;アリールまたは下記定義のグループaから選択される3個のメンバーで置換されたアリールであり;
Yは単結合、C1−10アルキレン、C1−10アルキレン(グループaおよびbから選択される1〜3個の置換基で置換されている)、炭素鎖の中もしくは末端にOもしくはSを有するC1−10アルキレン、または炭素鎖の中もしくは末端にOもしくはSを有し、グループaおよびbから選択される1〜3個の置換基で置換されているC1−10アルキレンであり;
は水素、シクロアルキル、アリール、ヘテロ環、グループaおよびbから選択される1〜3個のメンバーで置換されたシクロアルキル、グループaおよびbから選択される1〜3個のメンバーで置換されたアリール、またはグループaおよびbから選択される1〜3個のメンバーで置換されたヘテロ環であり;そして
およびRは各々独立して、Hまたはグループaから選択される置換基であり;
<グループa>はハロゲン、低級アルキル、ハロゲノ低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキルチオ、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、低級脂肪族アシル、アミノ、モノ−低級アルキルアミノ、ジ−低級アルキルアミノ、低級脂肪族アシルアミノ、シアノおよびニトロであり;
<グループb>はシクロアルキル、アリール、ヘテロ環であり、各々所望によりグループaから選択される3個までの置換基で置換されている;
ただし、Rが水素であるとき、Yは単結合または直鎖C1−10アルキレンである〕
化合物、例えば(2R)−2−アミノ−4−[3−(4−シクロヘキシルオキシブチル)ベンゾ[b]チエン−6−イル]−2−メチルブタン−1−オール、またはその薬理学的に許容される塩もしくはエステル。
【0147】
式Iの化合物においてRの炭素鎖が置換されているとき、これは好ましくはハロゲン、ニトロ、アミノ、ヒドロキシまたはカルボキシで置換されている。該炭素鎖が所望により置換されたフェニレンで中断されているとき、当該炭素鎖は好ましくは非置換である。該フェニレン基が置換されているとき、これは好ましくはハロゲン、ニトロ、アミノ、メトキシ、ヒドロキシまたはカルボキシで置換されている。アシルは基R−CO−であってよく、ここでRはC1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、フェニルまたはフェニル−C1−4アルキルである。
【0148】
好ましい式Iの化合物は、Rが13−20個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝鎖、好ましくは直鎖アルキルであり、所望によりニトロ、ハロゲン、アミノ、ヒドロキシまたはカルボキシで置換されているもの、およびより好ましくは、Rが所望によりハロゲンで置換された直鎖または分枝鎖C6−14アルキルで置換されたフェニルアルキルであり、当該アルキル基は所望によりヒドロキシで置換されたC1−6アルキルであるものである。より好ましくは、Rが直鎖または分枝鎖、好ましくは直鎖C6−14アルキル鎖でフェニル上で置換されたフェニル−C1−6アルキルである。C6−14アルキル鎖はオルト、メタまたはパラ、好ましくはパラに存在し得る。
【0149】
好ましくはR〜Rは各々Hである。
【0150】
式Iの好ましい化合物は、2−アミノ−2−テトラデシル−1,3−プロパンジオールである。とりわけ好ましい式IのS1P受容体アゴニストは、遊離形または薬学的に許容される塩形の2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニルエチル)]プロパン−1,3−ジオール(本明細書において、化合物Aと称する)、例えばその塩酸塩、すなわちFTY720:
【化6】

である。
【0151】
式IIの好ましい化合物は、R〜Rが各々Hであり、そしてmが4であるもの、すなわち遊離形または薬学的に許容される塩形の2−アミノ−2−{2−[4−(1−オキソ−5−フェニルペンチル)フェニル]エチル}プロパン−1,3−ジオール(本明細書において、化合物Bと称する)、例えばその塩酸塩である。
【0152】
好ましい式IVaの化合物は、化合物A−リン酸塩(RがHであり、RがOHであり、XがOであり、R1aおよびR1bがOHである)である。好ましい式Vの化合物は、化合物B−リン酸塩(RがCHOHであり、RがHであり、XがOであり、mが1であり、Rがリン酸塩であり、そしてRが2−[4−(1−オキソ−5−フェニルペンチル)フェニル]エチルである)である。
【0153】
式I〜VIIの化合物が当該分子内に1個以上の不斉中心を有するとき、多数の光学異性体ならびにラセミ体、ジアステレオマーおよびそれらの混合物が包含される。
【0154】
式I〜VIIの化合物の薬学的に許容される塩の例は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸および硫酸との塩、有機酸との塩、例えば酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩、または適切であるとき、金属、例えばナトリウム、カリウム、カルシウムおよびアルミニウムとの塩、アミン、例えばトリエチルアミンとの塩、ならびに二塩基性アミノ鎖、例えばリシンとの塩を含む。本発明の化合物および塩は、水和物および溶媒和物形態を含む。
【0155】
本発明の組成物は、S1P調節剤の1種以上の塩および/または遊離酸を含み得る。
本発明の組成物は好ましくは、組成物の総重量に基づいて0.01〜20重量%、より好ましくは0.1〜10%、例えば0.5〜5重量%のS1P受容体調節剤を含む。
医薬カプセル剤が単位投与形態であるとき、各単位用量は好適にはS1P受容体調節剤0.5〜10mgを含み得る。
【0156】
使用
本発明の医薬組成物は、単独でまたは他の活性剤との組合せにおいて、例えばUS 5,604,229、WO 97/24112、WO 01/01978、US 6,004,565、US 6,274,629およびJP-14316985(これらの内容を出典明示により本明細書の一部とする)に記載の状態の処置および予防に有用である。
本明細書に記載の組成物は、血液脳関門を通過して脳内にS1P調節剤の吸収および分散を促進することができる。
【0157】
とりわけ、本医薬組成物は:
a)臓器もしくは組織移植片拒絶の処置および予防、例えば心臓、肺、心肺、肝臓、腎臓、膵臓、皮膚または角膜移植の受容者の処置、および例えば骨髄移植後に時折生じる移植片対宿主病の予防;とりわけ急性もしくは慢性同種および異種移植片拒絶の処置またはインシュリン産生細胞、例えば膵島細胞の移植における処置;
b)自己免疫性疾患または炎症性状態、例えば多発性硬化症、関節炎(例えばリウマチ性関節炎)、炎症性腸疾患、肝炎等の処置および予防;
c)A型肝炎およびAIDSを含むウイルス性心筋炎によって惹起されるウイルス性心筋炎およびウイルス性疾患の処置および予防
に有用である。
【0158】
本発明は1つの態様において、炎症性状態の処置に関する。1つの例において、本発明は炎症性状態、例えば多発性硬化症における脳の救助のためのマスト細胞活性化および分泌の制御および/または抑制用組成物に関する。
【0159】
多発性硬化症対象を神経変性脳炎症から保護する方法であって、当該対象に本明細書に記載の組成物、例えばS1Pアゴニストまたは他の調節剤を含む組成物を投与することを含む方法も提供する。
【0160】
本発明の組成物および希釈物および医薬溶液を製造するための濃縮物を、S1P受容体調節剤の投与によって処置することができる疾患または状態に対して治療上有効である量で投与することができる。
【0161】
投与するS1P受容体調節剤またはその薬学的に許容される塩の正確な量は広く変化し得る。投与量は、具体的な化合物、投与経路、投与速度、特定の濃縮物または使用する医薬溶液の濃度、処置する疾患または状態の性質、および患者の性別、年齢および体重に依存し得る。投与量はまた、当該濃縮物または医薬製剤の投与に伴い得る有害な副作用の存在、性質および程度に依存し得る。典型的には、S1P受容体調節剤、例えば化合物A0.5〜5mgの投与量を小児に投与する。
【0162】
本発明の組成物および希釈用濃縮物および各医薬溶液は、他の免疫抑制剤、ステロイド、例えばプレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン等、または非ステロイド抗炎症剤との組合せで使用することができる。活性剤の組合せの投与は、最初に投与する活性剤の1つと同時または連続的であってよい。組合せ処置の活性剤の投与量は、各活性剤の効果および作用部位、ならびに組合せ療法に使用する薬剤間の相互作用に依存し得る。
【0163】
本発明は、下記具体的な実施例の記載によって説明される。
【実施例】
【0164】
実施例1
微粉化した化合物2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオール塩酸塩(FTY720)を篩過し、微結晶セルロース剤、例えばAvicel PH 102と混合する。該混合物をFrewitt MGI装置(Key International Inc. USA)で、30メッシュスクリーンを用いて摩砕する。ステアリン酸マグネシウムを20メッシュスクリーンで篩過し、FTY720/セルロース混合物と混合する。クロスカルメロースを混合して、生成組成物を製造する。
【0165】
直接圧縮で得た6mm丸形80mg錠剤コアの例を下記に示す:
【表1】

【0166】
別の物として、錠剤コア組成物を錠剤圧縮機で7mm杵を用いて圧縮して、120mg錠剤を形成することができ、この例は
【表2】

であり得る。
遊離形のFTY720 1mgはFTY720 HCl塩1.12mgに相当する。
【0167】
実施例2
さらなる例において、ステアリン酸マグネシウムをCutina(登録商標)(水素化ヒマシ油)に置き換えて実施例1の方法を反復する。
【0168】
実施例3
さらなる例において、該錠剤をFTY720をそれぞれの場合において2−アミノ−2−{2−[4−(1−オキソ−5−フェニルペンチル)フェニル]エチル}プロパン−1,3−ジオール塩酸塩に置き換えて実施例1および2に記載のとおり製造する。
【0169】
実施例4〜7
下記成分(mg)を含む錠剤を製造する:
【表3】

* 括弧で示したキシリトールの量を、結合剤として用いた。
【0170】
FTY720、D−マンニトールおよびキシリトールを流動床造粒機(MP-01 モデル、Powrex)に入れ、5分間混合し、結合溶液のスプレー下で造粒し、その後排気温度が40℃に達するまで乾燥させる。造粒条件は下記に示すとおりである。乾燥粉末を24メッシュふるいに通し、特定量の増量剤および滑沢剤を加え、そしてミキサー(Tubular Mixer, WAB)中で3分間混合して、圧縮用粉末を製造する。
【0171】
得られた粉末を、内径7mmxR 7.5mmの杵を備えた打錠機(Cleanpress correct 12 HUK, Kikushui Seisakusho)で圧縮力9800Nで圧縮する。
【表4】

【0172】
実施例8
粉末被覆組成物の例:
成分を高度せん断下で予め混合し、次に高度せん断下で水と混合して湿式造粒する。造粒混合物を流動床乾燥機で乾燥させて、水分含量を3重量%未満に減少させる。乾燥させた顆粒を摩砕し、粉末に微粉化する。
【表5】

【0173】
実施例9:
粉末被覆組成物の例:
【表6】

【0174】
実施例10:
液体被覆組成物の例(水性分散剤):
溶融または乾燥室で、エネルギーをコア表面に加えて粉末を溶融させるか、または液体を乾燥させて、当該コアの露出表面に均一なコーティングを施す。エネルギーは、好ましくは赤外線領域の集中照射によって提供し;該エネルギーパワー容量は主としてコーティング物質によって決る。溶融または乾燥後、該コーティングを送風機を用いて冷却して定着させる。
【表7】

【0175】
実施例10
本発明の7mm丸形127mg即時崩壊錠剤の例:
【表8】

該錠剤を既知の方法によって製造することができる。例えば、該錠剤を全成分を混合し、そしてさらに錠剤に圧縮しそして/または造粒そして/または微粉化し、そしてさらに顆粒を錠剤に圧縮して製造することができる。
【0176】
実施例11
ゼラチン(3%)、構造形成剤としてマンニトール(1−5%)、甘味剤、風味剤を含む即時崩壊製剤を製造する。
ゼラチンおよびマンニトールを水に加え、40℃に加熱して溶解させる。該ゼラチン/マンニトール溶液を23℃に冷却し、活性成分、例えばS1Pアゴニストまたは他の調節剤と混合する。総固体含量は50%未満である。当該懸濁液をまず、15℃に冷却して懸濁液の沈降を予防し、その後凍結乾燥を開始する(被覆または非被覆)。
【0177】
実施例12
マンニトールをソルビトールと置き換える以外、実施例11と同様である。
【0178】
実施例13
微粉化した化合物2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオール塩酸塩(FTY720)を篩過し、微結晶セルロース剤、例えばAvicel PH 102と混合する。該混合物をFrewitt MGI装置(Key International Inc. USA)で、30メッシュスクリーンを用いて摩砕する。ステアリン酸マグネシウムを20メッシュスクリーンで篩過し、FTY720/セルロース混合物と混合する。クロスカルメロースを混合して、生成組成物を製造する。
【0179】
直接圧縮で得た6mm丸形80mg錠剤コアの例を下記に示す:
【表9】

【0180】
実施例14
微粉化した化合物A、例えば2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオール塩酸塩(FTY720)を篩過し、篩過した化合物116.7gを微結晶セルロース剤9683.3gと混合する。該混合物をFrewitt MGI装置(Key International Inc. USA)で、30メッシュスクリーンを用いて摩砕する。ステアリン酸マグネシウムを20メッシュスクリーンで篩過し、篩過した化合物200gをFTY720混合物と混合して、生成組成物を製造する。
【0181】
該生成組成物を7mm杵を用いて圧縮して、120mg錠剤を形成することができ、これは各々:
【表10】

を含む(*遊離形の化合物A 1mgは、FTY720 1.12mgに相当する)。
【0182】
実施例15
さらなる例において、ステアリン酸マグネシウムをCutina(登録商標)(水素化ヒマシ油)と置き換えて実施例14の方法を反復する。
【0183】
実施例16
化合物A、例えばFTY720および微結晶セルロース、例えばAvicel PH 102を各々別個に、18メッシュスクリーンを用いて篩過する。篩過したFTY720 1.9gを篩過した微結晶セルロース40gと、ブレンダー中120回転、32rpmで混合する。該FTY720混合物を35メッシュスクリーンを通して篩過する。
【0184】
篩過したFTY720混合物を造粒機に、さらなる微結晶セルロース、例えばAvicel PH 102 340.1gおよびヒドロキシプロピルセルロース12gと共に加える。次に水を100ml/分の速度で加え、該混合物を2分間造粒する。当該顆粒をトレイ乾燥機に移し、50℃で150分間乾燥させる。
【0185】
当該混合物をFrewitt MGIデバイスで、35メッシュスクリーンを用いて摩砕する。ステアリン酸マグネシウムを篩過し、篩過した化合物6gを90回転、32rpmでFTY720混合物と混合して、混合物中の微結晶セルロース、例えばAvicel PH 102にS1P受容体アゴニストの実質的に均一な分散を示す生成組成物を製造する。
【0186】
次に、当該生成組成物をサイズ3の硬ゼラチン空カプセルに、H & K 400カプセル充填装置で充填する。これらの生成組成物120mgを各カプセルに加える。したがって、各カプセル剤は:
【表11】

を含む。
【0187】
実施例17
さらなる例において、ステアリン酸マグネシウムをCutina(登録商標)(水素化ヒマシ油)と置き換えて、実施例16の方法を反復する。
【0188】
実施例18
さらなる例において、ヒドロキシプロピルセルロースをヒドロキシプロピルメチルセルロースと置き換えて、実施例16の方法を反復する。
【0189】
実施例19
微粉化した化合物A、例えばFTY720を、425μm(40メッシュ)スクリーンを用いて篩過する。該篩過した化合物58.35gを微結晶セルロース、例えばAvicel PH 102 4841.65gと、25L Bohle binブレンダーで240混合回転で混合する。次に、該混合物をFrewitt MGIデバイスで425μmメッシュスクリーンを用いて摩砕し、そして摩砕した混合物を1回以上ブレンドする。ステアリン酸マグネシウムを篩過し、該篩過化合物100gをFTY720混合物と混合して、混合物中にS1P受容体アゴニストの実質的に均一な分散を示す生成組成物を製造する。
【0190】
次に当該生成組成物をサイズ3の硬ゼラチン空カプセルに、H & K 400カプセル充填装置で充填する。該生成組成物120mgを各カプセルに加える。したがって、各カプセル剤は:
【表12】

を含む。
【0191】
実施例20および21
さらなる例において、下記量:
【表13】

の各成分を含む各カプセル剤を、実施例19に記載のとおりに製造する。
【0192】
実施例22〜24
さらなる例において、ステアリン酸マグネシウムをCutina(登録商標)(水素化ヒマシ油)と置き換えて、実施例19に記載のとおりカプセル剤を製造する。
【0193】
実施例25〜35
さらなる例において、FTY720を各場合において2−アミノ−2−{2−[4−(1−オキソ−5−フェニルペンチル)フェニル]エチル}プロパン−1,3−ジオール塩酸塩と置き換えて、実施例13〜23に記載のとおりにカプセル剤または錠剤を製造する。
【0194】
実施例36〜38
下記成分:
【表14】

を含む医薬組成物を製造する。
【0195】
FTY720とFTY720の2倍の重量に等しい割合の微結晶セルロース、例えばAvicel PH 102を、Microspeed Mixer MS-5 タイプ(Palmer, USA)で2分間、1200rpmで混合する。残りの微結晶セルロースを当該混合物に加え、さらに2分間混合する。5%メチルセルロース SM-25溶液80または60ミリリットルをホッパーから供給し、そして同じ条件下で造粒する。当該混合物を開口0.4mmのスクリーンを通して押出機RG-5タイプを用いて押し出す。当該押出物を65℃で、流動床造粒機STREA I Type (Patheon, Canada)で乾燥させ、次に24メッシュふるいで篩過する。60メッシュふるいを通過した微細粒子を除去する。得られた微細顆粒をカプセルに、Zuma カプセル剤充填機(100mg/カプセル)で充填する。
【0196】
実施例39
湿式造粒で得たFTY720 1.25mgを含む錠剤製剤の例。
湿式造粒組成物:
【表15】

【0197】
微結晶セルロースをFTY720とHPMCの水溶液と湿式造粒した。乾燥後、当該混合物をふるいにかけ、マンニトール、二酸化ケイ素、クロスカルメロースおよびステアリン酸マグネシウムと混合し、そして6mm丸形100mg錠剤に圧縮した。
【0198】
あるいは、マンニトールのような糖アルコールを含まず、微結晶セルロースを代わりに用いてこの製剤を製造することができる:
【表16】

【0199】
実施例40
FTY720を含む被覆組成物の例。
ペレット、ミニタブレットおよび小錠剤のコーティング用組成物
【表17】

【0200】
ポリマーHPMCを例えばHPCまたは他の同様なポリマーと置き換えることができる。FTY720コーティングは、例えば保護コーティング(例えばHPMC)とは別におよび/または上塗り(例えばHPMC)で被覆して、活性もしくはプラセボペレット、ミニタブレットまたは小錠剤に適用することができる。この投与形態をカプセル(例えばHPMCまたはHGC)またはスティックパックに充填することができ、したがって異なる投与力価または組合せ品を製剤することができるという意味において柔軟である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
S1P受容体調節剤を含む経口医薬組成物であって、
(a)1種以上のポリマー樹脂
(b)1種以上の金属オキシド
を含むコーティングを含んで成る、医薬組成物。
【請求項2】
1種以上のポリマー樹脂がメタクリル酸コポリマーを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
1種以上のポリマー樹脂がセルロースを含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
さらに
(c)ポリエチレングリコールまたは糖アルコール
を含む、請求項1〜3の何れかに記載の組成物。
【請求項5】
さらに
(d)コロイド状二酸化ケイ素
を含む、請求項1〜4の何れかに記載の組成物。
【請求項6】
アンモニオ−メタクリレートコポリマーを35〜50%w/wの量で含む、請求項1〜5の何れかに記載の組成物。
【請求項7】
ヒドロキシプロピルセルロースを25〜45%w/wの量で含む、請求項1〜6の何れかに記載の組成物。
【請求項8】
1種以上の金属オキシドが15〜25%w/wの量で存在する、請求項1〜7の何れかに記載の組成物。
【請求項9】
二酸化チタンを12.5〜17.5%w/wの量で含む、請求項1〜8の何れかに記載の組成物。
【請求項10】
アルミニウムレーキを2.5〜7.5%w/wの量で含む、請求項1〜9の何れかに記載の組成物。
【請求項11】
ポリエチレングリコールを0.01〜10%w/wの量で含む、請求項1〜10の何れかに記載の組成物。
【請求項12】
コロイド状二酸化ケイ素を0.01〜1%w/wの量で含む、請求項1〜11の何れかに記載の組成物。
【請求項13】
コーティングが以下のもの:
【表1】

を含む、請求項1〜12の何れかに記載の組成物。
【請求項14】
コーティングが以下のもの:
【表2】

を含む、請求項1〜12の何れかに記載の組成物。
【請求項15】
(a)ヒドロキシプロピルメチルセルロース
(b)グリセロール
(c)金属オキシド
を含む液体コーティングを含んで成る、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
60〜80%w/wの量で存在する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
グリセロールが4〜10%w/wの量で存在する、請求項15または16に記載の組成物。
【請求項18】
金属オキシドが15〜30%w/wの量で存在する、請求項15〜17の何れかに記載の組成物。
【請求項19】
金属オキシドが黄色酸化鉄である、請求項15〜18の何れかに記載の組成物。
【請求項20】
コーティングが下記のもの:
【表3】

を含む、請求項15〜19の何れかに記載の組成物。
【請求項21】
即時崩壊固体医薬組成物であって、下記のもの:
(a)S1P受容体調節剤
(b)アルカリ土類金属シリケート
(c)崩壊剤
を含み、該シリケート:崩壊剤の比が2:1〜10:1である、組成物。
【請求項22】
比が3:1〜7:1である、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
比が5:1である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
崩壊剤がクロスポビドンおよびクロスカルメロースから選択される、請求項21〜23の何れかに記載の組成物。
【請求項25】
崩壊時間が60秒未満である、請求項21〜24の何れかに記載の組成物。
【請求項26】
凍結乾燥投与形態のS1P受容体調節剤を含む、即時崩壊医薬組成物。
【請求項27】
ゼラチン、マンニトール、ソルビトール、デキストロース、ショ糖、ラクトース、マルトース、マルトデキストリン、トウモロコシシロップ固体、トレハロース、ポリビニルピロリドン、高分子電解質ゲルAコンドロイチン硫酸、セルロース、デンプン誘導体、プルラン、グリシン、ドキュセートNa、PVC、HPC−SL、マンニトール&グリセロール、キサンタンゴム/カラギーナン(carragean)ゴム/アカシアゴム/グアーガム/トラガカント、マンニトール、ポリソルベート60、ドデシル硫酸ナトリウム、脂肪酸、胆汁塩、メチルヒドロキシベンゾエートナトリウム、プロピルヒドロキシベンゾエートナトリウム、増粘剤、風味剤、甘味剤の1種以上をさらに含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
崩壊時間が10秒未満である、請求項26または27に記載の組成物。
【請求項29】
経口投与に適した固体医薬組成物であって、下記のもの:
(a)S1P受容体調節剤;および
(b)微結晶セルロース
を含み、糖アルコールを含まない組成物。
【請求項30】
微結晶セルロール90〜99.5重量%を含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
微結晶セルロースがAvicel(登録商標)を含む、請求項29または30に記載の組成物。
【請求項32】
S1P受容体調節剤を含むコーティングを含んで成る、医薬組成物。
【請求項33】
該コーティングで被覆されたコアを含む、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
コアが顆粒、ペレット、錠剤またはミニタブレットを含む、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
コアがS1P受容体調節剤を含む、請求項33または34に記載の組成物。
【請求項36】
コーティングがポリマーをさらに含む、請求項32〜35の何れかに記載の組成物。
【請求項37】
ポリマーがセルロースを含む、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはメチルセルロースを含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
エタノールおよびアセトンの一方または両方を含む、請求項32〜38の何れかに記載の組成物。
【請求項40】
コーティングが下記のもの:
【表4】

を含む、請求項32〜39の何れかに記載の組成物。
【請求項41】
組成物が1種以上のさらなるコーティングを含む、請求項32〜40の何れかに記載の組成物。
【請求項42】
顆粒の形態の、請求項1〜41の何れかに記載の組成物。
【請求項43】
錠剤の形態の、請求項1〜41の何れかに記載の組成物。
【請求項44】
カプセル剤の形態の、請求項1〜41の何れかに記載の組成物。
【請求項45】
滑沢剤をさらに含む、請求項1〜44の何れかに記載の組成物。
【請求項46】
滑沢剤がステアリン酸マグネシウムである、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
滑沢剤1.5〜2.5重量%を含む、請求項45または46に記載の組成物。
【請求項48】
ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはメチルセルロースから選択されるセルロースを含む、請求項1〜47の何れかに記載の組成物。
【請求項49】
S1P受容体調節剤と微結晶セルロースを含み、糖アルコールを含まない硬ゼラチンカプセル剤の形態の、請求項29に記載の組成物。
【請求項50】
S1P受容体調節剤0.5〜5重量%を含む、請求項1〜49の何れかに記載の組成物。
【請求項51】
S1P受容体調節剤がS1P受容体アゴニストである、請求項1〜50の何れかに記載の組成物。
【請求項52】
S1P受容体アゴニストが2−アミノ−2−[2−(4−オクチルフェニル)エチル]プロパン−1,3−ジオールまたは2−アミノ−2−{2−[4−(1−オキソ−5−フェニルペンチル)−フェニル]エチル}プロパン−1,3−ジオール、またはその薬学的に許容される塩を含む、請求項51に記載の組成物。
【請求項53】
免疫抑制を必要とする対象を処置する方法であって、当該対象に請求項1〜52の何れかに記載の組成物を投与することを含む方法。
【請求項54】
臓器または組織移植拒絶の予防または処置用、あるいは炎症性または自己免疫性疾患の予防または処置用医薬の製造のための、請求項1〜52の何れか記載の組成物の使用。
【請求項55】
臓器または組織移植拒絶の予防または処置、あるいは炎症性または自己免疫性疾患の予防または処置のための、請求項1〜52の何れか記載の組成物の使用。
【請求項56】
多発性硬化症対象を神経変性脳炎症から保護する方法であって、当該対象に請求項1〜52の何れかに記載の組成物を投与することを含む方法。
【請求項57】
経口投与用被覆医薬錠剤を製造する方法であって:
(a)S1P受容体調節剤を含む錠剤コアを製造すること;および
(b)請求項1〜20のいずれかに定義の通りに被覆を行うこと
を含む方法。
【請求項58】
医薬組成物を製造する方法であって、
(a)S1P受容体調節剤の凍結乾燥投与形態と構造形成剤を混合すること;
(b)50%未満の固体を含む水性懸濁液を製造すること;そして
(c)所望によりさらに、凍結乾燥工程を行うこと
を含む方法。
【請求項59】
請求項29の医薬組成物を製造する方法であって、下記工程:
(a)S1P受容体調節剤と微結晶セルロース、例えばAvicel(登録商標)を混合すること;
(b)(a)で得た混合物を摩砕すること;そして
(c)(b)で得た摩砕した混合物を滑沢剤と混合すること
を含む方法。
【請求項60】
請求項32の医薬組成物を製造する方法であって:
(a)コア組成物を製造すること;
(b)前記コアを、S1P受容体調節剤を含むコーティングで被覆すること
を含む方法。

【公表番号】特表2010−504364(P2010−504364A)
【公表日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529590(P2009−529590)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/008314
【国際公開番号】WO2008/037421
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】