説明

Tiドープ水素化物の製造方法

本発明はアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物;又はアルカリ金属水素化物及び/又はアルカリ土類金属水素化物の少なくとも1種、金属アルミニウム及びH;を、製造したTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物中のアルミニウムのモル数に対し、0.5〜20モル%のTi(OCHと均一に混合する工程を含むTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物の製造方法、水素の可逆的脱着及び/又は吸収法、該Tiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物の水素貯蔵への使用、及びTi(OCHのアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物へのTiドーパントとしての用途を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、Tiをドープしたアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物の製造方法、このような方法で得られるTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物及びその使用法に関する。更に本発明は、水素貯蔵材料及び水素の可逆的吸収及び/又は脱着方法に関する。なお更に本発明は、Ti(OCHを、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物にTiドーパントとして使用する方法(use)に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
近年、水素を金属水素化物の形態で貯蔵することが多くの注目を集めている。金属水素化物での水素の貯蔵は、例えば液体での貯蔵又は圧縮水素に比べて、低温又は過剰圧を必要としない点で有利である。金属水素化物を使用する欠点は、貯蔵材料の重量当たりの貯蔵密度(金属水酸化物の重量当たりHの重量%で表す)が比較的低く、また可逆的吸収及び脱着が遅いことである。水素を貯蔵するための金属水素化物の主な候補者はNaAlHである。NaAlHでは、貯蔵材料の重量当たり水素の貯蔵密度は5重量%まで達成できる。例えば米国特許第6,106,801号には、アルカリ金属アラネートによる水素の脱離及び吸収方法は、触媒の添加、特に元素の周期表第3又は4族の遷移金属の化合物により促進できるか、或いは更に完全に進行できることが開示されている。好ましいドーパントして、前記金属の、アルコレート、ハライド並びに有機金属及び金属間化合物を挙げている。米国特許第6,106,801号は、特にTiCl、TiCl又はTi(OBu)によるNaAlHのドーピングについて述べている。しかし、実際には水素の吸収速度はこれらの材料についてであり、例えば自動車用のような工業的用途にはまだ少なすぎる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の概要
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物を、ドーパントとしてのTi(OCH(Ti(OMe)としても知られている)と均一に混合すると、115℃より高温では、TiCl、TiCl又はTi(OBu)を用いて作った公知のTiドープアルカリアラネート水素化物に比べて吸収速度が向上したTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物が得られることが今回見出された。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって本発明は、
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物;又は
アルカリ金属水素化物及び/又はアルカリ土類金属水素化物の少なくとも1種、金属アルミニウム及びH
を、製造したTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物中のアルミニウムのモル数に対し、0.5〜20モル%の範囲のTi(OCHと均一に混合する工程を含む、Tiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物の製造方法を提供する。
【0005】
ここでTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物とは、アルミニウムと、少なくとも1種のその他の金属である元素の周期表第1及び2族のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属との合金のTiドープ水素化物のことである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物を、該アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物の平衡圧より高い圧力で水素含有ガスと接触させることにより、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物中に水素が貯蔵される。水素吸収中、該水素化物の温度は、該水素化物の形成中に放出される形成熱により150℃を超える温度に急速に上昇する可能性がある。本発明方法を用いて製造したTiドープ水素化物は、従来法で製造したTiドープ水素化物に比べて、115℃を超える温度で吸収挙動が向上する。このように向上した吸収挙動は、TiドーパントとしてTi(OMe)を使用した結果である。したがって、本発明方法を用いて製造したTiドープ水素化物を使用すると、燃料供給(refuel)時間が短縮できる。
【0007】
更に、Ti(OMe)を使用すると、Ti(OBu)前駆体を用いて製造したTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物に比べて、−(OMe)基の方が軽量であるため、貯蔵材料重量当たりの貯蔵密度が向上したTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物が製造できる。
【0008】
他の一局面では本発明は、本発明方法で得られるTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物に関する。
別の局面では本発明は、本発明のTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物を含む水素貯蔵材料に関する。
【0009】
更に別の局面では本発明は、
本発明の少なくとも部分的に水素化された(hydrated)Tiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物に20〜140℃の範囲の温度を与えて該少なくとも部分的に水素化された(hydrated)Tiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物を脱水素化し(dehydrate)、次いで水素含有ガスを取り出して水素含有ガス及び少なくとも部分的に脱水素化された(dehydrated)Tiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物を得る工程;及び/又は
本発明の少なくとも部分的に脱水素化された(dehydrated)Tiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物を、115〜180℃の範囲の温度及び該少なくとも部分的に脱水素化された(dehydrated)Tiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物の平衡水素圧より高い水素分圧で水素含有ガスと接触させることにより水素化し(hydrate)て、可逆的に水素を貯蔵する工程;
を含む、水素の可逆的脱着及び/又は吸収方法に関する。
【0010】
なお更に別の局面では本発明は、本発明のTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物、又は本発明の水素貯蔵材料を水素の貯蔵に使用する方法(use)に関する。
なお更に別の局面では本発明は、Ti(OCHを、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物にTiドーパントとして使用する方法(use)に関する。
【0011】
発明の詳細な説明
本発明は、Tiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物の製造に関する。ここでアルカリ金属又はアルカリ土類金属は、元素の周期表第1又は2族の金属、即ち、Li、Na、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba及びRaである。アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属は、好ましくはLi、Na、K、Mg又はCa、更に好ましくはLi、Na、Mg又はCa、なお更に好ましくはLi、Na又はMgである。Tiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物を、Ti(OCHと均一に混合して製造できる。好ましくはアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物は、一般式:
【化1】


(但し、A、Bはアルカリ金属又はアルカリ土類金属、好ましくはNa、Ca、Li又はMg、更に好ましくはNa、Li、Mgであり、n、mは金属イオン価、即ち、1、2又は3であり、0≦x≦1、また1≦p≦3である)
のアルミニウム水素化物である。
【0012】
更に好ましくはアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物は、NaAlH、LiMg(AlH又はNaLiAlH、なお更に好ましくはNaAlHである。
或いは同じく好ましい製造法では、Tiドープ水素化物は、アルカリ金属水素化物及び/又はアルカリ土類金属水素化物の少なくとも1種、金属アルミニウム及びHを、Ti(OMe)と均一に混合して製造できる。
【0013】
アルカリ金属水素化物及び/又はアルカリ土類金属水素化物は、好ましくはLi、Na、Mg及び/又はCa、更に好ましくはLi、Na及び/又はMgの水素化物の少なくとも1種である。
好ましくは
(i)NaH 3部、H 4.5部及びAl 3部以上、
(ii)LiH 2部、MgH 2部、H 9部及びAl 6部以上、又は
(iii)NaH 4部、LiH 2部、H 3部及びAl 2部以上、
がTi(OCHと混合され、更に好ましくはNaH 3部、H 4.5部、及びAl 3部以上である。
【0014】
前記Alの若干量はTiと結合して、水素化物の形成に不利な合金を形成するので、以上の混合物には若干量の追加の又は犠牲的なAlを添加してよい。しかし、Alの追加は貯蔵材料の重量当たり貯蔵密度を低下させる可能性があることに注目すべきである。したがって、犠牲的なAlの追加は注意すべきである。犠牲的なAlのモル数は、混合するTiのモル数に対し、3等量のアルミニウムを超えない。
【0015】
Tiドープ水素化物は、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物;又はアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物の少なくとも1種、金属アルミニウム及びHを、製造したTiドープ水素化物中のアルミニウムのモル数に対し、0.5〜20モル%の範囲のTi(OMe)と均一に混合して製造できる。製造したTiドープ水素化物中のアルミニウムのモル数に対し、好ましくは1〜10モル%、更に好ましくは2〜5モル%の範囲の量で混合される。ドーパント量が多ければ、得られるTiドープ水素化物の脱着/吸収挙動を向上できるが、該系に添加される“死重”の増量につながる。或いはアルミニウムを増量すると、チタンと合金化し、したがって吸収工程には役立たない。
【0016】
以上の成分は不活性雰囲気、即ち、水素以外の他の反応性ガス又は蒸気成分を含まない雰囲気中で均一混合してよい。例えばこれら成分の1種以上の酸化を防止するため、雰囲気は酸素を含有してはならない。好適な雰囲気の例は、窒素、水素、アルゴンガス又はそれらの混合物を含む雰囲気である。
【0017】
以上の成分は、乾式又は湿式混合により均一混合してよい。ここで乾式混合とは、前記成分の少なくとも1種が固体又は懸濁状態にある混合法のことである。均一混合を行うのに好適な乾式混合法は、ボールミル摩砕である。ここで湿式混合とは、全ての成分が液体又は溶解状態にある混合法のことである。好適な溶剤は、テトラヒドロフラン(THF)又はトルエンのような有機又は非プロトン性溶剤である。湿式混合法では、液体及び/又は溶剤は混合され、次いで溶剤を除去しながら乾燥される。
【0018】
また本発明は、
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物;又は
アルカリ金属水素化物及び/又はアルカリ土類金属水素化物の少なくとも1種、金属アルミニウム及びH
を、製造したTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物中のアルミニウムのモル数に対し、0.5〜20モル%の範囲のTi(OCHと均一に混合する工程を含む、Tiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物の製造方法に関する。
【0019】
得られるTiドープ水素化物は、好ましくは、Tiがドープされた、NaAlH、LiMg(AlH又はNaLiAlH、更に好ましくは、TiがドープされたNaAlHである。充分に加熱すると、このような水素化物は可逆的に水素を脱着できる。特定の理論に束縛されたくないが、このような水素化物は、3つの異なる段階で水素を脱着することが示唆される。例えばNaAlHは、下記により水素を脱着する。
NaAlH → 1/3NaAlH+2/3Al+H (a)
1/3NaAlH→ NaH+1/3Al+1/2H (b)
NaH → Na+1/2H (c)
【0020】
段階1では中間水素化物が形成される。このような中間水素化物は、水素の吸収工程又は脱着工程中に形成でき、或いはTiドープ水素化物の完全な水素化(hydration)を阻止する熱力学的制限があれば、本発明方法の結果となり得る。このような水素化物に貯蔵できる水素量は、完全に水素化した本発明の水素化物の場合よりも少ないが、特に本発明方法に従ってTiをドープし、製造した場合、これらの材料も水素の貯蔵に好適であり、本発明の範囲内である。
【0021】
本発明のTiドープ水素化物は、水素貯蔵材料として単独で又は他の材料と組合わせて使用してよい。このような水素貯蔵材料は、例えば水素貯蔵槽又は水素電池に使用してよい。
【0022】
本発明のTiドープ水素化物は、水素を可逆的に脱着及び/又は吸収する方法に使用してよい。本発明のTiドープ水素化物が熱力学的均衡状態にある場合は、この水素化物は、該水素化物から放出するガス状水素と平衡状態にあることは理解されよう。ガス状水素の平衡圧は、温度及びTiドープ水素化物の種類に依存する。この平衡圧は、水素化物の脱着工程中に形成される水素化物及び中間水素化物に対しては相違し得ることに注目すべきである(前記反応(a)〜(c)参照)。したがって、平衡圧は完全脱着工程中、即ち、(a)〜(c)の過程又はその逆の過程中、変化してよい。
【0023】
水素含有ガスは、水素の脱着工程により得られる。水素化物又は中間水素化物の種類、及び所望の平衡圧に依存して、本発明の少なくとも部分的に水素化された(hydrated)Tiドープ水素化物は、これに20〜140℃の温度を与えて脱水素化し(dehydrate)てよい。この水素化物から放出する水素含有ガスは取り出される。得られた水素含有ガスは、所望通りに使用してもよいし、また少なくとも部分的に脱水素化された(dehydrated)Tiドープ水素化物は、更なる水素の抽出に使用してもよいし、或いは吸収により水素を貯蔵するのに使用してもよい。
【0024】
水素は水素吸収方法により貯蔵できる。このような方法では、本発明の少なくとも部分的に脱水素化された(dehydrated)Tiドープ水素化物は水素化される(hydrated)。この少なくとも部分的に脱水素化された(dehydrated)Tiドープ水素化物は本発明のいかなる少なくとも部分的に脱水素化された(dehydrated)Tiドープ水素化物であってもよいが、本発明の水素脱着方法で得られる少なくとも部分的に脱水素化された(dehydrated)Tiドープ水素化物が好ましい。この少なくとも部分的に脱水素化された(dehydrated)Tiドープ水素化物は、これを、少なくとも部分的に脱水素化された(dehydrated)Tiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物の平衡水素圧よりも高い水素分圧で水素含有ガスと接触させて、水素化し(hydrate)てよい。1〜700バール、好ましくは10〜150バール、更に好ましくは50〜100バールの範囲の圧力が好ましい。本発明の水素吸収方法では少なくとも部分的に脱水素化された(dehydrated)Tiドープ水素化物は、115〜180℃、好ましくは120〜160℃、更に好ましくは130〜150℃の範囲の温度で水素含有ガスと接触させてよい。このような温度では、本発明の少なくとも部分的に脱水素化された(dehydrated)Tiドープ水素化物は、従来のTiドープ水素化物に比べて驚くほど高速で水素を吸収する。
【実施例】
【0025】
本発明方法を以下の非限定的実施例により更に説明する。
TiドープNaAlHの製造
TiドーパントとしてTi(OMe)(本発明)又はTi(OBu)(比較用)を用いてTiドープNaAlHを製造した。
両ドーピング反応ともSPEX 8000M装置を用いて高エネルギーボールミル摩砕により行った。混合小瓶はステンレス鋼製で、容量は50mlである。
【0026】
NaAlH 98モル%及びドーパント 2モル%(即ち、製造したTiドープ水素化物中のAlのモル数に対し、Tiドーパント 2.04モル%)からなる混合物0.5〜1gを、鋼ボール(8g1個及び各1g2個)を用いてボールミル摩砕した。NaAlHによる水素の熱放出を防止するため、小瓶は30℃未満に保持した。小瓶上に冷COを供給するため、穏やかな窒素パージを行った。
【0027】
水素脱着及び吸収測定
Sievert型装置(カナダのHydroQuebec Companyから)により水素脱着/吸収測定を行った。
脱着測定は、排気済みのサンプルプローブ及び対照プローブを25℃から最終温度140℃まで2℃/分の速度で加熱して行った。第二脱着半サイクル中に吸収された水素の95重量%を脱着するのに必要な時間を測定して、95重量%脱着時間とした。
【0028】
吸収は、水素分圧90バールで昇温して行った。第二吸収半サイクル中に吸収された水素の合計量の95重量%及び99重量%を吸収するのに必要な時間を測定して、それぞれ95重量%吸収時間、99重量%吸収時間とした。その結果を表1に示す。
【0029】
全てのサンプルは、完全水素化状態のTiドープ系の重量に対し、水素を3.7〜4.0重量%吸収した。表1から明らかなように、140℃に加熱した場合、本発明のTiドープNaAlHは、従来のTiドープNaAlH、即ち、Ti(OBu)をドープしたNaAlHに比べて同等の脱着特性を示しているが、水素吸収特性は、115℃より高温で吸収が行われた場合、著しく向上し、吸収時間は140℃で50%を超えるほど短縮した。
【0030】

【表1】



【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【特許文献1】米国特許第6,106,801号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物;又は
アルカリ金属水素化物及び/又はアルカリ土類金属水素化物の少なくとも1種、金属アルミニウム及びH
を、製造したTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物中のアルミニウムのモル数に対し、0.5〜20モル%の範囲のTi(OCHと均一に混合する工程を含む、Tiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物の製造方法。
【請求項2】
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物がTi(OCH)と混合され、該アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物が一般式:
【化1】


(但し、A、Bはアルカリ金属又はアルカリ土類金属、好ましくはNa、Ca、Li又はMg、更に好ましくはNa、Li、Mgであり、n、mは金属イオン価、即ち、1、2又は3であり、0≦x≦1、また1≦p≦3である)
のアルミニウム水素化物である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物が、NaAlH、LiMg(AlH又はNaLiAlH、好ましくはNaAlHである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
アルカリ金属水素化物及び/又はアルカリ土類金属水素化物の少なくとも1種、金属アルミニウム及びHがTi(OCH)と混合され、該アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属水素化物が、Na、Ca、Li及び/又はMg、好ましくはNa、Li及び/又はMgの水素化物の少なくとも1種である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
a)NaH 3部、H 4.5部及びAl 3部以上、
b)LiH 2部、MgH 2部、H 9部及びAl 6部以上、又は
c)NaH 4部、LiH 2部、H 3部及びAl 2部以上、
がTi(OCHと混合され、好ましくはNaH 3部、H 4.5部、及びAl 3部以上である請求項4に記載の方法。
【請求項6】
Ti(OCHが、製造したTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物中のアルミニウムのモル数に対し、1〜10モル%、好ましくは2〜5モル%の範囲の量で混合される請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
均一混合がボールミル摩砕により行われる請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法で得られるTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物。
【請求項9】
前記Tiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物が、Tiをドープした、NaAlH、LiMg(AlH又はNaLiAlH、好ましくはNaAlHである請求項8に記載のTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物。
【請求項10】
請求項8又は9に記載のTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物を含む水素貯蔵材料。
【請求項11】
請求項8又は9に記載の少なくとも部分的に水素化されたTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物に20〜140℃の範囲の温度を与えて該少なくとも部分的に水素化されたTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物を脱水素化し、次いで水素含有ガスを取り出して水素含有ガス及び少なくとも部分的に脱水素化されたTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物を得る工程;及び/又は
請求項8又は9に記載の少なくとも部分的に脱水素化されたTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物を、115〜180℃の範囲の温度及び該少なくとも部分的に脱水素化されたTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物の平衡水素圧より高い水素分圧で水素含有ガスと接触させることにより水素化して、可逆的に水素を貯蔵する工程;
を含む、水素の可逆的脱着及び/又は吸収方法。
【請求項12】
水素化中、前記少なくとも部分的に脱水素化されたTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物が、120〜160℃、好ましくは130〜150℃の範囲の温度で前記水素含有ガスと接触する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
水素化中、前記少なくとも部分的に脱水素化されたTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物が、1〜700バール、好ましくは10〜150バール、更に好ましくは50〜100バールの範囲の圧力で水素含有ガスと接触する請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
請求項8又は9に記載のTiドープアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物或いは請求項10に記載の水素貯蔵材料を水素の貯蔵に使用する方法。
【請求項15】
Ti(OCHを、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属アルミニウム水素化物にTiドーパントとして使用する方法。

【公表番号】特表2010−527317(P2010−527317A)
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−507915(P2010−507915)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/055925
【国際公開番号】WO2008/138954
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】