説明

USBケーブル及びその製造方法

USBケーブルを収納し該ケーブルの接続を可能とするケーブルリールと共に、ケーブルリールから引き出し格納したりすることが可能なUSBケーブルの製造方法及び製造装置を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年4月3日出願の米国特許仮出願番号61/166,248に基づく優先権を主張する。本出願は、一般にUSBコードに関し、より詳しくは格納式リールにつながったUSBコードに関する。
【背景技術】
【0002】
ユニバーサルシリアルバス、すなわち、「USB」は、2つの電子機器を接続する規格として、すなわち、機器とホストコンピュータとをつなぐ規格として一般に用いられる用語である。USB技術を用いて、複数の周辺機器を単一の標準化されたインターフェースソケットを使って接続することができる。ホットスワッピングを可能とすること、すなわち、コンピュータを再起動させたり機器を停止させたりすることなく機器を接続及び取り外しを可能とすることでプラグアンドプレイ機能を改善することもできる。USB技術の他の特徴として、低電力消費機器に電源を供給し、外部から電源を供給する必要をなくし、製造業者特有の機器ドライバをインストールすることなく多くの機器を用いることができるようにしたことがあげられる。
【0003】
場合によって、USBコードをどのように、また、いつ用いるかに応じてUSBコードを伸ばしたり格納式リールに格納したりすることができるように、USBコードを格納式リールに格納することが望ましいこともある。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、以下の特徴、構成要素の1以上又はその組み合わせに関する。
【0005】
1つの実施の形態において、格納式USBリールは、EMI/RFIシールドで覆われた、1対の隣接するデータワイヤを含む。データワイヤは相互により合わせてもよい。導体は、データワイヤの周りに置きデータワイヤに巻きつけることも、又は、データワイヤと平行にすることもできる。結果生じたワイヤ及びシールドは、低摩擦材料で覆いさらにEMI/RFIシールドで覆う。
【0006】
他の実施の形態においては、電気導電材と共にコードリールが提供される。コードリールは、固定したUSBコイルと移動可能なUSBコイルを持ち運べるような形状とし、2つのコイルが相互に通信可能なようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の1つの実施形態による、USB接続フラットケーブルの平面図である。
【図2】本発明の1つの実施形態による、USBコードリールの斜視図であり、該USBコードリールは、コードリールの内部構成を示している。
【図3】USBコードリールの斜視図である。
【図4】ジャケットを除いた、本発明の1つの実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示すように、USBフラットケーブル10は、第1のデータワイヤ12、第2のデータワイヤ14を含む。第1及び第2のデータワイヤ12,14は、説明に役立つよう相互に隣り合い、相互によりあわせてある。他のワイヤ16,18,20,22,24,26,及び28もまた、第1及び第2のデータワイヤ12,14の隣におくことができる。図示した例では、他のワイヤ16,18,20,22,24,26,及び28は、第1及び第2のデータワイヤ12,14の両側又は片側に、実質的に平行に一段の構成となっている。多様なワイヤ12,14,16,18,20,22,24,26,及び28を糸素材で相互にまとめている。
【0009】
本発明は、USBケーブルを編成し管理するケーブル管理システムを具備し、任意的にUSBケーブルと接続される他のケーブル及び/又はワイヤを具備する。このような管理システムは、乗用車を含む種々の環境におけるUSBコードの使用及び収納を容易にする。
【0010】
図2に示すように、実例となるケーブル管理システム30は、ケーブル収納ユニット32、ケーブルリール34、ケーブル36、及びUSBコネクタ38を具備する。第2のUSBコネクタ又は他の電気コネクタ40をケーブル管理システム30の他端に用意することもできる。さらにコネクタ39,41を追加することもできる。ケーブル収納ユニット32は、中にテンション調整機構をリール34に付けることができ、このテンション調整機構は、ケーブル36をハウジングから抜き出すときの抵抗の役割を果たす。
【0011】
ケーブル収納ユニット32は、シート、乗り物、その他の構造物に取り付けるように作ることができる。同様のケーブル収納ユニット及びケーブル管理システムは、バークの米国特許番号5,094,396に記載されており、記載内容は参照として本明細書に組み込むものとする。また、米国特許出願番号2007/0262185についても、記載内容は参照として本明細書に組み込むものとする。
【0012】
図2及び図3に示した実施の形態において、ケーブル収納ユニット32には、スプールすなわちリール34があり、ケーブル36の全長がそれで巻き取られる。ケーブル収納ユニット32にはベースすなわちハウジング40もある。ハウジング40には、リール34をハウジング40に対して相対的に回転させることができるように、間隔をあけて複数のタブ42を取り付けることができる。加えて、タブ42は、ケーブルを巻き取った部分44をリール34に保持するように作ることができる。ハウジング40の内側表面を電気的に導電性のあるコーティングでコーティングすることもできる。
【0013】
ハウジング40には、乗客シートの下又は他のどこかの場所にケーブル収納ユニット32を取り付けるのに便利なように取り付け穴46をあけておくこともできる。当然のことながら、ケーブル36は、複合タイプのワイヤ及び/又はコネクタを含むことができる。例えば、図2及び図3に示した例において、2つのコネクタ38,39及び40,41がケーブル管理システム30の端部にある。
【0014】
ケーブル36の製造及び構造について図4に示し、以下のとおり概説する。1対のUSBデータワイヤは、実質的にお互いの相対位置を固定するような方法で、相互に隣り合うよう配置する。例えば、USBデータワイヤを、1インチ当たり約4回ねじるようにして相互により合わせることがもくろまれる。そして、このUSBデータワイヤは、編組シールド48で覆われる。シールド48は、データワイヤ同士のすき間を実質的に除去し、さらに、近接するワイヤや機器からの混信からUSBデータワイヤを保護するのに役立たせることができる。1つの実施形態において、シールドはらせん状に編組した横巻きシールドである。総称として、USBデータワイヤとシールドは、ここで、「第1の構造」と称する。
【0015】
第1の構造との緊密な空間関係を保って導体/データワイヤを追加し、実質的に周辺が円形の断面を持つ第2の構造を生成する。追加した導体は、1インチ当たり2回ねじるようにして第1の構造の周りにらせん状に巻きつけるか又はらせん状の縁模様になるようにすることができる。あるいは、追加した導体は、第1の構造の周りに巻きつけることなく、第1の構造に平行に沿わせることもできる。必要なら、「中心充填物」を、コードを実質的に円形の構造とするために用いることもできる。この「第2の構造」は、曲げ半径が実質的に55mm以上になるよう形成するのが理想である。
【0016】
そして、第2の構造は、PFEのような摩擦の小さい材料で被覆し、続いてEMI/RFIシールドのような第2のシールドで被覆する。この工程により、55mm以上の曲げ半径、少なくとも5メートルの長さ、及び少なくとも1.5Mbの信号レートを持つ理想的なUSBケーブルを製造することができる。
【0017】
電子機器及びデータ成分を動作させるのに十分なインピーダンスを持つUSBコードを用意することも興味深いことである。多くのデータアプリケーションに推奨する公称インピーダンスは90オームである。従って、記載した実施形態の1つの目的は、実際に約90オームのインピーダンスになるようなUSBコードを作ることである。
【0018】
インピーダンスは、ワイヤとその構造の物理的及び幾何学的特性に左右されることが分かっている。ワイヤの絶縁材の壁厚のみならずワイヤ同士の間隔も重要である。また、ワイヤを曲げることもインピーダンスに影響を与える。従って、USBコードをどのように配置又は湾曲させるかにかかわらず、USBデータワイヤの特性を実質的に均一に保持することが重要である。
【0019】
USBワイヤに沿って追加配置した導体/ワイヤもインピーダンスに影響を与えることがある。従って、このような追加導体の位置及びこの導体とUSBワイヤとの間のシールドも、USBコードを組み立てるときの考慮事項となる。USBでない導体の周りにシールドを追加することも必要となるかもしれない。最後に、全体の上部に編組ナイロンジャケットを形成することもできる。このナイロンジャケットは下にあるデータワイヤに圧力を加えることによりインピーダンスに影響を与えるであろう。さらに、「二重横巻きシールド」の実施形態では、インピーダンスが影響を受けるであろう。
【0020】
以下の表は、選択した「P3」の実施形態における、種々のインピーダンス及びインピーダンスの減少を示す。用語「ジャケットなし」はナイロンジャケットを使っていないことを意味する。用語 「ジャケット」は編組ナイロンジャケットを意味する。1重及び2重は、コード中の構成物の周囲のシールドの数を意味する。
【表1】

【0021】
上記データから、90オームのインピーダンスとするためには、高いインピーダンスのデータワイヤを用いなければならないことが分かる。USBコードの構造に関する補注は別紙Aに記載されており、別紙Aは参照として添付し本明細書組み込まれる。
【0022】
本開示内容は種々の修正及び代替的な形態が可能であるが、実施例として具体的な典型的実施形態を図に示し、詳細に記述した。しかしながら、開示した特定の実施形態に本開示内容を限定することを意図するものではなく、逆に、本開示内容の精神と範囲に入る、すべての修正、等価物、及び代替物を含むことを意図するものであることは了解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルであって、a)互いに隣り合い、1インチ当たり約4回相互により合わせた第1及び第2のデータワイヤ、b)電磁妨害あるいは無線周波妨害を防止するため、前記第1及び第2のデータワイヤを囲む第1の編組シールド、c)前記第1及び第2のデータワイヤを囲む前記シールドに隣接する2以上の追加導体であって、該追加ワイヤは1インチ当たり約2回前記シールドの周りに巻きつけることを特徴とする追加導体、d)該追加導体と第1及び第2のデータワイヤとを囲むポリテトラフルオロエチレンのカバー、及びe)該ポリテトラフルオロエチレンのカバーを囲む第2のシールドを具備し、該ケーブルは約90オームのインピーダンスを有することを特徴とするケーブルと、
前記ケーブルの端部に取り付けたユニバーサルシリアルバスコネクタと、
ハウジングと、
前記ケーブルを受け入れるため前記ハウジングに回転可能に取り付けたリールと、
前記ケーブルを格納する方向の一方向のみに前記リールの回転を制限するために、前記ハウジングと前記リールとの間に取り付けたスプリングと、
選択的に前記リールの回転を抑制するために、ハウジングに取り付けたラチェットであって、前記ケーブルは延ばした位置、または縮めてリールに巻きつけた位置を保持することができることを特徴とする、ラチェットと、
を具備するユニバーサルシリアルバスコードリール器具。
【請求項2】
第1及び第2のデータワイヤを互いに隣り合うように配置するステップと、
前記前記第1及び第2のデータワイヤを1インチ当たり約4回相互により合わせるステップと、
より合わせた前記第1及び第2のデータワイヤを編組シールドで覆うステップと、
前記シールドにごく接近させて1以上のデータワイヤを追加するステップと、
1インチ当たり約2回前記編組シールドの周りに前記1以上の追加したデータワイヤをらせん状に巻きつけるか又はらせん状の縁模様になるようにして、前記第1及び第2のデータワイヤ、前記編組シールド、及び前記1以上の追加したデータワイヤに円形の断面を持たせ、その結果出来上がった構成の曲げ半径が最小で約55mmとなるようにするステップと、
前記編組シールド及び1以上の追加したデータワイヤを摩擦の小さい材料でコーティングするステップと、
電磁妨害及び無線周波妨害を防止する第2のシールドで前記摩擦の小さい材料を被覆し、その結果出来上がった構成が約90オームのインピーダンスを持ち1秒当たり1.5メガバイトの信号レートを持つようにするステップと、
を具備するユニバーサルシリアルバスケーブルの製造方法。
【請求項3】
ハウジングと、
ハウジングに取り付け、該ハウジングに対して相対的に回転するよう構成したスプールと、
前記ハウジングから伸びる、ユニバーサルシリアルバスコネクタを含む固定ケーブルと、
前記ハウジングから伸ばすこと及び前記ハウジングに格納することができ、さらに、前記固定ケーブルと電気通信ができる、ユニバーサルシリアルバスコネクタを含む格納可能なケーブルと、
前記ハウジングに取り付けられたラチェットであって、該ラチェットは、該ラチェットが前記スプールと電気通信する嵌合位置と、該ラチェットが前記スプールと電気通信しない非嵌合位置とを有することを特徴とする、ラチェットと
を具備するユニバーサルシリアルバスケーブル格納器具。
【請求項4】
前記ラチェットは導体リード線を具備し、前記スプールはその上に取り付けた導体を具備することを特徴とする請求項3に記載の器具。
【請求項5】
前記嵌合位置で、前記導体は前記導体リード線と接触することを特徴とする請求項4に記載の器具。
【請求項6】
前記ラチェットは第2の導体リード線をさらに具備し、前記スプールは該第2の導体リード線に取り付けた第2の導体をさらに具備することを特徴とする請求項4に記載の器具。
【請求項7】
前記格納可能なケーブルを前記ハウジングから伸ばしたとき、前記導体は前記導体リード線と接触することが妨げられることを特徴とする請求項4に記載の器具。
【請求項8】
前記固定コードは前記ラチェットと電気通信することを特徴とする請求項3に記載の器具。
【請求項9】
前記ラチェットは、前記スプールの壁と半径方向に一直線になった歯を具備することを特徴とする請求項3に記載の器具。
【請求項10】
前記ケーブルは、少なくとも、相互に隣り合い、1インチ当たり約4回相互により合わせた第1及び第2のデータワイヤと、電磁妨害あるいは無線周波妨害を防止するため、該第1及び第2のデータワイヤを囲む第1の編組シールドとを具備することを特徴とする請求項請求項3に記載の器具。
【請求項11】
前記ケーブルは、さらに、前記第1及び第2のデータワイヤを囲む前記シールドに隣接する2以上の追加導体であって、該追加ワイヤは1インチ当たり約2回前記シールドの周りに巻きつけることを特徴とする追加導体と、前記追加導体及び前記第1及び第2のデータワイヤを囲むポリテトラフルオロエチレンのカバーとを具備することを特徴とする請求項請求項10に記載の器具。
【請求項12】
前記ケーブルは、さらに、前記ポリテトラフルオロエチレンのカバーを囲む第2のシールドを具備し、前記ケーブルは約90オームのインピーダンスを有することを特徴とする請求項請求項11に記載の器具。
【請求項13】
ハウジングと、
導体を有するスプールであって、前記ハウジング内に取り付けられ該ハウジングに対して相対的に回転するよう構成したことを特徴とするスプールと、
前記スプールに選択的に勘合するように配置したラチェットと、
少なくとも部分的に前記スプールに巻きつけた格納可能なケーブルであって、該格納可能なケーブルは、前記ハウジングから伸ばすこと及び前記ハウジングに格納することができ、電流が前記スプールに接続する導体を通して流れることを特徴とするケーブルと、
を具備するユニバーサルシリアルバスコードリール器具。
【請求項14】
前記ラチェットは、導体と、該導体とスプール上で接続するように作られたリード線とを具備することを特徴とする請求項請求項13に記載の器具。
【請求項15】
前記ラチェットは、第2のリード線を具備し、前記スプールはその上に第2の導体を取り付けたことを特徴とする請求項請求項13に記載の器具。
【請求項16】
前記格納可能なコードが前記ハウジングから延ばされたとき、前記導体は前記ラチェットと接触することが妨げられることを特徴とする請求項13に記載の器具。
【請求項17】
前記ラチェットと電気通信する固定コードをさらに具備することを特徴とする請求項13に記載の器具。
【請求項18】
前記ラチェットは、前記スプールと半径方向に整列した歯を具備することを特徴とする請求項13に記載の器具。
【請求項19】
前記ケーブルは、少なくとも、相互に隣り合い、1インチ当たり約4回相互により合わせた第1及び第2のデータワイヤと、電磁妨害あるいは無線周波妨害を防止するため、該第1及び第2のデータワイヤを囲む第1の編組シールドとを具備することを特徴とする請求項請求項13に記載の器具。
【請求項20】
前記ケーブルは、少なくとも、前記第1及び第2のデータワイヤを囲む前記シールドに隣接する2以上の追加導体であって、該追加ワイヤは1インチ当たり約2回前記シールドの周りに巻きつけたことを特徴とする追加導体と、前記追加導体及び前記第1及び第2のデータワイヤを囲むポリテトラフルオロエチレンのカバーとを具備することを特徴とする請求項請求項19記載の器具。
【請求項21】
前記ケーブルは、さらに、前記ポリテトラフルオロエチレンのカバーを囲む第2のシールドを具備し、前記ケーブルは約90オームのインピーダンスを有することを特徴とする請求項請求項20に記載の器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−523212(P2012−523212A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503423(P2012−503423)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/000972
【国際公開番号】WO2010/114607
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(510264338)テレフォニックス・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】