説明

TRPA1アンタゴニスト

、R、R、mおよびYが本明細書において定義される式(I)の化合物はTRPA1アンタゴニストである。このような化合物を含む組成物、ならびにこのような化合物および組成物を用いて状態および障害を治療するための方法も開示される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね、TRPA1アンタゴニスト、このような化合物を含む組成物、ならびにこのような化合物および組成物を用いて状態および障害を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
TRPA1は、一過性受容器電位(TRP)イオンチャネルのスーパーファミリーに属する非選択性陽イオンチャネルである。他のファミリーメンバー同様、機能性TRPA1チャネルは、6つの膜貫通ドメイン、膜貫通ドメイン5(S5)と6(S6)の間のポアループ、ならびに細胞内N末端およびC末端を各々が含んでいる4個のサブユニットの四量体化によって形成されている。TRPA1は、感覚ニューロンにおいて発現され、TRPV1、カルシトニン遺伝子関連ペプチドおよびブラジキニン受容体などの疼痛マーカーと一緒に共存している(Nagata,K.ら、Journal of Neuroscience、2005年、25巻、4052−4061頁;Story,G.M.ら、Cell、2003年、112巻、819−829頁;Corey,D.P.ら、Nature、2004年、432巻、723−730頁;Bautista,D.M.ら、Proceedings of the National Academy of Science U.S.A.、2005年、102巻、12248−12252頁;Jaquemar,D.ら、Journal of Biological Chemistry、1999年、274巻、7325−7333頁)。疼痛モデルにおいて、遺伝子特異的アンチセンスによるTRPA1発現のノックダウンは、炎症および神経損傷によって誘発される冷痛覚過敏を防止し、逆転した(Obata,K.ら、Journal of Clinical Investigation、2005年、115巻、2393−2401頁;Jordt,S.E.ら、Nature、2004年、427巻、260−265頁;Katsura,H.ら、Exploratory Neurology、2006年、200巻、112−123頁)。さらに、TRPA1遺伝子のノックアウトは、感覚機能の損傷およびブラジキニン誘発性疼痛過敏における欠損をもたらした(Kwan,K.Y.ら、Neuron、2006年、50巻、277−289頁;Bautista,D.M.ら、Cell、2006年、124巻、1269−1282頁)。まとめると、これらのデータは、TRPA1が、感覚機能および疼痛状態において重要な役割を果たすことを示唆している。リガンド依存性チャネルとして、TRPA1は、侵害寒冷、細胞内Ca2+、内因性物質(例えば、ブラジキニン)、刺激性の天然物(例えば、イソチオシアン酸アリルすなわちAITC)、環境刺激物(例えば、アクロレイン)、両親媒性分子(例えば、トリニトロフェノールおよびクロルプロマジン)ならびに薬理学的物質(例えば、URP597)を含めた様々な刺激によって活性化され得る(Macpherson,L.J.ら、Current Biology、2005年、15巻、929−934頁;Bandell,M.ら、Neuron、2004年、41巻、849−857頁)。ブラジキニンがその受容体に結合した後、ブラジキニンはホスホリパーゼC経路を介して間接的にTRPA1を活性化する。トリニトロフェノールおよびクロルプロマジンは、脂質2重層の膜において弯曲または円鋸歯を誘発することによって、TRPA1を開口する(Xu,H.ら、Nat.Neurosci.、2006年、9巻、628−635頁;Hill,K.およびSchaefer,M.、J.Biol.Chem.、2007年、282巻、7145−7153頁;Niforatos,W.ら、Molecular Pharmacology、2007年、71巻、1209−1216頁)。ごく最近、TRPA1アゴニストがチャネルタンパク質と間接的に相互作用し得ることが示された。AITCおよびシンナムアルデヒドは、細胞質N末端において局在しているいくつかのシステイン残基およびリジン残基を共有結合によって修飾し、チャネルを活性化する(Hinman,A.、Chuang,H.H.、Bautista,D.M.、およびJulius,D.、Proceedings of the National Academy of Science U.S.A.、2006年、103巻、19564−19568頁;Macpherson,L.J.、Dubin,A.E.、Evans,M.J.、Marr,F.、Schultz,P.G.、Cravatt,B.F.、およびPatapoutian,A.、Nature、2007年、445巻、541−545頁)。さらに、細胞内Ca2+は、N末端EFハンドドメインに結合し、チャネル開口を媒介する(Zurborg,S.ら、Nature Neuroscience、2007年、10巻、277−279頁)。これらの発見はともに、TRPA1の潜在的な生理学的役割を明らかにしており、TRPA1チャネルゲーティングが様々な機序および分子決定要因を用いている可能性も指摘している。
【0003】
このように、TRPA1の調節は、多くの産業上および治療上の適用を有し得る。例えば、TRPA1アンタゴニストは、哺乳動物、特にヒトにおける侵害受容性疼痛および神経障害性疼痛の治療および/または予防に適する、当技術分野における新しい鎮痛薬に対する必要性を満たすことができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Nagata,K.ら、Journal of Neuroscience、2005年、25巻、4052−4061頁
【非特許文献2】Story,G.M.ら、Cell、2003年、112巻、819−829頁
【非特許文献3】Corey,D.P.ら、Nature、2004年、432巻、723−730頁
【非特許文献4】Bautista,D.M.ら、Proceedings of the National Academy of Science U.S.A.、2005年、102巻、12248−12252頁
【非特許文献5】Jaquemar,D.ら、Journal of Biological Chemistry、1999年、274巻、7325−7333頁
【非特許文献6】Obata,K.ら、Journal of Clinical Investigation、2005年、115巻、2393−2401頁
【非特許文献7】Jordt,S.E.ら、Nature、2004年、427巻、260−265頁
【非特許文献8】Katsura,H.ら、Exploratory Neurology、2006年、200巻、112−123頁
【非特許文献9】Kwan,K.Y.ら、Neuron、2006年、50巻、277−289頁
【非特許文献10】Bautista,D.M.ら、Cell、2006年、124巻、1269−1282頁
【非特許文献11】Macpherson,L.J.ら、Current Biology、2005年、15巻、929−934頁
【非特許文献12】Bandell,M.ら、Neuron、2004年、41巻、849−857頁
【非特許文献13】Xu,H.ら、Nat.Neurosci.、2006年、9巻、628−635頁
【非特許文献14】Hill,K.およびSchaefer,M.、J.Biol.Chem.、2007年、282巻、7145−7153頁
【非特許文献15】Niforatos,W.ら、Molecular Pharmacology、2007年71巻、1209−1216頁
【非特許文献16】Hinman,A.、Chuang,H.H.、Bautista,D.M.、およびJulius,D.、Proceedings of the National Academy of Science U.S.A.、2006年、103巻、19564−19568頁
【非特許文献17】Macpherson,L.J.、Dubin,A.E.、Evans,M.J.、Marr,F.、Schultz,P.G.、Cravatt,B.F.、およびPatapoutian,A.、Nature、2007年、445巻、541−545頁
【非特許文献18】Zurborg,S.ら、Nature Neuroscience、2007年、10巻、277−279頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
TRPA1の阻害によって改善される障害を治療するための方法が本明細書に開示される。このような方法は、治療有効量の1つまたは複数のTRPA1アンタゴニストを、単独で、または1つもしくは複数の薬学的に許容される担体と組み合わせて対象に投与することを含む。使用されるTRPA1アンタゴニストは、式(I)の化合物:
【0006】
【化1】

[式中、
TRPA1アンタゴニストは、(Z)−4−(4−クロロフェニル)−3−メチルブト−3−エン−2−オキシムでも、(E)−4−(4−クロロフェニル)−3−メチルブト−3−エン−2−オキシムでもないという条件で、
はフェニル基の場合による置換基を表し、各Rは独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、−CN、ハロゲン、−OR、−NO、−N(R)(R)、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)1a、−N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)N(R)(R)、−N(R)S(O)N(R)(R)、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R)(R)、−SR、−SF、−S(O)R1a、−S(O)1a、−S(O)OR1a、−S(O)N(R)(R)、−(CR−CN、ハロアルキル、−(CR−OR、−(CR−NO、−(CR−N(R)(R)、−(CR−N(R)C(O)R、−(CR−N(R)S(O)1a、−(CR−N(R)C(O)OR、−(CR−N(R)C(O)N(R)(R)、−(CR−N(R)S(O)N(R)(R)、−(CR−C(O)R、−(CR−C(O)OR、−(CR−C(O)N(R)(R)、−(CR−S(O)1a、−(CRS(O)OR1aまたは−(CRS(O)N(R)(R)であり、
は、水素、C1−6アルキルまたはハロアルキルであり、
は、C1−6アルキル、ハロアルキルまたはシクロプロピルであり、シクロプロピルは、Rによって表される置換基1、2、3、4、または5個で場合によって置換されており、
は、各出現時、独立に、C1−4アルキル、ハロゲンまたはハロアルキルであり、
Yは、−OH、−O(C1−4アルキル)、−N(R)(R)、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)または−N(R)C(O)N(R)(R)であり、
およびRは、各出現時、各々独立に、水素、アルキルまたはハロアルキルであり、
1aは、各出現時、独立に、アルキルまたはハロアルキルであり、
およびRは、各出現時、各々独立に、水素、アルキル、ハロゲンまたはハロアルキルであり、
およびRは、各出現時、各々独立に、水素、アルキルまたはハロアルキルであり、
mは、0、1、2、3、4または5であり、
qは、1、2、3または4である。]
もしくは溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩、またはこれらの任意の組合せから選択される。
【0007】
一部の方法は、急性脳虚血、慢性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、帯状疱疹後疼痛、ニューロパチー、神経痛、糖尿病性ニューロパチー、HIV関連ニューロパチー、神経損傷、関節リウマチ痛、骨関節炎痛、火傷、背痛、内臓痛、癌性疼痛、歯痛、頭痛、片頭痛、手根管症候群、線維筋痛症、神経炎、坐骨神経痛、骨盤過敏症、骨盤痛、生理痛、膀胱疾患(例えば、失禁、排尿異常、腎仙痛および膀胱炎)、炎症(例えば、火傷、関節リウマチおよび骨関節炎)、神経変性疾患(例えば、脳卒中、卒中後疼痛および多発性硬化症)、肺疾患(例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および気管支収縮)、消化器疾患(例えば、胃食道逆流症(GERD)、嚥下障害、潰瘍、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、腸炎およびクローン病)、虚血(例えば、脳血管虚血)、嘔吐(癌化学療法誘発性嘔吐)または肥満に罹患している対象を治療するためのものである。一部の実施形態において、治療される対象はヒトである。一部の方法において、1つもしくは複数の第2の疼痛緩和剤が、単独で、または1つもしくは複数の薬学的に許容される(1つもしくは複数の)担体と一緒に、上記に記載した(1つもしくは複数の)TRPA1アンタゴニストと同時投与され得る。
【0008】
本発明のさらなる一態様は、本明細書に開示される状態および障害を治療するための薬剤の製造における、TRPA1アンタゴニストの、単独の、または1つもしくは複数の第2の疼痛緩和剤と組み合わせた使用を提供する。
【0009】
例えば、第2の疼痛緩和剤は、アセトアミノフェン、もしくは非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)から選択される鎮痛薬、またはこれらの組合せであってよい。一部の実施形態において、非ステロイド性抗炎症薬はイブプロフェンである。第2の疼痛緩和剤はオピオイドであってもよい。
【0010】
1つもしくは複数の式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩を、単独で、または1つもしくは複数の第2の疼痛緩和剤と組み合わせて含む医薬組成物も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】骨関節炎ラットにおける後肢把持力に対する実施例1の効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明において、式(I)の化合物:
【0013】
【化2】

[式中、R、R、R、Yおよびmは、発明の概要において上記に、および発明を実施するための形態において下記に定義される。]が開示される。さらに、このような化合物を含む組成物、ならびにこのような化合物および組成物を用いて状態および障害を治療するための方法も開示される。
【0014】
本明細書に開示される化合物は、あらゆる置換基において、または本明細書の式において1回を超えて生じる1つまたは複数の変数を含むことができる。各出現時の変数の定義は、別の出現時のその定義と独立している。さらに、置換基の組合せは、そのような組合せが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容できる。安定な化合物は、反応混合物から単離され得る化合物である。
【0015】
a.定義
反対のことが明示されない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる以下の語は、以下に示される意味を有する。
【0016】
本明細書で用いられる「アルケニル」の語は、炭素2個から10個を含み、少なくとも1つの炭素間2重結合を含む、直鎖または分枝鎖の炭化水素を意味する。アルケニルの代表例は、それだけには限定されないが、エテニル、2−プロペニル、2−メチル−2−プロペニル、3−ブテニル、4−ペンテニル、5−ヘキセニル、2−ヘプテニル、2−メチル−1−ヘプテニル、および3−デセニルを含む。
【0017】
本明細書で用いられる「アルキル」の語は、炭素原子1個から10個を含む直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素鎖を意味する。「C1−6アルキル」の語は、炭素原子1個から6個を含む、直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素鎖を意味する。「C1−4アルキル」の語は、炭素原子1個から4個を含む、直鎖または分枝鎖の飽和炭化水素鎖を意味する。アルキルの代表例は、それだけには限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニルおよびn−デシルを含む。
【0018】
本明細書で用いられる「アルキニル」の語は、炭素原子2個から10個を含み、少なくとも1つの炭素間3重結合を含む、直鎖または分枝鎖の炭化水素基を意味する。アルキニルの代表例は、それだけには限定されないが、アセチレニル、1−プロピニル、2−プロピニル、3−ブチニル、2−ペンチニル、および1−ブチニルを含む。
【0019】
本明細書で用いられる「ハロ」または「ハロゲン」の語は、−Cl、−Br、−I、または−Fを意味する。
【0020】
本明細書で用いられる「ハロアルキル」の語は、本明細書で定義されるアルキル基によって親分子部分に付加している、本明細書で定義される少なくとも1つのハロゲンを意味する。ハロアルキルの代表例は、それだけには限定されないが、クロロメチル、2−フルオロエチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、4,4,4−トリフルオロブチル、および2−クロロ−3−フルオロペンチルが含む。
【0021】
「対象」の語は、哺乳動物、特にヒト、および他の非ヒトの動物、例えば、ウマ、イヌ、ネコ、およびサカナを含む。
【0022】
b.化合物
本発明の化合物は、上記に記載される一般式(I)を有する。
【0023】
式(I)の化合物における可変の基の特定の値は、以下の通りである。このような値は、任意の他の値、定義、特許請求の範囲、または本明細書中で以上または以下に規定される実施形態と併せて適している場合に使用され得る。
【0024】
式(I)の化合物において、Rは、水素、C1−6アルキル、またはハロアルキルである。例えば、Rは、それだけには限定されないが、メチルなどのC1−6アルキルである。一部の実施形態において、Rは水素である。
【0025】
は、C1−6アルキル、ハロアルキル、または場合によって置換されているシクロアルキルである。例えば、Rは、それだけには限定されないが、メチル、エチル、n−プロピル、tert−ブチル、n−ブチル、およびイソプロピルなどのC1−6アルキルである。
【0026】
は、発明の概要に記載された通り、式(I)におけるフェニル基の場合による置換基である。特定の実施形態において、Rは、ハロゲン、アルキル(例えば、それだけには限定されないがメチルなどのC1−4アルキル)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)、または−CNである。
【0027】
Yは、−OH、−O(C1−4アルキル)、−N(R)(R)、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)、または−N(R)C(O)N(R)(R)であり、RおよびRは、発明の概要において記載された通りである。特定の実施形態において、Yは−OHまたは−O(C1−4アルキル)であり、例えば、Yは−OHまたは−O(メチル)である。本発明の特定の実施形態は、式(I)の化合物を含み、Yは、−N(R)(R)、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)、または−N(R)C(O)N(R)(R)であり、RおよびRは発明の概要において記載された通りである。
【0028】
本発明は、具体的な実施形態、より具体的な実施形態、および好ましい実施形態を含めた上記の実施形態と組み合わせて、式(I)の化合物、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩、溶媒和化合物、またはこれらの任意の組合せを用いて、本明細書に記載される状態および障害を治療するための方法を企図することが理解される。
【0029】
したがって、式(I)の化合物の基の例は、それだけには限定されないが、RがC1−6アルキルであり、RがC1−6アルキルであり、m、R、およびYが発明の概要において開示された通りであるものを含む。例えば、Rはメチルである。例えば、Rは、エチル、n−プロピル、tert−ブチル、n−ブチル、およびイソプロピルを包含する。
【0030】
式(I)の化合物の基の他の例は、それだけには限定されないが、Rが水素であり、RがC1−6アルキルであり、m、R、およびYが、発明の概要において開示された通りであるものを包含する。例えば、Rは、エチル、n−プロピル、tert−ブチル、n−ブチル、およびイソプロピルを包含する。
【0031】
本明細書上記に記載された式(I)の化合物の2つの基の範囲内で、サブグループの例はYが−OHであるものを含む。
【0032】
サブグループの他の例は、それだけには限定されないが、YがO(C1−4アルキル)であるもの、例えば、Yが−O(メチル)であるものを含む。
【0033】
式(I)の化合物のさらに別のサブグループの例は、Yが、−N(R)(R)、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)、または−N(R)C(O)N(R)(R)であり、RおよびRが、発明の概要において記載された通りであるものを含む。
【0034】
先の段落において開示された式(I)の化合物の他の基およびサブグループ全ての中で、Rおよびmは概要において記載された通りである。例えば、Rは、ハロゲン、アルキル(例えば、それだけには限定されないが、メチルなどのC1−4アルキル)、ハロアルキル(例えば、トリフルオロメチル)または−CNである。一実施形態において、mは0である。他の実施形態において、mは、1、2または3である。
【0035】
式(I)の化合物は、1つまたは複数の非対称的に置換されている原子を含有し得る。本発明は、様々な個々の立体異性体(エナンチオマーおよびジアステレオマーを含む)ならびにそれらの混合物を企図するものである。本発明の化合物の個々の立体異性体は、当業者に知られている方法を用いて、不斉中心もしくはキラル中心を含有する市販の出発材料から合成によって、またはラセミ混合物の調製およびその後の個々の立体異性体の分割によって調製され得る。分割の例は、例えば、(i)エナンチオマーの混合物のキラル補助基への付着、再結晶もしくはクロマトグラフィーによる得られたジアステレオマーの混合物の分離、その後の光学的に純粋な生成物の遊離、または(ii)キラルクロマトグラフィーカラム上の、エナンチオマーもしくはジアステレオマーの混合物の分離である。
【0036】
本発明は、炭素間2重結合、炭素−窒素2重結合、シクロアルキル基、または複素環基周辺の置換基の配置に起因する、様々な幾何異性体およびそれらの混合物も企図するものである。炭素間2重結合または炭素−窒素2重結合周辺の置換基は、ZまたはE立体配置であると呼ばれ、シクロアルキルまたは複素環周辺の置換基は、シスまたはトランス立体配置であると呼ばれる。
【0037】
式(I)の化合物の可能な幾何異性体の一部の例は、それだけには限定されないが、(Ia)、(Ib)、(Ic)、および(Id)
【0038】
【化3】

[式中、R、m、R、R、およびYは、発明の概要および発明を実施するための形態において記載された意味を有する。]を包含する。R、R、Y、mおよびRに対する実施形態ならびに式(I)について記載された具体的な実施形態およびより具体的な実施形態を含めた実施形態の組合せは、式(Ia)、(Ib)、(Ic)および(Id)の化合物についても企図されることが理解される。
【0039】
本発明の範囲内で、本明細書に開示する化合物は、互変異性の現象を表すことがあり、互変異性の異性体全てが本発明の範囲内に含まれることを理解されたい。
【0040】
したがって、本明細書内の式の図は、ただ1つの可能な、互変異性の、幾何異性の、または立体異性の形態を表すものであり得る。本発明は、あらゆる互変異性の、幾何異性の、または立体異性の形態、およびこれらの混合物を包含し、式の図の範囲内に利用されるあらゆる1つの互変異性の、幾何異性の、または立体異性の形態だけに限定されないことを理解されたい。
【0041】
本明細書に記載する状態および障害の治療のために用いられる、例示のTRPA1アンタゴニストには、それだけには限定されないが、
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンO−メチルオキシム;
(1E,3E)−1−(2−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルヘクス−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2,4,4−トリメチルペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルヘプト−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3Z)−1−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジメチルペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジメチルペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3Z)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム;
(2E,3E)−4−(4−フルオロフェニル)ブト−3−エン−2−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)ヘクス−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)ペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3Z)−1−(4−フルオロフェニル)ペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(3,4−ジフルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム;および
(1E,3E)−2−メチル−1−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ペント−1−エン−3−オンオキシム;
または薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩、溶媒和化合物、またはこれらの組合せが含まれる。
【0042】
c.生物学的データ
(i)インビトロデータ−阻害の作用強度の測定
Chen,J.ら、Journal of Biomolecular Screening、2007年、12巻、61−69頁において記載されている通りに、分子生物学および一過性の発現を行った。簡潔に述べると、TRPA1全長cDNAを、ヒト後根神経節全RNA(BD Bioscience Clontech、Palo Alto、CA、米国)から増幅し、pcDNA3.1/V5−His Topoベクター(Invitrogen、Carlsbad、CA)中にクローニングした。製造元(Invitrogen)によって推奨されるFreeStyle(商標)293 Expression Systemを用いて、大規模の一過性のトランスフェクションを行った。HEK293−F細胞を、フラスコ(細胞体積30mLから1リットル)中、またはWave Bioreactor(Wave Biotech、Somerset、NJ)(6リットル)中の懸濁液中で増殖させた。高密度、懸濁培養液、およびトランスフェクションを支持するために、細胞を、最適化された無血清処方であるFreeStyle293培地中で培養した。トランスフェクション試薬として293fectin(商標)を用いた。3×10細胞(体積30mL)のトランスフェクションにおいて、プラスミドDNA30μgおよび293フェクチン40μLを用いた。より大きな体積のトランスフェクションに対して、各試薬を比例的にスケールアップした。トランスフェクション2日後、細胞を遠心分離(1000×g、5分)によって回収し、凍結培地(Freestyle培地/10%血清/10%DMSO)中1.5×10細胞/mLの密度に再懸濁した。細胞を、2mLのアリコートでクライオバイアル中に移し、これらのバイアルを、−80℃のNalgene Mr.Frostyスローフリーズ装置(Sigma−Aldrich、St.Louis、MO)中に配置した。必要に応じてバイアルを−80℃から除去し、37℃水浴中で速やかに解凍した。細胞を、Freestyle培地を含むコニカルチューブ中に無菌的に移した(10mL/バイアル)。1000×gで3−5分間遠心後、吸引によって培地を除去し、細胞を、所望の密度(典型的には1×10細胞/mL)でFreestyle培地中に再懸濁した。再懸濁した細胞を、黒色壁透明底の96ウェルBiocoat(商標)ポリ−D−リジンアッセイプレート(BD Biosciences、Bedford、MA)中に接種し(10細胞/ウェル)、加湿した5%CO雰囲気下、37℃で一夜インキュベートした。
【0043】
FLIPRベースの細胞内Ca2+アッセイおよび膜電位アッセイ
FLIPRカルシウムアッセイキット(R8033、Molecular Devices、Sunnyvale、CA)を用いてCa2+流入を測定した。Ca2+指示染料を、製造元の指示にしたがって、20mM HEPESバッファーを補ったHanks平衡塩溶液(HBSS/HEPES)中に溶解した。アッセイ開始前に培地を吸引によって除去し、室温で2時間から3時間、細胞にCa2+染料100μLをローディングした。AITC(イソチオシアン酸アリル)を用いてチャネルを活性化および開口した。試験化合物の(4×)溶液をHBSS/HEPES中調製し、50μLを10μL/秒の送達速度で細胞に加えた。蛍光における変化を、蛍光測定画像解析用プレートリーダー(FLIPR、Molecular Devices)において経時的に測定した。実験運転の経過にわたって追加を2つ行った。アゴニスト実験では、アッセイバッファーを10秒の時間点で加え、引き続き3分10秒の時間点でアゴニストを加えた。アンタゴニスト実験では、アンタゴニストを10秒の時間点で加え、引き続き3分後にアゴニストを加えた。アゴニスト実験およびアンタゴニスト実験両方に対する最終のアッセイ体積は200μLであった。実験運転の長さの合計は6.5分であった。
【0044】
曲線適合した濃度−効果データおよび派生するEC50およびIC50値に対する4パラメータのロジスティックなHillの等式を用いてGraphPad Prism(登録商標)ソフトウエア(GraphPad Software、San Diego、CA)でデータを分析した。数値を平均±SEM(n=実験数)として報告する。SEMは、標準偏差を試料サイズ(マイナス1)の平方根によって除すことによって算出される。
【0045】
膜電位における変化を、FLIPR膜電位アッセイキット(R8034、Molecular Devices)を用いて、hTRPA1発現性LSTT細胞において測定した。LSTT細胞を解凍およびプレーティングするための手順は、Ca2+流入アッセイ(上記を参照されたい)と同じであった。膜電位染料を、製造元の指示にしたがってHBSS/HEPESバッファー中に溶解し、次いで、室温で45分から2時間、細胞に染料をローディングした(100μL/ウェル)。化学薬剤を添加するためのプロトコール、および蛍光における変化の測定は、発光フィルターの設定をのぞいてCa2+流入アッセイと同じであった。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】

【0047】
本発明の特定の化合物を上記に記載したアッセイにおいて試験したが、本発明の特定の化合物は、約25μMから約100nMまでの、例えば約5μMから約80nMまでのIC50値で、有効なTRPA1アンタゴニストである。
【0048】
(ii)薬物動態学的データ
絶食させたSprague−Dawleyオスラット3匹の群に、試験化合物10μmol/kg(2m/kg)の経口用量を胃管栄養法によって投与した。化合物を10%DMSO/ポリ(エチレングリコール)−400(v/v)中溶液として調製した。血液試料を、投与後8時間までの様々な時間点で、各動物から採取した。
【0049】
試験化合物を、血漿および脳ホモジネートから、tert−ブチルメチルエーテルで液−液抽出を用いて選択的に抽出した。対象の化合物を、流速0.35ml/分のアセトニトリル:0.1%トリフルオロ酢酸水溶液の移動相で、50×3mm、LunaCNカラム(Phenomenex)上で同時抽出した不純物から分離した。Turbo Ion Sprayインターフェース付きAPI2000上HPLC−MS/MSによって、ポジティブイオン化モードにおけるMRM検出で血漿濃度を測定した。化合物の濃度をキャリブレーションするために、各組織試料の別々の部分を、既知量の試験化合物と一緒にスパイクし、試料と同時に分析した。結果を表2に示す。
【0050】
【化4】

【0051】
【表2】

【0052】
表2に示すように、例1は、TRPA1の阻害において化合物Aより良好な作用強度、および化合物Aよりも優れたバイオアベイラビリティを表した。例1のCNS浸透は、経口投与後の脳/血漿比によって実証されるように、化合物Aよりやはり優れている。これらの結果は、本発明の化合物は、疼痛、特に慢性炎症性疼痛および骨関節症痛などの中枢の感作によって媒介される疼痛における治療のためのより優れた治療薬として価値あることを示唆している。
【0053】
(iii)インビトロデータ−骨関節炎ラットにおける把持力に対する効果
ハロタン(Halocarbon Laboratories、River Edge、NJ)軽(2−4%)麻酔下、26Gニードルを用いて関節腔中にモノヨード酢酸ナトリウム(MIA)(Sigma、St.Louis、MO)(滅菌等張食塩水0.05mL中3mg)の関節内(i.a.)単回注射によって、ラットに、片側性の膝関節骨関節炎を誘発した。注射後、動物を麻酔効果から回復させた(通常5−10分)後、それらのホームケージに戻した。MIA注射21日後、動物を試験した。市販の把持力における、後肢ストレインゲージの設定上に及ぼされる最大圧縮力を記録することによって、ピークの後肢把持力の測定を行った。
【0054】
図1は、骨関節炎ラット測定系(Columbus Instruments、Columbus、OH)における後肢把持力に対する実施例1の効果を示すものである。この実験において、ED50は112μmol/kgp.o.(95%CI、79−158μmol/kg)であった。試験中、各ラットを、その胸郭周囲に把持することによって優しく拘束し、次いでストレインゲージに付着させたワイヤーメッシュ枠(10−12cm)を把持させた。次いで、実験者は、把持が解かれるまで頭側から尾側の方向で動物を移動させた。各ラットを、約2分の間隔で引き続き2回試験して、生の平均把持力を得た(CFmax)。この生の平均把持力のデータを、次に、各動物に対する体重1kgごとの最大後肢圧縮力(CFmax)(重量グラム)に変換した。年齢適合させた無処置の動物の群を各実験に加え、試験した化合物に対する様々な用量群から得たデータを無処置群と比較した。実施例1はこのモデルにおいて完全に有効であり、ED50は112μmol/kgである。例1は経口用量の増加とともに、優れた血漿および脳の曝露を表す。骨関節炎把持力モデルにおける100μmol/kg用量では、例1の血漿濃度の測定値は6.2μMであった。
【0055】
d.化合物を用いる方法
本明細書に記載する化合物はTRPA1アンタゴニストであり、TRPA1の発現、修飾、制御、もしくは活性化を妨害することができ、またはTRPA1の通常の生物学的活性(例えば、そのイオンチャネル)の1つもしくは複数を下方制御することができる。
【0056】
本発明の一実施形態は、そのような治療を必要とする対象におけるTRPA1受容体を阻害することによって改善され得る障害を治療するための方法を提供する。方法は、治療有効量の1つまたは複数の式(I)の化合物、溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩、またはこれらのあらゆる組合せを、単独で、または1つもしくは複数の薬学的に許容される担体と組み合わせて投与することを含む。
【0057】
本発明の別の一実施形態は、このような治療を必要とする対象における、疼痛(例えば、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、炎症性疼痛、骨関節炎痛など)を治療するための方法を提供する。上記方法は、治療有効量の1つまたは複数の式(I)の化合物、溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩、またはこれらのあらゆる組合せを、単独で、または1つもしくは複数の薬学的に許容される担体と組み合わせて投与することを含む。
【0058】
本発明のさらに別の一実施形態は、哺乳動物、特にヒトにおける、急性脳虚血を含む虚血、慢性疼痛、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、異痛症、炎症性疼痛、炎症性痛覚過敏、帯状疱疹後神経痛、ニューロパチー、神経痛、糖尿病性ニューロパチー、HIV関連ニューロパチー、神経損傷、関節リウマチ痛、骨関節炎痛、火傷、背痛、内臓痛、癌性疼痛、歯痛、頭痛、片頭痛、手根管症候群、線維筋痛症、神経炎、坐骨神経痛、骨盤過敏症、骨盤痛および生理痛を含めた疼痛;膀胱疾患(例えば、失禁および膀胱過活動、膀胱炎、排尿異常および腎仙痛)、炎症(例えば、火傷、口腔粘膜炎、関節リウマチおよび骨関節炎)、神経変性疾患(例えば、脳卒中、脳卒中後疼痛および多発性硬化症)、肺疾患(例えば、喘息、咳、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および気管支収縮)、皮膚疾患(例えば、乾癬、湿疹および皮膚炎)、消化器疾患(例えば、胃食道逆流症(GERD)、嚥下障害、潰瘍、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、腸炎およびクローン病)、虚血(例えば、脳血管虚血)、嘔吐(例えば、癌化学療法誘発性嘔吐)を予防または治療するための方法を提供する。例えば、式(I)の化合物は、疼痛、特に、侵害受容性疼痛、および炎症性疼痛、より詳しくは骨関節炎痛を治療するのに有用である。この方法は、それを必要とする対象に、治療有効量の1つもしくは複数の式(I)の化合物、溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩、またはこれらのあらゆる組合せを、単独で、または1つもしくは複数の薬学的に許容される担体と組み合わせて投与するステップを含む。
【0059】
それだけには限定されないが、実施例において特定されるもの、溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩、またはこれらのあらゆる組合せを含めた式(I)の化合物は、Bautista,D.、Cell、2006年、124巻、1269−1282頁;Trevisani,M.ら、Proceedings of the National Academy of Sciences USA、2007、104巻、13519−13524頁;Dai,Y.ら、Journal of Clinical Investigation、2007年、117巻、1979−1987頁;Diogenes,A.ら、Journal of Dental Research、2007年、86巻、550−555頁;Katsura,H.ら、Journal of Neurochemistry、2007年、102巻、1614−1624頁;ならびにMcMahon,S.B.ら、Cell、2006年、124巻、1123−1125頁によって示されている通り、炎症性疼痛、侵害受容性疼痛および神経障害性疼痛の予防または治療に用いられ得る。
【0060】
それだけには限定されないが、実施例において特定されるもの、溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩、またはこれらのあらゆる組合せを含めた式(I)の化合物は、Kimball,E.S.ら、Neurogastroenterology & Motility、2007年、19巻、90−400頁によって示されている通り、大腸炎およびクローン病の予防または治療に用いられ得る。
【0061】
それだけには限定されないが、実施例において特定されるもの、溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩、またはこれらのあらゆる組合せを含めた式(I)の化合物は、咳、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器過敏症の予防または治療に用いられ得る(Andreら、Journal of Clinical Investigation、2008年、118巻、2574−2582頁;Bessacら、Journal of Clinical Investigation、2008年、118巻、1899−1910頁;Simon and Liedtke、Journal of Clinical Investigation、2008年、118巻、2383−2386頁)。
【0062】
それだけには限定されないが、実施例において特定されるもの、溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩、またはこれらのあらゆる組合せを含めた式(I)の化合物は、Penuelas,A.ら、European Journal of Pharmacology、2007年、576巻、143−150頁、およびHayashi,S.、Inflammopharmacology、2007年、15巻、218−222頁によって示されている通り、過敏性腸症候群(IBS)および炎症性腸疾患(IBD)などの消化器疾患の予防または治療に用いられ得る。
【0063】
それだけには限定されないが、実施例において特定されるもの、溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩、またはこれらのあらゆる組合せを含めた式(I)の化合物は、Story,G.M.、Current Neuropharmacology、2006年、4巻、183−196頁、ならびにStory,G.M.およびGereau,R.W.、Neuron、2006年、50巻、177−180頁によって示されている通り、冷痛覚過敏または低温感受性の予防または治療に用いられ得る。
【0064】
それだけには限定されないが、実施例において特定されるもの、溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩、またはこれらのあらゆる組合せを含めた式(I)の化合物は、Kwan,K.Y.ら、Neuron、2006年、50巻、277−289頁によって示されている通り、男性型多毛を防止または逆転するための脱毛薬として用いられ得る。
【0065】
本明細書に記載される化合物は、単独で投与されても、または1つもしくは複数の他の式(I)の化合物と組み合わせて投与されても、または第2の疼痛緩和剤などの1つもしくは複数のさらなる薬剤と組み合わせて投与(すなわち同時投与)されてもよい。例えば、第2の疼痛緩和剤は、それだけには限定されないが、アセトアミノフェン、または非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、またはこれらの組合せなどの鎮痛薬であってよい。非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の例は、それだけには限定されないが、アスピリン、ジクロフェナク、ジフルシナル、エトドラク、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルフェニサル、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、ナブメトン、ナプロキセン、ニメスリド、ニトロフルルビプロフェン、オルサラジン、オキサプロジン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、スルファサラジン、スリンダク、トルメチンおよびゾメピラクを含む。第2の疼痛緩和剤のさらに他のクラスにはオピオイドが含まれる。抗痙攣薬および抗うつ薬を含めた局所麻酔薬などの他の鎮痛薬も併用治療において用いられ得る。TRPA1アンタゴニストの他に1つまたは複数のクラスの薬物を投与することは、疼痛のより効果的な改善をもたらすことができる。併用治療には、1つまたは複数の式(I)の化合物を含有する単一の薬学的用量の製剤、および1つまたは複数のさらなる薬剤の投与、ならびにそれ自体の別々の薬学的用量の製剤における、式(I)の化合物およびさらなる各薬剤の投与が含まれる。例えば、1つもしくは複数の式(I)の化合物および1つもしくは複数のさらなる薬剤は、錠剤もしくはカプセル剤など一定比率の各有効成分を有する単回経口用量の組成物において患者に一緒に投与されてもよく、または各薬剤が別々の経口用量の製剤において投与されてもよい。
【0066】
別々の用量の製剤が用いられる場合、各有効成分は、本質的に同時に(例えば、同時に)投与されてもよく、または別々に時をずらして(例えば、逐次に)投与されてもよい。
【0067】
本発明の医薬組成物における有効成分の実際の用量レベルは、特定の患者、組成物、および投与の様式に望ましい治療反応を達成するのに効果的である、ある量の(1つまたは複数の)有効成分の量を得るために変化されてもよい。選択される用量レベルは、特定の化合物、投与経路、治療される状態の重症度、ならびに治療される患者の状態および以前の治療歴による。しかし、所望の治療効果を達成するのに必要とされるよりも低レベルの化合物の用量から開始し、所望の効果が達成されるまで用量を徐々に増大するのは、当業者の範囲内である。
【0068】
本明細書に記載されるTRPA1アンタゴニストは、単独で投与されてもよく、または治療有効量の1つもしくは複数のTRPA1アンタゴニストを、1つもしくは複数の第2の疼痛緩和薬と一緒に、またはそれなしで、1つもしくは複数の薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物として投与され得る。「治療有効量」の句は、あらゆる治療に適用できる妥当な損益比で障害を治療するのに十分な量のTRPA1アンタゴニストを意味する。しかし、本発明の化合物および組成物の毎日の使用の合計は、担当の医師によって、健全な医薬上の判断の範囲内で決定される。あらゆる特定の患者に特異的な治療有効用量レベルは、治療される障害および障害の重症度、使用される特定の化合物の活性、使用される特定の組成物、患者の年齢、体重、全身的な健康、性別および食事、投与時間、投与経路、および使用される特定の化合物の排泄速度、治療の持続時間、使用される特定の化合物と組み合わせて、または同時に用いられる薬物、ならびに医療技術分野においてよく知られている同様のファクターを含めた様々なファクターに依存する。例えば、所望の治療効果を達成するのに必要とされるよりも低レベルの化合物の用量から開始し、所望の効果が達成されるまで用量を徐々に増大するのは十分に当業者の範囲内である。
【0069】
ヒトまたは下等動物に投与される式(I)の化合物の1日用量の合計は、約0.10μg/kg体重から約50mg/kg体重までの範囲である。より好ましい用量は、約0.10μg/kg体重から約10mg/kg体重までの範囲であってよい。所望であれば、有効1日用量は、投与の目的に対して複数の用量に分割されてもよい。したがって、単回用量の組成物は、1日用量となすためのこのような量またはその約数を含んでいてよい。
【0070】
e.医薬組成物
本発明は、本発明のTRPA1アンタゴニストを含む医薬組成物をさらに提供する。医薬組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体と一緒に調合され得る式(I)の化合物、溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩、またはこれらの組合せを含む。
【0071】
本発明の別の一態様は、1つまたは複数の式(I)の化合物、溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩、またはこれらの組合せ、および1つまたは複数の薬学的に許容される担体を、1つまたは複数の第2の疼痛緩和剤と組み合わせて含む医薬組成物を提供する。ある実施形態において、第2の疼痛緩和剤は、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)またはこれらの組合せなどの鎮痛薬である。ある実施形態において、非ステロイド性抗炎症薬はイブプロフェンである。他の実施形態において、第2の疼痛緩和剤はオピオイドである。抗痙攣薬および抗うつ薬を含めた局所麻酔薬などの他の鎮痛薬も企図される。
【0072】
本発明の医薬組成物は、ヒトを含めた哺乳動物における本明細書に記載される障害の治療に用いられ得る。
【0073】
本発明の医薬組成物は、ヒトおよび他の哺乳動物に、経口的に、直腸に、非経口的に、大槽内に、膣内に、腹腔内に、局所に(散剤、軟膏剤、もしくは滴剤によって)、バッカルで、または経口もしくは経鼻スプレーとして投与され得る。本明細書で用いられる「非経口的に」の語は、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、皮下および関節内の注射および注入を含む投与様式を意味する。
【0074】
本明細書で用いられる「薬学的に許容される担体」の語は、非毒性の、不活性な固体の、半流動の、または液体の充填剤、希釈剤、カプセル化材料またはあらゆるタイプの製剤補助剤を意味する。薬学的に許容される担体として役立つことができる材料のいくつかの例は、糖(それだけには限定されないが、ラクトース、グルコースおよびショ糖など)、デンプン(それだけには限定されないが、コーンスターチおよびバレイショデンプンなど)、セルロースおよびその誘導体(それだけには限定されないが、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなど)、粉末トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、賦形剤(それだけには限定されないが、カカオ脂および坐剤用ロウなど)、油(それだけには限定されないが、ピーナツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油など)、グリコール(プロピレングリコールなど)、エステル(それだけには限定されないが、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなど)、寒天、緩衝化剤(それだけには限定されないが、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなど)、アルギン酸、パイロジェンフリー水、等張食塩水、リンゲル液、エチルアルコールおよびリン酸緩衝液、ならびに他の非毒性の適合性の滑沢剤(それだけには限定されないが、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなど)、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および芳香剤である。保存剤および酸化防止剤も、調合者の判断にしたがって、組成物中に存在してよい。
【0075】
非経口の注射用の本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される無菌の水性または非水性の溶液、分散液、懸濁液または乳液、および使用直前に無菌の注射用溶液または分散液に再構成するための無菌の粉末を含んでいる。適切な水性および非水性の担体、希釈剤、溶剤、またはビヒクルの例は、水、エタノール、多価アルコール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、植物油(オリーブ油など)、注射用有機エステル(オレイン酸エチルなど)およびこれらの適切な混合物を含む。例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散剤の場合は必要とされる粒子サイズの維持によって、および界面活性剤の使用によって、適切な流動性が維持され得る。
【0076】
これらの組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などの補助剤も含んでいてよい。微生物の作用の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの様々な抗細菌剤および抗真菌剤の含有によって確実になり得る。糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を含むのが望ましいこともある。注射用の薬剤形態の吸収の延長は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなど、吸収を遅らせる物質を含むことによりもたらされ得る。
【0077】
場合によって、薬物の効果を延長するために、皮下注射または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅くするのが望ましい。これは、水溶性の不十分な結晶または非結晶材料の懸濁液の使用によって達成され得る。そのときの薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、溶解速度は、今度は結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。あるいは、非経口的に投与された薬物形態の吸収の遅れは、薬物を油性のビヒクル中に溶解または懸濁することによって達成される。
【0078】
注射用のデポー形態は、マイクロカプセル化した薬物のマトリクスを、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に形成することによって作られる。薬物対ポリマーの比率に応じて、および使用される特定のポリマーの性質に応じて、薬物の放出速度は制御され得る。他の生分解性ポリマーの例は、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)を含む。デポー注射用製剤は、薬物を、身体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョン中に捕捉することによっても調製される。
【0079】
注射用製剤は、例えば、細菌保持性のフィルターを通してろ過することによって、または使用直前に滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体中に溶解もしくは分散され得る滅菌固体組成物の形態の滅菌薬剤に組み入れることによって滅菌され得る。
【0080】
経口投与用の固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤を含む。このような固体剤形において、有効化合物は少なくとも1つの不活性な、薬学的に許容される賦形剤もしくは担体(例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム)、ならびに/またはa)充填剤もしくは増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトール、およびケイ酸、b)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖およびアラビアゴム、c)保湿剤、例えば、グリセロール、d)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、バレイショデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩および炭酸ナトリウム、e)溶液遅延剤、例えば、パラフィン、f)吸収促進剤、例えば、4級アンモニウム化合物、g)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール、h)吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイト粘土、ならびにi)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびこれらの混合物と混合されてよい。カプセル剤、錠剤、および丸剤の場合、剤形は緩衝化剤も含むことができる。
【0081】
同様のタイプの固体組成物も、ラクトースまたは乳糖(milk sugar)および高分子量ポリエチレングリコールなどの担体を用いて、軟充填および硬充填のゼラチンカプセル中の充填剤として用いられ得る。
【0082】
錠剤、ドラジェ剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固体剤形は、腸溶コーティングなどのコーティングおよびシェル、ならびに薬剤調合の技術分野においてよく知られている他のコーティングと一緒に調製され得る。これらは、乳白剤を場合によって含むことができ、(1つまたは複数の)有効成分だけを、または優先的に、腸管のある部分において、場合によって遅延性の様式において放出するような組成物であってもよい。用いることができる埋め込みの組成物の例は、ポリマー性物質およびロウを含む。
【0083】
有効化合物は、適切な場合には、1つまたは複数の上記に記載した担体とマイクロカプセル化されている形態であってよい。
【0084】
経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容される乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含んでいる。有効化合物の他に、液体剤形は、当技術分野において一般に用いられている不活性の希釈剤、例えば、水または他の溶媒、溶解補助剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルならびにこれらの混合物を含むことができる。
【0085】
不活性な希釈剤の他に、経口用組成物は、加湿剤、乳化剤および懸濁化剤などの補助剤、甘味剤、香味剤ならびに芳香剤も含むことができる。
【0086】
懸濁剤は、有効化合物の他に、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、トラガカントゴムならびにこれらの組合せなどの懸濁化剤を含むことができる。
【0087】
直腸または膣内投与用の組成物は、本発明の化合物を、適切な非刺激性の担体、またはカカオ脂、ポリエチレングリコールもしくは坐剤用ロウなど、室温で固体であるが体温で液体であり、したがって直腸または膣腔中で溶け、有効化合物を放出する担体と混合することによって調製され得る坐剤であるのが好ましい。
【0088】
本発明の化合物は、リポソームの形態において投与されてもよい。当技術分野において知られているように、リポソームは、一般的にリン脂質または他の脂質物質に由来する。リポソームは、水性媒体中で分散される、単層または多層の水和されている液晶によって形成される。あらゆる非毒性の生理学的に許容される、代謝可能な、リポソームを形成することができる脂質が用いられてよい。リポソームの形態における本発明の組成物は、本発明の化合物の他に、安定化剤、保存剤、賦形剤などを含むことができる。好ましい脂質は、天然および合成のリン脂質、ならびに別々にまたは一緒に用いられるホスファチジルコリン(レシチン)である。
【0089】
リポソームを形成するための方法は、当技術分野では知られている。例えば、Prescott編集、Methods in Cell Biology、第XIV巻、Academic Press、New York、N.Y.、(1976年)33頁以下を参照されたい。
【0090】
本発明の化合物の局所投与用剤形は、散剤、スプレー剤、軟膏剤、および吸入剤を含む。有効化合物は、無菌条件下、薬学的に許容される担体およびあらゆる必要とされる保存剤、バッファー、または必要とされ得る噴射剤と混合されてよい。眼科用製剤、眼軟膏、散剤および液剤も、本発明の範囲内であることが企図される。
【0091】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形態において用いられ得る。「薬学的に許容される塩」の句は、健全な医薬上の判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などなしにヒトおよび下等動物の組織と接触させて用いるのに適しており、妥当な損益比で相応する塩を意味する。
【0092】
薬学的に許容される塩は当技術分野においてよく知られている。例えば、S.M.Bergeらは、薬学的に許容される塩を(J.Pharmaceutical Sciences、1977、66巻:1以下参照)において詳しく記載している。
【0093】
本発明の化合物は、塩基性もしくは酸性いずれか、または両方の官能性を含むことがあり、所望により、適切な酸または塩基を用いることによって、薬学的に許容される塩に変換され得る。塩は、本発明の化合物の最終の単離および精製の間にインサイチューで調製され得る。
【0094】
代表的な酸付加塩は、それだけには限定されないが、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、カンホレート(camphorate)、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩(イソチオネート)、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルミトエート(palmitoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびウンデカン酸塩を含む。また、塩基性の窒素含有基は、それだけには限定されないが、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、プロピルおよびブチルなどのハロゲン化低級アルキル;硫酸ジメチル、ジエチル、ジブチルおよびジアミルなどの硫酸ジアルキル;ジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジブチル硫酸およびジアミル硫酸などのジアルキル硫酸;それだけには限定されないが、塩化、臭化およびヨウ化デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリルなどの長鎖ハロゲン化物;臭化ベンジルおよびフェネチルなどのハロゲン化アリールアルキルなどの薬剤で4級化されていてよい。水溶性もしくは油溶性、または水分散性もしくは油分散性の生成物も、それによって得られる。薬学的に許容される酸付加塩を形成するのに用いられ得る酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸などの無機酸、ならびに酢酸、フマル酸、マレイン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、コハク酸およびクエン酸などの有機酸を含む。
【0095】
カルボキシル酸含有部分を、それだけには限定されないが、薬学的に許容される金属陽イオンの水酸化物、炭酸塩、もしくは重炭酸塩などの適切な塩基と、またはアンモニアもしくは有機1級、2級または3級アミンと反応させることによって、塩基付加塩が本発明の化合物の最終の単離および精製の間にインサイチューで調製され得る。薬学的に許容される塩は、それだけには限定されないが、アルカリ金属またはアルカリ土類金属をベースにした陽イオン(例えば、それだけには限定されないが、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムおよびアルミニウム塩など)ならびに非毒性の4級アンモニアおよびアミン陽イオン(アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミンなどを含む)を含む。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンは、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジンなどを含む。
【0096】
本明細書で用いられる「薬学的に許容されるプロドラッグ」または「プロドラッグ」の語は、健全な医薬上の判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などなしにヒトおよび下等動物の組織と接触させて用いるのに適しており、妥当な損益比で相応し、これらの意図された使用に効果的である、本発明の化合物のプロドラッグを意味する。
【0097】
本発明は、合成手段によって形成され、またはプロドラッグのインビボの生体内変換によって形成される式(I)の化合物を企図する。
【0098】
本発明の化合物は、非溶媒和形態、および半水化物などの水和されている形態を含めた溶媒和形態で存在することができる。一般に、数ある中で水およびエタノールなどの薬学的に許容される溶媒和化合物との溶媒和形態は、本発明の目的では非溶媒和の形態に相当する。
【0099】
f.一般的合成
本発明は、合成プロセスによって、または代謝プロセスによって調製される場合、本発明の化合物を含むことが意図される。代謝プロセスによる本発明の化合物の調製は、ヒトもしくは動物の体内(インビボ)において生じるもの、またはインビトロで生じるプロセスを含む。
【0100】
別段の記載がなければ、R、R、R、R、R、mおよびYが発明の概要の項において述べられた意味を有する一般式(I)の化合物の合成を、添付のスキーム1−5において例示する。
【0101】
スキームおよび実施例の記載において用いられる通り、ある種の略語は以下の意味を有するものとされる。Dibal−Hは水素化ジイソブチルアルミニウム、DMAPは(4−ジメチルアミノ)ピリジン、DMFはN,N−ジメチルホルムアミド、DBUは1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデク−7−エン、EDCIは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、HOBtは1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、NMOは4−メチルモルホリンN−オキシド、NMPはN−メチルピロリジン、PDCは二クロム酸ピリジウム、PdCl(PPhはビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩酸、Pd(PPhはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、Phはフェニル、およびTRAPはテトラプロピルアンモニウム過ルテニウム酸塩。
【0102】
Yが−OHまたは−O(C1−4アルキル)である一般式(I)の化合物は、スキーム1に図示する一般的手順を用いて調製され得る。
【0103】
【化5】

一般式(1)のベンズアルデヒドを、R’’がアルキルである一般式(2)のリンイリドと、トルエンなどの溶媒中、還流温度で反応させて一般式(3)の不飽和エステルを得ることができる(Adam,W.ら、Journal of Organic Chemistry、2002年、67巻、8395−8399頁)。化合物(3)から(4)への変換は、(a)水素化ジイソブチルアルミニウム(diisobutylaluminum)または水素化アルミニウムリチウムなどの試薬を用いた(3)の対応するアルデヒドへの還元、(b)グリニャール試薬または有機リチウム試薬の形態の有機金属求核試薬の添加、および(c)過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(Ley,S.V.ら、Synthesis、1994年、7巻、639−966頁)または二クロム酸ピリジニウム(PDC)などの酸化試薬を用いた、ステップ(b)からの生成物の対応するケトン誘導体への変換を含む段階的な反応の連続である。ステップ(b)は、約−78℃から約0℃までの範囲の温度で、テトラヒドロフランまたはジエチルエーテルなどの溶媒中で行われてよい。ステップ(a)および(b)両方からの粗製生成物を単離し、精製あり、またはなしでその後のステップにかけてもよい。ステップ(c)は、典型的には周囲温度で、ジクロロメタンなどの非極性溶媒中、当業者には知られている様々な酸化剤を用いて用いられ得る。それだけには限定されないがトリエチルアミンなどの塩基の存在下、ベンゼンまたはテトラヒドロフランなどの溶媒中の、約25℃から約80℃までの範囲の温度で、ケトン(4)の、Rが水素またはC1−4アルキルである式RONHのヒドロキシルアミンまたはアルコキシアミンの塩酸塩との縮合により、一般式(5)または(6)のオキシムが得られる。化合物(5)および(6)は、当業者には馴染みのある標準のクロマトグラフィー法によって分離および精製され得る幾何異性体である。
【0104】
あるいは、ケトン(4)は、スキーム2に図示する一般的手順を用いて調製されてよい。
【0105】
【化6】

スキーム1またはスキーム3の方法にしたがって調製した一般式(3)の不飽和エステルを、約−40℃から約25℃までの範囲の温度で、トルエンまたはジクロロメタンなどの溶媒中、N−メトキシ−N−メチルアミン塩酸塩およびトリメチルアルミニウムと反応させて(Lipton,M.F.ら、Organic Syntheses、1980年、59巻、49−53頁)、一般式(7)のアミドを得ることができる。あるいは、(7)は、約−20℃から約0℃までの範囲の温度でテトラヒドロフランなどの溶媒中、(3)をN−メトキシ−N−メチルアミン塩酸塩およびイソプロピルマグネシウムクロリドと反応させることによって(Williams,J.M.ら、Tetrahedron Letters、1995年、36巻、5461−5464頁)調製され得る。
【0106】
(7)を、約−78℃から約0℃までの範囲の温度でテトラヒドロフランなどの溶媒中、X101がClまたはBrである式RMgX101のグリニャード試薬で処理して一般式(4)のケトンを得る。
【0107】
中間体(7)は、スキーム(3)に示される合成の連続にしたがって、やはり調製されてもよい。エステル(3)は、周囲温度で、それだけには限定されないがテトラヒドロフランおよびエタノールを含めた共溶媒を用いて、リチウムまたは水酸化カリウムの水溶液などの試薬を用いて、カルボキシル酸(8)にけん化され得る。カルボキシル酸(8)は、HOBtまたはDMAPと組み合わせたEDCIなどの脱水カップリング試薬(Montalbetti,C.A.G.N.、Tetrahedron、2005年、61巻、10827−10852頁)、およびそれだけには限定されないがトリエチルアミンなどの塩基を用いて、N−メトキシ−N−メチルアミン塩酸塩と反応させてもよい(Basha,A.ら、Tetrahedron Letters、1977年、48巻、4171−4174頁)。これらの反応は、トルエンまたはジクロロメタンなどの溶媒中、約0℃から約25℃までの範囲の温度で行われて、一般式(7)のアミドをもたらす。
【0108】
【化7】

あるいは、式(3)の不飽和エステルは、スキーム4に記載する手順にしたがって調製され得る。
【0109】
【化8】

Z基が塩素、臭素、またはヨウ素原子である一般式(9)のハロゲン化アリールを、それだけには限定されないが酢酸パラジウム(II)などのパラジウム触媒の存在下、式(10)の不飽和エステルと反応させて、(3)を得ることができる(Knowles,J.P.、Organic&Biomolecular Chemistry、2007年、5巻、31−44頁)。これらの反応は、一般的に、約50℃から約100℃までの範囲の温度で、アセトニトリル、トルエン、またはDMFなどの溶媒中、それだけには限定されないが、ジイソプロピルエチルアミンまたはDBUなどのアミン塩基を用いて行われる。一般式(9)から一般式(3)の不飽和エステルを合成するための関連の取組みは、R’’’がアルキルである一般式(11)の置換されているアルケンとの反応を伴う。この場合、置換されているアルケン(11)は、トリメチルスタンニルまたはトリブチルスタンニルなどのトリアルキルチン(trialkyltin)部分を含んでいる(Yin,L.ら、Chemical Reviews、2007年、107巻、133−173頁)。これらの反応は、一般に、触媒量のパラジウム(II)またはパラジウム(0)試薬、例えば、それぞれジクロロパラジウムビス(トリフェニルホスフィン)またはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの存在下、約25℃から約125℃までの範囲の温度で、DMFまたはNMPなどの極性非プロトン性溶媒中で行われる。
【0110】
YがNRである一般式(I)の化合物は、スキーム5に例示する一般的手順を用いて調製され得る。
【0111】
【化9】

スキーム1および2に例示する方法にしたがって調製されたケトン(4)の、約0℃から約80℃までの範囲の温度で、ベンゼンまたはテトラヒドロフランなどの溶媒中、一般式RNNHの置換されているヒドラジンとの反応により、一般式(12)または(13)のヒドラゾンがもたらされる。化合物(12)および(13)は、当業者には馴染みのある標準のクロマトグラフィー法によって分離および精製され得る幾何異性体である。
【0112】
実施例の項において例示される合成スキームおよび具体的な例は例にすぎず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲において定義されるものであるから、本発明の範囲を限定するものと解釈されてはならないことが理解されよう。合成方法および具体的な例の代替、修飾、および等価物は全て、特許請求の範囲の範囲内に含まれる。
【0113】
個々の各ステップに最適な反応条件および反応時間は、用いられる特定の反応物、および用いられる反応物中に存在する置換基に応じて変化することがある。別段の特定がなければ、溶媒、温度、および他の反応条件は、当業者の一人によって容易に選択され得る。具体的な手順を、合成の実施例の項において提供する。反応は、従来のやり方において、例えば、残渣から溶媒を除去することによってワークアップされてよく、それだけには限定されないが、結晶化、蒸留、抽出、研和およびクロマトグラフィーなど、当技術分野では一般に知られている方法にしたがってさらに精製され得る。別段の記載がなければ、出発材料および試薬はどちらも市販されており、または当業者であれば、市販の材料から化学文献に記載されている方法を用いて調製することができる。
【0114】
反応条件の好適な操作を含めたルーチンの実験法、合成経路の試薬および順序、反応条件と適合しないことがあるあらゆる化学官能基の保護、ならびに方法の反応順序における適切なポイントの脱保護が、本発明の範囲に含まれる。適切な保護基ならびにこのような適切な保護基を用いて様々な置換基を保護および脱保護するための方法は当業者にはよく知られており、その例は、その全文において参照により本明細書に組み込まれる、T.Greene and P. Wuts、Protecting Groups in Chemical Synthesis(第3版)John Wiley&Sons、NY、(1999年)において見いだされ得る。本発明の化合物の合成は、本明細書上記に記載されている合成スキームにおいて、および具体的な実施例において記載されているものに類似の方法によって達成され得る。
【0115】
出発材料が市販されていない場合、標準の有機化学技術、知られている合成に類似である技術、構造的に類似の化合物、または上記に記載されているスキームもしくは合成の実施例の項において記載されている手順に類似である技術から選択されている手順によって調製され得る。
【0116】
光学活性な形態の本発明の化合物が必要とされる場合、光学活性な出発材料(適切な反応ステップの不斉誘導などによって調製される)を用いて本明細書に記載されている手順の1つを行うことによって、または化合物もしくは中間体の立体異性体の混合物を標準の手順(例えば、クロマトグラフィー分離、再結晶、または酵素的な分割)を用いて分割することによって得ることができる。
【0117】
同様に、本発明の化合物の純粋な幾何異性体が必要とされる場合、出発材料として純粋な幾何異性体を用いて上記の手順の1つを行うことによって、またはクロマトグラフィー分離などの標準の手順を用いて化合物もしくは中間体の幾何異性体の混合物を分割することによって得られ得る。
【0118】
以下の実施例は、例示の目的で用いられてよく、本発明の範囲を狭めるものとみなされてはならない。
【実施例】
【0119】
実施例1.(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム
【0120】
実施例1A
(E)−エチル3−(4−フルオロフェニル)−2−メチルアクリレート
4−フルオロベンズアルデヒド(12g、97mmol)をトルエン(500ml)中に溶解した。(カルボエトキシエチリデン)トリフェニルホスホラン(42g、116mmol)を加え、出発材料が消費されるまで混合物を加熱還流した。溶液を冷却し、ヘキサンで希釈し、固体をろ過した。ろ液を真空中蒸発させた。残存する残渣をエーテル中に溶解し、溶離液としてエーテルを用いてシリカゲルのプラグを通してろ過した。溶媒を真空中蒸発させて、黄色固体の表題化合物を得た(20g、収率99%)。H NMR(DMSO−d)δ ppm:7.64(s,1H)、7.38(dd,J=8.65,5.59Hz,2H)、7.08(t,J=8.65Hz,2H)、4.27(q,J=7.12Hz,2H)、2.10(d,J=1.36Hz,3H)、1.27−1.38(m,3H)。MS(DCI)209(M+H)。
【0121】
実施例1B
(E)−3−(4−フルオロフェニル)−2−メチルアクリル酸
実施例1A(20g、0.1mol)をTHF(400mL)中に溶解し、LiOH 1M溶液(200mL)を加えた。混合物を一夜、周囲温度で撹拌した。均一の溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機相を水および食塩水で洗浄し、NaSO上乾燥し、ろ過し、真空中蒸発させて、白色固体の表題化合物(16.1g、収率89%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.78(s,1H)、7.43(dd,J=8.82,5.42Hz,2H)、7.11(t,J=8.65Hz,2H)、2.14(s,3H)。MS(DCI)198(M+NH)。
【0122】
実施例1C
(E)−3−(4−フルオロフェニル)−N−メトキシ−N,2−ジメチルアクリルアミド
方法A
実施例1B(16.1g、89.4mmol)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(9.15g、93.9mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(12.7g、93.9mmol)、1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−カルボジイミド塩酸塩(17.9g、93.9mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(47.4g、370mmol)の混合物を、一夜、周囲温度で、DMF(400mL)中撹拌した。溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機相を、炭酸水素ナトリウム飽和溶液、1N HCl、水、食塩水で洗浄し、NaSO上乾燥し、真空中蒸発させた。得られた材料をクロマトグラフィーにかけて(SiO、20%酢酸エチル/ヘキサンから50%酢酸エチル/ヘキサン)、黄色油状の表題化合物(16.89g、収率58%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.33(dd,J=8.82,5.43Hz,2H)、7.00−7.14(m,2H)、6.79(s,1H)、3.70(s,3H)、3.29(s,3H)、2.11(s,3H)。MS(DCI)224(M+H)。
【0123】
方法B
イソプロピルマグネシウムクロリド溶液(THF中2.0M、59.1mL、118mmol)を、0℃で、THF(100mL)中、実施例1A(5.47g、26.3mmol)およびN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(5.12g、52.5mmol)の混合物に、添加漏斗を通して滴下添加した。添加が完了したら、反応を0℃で2時間進行させた。飽和NHCl水溶液(70mL)をゆっくりと加えることにより反応をクエンチした。混合物を60分撹拌し、次いでEtOAc(50mL)とHO(100mL)の間で分配した。分離した水相をEtOAcで抽出し、有機相を合わせて1N HCl水溶液および食塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、ろ過し、真空中濃縮した。粗製生成物を、シリカゲル上クロマトグラフィー(Analogix(登録商標)、Intelliflash280;SF65−400gカラム;20%から60%EtOAc/ヘキサン;0−40分)によって精製して、無色油状の表題化合物(5.06g、22.7mmol、収率86%)を得た。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ ppm 7.50−7.40(m,2H)、7.29−7.18(m,2H)、6.72(s,1H)、3.65(s,3H)、3.19(s,3H)、2.01(d,J=1.5Hz,3H)。MS(DCI)224(M+H)。
【0124】
実施例1D
(E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オン
実施例1C(7g、31.4mmol)をテトラヒドロフラン(175mL)中に溶解し、約−20℃に冷却した。エチルマグネシウムブロミド(THF中1M、94mL、94mmol)を滴下添加した。溶液を3時間、約0℃に温めながら撹拌した。飽和NHCl溶液で反応をクエンチし、次いで水で希釈した。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせて水および食塩水で洗浄し、NaSO上乾燥し、ろ過し、真空中蒸発させた。固体をクロマトグラフィーに(SiO、10%酢酸エチル/ヘキサン)かけて、黄色固体の表題化合物(4.59g、収率76%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.48(s,1H)、7.40(dd,J=8.82,5.43Hz,2H)、7.10(t,J=8.65Hz,2H)、2.83(q,J=7.12Hz,2H)、2.05(d,J=1.36Hz,3H)、1.17(t,J=7.29Hz,3H)。MS(DCI)193(M+H)。
【0125】
実施例1E
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム
実施例1D(4.59g、23.9mmol)をピリジン(100mL)中に溶解し、その後ヒドロキシルアミン塩酸塩(2.5g、35.8mmol)を加えた。反応物を、周囲温度で2時間、撹拌した。溶媒を真空中蒸発させ、残渣を1N HClと酢酸エチルの間で分配した。有機相を水および食塩水で洗浄し、NaSO上乾燥し、ろ過し、真空中蒸発させた。得られた固体をクロマトグラフィーにかけ(SiO、20%酢酸エチル/ヘキサン)、次いでヘキサンから再結晶させて表題化合物(3.25グラム、収率66%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 8.69(bs,1H)、7.33−7.24(m,2H)、7.11−7.01(m,2H)、6.87(s,1H)、2.70(q,J=7.6Hz,2H)、2.04(d,J=1.2Hz,3H)、1.18(t,J=7.6Hz,3H)。MS(DCI)208(M+H)。
【0126】
実施例2
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンO−メチルオキシム
実施例1D(100mg、0.52mmol)をピリジン(5mL)中に溶解し、その後メトキシルアミン塩酸塩(65mg、0.78mmol)を加え、反応物を一夜、周囲温度で撹拌した。溶媒を真空中蒸発させ、残渣を1N HClと酢酸エチルの間で分配した。有機相を水および食塩水で洗浄し、NaSO上乾燥し、ろ過し、真空中蒸発させた。得られた固体をクロマトグラフィーにかけて(SiO、20%酢酸エチル/ヘキサン)、表題化合物(42mg、収率37%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.25−7.31(m,2H)、7.04(t,2H)、6.80(s,1H)、3.94(s,3H)、2.61(q,J=7.46Hz,2H)、2.04(d,J=1.36Hz,3H)、1.11(t,J=7.46Hz,3H)。MS(ESI)221(M+H)。
【0127】
実施例3
(1E,3E)−1−(2−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム
【0128】
実施例3A
(E)−エチル3−(2−フルオロフェニル)−2−メチルアクリレート
2−フルオロベンズアルデヒド(5.0g、40.3mmol)をトルエン150mL中に溶解した。(カルボエトキシエチリデン)トリフェニルホスホラン(42g、116mmol)を加え、混合物を一夜、加熱還流した。溶液を冷却し、ヘキサンで希釈し、固体をろ過した。ろ液を真空中蒸発させ、次いでエーテル中に溶解し、溶離液としてエーテルを用いてシリカゲルのプラグを通してろ過した。溶媒を真空中で蒸発させて、黄色固体の表題化合物(10.57g)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.70(s,1H)、7.26−7.38(m,3H)、7.17(m,2H)、4.28(q,J=7.12Hz,2H)、2.04(s,3H)、1.35(t,J=7.12Hz,3H)。
【0129】
実施例3B
(E)−3−(2−フルオロフェニル)−N−メトキシ−N,2−ジメチルアクリルアミド
N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(7g、72mmol)をCHCl(250mL)中でスラリーにし、0−5℃に冷却した。トリメチルアルミニウム溶液(トルエン中2M、36mL、72mmol)を滴下添加した。混合物を周囲温度に温め、1時間撹拌した。実施例3A(5g、24.0mmol)のCHCl(100ml)溶液を加え、溶液を一夜、加熱還流した。反応混合物を氷浴中冷却し、氷冷した0.5M HClで注意深くクエンチした。混合物をcelite filter aidを通してろ過し、CHClで抽出した。有機相を水および食塩水で洗浄し、NaSO上乾燥し、ろ過し、真空中蒸発させた。粗製生成物をクロマトグラフィーにかけて(SiO、100%ヘキサンから20%酢酸エチル/ヘキサン)、淡黄色油状の表題化合物(1.88g、収率35%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.27−7.38(m,2H)、7.04−7.17(m,2H)、6.79(s,1H)、3.72(s,3H)、3.30(s,3H)、2.04(s,3H)。MS(ESI)224(M+H)。
【0130】
実施例3C
(E)−1−(2−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オン
実施例3B(870mg、3.91mmol)をテトラヒドロフラン(20mL)中に溶解し、約−20℃に冷却した。エチルマグネシウムブロミド(THF中1M、7.8mL、7.8mmol)を滴下添加し、反応物を約−20℃で1.5時間撹拌した。反応をNHCl溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を合わせ、水および食塩水で洗浄し、NaSO上乾燥し、ろ過し、真空中蒸発させた。得られた油をクロマトグラフィーにかけて(SiO、10%酢酸エチル/ヘキサン)、黄色油状の表題化合物(240mg、収率32%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.55(s,1H)、7.29−7.41(m,2H)、7.05−7.20(m,3H)、2.85(q,J=7.46Hz,2H)、1.18(q,J=7.46Hz,3H)。MS(DCI)193(M+H)。
【0131】
実施例3D
(1E,3E)−1−(2−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム
実施例3C(100mg、0.52mmol)をピリジン(3mL)中に溶解し、その後ヒドロキシルアミン塩酸塩(78mg、1.12mmol)を加えた。溶液を1.5時間、周囲温度で撹拌した。溶媒を真空中蒸発させ、残渣を1N HClと酢酸エチルの間で分配した。有機相を水および食塩水で洗浄し、NaSO上乾燥し、ろ過し、真空中蒸発させた。得られた固体をヘキサンから再結晶させて表題化合物(52mg、収率48%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.27−7.34(m,2H)、7.04−7.17(m,2H)、6.89(s,1H)、2.72(q,J=7.46Hz,2H)、1.99(s,3H)、1.18(t,J=7.63Hz,3H)。MS(DCI)208(M+H)。
【0132】
実施例4
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルへキス−1−エン−3−オンオキシム
【0133】
実施例4A
(E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルへキス−1−エン−3−オン
実施例1C(2g、8.95mmol)をテトラヒドロフラン(50mL)中に溶解し、約−20℃に冷却した。プロピルマグネシウムクロリド(EtO中2M、9mL、18mmol)を滴下添加し、得られた混合物を1時間、約−20℃で撹拌した。溶液を飽和NHCl溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせ、水および食塩水で洗浄し、NaSO上乾燥し、ろ過し、真空中蒸発させた。得られた材料をクロマトグラフィーにかけて(SiO、10%酢酸エチル/ヘキサンから50%酢酸エチル/ヘキサン)、表題化合物(900mg、収率49%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.47(s,1H)、7.36−7.43(m,2H)、7.06−7.14(m,2H)、2.77(q,J=7.29Hz,2H)、2.04(d,J=1.36Hz,3H)、1.65−1.78(m,2H)、0.98(t,J=7.29Hz,3H)。MS(DCI)207(M+H)。
【0134】
実施例4B
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルへキス−1−エン−3−オンオキシム
実施例4A(200mg、0.97mmol)をピリジン(3mL)中に溶解し、その後ヒドロキシルアミン塩酸塩(101mg、1.45mmol)を加えた。周囲温度で2時間撹拌後、溶媒を真空中蒸発させ、残渣を1N HClと酢酸エチルの間で分配した。有機相を水および食塩水で洗浄しNaSO上乾燥し、ろ過し、真空中蒸発させた。得られた固体をヘキサンから再結晶して表題化合物(78mg、収率36%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.25−7.31(m,2H)、7.05(m,2H)、6.85(s,1H)、2.61−2.69(m,2H)、2.02(s,3H)、1.54−1.68(m,2H)、1.02(t,J=7.29Hz,3H)。
【0135】
実施例5
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2,4,4−トリメチルペント−1−エン−3−オンオキシム
【0136】
実施例5A
(E)−1−(4−フルオロフェニル)−2,4,4−トリメチルペント−1−エン−3−オン
実施例1C(2g、8.95mmol)をテトラヒドロフラン(50mL)中に溶解し、約−20℃に冷却した。tert−ブチルマグネシウムクロリド(THF中1M、18mL、18mmol)を滴下添加した。約−20℃で1時間撹拌後、反応を飽和NHCl溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機相を水および食塩水で洗浄し、NaSO上乾燥し、ろ過し、真空中蒸発させた。得られた材料をクロマトグラフィーにかけて(SiO、10%酢酸エチル/ヘキサンから50%酢酸エチル/ヘキサン)、表題化合物(410mg、収率21%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.25−7.33(m,2H)、7.06(m,2H)、6.82(s,1H,)、2.03(d,J=1.70Hz,3H)、1.31(s,9H)。MS(DCI)221(M+H)。
【0137】
実施例5B
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2,4,4−トリメチルペント−1−エン−3−オンオキシム
実施例5A(200mg、0.91mmol)をピリジン(3mL)中に溶解し、その後ヒドロキシルアミン塩酸塩(101mg、1.45mmol)を加えた。溶液を一夜、周囲温度で撹拌した。溶媒を真空中蒸発させ、残渣を1N HClと酢酸エチルの間で分配した。有機相を水および食塩水で洗浄し、NaSO上乾燥し、ろ過し、真空中蒸発させた。得られた固体をヘキサンから再結晶させて表題化合物(92mg、収率43%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.31(m,2H)、7.04(m,2H)、6.18(s,1H)、2.03(d,J=1.36Hz,3H)、1.22(s,9H)。
【0138】
実施例6
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルヘプト−1−エン−3−オンオキシム
【0139】
実施例6A
(E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルヘプト−1−エン−3−オン
実施例1C(2g、8.96mmol)をテトラヒドロフラン(50mL)中に溶解し、約−20℃に冷却した。ブチルマグネシウムクロリド(EtO中2M、8.96mL、17.9mmol)を滴下添加し、混合物を1時間、約−20℃で撹拌した。反応を、飽和NHCl溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を合わせ、水および食塩水で洗浄し、NaSO上乾燥し、ろ過し、真空中蒸発させた。得られた材料をクロマトグラフィーにかけて(SiO、10%酢酸エチル/ヘキサンから50%酢酸エチル/ヘキサン)、表題化合物(1.2g、収率61%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.46(s,1H)、7.36−7.43(m,2H)、7.07−7.14(m,2H)、2.76−2.81(m,2H)、2.04(d,J=1.36Hz,3H)、1.66(dt,J=15.17,7.50Hz,2H)、1.32−1.45(m,2H)、0.95(t,J=7.29Hz,3H)。MS(DCI)221(M+H)。
【0140】
実施例6B
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルヘプト−1−エン−3−オンオキシム
実施例6A(250mg、1.14mmol)をピリジン(5mL)中に溶解し、その後ヒドロキシルアミン塩酸塩(119mg、1.70mmol)を加えた。得られた混合物を2時間、周囲温度で撹拌した。溶媒を真空中蒸発させて、残渣を1N HClと酢酸エチルの間で分配した。有機相を水および食塩水で洗浄し、NaSO上乾燥し、ろ過し、真空中蒸発させた。得られた固体をクロマトグラフィーにかけて(SiO、20%酢酸エチル/ヘキサン)、次いでヘキサンから再結晶させて白色固体の表題化合物(110mg、収率38%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.25−7.31(m,2H)、7.01−7.10(m,2H)、6.84(s,1H)、2.63−2.70(m,2H)、2.02(s,3H)、1.49−1.58(m,2H)、1.39−1.47(m,2H)、0.96(t,J=7.29Hz,3H)。
【0141】
実施例7
(1E,3Z)−1−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジメチルペント−1−エン−3−オンオキシム
【0142】
実施例7A
(E)−1−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジメチルペント−1−エン−3−オン
実施例1C(2g、8.96mmol)をテトラヒドロフラン(50mL)中に溶解し、約−20℃に冷却した。イソプロピルマグネシウムブロミド(THF中2M、8.96mL、17.9mmol)を滴下添加し、得られた混合物を2.5時間、0℃に温めながら撹拌した。反応を、飽和NHCl溶液でクエンチし、水で希釈した。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機相を合わせ、水および食塩水で洗浄し、NaSO上乾燥し、ろ過し、真空中蒸発させた。固体をクロマトグラフィーにかけて(SiO、10%酢酸エチル/ヘキサン)、黄色固体の表題化合物(590mg、収率32%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.46(s,1H)、7.37−7.43(m,3H)、7.10(m,2H)、3.38−3.51(m,1H)、2.05(d,J=1.36Hz,3H)、1.18(s,3H)、1.16(s,3H)。
【0143】
実施例7B
(1E,3Z)−1−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジメチルペント−1−エン−3−オンオキシム
実施例7A(250mg、1.21mmol)をピリジン(3mL)中に溶解し、その後ヒドロキシルアミン塩酸塩(101mg、1.45mmol)を加えた。反応物を一夜、周囲温度で撹拌した。溶媒を真空中蒸発させ、残渣を1N HClと酢酸エチルの間で分配した。有機相を水および食塩水で洗浄し、NaSO上乾燥し、ろ過し、真空中蒸発させた。得られた固体を、10%酢酸エチル/ヘキサンを用いてクロマトグラフィーにかけ、初期の溶出成分を単離して表題化合物(62mg、収率23%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.27−7.33(m,2H)、6.99−7.08(m,2H)、6.61(s,1H)、3.39(m,1H)、2.02(s,3H)、1.28(s,3H)、1.26(s,3H)。
【0144】
実施例8
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジメチルペント−1−エン−3−オンオキシム
実施例7A(250mg、1.21mmol)をピリジン(3mL)中に溶解し、その後ヒドロキシルアミン塩酸塩(101mg、1.45mmol)を加えた。反応物を一夜、周囲温度で撹拌した。溶媒を真空中蒸発させ、残渣を1N HClと酢酸エチルの間で分配した。有機相を水および食塩水で洗浄し、NaSO上乾燥し、ろ過し、真空中蒸発させた。得られた固体を、10%酢酸エチル/ヘキサンを用いてクロマトグラフィーにかけ、後期の溶出成分を単離して表題化合物(67mg、収率25%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.27−7.33(m,2H)、7.00−7.07(m,2H)、7.04(s,1H)、6.30(s,1H)、2.70(m,1H)、2.06(s,3H)、1.19(s,3H)、1.17(s,3H)。
【0145】
実施例9
(1E,3E)−1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム
【0146】
実施例9A
(E)−エチル3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−2−メチルアクリレート
3−クロロ−4−フルオロベンズアルデヒド(10g、63.1mmol)をトルエン300mL中に溶解した。(カルボエトキシエチリデン)トリフェニルホスホラン(25g、69.4mmol)を加え、混合物を一夜、加熱還流した。溶液を冷却し、ヘキサンで希釈し、固体をろ過した。ろ液を真空中蒸発させ、残渣をエーテル中に溶解し、溶離液としてエーテルを用いてシリカのプラグを通してろ過した。溶媒を真空中蒸発させて、半流動の表題化合物(15.55g)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.56(s,1H)、7.44(m,1H)、7.23−7.32(m,1H)、7.16(m,1H)、4.28(q,J=7.12Hz,2H)、2.09(d,J=1.36Hz,3H)、1.35(t,J=7.36Hz,3H)。MS(DCI)243(M+H)。
【0147】
実施例9B
(E)−3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−2−メチルアクリル酸
実施例9A(15.5g、63.9mmol)をテトラヒドロフラン(300mL)中に溶解し、1M LiOH(128mL)を加えた。混合物を一夜、周囲温度で撹拌した。均一な溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機相を水および食塩水で洗浄し、NaSO上乾燥し、ろ過し、真空中蒸発させて、オフホワイト固体の表題化合物(12g、収率88%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.70(s,1H)、7.48(dd,J=7.12,2.37Hz,1H)、7.27−7.33(m,1H)、7.19(t,J=8.65Hz,1H)、2.12(s,3H)。
【0148】
実施例9C
(E)−3−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−N−メトキシ−N,2−ジメチルアクリルアミド
実施例9B(11.9g、55.45mmol)、N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(5.7g、58mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(7.88g、53.8mmol)、1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−カルボジイミド塩酸塩(11g、57.58mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(47.4g、63.9mL、370mol)の混合物をDMF(400mL)中で一夜、周囲温度で撹拌した。溶液を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を合わせ、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、1N HCl、水、食塩水で洗浄し、NaSO上乾燥し、ろ過し、真空中蒸発させた。得られた材料をクロマトグラフィーにかけて(SiO、20%酢酸エチル/ヘキサンから50%酢酸エチル/ヘキサン)、表題化合物(6.85g、収率48%)を残した。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.39(dd,J=7.12,2.37Hz,1H)、7.10−7.21(m,2H)、6.71(s,1H)、3.69(s,3H)、3.28(s,3H)、2.10(s,3H)。MS(DCI)258(M+H)。
【0149】
実施例9D
(E)−1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オン
実施例9C(2g、7.76mmol)をテトラヒドロフラン(50mL)中に溶解し、約−20℃に冷却した。エチルマグネシウムブロミド(THF中1M、15.5mL、15.5mmol)を滴下添加し、得られた混合物を1時間、約−20℃で撹拌した。反応を飽和NHCl溶液でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機相を水および食塩水で洗浄し、NaSO上乾燥し、ろ過し、真空中蒸発させた。得られた材料をクロマトグラフィーにかけて(SiO、10%酢酸エチル/ヘキサンから50%酢酸エチル/ヘキサン)、黄色ロウ状固体の表題化合物(930mg、収率53%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.45(dd,J=6.95,2.20Hz,1H)、7.39(s,1H)、7.20−7.30(m,1H)、7.18(t,J=8.65Hz,1H)、2.81(q,J=7.23Hz,2H)、2.04(d,J=1.36Hz,3H)、1.17(t,J=7.29Hz,3H)。MS(DCI)227(M+H)。
【0150】
実施例9E
(1E,3E)−1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム
実施例9D(400mg、1.76mmol)をピリジン(5mL)中に溶解し、その後ヒドロキシルアミン塩酸塩(184mg、2.65mmol)を加えた。得られた混合物を、2時間、周囲温度で撹拌した。溶媒を真空中蒸発させ、残渣を1N HClと酢酸エチルの間で分配した。有機相を水および食塩水で洗浄し、NaSO上乾燥し、ろ過し、真空中蒸発させた。得られた固体をクロマトグラフィーにかけ(SiO、20%酢酸エチル/ヘキサン)、次いでヘキサンから再結晶させて白色固体の表題化合物(221mg、収率52%)を得た。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.36(dd,J=6.95,1.86Hz,1H)、7.10−7.21(m,3H)、6.79(s,2H)、2.68(q,J=7.80Hz,2H)、2.03(s,1H)、1.16(t,J=7.63Hz,3H)。
【0151】
実施例10
(1E,3Z)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム
実施例1D(1.96g、10.2mmol)のピリジン(40mL)中溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(1.06g、15.3mmol)を一度に加えた。反応物を12時間、周囲温度で撹拌し、次いで、真空中濃縮した。残渣をEtOAcと1M HCl水溶液の間で分配した。分離した有機相を1M HCl水溶液および食塩水で洗浄し、乾燥し(NaSO)、ろ過し、真空中濃縮した。粗製生成物を、シリカゲル上クロマトグラフィー(Analogix Intelliflash280;5%から30%EtOAc/ヘキサン;SF40−115gカラム)によって精製し、後期の溶出成分を単離して白色固体の表題化合物(0.16g、収率7.6%)を得た。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ ppm 10.34(s,1H)、7.44−7.34(m,2H)、7.25−7.15(m,2H)、6.36(s,1H)、2.36(q,J=7.4Hz,2H)、1.98(d,J=1.5Hz,3H)、1.05(t,J=7.4Hz,3H)。MS(DCI):208(M+H)。
【0152】
実施例11
(2E,3E)−4−(4−フルオロフェニル)ブト−3−エン−2−オンオキシム
【0153】
実施例11A
(E)−メチル3−(4−フルオロフェニル)アクリレート
1−ブロモ−4−フルオロベンゼン(10g、57mmol)、アクリル酸メチル(4.5g、52mmol)、テトラエチルアンモニウムクロリド(8.6g、52mmol)、N−シクロヘキシル−N−メチルシクロヘキサンアミン(15g、78mmol)および酢酸パラジウム(II)(0.35g、1.6mmol)のジメチルアセトアミド(200mL)中混合物を、アルゴン雰囲気下100℃に加熱した。ハロゲン化アリールが消費されるまで反応を進行させた。次いで、反応混合物を室温に冷却し、EtOで希釈し、水で3回洗浄した。有機相を分離し、MgSO上乾燥し、真空中濃縮した。粗製生成物を、EtOAc/ヘキサンで溶出してシリカゲル上フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して表題化合物8.5g(収率91%)を得た。
【0154】
実施例11B
(E)−3−(4−フルオロフェニル)−N−メトキシ−N−メチルアクリルアミド
実施例1Cの方法Bの手順にしたがって、実施例1Aを実施例11Aで置き換えて表題化合物を調製した。
【0155】
実施例11C
(E)−4−(4−フルオロフェニル)ブト−3−エン−2−オン
実施例1Dの手順にしたがって、実施例1Cを実施例11Bで、エチルマグネシウムブロミドをメチルマグネシウムブロミドで置き換えて表題化合物を調製した。
【0156】
実施例11D
(2E,3E)−4−(4−フルオロフェニル)ブト−3−エン−2−オンオキシム
実施例1Eの手順にしたがって、実施例1Dを実施例11Cで置き換えて表題化合物を調製した。H NMR(300MHz,DMSO−d)δ ppm 11.13(s,1H)、7.61(dd,J=8.7,5.6Hz,2H)、7.18(dd,J=12.2,5.6Hz,2H)、6.95(d,J=16.6Hz,1H)、6.80(d,J=16.6Hz,1H)、1.98(s,3H)。MS(DCI):180(M+H)。
【0157】
実施例12
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)ヘキス−1−エン−3−オンオキシム
【0158】
実施例12A
(E)−1−(4−フルオロフェニル)ヘキス−1−エン−3−オン
実施例1Dの手順にしたがって、実施例1Cを実施例11Bで、エチルマグネシウムブロミドをプロピルマグネシウムブロミドで置き換えて表題化合物を調製した。
【0159】
実施例12B
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)ヘキス−1−エン−3−オンオキシム
実施例1Eの手順にしたがって、実施例1Dを実施例12Aで置き換えて表題化合物を調製した。H NMR(500MHz,DMSO/DO)δ ppm 7.61(dd,J=8.7,5.6Hz,2H)、7.22−7.15(m,2H)、6.95(d,J=16.7Hz,1H)、6.72(d,J=16.6Hz,1H)、2.55−2.49(m,2H)、1.55−1.44(m,2H)、0.94(t,J=7.1Hz,3H)。MS(ESI):208(M+H)。
【0160】
実施例13
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)ペント−1−エン−3−オンオキシムと(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)ペント−1−エン−3−オンオキシムの約1:1混合物
【0161】
実施例13A
(E)−1−(4−フルオロフェニル)ペント−1−エン−3−オン
実施例1Dの手順にしたがって、実施例1Cを実施例11Bで置き換えて表題化合物を調製した。
【0162】
実施例13B
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)ペント−1−エン−3−オンオキシムと(1E,3Z)−1−(4−フルオロフェニル)ペント−1−エン−3−オンオキシムの約1:1混合物
実施例1Eの手順にしたがって、実施例1Dを実施例13Aで置き換えて表題化合物を調製した。得られた混合物に対するデータ:H NMR(500MHz,DMSO/DO)δ ppm 7.67−7.59(m,3H)、7.36−7.30(m,2H)、7.25−7.16(m,4H)、7.04(d,J=16.9Hz,1H)、6.96(d,J=16.7Hz,1H)、6.69(d,J=16.7Hz,1H)、2.56−2.45(m,4H)、1.11(t,J=7.5Hz,3H)、1.04(t,J=7.5Hz,3H)。MS(ESI):176(M−17)。
【0163】
実施例14
(1E,3E)−1−(3,4−ジフルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム
実施例1の手順にしたがって、4−フルオロベンズアルデヒドを3,4−ジフルオロベンズアルデヒドで置き換えて表題化合物を調製した。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 8.14(bs,1H)、7.21−7.09(m,2H)、7.07−6.98(m,1H)、6.80(s,1H)、2.68(q,J=7.6Hz,2H)、2.03(d,J=1.3Hz,3H)、1.16(t,J=7.6Hz,3H)。MS(DCI):226(M+H)。
【0164】
実施例15
(1E,3E)−2−メチル−1−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ペント−1−エン−3−オンオキシム
実施例1の手順にしたがって、4−フルオロベンズアルデヒドを3,4,5−トリフルオロベンズアルデヒドで置き換えて表題化合物を調製した。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 8.00(bs,1H)、6.97−6.88(m,2H)、6.72(s,1H)、2.66(q,J=7.6Hz,2H)、2.03(d,J=1.3Hz,3H)、1.15(t,J=7.6Hz,3H)。MS(DCI):244(M+H)。
【0165】
実施例16
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)ヘプト−1−エン−3−オンオキシム
【0166】
実施例16A
(E)−1−(4−フルオロフェニル)ヘプト−1−エン−3−オン
実施例1Dの手順にしたがって、実施例1Cを実施例11Bで、エチルマグネシウムブロミドをブチルマグネシウムブロミドで置き換えて表題化合物を調製した。
【0167】
実施例16B
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)ヘプト−1−エン−3−オンオキシム
実施例1Eの手順にしたがって、実施例1Dを実施例16Aで置き換えて表題化合物を調製した。H NMR(500MHz,DMSO/DO)δ ppm 7.61(dd,J=8.7,5.6Hz,2H)、7.22−7.16(m,2H)、6.94(d,J=16.7Hz,1H)、6.71(d,J=16.6Hz,1H)、2.58−2.50(m,2H)、1.49−1.40(m,2H)、1.40−1.30(m,2H)、0.90(t,J=7.6Hz,3H)。MS(ESI):222(M+H)。
【0168】
実施例17
(1E,3E)−1−(4−フルオロ−3−メチルフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム
実施例1の手順にしたがって、4−フルオロベンズアルデヒドを4−フルオロ−3−メチルベンズアルデヒドで置き換えて表題化合物を調製した。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 8.06(bs,1H)、7.17−7.07(m,2H)、7.03−6.94(m,1H)、6.83(s,1H)、2.69(q,J=7.6,2H)、2.29(d,J=2.0,3H)、2.03(d,J=1.3,3H)、1.17(t,J=7.6,3H)。MS(DCI):222(M+H)。
【0169】
実施例18
(1E,3E)−1−[4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)フェニル]−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム
実施例1の手順にしたがって、4−フルオロベンズアルデヒドを4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒドで置き換えて表題化合物を調製した。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 7.86(s,1H)、7.58−7.43(m,2H)、7.24−7.15(m,1H)、6.84(s,1H)、2.69(q,J=7.6Hz,2H)、2.02(d,J=1.3Hz,3H)、1.17(t,J=7.6Hz,3H)。MS(DCI):276(M+H)。
【0170】
実施例19
2−フルオロ−5−[(1E,3E)−3−(ヒドロキシイミノ)−2−メチルペント−1−エニル]ベンゾニトリル
実施例1の手順にしたがって、4−フルオロベンズアルデヒドを2−フルオロ−5−ホルミルベンゾニトリルで置き換えて表題化合物を調製した。H NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 8.03(bs,1H)、7.59−7.48(m,2H)、7.22(t,J=8.6Hz,1H)、6.78(s,1H)、2.68(q,J=7.6Hz,2H)、2.01(d,J=1.3Hz,3H)、1.16(t,J=7.6Hz,3H)。MS(DCI):233(M+H)。
【0171】
以上の、発明を実施するための形態およびそれに続く実施例は例示にすぎず、本発明の範囲に対する限定と解釈されてはならず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲およびこれらの等価物によってのみ規定されることが理解される。開示されている実施形態への様々な変更および改変は、当業者には明らかである。制限なく、本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、製剤、および/または使用方法に関するものを含めたこのような変更および改変は、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量の、式(I)の化合物:
【化1】

[式中、
化合物は(Z)−4−(4−クロロフェニル)−3−メチルブト−3−エン−2−オキシムでも(E)−4−(4−クロロフェニル)−3−メチルブト−3−エン−2−オキシムでもないという条件で、
は、フェニル基の場合による置換基を表し、各Rは独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、−CN、ハロゲン、−OR、−NO、−N(R)(R)、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)1a、N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)N(R)(R)、−N(R)S(O)N(R)(R)、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R)(R)、−SR、−SF、−S(O)R1a、−S(O)1a、−S(O)0R1a、−S(O)N(R)(R)、−(CR−CN、ハロアルキル、−(CR−OR、−(CR−NO、−(CR−N(R)(Rb)、−(CR−N(R)C(O)R、−(CRN(R)S(O)1a、−(CR−N(R)C(O)OR、−(CR−N(R)C(O)N(R)(R)、−(CR−N(R)S(O)N(R)(R)、−(CR−C(O)R、−(CR−C(O)OR、−(CR−C(O)N(R)(R)、−(CR−S(O)1a、−(CRS(O)OR1aまたは−(CRS(O)N(R)(R)であり、
は、水素、C1−6アルキルまたはハロアルキルであり、
は、C1−6アルキル、ハロアルキルまたはシクロプロピルであり、シクロプロピルは、Rによって表される置換基1、2、3、4または5個で場合によって置換されており、
は、各出現時、独立に、C1−4アルキル、ハロゲンまたはハロアルキルであり、
Yは、−OH、−O(C1−4アルキル)、−N(R)(R)、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)または−N(R)C(O)N(R)(R)であり、
およびRは、各出現時、各々独立に、水素、アルキルまたはハロアルキルであり、
1aは、各出現時、独立に、アルキルまたはハロアルキルであり、
およびRは、各出現時、各々独立に、水素、アルキル、ハロゲンまたはハロアルキルであり、
およびRは、各出現時、各々独立に、水素、アルキルまたはハロアルキルであり、
mは、0、1、2、3、4または5であり、
qは、1、2、3または4である。]
もしくは溶媒和化合物、薬学的に許容される塩、プロドラッグ、プロドラッグの塩、またはこれらの任意の組合せを、1つもしくは複数の薬学的に許容される担体と一緒に、またはそれなしで対象に投与することを含む、TRPA1の阻害によって改善される障害または状態を治療するための方法。
【請求項2】
がC1−6アルキルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
がメチル、エチル、n−プロピル、tert−ブチル、n−ブチルまたはイソプロピルである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
がC1−6アルキルであり、
がC1−6アルキルである、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
がC1−6アルキルであり、
がC1−6アルキルであり、
YがOHである、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
がC1−6アルキルであり、
がC1−6アルキルであり、
Yが−O(C1−4アルキル)である、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
がC1−6アルキルであり、
が水素である、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
がC1−6アルキルであり、
が水素であり、
YがOHである、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
がC1−6アルキルであり、
が水素であり、
Yが−O(C1−4アルキル)である、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
Yが、−N(R)(R)、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)または−N(R)C(O)N(R)(R)である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
Yが、−N(R)(R)、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)または−N(R)C(O)N(R)(R)であり、
がC1−6アルキルであり、
がC1−6アルキルである、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
Yが、−N(R)(R)、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)または−N(R)C(O)N(R)(R)であり、
がC1−6アルキルであり、
が水素である、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
化合物が、
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンO−メチルオキシム;
(1E,3E)−1−(2−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルヘクス−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2,4,4−トリメチルペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルヘプト−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3Z)−1−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジメチルペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジメチルペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3Z)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム;
(2E,3E)−4−(4−フルオロフェニル)ブト−3−エン−2−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)ヘクス−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)ペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3Z)−1−(4−フルオロフェニル)ペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(3,4−ジフルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム;または
(1E,3E)−2−メチル−1−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ペント−1−エン−3−オンオキシム
である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
障害または状態が疼痛である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
障害または状態が、急性脳虚血、慢性疼痛、神経障害性疼痛、侵害受容性疼痛、異痛症、炎症性疼痛、帯状疱疹後疼痛、ニューロパチー、神経痛、糖尿病性ニューロパチー、HIV関連ニューロパチー、神経損傷、関節リウマチ痛、骨関節炎痛、火傷、背痛、内臓痛、癌性疼痛、歯痛、頭痛、片頭痛、手根管症候群、線維筋痛症、神経炎、坐骨神経痛、骨盤過敏症、骨盤痛、生理痛、膀胱疾患、排尿異常、腎仙痛、炎症、神経変性疾患、肺疾患、消化器疾患、嘔吐および肥満からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
1つまたは複数の第2の疼痛緩和剤を同時投与するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
第2の疼痛緩和剤が、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬、またはこれらの組合せである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
非ステロイド性抗炎症薬がイブプロフェンである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
1つまたは複数の第2の疼痛緩和剤と同時投与するステップをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
治療有効量の、式(I)の化合物:
【化2】

[式中、
化合物は(Z)−4−(4−クロロフェニル)−3−メチルブト−3−エン−2−オキシムでも(E)−4−(4−クロロフェニル)−3−メチルブト−3−エン−2−オキシムでもないという条件で、
は、フェニル基の場合による置換基を表し、各Rは独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、−CN、ハロゲン、−OR、−NO、−N(R)(R)、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)1a、N(R)C(O)OR、−N(R)C(O)N(R)(R)、−N(R)S(O)N(R)(R)、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R)(R)、−SR、−SF、−S(O)R1a、−S(O)1a、−S(O)OR1a、−S(O)N(R)(R)、−(CR−CN、ハロアルキル、−(CR−OR、−(CR−NO、−(CR−N(R)(R)、−(CR−N(R)C(O)R、−(CR−N(R)S(O)1a、−(CR−N(R)C(O)OR、−(CR−N(R)C(O)N(R)(R)、−(CR−N(R)S(O)N(R)(R)、−(CR−C(O)R、−(CR−C(O)OR、−(CR−C(O)N(R)(R)、−(CR−S(O)1a、−(CRS(O)OR1aまたは−(CRS(O)N(R)(R)であり、
は、水素、C1−6アルキルまたはハロアルキルであり、
は、C1−6アルキル、ハロアルキルまたはシクロプロピルであり、シクロプロピルは、Rによって表される置換基1、2、3、4または5個で場合によって置換されており、
は、各出現時、独立に、C1−4アルキル、ハロゲンまたはハロアルキルであり、
Yは、−OH、−O(C1−4アルキル)、−N(R)(R)、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)または−N(R)C(O)N(R)(R)であり、
およびRは、各出現時、各々独立に、水素、アルキルまたはハロアルキルであり、
1aは、各出現時、独立に、アルキルまたはハロアルキルであり、
およびRは、各出現時、各々独立に、水素、アルキル、ハロゲンまたはハロアルキルであり、
およびRは、各出現時、各々独立に、水素、アルキルまたはハロアルキルであり、
mは、0、1、2、3、4または5であり、
qは、1、2、3または4である。]
またはその薬学的に許容される塩および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項21】
1つまたは複数の第2の疼痛緩和剤をさらに含む、請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項22】
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンO−メチルオキシム;
(1E,3E)−1−(2−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルヘクス−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2,4,4−トリメチルペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2−メチルヘプト−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3Z)−1−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジメチルペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)−2,4−ジメチルペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(4−フルオロフェニル)ヘクス−1−エン−3−オンオキシム;
(1E,3E)−1−(3,4−ジフルオロフェニル)−2−メチルペント−1−エン−3−オンオキシム;または
(1E,3E)−2−メチル−1−(3,4,5−トリフルオロフェニル)ペント−1−エン−3−オンオキシム;
である化合物またはこれらの薬学的に許容される塩。

【図1】
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【公表番号】特表2011−509260(P2011−509260A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541567(P2010−541567)
【出願日】平成21年1月2日(2009.1.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/030005
【国際公開番号】WO2009/089082
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】