説明

TABテープおよび半導体装置

【課題】絶縁性テープ基材を折り曲げてパネル等に実装する場合、折り曲げ方向と幅方向とに対して発生する応力を低減することができるTABテープを提供する。
【解決手段】絶縁性テープ基材11に、長さ方向Lにおいて対向する一対の入出力端子14,15と、デバイスホール16と、デバイスホール16に実装される半導体素子の電極パッドと入出力端子14,15との間を接続するリード18とが設けられ、絶縁性テープ基材11を幅方向Wに沿って折り曲る折り曲げ部A,Bに、幅方向Wに細長い第1のスリット30,31が形成され、絶縁性テープ基材11に、第1のスリット30,31に直交し且つ長さ方向Lに細長い第2のスリット32,33が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイ等に用いられる、半導体素子を搭載したテープキャリアパッケージに関し、特に、折り曲げてパネルへ実装する際の応力低減、パッケージサイズのコンパクト化に優れるTABテープおよび半導体装置の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、図17,図18に示すように、フレキシブルな基材を使用した半導体装置9(パッケージモジュール)の一つとして、TAB(Tape Automated Bonding)がある。TABは、TABテープ10を構成する柔軟な絶縁性テープ基材11に半導体素子12(チップとも言う)を搭載し、封止樹脂13によりモールドしたものであり、フラットパネルディスプレイの駆動用ドライバーとして主に使用されている。
【0003】
上記絶縁性テープ基材11には、絶縁性テープ基材11の長さ方向Lにおいて対向する一対の入力端子14および出力端子15と、デバイスホール16と、デバイスホール16に実装される半導体素子12の電極パッド17と上記入出力端子14,15との間を接続する複数本のリード18とが設けられている。複数のリード18は、絶縁性テープ基材11を下支えとしてこのテープ基材11の表面に長さ方向Lに沿って設けられており、半導体素子12上の電極パッド17に接続されるインナーリード19と、入出力端子14,15に接続されるアウターリード20と、これら両リード19,20間に接続される引き回し配線21とで構成され、接続部以外の引き回し配線21が有機絶縁材料22で覆われている。また、絶縁性テープ基材11の両側部にはスプロケットホール23が形成されている。
【0004】
尚、絶縁性テープ基材11の材料としては、ポリイミドがよく使用されており、絶縁性テープ基材11の幅は、一般に、35mm、48mm、70mmがある。
上記TABの製造方法は、TABテープ10と半導体素子12とを用いて以下に示す方法で組み立てられる。
【0005】
まず、半導体素子12上の電極パッド17と絶縁性テープ基材11のデバイスホール16に形成されたインナーリード19とがボンディングツールによって熱圧着され、金属接合が形成される。その後、半導体素子12やインナーリード19を外力や湿気、汚染物などの悪い環境から電気的、物理的に保護するため、半導体素子12の表面とインナーリード19とに封止樹脂13をポッティングする。封止樹脂13はポッティング後に加熱して硬化される。
【0006】
図19に示すように、上記TABテープ10は幅方向Wに沿って折り曲げられた状態でパネル24等に実装されるため、絶縁性テープ基材11の折り曲げ部Aには、絶縁性テープ基材11の幅方向Wに細長いスリット25が形成されている。
【0007】
上記スリット25の形成によって、絶縁性テープ基材11を折り曲げ部Aで容易に折り曲げることができ、このようなスリット25を形成した半導体装置9は下記特許文献1に記載されている。
【0008】
近年、特にPDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)では、高電圧仕様のため、信頼性上、パネル24側の引き出し配線のピッチを狭くする事が困難であり、データ―ドライバーの多出力化は、絶縁性テープ基材11(すなわちTABテープ10)の幅に依存している。このため、70mmの幅の大型サイズの絶縁性テープ基材11を使用することが多くなっている。このようなサイズの大きな絶縁性テープ基材11を備えた半導体装置9をフラットパネルディスプレイの駆動用ドライバーとして用いる場合、以下の問題点がある。
【0009】
絶縁性テープ基材11を折り曲げる際、絶縁性テープ基材11の幅が広い程、正規の折り曲げ位置に対する実際の折り曲げ位置の誤差が大きくなり、図20(b)に示すように、絶縁性テープ基材11の実際の折り曲げ位置が正規の折り曲げ位置(図20(a)参照)に対して斜めにずれ易い。このように折り曲げ位置がずれた状態で、図19に示すように、絶縁性テープ基材11をパネル24に実装した場合、折り曲げ方向Rに対して発生した応力に、幅方向Wに対して発生した応力が加えられ、これら応力によって絶縁性テープ基材11が歪み、引き回し配線21が切断したり封止樹脂13にクラックが入るといった問題や、パネル24と半導体装置9の接続部との接続の信頼性が低下するといった問題がある。
さらに、データドライバーの多出力化は、パッケージモジュールのサイズを大きくし、長尺のTABテープ10の幅が35mm、48mm、70mmに合わない特殊なサイズのパターンをテープサイズに合わせ込んでいかなければならず、このため、製作に手間がかかり、TABテープ10の材料の効果的な使用を阻害する要因がある。
【特許文献1】特開平8−139132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、絶縁性テープ基材を折り曲げてパネル等に実装する場合、折り曲げ方向と幅方向とに対して発生する応力を低減することができるTABテープおよび半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本第1発明におけるTABテープは、絶縁性テープ基材に、絶縁性テープ基材の長さ方向において対向する一対の入出力端子と、デバイスホールと、デバイスホールに実装される半導体素子の電極パッドと上記入出力端子との間を接続するリードとが設けられ、
上記絶縁性テープ基材を幅方向に沿って折り曲げる折り曲げ部に、絶縁性テープ基材の幅方向に細長い第1のスリットが形成され、
上記絶縁性テープ基材に、第1のスリットに交差し且つ絶縁性テープ基材の長さ方向に細長い第2のスリットが形成されているものである。
【0012】
これによると、絶縁性テープ基材を折り曲げ部で幅方向に沿って折り曲げる際、第1のスリットによって、絶縁性テープ基材を容易に折り曲げることができる。また、絶縁性テープ基材の実際の折り曲げ位置が正規の折り曲げ位置に対してずれた状態で、絶縁性テープ基材をパネル等に実装した場合、折り曲げ方向に対して発生する応力に、幅方向に対して発生する応力が加わるが、これら応力は第1のスリットと第2のスリットとによって低減される。これにより、絶縁性テープ基材の歪みが低減される。
【0013】
また、本第2発明におけるTABテープは、第1のスリットと第2のスリットとの交差部分が一体に連通しているものである。
これによると、折り曲げ方向と幅方向とに対してそれぞれ発生する応力は、第1のスリットと第2のスリットとによって、より一層低減される。
【0014】
また、本第3発明におけるTABテープは、絶縁性テープ基材の長さが幅よりも大きく形成され、
上記絶縁性テープ基材に、絶縁性テープ基材の幅方向において対向する一対の入出力端子と、複数のデバイスホールと、これらデバイスホールに実装される各半導体素子の電極パッドと上記入出力端子との間を接続するリードとが設けられ、
上記各デバイスホールは絶縁性テープ基材の長さ方向における複数箇所に配置され、
上記絶縁性テープ基材を長さ方向に沿って折り曲げる折り曲げ部に、絶縁性テープ基材の長さ方向に細長い第1のスリットが形成され、
上記絶縁性テープ基材に、第1のスリットに交差し且つ絶縁性テープ基材の幅方向に細長い第2のスリットが形成されているものである。
【0015】
これによると、絶縁性テープ基材を折り曲げ部で長さ方向に沿って折り曲げる際、第1のスリットによって、絶縁性テープ基材を容易に折り曲げることができる。また、絶縁性テープ基材の実際の折り曲げ位置が正規の折り曲げ位置に対してずれた状態で、絶縁性テープ基材をパネル等に実装した場合、折り曲げ方向に対して発生する応力に、長さ方向に対して発生する応力が加わるが、これら応力は第1のスリットと第2のスリットとによって低減される。これにより、絶縁性テープ基材の歪みが低減される。
【0016】
また、従来、データードライバーの多出力化は絶縁性テープ基材の幅(35mm、48mm、70mm)によって制限されてしまっていたが、一対の入出力端子を絶縁性テープ基材の幅方向において対向するように配置するとともに、複数のデバイスホールを絶縁性テープ基材の長さ方向における複数箇所に配置したことによって、データードライバーの多出力化は絶縁性テープ基材の幅ではなくて長さによって制限される。この際、絶縁性テープ基材の長さは任意に変えることができるため、データードライバーの出力数の増大(又は減少)に応じて、絶縁性テープ基材の長さを変えることにより、容易にデータードライバーの多出力化に適応することができる。
【0017】
また、本第4発明におけるTABテープは、第2のスリットは絶縁性テープ基材の長さ方向における複数箇所に形成され、
第1のスリットは、絶縁性テープ基材の長さ方向における中央部に位置する第2のスリットの箇所で分断されており、
上記中央部に位置する第2のスリットは一方の入出力端子側から他方の入出力端子側へ連続して形成されているものである。
【0018】
これによると、データードライバーの出力数が増大し、絶縁性テープ基材の長さが長い半導体を製造する場合、長さ方向に対するテープ巻取り時の曲げ応力を低減することができる。
【0019】
また、本第5発明におけるTABテープは、絶縁性テープ基材は、長さ方向において、1個のデバイスホールを有する複数のエリアに等分され、
絶縁性テープ基材の長さ方向において、デバイスホールと第2のスリットとの配置パターンが各エリア単位で同一であるものである。
【0020】
これによると、長尺テープに有効なパターン配置を構成でき、同一の配置パターンを複数繰り返す構成のモジュールとすることができる。
また、本第6発明における半導体装置は、上記第1発明から第5発明のいずれかに記載のTABテープのデバイスホールに半導体素子を実装し、封止樹脂によりモールドしたものである。
【0021】
また、本第7発明における半導体装置は、半導体素子は矩形状に形成され、
上記半導体素子の長辺がTABテープの幅方向に向いているものである。
これによると、TABテープを搬送する際の搬送方向(すなわち長さ方向)に対して、半導体素子の長辺が直交する配置となるため、搬送時にTABテープを曲げた場合、封止樹脂の塗布部分や半導体素子の電極パッドとリードとの接続部分にかかる応力が低減される。
【発明の効果】
【0022】
本第1発明によると、絶縁性テープ基材を折り曲げる際、第1のスリットによって、絶縁性テープ基材を容易に折り曲げることができる。また、絶縁性テープ基材の実際の折り曲げ位置が正規の折り曲げ位置に対してずれた状態で、絶縁性テープ基材をパネル等に実装した場合、折り曲げ方向に対して発生する応力に、幅方向に対して発生する応力が加わるが、これら応力は第1のスリットと第2のスリットとによって低減される。これにより、絶縁性テープ基材の歪みが低減され、リードが切断したり封止樹脂にクラックが入るといった不具合を防止することができ、パネルと半導体装置の接続部との接続の信頼性が向上する。
【0023】
また、本第3発明によると、絶縁性テープ基材を折り曲げる際、第1のスリットによって、絶縁性テープ基材を容易に折り曲げることができる。また、絶縁性テープ基材の実際の折り曲げ位置が正規の折り曲げ位置に対してずれた状態で、絶縁性テープ基材をパネル等に実装した場合、折り曲げ方向に対して発生する応力に、幅方向に対して発生する応力が加わっても、これら応力は第1のスリットと第2のスリットとによって低減される。これにより、絶縁性テープ基材の歪みが低減され、リードが切断したり封止樹脂にクラックが入るといった不具合を防止することができ、パネルと半導体装置の接続部との接続の信頼性が向上する。
【0024】
また、従来、データードライバーの多出力化は絶縁性テープ基材の幅によって制限されてしまっていたが、一対の入出力端子を絶縁性テープ基材の幅方向において対向するように配置するとともに、複数のデバイスホールを絶縁性テープ基材の長さ方向における複数箇所に配置したことによって、データードライバーの多出力化は絶縁性テープ基材の幅ではなくて長さによって制限される。この際、絶縁性テープ基材の長さは任意に変えることができるため、データードライバーの出力数の増大(又は減少)に応じて、絶縁性テープ基材の長さを変えることにより、容易にデータードライバーの多出力化に適応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について図1〜図5に基づいて説明する。尚、先に述べた従来のものと同じ部材については、同一の符号を付記して説明を省略する。
【0026】
図1はTABテープ10の平面図であり、絶縁性テープ基材11の長さ方向Lにおける2箇所には、絶縁性テープ基材11を幅方向Wに沿って折り曲げる折り曲げ部A,Bが設定されており、これら両折り曲げ部A,Bにはそれぞれ、絶縁性テープ基材11の幅方向Wに細長い第1のスリット30,31が互いに平行に2本形成されている。また、絶縁性テープ基材11には、両第1のスリット30,31に直交し且つ絶縁性テープ基材11の長さ方向Lに細長い第2のスリット32,33が2本形成されている。
【0027】
尚、上記第2のスリット32,33は絶縁性テープ基材11の幅方向Wにおける中央部に対して左右両側へ振り分けられて配設されている。また、上記第1のスリット30,31はそれぞれ、第2のスリット32,33により、幅方向Wにおいて3つに分断されている。また、第1のスリット30,31と第2のスリット32,33との交差部分は連通しておらず、切り離されて独立している。
【0028】
また、図2,図3は、TABテープ10に半導体素子12を接続して最終形状に打ち抜かれた半導体装置9(パッケージモジュール)の図である。すなわち、半導体素子12は絶縁性テープ基材11のデバイスホール16に実装され、半導体素子12上の電極パッド17と絶縁性テープ基材11のインナーリード19とがボンディングツールによって熱圧着され、半導体素子12の表面とインナーリード19とに封止樹脂13がポッティングされる。
【0029】
以下、上記構成における作用を説明する。
図5に示すように、絶縁性テープ基材11を折り曲げ部A,Bで幅方向Wに沿って折り曲げる際、第1のスリット30,31によって、絶縁性テープ基材11を容易に折り曲げることができる。また、絶縁性テープ基材11の実際の折り曲げ位置が正規の折り曲げ位置に対して斜めにずれた状態で、絶縁性テープ基材11をパネル24等に実装した場合、折り曲げ方向Rに対して発生する応力に、幅方向Wに対して発生する応力が加わるが、これら応力は第1のスリット30,31と第2のスリット32,33とによって低減される。これにより、絶縁性テープ基材11の歪みが低減され、引き回し配線21が切断したり封止樹脂13にクラックが入るといった不具合を防止することができ、パネル24と半導体装置9の接続部との接続の信頼性が向上する。
(第2の実施の形態)
図6に示すように、第2のスリット32,33,34は、3個形成されており、絶縁性テープ基材11の幅方向Wにおける中央部とその左右両側とに振り分けられている。また、上記第1のスリット30,31はそれぞれ、第2のスリット32,33,34により、幅方向Wにおいて4つに分断されている。
(第3の実施の形態)
上記第1の実施の形態では、図1に示すように第1のスリット30,31が第2のスリット32,33によって幅方向Wにおいて3つに分断されているが、第3の実施の形態では、図7に示すように、第1のスリット30,31は、第2のスリット32,33によって分断されず、幅方向Wにおいて連続した1本物であり、第2のスリット32,33がそれぞれ、第1のスリット30,31によって、長さ方向Lにおいて3つに分断されている。
(第4の実施の形態)
上記第2の実施の形態では、図6に示すように第1のスリット30,31が第2のスリット32,33,34によって幅方向Wにおいて4つに分断されているが、第4の実施の形態では、図8に示すように、第1のスリット30,31は、第2のスリット32,33,34によって分断されず、幅方向Wにおいて連続した1本物であり、第2のスリット32,33,34がそれぞれ、第1のスリット30,31によって、長さ方向Lにおいて3つに分断されている。
(第5の実施の形態)
上記第1および第3の実施の形態では、図1,図7に示すように第1のスリット30,31と第2のスリット32,33との交差部分は連通しておらず、切り離されて独立しているが、第5の実施の形態では、図9に示すように、第1のスリット30,31と第2のスリット32,33との各交差部分が一体に連通している。
【0030】
これによると、折り曲げ方向Rに対して発生する応力に、幅方向Wに対して発生する応力が加わるが、これら応力は第1のスリット30,31と第2のスリット32,33とによってより一層低減される。
(第6の実施の形態)
上記第2および第4の実施の形態では、図6,図8に示すように第1のスリット30,31と第2のスリット32,33,34との交差部分は連通しておらず、切り離されて独立しているが、第6の実施の形態では、図10に示すように、第1のスリット30,31と第2のスリット32,33,34との各交差部分が一体に連通している。
【0031】
これによると、折り曲げ方向Rに対して発生する応力に、幅方向Wに対して発生する応力が加わるが、これら応力は第1のスリット30,31と第2のスリット32,33,34とによってより一層低減される。
【0032】
尚、上記第1〜第6の実施の形態では、絶縁性テープ基材11の2箇所(複数箇所)の折り曲げ部A,Bに対して、2本(複数本)の第1のスリット30,31を形成しているが、折り曲げ部をいずれか1箇所のみにし、この折り曲げ部に対して、いずれか1本の第1のスリットを形成してもよい。
【0033】
また、上記第1〜第6の実施の形態では、2本の第2のスリット32,33又は3本の第2のスリット32,33,34を形成しているが、第2のスリットを4本以上の複数本又は1本形成してもよい。
(第7の実施の形態)
次に、第7の実施の形態について、図11〜図13に基づいて説明する。
【0034】
図11に示すように、TABテープ10は、2個の半導体素子12を備えた384出力の高耐圧(PDP)仕様のものであって、絶縁性テープ基材11の長さが幅よりも大きく形成されており、図1に示したTABテープ10(192出力)を2個並べたものに相当する。
【0035】
絶縁性テープ基材11には、幅方向Wにおいて対向する一対の入力端子14および出力端子15と、2個のデバイスホール16と、これらデバイスホール16に実装される半導体素子12の電極パッド17と上記入出力端子14,15との間を接続する複数のリード18とが設けられている。
【0036】
上記入力端子14と出力端子15とは絶縁性テープ基材11の長さ方向Lと平行に配置されている。また、上記各デバイスホール16は絶縁性テープ基材11の長さ方向Lにおける2箇所に配置されている。さらに、絶縁性テープ基材11の幅方向Wにおける2箇所には、絶縁性テープ基材11を長さ方向Lに沿って折り曲げる折り曲げ部A,Bが設定されている。これら両折り曲げ部A,Bにはそれぞれ、絶縁性テープ基材11の長さ方向Lに細長い第1のスリット30,31が互いに平行に2本形成されている。
【0037】
また、絶縁性テープ基材11には、第1のスリット30,31に直交し且つ絶縁性テープ基材11の幅方向Wに細長い第2のスリット32〜36が5本形成されている。これら第2のスリット32〜36は絶縁性テープ基材11の長さ方向Lにおける5箇所に配設されている。また、上記第1のスリット30,31はそれぞれ、第2のスリット32〜36によって、長さ方向Lにおいて6つに分断されている。
【0038】
また、絶縁性テープ基材11の長さ方向Lにおける中央部に位置する第2のスリット34は、他の第2のスリット32,33,35,36に比べて幅方向Wに長く形成され、入力端子14側から出力端子15側へ連続して形成されている。
【0039】
また、図12は、TABテープ10に半導体素子12を接続して最終形状に打ち抜かれた半導体装置9(パッケージモジュール)の図である。すなわち、2個の半導体素子12は両デバイスホール16に実装され、両半導体素子12上の電極パッド17と絶縁性テープ基材11のインナーリード19とがボンディングツールによって熱圧着され、両半導体素子12の表面とインナーリード19とに封止樹脂13がポッティングされる。尚、上記半導体素子12は長方形に形成され、半導体素子12の長辺がTABテープ10の幅方向Wに向いている。
【0040】
以下、上記構成における作用を説明する。
図13に示すように、絶縁性テープ基材11を折り曲げ部A,Bで長さ方向Lに沿って折り曲げる際、第1のスリット30,31によって、絶縁性テープ基材11を容易に折り曲げることができる。また、絶縁性テープ基材11の実際の折り曲げ位置が正規の折り曲げ位置に対して斜めにずれた状態で、絶縁性テープ基材11をパネル24等に実装した場合、折り曲げ方向Rに対して発生する応力に、長さ方向Lに対して発生する応力が加わるが、これら応力は第1のスリット30,31と第2のスリット32〜36とによって低減される。これにより、絶縁性テープ基材11の歪みが低減され、引き回し配線21が切断したり封止樹脂13にクラックが入るといった不具合を防止することができ、パネル24と半導体装置9の接続部との接続の信頼性が向上する。
【0041】
また、従来、データードライバーの多出力化は絶縁性テープ基材11の幅によって制限されてしまっていたが、図11,図12に示すように、一対の入出力端子14,15を絶縁性テープ基材11の幅方向Wにおいて対向するように配置するとともに、デバイスホール16を絶縁性テープ基材11の長さ方向Lにおける2箇所に配置したことによって、データードライバーの多出力化は絶縁性テープ基材11の幅ではなくて長さによって制限される。この際、絶縁性テープ基材11の長さは任意に変えることができるため、データードライバーの出力数の増大(又は減少)に応じて、絶縁性テープ基材11の長さを変えることにより、容易にデータードライバーの多出力化に適応することができる。
【0042】
さらに、TABテープ10を搬送する際の搬送方向(すなわち長さ方向L)に対して、半導体素子12の長辺が直交する配置となるため、搬送時にTABテープ10を曲げた場合、封止樹脂13の塗布部分や電極パッド17とインナーリード19との接続部分にかかる応力が低減される。
(第8の実施の形態)
上記第7の実施の形態では、図11に示すように第1のスリット30,31は第2のスリット32〜36によって長さ方向Lにおいて6つに分断されているが、第8の実施の形態では、図14に示すように、第1のスリット30,31は、絶縁性テープ基材11の長さ方向Lにおける中央部に位置する第2のスリット34によって、2つに分断されている。また、上記中央部に位置する第2のスリット34以外の残りの第2のスリット32,33,35,36は第1のスリット30,31によって幅方向Wに3つに分断されている。
(第9の実施の形態)
上記第7および第8の実施の形態では、図11,図14に示すように第1のスリット30,31と第2のスリット32〜36との交差部分は連通しておらず、切り離されて独立しているが、第9の実施の形態では、図15に示すように、第1のスリット30,31と中央部に位置する第2のスリット34以外の残りの第2のスリット32,33,35,36との各交差部分が一体に連通している。
【0043】
これによると、折り曲げ方向Rに対して発生する応力に、長さ方向Lに対して発生する応力が加わるが、これら応力は第1のスリット30,31と第2のスリット32〜36とによってより一層低減される。
(第10の実施の形態)
図16に示すように、絶縁性テープ基材11は、長さ方向Lにおける中央部(すなわち第2のスリット34の形成位置)を境目として、1個のデバイスホール16を有する一方のエリアS1と、もう1個のデバイスホール16を有する他方のエリアS2とに2等分されている。
【0044】
また、絶縁性テープ基材11の長さ方向Lにおいて、各デバイスホール16と各第2のスリット32,33,35,36との配置パターンが両エリアS1,S2単位で同一である。すなわち、一方のエリアS1において、絶縁性テープ基材11の一端からデバイスホール16までの距離をLaとし、絶縁性テープ基材11の一端から各第2のスリット35,36までの距離をそれぞれLc,Leとし、他方のエリアS2において、第2のスリット34からデバイスホール16までの距離をLbとし、第2のスリット34から各第2のスリット32,33までの距離をそれぞれLd,Lfとすると、La=Lb,Lc=Ld,Le=Lfの関係が保たれている。
【0045】
これによると、デバイスホール16と第2のスリット32,33,35,36とを規則的に並べることになり、同一の配置パターンを繰り返す構成のモジュールとすることができる。
【0046】
上記第10の実施の形態では、絶縁性テープ基材11を2つのエリアS1,S2に分けたが、3つ以上のエリアに分けて、デバイスホールと第2のスリットとの配置パターンを各エリア単位で同一にしてもよい。
【0047】
上記第7〜第10の実施の形態では、絶縁性テープ基材11の2箇所(複数箇所)の折り曲げ部A,Bに対して、2本(複数本)の第1のスリット30,31を形成しているが、折り曲げ部をいずれか1箇所のみにし、この折り曲げ部に対して、いずれか1本の第1のスリットを形成してもよい。
【0048】
また、上記第7〜第10の実施の形態では、絶縁性テープ基材11にデバイスホール16を2個形成しているが、3個以上の複数個形成してもよい。
また、上記第7〜第10の実施の形態では、絶縁性テープ基材11に第2のスリット32〜36を5本形成したが、5本以外の複数本形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
フラットパネルディスプレイ以外の液晶表示パネル又はその他の機器に対して、絶縁性テープ基材を折り曲げて実装する半導体装置にも適応できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるTABテープの平面図である。
【図2】同、TABテープに半導体素子を実装した半導体装置の平面図である。
【図3】図2におけるX−X矢視図である。
【図4】図1におけるY部の拡大図である。
【図5】同、半導体装置を折り曲げた際の斜視図であり、(a)は折り曲げ部Aを折り曲げた状態を示し、(b)はさらに折り曲げ部Bを折り曲げた状態を示す。
【図6】本発明の第2の実施の形態におけるTABテープの平面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態におけるTABテープの平面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態におけるTABテープの平面図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態におけるTABテープの平面図である。
【図10】本発明の第6の実施の形態におけるTABテープの平面図である。
【図11】本発明の第7の実施の形態におけるTABテープの平面図である。
【図12】同、TABテープに半導体素子を実装した半導体装置の平面図である。
【図13】同、半導体装置を折り曲げた際の斜視図であり、(a)は折り曲げ部Aを折り曲げた状態を示し、(b)はさらに折り曲げ部Bを折り曲げた状態を示す。
【図14】本発明の第8の実施の形態におけるTABテープの平面図である。
【図15】本発明の第9の実施の形態におけるTABテープの平面図である。
【図16】本発明の第10の実施の形態におけるTABテープの平面図である。
【図17】従来のTABテープの平面図である。
【図18】同、TABテープに半導体素子を実装した半導体装置の長さ方向に沿った断面図である。
【図19】同、半導体装置を折り曲げた際の斜視図である。
【図20】同、半導体装置を折り曲げた際の平面図であり、(a)は正規の折り曲げ位置で折り曲げられた状態を示し、(b)は正規の折り曲げ位置から斜めにずれて折り曲げられた状態を示す。
【符号の説明】
【0051】
9 半導体装置
10 TABテープ
11 絶縁性テープ基材
12 半導体素子
13 封止樹脂
14 入力端子
15 出力端子
16 デバイスホール
17 電極パッド
18 リード
30,31 第1のスリット
32〜36 第2のスリット
A,B 折り曲げ部
L 長さ方向
S1,S2 エリア
W 幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性テープ基材に、絶縁性テープ基材の長さ方向において対向する一対の入出力端子と、デバイスホールと、デバイスホールに実装される半導体素子の電極パッドと上記入出力端子との間を接続するリードとが設けられ、
上記絶縁性テープ基材を幅方向に沿って折り曲げる折り曲げ部に、絶縁性テープ基材の幅方向に細長い第1のスリットが形成され、
上記絶縁性テープ基材に、第1のスリットに交差し且つ絶縁性テープ基材の長さ方向に細長い第2のスリットが形成されていることを特徴とするTABテープ。
【請求項2】
第1のスリットと第2のスリットとの交差部分が一体に連通していることを特徴とする請求項1記載のTABテープ。
【請求項3】
絶縁性テープ基材の長さが幅よりも大きく形成され、
上記絶縁性テープ基材に、絶縁性テープ基材の幅方向において対向する一対の入出力端子と、複数のデバイスホールと、これらデバイスホールに実装される各半導体素子の電極パッドと上記入出力端子との間を接続するリードとが設けられ、
上記各デバイスホールは絶縁性テープ基材の長さ方向における複数箇所に配置され、
上記絶縁性テープ基材を長さ方向に沿って折り曲げる折り曲げ部に、絶縁性テープ基材の長さ方向に細長い第1のスリットが形成され、
上記絶縁性テープ基材に、第1のスリットに交差し且つ絶縁性テープ基材の幅方向に細長い第2のスリットが形成されていることを特徴とするTABテープ。
【請求項4】
第2のスリットは絶縁性テープ基材の長さ方向における複数箇所に形成され、
第1のスリットは、絶縁性テープ基材の長さ方向における中央部に位置する第2のスリットの箇所で分断されており、
上記中央部に位置する第2のスリットは一方の入出力端子側から他方の入出力端子側へ連続して形成されていることを特徴とする請求項3記載のTABテープ。
【請求項5】
絶縁性テープ基材は、長さ方向において、1個のデバイスホールを有する複数のエリアに等分され、
絶縁性テープ基材の長さ方向において、デバイスホールと第2のスリットとの配置パターンが各エリア単位で同一であることを特徴とする請求項3又は請求項4記載のTABテープ。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載のTABテープのデバイスホールに半導体素子を実装し、封止樹脂によりモールドしたことを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
半導体素子は矩形状に形成され、
上記半導体素子の長辺がTABテープの幅方向に向いていることを特徴とする請求項6記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−229256(P2006−229256A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−149071(P2006−149071)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【分割の表示】特願2003−398287(P2003−398287)の分割
【原出願日】平成15年11月28日(2003.11.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】