説明

SIPハンドオーバー時に割り当てられた資源を開放する方法

SIPハンドオーバー時に割り当てられた資源を開放する方法であって、移動体通信が第1のリンクから第2のリンクにハンドオーバーされたとき、可能な限り早く資源を手放すために、第1のリンクに割り当てられた資源の開放が、リフレッシュコマンドが時間切れになるのを待つよりも、移動体ノードによるACK信号の生成に応答して開始される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体通信に関し、特にセッションイニシエーションプロトコル(SIP)を使用してハンドオーバーが完了した後のネットワーク資源の開放に関する。
【背景技術】
【0002】
図1を参照すると、デュアルモードWLAN(ワイヤレスローカルエリアネットワーク)−UMTS(ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションズシステム)移動体ノード(MN)ワイヤレス端末は、WLANおよびUMTSネットワークの両方にIP(インターネットプロトコル)接続性を持つ。ネットワークへのIP接続性は、端末の特定の物理インタフェースが、ネットワークにより使用されるプレフィックスから導かれるIPアドレスと関連するという意味を持つ。IPアドレスは、自動コンフィギュレーションにより獲得されるか、または、DHCP(ダイナミックホストコンフィギュレーションプロトコル)などのネットワークエレメントの助けを借りて獲得される。図ではIP1およびIP2は、各々WLANおよびUMTSネットワークを経由してMNに到達するために使用されるIPアドレスを示す。
【0003】
SIP(セッションイニシエーションプロトコル、インターナショナルエンジニアリングタスクフォース(IETF)RFC3261)信号伝達プロトコルを使用して、実線で示されるメディアパスが、発呼者のネットワークの対応するノード(CN)と、インターネットおよびWLANネットワーク経由のMNワイヤレス端末との間で、確立される。メディアパスは、例えば、インターネット電話(VoIP)、マルチメディア配信、およびマルチメディア会議に関連するデータパケットを送るために使用できる。最初は、このメディアパスの最後の行程は、WLANネットワークを通る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
移動できる理由または他の理由のために、CNからMNまでWLANを通って確立されたメディアパスの品質は、MNがWLANネットワークから離れる方向に移動すると、悪化する。MNにより使用され、チャネル品質の悪化を検出する1つの可能なメトリックは、レイヤ2(L2)信号強度であってもよい。これらの状況下で、有利なのは、CNおよびMNの間のメディアパスを維持するために、MNが、WLANから代わりの使用可能なネットワークへハンドオーバーを試みることである。図1に示された代わりのネットワークは、UMTSネットワークである。また可能であるのは、MN自体が、日中のある時間、安い通話料金を提供する代わりのネットワーク等の知識またはイベントに応答してハンドオーバーを開始できることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
インターネットプロトコル(IP)にしたがって動作する一般的な通信リンクに与えられるデフォルトのサービス品質(QoS)はベストエフォートと呼ばれ、ネットワークエレメントが、どのような優先もなく先着順でIPパケットを転送する。SIPを備えたVoIP等のリアルタイムアプリケーションに関して、典型的には、図1に示されているWLANおよび発呼者のネットワークエッジルータ(ER)などのトラフィック集中地点において、あるネットワーク帯域幅が予約されねばならず、それを保証するために、IPパケットに関連するVoIPが、十分なVoIP接続を維持するために必要な遅延およびジッター(パケット間遅延)と共に転送できる。IP電話に関するQoSを確立するさらなる詳細は、米国特許出願第2002041590号および国際公開第WO02/078289号により得られる。
【0006】
WLANネットワーク内のリアルタイムサービス用に取っておく限られたER帯域幅は、SIPコンフィギュレーションプロセス(RFC3312)によりWLANサービスとネゴシエートしようとする新しいユーザを受け付けるか/受け付けないかを決定するWLAN QoSマネージャの制御下にある。次に、ユーザに関してQoSマネージャにより定式化される受け付けおよびパケット転送ポリシーは、ERにより実施される。
【0007】
QoSマネージャの1つのタスクは、限られたERリアルタイム帯域幅の割り当てを制御して、追加のユーザがWLANネットワークに加わることにより、現行のWLANユーザが、QoSの低下を経験しないことを保証することである。
【0008】
さらに、一旦VoIP通話が終わりになると、またはVoIP通話の継続中にWLANネットワークから新しいネットワークにMNが移動すると、QoSマネージャは、割り当てられたWLANネットワーク資源を開放せねばならない。米国特許出願2002041590は、SIP BYEメッセージを信号で送ることにより、通話の終了に際して、資源が開放される前記の問題を解決する努力をしている。本発明は、資源の開放をトリガする現在のネットワークで単に通話を終了するよりも、MNが新しいネットワークに移動する場合の問題を解決する努力をする。このハンドオーバーのシナリオでは、再度、RFC3312で要点をまとめられているようにネゴシエートするQoSにより、通話は新しいネットワークで継続するので、SIP BYEメッセージは生成されない。ハンドオーバー手順が完了した後で、MNに割り当てられたWLAN資源の適時の開放が、限られたWLANネットワーク資源の最適使用を保証するのに必要となる。
【0009】
通常、あるタイプのリフレッシュ命令がこれらの資源を利用して継続するのに必要なあらかじめ決められたタイムアウト時間と、ネットワーク上の予約された資源とを関連付ける。リフレッシュされないと、資源はタイムアウト時間の経過により開放される。本発明は、単純にタイムアウト時間が経過するのを待つよりも、予約された資源の開放をハンドオーバー処理と同期化する。これは、少ないネットワーク資源のより有効利用につながる。
【0010】
ハンドオーバー処理を資源の開放と同期化する例は、従来技術、特に国際公開第WO03/021977号および欧州特許第EP1331832号の中に見つかるけれども、これらの参照文献の内容は本発明から区別される。国際公開第03/021977は、2つのサテライト受信可能領域の間のシングルモードの空中のMNのハンドオーバーを考慮している。ハンドオーバーの完了に際して、MNは、第2の領域の受信可能領域内に収まる地上局に信号を送り、その第2の領域において、第2の地上局が、第1の地上局に信号を送って、MNとの通信チャネルを手放させる。一様なサテライト通信システムの中の基地局を変更するシングルモードMNの異なる事情の他に、他のIPQoS開放メッセージをトリガするSIPプロトコルメッセージの介入の提案はない。
【0011】
欧州特許EP1331832は、デュアルモード端末のハンドオーバーを考慮する点で、本発明と似ているように思われ、この場合、GSMネットワークからUMTSネットワークへのGSM−UMTSデュアルモードMNのハンドオーバーである。UMTSネットワークへのハンドオーバーが完了すると、MNは、GSM無線インタフェースに関する資源のみを開放するGSM特有のメッセージを発行する。しかし、本発明では、それはMNよりもCNまたは他の通信ピアの役割であり、ハンドオーバーが完了したことを示すMNからの特定のSIPメッセージを受信すると、IP特有のQoSメッセージを送信して、無線インタフェース越しよりも、前のネットワークに存在するエッジルータなどのネットワークエレメント上で資源を開放する。したがって、本発明は、CNおよびMNの間のネットワークパスに沿った資源の解放の問題の解決の努力をすることが分かるけれども、国際公開第03/021977号および欧州特許EP1331832は、MNおよび基地局の間でネゴシエートされる無線インタフェース資源の開放に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付の図を参照して発明の実施の形態を説明し、同様な部分は、示された同様な参照番号である。
【0013】
MNのWLANからUMTSへのハンドオーバー処理は、多くの明確なステップで発生し、そのステップのタイミングは図2に示されている。次に各ステップを詳細に説明する。
【0014】
ステップ1−データパケットが、WLANネットワークによりCNとMNとの間で最初に転送される。
【0015】
ステップ2−WLANチャネル品質の悪化、または、例えば、現在のネットワークから新しい代わりのネットワークへのハンドオーバーを必要とする代わりの使用可能なネットワーク上で通話料金を下げる等のイベントに応答して、トリガが、MNにより受信または生成される。
【0016】
ステップ3−トリガに応答して、MNが、新しいUMTSネットワーク経由でCNにSIP re−inviteメッセージを送信する。MNが既にCNのIPアドレスを知っていると、MNおよびCNの間の全てのSIPメッセージは直接送信されるけれども、プロトコルはそのようなメッセージのUMTS SIP レジスタおよびプロキシサーバ経由のルーティングを許可しない。re−inviteメッセージは、MNおよびCNに継続中のSIPセッションの詳細を再ネゴシエートさせる。本発明に最も関係のあるパラメータは、ハンドオーバー完了後、CNにより使用されてデータパケットを導くMNのUMTSインタフェースのIPアドレスである。
【0017】
ステップ4−CNはSIP 200−OKメッセージを、IPアドレスの変更に同意するMNに送信する。
【0018】
ステップ5−通話信頼性目的のため、MNがSIP ACKメッセージを送信してSIP再ネゴシエーション処理を完了する。CNにおけるACKの到着は、CN用のトリガであって、新しいUMTSネットワークに関連したIPアドレスの使用を開始して、MNに到達する。
【0019】
これは、ハンドオーバーおよびデータ再ルーティングステップを完了する。CNにおいてACK信号の到着の後でWLAN資源の開放をトリガする処理は多くの明確なステップで発生し、それらのステップのタイミングは図3に示されている。次に、各ステップを詳細に説明する。
【0020】
ステップ6−ACKの到着により、CNは自身のネットワークの中のQoSマネージャに、コモンオープンポリシーサービス(Common Open Policy Service)(COPS)プロトコル[RFC2748]を使用して信号を送る。COPSは、単純なクエリーおよび応答プロトコルであって、ポリシーサーバ(ポリシーディシジョンポイント(Policy Decision Point)またはPDP)とそのクライアント(ポリシーエンフォースメントポインツ(Policy Enforcement Points)またはPEPs)との間の情報の交換に使用できる。ポリシーは、資源アクセスおよび使用の原則を定めたルールおよびサービスの組合せである。COPSでは、PEPが、PDPに、要求、更新、および削除を送信し、PDPは決定をPEPに返信する。COPSの基本メッセージフォーマットは、多くの他の事項の中で、要求(REQs)、決定(DECs)、および報告ステータス(RPTs)を含む。この発明の状況では、QoSマネージャから支援されたCNは、PEPとして、WLANルータを備えたPDPsとしてみることができる。
【0021】
ステップ7−CNからCOPS信号を受信すると、QoSマネージャは、発呼者のネットワーク信号(COPSを使用した)の中のCNをWLAN QoSマネージャに供給してMNのために割り当てられた資源を清算する。
【0022】
ステップ8−WLAN QoSマネージャは、さらにこのCOPS資源開放要求を、WLANルータへまわし、次にWLANルータは、前にMNのために割り当てられた資源を実際に開放する。
【0023】
RSVPプロトコル[RFC2205]を使用してWLAN資源が割り当てられた代わりの実施の形態では、ステップ6からステップ8は、ACKを受信するとRSVP PathTear資源開放メッセージを発するCNに置き換えることができる(図4)。この場合、(i)CNと発呼者のネットワークQoSマネージャとの間、および(ii)発呼者のネットワークQoSマネージャとWLANネットワークQoSマネージャとの間の通信をサポートするように拡張されねばならないCOPS信号伝達に依存しない。おそらく、IETFの中で現在開発中の拡張RSVPプロトコルは、図4のWLAN資源を開放するのにより適切なプロトコルである。標準RSVPプロトコルは、移動体が含まれる場合にはあまり適していない。図4に示されるRSVP PathTearメッセージは、発呼者のネットワーク内で予約された任意の資源の開放もトリガできる。拡張RSVPプロトコルは、エンドツーエンドデータパスの特定のセグメント内で資源の割り当てを変更するために開発されている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】移動体ノードと対応するノードとの間の第1および第2の通信リンクを示す概略図
【図2】2つの通信リンクの間のハンドオーバーおよびリルートデータの完了に必要な信号のフローチャートのステップ1からステップ5を示す図
【図3】COPSプロトコルを使用してMNからACK信号を受信すると、WLAN資源の開放をCNがトリガする信号のフローチャートのステップ6からステップ8を示す図
【図4】RSVPプロトコルを使用してMNからACK信号を受信すると、WLAN資源の開放をCNがトリガする信号のフローチャートのステップ6を示す図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体ノード(MN)と対応するノード(CN)との間の第1の通信リンクに割り当てられた資源を手放す方法であって、上記移動体ノードと上記対応するノードとの間の第2の通信リンクへのSIPハンドオーバーの後に、第1のネットワーク経由の第1のリンクルーティング信号および第2のネットワーク経由の第2のリンクルーティング信号が続き、上記第1の通信リンクに割り当てられた資源の開放を開始する信号が、上記MNからのACK信号の受信に応答して、生成される方法。
【請求項2】
資源の開放を開始する上記信号が、上記CNにおいて、上記ACKを受信することによりトリガされる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
資源の開放を開始する上記信号が、上記第2のネットワークのSIPプロキシサーバにおいて、上記ACKを受信することによりトリガされる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
資源の開放を開始する上記信号が上記第1のネットワークの上記QoSマネージャに中継される請求項1、請求項2、または請求項3に記載の方法。
【請求項5】
上記第1のネットワークの上記QoSマネージャへの上記信号が、発呼者のネットワークQoSマネージャにより中継される請求項3に記載の方法。
【請求項6】
上記発呼者のネットワークQoSマネージャから上記第1のネットワークの上記QoSマネージャへの上記信号がCOPSにより中継される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
資源の開放を開始する上記信号が、上記第1のネットワークのトラフィック集中ポイントへ中継される請求項1、請求項2、または請求項3に記載の方法。
【請求項8】
上記トラフィック集中ポイントが、上記第1のネットワークのエッジルータである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
資源の開放を開始する上記信号がRSVPプロトコルを使用して中継される請求項7または請求項8に記載の方法。
【請求項10】
添付の図を参照して実質的に記載される全ての方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−506295(P2007−506295A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525895(P2006−525895)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003883
【国際公開番号】WO2005/027563
【国際公開日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】