説明

TFT液晶基板検査装置およびTFT液晶基板の光学像観察方法

【課題】電気的検査と光学像による観察とを行うTFT液晶基板検査において、装置構成を小型化し、基板アレイ検査のスループットを向上させる。
【解決手段】TFT液晶基板検査装置は、検査チャンバーから電気的検査によって欠陥位置を取得したTFT液晶基板を、検査チャンバーから基板交換チャンバーに搬出する際に、TFT液晶基板上の欠陥位置に撮像装置を移動させて光学像を取得する構成とすることによって、光学像を取得的するために要するスペースを不要として装置構成を小型化すると共に、TFT液晶基板の搬出と同時に光学像を取得することによって、光学像のみを取得するための時間を不要としてTFT液晶基板検査のスループットを向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はTFT液晶基板の欠陥検査に関し、特に、TFT液晶基板の欠陥部位の光学像を観察する検査装置および光学象観察方法に関する。
【背景技術】
【0002】
TFTアレイ基板の電気的検査において、非接触で試料の電位を測定する技術として電位コントラストを用いた検査方法が知られている。この電位コントラストによれば、試料に電子線を照射することにより試料表面から放出される2次電子のエネルギーを測定することにより試料の電位を測定することができる。
【0003】
このTFTアレイ検査装置では、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどに使われるTFTアレイ基板に所定パターンの検査信号を印加して所定に電位状態とし、この基板に電子線を照射してTFT基板から発生する2次電子を検出し、2次電子から得られる信号によりTFT基板に所定の電圧が印加されているかを測定し、その測定結果に基づいて短絡等の欠陥セルの判別を行う。このようなTFTアレイ検査装置として、例えば、特許文献1が知られている。
【0004】
また、TFTアレイ検査装置では、上記した電気的検査の他に、基板上に形成されたアレイを光学的に観察する外観検査を行って、アレーパターンの欠陥を光学的に検査することが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−228431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来行われる基板アレイ検査において、光学的検査は大気中で行われ、電気的検査は真空中で行われる。このように光学的検査と電気的検査は検査環境が異なるため、両検査を行うには、独立した光学的検査装置と電気的検査装置とをそれぞれ用意し、一つの複合装置として構成する場合であっても、単に両検査装置を並置する構成としている。
【0007】
このように、異なる機能を備えた独立した検査装置を並置する構成では、単に検査装置を並べるだけであるため、全体の装置構成が大型化するという問題がある他、真空状態や大気状態など各検査チャンバー内の検査環境に合わせる必要があるため、基板アレイ検査のスループットが低下するという問題がある。
【0008】
また、電気的検査を行う検査チャンバー内にCCDカメラ等の光学像を撮像する撮像装置を固定して設け、検査チャンバー内において基板を載置したステージをx,y方向に移動させることによって、基板全域において光学像を取得する構成が考えられる。
【0009】
図7は、検査チャンバー内に撮像装置を固定し、ステージの移動によって光学像を撮像する構成を説明するための図である。
【0010】
図7において、ゲートバルブ30を介して基板交換チャンバー10と検査チャンバー20とを配置し、検査チャンバー20内にCCDカメラ等の撮像装置41が固定される。基板2は、パレット3上に載置された状態で外部から基板交換チャンバー10内に搬入され(図中の符号A)、ゲートバルブ30を通して基板交換チャンバー10から検査チャンバー20内に搬入される(図中の符号B)。
【0011】
検査チャンバー20内では、ステージ(図示していない)の動作によってx方向(図中の符号C)およびy方向(図中の符号D)に移動する。撮像装置41は、ステージの移動によって基板2上の光学像を撮像する。検査チャンバー20は、基板2上の全領域を撮像するために、ステージのx方向およびy方向の移動を干渉しない程度の大きさを必要とする。
【0012】
しかしながら、検査チャンバー内においてステージを移動させることによって基板全域の光学像を取得する構成では、ステージを移動させる必要性から検査チャンバーが大型となるという問題がある。
【0013】
検査チャンバーの大型化は、基板検査装置自体および検査チャンバー内を排気する排気機構が大型化するという問題がある他、排気時間が長時間化しTFT液晶基板の検査のスループットが低下するという問題がある。
【0014】
そこで、本発明は上記課題を解決して、電気的検査と光学像による観察とを行うTFT液晶基板検査において、装置構成を小型化することを目的とする。
【0015】
また、電気的検査と光学像による観察とを行うTFT液晶基板検査において、基板アレイ検査のスループットを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のTFT液晶基板検査装置は、検査チャンバーから電気的検査によって欠陥位置を取得したTFT液晶基板を、検査チャンバーから基板交換チャンバーに搬出する際に、TFT液晶基板上の欠陥位置に撮像装置を移動させて光学像を取得する構成とすることによって、光学像を取得的するために要するスペースを不要として装置構成を小型化すると共に、TFT液晶基板の搬出と同時に光学像を取得することによって、光学像のみを取得するための時間を不要としてTFT液晶基板検査のスループットを向上させることができる。
【0017】
本発明のTFT液晶基板検査装置は、TFT液晶基板の欠陥部位を検査するTFT液晶基板検査装置において、TFT液晶基板の電気的検査を行う検査チャンバーと、検査チャンバーとの間において基板を搬出入して基板を交換する基板交換チャンバーと、TFT液晶基板を撮像して光学像を取得する撮像手段と、電気的検査に基づいてTFT液晶基板の欠陥検査を行う基板検査手段とを備える。
【0018】
本発明の撮像手段は、検査チャンバーと基板交換チャンバーとの間に配置される撮像装置と、この撮像装置の撮像動作、およびTFT液晶基板の搬送方向に対し直交する方向において撮像装置を位置決めする位置決め動作を制御する撮像制御手段とを備える。
【0019】
TFT液晶基板の搬送方向の搬送動作、および撮像制御手段による位置決め動作によって、基板検査手段で検出された欠陥位置と撮像装置との位置合わせを行う。撮像装置は、撮像制御手段による撮像動作の制御によって、欠陥位置の光学像を取得する。
【0020】
本発明のTFT液晶基板検査装置は、検査チャンバーにおける電気的検査によって欠陥を検出するとともに欠陥位置を特定し、さらに、この欠陥位置を撮像装置で撮像して光学像を取得し、光学像による観察を行う。
【0021】
本発明は、検査チャンバーと基板交換チャンバーとの間に撮像装置を配置する構成によって、検査済みのTFT液晶基板を検査チャンバーから基板交換チャンバーに搬出する搬出動作と同時に光学像を取得することができる。取得する光学像は、検査チャンバーの検査で検出した欠陥位置の光学像であり、検査チャンバーで取得した欠陥位置の位置データに基づいて撮像位置を欠陥位置に位置合わせする。
【0022】
撮像位置の位置合わせは、TFT液晶基板を検査チャンバーから基板交換チャンバーに搬出する際の搬送動作と、撮像装置の位置決め動作とによって行う。
【0023】
搬送動作による位置合わせは、TFT液晶基板を搬送方向に移動する際に、欠陥位置が撮像装置の配置位置に達した時点で撮像を行うことで行う。
【0024】
撮像装置の位置決め動作による位置合わせは、撮像装置を搬送方向に対して直交する方向に移動自在な構成とし、撮像装置を移動させて欠陥位置に移動させることで行う。
【0025】
本発明は、TFT液晶基板上の全域において全点の光学像を取得するものではなく、検査チャンバーで取得した欠陥位置の光学像を個別的に取得する。これによって、TFT液晶基板の搬出動作中に光学像を取得することができ、また、搬出動作への影響を低減させることができる。
【0026】
本発明のTFT液晶基板検査装置は、検査チャンバーと基板交換チャンバーとの間に、両チャンバー間を開閉するゲートバルブを有し、撮像装置は、ゲートバルブに対して、TFT液晶基板の搬送方向に対して直交する方向に移動自在とする。この構成によって、撮像装置をTFT液晶基板上において、搬送方向に対して直交する方向の位置決めを行うことができる。
【0027】
撮像装置のゲートバルブに対する配置は2つの形態とすることができる。
第1の形態において、ゲートバルブはTFT液晶基板の搬送方向に対して直交する方向に沿ってのぞき窓を備え、撮像装置はのぞき窓の外側に設ける。撮像装置は、のぞき窓を通して欠陥位置の撮像を行う。
【0028】
第2の形態において、撮像装置はゲートバルブの内側に設ける。撮像装置は、ゲートバルブ内において欠陥位置の撮像を行う。
【0029】
本発明のTFT液晶基板の光学像観察方法は、TFT液晶基板の電気的検査を行う検査チャンバーと、検査チャンバーとの間において基板を搬出入して基板を交換する基板交換チャンバーと、TFT液晶基板を撮像して光学像を取得する撮像手段と、電気的検査に基づいてTFT液晶基板の欠陥検査を行う基板検査手段とを備えるTFT液晶基板検査装置においてTFT液晶基板の光学像を観察する方法である。
【0030】
TFT液晶基板の電気的検査の後、検査チャンバーから基板交換チャンバーにTFT液晶基板を搬送する搬送動作中において、基板検査手段で検出された欠陥位置に基づいて、TFT液晶基板の搬送方向の搬送位置と、撮像手段が備える撮像装置のTFT液晶基板の搬送方向に対して直交する方向における移動位置とによってTFT液晶基板上の撮像位置を特定し、特定された撮像位置を撮像装置で撮像して欠陥位置の光学像を取得する。
【0031】
撮像装置のゲートバルブに対する配置は2つの形態とすることができる。
第1の形態では、撮像装置は検査チャンバーと基板交換チャンバーとの間に設けられたゲートバルブが備えるのぞき窓の外側で移動し、大気状態においてのぞき窓を通してTFT液晶基板の撮像位置を撮像する。
【0032】
第2の形態では、撮像装置は検査チャンバーと基板交換チャンバーとの間に設けられたゲートバルブの内部で移動し、真空状態においてTFT液晶基板の撮像位置を撮像する。
【発明の効果】
【0033】
本発明のTFT液晶基板検査装置およびTFT液晶基板の光学像観察方法によれば、光電気的検査と光学像による観察とを行うTFT液晶基板検査において、装置構成を小型化することができる。基板アレイ検査のスループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明のTFTアレイ検査装置の構成を説明するための概略図である。
【図2】本発明の撮像手段の構成を説明するための図である。
【図3】本発明による光学像の取得を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明による光学像の取得を説明するための概略断面図である。
【図5】本発明による光学像の取得を説明するための概略平面図である。
【図6】本発明による光学像の取得を説明するための斜視図である。
【図7】検査チャンバー内の固定撮像装置とステージ移動による光学像の撮像を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照しながら詳細に説明する。
【0036】
図1は本発明のTFT液晶基板検査装置の構成を説明するための概略図である。
図1において、TFT液晶基板検査装置1は、基板2を搬出入するための基板交換チャンバー(ロードロックチャンバー)10と、基板交換チャンバー10から搬入された基板2を電気的に検査する検査チャンバー(メインチャンバー)20の2つのチャンバーを備える。
【0037】
基板交換チャンバー10は、大気側から搬送された基板を検査チャンバー20に搬入し、また、検査チャンバー20で検査が終了した基板を大気側に搬出するためのチャンバーであり、大気側との間にゲートバルブ31を備え、検査チャンバー20との間にゲートバルブ32を備える。また、基板交換チャンバー10は、チャンバー内を真空排気する排気装置(図示していない)が接続されている。また、基板交換チャンバー10内には、基板2を載置したパレット3を搬送するためのパレット搬送機構11が設けられている。
【0038】
検査チャンバー20は、基板2の電気的検査を行うチャンバーである。電気的検査は電子線照射によって放出される二次電子を検出することで行うことができる。例えば、電子線を基板2に向けて照射する電子線源50a,50bと、電子線照射によって基板2から放出される二次電子検出器51a,51bと、基板2をx方向,y方向,z方向に移動するxyzステージ21を備える。xyzステージ21による移動、および電子線源50から照射される電子線の偏向によって電子線を走査させることで、基板2の全面に対して電子線を照射する。
【0039】
検査チャンバー20内において、xyzステージ21によるx方向およびy方向の移動は、電子線走査を電子線源によるx,y方向の振り幅を補うものであり、基板上の全領域の撮像画像を取得するための移動量よりも小さく、検査チャンバー20の容量も小さくて済むものである。
【0040】
検査画像形成手段52は、二次電子検出器51a,51bで検出した検出信号を入力して、基板2の電位状態に基づいて電気的検査画像を形成する。また、検査チャンバー20には、基板2に検査信号を入力するプローバ(図示してない)が設けられる。プローバ(図示してない)は、プローブピンを基板の電極に接触させることによって、基板のTFTアレイに検査信号を入力して、基板のピクセル電極を所定の電位状態とする。電子線が照射されたピクセル電極は、ピクセルの電位状態に応じた二次電子を放出する。二次電子検出器51は放出された二次電子を検出して検出信号を出力する。検査画像形成手段52は、この検出信号に基づいてピクセルの電位状態を表す検査画像を形成する。検査チャンバー20内には、チャンバー内を真空排気する排気装置(図示していない)が接続されている。
【0041】
基板交換チャンバー10と検査チャンバー20との間のゲートバルブ32の位置に撮像手段40を配置する。撮像手段40は、CCDカメラ等の撮像装置41と、撮像装置41を基板2の搬送方向に対して直交する方向に沿って移動自在に支持する移動軸42と、撮像装置41を移動軸42に沿って移動させ、所定位置に位置決めする移動機構43とを備える。
【0042】
撮像手段40の移動機構43は、撮像制御手段45の制御によって、基板2の搬送方向に対して直交する方向の所定位置に移動し位置決めされる。また、撮像手段40の撮像装置41は、撮像制御手段45の制御によって撮像動作が行われる。
【0043】
この撮像手段40を基板交換チャンバー10と検査チャンバー20との間のゲートバルブ32の位置に、基板2の搬送方向に対して直交する方向に移動自在に配置すると共に、パレット搬送機構11の搬送動作によって基板2を搬送方向に移動させることによって、基板2上の任意の位置の光学像を撮像することができる。
【0044】
検査チャンバー20から基板交換チャンバー10に検査済みの基板2を搬出する際に、基板2の全面は、必ず基板交換チャンバー10と検査チャンバー20の間にゲートバルブ32を移動して通過する。本発明は、この基板搬出動作を利用し、撮像手段40を基板交換チャンバー10と検査チャンバー20との間のゲートバルブ32に配置し、基板2の検査チャンバー20から基板交換チャンバー10に搬出動作時に、撮像装置41を移動軸42に沿って移動することによって、基板2上の任意の位置を撮像することができる。
【0045】
また、TFT液晶基板検査装置1は基板検査手段60を備える。基板検査手段60は、検査画像形成手段52から基板2の電気的検査を行うための検査画像を入力し、この検査画像に基づいて基板のTFTアレイの欠陥検査を行う。
【0046】
欠陥検査で検出された欠陥位置の位置データは撮像制御手段45に送られる。撮像制御手段45は、欠陥位置の位置データに基づいて、撮像装置41を移動軸42上の所定位置に移動させて位置決めするとともに、撮像装置41の撮像動作を制御する。撮像動作は、パレット搬送機構11の搬送位置が欠陥位置に達した時点で行われる。
【0047】
光学像形成手段44は、撮像手段40で撮像した撮像信号を入力して光学像を形成する。光学像は、表示装置46において表示されて光学的観察を行う他に、基板検査手段60に送ることができる。基板検査手段60は、検査画像に基づいて欠陥検出を行う他、光学像に基づいて欠陥部位を検査することができる。
【0048】
なお、図1では、光学像形成手段、検査画像形成手段、基板検査手段をそれぞれ個別の構成要素で示しているが、これらの構成要素は必ずしも個別に構成する必要はなく、光学像形成手段と検査画像形成手段とを一つの画像形成手段で構成したり、光学像形成手段と検査画像形成手段とを基板検査手段内に組み込む構成としたり、光学像形成手段と検査画像形成手段と基板検査手段をTFTアレイ検査装置が備える制御回路内に組み込む構成とすることもできる。
【0049】
本発明のTFTアレイ検査装置の構成によれば、欠陥位置が既知である場合には、基板交換チャンバー10から検査チャンバー20に基板2を搬入する搬送過程の間に基板2の光学像を取得することによって、検査チャンバーでの電気的検査に先駆けて、光学像を用いて光学的観察による外観検査によって欠陥箇所や汚染物質を検出したり、アレイ配列のパターンを光学的に検査することによってアレイ欠陥を検出することができる。
【0050】
図2は、本発明の撮像手段40の構成を説明するための図であり、図2(a)は平面概略図を示し、図2(b),(c)はゲートバルブ部分の概略断面図を示している。
【0051】
撮像手段40は、基板交換チャンバー10と検査チャンバー20との間のゲートバルブ32に配置され、CCDカメラ等の撮像装置41と、撮像装置41を基板2の搬送方向に対して直交する方向に沿って移動自在とする移動軸42と、撮像装置41を移動軸42に沿って移動させ所定位置に位置決めする移動機構43(図2には示していない)を備える。
【0052】
撮像装置41は、移動軸42および移動機構43によって、搬送方向に対して直交する方向において所定位置に位置決めされ、ゲートバルブ32を通過する基板2上の所定位置を撮像する。
【0053】
撮像装置41の撮像位置は、搬送方向ではゲートバルブ32を通過する位置であり、搬送方向に対して直交する方向では撮像装置41が移動軸42上で位置決めされた位置である。
【0054】
撮像手段40は、ゲートバルブ32の外側の大気側に配置する構成とする他、ゲートバルブ32の内側の真空側に配置する構成とすることができる。
【0055】
図2(b)は、撮像手段40をゲートバルブ32の外側に配置する構成例を示している。ゲートバルブ32は、内部を通過する基板2の表面と対向する側に、搬送方向と直交する方向に沿って、撮像装置41の撮像を可能とする透過性ののぞき窓34を有している。撮像手段40は、のぞき窓34に沿って移動軸42を備えると共に、移動軸42には撮像装置41が移動自在に設けられる。撮像装置41は、図示しない移動機構43によって移動軸42に沿って移動し、所定位置に位置決めされる。
【0056】
撮像装置41は、位置決めされた所定位置において、のぞき窓34を通してゲートバルブ32内の基板2を撮像する。
【0057】
この構成例によれば、撮像手段40はゲートバルブ32の外側に配置されるため、撮像装置41や移動機構43に真空用の対策が不要となる。
【0058】
図2(c)は、撮像手段40をゲートバルブ32の内側に配置する構成例を示している。ゲートバルブ32は、ゲートバルブ内において、通過する基板2の表面と対向する側に、搬送方向と直交する方向に沿って移動軸42を備えると共に、移動軸42には撮像装置41が移動自在に設けられる。撮像装置41は、図示しない移動機構43によって移動軸42に沿って移動し、所定位置に位置決めされる。
【0059】
撮像装置41は、位置決めされた所定位置においてゲートバルブ32内を通過する基板2を撮像する。
【0060】
この構成例によれば、撮像手段40はゲートバルブ32の内側に配置されるため、のぞき窓が不要となる。
【0061】
次に、図3〜図6を用いて、本発明のTFT液晶基板検査装置における光学像の取得について説明する。図3は本発明による光学像の取得を説明するためのフローチャートであり、図4は本発明による光学像の取得を説明するための概略断面図であり、図5は本発明による光学像の取得を説明するための概略平面図であり、図6は本発明による光学像の取得を説明するための斜視図である。
【0062】
基板交換チャンバー10内を大気圧状態とした後、ゲートバルブ31を開放し、ゲートバルブ31を通してパレット3上に載置された基板2を基板交換チャンバー10に搬入する(S1)。基板交換チャンバー10内において、パレット3の搬送はパレット搬送機構11によって行われる。
【0063】
基板交換チャンバー10内に基板2を搬入した後、ゲートバルブ31を閉じ、図示していない排気装置によって基板交換チャンバー10内を真空排気する。基板交換チャンバー10内を真空排気した後、ゲートバルブ32を開放して、基板交換チャンバー10と検査チャンバー20とを連通させる。このとき、検査チャンバー20内は図示しない排気装置によって真空状態となっている(S2)。
【0064】
基板2を載置したパレット3は、パレット搬送機構11によって基板交換チャンバー10から検査チャンバー20に向けて搬送され、ゲートバルブ32を通過して検査チャンバー20内に搬入される(S3)。基板2を検査チャンバー20内に搬入した後、ゲートバルブ32を閉じる(S4)。
【0065】
検査チャンバー20内で電気的検査を行って検査画像を取得する。図1に示す構成例では、電子線源50から電子線を基板2に照射し、基板2から放出された二次電子を二次電子検出器51によって検出し、検査画像形成手段52において検出信号から検査画像を形成する(S5)。基板検査手段60は、検査画像に基づいて基板の欠陥検出を行い、欠陥に種類の判定や、欠陥位置を検出する。欠陥位置の位置データは、撮像制御手段45に送られる(S6)。
【0066】
図4(a),(b)および図5(a)は、S5の検出信号および検査画像の取得工程、およびS6の欠陥位置の検出工程の状態を示している。
【0067】
ゲートバルブ32を開け(S7)、基板2を検査チャンバー20から基板交換チャンバー10への移動を開始する(S8)。
【0068】
撮像制御手段45は、基板検査手段60で検出した欠陥部位の欠陥位置の位置データに基づいて撮像装置41を移動軸42に沿って移動させ、撮像装置41の撮像範囲を欠陥位置に位置合わせする。この移動軸42に沿って行う移動による位置合わせは、搬送方向に対して直交する方向に位置である。搬送方向の位置合わせは、パレット搬送機構11の搬送位置を欠陥位置に合わせることで行う(S9)。
【0069】
撮像装置41が欠陥位置に位置合わされた時点で、撮像装置41の撮像動作を指示することによって、欠陥位置の撮像画像を取得する。
【0070】
パレット搬送機構11の搬送位置の位置合わせは、欠陥位置に基づいてパレット搬送機構11の搬送位置を制御する他、パレット搬送機構11の搬送位置を求めることで行うことができる。
【0071】
パレット搬送機構11の搬送位置は、パレット搬送機構11を駆動する駆動機構の移動量を求めることで算出する他、パレット搬送機構11が一定速度で移動する場合には、移動を開始してからの経過時間に基づいて算出することができ、算出した搬送位置が欠陥位置に達して時点で撮像装置41の撮像動作を行うことによって、欠陥位置の撮像画像を取得することができる(S10)。
【0072】
検出された全ての欠陥位置についてS9の位置合わせの工程,およびS10の撮像工程を繰り返すことによって、全欠陥位置について撮像画像を取得する(S11)。
【0073】
図4(b)、図5(b),(c)、および図6(a),(b)はS7〜S11の位置合わせ工程および撮像工程を示している。
【0074】
図5(b),(c)、および図6(a),(b)は、基板2上の2つの欠陥位置100A,100Bを撮像する例を示している。ここで、欠陥位置100Aは搬送方向の先方側に位置し、欠陥位置100Bは搬送方向の後方側に位置する例を示し、基板2を検査チャンバー20から基板交換チャンバー10に向けて搬出する場合には、欠陥位置100Aが欠陥位置100Bに先駆けてゲートバルブ32を通過する。
【0075】
撮像動作は、先に撮像装置41を欠陥位置100Aに位置合わせして撮像画像を取得した後(図5(a),図6(a))、次に欠陥位置100Bに位置合わせして撮像画像を取得する(図5(b),図6(b))。
【0076】
撮像装置41は、欠陥位置100Aで撮像画像を取得した後、移動軸42上を移動して欠陥位置100Bの内で搬送方向に対して直交する方向について位置決めされ、基板2の搬送に伴って、欠陥位置100Bの内で搬送方向について欠陥位置に達した時点で、欠陥位置の位置合わせが行われ、このとき、撮像制御手段45からの指示信号に基づいて撮像装置41の撮像動作が行われ、撮像画像が取得される。
【0077】
基板2を基板交換チャンバー10内に搬送した後(S12)、ゲートバルブ32を閉じて基板交換チャンバー10内を大気圧に戻した後、ゲートバルブ31を開放する(S13)。開放したゲートバルブ31を通して、基板2を基板交換チャンバー10から搬出する(S14)。図4(c)は、基板2が基板交換チャンバー10に搬送された状態を示している。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、基板の欠陥の有無検出、欠陥種の検出の他、検出した欠陥を修復するリペア装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0079】
1 液晶基板検査装置
2 基板
3 パレット
10 基板交換チャンバー
11 パレット搬送機構
20 検査チャンバー
21 ステージ
30 ゲートバルブ
31 ゲートバルブ
32 ゲートバルブ
34 のぞき窓
40 撮像手段
41 撮像装置
42 移動軸
43 移動機構
44 光学像形成手段
45 撮像制御手段
46 表示装置
50 電子線源
50a,50b 電子線源
51 二次電子検出器
51a,51b 二次電子検出器
52 検査画像形成手段
60 基板検査手段
100A,100B 欠陥位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TFT液晶基板の欠陥部位を検査するTFT液晶基板検査装置において、
TFT液晶基板の電気的検査を行う検査チャンバーと、
前記検査チャンバーとの間において基板を搬出入して基板を交換する基板交換チャンバーと、
前記TFT液晶基板を撮像して光学像を取得する撮像手段と、
前記電気的検査に基づいてTFT液晶基板の欠陥検査を行う基板検査手段とを備え、
前記撮像手段は、
前記検査チャンバーと前記基板交換チャンバーとの間に配置される撮像装置と、当該撮像装置の撮像動作、およびTFT液晶基板の搬送方向に対し直交する方向において前記撮像装置を位置決めする位置決め動作を制御する撮像制御手段とを備え、
TFT液晶基板の搬送方向の搬送動作、および前記撮像制御手段による位置決め動作によって、前記基板検査手段で検出された欠陥位置と撮像装置とを位置合わせし、
前記撮像装置は、前記撮像制御手段による撮像動作の制御によって、前記欠陥位置の光学像を取得することを特徴とする、TFT液晶基板検査装置。
【請求項2】
前記検査チャンバーと前記基板交換チャンバーとの間に、両チャンバー間を開閉するゲートバルブを有し、
前記撮像装置は、前記ゲートバルブに対して、TFT液晶基板の搬送方向に対して直交する方向に移動自在であることを特徴とする、請求項1に記載のTFT液晶基板検査装置。
【請求項3】
前記ゲートバルブは、TFT液晶基板の搬送方向に対して直交する方向に沿ってのぞき窓を備え、
前記撮像装置は前記のぞき窓の外側に設けられ、当該のぞき窓を通して欠陥位置の撮像を行うことを特徴とする、請求項2に記載のTFT液晶基板検査装置。
【請求項4】
前記撮像装置は前記ゲートバルブの内側に設けられ、ゲートバルブ内において欠陥位置の撮像を行うことを特徴とする、請求項2に記載のTFT液晶基板検査装置。
【請求項5】
TFT液晶基板の電気的検査を行う検査チャンバーと、前記検査チャンバーとの間において基板を搬出入して基板を交換する基板交換チャンバーと、前記TFT液晶基板を撮像して光学像を取得する撮像手段と、前記電気的検査に基づいてTFT液晶基板の欠陥検査を行う基板検査手段とを備えるTFT液晶基板検査装置においてTFT液晶基板の光学像を観察する方法であり、
TFT液晶基板の電気的検査の後、検査チャンバーから基板交換チャンバーにTFT液晶基板を搬送する搬送動作中において、
前記基板検査手段で検出された欠陥位置に基づいて、
TFT液晶基板の搬送方向の搬送位置と、前記撮像手段が備える撮像装置のTFT液晶基板の搬送方向に対して直交する方向における移動位置とによってTFT液晶基板上の撮像位置を特定し、
前記特定された撮像位置を前記撮像装置で撮像して欠陥位置の光学像を取得することを特徴とする、TFT液晶基板の光学像観察方法。
【請求項6】
前記撮像装置は、検査チャンバーと基板交換チャンバーとの間に設けられたゲートバルブが備えるのぞき窓の外側で移動し、大気状態においてのぞき窓を通してTFT液晶基板の撮像位置を撮像することを特徴とする、請求項5に記載のTFT液晶基板の光学像観察方法。
【請求項7】
前記撮像装置は、検査チャンバーと基板交換チャンバーとの間に設けられたゲートバルブの内部で移動し、真空状態においてTFT液晶基板の撮像位置を撮像することを特徴とする、請求項5に記載のTFT液晶基板の光学像観察方法。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図2】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−97194(P2013−97194A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240451(P2011−240451)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)
【Fターム(参考)】