説明

UI切換方法及びUI切換システム

【課題】複数のUI装置の両方に同じ目的を達成できるUI画面が重複して存在する時に、より適切なUI画面を選択することが容易ではない。
【解決手段】類似のUI画面を持つ第1のUI装置と第2のUI装置とから構成されるUI切換システムにおけるUI切換方法であって、第1のUI装置は、画面遷移させる操作を入力するステップと、第1のUI装置は、画面遷移させる操作及びUI切換制御情報に応じて、画面遷移がUI切換を伴うか否かを判定するステップと、第1のUI装置は、画面遷移がUI切換を伴うものであると判定した場合に、現在画面のコンテキストを出力するステップと、第2のUI装置は、出力された現在画面のコンテキストを引き継いだ類似するUI画面を出力するステップと、類似するUI画面を表示するステップと、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UI(User Interface)切換方法及びUI切換システムに関し、更に詳しくは、DLNA(Digital Living Network Alliance)や、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)−CEC(Consumer Electronics Control)などで相互に接続されたデジタルテレビとレコーダ等の複数の受信装置において、電子番組表(EPG; Electric Program Guide)等のGUI(Graphic User Interface)の操作に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アナログ放送とデジタル放送の両方を受信できる受信装置において、番組表データが存在しないアナログ放送番組に対しても、デジタル放送番組の番組表データで代替することで同様のGUIを構成する受信装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、DLNAの機能を持った装置を相互に接続することで、一方の装置から他方の装置に録画予約を登録したり、録画済の番組の一覧を表示したり再生制御を行ったりすることが可能である。
【0004】
あるいは、HDMIケーブルで接続された2台のAV装置を、CECのコマンドを送ることで、予約登録や、再生制御などを行うことが可能である。詳細には、他の装置のGUI画面が含まれている映像信号を表示する様に切り換えると共に、リモコンなどの操作を他の装置にCECを用いてパススルーすることで、複数の装置のGUI操作を1個のリモコンで行うことが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−198961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術では、DLNAやHDMI−CECなどを用いることで、ユーザが直接操作を行っている装置以外の装置のGUI画面を表示したり、1個のリモコンで複数の装置のGUIを操作可能になる。しかしながら、以下の課題がある。
【0007】
1.ユーザはどちらの装置のGUIを使用しているか、意識する必要がある。類似したGUI画面であっても、装置によって動作仕様が微妙に異なる場合がある。ユーザは操作に慣れてくると、画面に表示された操作ガイダンスを見ずに、いつも行っている順番にリモコンボタンを押すなどの行動をする。装置が異なった場合、予期せぬ画面遷移を引き起こすことで、見たことの無い画面に遷移したり、ユーザが実行したつもりのない設定変更を行ったりしてしまう。あるいは、予約登録した番組(エントリ)が装置毎に別々のリストとして管理される状況では、一方の装置でユーザが確かに予約登録した番組が、他方の予約登録一覧画面を意図せず表示することで見つけることができない事態となる。
【0008】
2.ユーザは、複数の装置に存在する類似したGUI画面で、最適な方のGUI画面必ずしも使用できない。そもそも、複数の操作方法が提供されていることにすら気付かない場合がある。例えば、電子番組表画面は、デジタルテレビとレコーダの両方に存在する。そして、同じメーカの装置同士であっても機能差がある。ましてや異なるメーカの装置であれば、なおさらである。このとき、どちらの番組表を使えば良いかは、ユーザの使い方により変わる。例えば、より高機能な番組表機能を利用したいユーザと、過去に使用していた装置となるべく類似した番組表機能を利用したいユーザとでは結論が異なる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明におけるUI切換システムにおいては、類似のUI画面を持つ第1のUI装置と第2のUI装置とから構成され、第1のUI装置が画面遷移させる操作を入力するステップと、画面遷移が一方のUI装置から他方のUI装置へのUI切換を伴うか判定するステップと、UI切換が発生すると判定された場合にUI切換を行うステップとを具備する。
【発明の効果】
【0010】
本発明におけるUI切換システムでは、ユーザはどちらの装置のGUIを使用しているか意識する必要がない。また、ユーザが誤って別の装置の方のGUIを使ってしまうことがない。更に、複数存在する類似のGUI画面の中から、ユーザはより適切なGUIを選択して使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1にかかるUI切換システムの構成を示す図
【図2】同実施の形態にかかるUI切換処理を示すフローチャート
【図3】同実施の形態にかかるUI切換制御情報の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら説明する。
【0013】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかるUI切換システムの構成図である。UI切換システムは、第1のUI装置110と第2のUI装置120とから構成されている。そして、第1のUI装置110と第2のUI装置120とは、双方向にデータを交換することができる。ここで、交換されるデータは、第2のUI装置の出力するGUI画面や、第1のUI装置に対してユーザが入力したリモコン操作などの系列などである。
【0014】
次に第1のUI装置110について説明する。第1のUI装置110は、受信アンテナ111と、受信手段112と、再生手段113と、表示手段114と、入力手段115と、 UI制御手段116と、予約DB117と、通信手段118と、から構成されている。
【0015】
受信アンテナ111は、放送電波を受信するアンテナである。番組の配信が通信ネットワークである場合には、受信アンテナ111はブロードバンドモデムなどのネットワーク機器であっても良い。
【0016】
受信手段112は、受信アンテナ111で受信した放送電波から、所定の放送局のデジタルデータを取り出す。受信手段112はデジタル放送のチューナモジュールで良い。
【0017】
再生手段113は、受信手段112が出力した所定の放送局のデジタルデータを入力し、映像・音声信号にデコードして出力する。再生手段113は、MPEG(Motion Picture Experts Group)のVideo/Audioのデコーダで良い。
【0018】
表示手段114は、再生手段113の出力する映像・音声信号を入力し、ユーザが知覚できる物理的現象に変換する。表示手段114は、液晶ディスプレイ・パネルやスピーカなどで良い。
【0019】
入力手段115は、第1のUI装置110に対するユーザ操作を入力する。入力手段115は、リモコンとその受光部、マウスなどのポインティングデバイス、マイクロフォンと音声認識装置、動画カメラとユーザのジェスチャー認識装置などで良い。
【0020】
UI制御手段116は、第1のUI装置110の各構成要素と相互に接続され、第1のUI装置110全体を制御する。UI制御手段116は、CPU(Central Processing Unit)、半導体メモリ、OSD(On Screen Display)のグラフィック描画LSIなどから構成される、組込型マイクロコンピュータで良い。
【0021】
予約DB117は、現在時刻が予め設定していた日時になった時に、番組の視聴や録画の予約を実行させるための管理情報を格納するデータベースである。データベースに格納される各エントリには、予約する番組を特定する為の情報と、予約実行するためのパラメータが含まれる。例えば、予約する番組を特定する情報としては、放送チャンネル、放送開始日時、放送終了日時、番組ID(日本のデジタル放送規格であるARIB規格では、event_idと呼ばれる16ビットの情報)等でよい。また、予約実行のパラメータとしては、予約が視聴のための予約か録画の為の予約のいずれかのフラグ、録画する際のデータ圧縮フォーマット指定などでよい。
【0022】
通信手段118は、第1のUI装置110と第2のUI装置120とのデータ通信を行う。通信手段118はEthernet(登録商標)のNIC(Network Interface Card)や、HDMIのトランシーバーLSI(Large Scale Integration)や、電力線通信のモデル、無線LAN(Local Area Network)の送受信機などで良い。
【0023】
120は、第2のUI装置である。第2のUI装置120は、受信アンテナ121と、受信手段122と、再生手段123と、入力手段125と、UI制御手段126と、予約DB127と、通信手段128と、録画手段129と、から構成されている。第1のUI装置110の構成要素と共通の名称を持つ構成要素は、機能が同じであるため説明の全てまたは一部を省略する。
【0024】
録画手段129は、第2のUI装置120の受信手段122が出力する映像・音声信号を録画し再生する。録画手段129は、HDD(Hard Disk Drive)や、SD(Secure Digital)カードなどの半導体メモリとリーダ・ライターや、Blu−rayなどの光ディスクとドライブなどで良い。
【0025】
次にUI切換システムの動作を、フローチャートを用いて詳細に説明する。図2は、本発明のUI切換処理を示すフローチャートである。
【0026】
(ステップS201)ユーザが、第1のUI装置110に対して操作を行う。第1の入力手段115は操作データを出力する。
【0027】
(ステップS202)ステップS201の操作データが、UI切換を伴う画面遷移を示す場合にはステップS207へ、それ以外の場合にはステップS203へすすむ。例えば、現在の画面が第1のUI装置110が表示する電子番組表であり、操作が画面上に表示された予約登録ボタンへの押下操作である場合には、電子番組表画面から予約登録画面へ画面遷移する。
【0028】
例えば、予約登録画面として第2のUI装置120の予約登録画面が選択される場合には、第1のUI制御手段116が出力するOSD出力から、第2のUI制御手段126が出力するOSD出力へ表示手段114に出力する映像が切り換えられる。本特許では、この切り換えのことをUI切換と呼ぶことにする。
【0029】
ここで、類似するGUI画面(GUI画面クラス)毎に、どちらのUI装置のものが表示されるべきかを決定しているデータについて、図を用いて説明する。
【0030】
図3は、本発明のUI切換制御情報の例である。各行は、1個のGUI画面クラスに対応する。例えば、行310は番組表画面のGUI画面クラスに関し、行320は予約登録画面のGUI画面クラスに関する。列302は、どちらのUI装置のGUIを用いるかを記載している。例えば、行320のフィールド322には「他機」が格納されているので、第1のUI装置110の他機、すなわち第2のUI装置120が、予約登録画面として表示されることが指定されている。図では簡単のため、「自機」「他機」の2値としたが、複数のUI装置を特定するためのID情報を直接格納しても良い。即ち、IP(Internet Protocol)アドレスや、Ethrenet(登録商標) Address、マシン名、機器の種類(デジタルテレビ、レコーダ、PC等)、HDMIの物理アドレスなどでも良い。
【0031】
(ステップS203)他機すなわち第2のUI装置120のUI画面を、現在、表示手段114に表示中であればステップS205へ、それ以外の場合にはステップS204へ進む。
【0032】
(ステップS204)自機への操作を行う。そして、ステップS201へ戻る。
【0033】
(ステップS205)自機から他機への操作を変換する。例えば、UI装置毎にメーカが異なるなどしてリモコン信号のコード割り当てが違う場合や、複数のリモコン信号の系列によって1個の論理的操作を表す場合などに、この変換が用いられる。なお、動作仕様によっては、他機の状態に応じて、異なる操作が必要となる場合が考えられる。この場合、通信手段118などを用いて他機の状態をモニタリングした上で、操作を変換しても良い。
【0034】
(ステップS206)他機への操作を送信する。そして、ステップS201へ戻る。即ち、第1の通信手段118から第2の通信手段128に対して、ステップS205で変換された操作を送信する。
【0035】
(ステップS207)現在UI画面からコンテキストを引き継ぐ。例えば、自機の番組表画面から、他機の予約登録画面に遷移する際には、自機の番組表のフォーカス表示が位置している番組に対する予約登録画面が表示されることが期待される。自機の番組表のフォーカス位置の状態(コンテキスト)として、番組を特定するための情報が用いられる。
【0036】
図3のUI切換制御情報において、列303が各行にあたる画面クラスを起動する際の初期パラメータとして求められる情報(コンテキスト)を格納している。例えば、予約登録画面に関する行320で、323にあるように、局、日時、番組idが、他機の予約登録画面を起動する際に必要とされるパラメータであるため、第1のUI装置110から、通信手段118、128を経由して、第2のUI装置120のUI制御手段126に伝えられる。第2のUI制御手段126は、この情報を用いて、遷移元の画面である番組表と同じ番組に対する予約登録画面を表示することが可能となる。
【0037】
(ステップS208)自機または他機のUI画面にUI切換を行う。そして、ステップS201へ戻る。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、GUIを持つ複数のAV機器や情報機器などが相互に接続された状況で、一方の装置から他方の装置を操作する機能に対して利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
110 第1のUI装置
120 第2のUI装置
111、121 受信アンテナ
112、122 受信手段
113、123 再生手段
114 表示手段
115、125 入力手段
116、126 UI制御手段
117、127 予約DB
118、128 通信手段
129 録画手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
類似のUI画面を持つ第1のUI装置と第2のUI装置とから構成されるUI切換システムにおけるUI切換方法であって、
前記第1のUI装置は、画面遷移させる操作を入力するステップと、
前記第1のUI装置は、前記画面遷移させる操作及びUI切換制御情報に応じて、前記画面遷移がUI切換を伴うか否かを判定するステップと、
前記第1のUI装置は、前記画面遷移がUI切換を伴うものであると判定した場合に、現在画面のコンテキストを出力するステップと、
前記第2のUI装置は、出力された前記現在画面のコンテキストを引き継いだ類似するUI画面を出力するステップと、
前記類似するUI画面を表示するステップと、
を具備することを特徴とするUI切換方法。
【請求項2】
前記第1のUI装置が番組受信装置であり、前記第2のUI装置が番組記憶再生装置であり、前記UI画面が少なくとも電子番組表画面と予約一覧画面とを含むことを特徴とする請求項1記載のUI切換方法。
【請求項3】
前記第1のUI装置が番組受信装置であり、前記第2のUI装置が番組記憶再生装置であり、前記UI画面が少なくとも電子番組表画面と予約登録操作画面とを含み、前記コンテキストが現在注目している番組を特定する情報であることを特徴とする請求項1記載のUI切換方法。
【請求項4】
前記第1のUI装置が番組受信装置であり、前記第2のUI装置が番組記憶再生装置であり、前記UI画面が少なくとも録画番組一覧画面と番組再生画面とを含み、前記コンテキストが現在注目している録画番組を特定する情報であることを特徴とする請求項1記載のUI切換方法。
【請求項5】
類似のUI画面を持つ第1のUI装置と第2のUI装置とから構成されるUI切換システムにおいて、
前記第1のUI装置は、
ユーザからの入力を受け付ける入力手段と、
前記入力手段が受け付けた前記ユーザからの入力及びUI切換制御情報に応じて、UI画面を制御して出力する第1のUI制御手段と、
前記UI画面を表示する表示手段と、を具備し、
前記第2のUI装置は、
前記第1のUI制御手段が制御する前記UI画面と類似するUI画面を制御して出力する第2のUI制御手段を具備し、
前記第1のUI制御手段は、前記ユーザからの入力としてUI切換を検出した場合に、前記第2のUI制御手段に、現在画面のコンテキストを引き継いだ類似するUI画面を出力させる、ことを特徴とするUI切換システム。
【請求項6】
前記第1のUI装置が番組受信装置であり、前記第2のUI装置が番組記憶再生装置であり、前記UI画面が少なくとも電子番組表画面と予約一覧画面とを含むことを特徴とする請求項5記載のUI切換システム。
【請求項7】
前記第1のUI装置が番組受信装置であり、前記第2のUI装置が番組記憶再生装置であり、前記UI画面が少なくとも電子番組表画面と予約登録操作画面とを含み、前記コンテキストが現在注目している番組を特定する情報であることを特徴とする請求項5記載のUI切換システム。
【請求項8】
前記第1のUI装置が番組受信装置であり、前記第2のUI装置が番組記憶再生装置であり、前記UI画面が少なくとも録画番組一覧画面と番組再生画面とを含み、前記コンテキストが現在注目している録画番組を特定する情報であることを特徴とする請求項5記載のUI切換システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−258958(P2010−258958A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−109186(P2009−109186)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】