説明

SO3コントロールのための目標を定めたダクト注入

【課題】燃焼器の燃焼ゾーン中の硫黄含有炭素質燃料の燃焼からのNOおよびSOの排出を減少させる方法の提供。
【解決手段】硫黄含有炭素質燃料を全般にわたり過剰の酸素により燃焼してNO、SOおよびSOを含む燃焼ガスを形成し、窒素含有NOコントロール剤を燃焼ガス中にNOの還元用の選択性触媒還元触媒の上流の点で導入し、そして触媒の次にしかも移入する燃焼空気を加熱するための空気加熱器と接触する前に、流出液中にナノサイズの粒子を形成しそしてSOの酸化により生ずるSOを還元するのに有効である量および小滴サイズおよび濃度で水酸化マグネシウムを導入することからなる方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出物をコントロールする重要な問題を扱いつつ、経済性を維持するために有効にコントロールされた反応物を導入する特殊な処理を提供することにより、現在までに明らかになったNOおよびSO減少技術に課された制約を排除する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素質燃料の燃焼は、ほとんど不変的に、汚染を生ずる。燃焼源からの排出物の質の制御は、われわれが生存のために必要とする空気の質を維持するのに必須である。排出物を処理しそして有害なガスの発生を減少させる技術は、クリーンな空気および合理的なコストについてしばしば提案された目標を達成することを目標に、非常に進歩してきている。残念ながら、いくつかの技術的な解決策は、互いに競合することが示されている。これらの場合に、これらを同時に実施することは、しばしば、かなりコスト高になるかまたは技術的に複雑になり、その結果、古いプラントまたは空間の利用可能性が不十分なプラントは、閉鎖されることになる。電力プラントおよび焼却炉の経済的な操作は、一般の関心の的であり、そして新しい技術がこの問題の解決に必須である。
【0003】
天然ガスのような燃料の選択は、いくつかの汚染の問題を解決できるが、それらをすべて排除できない。窒素酸化物(NO)は、燃焼により不変的に形成されそしてしばしば選択的非触媒反応物(SNCR)または選択的触媒反応物(SCR)により処理される。No.6オイルのような他の燃料を燃やすことは、NOを生じ、そしてボイラーマンに、他の問題(高温度スラグ/汚れおよび関連する共融腐食、コールドエンド腐食/汚れ並びに炭素粒状物および酸ミストによる不透明さの問題を含む)を生じさせる。燃焼ゾーンでは、油中の硫黄(例えば1−5%)は、自己接触化して三酸化硫黄(SO)になり、それは、バックエンド表面(温度が典型的に約150℃より低い)で硫酸に凝縮しそして腐食および酸の羽毛状物(plume)の生成を促進する。さらに、SOは、SCR触媒による酸化から生ずる。
【0004】
SOコントロールでは、アルカリ物質例えば水酸化マグネシウムの注入が有用であるが、それは典型的に、物質の性質、装置のデザインおよび注入プロセスの不適切さにより、壁および床に沿って固体の蓄積をもたらす。固体の蓄積は、燃焼器またはプロセスの機能不全を導く。固体の蓄積は、また、反応物の非能率な使用を導く。燃焼ガス中に注入されるまたは燃料中のSOコントロール反応物を使用しても、SOは残り、そしてコールドエンドに達する流出液は、その酸性のpHおよび過剰のSOの存在のために、問題を生じさせる。低いpHは、フライアッシュの処分およびコールドエンドの腐食に悪影響を及ぼす。
【0005】
SO蒸気は、煙道ガス中の水蒸気と結合したとき、気体状の硫酸に容易に転換する。ガスおよび表面の温度がシステムを通してSOを冷却するので、蒸気は、硫酸の細かいエロゾルミストを形成する。酸エロゾルは、酸のミクロン以下の粒子を含み、それは、分離を逃れるかまたはガスクリーニング装置に捕捉され、そして煙突から排出される。煙突を出る比較的低いSO濃度のものですら、顕著な光の散乱を生じそして可視の酸羽毛状物を生じさらに高い不透明さの読みをもたらす。一般的な法則として、SOの百万容量部当たり1部ごとに、1−3%の不透明さを生じさせる。そのため、僅か10−20ppmのSOという排出ガスの濃度でも不透明さおよび酸の羽毛状物の問題を生じさせる。さらに、酸の露点より低いすべての金属面上の酸の付着または形成は、ユニット例えば空気加熱器、ダクト加工物および煙突のライナー内に腐食を生ずる。
【0006】
SCRユニットの存在は、SOをSOに酸化させることによりSOの問題をさらに悪化させる。SOレベルがSCR触媒を通って2倍(またはそれ以上)になることは、異常ではない。典型的なSCR NO還元システムでは、NOを含む流出液は、好適な触媒を通過し、その触媒は、アンモニア(NH)、尿素[(NH)CO(NH)]などを含む反応物によってNOを窒素(N)および水(HO)に還元する。これらの反応物の存在下NOを還元するのに有効な触媒は、また、SOへのSOの酸化を促進する。或る場合では、SOは、また他の装置によりSOに酸化できる。NOを還元する明らかな要求が存在するが、SCRまたは他の酸化ユニットにより生じたSOの付加物もコントロールされねばならない。
【0007】
SCRユニットは、大きくかつ高価である。有効であるためには、それらは、比較的低い温度操作されねばならず、そしてしばしば、燃焼器と空気加熱器(移入する燃焼大気を加熱するために流出液の残存する熱容量を使用する)との間のすべての利用できる空間を満たさねばならない。典型的な低温度の操作およびSCRユニット後の顕著なSO濃度の存在のために、腐食、酸羽毛状物、不透明さおよび関連する問題を避けるために、流出液を加熱することが、ときには必要になる。この方法で加熱することは、非能率のさらなる源であり、そしてもしそれを避ける道が存在するならば、有益である。
【0008】
歴史的に、SOは、ダクト加工物の適切な位置に水酸化マグネシウムのようなSO処理剤を導入することにより還元されてきた。すべてのアルカリ性処理剤が有用であることはない。それは、SOは、またSCR反応に使用された水蒸気およびアンモニアと反応して、硫酸アンモニウムおよび重硫酸アンモニウムを形成するからである。これらのアンモニア塩の両者は、システムにおいて汚れおよび腐食の問題を生じさせる。重硫酸アンモニウムは、300°F(約149℃)より低い融点を有しそして硫酸アンモニウムは450°F(約232℃)より僅か上の融点を有し、典型的なSCRおよび空気加熱器の操作温度で両者は溶融するかまたは粘着性をおびるようになりそして両者が空気加熱器を被覆し、汚しそして腐食することを可能にする。石灰は、反応して石膏を形成し、石膏はまた汚れの問題を生ずるために、SOを排除するのに実際に使用できない。石膏は、非常に低い溶解度を有する、固いしかも破砕性のない沈着物を形成し、除くことが難しい。水酸化マグネシウムは、この観点から考えると、より良いものであるが、粒子サイズおよび分布の問題のために、触媒の下流で有効に導入されていない。
【0009】
硫黄含有燃料についてSCR処理の融和性を改善しそしてバックエンドSO腐食を一層有効に処理できる改善された方法が要求されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
SOを生成しがちな燃料を利用して燃焼器においてSCR NO還元のための改善された技術を提供するのが本発明の目的である。
【0011】
SCR NO還元中発生するSOを還元することにより排出物コントロールを改善するのが本発明の他の目的である。
【0012】
バックエンドのSOを還元してSOの凝縮および/または重硫酸塩の生成に関する懸念なしに空気加熱器の操作を可能にすることによりプロセスの能率を改善するのが本発明の他の目的である。
【0013】
実際にSOの還元を増強するために空気加熱器を利用することによって、SOが問題である燃焼器のバックエンドのSOを還元することにより、プロセスの能率を改善するのが本発明の他の目的である。
【0014】
SCR NO還元ユニットと空気加熱器との間にある狭い反応空間内のSO還元化学利用を改善するのが本発明の他の目的である。
【0015】
より特定のさらなる目的は、化学的消費を最低にしつつSO還元を最大にするために、SO反応物のナノサイズの粒子の反応物およびCFDを有効に使用することである。
【0016】
同時に反応物の利用の能率および燃焼器の能率を改善しつつ、上記の目的を達成するのが本発明の一層特定の目的である。
【0017】
これらの目的および他の目的は、アンモニアまたは同様な化学物質を利用するSCR NOユニットに従ってSOを還元する改善された方法を提供する本発明によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
1つの側面では、本発明は、燃焼器の燃焼ゾーン中の硫黄含有炭素質燃料の燃焼からのNOおよびSOの排出を減少させる方法であって、硫黄含有炭素質燃料を全般にわたり過剰の酸素により燃焼してNO、SOおよびSOを含む燃焼ガスを形成し、窒素含有NOコントロール剤を燃焼ガス中にNOの還元用の選択的接触還元触媒の上流の点で導入し、そして触媒の次にしかも移入する燃焼空気を加熱するための空気加熱器と接触する前に、流出液中にナノサイズの粒子を形成しそして触媒中のSOの酸化により生ずるSOを還元するのに有効である量および小滴サイズおよび濃度で水酸化マグネシウムを導入することからなる。
【0019】
他の側面では、本発明は、燃焼器の燃焼ゾーン中の硫黄含有炭素質燃料の燃焼からのSO排出を縮小させる方法であって、硫黄含有炭素質燃料を全般にわたって過剰の酸素により燃焼してSOおよびSOを含む燃焼ガスを形成し、得られる燃焼ガスをSOからSOへの酸化を生じさせる条件下熱交換装置を通して移動させ、そして移入する燃焼空気を加熱するための空気加熱器と接触させる前に、流出液中にナノサイズの粒子を形成しそしてSOの酸化により生ずるSOを還元するのに有効な量および小滴サイズおよび濃度で酸化マグネシウムを導入することからなる。
【0020】
1つの好ましい側面では、計算流体力学法が用いられて、流速を測定し、そして反応物の導入速度、反応物の導入位置の1つ以上、反応物の濃度、反応物の小滴のサイズおよび/または反応物の運動量を選択する。
【0021】
他の好ましい側面およびそれらの利点は、以下の記述において示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の1つの態様の概略図である図1について説明する。図1は、発電、プロセス水蒸気、加熱または燃焼のための水蒸気を生成するために使用されるタイプの大きな燃焼器10を示す。燃料(図示されていない源から)は、燃焼ゾーン20中で空気とともに燃やされる。燃料は、任意の燃焼可能な材料(ガス、油、石炭、有機廃棄物または燃焼器に好適な任意の他の燃焼可能な材料を含む)である。本発明の方法は、例えば500ppm以上特に1−5%の量で、硫黄を含む石油に基づく製品のような燃料で、特に有利である。これらのなかに、残留燃料、典型的に重質燃料、例えばNo.4,5および6オイルのような残留燃料がある。これらの油は、70°F(約21.1℃)でやっと注ぐことができるかまたは注ぐことのできない高い粘度を特徴とし、顕著な量の硫黄を含みそして高いレベルの縮合された芳香族を含有しそして完全かつクリーンに燃焼することが困難でありがちである。ダクト21により供給される空気は、好ましくは、ダクト22を経て送られそして燃焼器の出口端でダクト24から熱を運ぶガス対ガス熱交換器23により加熱される。熱い燃焼ガスは、熱交換器25を上がりそしてそれを経て流れ、25は、水蒸気の発生のために、燃焼ガスから水へ熱を運ぶ。エコノマイザ26を含む他の熱交換器が、また、特別なボイラーのデザインに従って用意される。燃焼ガスは、NOを含み、それは燃焼熱のみによって、または燃料中の窒素含有化合物の存在によって発生する。それらはまた主としてSOとしてSOを含むだろう。
【0023】
図1の態様では、好適な窒素質NO還元剤例えばアンモニアまたは水性の尿素が、バルブ30によりラインを通って好適な源28から導入される。尿素は、SCR触媒ユニット32,32′および32′′へダクトを通って入る残存アンモニアまたは他の気体状のNO還元種とともにSNCRにとり好適な温度で導入できる。特に、尿素、尿素またはアンモニアの加水分解物または関連する化学物質例えば下記の任意の特許により記述された任意のものを利用する、種々の触媒とともにアンモニアを使用するSCR(例えば米国特許4138469および4393031)、SCRおよびSNCRのハイブリッド(例えば米国特許5139754)そしてマルチレベルSNCR注入(米国特許4777024)について技術が開発されてきている。上記の特許の全体は、すべて本明細書に参考として引用される。
【0024】
NO還元に好適な触媒のなかには、製造者によりこの目的で広告されているものがある。有用なSCR触媒のなかで、本明細書で代表的な参考プロセスで記述されたものがある。NOを還元するための選択的接触還元法は、周知であり、そして種々の触媒を利用する。例えば、ヨーロッパ特許210392は、触媒としてのアンモニアの添加による活性炭または活性コークスを使用する窒素酸化物の接触的除去を論じている。米国特許4138469および4393031は、所望の接触還元を達成するためにアンモニアの添加とともに白金族金属および/または他の金属例えばチタン、銅、モリブデン、バナジウム、タングステンまたはこれらの酸化物を使用するNOの接触還元を開示している。或る場合では、1つの触媒部分は、酸化触媒であろう。NO還元触媒は、アンモニア(NH)、尿素[(NH)CO(NH)]などを含む反応物により、NOを窒素(N)および水(HO)に還元するのに有効である。方法のこの点において、NOおよびいくらかのSOを含む流出液を、これらの反応物の存在下NOを還元するのに有効なNO還元触媒上を通す。それは、また、SOへのSOの酸化を強く促進する。NOがコントロールできそしてSCRユニットまたは他のSO酸化源により生ずるSOの付加物もコントロールできることが、本発明の利点である。
【0025】
典型的な操作では、NO還元反応物は、タンク28内におけるように水溶液として使用のために貯蔵される尿素またはアンモニアである。尿素溶液は、使用について望まれる濃度であるか、または使用時に希釈するために濃縮される。それは、また、乾燥のまま貯蔵され、そして必要に応じる基準で所望の程度に水和される。窒素質処理剤は、好ましくは、約0.5と約3.5との間の(処理剤中の窒素)対(窒素酸化物レベル)の比で存在する。有利には、窒素質処理剤は、希釈剤(すなわち水)を含む全組成物の重量の約3−約35%の量で含まれる。
【0026】
溶液は、1つ以上のインゼクタ例えばノズル31に供給される。ノズルは、溶液を噴霧するための従来のデザインのものであり、そして液体のみのデザインまたは液体および気体のデザインのものである。液体および気体のタイプのノズルが用いられるとき、内部混合ノズルが、小滴のサイズの一定性を保証するために好ましい。好ましい条件下の尿素の導入は、導入の領域でNO還元を行うことに加えて、アンモニアおよび他の種を生成する。
【0027】
NO還元剤を含む流出液は、最も好ましくは、SCR触媒上を通り、一方流出液の温度は、少なくとも100℃そして約600℃より低く、好ましくは少なくとも250℃である。この方法で、尿素の導入のために燃焼ガス中に存在するアンモニアおよび他の活性の気体状種は、窒素酸化物の接触還元を助ける。流出液は、好ましくは、過剰例えば約1−約10%の酸素を含む。触媒の追加の層またはユニットは、NOと反応してNO還元およびアンモニアスリップコントロールをもたらすことによりアンモニアを還元するのに有効である。高い固体の負荷が懸念される場合、これは、典型的に、増大するピッチのサイズのために追加の触媒を要する。
【0028】
最後の触媒部分の直後、流出液が空気加熱器23に導かれ次にダクト34を出て煙突36に達する比較的短いダクト部分24が典型的に存在する。触媒32′′後の短いダクト部分24において、ノズル40または一連のこれらのノズルが、容器42からの水酸化マグネシウムスラリーを導入するために設けられる。本発明の重要な特徴は、もしスラリー中の水酸化マグネシウムの粒子サイズが注意深くコントロールされて8ミクロン以下好ましくは5ミクロン以下例えば3−4.5ミクロンの平均直径を有するならば、ダクト24中の流出液で利用できる熱は、低いが、スラリーから水を蒸発させるには十分に高く、しかも実際に、硫酸アンモニウムおよび重硫酸アンモニウムの組成物を形成するSOの傾向を低下させ、流出液のpHを上昇させそして煙突から酸の羽毛状物を生じさせるかまたは空気加熱器を腐食する流出液の傾向を低下させるのに十分なように、SOと反応するミクロサイズの粒子の活性化学物質を残す。
【0029】
SOおよび/またはMgO反応物が、或る程度空気加熱器23の伝熱面に捕捉され、それは次に捕捉された反応物を運んでガスと固体との接触が生ずる機会を増加させることが本発明の利点である。換言すれば、伝熱面での2つの反応物の何れかの捕捉は、ガス/固体の反応物の接触の増大により、見かけの反応速度を速める。任意の形状の表面が、空気加熱器23の伝熱面に使用できるが、回収空気加熱器としてLjungstromから入手できるもののようなMgOの接着を受容する伝熱面を特徴とするものが、特に有効であると考えられる。任意の表面材料は、空気加熱器23の伝熱面に使用できるが、被覆されたまたは被覆されていない鋼を特徴とするものが、特に有効であると思われる。表面の温度は、好適には、約150℃から約350℃の範囲内に維持されるものと思われる。
【0030】
水酸化マグネシウム反応物は、好ましくは、通常地下の塩水プールまたは海水からのカルシウムおよび他の塩を含む塩水から製造される。ドロマイト石灰は、これらの塩水と混合されて塩化カルシウム溶液および水酸化マグネシウム(溶液から沈殿・濾過される)を形成する。水酸化マグネシウムのこの形は、安定剤とともにまたはそれなしに、水と混合されて、貯蔵および処理に好適な濃度例えば25−65重量%にされる。方法で使用するために、それは、計算流体力学法(CFD)により測定されて、0.1−10%、より狭く1−5%の範囲内の塩水プールまたは海水からのカルシウムおよび他の塩を含む塩水から製造される。ドロマイト石灰は、これらの塩水と混合されて塩化カルシウム溶液および水酸化マグネシウム(溶液から沈殿・濾過される)を形成する。水酸化マグネシウムのこの形は、安定剤とともにまたはそれなしに、水と混合されて、貯蔵および処理に好適な濃度例えば25−65重量%とする。方法で使用するために、それは、計算流体力学法(CFD)により測定されて、0.1−10%、より狭く1−5%の範囲内に希釈される。それが触媒と空気加熱器との間の狭い空間で流出液と接触するとき、それは、ナノサイズの粒子例えば200ナノメートル以下そして好ましくは約100ナノメートル以下に減少される。50ナノメートルから約150ナノメートルとの中位粒子サイズは、本発明の方法では有用な範囲である。MgOの他の形も、必要または所望の場合、例えば「軽度の燃焼(light burn)」に使用できるか、または「アルカリ(caustic)」が、それが所望の粒子サイズの範囲で入手できる場合に使用できる。
【0031】
他の代替できる形では、好適な化学物質が、上記で詳述された水酸化マグネシウム/酸化マグネシウムの代わりに使用できる。一般に、それらは、細かい小滴な形で噴霧でき、利用できるダクト加工物内で活性粉末に乾燥できそして流出液中のSOおよび/またはSOと反応できなければならない。好適な代替できる化学物質のなかで、カルシウム、カリウム、ナトリウムおよび/または他のアルカリおよびアルカリ土類金属の酸化物または水酸化物がある。
【0032】
これらの目的を最も良く達成するために、本発明は、好ましくは、CFDを利用して、流速を見積もりそして反応物の導入速度、1つ以上の反応物の導入位置、反応物の濃度、反応物の小滴サイズおよび反応物の運動量を選択する。CFDは、周知の科学であって、空間の制限があまりに極端であるこの場合のような場合には利益が得られるが、必ずしも利用されていない。SCRユニットの次の短い(例えば、しばしば25フィート(約762.5cm)以下そして或る場合には10−20フィート(約305−約610cm))ダクト24を汚すことなくそして有効に化学反応物を添加できるように、適切な形の水酸化マグネシウムについて補正された濃度、速度および導入速度を得ることは、最も重要なことである。本発明へのCFDの実施は、米国特許出願10/754072に記載されたように達成できる。粒状物除去の装置(図示せず)が使用されて、流出液が煙突を通る前に粒状物を除く。
【0033】
他の側面では、本発明は、燃焼器の燃焼ゾーン中の硫黄含有炭素質燃料の燃焼からのSOの排出を減少させる方法を提供するものであり、その場合、SCR触媒以外の装置または下流の条件は、SOへのSOの酸化を生じさせる。この場合、硫黄含有炭素質燃料は、全般にわたって過剰の酸素により燃焼されて、SOを含む燃焼ガスを形成しそしてSOへのSOの酸化を生じさせる条件下で熱交換装置を経て移動し、そして移入燃焼空気を加熱するための空気加熱器との接触前に、流出液中にナノサイズの粒子を形成するのに有効な量および小滴サイズおよび濃度で水酸化マグネシウムを導入し、そしてSOの酸化により生ずるSOを減少させる。この場合、図1の概略が同様に適用できるが、触媒32は随意である。
【0034】
本発明の他の代替できる形では、燃焼触媒および/または流出液処理化学物質が、燃料、燃焼ゾーンまたはこれら以外の例えば米国特許出願10/754072に記述されるようなものに添加される。1つの例示の形では、好適な反応物例えば水酸化マグネシウムは、容器50からライン52およびノズル54を経て導入される。上記の米国特許出願10/754072の記述全体を、本明細書に参考として引用される。
【0035】
上述は、本発明をいかに実施するかを当業者に教示することを目的とする。記述を読んで当業者に明らかになる明白な改変および変化のすべてを詳述することを目的としていない。しかし、すべてのこれらの明白な改変および変化が、請求の範囲に規定されている本発明の範囲内に含まれることを目的としている。請求の範囲は、記述が特に反対のことを指示していない限り、本明細書で目ざしている目的に合致するのに有効な本発明の成分および任意の順序の工程をカバーすることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の1つの態様の概略図である。
【符号の説明】
【0037】
10 燃焼器
20 燃焼ゾーン
22 ダクト
23 空気加熱器
24 ダクト
25 熱交換器
26 エコノマイザ
28 タンク
31 ノズル
32 SCR触媒ユニット
32′ SCR触媒ユニット
32′′ SCR触媒ユニット
34 ダクト
36 煙突
40 ノズル
42 容器
50 容器
52 ライン
54 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄含有炭素質燃料を全般にわたって過剰の酸素により燃焼してNO、SOおよびSOを含む燃焼ガスを形成し、
NOの還元用の選択的接触還元触媒の上流の点で、窒素含有NOコントロール剤を燃焼ガス中に導入し、そして
触媒の次にしかも移入燃焼空気を加熱するための空気加熱器と接触する前に、流出液中にナノサイズの粒子を形成ししかもSOの酸化により生ずるSOを還元するのに有効である量および小滴サイズおよび濃度で水酸化マグネシウムを導入する
ことからなることを特徴とする燃焼器の燃焼ゾーン中の硫黄含有炭素質燃料の燃焼によるNOおよびSOの排出を減少させる方法。
【請求項2】
計算流体力学法が用いられて、流速を測定し、そして反応物の導入速度、反応物の1つ以上の導入位置、反応物の濃度、反応物の小滴のサイズおよび/または反応物の運動量を選択する請求項1の方法。
【請求項3】
燃焼触媒および/または流出液処理剤が、燃焼器の燃焼ゾーン中に導入される請求項1の方法。
【請求項4】
計算流体力学法が使用されて、流速を測定し、そして反応物の導入速度、反応物の導入位置の1つ以上、反応物の濃度、反応物の小滴のサイズおよび/または反応物の運動量を選択する請求項3の方法。
【請求項5】
水酸化マグネシウムが、計算流体力学法により測定されて、0.1%から20%の範囲内に希釈される請求項1の方法。
【請求項6】
水酸化マグネシウムが、計算流体力学法により測定されて、1%から10%の範囲内に希釈される請求項5の方法。
【請求項7】
触媒と空気加熱器との間の空間にある流出液が、水酸化マグネシウムのスラリーと接触し、そしてそれを200ナノメートルより小さいナノサイズの粒子に縮小する請求項5の方法。
【請求項8】
硫黄含有炭素質燃料を全般にわたって過剰の酸素により燃焼してSOおよびSOを含む燃焼ガスを形成し、
SOへのSOの酸化を生じさせる条件下、熱交換装置を通して得られた燃焼ガスを移動させ、そして
移入燃焼空気を加熱するために空気加熱器と接触させる前に、流出液中にナノサイズの粒子を形成ししかもSOの酸化により生ずるSOを還元するのに有効な量および小滴サイズおよび濃度で水酸化マグネシウムを導入する
ことからなることを特徴とする燃焼器の燃焼ゾーン中の硫黄含有炭素質燃料の燃焼からのSO排出を減少させる方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−532734(P2008−532734A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554272(P2007−554272)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/003976
【国際公開番号】WO2006/086251
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(502279641)フューエル テック インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】