説明

SEMによる立体形状計測方法およびその装置

【課題】
SEMの2次電子画像信号量の傾斜角依存性を利用して平坦な面や垂直に近い面についても高精度な立体形状計測を可能にしたSEMによる立体形状計測方法およびその装置を提供することにある。
【解決手段】
本発明は、被計測対象パターンにおいて傾斜角変化に対して感度が低い領域(平坦部領域)a、c1については、チルト像取得部1521で観察方向φ(2)からチルト像(チルト2次電子画像)I(2)を取得し、形状計測部1523,1524で取得されるチルト像を用いて勾配(表面傾斜角)を推定し、該推定された勾配推定値(表面傾斜角推定値)を積分することによって立体形状S2a、S2cの計測を行うことで、高精度な3次元プロファイル(立体形状)の計測を可能にすることにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造過程での半導体ウェーハなどの試料の観察あるいは計測において、SEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)を用いて試料を撮像し、該撮像した画像から試料の三次元形状を推定するSEMによる立体形状計測方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の微細化に伴い、半導体の前工程製造プロセスの制御はますます困難になってきている。半導体パターンの電気的な特性には前記半導体パターンの高さ、ライン幅、側壁傾斜角のほか、角の丸みといった微妙なパターン形状の変化も大きな影響を与える。そのため、これらの寸法または形状を計測することによりプロセス変動を検知し、プロセスを制御する技術が求められている。有効なプロセス制御を行うためには、SEMによる半導体パターンの側壁観察やSEMで取得した観察画像から3次元プロファイルを推定する技術が期待される。前記側壁観察や三次元プロファイルの推定においては試料を斜め方向から観察したSEM画像の情報を利用することが有効であると考えられる。
【0003】
斜め方向から観察したSEM画像を取得する方法としては、例えば特開2000−348658号公報(特許文献1)に記載されているように、電子光学系より照射する電子線を偏向し、観察対象に電子線を照射する方向を傾斜させて傾斜画像を撮像する方式、SEMにより半導体ウェーハの任意の場所を観察できるように半導体ウェーハを移動させるステージ自体を傾斜させて撮像する方式、SEMの電子光学系自体を機械的に傾斜させる方式が適用されている。
【0004】
特開2000−146558号公報(特許文献2)には、走査型電子顕微鏡(SEM)からの電子ビームによって画像形成された表面の勾配を決定する方法において、電子ビームに対してそれぞれの既知の角度θに位置されている表面の部分からの電子放射SEを測定することによって複数のSE測定値を得ること、及び上記複数個の測定値に基づいてSEとθとの間の関係を派生することを包含するキャリブレイション手順を実施し、測定したSEを発生するために上記表面の点上に入射させるために電子ビームを指向付けし、上記得られた関数及び上記測定したSEから角度θを派生することによって上記点における勾配を決定することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2000−348658号公報
【0006】
【特許文献2】特開2000−146558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、従来は、傾斜角と2次電子信号量の関係として、1/cosθなどの関数や実サンプルで取得したデータテーブルを用いて各点の傾斜角(勾配)を推定し、傾斜角推定値を積分することによって高さ情報を得ていたが、2次電子信号量の傾斜角に対する感度は、傾斜角により異なるため、平坦な部分や垂直に近い部分では正しい結果を得ることが困難であった。
【0008】
本発明の目的は、上記課題を解決すべく、SEMの2次電子画像信号量の傾斜角依存性を利用して平坦な面や垂直に近い面についても高精度な立体形状計測を可能にしたSEMによる立体形状計測方法およびその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、SEMによる立体形状計測方法及びその装置であって、被計測対象パターン上の、傾斜角変化に対する2次電子信号の感度または実際の関係に対し傾斜角−2次電子信号量の関係モデルの近似が悪い領域(以下感度または近似の悪い領域と称する。)に対して、傾斜角変化に対する2次電子信号量が大きく、かつ実際の関係に対し傾斜角−2次電子信号量の関係モデルがよく近似している画素値をもつチルト2次電子画像(以下感度および近似の良いチルト2次電子画像と称する。)が得られる観察方向から集束電子ビームを少なくとも前記領域に対して入射して走査することによって発生する2次電子信号量を検出して撮像される前記領域のチルト2次電子画像を取得するチルト像取得ステップと、該チルト像取得ステップで取得された領域のチルト2次電子画像内の各座標点での2次電子信号量を基に、前記領域における各座標点における勾配を推定して算出し、該算出された各座標点における勾配推定値を順次積分することによって前記領域の立体形状の計測を行う形状計測ステップとを有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、SEMによる立体形状計測方法及びその装置であって、被計測対象パターン上の感度または近似の悪い領域を決定する領域決定ステップと、該領域決定ステップで決定した領域に対して感度および近似の良いチルト2次電子画像が得られる観察方向から集束電子ビームを前記被計測対象パターンに対して入射して走査することによって発生する2次電子信号量を検出して撮像されるチルト2次電子画像を取得するチルト像取得ステップと、該チルト像取得ステップで取得されたチルト2次電子画像内の各座標点での2次電子信号量を基に、前記各座標点における勾配を推定して算出し、該算出された各座標点における勾配推定値を順次積分することによって被計測対象パターンの立体形状の計測を行う形状計測ステップと、該形状計測ステップで計測された被計測対象パターンの立体形状から前記領域決定ステップで決定された領域の座標および前記観察方向に基づいて前記領域における立体形状を抽出する抽出ステップとを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、SEMによる立体形状計測方法及びその装置であって、被計測対象パターン上の感度または近似の悪い領域を、集束電子ビームを基準入射角で入射して走査することによって検出される基準となる2次電子画像内における2次電子信号量に基に判断して決定する領域決定ステップと、該領域決定ステップで決定された領域については前記基準入射角に対してチルトさせた入射角で集束電子ビームを少なくとも前記領域に対して入射して走査することによって発生する2次電子信号量を検出して撮像される領域のチルト2次電子画像を取得するチルト像取得ステップと、該チルト像取得ステップで取得された領域のチルト2次電子画像内の各座標点での2次電子信号量を基に、前記領域における各座標点における勾配を推定して算出し、該算出された各座標点における勾配推定値を順次積分することによって前記領域の立体形状の計測を行う形状計測ステップとを有することを特徴とする。即ち、本発明は、SEMによる立体形状計測方法及びその装置であって、傾斜角変化への感度が低い領域を、基準となる2次電子画像内における2次電子信号量により判断し、その領域に関しては他のチルト角により得られたチルト像を用いて勾配を推定し、該推定された勾配推定値を積分することによって立体形状の計測を行うことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記チルト像取得ステップにおいて、前記領域に対して相対的に前記集束電子ビームの入射角を変化させて前記集束電子ビームを少なくとも前記領域に入射して走査することによって発生する2次電子信号量の変化を検出し、該検出される2次電子信号量の変化を基に、前記観察方向を決めるステップを含むことを特徴とする。即ち、本発明は、観察方向として、相対的に試料に対する電子ビームの入射角度を振って感度および近似の良いチルト2次電子画像が得られる方向に決めることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記チルト像取得ステップにおいて、前記観察方向を、被計測対象パターンの断面形状モデルを用いて決めるステップを含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、SEMによる立体形状計測方法及びその装置であって、被計測対象パターン上の感度または近似の悪い領域に対して、相対的に集束電子ビームの入射角を変化させて前記集束電子ビームを少なくとも前記領域に対して入射して走査することによって発生する複数の2次電子信号量を検出して撮像される複数の領域のチルト2次電子画像を取得するチルト像取得ステップと、該チルト像取得ステップで取得された複数の領域のチルト2次電子画像の内、感度および近似の良いチルト2次電子画像を選択する選択ステップとを有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、SEMによる立体形状計測方法及びその装置であって、被計測対象パターン上の感度または近似の悪い領域を決定する領域決定ステップと、該領域決定ステップで決定した領域に対して、相対的に集束電子ビームの入射角を変化させて前記集束電子ビームを前記被計測対象パターンに対して入射して走査することによって発生する複数の2次電子信号量を検出して撮像される複数のチルト2次電子画像を取得するチルト像取得ステップと、該チルト像取得ステップで取得された複数のチルト2次電子画像の内、前記領域決定ステップで決定された領域において感度および近似の良いチルト2次電子画像を選択する選択ステップとを有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、前記形状計測ステップにおいて、前記領域における各座標点での2次電子信号量を基に、前記領域における各座標点での勾配を推定して算出する際、予め学習によって評価された側壁傾斜角と2次電子信号量との関係を用いることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、SEMによる立体形状計測方法及びその装置であって、前記被計測対象パターン上における第1の領域と第2の領域とを決定する領域決定ステップと、該領域決定ステップによって決定された第1の領域に対して、感度および近似の良いチルト2次電子画像が得られる第1の観察方向から集束電子ビームを前記被計測対象パターンに対して入射して走査することによって発生する2次電子信号量を検出して撮像される第1の領域のチルト2次電子画像を取得し、該取得された第1の領域のチルト2次電子画像を用いて前記第1の観察方向からの被計測対象パターンの立体形状の計測を行う第1の形状計測ステップと、前記領域決定ステップによって決定された第2の領域に対して、感度および近似の良いチルト2次電子画像が得られる第2の観察方向から集束電子ビームを前記被計測対象パターンに対して入射して走査することによって発生する2次電子信号量を検出して撮像される第2の領域のチルト2次電子画像を取得し、該取得された第2の領域のチルト2次電子画像を用いて前記第2の観察方向からの被計測対象パターンの立体形状の計測を行う第2の形状計測ステップとを有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、SEMによる立体形状計測方法及びその装置であって、被計測対象パターン上の第1の領域と第2の領域を決定する領域決定ステップと、該領域決定ステップで決定した第1の領域及び第2の領域に対して相対的に集束電子ビームの入射角を変化させて前記集束電子ビームを前記被計測対象パターンに対して入射して走査することによって発生する複数の2次電子信号量を検出して撮像される複数のチルト2次電子画像を取得するチルト像取得ステップと、該チルト像取得ステップで取得された複数のチルト2次電子画像の内、前記領域決定ステップで決定された第1の領域においては感度の良い方の第1の入射角による第1のチルト2次電子画像を選択し、前記チルト像取得ステップで取得された複数のチルト2次電子画像の内、前記領域決定ステップで決定された第2の領域においては近似の良い方の第2の入射角による第2のチルト2次電子画像を選択する選択ステップとを有することを特徴とする。
【0019】
ここで、感度の良いとは、複数のチルト2次電子画像を比較して傾斜角変化に対する2次電子信号量の変化が大きい方の画素値をもつチルト2次電子画像を選択することを意味し、近似が良いとは、複数のチルト2次電子画像を比較して傾斜角−2次電子信号量の関係モデルが実際の関係をよく近似している方の画素値をもつチルト2次電子画像を選択することを意味する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、SEMによる立体形状計測において、精度が得られなかった領域についても、高精度な立体形状計測を可能にする効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係るSEM(Scanning Electron Microscope:走査型電子顕微鏡)による立体形状計測における実施の形態について図面を用いて説明する。
【0022】
図1は、本発明におけるSEM画像を取得して処理するシステムの一実施の形態を示す図である。電子光学系2は、電子線4を発生する電子線源(電子銃)3と、コンデンサレンズ5と、偏向器6と、ExB偏向器7、対物レンズ8、二次電子検出器9及び反射電子検出器10、11を備えて構成される。17は半導体ウエハ等の試料1を載置するステージ(X−Y−Zステージ)で、ステージチルト角18を形成するチルトステージも含まれて構成される。なお、チルトステージは、試料1の表面のパターンの高さ方向のほぼ中心をチルト軸としてX方向及びY方向にチルトできるものとする。勿論、ステージ17には、X方向およびY方向にはレーザ測長器(図示せず)が設けられている。20はステージコントローラで、処理・制御部15からの指令に基づいてチルトステージを含めて、ステージ(X−Y−Zステージ)17を制御するものである。従って、チルトステージは、ステージコントローラ20の制御に基づいて試料1に対してチルト角18を付与するようにチルトされることになる。21は偏向制御部で、処理・制御部15からの指令に基づいて偏向器6を制御して集束された電子線4を偏向させたり、試料1に対して電子線4のチルトを付与させたりするものである。22は焦点制御部で、処理・制御部15からの指令に基づいて対物レンズ8に流す電流を制御して集束された電子線を試料表面に焦点合わせするものである。
【0023】
なお、ExB偏向器7は、試料する試料1から発生した二次電子を二次電子検出器9に向けるものである。
【0024】
電子線源3から出射された電子線4はコンデンサレンズ5で集束され、偏向器6で偏向され、対物レンズ8で更に集束されて半導体ウエハ等の試料1の表面に照射される。なお、偏向器6は、電子線4を偏向し、試料1上での電子線の照射位置を制御する。電子線4が照射された試料1からは、2次電子と反射電子が放出され、2次電子は2次電子検出器9により検出される。一方、反射電子は反射電子検出器10、11により検出される。反射電子検出器10と11とは互いに異なる方向に設置されている。2次電子検出器9および反射電子検出器10および11で検出された2次電子および反射電子は、A/D変換機12、13、14でデジタル信号に変換され、画像メモリ151に格納され、CPU152で目的に応じた画像処理が行われる。
【0025】
図2は半導体ウエハ等の試料1上に電子線を走査して照射した際、試料表面37から放出される電子の信号量を画像化する方法を示す。電子線は、偏向器6により、例えば図2(a)に示すようにx、y方向に31〜33又は34〜36のように走査して照射される。従って、偏向器6により、電子線の偏向方向を変更することによって走査方向は変化させることが可能である。x方向に走査された電子線31〜33が照射された試料上の場所をそれぞれG〜Gで示している。同様にy方向に走査された電子線54〜56が照射された試料上の場所をそれぞれG〜Gで示している。前記G〜Gにおいて放出された電子の信号量は、それぞれ図2(b)内に示した画像39における画素H〜Hの明度値になる(G、Hにおける右下の添え字1〜6は互いに対応する)。38は画像39上のx、y方向を示す座標系である。
【0026】
図1中の処理・制御部15はコンピュータシステムであり、画像処理により半導体ウエハ1上の対象パターンの観察画像から3次元プロファイルの推定を行う、あるいはステージコントローラ20や偏向制御部21に対して制御信号を送る等の処理・制御を行う。また、処理・制御部15は、ディスプレイ16を接続されており、ユーザに対して画像を表示するGUI(Graphic User Interface)を備える。さらに、処理・制御部15は,キーボードやマウスや記録媒体やネットワークなどの入力手段23を備え、記憶装置19を接続して構成される。17はXYステージであり、半導体ウエハ1をX方向およびY方向に移動させ、該半導体ウエハの任意の位置の画像撮像を可能にしている。図1では反射電子像の検出器10、11を2つ備えた実施例を示したが、該反射電子像の検出器の数を減らすことも、あるいは増やすことも可能である。
【0027】
なお、CPU152は、機能的に、2次電子画像を撮像する際、平坦部領域および側壁部領域に適する観察方向となるチルト制御量等を計画したり、平坦部領域および側壁部領域に適する観察方向から撮像される2次電子画像を選択するのを計画したりする撮像計画部(チルト像取得部、選択部)1521と、2次電子検出器9で検出された2次電子画像に対するセグメンテーションして抽出することを計画するセグメンテーション計画部(領域決定部、抽出部)1522と、2次電子検出器9で検出された2次電子画像から入射方向に対する側壁傾斜角θで示される勾配(表面傾斜角)を算出する勾配算出部1523と、該勾配算出部1523で算出された勾配を断面方向に積分していって3次元プロファイルを算出する形状算出部1524とを備えて構成される。形状算出部1524は、必要に応じて、算出された3次元プロファイルをセグメンテーションをしてつなぎ合わせを行ってもよい。さらに、勾配算出部1523と形状算出部1524とで形状計測部を構成する。さらに、形状計測部は、複数の3次元プロファイルをつなぎ合わせて統合する統合部をも構成することになる。
【0028】
一方、試料1に対して集束された一次電子を照射した場合、図3に模式的に示すように、Zの深さの点から試料の側壁傾斜角度θに応じて2次電子量I(x)またはδ(θ)が次に示す(1)式または(2)式から放出されることになる。
【0029】
(x)=kI(1/cosθ(x)) (1)
δ(θ)=δ・(1/cos(θ)) (2)
kは反射率、Iは一次電子強度である。従って、kIまたはδは側壁傾斜角度θが0度のときの2次電子放出量となる。nは実際検出されるものに近似させるための乗数である。
【0030】
上記の関係は、図4に示す。点線は、対象表面の勾配(横軸)とSE信号量(縦軸)との関係を示すモデル(2)式をプロットしたものであり、■又は◆は電子線シュミレーションにより推定した同関係をプロットしたものである。シュミレーション結果が実際の関係に近いと考えると、本例においては、側壁傾斜角θが90度に近くなるとモデル式は実際の関係をよく近似できていないことが分かる。また、図4に示すように、側壁傾斜角θが30度付近から70度付近までは上記(2)式で近似でき、さらに側壁傾斜角の変化に対するSE信号量の変化が大きく、傾斜角変化に対する感度が高いことが分かる。しかし、側壁傾斜角θが30度付近より小さい平坦部(下地部)になると上記(1)式または(2)式で近似はできるものの2次電子信号量の変化が見られず、傾斜角度変化に対する感度が低いことが分かる。
【0031】
即ち、図4において、(1)傾斜角度に対する2次電子(SE)信号量の変化が大きい感度が高い領域はおおよそ領域(A)に相当し、(2)傾斜角−2次電子信号量の関係モデルが実際の関係をよく近似している近似が良い領域はおおよそ領域(B)に相当する。ここで、(2)のモデル式と実際の関係との近似の良し悪しは同図に■又は◆でプロットした電子線シミュレーションの分布を実際の関係と見立てて判断した。(A)と(B)との共通部分である領域(C)を勾配推定に良好な領域とし、本領域を推定に利用できるようなチルト画像を極力選択する。
【0032】
なお、図4では傾斜角−2次電子信号量の関係を示すモデル式として(SE信号量)=δ・(1/cos(θ))を用いているが、本発明はこれに限ったものではなく、モデル式はこの他にも特開2000−146558号公報に示されているモデル式や図4に示した電子線シミュレーションにより推定した分布をそのまま用いる等の選択が可能である。また、モデル式の選択、あるいはモデル式のパラメータの与え方によってモデル形状は変化するため、図4における感度の良い領域(A)や実際の分布に対し近似の良い領域(B)は変化し得る。そのため図4では領域(C)として側壁傾斜角が約30度〜約70度の領域が示されているが、この範囲は一例である。
【0033】
そこで、本発明は、上記傾斜角変化に対する感度が高く、実際の関係に対しモデル式の近似の良い領域から取得される試料表面の2次電子信号量から表面の傾斜角(勾配)を推定し、それを積分して3次元情報を得ることによって試料上に形成されたパターンのライン幅やコンタクトホールなどの3次元プロファイル計測を高精度に行い、プロセス変動の検知およびプロセス制御を行うことができるようにしたことにある。
【0034】
次に、SEMを用いて試料を撮像し、該撮像した2次電子画像から試料の3次元プロファイル計測を行う具体的な実施の形態について図面を用いて説明する。
【0035】
まず、第1の実施の形態について、図1、図4〜図8等を用いて説明する。処理・制御部15内のCPU152の撮像計画部1521において、図6に矢印61で示すように、チルト制御して試料1の被計測対象パターン50に対して電子ビームの入射方向を垂直方向から例えば時計方向及び反時計方向に(電子ビームの入射方向は当然3次元的変化させることも可能である。)順次ステップさせて変化させて振らせる撮像計画を立てる(S51)。
【0036】
この際、チルト制御の仕方としては、(i)電子光学系より照射する電子線を偏向し、電子線の照射角度を傾斜させて傾斜画像を撮像する方式(例えば特開2000−348658号公報)(以下、ビームチルト方式と呼び、得られる画像をビームチルト画像と呼ぶ)、(ii)半導体ウエハ1を移動させるステージ17自体を傾斜させる方式(図1においてはチルト角18でステージが傾斜している)(以下、ステージチルト方式と呼び、得られる画像をステージチルト画像と呼ぶ)、(iii)電子光学系自体を機械的に傾斜させる方式(以下、鏡筒チルト方式と呼び、得られる画像を鏡筒チルト画像と呼ぶ)を適用することが可能である。
【0037】
さらに、被計測対象パターン50に対して、1次電子ビームを走査照射することを、相対的に、例えば時計方向に順次入射方向φ(d0)、φ(d1)、φ(d2)、φ(d3)、…を変えて振って被計測対象パターン50から生じる2次電子信号量を2次電子検出器9によって検出し、A/D変換器12でA/D変換して階調値で示される2次電子画像I(d0)、I(d1)、I(d2)、I(d3)、…を取得して画像メモリ151に記憶し、例えば反時計方向に順次入射方向を変えて振って被計測対象パターン50から生じる2次電子信号量を2次電子検出器9によって検出し、A/D変換器12でA/D変換して階調値で示される2次電子画像を取得して画像メモリ151に記憶する。
【0038】
そして、セグメンテーション計画部1522は、例えば、φ(d0)が0度近傍(平坦部領域に対して垂直方向近傍)の入射角のとき、取得される基準となる2次電子画像I(d0)から少なくとも2次電子信号量が所定の値よりも小さい感度が低い領域a、c1、c2と2次電子信号量が所定の値よりも大きい感度が高い領域b1、b2とを抽出してセグメンテーション計画を立てることができる(S51)。また、セグメンテーション計画部1522は、入射方向(撮像方向)φ(1)が決められて(選択されて)ステップS521で得られる基準となる2次電子画像I(1)または入射方向(撮像方向)φ(2)が決められて(選択されて)ステップS522で得られる2次電子画像I(2)を基に、形状計測された3次元プロファイルS1、S2に対して感度の高い領域を抽出するようにセグメンテーションの計画を立てることも可能である。なお、撮像計画部1521が、側壁部領域b1に適する入射方向(撮像方向)φ(1)および平坦部領域領域a、c1に適する入射方向(撮像方向)φ(2)を決めても良い。
【0039】
しかし、通常、被計測対象パターンは繰り返される関係で傾き方向(正負である右側面b1であるのか、左側面b2であるのか)が分からない。そこで、セグメンテーション計画部1522は、画像メモリ151に記憶されている入射角度φを入射角度φ(d0)から例えば時計方向に順次振っていくことによって取得された2次電子画像を例えばx座標で比べていって(マッチングさせていって)、図7に示すように、対象パターンが順テーパの場合、2次電子信号量が多い明部の幅が広がることによってI(d0)における右側の明部は右側壁面b1であることを識別でき、入射角度φを入射角度φ(d0)から例えば反時計方向に順次振っていくことによって取得する2次電子画像を例えばx座標で比べていって、2次電子信号量が多い明部の幅が広がることによってI(d0)における左側の明部は左側面b2であることを識別でき、即ち、被計測対象パターンの傾き方向(正負)が分かり、大まかな被計測対象パターン50の3次元形状を推定でき、記憶装置19に記憶される。
【0040】
さらに、セグメンテーション計画部1522または撮像計画部1521は、画像メモリ151に記憶された入射角度φを例えば時計方向に順次に振っていくことによって取得された複数の2次電子画像I(d0)〜I(d4)を比べて、チルト角を少なくするため、上記側壁領域b1については2次電子信号量が例えば最も大きいものより所望の値下げた値(例えば最も明るい値から少し暗くした値)(例えば図4において感度および近似の良い領域(C)の上限付近)を示す電子ビームの入射方向(観察方向)φ(1)を求めて記憶装置19に記憶し、該電子ビームの入射角度φ(1)による2次電子画像I(1)を選択して画像メモリ151に記憶し(S521)、上記平坦部領域a、c1については2次電子信号量が例えば所定の値よりも大きい値(明るい値)(例えば図4において感度および近似の良い領域(C)の下限付近)を示す電子ビームの入射方向(観察方向)φ(2)を求めて記憶装置19に記憶し、該電子ビームの入射方向φ(2)による2次電子画像I(2)を選択して画像メモリ151に記憶する(S522)。さらに、セグメンテーション計画部1522または撮像計画部1521は、画像メモリ151に記憶された入射角度φを例えば反時計方向に順次振っていくことによって取得された複数の2次電子画像を比べて、チルト角を少なくするため、上記側壁領域b2については2次電子信号量が例えば最も大きいものより所望の値下げた値(例えば最も明るい値から少し暗くした値)(図4において感度および近似の良い領域(C)の上限付近)を示す電子ビームの入射方向(観察方向)φ(1)を求めて記憶装置19に記憶し、該電子ビームの入射方向φ(1)による2次電子画像を選択して画像メモリ151に記憶し、上記平坦部領域a、c2については2次電子信号量が所定の値よりも大きい値(明るい値)(図4において感度および近似の良い領域(C)の下限付近)を示す電子ビームの入射方向(観察方向)を求めて記憶装置19に記憶し、該電子ビームの入射方向による2次電子画像を選択して画像メモリ151に記憶する。その結果、上記側壁領域b1、b2および平坦部領域a、c1、c2に対して2次電子検出感度を高くし、かつ実際の関係に対しモデル式の近似を良くした電子ビームの入射方向(観察方向)を求めて記憶装置19に記憶され、該電子ビームの入射方向による2次電子画像が含まれた2次電子画像が選択されて画像メモリ151に記憶されることになる。
【0041】
即ち、被計測対象パターン上の傾斜角変化に対する感度が低い領域(平坦部領域)a、c1から発生する2次電子信号量が所定の値以上得られる観察方向φ(2)から集束電子ビームを少なくとも上記領域a、c1に対して入射して走査することによって発生する2次電子信号量を検出して撮像される上記領域のチルト2次電子画像を含むチルト2次電子画像I(2)を取得して画像メモリ151に記憶されることになる(S522)。
【0042】
ところで、セグメンテーション計画部1522または撮像計画部1521は、測定領域毎に図4における感度および近似の良い領域(C)付近のモデル式を積極的に用いるような撮像計画を立てる。しかしながら、設定可能なチルト角はチルト方式あるいは装置によって異なり、必ずしも領域(C)のモデル式を用いる観察方向からの観察が可能とは限らないが、その場合もなるべくモデル式の感度および近似の良い領域を観察方向に選択するような撮像計画を立てる。また、計測のスループットを高めるため、各計測領域において最適な観察方向でなくとも、比較的良好な感度および近似であり、かつ代表的・効果的な観察方向を選択することにより撮像枚数を減らし、スループットを高めるような撮像計画も考慮しうる。
【0043】
また、領域決定部を構成するセグメンテーション計画部1522または撮像計画部1521は、被計測対象パターン上の傾斜角変化への感度が低い領域(平坦部領域)a、c1を、集束電子ビームを基準入射角φ(d0)で入射して走査することによって検出される基準となる2次電子画像I(d0)内における2次電子信号量に基に判断して決定し、チルト像取得部である撮像計画部1521は、上記決定された前記領域a、c1については上記基準入射角φ(d0)に対して所定の角度チルトさせた入射角φ(2)で集束電子ビームを少なくとも上記領域a、c1に対して入射して走査することによって発生する2次電子信号量を検出して撮像される領域のチルト2次電子画像を含むチルト2次電子画像I(2)を取得し、形状計測部は、上記取得された領域のチルト2次電子画像内の各座標点での2次電子信号量を基に、上記領域における各座標点における勾配を推定して算出し、該算出された各座標点における勾配推定値を順次積分することによって上記領域の立体形状S2a、S2cの計測を行う。
【0044】
なお、上述の如く、電子ビームの入射方向φ(2)から凸状パターンに対して照射した場合、凸状パターンが影となり、平坦部の領域c2には照射されないので、ほぼ対称なる方向から電子ビームを入射させる必要がある。
【0045】
図8(a)には、一例として同図中に示すパタン高さ(断面プロファイル)について側壁領域b1に対して感度を高くした入射方向φ(1)(0度付近)から電子ビームを照射した際、2次電子検出器9から検出される2次電子(SE)信号量を上記(2)式を用いて推定した結果を示す。図8(b)には、同図中に示す40度チルトさせた図8(a)と同じパタンについて平坦部領域a、c1、c2に対して感度を高くした入射方向φ(2)(40度付近)から電子ビームを照射した際、2次電子検出器9から検出される2次電子(SE)信号量を上記(2)式を用いて推定した結果を示す。
【0046】
なお、予め、上記(1)式または(2)式で近似できる図4に示す如く側壁傾斜角θと2次電子信号量δ(θ)との関係(上記(1)式の近似式の場合はδの値、上記(2)式の近似式の場合はkIの値およびnの値)を、被計測対象パターンの材質等の種類(反射率等が異なる)に合わせて製造された既知の形状のテストパターン(図3に示す)等を用いて計測して記憶装置19に記憶しておくことが必要となる。即ち、予め、図4に示す如く側壁傾斜角θと2次電子信号量δ(θ)との関係を、被計測対象パターンの材質等の種類に応じて学習しながら評価(計測)して、記憶装置19に記憶しておく。このように、学習に基づいて評価しておくことによって、勾配算出部1523は、2次電子検出器9によって検出される2次電子信号量δ(θ)から、図4に示す傾斜角変化に対する2次電子検出感度が高い領域(側壁傾斜角θが30度近傍〜70度近傍)における側壁傾斜角θと2次電子信号量δ(θ)との関係(上記(1)式若しくは上記(2)式の近似式でもよい。)に従って、ビーム入射方向に対する側壁傾斜角で示される勾配が高精度に算出できることになる。
【0047】
次に、勾配算出部1523は、画像メモリ151に記憶された2次電子画像I(1)から、記憶装置19に記憶された図4に示す関係(上記(1)式若しくは(2)式の近似式でもよい。)に基づいて逆算出して入射方向φ(1)に対する側壁傾斜角θで示される勾配(表面傾斜角)を算出して必要に応じて記憶装置19または画像メモリ151に記憶する。そして、形状算出部1524は、上記勾配算出部1523で算出された勾配(表面傾斜角)を断面方向(例えばx方向)に積分していくことによって実線で示す3次元形状プロファイルS1が計測されて記憶装置19または画像メモリ151に記憶される(S531)。
【0048】
さらに、勾配算出部1523は、画像メモリ151に記憶された2次電子画像I(2)から、記憶装置19に記憶された図4に示す関係(上記(1)式若しくは(2)式の近似式でもよい。)に基づいて逆算出して入射方向φ(2)に対する側壁傾斜角θで示される勾配(表面傾斜角)を算出して必要に応じて記憶装置19または画像メモリ151に記憶する。そして、形状算出部1524は、上記勾配算出部1523で算出された勾配(表面傾斜角)を断面方向(例えばx方向)に積分していくことによって実線で示す3次元形状プロファイルS2が計測されて記憶装置19または画像メモリ151に記憶される(S532)。
【0049】
なお、形状算出部1524は、勾配を積分していく際、側壁面の傾き方向(正負)が必要となる。しかし、記憶装置19には、セグメンテーション計画部1522で推定された大まかな3次元プロファイルである側壁面の傾き方向(正負)が記憶されているので、これを用いることによって、勾配の正負が分かり、勾配を積分していくことが可能となる。
【0050】
また、各入射方向φ(1)、φ(2)での勾配を積分していって3次元形状プロファイルS1、S2を計測するのを勾配算出部1523で実行してもよい。
【0051】
次に、形状算出部1524は、記憶装置19または画像メモリ151に記憶された3次元形状プロファイルS1;S2に対してセグメンテーション計画に従ってセグメンテーションを行い、分割されたプロファイルS1a,S1b,S1c;S2a,S2b,S2cが得られる。このとき、プロファイルS1b、並びにプロファイルS2a及びS2cは感度が高く検出されていることは、セグメンテーション計画から分かっている。
【0052】
そのため、形状算出部1524は、感度が高く検出されているプロファイルS1bの両端の各々に、プロファイルS2a及びS2cを上記入射方向φ(1)と上記入射方向φ(2)との間の入射角度の変化に応じて回転させてつなぎ合わせることによって被計測対象パターンの3次元プロファイルが高精度に計測できることになり、GUI画面等に出力することが可能となる(S55)。出力の仕方としては、記録媒体に記録して出力すること可能であり、またネットワークを介して他の装置に出力することも可能である。
【0053】
図9(a)は、電子ビームの入射方向φ(1)のとき検出される2次電子画像I(1)および電子ビームの入射方向φ(2)のとき検出される2次電子画像I(2)を表示し、それぞれの2次電子画像から計測されたプロファイルS1、S2を表示し、つなぎ合わせた(統合した)被計測対象パターンの3次元プロファイルS2a−S1b−S2cを表示したGUI画面を示す図である。図9(a)に示すように、異なるチルト角で撮像したチルト画像群、及び前記チルト画像群からそれぞれ推定したプロファイル計測結果群の二次元あるいは三次元表示、及び前記プロファイル計測結果群をつなぎ合わせた統合プロファイル計測結果の二次元あるいは三次元表示、及び前記つなぎ合わせ個所の位置表示の一部又は全てを同一GUI画面上に並べて表示できることを特徴とする。図9(b)は、つなぎ合わせた被計測対象パターンの3次元プロファイルS2a−S1b−S2cを示す斜視図である。
【0054】
勿論、つなぎ合わせる必要がない場合には、つなぎ合わせる前の個々のプロファイルS2a、S1b、S2cをGUI画面等に出力すればよい。
【0055】
以上説明したように、第1の実施の形態は、傾斜角変化に対して感度が低い領域(平坦部領域)a、c1については、観察方向φ(2)から取得されるチルト像(チルト2次電子画像)I(2)を用いて勾配(表面傾斜角)を推定し、該推定された勾配推定値(表面傾斜角推定値)を積分することによって立体形状S2a、S2cの計測を行うことで高精度な3次元プロファイル(立体形状)の計測を可能にすることに特徴がある。
【0056】
また、第1の実施の形態は、傾斜角変化への感度が低い領域(平坦部領域)a、c1を、基準入射角φ(d0)で取得される基準となる2次電子画像I(d0)内における2次電子信号量により判断し、その領域a、c1に関しては他のチルト角φ(2)により得られたチルト像(チルト2次電子画像)I(2)を用いて勾配(表面傾斜角)を推定し、該推定された勾配推定値(表面傾斜角推定値)を積分することによって3次元プロファイル(立体形状)S2a、S2cの計測を行うことに特徴がある。
【0057】
また、第1の実施の形態は、観察方向φ(2)として、相対的に試料に対する電子ビームの入射角度をφ(d0)〜φ(d4)に振って感度および近似の良い2次電子信号量が得られる方向に決めることに特徴がある。
【0058】
また、第1の実施の形態は、試料に対して電子ビームをチルトさせて入射させ、明部の幅の広がりにより、傾き方向が分かり、3次元形状の正負を推定することに特徴がある。これによって高感度の2次電子画像を基に算出された勾配の正負が分かり、勾配を積分していって3次元プロファイル(立体形状)を高精度に計測することが可能となる。
【0059】
また、第1の実施の形態は、電子ビームの入射角度をφ(d0)〜φ(d4)に変えた複数のチルト像I(d0)〜I(d4)を撮像し、平坦な部分については明るくなる方(例えば図4において感度および近似の良い領域(C)の下限付近)の画像I(2)を用いて3次元プロファイルS2a、S2cを推定して計測し、エッジ部分(側壁面部分)については暗くなる方(例えば図4において感度および近似の良い領域(C)の上限付近)の画像I(1)を用いて3次元プロファイルS1bを推定して計測することに特徴がある。
【0060】
次に、第2の実施の形態について図10等を用いて説明する。第2の実施の形態における第1の実施の形態との相違点は、処理・制御部15内のCPU152の撮像計画部1521において、例えば、記録媒体やネットワーク等の入力手段23を用いて入力されて記憶装置19に記憶されている設計情報101に基づく試料上に形成された被計測対象パターンの断面形状モデルに基づいて、傾斜角変化に対して感度が高くし、かつ実際の関係に対しモデル式の近似を良くした方向である電子ビームの入射方向(撮像方向)φ(1)、φ(2)を決め、チルト制御量を求めて撮像計画を立てる(S101)。電子ビームの入射方向φ(1)は、側壁面領域b1,b2に対して感度が高い垂直方向に近い方向となる。電子ビームの入射方向φ(2)は、平坦部に近い領域a、c1、c2に対して感度が高い垂直方向からチルトさせた方向となる。
【0061】
観察方向を決定する手掛かりとして用いる断面形状モデルは、(1)設計情報あるいは事前知識、(2)概略計測結果などにより与えられる。
【0062】
(1)の設計情報および事前知識について説明する。設計情報に対して実際に形成されたパタン形状には誤差が含まれることが予想されるものの、設計情報と実際のパタンとの類似度が高いことが期待でき、図4に示す感度および近似の良い傾斜角の領域にはある程度の範囲があるため、各測定点における対象表面の勾配推定および観察方向の決定に設計情報を用いることは有益である。また、事前知識として例えばラインアンドスペースのパタンを観測していることが分かれば、図7に示される観察像I(d0)、I(d1)から、領域71、75は下地部、領域72、74は側壁部、領域73はパタン上面部であると推測してセグメンテーションすることができ、さらに設計情報や過去に形成したパタン形状のばらつき量と照らし合わせることにより、図6に示す下地部81、85およびパタン上面部83は0±Δ度の勾配、側壁部82、84は90±Δ90度の勾配であるというように幅をもって勾配を推測することができる。また、例えば右側の側壁と下地の境界である裾引き部86は0〜90度の勾配が含まれることが予想されるので、例えばトップダウンに近い観察方向(チルト角30度付近)と急傾斜方向(70度付近)の2方向から観察し、対象表面の勾配の詳細情報を得て、さらに正確かつ細かいセグメンテーションを行い、必要に応じてチルト角を変更して再撮像を行うなどのシーケンスが考えられる。
【0063】
(2)の概略計測結果について説明する。例えば、トップダウン方向で与えられる基準入射角によって撮像したSE像から対象表面の概略勾配値を推定し、前記勾配値から、各測定点における観察方向の決定を行う。(1)と同様、最適化された観察方向からの観察像により推定された勾配値に対し、前記概略勾配値にはより大きな誤差が含まれることが予想されるが、図4に示す感度および近似の良い傾斜角の領域はある程度の範囲があるため、大まかな観察方向の決定に際して概略勾配値を用いることは有益である。
【0064】
また、CPU152内のセグメンテーション計画部1522は、記憶装置19に記憶されている設計情報101に基づく試料上に形成された被計測対象パターンの断面形状モデルと、撮像計画部1521で計画したチルト制御量(電子ビームの入射方向である観察方向(撮像方向))とに基づいて、各電子ビームの入射方向φ(1)、φ(2)に応じて形状計測された3次元プロファイルS1、S2に対して感度の低い領域を抽出するようにセグメンテーションの計画を立てて記憶装置19に記憶させることが可能である(S54)。勿論、セグメンテーション計画部1522は、ステップS521で得られる2次電子画像I(1)またはステップS522で得られる2次電子画像I(2)を基に、形状計測された3次元プロファイルS1、S2に対して感度の低い領域を抽出するようにセグメンテーションの計画を立てることも可能である。
【0065】
以上説明したように、第2の実施の形態は、予め、断面形状モデル(設計情報)を使って撮像計画である観察方向を決めることに特徴がある。また、第2の実施の形態は、予め、断面形状モデル(設計情報)を使って撮像計画である観察方向とセグメンテーションの計画とを立てることに特徴がある。
【0066】
以上説明した第1及び第2の実施の形態によれば、SEM画像からライン幅やコンタクトホールなどの3次元プロファイル計測を高精度に行い、プロセス変動の検知およびプロセス制御を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係るSEMによる立体形状計測装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図2】半導体ウェーハ上から放出される電子の信号量を画像化する方法を示す図である。
【図3】本発明に係る傾斜角度θに依存する2次電子放出量の関係を説明するための図である。
【図4】本発明に係るある撮像条件での側壁傾斜角θ(度)と2次電子信号量との実験データを示す図である。
【図5】本発明に係る被計測対象パターンの立体形状を計測する第1の実施の形態を説明するための図である。
【図6】本発明に係る第1の実施の形態において集束電子ビームを入射角が変化するように相対的に観察点を中心に振る(チルトさせる)ことの説明図である。
【図7】図6に示すように集束電子ビームを振った際、検出される2次電子画像の変化を示す図である。
【図8】本発明に係るチルト角0度付近とチルト角40度付近とにおけるパターン高さとSE信号量との関係を示す図である。
【図9】本発明に係る入射角φ(1)が0.0度のとき、および入射角φ(2)が40.0度とき取得されるチルト2次電子画像と、該チルト2次電子画像を基に算出される3次元プロファイルS1、S2と、セグメンテーションして感度の高い部分S2a−S1b−S2cをつなぎ合わされた3次元プロファイルとをGUI画面に表示した実施例を示す図と、実際に統合された3次元プロファイルを示す斜視図である。
【図10】本発明に係る被計測対象パターンの立体形状を計測する第2の実施の形態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0068】
1…半導体ウエハ(試料)、2…電子光学系、3…電子銃、4…1次電子、5…コンデンサレンズ、6…偏向器、7…ExB偏向器、8…対物レンズ、9…2次電子検出器、10、11…反射電子検出器、12〜14…A/D変換器、15…処理・制御部、16…ディスプレイ(GUI画面)、17…ステージ、18…ステージチルト角、19…記憶装置、20…ステージコントローラ、21…偏向制御部、22…焦点制御部、23…入力手段、151…画像メモリ、152…CPU、1521…撮像計画部(チルト像取得部、選択部)、1522…セグメンテーション計画部(領域決定部)、1523…勾配算出部、1524…形状算出部(統合部)、31〜36…集束電子線の入射方向、37…試料表面、38…画像座標系、39…画像、50…被計測対象パターン、101…設計情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SEMによって2次電子画像に基づいて被計測対象パターンの3次元形状を推定して立体形状を計測する方法であって、
前記被計測対象パターン上の、傾斜角変化に対する2次電子信号の感度または実際の関係に対し傾斜角−2次電子信号量の関係モデルの近似が悪い領域に対して、感度および近似の良いチルト2次電子画像が得られる観察方向から集束電子ビームを少なくとも前記領域に対して入射して走査することによって発生する2次電子信号量を検出して撮像される前記領域のチルト2次電子画像を取得するチルト像取得ステップと、
該チルト像取得ステップで取得された領域のチルト2次電子画像内の各座標点での2次電子信号量を基に、前記領域における各座標点における勾配を推定して算出し、該算出された各座標点における勾配推定値を順次積分することによって前記領域の立体形状の計測を行う形状計測ステップとを有することを特徴とするSEMによる立体形状計測方法。
【請求項2】
SEMによって2次電子画像に基づいて被計測対象パターンの3次元形状を推定して立体形状を計測する方法であって、
前記被計測対象パターン上の、傾斜角変化に対する2次電子信号の感度または実際の関係に対し傾斜角−2次電子信号量の関係モデルの近似が悪い領域を決定する領域決定ステップと、
該領域決定ステップで決定した領域に対して、感度および近似の良いチルト2次電子画像が得られる観察方向から集束電子ビームを前記被計測対象パターンに対して入射して走査することによって発生する2次電子信号量を検出して撮像されるチルト2次電子画像を取得するチルト像取得ステップと、
該チルト像取得ステップで取得されたチルト2次電子画像内の各座標点での2次電子信号量を基に、前記各座標点における勾配を推定して算出し、該算出された各座標点における勾配推定値を順次積分することによって被計測対象パターンの立体形状の計測を行う形状計測ステップと、
該形状計測ステップで計測された被計測対象パターンの立体形状から前記領域決定ステップで決定された領域の座標および前記観察方向に基づいて前記領域における立体形状を抽出する抽出ステップとを有することを特徴とするSEMによる立体形状計測方法。
【請求項3】
SEMによって2次電子画像に基づいて被計測対象パターンの3次元形状を推定して立体形状を計測する方法であって、
前記被計測対象パターン上の、傾斜角変化に対する2次電子信号の感度または実際の関係に対し傾斜角−2次電子信号量の関係モデルの近似が悪い領域を、集束電子ビームを基準入射角で入射して走査することによって検出される基準となる2次電子画像内における2次電子信号量に基に判断して決定する領域決定ステップと、
該領域決定ステップで決定された前記領域については前記基準入射角に対してチルトさせた入射角で集束電子ビームを少なくとも前記領域に対して入射して走査することによって発生する2次電子信号量を検出して撮像される領域のチルト2次電子画像を取得するチルト像取得ステップと、
該チルト像取得ステップで取得された領域のチルト2次電子画像内の各座標点での2次電子信号量を基に、前記領域における各座標点における勾配を推定して算出し、該算出された各座標点における勾配推定値を順次積分することによって前記領域の立体形状の計測を行う形状計測ステップとを有することを特徴とするSEMによる立体形状計測方法。
【請求項4】
前記チルト像取得ステップにおいて、前記領域に対して相対的に前記集束電子ビームの入射角を変化させて前記集束電子ビームを少なくとも前記領域に入射して走査することによって発生する2次電子信号量の変化を検出し、該検出される2次電子信号量の変化を基に、前記観察方向を決めるステップを含むことを特徴とする請求項1又は2記載のSEMによる立体形状計測方法。
【請求項5】
前記チルト像取得ステップにおいて、前記観察方向を、被計測対象パターンの断面形状モデルを用いて決めるステップを含むことを特徴とする請求項1又は2記載のSEMによる立体形状計測方法。
【請求項6】
SEMによって2次電子画像に基づいて被計測対象パターンの3次元形状を推定して立体形状を計測する方法であって、
前記被計測対象パターン上の、傾斜角変化に対する2次電子信号の感度または実際の関係に対し傾斜角−2次電子信号量の関係モデルの近似が悪い領域に対して、相対的に集束電子ビームの入射角を変化させて前記集束電子ビームを少なくとも前記領域に対して入射して走査することによって発生する複数の2次電子信号量を検出して撮像される複数の領域のチルト2次電子画像を取得するチルト像取得ステップと、
該チルト像取得ステップで取得された複数の領域のチルト2次電子画像の内、感度および近似の良い領域のチルト2次電子画像を選択する選択ステップと、
該選択ステップで選択された領域のチルト2次電子画像内の各座標点での2次電子信号量を基に、前記領域における各座標点における勾配を推定して算出し、該算出された各座標点における勾配推定値を順次積分することによって前記領域の立体形状の計測を行う形状計測ステップとを有することを特徴とするSEMによる立体形状計測方法。
【請求項7】
SEMによって2次電子画像に基づいて被計測対象パターンの3次元形状を推定して立体形状を計測する方法であって、
前記被計測対象パターン上の、傾斜角変化に対する2次電子信号の感度または実際の関係に対し傾斜角−2次電子信号量の関係モデルの近似が悪い領域を決定する領域決定ステップと、
該領域決定ステップで決定した領域に対して、相対的に集束電子ビームの入射角を変化させて前記集束電子ビームを前記被計測対象パターンに対して入射して走査することによって発生する複数の2次電子信号量を検出して撮像される複数のチルト2次電子画像を取得するチルト像取得ステップと、
該チルト像取得ステップで取得された複数のチルト2次電子画像の内、前記領域決定ステップで決定された領域において感度および近似の良いチルト2次電子画像および該チルト2次電子画像が得られる観察方向を選択する選択ステップと、
該選択ステップで選択されたチルト2次電子画像内の各座標点での2次電子信号量を基に、前記領域における各座標点における勾配を推定して算出し、該算出された各座標点における勾配推定値を順次積分することによって前記被計測対象パターンの立体形状の計測を行う形状計測ステップと、
該形状計測ステップで計測された被計測対象パターンの立体形状から前記領域決定ステップで決定された領域の座標および前記観察方向に基づいて前記領域における立体形状を抽出する抽出ステップとを有することを特徴とするSEMによる立体形状計測方法。
【請求項8】
前記領域決定ステップにおいて、前記領域を、被計測対象パターンの断面形状モデルを用いて決定するステップを含むことを特徴とする請求項2又は7記載のSEMによる立体形状計測方法。
【請求項9】
前記形状計測ステップにおいて、前記領域における各座標点での2次電子信号量を基に、前記領域における各座標点での勾配を推定して算出する際、予め学習によって評価された側壁傾斜角と2次電子信号量との関係を用いることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一つに記載のSEMによる立体形状計測方法。
【請求項10】
前記形状計測ステップにおいて、前記被計測対象パターンに対して相対的に前記集束電子ビームの入射角を変化させて前記集束電子ビームを前記被計測対象パターンに入射して走査することによって該被計測対象パターンから発生する2次電子信号量に基づく2次電子画像の変化を検出し、該検出される2次電子画像の変化に基づいて少なくとも前記被計測対象パターンの傾き方向の正負を判別し、該判別された被計測対象パターンの傾き方向の正負に従って前記各座標点における勾配推定値を順次積分していくステップを含むことを特徴とする請求項1乃至9の何れか一つに記載のSEMによる立体形状計測方法。
【請求項11】
SEMによって2次電子画像に基づいて被計測対象パターンの3次元形状を推定して立体形状を計測する方法であって、
前記被計測対象パターン上における第1の領域と第2の領域とを決定する領域決定ステップと、
該領域決定ステップによって決定された第1の領域に対して、感度および近似の良いチルト2次電子画像が得られる第1の観察方向から集束電子ビームを前記被計測対象パターンに対して入射して走査することによって該被計測対象パターンから発生する2次電子信号量を検出して撮像される第1の領域のチルト2次電子画像を取得し、該取得された第1の領域のチルト2次電子画像を用いて前記第1の観察方向からの被計測対象パターンの立体形状の計測を行う第1の形状計測ステップと、
前記領域決定ステップによって決定された第2の領域に対して、感度および近似の良いチルト2次電子画像が得られる第2の観察方向から集束電子ビームを前記被計測対象パターンに対して入射して走査することによって該被計測対象パターンから発生する2次電子信号量を検出して撮像される第2の領域のチルト2次電子画像を取得し、該取得された第2の領域のチルト2次電子画像を用いて前記第2の観察方向からの被計測対象パターンの立体形状の計測を行う第2の形状計測ステップと、
前記第1の形状計測ステップで計測された第1の観察方向からの被計測対象パターンの立体形状から前記領域決定ステップで決定された第1の領域の座標および前記第1の観察方向に基づいて前記第1の領域における立体形状を抽出し、前記第2の形状計測ステップで計測された第2の観察方向からの被計測対象パターンの立体形状から前記領域決定ステップで決定された第2の領域の座標および前記第2の観察方向に基づいて前記第2の領域における立体形状を抽出する抽出ステップと、
該抽出ステップで抽出された第1の領域における立体形状と第2の領域における立体形状とを統合して被計測対象パターンの立体形状の計測を行う統合ステップとを有することを特徴とするSEMによる立体形状計測方法。
【請求項12】
前記感度および近似の良いチルト2次電子画像とは、傾斜角変化に対する2次電子信号量が大きく、かつ実際の関係に対し傾斜角−2次電子信号量の関係モデルがよく近似している画素値をもつチルト2次電子画像であることを特徴とする請求項1又は2又は6又は7又は11記載のSEMによる立体形状計測方法。
【請求項13】
SEMによって2次電子画像に基づいて被計測対象パターンの3次元形状を推定して立体形状を計測する装置であって、
前記被計測対象パターン上の、傾斜角変化に対する2次電子信号の感度または実際の関係に対し傾斜角−2次電子信号量の関係モデルの近似が悪い領域に対して、感度および近似の良いチルト2次電子画像が得られる観察方向から集束電子ビームを少なくとも前記領域に対して入射して走査することによって発生する2次電子信号量を検出して撮像される前記領域のチルト2次電子画像を取得するチルト像取得部と、
該チルト像取得部で取得された領域のチルト2次電子画像内の各座標点での2次電子信号量を基に、前記領域における各座標点における勾配を推定して算出し、該算出された各座標点における勾配推定値を順次積分することによって前記領域の立体形状の計測を行う形状計測部とを備えたことを特徴とするSEMによる立体形状計測装置。
【請求項14】
SEMによって2次電子画像に基づいて被計測対象パターンの3次元形状を推定して立体形状を計測する装置であって、
前記被計測対象パターン上の、傾斜角変化に対する2次電子信号の感度または実際の関係に対し傾斜角−2次電子信号量の関係モデルの近似が悪い領域を決定する領域決定部と、
該領域決定部で決定した領域に対して、感度および近似の良いチルト2次電子画像が得られる観察方向から集束電子ビームを前記被計測対象パターンに対して入射して走査することによって発生する2次電子信号量を検出して撮像されるチルト2次電子画像を取得するチルト像取得部と、
該チルト像取得部で取得されたチルト2次電子画像内の各座標点での2次電子信号量を基に、前記各座標点における勾配を推定して算出し、該算出された各座標点における勾配推定値を順次積分することによって被計測対象パターンの立体形状の計測を行う形状計測部と、
該形状計測部で計測された被計測対象パターンの立体形状から前記領域決定部で決定された領域の座標および前記観察方向に基づいて前記領域における立体形状を抽出する抽出部とを備えたことを特徴とするSEMによる立体形状計測装置。
【請求項15】
SEMによって2次電子画像に基づいて被計測対象パターンの3次元形状を推定して立体形状を計測する装置であって、
前記被計測対象パターン上の、傾斜角変化に対する2次電子信号の感度または実際の関係に対し傾斜角−2次電子信号量の関係モデルの近似が悪い領域を、集束電子ビームを基準入射角で入射して走査することによって検出される基準となる2次電子画像内における2次電子信号量に基に判断して決定する領域決定部と、
該領域決定部で決定された前記領域については前記基準入射角に対してチルトさせた入射角で集束電子ビームを少なくとも前記領域に対して入射して走査することによって発生する2次電子信号量を検出して撮像される領域のチルト2次電子画像を取得するチルト像取得部と、
該チルト像取得部で取得された領域のチルト2次電子画像内の各座標点での2次電子信号量を基に、前記領域における各座標点における勾配を推定して算出し、該算出された各座標点における勾配推定値を順次積分することによって前記領域の立体形状の計測を行う形状計測部とを備えたことを特徴とするSEMによる立体形状計測装置。
【請求項16】
前記チルト像取得部において、前記領域に対して相対的に前記集束電子ビームの入射角を変化させて前記集束電子ビームを少なくとも前記領域に入射して走査することによって発生する2次電子信号量の変化を検出し、該検出される2次電子信号量の変化を基に、前記観察方向を決める撮像計画部を有することを特徴とする請求項13又は14記載のSEMによる立体形状計測装置。
【請求項17】
前記チルト像取得部において、前記観察方向を、被計測対象パターンの断面形状モデルを用いて決める撮像計画部を有することを特徴とする請求項13又は14記載のSEMによる立体形状計測装置。
【請求項18】
SEMによって2次電子画像に基づいて被計測対象パターンの3次元形状を推定して立体形状を計測する装置であって、
前記被計測対象パターン上の、傾斜角変化に対する2次電子信号の感度または実際の関係に対し傾斜角−2次電子信号量の関係モデルの近似が悪い領域に対して、相対的に集束電子ビームの入射角を変化させて前記集束電子ビームを少なくとも前記所定の領域に対して入射して走査することによって発生する複数の2次電子信号量を検出して撮像される複数の領域のチルト2次電子画像を取得するチルト像取得部と、
該チルト像取得部で取得された複数の領域のチルト2次電子画像の内、感度および近似の良い領域のチルト2次電子画像を選択する選択部と、
該選択部で選択された領域のチルト2次電子画像内の各座標点での2次電子信号量を基に、前記領域における各座標点における勾配を推定して算出し、該算出された各座標点における勾配推定値を順次積分することによって前記領域の立体形状の計測を行う形状計測部とを備えたことを特徴とするSEMによる立体形状計測装置。
【請求項19】
SEMによって2次電子画像に基づいて被計測対象パターンの3次元形状を推定して立体形状を計測する装置であって、
前記被計測対象パターン上の、傾斜角変化に対する2次電子信号の感度または実際の関係に対し傾斜角−2次電子信号量の関係モデルの近似が悪い領域を決定する領域決定部と、
該領域決定部で決定した領域に対して、相対的に集束電子ビームの入射角を変化させて前記集束電子ビームを前記被計測対象パターンに対して入射して走査することによって発生する複数の2次電子信号量を検出して撮像される複数のチルト2次電子画像を取得するチルト像取得部と、
該チルト像取得部で取得された複数のチルト2次電子画像の内、前記領域決定部で決定された領域において感度および近似の良いチルト2次電子画像および該チルト2次電子画像が得られる観察方向を選択する選択部と、
該選択部で選択されたチルト2次電子画像内の各座標点での2次電子信号量を基に、前記領域における各座標点における勾配を推定して算出し、該算出された各座標点における勾配推定値を順次積分することによって前記被計測対象パターンの立体形状の計測を行う形状計測部と、
該形状計測部で計測された被計測対象パターンの立体形状から前記領域決定部で決定された領域の座標および前記観察方向に基づいて前記領域における立体形状を抽出する抽出部とを備えたことを特徴とするSEMによる立体形状計測装置。
【請求項20】
前記形状計測部において、前記領域における各座標点での2次電子信号量を基に、前記領域における各座標点での勾配を推定して算出する際、予め学習によって評価された側壁傾斜角と2次電子信号量との関係を用いることを特徴とする請求項13乃至19の何れか一つに記載のSEMによる立体形状計測装置。
【請求項21】
SEMによって2次電子画像に基づいて被計測対象パターンの3次元形状を推定して立体形状を計測する装置であって、
前記被計測対象パターン上における第1の領域と第2の領域とを決定する領域決定部と、
該領域決定部によって決定された第1の領域に対して、感度および近似の良いチルト2次電子画像が得られる第1の観察方向から集束電子ビームを前記被計測対象パターンに対して入射して走査することによって発生する2次電子信号量を検出して撮像される第1の領域のチルト2次電子画像を取得し、該取得された第1の領域のチルト2次電子画像を用いて前記第1の観察方向からの被計測対象パターンの立体形状の計測を行う第1の形状計測部と、
前記領域決定部によって決定された第2の領域に対して、感度および近似の良いチルト2次電子画像が得られる第2の観察方向から集束電子ビームを前記被計測対象パターンに対して入射して走査することによって発生する2次電子信号量を検出して撮像される第2の領域のチルト2次電子画像を取得し、該取得された第2の領域のチルト2次電子画像を用いて前記第2の観察方向からの被計測対象パターンの立体形状の計測を行う第2の形状計測部と、
前記第1の形状計測部で計測された第1の観察方向からの被計測対象パターンの立体形状から前記領域決定部で決定された第1の領域の座標および前記第1の観察方向に基づいて前記第1の領域における立体形状を抽出し、前記第2の形状計測部で計測された第2の観察方向からの被計測対象パターンの立体形状から前記領域決定部で決定された第2の領域の座標および前記第2の観察方向に基づいて前記第2の領域における立体形状を抽出する抽出部と、
該抽出部で抽出された第1の領域における立体形状と第2の領域における立体形状とを統合して被計測対象パターンの立体形状の計測を行う統合部とを有することを特徴とするSEMによる立体形状計測装置。
【請求項22】
前記感度および近似の良いチルト2次電子画像とは、傾斜角変化に対する2次電子信号量が大きく、かつ実際の関係に対し傾斜角−2次電子信号量の関係モデルがよく近似している画素値をもつチルト2次電子画像であることを特徴とする請求項13又は14又は18又は19又は21記載のSEMによる立体形状計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−10375(P2006−10375A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−184682(P2004−184682)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】